JP5542579B2 - 延伸フィルムの製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
前記ネッキング延伸においては、通常、前記ネッキングの位置を制御することができず、前記ネッキングの位置が、前記フィルムがロールに接する部位に移動する結果、前記フィルムが切れてしまい、安定して延伸フィルムが製造できない。そのため、前記ネッキングの位置を制御できることが望まれている。
また、前記ネッキングの安定性が制御できないと、強度の弱い部分や不均一な部分から延伸開始点が複数点現れ、延伸ムラの少ない延伸フィルムが製造できない。そのため、前記ネッキングの安定性を制御できることが望まれている。
また、前記ネッキング延伸の際には、前記ネッキングによる幅の変化(ネックイン)が起こる(例えば、非特許文献1)が、該ネックインが大きいと得られる延伸フィルムの生産性に影響するため、前記ネッキングのネックイン比(NR)を小さくできることが望まれている。
しかしながら、この提案では、前記ネッキングを生ずるフィルムの温度について検討されていないため、前記ネッキングの位置を制御できず、前記ネッキングの位置が移動する結果、前記フィルムが切れてしまうという問題があった。また、前記ネッキングの安定性を十分には制御できず、延伸ムラの少ない延伸フィルムが得られにくいという問題があった。更に、前記ネッキングの範囲が比較的広いため、ネックイン比を小さくすることが困難であるという問題があった。
しかしながら、この提案では、前記ネッキングを生ずるフィルムの温度について検討されていないため、前記ネッキングの位置を制御できず、前記ネッキングの位置が移動する結果、前記フィルムが切れてしまうという問題があった。また、前記ネッキングの安定性を十分には制御できず、延伸ムラの少ない延伸フィルムが得られにくいという問題があった。
<1> フィルムに対し張力を付与し、張力が付与された該フィルムの一部を、フィルムの幅が変化しない温度からネッキングが生ずる温度に昇温させることにより、前記フィルムをネッキング延伸すること特徴とする延伸フィルムの製造方法である。
<2> フィルムに対し張力を付与し、張力が付与された該フィルムの一部を、冷却手段によりフィルムの幅が変化しない温度にした後、加熱手段によりネッキングが生ずる温度に昇温させることにより、前記フィルムをネッキング延伸する前記<1>に記載の延伸フィルムの製造方法である。
<3> 冷却手段が冷却可能な部材であり、加熱手段が加熱可能な部材であり、
フィルムが前記冷却手段及び前記加熱手段に接触した状態で、張力が付与される前記<2>に記載の延伸フィルムの製造方法である。
<4> 冷却手段による冷却温度が、フィルムのガラス転移点よりも5℃以上低い温度である前記<2>から<3>のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法である。
<5> フィルムが、X線回折における結晶性ピークの半値幅が2θとして9°未満である前記<1>から<4>のいずれか記載の延伸フィルムの製造方法である。
<6> フィルムの平均厚みが、1.5μm〜200μmである前記<1>から<5>のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法である。
<7> 得られる延伸フィルムが、内部に空洞を延伸方向に配向した状態で有してなり、該空洞の平均長さをL(μm)とし、前記空洞の配向方向と直交方向における該空洞の平均径をr(μm)とした際のL/r比が、10以上である前記<1>から<6>のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法である。
<8> 得られる延伸フィルムが、結晶性ポリマーのみからなる前記<1>から<7>のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法である。
<9> 得られる延伸フィルムの反射率が、50%以上である前記<1>から<8>のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法である。
<10> ネッキングが生ずる温度に昇温させたフィルムにネッキングを生じさせ、前記フィルムをネッキング延伸するとともに、該ネッキングの位置を、フィルムの幅が変化しない温度に維持されたフィルム近傍に移動させ、固定させる前記<1>から<9>のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法である。
<11> 加熱手段によりネッキングが生ずる温度に昇温させたフィルムにネッキングを生じさせ、前記フィルムをネッキング延伸するとともに、該ネッキングの位置を、冷却手段によりフィルムの幅が変化しない温度に維持されたフィルム近傍に移動させ、固定させる前記<1>から<10>のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法である。
<12> フィルムに対し張力を付与する張力付与手段と、
前記張力付与手段により張力が付与された前記フィルムの一部を、フィルムの幅が変化しない温度からネッキングが生ずる温度に昇温させるネッキング発生手段とを有すること特徴とする延伸フィルムの製造装置である。
<13> ネッキング発生手段が、張力が付与されたフィルムの一部を、フィルムの幅が変化しない温度に冷却する冷却手段と、ネッキングが生ずる温度に昇温させる加熱手段とを有する前記<12>に記載の延伸フィルムの製造装置である。
<14> 冷却手段が冷却可能な部材であり、加熱手段が加熱可能な部材である前記<13>に記載の延伸フィルムの製造装置である。
