JP2011042053A - 成形体及びその製造方法 - Google Patents

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広樹 佐々木
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Abstract

【課題】金属を用いることなく、光及び輻射熱を反射し、断熱性が向上した意匠性の高い成形体を作製することができる成形体の製造方法及び該方法により製造された成形体の提供。
【解決手段】成形体の製造方法は、成形金型内111に配置された空洞含有樹脂フィルム1上に、100℃〜320℃の溶融した樹脂50aを射出成形することを含み、前記空洞含有樹脂フィルムのSP値と前記樹脂のSP値との差の絶対値が、6.0未満である成形体の製造方法であって、前記空洞含有樹脂フィルムの平均厚みが25μm超200μm未満であり、前記成形体における樹脂部分の平均厚みが0.3mm超10mm未満であり、前記射出成形時における溶融した樹脂の射出圧力が200MPa未満であり、かつ、下記式(1)を満たす。(数4)t×1/3×Qm×Vf>(Ti−50)×Ci×t×1/200式(1)
【選択図】図1A

Description

本発明は、成形体及びその製造方法に関する。
プラスチック材料に形態を付与する方法には、射出成形、押出成形、圧縮成形、真空成形、ブロー成形、注型法、などがあり、これらの方法は、各種プラスチック材料の性質に合わせ、様々な成形体の製造に利用されている。
中でも、広く用いられているのが、射出成形法であり、高精度の部材を成形する方法として、その重要性が高まっている。
前記射出成形法は、目的とする形状の部材を短時間に作ることができ、さらに、高品質の成形体を得ることができる。前記射出成形法の特徴としては、
1.材料の溶融・固化が短時間で行うことができ、成形サイクルが短い(生産性が高い)。
2.成形体の精度が高く、2次加工など余分な工程を必要としない。
3.複雑な形状を容易に加工できる。
4.後述するインサート成形により、金属部品及びプラスチック部品など異種の材料の合体が可能となる。
5.成形体の表面性状が良好であり、美観に優れ、着色も容易である。
6.生産を自動化でき、省力化が可能である、などが挙げられる。
前記インサート成形とは、金属、セラミック、ゴム、皮革、フィルム、など種々のインサート部材を、予め金型へ挿入(インサート)し、該予め挿入されたインサート部材上に他の材料を射出成形することで、一般的には、2種類以上の材料または材質で、一体化した成形体を作製するものである。印刷物や色違いの部材を一体化する場合などでは、同種の材料を用いる場合もある。
前記射出成形法により作製された成形体は、バイク、自動車、窓枠、天井材、LED照明用反射ユニット、ユニットバス用パネル、樹脂製浴槽などの建築関連部材、テレビ、パソコン、照明器具などの家電、文房具、日用雑貨、などに広く用いられている。これらの成形体は、反射性能、意匠性などを付与して商品価値を高める目的で、金属調のテクスチュアが求められることが多く、成形体の全体乃至一部分に金属メッキや金属蒸着を行ったり、アルミなどの金属微粉末を練りこんで塗装を付すことがなされている。
しかしながら、金属メッキ、金属蒸着、塗装、などの処理をするには、大型専用設備が必要になるため、製品のコストアップを招き、意匠性を向上することができても、商品として、付加価値とコストとのバランスが取れなくなるという問題がある。
また、複合材料、特に、金属と樹脂と複合材料においては、単一材料ではないがゆえに、リサイクルや廃棄が困難となり、環境に悪影響を与えるという問題がある。
また、自動車などの車両用途では、金属メッキ部材が、車両の走行中の振動で電気的なノイズの発生源になったり、車両に搭載しているナビゲーションシステム等の電波の受信状態に影響を与えるという問題がある。さらに、家電関連でも、携帯電話やポータブルパソコンや通信端末機器において、金属メッキ部材が電波を遮断してしまい、通信機能を制限するという問題がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−285093号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、金属を用いることなく、光及び輻射熱を反射し、断熱性が向上した意匠性の高い成形体を作製することができる成形体の製造方法及び該方法により製造された成形体を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 成形金型内に配置された空洞含有樹脂フィルム上に、100℃〜320℃の溶融した樹脂を射出成形することを含み、前記空洞含有樹脂フィルムのSP値と前記樹脂のSP値との差の絶対値が、6.0未満である成形体の製造方法であって、前記空洞含有樹脂フィルムの平均厚みが25μm超200μm未満であり、前記成形体における樹脂部分の平均厚みが0.3mm超10mm未満であり、前記射出成形時における溶融した樹脂の射出圧力が200MPa未満であり、かつ、下記式(1)を満たすことを特徴とする成形体の製造方法である。
(数1)
×1/3×Qm×Vf>(Ti−50)×Ci×t×1/200 式(1)
但し、前記式(1)中、tは、前記空洞含有樹脂フィルムの平均厚み(mm)を示し、Qmは、前記空洞含有樹脂フィルムの結晶融解熱(cal/g)を示し、Vfは、前記空洞含有樹脂フィルムの充填率((100−(前記空洞含有樹脂フィルムの空洞率(%)))/100)を示し、Tiは、前記射出成形時における溶融した樹脂の温度(℃)を示し、Ciは、前記樹脂の比熱(cal/(g℃))を示し、tは、前記成形体における樹脂部分の平均厚み(mm)を示す。
<2> 空洞含有樹脂フィルムは、550nmの波長の光における反射率が80%以上である前記<1>に記載の成形体の製造方法である。
<3> 空洞含有樹脂フィルムの空洞が実質的に無核である前記<1>から<2>のいずれかに記載の成形体の製造方法である。
<4> 空洞含有樹脂フィルムの空洞が有核である前記<1>から<2>のいずれかに記載の成形体の製造方法である。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかの成形体の製造方法により製造された成形体であって、空洞含有樹脂フィルムと射出成形された樹脂とが一体形成された成形体であることを特徴とする成形体である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、金属を用いることなく、光及び輻射熱を反射し、断熱性が向上した意匠性の高い成形体を作製することができる成形体の製造方法及び該方法により製造された成形体を提供することができる。
図1Aは、本発明の成形体の製造方法に用いられる射出成形機の一例を示す図である。 図1Bは、射出成形樹脂の温度及び射出成形樹脂に付与される圧力が高く、熱量が大きい場合を示す図である。 図2は、空洞含有樹脂フィルムの製造方法の一例を示す図である。 図3Aは、空洞含有樹脂フィルムの斜視図である。 図3Bは、図3Aにおける空洞含有樹脂フィルムのA−A’断面図である。 図3Cは、図3Aにおける空洞含有樹脂フィルムのB−B’断面図である。 図4Aは、実施例において作製した成形体の上面図である。 図4Bは、実施例において作製した成形体の断面図である(その1)。 図4Cは、実施例において作製した成形体の断面図である(その2)。 図5は、実施例における電磁波透過性の評価方法を説明する図である。 図6Aは、サンプルの切り出しを説明するための図である。 図6Bは、サンプルの挟み込みを説明するための図である。 図6Cは、図6BにおけるA部の拡大図である。 図6Dは、サンプルの折り曲げを説明するための図である。
