JP2011040310A - リチウムイオン電池の負極活物質及び負極構造 - Google Patents

リチウムイオン電池の負極活物質及び負極構造 Download PDF

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Abstract

【課題】 Si系材料からなる負極活物質本来の大なる容量を与えるとともに、良好なサイクル特性をも与えるリチウムイオン電池の負極活物質及び負極構造を提供する。
【解決手段】 リチウムイオン電池の負極活物質は、Bを質量%で0.01%以上0.40%以下で固溶させたSiの単相粉末粒子であることを特徴とする。また、負極構造は、Bを質量%で0.01%以上0.40%以下で固溶させたSiの単相粉末粒子からなる負極活物質をバインダにより結束して集電基板上に堆積させた構造を含むことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、リチウムイオン電池の負極活物質及び負極構造に関し、特に、Siを用いたリチウムイオン電池の負極活物質及び負極構造に関する。
リチウムイオン電池において、従来の黒鉛などの炭素(C)系材料からなる負極活物質に代えて、ケイ素(Si)系材料からなる負極活物質を用いることで容量を高め得ることが期待される。その一方で、わずかな充放電サイクルで容量が減じてしまうサイクル特性の低さや、初期充電容量に対して初期放電容量が小さく、充放電時の容量ロス、いわゆる充放電効率が悪いなどの幾つかの問題も挙げられている。
例えば、特許文献1では、実質的に過冷却状態にあってSiB 等のホウ化ケイ素化合物の析出量の少ない、すなわち過飽和にBを含ませたSi固溶体粉末からなる負極活物質を開示している。このような負極活物質は、所定の粒度を有するSi粉末に0.1〜50重量%の範囲内でB粉末を混合し、所定の熱処理をして得ている。かかる負極活物質によるリチウムイオン電池では、Si系材料からなる負極活物質本来の大きな容量を有し、且つ、充放電時の容量ロスを低減出来る、と述べている。また、前記したB含有Si粉末にC系材料粉末をさらに添加した混合粉末を用いることで、添加したC系材料によって充放電サイクルに伴う負極活物質の膨張・収縮を緩衝させ得て、サイクル特性を改善出来る、とも述べている。
また、特許文献2では、(C,Si,B)12で表される化合物がSiと混合若しくは複合化されている負極活物質を用いたリチウムイオン電池を開示している。Siからなる負極活物質を用いたリチウムイオン電池において、充放電に伴う負極活物質の大きな膨張・収縮によるサイクル特性の低さが特に問題になっていると述べ、これに対して開示のリチウムイオン電池にあっては、高い初期効率と優れたサイクル特性が得られると述べている。この理由について、前記した化合物は、リチウムイオンに対して不活性であり、C系材料のリチウムイオンの挿入・脱離、及び、Si等のリチウムイオンとの合金化・脱合金化の反応に対して、リチウムイオンを安定且つ円滑に負極活物質と反応させる作用を有しているからである、と述べられている。
更に、上記したサイクル特性の低さについて、負極活物質が微粉化したり集電体から脱離して集電性を低下させることに起因し得ることに注目して、負極構造に特徴を持たせたリチウムイオン電池も提案されている。
例えば、特許文献3では、負極活物質粒子が集電体表面に形成された凹部にその底面部を埋め込まれて互いに直接的に接着させられた負極構造を開示している。負極活物質粒子がリチウムを吸蔵しその体積を膨張させても、粒子は縦方向にだけ膨張し、その底面部における集電体表面との接着状態は維持される。このため充放電を繰り返しても集電性を維持し、優れたサイクル特性を得られると述べている。また、このような負極構造を達成する手段として、例えば粉末圧延法、プレス成型法などが挙げられ、ここでは高速気流を基板に高速で衝突させ、粒子を基板上に付着させるコールドスプレー法を例示している。
特開2000−149951号公報 特開2001−266877号公報 特開2005−332797号公報
特許文献1及び2に開示のリチウムイオン電池の実施例においても、Si系材料からなる負極活物質の理論容量に比べて容量が十分に大きいとはいえない。このような負極活物質を、例えば特許文献3のように、集電体表面にその一部を埋め込み直接的に接着したとしても、二次電池としての充放電のサイクル特性の向上は望めるものの、基板への埋め込みにより負極活物質の露出面積が減じられるから、結果として上記した十分な容量は得られない。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、Si系材料からなる負極活物質を用いたリチウムイオン電池において、Si系材料からなる負極活物質本来の大なる容量を与えるとともに、良好なサイクル特性をも与えることのできるリチウムイオン電池の負極活物質及び負極構造の提供を目的とする。