本発明の延伸フィルムの製造方法は、延伸工程を少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記延伸工程は、フィルムを延伸する工程であり、張力付与処理と、ネッキング発生処理とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の処理を含む。
本発明の延伸フィルムの製造装置は、延伸機を少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の機器を有する。
前記延伸機は、張力付与手段と、ネッキング発生手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
なお、本発明の延伸フィルムの製造方法において、前記延伸工程は、前記延伸機により行うことができる。また、前記張力付与処理は、前記張力付与手段により行うことができる。また、前記ネッキング発生処理は、前記ネッキング発生手段により行うことができる。
前記フィルムの材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。
前記フィルムは、耐熱安定剤、酸化防止剤、有機の易滑剤、核剤、染料、顔料、分散剤、カップリング剤などを含有していてもよい。また、延伸後に、延伸フィルム内に空洞を作製させるための、無機微粒子、相溶しない樹脂などの空洞形成剤を含有していてもよい。
前記熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶性ポリマー、非晶性ポリマーが挙げられる。これらの中でも、結晶性ポリマーが、無機微粒子、相溶しない樹脂などの空洞形成剤を使用せずに空洞を有する延伸フィルムが得られる点で好ましい。
一般に、ポリマーは、結晶性ポリマーと非晶性(アモルファス)ポリマーとに分けられるが、結晶性ポリマーといえども100%結晶ということはなく、分子構造の中に長い鎖状の分子が規則的に並んだ結晶性領域と、規則的に並んでいない非結晶(アモルファス)領域とを含んでいる。
したがって、前記結晶性ポリマーとしては、分子構造の中に少なくとも前記結晶性領域を含んでいればよく、結晶性領域と非結晶領域とが混在していてもよい。
ここで、前記溶融粘度は、プレートタイプのレオメーターやキャピラリーレオメーターにより測定することができる。
ここで、前記IVは、ウベローデ型粘度計により測定することができる。
ここで、前記融点は、示差熱分析装置(DSC)により測定することができる。
前記ポリエステル類(以下、「ポリエステル樹脂」と称する。)は、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子化合物の総称を意味する。したがって、前記結晶性ポリマーとして好適な前記ポリエステル樹脂としては、前記例示したPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPT(ポリペンタメチレンテレフタレート)、PHT(ポリヘキサメチレンテレフタレート)、PBN(ポリブチレンナフタレート)、PES(ポリエチレンサクシネート)、PBS(ポリブチレンサクシネート)だけでなく、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合反応によって得られるポリマーが全て含まれる。
前記脂環族ジオールとしては、例えば、シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
前記芳香族ジオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどが挙げられる。
前記張力付与処理は、前記張力付与手段により行うことができる。
前記張力付与手段としては、前記フィルムに対し張力を付与する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低速ロールと高速ロールとを有する張力付与手段、前記フィルムの両端をそれぞれ把持する把持部材を用いた張力付与手段などが挙げられる。これらの中でも、低速ロールと高速ロールとを有する張力付与手段が、前記フィルムに対し連続的に張力を付与できる点で好ましい。
前記低速ロールに接する位置における前記フィルムの搬送速度としては、前記高速ロールに接する位置における前記フィルムの搬送速度より低速であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜500,000mm/分が好ましく、10〜100,000mm/分がより好ましく、40〜50,000mm/分が特に好ましい。前記搬送速度が、1mm/分未満であると、機械的制御が困難になることがあり、500,000mm/分を超えると、製造負荷が大きくなることがある。前記搬送速度が、前記特に好ましい範囲であると、安定してネッキング延伸を行うことができる点で有利である。
前記高速ロールに接する位置における前記フィルムの搬送速度としては、前記低速ロールに接する位置における前記フィルムの搬送速度より高速であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜1,000,000mm/分が好ましく、100〜500,000mm/分がより好ましく、400〜200,000mm/分が特に好ましい。前記搬送速度が、10mm/分未満であると、機械的制御が困難になることがあり、1,000,000mm/分を超えると、製造負荷が大きくなることがある。前記搬送速度が、前記特に好ましい範囲であると、安定してネッキング延伸を行うことができる点で有利である。