(成形体の製造方法、及び成形体)
本発明の成形体の製造方法は、少なくともインサート成形工程を含み、さらに必要に応じてその他の工程を含む。
<インサート成形工程>
前記インサート成形工程は、金型内に配置された空洞含有樹脂フィルム上に、溶融した樹脂を射出成形する工程である。
<<射出成形>>
前記射出成形とは、樹脂材料(プラスチック材料)などを加熱して流動状態にし、閉じた金型の空洞部(金型キャビティ)に加圧注入し、金型内で、冷却固化させることにより、金型キャビティに、該金型キャビティと同じ形状の成形体を作製する方法である。前記射出成形を行う射出成形機の一例を図1Aに示す。
図1Aにおいて、原料となるプラスチック材料としての樹脂ペレット50は、自動搬送装置や自動計量装置(図示せず)を経て、ホッパー101に供給される。
樹脂ペレット50は、必要に応じて加熱、乾燥により含水量を減じておくことが好ましい。
ホッパー101から加熱シリンダー(バレル)入口102に供給された樹脂ペレット50は、スクリュー駆動部112の駆動により、後退しながら回転するスクリュー103の回転で、加熱シリンダー104内に送り込まれる。加熱シリンダー104は、外周に配置された電気ヒータ105等で加熱されており、樹脂ペレット50は、電気ヒータ105による加熱と、スクリュー103の回転、せん断の摩擦熱により、溶融する。
スクリュー103が回転しながら後退することによって、樹脂ペレット50は溶融して、加熱シリンダー104の先端に送り出される。加熱シリンダー104内のスクリュー103の先端に一定量の溶融樹脂50aが貯えられると、スクリュー103は回転を停止する。
金型キャビティ111内に、空洞含有樹脂フィルム1を配置し、金型(可動側)106及び金型(固定側)107を閉じて締め付けた後、スクリュー103を前進させて、溶融樹脂50aを加圧し、ノズル108を経て、金型キャビティ111内に配置された空洞含有樹脂フィルム1上に溶融樹脂50aを射出する。スクリュー103の先端には逆止弁109が設けられており、スクリュー103の回転、後退中は溶融樹脂50aを前方へ送り出し、加圧時は溶融樹脂50aが後方へ流れ出ることを防止する。
金型106、107は、溶融樹脂50aの金型キャビティ111内への射出がスムーズになるよう、また樹脂の結晶化や、成形サイクルを調整するために冷却されていることが多い。
金型106、107の温度調節は金型106、107内部に掘られた流路110に冷媒、温水、熱媒体などを循環させたり、金型106、107に埋め込まれたり、金型106、107表面に設置されたカートリッジヒータやバンドヒータなど(図示せず)により、温度制御する。
金型キャビティ111内で冷却されて、固化した成形体は、金型106、107から取り出される。
図1Aでは、凸側に空洞含有樹脂フィルム1が配置された成形体が形成されるが、他の金型を用いれば、凹側に空洞含有樹脂フィルム1が配置された成形体を形成することもできる。
基本的に、金型内部の任意の位置にインサート成形に用いる空洞含有樹脂フィルムを配置することができる。
<<<射出成形時における溶融樹脂の温度>>>
金型キャビティ内に配置された空洞含有樹脂フィルム上への射出時における溶融樹脂の温度としては、100℃〜320℃である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100℃〜300℃が好ましく、150℃〜300℃がより好ましく、180℃〜290℃が特に好ましい。
前記溶融樹脂の温度が、100℃未満であると、溶融樹脂粘度が充分に下がらず、金型内に射出された際に、インサートフィルムを押し込んでしまい、フィルムが所定の位置からずれたり、しわが入ったり、ちぎれることがあり、320℃を超えると、空洞含有樹脂フィルム上への射出した際に、空洞含有樹脂フィルムの空洞が溶けたり、つぶれてしまう。一方、前記溶融樹脂の温度が前記特に好ましい範囲内であると、インサートフィルムのずれ、つぶれなどがなく、意匠性にすぐれた所望の性能のインサート成形体が製造できる点で有利である。
<<<空洞含有樹脂フィルムの平均厚み>>>
前記空洞含有樹脂フィルムの平均厚みとしては、25μm超200μm未満である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40μm超200μm未満が好ましく、40μm超100μm未満がより好ましい。
前記空洞含有樹脂フィルムの平均厚みが、25μm以下であると、成形時に空洞が溶けたり、つぶれたりすることがあり、200μm以上であると、シワ、割れが発生することがある。一方、前記空洞含有樹脂フィルムの平均厚みが前記特に好ましい範囲内であると、フィルムの外観や性能を損なうことなく成形できる点で有利である。
なお、前記空洞含有樹脂フィルムの平均厚みは、接触式変位計(商品名:AF030(測定部)、AF350(指示部)、キーエンス社 製)を用いて20点測定した空洞含有樹脂フィルムの厚みの平均値である。
<<<成形体における樹脂部分の平均厚み>>>
前記成形体における樹脂部分(主に射出成形体の平面または曲面状の射出樹脂部分)の平均厚みとしては、0.3mm超10mm未満である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.3mm超5mm未満が好ましく、1mm超5mm未満がより好ましい。
前記成形体における樹脂部分が、0.3mm以下であると、射出成形樹脂そのものの射出成形が困難になり、無理に成形しようとすると空洞含有樹脂フィルムにしわが入ったり、裂けたりすることがあり、10mm以上であると、射出成形樹脂そのものの収縮により空洞含有樹脂フィルムにしわが入ったり、空洞含有樹脂フィルムの空洞がつぶれてしまうことがある。一方、前記成形体における樹脂部分が前記特に好ましい範囲内であると、フィルムの外観、意匠性や性能を損なうことなく成形できる点で有利である。
なお、前記成形体における樹脂部分の平均厚みは、デジタルノギス(商品名:CD−15CP、ミツトヨ製)を用いて10点測定した成形体における樹脂部分の厚みの平均値である。
<<<射出成形時における溶融樹脂の射出圧力>>>
前記射出成形時における溶融樹脂の射出圧力としては、200MPa未満である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、190MPa以下が好ましく、180MPa以下がより好ましい。
前記溶融樹脂の射出圧力が、200MPa以上であると、射出成形時に空洞含有樹脂フィルムが圧縮されて、光線透過率が上がってしまい、意匠性が低下するなどの問題が発生することがある。
更に、前記溶融樹脂の射出圧力が、200MPa以上であると、射出装置が大型、複雑になり、付帯設備を含めて広い設置場所が必要になるほか、高耐圧の金型が必要になる。これらは、設備費用及び運転費用の増大を招く。また、高圧で射出成形するための金型は寿命が短くなり安定した製品品質が確保しにくい。この結果、品質が安定しにくかったり、保守費用がかさむことがある。一方、前記溶融樹脂の射出圧力が前記特に好ましい範囲内であると、比較的小型の装置で安定的に製品が製造できる点で有利である。