本発明者は、電池容量とサイクル特性の両方のさらなる改善をすべく、リチウムイオン電池の負極材料としてSiにBを所定量だけ積極的に添加することについて試行錯誤し、本発明に至った。
すなわち、本発明によるリチウムイオン電池の負極活物質は、Bを質量%で0.01%以上0.40%以下で固溶させたSiの単相粉末粒子であることを特徴とする。
かかる発明によれば、負極活物質は平衡組成範囲内においてBをSiへ固溶させた単相粉末粒子であり、リチウムの挿入・脱離の繰り返しにおいても相変化を生じない高い相安定性を有する。故に、かかる負極活物質を使用することにより、Si系材料からなる負極活物質本来の大なる容量をリチウムイオン電池に与えるとともに、良好なサイクル特性をも与え得るのである。
本発明によるリチウムイオン電池の負極構造は、Bを質量%で0.01%以上0.40%以下で固溶させたSiの単相粉末粒子からなる負極活物質をバインダにより結束して集電基板上に堆積させた構造を含むことを特徴とする。
かかる発明によれば、負極構造における負極活物質は平衡組成範囲内においてBをSiへ固溶させた単相粉末粒子であり、リチウムの挿入・脱離の繰り返しにおいても相変化を生じない高い相安定性を有する。これをバインダにより結束して集電基板上に積み重なるようにして堆積させた構造を含む負極構造を採用することで、Si系材料からなる負極活物質本来の大なる容量をリチウムイオン電池に与えるとともに、良好なサイクル特性をも与え得る。
上記に加え、単相粉末粒子をバインダ内部に埋包することなくバインダにより結束することで、Si系材料からなる負極活物質本来の大なる容量を大きく減じることなく、しかも充放電時における集電基板からSiの単相粉末粒子の脱離を防止できて、良好なサイクル特性を与え得るのである。
上記した発明において、前記バインダがSn,Cu,Mg,Fe,Co,Ni,Zn,Al,Ge,In,C又はこれらのうちのいずれか1つを含む合金からなることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、上記したように、Si系材料からなる負極活物質本来の大なる容量を大きく減じることなく、しかも充放電時における集電基板からSiの単相粉末粒子の脱離を防止できて、良好なサイクル特性を与え得るのである。
本発明によるリチウムイオン電池の負極構造体の断面図である。 本発明によるリチウムイオン電池の製造方法の中間で得られる複合体の外観図である。 本発明によるリチウムイオン電池の製造方法において使用される装置の図である。 本発明によるリチウムイオン電池の負極構造体の単相粉末粒子の成分組成と抵抗率の関係を示すグラフである。 充放電試験に用いたリチウムイオン電池の分解図である。 リチウムイオン電池による充放電サイクルに対する放電容量の変化をまとめた表である。
本発明の1つの実施例によるリチウムイオン電池の負極構造について、図1を用いて説明する。
負極構造体1において、Cuからなる集電基板2の上には、負極活物質としてのBを所定量だけ固溶させたSiの単相粉末粒子5が積み重なるようにして堆積している。単相粉末粒子5は、Cuからなるバインダ7によってその一部だけを包囲されて互いに結束されている。つまり、単相粉末粒子5がバインダ7内に完全に埋包されてしまわないため、単相粉末粒子5へのリチウムイオンの挿入・脱離が阻害されない。なお、単相粉末の成分組成については後述する。
バインダ7は、単相粉末粒子5同士の結着性を向上させる役割を果たすものであって、ここではCuとした。しかしながら、Cu,Sn,Mg,Fe,Co,Ni,Zn,Al,Ge,In,C又はこれらのうちのいずれか1つを含む合金などであってもよく、ある程度の塑性変形能を有する物質であればよい。つまり、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)などの有機バインダなどであってもよい。なお、バインダ7を与えずとも、単相粉末粒子5を集電基板2上に堆積させ得る場合にあってはこれを省略し得る。
