JP2011021729A - 撓み噛合い式歯車装置及び撓み噛合い式歯車装置の歯形の決定方法 - Google Patents

撓み噛合い式歯車装置及び撓み噛合い式歯車装置の歯形の決定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐衝撃性が向上し、伝達トルクや伝達効率をより増大させる。
【解決手段】可撓性を有した筒形状の外歯歯車120A、120Bと、外歯歯車120A、120Bがそれぞれ内接噛合する剛性を有した減速用内歯歯車130A、出力用内歯歯車130Bと、を備えた撓み噛合い式歯車装置100において、減速用内歯歯車130A及び出力用内歯歯車130Bとそれぞれ噛合する部分の外歯歯車120A、120Bの歯形は同一であり、外歯歯車120A、120Bと減速用内歯歯車130Aと出力用内歯歯車130Bは、外歯歯車120Aと減速用内歯歯車130Aとの同時噛合い数Nph及び外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bとの同時噛合い数Nplが共に2以上となるような歯形をそれぞれ備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、撓み噛合い式歯車装置及び撓み噛合い式歯車装置の歯形の決定方法に関する。
特許文献1に示す撓み噛合い式歯車装置は、起振体と、該起振体の外周に配置され、該起振体の回転により撓み変形される可撓性を有した筒形状の外歯歯車と、該外歯歯車が内接噛合する剛性を有した第1内歯歯車と、該第1内歯歯車に軸方向に並設され前記外歯歯車と内接噛合する剛性を有した第2内歯歯車と、を備えている。
このため、第1内歯歯車がケーシングに固定されている場合には、起振体の回転により撓み変形した外歯歯車が第1内歯歯車に内接噛合して、第1内歯歯車との歯数差に基づいて外歯歯車が減速される。そして、その減速された外歯歯車の出力を第2内歯歯車から取り出すことができる。
特開2006−29508号公報
しかしながら、特許文献1に示すような撓み噛合い式歯車装置にあっては、外歯歯車を撓ませることで内歯歯車との噛合いを実現させなければならないこと、更に筒形状の外歯歯車の場合には、同時に2つの内歯歯車との噛合いについて検討しなければならないこと、などの理由により、2つの内歯歯車と外歯歯車を理論的に噛合わせることが困難であり、剛体歯車としての理論噛合数が非常に少なかった。このため、従来の筒形状の外歯歯車を用いた撓み噛合い式歯車装置は、耐衝撃性が低いとともに、伝達トルクが小さく、その伝達効率も低いものであった。
そこで、本発明は、前記問題点を解決するべくなされたもので、耐衝撃性が向上し、伝達トルクや伝達効率をより増大させることが可能な撓み噛合い式歯車装置及び撓み噛合い式歯車装置の歯形の決定方法を提供することを課題とする。
本発明は、起振体と、該起振体の外周に配置され、該起振体の回転により撓み変形される可撓性を有した筒形状の外歯歯車と、該外歯歯車が内接噛合する剛性を有した第1内歯歯車と、該第1内歯歯車に軸方向に並設され前記外歯歯車と内接噛合する剛性を有した第2内歯歯車と、を備えた撓み噛合い式歯車装置において、前記第1内歯歯車及び前記第2内歯歯車とそれぞれ噛合する部分の前記外歯歯車の歯形は同一であり、前記外歯歯車と第1内歯歯車と第2内歯歯車は、該外歯歯車と第1内歯歯車との同時噛合い数及び該外歯歯車と第2内歯歯車との同時噛合い数が共に2以上となるような歯形をそれぞれ備えることにより、前記課題を解決したものである。
本発明は、外歯歯車と2つの内歯歯車(第1内歯歯車と第2内歯歯車)との同時噛合い数を共に2以上とする歯形を、外歯歯車と第1内歯歯車と第2内歯歯車が備えるようにしたものである。そのため、耐衝撃性が向上し、噛合の歯面にかかる面圧が分散され、大きなトルクを伝達することができる。そして、本発明では、その基本構成として、2つの剛性を有する内歯歯車に筒形状の外歯歯車を噛合させる構成を備えていることと相まって、耐ラチェッティング性を向上させることができ、又、無負荷時に外歯歯車に発生する応力がカップ型の外歯歯車に比べて少なくでき、負荷容量を増やすことができる。このため、本発明は、伝達トルクを増大させると共に、伝達効率を増大させることが可能である。
又、外歯歯車の歯形は、第1内歯歯車及び第2内歯歯車とそれぞれ噛合する部分で同一としているので、外歯歯車の加工が容易であり、加工コストを低く抑えることができると共に高精度に形状加工することが可能である。
又、本発明は、起振体と、該起振体の外周に配置され、該起振体の回転により撓み変形される可撓性を有した筒形状の外歯歯車と、該外歯歯車が内接噛合する剛性を有した第1内歯歯車と、該第1内歯歯車に軸方向に並設され前記外歯歯車と内接噛合する剛性を有した第2内歯歯車と、を備えた撓み噛合い式歯車装置において、前記起振体の回転軸と前記第1内歯歯車若しくは第2内歯歯車と噛合した際の前記外歯歯車の噛合半径の中心である偏心軸とを通る直線と該外歯歯車と該第1内歯歯車及び第2内歯歯車との噛合で生じる接触点のそれぞれの共通法線との交点であるピッチ点の間に、該外歯歯車の外歯を円筒形状のピンとするときあるいは円筒形状のピンと仮想するときは該ピンの中心、又は該第1内歯歯車若しくは第2内歯歯車の内歯を円筒形状のピンとするときあるいは円筒形状のピンと仮想するときは該ピンの中心が配置されることにより、前記課題を解決したものである。第1内歯歯車又は第2内歯歯車の内歯を円筒形状のピンと仮想する場合、具体的には、当該仮想したピンに基づいて外歯を求め、該外歯に基づいて第1内歯歯車及び第2内歯歯車の内歯を包絡線として形成する。
本発明は、上記2つのピッチ点の間に、外歯歯車の外歯を円筒形状のピンとするときは該ピンの中心、又は該第1内歯歯車若しくは第2内歯歯車の内歯を円筒形状のピンと仮想するときは該ピンの中心が配置される。このため、第1内歯歯車と噛合う際に筒形状の外歯歯車の外歯にかかる荷重と第2内歯歯車と噛合う際に筒形状の外歯歯車の外歯にかかる荷重とは、互いに逆向きの成分を備えると共に、外歯歯車にかかる当該2つの荷重の領域を外歯歯車の周方向で近接させることができる。即ち、軸方向から見て、噛合い動作の際には、2つの内歯歯車は、少数の外歯のみを挟込む態様とすることができる。このため、外歯歯車と内歯歯車との噛合いが過度のトルクではずれてしまうという現象(ラチェッティング現象)を特に防止することができる。つまり、本発明は、特にラチェッティング性の向上を行うことに着眼して、許容される伝達トルクを増大させると共に、伝達効率を増大させることを可能としている。
本発明によれば、耐衝撃性が向上し、伝達トルク及び伝達効率を増大させることが可能となる。
