JP2016033930A - 二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極活物質層に積層した絶縁層の樹脂粒子の剥がれが抑制されている二次電池を提供する。【解決手段】二次電池100は、正極集電体221と、正極集電体221に塗工され、少なくとも正極活物質が含まれた正極活物質層223とを備えている。さらに、リチウムイオン二次電池100は、正極集電体221に対向するように配置された負極集電体241と、負極集電体241に塗工され、少なくとも負極活物質が含まれた負極活物質層243とを備えている。また、リチウムイオン二次電池100は、正極活物質層223または負極活物質層243の少なくとも一方(ここでは、負極活物質層243)を覆うように、絶縁性を有する樹脂粒子を積層した多孔質の絶縁層245が形成されている。さらに、このリチウムイオン二次電池100は、かかる絶縁層245の縁に、樹脂粒子が溶融した溶融部246を備えている。【選択図】図2

Description

本発明は二次電池および電極シートの切断装置に関する。
ここで、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充電可能な蓄電デバイス一般をいい、リチウムイオン二次電池(lithium-ion secondary battery)、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池などのいわゆる蓄電池ならびに電気二重層キャパシタなどの蓄電素子を包含する用語である。
また、本明細書において「リチウムイオン二次電池」とは、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。一般に「リチウム二次電池」と称される電池は、本明細書におけるリチウムイオン二次電池に包含される。
かかる二次電池について、例えば、特許文献1には、正極および負極よりなる群から選ばれる少なくとも1つの電極の表面に接着された多孔質電子絶縁層を具備する二次電池が開示されている。ここで、多孔質電子絶縁層は、微粒子フィラーと樹脂結着剤を含み、微粒子フィラーは、複数個の一次粒子が連結固着した不定形粒子を含む粒子である。ここで、微粒子フィラーには、酸化チタン(チタニア)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化タングステンが挙げられている。
また、特許文献2には、正極および/または負極の表面に、正極と負極とを隔離するための多孔性の隔離材を有する非水電解質二次電池が開示されている。ここで、隔離材は、架橋樹脂を含有しており、十分な強度と非水電解液に対する耐性とを有している。架橋樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、共重合ポリオレフィン、ポリオレフィン誘導体(塩素化ポリエチレンなど)、スチレンブタジエン共重合体、アクリル樹脂[ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレートなどのポリアルキル(メタ)アクリレートおよびその誘導体]、ポリアルキレンオキシド[ポリエチレンオキシド(PEO)など]、フッ素樹脂[ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など]、およびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミドなどの架橋体が挙げられている。
また、特許文献2には、隔離材は、その強度を高めるために、各種無機微粒子を含有させてもよいことが記載されている。無機微粒子としては、電気化学的に安定で電気絶縁性のものであれば特に制限はないが、酸化鉄、SiO(シリカ)、Al(アルミナ)、TiO、BaTiOなどの酸化物粉末;窒素化アルミニウム、窒素化ケイ素などの窒素化物粉末;シリコン、ダイヤモンドなどの共有結合性結晶粉末;硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウムなどの難溶性イオン結晶粉末;モンモリロナイト;などが挙げられている。
また、特許文献2には、電池にシャットダウン特性を持たせるために、ポリオレフィン微粒子などの、80〜150℃で溶融する微粒子を隔離材に含有させることが開示されている。また、このような微粒子を構成する樹脂としては、例えば、PE、共重合ポリオレフィン、ポリオレフィン誘導体(塩素化ポリエチレンなど)、ポリオレフィンワックス、石油ワックス、カルナウバワックスなどの微粒子が挙げられている。また、共重合ポリオレフィンとしては、エチレン−ビニルモノマー共重合体、より具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体など)などが例示されている。
また、特許文献3には、電極活物質をバインダと混合して電極形成用塗布液を調製し、この塗布液を集電体に塗布した後、塗布液を乾燥させて、集電体に活物質含有層を形成したシート状の電極を形成することが開示されている。また、シート状電極は、その後、圧延され、所定の寸法に切断されることが開示されている。特許文献3には、シート状電極の切断時に、集電体の切断屑が上刃側面に融着することを十分に抑制し、且つ、集電体の切断面にバリが発生することを十分に抑制することが可能なスリッター装置が提案されている。
国際公開第05/078828号 日本国特許出願公開2010−170770号公報 日本国特許出願公開2006−7404号公報
ところで、本発明者は、絶縁層として、例えば、ポリエチレンのような絶縁性を有する樹脂粒子を、正極や負極の活物質層に積層することを考えている。そして、かかる活物質層と絶縁層が形成された集電箔を所定の寸法に切断して、活物質層に絶縁層を積層した電極を得ることを考えている。かかる絶縁層は、例えば、樹脂粒子同士をバインダによって接合することを考えている。
さらに、製造工程においては、幅の広い集電体のマザーシートを用意し、活物質層、絶縁層を順に形成して、その後、所定寸法に切断することを考えている。この際、かかる絶縁層は、そのままでは切断されると、樹脂粒子同士の接合が取れ、部分的に剥がれる場合が起こり得ると考えられる。
また、製造段階だけでなく、電極シートの縁に、樹脂粒子を積層させた絶縁層の縁が露出していると、当該絶縁層の縁から絶縁層が剥がれ易く、二次電池内で異物を発生させる要因になり得る。
本発明の一形態に係る二次電池は、正極集電体と、正極集電体に保持され、少なくとも正極活物質が含まれた正極活物質層と、正極集電体に対向するように配置された負極集電体と、負極集電体に保持され、少なくとも負極活物質が含まれた負極活物質層とを備えている。この二次電池は、さらに正極活物質層または負極活物質層の少なくとも一方を覆うように、絶縁性を有する樹脂粒子を積層した多孔質の絶縁層を備えている。そして、当該絶縁層の縁には、樹脂粒子が溶融した溶融部が形成されている。
かかる二次電池によれば、絶縁層の縁に樹脂粒子が溶融した溶融部が形成されているので、絶縁層の縁が強固である。このため、樹脂粒子の脱落が少なく抑えられ、当該絶縁層が剥がれ難い。絶縁層の縁は切断痕を有していてもよい。また、絶縁層は、負極活物質層に積層されていてもよい。絶縁層が正極活物質層を覆っていると、正極活物質層から電池の反応に関わる電解質が放出されるのを阻害し得る。このため、絶縁層は、負極活物質層に積層されているとよい。