集電基板2は、後述するように、コールドスプレー法による複合体8(図2参照)の堆積において、その表面が衝撃力で塑性変形し得る延性及び/又は展性を有する材料が好ましく、ここではCuからなる圧延銅箔とした。しかしながら、例えば、Cu,Fe,Ni,Al,Zn又はこれらのうちのいずれか1つを含む合金などからなる圧延箔又は板材などであってもよい。
単相粉末粒子5の一部においては、集電基板2の表面から内部に向けて嵌入しており(例えば、図1のA部を参照)、集電基板2の主面と平行方向に沿って力が加えられても相対的な移動が規制される。その上で、バインダ7によって同方向に沿った力が加えられることで、いわゆる「ピン留め」効果で集電基板2と単相粉末粒子5とは分離しづらい。つまり、集電基板2上に堆積されてバインダ7によって結束された単相粉末5の複合体8(図2参照)は集電基板2に強固に密着されるのである。
また、集電基板2に直接的に接している単相粉末粒子5以外は、バインダ7及び他の単相粉末粒子5を介して間接的に集電基板2に固定されている。このような単相粉末粒子5のリチウムイオンの挿入・脱離に伴う体積膨張・収縮によってもバインダ7がこれを吸収し、集電基板2から抜け落ちてしまうことは少ない。
なお、集電基板2に関してコールドスプレー法による実施例を説明したが、従来のリチウムイオン電池の負極の製造に用いられる方法、例えば、導電助材とバインダとを含むスラリー合剤を集電基板2上に塗布して単相粉末粒子5を集電基板2上に堆積させる、いわゆるスラリー法なども採用し得る。この詳細は後述するが、かかる場合にあっても、集電基板2は上記同様の圧延箔又は板材などを使用し得る。
次に、本発明の1つの実施例によるリチウムイオン電池の製造方法について、図1乃至図3を適宜参照し、説明する。
まず、Bを所定量だけ固溶させたSiの単相粉末粒子5を用意する。所定の成分組成となるようにB及びSiを計量し、これをアーク炉、高周波誘導炉などの各種加熱炉で溶解させる。この合金溶湯を、例えば、アトマイズ法による噴霧や回転ロール冷却法により粉体化させて単相粉末粒子5を得る。生産効率の観点からはアトマイズ法による噴霧が好ましい。なお、合金溶湯から粉体を直接得る方法でなくとも、粗大粒を適当な粉砕手段により粉砕して粉体化させる方法であっても良い。更に、必要に応じて、分級処理を施して粒度を調整することが好ましい。
ここで単相粉末粒子5の平均粒子径d50は20ミクロン程度である。平均粒子径d50が小さいと酸化しやすくなり、また凝集してしまうなど取り扱いが煩雑となる。その一方で、平均粒子径d50が大きすぎると、後述する衝突堆積工程において堆積を良好に出来ない傾向にあり、また、不必要に負極構造体1の総厚さを大きくしてしまう。そこで、平均粒子径d50は概ね1〜50ミクロン程度であることが好ましく、更には、20ミクロン程度であることがより好ましい。
次に、図示しないアトライタ混合機に単相粉末粒子5を投入するとともに、平均粒子径d50が5ミクロン程度のCuの粉末を加えて混合し、例えば、図2に模式的に示すようなバインダ7により単相粉末粒子5を結束させた複合体8を得る。
アトライタ混合機に投入する単相粉末粒子5に対するバインダ7の体積比が多いと、単相粉末粒子5がバインダ7に完全に埋包されてしまうため、好ましくない。その一方、かかる体積比が小さいと、単相粉末粒子5同士が結束できない。また、前記したバインダ7の体積比と、混合機の混合時間によって、複合体8の平均粒径を変化させ得る。後述する衝突堆積工程をコールドスプレー法によるなら、集電基板2上への堆積を良好に得るために複合体8の平均粒径d50は50ミクロン程度であることが好ましい。これを達成するように単相粉末粒子5に対するバインダ7の量は、好ましくは重量比でSi:Cu=5:95〜95:5、より好ましくは7:93〜75:25、更に好ましくは10:90〜50:50とする。
なお、上記した複合体8を得る工程は、アトライタ混合機のような混合機でなくとも、分散機、粉砕機などであっても同様に行うことが出来るし、ライカイ装置、ボールミル装置、振動ミル装置、アジテータミル装置などの公知の装置によっても同様に行うことが出来る。
次に、図3に模式的に示したようなコールドスプレー装置30により、複合体8を集電基板2上に堆積させる。詳細には、フィーダ32に複合体8を入れると、粉体導入口32’を介して複合体8がチャンバ34内に導かれ分散する。この複合体8は、図示しないヒータにより加熱されガスノズル36から噴き出す高速ガス気流Fに導かれ、さらに流速絞り部37を経ることで音速近傍まで加速され、Cuからなる集電基板2に対向配置したノズル38から噴射され、集電基板2上に高速で衝突する。
