JP2011026341A - 鼻孔投与用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】勃起障害治療のためのより慎重で非侵襲性(non-invasive)な方法の提供。
【解決手段】アポモルフィンなどの勃起障害治療薬、ポロオキサミンなどのブロック共重合体とペクチンなどの
アニオン性多糖類を含有する鼻孔投与のための、鼻孔でゲル化するのに適した液体組成物。
【効果】重大な有害反応や副作用なしで勃起障害の患者に効果的な勃起をさせるであろう体循環における薬物の血液濃度(blood level)対時間特性を与える。
【選択図】図2
【解決手段】アポモルフィンなどの勃起障害治療薬、ポロオキサミンなどのブロック共重合体とペクチンなどの
アニオン性多糖類を含有する鼻孔投与のための、鼻孔でゲル化するのに適した液体組成物。
【効果】重大な有害反応や副作用なしで勃起障害の患者に効果的な勃起をさせるであろう体循環における薬物の血液濃度(blood level)対時間特性を与える。
【選択図】図2
Description
本発明は、薬物の鼻孔投与用組成物に関するものであり、特に、勃起障害を治療するための薬物、例えば、アポモルフィンの鼻孔投与用組成物に関するものである。また、本発明は、勃起障害を治療するための薬物の鼻孔投与に関するものである。
勃起障害は中年層の男性の間で主要な医学的問題である。ホルモン治療だけでなく局部注射を含む様々な医学的治療が提案されてきた。この点において、プロスタグランジン(prostaglandins)が特に有用であった。
障害の治療に適した他の薬物には、例えば、フェントラミン(phentolamine)、フェノキシベンザミン(phenoxybenzamine)、ヨヒンビン(yohimbine)、モキシシリートデラクアミン(moxislyte delaquamine)などのα−アドレナリン受容体拮抗物質(alpha-adrenoreceptor antagonists)や、例えば、アポモルフィン(apomorphine)など中枢D2受容体拮抗活性(central D2-receptor antagonist activity)を有する化合物や、例えば、トラザドン(trazadone)、クロロフェニルピペラジン(chlorophenylpiperazine)など主として神経終末へのセロトニンの再吸収を阻害することによって作用する化合物や、例えば、シルデナフィル(sildenafil)などc−GMPタイプVホスホジエステラーゼ(c-GMP type V phosphodiesterases)の競合性かつ選択性阻害因子や、L−アルギニン(L-arginine)や、パパベリン(papaverine)が含まれる。
現在、上記薬物の投与には、コンプライアンス(compliance)に関する付帯の問題を有する陰茎への局部注射が必要となる。勃起障害治療のためのより慎重で非侵襲性(non-invasive)な方法はかなり有利となるだろう。
勃起障害用の薬物は、胃腸管から吸収されるために経口的に投与されるが、薬物が胃を介して小腸に入り吸収領域へと通過しなければならないので、経口吸収(oral absorption)が遅いことが当業者によってよく知られている。腸内における薬物の出現が食物によって遅れうる。従って、経口吸収は不安定で予測できない傾向がある。それ故、この供給経路は適していない。舌下組織や頬組織を含む口腔は投与のための代替部位である。しかしながら、口の組織は腸とは異なり有効に物質を吸収しないので、一般的にこの部位からの薬物吸収は遅いということが言われている。さらに、口の中に入れられた薬物は刺激的で苦い。
勃起障害用の薬物は、胃腸管から吸収されるために経口的に投与されるが、薬物が胃を介して小腸に入り吸収領域へと通過しなければならないので、経口吸収(oral absorption)が遅いことが当業者によってよく知られている。腸内における薬物の出現が食物によって遅れうる。従って、経口吸収は不安定で予測できない傾向がある。それ故、この供給経路は適していない。舌下組織や頬組織を含む口腔は投与のための代替部位である。しかしながら、口の組織は腸とは異なり有効に物質を吸収しないので、一般的にこの部位からの薬物吸収は遅いということが言われている。さらに、口の中に入れられた薬物は刺激的で苦い。
肺には薬物供給のための他の部位がある。肺は速い吸収を提供するが、投与には噴霧器や吸入器といった形式の装置を使用する必要があり、投与量によって制限されうる。多くの薬物は、肺の中に吸入されるとき刺激があり、気管支けいれんを引き起こしうる。
鼻孔上皮は良い透過性と良い血液供給を有し、肝臓内での第一通過代謝効果(first-pass metabolic effect in the liver)が避けられるので経口投与後に代謝される薬物が鼻からよく吸収されることが知られている。それ故、勃起障害治療用薬物の鼻孔投与は、潜在的に魅力があり試みられた。しかしながら、副作用や有害反応がよくあった。
薬物アポモルフィン(6aR)−5,6,6a,7−テトラヒドロ−6−メチル−4H−ジベンゾ(d,e,g)クイノリン−10,11−ジオール半水化物(apomorphine (6aR)-5, 6, 6a, 7-tetrahydro-6-methyl-4H-dibenzo(d, e, g) quinoline-10, 11-diol hemihydrate)が勃起障害の治療に効果的であることが知られている(DanJou et al. Brit. J. Clin. Pharmacol. 26, 733, 1988)。しかしながら、その薬物は、例えばパーキンソン症候群などの病気に使用されていて、その薬物については経口、直腸、鼻孔経路が報告されていることが知られている。鼻孔内のアポモルフィンはパーキンソン症に有用であることが示されていた(Sam et al. Eur. J. Drug Metab. Pharmacokinet. 20, 27, 1995; Dewey et al. Clin. Neuropharmacol. 19, 193, 1996)。しかし、それは一過性鼻孔遮断(transient nasal blockage)や熱傷感覚(burning sensation)を伴う(Kleedorfer et al, Neurology 41, 761, 1991)。
アポモルフィンの鼻孔吸収の程度が、様々な試薬、例えば、Merkusによって記載されサイクロデキストリン(cyclodextrins)を含む試薬を使用することによって高められることができる(WO-91/22445)。皮下注射の形式で行った場合と比較した体循環内に出現する薬物の量で定義された生物学的利用率は約40%であると述べられている。
局所反応や副作用が、パーキンソン症治療用に鼻孔内のアポモルフィンを受容した患者に許容されるかもしれないが、そのような副作用が勃起障害治療用に鼻孔内のアポモルフィンを摂取した明らかに健康な患者に対してすべて適切であるものではないだろう。
