JP2011018637A - 電気化学素子用電極の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】集電体の強度を維持しながら電極の端面からの活物質の脱落を抑制できる技術を提供する。
【解決手段】表面に凹凸を有する集電体の表面上に活物質層を形成する工程と、活物質層の形成前または形成後において、集電体の切断設定部14を局所的に加熱する工程と、集電体および活物質層によって構成された電極原反30を加熱された切断設定部14に沿って刃物でスリットする工程とを含む電気化学素子用電極の製造方法とする。切断設定部14の加熱は、例えば、電子線を用いて行う。
【選択図】図3
【解決手段】表面に凹凸を有する集電体の表面上に活物質層を形成する工程と、活物質層の形成前または形成後において、集電体の切断設定部14を局所的に加熱する工程と、集電体および活物質層によって構成された電極原反30を加熱された切断設定部14に沿って刃物でスリットする工程とを含む電気化学素子用電極の製造方法とする。切断設定部14の加熱は、例えば、電子線を用いて行う。
【選択図】図3
Description
本発明は、電気化学素子用電極の製造方法に関する。
近年、パーソナルコンピュータ、携帯電話などのポータブル機器の開発に伴い、その電源としての電池の需要が増大している。このような用途に用いられる電池には、高いエネルギー密度と優れたサイクル特性が要求される。
上記要望に対して、有機電解液、ポリマーやゲル化剤を用いて有機電解液を非流動化したゲルポリマー電解質のような各種の非水電解質を用い、リチウムイオンを電荷移動用媒体とする非水電解質リチウム二次電池が注目されている。非水電解質リチウム二次電池の正極材料として、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4など、各種電解質との間でリチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出できる材料が使用されている。これらの正極材料は、一般に、高い可逆電位を示す。負極材料として、黒鉛、カーボンなどの低い可逆電位を示す材料が使用されている。
リチウム二次電池に代表される電気化学素子の電極の製造工程には、通常、電極を刃物で切断する工程が含まれる。特許文献1には、電極を60〜135℃に加熱しながら切断することにより、切断面のバリを減らす技術が記載されている。加熱により、活物質層を構成するバインダが軟化するので、スリット刃の荷重が集電体に集中し、これによりバリの発生を防止できる旨が記載されている。
集電体上に活物質層を形成し、その後、スリットして所定サイズの電極を形成する場合、電極の端面から活物質が脱落することがある。脱落した活物質が電極の端面および表面に付着し、その状態で電極を巻回すると、巻き乱れが発生する可能性がある。また、脱落粉が電池の組立で正極と負極間に配置されたセパレータに付着する可能性もある。表面に凹凸を有する集電体を用いると、活物質層と集電体との密着性が高まり、活物質の脱落を抑制する効果が得られるものの、その効果は必ずしも十分ではない。
上記事情に鑑み、本発明は、集電体の強度を維持しながら電極の端面からの活物質の脱落を抑制できる技術を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、
表面に凹凸を有する集電体の前記表面上に活物質層を形成する工程と、
前記活物質層の形成前または形成後において、前記集電体の切断設定部を局所的に加熱する工程と、
前記集電体および前記活物質層によって構成された電極原反を加熱された前記切断設定部に沿って刃物でスリットする工程と、
を備えた、電気化学素子用電極の製造方法を提供する。
表面に凹凸を有する集電体の前記表面上に活物質層を形成する工程と、
前記活物質層の形成前または形成後において、前記集電体の切断設定部を局所的に加熱する工程と、
前記集電体および前記活物質層によって構成された電極原反を加熱された前記切断設定部に沿って刃物でスリットする工程と、
を備えた、電気化学素子用電極の製造方法を提供する。
本発明によると、加熱処理によって硬い電極、特に、集電体が軟化する。加熱により軟化した切断設定部に沿って刃物(スリット刃)で電極原反を容易にスリットできるので、電極の端面にクラック等のダメージが生じることを防止できる。これにより、電極の端面から活物質が脱落することを抑制できる。スリット後の電極が脱落粉を巻き込んで巻かれることを防止できるので、電極の巻きずれを防止できる。また、脱落粉が最終製品(電気化学素子)に混入することを防止できるので、製品の信頼性が向上する。また、局所的な加熱を行うので、加熱温度によらず、集電体の強度を維持できる。また、集電体を軟化させることによって、スリット刃の摩耗を抑制できるので、製造コストの低減を図ることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)は、電気化学素子用電極(以下、電極とも言う)の概略平面図であり、図1(b)は、概略断面図である。電極10は、集電体11と、集電体11上に形成された活物質層12と、を含む。本実施形態において、集電体11および活物質層12は、それぞれ、負極集電体11および負極活物質層12である。電極10は、例えば、リチウム二次電池用負極として構成されている。本明細書では、所定の幅にスリットされる前の長尺かつ幅広の電極を「電極原反30」と言う。1つの電極原反30は、スリット工程を経て、所定の幅の複数の長尺の電極10へと分割される。長尺の電極10を所定の長さに切断することにより、電気化学素子の組み立てに用いることができる電極が得られる。
