JP5558333B2 - 空洞含有樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は空洞含有樹脂成形体の製造方法に関する。
近年、空洞含有樹脂成形体が、断熱性、クッション性、反射性等の特性を有することから、空洞含有樹脂成形体が電子機器の照明用部材、一般家庭照明用部材、内照看板などの部材として使用されている。
特に、液晶テレビやコンピュータの普及とともに、液晶反射板用途において、より高い反射率を示す反射板が求められている。
反射板に応用可能な技術としては、ポリエステル系樹脂内部に微細な空洞を多量に含有させる技術が挙げられる。ポリエステル系樹脂に微細な空洞が含有されて空洞層が形成されると、空洞層の存在によりポリエステル系樹脂の反射率が高まるためである。
例えば、特許文献1は、ポリエステルを含むポリマー成形体を10mm/min〜36,000mm/minの速度で延伸することにより空洞含有樹脂成形体を製造する方法を開示する(特許文献1)。
特開2009−19111号公報
上述の空洞含有樹脂成形体には、その機能を発揮するため、より高い反射率が求められる。高い反射率を得るためには大きな張力で延伸する必要がある。しかしながら、特許文献1に開示された方法では、ポリマー成形体を延伸したときに破断する場合があった。
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、破断を防止でき、かつ高い反射率の空洞含有樹脂成形体を得ることができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明の空洞含有樹脂成形体の製造方法は、熱可塑性樹脂組成物を溶融押し出しする工程と、溶融押し出しされた熱可塑性樹脂フィルムを冷却固化する工程と、冷却固化された前記熱可塑性樹脂フィルムを搬送方向に延伸する工程を備え、前記延伸する工程は、(a)速度の異なる上流ローラと下流ローラを使用し、(b)前記下流ローラと前記熱可塑性樹脂フィルムの速度比を1.01以上1.10以下とし、(c)延伸応力をσ1、破断応力をσ2としたとき、σ2×0.5≦σ1<σ2の範囲で、(d)延伸開始点から10mm以内の範囲で、前記熱可塑性樹脂フィルムの厚さを1/2以下に延伸することを含む。
熱可塑性樹脂フィルムに空洞を発現させるためには、延伸応力をσ、破断応力をσとしたとき、σ×0.5≦σ<σの範囲で、延伸開始点から10mm以内の範囲で、熱可塑性樹脂フィルムの厚さを1/2以下に延伸する必要がある。しかしながら、大きな張力で急激に延伸すると熱可塑性樹脂フィルムが破断する問題が発生する。そこで、下流ローラと熱可塑性樹脂フィルムの速度比を1.01以上1.10以下とし、下流ローラの速度を熱可塑性樹脂フィルムの搬送速度より大きくした。これにより、下流ローラと熱可塑性樹脂フィルムとの間に滑りが生じるので、熱可塑性樹脂フィルムの破断を防止できることを、発明者は見出し、本発明に至った。
本発明の空洞含有樹脂成形体の製造方法は、好ましくは、前記下流ローラと前記上流ローラの速度比が2以上12以下、好ましくは3以上10以下である。
下流ローラと上流ローラの速度比を上述の範囲とすることにより、反射率の高いフィルムを作製することができる。
本発明の空洞含有樹脂成形体の製造方法は、好ましくは、熱処理温度をT(℃)、延伸温度をTd(℃)、前記熱可塑性樹脂組成物の溶融温度をTm(℃)としたとき、Td(℃)≦T(℃)<Tm-20(℃)で示される範囲の熱処理温度T(℃)で、冷却固化された前記熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方面から熱処理する工程を含む。
熱可塑性樹脂組成物に熱処理を行うことにより、より反射率の高い空洞含有成形体を小さな厚み斑で作製することができる。
本発明の空洞含有樹脂成形体の製造方法は、好ましくは、前記熱処理する工程が、前記熱可塑性樹脂フィルムの両面から熱処理することを含む。
熱可塑性樹脂フィルムの両面から熱処理することにより、厚み方向の均一化を図ることができる。
本発明の空洞含有樹脂成形体の製造方法は、好ましくは、前記熱可塑性樹脂組成物が一種類の熱可塑性樹脂組成物から構成される。
熱可塑性樹脂組成物を一種類の熱可塑性樹脂組成物で構成することにより、リサイクル性を改善することができる。
本発明の空洞含有樹脂成形体の製造方法は、好ましくは、前記熱可塑性樹脂組成物が結晶性ポリマーである。
熱可塑性樹脂組成物を結晶性ポリマーとすることにより、反射率をコントロールすることができる。
本発明の空洞含有樹脂成形体の製造方法は、好ましくは、前記結晶性ポリマーがポリエステル類である。
結晶性ポリマーをポリエステル類とすることにより、安価で耐熱性・機械強度に優れた空洞含有樹脂成形体を作製することができる。
本発明によれば、破断を防止でき、かつ高い反射率の空洞含有樹脂成形体を得ることができる。
空洞含有樹脂成形体の製造ラインを示す構成図。 図2Aは、アスペクト比を具体的に説明するための図であって、空洞含有樹脂成形体の斜視図である。 図2Bは、アスペクト比を具体的に説明するための図であって、図2Aにおける空洞含有樹脂成形体のA−A’断面図である。 図2Cは、アスペクト比を具体的に説明するための図であって、図2Aにおける空洞含有樹脂成形体のB−B’断面図である。 熱可塑性樹脂組フィルムの応力−歪み曲線を示すグラフ。 縦延伸による厚み方向の変化を示す説明図。 実施例の結果を示す表図。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施の形態により説明されるが、本発明の範囲を逸脱すること無く、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
