JP2006349091A - ハーモニックドライブ装置、伝達比可変装置、及び車両用操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】静粛性の高い調和駆動型減速装置、伝達比可変装置、および車両用操舵装置を提供すること。
【解決手段】 波動発生器27とフレキシブルギヤ23との間に弾性層Xを設ける。そして、波動発生器27が、フレキシブルギヤ23を径方向外側に押圧する力、即ち、フレキシブルギヤ23をステータギヤ21及びドリブンギヤ22に噛合させ、及びその噛合部を回転させる力を分散させることにより、両者の間の噛み合い率を向上させる。
【選択図】 図3
【解決手段】 波動発生器27とフレキシブルギヤ23との間に弾性層Xを設ける。そして、波動発生器27が、フレキシブルギヤ23を径方向外側に押圧する力、即ち、フレキシブルギヤ23をステータギヤ21及びドリブンギヤ22に噛合させ、及びその噛合部を回転させる力を分散させることにより、両者の間の噛み合い率を向上させる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、ハーモニックドライブ装置、伝達比可変装置、及び車両用操舵装置に関するものである。
従来、サーキュラスプラインと、その内側においてサーキュラスプラインと噛み合うように同軸配置される筒状のフレクスプラインと、フレクスプラインを非円形に撓ませてその外歯をサーキュラスプラインの内歯に部分的に噛み合わせるとともに、その非円形形状を回転させる波動発生器とを備えたハーモニックドライブ装置がある(特許文献1参照)。
ハーモニックドライブ装置は、上記波動発生器を回転させることで、フレクスプラインの固定端側(2つのフレクスプラインを有するものはステータ側)に対してサーキュラスプラインを高い減速比で相対回転させることができる。そして、その外形が極めて小さいという特徴を有していることから、近年、精密機械や車両用操舵装置の伝達比可変装置等、多種多様な用途に用いられるようになっている。
特許第2718540号明細書
しかしながら、こうした用途の拡大に伴い、近年、ハーモニックドライブ装置には、その基本性能はもとより、より高い静粛性並びに滑らかな回転が求められるようになっている。そして、特に、伝達比可変装置においては、その作動音及び振動がステアリングシャフトやハウジング等の操舵系を介して車室に伝播しその放射ノイズが搭乗者に不快感を与えるおそれがあることから、その作動音の低減及び振動の抑制が重要な課題となっている。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、静粛性の高いハーモニックドライブ装置、伝達比可変装置、及び車両用操舵装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、サーキュラスプラインと、前記サーキュラスプラインの内側において該サーキュラスプラインと噛み合うように同軸配置される筒状のフレクスプラインと、前記フレクスプラインの内側に配置され前記フレクスプラインを非円形に撓ませて該フレクスプラインの外歯を前記サーキュラスプラインの内歯に部分的に噛み合わせるとともに前記撓められたフレクスプラインの非円形の形状を回転させる波動発生器とを備えたハーモニックドライブ装置であって、前記フレクスプラインと前記波動発生器との間に弾性層を設けたこと、を要旨とする。
請求項2に記載の発明は、前記弾性層は、ゴム製のリング部材により形成されること、を要旨とする。
上記各構成によれば、波動発生器がフレクスプラインをサーキュラスプラインに噛合させ及びその噛合部を回転させる力を分散させる力、即ち波動発生器がフレクスプラインを径方向外側に押圧する力は、弾性層により分散され、比較的広い範囲に亘り略均等にフレクスプラインへと伝達される。従って、その噛み合い率が大きくなるとともに、その歯面荷重もまた各噛み合い箇所に分散されることとなり、これにより、スムーズな噛み合いを実現し、滑らかな回転を確保するとともに、噛み合い箇所の隙間を低減してそのガタに起因する振動の発生を抑制することができる。そして、発生した振動並びに接触音は、同弾性層にて吸収することができる。その結果、作動音及び振動を低減して、その静粛性の向上を図ることができるようになる。