便利さを強調した勃起障害に使用されるアポモルフィンの投与経路に対して注意が与えられてきた。Heatonら(Neurology, 45, 200-205)は患者に対して行った研究で様々な投与経路を比較した。アポモルフィンの鼻孔投与によって速い作用発現(onset of action)がもたらされるが、受け入れがたい副作用、例えば、あくび、吐き気、嘔吐、めまい、視朦、発汗、蒼白、軽い高血圧(mild hypertension)などが伴うことから適切でないということが彼らによって報告された。彼らの好ましいシステムとして、さらにUS-5624677とWO-95/28930で記述されている舌下製剤(sublingual formulation)がある。しかしながら、上記のように、舌下製剤が薬物の吸収をもたらすことができるが、そのような吸収は遅く一定しないことが知られている。さらに、人体の口内粘膜の浸透性が悪いため、吸収される量は制限されるだろう。加えて、舌下アポモルフィン(sublingual apomorphine)後の緑色の着色によって、低味覚(poor taste)や粘膜潰瘍(mucosal ulceration)が伴うことが報告されている。
従って、アポモルフィンの鼻孔投与が従来技術文献や特許公報に記載されている。記載された製剤は一般的に本質的に単純で、すべてが薬物の拍動性供給(pulsatile delivery)をもたらし、その結果として、局所反応と副作用をもたらす細胞質濃度(plasma level)−時間特性における鋭く高い初期ピークを引き起こす。特に、従来技術に記載された鼻孔製剤(nasal formultions)は、速い薬物吸収を調節するような添加物を有していない。
WO-94/27576には、ニコチンの鼻孔供給(nasal delivery)は、ピークレベルの組み合わせ(たばこによって供給されたニコチンのいわゆる「うなり」効果("buzz" effect))とその後の制御された放出相(subsequent controlled release phase)を提供するように修正されることができることが記載されている。従って、WO-94/27576は、延長された時間以上にニコチンを血流に供給するといった問題について扱っている。勃起障害の治療に使用される薬物、例えば、アポモルフィンなどに対する副作用や有害反応を最小限にするために細胞質濃度−時間の特性の減少については言及されても暗示されてもいない。
Ugowkら(J. Control. Rel. 48, 1997, 302)は、パーキンソン症治療用のアポモルフィン塩酸塩についての粘膜粘着性鼻孔形態(mucoadhesive nasal forms)を記載した。アポモルフィンをゼラチンマイクロスフェア(gelatin microspheres)に組み込むといった試みがなされたが、被包効率(encapsulation efficiencies)が時々非常に低いことが報告された。Ugowkらはまた、ポリカルボフィル(polycarbophil)またはカーボマー(carbomer)(カルボキシポリメチレン(carboxypolymethylene))と合わせたアポモルフィンの粉末製剤であって、100mgのアポモルフィンと1gのポリマーとが化合しその後フリーズドライした製剤について記載した。この発明の組成が記載されていなかった。
従って、従来技術は、ほとんどの勃起障害治療用薬物の鼻孔供給が受け入れがたい副作用を伴う傾向にあることを教示している。
勃起障害治療用の制御された放出鼻孔製剤(controlled release nasal formulations)が、以前には記載されていなかった。
この問題について研究した結果、出願人は、勃起障害治療用の薬物、例えば、アポモルフィンの鼻孔投与に伴う有害反応や副作用が、不適切な細胞質濃度/時間特性の結果により、さらに詳しくは初期高ピーク細胞質濃度の結果によるものだろうと理解した。我々はさらに、薬物と、多糖類やエチレン酸化物(オキシエチレン)部分を含むブロック共重合体などの制御された放出効果を提供するある薬学的添加物とを化合することによって、そのような副作用が小さくなり、さらに取り除かれるだろうと理解した。さらに詳しくは、薬物投入の持続濃度(more sustained level of drug input)に続く薬物の細胞質濃度における初期上昇を提供する勃起障害治療用の薬物に適した制御された放出鼻孔製剤を我々は発見した。これら鼻孔製剤は、ピーク細胞質濃度の減少ではあるが必ずしも細胞質濃度対時間特性の元での領域の減少を意味しない、より平坦な細胞質濃度/時間特性を提供することが可能である。
本発明の第1の側面によると、勃起障害の治療に適した薬物を有し、組成物は前記薬物の持続細胞質濃度(sustained plasma level of the drug)に続く細胞質濃度(plasma level)における初期上昇を提供するのに適している鼻孔投与用組成物(composition for nasal delivery)がある。
本発明の第2の側面によると、例えばアポモルフィンまたはその塩などの勃起障害の治療に有用な薬物と、例えば薬物またはエチレン酸化物部分を含むブロック共重合体に依存するアニオン性またはカチオン性多糖類の形態を有する1以上の添加物とを有し、組成物は前記薬物の持続細胞質濃度に続く細胞質濃度における初期上昇を提供するのに適している鼻孔投与用組成物がある。
勃起障害治療に有用であるここで記載されている薬物のいくつかは他の症状の治療にも有用で、そのような薬物を含む発明の組成物も他の症状の治療にも有用であることが知られていることは、当業者にとって明白であろう。その例として、パーキンソン症治療のためのアポモルフィンがある。
このような組成物を使用することによって、重大な有害反応や副作用なしで勃起障害の患者に効果的な勃起をさせるであろう体循環における薬物の血液濃度(blood level)対時間特性を与えるために、鼻孔を介して勃起障害を治療するのに適した薬物を投与することが可能である。上述のように、そのような薬物を含む簡易な鼻孔スプレーは、有害反応や悪い効能を伴う濃度の速い傾きに続く初期の血液中における薬物の高ピーク濃度を提供するので、満足のいかない投与形式である。
本発明の鼻孔製剤を使用することによって薬物が投与されるとき、薬物細胞質濃度における初期上昇が速い。しかしながら、従来の鼻孔製剤を使用することによって薬物が投与されたときと比べて同じぐらいの速さで上昇が起こらない。さらに、発明の鼻孔製剤を使用することによって達した薬物のピーク細胞質濃度は、従来の鼻孔製剤を使用することによって達したピーク細胞質濃度ほど高くはない。
「薬物の細胞質濃度における初期上昇」とは、一般的にピーク細胞質濃度が鼻孔投与から45分以内に、好ましくは30分以内に、さらに好ましくは15分以内に達することを意味する。細胞質濃度対時間特性(例えば、ng/ml)におけるピークは、一般的に、薬物の即時放出製剤(immediate release formulation)、例えば、制御された放出効果を備えることに適していない従来の鼻孔スプレー溶液で得られた濃度の75%以下に、好ましくは50%以下に減少するであろう。
それぞれの薬物は、薬物の特性に依存した効果的な濃度の独自の特別な範囲を有しているだろう。例えば、アポモルフィンについては、薬物の「細胞質濃度における初期上昇」は、組成物の鼻孔投与後30分以内に、好ましくは20分以内に、さらに好ましくは10分以内に、0.05から50ng/mlまで、好ましくは0.25から10ng/mlまで、さらに好ましくは0.5から5.0ng/mlまでの濃度にしなければならない。
薬物の「持続細胞質濃度」とは、細胞質濃度が一般的に5から120分間、好ましくは10から60分間、さらに好ましくは15から45分間、臨床的効果(clinical effect)に必要な濃度(効果的な濃度)に維持されることを意味する。
好ましい実施例では、薬物の細胞質濃度が5から120分間、好ましくは10から60分間、さらに好ましくは15から45分間、細胞質濃度における初期上昇後に達した濃度でほぼ保持されるだろう。