<熱可塑性樹脂組成物>
熱可塑性樹脂組成物は、延伸にすることで空洞を発現できる限り特に限定されない。溶融押出法を利用して空洞含有樹脂成形体を作製する場合は、溶融押し出し成形性が良好な材料を利用するのが好ましい。
その観点では、熱可塑性樹脂組成物としては、特に制限はない。目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高密度ポリエチレン、ポリオレフィン類(例えば、ポリプロピレンなど)、ポリアミド類(PA)(例えば、ナイロン−6など)、ポリアセタール類(POM)、ポリエステル類(例えば、PET、PEN、PTT、PBT、PPT、PHT、PBN、PES、PBSなど)、シンジオタクチック・ポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンサルファイド類(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン類(PEEK)、液晶ポリマー類(LCP)、フッ素樹脂、などが挙げられる。その中でも、力学強度や製造の観点から、ポリエステル類、シンジオタクチック・ポリスチレン(SPS)、液晶ポリマー類(LCP)が好ましい。その中でも、ポリエステル類がより好ましい。また、これらのうちの2種以上のポリマーをブレンドしたり、共重合させたりして使用してもよい。
(結晶性ポリマー)
上述の熱可塑性樹脂組成物となるポリマーは、結晶性ポリマーと非結晶性(アモルファス)ポリマーとに分けられる。結晶性ポリマーといえども100%結晶ということはなく、分子構造の中に長い鎖状の分子が規則的に並んだ結晶性領域と、規則的に並んでいない非結晶(アモルファス)領域とを含んでいる場合がある。
したがって、空洞含有樹脂成形体における結晶性ポリマーとしては、分子構造の中に少なくとも結晶性領域を含んでいればよく、結晶性領域と非結晶領域とが混在していてもよい。
(ポリエステル類)
ポリエステル類(以下、「ポリエステル樹脂」と称する。)は、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子化合物の総称を意味する。したがって、前記結晶性ポリマーとして好適な前記ポリエステル樹脂としては、前記例示したPET(ポリエチレンテレフタエレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPT(ポリペンタメチレンテレフタレート)、PHT(ポリヘキサメチレンテレフタレート)、PBN(ポリブチレンナフタレート)、PES(ポリエチレンサクシネート)、PBS(ポリブチレンサクシネート)だけでなく、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合反応によって得られる高分子化合物が全て含まれる。
前記ジカルボン酸成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、オキシカルボン酸、多官能酸などが挙げられ、中でも、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
前記芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などが挙げられ、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸がより好ましい。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、エイコ酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、フマル酸が挙げられる。前記脂環族ジカルボン酸としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。前記オキシカルボン酸としては、例えば、p−オキシ安息香酸などが挙げられる。前記多官能酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。前記脂肪族ジカルボン酸及び脂環族ジカルボン酸の中では、コハク酸、アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸が好ましく、コハク酸、アジピン酸がより好ましい。
前記ジオール成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ジオール、脂環族ジオール、芳香族ジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコールなどが挙げられ、中でも、脂肪族ジオールが好ましい。
