JP2009208324A - 成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、電波透過性があり、リサイクル性に優れ、成形時に部分的な変色が生じない成形体を提供することを課題とする。また、従来にはない高い輝度の成形体を提供することを課題とする。
【解決手段】
少なくとも樹脂Aからなる層と樹脂Bからなる層を含んでなる積層数が30以上の積層フィルムが基材に被覆されてなる成形体であって、ゲート部に近接した部位に被覆された積層フィルムの層数Hgと、ゲート部から離れた部位に被覆された積層フィルムの層数Haの比(Hg/Ha)が0.7以上1.05以下であることを特徴とする成形体。
【選択図】なし

Description

本発明は成形体、より詳しくは加飾成形体に関するものである。
自動車関係の装飾部品をはじめとして各種家電機器、建築部材などの製品(部品)において、意匠性を高めるために木目調、布目調、金属調などさまざまに加飾したものが用いられているが、最近では高輝度の金属調の外観が求められるようになってきている。
各種成形部品へ金属調を付与する手法としては、もっとも一般的に用いられる手法は塗装である。塗装はさまざまな意匠や機能を製品に付与できる反面、有機溶剤などを使用することが多く、環境に与える影響が大きい。また、塗膜の影響でリサイクルが容易にできないこともあり、昨今の環境問題の高まりのなかで塗装工程の存在が問題視されている。
金属調を付与する別の手法として、メッキや蒸着などがある。メッキや蒸着の場合も、金属層のためにリサイクルが困難であったりする問題があるが、特にメッキの場合には重金属による環境への影響が大きいため、その代替えが強く求められている。さらに、メッキや蒸着などの場合、その金属層のために電磁波シールド性が発生するため、自動車や携帯電話などの加飾材料として用いると、電波障害を生じたりする場合があり問題になりつつある。また、金属成分を含んだ樹脂成形体は、リサイクルが困難であるなどの問題があった。さらに、インサート成形時などに熱により金属膜が劣化することにより、輝度が低下するなどの問題もあった。
金属を用いない金属のような光沢を有する材料として、屈折率の異なる樹脂層を交互に多層に積層することより、選択的に特定の波長をの光を反射するフィルムを用いた技術(たとえば特許文献1〜2参照)がある。しかしながら、これらのフィルムをインサート成形などにより基材に被覆する成形を行うと、インサート成形時の熱や圧力の影響により、基材樹脂を流入するゲート部近傍や角部などで部分的に変色するなどの問題があった。なお、ゲートとはノズルから射出され溶融した樹脂が、スプル、ランナーを通り成形体となる金型空洞部分への流入するための流入口のことである。
特開平3−41401号公報 特開平4−295804号公報
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、電波透過性があり、リサイクル性に優れ、成形時に部分的な変色が生じない成形体を提供することを課題とする。また、従来にはない高い輝度の成形体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の成形体は、少なくとも樹脂Aからなる層と樹脂Bからなる層を含んでなる積層数が30以上の積層フィルムが基材に被覆されてなる成形体であって、ゲート部に近接した部位に被覆された積層フィルムの層数Hgと、ゲート部から離れた部位に被覆された積層フィルムの層数Haの比(Hg/Ha)が0.7以上1.05以下であることを特徴とする。
本発明の成形体は、電波透過性があり、リサイクル性にも優れ、成形時に部分的な変色が生じないものである。
また、高輝度の成形体が得られるものである。
上記目的を達成するため、本発明の成形体は、少なくとも樹脂Aからなる層と樹脂Bからなる層を含んでなる積層数が30以上の積層フィルムが基材に被覆されてなる成形体であって、ゲート部に近接した部位に被覆された積層フィルムの層数Hgと、ゲート部から離れた部位に被覆された積層フィルムの層数Haの比(Hg/Ha)が0.7以上1.05以下でなければならない。このような成形体では、電波透過性があり、リサイクル性にも優れ、成形時にも部分的な変色が生じないものである。
本発明における樹脂としては、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂のいずれでもよい。また、ホモ樹脂、共重合樹脂または2種類以上の樹脂のブレンドであってもよい。より好ましくは、成形性が良好であるため、熱可塑性樹脂である。また、各樹脂中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレフタレート・ポリプロピレンテレフタレート・ポリブチルサクシネート・ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂・3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂・4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体・フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、PMMAなどのアクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂、アクリロニトリル・ブタジエンスチレン共重合体、アクリロニトリル・エチレン-プロピレンゴム・スチレン共重合体などを用いることができる。この中で、強度・耐熱性・透明性の観点から、特にポリエステルであることがより好ましい。
