JP2011021465A - 開口部装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構造で断熱性能を向上させることができるとともに、外観にも優れる開口部装置を提供する。
【解決手段】縦枠と横枠とを有する枠体と、該枠体に配置され、引き戸式に開閉可能な障子とを備える開口部装置であって、枠体のうち少なくとも縦枠は、障子より見込み方向室内側に設けられ、見付方向内側に突出して設けられたカバー部を有し、障子は複層ガラスパネルと、該複層ガラスパネルの外周に沿って複層ガラスパネルの端部を覆うように設けられる框と、を備えるとともに、複層ガラスパネルの端部が框と接着手段により接着して固定されており、障子の框のうち戸先框は、見付方向大きさが35.5mm以下であり、障子の閉鎖の姿勢における室内側正面視で、戸先框の略全部が記カバー部に隠蔽され、開口部装置の熱貫流抵抗値が0.287mK/W以上であるものとする。
【選択図】図2

Description

本発明は住宅や公共施設等の建物開口部に好適に用いられる開口部装置に関し、詳しくは断熱性能を向上させることができるとともに、外観にも優れる開口部装置に関する。
建物開口部に備えられるいわゆるサッシ窓は、その開閉により室外との連通・遮断が自在であり、人や物の出入りや換気等をすることができる。また、開閉する障子はガラスパネル等の透光性を有するパネルを有している。これにより、その閉鎖の姿勢においても室内に光を取り入れることができ、室内を明るくし、暖をとる等、室内環境の向上が図られる。
しかし一方で、サッシ窓では、ガラスパネル以外の多くの部分に金属が用いられること等から、通常の壁等に比べて断熱性が低下する傾向にある。断熱性は、建物に求められる重要な性能の1つであり、特に寒冷地ではその重要度も高くなる。
これに対して、断熱性を向上させたサッシが特許文献1に開示されている。この開口部装置では、枠、及び障子の框のそれぞれを室内側の部材、室外側の部材に分け、これを樹脂材により連結して形成している。これによれば、室内外の熱の移動が樹脂材により遮断され、開口部装置の断熱性を向上させることができる。
特許第3248053号公報
特許文献1に記載等の手段により、開口部装置の断熱性は向上する。しかしながら、一方で部材の複雑化が生じたり、枠、框の見込み、見付方向の寸法が大きくなってしまう傾向にあった。また、さらなる断熱性の向上を必要とする環境に開口部装置の提供をしたい場面もある。
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、簡易な構造で断熱性能を向上させることができるとともに、外観にも優れる開口部装置を提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。ここでは、わかり易さのために図面に付した符号を合わせて記載するが、本発明がこれに限定されるものではない。
請求項1に記載の発明は、縦枠(15、20)と横枠(25、30)とを枠組みして形成し、建物開口部の縁に沿って配置される枠体(10)と、該枠体の内側に配置され、引き戸式に開閉可能な障子(40、70)とを備える開口部装置(1)であって、枠体のうち少なくとも縦枠は、障子より見込み方向室内側に設けられた見付方向内側に突出して配置されるカバー部(17、18、22)を有し、障子は、複層ガラスパネル(41、71)と、該複層ガラスパネルの外周に沿って複層ガラスパネルの端部を覆うように設けられる框(50、55、60、65、80、85、90、95)と、を備えるとともに、複層ガラスパネルの端部が框に接着手段により接着して固定されており、障子の框のうち戸先框は、見付方向大きさが35.5mm以下であるとともに、障子の閉鎖の姿勢における室内側正面視で、戸先框の略全部がカバー部に隠蔽され、開口部装置の熱貫流抵抗値が0.287mK/W以上である開口部装置を提供することにより前記課題を解決する。
ここで、「見付方向」とは全体として平板状である開口部装置又は障子の該平板状の平面に沿った方向を意味し、開口部装置が建物に取り付けられた姿勢では、建物開口部の開口面に沿った方向を意味する。また、「見付方向内側」とは、見付方向のうち開口部装置の(障子の場合には障子の)中央方向を意味する。従って「見付方向外側」は見付方向のうち開口部から離れる方向を意味する。さらに、「見込み方向」とは全体として平板状である開口部装置又は障子の該平板状の厚さの方向を意味し、開口部装置が建物に取り付けられた姿勢では、建物の室内外方向を示す。
また、「複層ガラスパネルの端部」とは、ガラスパネルのうち、框材の内側に差し込まれるように内包される端部を意味する。すなわち、「端部」は、ガラスパネルの端面を含み、框内に内包されるガラスパネルの部分(例えば後述する図5にVで示した部分)である。
「戸先框の略全部がカバー部に隠蔽」とは、完全に隠蔽される場合のみでなく、若干隠蔽されない部分がある場合をも含むことを意味する。具体的には戸先框の見付方向大きさのうち、90%以上が隠蔽されていることが好ましい。
また、開口部装置の熱貫流抵抗値は、JIS A 4710の試験方法に基づいて得られた熱貫流抵抗値とする。また、熱貫流抵抗値が0.287mK/W以上であることは、JIS A 4706、JIS A 