本発明の組成物で使用される薬物は弱塩基性または弱酸性にしてもよい。「弱塩基」とは、pKaが10未満である薬物を意味し、「弱酸」とは、pKaが2.5より大きい薬物を意味する。
本発明の鼻孔組成物に使用するのに適した薬物には、例えば、フェントラミン、フェノキシベンザミン、ヨヒンビン、モキシシリートデラクアミンなどα−アドレナリン受容体拮抗物質と、例えば、アポモルフィンなど中枢D2受容体拮抗活性を有する化合物と、例えば、トラザドン、クロロフェニルピペラジンなど主として神経終末へのセロトニンの再吸収を阻害することによって作用する化合物と、例えば、シルデナフィルなどc−GMPタイプVホスホジエステラーゼの競合性かつ選択性阻害因子と、L−アルギニンと、パパベリンとが含まれる。
薬学的に許容可能な上記化合物の誘導体、例えば、その薬学的に許容可能な塩もまた使用してもよい。これら薬物の詳細な論評は、Gascia-RebollらによるDrugs for the Treatment of Impotenceと題する論評の中に掲載されている。Drugs and Aging 11, 140-151 (1997)。
好ましい薬物には、中枢D2受容体拮抗活性を有する薬物またはα−アドレナリン受容体拮抗物質とが含まれる。中枢D2受容体拮抗活性を有する薬物は特に重要で、特にアポモルフィンは重要である。
薬学的に許容可能な様々な添加物が、薬物と複合体(complex)を形成しまたは薬物が混入する組成物を含む本発明の組成物に使用されることができる。特にこの材料は、多糖類とPEGylatedブロック共重合体、すなわち、エチレン酸化物部分を繰り返すことで生成されたブロックを含むブロック共重合体を含む。
液体組成物の場合、適当な添加物には、例えば、アルギン酸ナトリウム(sodium alginate)、キサンタン(xanthan)、ゲランガム(gellan gum)、ウェラン(welan)、ラムサン(rhamsan)、寒天(agar)、カラゲーニン(carageenan)、硫酸デキストラン(dextran sulphate)、ケラチン(keratan)、皮膚(dermatan)、ペクチン(pectin)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)およびそれらの塩などの天然高分子材料が含まれる。例えば、カルボキシメチルセルロースなど修正された多糖類材料は、エチレン酸化物単位を繰り返すことによって生成される1以上のブロックを含むブロック共重合体と同様に使用可能である。これら材料は例としてあげられ、そのリストは徹底的に調べられているものではない。
液体組成物を生成するための方法において、例えば多糖類またはエチレン酸化物部分を含むブロック共重合などの添加物材料が、超純水または緩衝系(buffer system)または例えば塩化ナトリウムなどの様々な塩を加えた超純水中で溶解される。溶液は一晩中または材料が溶解するまで撹拌される。アポモルフィンとともに、薬物が同様な水溶系に溶解されても、添加物材料溶液に加えられてもよい。それに代わって、アポモルフィンが直接添加物溶液に溶解されてもよい。最終的な液体組成物中のアポモルフィンの適切な濃度は、1mg/mlから200mg/mlの間、好ましくは2mg/mlから100mg/mlの間、さらに好ましくは5mg/mlから50mg/mlの間である。必要な添加物材料の濃度は使用される材料の種類に依存するが、一般的には0.01%w/vから50%w/vの間であり、このことは、100mlの水などの液体に対して添加物が0.01から50gであることを意味する。添加物材料の好ましい濃度は、0.1%w/vから50%w/vの間、すなわち、液体100g当たり添加物0.1から50gの間であり、さらに好ましくは0.5%w/vから50%w/vの間であり、特に1.0%w/vから30%w/vである。
粉末組成物については、カルボン酸デンプンマイクロスフェア(carboxylated starch microspheres)またはパーストープ(Perstorp)(スウェーデン)から入手される正電荷を帯びている(positively charged)マイクロスフェアおよび例えばカルボキシルメチルセルロース(carboxylmethyl cellulose)、アルギン酸ナトリウム、チトサン(chitosan)などの天然高分子から生成されたマイクロスフェアを使用することが可能である。
粉末系(powder systems)を生成する方法において、平均直径が0.5μmから300μmであるマイクロスフェアが水中で、または溶解された薬物を含む水の中で懸濁され、製剤がフリーズドライされる。もしマイクロスフェアが純水中で懸濁されるならば、フリーズドライ前に薬物が懸濁液に加えられる。アポモルフィンについては、マイクロスフェア1mg当たりのアポモルフィンの最終的な濃度は、一般的に0.01mg/mgから5.0mg/mgの間、好ましくは0.02mg/mgから2.5mg/mgの間、さらに好ましくは0.025mg/mgから0.25mg/mgの間である。マイクロスフェアに対する薬物の重量比は、マイクロスフェア10パート(parts)に対して薬物が1から5パート(parts)の範囲内であることが特に好ましい。
マイクロスフェアの形態で粉末系を生成する他の方法において、例えばアポモルフィンである薬物とマイクロスフェアが機械的に乾燥状態で混合される。
アポモルフィン以外の薬物が使用されるとき、上記の方法および量は当業者によく知られている技術に従って容易に修正される。
使用前に水を加えることによって還元(recostitution)するために液体組成物をフリーズドライすることが可能であろう。
液体組成物のための好ましい添加物材料には、ペクチン、ゲランガム、アルギン酸塩、ウェラン、ラムサン、キサンタン、カラゲーニンが含まれ、好ましくはペクチン、ゲランガム、アルギン酸塩、ウェラン、ラムサンが含まれ、特にペクチン、ゲランガムが含まれる。
ゲランガムはシュードモナスエロダエ(Pseudomonas elodae)からの細胞外多糖類が脱アセチル化された形態である。天然/高アシルゲラン(native/high-acyl gellan)はD−グルクロノピラノシル(D-glucuronopyranosyl)、D−グルコピラノシル(D-glucopyranosyl)およびL−ラムノピラノシル(L-rhamnopyranosyl)を含む四糖類繰り返し単位の直線配列とアシル基で構成されている。
アルギン酸塩は、2つのモノマー単位の部分構造(building blocks)、すなわち、β−D−マンヌロノピラノシル(β-D-mannuronopyranosyl)およびα−グルロノピラノシル(α-guluronopyranosyl)単位から成り立っている。D−マンヌロン酸(D-mannuronic acid)とL−グルロン酸(L-guluronic acid)との割合およびそれらの配列によって、様々な海藻源(seaweed sources)から抽出されたアルギン酸塩(alginates)についての観測される特性が予測される。