本発明の第1実施形態に係る撓み噛合い式歯車装置の全体構成の一例を示す分解斜視図 同じく全体構成の一例を示す断面図 同じく起振体を表す図 同じく起振体を表す図 同じく起振体と起振体軸受を組み合わせた概略図 同じく外歯歯車と内歯歯車との噛合い図 同じく外歯歯車と減速用内歯歯車、及び出力用内歯歯車の噛合い拡大図 同じく外歯歯車と減速用内歯歯車、及び出力用内歯歯車の歯形の実体の位置を示す図 同じく外歯歯車の歯形を定義する図 同じく減速用内歯歯車、出力用内歯歯車の歯形を定義する図 同じく減速用内歯歯車、出力用内歯歯車の歯形を定義する図 同じく減速用内歯歯車、出力用内歯歯車の歯形を定義する図 同じく減速用内歯歯車、出力用内歯歯車、及び外歯歯車の周長、歯数、ピッチの関係を示す表 同じくピッチ点と外歯歯車の実体の位置との関係を示す図 同じくピッチ点と外歯歯車の実体の位置との関係を示す図 同じく減速用内歯歯車、出力用内歯歯車の歯形の修正を示す図 第1実施形態における減速比と内歯歯車の直径を変えたときの、減速用内歯歯車における同時噛合い数を示す表 第1実施形態における減速比と内歯歯車の直径を変えたときの、出力用内歯歯車における同時噛合い数を示す表 第1実施形態における外歯歯車の実体の位置とピッチ点との関係を示す図 本発明の第2実施形態に係る撓み噛合い式歯車装置の全体構成の一例を示す分解斜視図 同じく全体構成の一例を示す断面図 同じく外歯歯車の歯形を定義する図 同じく減速用内歯歯車、出力用内歯歯車の歯形を定義する図 同じくピッチ点と内歯歯車の実体の位置との関係を示す図 同じくピッチ点と内歯歯車の実体の位置との関係を示す図 第2実施形態における減速比と内歯歯車の直径を変えたときの、減速用内歯歯車における同時噛合い数を示す表 第2実施形態における減速比と内歯歯車の直径を変えたときの、出力用内歯歯車における同時噛合い数を示す表 第2実施形態における内歯歯車の実体の位置とピッチ点との関係を示す図 第2実施形態におけるラチェッティング防止効果を示す図 第1実施形態における外歯歯車と減速用内歯歯車、及び出力用内歯歯車との接触線を求めるための図 同じく接触線を示す図
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
<<第1実施形態>>
<構成>
最初に、本実施形態の全体構成について、主に図1と図2を用いて概略的に説明する。
撓み噛合い式歯車装置100は、起振体104と、起振体104の外周に配置され、起振体104の回転により撓み変形される可撓性を有した外歯歯車120A、120B(単に、外歯歯車120とする)と、外歯歯車120がそれぞれ内接噛合する剛性を有した第1内歯歯車である減速用内歯歯車130A、第2内歯歯車である出力用内歯歯車130Bと、を有する。なお、以降、減速用内歯歯車130Aと出力用内歯歯車130Bとをまとめて、単に内歯歯車130と称する。
以下、各構成要素について詳細に説明を行う。
前記起振体104は、図3(A)、図3(B)に示す如く、柱形状であり、中央に図示しない入力軸が挿入される入力軸孔106が形成されている。入力軸が挿入され回転した際に、起振体104が入力軸と一体で回転するように、入力軸孔106にはキー溝108が設けられている。
起振体104は、図3、4に示す如く、2つの円弧部(第1円弧部FA、第2円弧部SA)を繋ぎ合わせた形状(2円弧形状)で構成される。第1円弧部FAは、点B(偏心軸と称する)を中心とする曲率半径r1の円弧であり、外歯歯車120と内歯歯車130とを噛合させるための円弧部分(噛合い範囲とも称する)を構成している。第2円弧部SAは、点Cを中心とする曲率半径r2の円弧であり、外歯歯車120と内歯歯車130とが噛合しない範囲の円弧部分(非噛合い範囲とも称する)を構成している。第1円弧部FAの長さは長軸xと点Aでの法線Nとのなす角度である噛合い角度θで定められる。
このとき、図4に示す如く、起振体104の長軸xの半径をrとするならば、偏心量をLとして、第1円弧部FAの曲率半径r1は式(1)で表される。
r1=r−L …(1)
又、図4に示す如く、第1円弧部FAと第2円弧部SAとの繋ぎ部分Aで接線T(法線N)が共通とされている。このため、第2円弧部SAの曲率半径r2は(曲率半径r1+長さBC)であるから、式(2)で表される。
r2=r1+長さBC
=r1+L/cosθ …(2)
起振体軸受110Aは、起振体104の外側と外歯歯車120Aの内側との間に配置される軸受であり、図2、図5に示す如く、内輪112と、保持器114A、転動体としてのころ116Aと、外輪118Aと、から構成される。内輪112の内側は起振体104と当接して、内輪112は起振体104と一体で変形しながら回転する。ころ116Aは、円筒形状(ニードルを含む)である。このため、転動体が球である場合に比べて、ころ116Aが内輪112及び外輪118Aと接触する部分を増加させているので、負荷容量を大きくすることができる。つまり、ころ116Aを用いることにより、起振体軸受110Aの伝達トルクを増大させ、かつ長寿命化させることができる。外輪118Aは、ころ116Aの外側に配置される。外輪118Aは、起振体104の回転により撓み変形し、その外側に配置される外歯歯車120Aを変形させる。
なお、図2に示す如く、起振体軸受110Bは、起振体軸受110Aと同様に、内輪112と、保持器114Bと、ころ116Bと、外輪118Bとから構成される。起振体104及び内輪112は、起振体軸受110A、110Bに共通である。そして、保持器114B、ころ116B及び外輪118Bは、単体部材(部品)としては、保持器114A、ころ116A及び外輪118Aと同一である。
外歯歯車120Aは、図2に示す如く、減速用内歯歯車130Aと内接噛合する。外歯歯車120Aは、基部材122と、外歯124Aとから構成される。基部材122は、外歯124Aを支持する可撓性を有した筒状部材であり、起振体軸受110Aの外側に配置されている。外歯124Aは、半径ρ1の円筒形状のピンとされている(このため、本実施形態の外歯124A(124B)や外歯歯車120A(120B)や撓み噛合い式歯車装置100は単にピンタイプとも称する)。外歯124Aはリング部材126Aで基部材122に保持されている。
外歯歯車120Bは、図2に示す如く、出力用内歯歯車130Bと内接噛合する。そして、外歯歯車120Bは、外歯歯車120Aと同様に、基部材122と、外歯124Bとから構成される。外歯124Bは、外歯124Aと同数で、同一の円筒形状のピンで構成されて、リング部材126Bで基部材122に保持されている。即ち、基部材122は、外歯124Aと外歯124Bとを共通に支持する。つまり、外歯歯車120A、120Bは同一形状の歯形である。起振体104の偏心量Lは、同位相で外歯124Aと外歯124Bに伝えられる。以降、外歯124A、124Bをまとめて外歯124と称する。
減速用内歯歯車130Aは、図2に示す如く、剛性を有した部材で形成されている。減速用内歯歯車130Aは、外歯歯車120Aの外歯124Aの歯数よりも2の倍数だけ多い歯数を備える(歯数については後に詳述)。減速用内歯歯車130Aには、図示しないケーシングがボルト孔132Aを介して固定される。そして、減速用内歯歯車130Aは、外歯歯車120Aと噛合することによって、起振体104の回転の減速に寄与する。図6(A)に外歯歯車120Aと減速用内歯歯車130Aとが噛合する様子、図7(A)にx軸上の外歯124Aと内歯128Aとの様子を示す。