前記低速ロール、前記高速ロール、及び前記ニップロールの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円柱状が挙げられる。
前記低速ロール、前記高速ロール、及び前記ニップロールの材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、シリコンゴムなどが挙げられる。
5MPa〜40MPaが好ましく、10MPa〜30MPaがより好ましく、10MPa〜20MPaが特に好ましい。前記張力が、5MPa未満であると、延伸ムラが発生しやすいことがあり、40MPaを超えると、フィルムが切れやすくなることがある。前記張力が、前記特に好ましい範囲であると、高速度でも安定して延伸ができる点で有利である。
ここで、前記張力は、フィルム(延伸前のフィルム)に対する張力を示す。
前記ネッキング発生処理は、前記ネッキング発生手段により行うことができる。
前記ネッキング発生手段としては、張力が付与された前記フィルムの一部を、フィルムの幅が変化しない温度からネッキングが生ずる温度に昇温させる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記フィルムの幅が変化しない温度とは、前記張力が付与された状態においてフィルムの幅が変化しない温度であり、例えば、フィルムのガラス転移点(Tg)よりも5℃以上低い温度である。
前記フィルムの幅とは、前記フィルムにおける前記張力が付与される方向の直交方向の長さを指す。前記変化とは、通常、短くなることを指す。
ここで、前記ガラス転移点(Tg)は、示差熱分析装置(DSC)により測定することができる。
前記フィルムの幅が変化しない温度にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、冷却手段によりフィルムの幅が変化しない温度にする方法が挙げられる。
前記冷却手段により前記フィルムの幅が変化しない温度に冷却することにより、ネッキングの位置を、フィルムの幅が変化しない温度に維持されたフィルム近傍に移動させ、固定させることができる。
前記冷却手段としては、張力が付与された前記フィルムをフィルムの幅が変化しない温度に冷却できる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、冷却可能な部材、冷風発生装置、前記延伸フィルムの製造装置を設置した部屋自体を冷却温度に設定することなどが挙げられる。これらの中でも冷却可能な部材が好ましい。
前記冷媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、冷却された気体、液体などが挙げられる。前記冷却された気体としては、例えば、冷却された空気が挙げられる。前記冷却された液体としては、例えば、冷却された水や不凍液などが挙げられる。
また、前記冷却可能な部材の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、略円弧状の凸面を有する冷却可能な部材が、前記フィルムが接触しやすく前記フィルムの温度を制御し易い点で好ましい。
前記冷風発生装置は、防塵フィルターを有していることが好ましい。防塵フィルターを設けることにより、冷風に含まれる塵、埃などを取り除くことができ、塵、埃などの付着がない、きれいな延伸フィルムを製造することができる。
前記ネッキングが生ずる温度とは、前記張力が付与された状態において前記フィルムにネッキングが生ずる温度であり、例えば、フィルムのガラス転移点(Tg)より5℃低い温度以上の温度である。
前記ネッキングが生ずる温度にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱手段によりネッキングが生ずる温度にする方法が挙げられる。
前記加熱手段としては、張力が付与された前記フィルムをネッキングが生ずる温度に加熱できる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱可能な部材、加熱部、レーザーなどが挙げられる。これらの中でも、前記加熱可能な部材が好ましい。
前記熱媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱された気体、液体などが挙げられる。前記加熱された気体としては、例えば、加熱された空気が挙げられる。前記加熱された液体としては、例えば、加熱された水や熱媒油などが挙げられる。
また、前記加熱可能な部材の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、略円弧状の凸面を有する加熱可能な部材が、前記フィルムが接触しやすく前記フィルムの温度を制御し易い点で好ましい。
前記ネッキング発生処理における、前記フィルムの幅が変化しない温度(A)と前記ネッキングが生ずる温度(B)との温度差(B−A)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1℃〜100℃が好ましく、5℃〜80℃がより好ましく、10℃〜50℃が特に好ましい。前記温度差が、1℃未満であると、ネッキングが生じにくくなることがあり、100℃を超えると、フィルムが切れやすくなることがある。前記温度差が、前記特に好ましい範囲であると、フィルムが切れず安定して製造が可能な点で有利である。
また、前記フィルムの材質が、ポリエステル樹脂である場合には、前記温度差としては、5℃〜80℃が好ましく、8℃〜50℃がより好ましく、10℃〜20℃が特に好ましい。前記温度差が、80℃を超えると、ネッキングが生じないことがある。前記温度差が、前記特に好ましい範囲であると、フィルムが切れず安定して製造が可能な点で有利である。