前記脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコールなどが挙げられ、中でも、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオールが特に好ましい。前記脂環族ジオールとしては、例えば、シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。前記芳香族ジオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどが挙げられる。
前記ポリエステル樹脂の溶融粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50〜700Pa・sが好ましく、70〜500Pa・sがより好ましく、80〜300Pa・sが更に好ましい。前記溶融粘度が大きいほうが延伸時にボイドを発現しやすいが、前記溶融粘度が50〜700Pa・sであると、製膜時に押出しがしやすくなったり、樹脂の流れが安定して滞留が発生しづらくなり、品質が安定したりする点で好ましい。また、前記溶融粘度が50〜700Pa・sであると、延伸時に延伸張力が適切に保たれるために、均一に延伸しやすくなり、破断しづらくなる点で好ましい。また、前記溶融粘度が50〜700Pa・sであると、製膜時にダイヘッドから吐出される溶融膜の形態が維持しやすくなって、安定的に成形できたり、製品が破損しにくくなったりするなど、物性が高まる点で好ましい。
前記ポリエステル樹脂の極限粘度(IV)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.4〜1.2が好ましく、0.6〜1.0がより好ましく、0.7〜0.9が更に好ましい。前記IVが大きいほうが延伸時にボイドを発現しやすいが、前記IVが0.4〜1.2であると、製膜時に押出しがしやすくなったり、樹脂の流れが安定して滞留が発生しづらくなり、品質が安定したりする点で好ましい。さらに、前記IVが0.4〜1.2であると、延伸時に延伸張力が適切に保たれるために、均一に延伸しやすくなり、装置に負荷がかかりにくい点で好ましい。加えて、前記IVが0.4〜1.2であると、製品が破損しにくくなって、物性が高まる点で好ましい。
前記ポリエステル樹脂の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、耐熱性や製膜性などの観点から、150〜300℃が好ましく、180〜270℃がより好ましい。
なお、前記ポリエステル樹脂として、前記ジカルボン酸成分と前記ジオール成分とが、それぞれ1種で重合してポリマーを形成していてもよく、前記ジカルボン酸成分及び/又は前記ジオール成分が、2種以上で共重合してポリマーを形成していてもよい。また、前記ポリエステル樹脂として、2種以上のポリマーをブレンドして使用してもよい。
前記2種以上でのポリマーのブレンドにおいて、主たるポリマーに対して添加されるポリマーは、前記主たるポリマーに対して、溶融粘度及び極限粘度が近く、添加量が少量であるほうが、製膜時や溶融押し出し時に物性が高まり、押し出ししやすくなる点で好ましい。
また、前記ポリエステル樹脂の流動特性の改良、光線透過性の制御、塗布液との密着性の向上などを目的として、前記ポリエステル樹脂に対してポリエステル系以外の樹脂を添加しても良い。
ここで、空洞含有樹脂成形体は、空洞の発現に寄与しない成分であれば、必要に応じてその他の成分を含んでいてもよい。前記その他の成分としては、耐熱安定剤、酸化防止剤、有機の易滑剤、核剤、染料、顔料、分散剤、カップリング剤及び蛍光増白剤などが挙げられる。前記その他の成分が空洞の発現に寄与したかどうかは、空洞内又は空洞の界面部分に、結晶性ポリマー以外の成分(例えば、後記する各成分など)が検出されるかどうかで判別できる。
前記酸化防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知のヒンダードフェノール類を添加してもよい。前記ヒンダードフェノール類としては、例えば、イルガノックス1010、同スミライザーBHT、同スミライザーGA−80などの商品名で市販されている酸化防止剤が挙げられる。
また、前記酸化防止剤を一次酸化防止剤として利用し、更に二次酸化防止剤を組み合わせて適用することもできる。前記二次酸化防止剤としては、例えば、スミライザーTPL−R、同スミライザーTPM、同スミライザーTP−Dなどの商品名で市販されている酸化防止剤が挙げられる。
前記蛍光増白剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばユビテック、OB−1、TBO、ケイコール、カヤライト、リューコプア、EGMなどの商品名で市販されているものを用いることができる。なお、前記蛍光増白剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。このように蛍光増白剤を添加することで、より鮮明で青味のある白色性を与え、高級感を持たせることができる。
<空洞>
空洞含有樹脂成形体は、空洞を含有し、前記空洞の空洞含有率及びアスペクト比に特徴を有している。前記空洞とは、樹脂成形体内部に存在する、真空状態のドメイン又は気相のドメインを意味する。
前記空洞含有率とは、樹脂成形体の固相部分の総体積と含有される空洞の総体積の和に対する、前記含有される空洞の総体積を意味する。前記空洞含有率としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、3体積%以上、50体積%以下が好ましく、5〜40体積%がより好ましく、10〜30体積%が更に好ましい。ここで、前記空洞含有率は、比重を測定し、前記比重に基づいて算出することができる。