ウェランはアルカリゲネス種(Alcaligene species)によって生成される。ウェランはゲラン(gellan)と同様な基本繰り返し単位を有するが、単体グリコシル側鎖置換基(single glycosyl sidechain substituent)を有する。側鎖単位(side unit)は、バックボーン内の4−0−置換β−D−グルコピラノシル単位(4-0-substituted β-D-glucopyranosyl unit)に結合された(linked)(1−>3)α−L−ラムノピラノシル(α-L-rhamnopyranosyl)またはα−L−マンノピラノシル(α-L-mannopyranosyl)単位のどちらでもよい。
ラムサンはアルカリゲネス種(Alcaligenes species)によって生成される。ラムサンはゲランと同様な繰り返しバックボーン単位を有するが、3−O−置換β−D−グルコピラノシル単位(4-O-substituted β-D-glucopyranosyl unit)の0−6上に二糖類側鎖(disaccharide sidechain)を有する。側鎖は、β−D−グルコピラノシル−(1−6)−α−D−グルコピラノシル単位(β-D-glucopyranosyl-(1-6)-α-D-glucopyranosyl unit)である。
キサンタンは大量のキサントモナ菌種(Xanthomonas strains)によって生成される。(1−>4)結合β−D−グルコピラノシル単位((1->4)-linked β-D-glucopyranosyl units)で生成された高分子バックボーンは、セルロースのそれと同一である。0−3位置でD−グルコシル単位(D-glucosyl unit)を替えるために、2つのD−マンノシル単位(D-mannosyl units)との間のD−グルコロノシル単位(D-glucoronosyl unit)を含む三糖類側鎖が付加される。末端β−D−マンノピラノシル単位(terminal β-D-mannopyranosyl unit)が、次々にα−D−マンノピラノシル単位(α-D-mannopyranosyl unit)の0−2位置にグリコシド的に(glycosidically)結合されているβ−D−グルコピラノシルロン酸単位(β-D-glucopyranosyluronic acid unit)の0−4位置にグリコシド的に結合されている。
カラゲーニンは、ギガルチナセアエ(Gigartinaceae)、ヒプネアセアエ(hypneaceae)、ソリエリアセアエ(Solieriaceae)、フィロホラセアエ(Phyllophoraceae)、およびフルセラリアセアエ(Furcellariaceae)科の赤色海藻類から抽出された直線状ガラクタン多糖類(linear galactan polysaccharides)のグループである。
ペクチンは特に好ましい材料で、柑橘類果物の果皮の内側部分の希酸抽出物(dilute acid extract)またはリンゴの絞りかすから得られる。それは、一部メトキシル化ポリガラクツトロン酸(methoxylated polygalacturonic acids)で成り立っている。ペクチン溶液のゲル化特性が、ペクチン濃度、ペクチンの種類で制御可能だが、特にエステル化度(degree of esterification)および添加された塩の存在で制御されることが可能である。
例えば、ペクチンまたはゲランとアルギン酸塩などの他の高分子との混合物など添加物の混合物も使用でき、ペクチンまたはゲランガムによって混合物のゲル化が引き起こされる。ゴムの他の組み合わせもまた使用でき、特に、この組み合わせによって、例えばゲル化特性の点から相乗効果が得られる。例として、キサンタン−イナゴ豆ガム(locust bean gum)の組み合わせがある。
液体組成物用の好ましい添加物は、流動液体(mobile liquid)として組成物が投与されるようにするものであるが、鼻孔内では組成物をゲル化させ、それによって長時間吸収表面(absorptive surface)に薬物を保持するように作用する生物的粘着効果(bioadhesive effect)を備えるものである。アニオン性多糖類ペクチンおよびゲランは、適切な組成物に調剤されたとき鼻孔体液中のカチオンの存在によって鼻孔内でゲル化する材料の例である。
ペクチンまたはゲランを有する液体組成物は、一般的に水または水性緩衝系中に0.01から20%w/vのペクチンまたはゲランを有する。このことは、ペクチンまたはゲランが水または水性緩衝液100ml当たり0.01から20g存在することを意味する。水または水性緩衝液中のペクチンまたはゲランの好ましい濃度は0.1%から15%w/vであり、さらに好ましくは0.1から5.0%w/vであり、特に0.2%から1%w/vである。
例えば、ペクチンやゲランガムなど、イオンの存在でゲル化する添加物を含む液体組成物を使用することによって鼻孔内で起こるゲル化については、電解溶液誘導ゲル化ポイント(point of electrolyte induced gelation)に接近するように一価イオンおよび二価イオンカチオンまたはどちらか一方を組成物に加える必要がある。そのような組成物が鼻孔に投与されるとき、鼻孔体液に存在する内生カチオンが流動液体組成物をゲル化させる。換言すれば、組成物のイオン強度は、投与しやすい低粘度製剤を得るために十分低く保たれるが、鼻孔体液中のカチオンの存在によってゲル化が起こる鼻孔内に投与されたとたんにゲル化を確保するために十分高くなる。
組成物に加えられる適当なカチオンには、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムが含まれる。イオン濃度は、必要とされるゲル化度(degree of gelling)に応じて、さらに、アポモルフィンなど弱塩基で正電荷を帯びている薬物分子が一価カチオンとして作用し、ペクチンまたはゲラン系のゲル化特性に影響を及ぼす傾向にあるので、イオン化された薬物の存在がゲル化に影響を及ぼすことを考慮しながら選択される。例えば、0.2%w/vのゲランを有する、すなわち、液体100ml当たりゲラン0.2gを有する液体組成物については、二価イオンであるカルシウムおよびマグネシウムが、一価イオンであるナトリウムおよびカリウムの必要とされるモル濃度の約40分の1(1/40)のモル濃度で、最大ゲル硬度および最大ゲル率(maximum gel hardness and modulus)を与える。各々のカチオンの有限濃度(finite concentration)は、ゲル化を引き起こすために必要とされる。
ペクチンまたはゲランガム0.5%w/vを有する液体鼻孔組成物のイオン強度は、一価イオンについては0.1mMから50mMまで、好ましい範囲は1mMから5mMであって、二価イオンについては0.1mMから5mMまで、好ましい範囲は0.15mMから1mMである。ペクチンまたはゲランガムの濃度を高くするために、それに応じてイオン強度を低くしなければならない。カチオンは、アニオン性多糖類と結合するための正電荷を帯びている薬物、例えばアポモルフィンと競合するだろう。カチオンの濃度は、十分な量の正電荷を帯びている薬物がイオン交換アニオン性多糖類(ion-exchanged anionic polysaccharide)と結合するように制御されねばならない。
例えばアポモルフィンのような塩基性薬物とイオン交換アニオン性多糖類との複合体が、負電荷を帯びている多糖類と正電荷を帯びている薬物との間のイオン相互作用の結果として形成する。従って、組成物のpHは、2物質がよくイオン化されるようにしなければならない。アポモルフィンに対しては、pHが適切な緩衝液または酸によって、pH3からpH8までの範囲に、好ましくはpH4からpH6までの範囲に保たれなければならない。このようなイオン交換多糖類については、例えば、アポモルフィンなどのような正電荷を帯びている薬物が塩基としてまたは塩として加えられることが可能である。薬物が塩の形態で使用される場合、薬物は水性環境内でたちまちイオン化する傾向にある。薬物が塩基の形態で使用されるならば、薬物がイオン化され多糖類と相互作用することが可能になることを確実にするように、適切な酸を加えることによって系のpHが制御されることができる。