<<<空洞含有樹脂フィルムと樹脂との関係>>>
前記空洞含有樹脂フィルムと前記樹脂との関係としては、下記式(1)を満たす限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
空洞含有樹脂フィルムを金型内に配置して溶融した樹脂を射出し、表面に空洞含有樹脂フィルムが付与された成形体を得る際には、射出成形樹脂の温度や圧力が高く、熱量が大きいと、射出樹脂によって空洞含有樹脂フィルムが溶けたり、空洞がつぶれたりして、空洞含有樹脂フィルムの性能が低下し、かかる成形体の性能、位相性などが損なわれる懸念がある(図1B)。
本発明者らが鋭意検討した結果、下記式(1)を満たす条件下で、空洞含有樹脂フィルムがその有効な性能を保持したまま、射出成形体に付与できることを見出した。
(数2)
×1/3×Qm×Vf>(Ti−50)×Ci×t×1/200 式(1)
但し、式(1)中、
は、空洞含有樹脂フィルムの平均厚み(mm)を示し、
Qmは、空洞含有樹脂フィルムの結晶融解熱(cal/g)を示し、
Vfは、空洞含有樹脂フィルムの充填率((100−(前記空洞含有樹脂フィルムの空洞率(%)))/100)を示し、
Tiは、射出成形時における溶融した樹脂の温度(℃)を示し、
Ciは、樹脂の比熱(cal/(g℃))を示し、
は、成形体における樹脂部分(射出樹脂部分)の平均厚み(mm)を示す。
前記空洞含有樹脂フィルムと前記樹脂との関係が、式(1)を満たさないと、空洞含有樹脂フィルムが溶けてしまったり、空洞がつぶれてしまうことがある。
なお、前記空洞含有樹脂フィルムの平均厚みt(mm)は、接触式変位計(商品名:AF030及びAF350、キーエンス社製)を用いて20点測定した空洞含有樹脂フィルムの厚みの平均値である。
また、前記空洞含有樹脂フィルムの結晶融解熱Qm(cal/g)は、示差熱走査熱量計(商品名:DSC220、セイコーインスツルメンツ社製)を用いて測定した値である。
また、前記空洞含有樹脂フィルムの充填率Vfは、密度勾配間法比重測定装置(商品名:Density Measuring System、柴山科学機器製作所製)を用いて、JIS K−7112−1980に基づき、測定した値である。
また、前記樹脂の比熱は、示差熱走査熱量計(商品名:DSC220、セイコーインスツルメンツ社製)を用いて測定した値である。
また、前記成形体における樹脂部分の平均厚みt(mm)は、デジタルノギス(商品名:CD−15CP、ミツトヨ製)を用いて、10点測定した成形体における樹脂部分の厚みの平均値である。
<<空洞含有樹脂フィルム>>
前記空洞含有樹脂フィルムは、例えば、以下に示す製造方法によって得ることができる。
図2は、空洞含有樹脂フィルムの製造方法の一例を示す図であって、二軸延伸フィルム製造装置のフロー図である。図2に示す二軸延伸フィルム製造装置は、Roll to Roll延伸を行うフィルム製造装置である。
図2に示すように、原料樹脂(ポリマー組成物)11は、押出機12(原料形状や、製
造規模によって、二軸押出機を用いたり、単軸押出し機を用いたりする)内部で熱溶融、
混練された後、Tダイ13から柔らかい板状(フィルム又はシート状)に吐出される。
次に、吐出されたフィルム又はシートFは、キャスティングドラム14で冷却固化され
て、製膜される。製膜されたフィルム又はシートFは、縦延伸機15に送られる。
そして、製膜されたフィルム又はシートFは、縦延伸機15内で再び加熱され、速度の
異なるロール15a間で、縦に延伸される。この縦延伸により、フィルム又はシートFの
内部に延伸方向に沿って空洞が形成される。そして、空洞が形成されたフィルム又はシー
トFは、横延伸機16の左右のクリップ16aで両端を把持されて、巻取機側(図示せず
)へ送られながら横に延伸されて、空洞含有樹脂フィルム1となる。なお、前記工程において、縦延伸のみを行ったフィルム又はシートFを横延伸機16に供さず、空洞含有樹脂フィルム1として使用してもよい。
また、適宜、必要に応じて、熱緩和処理などを付してもよい。
前記空洞含有樹脂フィルムは、ポリマー成形体からなる。
前記ポリマー成形体は、単一の結晶性ポリマーを含むポリマー組成物からなり、必要に
応じてその他の成分を含んでなる。
−ポリマー組成物−
前記ポリマー組成物は、単一の結晶性ポリマーを含み、必要に応じて、空洞の発現に寄
与しないその他の成分を含んでなる。前記ポリマー組成物は、結晶性ポリマーのみからな
ることが特に好ましい。
−−結晶性ポリマー−−
一般に、ポリマーは、結晶性を有するポリマー(結晶性ポリマー)と非晶性(アモルフ
ァス)ポリマーとに分けられるが、結晶性を有するポリマーといえども100%結晶とい
うことはなく、分子構造の中に長い鎖状の分子が規則的に並んだ結晶性領域と、規則的に
並んでいない非結晶(アモルファス)領域とを含んでいる。
したがって、本発明のポリマー成形体における前記結晶性ポリマーとしては、分子構造
の中に少なくとも前記結晶性領域を含んでいればよく、結晶性領域と非結晶領域とが混在
していてもよい。
前記結晶性ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ
、例えば、高密度ポリエチレン、ポリオレフィン類(例えば、ポリプロピレン、ポリエチ
レン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン
−シクロオレフィン共重合体、ポリブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1など)、ポ
リアミド類(PA)(例えば、ナイロン−6など)、ポリエステル類(例えば、PET、PEN、PTT、PBT、PPT、PHT、PBN、PES、PBSなど)、シンジオタクチック・ポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンサルファイド類(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン類(PEEK)、液晶ポリマー類(LCP)、フッ素樹脂、などが挙げられる。その中でも、力学強度や製造の観点から、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアミド類、シンジオタクチック・ポリスチレン(SPS)、液晶ポリマー類(LCP)が好ましく、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアミド類がより好ましい。
前記結晶性ポリマーの溶融粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択する
ことができるが、50Pa・s〜700Pa・sが好ましく、70Pa・s〜500Pa
・sがより好ましく、80Pa・s〜300Pa・sが特に好ましい。前記溶融粘度が5
0Pa・s〜700Pa・sであると、溶融製膜時にダイヘッドから吐出される溶融膜の
形状が安定し、均一に製膜しやすくなる点で好ましい。また、前記溶融粘度が50Pa・
s〜700Pa・sであると、溶融製膜時の粘度が適切になって押出ししやすくなったり
、製膜時の溶融膜がレベリングされて凹凸を低減できたりする点で好ましい。
ここで、前記溶融粘度は、プレートタイプのレオメーターやキャピラリーレオメーター