例えば、絶縁層は、絶縁性を有する無機フィラーやゴムの粒子が含まれていてもよい。また、例えば、負極活物質層は、正極活物質層よりも幅が広く、かつ、正極活物質層に対向させて配置されており、絶縁層が正極活物質層に対向する側において、負極活物質層に積層されていてもよい。この場合、負極活物質層は、正極活物質層よりも幅が広いので、負極活物質層に積層された絶縁層の縁を溶融させても、正極活物質層に対して負極活物質層が対向し得るので、正極活物質層の機能が阻害されない。
また、本発明に係る二次電池の製造方法には、電極シートを用意する工程と、絶縁層を溶融させる溶融工程と、電極シートを切断する切断工程とが含まれている。詳しくは、電極シートを用意する工程では、集電体と、当該集電体の表面に形成され、電極活物質が含まれた活物質層と、当該活物質層を覆うように、絶縁性を有する樹脂粒子を積層した多孔質の絶縁層とを備えた電極シートが用意される。次に、溶融工程では、予め定められたラインに沿って絶縁層が溶融される。そして、切断工程では、溶融工程によって絶縁層を溶融させたラインに沿って、電極シートが切断される。かかる二次電池の製造方法によれば、電極シートを切断する前に、切断される部分において絶縁層が溶融している。このため、切断工程において、絶縁層が部分的に剥がれ難い。
かかる二次電池の製造方法では、例えば、溶融工程では、絶縁層にレーザを照射することによって絶縁層を溶融させるとよい。絶縁層が溶融した部分は、例えば、電解液が通過し得る空隙が少ない。このため当該部分は、電池の反応に実質的に寄与するべき活物質層の作用を阻害し得ると考えられる。これに対して、溶融工程において、レーザを照射して絶縁層を溶融させることによって、絶縁層を溶融させる幅をより適切に細く制御できる。このため、活物質層の作用が阻害される程度を小さくできる。また、レーザとして好ましい一形態は、例えば、COレーザである。COレーザは、樹脂(例えば、ポリエチレン)がエネルギーを吸収しやすい波長(凡そ10.6μm)を持っている。このため、COレーザは、樹脂粒子を溶融させるのに適しており、樹脂粒子を効率よく溶融させることができる。また、溶融工程と、切断工程との間に、電極シートを冷却する冷却工程を備えていてもよい。これにより、溶融工程で溶融した樹脂を切断工程の前に、より確実に固化させることができる。これにより、溶融工程と切断工程との間のタクトタイムを短くできる。
また、電極シートの切断装置は、予め定められたラインに沿って電極シートを加熱するように配置されたヒーターと、ヒーターによって加熱された電極シートがラインに沿って切断されるように配置されたカッターとを備えている。この場合、例えば、集電体に活物質層が形成されており、当該活物質層に、樹脂粒子を積層した絶縁層が形成された電極シートを切断する場合において、絶縁層を溶融してから切断することができる。
また、この場合、ヒーターは、例えば、電極シートに対してレーザを照射するレーザ装置であるとよい。さらに、レーザは、例えば、COレーザであるとよい。また、電極シートの切断装置は、電極シートを予め定められた搬送経路に沿って搬送する搬送装置を備えていてもよい。この場合、ヒーターとカッターとが搬送経路に沿って固定的に配置されている場合には、ヒーターとカッターに対して、電極シートの位置を調整する位置調整機構を備えているとよい。
また、電極シートは帯状のシートであり、搬送装置は、当該電極シートを搬送経路に沿って連続的に搬送する装置であってもよい。この場合、搬送装置は、電極シートを支持しつつ搬送するガイドロールを複数備えているとよい。そして、当該ガイドロールによって電極シートが支持された部位から搬送方向下流側にずれた位置において、電極シートが加熱されるようにヒーターが配置されているとよい。これにより、ガイドロールへの溶融樹脂の付着を防止できる。この場合、ヒーターは、ガイドロールによって電極シートが支持された部位から搬送方向下流側に1mm以上10mm以下の範囲でずれているとよい。
また、ヒーターによって加熱された後、カッターによって切断される前に、前記電極シートを冷却する冷却装置を備えていてもよい。これによりタクトタイムを短縮できる。この場合、冷却装置は、電極シートに空気を吹き付ける送風機であってもよい。また、冷却装置は、電極シートに押し当てられる金属ロールと、当該金属ロールを冷やす冷却部とを備えていてもよい。
図1は、リチウムイオン二次電池の構造の一例を示す図である。 図2は、リチウムイオン二次電池の捲回電極体を示す図である。 図3は、図2中のIII−III断面を示す断面図である。 図4は、リチウムイオン二次電池の充電時の状態を模式的に示す図である。 図5は、リチウムイオン二次電池の放電時の状態を模式的に示す図である。 図6は、本発明の一実施形態に係る二次電池において、集電体に活物質層と絶縁層を形成した状態を示す平面図である。 図7は、本発明の一実施形態に係る二次電池において、負極シートの断面図である。 図8は、本発明の一実施形態に係る二次電池の製造方法において、溶融工程と切断工程を示す平面図である。 図9は、本発明の一実施形態に係る電極シートの切断装置の構成例を示す側面図である。 図10は、本発明の他の実施形態に係る電極シートの切断装置の構成例を示す側面図である。 図11は、本発明の他の実施形態に係る電極シートの切断装置の構成例を示す側面図である。 図12は、本発明の他の実施形態に係る電極シートの切断装置の構成例を示す側面図である。 図13は、本発明の一実施形態に係る電極シートの断面を示す模式図である。 図14は、本発明の一実施形態に係る電極シートの断面を示す模式図である。 図15は、本発明の一実施形態に係る電極シートの平面図である。 図16は、図15のA−A断面示す断面図である。 図17は、本発明の他の実施形態に係る電極シートの平面図である。 図18は、図17のA−A断面を示す断面図である。 図19は、図17に示す電極シートが切り出されるマザーシートを示す図である。 図20は、本発明の一実施形態に係る電極シートの切断装置の構成例を示す側面図である。 図21は、本発明の他の実施形態に係る二次電池の製造方法において、冷却工程を示す平面図である。 図22は、本発明の他の実施形態に係る二次電池の製造方法において、冷却工程を示す平面図である。 図23は、リチウムイオン二次電池を搭載した車両を示す図である。
以下、本発明の一実施形態に係る二次電池および二次電池の製造方法を図面に基づいて説明する。なお、同じ作用を奏する部材、部位には適宜に同じ符号を付している。また、各図面は、模式的に描いており、必ずしも実物を反映しない。
≪リチウムイオン二次電池100の構造≫
図1は、本発明の一実施形態に係る二次電池としてのリチウムイオン二次電池100を示している。リチウムイオン二次電池100は、図1に示すように、捲回電極体200と電池ケース300と電解液(図示省略)とを備えている。また、図2は、捲回電極体200を示す図である。図3は、図2中のIII−III断面を示している。この実施形態では、捲回電極体200は、図2に示すように、帯状の正極シート220と帯状の負極シート240とが重ねられ、かつ、捲回されている。
≪正極シート220≫
正極シート220は、正極集電体221と、正極活物質層223とを備えている。正極集電体221には、正極に適する金属箔が好適に使用され得る。この実施形態では、正極集電体221には、所定の幅を有し、厚さが凡そ10μmの帯状のアルミニウム箔が用いられている。正極活物質層223は、正極集電体221に保持され、少なくとも正極活物質が含まれている。この実施形態では、正極活物質層223は、正極活物質を含む正極合剤が正極集電体221に塗工された層である。この実施形態では、正極集電体221の幅方向片側の縁部に沿って未塗工部222が設定されている。正極活物質層223は、正極集電体221に設定された未塗工部222を除いて、正極集電体221の両面に形成されている。