例えば、ポロオキサマー(ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体)(poloxamer (polyoxyethylene-polyoxypropylene block copolymer))またはポリ乳酸(polylactic acid)とポリオキシエチレンのブロック共重合体(PLA−PEG)などのブロック共重合体が、液体組成物の中で添加物として使用されてもよい。ポロオキサマーは、様々な分子量とブロック構造を有するPluronic(商標)とTetronic(商標)シリーズとしてBASFから得られる。好ましいブロック共重合体は、ポロオキサマー407(Poloxamer 407)として知られるPluronic(商標)F127である。
添加物として使用されてもよい他の高分子には、EP-A-0166596に記載されている方法、または、Dengら(J. Polymer Sci. Part C Polymer letters, 24, 411, 1988)、Zhuら(J. Polym. Sci. Polm. Chem. 27, 2151, 1989)またはGrefら(Science, 263, 1600, 1994)、PCT/WO95/03357に記載されている方法によって合成されたPLA−PEG共重合体が含まれる。温度が上昇するときにゲル化するPLA−PEGの水溶性直線状三ブロック共重合体(water soluble linear tri-block copolymers)が特に好ましい。これらは、Jeongら Nature. 388, 860, 1997によって記載されている。液体製剤中のブロック共重合の適切な濃度は5から50%w/vの間であり、このことは、例えば水などの液体100ml当たり共重合体が5から50gであることを意味する。濃度が10から30%w/vまでであることが特に好ましい。
本発明の液体鼻孔組成物には、他の薬学的に許容可能で毒性のない成分、例えば、防腐剤、抗酸化剤(antioxidants)、着香剤(flavourings)が含まれる。ベンズアルコニウム塩化物(Benzalkonium chloride)は、防腐剤として使用されてもよい。また、おそらくは自動酸化(auto-oxidation)によって、アポモルフィンが不安定な状態を明示できることも知られている。このように、メタ重亜硫酸ナトリウム(sodium metabisulphite)やアスコルビン酸(ascorbic acid)のような安定剤は組成物に加えられることが可能である。
本発明による製剤がマイクロスフェアの形態である場合、カルボン酸残留物(carboxylic acid residues)、カルボキシメチル基(carboxymethyl groups)、サルホプロピル基(sulphopropyl groups)、及びメチル硫酸基(methylsulphonate groups)のような適切なアニオン基(anionic groups)、あるいはアミノ基(amino groups)のような適切なカチオン基(cationic groups)を運搬するものを含む多糖類マイクロスフェアが使用されてもよい。カルボン酸デンプンマイクロスフェア(carboxylated starch microspheres)は特に好ましい。カルボン酸デンプンマイクロスフェア(Cadexomer(商標))は、Perstorp(スウェーデン)から入手可能である。
マイクロスフェア用の他の適切な材料には、Kwon ら(Int. J. Pharm. 79, 191, 1991) によって記載されているように、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)、コンドロ硫酸塩(chondroition sulphate)、アルギン酸塩(alginate)、ヘパリン(heparin)及び共役ヘパリン−アルブミン(heparin-albumin conjugates)が含まれる。
更に、マイクロスフェア用に使用されてもよい材料には、カルボキシメチルデキストラン(carboxymethyl dextran)(例えば、CM Sephadex(商標))、サルホプロピルデキストラン(sulphopropyl dextran)(例えば、SP Sephadex(商標))、カルボキシメチルアガロース(carboxymethyl agarose)(例えば、CM Sepharose(商標))、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose)、リン酸セルロース(cellulose phosphate)、サルホキシルセルロース(sulphoxyethyl cellulose)、アガロース(agarose)(例えば、Sepharose(商標))、セルロールビード(cellulose beads)(例えば、Sephacel(商標))、そしてデキストランビード(dextran beads)(例えば、Sephadex(商標))が含まれ、これら全てをスウェーデンのPharmaciaから入手できる。
ここで使用されるマイクロスフェアという用語は、モノリシック固体球(monolithic solid sphere)あるいは小カプセルである実質的に球体である粒子について特に言及している。鼻孔内で正確に付着することを確実にするために、従来の光学顕微鏡を使って測定されるとき、マイクロスフェアは0.5から250μm、好ましくは10から150μm、更に好ましくは10から100μmの平均直径を有することが好ましい。
マイクロスフェアは、噴霧乾燥(spray drying)、コアセルベーション(coacervation)、乳化(emulsification)を含む技術分野でよく知られている処理方法で生成される(例えば、Davis et al. Microsphere and Drng Therapy, Elsevier, 1984; Benoit et al. Biodegradable Microspheres: Advances in Production Technologies, Chapter 3, Ed. Benita, S, Dekker, New York, 1996; Microencapsulation and related Drug Processes, Ed. Deasy, Dekker, 1984, New York, pp 82, 181 and 225; US-2,730,457, and US-3,663,687参照)。
噴霧乾燥方法において、マイクロスフェアの形を形成するために使用される材料が適切な溶媒(通常、水)に溶解され、溶液が噴霧ノズルを通って加熱室に送ることによって噴霧乾燥した。マイクロスフェアの形態で固体粒子を残すように溶媒が蒸発する。
コアセルベーション方法において、マイクロスフェアは、正電荷(positive charge)を運ぶ多糖類溶液を、負電荷(negative charge)を運ぶ多糖類溶液と相互作用させることによって、生成されることが可能である。多糖類は、マイクロスフェアとして取り出されることが可能な不溶性結合(insoluble coupling)を形成するために相互作用する。