上記各構成によれば、波動発生器がフレクスプラインをサーキュラスプラインに噛合させ及びその噛合部を回転させる力を分散させる力、即ち波動発生器がフレクスプラインを径方向外側に押圧する力は、弾性層により分散され、比較的広い範囲に亘り略均等にフレクスプラインへと伝達される。従って、その噛み合い率が大きくなるとともに、その歯面荷重もまた各噛み合い箇所に分散されることとなり、これにより、スムーズな噛み合いを実現し、滑らかな回転を確保するとともに、噛み合い箇所の隙間を低減してそのガタに起因する振動の発生を抑制することができる。そして、発生した振動並びに接触音は、同弾性層にて吸収することができる。その結果、作動音及び振動を低減して、その静粛性の向上を図ることができるようになる。
更に、噛み合い率を向上させてその歯面荷重を分散させることで、フレクスプラインとサーキュラスプラインとの間の径方向隙間を小さくした場合であっても、その起動トルクが高くならない。従って、両者の間の噛み合い箇所の隙間(ガタ)を詰めるべく、その径方向隙間を予め小さく設定することが可能となり、これにより一層の滑らかな回転を実現することができるようになる。そして、請求項2の構成を採用することで、こうした弾性層は容易に形成することができる。
請求項3に記載の発明は、ステアリングホイールの操舵角に基づく操舵輪の第1の舵角にモータ駆動に基づく前記操舵輪の第2の舵角を上乗せすることにより前記ステアリングホイールと操舵輪との間の伝達比を可変させる伝達比可変装置であって、請求項1又は請求項2に記載のハーモニックドライブ装置を備えること、を要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の伝達比可変装置を備えた車両用操舵装置であることを要旨とする。
上記各構成によれば、静粛性の高い伝達比可変装置及び車両用操舵装置を提供することができる。
上記各構成によれば、静粛性の高い伝達比可変装置及び車両用操舵装置を提供することができる。
本発明によれば、静粛性の高いハーモニックドライブ装置、伝達比可変装置、及び車両用操舵装置を提供することにある。
以下、本発明を車両用操舵装置に設けられた伝達比可変装置のハーモニックドライブ装置に具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のステアリング装置1の概略構成図である。同図に示すように、ステアリングホイール(ステアリング)2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック5に連結されており、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック5の往復直線運動に変換される。そして、このラック5の往復直線運動により操舵輪6の舵角、即ちタイヤ角が可変することにより、車両の進行方向が変更されるようになっている。
図1は、本実施形態のステアリング装置1の概略構成図である。同図に示すように、ステアリングホイール(ステアリング)2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック5に連結されており、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック5の往復直線運動に変換される。そして、このラック5の往復直線運動により操舵輪6の舵角、即ちタイヤ角が可変することにより、車両の進行方向が変更されるようになっている。
また、ステアリング装置1は、モータ7を駆動源としてステアリングホイール2の舵角(操舵角)に対する操舵輪6の舵角(タイヤ角)の比率、即ち伝達比(ギヤ比)を可変させる伝達比可変装置8を備えている。
本実施形態では、ステアリングシャフト3は、ステアリング2が連結された第1シャフト9とラックアンドピニオン機構4に連結される第2シャフト10とからなり、これら第1シャフト9及び第2シャフト10は、伝達比可変装置8を介して連結されている。
図2に示すように、伝達比可変装置8は、駆動源としてのモータ7と、差動機構としてのハーモニックドライブ装置11とを備えており、第1シャフト9の回転を第2シャフト10に伝達するとともにモータ7の回転を減速して第2シャフト10に伝達する。そして、ステアリング操作に伴う第1シャフト9の回転に、モータ駆動に基づく回転を上乗せして第2シャフト10に伝達することにより、ラックアンドピニオン機構4に入力されるステアリングシャフト3の回転を増速(又は減速)し、これにより操舵角に対する操舵輪6の伝達比を可変させるようになっている。
詳述すると、モータ7を収容するハウジング12は、略有底筒状に形成されており、モータ7は、その出力軸7aとハウジング12とが同軸になるように同ハウジング12内に固定されている。また、ハウジング12の上壁部12aには、同ハウジング12と同軸となる位置に筒状の嵌合部13が設けられており、同嵌合部13は、その軸方向外側(図中上方向)に向かって延設されている。そして、ハウジング12は、その嵌合部13と第1シャフト9の一端とが嵌合されることにより同第1シャフト9に固定され、これにより、第1シャフト9とともに一体回転するようになっている。