4702に規定された等級H−3を満たすことを意味する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の開口部装置(1)において、戸先框(50)は、障子(40)の室外側見付面を形成する室外側片(50b)と、障子の室内側見付面を形成する室内側片(50c)と、一端が室外側片に、他端が室内側片に連結した見込み片(50a)と、を備え、複層ガラスパネル(41)の端部のうちの端面に見込み片が接着手段(52、53)により接着されて固定されていことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の開口部装置(1)において、見込み片(50a)が1つであることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の開口部装置(1)において、複層ガラスパネル(41)の框(50)に覆われた端部のうち、ガラスパネル面の少なくとも一部が、框に近接、又は当接していることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の開口部装置(1)において、複層ガラスパネル(41)の框に覆われた端部のうち、ガラスパネル面と框との間には、接着手段、及びパッキンが具備されていないことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の開口部装置(1)において、障子(40)の縦框(50)は、複層ガラスパネル(41)の室外側面又は室内側面に対向する面に突起(50f)を有し、障子の横框(60)は、所定の位置に突起を挿入可能なスリット(60p)を備え、縦框の端部と、横框の端部とは、突起が横框の内側に挿入されることにより枠状に組み合わせられることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の開口部装置(1)を製造する方法であって、障子(40)の框の縦框(50、55)、及び横框(60、65)を枠組みする前に、個別に複層ガラスパネル(41、71)に取り付けることを特徴とする開口部装置の製造方法を提供することにより前記課題を解決する。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の開口部装置(1)を製造する方法であって、複層ガラスパネル(41、71)の端部を障子の框(50、55、60、65)に差し込むことにより複層ガラスパネルと框との接着が行われることを特徴とする開口部装置の製造方法を提供することにより前記課題を解決する。
本発明によれば、簡易な構造で断熱性能を向上させることができるとともに、外観にも優れる開口部装置を提供することができる。また、製造の観点からも、生産性の向上が可能となる。
1つの実施形態に係る開口部装置の室内視正面図で、図1(a)が閉鎖の姿勢、図1(b)は開放の姿勢である。 図1のII−II断面図である。 図1のIII−III断面図である。 図4(a)は図2のうち縦枠15の部分に注目した図で、図4(b)は縦枠15の分解図である。 図2のうち障子50の戸先框50の部分に注目した図である。 框とガラスパネルとの接着態様の他の例を示した図である。 框とガラスパネルとの接着態様のさらなる他の例を示した図である。 上横框と戸先框との連結のための構成を説明する図である。 上横框と戸先框との連結のための構成を説明する他の図である。 参考の形態に係る開口部装置のうち図2に相当する図である。
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
図1は、1つの実施形態に係る開口部装置1が建物の開口部に取り付けられた姿勢における該開口部装置1の室内視正面図である。図1(a)は障子が閉鎖された姿勢、図1(b)は障子が少し開かれた姿勢をそれぞれ示している。
図2は、図1(a)にII−IIで示した線(水平方向)に沿った断面図、図3は図1(b)にIII−IIIで示した線(垂直方向)に沿った断面図である。図2では、紙面上が室外側、紙面下が室内側を示している。また、図3では紙面左が室外側、紙面右が室内側を表している。
本実施形態において開口部装置1は、いわゆる引戸式のサッシ窓である。
開口部装置1は、建物開口部の4辺の縁に沿って配置される枠体10、及び該枠体10の内側に具備されて引戸式に開閉する室外側障子である外障子40、室内側障子である内障子70を備えている。また、施錠装置78が設けられ、外障子40及び内障子70の施錠開錠を可能としている。図1〜図3及び適宜示す図を参照しつつ開口部装置1について説明する。
枠体10は、上下のそれぞれに水平に配置される長尺部材である上横枠25、下横枠30、及び該上横枠25、下横枠30の端部を渡して設けられる長尺部材である縦枠15、20を備え、これらが枠状に組み合わせられている。
縦枠15は、枠体10の2つの縦枠のうち一方を構成する枠材で、開口部装置1が閉鎖されている姿勢で、外障子40の戸先框50が配置される側の縦枠である。図4(a)には、図2のうち縦枠15の部位に注目して示した図を示し、図4(b)には、縦枠15の分解断面図を表した。
縦枠15は、縦枠本体16とカバー部としてのカバー部材17、18とを備え、固定手段19によりカバー部材18が縦枠本体16に固定されている。
縦枠本体16は、図2、図4に表わされる断面において、見込み方向に延在する片16aを有している。片16aの室内側端部、及び室外側端部のそれぞれには、見付方向に延びる片16b、16eが設けられている。また、片16aの見付方向内側面には、片16c、片16dが立設されている。ここで、片16cの先端は、見込み方向外側に向けて折り曲げられるように形成されている。また、片16dは外障子40の閉鎖の姿勢でその戸先框50の内側に差し込まれる位置に設けられている。
さらに、片16aの見付方向外側面には片16fが立設されている。当該片16fが建物躯体に固定されることにより、縦枠15が建物に取り付けられる。
縦枠本体16の材質は特に限定されることはないが、強度及び生産性の観点から金属であることが好ましく、通常のサッシに用いられるアルミニウムであることが最も好ましい。
また、本実施形態では縦枠本体16は、一体に形成されているが、これに限定されることはなく、いくつかの金属部材が組み合わされてもよい。また、縦枠本体を室外側部材と室内側部材とに分け、これを断熱性の部材で連結する、いわゆるブリッジ構造としてもよい。これによりさらに断熱性を向上させることができる。
カバー部材17は、縦枠本体16の長手方向に沿って配置される長尺の部材である。カバー部材17は図2、図4に表わされる断面において略矩形中空である矩形部17aを有している。矩形部17aのうちの1つの角部であるところの、見込み方向室外側で見付方向外側の角部は切り欠かれており、ここにコ字状部17bが形成されている。コ字状部17bは、見付方向外側に向けて開口している。そして、開口部分には、開口面を狭めるように若干位置をずらされて対向する突起17c、17dが設けられている。