図1(a)において、符号LDは、電極原反30および電極10の長手方向を表している。符合WDは、幅方向を表している。電極原反30は、幅方向WDに等間隔に定められた切断設定部14に沿ってスリットされる。スリット前に切断設定部14の局所加熱を行うことにより、集電体11の強度を維持しながら、電極10の端面(切断面)からの活物質の脱落を抑制できる。なお、「切断設定部14」とは刃物による切断(スリット)が予定されている設計上の部分を意味する。
集電体11の材料は特に限定されない。銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金などの良導性金属が集電体11の材料として用いられる。典型的には、銅または銅合金が用いられる。強度および耐熱性の観点から、集電体11は、銅とジルコニウムとを含む合金でできていることが望ましい。ジルコニウムは、銅の機械強度を高める効果を有する元素であり、例えば0.015〜0.03%の重量比で銅合金に含まれる。ジルコニウムを含む銅合金箔としては、例えば、日立電線社から入手可能な「BF15150(HCL-02Z)」が知られている。なお、本明細書では、銅箔および銅合金箔を単に「銅箔」と称する。
当業者に知られているように、銅箔は、圧延によってその強度(例えば引張り強度)および硬さ(例えばビッカース硬さ)を高めることができる。強度および耐熱性の観点では、圧延された銅箔は集電体11の材料として好ましい。しかし、集電体11の切断容易性の観点では、圧延された銅箔は好ましくない。圧延された銅箔でできた集電体11をスリットすることは難しく、スリット刃によって集電体11が押しつぶされ、切断面からの活物質の脱落を招きやすいからである。また、ジルコニウムのような他の元素の添加によって強度が高められた銅箔を集電体11に用いると、上記現象がより顕著となる。
切断容易性の観点から集電体11は低強度の銅箔で作られているべきであるが、製品(電気化学素子)の観点から集電体11は高強度の銅箔で作られているべきであり、前者と後者とはトレードオフの関係にある。このトレードオフの関係を解消ないし緩和できる方法の1つとして、後述するように、集電体11の切断設定部14の局所加熱が挙げられる。加熱により、集電体11が焼き鈍されて軟化する。これによりスリット刃を用いて集電体11をスリットしやすくなる。加熱範囲を切断設定部14に制限することにより、集電体11の強度を落とさずに済む。なお、強度が低すぎても切断時(スリット時)にバリが出る可能性があるので、切断設定部14の局所加熱を適切に行うべきである。
本実施形態では、集電体11の材料として銅箔を例示しているが、銅箔以外の圧延された金属箔を集電体11に用いた場合にも上述した効果を得ることができる。さらに、圧延された金属箔だけでなく、他の種類の箔、例えば電解銅箔のような電解箔を用いた場合にも上述した効果を得ることができる。場合によっては、集電体11が箔以外の構造、例えばメッシュ構造を有する場合にも上述した効果を得ることができる。なお、メッシュ構造を有する金属材料として、例えば、パンチングメタルおよびエキスパンドメタルが知られている。
シート状の集電体11の表面は、レジスト法、メッキ法または機械加工によって規則的な凹凸を形成して作製される。集電体11に形成される凸部11aの高さは3.0μm以上10μm以下であることが好ましい。凹凸を有する集電体11と斜方蒸着プロセス等によって、図1(b)に示すように凸部11a上に活物質体12aが成長し、隣接する活物質体12a間に十分な空隙を形成することができる。また、集電体11の厚みは、特に限定されないが、例えば1〜50μmが一般的に用いられる。
活物質の膨張による応力を緩和するためには、活物質体12aから構成される活物質層12は所定の空隙率を有することが望まれる。活物質層12の空隙率Pは、集電体11における一定面積上に堆積された活物質層12の重量、活物質層12の厚さ、および活物質層12の密度から簡便に求めることができる。活物質層12の厚さtは、活物質層12を構成する複数の活物質体12aの、集電体11の凸部11aの上面から集電体11の法線Hに沿った高さの平均値となる。また、ガス吸着または水銀圧入によるポロシメーターを用いると、活物質層12の空隙率Pをより正確に測定することができる。
本実施形態における活物質層12の空隙率Pは10%以上70%以下であることが好ましい。空隙率Pが10%以上であれば、柱状粒子(活物質体12a)の膨張および収縮による応力を緩和することができる。よって、各活物質体12aと電解質との接触面積も十分に確保できる。なお、空隙率Pが70%を超えても、電池の用途によっては、負極の活物質層として好適に用いることができる。ただし、負極のエネルギー密度が小さくなるため、活物質層12を厚くする必要がある。
活物質層12は、例えばSiOx(0.1≦x≦1.3)で表される化学組成を有する。xが0.1以上であれば、充放電に伴う膨張収縮がケイ素単独の場合よりも小さく、活物質の割れ等に起因する活物質粒子間の集電性能の低下および充放電サイクル特性の低下をより確実に抑制することができる。また、xが1.3以下であれば、高率充放電特性を低下させず、適度に充放電容量を確保することができる。