乳化方法において、多糖類溶液が油の中で拡散された離散小滴(discrete droplets)の形態になる油乳濁液(oil emulsion)中で水を生成するために多糖類水溶液が油相で拡散される。マイクロスフェアが多糖類を加熱、冷却(chilling)、あるいは交差結合(cross-linking)することによって形成され、適切な溶媒で油を溶解することによって取り出されることが可能である。
マイクロスフェアが、よく知られている加熱処理のような交差結合処理法、あるいは化学交差結合剤(chemical cross-linking procedures)を使用することによって、薬物と化合する前に硬化されることが可能である。適切な製剤には、グリオキサール(glyoxal)、マロンジアルデヒド(malondialdehyde)、コハク酸アルデヒド(succinicaldehyde)、アジプアルデヒド(adipaldehyde)、グルタルアルデヒド(glutaraldehyde)、及びフタルアルデヒド(phthalaldehyde)を含むジアルデヒド(dialdehyde)、ブタジオーネ(butadione)などのジケトン(diketones)、エピクロロヒドリン(epichlorophydrin)、ポリリン酸塩(polyphosphate)、及びホウ酸塩(borate)が含まれる。ジアルデヒドは、アミノ基と相互作用することによってアルブミン(albumin)のようなタンパク質と交差結合するために使用され、ジケトンは、アミノ基でシッフ塩基(Schiff bases)を形成している。エピクロロヒドリンは、アミノ基や水酸基のような求核体(nucleophilic centers)を有する化合物をエポキシド誘導体(epoxide derivatives)に変化させる。イオン交換マイクロスフェアのために使用される交差結合体(cross-linkers)は、薬物と結合するために必要とされる負電荷あるいは正電荷を帯びている置換基に向けられるべきではない。
本発明のマイクロスフェア組成物のために、アポモルフィンのような薬物は、好ましくは、イオン化されることを確実にするために塩の形態を有する。薬物は、形成後にマイクロスフェアと混ぜることによりマイクロスフェアに吸着される。このことは、マイクロスフェアを水性緩衝液(aqueous buffer)中で懸濁し、それから薬物を溶液に加えることによって達成されるかもしれない。その後、マイクロスフェアがフリーズドライの過程で取り出されることが可能である。
薬物は、マイクロスフェアと異なる比で結合されることができる。重量を基準として、マイクロスフェアの量は薬物の量よりも多いことが好まれる。選択される量は、薬物の投与とマイクロスフェアの複合化特性(complexation properties)によって示されるであろう。
アニオン性あるいはカチオン性多糖類材料、あるいは、勃起障害に有用な薬物を含む鼻孔製剤に加えられるポリマーの量によって、細胞質濃度時間特性の形状を制御することが可能である。薬物としてのアポモルフィンについて述べると、勃起障害の治療に適切な細胞質濃度は0.5から5.0ng/mlであると信じられている。効果持続時間は15〜30分であろう。アポモルフィンの適切な鼻孔投与量は0.5から5.0mgであろう。好ましい鼻孔投与量は1.0から3.0mgであろう。
製剤は、もし液体の形態であったら、ValoisあるいはPfeifferなどの企業から入手できる簡易な鼻孔噴射機器を使用することによって投与されることが可能である。
マイクロスフェアあるいはその他の粉末製剤は、粉末機器を使用することによって投与されることができる。適切な粉末機器は、イギリスのBespakから入手可能である。他の適切な粉末機器は、(日本の帝人によって出荷されている)Rhinocort(商標)のような薬物用に使用される鼻孔吸入器である。デンマークのDirect Halerからの機器もまた使用可能である。このような鼻孔機器は、自身の吸気を介して機器から鼻孔へある投与量の粉末を吸入しなければならない患者に対して抵抗がない(passive)か、または、例えばゴムバルブやバネシステムなど機械的方法を介して鼻孔へ吹き付けられる粉末に対して活動的(active)である。
当業者は、肺へ乾燥粉末を投与するための最近の有用な機器の多くが、この発明の粉末製剤を鼻孔へ供給するために容易に適用可能であることを、正しく認識するであろう。適切な機器には、Dura, Valois, Glaxo-Wellcome, Norton, Frisons, Leiras (RPR)から入手可能なものが含まれる。これらの機器は、従来技術によく記載されており、Ultrahaler(商標)、Prohaler(商標)およびEasi-breathe(商標)のような名前でよく知られている。肺供給用の乾燥粉末機器が、細いノズルの設置によって変形されることが可能である。フィンランドのOrionの機器は、このような鼻孔ノズルシステムを有用なものとしている。
本発明は、以下の実施例を参照して説明されるが、これによって限定されるものではない。
以下の実施例によって、アポモルフィンのような勃起障害の治療に用いられる薬物供給に有用な鼻孔製剤の生成と放出特性(release properties)の詳細が説明される。薬物の放出は、Franzによる独自の設計に基づく拡散セル装置を使用することによって測定された。薬物放出を測定するためのFranz拡散セル(Franz diffusion cells)は、当業者によく知られており、WO-94/27576に記述されている。硝酸セルロース(cellulose nitrate)で形成された人工膜を通過し、鼻孔イオン環境(ionic environment of the nasal cavity)を擬似するために選択された電解溶液への薬物の拡散は、37℃で行われた。図1に装置の図が示されている。
電解流体は、以下の組成を有する:
Na+イオン − 150mEq/l
K+イオン − 40mEq/l
Ca2+イオン − 8mEq/l
Na+イオン − 150mEq/l
K+イオン − 40mEq/l
Ca2+イオン − 8mEq/l
2mg/mlのアポモルフィン水溶液は、制御(control)として使用された。20mgのアポモルフィンが10mlフラスコで秤量され、このフラスコの中身が水で希釈された。
各実験において、膜を通過した後の拡散を測定するために、製剤の50μlアリコート(aliquot)が膜に加えられた。
ペクチン主成分の製剤
250mgのペクチン110(コペンハーゲンペクチンA/S(Copenhagen Pectin A/S)から取得された)が25mlフラスコ内で秤量された。その後、15mlの超純水が加えられ、マグネティックスターラーで溶液を一晩中撹拌した。このフラスコの中身が超純水で希釈された。
250mgのペクチン110(コペンハーゲンペクチンA/S(Copenhagen Pectin A/S)から取得された)が25mlフラスコ内で秤量された。その後、15mlの超純水が加えられ、マグネティックスターラーで溶液を一晩中撹拌した。このフラスコの中身が超純水で希釈された。
10mgのアポモルフィン(シグマ(Sigma)から取得された)が5mlフラスコ内で秤量された。このフラスコには、3mlの10mg/mlペクチン110溶液が加えられた。この混合液は30分間撹拌され、フラスコの中身が10mg/mlペクチン110溶液で希釈された。