また、矩形部17aの角部のうち、上記コ字状部17bに対して対角の位置の角からは、見込み方向室内側に向けて片17eが延在する。また片17eの先端からは、見付方向外側に向けて片17fが具備されている。
カバー部材18も、縦枠本体16の長手方向に沿って配置される長尺の部材である。カバー部材18は、図2、図4に表わされる断面において、見付方向に延びる片18a、及びその両端のそれぞれから見込み方向に延在する片18b、18cによりクランク状が形成されている。
ここで、本実施形態では、カバー部材17とカバー部材18とは片17fと片18aとにより係合されている。カバー部材は、必ずしも2つの部材を係合させることにより一体とする必要はなく、1つの部材により形成されていてもよい。本実施形態では、カバー部材18をもう一方の縦枠である縦枠20にもそのままの形状で用いることができるため、部品種類の抑制の観点からこのような構成とした。
カバー部材17、18の材質は、熱伝導率の低い材料により形成されていることが好ましい。これにより断熱性を高めることができる。熱伝導率が低いほど断熱性を高めることができるが、熱伝導率が10W/m・K以下であることが好ましい。そのため、具体的には樹脂材料を用いてカバー部材を形成することが好ましい。熱伝導率が低いことに加えて、成型性にも優れるからである。これには例えばPVCを用いることができ、その熱伝導率は0.17W/m・K程度である。
このような縦枠本体16、カバー部材17、18は次のように組み合わせられる。
縦枠本体16の見込み方向室内側において、片16aにカバー部材18の片18bが重ねられるとともに、片16bにカバー部材18の片18aが重ねられるように配置する。そして固定部材19により片18bと片16aとが固定される。本実施形態では、片16bの先端が片18aに係合することによりさらに確実に固定される。
カバー部材17は、そのコ字状部17bの内側に縦枠本体16の片16cを差し込むように配置する。上記したように片16cはL字状に形成されており、コ字状部17bの開口部にはその開口を狭めるように突起17c、17dが設けられている。これにより、抜け難いとともに、ここを中心にカバー部材17を回動させることもできる。そして当該回動をさせ、カバー部材17の片17fとカバー部材18の片18aとを係合させる。
これにより、カバー部材17、18は、縦枠本体16の見付方向内側面のうち、見込方向室内側の一部を覆うことができる。
カバー部材17、18の図4(b)にEで示した大きさは、後で説明する他の部材との関係により決めることができる。従って、これらについては、他の部材を説明した後にまとめて詳しく説明する。
ここでは一つの好ましい実施形態として、上記態様を説明したが、カバー部が形成されるものであればこれに限定されるものではない。例えば、縦枠、及びカバー部を金属、又は樹脂で一体に形成してもよいし、室外側の半分を金属の枠とし、室内側の半分を樹脂により枠とカバー部とを一体に形成し、これらを室内外に並列させて連結してもよい。
引き続き、枠体10について説明する。縦枠20は枠体10の2つの縦枠のうち一方を構成する枠材で、開口部装置1が閉鎖されている姿勢で、内障子70の戸先框80が配置される側の縦枠である。図2を参照しつつ説明する。
縦枠20は、縦枠本体21とカバー部としてのカバー部材22とを備え、固定手段23によりカバー部材22が縦枠本体21に固定されている。
縦枠本体21は、図2に表われる断面において、見込み方向に延在する片21aを有している。片21aの室内側端部、及び室外側端部のそれぞれには、見付方向に延びる片21b、21eが設けられている。また、片21aの見付方向内側面には、片21dが立設されている。ここで、片21dは、室内側障子70の閉鎖の姿勢でその戸先框80の内側に差し込まれる位置に設けられている。
さらに、片21aの見付方向外側面には片21fが立設されている。当該片21fが建物躯体に固定されることにより、縦枠20が建物に取り付けられる。
縦枠本体21の材質は特に限定されることはないが、強度及び生産性の観点から金属が好ましく、通常のサッシに用いられるアルミニウムであることが最も好ましい。
また、本実施形態では縦枠本体21は、一体に形成されているが、これに限定されることはなく、いくつかの金属部材が組み合わされてもよい。また、縦枠本体を室外側部材と室内側部材とに分け、これを断熱性の部材で連結する、いわゆるブリッジ構造としてもよい。これによりさらに断熱性を向上させることができる。
カバー部材22はカバー部材18と同様の形状を有している。すなわち、カバー部材22は、縦枠本体21の長手方向に沿って配置される長尺の部材である。そして、カバー部材22は、図2に表われる断面において、見付方向に延びる片22a、及びその両端のそれぞれから見込み方向に延在する片22b、22cによりクランク状が形成されている。
カバー部材22の材質は、熱伝導率の低い材料により形成されていることが好ましい。これにより断熱性を高めることができる。熱伝導率が低いほど断熱性を高めることができるが、熱伝導率が10W/m・K以下であることが好ましい。そのためには具体的には樹脂材料を用いてカバー部材を形成することが好ましい。熱伝導率が低いことに加えて、成型性にも優れるからである。これには例えばPVCを用いることができ、その熱伝導率は0.17W/m・K程度である。
このような縦枠本体21、カバー部材22は次のように組み合わせられる。
縦枠本体21の見込み方向室内側において、片21aにカバー部材22の片22bが重ねられるように配置される。そして固定部材23により片22bと片21aとが固定される。本実施形態では、片21bの先端が片22aに係合することによりさらに確実に固定される。
これにより、カバー部材22は、縦枠本体21の見付方向内側面のうち見込方向室内側の一部を覆うことができる。
ここでは一つの好ましい実施形態として、上記態様を説明したが、カバー部が形成されるものであればこれに限定されるものではない。例えば、縦枠、及びカバー部を金属、又は樹脂で一体に形成してもよいし、室外側の半分を金属の枠とし、室内側の半分を樹脂により枠とカバー部とを一体に形成し、これらを室内外に並列させて連結してもよい。