本発明で言うポリエステルとしては、ジカルボン酸成分骨格とジオール成分骨格との重縮合体であるホモポリエステルや共重合ポリエステルのことをいう。ここで、ホモポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンジフェニルレートなどが代表的なものである。特にポリエチレンテレフタレートは、安価であるため、非常に多岐にわたる用途に用いることができ好ましい。
また、本発明における共重合ポリエステルとは、次にあげるジカルボン酸骨格を有する成分とジオール骨格を有する成分とより選ばれる少なくとも3つ以上の成分からなる重縮合体のことと定義される。ジカルボン酸骨格を有する成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。グリコール骨格を有する成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどが挙げられる。
また、本発明では、樹脂Aからなる層の面内平均屈折率は樹脂Bからなる層の面内平均屈折率より相対的に高い、もしくは低いものである。また、A層の面内平均屈折率とB層の面内平均屈折率の差が、0.03以上であることが好ましい。より好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.1以上0.15以下である。屈折率差が0.03より小さい場合には、十分な反射率が得られず、好ましくないものである。また、A層の面内平均屈折率と厚み方向屈折率の差が0.03以上であり、B層の面内平均屈折率と厚み方向屈折率差が0.03以下であると、入射角が大きくなっても、反射ピークの反射率低下が起きないため、より好ましい。
本発明における樹脂Aと樹脂Bの好ましい組み合わせとしては、樹脂Aと樹脂BのSP値の差の絶対値が、1.0以下であることが第一に好ましい。SP値の差の絶対値が1.0以下であると層間剥離が生じにくくなる。より好ましくは、樹脂Aからなる層と樹脂Aと同一の基本骨格を含む樹脂Bからなる層を有していることが好ましい。ここで基本骨格とは、樹脂を構成する繰り返し単位のことであり、例えば、一方の樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合は、エチレンテレフタレートが基本骨格である。また別の例としては、一方の樹脂がポリエチレンの場合、エチレンが基本骨格である。樹脂Aと樹脂Bが同一の基本骨格を含む樹脂であると、さらに層間での剥離が生じにくくなるものである。
また、樹脂Aと樹脂Bの好ましい組み合わせとしては、樹脂Aと樹脂Bのガラス転移温度差が20℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度差が20℃より大きい場合には積層フィルムを製膜する際の厚み均一性が不良となり、金属光沢の外観不良となる。また、積層フィルムを成形する際にも、過延伸が発生するなどの問題が生じやすいためである。
また、本発明の積層フィルムでは、樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んでなり、樹脂Bがスピログリコールを含んでなるポリエステルであることが好ましい。スピログリコールを含んでなるポリエステルとは、スピログリコールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。スピログリコールを含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくいために好ましい。より好ましくは、樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んでなり、樹脂Bがスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルであることが好ましい。樹脂Bがスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルであると、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとの面内屈折率差が大きくなるため、高い反射率が得られやすくなる。また、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さく、接着性にも優れるため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくい。