Pluronic F127(商標)製剤
Pluronic F127(商標)(ポロオキサミン407)は、BASFから取得された。100mlコニカルフラスコ(conical flask)内で、10gの Pluronic F127(商標)が秤量された。その後、50mlの超純水が加えられ、この溶液はマグネティックスターラーで撹拌されるために放置された。このコニカルフラスコはパラフィルムで覆われ、30分間5℃で冷蔵庫内に置かれた。温度が上昇するとブロック共重合体の溶液がゲル化することが知られているから、このことによって、Pluronic F127(商標)溶液が液体の状態であることを確実にする。
Pluronic F127(商標)(ポロオキサミン407)は、BASFから取得された。100mlコニカルフラスコ(conical flask)内で、10gの Pluronic F127(商標)が秤量された。その後、50mlの超純水が加えられ、この溶液はマグネティックスターラーで撹拌されるために放置された。このコニカルフラスコはパラフィルムで覆われ、30分間5℃で冷蔵庫内に置かれた。温度が上昇するとブロック共重合体の溶液がゲル化することが知られているから、このことによって、Pluronic F127(商標)溶液が液体の状態であることを確実にする。
10mgのアポモルフィンが5mlフラスコ内で秤量された。このフラスコに、3mlの冷却された200mg/mlのPluronic(商標)F127溶液が加えられた。混合液が撹拌され、フラスコの中身が200mg/mlのPluronic F127(商標)溶液で希釈された。
薬物放出運動の測定
Franz拡散セル装置は、以下の製剤から人工硝酸セルロース膜(厚さ0.45μm)を通過する薬物の拡散を測定するために使用された。
I.2mg/mlアポモルフィン(制御溶液(control solution))
II.2mg/mlアポモルフィン/10mg/mlペクチン110
III.2mg/mlアポモルフィン/200mg/mlPluronic F127(商標)
Franz拡散セル装置は、以下の製剤から人工硝酸セルロース膜(厚さ0.45μm)を通過する薬物の拡散を測定するために使用された。
I.2mg/mlアポモルフィン(制御溶液(control solution))
II.2mg/mlアポモルフィン/10mg/mlペクチン110
III.2mg/mlアポモルフィン/200mg/mlPluronic F127(商標)
各場合、製剤の50μlアリコート(aliquot)が、膜を通過する薬物の拡散を測定するために膜に加えられた。Pluronic F127(商標)製剤は、液体状態にこの製剤を保つために、少なくとも30分間、5℃で冷却されなければならなかった。
製剤IからIIIの各々に対して、2つのFranz拡散セル放出特性(Franz diffusion cell release profiles)が得られ、データである吸光度対時間(absorbance vs time)が平均化され(meaned)、割合として表され、プロットされた。図2にこの結果が示されている。
アポモルフィンのみの制御溶液は、60分間でFranz拡散セルに入る100%の薬物とともに、硝酸セルロース膜を介して急速に拡散した。これに対して、60分後に、ペクチン110系から約60%のアポモルフィンが放出され、Pluronic F127(商標)から約80%のアポモルフィンが放出された。そして、120分後に、96%と92%のアポモルフィンがペクチン110とPluronic F127(商標)系からそれぞれ放出された。
マイクロスフェア主成分の製剤
カルボキシル基を運搬するデンプンマイクロスフェア(Cadexomer(商標))は、スウェーデンのPerstorp Fine Chemical Companiesから得られた。このマイクロスフェアの直径は、非膨張状態(unswollen state)で53〜106ミクロンの範囲内であった。非カルボン酸デンプンマイクロスフェア(non-carboxylated starch microspheres)に対するカルボン酸デンプンマイクロスフェアの重量比が10:1であるデンプンマイクロスフェア5gが、5%w/vの濃度(すなわち、溶液100ml当たりアポモルフィン5g)で20mlのアポモルフィン水溶液(pH7に調節)と混合された。この系はフリーズドライされ、50mgの粉が鼻孔吸入器によって投与するためにゼラチンカプセルに収められた。
カルボキシル基を運搬するデンプンマイクロスフェア(Cadexomer(商標))は、スウェーデンのPerstorp Fine Chemical Companiesから得られた。このマイクロスフェアの直径は、非膨張状態(unswollen state)で53〜106ミクロンの範囲内であった。非カルボン酸デンプンマイクロスフェア(non-carboxylated starch microspheres)に対するカルボン酸デンプンマイクロスフェアの重量比が10:1であるデンプンマイクロスフェア5gが、5%w/vの濃度(すなわち、溶液100ml当たりアポモルフィン5g)で20mlのアポモルフィン水溶液(pH7に調節)と混合された。この系はフリーズドライされ、50mgの粉が鼻孔吸入器によって投与するためにゼラチンカプセルに収められた。
アポモルフィンポリマー複合体の生成
アポモルフィン/ゲラン複合体は以下のように生成された。
アポモルフィン/ゲラン複合体は以下のように生成された。
ゲラン溶液は500mgのゲランを15mlの水に加えることによって生成された。生じた混合物は、ゲランを水に溶かすために、一晩中、マグネティックスターラーで撹拌された。その後、この溶液は水で25mlまで希釈された。
10mg/mlのアポモルフィン水溶液がゲラン溶液に加えられた。濁った(cloudy)混合液が生じた。これを撹拌し、析出物(precipitate)を沈殿させた。
スラリーが遠心分離機にかけられ、取り出された析出物が過剰薬物を取り除くために脱イオン水で洗浄された。析出物が、24時間、−60℃で、100ml丸底フラスコ内での遠心分離と冷凍により、再度取り出された。
スラリーが遠心分離機にかけられ、取り出された析出物が過剰薬物を取り除くために脱イオン水で洗浄された。析出物が、24時間、−60℃で、100ml丸底フラスコ内での遠心分離と冷凍により、再度取り出された。
柔らかい(fluffy)物質が生成された。これは、塩水のような適切な溶剤(vehicle)内の懸濁(suspension)に配置可能であり、その後スプレーのように鼻孔内に投与されることが可能である。この物質は、また、PCT/GB88/00836に記述されているように、デンプンマイクロスフェアのような粘着性マイクロスフェア(adhesive microspheres)との物理的混合(physical admixture)によって、粉末として投与されることも可能である。
薬力学的評価
本発明を有する製剤の有益な特性は、単なる鼻孔溶液と比較して、薬物の変化した薬力学特性(changed pharmacokinetic profile)を決定するために、ラットのような適切な動物モデルで評価されることが可能である。
本発明を有する製剤の有益な特性は、単なる鼻孔溶液と比較して、薬物の変化した薬力学特性(changed pharmacokinetic profile)を決定するために、ラットのような適切な動物モデルで評価されることが可能である。