図3を参照しつつ、上横枠25について説明する。上横枠25は、枠体10の上側横枠を構成する枠材であり、上横枠本体26と被覆材27とを備えている。
上横枠本体26は、図3に表わされる断面において、見込み方向に延在する片26aを有している。片26aの見付方向内側面には、片26b、26c、26d、26eが立設されている。片26bは網戸5の上レールとなる片、片26cは外障子40の上レールとなる片、及び片26dは内障子70の上レールとなる片である。また、片26aの見付方向外側面には、片26fが立設されている。当該片26fを建物躯体に取り付けることにより上横枠25が建物躯体に固定される。
上横枠本体26の材質は特に限定されることはないが、強度及び生産性の観点から金属であることが好ましく、通常のサッシに用いられるアルミニウムであることが最も好ましい。
また、本実施形態では上横枠本体26は、一体に形成されているが、これに限定されることはなく、いくつかの金属部材が組み合わされてもよい。
被覆材27は、上横枠本体26の片26d、片26a、片26eで囲まれるコ字状の内側に沿って配置される略コ字状の部材である。当該被覆材の材質は、熱伝導率の低い材料により形成されていることが好ましい。これにより断熱性を高めることができる。熱伝導率が低いほど断熱性を高めることができるが、熱伝導率が10W/m・K以下であることがよい。そのためには具体的には樹脂材料を用いて形成することが好ましい。熱伝導率が低いことに加えて、成型性にも優れるからである。これには例えばPVCを用いることができ、その熱伝導率は0.17W/m・K程度である。
下横枠30は、枠体10の下側横枠を構成する枠材である。下横枠30は、下横枠本体31、被覆材32、及び排水弁33を備えている。
下横枠本体31は、図3に表われる断面において、矩形中空に形成された中空部31aが設けられ、該矩形部31aの見込み方向室内側からは、室内側に延びる片31bが配置されている。
矩形部31a、及び片31bの見付方向内側面には、片31c、31d、31e、31fが立設されている。片31cは網戸5の下レールとなる片であり、該網戸5の戸車が載置される。片31dは外障子40の下レールとなる片、及び片31eは内障子70の下レールとなる片であり、それぞれの障子の戸車が載置される。また、中空部31aの見付方向外側面には、片31gが立設されている。当該片31fを建物躯体に取り付けることにより下横枠31が建物躯体に固定される。
下横枠本体31の材質は特に限定されることはないが、強度及び生産性の観点から金属が好ましく、通常のサッシに用いられるアルミニウムであることが最も好ましい。
また、本実施形態では下横枠本体31は、一体に形成されているが、これに限定されることはなく、いくつかの金属部材が組み合わされてもよい。
被覆材32は、下横枠本体31の片31b、片31fの内側に沿って配置される部材である。当該被覆材32の材質は、熱伝導率の低い材料により形成されていることが好ましい。これにより断熱性を高めることができる。熱伝導率が低いほど断熱性を高めることができるが、熱伝導率が10W/m・K以下であることがよい。そのためには具体的には樹脂材料を用いて形成することが好ましい。熱伝導率が低いことに加えて、成型性にも優れるからである。これには例えばPVCを用いることができ、その熱伝導率は0.17W/
m・K程度である。
排水弁33は、中空部31aを形成する片のうち、室外側に面する片に設けられた排水口に具備される。このとき、中空部31aを形成する片のうち見付方向内側を形成する片の所定の位置には不図示の貫通孔が設けられている。これにより、片31cと片31dとの間、又は片31dと片31eとの間に侵入した水を中空部31a内に導入して、排水弁33から排出することが可能となる。
外障子40は、図1〜図3からわかるように、戸先框50、外召し合わせ框55、横框60、65、ガラスパネル41、及び把手49を備えている。
戸先框50は戸先側に配置される縦框材である。図5には、図2のうち障子40の戸先部分に注目した図を示した。
戸先框50は、図2、図5に表われる断面において、見込み方向に延在する片50aを有している。そして該片50aの見込み方向両端部のそれぞれには見付方向に延在する片50b、50cが設けられている。片50b、50cの見付方向両端部では、該片50b、50cで挟まれる部分が開口部を形成している。ここで、片50bの見付方向外側端部には片50c側にシール部材51が配置され、縦枠15の片16dに接触して水密気密がとれるように構成されている(図4参照)。
一方、片50b、50cの見付方向内側端部からは、互いに向かい合わせられる方向に突起50d、50eが設けられている。また、片50b、50cには、突起50d、50eより見付方向外側に突起50d、50eと同じ高さのさらなる突起50f、50gが向かい合わせに配置される。このとき、片50dの室内側端部と片50eの室外側端部との間隔は、ガラスパネル41の厚さと概ね同じに形成されている。
外召し合わせ框55は、外召し合わせ部に用いられる縦框材である。外召し合わせ框55は、図2に表わされる断面において、矩形中空状である中空部55aを有している。該中空部55aの見付方向内側面のうち、その見込み方向両端部のそれぞれからは見付方向内側に片55b、55cが延在する。
片55b、55cの見付方向内側端部からは、互いに向かい合わせられる方向に突起55d、55eが設けられている。また、片55b、55cには、突起55d、55eより見付方向外側に突起55d、55eと同じ高さのさらなる突起55f、55gが向かい合わせに配置される。このとき、片55dの室内側端部と片55eの室外側端部との間隔は、ガラスパネル41の厚さと概ね同じに形成されている。
また、中空部55aの室内側からは、内召し合わせ框85に係合する係合片55hも設けられている。
横框60は上横框に相当する框材である。横框60は、図3に表われる断面において、見込み方向に延在する片60aを有している。さらに該片60aの見込み方向両端部のそれぞれには見付方向に延在する片60b、60cが設けられている。片60b、60cの見付方向両端部では、該片60b、60cで挟まれる部分が開口部を形成している。ここで、片60bの見付方向外側端部には片60cに向けてシール部材が配置され、上横枠25の片26cに接触して水密気密がとれるように構成されている。