ネッキングの位置を、フィルムの幅が変化しない温度に維持された前記フィルム近傍に移動させ、固定させる方法としては、例えば、前記フィルムの搬送方向の下流側でネッキングを生じさせた後、ネッキングの位置を、次第に、ネッキングを生じた位置よりも前記フィルムの搬送方向の上流側であって、フィルムの幅が変化しない温度に維持された前記フィルム近傍にまで移動させて、その位置にネッキングの位置を固定させる方法が挙げられる。
図4の延伸フィルムの製造装置は、低速ロール3、高速ロール4、冷却可能な部材(冷却手段)5、加熱可能な部材(加熱手段)6a、ニップロール7、補助ロール8を有する。前記冷却可能な部材5は、略円弧状の凸面を有し、内部を冷媒が循環する金属部材であり、前記略円弧状の凸面はフィルム2に接触するが、前記略円弧状の凸面の端部はフィルム2に接触しない構造となっている。前記加熱可能な部材6aは、略円弧状の凸面を有し、内部を熱媒が循環する金属部材であり、前記略円弧状の凸面はフィルム2に接触するが、前記略円弧状の凸面の端部はフィルム2に接触しない構造となっている。
続いて、搬送している前記フィルム2の一部を、前記冷却可能な部材5に接触させることにより、フィルムの幅が変化しない温度に冷却する。続いて、フィルムの幅が変化しない温度に冷却された前記フィルム2の一部を、前記フィルム2の搬送により移動させ、前記加熱可能な部材6aに接触させて、ネッキングが生ずる温度に昇温する。この昇温により、前記フィルム2にネッキングが生じ、前記フィルムはネッキング延伸される。
この際に、ネッキングは、前記フィルム2の搬送方向の下流側(図4のbの位置)で生じ、ネッキング延伸が開始する。そして、ネッキング延伸を続けると、ネッキングの位置は、前記フィルム2の搬送方向の上流側であって、前記冷却可能な部材5によりフィルムの幅が変化しない温度に維持された前記フィルム2近傍(図4のaの位置)に遡るように移動し、ネッキングの位置は前記位置(図4のaの位置)で固定される。
前記延伸フィルムの材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶性ポリマーのみからなるものであってもよいし、結晶性ポリマー以外のその他の成分を含むものであってもよい。これらの中でも、前記延伸フィルムが前記結晶性ポリマーのみからなることが、得られる延伸フィルムが空洞を有する延伸フィルムであり、かつ前記空洞を有する延伸フィルムを安定した品質で製造できる点で好ましい。
前記空洞を有する延伸フィルムは、その内部に空洞を有する延伸フィルムである。
前記アスペクト比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10以上が好ましく、15以上がより好ましく、20以上が特に好ましい。
また、延伸が2軸以上の場合には、空洞形成を目的とした延伸方向のうち少なくとも1方向を示す。通常は、2軸以上の延伸においても、ネッキング延伸の方向が前記第一の延伸方向に相当する。
ここで、前記空洞の配向方向と直交方向における前記空洞の平均の個数Pは、光学顕微鏡や電子顕微鏡の画像により測定することができる。
式 NR=(W0−W)/W0
ネックイン比は、数値が小さいほど、延伸前後でのフィルムの幅の変化が少なく、優れていることを示す。
前記ネックイン比は、0.05〜0.5であることが好ましく、0.05〜0.3であることがより好ましく、0.05〜0.15であることが特に好ましい。前記ネックイン比が、前記特に好ましい範囲であると、安定してネッキング延伸を行うことができる点で有利である。
<フィルムの製造>
極限粘度(IV)=0.71であるPBT(ポリブチレンテレフタレート100%樹脂)を、溶融押出機を用いて245℃でTダイから押出し、キャスティングドラムで固化させて、幅100mm、平均厚み158μmのポリマー成形体(フィルムA)を得た。
得られたフィルムAのガラス転移点は、36℃であった。
得られたフィルムAのX線回折における結晶性ピークの半値幅が2θとして9°未満であることを確認した。
ガラス転移点及び結晶子サイズは以下の方法により測定した。
<<1>>ガラス転移点(Tg)
フィルムのガラス転移点(Tg)は、示差熱分析装置(DSC)により測定した。
得られたフィルムを幅25mmにしガラス試料ホルダ上に貼り付け、X線回折装置(RINT TTR III、リガク社製)を用いて、以下の測定条件で測定後、結晶性ピ−クと非晶性ピ−ク(2θ=20°)のピーク分離を行い、各ピ−クの半値幅を測定した。
−測定条件−
X線強度 :50kV−300mA
発散スリット :開放
発散縦スリット :10mm
散乱スリット :0.05mm
受光スリット :0.15mm
スキャン速度 :4°/min
スキャン範囲 :2θ=5〜60°
<フィルムの製造>
極限粘度(IV)=0.66であるPET(ポリエチレンテレフタレート)を、溶融押出機を用いて300℃でTダイから押出し、キャスティングドラムで固化させて、幅100mm、平均厚み80μmのポリマー成形体(フィルムB)を得た。
得られたフィルムBのガラス転移点は、75℃であった。
得られたフィルムBのX線回折における結晶性ピークの半値幅が2θとして9°未満であることを確認した。
<フィルムの製造>
極限粘度(IV)=0.66であるPET(ポリエチレンテレフタレート)と、極限粘度(IV)=0.64であるPEN(ポリエチレンナフタレート)とを60/40(質量比)で混合し、溶融押出機を用いて260℃でTダイから押出し、キャスティングドラムで固化させて、幅100mm、平均厚み90μmのポリマー成形体(フィルムC)を得た。