具体的には、前記空洞含有率は、下記の(1)式により求めることができる。
空洞含有率(%)={1−(延伸後の空洞含有樹脂成形体の密度)/(延伸前のポリマー成形体の密度)}・・・(1)
前記アスペクト比とは、空洞の配向方向に直行する厚み方向における前記空洞の平均長さをr(μm)として、前記空洞の配向方向における前記空洞の平均長さをL(μm)とした際のL/r比を意味する。
前記アスペクト比としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10以上であることが好ましく、15以上がより好ましく、20以上が更に好ましい。
図2A〜2Cは、アスペクト比を具体的に説明するための図であって、図2Aは、空洞含有樹脂成形体の斜視図であり、図2Bは、図2Aにおける空洞含有樹脂成形体のA−A’断面図であり、図2Cは、図2Aにおける空洞含有樹脂成形体のB−B’断面図である。
前記空洞含有樹脂成形体の製造工程において、前記空洞は、通常、第一の延伸方向に沿って配向する。したがって、前記「空洞の配向方向に直行する厚み方向における前記空洞の平均長さ(r(μm))」は、空洞含有樹脂成形体1の表面1aに垂直で、かつ、第一の延伸方向に直角な断面(図2AにおけるA−A’断面)における空洞100の平均の厚みr(図2B参照)に相当する。また、「前記空洞の配向方向における前記空洞の平均長さ(L(μm))」は、前記空洞含有樹脂成形体の表面に垂直で、かつ、前記第一の延伸方向に平行な断面(図2AにおけるB−B’断面)における空洞100の平均の長さL(図2C参照)に相当する。
なお、前記第一の延伸方向とは、延伸が1軸のみの場合には、その1軸の延伸方向を示す。通常は、製造時に成形体の流れる方向に沿って縦延伸を行うため、この縦延伸の方向が前記第一の延伸方向に相当する。
また、延伸が2軸以上の場合には、空洞形成を目的とした延伸方向のうち少なくとも1方向を示す。通常は、2軸以上の延伸においても、製造時に成形体の流れる方向に沿って縦延伸が行われ、かつ、この縦延伸により空洞を形成することが可能であるため、この縦延伸の方向が前記第一の延伸方向に相当する。
ここで、空洞の配向方向に直行する厚み方向における前記空洞の平均長さ(r(μm))は、光学顕微鏡や電子顕微鏡の画像により測定することができる。同様に、前記空洞の配向方向における前記空洞の平均長さ(L(μm))は、光学顕微鏡や電子顕微鏡の画像により測定することができる。
このように、前記空洞含有樹脂成形体は、前記空洞を含有していることにより、例えば、熱伝導率などにおいて、様々な優れた特性を有している。言い換えると、前記空洞含有樹脂成形体に含有される空洞の態様を変化させることで、熱伝導率などの特性を調節することができる。
<空洞含有樹脂成形体の製造方法>
以下、空洞含有樹脂成形体の製造方法、及び製造装置について説明する。図1は、空洞含有樹脂成形体の製造ライン10の一例を示した構成図である。製造ライン10は、熱可塑性樹脂組成物12を溶融混練する溶融押出機14と、溶融押出機14から熱可塑性樹脂フィルム12Aを吐出するダイ16と、ダイ16から吐出された熱可塑性樹脂フィルム12Aを冷却固化するキャスティングドラム18と、熱可塑性樹脂フィルム12Aを剥離する剥離ローラ20と、剥離ローラ20の下流に配置された熱処理装置22と、熱可塑性樹脂フィルム12Aを搬送方向に延伸する縦延伸機24と、熱可塑性樹脂フィルム12Aを幅方向に延伸する横延伸機26と、空洞含有樹脂成形体1を巻き取る巻取機28と、を備える。
溶融押出機14は、熱可塑性樹脂組成物12を溶融、混練させて、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物12をダイ16に送る装置である。溶融押出機14は、シリンダと、シリンダ内に取り付けられたスクリューを備える。スクリューは単軸であっても、二軸であっても良い。ダイ16は溶融された熱可塑性樹脂組成物12をフィルム状にしてキャスティングドラム18に供給する。
ダイ16の吐出口から押し出された直後の熱可塑性樹脂フィルム12Aの温度T1(℃)は、熱可塑性樹脂組成物12の融点をTm(℃)としたとき、好ましくは、(Tm−10)(℃)≦T1≦(Tm+50)(℃)の範囲である。より好ましくは、(Tm)(℃)≦T1≦(Tm+30)(℃)の範囲である。ダイ16から吐出される熱可塑性樹脂フィルム12Aの吐出圧は、好ましくは、10%以内の変動範囲に制御される。
次に、キャスティングドラム18は、ダイ16から吐出された熱可塑性樹脂フィルム12Aを冷却固化する。本実施の形態において、一本のキャスティングドラム18によって、熱可塑性樹脂フィルム12Aが冷却固化される。しかし、これに限定されず、キャスティングドラムとその下流に設置された冷却ロールによって、熱可塑性樹脂フィルム12Aを冷却固化することができる。キャスティングドラム18の表面材質として、ハードクロムメッキが使用でき、鏡面仕上げが好ましい。