本発明中の積層フィルムとしては、少なくとも樹脂Aからなる層と樹脂Bからなる層を含んでなる積層数が30以上でなければならない。ここで積層数としては、より好ましくは100以上であり、さらに好ましくは600以上である。層数が多い方が、反射率が高く、反射帯域の広いフィルムを容易に得ることができる。積層数が600以上であると、光沢度650以上とすることが容易となる。
また、本発明中の積層フィルムでは、樹脂Aからなる層と樹脂Bからなる層を交互に積層した構造を含むとことが好ましい。つまり、樹脂Aからなる層と樹脂B層からなる層を厚み方向に交互に積層した構造を有している部分が存在することと定義される。
また、本発明中の積層フィルムは、ポリマーから構成されるため、電磁波を透過する高反射率フィルムや金属調フィルムとなる。ここで、電磁波とは、赤外線の一部と、周波数が3Hz〜3THzのものを言う。
また、本発明中の積層フィルムでは、樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んでなり、樹脂Bがシクロヘキサンジメタノールを含んでなるポリエステルであることが好ましい。シクロヘキサンジメタノールを含んでなるポリエステルとは、シクロヘキサンジメタノールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。シクロヘキサンジメタノールを含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になることがなりにくく、かつ層間剥離もしにくいために好ましい。より好ましくは、樹脂Bがシクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体である。このようにすることにより、高い反射性能を有しながら、特に加熱や経時による光学的特性の変化が小さく、層間での剥離も生じにくくなる。シクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体は、ポリエチレンテレフタレートと非常に強く接着する。また、そのシクロヘキサンジメタノール基は幾何異性体としてシス体あるいはトランス体があり、また配座異性体としてイス型あるいはボート型もあるので、ポリエチレンテレフタレートと共延伸しても配向結晶化しにくく、高反射率で、熱履歴による光学特性の変化もさらに少なく、製膜時のやぶれも生じにくいものである。
また、本発明中の積層フィルムは、その表面に易接着層、易滑層、ハードコート層、帯電防止層、耐摩耗性層、反射防止層、色補正層、紫外線吸収層、印刷層、金属層、透明導電層、ガスバリア層、ホログラム層、剥離層、粘着層、エンボス層、接着層などの機能性層を形成してもよい。
本発明の成形体は、少なくとも樹脂Aからなる層と樹脂Bからなる層を含んでなる積層数が30以上の積層フィルムが基材に被覆されてなければならない。ここで基材としては、樹脂であることが好ましい。より好ましくは、熱可塑性樹脂である。また、被覆箇所としては、基材の一部を被覆していれば良く、片面の一部、片面全体、両面の各一部、両面全体のいずれでもよい。
本発明の成形体では、ゲート部に近接した部位に被覆された積層フィルムの層数Hgと、ゲート部から離れた部位に被覆された積層フィルムの層数Haの比(Hg/Ha)が0.7以上1.05以下でなければならない。より好ましくは、0.8以上1.0倍以下である。ゲート部に近接した部位に被覆された積層フィルムの層数Hgと、ゲート部から離れた部位に被覆された積層フィルムの層数Haの比(Hg/Ha)が0.7以上1.05以下であると、変色が生じにくくなるものである。
ゲート部に近接した部位とは、ゲート部を中心に半径1cmの球内の空間に存在する成形体の部位のことを言う。また、ゲート部から離れた部位とは、ゲート部を中心に半径1cm以上の離れた成形体の部位のことを言う。なお、ゲート部を中心に半径1cmの球内の空間に被覆している積層フィルムがない場合は、ゲート部からもっとも近い部位をゲート部に近接した部位とし、そのゲート部に近接した部位から1cm以上ゲート部とは反対側に離れた部位を、ゲート部から離れた部位とする。
本発明の成形体を被覆している積層フィルムは、DSC測定における100℃〜200℃の範囲に観察される発熱ピークの熱量(冷結晶化熱量)が、0J/g以上5J/g以下であることが好ましい。このような場合、さらに高温での成形においても変色を抑制することが可能となるとともに、成形体を高温で保管などしても、変色が起きなくなるものである。
本発明の成形体は、光沢度が500以上の部位を有することが好ましい。光沢度が500以上であると高輝度となり高級感のある金属調となる。より好ましくは、光沢度が650以上である。
本発明の成形体は、成形体の角部近傍に被覆された積層フィルムの厚みTcと、成形体の平坦部に被覆された積層フィルムの厚みTfとの比(Tf/Tc)が、0.8以上3以下であることが好ましい。0.8以上3以下であると、光学特性の急激な変化が少ないために、部位による色変化が目立ちにくく、外観が均一なものとなるためである。ここで、角部とはコーナーRが5mm以下の角のことを言い、平坦部とはコーナー部から10mm以上離れた部位を言う。