得られたフィルムCのガラス転移点は、90℃であった。
得られたフィルムCのX線回折における結晶性ピークの半値幅が2θとして11°であることを確認した。
<フィルムの延伸>
図3に示す延伸フィルムの製造装置を用い、前記フィルムAをネッキング延伸した。
まず、低速ロール3に接する位置における前記フィルムAの搬送速度を110mm/分、高速ロール4に接する位置における前記フィルムAの搬送速度を510mm/分とし、前記フィルムAを前記低速ロール3から前記高速ロール4に向かって搬送させた。この際、前記フィルムAに10MPaの張力を付与した。また、前記フィルムAは、加熱可能な部材6aに接触するように搬送させた。
前記フィルムAを搬送させつつ、前記加熱可能な部材6aよりも前記フィルムAの搬送方向の上流側において、前記フィルムAの一部を、25℃(フィルムの幅が変化しない温度)にした。25℃の前記フィルムAの一部を、前記フィルムAの搬送により搬送方向の下流側に移動させ、前記加熱可能な部材6aに接触させ40℃(ネッキングが生ずる温度)に昇温した。
これら処理により、前記フィルムAにネッキングが生じた。ネッキングの位置は、ネッキング延伸を開始した直後には、図3のbの位置であったが、ネッキング延伸を続けると、図3のaの位置(フィルムの幅が変化しない温度に維持されたフィルムA近傍)まで遡るように移動し、その位置で固定され、その後は移動しなくなった。
ネッキング延伸している際に、前記フィルムAが切れることはなく、安定して延伸フィルムを製造できた。
得られた延伸フィルムについて以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
なお、フィルムAの外観は透明だが、延伸により得られた空洞を有する延伸フィルムの外観は銀色であった。そのため、延伸中のフィルムの外観を目視により観察することにより、ネッキングの位置は、容易に確認できた。
<<1>>(延伸)フィルムの平均厚み
キーエンス社製、ロングレンジ接触式変位計AF030(測定部)、AF350(指示部)を用いて、(延伸)フィルムの厚みを10点測定し、その平均値を平均厚みとした。
延伸されたフィルムを目視で観察し、下記評価基準により延伸ムラを評価した。
延伸ムラなし:フィルムの幅方向にスジが見えない。
延伸ムラ小 :フィルムの幅方向にスジが見える。
延伸ムラ大 :フィルムの幅方向にスジが見え、更に、延伸されない引き残り部分がある。
ここで、引き残り部分とは、延伸フィルムの平均厚みの2倍以上の厚みの部分を指す。厚みは、キーエンス社製、ロングレンジ接触式変位計AF030(測定部)、AF350(指示部)を用いて測定した。
ネックイン比(NR)を測定した。ネックイン比(NR)は、次式で表される、図1における延伸前のフィルムの幅(W0)と延伸フィルムの幅(W)との関係を示す指標である。
式 NR=(W0−W)/W0
ネックイン比は、数値が小さいほど、延伸前後でのフィルムの幅の変化が少なく、優れていることを示す。
光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡により撮影した写真を観察して、空洞の有無を確認した。
延伸フィルムの表面に垂直で、かつ、縦延伸方向(ネッキング延伸方向)に直角な断面(図2B参照)と、前記延伸フィルムの表面に垂直で、かつ、前記縦延伸方向に平行な断面(図2C参照)を、走査型電子顕微鏡を用いて300倍〜3,000倍の適切な倍率で検鏡し、前記各断面写真において測定枠をそれぞれ設定した。この測定枠は、その枠内に空洞が50個〜100個含まれるように設定した。
次に、測定枠に含まれる空洞の数を計測し、前記縦延伸方向に直角な断面の測定枠(図2B参照)に含まれる空洞の数をm個、前記縦延伸方向に平行な断面の測定枠(図2C参照)に含まれる空洞の数をn個とした。
そして、前記縦延伸方向に直角な断面の測定枠(図2B参照)に含まれる空洞の1個づつの厚み(ri)を測定し、その平均の厚みを平均径rとした。また、前記縦延伸方向に平行な断面の測定枠(図2C参照)に含まれる空洞の1個づつの長さ(Li)を測定し、その平均の長さをLとした。
即ち、r及びLは、それぞれ下記の(1)式及び(2)式で表すことができる。
r=(Σri)/m ・・・(1)
L=(ΣLi)/n ・・・(2)
そして、L/rを算出し、アスペクト比とした。
分光光度計(「V−570」;日本分光社製)に積分球を取り付け、波長200nm〜2,500nmについて、波長1nm毎に反射率を測定した。このうち、波長550nmにおける反射率を、本測定における反射率とした。ここで、基準値として、装置付属の標準白板の反射率を100%とした。
<フィルムの延伸>
図4に示す延伸フィルムの製造装置を用い、前記フィルムAをネッキング延伸した。
まず、低速ロール3に接する位置における前記フィルムAの搬送速度を110mm/分、高速ロール4に接する位置における前記フィルムAの搬送速度を510mm/分とし、前記フィルムAを前記低速ロール3から前記高速ロール4に向かって搬送させた。この際、前記フィルムAに10MPaの張力を付与した。また、前記フィルムAは、冷却可能な部材5及び加熱可能な部材6aに接触するように搬送させた。
前記フィルムAを搬送させつつ、前記フィルムAの一部を、冷却可能な部材5に接触させ10℃(フィルムの幅が変化しない温度)に冷却した。冷却された前記フィルムAの一部を、前記フィルムAの搬送により搬送方向の下流側に移動させ、前記加熱可能な部材6bに接触させ40℃(ネッキングが生ずる温度)に昇温した。