一方、出力用内歯歯車130Bも、減速用内歯歯車130Aと同様に、剛性を有した部材で形成されている。出力用内歯歯車130Bは、外歯歯車120Bの外歯124Bの歯数と同一の内歯128Bの歯数を備える(等速伝達)。なお、出力用内歯歯車130Bには、図示しない出力軸がボルト孔132Bを介して取り付けられて、外歯歯車120Bの自転と同一の回転が外部に出力される。図6(B)に外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bとが噛合する様子、図7(B)にx軸上の外歯124Bと内歯128Bとの様子を示す。以降、内歯128A、128Bをまとめて、内歯128と称する。
本実施形態においては、外歯歯車120Aと減速用内歯歯車130Aとの同時噛合い数Nphと外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bとの同時噛合い数Nplとを共に2以上として且つその噛合せを理論噛合せとしている。このため、トルクの伝達効率が低くならず、スムーズなトルク伝達が実現でき、伝達トルクを増大させることができる。
<歯形の決定方法>
外歯歯車120と減速用内歯歯車130Aと出力用内歯歯車130Bの歯形の決定方法について説明する。
まず、歯形の求め方の概略を以下に説明する。
最初に外歯歯車120の歯形を定義する。次に、外歯歯車120の歯形の軌跡をトロコイド曲線式で表し、そのトロコイド曲線式を用いて内歯歯車130の歯形を定義する。次に、外歯歯車120と内歯歯車130の歯形を定義する複数のパラメータを、外歯歯車120と内歯歯車130の大きさと歯数とから、互いに関連付ける。次に、内歯歯車130の歯形の歯先と歯元の修正範囲を定める。次に、関連付けられたパラメータを用いて修正範囲外の歯形部分を求めて、その歯形部分で同時噛合い数を求める。そして、同時噛合い数を共に2以上とするように、最適なパラメータを決定する。パラメータの決定において、トルク、歯面の許容面圧、各箇所の主応力、軸受寿命などの目標値を同時に満足するように、試行錯誤がなされる。
以下、詳細に説明する。
最初に、外歯歯車120の歯形を定義する。
外歯124を半径ρ1の円筒形状のピンとするとき、偏心軸Bから外歯歯車120の噛合い範囲における外歯124とするピンの中心の位置(ρ1=0)までの距離R1を、外歯歯車120の噛合い範囲における歯形の実体の半径と称する。又、内歯歯車130の内歯128を半径ρ2の円筒形状のピンとするとき(単に設計上仮想する場合を含む)、起振体104の回転軸Fc(軸方向O上の点)から内歯128とする(仮想含む)ピンの中心の位置(ρ2=0)までの距離Rを、内歯歯車130の歯形の実体の半径と称する。すると、図8に示す如く、半径Rと半径R1との関係は式(3)で示される。
R1=R―L …(3)
本実施形態では、外歯歯車120は、起振体軸受110を介して起振体104の外周に配置される。起振体軸受110と外歯歯車120の半径方向の厚みは共に一定である。このため、起振体104が2円弧形状であることから、外歯歯車120も2円弧形状となる。起振体104の噛合い範囲の曲率半径r1に相当する外歯歯車120の噛合い範囲における歯形の実体の半径がR1とされる。このため、起振体104の非噛合い範囲の曲率半径r2に相当する外歯歯車120の非噛合い範囲における歯形の実体の半径をR2とすると、式(2)、式(3)を用いて、半径R2は式(4)で示すことができる。
R2=R1ーL/cosθ …(4)
図9に示すように、外歯124は、噛合い範囲において偏心軸Bから半径R1(=R−L)の円周上にある半径ρ1の円筒形状のピンとされている(このため、偏心軸Bは外歯歯車120と内歯歯車130とが噛合した際の外歯歯車120の噛合半径の中心となる)。
したがって、半径ρ1と偏心量Lと半径Rと噛合い角度θとにより、外歯歯車120の歯形が定義される。
次に、内歯歯車130の歯形を定義する。外歯歯車120の歯形の実体の位置(半径ρ1=0の位置)の軌跡を求めて、その後半径ρ1だけ内側に移動させたものを内歯歯車130の歯形とする。以下、より具体的に説明する。なお、外歯歯車120が、歯形の実体の半径R1の円形の歯車(仮想歯車と称する)のときの減速比を、仮想減速比nと称する。
図10に示すように、外歯歯車120を、起振体104の回転軸Fcを中心に角度α公転させる。即ち、偏心軸Bはα回転する。その際に、外歯歯車120の歯形の実体の位置の座標(x1、y1)は、仮想減速比nにより、角度α/nだけ反対方向に自転して、座標(x2、y2)に移動する。このため、外歯歯車120の歯形の実体の位置の軌跡を示す座標(xpfc、ypfc)は、式(5)、(6)で表される。
ここで、内歯歯車130の歯形は、図11に示す如く、外歯歯車120と理論噛合を行うことから、内歯歯車130の歯形の実体の位置の座標は、内トロコイド曲線式(ハイポトロコイド曲線式)で表される。即ち、回転軸Fcを中心として固定される基円BAの半径b1、基円BAの円周に沿って滑らずに回転する転円AAの半径a1、描画点の半径L1、回転角β1、を用いると、内歯歯車130の歯形の実体の位置の座標(xpfc、ypfc)は、式(7)、式(8)で表される。
ここで、式(9)〜(11)の関係を用いると、式(12)、式(13)の関係が求められる。
なお、式(5)と式(12)(式(6)と式(13))とは同じ座標(xpfc、ypfc)を示していることから、式(14)が求められる。
α=n*β …(14)
次に、図12に示すように内歯歯車130の歯形の実体の位置の座標(xpfc、ypfc)を外歯124の半径ρ1だけ内側(内歯歯車130側のこと)に移動させることで、内歯歯車130の歯形の座標(xfc、yfc)は式(15)〜(17)で表すことができる。
即ち、半径R、ρ1、偏心量L、仮想減速比n(減速用内歯歯車130Aの歯形を作るための仮想減速比n、出力用内歯歯車130Bの歯形を作るための仮想減速比n)を代入して角度βを変化させることで、減速用内歯歯車130Aと出力用内歯歯車130Bの歯形のそれぞれの座標(xfc、yfc)を求めることができる。
次に、外歯歯車120と内歯歯車130を規定するパラメータを互いに関連付ける。
上述の如く、外歯歯車120の形状は半径R1、R2で規定される2円弧形状である。このため、外歯歯車120Aと減速用内歯歯車130Aとの歯数差を示すパラメータk(2以上)及び減速比Nを導出するためのパラメータi(減速用内歯歯車130Aのときi=1、出力用内歯歯車130Bのときi=0)を用いて、図13に示す、外歯歯車120、内歯歯車130のそれぞれの大きさ(歯形の実体の半径R、R1から求められる周長LC(周の長さ)と仮想歯車の仮想減速比nを用いた際のピッチP(1つの歯の周期の周方向長さのこと))と、歯数NTと、を表にして示すことができる。ここで、仮想歯車によるピッチPと外歯歯車120によるピッチ(=LC/NT)は等しいから、式(18)の関係が存在する。
NT=LC/P …(18)
式(18)を用いると、図13の表から式(19)、式(20)を導くことができる。