本発明の成形体では、積層フィルムの融解熱量が18J/g以上40J/g以下であることが好ましい。融解熱量が上記条件を満たす際、耐熱性に優れたものとなり、より成形時の変色を抑制できるものとなる。なお、融解熱量とは、積層フィルムをDSC測定した際に観察される結晶融解による吸熱ピークの熱量のことであり、DSC測定条件については、物性値の評価方法にて記載する。また、吸熱ピークが2つ以上観察される場合は、それぞれの吸熱ピークの熱量を合計したものを融解熱量とする。
本発明の成形体としては、上記積層フィルム以外に、ハードコート層、エンボス層、耐候層(UVカット層)、着色層・印刷層、接着層、バインダー層などのいずれかを含んでなることも好ましい。このよう成形体は、オールポリマーから構成することが可能であり、金属や重金属などを含まないため、環境負荷が小さく、リサイクル性にも優れ、電波透過性にも優れたものとなる。本発明の成形体では、特に着色層を有することが好ましい。また、真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト真空圧空成形、インモールド成形、インサート成形、冷間成形、プレス成形、絞り成形、圧空成形などの各種成型法が適用できるため、低コストで成形体を得ることが可能である。このような成形体は、携帯電話、電話、パソコン、オーディオ機器、家電機器、無線通信機器、レイドーム、自動車内外装部品、建築材料、ゲーム機、アミューズメント機器、包装容器などに好ましく用いることができる。特に、本発明の成形体は、携帯電話、電話、パソコン、オーディオ機器、家電機器、無線通信機器、レイドームなどの車載部品、ゲーム機などの無線で情報通信を行う機能を有する機器(無線情報通信機器)の装飾部品として用いることが好ましい。本発明の成形体は、金属調の外観を有しながら、電波透過性に優れるので、従来の金属調装飾材料のように電磁波障害を引き起こさないものである。このため、本発明の成形体を情報通信機器の装飾部品として用いると、機器の小型化や薄型化が可能となったり、情報通信機器内部の回路設計の自由度が増すものである。
次に、本発明の成形体の好ましい製造方法を以下に説明する。まず、成形体を被覆する積層フィルムの製造方法について説明する。
2種類の樹脂AおよびBをペレットなどの形態で用意する。ここで、樹脂Aおよび/または樹脂Bは、結晶性樹脂であることが好ましい。結晶性樹脂であると、Hg/Haが0.7以上1.05以下を達成しやすくなる。より好ましくは、一方の樹脂が結晶性樹脂であり、もう一方の樹脂が非晶性樹脂である。この場合、さらにHg/Haが0.7以上1.05以下を達成しやすくなるとともに、積層フィルムのDSC測定における100℃〜200℃の範囲に観察される発熱ピークの熱量を0J/g以上5J/g以下とすることが容易となる。
ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などを取り除かれる。
これらの2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出された樹脂AおよびBは、次に多層積層装置に送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができるが、特に、本発明の構成をを効率よく得るためには、多数の微細スリットを有する部材を少なくとも別個に2個以上含むフィードブロックを用いることが好ましい。
このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、任意の層厚み構成を形成することも可能となる。この装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となったものである。一方、従来の装置では、300層以上の積層を達成するためには、スクエアーミキサーを併用することが一般的であったが、このような方法では積層流が相似形で変形・積層されるために、任意の層厚みを達成することが困難であった。このため、本願の特徴である層構成を容易に達成できるようになったものである。ここで、非晶性樹脂に対する結晶性樹脂の層厚みから求められる体積比率が、1.5倍以上3.5倍以下であると、Hg/Haが0.8倍以上1倍以下をより容易に達成することが可能となる。
さて、このようにして所望の層構成に形成した溶融積層体は、次にダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出された多層に積層されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させたり、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させる方法も好ましい。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、必要に応じて二軸延伸することが好ましい。二軸延伸することによっても、Hg/Haが0.7以上1.05以下を達成しやすくなる。ここで、二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次に二方向に延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。特に本発明では、面内の配向差を抑制できる点や、表面傷を抑制する観点から、同時二軸延伸を用いることが好ましい。