により測定することができる。
前記結晶性ポリマーのMFR(メルトフローレート)としては、特に制限はなく、目的
に応じて適宜選択することができるが、0.1(g/10min)〜100(g/10m
in)が好ましく、0.5(g/10min)〜60(g/10min)がより好ましく
、1(g/10min)〜35(g/10min)が特に好ましい。前記MFRが1(g
/10min)〜35(g/10min)であると、製膜されたフィルムの強度が高くな
り、効率よく延伸することができる点で好ましい。
ここで、前記MFRは、例えば、セミオートメルトインデックサ 2A(東洋精機(株
)製)により測定することができる。
前記結晶性ポリマーの融点(Tm)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択
することができるが、100℃〜320℃が好ましく、100℃〜300℃がより好まし
く、100℃〜260℃が特に好ましい。前記融点が40℃〜350℃であると、通常の
使用で予想される温度範囲で形を保ちやすくなる点で好ましく、高温での加工に必要とさ
れる特殊な技術を特に用いなくても、均一な製膜ができる点で好ましい。
ここで、前記融点は、示差熱分析装置(DSC)により測定することができる。
−−−ポリエステル樹脂−−−
前記ポリエステル類(以下、「ポリエステル樹脂」と称することがある。)は、エステ
ル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子化合物の総称を意味する。したがって、前記結
晶性ポリマーとして好適な前記ポリエステル樹脂としては、前記例示したPET(ポリエ
チレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PTT(ポリトリメチ
レンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPT(ポリペンタメ
チレンテレフタレート)、PHT(ポリヘキサメチレンテレフタレート)、PBN(ポリ
ブチレンナフタレート)、PES(ポリエチレンサクシネート)、PBS(ポリブチレン
サクシネート)だけでなく、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合反応によって得
られる高分子化合物が全て含まれる。
前記ジカルボン酸成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することがで
き、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、オキシカ
ルボン酸、多官能酸などが挙げられ、中でも、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
前記芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニル
ジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェノキ
シエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などが挙げられ、テレフタル
酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸が好ましく、テレ
フタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸がより好ましい。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、エイコ酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、フマル酸が挙げられる。前記脂環族ジカルボン酸としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。前記オキシカルボン酸としては、例えば、p−オキシ安息香酸などが挙げられる。前記多官能酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。前記脂肪族ジカルボン酸及び脂環族ジカルボン酸の中では、コハク酸、アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸が好ましく、コハク酸、アジピン酸がより好ましい。
前記ジオール成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ジオール、脂環族ジオール、芳香族ジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコールなどが挙げられ、中でも、脂肪族ジオールが好ましい。
前記脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコールなどが挙げられ、中でも、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオールが好ましい。前記脂環族ジオールとしては、例えば、シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。前記芳香族ジオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどが挙げられる。
前記ポリエステル樹脂の溶融粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択す
ることができるが、50Pa・s〜700Pa・sが好ましく、70Pa・s〜500P
a・sがより好ましく、80Pa・s〜300Pa・sが特に好ましい。前記溶融粘度が
大きいほうが延伸時に空洞(ボイド)を発現しやすいが、前記溶融粘度が50Pa・s〜700Pa・sであると、製膜時に押出しがしやすくなったり、樹脂の流れが安定して滞留が発生しづらくなり、品質が安定したりする点で好ましい。また、前記溶融粘度が50Pa・s〜700Pa・sであると、延伸時に延伸張力が適切に保たれるために、均一に延伸しやすくなり、破断しづらくなる点で好ましい。また、前記溶融粘度が50Pa・s〜700Pa・sであると、製膜時にダイヘッドから吐出される溶融膜の形態が維持しやすくなって、安定的に成形できたり、製品が破損しにくくなったりするなど、物性が高まる点で好ましい。
前記ポリエステル樹脂の極限粘度(IV)としては、特に制限はなく、目的に応じて適
宜選択することができるが、0.4〜1.2が好ましく、0.6〜1.0がより好ましく
、0.7〜0.9が特に好ましい。前記IVが大きいほうが延伸時に空洞(ボイド)を発現しやすいが、前記IVが0.4〜1.2であると、製膜時に押出しがしやすくなったり、樹脂の流れが安定して滞留が発生しづらくなり、品質が安定したりする点で好ましい。さらに、前記IVが0.4〜1.2であると、延伸時に延伸張力が適切に保たれるために、均一に延伸しやすくなり、装置に負荷がかかりにくい点で好ましい。加えて、前記IVが0.4〜1.2であると、製品が破損しにくくなって、物性が高まる点で好ましい。
ここで、前記IVは、ウベローデ型粘度計により測定することができる。
前記ポリエステル樹脂の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択するこ