活物質層12の厚さtは、例えば1μm以上100μm以下であり、好ましくは8μm以上30μm以下である。活物質層12の厚さtが1μm以上であれば、ある程度のエネルギー密度を確保できる。よって、負極活物質の高容量特性を十分に活かすことができる。また、活物質層12の厚さtが100μm以下であれば、各活物質体12aが隣接する他の活物質体12aで遮蔽されて、その活物質体12aの表面のうちリチウムが達しない領域の割合を低く抑えることができる。また、各活物質体12aからの集電抵抗も低く抑制できる。よって、ハイレートでの充放電に有利である。
活物質層12は、例えばスパッタ法または蒸着法により形成することができる。ケイ素、ケイ素酸化物、または、ケイ素とケイ素酸化物との混合物などの活物質を集電体11上に斜め蒸着することにより、凸部11a上に柱状の活物質体12aを形成することができる。このとき、蒸着粒子の入射方向と、集電体11上の凸部11aの高さによって影(シャドウイング効果)ができるため、活物質体12a間に空間が形成される。各活物質体12aの成長方向は、集電体11の表面から離れる方向に向かってジグザグ状に延びていてもよい。
電極10の引張り強度(短冊状の電極で測定した、幅あたりの破断強度)は、例えば9N/mm以上15N/mm以下であり、好ましくは10N/mm以上13N/mm以下である。引張り強度が十分に高ければ、充放電サイクルで電極に歪みが生じるのを抑制することができる。また、引張り強度が不足していると、少しのダメージでも裂けやすくなり、工程途中に電極10が切れる恐れがある。
なお、活物質層12の材料は特に限定されず、ケイ素以外の合金系活物質、例えばスズ、スズ酸化物、スズとスズ酸化物との混合物などを用いることができる。さらに、活物質として、黒鉛、カーボンなどの炭素材料も使用できる。合金系活物質によれば、リチウムと金属間化合物を形成することにより非常に高い容量が得られる。ケイ素の理論放電容量は約4199mAh/gであり、黒鉛の理論放電容量の約11倍である。
合金系活物質は、リチウムイオンを吸蔵および放出する際に大きく膨張および収縮する。そのため、活物質層12が合金系活物質を含む場合、活物質層12はリチウムイオンの吸蔵および放出により大きく膨張および収縮する。しかし、集電体11はほとんど膨張および収縮しないため、負極10に大きな応力が発生して歪みが生じやすい。凹凸を有する集電体11の上に活物質層12を設けることにより、合金系活物質の膨張応力を緩和できる。
次に、本実施形態に係る電気化学素子用電極の製造方法について説明する。
(1)電極原反の作製
図2は、真空蒸着装置の構成を示す概略図である。真空蒸着装置20において、真空チャンバー22内は、排気ポンプ21により排気されている。まず、真空チャンバー22に置かれたカーボン製坩堝23内に純度99.99%以上のケイ素(粒、塊または粉末を成型して得られたタブレット)を入れ、電子銃(図示せず)で電子線を照射して溶解し、坩堝23からケイ素を蒸発させる。活物質層の形成は、坩堝23の上部に斜めに設定された蒸着領域24に集電体11を走行させ、集電体11の表面に蒸発原料を入射させることにより行う。
図2は、真空蒸着装置の構成を示す概略図である。真空蒸着装置20において、真空チャンバー22内は、排気ポンプ21により排気されている。まず、真空チャンバー22に置かれたカーボン製坩堝23内に純度99.99%以上のケイ素(粒、塊または粉末を成型して得られたタブレット)を入れ、電子銃(図示せず)で電子線を照射して溶解し、坩堝23からケイ素を蒸発させる。活物質層の形成は、坩堝23の上部に斜めに設定された蒸着領域24に集電体11を走行させ、集電体11の表面に蒸発原料を入射させることにより行う。
蒸着領域24を走行する集電体11の蒸着面に向かってノズル26が配置されている。ノズル26には真空チャンバー22の外部に延ばされたガス配管が接続されている。ガス配管は、マスフローコントローラを経由して酸素ボンベと接続されている(図示省略)。蒸着の際に、ノズル26から蒸着領域24に向けて酸素ガスを供給する。これにより、ケイ素と酸素ガスとが反応し、集電体11の凸部11a上にSiOxで表される化学組成を有する活物質体12aで構成された活物質層12が形成される。
第1ロール28から巻き出した集電体11を搬送経路に沿って蒸着領域24に案内し、第2ロール29に集電体11を巻き取る。巻き取られた集電体11は、必要に応じて、第2ロール29から巻き出され、搬送経路を、上記正方向とは逆の方向に搬送される。このように、第1ロール28および第2ロール29は、搬送方向によって巻き出しロールとしても巻き取りロールとしても機能することができる。また、正方向および逆方向の搬送を交互に繰り返すことによって、所望の回数の蒸着工程を連続して実施できる。蒸着工程を経て得られた電極原反30は、第1ロール28または第2ロール29に巻回して保持される。
本実施形態によれば、集電体11の表面の凹凸が規則的に形成されている。集電体11の表面の凸部11aに支持された柱状の活物質体12aによって活物質層12が構成されるように、活物質層12を形成する工程(典型的には蒸着工程)を実施する。活物質体12aによって構成された活物質層12は、活物質の膨張および収縮に伴う応力を緩和するのに有効である。また、集電体11の表面の凹凸は、活物質層12と集電体11との密着強度を向上させ、電極10の端面からの活物質の脱落を抑制する効果も奏する。