これら処理により、前記フィルムAにネッキングが生じた。ネッキングの位置は、ネッキング延伸を開始した直後には、図4のbの位置であったが、ネッキング延伸を続けると、図4のaの位置(フィルムの幅が変化しない温度に維持されたフィルムA近傍)まで遡るように移動し、その位置で固定され、その後は移動しなくなった。
ネッキング延伸している際に、前記フィルムAが切れることはなく、安定して延伸フィルムを製造できた。
得られた延伸フィルムについて実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<フィルムの延伸>
図5に示す延伸フィルムの製造装置を用い、前記フィルムAをネッキング延伸した。なお、図5に示す延伸フィルムの製造装置において、低速ロール3と高速ロール4の間隔を20cmにした。また、加熱部6bは、前記低速ロール3から5cm離れた位置にその端部を設置し、かつ前記高速ロール4を覆うように設置した。なお、前記高速ロール4は加熱部6b外にあってもよい。
まず、前記低速ロール3に接する位置における前記フィルムAの搬送速度を110mm/分、前記高速ロール4に接する位置における前記フィルムAの搬送速度を510mm/分とし、前記フィルムAを前記低速ロール3から前記高速ロール4に向かって搬送させた。この際、前記フィルムAに10MPaの張力を付与した。
前記フィルムAを搬送させつつ、前記加熱部6bの外であって、前記加熱部6bよりも前記フィルムAの搬送方向の上流側において、前記フィルムAの一部を、25℃(フィルムの幅が変化しない温度)にした。25℃の前記フィルムAの一部を、前記フィルムAの搬送により搬送方向の下流側に移動させ、前記加熱部6b内で40℃(ネッキングが生ずる温度)に昇温した。
これら処理により、前記フィルムAにネッキングが生じた。ネッキングは、前記加熱部6b内で生じ、ネッキングの位置は前記加熱部6b内で前記低速ロール3から6cm付近の位置に固定された。
ネッキング延伸している際に、前記フィルムAが切れることはなく、安定して延伸フィルムを製造できた。
得られた延伸フィルムについて実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<フィルムの延伸>
図6に示す延伸フィルムの製造装置を用い、前記フィルムAをネッキング延伸した。なお、図6に示す延伸フィルムの製造装置において、低速ロール3と高速ロール4の間隔を20cmにした。また、加熱部6bは、前記低速ロール3から5cm離れた位置にその端部を設置し、かつ前記高速ロール4を覆うように設置した。なお、前記高速ロール4は加熱部6b外にあってもよい。
まず、前記低速ロール3に接する位置における前記フィルムAの搬送速度を110mm/分、前記高速ロール4に接する位置における前記フィルムAの搬送速度を510mm/分とし、前記フィルムAを前記低速ロール3から前記高速ロール4に向かって搬送させた。この際、前記フィルムAに10MPaの張力を付与した。
前記フィルムAを搬送させつつ、前記フィルムAの一部を、冷却可能な部材5に接触させ10℃(フィルムの幅が変化しない温度)に冷却した。冷却された前記フィルムAの一部を、前記フィルムAの搬送により搬送方向の下流側に移動させ、前記加熱部6b内で40℃(ネッキングが生ずる温度)に昇温した。
これら処理により、前記フィルムAにネッキングが生じた。ネッキングは、前記加熱部6b内で生じ、ネッキングの位置は前記加熱部6b内で前記低速ロール3から6cm付近の位置に固定された。
ネッキング延伸している際に、前記フィルムAが切れることはなく、安定して延伸フィルムを製造できた。
得られた延伸フィルムについて実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<フィルムの延伸>
図7に示す延伸フィルムの製造装置を用い、前記フィルムAをネッキング延伸した。なお、図7に示す延伸フィルムの製造装置において、低速ロール3と高速ロール4の間隔を20cmにした。また、加熱部6bは、前記低速ロール3から5cm離れた位置にその端部を設置し、かつ冷却可能な部材5及び前記高速ロール4を覆うように設置した。なお、前記高速ロール4は加熱部6b外にあってもよい。
まず、前記低速ロール3に接する位置における前記フィルムAの搬送速度を110mm/分、前記高速ロール4に接する位置における前記フィルムAの搬送速度を510mm/分とし、前記フィルムAを前記低速ロール3から前記高速ロール4に向かって搬送させた。この際、前記フィルムAに10MPaの張力を付与した。
前記フィルムAを搬送させつつ、前記フィルムAの一部を、冷却可能な部材5に接触させ15℃(フィルムの幅が変化しない温度)に冷却した。冷却された前記フィルムAの一部を、前記フィルムAの搬送により搬送方向の下流側に移動させ、前記加熱部6b内で40℃(ネッキングが生ずる温度)に昇温した。
これら処理により、前記フィルムAにネッキングが生じた。ネッキングは、前記加熱部6b内で生じ、ネッキングの位置は前記加熱部6b内の前記冷却可能な部材5から搬送方向の下流側に1〜2cm離れた位置に固定された。
ネッキング延伸している際に、前記フィルムAが切れることはなく、安定して延伸フィルムを製造できた。
得られた延伸フィルムについて実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<フィルムの延伸>
実施例2において、冷却可能な部材5によるフィルムAの冷却温度を15℃にした以外は、実施例2と同じ方法により、フィルムAをネッキング延伸した。
ネッキングの位置は、ネッキング延伸を開始した直後には、図4のbの位置であったが、ネッキング延伸を続けると、図4のaの位置(フィルムの幅が変化しない温度に維持されたフィルムA近傍)まで遡るように移動し、その位置で固定され、その後は移動しなくなった。