キャスティングドラム18のローラ表面温度T2は、熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度をTg(℃)としたとき、T2≦(Tg+30)(℃)を満足することが好ましい。より好ましくは、T1≦(Tg+20)(℃)の範囲である。熱可塑性樹脂フィルム12Aはキャスティングドラム18上で冷却固化される。ダイ16先端からキャスティングドラム18周面までの距離であるエアギャップは20mm以上300mm以下が好ましく、40mm以上140mm以下がより好ましい。エアギャップが20mm未満では、フィルム面に横段状ムラや縦スジが発生し易くなる。逆に、エアギャップが300mmを超えると、膜揺れを起こし厚みムラとなる。
キャスティングドラムとその下流に設置された冷却ロールによって多段冷却する場合、温度条件として、フィルム搬送方向の上流側から順に、ローラ表面温度が低くなるように設定することが好ましい。
剥離ローラ20は、キャスティングドラム18に対向配置されたローラである。剥離ローラ20は、冷却固化された熱可塑性樹脂フィルム12Aを巻き掛けることにより、熱可塑性樹脂フィルム12Aをキャスティングドラム18から剥離する。剥離ローラ20の表面材質としては、ハードクロムメッキや鏡面仕上げを採用できる。
熱処理装置22は、剥離ローラ20によりキャスティングドラム18から剥離された熱可塑性樹脂フィルム12Aを加熱するための装置である。熱処理装置22は、その内部に、例えば、熱風、赤外線、温浴、スチーム、又は加熱ロール方式、又はこれらを組み合わせた加熱方式の加熱手段を備える。これらの加熱手段が、熱可塑性樹脂フィルム12Aを一方面、又は両面から熱処理する。
熱処理装置22内で、熱処理温度をT(℃)、熱可塑性樹脂組成物の溶融温度をTm(℃)、延伸温度をTd(℃)としたとき、Td(℃)≦T(℃)<Tm−20(℃)で示される範囲の熱処理温度T(℃)で、熱可塑性樹脂フィルム12Aが少なくとも一方面から熱処理される。熱可塑性樹脂フィルム12Aは、好ましくは、両面から熱処理される。これにより熱可塑性樹脂フィルム12Aの厚み方向の均一化を図ることができる。
熱処理温度T(℃)は、好ましくは、Td(℃)≦T(℃)<Tm−40(℃)の範囲であり、より好ましくはTd+10(℃)≦T(℃)<Tm−50(℃)の範囲である。
熱処理装置22内で熱処理時に延伸が起こらないよう、熱可塑性樹脂フィルム12Aを降伏応力以下の張力で搬送する。ここで、熱可塑性樹脂フィルム12Aの降伏応力とは、JIS K7127やJIS K7161による引張試験で得られる応力―歪曲線において、図3の曲線Aに示すように降伏する場合はその点aでの応力を意味する。図3の曲線Bに示すように降伏を起こさない場合は、曲線Bに引いた2本の接線の交点bでの応力を意味する。ここで、2本の接線とは、曲線Bのような場合は伸び10%以内で一番初めに大きく傾きが変わる点の前後での接線を意味する。なお、必要に応じて熱処理装置22を省くことができる。
縦延伸機24は、一対のローラ30A、30Bから成る第一のニップローラ30と、一対のローラ32A、32Bから成る第二のニップローラ32と、第一のニップローラ30と第二のニップローラ32との間に配置されたヒータ34を備える。第一のニップローラ30が上流ローラに、第二のニップローラ32が下流ローラに相当する。
縦延伸機24は、速度の異なる第一のニップローラ30と第二のニップローラ32との間を、熱可塑性樹脂フィルム12Aを通過させることにより、熱可塑性樹脂フィルム12Aを搬送方向(縦方向)に延伸する。第二のニップローラ32の速度V2は、第一のニップローラ30の速度V1と比較して、速い速度で回転するよう構成される。その速度比は、好ましくは、2≦V2/V1≦12の範囲であり、より好ましくは、3≦V2/V1≦10の範囲である。これにより、熱可塑性樹脂フィルム12Aが、2〜12の延伸倍率で、縦方向に延伸される。
図1では、上流ローラとして第一のニップローラ30を、下流ローラとして第二のニップローラ32を使用した。熱可塑性樹脂フィルム12Aを搬送方向に延伸することができる限り、上流ローラとして単独のローラを、下流ローラとして単独のローラを使用することができる。
熱可塑性樹脂フィルム12Aは、ヒータ34により、加熱され、延伸される。延伸温度Td(℃)は、熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度をTg(℃)としたとき、好ましくは、(Tg−10)(℃)≦Td(℃)≦(Tg+100)(℃)の範囲である。延伸温度Td(℃)は、より好ましくは、(Tg−5)(℃)≦Td(℃)≦(Tg+50)(℃)の範囲であり、特に好ましくは、(Tg)(℃)≦Td(℃)≦(Tg+50)(℃)の範囲である。
縦延伸した後の熱可塑性樹脂フィルム12Aの厚みが、熱可塑性樹脂フィルム12Aの延伸開始点から10mm範囲内の領域で、熱可塑性樹脂フィルム12Aの厚さの1/2以下を満たすように、熱可塑性樹脂フィルム12Aが縦延伸される。10mm範囲内の領域で厚みが1/2とは、図4に示すように、縦延伸前の熱可塑性樹脂フィルム12Aの厚さd1、延伸後の厚さをd2としたとき、d2/d1の値を意味する。上述したように、本実施の形態では、延伸開始点から所定距離L(10mm以内)で、d2/d1≦1/2を満たすように、熱可塑性樹脂フィルム12Aが縦延伸される。
更に、延伸応力をσ、破断応力をσとしたとき、σ×0.5≦σ<σの範囲で、熱可塑性樹脂フィルム12Aが縦延伸される。ここで、延伸応力σは延伸時に測定した延伸張力を延伸前の熱可塑性樹脂フィルムの断面積で割った値と定義され、破断応力σは連続延伸時に破断した場合の延伸張力を延伸前の熱可塑性樹脂フィルムの断面積で割った値と定義される。