(2)切断設定部の加熱処理
図3(a)は、電極原反の切断設定部に加熱処理を施す工程の概略図である。図3(a)に示すように、電極原反30を巻き出しながら切断設定部14に加熱処理を施す。加熱方法は、特に限定されるものではなく、電子線またはレーザー光線を照射することにより局所的に熱エネルギーを与えて加熱を行うことができる。電子線を用いると、加熱温度の調節が容易であるとともに、迅速な加熱が可能である。
図3(a)は、電極原反の切断設定部に加熱処理を施す工程の概略図である。図3(a)に示すように、電極原反30を巻き出しながら切断設定部14に加熱処理を施す。加熱方法は、特に限定されるものではなく、電子線またはレーザー光線を照射することにより局所的に熱エネルギーを与えて加熱を行うことができる。電子線を用いると、加熱温度の調節が容易であるとともに、迅速な加熱が可能である。
加熱温度は、例えば300℃以上600℃以下であり、好ましくは300℃以上500℃以下である。十分な加熱温度により硬い電極原反30を軟化することができ、スリット刃が容易に侵入して電極10の端面にダメージが入るのを抑制することができる。ただし、加熱温度が高すぎると、集電体11が伸びて端面にバリが発生しやすい。従って、加熱温度は、集電体11を焼き鈍すことができる範囲内で適切に調節されるべきである。後述する実施例から理解できるように、集電体11が銅または銅合金でできている場合、加熱温度を300℃以上600℃以下に調節すると良い結果が得られる。
加熱温度は、放射温度計(図示せず)などを用いて実時間で測定することができる。また、電極原反30に熱電対を接触させた予備実験で電子線の照射条件と電極原反30の温度との関係を把握しておき、その結果を基に電子線の照射条件から電極原反30の温度を推定することもできる。なお、加熱処理を行った後の電極原反30の引張り強度試験を行うことによって、凡その加熱温度を知ることもできる。
切断設定部14に対する電子線の照射幅15wは、例えば0.5mm以上10mm以下の範囲であり、好ましくは1mm以上5mm以下である。照射幅15wが0.5mm以上であればスリット刃より広い範囲を確保することができ、スリットの位置決めが容易にできる。また、10mm以下であれば、電極10(詳細には集電体11)の機械強度が劣化する割合を抑えることができ、充放電で活物質体12aの膨張収縮などが起きたときにも電極10に歪みが生じるのを抑制することができる。
なお、局所的に加熱された部分(切断設定部14)の引張り強度は、例えば10N/mm以下、好ましくは5N/mm以上8.5N/mm以下であり、より好ましくは6N/mm以上8.5N/mm以下である。引張り強度が適度に低いことは、集電体11が適度に軟化していることを表す。引張り強度が5N/mm程度あれば、電極原反30の伸びを抑えることができる。
引張り強度は、以下の方法で測定できる。長さ40mm×幅6mmの寸法に打ち抜き機で切り出した試料を引張圧縮試験機に固定し、50m/minの速度で試料を長さ方向に引っ張る。このときの最大破断強度を引張り強度として定義できる。測定には、市販の引張圧縮試験機(例えば、今田製作所社製 SV-52N-20L)を使用できる。なお、加熱された部分(切断設定部14)の引張り強度を測定する場合には、その加熱された部分が試料に含まれるように打ち抜きを行う。そして、帯状の加熱された部分に直交する方向に試料を引っ張る。
図3(b)は、電極原反の切断設定部に加熱処理を施す工程を詳細に示している。真空装置50において、真空チャンバー52内は、第1の排気ポンプ51により排気されている。電極原反30を真空チャンバー52に配置された巻き出しロール54から巻き取りロール55に向けて搬送する。巻き出しロール54と巻き取りロール55との間の搬送経路上に配置された電子銃ケース56内は、第2の排気ポンプ53により排気されている。ケース56内に配置された電子銃から電極原反30の表面に電子線を照射して局所的に加熱を行う。このとき、電子線のスキャン条件によって照射幅15wを変更することができる。
加熱温度の調節は、電子線のパワーを制御して行うことができるが、電子線のパワーを上げた場合、電子線の照射幅15wを絞ることが困難になる。図4に示すように、電極原反30の表面を覆うようにマスク32を配置し、マスク32に設けられた開口部34を通じて電極原反30に電子線を照射することにより、加熱温度および照射幅15wを正確に制御することが可能になる。
マスク32として、水冷スリットマスクを好適に使用できる。水冷スリットマスクは例えば厚さ3mm程度の水冷銅板で作られている。マスク32には、切断設定部14に合わせて幅0.5〜10mm、長さ20mm程度の開口部34が形成されている。マスク32と電極原反30との距離は5mm程度に調節される。
また、複数の電子銃を用いて電極原反30の表面を帯状に加熱することが可能である。この方法によれば、幅広の電極原反30にも対応できる。
なお、切断設定部14を局所的に加熱する工程を実施するタイミングは、活物質層12の形成後に限定されず、活物質層12の形成前に実施することもできる。すなわち、集電体11の切断設定部14を局所的に加熱する工程と、活物質層12を形成する工程とをこの順番で実施してもよい。この順序によれば、次の利益が得られる。集電体11に直接電子線またはレーザー光線を照射できるので、効率的な加熱が可能である。活物質層12の形成後に切断設定部14を加熱する場合には、活物質層12を介して集電体11の切断設定部14が加熱されるので、加熱範囲が周囲に広がりやすい。これに対し、活物質層12の形成前に切断設定部14の加熱を行えば、加熱範囲を高精度で制限できる。また、活物質層12に結着剤などの有機物が含まれている場合に、有機物の分解温度等を考慮することなく切断設定部14を加熱できる。