また、ハウジング12の上壁部12aには、スパイラルケーブル装置14が設けられている。スパイラルケーブル装置14は、ハウジング12とともに一体回転する内筒体14aと、該内筒体14aの外側において同内筒体14aと相対回転可能に設けられた外筒体14bとを有しており、内筒体14aの周囲には、同内筒体14aと外筒体14bとを電気的に接続するFFC(フレキシブルフラットケーブル)14cが巻回されている。そして、ハウジング12の回転に伴う内筒体14aの回転により同内筒体14aと外筒体14bとの間でFFC14cが巻き絞め又は巻き広げられることにより、所定の回転範囲(許容回転範囲)においてモータ7とECU15とが電気的に接続されるようになっている。
一方、図3(a)(b)に示すように、ハーモニックドライブ装置11は、ステータギヤ21と、該ステータギヤ21と異なる歯数が設定されるとともに該ステータギヤ21と同軸に並置されるドリブンギヤ22と、ステータギヤ21及びドリブンギヤ22の内側に該両ギヤと噛み合うように同軸配置される筒状のフレキシブルギヤ23とを備えている。
図2に示すように、ステータギヤ21は、ハウジング12と同軸となるように同ハウジング12に固定されており、ドリブンギヤ22は、連結部材25を介して第2シャフト10と同軸に連結されている。また、図3(a)(b)に示すように、フレキシブルギヤ23は、楕円状に撓められた状態でステータギヤ21及びドリブンギヤ22の内側に配置されており、その外歯23aはステータギヤ21の内歯21a及びドリブンギヤ22の内歯22aとそれぞれ部分的に噛合されている。そして、ハウジング12とともにステータギヤ21が回転し、そのステータギヤ21の回転がフレキシブルギヤ23を介してドリブンギヤ22に伝達されることにより、ステアリング操作に伴う第1シャフト9の回転が第2シャフト10に伝達されるようになっている。
また、ハーモニックドライブ装置11は、フレキシブルギヤ23の内側に配置される波動発生器27を有している。波動発生器27は、楕円状に形成されたカム28と該カム28の外周に設けられた薄肉のボールベアリング29とからなり、カム28にはモータ7の出力軸7aが連結されている。そして、モータ7(の出力軸7a)とともにこのカム28が回転することにより、ボールベアリング29の外輪29aが弾性変形し、その径方向に凸となる部分が周方向に沿って移動、即ちその外輪29aが波動する。
即ち、波動発生器27は、その外周(ボールベアリング29の外輪29a)の波動によりフレキシブルギヤ23の内周23bを径方向外側に押圧し、これによりフレキシブルギヤ23を楕円形状に撓めてステータギヤ21及びドリブンギヤ22に噛合させるとともに、同噛合部、即ちその撓められた楕円形状を回転させる。そして、ステータギヤ21とドリブンギヤ22と間の歯数差に基づいて、ドリブンギヤ22が波動発生器27の回転と逆方向に回転することにより、モータ7の回転が減速されて第2シャフト10に伝達されるようになっている。尚、本実施形態では、ステータギヤ21及びフレキシブルギヤ23の歯数は「102」、ドリブンギヤ22の歯数は「100」に設定されている。そして、これにより、ハーモニックドライブ装置11の減速比は「50:1」となっている。
(制振構造)
次に、本実施形態のハーモニックドライブ装置の制振構造について説明する。
図3(a)(b)に示すように、本実施形態のハーモニックドライブ装置11では、波動発生器27とフレキシブルギヤ23との間には、弾性層Xが設けられている。具体的には、本実施形態では、波動発生器27の外周にはゴム製のリング部材30が嵌装されており、上記弾性層Xは、このリング部材30により形成されている。そして、波動発生器27がフレキシブルギヤ23を径方向外側に押圧する力、即ちフレキシブルギヤ23をステータギヤ21及びドリブンギヤ22に噛合させ、及びその噛合部を回転させる力は、上記弾性層Xを介してフレキシブルギヤ23に伝達されるようになっている。
次に、本実施形態のハーモニックドライブ装置の制振構造について説明する。
図3(a)(b)に示すように、本実施形態のハーモニックドライブ装置11では、波動発生器27とフレキシブルギヤ23との間には、弾性層Xが設けられている。具体的には、本実施形態では、波動発生器27の外周にはゴム製のリング部材30が嵌装されており、上記弾性層Xは、このリング部材30により形成されている。そして、波動発生器27がフレキシブルギヤ23を径方向外側に押圧する力、即ちフレキシブルギヤ23をステータギヤ21及びドリブンギヤ22に噛合させ、及びその噛合部を回転させる力は、上記弾性層Xを介してフレキシブルギヤ23に伝達されるようになっている。