本実施形態において、熱可塑性樹脂フィルム12Aの延伸応力σが破断応力σ×0.5以上であり、一般的な熱可塑性樹脂フィルムの縦延伸に比較して延伸応力σは大きい。
大きな延伸応力σでかつ延伸開始点から10mm以内で厚みが1/2以下となるよう熱可塑性樹脂フィルムを延伸することにより、一の延伸方向に沿って配向した空洞が熱可塑性樹脂フィルム内に形成され、空洞含有樹脂成形体が得られる。
上記の条件で延伸によって空洞が形成される理由としては、高い応力かつ急激な変形を行うと、フィルム内部への高い圧力とそれに伴う反発力が発生する。また急激な変形を行うことで、短時間で多くの結晶が形成される。このような多数の結晶の形成と高い反発力が同時に発生することにより、結晶の周囲が起点となり、結晶の周囲が裂けて空洞が形成される。
なお、このような延伸による空洞形成は、熱可塑性樹脂組成物が1種類の場合だけではなく、2種類以上の結晶性ポリマーが、ブレンド又は共重合されている場合であっても可能である。
上述したように、空洞を形成するために熱可塑性樹脂フィルム12Aの延伸応力σ一般的な延伸に比較して大きい。したがって、熱可塑性樹脂フィルム12Aの延伸中に破断が発生する場合がある。そこで、本実施の形態では、熱可塑性樹脂フィルム12Aの破断を防止するため、下流ローラである第二のニップローラ32の速度V2とし、熱可塑性樹脂フィルム12Aの搬送速度V3としたとき、両者の速度比(V2/V3)を1.01以上1.10以下の範囲としている。熱可塑性樹脂フィルム12Aの搬送速度V3より第二のニップローラ32の速度V2を速くすることにより、熱可塑性樹脂フィルム12Aとの第二のニップローラ32間に滑りが生じている。この滑り(スリップ)により破断応力に達する前に滑りを発生させて延伸応力を下げることができ、熱可塑性樹脂フィルム12Aの破断を防止することができる。
滑りによって破断が防止できる理由としては、延伸応力が高くなりすぎて破断応力に達しそうになると滑りによって延伸応力が下がり、破断応力以下になることによるものである。
また、滑りを調節する方法としては、ニップロールの圧力があり、ニップロールの圧力を小さくすることにより滑りを大きくすることができる。圧力と滑りの関係については、調整用のベースを用いて関係を求めておき、希望の滑りになるように延伸毎にニップロール圧を調節する。ただし、圧力と滑りの関係は、ベースの速度・温度によって変化するので、調整用ベースを想定するベースの速度や温度にして、圧力と滑りの関係を求める必要がある。
一般的に、延伸工程において樹脂フィルムと延伸用ローラとの間にスリップが生じた場合、樹脂フィルムの厚みムラが大きくなるので、通常は延伸工程では行われない。しかし、ながら、延伸により空洞が発生すると空洞含有樹脂成形体の厚みムラは大きくならない。
上述の急激な縦延伸が実現できる範囲において、第一のニップローラ30と第二のニップローラ32の間隙を適宜選択することができる。
ヒータ34として、例えば赤外線、熱風、ハロゲン、プレート、セラミック、レーザー方式のヒータを採用することができる。ヒータ34により、熱可塑性樹脂フィルム12Aは所望の縦延伸温度Tdまで加熱される。本実施の形態では、ヒータ34が第一のニップローラ30と第二のニップローラ32に間に配置されているが、この配置に代えてヒータ34を第一のニップローラ30の上流に配置することができる。
横延伸機26は、所定のピッチで取り付けられた複数のクリップ(不図示)を備える。クリップは熱可塑性樹脂フィルム12Aの幅方向の端部を把持する部材である。対向するクリップ間の間隔は、搬送方向の上流側から下流側にかけて幅広となるよう構成される。これにより、熱可塑性樹脂フィルム12Aは幅方向に延伸される。横延伸機26は、熱可塑性樹脂フィルム12Aを所望の横延伸温度T4まで加熱するヒータ(不図示)を備える。
巻取機28は、横延伸された熱可塑性樹脂フィルム12Aを空洞含有樹脂成形体1のフィルムロールに巻き取る装置である。横延伸機26により横延伸された熱可塑性樹脂フィルム12Aは巻取機28送られる。巻取機28により空洞含有樹脂成形体1のフィルムロールとして巻き取られる。横延伸倍率は縦延伸同様、フィルムに要求される特性によって選ばれるが、横延伸倍率1.1〜5倍になるよう横方向に延伸される。なお、縦延伸のみを行った空洞含有樹脂成形体1を横延伸機26に通過させずに、巻取機28によりフィルムロールとして巻き取っても良い。
[実施例]
以下、本発明の実施例を挙げ、本発明をより詳細に説明する。
<試験>
(試験1)
PET樹脂(ガラス転移温度Tgは77℃、溶融温度Tmは256℃、)を、溶融押出機を用いて300℃でダイから押し出し、20℃のキャスティングドラムで冷却固化させて、厚さ約300μmの原反となる熱可塑性樹脂フィルムを得た。破断応力は180Mpaである。
前記熱可塑性樹脂フィルムをその後、延伸温度65℃で、速度比が6倍の2個のニップローラ(縦延伸機)により、延伸応力を120Mpaとし、ロール速度(下流ロール)とベース速度(熱可塑性樹脂フィルムの搬送速度)との比を1.02として、縦方向に延伸し、空洞含有樹脂成形体を作製した。縦延伸において、原反の厚みから2%減少したところから10mm下流の厚みと、原反の厚み×(0.98)との比を22%とした。