逐次二軸延伸の場合についてまず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
また、幅方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸を言い、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。特に、本発明の構成を達成するためには、熱処理温度が220℃以上であることが好ましく、より好ましくは245℃以上である。特に、(結晶性樹脂の融点−15℃)以上(結晶性樹脂の融点−5℃)以下で熱処理すると、Hg/Haが0.8倍以上1倍以下をより容易に達成することが可能となる。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
同時二軸延伸の場合について次に説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理する。
本発明の積層フィルムは、光を反射することを可能とするが、その反射率については樹脂Aからなる層と樹脂Bからなる層の屈折率差と、層数にて制御する。
2×(na・da+nb・db)=λ 式1
na:樹脂Aからなる層の面内平均屈折率
nb:樹脂Bからなる層の面内平均屈折率
da:樹脂Aからなる層の層厚み(nm)
db:樹脂Bからなる層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
次にこのようにして得た積層フィルムに、着色層および/またはバインダー層をコーティングや印刷にて塗布する。塗布方法としては、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷などが好ましく、より好ましくはスクリーン印刷が好ましい。また、スクリーン印刷で、着色層および/またはバインダー層をそれぞれ5μm以上塗布することが好ましく、着色層を形成するインキとしては2液硬化型のインキであることが好ましい。この場合、射出成形時のインク流れを抑制できやすくなり、インキの膜厚変化による変色を抑制することが可能となる。なお、着色層およびバインダー層に含まれる残存溶媒率としては、0.0001ppm以上3%以下であることが好ましい。残存溶媒率が、0.0001ppm以上3%以下であると、成形体を冷熱サイクル試験しても、着色層またはバインダー層が発泡などを生じないためである。
次に、この着色層および/またはバインダー層を形成した積層フィルムを、必要に応じてプレ成形することが好ましい。プレ成形の方法としては、真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト真空圧空成形、インモールド成形、インサート成形、冷間成形、プレス成形、絞り成形、圧空成形などの方法が好ましく、Hg/Haが0.7以上1.05以下を容易に達成するためには、圧空成形、真空圧空成形、プレス成形などの方法で、成形時のフィルム温度が230℃以下で成形することがより好ましい。ここで、成形体の角部近傍に被覆された積層フィルムの厚みTcと、成形体の平坦部に被覆された積層フィルムの厚みTfとの比(Tf/Tc)が、0.8以上3以下にするためには、130℃以上200℃以下であらかじめ予熱した後、それよりも低温に温調された金型にてプレス成形や圧空成形すると良い。
こうして得られた積層フィルム、またはプレ成形した積層フィルムを、インモールド成型またはインサート成型にて、基材に被覆し一体化することが好ましい。この際、ゲートの構造としては、ピンゲート、サイドゲート、フィルムゲート、トンネルゲート、ディスクゲートなどいずれのゲート構造でも良いが、特にサイドゲートやフィルムゲートが好ましい。サイドゲートや、フィルムゲートのようにフィルム表面に対し、基材となる材料がほぼ並行に流入する場合、フィルムへの熱的なダメージが少なくなり、Hg/Haが0.7以上1.05以下を達成することが容易となる。また、インキの流れも抑制可能となる。
また、基材となる材料としては、熱可塑性樹脂であることが好ましい。特に、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリル・ブタジエンスチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル・エチレン-プロピレンゴム・スチレン共重合体(AES)、ポリカーボネート(PC)とABSとのアロイなどの場合、Hg/Haが0.7以上1.05以下を達成することが、より容易となる。また、樹脂のメルトフローレート(温度:射出成形温度近傍)が、15以上であると、さらにHg/Haが0.7以上1.05以下を達成することがより容易となる。また、射出速度としては、50mm/sec以上であることが好ましく、より好ましくは100mm/sec以上である。この場合、インク流れを抑制できるとともに、フィルムへの熱的なダメージを大幅に抑制できるようになる。
本発明に使用した物性値の評価法を記載する。
(物性値の評価法)
(1)層構成 Hg、Ha