(作用・効果)
次に、上記のように構成されたハーモニックドライブ装置の作用・効果について説明する。図4(a)は、従来のハーモニックドライブ装置における各ギヤ間の歯面荷重分布を示すグラフであり、図4(b)は、本実施形態のハーモニックドライブ装置における各ギヤ間の歯面荷重分布を示すグラフである。そして、図5は、フレクスプライン(フレキシブルギヤ)とサーキュラスプライン(ステータギヤ及びドリブンギヤ)との間の径方向隙間を可変した場合の起動トルクの変化を示すグラフである。
次に、上記のように構成されたハーモニックドライブ装置の作用・効果について説明する。図4(a)は、従来のハーモニックドライブ装置における各ギヤ間の歯面荷重分布を示すグラフであり、図4(b)は、本実施形態のハーモニックドライブ装置における各ギヤ間の歯面荷重分布を示すグラフである。そして、図5は、フレクスプライン(フレキシブルギヤ)とサーキュラスプライン(ステータギヤ及びドリブンギヤ)との間の径方向隙間を可変した場合の起動トルクの変化を示すグラフである。
尚、図4(a)(b)中、符号「S」「D」「F」に示す各線は、それぞれステータギヤ21、ドリブンギヤ22、及びフレキシブルギヤ23の歯面形状を示している。また、同図中、波形「L」に示す直線は、これら各ギヤ間の各噛み合い箇所の歯面荷重を示しており、その長さ及び方向が、対応する各噛み合い箇所の歯面荷重の大きさ([kgf]、×1.5スケール)を示している。そして、図5中、符号「T0」に示す波形は、従来のハーモニックドライブ装置における起動トルクの推移を示し、符号「T1」に示す波形は、本実施形態のハーモニックドライブ装置における起動トルクの推移を示している。尚、同図中、径方向隙間が「−」である場合には、圧入傾向にあることを示すものである。
さて、ハーモニックドライブ装置における作動音並びに振動の主な発生要因としては、次の2点を挙げることができる。
即ち、通常、ハーモニックドライブ装置においては、その起動トルク(波動発生器を静止状態から回転させるときに必要とするトルク)を低く抑えるために、フレクスプライン(フレキシブルギヤ23)とサーキュラスプライン(ステータギヤ21及びドリブンギヤ22)との間に径方向隙間が設定されている。このため、その負荷状態によって両者の間の噛み合い率(総歯数に対して噛み合う歯数の比率)が変動しやすく、これにより、その円滑なる回転が妨げられることとなる。そして、特に低負荷状態においては、その噛み合い率が低くなることから、噛み合い箇所の隙間(噛合する歯間のガタ)が大となり、それに起因する振動が発生することになる。
即ち、通常、ハーモニックドライブ装置においては、その起動トルク(波動発生器を静止状態から回転させるときに必要とするトルク)を低く抑えるために、フレクスプライン(フレキシブルギヤ23)とサーキュラスプライン(ステータギヤ21及びドリブンギヤ22)との間に径方向隙間が設定されている。このため、その負荷状態によって両者の間の噛み合い率(総歯数に対して噛み合う歯数の比率)が変動しやすく、これにより、その円滑なる回転が妨げられることとなる。そして、特に低負荷状態においては、その噛み合い率が低くなることから、噛み合い箇所の隙間(噛合する歯間のガタ)が大となり、それに起因する振動が発生することになる。
また、ハーモニックドライブ装置を構成する各スプライン及び波動発生器は、高負荷に耐えうるよう金属にて形成されるため、その金属接触により歯当たり音及び振動が発生する。そして、その構成がシンプルであるが故に、その歯当たり音及び振動が吸収されることなく作動音として外部に伝達されることになる。
この点を踏まえ、本実施形態のハーモニックドライブ装置11では、波動発生器27とフレキシブルギヤ23との間に弾性層Xを設けることにより、波動発生器27がフレキシブルギヤ23を径方向外側に押圧する力、即ちフレキシブルギヤ23をステータギヤ21及びドリブンギヤ22に噛合させ及びその噛合部を回転させる力を分散させる。そして、両者の間の噛み合い率を向上させ、その歯面荷重を分散させることにより、スムーズな噛み合いを実現し、滑らかな回転を確保するとともに、噛み合い箇所の隙間を低減してそのガタに起因する振動の発生を抑制する。そして、発生した振動並びに接触音もまた、この弾性層Xにより併せて吸収する。