(試験2)
延伸応力を112Mpaとしたことを除き、試験1と同様にして空洞含有樹脂成形体を作製した。
(試験3)
延伸応力を100Mpa、ロール速度/ベース速度を1.01としたことを除き、試験1と同様にして空洞含有樹脂成形体を作製した。
(試験4)
ロール速度比を3、延伸応力を92Mpa、原反の厚みから2%減少したところから10mm下流の厚みと、原反の厚み×(0.98)との比を43%としたことを除き、試験3と同様にして空洞含有樹脂成形体を作製した。
(試験5)
延伸応力を98Mpaとしたことを除き、試験3と同様にして空洞含有樹脂成形体を作製した。
(試験6)
ロール速度比を10、延伸応力を130Mpa、ロール速度/ベース速度を1.03、原反の厚みから2%減少したところから10mm下流の厚みと、原反の厚み×(0.98)との比を10%としたことを除き、試験1と同様にして空洞含有樹脂成形体を作製した。
(試験7)
PBT(ポリプラスチック社製。ポリブチレンテレフタレート100%樹脂:ガラス転移温度Tgは30℃、溶融温度Tmは223℃)を、溶融押出機を用いて250℃でダイから押し出し、30℃のキャスティングドラムで冷却固化させて、厚さ約300μmの原反となる熱可塑性樹脂フィルムを得た。破断応力は100Mpaである。
前記熱可塑性樹脂フィルムをその後、延伸温度40℃で、速度比が5倍の2個のニップローラ(縦延伸機)により、延伸応力を73Mpaとし、ロール速度/ベース速度を1.03として縦方向に延伸し、空洞含有樹脂成形体を作製した。縦延伸において、原反の厚みから2%減少したところから10mm下流の厚みと、原反の厚み×(0.98)との比を30%とした。
(試験8)
PP(プライムポリマー社製。ポリプロピレン100%樹脂:ガラス転移温度Tgは −18℃、溶融温度Tmは150℃、)を、溶融押出機を用いて270℃でダイから押し出し、10℃のキャスティングドラムで冷却固化させて、厚さ約300μmの原反となる熱可塑性樹脂フィルムを得た。破断応力は80Mpaである。
前記熱可塑性樹脂フィルムをその後、延伸温度30℃で、速度比が10倍の2個のニップローラ(縦延伸機)により、延伸応力を60Mpaとし、ロール速度/ベース速度を1.05として縦方向に延伸し、空洞含有樹脂成形体を作製した。縦延伸において、原反の厚みから2%減少したところから10mm下流の厚みと、原反の厚み×(0.98)との比を12%とした。
(試験9)
延伸温度を70℃、延伸応力を92Mpaとしたことを除き、試験3と同様にして空洞含有樹脂成形体を作製した。
(試験10)
延伸温度を68℃、ロール速度/ベース速度を1.04、原反の厚みから2%減少したところから10mm下流の厚みと、原反の厚み×(0.98)との比を25%としたことを除き、試験1と同様にして空洞含有樹脂成形体を作製した。
(試験11)
延伸応力を160Mpa、ロール速度/ベース速度を1.07、原反の厚みから2%減少したところから10mm下流の厚みと、原反の厚み×(0.98)との比を32%としたことを除き、試験1と同様にして空洞含有樹脂成形体を作製した。
(試験12)
延伸温度を62℃、延伸応力を178Mpa、ロール速度/ベース速度を1.10、原反の厚みから2%減少したところから10mm下流の厚みと、原反の厚み×(0.98)との比を33%としたことを除き、試験1と同様にして空洞含有樹脂成形体を作製した。
(試験13)
ロール速度比を2.5、延伸応力を90Mpa、原反の厚みから2%減少したところから10mm下流の厚みと、原反の厚み×(0.98)との比を45%としたことを除き、試験3と同様にして空洞含有樹脂成形体を作製した。
(試験14)
ロール速度比を12、延伸応力を135Mpa、ロール速度/ベース速度を1.03、原反の厚みから2%減少したところから10mm下流の厚みと、原反の厚み×(0.98)との比を8%としたことを除き、試験1と同様にして空洞含有樹脂成形体を作製した。
(試験15)
縦延伸を行う前に120℃の温度、15Mpaの搬送応力で熱処理を行った。延伸温度80℃、延伸応力を91Mpaとしたことを除き、試験3と同様にして空洞含有樹脂成形体を作製した。
(試験16)
熱処理温度を150℃、搬送応力を20Mpaとしたことを除き、試験15と同様にして空洞含有樹脂成形体を作製した。
(試験17)
ロール速度/ベース速度を1.03としたことを除き、試験1と同様にして空洞含有樹脂成形体を作製した。
(試験18)
延伸温度を110℃、延伸応力を44Mpa、ロール速度/ベース速度を1.09としたことを除き、試験1と同様にして空洞含有樹脂成形体を作製した。
(試験19)
延伸応力を92Mpa、原反の厚みから2%減少したところから10mm下流の厚みと、原反の厚み×(0.98)との比を80%としたことを除き、試験3と同様にして空洞含有樹脂成形体を作製した。
<評価>
試験1〜19により形成された空洞含有樹脂成形体について、10mmの領域で厚みが1/2(50%)以下になる延伸の有無,破断頻度,空洞の有無,反射率,厚みムラを評価した。図5は、試験1〜19について製造条件と評価結果を示す表である。
(評価方法)