ただし、切断設定部14が加熱処理された後の集電体11の強度は、加熱処理前に比べて幅方向で局所的に不均一になる。図2を参照して説明したように、活物質層12を形成する工程では、複数のロールによって張力を付与しつつ集電体11の搬送を行う。そのため、活物質層12を形成する工程において集電体11が原因で発生する可能性のある不具合、例えば電極原反30の巻きずれおよび熱変形による皺を防止する観点では、活物質層12の形成後に切断設定部14を加熱する工程を実施する方が望ましい。
なお、本実施形態において、活物質層12はケイ素および酸素を含む。詳細には、ケイ素および酸素を含む活物質体12aで活物質層12が構成されている。ケイ素を含む活物質層12は、炭素材料およびバインダ含む活物質層に比べて硬く、電極原反30のスリットの困難性を高めることがある。そのため、ケイ素を含む活物質層12を有する電極原反30のスリットに本発明を適用すると、得られる効果は非常に高いものとなる。
また、本実施形態において、活物質層12はバインダ(典型的には樹脂製のバインダ)を含まない。そのため、切断設定部14の加熱温度がバインダの融点または分解温度に制限されない。特許文献1(特開平11−138327号公報)に開示された技術は、活物質層に含まれたバインダを軟化させ、活物質層への刃の侵入を容易化するものである。これに対し、本実施形態の方法は、金属製の集電体11を焼き鈍すことができる温度で切断設定部14の局所加熱を行うものであり、特許文献1とは本質的に相違する。
(3)電極原反のスリット
図5は、スリット装置の概略図である。スリット装置60は、電極原反30を供給する巻き出しロール63、電極原反30を切断する切断部65、および、切断された電極10を保持する巻き取りロール64aおよび64bを備えている。切断部65には、スリット薄刃61とスリット厚刃62とが配置されており、それぞれが回転しながら加熱された切断設定部14に沿って電極原反30を切断(スリット)する。その後、帯状に分離した電極10は巻き取りロール64aおよび64bで保持される。電極原反30(集電体11)の切断設定部14には予め加熱処理が行われているので、スリット刃の刃こぼれ等が起きにくくなり寿命が延びる。従って、製造コストの削減が可能である。
図5は、スリット装置の概略図である。スリット装置60は、電極原反30を供給する巻き出しロール63、電極原反30を切断する切断部65、および、切断された電極10を保持する巻き取りロール64aおよび64bを備えている。切断部65には、スリット薄刃61とスリット厚刃62とが配置されており、それぞれが回転しながら加熱された切断設定部14に沿って電極原反30を切断(スリット)する。その後、帯状に分離した電極10は巻き取りロール64aおよび64bで保持される。電極原反30(集電体11)の切断設定部14には予め加熱処理が行われているので、スリット刃の刃こぼれ等が起きにくくなり寿命が延びる。従って、製造コストの削減が可能である。
図6(a)に示すように、電極原反30は、スリット薄刃61(円形鋭角刃)とスリット厚刃62(円形ギャング刃)とからせん断力を受け、一定の幅16wを有する複数の電極10へと分割される。図6(b)に示すように、スリット薄刃61(およびスリット厚刃62)が電極原反30の幅方向WDに沿って複数組設けられている場合、一度のスリット工程で1つの電極原反30を3以上の電極10へと分割できるため能率的である。
一定の幅16wを有する電極10は、さらに、所定の長さに切断される。所定の長さに切断された電極10が電気化学素子の組み立てに用いられる。
なお、本実施形態で説明した方法は脱落粉の低減に有効であるが、脱落粉の発生を完全に防ぐことは困難である。従って、電極原反30のスリット後、電極10の端面および表面をブラシ、吸引器、エア噴射器等のクリーナを用いてクリーニングする工程を行ってもよい。これにより、脱落粉が電極10に付着したまま巻回されることを確実に防止できる。
また、加熱工程を経た集電体11の温度が室温に低下するよりも前の時点で電極原反30がスリットされるように、加熱工程とスリット工程とを連続的に実施することも可能である。「連続的に実施する」とは、切断設定部14を加熱した後の電極原反30をロールに巻き取る前にスリットすることを意味する。このようにすれば、加熱による電極原反30(詳細には集電体11)の切断設定部14の強度低下の影響を考慮せずに済む。そのため、電極原反30に付与された張力を殆ど緩めることなく、加熱工程とスリット工程とを実施できる。
ただし、切断設定部14を加熱した後の電極原反30を一旦ロールに巻き取り、その後、ロールから電極原反30を巻き出しつつスリット工程を行う場合、加熱工程での電極原反30の搬送速度をスリット工程でのそれに一致させる必要がない。そのため、加熱工程およびスリット工程を容易に実施できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。
(実施例1)
<<基板(集電体)の作製>>