この衝突堆積工程において、複合体8の一部の単相粉末粒子5は、固溶体として大なる強度を有し集電基板2よりも硬いため、集電基板2の表面から内部に向けて嵌入せしめられるのである(図1参照)。また、ノズル38を集電基板2の主面に沿って往復動させることで、複合体8の上から更に複合体8が高速で衝突させられる。このときバインダ7が塑性変形して複合体8同士を合体せしめ、単相粉末粒子5をバインダ7によって結束したネットワーク構造が得られるのである。更に、集電基板2の表面を粗面化しておくと、複合体8の集電基板2上への付着量をより高めることが出来て好ましい。
以上説明したように、1つの実施例におけるリチウムイオン電池の製造方法において、SiにBを加えて溶解した溶融Siを噴霧し、Bを質量%で0.01%以上0.40%以下で固溶させたSiの単相粉末粒子を得るステップと、前記単相粉末粒子をバインダにより結束せしめて複合体を得る結束ステップと、前記複合体を集電基板上に衝突させて堆積させる衝突堆積ステップと、を含むことを特徴とした製造方法であることが好適である。
かかる製造方法によれば、Bを質量%で0.01%以上0.40%以下でSiに固溶させた室温で相安定性の高いSi単相粉末粒子を集電基板上に堆積させ得て、Si系材料からなる負極活物質本来の大なる容量を与えるとともに、良好なサイクル特性をも与え得るリチウムイオン電池を高い生産性でしかも高い品質で得られるのである。
更に、上記した製造方法において、前記バインダがSn,Cu,Mg,Fe,Co,Ni,Zn,Al,Ge,In,C又はこれらのうちのいずれか1つを含む合金からなることを特徴としてもよい。かかる製造方法によれば、単相粉末粒子をバインダ内部に埋包せずとも良好に結束できて、Si系材料からなる負極活物質本来の大なる容量を大きく減じることなく、しかも充放電時における集電基板からSiの単相粉末粒子の脱離を防止できて、良好なサイクル特性を与え得るリチウムイオン電池を得られるのである。
上記した製造方法において、前記衝突堆積ステップは、前記単相粉末粒子の少なくとも一部を前記集電基板に表面から嵌入せしめるステップであることを特徴としてもよい。ここで、前記集電基板は、Cu,Fe,Ni,Al,Zn又はこれらのうちのいずれか1つを含む合金であることを特徴としてもよい。かかる製造方法によれば、Siの単相粉末粒子を集電基板に表面から嵌入させることで、充放電時における集電基板から該単相粉末粒子の脱離をより強固に防止できて、良好なサイクル特性を与え得るリチウムイオン電池を得られるのである。
以上により、図1に示すような負極構造体1を得ることが出来る。かかる負極構造体1は、セパレータを挟んで正極を組み立てるなどの工程を経てリチウムイオン電池に組み込まれていくが、公知の工程であるが故に、ここでは説明を省略する。
なお、上記した製造方法によって得られる負極構造体1の単相粉末粒子5において、SiへのBの固溶量の適正値を求めるため、溶製したバルク材を使用して抵抗率を測定した試験を行っている。これについて説明する。
純度11Nの高純度Siとともに所定量のBを溶解して、Bを0〜0.50質量%の範囲で固溶させた溶製バルク材(20×20×10[mm])を得た。この溶製バルク材について、四端子法によりその抵抗率を測定した。
図4は、抵抗率の測定結果を示すグラフである。11Nの超高純度Si(金属Si)では、抵抗率は3.6[Ω・cm]であるが、これにBを固溶させていくと急激に抵抗率が低下する。そして、質量%で0.40%を超えるとほぼ一定となる。
その一方で、リチウムの挿入・脱離の繰り返しで相変化を生じない、室温で高い相安定性を有するB含有Si固溶体とするためには、室温近傍におけるSiへのBの固溶が過飽和とならない範囲とすることが必要である。つまり、平衡状態における室温近傍でのSiに対するBの固溶量は質量%で0.40%程度であり、本発明者においては、Siに対してBを質量%で0.01%以上0.40%以下で固溶させた成分組成が好ましいとの結論に至った。
上記した実施例によるリチウムイオン電池の製造方法によれば、Bを質量%で0.01%以上0.40%以下でSiに固溶させた室温で相安定性の高いSi単相粉末粒子を集電基板上に堆積させたことで、ケイ素系材料からなる負極活物質本来の大なる容量を与えるとともに、良好なサイクル特性をも与え得るリチウムイオン電池を高い生産性でしかも高い品質で得られるのである。
次に、上記した本発明の1つの実施例によるリチウムイオン電池の製造方法によって得られたリチウムイオン電池の充放電繰り返し数と放電容量の関係について試験を行った。なお、リチウムイオン電池を製造するための詳細は以下の如きである。