とができるが、耐熱性や製膜性などの観点から、150℃〜300℃が好ましく、160
℃〜270℃がより好ましい。
−−−ポリオレフィン樹脂−−−
前記ポリオレフィン類(以下、「ポリオレフィン樹脂」と称することがある。)は、エ
チレンを基本とするαオレフィンを重合して得られるポリマーを意味する。前記結晶性ポ
リマーとして好適な前記ポリオレフィン樹脂としては、前記したように、例えば、ポリプ
ロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール
共重合体、エチレン−シクロオレフィン共重合体、ポリブテン−1、ポリ4−メチルペン
テン−1などが挙げられる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレンがより好ましく、ポ
リプロピレンが特に好ましい。
前記ポリオレフィン樹脂の溶融粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択
することができるが、50Pa・s〜700Pa・sが好ましく、70Pa・s〜500
Pa・sがより好ましく、80Pa・s〜300Pa・sが特に好ましい。前記溶融粘度
が大きいほうが延伸時に空洞(ボイド)を発現しやすいが、前記溶融粘度が50Pa・s〜700Pa・sであると、製膜時に押出しがしやすくなったり、樹脂の流れが安定して滞留が発生しづらくなり、品質が安定したりする点で好ましい。また、前記溶融粘度が50Pa・s〜700Pa・sであると、延伸時に延伸張力が適切に保たれるために、均一に延伸しやすくなり、破断しづらくなる点で好ましい。また、前記溶融粘度が50Pa・s〜700Pa・sであると、製膜時にダイヘッドから吐出される溶融膜の形態が維持しやすくなって、安定的に成形できたり、製品が破損しにくくなったりするなど、物性が高まる点で好ましい。
前記ポリオレフィン樹脂のMFR(メルトフローレート)としては、特に制限はなく、
目的に応じて適宜選択することができるが、0.1(g/10min)〜100(g/1
0min)が好ましく、0.5(g/10min)〜50(g/10min)がより好ま
しく、1(g/10min)〜35(g/10min)が特に好ましい。前記MFRが大
きいほうが延伸時に空洞(ボイド)を発現しやすいが、前記MFRが、0.1(g/10min)〜100(g/10min)であると、製膜時に押出しがしやすくなったり、樹脂の流れが安定して滞留が発生しづらくなり、品質が安定したりする点で好ましい。さらに、前記MFRが、0.5(g/10min)〜50(g/10min)であると、延伸時に延伸張力が適切に保たれるために、均一に延伸しやすくなり、装置に負荷がかかりにくい点で好ましい。加えて、前記MFRが、1(g/10min)〜35(g/10min)であると、製品が破損しにくくなって、物性が高まる点で好ましい。
前記ポリオレフィン樹脂の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択する
ことができるが、耐熱性や製膜性などの観点から、150℃〜300℃が好ましく、16
0℃〜270℃がより好ましい。
−−−ポリアミド樹脂−−−
前記ポリアミド類(以下、「ポリアミド樹脂」と称することがある。)は、アミド結合
によって多数のモノマーが結合して得られるポリマーを意味する。前記結晶性ポリマーと
して好適な前記ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン、アラミド樹脂、などが挙げ
られる。中でも、ナイロンが好ましい。
前記ポリアミド樹脂の溶融粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択する
ことができるが、50Pa・s〜700Pa・sが好ましく、70Pa・s〜500Pa
・sがより好ましく、80Pa・s〜300Pa・sが特に好ましい。前記溶融粘度が大
きいほうが延伸時に空洞(ボイド)を発現しやすいが、前記溶融粘度が50Pa・s〜700Pa・sであると、製膜時に押出しがしやすくなったり、樹脂の流れが安定して滞留が発生しづらくなり、品質が安定したりする点で好ましい。また、前記溶融粘度が50Pa・s〜700Pa・sであると、延伸時に延伸張力が適切に保たれるために、均一に延伸しやすくなり、破断しづらくなる点で好ましい。また、前記溶融粘度が50Pa・s〜700Pa・sであると、製膜時にダイヘッドから吐出される溶融膜の形態が維持しやすくなって、安定的に成形できたり、製品が破損しにくくなったりするなど、物性が高まる点で好ましい。
前記ポリアミド樹脂のMFR(メルトフローレート)としては、特に制限はなく、目的
に応じて適宜選択することができるが、0.1(g/10min)〜100(g/10m
in)が好ましく、0.5(g/10min)〜60(g/10min)がより好ましく
、1(g/10min)〜20(g/10min)が特に好ましい。前記MFRが大きい
ほうが延伸時に空洞(ボイド)を発現しやすいが、前記MFRが、0.1(g/10min)〜100(g/10min)であると、製膜時に押出しがしやすくなったり、樹脂の流れが安定して滞留が発生しづらくなり、品質が安定したりする点で好ましい。さらに、前記MFRが、0.5(g/10min)〜60(g/10min)であると、延伸時に延伸張力が適切に保たれるために、均一に延伸しやすくなり、装置に負荷がかかりにくい点で好ましい。加えて、前記MFRが、1(g/10min)〜20(g/10min)であると、製品が破損しにくくなって、物性が高まる点で好ましい。
前記アミド樹脂の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することがで
きるが、耐熱性や製膜性などの観点から、150℃〜300℃が好ましく、160℃〜2
70℃がより好ましい。
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、空洞の発現に寄与しない成分であれば、特に制限はなく、
目的に応じて適宜選択することができる。
前記空洞の発現に寄与しない成分としては、耐熱安定剤、酸化防止剤、有機の易滑剤、
核剤、染料、顔料、分散剤、カップリング剤及び蛍光増白剤などが挙げられる。前記その
他の成分が空洞の発現に寄与したかどうかは、空洞内又は空洞の界面部分に、結晶性ポリ
マー以外の成分(例えば、後記する各成分など)が検出されるかどうかで判別できる。
前記酸化防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例
えば、公知のヒンダードフェノール類などが挙げられる。前記ヒンダードフェノール類と
しては、例えば、イルガノックス1010、同スミライザーBHT、同スミライザーGA
−80などの商品名で市販されている酸化防止剤が挙げられる。
また、前記酸化防止剤を一次酸化防止剤として利用し、更に二次酸化防止剤を組み合わ
せて適用することもできる。前記二次酸化防止剤としては、例えば、スミライザーTPL
−R、同スミライザーTPM、同スミライザーTP−Dなどの商品名で市販されている酸
化防止剤が挙げられる。
前記蛍光増白剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例
えばユビテック、OB−1、TBO、ケイコール、カヤライト、リューコプア、EGMな