≪正極活物質≫
正極活物質層223に含まれる正極活物質には、リチウムイオン二次電池の正極活物質として用いられる物質を使用することができる。正極活物質の例を挙げると、LiNiCoMnO(リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物)、LiNiO(ニッケル酸リチウム)、LiCoO(コバルト酸リチウム)、LiMn(マンガン酸リチウム)、LiFePO(リン酸鉄リチウム)などのリチウム遷移金属酸化物が挙げられる。ここで、LiMnは、例えば、スピネル構造を有している。また、LiNiOやLiCoOは層状の岩塩構造を有している。また、LiFePOは、例えば、オリビン構造を有している。オリビン構造のLiFePOには、例えば、ナノメートルオーダーの粒子がある。また、オリビン構造のLiFePOは、さらにカーボン膜で被覆することができる。
≪導電材≫
正極活物質層223には、正極活物質の他に、導電材、バインダ(結着剤)などの任意成分を必要に応じて含有し得る。導電材としては、例えば、カーボン粉末やカーボンファイバーなどのカーボン材料が例示される。このような導電材から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンブラック、黒鉛、ケッチェンブラック)、グラファイト粉末などのカーボン粉末を用いることができる。
≪バインダ、増粘剤、溶媒≫
また、バインダとしては、使用する溶媒に溶解または分散可能なポリマーを用いることができる。例えば、水性溶媒を用いた正極合剤においては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのセルロース系ポリマー(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系樹脂(例えば、酢酸ビニル共重合体やスチレンブタジエンゴム(SBR)など)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)などのゴム類;などの水溶性または水分散性ポリマーを好ましく採用することができる。また、非水溶媒を用いた正極合剤においては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)などのポリマーを好ましく採用することができる。なお、上記で例示したポリマー材料は、バインダとしての機能の他に、上記組成物の増粘剤その他の添加剤としての機能を発揮する目的で使用されることもあり得る。溶媒としては、水性溶媒および非水溶媒の何れも使用可能である。非水溶媒の好適例として、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)が挙げられる。
≪正極活物質層223の厚さ≫
この実施形態では、正極活物質層223の平均の厚さt1は、片面当り27μm程度である。かかる正極活物質層223の厚さt1は、例えば、正極シート220の未塗工部222を基準にして測定するとよい。
≪負極シート240≫
負極シート240は、負極集電体241と、負極活物質層243と、絶縁層245とを備えている。負極集電体241には、正極に適する金属箔が好適に使用され得る。この実施形態では、この負極集電体241には、所定の幅を有し、厚さが凡そ10μmの帯状の銅箔が用いられている。負極活物質層243は、負極集電体241に保持され、少なくとも負極活物質が含まれている。この実施形態では、負極活物質層243は、負極活物質を含む負極合剤が負極集電体241に塗工された層である。負極集電体241の幅方向片側には、縁部に沿って未塗工部242が設定されている。負極活物質層243は、負極集電体241に設定された未塗工部242を除いて、負極集電体241の両面に形成されている。
≪負極活物質≫
負極活物質層243に含まれる負極活物質には、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる材料の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。例えば、少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料(カーボン粒子)が挙げられる。より具体的には、いわゆる黒鉛質(グラファイト)、難黒鉛化炭素質(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質(ソフトカーボン)、これらを組み合わせた炭素材料を用いることができる。例えば、天然黒鉛のような黒鉛粒子を使用することができる。また、負極合剤には、負極活物質の分散を維持するべく、負極合剤には適量の増粘剤が混ぜられている。負極合剤には、正極合剤に使われるのと同様の増粘剤やバインダや導電材を使用することができる。
≪負極活物質層243の厚さ≫
この実施形態では、負極活物質層243の平均の厚さt2は、片面当り35μm程度である。かかる負極活物質層243の厚さt2は、例えば、負極活物質層243が形成された後において、負極シート240の未塗工部242を基準にして測定するとよい。
≪絶縁層245≫
絶縁層245は、この実施形態では、負極活物質層を覆うように、絶縁性を有する樹脂粒子を積層した多孔質の層である。絶縁層245に用いられる樹脂粒子は、好適には、熱可塑性樹脂の粒子であり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン由来の構造単位が85mol%以上の共重合ポリオレフィンまたはポリオレフィン球動体などを用いることができる。また、樹脂粒子は、複数の異なる熱可塑性樹脂の粒子を適当な割合で混合してもよい。また、樹脂粒子は、無機フィラーやゴムなどで絶縁性を有する材料が適当な割合で添加されていてもよい。この実施形態では、樹脂粒子には、ポリエチレンが用いられている。樹脂粒子は、例えば、バインダで接着するとよい。かかるバインダには、例えば、正極活物質層または負極活物質層に用いられるバインダと同様のバインダを用いることができる。
樹脂粒子の粒径は、電解液の流通が十分に可能な程度の多孔質の層が形成されるように、積層させた際に粒子間に適当な隙間が形成されるとよい。このため、樹脂粒子の粒径は、例えば、約1μm〜10μm程度である。より好ましくは約1μm〜3μmである。なお、ここで、粒径には、光散乱法に基づく粒度分布測定器によって測定される粒度分布から求められるメジアン径(d50)が採用されている。
≪絶縁層245の厚さ≫
この実施形態では、絶縁層245の平均の厚さt3は、片面当り25μm程度である。かかる絶縁層245の厚さt3は、例えば、絶縁層245が形成された後において、負極シート240の未塗工部242を基準に、負極活物質層243と絶縁層245と合わせた厚さt4を測定し、上述した負極活物質層243の厚さt2との差分(t3=t4−t2)により算出するとよい。
かかる絶縁層245は、上述したように樹脂粒子が積層されている。電池内部の温度が異常に高くなった際に、所定の温度で樹脂粒子が溶融し、負極活物質層243の表面に、電解液の流通を遮断する膜を形成する。これにより、電池内で反応を低下させることができる(このような機能を、適宜に「シャットダウン」という。)。
≪溶融部246≫