ネッキング延伸している際に、前記フィルムAが切れることはなく、安定して延伸フィルムを製造できた。
得られた延伸フィルムについて実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<フィルムの延伸>
実施例4において、冷却可能な部材5によるフィルムAの冷却温度を15℃にした以外は、実施例4と同じ方法により、フィルムAをネッキング延伸した。
ネッキングは、前記加熱部6b内で生じ、ネッキングの位置は前記加熱部6b内の所望の位置に固定された。
ネッキング延伸している際に、前記フィルムAが切れることはなく、安定して延伸フィルムを製造できた。
得られた延伸フィルムについて実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<フィルムの延伸>
実施例2において、フィルムの種類、冷却温度、加熱温度を表1に示す条件とした以外は、実施例2と同じ延伸方法で、フィルムBをネッキング延伸した。
ネッキングの位置は、ネッキング延伸を開始した直後には、図4のbの位置であったが、ネッキング延伸を続けると、図4のaの位置(フィルムの幅が変化しない温度に維持されたフィルムB近傍)まで遡るように移動し、その位置で固定され、その後は移動しなくなった。
ネッキング延伸している際に、前記フィルムBが切れることはなく、安定して延伸フィルムを製造できた。
得られた延伸フィルムについて実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<フィルムの延伸>
実施例4において、フィルムの種類、冷却温度、加熱温度を表1に示す条件とした以外は、実施例4と同じ延伸方法で、フィルムBをネッキング延伸した。
ネッキングは、前記加熱部6b内で生じ、ネッキングの位置は前記加熱部6b内の所望の位置に固定された。
ネッキング延伸している際に、前記フィルムBが切れることはなく、安定して延伸フィルムを製造できた。
得られた延伸フィルムについて実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<フィルムの延伸>
実施例2において、フィルムの種類、冷却温度、加熱温度を表1に示す条件とした以外は、実施例2と同じ方法で、フィルムCをネッキング延伸した。
ネッキングの位置は、ネッキング延伸を開始した直後には、図4のbの位置であったが、ネッキング延伸を続けると、図4のaの位置(フィルムの幅が変化しない温度に維持されたフィルムC近傍)まで遡るように移動し、その位置で固定され、その後は移動しなくなった。
ネッキング延伸している際に、前記フィルムCが切れることはなく、安定して延伸フィルムを製造できた。
得られた延伸フィルムについて実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<フィルムの延伸>
実施例4において、フィルムの種類、冷却温度、加熱温度を表1に示す条件とした以外は、実施例4と同じ方法で、フィルムCをネッキング延伸した。
ネッキングは、前記加熱部6b内で生じ、ネッキングの位置は前記加熱部6b内の所望の位置に固定された。
ネッキング延伸している際に、前記フィルムCが切れることはなく、安定して延伸フィルムを製造できた。
得られた延伸フィルムについて実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<フィルムの延伸>
図8に示す延伸フィルムの製造装置を用い、前記フィルムAをネッキング延伸した。
まず、低速ロール3に接する位置における前記フィルムAの搬送速度を110mm/分、高速ロール4に接する位置における前記フィルムAの搬送速度を510mm/分とし、前記フィルムAを前記低速ロール3から前記高速ロール4に向かって搬送させた。この際、前記フィルムAに10MPaの張力を付与した。
前記フィルムAを搬送させつつ、前記フィルムAの一部を、予熱ロール9により40℃(ネッキングが生ずる温度)に加熱した。加熱された前記フィルムAの一部を、前記フィルムAの搬送により搬送方向の下流側に移動させ、前記加熱可能な部材6aに接触させ40℃(ネッキングが生ずる温度)に維持した。
これら処理により、前記フィルムAにネッキングが生じた。
ネッキング延伸している間、ネッキングの状態が不安定な上に、ネッキングの位置が移動して低速ロールに接する部位に移動した結果、フィルムAが切れることがたびたび起こり、安定して延伸フィルムを製造できなかった。
得られた延伸フィルムについて実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<フィルムの延伸>
図9に示す延伸フィルムの製造装置を用い、前記フィルムAをネッキング延伸した。なお、前記製造装置において、低速ロール3と高速ロール4の間隔は20cmとした。また、加熱部6bは、前記低速ロール3及び前記高速ロール4を覆うように設置した。
まず、前記低速ロール3に接する位置における前記フィルムAの搬送速度を110mm/分、前記高速ロール4に接する位置における前記フィルムAの搬送速度を510mm/分とし、前記フィルムAを前記低速ロール3から前記高速ロール4に向かって搬送させた。この際、前記フィルムAに10MPaの張力を付与した。
前記フィルムAを搬送させつつ、前記フィルムAの一部を、前記加熱部6b内で40℃(ネッキングが生ずる温度)に昇温した。
これら処理により、前記フィルムAにネッキングが生じた。
ネッキング延伸している間、ネッキングの状態が不安定な上に、ネッキングの位置が移動して低速ロールに接する部位に移動した結果、フィルムAが切れることがたびたび起こり、安定して延伸フィルムを製造できなかった。