成形体のゲート部位と、成形体のゲート部から3cm離れた部位を、ナイフでそれぞれ切り出した。切り出したそれぞれの部位を、ミクロトームを用いて断面の薄膜切片を得た。成形体の基材が厚く、薄膜切片が得られにくい場合は、機械的に基材をフィルムを破壊することなく剥離するなどしてから、ミクロトームを用いて薄膜切片を得た。
次に、電子顕微鏡観察により、層構成を観察した。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVでフィルムの断面を40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および、各層厚みを測定した。なお、本実施例では、コントラストを高く得るために公知のRuO4を使用して染色した。
層構成をより明確にするために、以下の処理を行い、層数および層厚みをカウントした。まず、約4万倍のTEM写真画像を、CanonScanD123Uを用いて画像サイズ720dpiで取り込んだ。画像をJPEG形式で保存し、次いで画像処理ソフトImage−Pro Plus ver.4(販売元 プラネトロン(株))を用いて、このJPGファイルを開き、画像解析を行った。画像解析処理は、垂直シックプロファイルモードで、厚み方向位置と幅方向の2本のライン間で挟まれた領域の平均明るさとの関係を、数値データとして読み取った。表計算ソフト(Excel2000)を用いて、位置(nm)と明るさのデータに対してサンプリングステップ6(間引き6)、3点移動平均の数値処理を施した。さらに、この得られた周期的に明るさが変化するデータを微分し、その微分曲線の極大値と極小値を読み込み、隣り合うこれらの間隔を1層の層厚みとして層厚みを算出した。この操作を写真毎に行い、層数および全ての層の層厚みを算出した。ゲート部から得られた積層フィルムの層数をHgとし、ゲート部から3cm離れた部位の積層フィルムの層数をHaとした。
(2)積層フィルム厚み Tf、Tc
成形体の角部と、成形体の平坦部を、ナイフでそれぞれ切り出した。切り出したそれぞれの部位について、ミクロトームにより平坦な断面を得た。次に、株式会社トプコン製の走査電子顕微鏡 ABT−32により、倍率500倍で断面観察を行い、フィルム厚みを測定した。成形体角部に被覆された積層フィルムのもっとも厚みの薄い部分のフィルム厚みをTcとし、成形体平坦部に被覆された積層フィルムの厚みをTfとした。
(3)固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から、算出した。また、溶液粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示した。なお、n数は3とし、その平均値を採用した。
(4)融解熱量
成形体から分離した積層フィルムについて、示差熱量分析(DSC)を用い、JIS−K−7122(1987年)に従って、融解熱量を測定・算出した。なお、測定条件としては以下の通り。
装置:セイコー電子工業(株)製”ロボットDSC−RDC220”
データ解析”ディスクセッションSSC/5200”
サンプル質量:5mg
昇温条件:25℃から300℃まで10℃/min.で昇温した後、300℃で5分間ホールドした後、25℃まで急冷。
(5)発熱ピークの熱量(冷結晶化熱量)
成形体から分離した積層フィルムについて、示差熱量分析(DSC)を用い、JIS−K−7122(1987年)に従って、発熱ピークの熱量(冷結晶化熱量)を測定・算出した。なお、測定条件としては以下の通り。
装置:セイコー電子工業(株)製”ロボットDSC−RDC220”
データ解析”ディスクセッションSSC/5200”
サンプル質量:5mg
昇温条件:25℃から300℃まで10℃/min.で昇温した後、300℃で5分間ホールドした後、25℃まで急冷。
(6)光沢度
日本電色工業株式会社製 ハンディ型光沢計PG−1Mを用いて、成形体の光沢度を測定した。測定条件としては、以下の通り。
測定部位 : 積層フィルム面
角度 : 20°
(7)電磁波シールド性
ASTM D4935に準拠して、キーコム株式会社の同軸管タイプ シールド効果測定システムにて、45M〜3GHzの電磁波透過性を測定した。実施例・比較例については、2.4GHzの損失を記載した。
(8)変色
成形体を蛍光灯下で目視にて観察し、部分的な変色がほとんど認められない場合は○、変色がわずかにある場合を△、変色がはっきりとある場合を×とした。
(9)角部の変色
成形体を蛍光灯下で目視にて観察し、部分的な変色がほとんど認められない場合は○、変色がはっきりとある場合を×とした。
(実施例1〜4)
<樹脂A ポリエチレンテレフタレート(PET)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル(以下、DMT)100重量部とエチレングリコール(以下、EG)62重量部をエステル交換反応(以下EI反応)装置に仕込み、150℃で溶融した。ついで酢酸マグネシウム4水塩を0.05重量部仕込み、反応物の温度を3時間かけて235℃まで昇温しながらメタノールを留出させ、EI反応をおこなった。所定量のメタノールが留出してEI反応が終了したのちトリメチルリン酸(以下、TMPA)を0.02重量部添加した。
TMPAを添加して5分後に三酸化アンチモンを0.03重量部添加した。その後、反応物を重縮合装置に移行した。