また、この実施形態では、絶縁層245の縁には溶融部246が形成されている。溶融部246は、絶縁層245を形成する樹脂粒子が溶融した部分である。かかるリチウムイオン二次電池100によれば、絶縁層245の縁に、樹脂粒子が溶融した溶融部246が形成されているので、絶縁層245の縁が強固に固まっており、当該縁から絶縁層245が剥がれ難い。図2および図3に示す例では、負極活物質層243の幅b1(溶融部246を含まず)は、正極活物質層223の幅a1よりも少し広い。
≪捲回電極体200≫
この例では、正極シート220と負極シート240は、図2に示すように、長さ方向を揃えて重ねられている。この際、正極活物質層223と負極活物質層243が重ねられる。また、正極シート220と負極シート240の幅方向において、正極シート220の未塗工部222と負極シート240の未塗工部242とが互いに反対側にはみ出るように重ねられている。また、負極活物質層243の幅b1は正極活物質層223の幅a1よりも少し広く、負極活物質層243は正極活物質層223を覆うように重ねられている。重ねられたシート材(例えば、正極シート220)は、当該シート材の幅方向に設定された捲回軸周りに捲回されており、捲回後も負極活物質層243が正極活物質層223を覆う状態が維持されている。なお、図2は、正極シート220と負極シート240を捲回し、扁平に変形した捲回電極体200の一部展開した状態を示している。
この捲回電極体200では、図1から図3に示すように、負極活物質層243を覆う絶縁層245によって、正極活物質層223と負極活物質層243とが物理的に隔てられており、かつ、正極活物質層223と負極活物質層243との間の電気的な絶縁が保たれている。換言すると、かかる絶縁層245は、正極活物質層223と負極活物質層243とを物理的かつ電気的に隔てつつ、電解質の行き来を許容するセパレータとして機能し得る。このため、この実施形態では、正極シート220と負極シート240との間にセパレータは別途配置されていない。
≪電池ケース300≫
また、この例では、電池ケース300は、図1に示すように、いわゆる角型の電池ケースであり、容器本体320と、蓋体340とを備えている。容器本体320は、有底四角筒状を有しており、一側面(上面)が開口した扁平な箱型の容器である。蓋体340は、当該容器本体320の開口(上面の開口)に取り付けられて当該開口を塞ぐ部材である。
車載用の二次電池では、車両の燃費を向上させるため、重量エネルギー効率(単位重量当りの電池の容量)を向上させることが望まれる。このため、この実施形態では、電池ケース300を構成する容器本体320と蓋体340は、アルミニウムやアルミニウム合金などの軽量金属が採用されている。これにより重量エネルギー効率を向上させることができる。
この電池ケース300は、捲回電極体200を収容する空間として、扁平な矩形の内部空間を有している。また、図1に示すように、当該電池ケース300の扁平な内部空間は、捲回電極体200よりも横幅が少し広い。この実施形態では、電池ケース300の内部空間には、捲回電極体200が収容されている。捲回電極体200は、図1に示すように、捲回軸に直交する一の方向において扁平に変形した状態で電池ケース300に収容されている。
この実施形態では、電池ケース300は、有底四角筒状の容器本体320と、容器本体320の開口を塞ぐ蓋体340とを備えている。また、電池ケース300の蓋体340には、電極端子420、440が取り付けられている。電極端子420、440は、電池ケース300(蓋体340)を貫通して電池ケース300の外部に出ている。また、蓋体340には安全弁360が設けられている。
この例では、電池ケース300(この例では、蓋体340)に電極端子420、440が取り付けられている。捲回電極体200は、かかる電極端子420、440に取り付けられている。捲回電極体200は、捲回軸に直交する一の方向において扁平に押し曲げられた状態で電池ケース300に収納されている。また、捲回電極体200の捲回軸方向の両側には、正極シート220の未塗工部222と負極シート240の未塗工部242とが互いに反対側にはみ出ている。このうち、一方の電極端子420は、正極集電体221の未塗工部222に固定されており、他方の電極端子440は、負極集電体241の未塗工部242に固定(例えば、溶接)されている。
また、この捲回電極体200は、扁平に押し曲げられた状態で、蓋体340に固定された電極端子420、440に取り付けられる。かかる捲回電極体200は、容器本体320の扁平な内部空間に収容される。容器本体320は、捲回電極体200が収容された後、蓋体340によって塞がれる。蓋体340と容器本体320の合わせ目322(図1参照)は、例えば、レーザ溶接によって溶接されて封止されている。このように、この例では、捲回電極体200は、蓋体340(電池ケース300)に固定された電極端子420、440によって、電池ケース300内に位置決めされている。
≪電解液≫
その後、蓋体340に設けられた注液孔から電池ケース300内に電解液が注入される。電解液は、水を溶媒としていない、いわゆる非水電解液が用いられている。この例では、電解液は、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(例えば、体積比1:1程度の混合溶媒)にLiPFを約1mol/リットルの濃度で含有させた電解液が用いられている。その後、注液孔に金属製の封止キャップを取り付けて(例えば溶接して)電池ケース300を封止する。なお、電解液としては、かかる実施例に限定されず、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる非水電解液を使用することができる。
≪空孔≫
ここで、正極活物質層223は、例えば、正極活物質と導電材の粒子間などに、空洞とも称すべき微小な隙間を有している。かかる正極活物質層223の微小な隙間には電解液(図示省略)が浸み込み得る。また、負極活物質層243は、例えば、負極活物質の粒子間などに、空洞とも称すべき微小な隙間を有している。また、負極活物質層243を覆うように形成された絶縁層245は、樹脂粒子が積層されており、電解液がしみこみうる空洞とも称すべき微小な隙間を有している。ここでは、かかる隙間(空洞)を適宜に「空孔」と称する。このように、リチウムイオン二次電池100の内部では正極活物質層223と負極活物質層243には、電解液が染み渡っている。
≪ガス抜け経路≫
また、この例では、当該電池ケース300の扁平な内部空間は、扁平に変形した捲回電極体200よりも少し広い。捲回電極体200の両側には、捲回電極体200と電池ケース300との間に隙間310、312が設けられている。当該隙間310、312は、ガス抜け経路になる。
かかる構成のリチウムイオン二次電池100は、過充電が生じた場合に温度が高くなる。リチウムイオン二次電池100の温度が高くなると、電解液が分解されてガスが発生する。発生したガスは、捲回電極体200の両側における捲回電極体200と電池ケース300との隙間310、312、および、安全弁360を通して、スムーズに外部に排気される。かかるリチウムイオン二次電池100では、正極集電体221と負極集電体241は、電池ケース300を貫通した電極端子420、440を通じて外部の装置に電気的に接続される。以下、充電時と放電時のリチウムイオン二次電池100の動作を説明する。
≪充電時の動作≫
図4は、かかるリチウムイオン二次電池100の充電時の状態を模式的に示している。充電時においては、図4に示すように、リチウムイオン二次電池100の電極端子420、440(図1参照)は、充電器290に接続される。充電器290の作用によって、充電時には、正極活物質層223中の正極活物質からリチウムイオン(Li)が電解液280に放出される。また、正極活物質層223からは電荷が放出される。放出された電荷は、図4に示すように、導電材(図示省略)を通じて正極集電体221に送られ、さらに、充電器290を通じて負極240へ送られる。また、負極240では電荷が蓄えられるとともに、電解液280中のリチウムイオン(Li)が、負極活物質層243中の負極活物質に吸収され、かつ、貯蔵される。