厚さが26μmの合金銅箔(日立電線社製 BF15150、Zr添加量:0.02重量%)に、略菱形の底面を有する複数の凹部が形成されたローラを用いて、線圧1トン/cmでロールプレスを行った。これにより、表面に複数の凸部を有する集電体を作製した。
<<基板(集電体)の作製>>
厚さが26μmの合金銅箔(日立電線社製 BF15150、Zr添加量:0.02重量%)に、略菱形の底面を有する複数の凹部が形成されたローラを用いて、線圧1トン/cmでロールプレスを行った。これにより、表面に複数の凸部を有する集電体を作製した。
<<電極原反の作製>>
次に、図2を参照して説明した蒸着装置を用い、凸部を有する集電体上に活物質層を形成した。集電体の走行速度は19cm/分とした。坩堝には、蒸発源として、純度99.9999%のケイ素を保持させた。
次に、図2を参照して説明した蒸着装置を用い、凸部を有する集電体上に活物質層を形成した。集電体の走行速度は19cm/分とした。坩堝には、蒸発源として、純度99.9999%のケイ素を保持させた。
蒸着の際、電子銃より、加速電圧を−10kV、エミッション電流を550mAに設定した電子線を照射して蒸発源の加熱を行った。ノズルから酸素ガスを71sccm(standard cubic centimeters per minute)の流量でチャンバー内に供給した。蒸着時におけるチャンバー内の真空度は0.034Paであった。第1ロールから第2ロールへの1回の走行で0.2μm以上0.5μm以下の厚さの活物質を集電体上に堆積させた。第2ロールに巻き取られた集電体を第1ロールに向かって逆方向に搬送し、活物質をさらに堆積させた。このように、集電体を正方向および逆方向に交互に搬送を繰り返し、膜厚計で2.8μmの厚さのSiOx(x=0.5)膜を形成した。
次に、酸素ガスをチャンバー内に導入せずに、集電体を正方向および逆方向に交互に搬送を繰り返して、SiOx膜の上にさらに活物質を堆積させた。この結果、14μm(=2.8μm+11.2μm)の合計厚さを有する活物質層を形成した。活物質層のケイ素の重量は1.8mg/cm2であった。活物質層は、集電体の凸部に支持された複数の活物質体で形成されていた(図1(b)参照)。
その後、集電体の他方の面に上記と同様の方法で活物質層を形成した。これにより、集電体の両面に活物質層が設けられた電極原反を得た。
なお、本実施例のように、活物質層と集電体との界面近傍(例えば界面から1μmまでの領域)における活物質層の酸素濃度を他の部分の酸素濃度よりも高くすると、活物質層と集電体との密着強度が高まる。このことによっても、電極原反をスリットしたときに電極の端面から活物質が脱落すること防止する効果が得られる。
<<切断設定部の加熱処理>>
次に、図3(a)(b)を参照して説明した方法を用いて、電極原反の切断設定部に加熱処理を行った。真空装置のチャンバー内の圧力を0.01Paに設定した。巻き出しロールと巻き取りロールとの間を走行させる電極原反の速度は30cm/分とした。電子銃ケース内に電子銃を配置し、排気ポンプにより電子銃ケース内の圧力を0.005Paとした。電子線を用いた加熱は、電子銃の電圧:−6kV、電子銃の電流:20mA、Xポジション:−1.0、Yポジション:0.8、Xスキャン:2.0、Yスキャン:6.5の条件で行った。加熱温度は、電極原反の表面近傍に配置された放射温度計により計測した。電子線の照射幅を7mm、加熱温度を300℃に設定した。電子線の照射は、幅7mm、長さ10mmの開口部を有する水冷スリットマスクを電極に近接するように設置して行った。加熱処理が施された電極原反は、巻き取りロールに保持させた。1回の加熱処理が終わるたびに、巻き出しロールおよび巻き取りロールに設置したスペーサの厚みを順次変更し、電極原反の走行位置を幅方向に少しずつずらした。これにより、幅方向に関する電子線の照射位置を60mmずつずらして、電極原反上に3本の幅7mmの帯状加熱処理部分(加熱処理された切断設定部)を形成した。加熱処理部分の引張り強度は8.5N/mmであった。
次に、図3(a)(b)を参照して説明した方法を用いて、電極原反の切断設定部に加熱処理を行った。真空装置のチャンバー内の圧力を0.01Paに設定した。巻き出しロールと巻き取りロールとの間を走行させる電極原反の速度は30cm/分とした。電子銃ケース内に電子銃を配置し、排気ポンプにより電子銃ケース内の圧力を0.005Paとした。電子線を用いた加熱は、電子銃の電圧:−6kV、電子銃の電流:20mA、Xポジション:−1.0、Yポジション:0.8、Xスキャン:2.0、Yスキャン:6.5の条件で行った。加熱温度は、電極原反の表面近傍に配置された放射温度計により計測した。電子線の照射幅を7mm、加熱温度を300℃に設定した。電子線の照射は、幅7mm、長さ10mmの開口部を有する水冷スリットマスクを電極に近接するように設置して行った。加熱処理が施された電極原反は、巻き取りロールに保持させた。1回の加熱処理が終わるたびに、巻き出しロールおよび巻き取りロールに設置したスペーサの厚みを順次変更し、電極原反の走行位置を幅方向に少しずつずらした。これにより、幅方向に関する電子線の照射位置を60mmずつずらして、電極原反上に3本の幅7mmの帯状加熱処理部分(加熱処理された切断設定部)を形成した。加熱処理部分の引張り強度は8.5N/mmであった。
<<電極原反のスリット(切断)>>