一方、片60b、60cの見付方向内側端部からは、互いに向かい合わせられる方向に
突起60d、60eが設けられている。また、片60b、60cには、突起60d、60eより見付方向外側に突起60d、60eと同じ高さのさらなる突起60f、60gが向かい合わせに配置される。このとき、片60dの室内側端部と片60eの室外側端部との間隔は、ガラスパネル41の厚さと概ね同じに形成されている。
横框65は下横框に相当する框材である。横框65は、図3に表わされる断面において、見込み方向に延在する片65aを有している。さらに該片65aの見込み方向両端部のそれぞれには見付方向に延在する片65b、65cが設けられている。片65b、65cの見付方向両端部では、該片65b、65cで挟まれる部分が開口部を形成している。ここで、片65bの見付方向外側端部には片65cに向けてシール部材が配置され、下横枠30の片31dに接触して水密気密がとれるように構成されている。
一方、片65b、65cの見付方向内側端部からは、互いに向かい合わせられる方向に突起65d、65eが設けられている。また、片65b、65cには、突起65d、65eより見付方向外側に突起65d、65eと同じ高さのさらなる突起65f、65gが向かい合わせに配置される。このとき、片65dの室内側端部と片65eの室外側端部との間隔は、ガラスパネル41の厚さと概ね同じに形成されている。
ここで、片65b、65cの間のうち、片65aより障子見付方向外側には、戸車66が配置され、上記した片31dに載置される。
ガラスパネル41は、図2、図3からわかるように、いわゆる複層ガラスパネルであり、矩形板状である2枚の板ガラス42、43が室内外方向に所定の間隔を有して並列されている。当該板ガラス42、43の間隙により形成される空間のうち、その外周端部には該外周端部に沿ってスペーサ44、45、46、47が配置されている。スペーサ44、45、46、47は、シール部材を備え、これにより、板ガラス42、43を一体に保持して水密気密を得ることができる。また、スペーサ44、45、46、47に乾燥剤を含ませれば、空間内側を適切な湿度に保つことも可能となる。
上記戸先框50、外召し合わせ框55、横框60、65と、ガラスパネル41とは、次のような取り付け構造を有する。図5を参照しつつ説明する。ここではガラスパネル41と戸先框50との取り付け構造を例に説明する。ガラスパネル41と他の框(55、60、65)との取り付け構造はガラスパネル41と戸先框50との取り付け構造と概ね同じなので、ここでは説明を省略する。
ガラスパネル41の端部は、図5からわかるように片50dと片50eとの間隙から差し込まれ、ガラスパネル41の端面と片50aの面とが接着手段である接着剤52、53により接着される。これにより、ガラスパネル41と戸先框50とは強固に接着される。この場合におけるガラスパネル41の端部とは、ガラスパネル41のうち、戸先框50により囲まれる部位を意味する。すなわち、端部は、ガラスパネル41の端面を含み、戸先框50内に内包されるガラスパネル41の部分(図5にVで示した部分)である。
接着剤52、53の種類は、ガラスパネル41と戸先框50とを適切に接着することができれば特に限定されるものではないが、接着性、耐久性及び入手容易性等の観点からシリコン系の接着剤を用いることが好ましい。
このように、ガラスパネル41と框(50、55、60、65)とを接着剤で直接接着する構成にすることにより、従来のようにグレージングチャンネル、ビードや押し縁を用いる必要がないので、框を細く形成することができ、ガラスパネル部を大きくすることが可能となる。すなわち、採光性を向上し、外観に優れた開口部装置を提供することができる。また、ガラスパネル部は框に比べ断熱性に優れる。従って、框が細くなること、及びガラスパネル部が大きくなることによる断熱性の向上も図ることが可能となる。具体的には、框の見付方向の大きさが35.5mm以下であることが好ましい。これにより外観の観点から印象を強く与えることができるとともに、より優れた断熱性向上の効果を奏する。
ここでは框材をより細くするという観点から、好ましい形態として、框の内面の一部である片50d、50e、50f、50gがガラスパネル41の端部のうちの室内外の面に直接接触(当接)している形態を示したが、これに限定されるものでなく、若干の距離を有して近接している態様であってもよい。接着手段により接着されているので、このような間隙も許容できる。
加えて、使用する部材の点数、及び製造工程を減じることも可能となるので、製造コストを低減させることもできる。例えば次のように製造することができる。すなわち、枠組みされていない各框材に予め接着手段を配置しておき、該框材を枠組みすることなく、該框材に個別にガラスパネルを差し込むことにより框材をガラスパネルに固定することができる。すなわち、框材を予め枠組みしておく必要がない。また、框材にガラスパネルを差し込むことと、ガラスパネルへの框材の取付けとが自動的に同時に行われる。
接着剤の配置については実施形態として上記のように説明したが、これに限定されるものではなく、框とガラスとが強固に接着されるような他の配置を採用することもできる。図6、図7に変形例を示した。
図6(a)に示した例である外障子40’では、接着剤52’がガラスパネル41の端面でなく、端部のうち、板ガラス42の室外側面と片50bとの間に具備されている。
図6(b)に示した例である外障子40’’では、接着剤52’’がガラスパネル全面に亘って設けられている。
図6(c)に示した例である外障子40’’’では、接着剤52’’’がガラスパネル41の端面でなく、端部のうち、板ガラス42の室外側面と片50bとの間に具備される。さらには接着剤53’’’もガラスパネル41の端面でなく、端部のうち、板ガラス43の室内側面と片50cとの間に具備されている。
図7(a)に示した例である外障子140では、該外障子140の戸先框150は、見込み方向に延在する片150aを有し、該片150aの見込み方向両端には見付方向内外に延在する片150b、150cを備えている。さらに片150aの見付方向内側面からは2つの片150j、150kが立設されている。片150jと片150kとの間に形成される部位には乾燥剤151が入れられている。