≪放電時の動作≫
図5は、かかるリチウムイオン二次電池100の放電時の状態を模式的に示している。放電時には、図5に示すように、負極240から正極220に電荷が送られるとともに、負極活物質層243に貯蔵されたリチウムイオン(Liイオン)が、電解液280に放出される。また、正極では、正極活物質層223中の正極活物質に電解液280中のリチウムイオン(Li)が取り込まれる。
このように、リチウムイオン二次電池100の充放電において、電解液280を介して、正極活物質層223と負極活物質層243との間でリチウムイオン(Li)が行き来する。また、充電時においては、正極活物質から導電材を通じて正極集電体221に電荷が送られる。これに対して、放電時においては、正極集電体221から導電材を通じて正極活物質に電荷が戻される。
≪リチウムイオン二次電池100≫
上述したように、このリチウムイオン二次電池100は、図1および図2に示すように、正極集電体221と、正極集電体221に塗工され、少なくとも正極活物質が含まれた正極活物質層223とを備えている。さらに、リチウムイオン二次電池100は、正極集電体221に対向するように配置された負極集電体241と、負極集電体241に塗工され、少なくとも負極活物質が含まれた負極活物質層243とを備えている。また、リチウムイオン二次電池100は、図3に示すように、正極活物質層223または負極活物質層243の少なくとも一方(図3に示す例では、負極活物質層243)を覆うように、絶縁性を有する樹脂粒子を積層した多孔質の絶縁層245が形成されている。さらに、このリチウムイオン二次電池100は、かかる絶縁層245の縁に、樹脂粒子が溶融した溶融部246を備えている。
かかるリチウムイオン二次電池100では、負極活物質層243を覆う絶縁層245によって、正極活物質層223と負極活物質層243とが物理的に隔てられている。また、かかる絶縁層245によって、正極活物質層223と負極活物質層243との、電気的な絶縁が保たれている。また、絶縁層245は、正極活物質層223と負極活物質層243との間で電解液280が流通することを許容する。また、絶縁層245は、電池内部の温度が異常に高くなった際に、所定の温度で樹脂粒子が溶融することによって膜を形成する。かかる膜は電解液の流通を遮断されるので、電池の反応が抑えられる。このように、絶縁層245は、電池内部の温度が異常に高くなった際に電池の反応を抑える、いわゆるシャットダウン機能を有している。
特に、この実施形態では、正極シート220と負極シート240との間に別途セパレータが配置されていない。このため、絶縁層245の一部が剥がれることによって、正極活物質層223と負極活物質層243との電気的な絶縁が保たれず、リチウムイオン二次電池100が電池として機能しなくなる可能性がある。
これに対して、このリチウムイオン二次電池100では、絶縁層245の縁に樹脂粒子が溶融した溶融部246が形成されている。当該溶融部246では、溶融した樹脂粒子の一部が負極活物質層243や周囲の樹脂粒子と結合している。このため、溶融部246は、負極活物質層243や溶融部246を除く絶縁層245との接合力が強い。また、絶縁層245の縁が強固であるため、当該絶縁層245の縁において絶縁層245が剥がれ難い。また、絶縁層245の縁から樹脂粒子が脱落し難いので、絶縁層245の縁から樹脂粒子が脱落して、リチウムイオン二次電池100内の異物が発生するのを抑制できる。
なお、この実施形態では、負極シート240の未塗工部242が設けられた側では、絶縁層245の縁は溶融していないが、それ以外の部分において絶縁層245の縁は溶融している。かかる溶融部246が形成された部位は、後述するが負極シート240が製造される過程において、負極シート240が切断される部位であり得る。絶縁層245を形成する場合には、負極活物質層243を覆うように、絶縁性を有する樹脂粒子を積層することによって多孔質の絶縁層245が形成される。しかし、このような多孔質の絶縁層245を単純に形成したのみでは、負極シート240を切断する際に、当該切断部位において樹脂粒子が脱落したり、当該切断部位から絶縁層245が剥がれたりする場合がある。そこで、かかる絶縁層245が形成された負極シート240を切断する場合には、負極シート240が切断される前に、当該切断部位において絶縁層245の樹脂粒子を溶融させておくとよい。以下に、本発明の一実施形態に係る二次電池の製造方法を説明する。
≪二次電池の製造方法≫
以下、本発明の一実施形態に係る二次電池の製造方法および電極シートの切断装置を説明する。この実施形態では、二次電池の製造方法は、電極シートを用意する工程と、溶融工程と、切断工程とを含んでいる。かかる二次電池の製造方法は、例えば、上述したリチウムイオン二次電池100(図1参照)のうち負極シート240を製造する工程に適用することができる。以下、上述したリチウムイオン二次電池100の負極シート240を例に挙げて、本発明の一実施形態に係る二次電池の製造方法および電極シートの切断装置を説明する。図6は、電極シートを用意する工程で用意される段階での電極シート(負極シート240)の平面図である。
≪電極シートを用意する工程≫
電極シートを用意する工程で用意される電極シート10Aは、図6に示すように、集電体10(負極集電体241のマザー集電体)と、活物質層(負極活物質層243)と、絶縁層(絶縁層245)とを備えている。ここでは、電極シート10Aは、複数の負極シート240が切り出されるマザーシートを意味している。また、集電体10は、複数の負極シート240の負極集電体241が切り出され得る集電体を意味している。
この実施形態では、集電体10は銅箔であり、負極活物質層243は、当該負極集電体241の表面に形成されている。絶縁層245は、当該負極活物質層243(活物質層)を覆い、絶縁性を有する樹脂粒子が積層されている。ここで、本発明者は、図6に示すように、集電体10(マザーシート)から複数の負極シート240を得ることを考えている。
図6に示す形態では、幅が広い帯状の集電体10(マザーシート)に対して、幅方向に所定の間隔をあけて複数列(図6に示す例では3列)の活物質層243(a)〜(c)が塗工されている。また、図6に示す形態では、集電体10(マザーシート)の幅方向の両側、および、活物質層243(a)〜(c)の間に、未塗工部242(a)〜(d)が設けられている。活物質層243(a)〜(c)は、集電体10(マザーシート)の長さ方向に沿って塗工されている。さらに、この実施形態では、図6に示すように、活物質層243(a)〜(c)には、それぞれ絶縁層245(a)〜(c)が形成されている。絶縁層245(a)〜(c)は、それぞれ活物質層243(a)〜(c)を覆っている。なお、本明細書において、符号に付したカッコ内のアルファベットは、当該符号で示される複数の部材や部位を区別するために付している。
活物質層243(a)〜(c)は、例えば、上述した電極活物質(正極活物質、負極活物質)や導電材やバインダや増粘剤などを溶媒中で混ぜ合わせた電極合材を用意する(合材用意工程)。次に、かかる合材用意工程で用意された電極合剤を集電体10に塗布する(塗布工程)。かかる塗布工程には、従来公知の適当な塗布装置、例えば、スリットコーター、ダイコーター、コンマコーター、グラビアコーターなどを用いることができる。この実施形態では、図6に示すように、長尺帯状の集電体10(マザーシート)が用いられている。このため、集電体10を搬送しつつ、搬送される集電体10の所定位置に電極合剤を連続して塗布するとよい。