低重合体を攪拌しながら、重合装置内部を235℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を130Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに90分とした。所定の攪拌トルクとなった時点で重合装置内部を窒素ガスによって常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水中にポリマーをストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリエステルチップを得た。
得られたポリエステルチップの固有粘度は0.65であった。
<樹脂B シクロヘキサンジカルボン酸30モル%、スピログリコール25モル%共重合PET(PE・SPG/T・CHDC)の製造方法:>
まず始めに、チタン触媒 クエン酸キレートチタン化合物の合成方法を記す。撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(284g、1.0モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を減圧下で蒸留・留去した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、その溶液を撹拌しながらNaOHの32重量%水溶液380gを滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、8.1モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。
次に、樹脂Bの製造法を記す。DMT53.4重量部、シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル(以下、CHDC)23.6重量部、EG44重量部、スピログリコール(以下、SPG)30重量部をEI反応装置に仕込み、EI反応触媒として酢酸マンガン・四水塩0.06重量部含んだEG溶液を仕込み、水酸化カリウム0.01重量部を含んだEG溶液を添加し、内容物を150℃で溶解させて撹拌した。
撹拌しながら反応内容物の温度を235℃まで4時間かけてゆっくり昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールを留出させ、EI反応を終了した。その後、TMPAを0.01重量部含んだEG溶液および旭電化工業(株)製ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト)(以下、PEP36)0.12重量部含んだEGスラリーを添加した。TMPA等を添加した後、余剰なEGを30分間撹拌しながら留出させた後、チタン触媒をチタン元素として30ppm添加した後、余剰なEGを10分間撹拌しながら留出させた。その後、EI反応物を重縮合反応装置に移行した。次いで、重合反応装置内容物を撹拌しながら減圧および昇温し、EGを留出させながら重縮合反応を行った。なお、減圧は120分かけて常圧から133Pa以下に減圧し、昇温は90分かけて235℃から285℃まで昇温した。撹拌トルクが所定の値に達したら、重合反応装置内を窒素ガスにて常圧へ戻し、重合反応装置下部のバルブを開けてガット状のポリマーを水槽へ吐出した。水槽で冷却されたポリエステルガットはカッターにてカッティングし、チップ化した。得られたポリエステルBの0.72であり、非晶性樹脂であった。
<積層フィルムの製造方法>
2種類の熱可塑性樹脂として、樹脂Aと樹脂Bを準備した。準備した樹脂AおよびBは、それぞれ、ベント付き二軸押出機にて280℃の溶融状態とした後、ギヤポンプおよびフィルターを介して、901層のフィードブロックにて合流させた。なお、両表層部分は樹脂Aとなるようにし、かつ隣接する樹脂Aからなる層と樹脂Bからなる層の層厚みは、ほぼ同じになるようにした。つづいて901層フィードブロックにて合流させ、T−ダイに導いてシート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、キャストフィルムを得た。なお、樹脂Aと樹脂Bの重量比が約1になるように吐出量を調整し、隣接する層の厚み比が約1となるにようにした。
得られたキャストフィルムを、75℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却した。つづいて、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風で予熱後、110℃の温度で横方向に3.5倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で248℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に7%の弛緩処理を施し、その後、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは、100μmであった。このフィルムの設計層厚みは、図1のとおりである。