麻酔をかけられたオスのSprague-Dawley rat(体重250gから330g)は、このような実験に使用されることが可能である。投与前の12時間、ラットに餌が与えられない。麻酔は、ウレタン(10%w/vかまたは40%w/v溶液のうちどちらか一方1.25g/kg)を腹膜内投与(intraperitoneal administration)することによって引き起こされ、必要に応じて40%w/v溶液1mLを追加投与することによって維持される。
動物が、呼吸機能を保持するように、且つ、鼻孔製剤が胃腸器系に達するのを防ぐように、外科的に修正される。血液サンプルは、頸静脈のカヌレーション(cannulation)によって得られる。この方法は、Hirai(Int. J. Pharm. 1, 317, 1981)によって詳細に記載されており、Fisher et al.(J. Pharm. Pharmacol. 39, 357, 1987)によって修正されている。製剤が50μl鼻孔に投与される。血液サンプルは、薬力学特性を得るために、適切な時間間隔で収集される(例えば、投与後0,2,4,6,8,10,15,20,45,60,90,120分)。
血液サンプルは、標準的HPLC(standard HPLC)によって薬物分析される。アポモルフィンについては、この方法は、Sam et al.(J. Chromat. of B. 658, 311, 1994)によって記載された電子化学的検出を利用したHPLCに基づいている。投与量0.5mgのアポモルフィンは、液体多糖類とマイクロフェア製剤のために使用される。この投与量は、分析のための十分な濃度を得るために選択される。ゲル化ブロック共重合体(gelling block copolymers)に基づく液体製剤については、投与量1mgのアポモルフィンが使用される。アポモルフィンの単なる液体形態を利用するとき、細胞質濃度特性において鋭いピークが検知される。しかしながら、溶液、懸濁、あるいはマイクロスフェア形態での多糖類主成分の系については、約30分間遅れてピークが検知される。このピークの高さは、実質的に減少される(例えば、単なる鼻孔溶液の1400ng/mlから実施例1で記載された多糖類液体系の350ng/mlへ減少)。
ポロオキサミン溶剤については、ピーク高さで同様の遅れが生じ、時間的遅れは、最大10分未満から30分超までである。細胞質濃度は、単なる鼻孔溶液の約1500ng/mlから、実施例2に記載したポロオキサミン407(Pluronic F127(商標))の約750ng/mlまで減少する。
図3と図4に典型的な曲線が示されている。
上述した実施例に記載された製剤は、投与を容易にするために、他に知られている薬学的な添加物を加えることによって、更に変形可能であることは当業者には明らかであろう。また、勃起障害の治療に有用な他の薬物は、アポモルフィンの代わりになりうる。
Claims (34)
- 勃起障害の治療に適した薬物を有し、組成物は前記薬物の持続細胞質濃度に続く細胞質濃度における初期上昇を提供するのに適している鼻孔投与用組成物。
- 勃起障害の治療に有用な薬物と、1以上の添加物とを有し、組成物は前記薬物の持続細胞質濃度に続く細胞質濃度における初期上昇を提供するのに適している鼻孔投与用組成物。
- 前記薬物は弱塩基または弱酸であり、添加物を有する薬物の化合物はイオン交換作用の結果として複合化する請求項2記載の組成物。
- 前記薬物は弱塩基または弱酸であり、ブロック共重合体と化合する請求項2記載の組成物。
- 前記ブロック共重合体は、ポロオキサミン、ポロオキサマーまたはポリラクチド−ポリオキシエチレン共重合体のうちの何れかである請求項4記載の組成物。
- 前記添加物はイオン交換高分子材料である請求項2記載の組成物。
- 前記添加物は鼻粘膜への制御された薬物供給のために備え、多糖類と、ポリオキシエチレンブロックを有するブロック共重合体、または何れか一方を有する請求項2記載の組成物。
- 前記添加物は、キサン、ゲル化剤、アルギン酸塩、ヒアルロン酸またはカルボキシメチルセルロースのうち何れかのアニオン性多糖類である請求項2記載の組成物。
- 前記添加物はペクチンである請求項2記載の組成物。
- 前記添加物はカルボン酸デンプンである請求項2記載の組成物。
- 前記添加物はチトサンである請求項2記載の組成物。
- 前記組成物は液体である請求項1から9のうち何れかに記載の組成物。
- 前記組成物は鼻孔でゲル化するのに適した液体系である請求項2記載の組成物。
- 前記組成物は鼻孔内に存在しているカチオンとの接触でゲル化するのに適している請求項13記載の組成物。
- 前記組成物はカチオンの源を有する請求項14記載の組成物。
- 前記添加物はペクチンとゲル化剤、または何れか一方を有する請求項14または15記載の組成物。
- 前記組成物はマイクロスフェアの形態である請求項1,2,10または11記載の組成物。
- 前記マイクロスフェアはカルボン酸デンプンから生成される請求項17記載の組成物。
- 前記マイクロスフェアはチトサンから生成される請求項17記載の組成物。
- 前記組成物は、例えば、フェントラミン、フェノキシベンザミン、ヨヒンビン、モキシシリートデラクアミンなどα−アドレナリン受容体拮抗物質と、例えば、アポモルフィンなど中央D2受容体拮抗活性を有する化合物と、例えば、トラザドン、クロロフェニルピペラジンなど主として神経終末へのセロトニンの再吸収を阻害することによって作用する化合物と、例えば、シルデナフィルなどc−GMPタイプVホスホジエステラーゼの競合性かつ選択性阻害因子と、L−アルギニンと、パパベリンとそれら薬学的に許容可能な塩とのうち何れかの薬物を有する先行する請求項のうち何れか記載の組成物。
- 前記組成物は中央D2受容体拮抗活性を有する薬物を有する請求項20記載の組成物。
- 前記組成物はアポモルフィンを有する請求項21記載の組成物。
- 哺乳動物の体循環への制御された薬物供給の方法であって、前記哺乳動物に対して請求項1から22のうち何れか記載の組成物を鼻孔投与することを有する方法。
- 循環への制御された薬物供給が望ましい病気の治療の方法であって、哺乳動物に対して請求項1から22のうち何れか記載の組成物を鼻孔投与することを有する方法。
- 前記薬物はアポモルフィンであり、前記病気はパーキンソン症である請求項24記載の方法。
- 前記病気は勃起障害である請求項24記載の方法。
- 請求項1から22のうち何れかに記載の組成物を鼻孔投与することを有する病気を治療するための方法。
- 請求項1から22のうち何れかに記載の組成物を鼻孔投与することを有する勃起障害を治療するための方法。
- 哺乳動物の体循環への勃起障害の治療に有用な制御された薬物供給のための医薬品の製造における請求項1から22のうち何れかに記載の組成物の用途。
- 勃起障害の治療に有用な薬物を鼻孔投与するための医薬品の製造における請求項1から22のうち何れかに記載の組成物の用途。
- 勃起障害を治療するための医薬品の製造における請求項1から22のうち何れかに記載の組成物の用途。
- 薬物を添加物に混合することを有する請求項2記載の組成物の生成方法。
- 勃起障害の治療に有用な薬物と、アニオン性またはカチオン性多糖類、または、ポリオキシエチレンブロックを含むブロック共重合体を有する添加物とを有する鼻孔投与用組成物。
- 前記薬物はアポモルフィンである請求項33記載の組成物。
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