一方、片150b、150cの見付方向内側端部からは、互いに向かい合わせられる方向に突起150d、150eが設けられている。また、片150b、150cには、突起150d、150eより見付方向外側に該突起150d、150eと同じ高さのさらなる突起150f、150gが向かい合わせに配置される。このとき、片150dの室内側端部と片150eの室外側端部との間隔は、ガラスパネル141の厚さと概ね同じに形成されている。
障子140のガラスパネル141は、矩形板状である2枚の板ガラス142、143が室内外方向に所定の間隔を有して並列されている。本例の障子140では2枚の板ガラス142、143は一体化されていない。
ガラスパネル141のうち板ガラス142の端部は、片150bと片150jとの間に差し込まれて接着剤152により接着される。一方、板ガラス143の端部は、片150cと片150kとの間に差し込まれて接着剤153により接着される。これによれば、上記した障子40の効果に加え、板ガラスを一体化することなく複層ガラスパネルと同様の効果を有する開口部装置とすることができる。従って、一体化の工程を省略することができ、製造工程を減縮することが可能となる。さらには、ガラスパネルの大きさを室内外で異なるものを用いてデザインの向上を図ることもできる。
図7(b)に示した例である外障子140’では、戸先框150’は、見込み方向に延在する片150a’を有し、該片150a’の見込み方向両端には見付方向内外に延在する片150b’、150c’を備えている。片150b’、150c’の見付方向内側端部には、互いに向かい合わせられる突起150d’、150e’が設けられている。また、片150b’、150c’には、突起150d’、150e’より見付方向外側に突起150d’、150e’と同じ高さのさらなる突起150f’、150g’が向かい合わせに配置される。このとき、片150d’の室内側端部と片150e’の室外側端部との間隔は、ガラスパネル141’の厚さと概ね同じに形成されている。
ガラスパネル141’は、いわゆる複層ガラスパネルであり、矩形板状である2枚の板ガラス142’、143’が室内外方向に所定の間隔を有して並列されている。当該板ガラス142’、143’の間隙により形成される空間のうち、その外周端面から若干内側の部位には乾燥剤を含有するスペーサ144が配置されている。スペーサ144の見付方向外側にはシール部材145が具備され、板ガラス142’、143’、及びスペーサ144が一体化されている。
ガラスパネル141’の端部は、突起150d’と、突起150e’との間隙から差し込まれる。このとき、上記ガラスパネル141’の一体化に供されたシール部材145が、さらに片150a’の面と接着し、ガラスパネル141’と戸先框150’とが接着される。これによれば、上記した外障子40の効果に加え、ガラスパネル141’の一体化と、ガラスパネル141’の框への取り付けを効率よく行うことができる。
以上のように框が細くなり、ガラスパネルを広くすることができたことにより、例えば図1に示したような把手49を用いることができる。これはコ字状の部材をガラスパネル41に直接、又は戸先框50にその一部を固定され、ガラスパネル41側に突出するように取り付けられたものである。このような把手49は、従来の開口部装置でも用いることはできたが、開口部装置1ではガラスパネル41が広く形成されるので、ガラスパネル面上に部材を配置することによるデザインの幅を広げることも可能となった。例えばコ字状ではなく、上下方向を長手方向とする棒状の部材をガラスパネルに貼り付けた把手等も挙げることができる。
本実施形態では接着手段として上記のように接着剤を用いたが、框とガラスパネルとを強固に接着でき、上記の効果を奏するものであればその接着手段は特に限定されるものではない。これには例えば両面の粘着テープ等を挙げることができる。
内障子70は、図1〜図3からわかるように、戸先框80、内召し合わせ框85、横框90、95、ガラスパネル71、及び把手79を備えている。内障子70については、上記外障子40に対して、外障子と内障子とに起因する形状の相違はあるものの、框の構造及びガラスパネルへの框の取り付け構造については上記した内障子40と共通するのでここでは説明を省略する。
以上説明した各構成を有する開口部装置1は、次のような特徴を備えている。図2、図4を参照しつつ説明する。
開口部装置1の閉鎖の姿勢で図2、図4にBで示した位置と、Aで示した位置とを対比する。Bで示した位置は、障子40、70が閉鎖した姿勢において、戸先框50、80の見付方向内側端部が配置される位置である。一方、Aで示した位置は、縦枠15、20において、カバー部材17、18、22の見付方向内側端部が配置される位置である。
開口部装置1では、Bで示した位置が、Aで示した位置よりも見付方向外側に配置される。これにより、開口部装置1の閉鎖の姿勢で戸先框50、80が室内側正面視から隠蔽される。ここでは、Bの位置がAの位置よりも見付方向外側となるようにしたが、これが面一(同じ位置)、または、Bの位置は、若干であればAの位置よりも見付方向内側に配置されていてもよい。具体的には戸先框の見付方向大きさのうち、90%以上が隠蔽されていることが好ましい。
開口部装置1では、上記したように、外障子40及び内障子70において、框とガラスパネルとが直接接着されているので、框が細く形成されている。従って、框を通じての熱移動を抑制することができる。これに加えて、このように熱移動が抑制された框50、80がカバー部材により室内視から隠蔽されている。これにより框と室内との熱伝達を抑制することができ、断熱性能をさらに向上させることが可能となる。
このような構成とすることにより、枠、及び框ともに、従来における断熱サッシのようなブリッジ材方式(枠や框を室内側部材と室外側部材とに分け、これを樹脂等により連結する方式)を用いなくても、断熱性能を向上させることが可能となる。すなわち、簡易な構成により断熱性能を向上させることができる。ただし、ブリッジ方式を適用することを妨げるものではなく、ブリッジ構造を用いてもよい。さらなる断熱性向上を期待できるからである。