次に、図5を参照して説明したスリット装置を用いて、電極原反を帯状にスリットし、電気化学素子用電極を作製した。スリット装置内の巻き出しロールに保持した電極原反は30cm/分の速度で搬送させて、切断部を通過させた。このとき、切断部に配置されたスリット薄刃とスリット厚刃を回転させながら電極原反を所定の幅にスリットした。なお、隣接する帯状の電極は、上下に分かれている巻き取りロールの巻芯に各電極の端部をテープ止めすることにより、各巻き取りロールに巻き取った。
次に、図5を参照して説明したスリット装置を用いて、電極原反を帯状にスリットし、電気化学素子用電極を作製した。スリット装置内の巻き出しロールに保持した電極原反は30cm/分の速度で搬送させて、切断部を通過させた。このとき、切断部に配置されたスリット薄刃とスリット厚刃を回転させながら電極原反を所定の幅にスリットした。なお、隣接する帯状の電極は、上下に分かれている巻き取りロールの巻芯に各電極の端部をテープ止めすることにより、各巻き取りロールに巻き取った。
以上により、所定サイズ(幅60mm)に切断された電極を得た。
(実施例2〜5)
切断設定部の加熱温度を実施例1とは異ならせた点を除き、実施例1と同じ方法で電極を作製した。電子銃の電流を調節することによって、加熱温度を変化させた。例えば、実施例2では電子銃の電流を30mA、実施例3では電子銃の電流を40mAに設定した。
切断設定部の加熱温度を実施例1とは異ならせた点を除き、実施例1と同じ方法で電極を作製した。電子銃の電流を調節することによって、加熱温度を変化させた。例えば、実施例2では電子銃の電流を30mA、実施例3では電子銃の電流を40mAに設定した。
(比較例1)
切断設定部を加熱しなかった点を除き、実施例1と同じ方法で電極を作製した。
切断設定部を加熱しなかった点を除き、実施例1と同じ方法で電極を作製した。
[引張り強度の測定]
比較例1の電極の引張り強度は、11N/mmであった。実施例1〜3の電極原反の加熱部分(加熱された切断設定部14)の引張り強度は、それぞれ、8.5N/mm、7N/mm、5.5N/mmであった。実施例4の電極原反の加熱部分(加熱された切断設定部14)の引張り強度は、9.8N/mmであった。実施例5の電極原反の加熱部分(加熱された切断設定部14)の引張り強度は、5N/mm以下(詳細には4.8N/mm)であった。この結果は、加熱温度が250℃以下の場合、引張り強度は殆ど変化しないこと、および、加熱温度が高くなるほど引張り強度は低下し、電極(集電体)が軟化することを表している。
比較例1の電極の引張り強度は、11N/mmであった。実施例1〜3の電極原反の加熱部分(加熱された切断設定部14)の引張り強度は、それぞれ、8.5N/mm、7N/mm、5.5N/mmであった。実施例4の電極原反の加熱部分(加熱された切断設定部14)の引張り強度は、9.8N/mmであった。実施例5の電極原反の加熱部分(加熱された切断設定部14)の引張り強度は、5N/mm以下(詳細には4.8N/mm)であった。この結果は、加熱温度が250℃以下の場合、引張り強度は殆ど変化しないこと、および、加熱温度が高くなるほど引張り強度は低下し、電極(集電体)が軟化することを表している。
[活物質の脱落数の計数]
実施例1〜5および比較例1の電極の端面(切断面)を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し、活物質の脱落数を計数した。具体的には、5μm以下の活物質の脱落数と、5μm以上の活物質の脱落数とを計数した。5mmの長さの端面を1箇所として任意の3箇所の観察を行い、3箇所の合計の脱落数を調べた。活物質が脱落しているかどうかの判断基準は次の通りである。端面に現れた柱状の活物質体のうち、綺麗に残存しているものを「脱落せず」と判断した。それ以外のものを「脱落」として計数した。詳細には、集電体の凸部から完全に取れてしまっているもの、消失して集電体の凸部のみが端面に現れているものを「5μm以上の活物質の脱落」と判断した。一部が欠けたもの、亀裂が入って脱落しかけているものを「5μm以下の活物質の脱落」と判断した。結果を表1に示す。
実施例1〜5および比較例1の電極の端面(切断面)を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し、活物質の脱落数を計数した。具体的には、5μm以下の活物質の脱落数と、5μm以上の活物質の脱落数とを計数した。5mmの長さの端面を1箇所として任意の3箇所の観察を行い、3箇所の合計の脱落数を調べた。活物質が脱落しているかどうかの判断基準は次の通りである。端面に現れた柱状の活物質体のうち、綺麗に残存しているものを「脱落せず」と判断した。それ以外のものを「脱落」として計数した。詳細には、集電体の凸部から完全に取れてしまっているもの、消失して集電体の凸部のみが端面に現れているものを「5μm以上の活物質の脱落」と判断した。一部が欠けたもの、亀裂が入って脱落しかけているものを「5μm以下の活物質の脱落」と判断した。結果を表1に示す。
実施例1〜3の電極の端面から5μm以下(条件A)の脱落粉は発生したが、5μm以上(条件B)の脱落粉は発生しなかった。5μm以下の脱落粉は小さく、少量であればスリット後の巻き取りや、電池の組立にほとんど影響がない。実施例4および実施例5の電極の端面から発生した脱落粉の数は比較的多かったが、比較例1に比べると少なかった。
[端面の観察]