次に、パラメータGp(ピンタイプピッチ係数と称する)を導入する。ここで、偏心軸Bと回転軸Fcを通る直線と外歯歯車120(の外歯124)と内歯歯車130(の内歯128)との噛合いで生じる接触点の共通法線との交点を、外歯歯車120と内歯歯車130とによるピッチ点と称する。ピンタイプピッチ係数Gpは、外歯歯車120と内歯歯車のそれぞれの歯形の実体の位置とピッチ点との相対的な位置関係を容易に把握でき、且つそれらのパラメータ同士の調整を容易にできるように導入したものである。具体的に式(21)で示すように、ピンタイプピッチ係数Gpは、半径R1(=R−L)と、偏心軸Bから外歯歯車120と内歯歯車130とによるピッチ点までの距離n*Lとの比で表される。
点Pが外歯歯車120Aと減速用内歯歯車130Aとによるピッチ点を示す場合に、図14に外歯歯車120の歯形の実体の半径(R−L)と仮想減速比nとの関係を示す。このときに得られるピンタイプピッチ係数Gph(ピンタイプ減速側ピッチ係数と称する)を式(21)に基づいて、式(22)に定義する。式(19)、式(20)で、パラメータi=1として、式(22)を整理すると、式(23)を得る。
点Pが外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bとによるピッチ点を示す場合に、図15に外歯歯車120の歯形の実体の半径(R−L)と仮想減速比nとの関係を示す。このときに得られるピンタイプピッチ係数Gpl(ピンタイプ出力側ピッチ係数と称する)を式(21)に基づいて、式(24)に定義する。式(19)、式(20)で、パラメータi=0として、式(24)を整理すると、式(25)を得る。
したがって、半径R、減速比N、ピンタイプ減速側ピッチ係数Gph、噛合い角度θを与えると、仮想減速比n、偏心量Lが決まり、続いてピンタイプ出力側ピッチ係数Gpl、仮想減速比nを求めることができる。
本実施形態では、図14、図15に示すように、ピンタイプ減速側ピッチ係数Gph<1を代入して、ピンタイプ出力側ピッチ係数Gpl>1の値を求めている。本実施形態では、更に、噛合い角度θが40〜65度であって、ピンタイプ減速側ピッチ係数Gphのcos−1の値が15〜30度である場合が、各歯形を求めた結果から、より好ましい条件である。
次に、内歯歯車130の歯形の修正範囲を定める。
図16に示す如く、内歯128の座標と外歯124(ピン)の中心Ocとを結んだ直線と、x軸とのなす角度βが約45度となるときの角度をβsとする。すると、角度βがゼロからβsまでは、外歯歯車120の外歯124との干渉のおそれがあるので、その範囲では内歯歯車130の内歯128の歯元に修正を行う。又、外歯124の歯先と内歯128の歯先との距離δがピンの半径ρ1の約15%となる時の角度βを、角度βfとする。角度βがβfからπまでは外歯歯車120の外歯124との干渉および外歯歯車120の外歯124との噛合い時に高面圧となる可能性があるので、その範囲では内歯歯車130の内歯128の歯先に修正を行う。即ち、歯形の修正のなされていない角度βs〜βf(修正されていない歯形の領域)が理論噛合いのなされる有効範囲となる。
次に、同時噛合い数Nph、Nplを求める。
同時噛合い数Nph、Nplは、外歯歯車120の回転角度αで定められる有効範囲をピッチ角(2πを歯数NTで割った値)で割ることで求めることができる。ここで、角度βfh、βshは減速用内歯歯車130Aにおける角度であり、角度βfl、βslは出力用内歯歯車130Bにおける角度とする。式(14)の関係から角度βfh、βsh、βfl、βslで求められる回転角度は、それぞれ、αfh、αsh、αfl、αslである。即ち、式(14)を用いることで、式(26)で減速用内歯歯車130Aの同時噛合い数Nph、式(27)で出力用内歯歯車130Bの同時噛合い数Nplがそれぞれ求められる。
式(26)、式(27)に沿って、同時噛合い数を求める。このとき、k=2としたときに求められた減速用内歯歯車130Aの同時噛合い数Nphを図17、出力用内歯歯車130Bの同時噛合い数Nplを図18に、それぞれ示す。
これらの同時噛合い数Nph、Nplが共に、2以上を実現する直径(2*R)と減速比(1/N)の条件によって、本実施形態における内歯歯車130の歯形が決定される。即ち、歯数差が2の場合(k=2)には減速比(1/N)が、1/20で本実施形態の歯形とならず、1/30以下(1/30より大きく減速される減速比)で本実施形態の内歯歯車130の歯形が決定される。
<動作>
撓み噛合い式歯車装置100の動作について、主に図2を用いて説明する。
図示しない入力軸の回転により、起振体104が回転すると、その回転状態に応じて、起振体軸受110Aを介して、外歯歯車120Aが撓み変形する。なお、このとき、外歯歯車120Bも、起振体軸受110Bを介して、外歯歯車120Aと同位相で撓み変形する。
外歯歯車120の撓み変形は、起振体104の曲率半径r1の形状に応じてなされる。図4に示す起振体104の第1円弧部FAの部分における位置では、曲率が一定であるので、撓み応力は一定となる。第1円弧部FAと第2円弧部SAの繋ぎ部分Aにおける位置では、接線Tが同一なので、繋ぎ部分での急激な撓み変形が防止されている。同時に、繋ぎ部分Aにおいて、ころ116A、116Bの急激な位置変動はないので、ころ116A、116Bの滑りが少なく、トルクの伝達ロスが少ない。
外歯歯車120が起振体104で撓み変形されることにより、第1円弧部FA(噛合い範囲)の部分で、外歯124が半径方向外側に移動して、内歯歯車130の内歯128に噛合する。噛合する際に、外歯124は回転可能なピンなので、噛合い面では外歯124が転がりに近い運動を行い、噛合い面よりも面圧が低くなる基部材122側で外歯124が滑る。このため、伝達効率のロスが少ない。又、内歯128の歯形は、円筒形状のピンである外歯124に対して、トロコイド曲線に基づく歯形とされている。このため、外歯124と内歯128とはと完全に理論噛合するので、ロスを少なくして高いトルク伝達効率を実現することができる。
噛合に際して、外歯124Aには、外歯124Bと異なる荷重(方向と大きさ)が加わる(本実施形態の外歯歯車120と異なるが、図29参照)。しかし、起振体軸受110A、110Bは、内輪112を除いて、軸方向Oで、減速用内歯歯車130Aと噛合する外歯124Aに対する部分と出力用内歯歯車130Bと噛合する外歯124Bに対する部分とに分離されている。このため減速用内歯歯車130Aと外歯124Aとの噛合を原因とするころ116Bのスキュー、及び出力用内歯歯車130Bと外歯124Bとの噛合を原因とするころ116Aのスキュー、のそれぞれが防止されている。
又、ころ116A、116Bは円筒形状であるので、同じ大きさのボールを備える玉軸受に対して、耐荷重が大きく、且つ内輪112及び外輪118A、118Bと接触する部分が多いので、負荷容量を大きくすることができる。