即ち、従来のごとく、波動発生器27(のボールベアリング29の外輪29a)によってフレキシブルギヤ23を直接押圧する構成では、金属接触となるために、その押圧力が極めて狭い範囲に集中する。従って、図4(a)に示すように、その噛み合い率は小さなものとなり(同図中、歯面荷重の発生している箇所(4箇所))、且つ特定の噛み合い箇所に大きな歯面荷重が生ずることになる。
一方、本実施形態のように、弾性層Xを介してフレキシブルギヤ23を押圧する構成とすることで、波動発生器27(のボールベアリング29の外輪29a)の波動に伴う押圧力は、同弾性層Xにより分散され、比較的広い範囲に亘り略均等にフレキシブルギヤ23へと伝達される。従って、その噛み合い率が大きくなるとともに(同図中、噛み合い箇所は6箇所)、その歯面荷重もまた各噛み合い箇所に分散されることとなり、これにより、スムーズな噛み合いを実現し、滑らかな回転を確保するとともに、噛み合い箇所の隙間を低減してそのガタに起因する振動の発生を抑制することができる。そして、発生した振動並びに接触音は、同弾性層Xにて吸収することができる。その結果、作動音及び振動を低減して、その静粛性の向上を図ることができるようになる。
更に、弾性層Xを設け、噛み合い率を向上させてその歯面荷重を分散させることで、図5に示すように、フレクスプライン(フレキシブルギヤ23)とサーキュラスプライン(ステータギヤ21及びドリブンギヤ22)との間の径方向隙間を小さくした場合であっても、その起動トルクが高くならない。従って、両者の間の噛み合い箇所の隙間(ガタ)を詰めるべく、その径方向隙間を予め小さく設定することが可能となり、これにより一層の滑らかな回転を実現することができるようになる。
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態では、本発明を車両用操舵装置に設けられた伝達比可変装置のハーモニックドライブ装置に具体化したが、伝達比可変装置以外のハーモニックドライブ装置に適用してもよい。
・本実施形態では、本発明を車両用操舵装置に設けられた伝達比可変装置のハーモニックドライブ装置に具体化したが、伝達比可変装置以外のハーモニックドライブ装置に適用してもよい。
・本実施形態では、サーキュラスプラインとしてステータギヤ21及びドリブンギヤ22を、フレクスプラインとしてフレキシブルギヤ23を備えた所謂フラット型のハーモニックドライブ装置11に具体化した。しかし、これに限らず、フレキシブルギヤ23をカップ状に形成しステータギヤ21の機能を持たせた所謂カップ型のハーモニックドライブ装置に具体化してもよい。
・本実施形態では、弾性層Xは、波動発生器27の外周に嵌装されたゴム製のリング部材30により形成されることとした。しかし、これに限らず、リング部材30の素材は狭義のゴムに限らず、柔軟性の高い樹脂素材或いはエラストマー等、弾性材料であればよく、またリング部材を嵌装する形態に限らず、波動発生器27の外周又はフレキシブルギヤ23の内周に直接、弾性層Xを設ける構成としてもよい。
1…ステアリング装置、2…ステアリングホイール(ステアリング)、6…操舵輪、7…モータ、8…伝達比可変装置、11…ハーモニックドライブ装置、21…ステータギヤ、21a…内歯、22…ドリブンギヤ、22a…内歯、23…フレキシブルギヤ、23a…外歯、27…波動発生器、30…リング部材、X…弾性層。
Claims (4)
- サーキュラスプラインと、前記サーキュラスプラインの内側において該サーキュラスプラインと噛み合うように同軸配置される筒状のフレクスプラインと、前記フレクスプラインの内側に配置され前記フレクスプラインを非円形に撓ませて該フレクスプラインの外歯を前記サーキュラスプラインの内歯に部分的に噛み合わせるとともに前記撓められたフレクスプラインの非円形の形状を回転させる波動発生器とを備えたハーモニックドライブ装置であって、
前記フレクスプラインと前記波動発生器との間に弾性層を設けたこと、
を特徴とするハーモニックドライブ装置。 - 請求項1に記載のハーモニックドライブ装置において、
前記弾性層は、ゴム製のリング部材により形成されること、
を特徴とするハーモニックドライブ装置。 - ステアリングホイールの操舵角に基づく操舵輪の第1の舵角にモータ駆動に基づく前記操舵輪の第2の舵角を上乗せすることにより前記ステアリングホイールと操舵輪との間の伝達比を可変させる伝達比可変装置であって、
請求項1又は請求項2に記載のハーモニックドライブ装置を備えること、
を特徴とする伝達比可変装置。 - 請求項3に記載の伝達比可変装置を備えた車両用操舵装置。
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