次に、かかる塗布工程で集電体10に塗布された電極合材を乾燥させる(乾燥工程)。かかる乾燥工程では、所定の乾燥条件に設定された乾燥炉に集電体10を搬送するとよい。この際、電極合材中でマイグレーションが生じるのを防止するべく、適当な乾燥条件を設定するとよい。次に、かかる乾燥工程で乾燥した正極活物質層223や負極活物質層243を、厚み方向にプレスする(圧延工程)。かかる圧延工程では、従来公知のロールプレス法、平板プレス法などを適宜に採用することができる。このように集電体10に所定の活物質層243(a)〜(c)を形成することができる。
絶縁層245(a)〜(c)は、活物質層243(a)〜(c)を覆うように形成されている。絶縁層245(a)〜(c)は、樹脂粒子を積層した多孔質の層である。絶縁層245(a)〜(c)の製造方法は、例えば、樹脂粒子を溶媒に分散させたスラリーを用意し、かかるスラリーを活物質層243(a)〜(c)の上に所定の厚さで塗布し、その後に乾燥させるとよい。この際、かかるスラリーを活物質層243(a)〜(c)の上に所定の厚さで塗布する工程では、スラリーをグラビア印刷技術によって塗布するとよい。また、絶縁層245(a)〜(c)は、所定の厚さになるように圧延してもよい。図7は、電極シート10Aに活物質層243(a)〜(c)と絶縁層245(a)〜(c)が塗工された部位の断面を示している。この電極シート10Aは、図7に示すように、集電体10の両面に、活物質層243(a)〜(c)と、絶縁層245(a)〜(c)が塗工されている。
この場合、活物質層243(a)〜(c)の幅方向の中間と、活物質層243(a)〜(c)の間の未塗工部の中間に切断ラインz1〜z5が設けられている。かかる切断ラインz1〜z5に沿って、集電体10(マザーシート)を切断することによって、幅方向の片側に未塗工部を有する電極シート(ここでは、負極シート240(a)〜(f))を、幅方向に複数本(図6に示す例では6本)切り出すことができる。このうち、活物質層243(a)〜(c)の間の未塗工部の中間に設定された切断ラインz2、z4は、集電体10が露出しているので、単純にカッター(スリッターとも称され得る)によって切断するとよい。
これに対して、活物質層243(a)〜(c)には、樹脂粒子が積層した絶縁層245(a)〜(c)が、活物質層243(a)〜(c)を覆うように形成されている。このため、活物質層243(a)〜(c)の幅方向の中間に設定された切断ラインz1、z3、z5を切断する際に、単純にカッターによって切断すると、絶縁層245(a)〜(c)を形成する樹脂粒子の一部が脱落する。また、場合によっては、絶縁層245(a)〜(c)の一部が剥がれることもある。溶融工程は、かかる絶縁層245(a)〜(c)が形成された活物質層243(a)〜(c)の幅方向の中間の切断ラインz1、z3、z5を切断する工程において必要になる。
図8は、電極シートの絶縁層を溶融する工程と、切断する工程と示す平面図である。この実施形態では、図示は省略するが、活物質層243(a)〜(c)の間の未塗工部の中間に設定された切断ラインz2、z4に沿って、電極シート10Aを切断する。その後、図8に示すように、切断された電極シート10A(a)〜(c)が溶融工程(S1)、切断工程(S2)に供給される。
この実施形態では、電極シート10A(a)〜(c)は、搬送装置40(図9参照)によって、予め定められた搬送経路に沿って搬送される。ヒーター20とカッター30とは、かかる搬送経路に固定的に配置されている。この実施形態では、電極シート10A(a)〜(c)は帯状のシートであり、搬送装置40は、当該電極シート10A(a)〜(c)を搬送経路に沿って連続的に搬送する装置である。この実施形態では、搬送装置40は、電極シート10A(a)〜(c)を支持しつつ搬送するガイドロール41、42(図9参照)を複数備えている。
≪溶融工程(Sm)≫
溶融工程は、電極シートを用意する工程で用意された電極シート10A(a)、10A(b)、10A(c)の絶縁層245(a)〜(c)を、予め定められたラインz1、z3、z5に沿って溶融させる工程である。
かかる溶融工程では、絶縁層245(a)〜(c)を切断工程でカッター30(a)〜(c)が切断する幅に応じて、例えば、0.1mm〜5.0mm程度の幅(例えば、0.5mm〜1.5mm程度の幅)で、絶縁層245(a)〜(c)を溶融するとよい。このため、この実施形態では、溶融工程は、絶縁層245(a)〜(c)にレーザ20A(a)〜(c)を照射することによって、絶縁層245(a)〜(c)を溶融させている。レーザは指向性が高い。また、レーザによれば、例えば、レーザの焦点距離やレーザの出力(強さ)を調整することによって、絶縁層245(a)〜(c)が溶融する幅を調整することができる。例えば、0.1mm〜5.0mm程度の幅で、絶縁層116を溶融させることが可能である。また、レーザによれば、電極シート10A(a)〜(c)に非接触で、絶縁層245(a)〜(c)を溶融させることができる。このため、活物質層243(a)〜(c)がほとんど影響を受けない。
この場合、レーザは、好ましくはCOレーザを採用することができる。この実施形態では、絶縁層245(a)〜(c)にポリエチレンの樹脂粒子が用いられており、かかる樹脂粒子を溶融させるのに好適なように、例えば、COレーザの波長を凡そ10.6μm、出力を5W〜25Wにしている。COレーザは、樹脂(例えば、ポリエチレン)がエネルギーを吸収しやすい10.6μmの波長を持っている。このため、COレーザは、樹脂粒子を溶融させるのに適しており、樹脂粒子を効率よく溶融させることができる。かかるCOレーザによれば、絶縁層245(a)〜(c)を構成する樹脂粒子に効率よく熱を与えることができる。
この実施形態では、上述したように電極シート10A(a)〜(c)の両面に絶縁層245(a)〜(c)が形成されている。このため、図9に示すように、電極シート10A(a)〜(c)の両面にレーザを照射して、電極シート10A(a)〜(c)の両面で絶縁層245(a)〜(c)を溶融させている。絶縁層245は、多孔質であり、樹脂粒子間に多くの空孔を有している。かかる絶縁層245が溶融すると膜状になり、空孔がほとんどなくなる。このため、溶融部246では、絶縁層245の体積が減り、絶縁層245が薄くなる。
≪レーザ装置の配置≫
図9に示す例では、電極シート10A(a)〜(c)をバックロール41(ガイドロール)に支持させた状態で、バックロール41とは反対側の面に形成された絶縁層245(a)〜(c)にレーザ20A(a)〜(c)を照射している。そして、当該レーザ20A(a)〜(c)が照射された面に形成された絶縁層245(a)〜(c)(図8参照)を溶融させる。次に、当該絶縁層245(a)〜(c)を溶融させた面をバックロール42に支持させる。そして、当該バックロール42に支持させた状態で、バックロール42とは反対側の面に形成された絶縁層245(a)〜(c)にレーザ20B(a)〜(c)を照射している。ここでは、符号20A(a)〜(c)および20B(a)〜(c)は、直接的には電極シート10A(a)〜(c)に照射されるレーザを示している。なお、当該レーザを照射するレーザ装置は、図示の便宜上、省略されている。図示されるレーザ20A(a)〜(c)およびレーザ20B(a)〜(c)は、当該レーザを照射するレーザ装置およびレーザ装置を制御する装置の存在を間接的に示している。