更に、外歯124は、軸方向Oにおいて、減速用内歯歯車130Aの噛合する部分(外歯124A)と出力用内歯歯車130Bの噛合する部分(外歯124B)に分割したものである。このため、外歯歯車120Aと減速用内歯歯車130Aとが噛合する際に、仮に外歯124Bに変形などがあってもその変形で外歯124Aに変形を生じることがない。同様に、外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bとが噛合する際に、仮に外歯124Aに変形などがあってもその変形で外歯124Bに変形を生じることがない。つまり、外歯124を分割しておくことで、一方の外歯124A(124B)の変形で他方の外歯124B(124A)を変形させてその噛合関係を悪化させるといった伝達トルクの低下を防ぐことができる。
外歯歯車120Aと減速用内歯歯車130Aとの噛合位置は、起振体104の長軸方向xの移動に伴い、回転移動する。ここで、起振体104が1回転すると、外歯歯車120Aは減速用内歯歯車130Aとの歯数差だけ、回転位相が遅れる。つまり、減速用内歯歯車130Aによる減速比は((外歯歯車120Aの歯数(N*k)−減速用内歯歯車130Aの歯数((N+1)*k))/外歯歯車120Aの歯数(N*k))=−1/Nとして求めることができる。
外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bとは共に歯数(N*k)が同一であるので、外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bとは互いに噛合する部分が移動することなく、同一の歯同士で噛合することとなる。このため、出力用内歯歯車130Bから外歯歯車120Bの自転と同一の回転が出力される。結果として、出力用内歯歯車130Bからは、起振体104の回転を減速用内歯歯車130Aによる減速比1/Nに基づいて減速した出力を取り出すことができる。
本実施形態は、その基本構成として、2つの剛性を有する内歯歯車130(減速用内歯歯車130Aと出力用内歯歯車130B)に筒形状の外歯歯車120を噛合させる構成を備えると共に、外歯歯車120と内歯歯車130との同時噛合い数Nph、Nplを共に2以上とする歯形を、外歯歯車120と内歯歯車130が備えるように構成し、更に、トロコイド曲線を用いることで、理論噛合いを実現している。このため、耐衝撃性が向上し、噛合の歯面にかかる面圧が分散されて、大きなトルクを伝達することができ、外歯歯車120に発生する局部応力を、特に従来の一般的なカップ型の撓み噛合い式歯車装置と比べて格段に少なくすることができる。即ち、本実施形態に係る撓み噛合い式歯車装置では、起振体の撓みで円錐形の変形が生じてしまうことがなく、カップ底部での応力集中もない状態で、噛合面積の増大と面圧の分散とを図ることができるため、負荷容量を大きく増やすことができるものである。
又、本実施形態では、図14、15、19に示すように、ピンタイプ減速側ピッチ係数Gph<1、ピンタイプ出力側ピッチ係数Gpl>1としていることから、式(28)が成立している。即ち、式(29)に示す如く、本実施形態では、偏心軸Bから外歯歯車120Aと減速用内歯歯車130Aとによるピッチ点Pまでの距離(n*L)と偏心軸Bから外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bとによるピッチ点Pまでの距離(n*L)との間に、偏心軸Bから外歯歯車120のピンの中心(歯形の実体)の位置が配置されている。
このため、減速用内歯歯車130Aと噛合う際に外歯歯車120Aの外歯124Aにかかる荷重と出力用内歯歯車130Bと噛合う際に外歯歯車120Bの外歯124Bにかかる荷重は、互いに逆向きの成分を備えると共に、外歯歯車120にかかる当該2つの荷重の領域を外歯歯車120の周方向で近接させることができる。即ち、軸方向Oから見て、噛合い動作の際には、2つの内歯歯車130は、少数の外歯124のみを挟込む態様とすることができる。このため、外歯歯車120と内歯歯車130との噛合いが過度のトルクではずれてしまうという現象(ラチェッティング現象)を防止することができる。つまり、耐ラチェッティング性を向上させることができる。
実際に製品化されているカップ型の外歯歯車を用いた撓み噛合い式歯車装置(内歯歯車の歯形の実体の半径が約26mmで減速比1/50のもの(比較例と称す))と、同程度の大きさと同じ減速比を備える本実施形態に係る撓み噛合い式歯車装置100では、耐ラチェッティング性に関し、比較例の実測値に対して大幅(約4倍以上)に改善されていることが確認できた。同時に、比較例では定格トルクが3.3kgfmであったのに対して、本実施形態の撓み噛合い式歯車装置100では、定格トルクとして6.6kgfmとなることを、理論計算および試験により確認できた。即ち、定格トルクにおいても、約2倍となることを理論計算上確認でき、試験により確認できた。
このようにして、本実施形態では、伝達トルクを増大させると共に伝達効率を増大させることが可能である。なお、伝達トルクを向上させる代わりに、撓み噛合い式歯車装置100をよりコンパクトにすることもできる。
又、本実施形態では、外歯歯車120の歯形は、減速用内歯歯車130A及び出力用内歯歯車130Bとそれぞれ噛合する部分で同一としているので、外歯歯車120の加工が容易であり、加工コストを低く抑えることができると共に高精度に形状加工することが可能である。
即ち、本発明によれば、外歯歯車120と内歯歯車130との同時噛合い数Nph,Nplを増やすことで、伝達トルク及び伝達効率を増大させることが可能となる。
<<第2実施形態>>
本発明に係る第2実施形態の一例について、図20から図29を用いて詳細に説明する。本実施形態は、第1実施形態の円筒形状のピンの代わりに、トロコイド曲線による歯形を外歯歯車に採用して、外歯歯車の外歯を基部材と一体に成形したものである(ソリッドタイプと称する)。なお、第1実施形態で用いたパラメータと定義が同じであれば、本実施形態で用いられているパラメータの符合も同一としている。
第1実施形態と異なる構成と歯形の決定方法について説明し、その他の部分については、下2桁に同一符号を付して重複説明を省略する。
<構成>
外歯歯車220Aは、図20、図21に示す如く、減速用内歯歯車230Aと内接噛合する。外歯歯車220Aは、基部材222と、外歯224Aとから構成される。基部材122は、可撓性を有した筒状部材であり、起振体軸受210Aの外側に配置されて、外歯224Aと一体に成形されている。このため、外歯224Aを小さくできると共に高精度な加工ができる。即ち、本実施形態の外歯歯車220Aは、負荷容量の小さな小型の撓み噛合い式歯車装置に適している。外歯224Aは、トロコイド曲線に基づいて成形されている。
外歯歯車220Bは、図20、図21に示す如く、出力用内歯歯車230Aと内接噛合する。そして、外歯歯車220Bは、外歯歯車220Aと同様に、基部材222と、外歯224Bとから構成される。外歯224Bは、外歯224Aと同数で、且つ同一形状に成形されている。ここで、図20に示す如く外歯224Aと外歯224Bとは軸方向で分断される形態であるが、基部材222が共通である。つまり、外歯歯車220A、220Bは同一形状の歯形である。起振体204の偏心量Lは、同位相で外歯224Aと外歯224Bに伝えられる。以降、外歯224A、224Bをまとめて外歯224と称する。