10mmの領域で厚みが1/2(50%)以下になる延伸の有無について、50%以下のものを○(良)とし、50%を超えるものを×(不良)とした。破断頻度について、時間当たりの破断回数を計測した。時間当たりの破断回数が3回以下のものを○(良)とし、3回を超えるものを×(不良)とした。空洞の有無を日立社製 電子顕微鏡により幅10mmのサンプル3枚の断面を観察し、空洞が確認できたものを○(良)とし、空洞が確認できなかったものを×(不良)とした。
反射率は、反射測定器・積分球を用いて測定した。空洞含有樹脂成形体の表面に垂直の方向から60度傾けて波長240〜800nmの光を入射させた。空洞含有樹脂成形体で反射される光の強度を、空洞含有樹脂成形体を置かないブランクの値(入射光の光の強度)と比較し、反射率を求めた。反射率が70%以上のものを○(良)とし、70%より低いものを×(不良)とした。
厚みムラは、アンリツ製 連続厚み計を用いて測定した。厚みムラが5%以下のものを◎(最良)とし、厚みムラが5%より大きく20%以下を○(良)とし、厚みムラが20%より大きいものを不良(×)とした。
(評価結果)
試験1〜16について、ロール速度/ベース速度の速度比が1.01以上1.10以下の範囲であり、延伸応力σ、破断応力σがσ×0.5≦σ<σの範囲であり、延伸開始点から10mm以内の範囲で、熱可塑性樹脂フィルムの厚さを1/2(50%)以下の要件を満たしているので、評価はすべて○(良)以上であった。
試験17は、ロール速度とベース速度が同じであるため、破断頻度が時間当たり10回であった。試験18は、延伸応力/破断応力が0.5より小さいので、反射率が60%であり、厚みムラも大きかった。
試験19は、原反の厚みから2%減少したところから10mm下流の厚みと、原反の厚み×(0.98)との比が80%であったので、破断頻度が時間当たり8回であり、反射率が32%であった。
試験1〜3によれば、延伸応力/破断応力が大きいほど反射率が高くなり、一方、時間当たりの破断頻度が多くなる。試験4〜7によれば、延伸倍率が高い場合でも、ロール速度/ベース速度の速度比が1.01以上1.10以下であれば、破断頻度、反射率とも○(良)の結果が得られる。
ロール速度がベース速度より10%以上速いと(ベース速度が90%以下であると)ベースに対してロール速度が速いのでロールがベースの上を大きく滑り、大きな擦り傷をつけてしまう場合がある。
試験7,8によれば、PBT、PPであっても、上記の条件を満たす限り破断頻度、反射率とも○(良)の結果が得られる。
なお、延伸応力/破断応力が0.5以下である場合、破断頻度が少ないので、スリップによる破断抑制効果は小さくなる。
試験13,14によれば、延伸倍率が3〜10倍の範囲に含まれていない。その結果、反射率が他と比較して低くなる。このことから、延伸倍率は、好ましくは、3〜10倍の範囲であることが理解できる。
試験15、16について、延伸工程の前に熱処理工程を加えると、厚みムラが小さくなることが理解できる、これは、熱処理工程を加えるとフィルム内部により小さい空洞が数多く発生するため、厚み斑の悪化を抑制できると考えられる。
1…空洞含有樹脂成形体、10…製造ライン、12…熱可塑性樹脂組成物、12A…熱可塑性樹脂フィルム、14…溶融押出機、16…ダイ、18…キャスティングドラム、20…剥離ローラ、22…熱処理装置、24…縦延伸機、26…横延伸機、28…巻取機、30…第一のニップローラ、32…第二のニップローラ、34…ヒータ、40…配管

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂組成物を溶融押し出しする工程と、
    溶融押し出しされた熱可塑性樹脂フィルムを冷却固化する工程と、
    冷却固化された前記熱可塑性樹脂フィルムを搬送方向に延伸する工程を備え、前記延伸する工程は、(a)上流ローラと前記上流ローラの速度より速い速度の下流ローラを使用し、(b)前記下流ローラの速度を前記熱可塑性樹脂フィルムの速度の1.01以上1.10以下とすることにより前記熱可塑性樹脂フィルムと前記下流ローラとの間にすべりを生じさせ、(c)延伸応力をσ1、破断応力をσ2としたとき、σ2×0.5≦σ1<σ2の範囲で、(d)延伸開始点から10mm以内の範囲で、前記熱可塑性樹脂フィルムの厚さを1/2以下に延伸することを含む空洞含有樹脂成形体の製造方法。
  2. 前記下流ローラと前記上流ローラの速度比が2以上12以下である請求項1記載の空洞含有樹脂成形体の製造方法。
  3. 熱処理温度をT(℃)、延伸温度をTd(℃)、前記熱可塑性樹脂組成物の溶融温度をTm(℃)としたとき、Td(℃)≦T(℃)<Tm-20(℃)で示される範囲の熱処理温度T(℃)で、冷却固化された前記熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方面から熱処理する工程を含む請求項1又は2記載の空洞含有樹脂成形体の製造方法。
  4. 前記熱処理する工程が、前記熱可塑性樹脂フィルムの両面から熱処理することを含む請求項3記載の空洞含有樹脂成形体の製造方法。
  5. 前記熱可塑性樹脂組成物が一種類の熱可塑性樹脂組成物から構成される請求項1から4のいずれか1記載の空洞含有樹脂成形体の製造方法。
  6. 前記熱可塑性樹脂組成物が結晶性ポリマーである請求項1から5のいずれか1記載の空洞含有樹脂成形体の製造方法。
  7. 前記結晶性ポリマーがポリエステル類である請求項6記載の空洞含有樹脂成形体の製造方法。
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