このような構成により、ある大きさの開口部に従来の開口部装置を設置したときに、H−3等級(JIS A 4706、JIS A 4702、熱貫流抵抗0.287m・K/W以上)の断熱性能を得ることができなかった場合であっても、開口部装置1によれば、H−3等級の断熱性能を得ることが可能となる。
また、上記のように框が細く形成され、該框が室内視で隠蔽されるので、外観にも優れたものとなる。ここで、カバー材17、18、22も、細い框を隠蔽する程度に形成されれば良いので、図4(b)にEで示したカバー材17、18の寸法も小さく抑えることができる。
さらに開口部装置1は次のような特徴を有する。すなわち、開口部装置1では、框とガラスパネルとを直接接着しているので、縦横の框は独立でガラスパネルに固定されている。従って、従来のようにタッピングホール、及びネジによる縦横框の連結を必要としない。これによりタッピングホールを設けることにより框が太くなったり、タッピングホール自体による伝熱面積の増加を防止することができ、さらなる断熱性向上を図ることが可能となる。
また、これにより構造も簡素になり、生産性の向上もできる。
ただし、縦横框に機械的な連結を要する場合には、次のような構成が可能である。図8、図9に説明するための図を示した。図8、図9は、外障子40の横框60と、戸先框50との組み合わせ端部に注目した図で、図8(a)、図8(b)は、組み合わせ直前の横框60、戸先框50を2つの異なる視点から見た斜視図である。図9(a)、図9(b)は、組み合わせ後における斜視図である。以下、戸先框50と横框60との組み合わせを例に説明する。
図8(a)、図8(b)からわかるように、戸先框50では、その戸先框50の端部において、突起50f、50d、50e、50gが所定の長さだけ除去されている(突起50e、50gは死角となり見えないが、突起50f、50dと同様に除去されている。)。ここで、突起50f、50gは、その除去長さが若干短い。また、片50aの所定の位置には半球状の突起50pが設けられている。突起50pの位置は横框60との位置関係により決めることができるので、後で説明する。
一方、横框60には、片60b、60cのうちガラスパネル41が差し込まれる側において、横框60の端部から所定の距離の位置にスリット60p、60qが設けられている。ここで、横枠60端面からスリット60p、60qまでの距離は、戸先框50の片50aから突起50f、50gまでの距離と概ね同じである。また、スリット60p、60qのスリット幅は、突起50f、50gの幅と概ね同じである。
このように形成された戸先框50の端部、及び横框60の端部は、図9(a)、図9(b)に示したように、横框60の端部が、戸先框50のうちガラスパネルが差し込まれるコ字状の部分に差し込まれる。このとき、特に図9(b)からわかるように、切り込み60pに戸先框50の突起50fが差し込まれる。図9(b)では死角となり見えないが、切り込み60qにも同様に戸先框50の突起50gが差し込まれる。これにより、横框60と戸先框50とが係合される。
また、図9(a)からよくわかるように、横框60の片60aが、戸先框50の片50aの突起50pを乗り越えるように、戸先框50と横框60とが組み合わせられる。これにより、一度該框(50、60)が組み合わせられた後は両者が抜け難くなる。
以上のような構成によれば、框を機械的に連結するに際し、框にタッピングホールを設ける必要がない。当該タッピングホールが不要となることで、框が太くなったり、タッピングホール自体による伝熱面積の増加を防止することができ、さらなる断熱性向上を図ることが可能となる。また、タッピングホールを形成するための費用を抑えることもできる。
ここで、より確実な組み合わせの観点から上記実施形態を説明した。しかし、組み合わせることができれば良いとの観点からは、切り込み60p、60qのうちいずれか一方であってよい。また、突起50pは設けられていなくても機械的な組み合わせは可能である。
さらに、図8(a)に示したように横框60の端部でスリット60p、60qが設けられた側の端部を破線60sに沿って切り欠いてもよい。これによれば、当該切り欠きが戸先框50と横框60との組み合わせのガイドの役割をするので、組み立てを容易に行うことができる。
ここまで、縦横の框の連結について、タッピングホールを形成しないことによるさらなる利点の観点から、タッピングホールを形成しない例について説明した。しかし、開口部装置1においては、タッピングホールが形成されることを除外するものではなく、上記で説明した構成を備えていればよく、タッピングホールが形成されるものであってもよい。
図10は参考の形態にかかる開口部装置201を説明するための図で、開口部装置1を説明する図2に相当する図である。開口部装置201では、外障子240、及び内障子270の戸先框250、280の態様が開口部装置1と異なる。他の構成については開口部装置1の説明と同じなので、符号も共通として説明は省略する。
開口部装置201の戸先框250、280は、障子240、270の閉鎖の姿勢でも当該戸先框250、280が室内視で隠蔽されない。具体的には、図10にYで示した大きさだけ、戸先框250、280がカバー部材17、18、22により隠蔽されていない。
これは、例えば大型の開口部装置において框が長尺になるため、その強度(面外強度)確保の観点から框の太さを大きくせざるを得ない場合、また、操作性の観点から戸先框に引手(把手)を設ける必要がある場合等を挙げることができる。
このような場合であっても、框は直接ガラスパネル41、71に接着されているので、グレージングシャンネルを用いた障子に比べ、框を薄く形成することができる。これにより図10にYで示した部分がカバー材17、18、22により隠蔽されなくても従来に比べて断熱性を向上させることが可能である。
ただし、Yの大きさが大きすぎれば断熱性能を向上させることができないので、図10にXで示した框の厚さに対して、((X−Y)/X)×100%が、60%以上であることが好ましい。
例えば、ある大きさの開口部に従来の開口部装置を設置したときに、H−3等級(JIS A 4706、JIS A 4702、熱貫流抵抗0.287m・K/W以上)の断熱性能を得ることができなかった場合であっても、開口部装置201によれば、H−3等級の断熱性能を得ることが可能となる場合もある。