このように、電極シート10A(a)〜(c)の両面に絶縁層245(a)〜(c)が形成されている場合には、当該両面の絶縁層245(a)〜(c)を溶融させるとよい。図9に示す例では、電極シート10A(a)〜(c)の両面に順にレーザ20A(a)〜(c)、レーザ20B(a)〜(c)を当てて、両面の絶縁層245(a)〜(c)を溶融させている。また、図9に示す例では、電極シート10A(a)〜(c)がバックロール41(ガイドロール)に支持された部位においてレーザ20A(a)〜(c)を照射している。バックロール41(ガイドロール)に支持された部位では、電極シート10A(a)〜(c)のバタつきがなく、電極シート10A(a)〜(c)に対してより適切な位置にレーザ20A(a)〜(c)を照射することができる。
なお、図9に示す例では、バックロール41、42によって電極シート10A(a)〜(c)が支持されている部位において、バックロール41、42とは反対側の面に形成された絶縁層245(a)〜(c)にレーザ20A(a)〜(c)、レーザ20B(a)〜(c)を照射している。この場合、レーザ20A(a)〜(c)、レーザ20B(a)〜(c)の出力を高くし過ぎると、バックロール41、42に支持された側の面の絶縁層245(a)〜(c)も溶融し得る。バックロール41、42に支持された側の面の絶縁層245(a)〜(c)が溶融すると、バックロール41、42に溶融した樹脂が付着し、不具合を生じさせる要因になり得る。
このため、図9に示すように、バックロール41、42によって電極シート10A(a)〜(c)が支持されている部位において、レーザ20A(a)〜(c)、レーザ20B(a)〜(c)を照射する場合には、レーザ20B(a)〜(c)の出力を調整することが必要である。この場合、レーザ20B(a)〜(c)が直接照射された面の絶縁層245(a)〜(c)を溶融させるけれども、バックロール41、42に溶融した樹脂が付着しない程度に、レーザ20A(a)〜(c)、レーザ20B(a)〜(c)の出力を調整するとよい。
また、図10に示すように、バックロール41によって電極シート10A(a)〜(c)が支持された部位からずれた位置において、電極シート10A(a)〜(c)にレーザ20A(a)〜(c)が照射されるようにレーザ装置(図示省略)を配置してもよい。また、バックロール42によって電極シート10A(a)〜(c)が支持された部位からずれた位置において、電極シート10A(a)〜(c)に対してレーザ20B(a)〜(c)が照射されるようにレーザ装置(図示省略)を配置してもよい。この場合、レーザ20A(a)〜(c)、レーザ20B(a)〜(c)の出力を高くしても、バックロール41、42に絶縁層245(a)〜(c)の溶融した樹脂が付着しない。この場合、レーザを照射する位置がバックロール41、42に近すぎると、溶融した樹脂がバックロール41、42に付着する可能性が高くなる。また、バックロール41、42から離れた位置では、搬送される電極シート10A(a)〜(c)がバタつく場合がある。レーザ20A(a)〜(c)やレーザ20B(a)〜(c)を照射する位置で搬送される電極シート10A(a)〜(c)がバタつくと、電極シート10A(a)〜(c)にレーザ20A(a)〜(c)やレーザ20B(a)〜(c)が照射される位置が安定しない可能性がある。このため、電極シート10A(a)〜(c)に対してレーザ20A(a)〜(c)やレーザ20B(a)〜(c)を照射する位置は、電極シート10A(a)〜(c)がバックロール41、42に支持された部位から離れすぎない方がよい。レーザ20A(a)〜(c)やレーザ20B(a)〜(c)を照射する位置は、電極シート10A(a)〜(c)がバックロール41、42に支持された部位から、例えば、1mm〜10mm程度、より好ましくは、1.5mm〜8mm程度ずれているとよい。
バックロール41、42に支持された部位からずれた位置にレーザ20A(a)〜(c)やレーザ20B(a)〜(c)を照射する場合には、図10に示すように、バックロール41、42の下流側(電極シート10A(a)〜(c)の搬送方向下流側)にレーザ20A(a)〜(c)やレーザ20B(a)〜(c)を照射する位置をずらすとよい。バックロール41、42の下流側にレーザ20A(a)〜(c)やレーザ20B(a)〜(c)を照射する位置をずらすことによって、バックロール41、42に溶融した樹脂が付着するのを、より確実に防止できる。
なお、図9および図10に示す形態では、それぞれ電極シート10A(a)〜(c)の両面にそれぞれレーザ20A(a)〜(c)、レーザ20B(a)〜(c)を照射する。この場合、電極シート10A(a)〜(c)の幅方向において、電極シート10A(a)〜(c)に対してレーザ20A(a)〜(c)とレーザ20B(a)〜(c)が照射される位置を合わせる必要がある。このため、かかる位置合わせは、EPC装置(edge position control device)やCPC装置(center position control device)などの位置調整機構62(図8参照)によって行なうとよい。この実施形態では、かかる位置調整機構62によって、ラインz1、z3、z5に沿って絶縁層245(a)〜(c)が溶融するように、レーザが照射される位置に供給される電極シート10A(a)〜(c)の幅方向の位置が調整される。図9および図10に示す形態では、位置調整機構62はバックロール41、42の前に配置するとよい。
また、バックロール41に支持された部位からずれた位置にレーザを照射する場合には、電極シート10A(a)〜(c)の両面の絶縁層245(a)〜(c)を同時に溶融させてもよい。例えば、図11に示すように、バックロール41に支持された部位からずれた位置において、電極シート10A(a)〜(c)の片面にレーザ20A(a)〜(c)が照射されるように、レーザ装置(図示省略)を配置するとよい。そして、電極シート10A(a)〜(c)の両面の絶縁層245(a)〜(c)が溶融し得るように、レーザ20A(a)〜(c)の出力を調整するとよい。これにより、電極シート10A(a)〜(c)の両面で絶縁層245(a)〜(c)が溶融した位置がずれ難い。
また、例えば、図12に示すように、バックロール41に支持された部位からずれた位置において、電極シート10A(a)〜(c)の両面にそれぞれレーザ20A(a)〜(c)、レーザ20B(a)〜(c)が照射されるように、レーザ装置(図示省略)を配置してもよい。この場合、レーザ20A(a)〜(c)、レーザ20B(a)〜(c)は、搬送される電極シート10A(a)〜(c)に対して、同じ位置で焦点を調整するとよいので、電極シート10A(a)〜(c)の両面においてレーザが照射される位置がずれ難い。また、この場合、レーザ20A(a)〜(c)、レーザ20B(a)〜(c)の出力を調整することによって、電極シート10A(a)〜(c)の両面において絶縁層245(a)〜(c)を同程度に溶融させることができる。
溶融工程では、予め定められたラインz1、z3、z5に沿って絶縁層245(a)〜(c)を溶融させるとよい。ここで、絶縁層245(a)〜(c)を溶融させる幅は、後の切断工程(Sc)において、カッター30(a)〜(c)が切断する幅に応じて調整されることが望ましい。すなわち、絶縁層245(a)〜(c)を溶融させると、絶縁層245(a)〜(c)の空孔が消失するので、当該部分では、電解液が流通しない。このため、絶縁層245(a)〜(c)を溶融させる幅は、カッター30(a)〜(c)が切断する幅に応じて、また、樹脂粒子の脱落を少なく抑える効果や絶縁層245(a)〜(c)が剥がれ難くなる効果が認められる程度にできる限り細い方がよい。レーザを照射する方法は、例えば、レーザの焦点距離や、出力を調整することによって、例えば、0.1mm〜5.0mm程度の幅で調整できることが可能である。このように、レーザを照射する方法は、絶縁層245(a)〜(c)を溶融させる位置や幅を容易に調整できる。