上記したガスアトマイズ法により得られた単相粉末粒子5の平均粒径d50は18ミクロンであった。この測定は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置によって行った。
また、複合体8の製造は、乾式アトライタ混合機により、上記した単相粉末粒子5に平均粒径d50=5ミクロンのCu粉末を25:75の質量比で混合して行った。アトライタ混合機の仕様及び操作条件は以下の如きである:
ポット材質:SUS304
ポット容量:1.8リットル
ボール寸法:3/8インチ
ボール材質:SUJ2
ボール質量:17.5kg
回転数:300rpm
処理時間:10分
雰囲気ガス:アルゴン
原料仕込量:1リットル
次に、得られた複合体8をCu箔からなる集電基板2上にコールドスプレー法で堆積させるが、このコールドスプレー装置(図3参照)の仕様及び操作条件等は、以下の如きである:
集電基板寸法:90×120×0.018mm
ノズル先端から集電基板までの距離:10mm
噴射圧力:345kPa
加熱温度:116℃
噴射量:1.6g/分
次に、図5に示すように2032型コインセル11を組み立てる。まず、複合体8を堆積させた集電基板2を直径12mmの円板に打ち抜いた。一方、対極として、厚さ500ミクロンのリチウム箔を直径12mmに打ち抜いて対向電極基板12を用意した。
更に、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比1:1で混合した溶媒にLiPFを1.0mol/lの割合で溶解した電解液を調整した。そして図5に示すように、ポリオレフィン系樹脂製微多孔膜セパレータ14とガラスフィルター16とを重ね、これに電解液を含浸させた。その上下に打ち抜いた集電基板2及び対向電極基板12を配置した。
以上のようにして得た2032型コインセルを使用して、0.2Cレート(5時間で充電又は放電することを示す)で充放電させてサイクル試験を行った。この結果を図6に示した。図6には、初回の充放電における放電容量と充電容量に対する放電容量の比(充放電効率)、2サイクル目における放電容量、及び、50サイクル目における放電容量と初回の放電容量に対する比(放電容量維持率)をまとめた。
これによれば、BをわずかでもSiに固溶させることで放電容量及び放電容量維持率が大幅に向上することが判る。一方で、室温近傍におけるSiに対するBの固溶限である約0.4質量%程度を超えると、特に、放電容量維持率が低下してしまう。つまり、放電容量、特に、放電容量維持率が高い値で且つ組成にほとんど依存しない、質量%でBを0.01%以上0.40%以下でSiに固溶させた負極活物質が好ましいのである。さらに詳細に調査したところ、放電容量及び放電容量維持率ともに組成にほとんど依存しない質量%でBを0.08以上0.12%以下でSiに固溶させた負極活物質がより好ましい。
なお、上記したようにSiへのBの固溶量を増やすことで初期放電容量が向上するが、これはBの固溶量が増えると固溶体Siの電気伝導度が上昇し、負極活物質としてのSi単相粉末粒子内部までLiが反応し易くなったためと予想される。
ここまで本発明による代表的実施例及びこれに基づく変形例を示したが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではなく、適宜、当業者によって変更され得る。すなわち、当業者であれば、添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の代替実施例及び改変例を見出すことが出来るであろう。
1 負極構造体
2 集電基板
5 単相粉末粒子
7 バインダ
8 複合体

Claims (3)

  1. Bを質量%で0.01%以上0.40%以下で固溶させたSiの単相粉末粒子であることを特徴とするリチウムイオン電池の負極活物質。
  2. Bを質量%で0.01%以上0.40%以下で固溶させたSiの単相粉末粒子からなる負極活物質をバインダにより結束して集電基板上に堆積させた構造を含むことを特徴とするリチウムイオン電池の負極構造。
  3. 前記バインダがSn,Cu,Mg,Fe,Co,Ni,Zn,Al,Ge,In,C又はこれらのうちのいずれか1つを含む合金からなることを特徴とする請求項2記載のリチウムイオン電池の負極構造。
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