<歯形の決定方法>
外歯歯車220と、減速用内歯歯車230A、出力用内歯歯車230Bの歯形の決定方法について説明する。
まず、歯形の求め方の概略を以下に説明する。
最初に内歯歯車の内歯を円筒形状のピンと仮想して、ピンの半径ρ2=0とするときの内歯歯車の歯形の実体の位置の軌跡をトロコイド曲線式で表し、そのトロコイド曲線式を用いて外歯歯車220の歯形を定義する。次に、外歯歯車の歯形の実体の位置の軌跡を求めて、その軌跡から内歯歯車の歯形を定義する。次に外歯歯車220と内歯歯車230の歯形を定義する複数のパラメータを、外歯歯車220と内歯歯車230の大きさと歯数とから、互いに関連付ける。次に、内歯歯車230の歯形の歯先と歯元の修正範囲を定める。次に、関連付けられたパラメータを用いて修正範囲外の歯形部分を求めて、その歯形部分で同時噛合い数を求める。そして、同時噛合い数を共に2以上とするように、最適なパラメータを決定する。パラメータの決定において、トルク、歯面の許容面圧、各箇所の主応力、軸受寿命などの目標値を同時に満足するように、試行錯誤がなされる。
以下、詳細に説明する。
最初に、外歯歯車220の歯形を定義する。
減速用内歯歯車230Aの内歯228Aとして仮想的に半径ρ2の円筒形状のピンを配置させて(便宜上、減速用内歯歯車230Aとしているが、出力用内歯歯車230Bに配置してもよい)、ピンの半径ρ2=0(ピンの中心と同義)の減速用内歯歯車230Aの歯形の実体の位置の軌跡を求める。そして、その後ピンの半径ρ2だけ内側(外歯歯車220側)に移動させたものを外歯歯車220の歯形とする。以下、より具体的に説明する。なお、仮想減速比n(n、n)は、第1実施形態と同一の定義である。
外歯歯車220は、第1実施形態と同じく、2円弧形状であり、半径R1、R2の関係は式(3)、式(4)で示される。
外歯歯車220は、仮想的にピンを備える減速用内歯歯車230Aと理論噛合を行う。このため、図22で示す如く、偏心軸Bを中心とする静止空間に減速用内歯歯車230Aのピンの中心が座標(x4、y4)から座標(x5、y5)へ移動する際に描く軌跡の座標(x、y)が、外歯歯車220の歯形の実体の位置の座標として、外トロコイド曲線式(エピトロコイド曲線式)で表される。即ち、偏心軸Bを中心として固定される基円BBの半径b2、基円BBの円周に沿って滑らずに回転する転円ABの半径a2、描画点の半径L2、回転角β2、を用いると、外歯歯車220の歯形の実体の位置の座標(x、y)は、式(30)、式(31)で表される。
ここで、式(32)〜(34)の関係を用いると、式(35)、式(36)の関係が求められる。
次に、外歯歯車220の歯形の実体の位置の座標(x、y)を内歯228と仮想したピンの半径ρ2だけ内側(外歯歯車220側)に移動させる。すると、回転軸Fcを原点とする外歯歯車220の歯形の座標(xkfc、ykfc)は式(37)〜(39)で表すことができる。
即ち、半径R、ρ2、偏心量L、仮想減速比nを代入して角度βを変化させることで、外歯歯車220の歯形の座標(xkfc、ykfc)を求めることができる。
次に、内歯歯車230の歯形を定義する。外歯歯車220の歯形の実体の位置の座標(x、y)の包絡線を求め、その包絡線を半径ρ2だけ内側(内歯歯車230側)に移動させて内歯歯車230の歯形の軌跡とする。即ち、減速用内歯歯車230Aについては、その歯形を求め直すこととなる。以下、より具体的に説明する。
外歯歯車220の偏心軸Bを中心としたxd−yd座標上の外歯歯車220の歯形の軌跡Q(図23で示す2つの破線部分)は、角度α回転した際に図23に示すように包絡線(図23で示す実線部分)を描く。このため、回転軸Fcを原点とする内歯歯車230の歯形の実体の位置の座標(xpfc、ypfc)は、式(30)、(31)を用いて式(40)、(41)で表される。ここで、包絡線の条件式である式(42)を用いることで角度α、βの関係が式(43)で表される。
次に、内歯歯車230の歯形の実体の位置の座標(xpfc、ypfc)を、内歯228と仮想したピンの半径ρ2だけ内側(内歯歯車230側)に移動させることで、回転軸Fcを原点とする内歯歯車230の歯形の座標(xfc、yfc)を式(44)、(45)で求めることができる。
即ち、半径R、ρ2、偏心量L、仮想減速比n、nを代入して角度βを変化させることで、減速用内歯歯車230Aと出力用内歯歯車230Bの歯形のそれぞれの座標(xfc、yfc)を求めることができる。
次に、外歯歯車220と内歯歯車230を規定するパラメータを互いに関連付ける。
上述の如く、第1実施形態と同じく、外歯歯車220の形状は半径R1、R2で規定される2円弧形状である。即ち、本実施形態においても、式(19)、式(20)の関係が成り立つ。
次に、パラメータGs(ソリッドタイプピッチ係数と称する)を導入する。ここで、偏心軸Bと回転軸Fcを通る直線と外歯歯車220(の外歯224)と内歯歯車230(の内歯228)との噛合いで生じる接触点の共通法線との交点を、外歯歯車220と内歯歯車230とによるピッチ点と称する(即ち、ピッチ点の定義は第1実施形態と同一)。ソリッドタイプピッチ係数Gsは、ピンタイプピッチ係数Gpと同様に、外歯歯車220と内歯歯車230のそれぞれの歯形の実体の位置とピッチ点との相対的な位置関係を容易に把握でき、且つそれらのパラメータ同士の調整を容易にできるように導入したものである。具体的に式(46)で示すように、ソリッドタイプピッチ係数Gsは、半径Rと、回転軸Fcから外歯歯車220と減速用内歯歯車230とによるピッチ点までの距離(n+1)*Lとの比で表される。
図24に内歯歯車230の歯形の実体の半径Rと仮想減速比nとの関係を示す。このときに得られるソリッドタイプピッチ係数Gsh(ソリッドタイプ減速側ピッチ係数と称する)を式(46)に基づいて、式(47)に定義する。式(19)、式(20)で、パラメータi=1として、式(47)を整理すると、式(48)を得る。
図25に内歯歯車230の歯形の実体の半径Rと仮想減速比nとの関係を示す。このときに得られるソリッドタイプピッチ係数Gsl(ソリッドタイプ出力側ピッチ係数と称する)を式(46)に基づいて、式(49)に定義する。式(19)、式(20)で、パラメータi=0として、式(49)を整理すると、式(50)、式(51)を得ることができる。
したがって、半径R、減速比N、ソリッドタイプ減速側ピッチ係数Gsh、噛合い角度θを与えると、仮想減速比n、偏心量Lが決まり、続いてソリッドタイプ出力側ピッチ係数Gsl、仮想減速比nを求めることができる。
本実施形態も第1実施形態と同様に、図24、図25に示すように、ソリッドタイプ減速側ピッチ係数Gsh<1を代入して、ソリッドタイプ出力側ピッチ係数Gsl>1の値を求めている。本実施形態も第1実施形態と同様に、更に、噛合い角度θが40〜65度であって、ピンタイプ減速側ピッチ係数Gphのcos−1の値が15〜30度である場合が、各歯形を求めた結果からより好ましい条件である。
次に、内歯歯車230の歯形の修正範囲を定める。