次に、実施例1および比較例1の電極の端面を電子顕微鏡(倍率:200倍)で観察した。結果を図7(a)(b)に示す。図7(a)が比較例1、図7(b)が実施例1の端面の像である。図7(b)に示すように、実施例1の電極の端面が整った形状を有していることから明らかなように、実施例1の電極は綺麗にスリットされていた。これに対し、図7(a)に示すように、比較例1の電極の端面には凹凸が目立っていた。つまり、活物質の脱落の痕跡が端面に顕著に現れていた。
次に、実施例1および比較例1の電極の端面を電子顕微鏡(倍率:200倍)で観察した。結果を図7(a)(b)に示す。図7(a)が比較例1、図7(b)が実施例1の端面の像である。図7(b)に示すように、実施例1の電極の端面が整った形状を有していることから明らかなように、実施例1の電極は綺麗にスリットされていた。これに対し、図7(a)に示すように、比較例1の電極の端面には凹凸が目立っていた。つまり、活物質の脱落の痕跡が端面に顕著に現れていた。
本発明は、リチウムイオン二次電池および電気化学キャパシタ等の電気化学素子の電極の製造に有利に適用できる。
1 電気化学素子用電極
10 電極
11 集電体
11a 凸部
12 活物質層
12a 活物質体
14 切断設定部
15w 電子線の照射幅
16w 電極幅
20 真空蒸着装置
21 排気ポンプ
22 真空チャンバー
23 坩堝
24 蒸着領域
26 ノズル
28 第1ロール
29 第2ロール
30 電極原反
32 マスク
34 開口部
50 真空装置
51 第1の排気ポンプ
52 真空チャンバー
53 第2の排気ポンプ
54 巻き出しロール
55 巻き取りロール
56 電子銃ケース
60 スリット装置
61 スリット薄刃
62 スリット厚刃
63 巻き出しロール
64a、64b 巻き取りロール
65 切断部
10 電極
11 集電体
11a 凸部
12 活物質層
12a 活物質体
14 切断設定部
15w 電子線の照射幅
16w 電極幅
20 真空蒸着装置
21 排気ポンプ
22 真空チャンバー
23 坩堝
24 蒸着領域
26 ノズル
28 第1ロール
29 第2ロール
30 電極原反
32 マスク
34 開口部
50 真空装置
51 第1の排気ポンプ
52 真空チャンバー
53 第2の排気ポンプ
54 巻き出しロール
55 巻き取りロール
56 電子銃ケース
60 スリット装置
61 スリット薄刃
62 スリット厚刃
63 巻き出しロール
64a、64b 巻き取りロール
65 切断部
Claims (8)
- 表面に凹凸を有する集電体の前記表面上に活物質層を形成する工程と、
前記活物質層の形成前または形成後において、前記集電体の切断設定部を局所的に加熱する工程と、
前記集電体および前記活物質層によって構成された電極原反を加熱された前記切断設定部に沿って刃物でスリットする工程と、
を備えた、電気化学素子用電極の製造方法。 - 前記加熱工程において、電子線を用いて前記切断設定部を加熱する、請求項1に記載の電気化学素子用電極の製造方法。
- 前記切断設定部に対する前記電子線の照射幅が、0.5mm以上10mm以下である、請求項2に記載の電気化学素子用電極の製造方法。
- 前記集電体が圧延された金属箔で構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気化学素子用電極の製造方法。
- 前記集電体が銅または銅合金でできており、
前記切断設定部の加熱温度が、300〜600℃の範囲内である、請求項1〜4のいずれかに1項に記載の電気化学素子用電極の製造方法。 - 前記活物質層の形成後に前記加熱工程を実施するとともに、
前記加熱工程を経た前記集電体の温度が室温に低下するよりも前の時点で前記電極原反がスリットされるように、前記加熱工程と前記スリット工程とを連続的に実施する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気化学素子用電極の製造方法。 - 前記活物質層はケイ素と酸素とを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気化学素子用電極の製造方法。
- 前記集電体の前記表面の凹凸が規則的に形成され、
前記集電体の前記表面の凸部に支持された柱状の活物質体によって前記活物質層が構成されるように、前記活物質層を形成する工程を実施する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気化学素子用電極の製造方法。
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-
2010
- 2010-06-02 JP JP2010126992A patent/JP2011018637A/ja active Pending
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WO2015125048A1 (en) * | 2014-02-21 | 2015-08-27 | Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. | Current collector, secondary battery, electronic device, and manufacturing method thereof |
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