どの商品名で市販されているものを用いることができる。なお、前記蛍光増白剤は、1種
単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。このように蛍光増白剤を添加する
ことで、より鮮明で青味のある白色性を与え、高級感を持たせることができる。
図3Aは、空洞含有樹脂フィルムの斜視図であり、図3Bは、図3Aにおける空洞含有樹脂フィルムのA−A’断面図であり、図3Cは、図3Aにおける空洞含有樹脂フィルムのB−B’断面図である。
また、前記空洞含有樹脂フィルムにおける、膜厚方向の空洞の平均の個数Pとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、5個以上が好ましく、10個以上がより好ましく、15個以上が特に好ましい。
ここで、前記膜厚方向の空洞の個数は、光学顕微鏡や電子顕微鏡の画像により測定する
ことができる。
このように、前記空洞含有樹脂フィルムは、前記空洞を含有していることにより、例えば、反射率や光沢性、熱伝導率などにおいて、様々な優れた特性を有している。言い換えると、前記空洞含有樹脂フィルムに含有される空洞の態様を変化させることで、反射率や光沢性、熱伝導率などの特性を調節することができる。
−反射率−
前記空洞含有樹脂フィルムの反射率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、550nmの波長の光において、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上が特に好ましい。
前記反射率が80%未満であると、太陽光などの熱線の遮熱効果が充分でなく、また金属様光沢が低く意匠性に劣ることがある。一方、前記反射率が前記特に好ましい範囲内であると、太陽光などの熱線の遮熱効果が高く、意匠性に優れている点で有利である。
なお、前記550nmの波長の光における反射率は分光光度計(商品名:V570 、日本分光(株)製)を用い、積分球を使って測定した値である。
−光沢度−
前記空洞含有樹脂フィルムの光沢度としては、60以上が好ましく、70以上がより好ましく、80以上が特に好ましい。
ここで、前記光沢度は、携帯光沢計HG−246(スガ試験機(株)製)により測定することができる。
−光線透過率−
前記空洞含有樹脂フィルムの光線透過率としては、550nmの波長の光において、15%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下が特に好ましい。
ここで、前記光線透過率は、分光光度計U−4100(日立製作所製)により測定することができる。
−熱伝導率−
前記空洞含有樹脂フィルムの熱伝導率としては、0.1(W/mK)以下が好ましく、0.09(W/mK)以下がより好ましく、0.08(W/mK)以下が特に好ましい。
また、前記空洞含有樹脂フィルムの好適な熱伝導率は、相対的な値として規定することもできる。即ち、前記空洞含有樹脂フィルムの熱伝導率をX(W/mK)として、前記空洞含有樹脂フィルムと同じ厚さで、前記空洞含有樹脂フィルムを構成するポリマー組成物と同一のポリマー組成物からなり、空洞を含有しないポリマー成形体の熱伝導率をY(W/mK)とした際のX/Y比が、0.27以下が好ましく、0.2以下がより好ましく、0.15以下が特に好ましい。
ここで、前記熱伝導率は、熱拡散率、比熱、密度の測定値の積によって算出することが
できる。前記熱拡散率は一般的にはレーザーフラッシュ法(例えば、TC−7000((
株)真空理工製))により測定できる。前記比熱はDSCによりJIS K7123に記
載の方法に従って測定できる。前記密度は一定面積の質量とその厚みを測定することによ
り、算出することができる。
−表面平滑性−
前記空洞含有樹脂フィルムの表面平滑性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、Ra=0.3μm以下が好ましく、Ra=0.25μm以下がより好ましく、Ra=0.1μm以下が特に好ましい。
<<<空洞>>>
前記空洞とは、樹脂成形体内部に存在する、真空状態のドメインもしくは気相のドメイ
ンを意味する。
前記空洞含有樹脂フィルムの空洞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、実質的に無核であっても、有核であってもよいが、最終的に作製される成形体の外観(シワ、剥がれ、割れ、など)の点で、実質的に無核であることが好ましい。
ここで、空洞が実質的に無核であるとは、空洞含有樹脂フィルムの断面を走査型電子顕微鏡を用いて600倍〜10,000倍に拡大して観察、撮影した断面画像を用いて、1,000μm当りの全空洞(ボイド)数と核を有する空洞(ボイド)数を数え、(核を有する空洞(ボイド)数)/(全空洞(ボイド)数)=5%未満である場合を示す。
また、空洞が実質的に有核である空洞含有樹脂フィルムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、クリスパー(東洋紡績株式会社製)、ピカサス(東レ株式会社製)、ルミラー(東レ株式会社製)、などが挙げられる。
上記製造方法により作製された空洞含有樹脂フィルムは、長尺状の空洞をその長さ方向が一方向に配向した状態で内部に含有する。
<<射出成形される樹脂>>
前記射出成形される樹脂としては、前記空洞含有樹脂フィルムのSP値と、前記樹脂のSP値との差の絶対値が、6.0未満であることを満たす樹脂である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエステル類(例えば、PET、PBTなど)、ポリプロピレン(PP)、などが挙げられる。
前記空洞含有樹脂フィルムのSP値と、前記樹脂のSP値との差の絶対値が、6.0以上であると、成形体から空洞含有樹脂フィルムが容易に剥離してしまう。
なお、前記空洞含有樹脂フィルム及び前記樹脂のSP値は、hoyの推算方法を用いて分子構造から計算した値である。
(成形体)
本発明の成形体としては、本発明の成形体の製造方法により製造された成形体であって、空洞含有樹脂フィルムと射出成形された樹脂とが一体形成された成形体である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、飲料容器、食品容器、商用ディスプレー、玩具などのデザイン性を高く要求される3次元成形部品、などが挙げられる。
前記一体形成とは、既存の複数の材料(部材)をネジやピンなどを使って組み立てるものではなく、流動性のある材料を型に流し込んで複数の材料(部材)を接着させることにより成形体を形成するものである。
空洞含有樹脂フィルムは光の反射、遮熱に優れ、該フィルム内部での光の反射、干渉により金属様光沢が発現するので、射出成形された樹脂樹脂成形と一体化することにより、樹脂成形体としての反射率が向上し、金属様光沢を持つ射出成形体を提供することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<空洞含有樹脂フィルムの作製>
PBT(ポリブチレンテレフタレート100%樹脂)を溶融押出機を用いて275℃でTダイから押出し、キャスティングドラムで固化させて、厚さ約800μmのポリマーフィルムを得た。このポリマーフィルムを1軸延伸(縦延伸)した。