第1実施形態と同様に、内歯228の歯先と歯元を修正する。このため、歯形の修正のなされていない角度βs〜βf(修正されていない歯形の領域)が理論噛合いのなされる有効範囲となる。
次に、同時噛合い数Nsh、Nslを求める。
同時噛合い数Nsh、Nslは、第1実施形態と同様に、外歯歯車220の回転角度αで定められる有効範囲をピッチ角で割ることで求めることができる。即ち、式(43)の関係を用いて、式(52)で減速用内歯歯車230Aの同時噛合い数Nsh、式(53)で出力用内歯歯車230Bの同時噛合い数Nslがそれぞれ求められる。
式(52)、式(53)に沿って、同時噛合い数を求める。このとき、k=2としたときに求められた減速用内歯歯車230Aの同時噛合い数Nshを図26、出力用内歯歯車230Bの同時噛合い数Nslを図27に、それぞれ示す。
これらの同時噛合い数Nsh,Nslが共に、2以上を実現する直径(2*R)と減速比(1/N)の条件によって、本実施形態における内歯歯車230の歯形が決定される。即ち、歯数差が2の場合(k=2)には減速比(1/N)が、1/30で本実施形態の歯形とならず、1/50以下(1/50より大きく減速される減速比)で本実施形態の内歯歯車の歯形が決定される。
本実施形態では、外歯224を基部材222と一体で成形しているので、外歯歯車220の加工が容易で、かつその加工を高精度に行うことができる。
その他については、本実施形態においても、第1実施形態とほぼ同様な作用効果を得ることができる。
例えば、本実施形態においても第1実施形態と同様に、図24、25、28に示すように、ソリッドタイプ減速側ピッチ係数Gsh<1、ソリッドタイプ出力側ピッチ係数Gsl>1としていることから、式(54)が成立している。即ち、式(55)に示す如く、回転軸Fcから外歯歯車220Aと減速用内歯歯車230Aとによるピッチ点Pまでの距離((n+1)*L)と回転軸Fcから外歯歯車220Bと出力用内歯歯車230Bとによるピッチ点Pまでの距離((n+1)*L)との間に、内歯歯車230の内歯228をピンと仮想したときのピンの中心(歯形の実体)の位置が配置されている。
このため、減速用内歯歯車230Aと噛合う際に外歯歯車220Aの外歯224Aにかかる荷重Fdと出力用内歯歯車230Bと噛合う際に外歯歯車220Bの外歯224Bにかかる荷重Foは、互いに逆向きの成分を備えると共に、外歯歯車220にかかる当該2つの荷重Fd,Foの領域を外歯歯車220の周方向で近接させることができる。即ち、図29に示す如く、軸方向Oから見て、噛合い動作の際には、荷重Fdと荷重Foの領域を近接させて、2つの内歯歯車230は、少数の外歯224のみを挟込む態様とすることができる。このため、第1実施形態と同様に、耐ラチェッティング性を向上させることができる。
なお、式(29)と式(55)はいずれも、式(56)に変形することができる。
即ち、上記実施形態では、回転軸Fcと偏心軸Bとを通る直線と外歯歯車120、220と内歯歯車130、230との噛合で生じる接触点のそれぞれの共通法線との交点であるピッチ点P、Pの間に、外歯歯車120の外歯124を円筒形状のピンとするときはピンの中心、又は内歯歯車230の内歯228を円筒形状のピンと(仮想)するときは該ピンの中心Rが配置されているので、耐ラチェッティング性を向上させることができる。
本発明について上記実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち本発明の要旨を逸脱しない範囲においての改良並びに設計の変更が可能なことは言うまでも無い。
例えば、上記実施形態においては、同時噛合い数Nph、Npl、Nsh、Nslを2以上とする際に、トロコイド曲線に基づいて、外歯歯車若しくは内歯歯車の歯形を求めていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、求められる内歯歯車の歯形の座標から、外歯歯車と内歯歯車との噛合いで生じる接触点の軌跡である接触線を一義的に求めることができるので、それを利用することもできる。以下に、第1実施形態の場合における、内歯歯車130の歯形の座標と接触線との一義的な関係を具体的に説明する。
接触線CLは、内歯歯車130の歯形の座標(xfc、yfc)を角度α回転した図30で示すX―Y座標系から見た軌跡となる。このため、接触線の座標(xcfc、ycfc)は、内歯歯車130の歯形の座標(xfc、yfc)を角度α回転した式(57)、式(58)で与えられる。
上式で得られる接触線CLを図31に示す。接触線CLは外歯歯車120と内歯歯車130の複数の歯先と歯元の中間に描かれており、複数の同時噛合い数Nph、Nplを確保することが可能なことがわかる。
このため、これを利用して、複数の同時噛合い数Nph、Nplを確保することが可能な接触線を想定して、そこから内歯歯車の歯形を求めてもよい。
又、上記実施形態においては、減速側ピッチ係数Gph、Gshを1より小さく、且つ出力側ピッチ係数Gpl、Gslを1よりも大きくしていたが、本発明はこのような関係に必ずしも限定されない。例えば、減速側ピッチ係数Gph、Gshを1より大きくし、且つ出力側ピッチ係数Gpl、Gslを1より小さくしてもよい。又、いずれのピッチ係数も1より大きく、若しくはいずれのピッチ係数も1より小さくするという場合を否定するものではない。ピッチ係数を規定するパラメータだけでなく、多数のパラメータの調整を試行錯誤して決定することで、外歯歯車と内歯歯車の歯形が求められるからである。
本発明の撓み噛合い式歯車装置は、種々の用途に使用できるが、例えば、産業用ロボットの関節(手首)駆動装置や工作機械等、精密制御用途に好適に使用できる。
100、200…撓み噛合い式歯車装置
104、204…起振体
110A、110B、210A、210B…起振体軸受
114A、114B、214A、214B…保持器
116A、116B、216A、216B…ころ
120、120A、120B、220、220A、220B…外歯歯車
122、222…基部材
124、124A、124B、224、224A、224B…外歯
128、128A、128B、228、228A、228B…内歯
130、130A、130B、230、230A、230B…内歯歯車
a1、a2…転円の半径
AA、AB…転円
B…偏心軸
b1、b2…基円の半径
BA、BB…基円
CL…接触線
FA…第1円弧部(噛合い範囲)
Fc…回転軸
Fd、Fo…荷重
Gp、Gph、Gpl、Gs、Gsh、Gsl…ピッチ係数
L…偏心量
n、n、n…仮想減速比(の逆数)
N…減速比(の逆数)
Nph、Npl、Nsh、Nsl…同時噛合い数
O…軸方向
Oc…ピンの中心
、P…ピッチ点
R…内歯歯車の歯形の実体の半径
R1…外歯歯車の噛合い範囲の歯形の実体の半径
R2…外歯歯車の非噛合い範囲の歯形の実体の半径
SA…第2円弧部(非噛合い範囲)
ρ1、ρ2…円筒形状のピンの半径

Claims (14)

  1. 起振体と、該起振体の外周に配置され、該起振体の回転により撓み変形される可撓性を有した筒形状の外歯歯車と、該外歯歯車が内接噛合する剛性を有した第1内歯歯車と、該第1内歯歯車に軸方向に並設され前記外歯歯車と内接噛合する剛性を有した第2内歯歯車と、を備えた撓み噛合い式歯車装置において、