得られた延伸フィルムについて実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<フィルムの延伸>
参考例1において、フィルムの種類、及び加熱温度を表1に示す条件にした以外は、参考例1と同じ方法でフィルムBをネッキング延伸した。
ネッキング延伸している間、ネッキングの状態が不安定な上に、ネッキングの位置が移動して低速ロールに接する部位に移動した結果、フィルムBが切れることがたびたび起こり、安定して延伸フィルムを製造できなかった。
得られた延伸フィルムについて実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<フィルムの延伸>
参考例1において、フィルムの種類、及び加熱温度を表1に示す条件にした以外は、参考例1と同じ方法でフィルムCをネッキング延伸した。
ネッキング延伸している間、ネッキングの状態が不安定な上に、ネッキングの位置が移動して低速ロールに接する部位に移動した結果、フィルムCが切れることがたびたび起こり、安定して延伸フィルムを製造できなかった。
得られた延伸フィルムについて実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
フィルムBのX線回折では5つの結晶性ピークが観察され、それらの半値幅は4°〜7°の範囲内であった。
実施例10、11及び参考例4で得られた延伸フィルムは、独立した空洞を有さないため、アスペクト比を求めることができなかった。
一方、参考例1から4の延伸方法においては、ネッキングの状態が不安定であり、得られた延伸フィルムは延伸ムラが大きいものであった。ネッキング延伸を行っている際に、フィルムが切れることがあり、更に、ネックイン比が実施例と比較して劣っていた。
1a 表面
2 フィルム
3 低速ロール
4 高速ロール
5 冷却可能な部材(冷却手段)
6a 加熱可能な部材(加熱手段)
6b 加熱部(加熱手段)
7 ニップロール
8 補助ロール
9 予熱ロール
100 空洞
L 空洞の配向方向における空洞の長さ
r 空洞の配向方向に直交する厚み方向における空洞の厚み
Claims (12)
- フィルムに対し張力を付与し、張力が付与された該フィルムの一部を、冷却手段によりフィルムの幅が変化しない温度にした後、加熱手段により該フィルムの幅が変化しない温度からネッキングが生ずる温度に昇温させることにより、前記フィルムをネッキング延伸すること特徴とする延伸フィルムの製造方法。
- 冷却手段が冷却可能な部材であり、加熱手段が加熱可能な部材であり、
フィルムが前記冷却手段及び前記加熱手段に接触した状態で、張力が付与される請求項1に記載の延伸フィルムの製造方法。 - 冷却手段による冷却温度が、フィルムのガラス転移点よりも5℃以上低い温度である請求項1から2のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
- フィルムが、X線回折における結晶性ピークの半値幅が2θとして9°未満である請求項1から3のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
- フィルムの平均厚みが、1.5μm〜200μmである請求項1から4のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
- 得られる延伸フィルムが、内部に空洞を延伸方向に配向した状態で有してなり、該空洞の平均長さをL(μm)とし、前記空洞の配向方向と直交方向における該空洞の平均径をr(μm)とした際のL/r比が、10以上である請求項1から5のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
- 得られる延伸フィルムが、結晶性ポリマーのみからなる請求項1から6のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
- 得られる延伸フィルムの反射率が、50%以上である請求項1から7のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
- ネッキングが生ずる温度に昇温させたフィルムにネッキングを生じさせ、前記フィルムをネッキング延伸するとともに、該ネッキングの位置を、フィルムの幅が変化しない温度に維持されたフィルム近傍に移動させ、固定させる請求項1から8のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
- 加熱手段によりネッキングが生ずる温度に昇温させたフィルムにネッキングを生じさせ、前記フィルムをネッキング延伸するとともに、該ネッキングの位置を、冷却手段によりフィルムの幅が変化しない温度に維持されたフィルム近傍に移動させ、固定させる請求項1から9のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
- フィルムに対し張力を付与する張力付与手段と、
前記張力付与手段により張力が付与された前記フィルムの一部を、フィルムの幅が変化しない温度からネッキングが生ずる温度に昇温させるネッキング発生手段とを有し、
前記ネッキング発生手段が、張力が付与されたフィルムの一部を、フィルムの幅が変化しない温度に冷却する冷却手段と、ネッキングが生ずる温度に昇温させる加熱手段とを有すること特徴とする延伸フィルムの製造装置。 - 冷却手段が冷却可能な部材であり、加熱手段が加熱可能な部材である請求項11に記載の延伸フィルムの製造装置。
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