次に、この得られたフィルムの片面に、スクリーン印刷にて2液硬化型のインクを塗布し着色層を形成した後、バインダー層を形成した。印刷条件は以下の通り。
<着色層>
インキ:帝国インキ製造株式会社製 IPX971
溶剤:帝国インキ製造株式会社製 F−003(10%希釈)
硬化剤:帝国インキ製造株式会社製 240硬化剤(10%混合)
スクリーンメッシュ:T−225
乾燥:80℃×10分(ボックス乾燥)
<バインダー>
バインダー:帝国インキ製造株式会社製 IMB−003
スクリーンメッシュ:T−225
乾燥:90℃×60分(ボックス乾燥)
次に、この着色層およびバインダー層を形成したフィルムを、所定の寸法にカットし、金型にセットして、以下の条件でインサート成形した。
型締圧力:60ton
金型温度:表1
成形樹脂:住友ダウ株式会社製 PC/ABSアロイ SDポリカ IM6011
成形樹脂温度:260℃
射出速度:表1
成形品寸法(L×W×H):60×60×3 mm
ゲート:φ2mmピンゲート
得られた結果を表1に示す。
(実施例5)
吐出量を調整し、隣接する層厚みの比が2となるようにした積層フィルムを得た以外は、実施例3と同様にして成形体を得た。得られた結果を表1に示す。
(実施例6)
樹脂Aとして、固有粘度が0.72のポリエチレンナフタレート(PEN)を用いた。この樹脂Aは結晶性樹脂であった。また樹脂Bとしてイソフタル酸12mol%を共重合したエチレンテレフタレート(PET/I)を用いた。なお、この樹脂Bの固有粘度は0.67であり、結晶性樹脂であった。その他の条件については、実施例4と同様に製膜し、成形体を得た。得られた結果を表1に示す。
(比較例1)
表2のように成形条件を変更した以外は、実施例2と同様に成形体を作成した。得られた結果を表1に示す。
(比較例2〜3)
樹脂Bとして、固有粘度0.67のイソフタル酸12mol%を共重合したエチレンテレフタレート(PET/I)を用い、成形条件を表2のように変更した以外は、実施例1と同様に成形体を作成した。得られた結果を表2に示す。
(実施例7)
次に記す条件のようにプレ成形、インサート成形した以外は、実施例1と同様の条件で成形体を得た。得られた結果を表2に示す。
<プレ成形>
予備加熱(フィルム温度):180℃
プレ成形方法:プレス成形
プレス成形によるプレ成形品寸法(L×W×H):60×80×6mmの凸型、角部R=2.1mm
プレス成形金型温度:70℃
<インサート成形>
型締圧力:60ton
金型温度:表2
成形樹脂:住友ダウ株式会社製 PC/ABSアロイ SDポリカ IM6011
成形樹脂温度:260℃
射出速度:表2
成形品外形寸法(L×W×H):60×80×6 mm(肉厚2.5mm)、角部R=2.1mm
(実施例8)
次に記す条件のようにプレ成形、インサート成形した以外は、実施例7と同様の条件で成形体を得た。得られた結果を表2に示す。
<プレ成形>
予備加熱(フィルム温度):80℃
プレ成形方法:プレス成形
プレス成形によるプレ成形品寸法(L×W×H):60×80×6mmの凸型、角部R=2.1mm
プレス成形金型温度:50℃
<インサート成形>
型締圧力:60ton
金型温度:表2
成形樹脂:住友ダウ株式会社製 PC/ABSアロイ SDポリカ IM6011
成形樹脂温度:260℃
射出速度:表2
成形品外形寸法(L×W×H):60×80×6 mm(肉厚2.5mm)、角部R=2.1mm
Figure 2009208324
Figure 2009208324
本発明の用途は特に限定されないが、ミラー、金属調加飾材料、ディスプレイ用光学部材などに特に好適に用いることができるものである。

Claims (5)

  1. 少なくとも樹脂Aからなる層と樹脂Bからなる層を含んでなる積層数が30以上の積層フィルムが基材に被覆されてなる成形体であって、ゲート部に近接した部位に被覆された積層フィルムの層数Hgと、ゲート部から離れた部位に被覆された積層フィルムの層数Haの比(Hg/Ha)が0.7以上1.05以下であることを特徴とする成形体。
  2. 成形体を被覆している積層フィルムのDSC測定における100℃〜200℃の範囲に観察される発熱ピークの熱量が、0J/g以上5J/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の成形体。
  3. 光沢度が500以上の部位を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の成形体。
  4. 成形体の角部近傍に被覆された積層フィルムの厚みTcと、成形体の平坦部に被覆された積層フィルムの厚みTfとの比(Tf/Tc)が、0.8以上3以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成形体。
  5. 少なくとも樹脂Aからなる層と樹脂Bからなる層を含んでなる積層数が30以上の積層フィルムが基材に被覆されてなる成形体であって、成形体の角部近傍に被覆された積層フィルムの厚みTcと、成形体の平坦部に被覆された積層フィルムの厚みTfとの比(Tf/Tc)が、0.8以上3以下であることを特徴とする成形体。
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