具体的には、40℃の加温雰囲気下で、300mm/min(5mm/sec)の速度で1軸延伸し、ネッキングが発生したことを確認した後、2,400mm/min(40mm/sec)の速度で、前記1軸延伸と同一方向にさらに延伸し、140μm厚の空洞含有樹脂フィルム1を得た。
<空洞含有樹脂フィルムのSP値(溶解性パラメータ)の測定>
空洞含有樹脂フィルムのSP値(溶解性パラメータ)を、hoyの推算方法により計算した。結果を表1に示す。
<空洞含有樹脂フィルムの平均厚みの測定>
空洞含有樹脂フィルム1の平均厚みを、接触式変位計(商品名:AF030およびAF350、キーエンス社製)を用いて20点測定し、その測定値の平均を平均厚みとした。結果を表1に示す。
<空洞含有樹脂フィルムの反射率の測定>
空洞含有樹脂フィルム1の550nmの波長の光における反射率(%)を、分光光度計(商品名:V−570、日本分光製)を用い、積分球を使って測定した。結果を表1に示す。
<空洞含有樹脂フィルムの結晶融解熱の測定>
空洞含有樹脂フィルム1の結晶融解熱Qm(cal/g)を、示差熱走査熱量計(商品名:DSC220、セイコーインスツルメンツ社製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
<空洞含有樹脂フィルムの充填率の測定>
空洞含有樹脂フィルム1の充填率Vf((100−(空洞含有樹脂フィルムの空洞率(%)))/100)を、密度勾配間法比重測定装置(商品名: Density Measuring System、柴山科学機器製作所社製)を用いてJIS K−7112−1980に基づき測定した比重を用いて算出した。結果を表1に示す。
<空洞含有樹脂フィルムの融点の測定>
空洞含有樹脂フィルムの融点の測定は、示差熱走査熱量計(商品名:DSC220、セイコーインスツルメンツ社製)を用いて測定した。精秤したサンプルをアルミセルに入れ、クランパーでシールし、装置の測定室にセットした。測定室を窒素置換したのち、5℃毎分の速度で室温から350℃まで昇温を行って測定した。
<成形体の作製>
射出成形機(商品名:FANUC ROBOSHOT α50C(改造型)、FANUC社製)の金型内に、予め作製した空洞含有樹脂フィルム1を、表面1a(フィルム作製時にキャスティングドラムと接していない側の面)に溶融樹脂が射出されるように配置し、比熱が0.31(cal/(g℃))、SP値が20.47のPBT(ポリブチレンテレフタレート100%樹脂)を加熱して溶融し、260℃の溶融PBTを射出成形機の金型内に175MPaの射出圧力で射出して、図4A〜図4Cに示す形状の成形体を射出成形した。
なお、前記樹脂のSP値は、hoyの推算方法を用いて、分子構造より算出し、前記樹脂の比熱は、示差熱走査熱量計(商品名:DSC220、セイコーインスツルメンツ社製)を用いて測定した。また、前記成形体における樹脂部分の厚みを、デジタルノギス(商品名:CD−15CP、ミツトヨ製)を用いて10点測定し、その測定値の平均を平均厚みとした。結果を表2に示す。
また、図4A〜図4Cにおいて、Aは、0.24mであり、Bは、0.12mであり、Cは、0.16mであり、Dは、0.03mであり、Eは、0.06mであり、Gは、0.015mである。
また、成形体の凸部(もしくは凹部)の各コーナー部分には半径2.5mmのRを付した。成形体においては、凸部側に形成された空洞含有熱樹脂フィルムと、その反対側に形成された射出樹脂が一体形成されている。
<成形体の電磁波透過性の評価>
図5に示すように、2個の作製した成形体500を、向かい合わせに貼りつけた。内部の空洞には、携帯通信端末機器(商品名:CDMA W52K、京セラ(株)製)を入れて、外部の電話から10分おきに5回の呼び出しを行い、下記評価基準により、電磁波透過性を評価した。結果を表3に示す。
<<評価基準>>
〇:通常の呼び出しが可能で、携帯通信端末機器の発する呼び出し音が、外部から確認できるほか、携帯通信端末機器に、呼び出しがあった旨の通信履歴が残っている。
×:呼び出しを行う側の通信装置に『電波の届かないところにいるか、電源が切られている』旨のメッセージが返る。携帯通信末端機器が呼び出し音を発しないほか、呼び出しがあった旨の履歴も残らない。
<成形体の接着性の評価>
作製した成形体を図6Aのように短冊状に切り出し、図6B及び図6Cように金属製のブロック(上端をR=2.5cmの加工を付したもの)2枚で挟み込み、当該2枚の金属製ブロックを両側(両面)から治具(図示せず)で金属製ブロックがずれないように押えて固定する。その後、サンプルを図6Dに示すように、ボイドを内側に片側90度曲げた後、屈曲部分の切り出し端面を、50倍〜100倍の光学顕微鏡にて観察する。
下記評価基準により、成形体の接着性を評価した。結果を表3に示す。
<<評価基準>>
〇:屈曲部分端面に全く剥離が見られない。
△:屈曲部分端面に長さ1mm未満の剥離が観察される。
×:屈曲部分端面に長さ1mm以上の剥離が観察される。
<成形体の外観の評価>
表面照度950Lxから1,000Lxの白色のテーブル上に置かれた成形体の外観(シワ、剥がれ、割れ、などの有無)を、5人のテスターにより、目視にて観察した。
下記評価基準により、成形体の外観を評価した。結果を表3に示す。
<<評価基準>>
〇:シワ、剥がれ、割れ、色ムラの認められないもの。
△:長さ1mm未満のシワ、色ムラが認められるもの。
×:剥がれ、割れの認められるもの。長さ1mm以上のシワ、色ムラが認められるもの。
<成形体の光透過率の測定>
作製した成形体の光透過率(%)を、分光光度計(商品名:U−4100 、日立製作所製)を用いて測定した。成形体表面に垂直の方向から光を入射させ、成形体を透過する光の強度を、成形体を置かないブランクの値と比較した。波長は550nmを用いた。結果を表3に示す。
〇・・・光線透過率20%未満
×・・・光線透過率20%以上
(実施例2)
実施例1において、PBTを用いて空洞含有樹脂フィルムを作製し、PBTを射出成形して成形体を形成する代わりに、PP(ポリプロピレン100%樹脂)を用いて表1の実施例2に示す空洞含有樹脂フィルムを作製し、表2の実施例2に示す条件で、PP(ポリプロピレン100%樹脂)を射出成形して、表2の実施例2に示す成形体を形成した以外は、実施例1と同様に、空洞含有樹脂フィルムの作製、空洞含有樹脂フィルムのSP値(溶解性パラメータ)、平均厚み、反射率、結晶融解熱及び充填率の測定、成形体の作製、成形体の電磁波透過性、接着性及び外観の評価、成形体の光透過率の測定を行った。結果を表1〜表3に示す。
(実施例3)
実施例1において、PBTを用いて空洞含有樹脂フィルムを作製し、PBTを射出成形して成形体を形成する代わりに、PBTを用いて表1の実施例3に示す空洞含有樹脂フィルムを作製し、表2の実施例3に示す条件で、PET(ポリエチレンテレフタレート100%樹脂)を射出成形して、表2の実施例3に示す成形体を形成した以外は、実施例1と同様に、空洞含有樹脂フィルムの作製、空洞含有樹脂フィルムのSP値(溶解性パラメータ)、平均厚み、反射率、結晶融解熱及び充填率の測定、成形体の作製、成形体の電磁波透過性、接着性及び外観の評価、成形体の光透過率の測定を行った。結果を表1〜表3に示す。
(実施例4)