以上説明した各形態は、いわゆる引戸式の開口部装置について説明したが、本発明の開口部装置はこれに限定されることなく、障子を用いるあらゆる開口部装置に適用することができる。これには例えば縦すべり窓等を挙げることができる。
以下、実施例によりさらに詳しく説明する。ただし、本発明は実施例に限定されるもの
ではない。
実施例では、開口面積の異なる2つの開口部のそれぞれについて、従来のグレージングチャンネルを用いた開口部装置(比較例1、2)と、本発明の開口部装置(実施例1)との熱貫流抵抗値を求めた。
断熱性の試験はJIS A 4710に準じておこなった。表1に開口部装置の条件を示した。
Figure 2011021465
表1からわかるように、実施例1及び比較例1は開口部面積が同じ、また比較例2は開口部面積が大きい開口部装置とした。
「ガラスパネル固定方式」では、「接着」は、上記実施形態において説明した構成のようにガラスパネルを接着手段により框に固定することを意味し、グレージングチャンネルは、従来のグレージングチャンネルによることを意味する。
「隠蔽率」は、障子の閉鎖の姿勢において、戸先框がカバー部材に室内視から隠蔽される程度を表している。すなわち、戸先框において、(見付方向幅−見えている部分の幅方向大きさ)/(見付方向幅)を百分率で表したものである。ここで、比較例1、2については、上記したカバー部材18、22を設置した。
「戸先框太さ」は、比較例1の框の太さを100%として、実施例1及び比較例2の框の太さを表した。
以上の条件に起因して変化する構成(例えばガラスパネルの見付方向大きさ等)以外の構成(例えばガラスパネルの他の仕様や、框材、枠材の材質等)は、実施例と比較例とで同じである。
評価は、断熱性の試験方法であるJIS A 4710に準じておこなった。ここで、断熱性能の等級は、JIS A 4706、JIS A 4702に基づき以下のように定めることができる。表2に示す。
Figure 2011021465
上記の基準に基づいて実施例、比較例の断熱性の結果を表3に示す。
Figure 2011021465
以上より、本発明の開口部装置により断熱性能を向上させることができ、ブリッジ構造や障子の樹脂複合構造をとることなしにH−3以上の断熱性能を得ることが可能であることもわかる。
以上、現時点において実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う開口部装置もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
1 開口部装置
10 枠体
15、20 縦横枠
17 カバー部材
18、22 カバー部材
25 上横枠
30 下横枠
40 外障子
41 ガラスパネル
50 戸先框
55 外召し合せ框
60 横框
65 横框
70 外障子
71 ガラスパネル
80 戸先框
85 内外召し合せ框
90 上横框
95 下横框

Claims (8)

  1. 縦枠と横枠とを枠組みして形成し、建物開口部の縁に沿って配置される枠体と、該枠体の内側に配置され、引き戸式に開閉可能な障子とを備える開口部装置であって、
    前記枠体のうち少なくとも前記縦枠は、前記障子より見込み方向室内側に設けられた見付方向内側に突出して配置されるカバー部を有し、
    前記障子は、複層ガラスパネルと、該複層ガラスパネルの外周に沿って前記複層ガラスパネルの端部を覆うように設けられる框と、を備えるとともに、前記複層ガラスパネルの前記端部が前記框に接着手段により接着して固定されており、
    前記障子の框のうち戸先框は、見付方向大きさが35.5mm以下であるとともに、前記障子の閉鎖の姿勢における室内側正面視で、前記戸先框の略全部が前記カバー部に隠蔽され、
    前記開口部装置の熱貫流抵抗値が0.287mK/W以上である、
    開口部装置。
  2. 前記戸先框は、
    前記障子の室外側見付面を形成する室外側片と、
    前記障子の室内側見付面を形成する室内側片と、
    一端が前記室外側片に、他端が前記室内側片に連結した見込み片と、を備え、
    前記複層ガラスパネルの端部のうちの端面に前記見込み片が接着手段により接着されて固定されていることを特徴とする請求項1に記載の開口部装置。
  3. 前記見込み片が1つであることを特徴とする請求項2に記載の開口部装置。
  4. 前記複層ガラスパネルの前記框に覆われた端部のうち、ガラスパネル面の少なくとも一部が、前記框に近接、又は当接していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の開口部装置。
  5. 前記複層ガラスパネルの前記框に覆われた端部のうち、ガラスパネル面と前記框との間には、接着手段、及びパッキンが具備されていないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の開口部装置。
  6. 前記障子の縦框は、前記複層ガラスパネルの室外側面又は室内側面に対向する面に突起を有し、
    前記障子の横框は、所定の位置に前記突起を挿入可能なスリットを備え、
    前記縦框の端部と、前記横框の端部とは、前記突起が前記横框の内側に挿入されることにより枠状に組み合わせられている請求項1〜5のいずれか一項に記載の開口部装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の開口部装置を製造する方法であって、
    前記障子の框の縦框、及び横框を枠組みする前に、個別に前記複層ガラスパネルに取り付けることを特徴とする開口部装置の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の開口部装置を製造する方法であって、
    前記複層ガラスパネルの端部を前記障子の框に差し込むことにより前記複層ガラスパネルと前記框との接着が行われることを特徴とする開口部装置の製造方法。
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