    前記第1内歯歯車及び前記第2内歯歯車とそれぞれ噛合する部分の前記外歯歯車の歯形は同一であり、
    前記外歯歯車と第1内歯歯車と第2内歯歯車は、該外歯歯車と第1内歯歯車との同時噛合い数及び該外歯歯車と第2内歯歯車との同時噛合い数が共に2以上となるような歯形をそれぞれ備える
    ことを特徴とする撓み噛合い式歯車装置。
  2. 請求項1において、
    前記外歯歯車、第1内歯歯車、若しくは第2内歯歯車の歯形は、トロコイド曲線に基づく形状である
    ことを特徴とする撓み噛合い式歯車装置。
  3. 請求項1又は2において、
    前記外歯歯車の外歯が円筒形状のピンとされている
    ことを特徴とする撓み噛合い式歯車装置。
  4. 請求項3において、
    前記外歯歯車と第1内歯歯車と第2内歯歯車の歯形は、該第1内歯歯車若しくは第2内歯歯車と噛合した際の該外歯歯車の噛合半径の中心である偏心軸から前記ピンの中心の位置までの距離と、該偏心軸から前記起振体の回転軸と該偏心軸とを通る直線と該外歯歯車と該第1内歯歯車若しくは第2内歯歯車との噛合で生じる接触点の共通法線との交点であるピッチ点までの距離との比、が与えられることにより求められる
    ことを特徴とする撓み噛合い式歯車装置。
  5. 請求項3又は4において、
    前記第1内歯歯車の歯数と該外歯歯車の歯数との比及び該第2内歯歯車の歯数と該外歯歯車の歯数との比とから求められる減速比が、1/30以下である
    ことを特徴とする撓み噛合い式歯車装置。
  6. 請求項1又は2において、
    前記外歯歯車と第1内歯歯車と第2内歯歯車の歯形は、前記起振体の回転軸から該第1内歯歯車又は第2内歯歯車の内歯を円筒形状のピンと仮想したときの該ピンの中心の位置までの距離と、該回転軸から該回転軸と前記外歯歯車の偏心軸とを通る直線と該外歯歯車と該第1内歯歯車若しくは第2内歯歯車との噛合で生じる接触点の共通法線との交点であるピッチ点までの距離との比、が与えられることにより求められる
    ことを特徴とする撓み噛合い式歯車装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれかにおいて、
    前記外歯歯車と第1内歯歯車と第2内歯歯車の歯形は、該第1内歯歯車の歯数と該外歯歯車の歯数との比及び該第2内歯歯車の歯数と該外歯歯車の歯数との比とから求められる減速比に基づいて決定される
    ことを特徴とする撓み噛合い式歯車装置。
  8. 起振体と、該起振体の外周に配置され、該起振体の回転により撓み変形される可撓性を有した筒形状の外歯歯車と、該外歯歯車が内接噛合する剛性を有した第1内歯歯車と、該第1内歯歯車に軸方向に並設され前記外歯歯車と内接噛合する剛性を有した第2内歯歯車と、を備えた撓み噛合い式歯車装置において、
    前記起振体の回転軸と前記第1内歯歯車若しくは第2内歯歯車と噛合した際の前記外歯歯車の噛合半径の中心である偏心軸とを通る直線と該外歯歯車と該第1内歯歯車及び第2内歯歯車との噛合で生じる接触点のそれぞれの共通法線との交点であるピッチ点の間に、該外歯歯車の外歯を円筒形状のピンとするときあるいは円筒形状のピンと仮想するときは該ピンの中心、又は該第1内歯歯車若しくは第2内歯歯車の内歯を円筒形状のピンとするときあるいは円筒形状のピンと仮想するときは該ピンの中心が配置される
    ことを特徴とする撓み噛合い式歯車装置。
  9. 起振体と、該起振体の外周に配置され、該起振体の回転により撓み変形される可撓性を有した筒形状の外歯歯車と、該外歯歯車が内接噛合する剛性を有した第1内歯歯車と、該第1内歯歯車に軸方向に並設され前記外歯歯車と内接噛合する剛性を有した第2内歯歯車と、を備えた撓み噛合い式歯車装置の歯形の決定方法において、
    前記第1内歯歯車及び前記第2内歯歯車とそれぞれ噛合する部分の前記外歯歯車の歯形を同一として、
    該外歯歯車、第1内歯歯車、及び第2内歯歯車の歯形を定義する工程と、
    該外歯歯車、第1内歯歯車、及び第2内歯歯車の歯形を定義する複数のパラメータを、それぞれの歯車の大きさと歯数とから関連づける工程と、
    該第1内歯歯車と第2内歯歯車のそれぞれの歯形の歯先と歯元の修正範囲を定める工程と、
    前記複数のパラメータを用いて該第1内歯歯車と第2内歯歯車のそれぞれの該修正範囲外の歯形部分を求めて、それぞれの同時噛合い数を求める工程と、
    該同時噛合い数が、共に2以上となることを条件として前記複数のパラメータを決定して前記外歯歯車、第1内歯歯車、及び第2内歯歯車の歯形を決定する工程と、
    を含むことを特徴とする撓み噛合い式歯車装置の歯形の決定方法。
  10. 請求項9において、
    前記外歯歯車又は前記第1内歯歯車と第2内歯歯車の歯形が、前記前記起振体の回転軸を中心として固定される基円と該基円の円周に沿って滑らずに回転する転円とで規定されるトロコイド曲線で定義される
    ことを特徴とする撓み噛合い式歯車装置の歯形の決定方法。
  11. 請求項10において、
    前記外歯歯車の外歯が円筒形状のピンとされて、前記トロコイド曲線を内トロコイド曲線として、該トロコイド曲線を該ピンの半径分平行移動させて、前記第1内歯歯車と第2内歯歯車の歯形を定義する
    ことを特徴とする撓み噛合い式歯車装置の歯形の決定方法。
  12. 請求項11において、
    前記複数のパラメータを関連づけるために、前記第1内歯歯車若しくは第2内歯歯車と噛合した際の前記外歯歯車の噛合半径の中心である偏心軸から前記ピンの中心の位置までの距離と、該偏心軸から前記起振体の回転軸と該偏心軸とを通る直線と該外歯歯車と該第1内歯歯車若しくは第2内歯歯車との噛合で生じる接触点の共通法線との交点であるピッチ点までの距離との比、を考慮する
    ことを特徴とする撓み噛合い式歯車装置の歯形の決定方法。
  13. 請求項9において、
    前記第1内歯歯車又は第2内歯歯車の内歯を円筒形状のピンと仮想して、前記トロコイド曲線を外トロコイド曲線として、該トロコイド曲線を前記ピンの半径分平行移動させて、前記外歯歯車の歯形を定義すると共に、
    該トロコイド曲線の包絡線を求めて、該包絡線を該ピンの半径分平行移動させて、前記第1内歯歯車と第2内歯歯車の歯形を定義する
    ことを特徴とする撓み噛合い式歯車装置の歯形の決定方法。
  14. 請求項11において、
    前記複数のパラメータを関連づけるために、前記起振体の回転軸から前記ピンの中心の位置までの距離と、該回転軸から該回転軸と前記第1内歯歯車若しくは第2内歯歯車と噛合した際の前記外歯歯車の噛合半径の中心である偏心軸とを通る直線と該外歯歯車と前記第1内歯歯車との噛合で生じる接触点の共通法線との交点であるピッチ点までの距離との比、を考慮する
    ことを特徴とする撓み噛合い式歯車装置の歯形の決定方法。
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