実施例1において、PBTを用いて空洞含有樹脂フィルムを作製し、PBTを射出成形して成形体を形成する代わりに、PBTを用いて表1の実施例4に示す空洞含有樹脂フィルムを作製し、表2の実施例4に示す条件で、PP(ポリプロピレン100%樹脂)を射出成形して、表2の実施例4に示す成形体を形成した以外は、実施例1と同様に、空洞含有樹脂フィルムの作製、空洞含有樹脂フィルムのSP値(溶解性パラメータ)、平均厚み、反射率、結晶融解熱及び充填率の測定、成形体の作製、成形体の電磁波透過性、接着性及び外観の評価、成形体の光透過率の測定を行った。結果を表1〜表3に示す。
(実施例5)
実施例1において、PBTを用いて空洞含有樹脂フィルムを作製し、PBTを射出成形して成形体を形成する代わりに、PET(ポリエチレンテレフタレート100%樹脂)を用いて表1の実施例5に示す空洞含有樹脂フィルムを作製し、表2の実施例5に示す条件で、PP(ポリプロピレン100%樹脂)を射出成形して、表2の実施例5に示す成形体を形成した以外は、実施例1と同様に、空洞含有樹脂フィルムの作製、空洞含有樹脂フィルムのSP値(溶解性パラメータ)、平均厚み、反射率、結晶融解熱及び充填率の測定、成形体の作製、成形体の電磁波透過性、接着性及び外観の評価、成形体の光透過率の測定を行った。結果を表1〜表3に示す。
(実施例6)
実施例1において、PBTを用いて空洞含有樹脂フィルムを作製し、PBTを射出成形して成形体を形成する代わりに、PBTを用いて表1の実施例6に示す空洞含有樹脂フィルムを作製し、表2の実施例6に示す条件で、PC(ポリカーボネート100%樹脂)を射出成形して、表2の実施例6に示す成形体を形成した以外は、実施例1と同様に、空洞含有樹脂フィルムの作製、空洞含有樹脂フィルムのSP値(溶解性パラメータ)、平均厚み、反射率、結晶融解熱及び充填率の測定、成形体の作製、成形体の電磁波透過性、接着性及び外観の評価、成形体の光透過率の測定を行った。結果を表1〜表3に示す。
(比較例1)
実施例1において、PBTを用いて空洞含有樹脂フィルムを作製し、PBTを射出成形して成形体を形成する代わりに、PBTを用いて表1の比較例1に示す空洞含有樹脂フィルムを作製し、表2の比較例1に示す条件で、PVDF(ポリビニリデンフルオライド100%樹脂)を射出成形して、表2の比較例1に示す成形体を形成した以外は、実施例1と同様に、空洞含有樹脂フィルムの作製、空洞含有樹脂フィルムのSP値(溶解性パラメータ)、平均厚み、反射率、結晶融解熱及び充填率の測定、成形体の作製、成形体の電磁波透過性、接着性及び外観の評価、成形体の光透過率の測定を行った。結果を表1〜表3に示す。
(比較例2)
実施例3において、PBTを用いて空洞含有樹脂フィルムを作製し、射出温度290℃でPETを射出成形して成形体を形成する代わりに、PBTを用いて表1の比較例2に示す空洞含有樹脂フィルムを作製し、表2の比較例2に示す条件(射出温度330℃)で、PETを射出成形して、表2の比較例2に示す成形体を形成した以外は、実施例3と同様に、空洞含有樹脂フィルムの作製、空洞含有樹脂フィルムのSP値(溶解性パラメータ)、平均厚み、反射率、結晶融解熱及び充填率の測定、成形体の作製、成形体の電磁波透過性、接着性及び外観の評価、成形体の光透過率の測定を行った。結果を表1〜表3に示す。
(比較例3)
実施例1において、PBTを用いて空洞含有樹脂フィルムを作製し、PBTを射出成形して成形体を形成する代わりに、空洞含有樹脂フィルムとしてルミラー(TV用E65V、東レ株式会社製)を用い、表2の比較例3に示す条件で、PBTを射出成形して、表2の比較例3に示す成形体を形成した以外は、実施例1と同様に、空洞含有樹脂フィルムの作製、空洞含有樹脂フィルムのSP値(溶解性パラメータ)、平均厚み、反射率、結晶融解熱及び充填率の測定、成形体の作製、成形体の電磁波透過性、接着性及び外観の評価、成形体の光透過率の測定を行った。結果を表1〜表3に示す。
(比較例4)
実施例1において、PBTを用いて空洞含有樹脂フィルムを作製し、PBTを射出成形して成形体を形成する代わりに、空洞含有樹脂フィルムとしてピカサス(東レ株式会社製)を用い、表2の比較例4に示す条件で、PET(ポリエチレンテレフタレート100%樹脂)を射出成形して、表2の比較例4に示す成形体を形成した以外は、実施例1と同様に、空洞含有樹脂フィルムの作製、空洞含有樹脂フィルムのSP値(溶解性パラメータ)、平均厚み、反射率、結晶融解熱及び充填率の測定、成形体の作製、成形体の電磁波透過性、接着性及び外観の評価、成形体の光透過率の測定を行った。結果を表1〜表3に示す。
本発明の成形体の製造方法は、例えば、印刷剥離のない、一体化した外観の成形体の製造などに好適に用いられ、特に、樹脂部材に意匠性を付与する方法として重要である。
本発明の成形体は、家電や自動車などの操作パネル、飲料容器、食品容器、商用ディスプレー、玩具などのデザイン性を高く要求される3次元成形部品、などに好適に用いられる。
1 空洞含有樹脂フィルム
1a 表面
11 原料
12 2軸押出機/単軸押出機
13 Tダイ
14 キャスティングドラム
15 縦延伸機
15a ロール
16 横延伸機
16a クリップ
50 樹脂ペレット
50a 溶融樹脂
100 空洞
101 ホッパー
102 加熱シリンダー(バレル)入口
103 スクリュー
104 加熱シリンダー
105 電気ヒータ
106 金型(可動側)
107 金型(固定側)
108 ノズル
109 逆止弁
110 流路
111 金型キャビティ
112 スクリュー駆動部
500 成形体
501 携帯通信端末機器
F フィルム又はシート
L 空洞の長さ
r 空洞の厚み

Claims (5)

  1. 成形金型内に配置された空洞含有樹脂フィルム上に、100℃〜320℃の溶融した樹脂を射出成形することを含み、前記空洞含有樹脂フィルムのSP値と前記樹脂のSP値との差の絶対値が、6.0未満である成形体の製造方法であって、
    前記空洞含有樹脂フィルムの平均厚みが25μm超200μm未満であり、
    前記成形体における樹脂部分の平均厚みが0.3mm超10mm未満であり、
    前記射出成形時における溶融した樹脂の射出圧力が200MPa未満であり、かつ、
    下記式(1)を満たすことを特徴とする成形体の製造方法。
    (数3)
    ×1/3×Qm×Vf>(Ti−50)×Ci×t×1/200 式(1)
    但し、前記式(1)中、
    は、前記空洞含有樹脂フィルムの平均厚み(mm)を示し、
    Qmは、前記空洞含有樹脂フィルムの結晶融解熱(cal/g)を示し、
    Vfは、前記空洞含有樹脂フィルムの充填率((100−(前記空洞含有樹脂フィルムの空洞率(%)))/100)を示し、
    Tiは、前記射出成形時における前記溶融した樹脂の温度(℃)を示し、
    Ciは、前記樹脂の比熱(cal/(g℃))を示し、
    は、前記成形体における樹脂部分の平均厚み(mm)を示す。
  2. 空洞含有樹脂フィルムは、550nmの波長の光における反射率が80%以上である請求項1記載の成形体の製造方法。
  3. 空洞含有樹脂フィルムの空洞が実質的に無核である請求項1から2のいずれかに記載の成形体の製造方法。
  4. 空洞含有樹脂フィルムの空洞が有核である請求項1から2のいずれかに記載の成形体の製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれかの成形体の製造方法により製造された成形体であって、空洞含有樹脂フィルムと射出成形された樹脂とが一体形成された成形体であることを特徴とする成形体。
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