なお、かかる溶融工程において、電極シート10A(a)〜(c)を加熱するヒーターとしてレーザ装置を例示した。かかるヒーターはレーザ装置に限定されない。
他の形態として、例えば、ヒーターは、図示は省略するが、電極シートに対して熱風を当てる熱風送風器で構成してもよい。この場合、熱風の温度を300℃程度、風速を30m/s、熱風を集中的に当てる幅を2mm程度にすることが可能である。しかし、熱風を当てる場合には、熱が空気中に広がるため、狭い範囲に集束しない。このため、電極シートの狭い範囲だけを熱することが難しい。また、この場合、絶縁層245(a)〜(c)が溶融する幅は変動し易い。このため、電極シート10A(a)〜(c)の両面で溶融する部分がずれ易い。このため、溶融させる幅を広くする必要がある。
また、他の形態として、ヒーターは、図示は省略するが、電極シートに押し当てられる金属ロールと、当該金属ロールを加熱する熱源とを備えた構成でもよい。この場合、金属ロールの幅を、例えば、2mm程度、ロールの表面温度を300℃程度にすることが可能である。この場合、熱した金属ロールを電極シート10A(a)〜(c)に直接押し当てるので、金属ロールに溶融物が付着して不具合を生じさせる場合がある。また、この場合、絶縁層245(a)〜(c)が溶融する幅は変動し易い。このため、電極シート10A(a)〜(c)の両面で溶融する部分がずれ易い。このため、溶融させる幅を広くする必要がある。
これに対して、上述したようにレーザを照射する方法や装置では、例えば、レーザの焦点距離や、出力を調整することによって、絶縁層245(a)〜(c)を溶融させる位置や幅をより細かく調整できる。また、電極シート10A(a)〜(c)に対して非接触で絶縁層245(a)〜(c)を加熱でき、活物質層243(a)〜(c)への影響は小さい。このため、電極シート10A(a)〜(c)を加熱するヒーターとしては、レーザを電極シート10A(a)〜(c)に照射するレーザ装置が好適である。かかる溶融工程で、予め設定されたラインz1、z3、z5に沿って絶縁層245(a)〜(c)を溶融させた電極シート10A(a)〜(c)は、切断工程に供給される。また、レーザを照射する装置は、比較的、省スペースに設置でき、また、設備コストも安価に済む。また、レーザ装置は、電極シート10A(a)〜(c)の位置を検出して、絶縁層245(a)〜(c)を溶融させるべき部分に、レーザを追従させる制御機構(図示省略)を付加してもよい。これにより、絶縁層245(a)〜(c)を溶融させるべき部分に対してレーザを適切に追従させることができる。電極シート10A(a)〜(c)のバタつきや移動に対して、絶縁層245(a)〜(c)を溶融させる位置や幅をより細かく調整できる。
≪模式図≫
図13は、レーザが照射される前の活物質層243(a)〜(c)と絶縁層245(a)〜(c)の状態を示す模式図である。また、図14は、レーザが照射された後の活物質層243(a)〜(c)と絶縁層245(a)〜(c)の状態を示す模式図である。
レーザが照射される前の絶縁層245(a)〜(c)は、図13に示すように、樹脂粒子250が活物質層243(a)〜(c)の上に概ね積層された状態である。これに対して、レーザが照射された後では、絶縁層245(a)〜(c)は、図14に示すように、レーザが照射された部位(246)の中心に、樹脂粒子250が溶融した部分250aが形成される当該部分では溶融した樹脂の一部が、活物質層243(a)〜(c)の空孔に入り込み、その後固化する。このため、負極活物質層243と強固に結合する。さらにその周囲で一部が溶融した樹脂250bは、周囲の樹脂粒子250と結合している。
このようにレーザ20A(a)〜(c)(図8参照)を照射して溶融させた場合、絶縁層245(a)〜(c)の樹脂粒子が溶融する。溶融した樹脂の一部は、負極活物質層243や周囲の樹脂粒子と結合している。このため、溶融部246は、負極活物質層243や溶融部246を除く絶縁層245との接合力が強い。また、溶融部246は、後の切断工程(Sc)において、カッター30(a)〜(c)で切断される。この際、切断された絶縁層245の縁が強固であるため、当該絶縁層245の縁において絶縁層245が剥がれ難い。また、絶縁層245の縁から樹脂粒子が脱落し難いので、絶縁層245の縁から樹脂粒子が脱落することによってリチウムイオン二次電池100内で異物が発生するのを抑制できる。
≪切断工程(Sc)≫
次に切断工程を説明する。
切断工程は、溶融工程によって絶縁層245(a)〜(c)を溶融させたラインz1、z3、z5に沿って、電極シート10Aを切断する工程である。この実施形態では、電極シート10A(a)〜(c)は、カッター30(a)〜(c)によって切断される。当該カッター30(a)〜(c)には、種々のカッター(スリッターとも称される)から、電極シート10A(a)〜(c)を適切に切断できるものを採用するとよい。
この実施形態では、図8に示すように、電極シート10A(a)〜(c)は帯状のシートである。搬送装置40は、当該電極シート10A(a)〜(c)を予め定められた搬送経路に沿って連続的に搬送する。カッター30(a)〜(c)は、電極シート10A(a)〜(c)の搬送経路に対して固定的に配置されている。
切断工程では、溶融工程で絶縁層245(a)〜(c)を溶融させたラインz1、z3、z5に沿って電極シート10Aが切断されるように、固定されたカッター30(a)〜(c)に対して、電極シート10A(a)〜(c)の位置を調整するとよい。このため、カッター30(a)〜(c)の前にEPC装置(edge position control device)やCPC装置(center position control device)などの位置調整機構64が配置されている。位置調整機構64によって、ラインz1、z3、z5に沿って電極シート10A(a)〜(c)が切断されるように、カッター30(a)〜(c)に供給される電極シート10A(a)〜(c)の幅方向の位置が調整される。
このようなカッター30(a)〜(c)によって切断された電極シート10A(a)〜(c)は、それぞれ絶縁層245(a)〜(c)の縁に樹脂粒子が溶融した溶融部246(a)〜(f)が形成されている。また、かかる絶縁層245(a)〜(c)の縁は、カッター30(a)〜(c)によって切断されるので切断痕(図示省略)がある。
このように切断工程で切断されるラインz1、z3、z5では、前工程の溶融工程において、両面に形成された絶縁層245(a)〜(c)において樹脂粒子が溶融している。このため、当該ラインz1、z3、z5に沿って切断した場合でも、樹脂粒子の粒子は実質的に脱落しない。また、当該ラインz1、z3、z5では、活物質層243(a)〜(c)に溶融した樹脂が強固に付着している。このため、切断工程において、当該ラインz1、z3、z5に沿って切断された場合でも、絶縁層245(a)〜(c)は実質的に剥がれない。
この実施形態では、カッター30(a)〜(c)によって切断された電極シート10A(a)〜(c)は、例えば、図9〜図12に示すように、それぞれ異なる巻取り軸82(a)〜(c),84(a)〜(c)に巻き取られるとよい。
このように、この二次電池の製造方法によれば、電極シート10A(a)〜(c)を切断する前に、切断される部分において絶縁層245(a)〜(c)が溶融している。このため、切断工程において、絶縁層245(a)〜(c)から樹脂粒子が脱落し難く、また絶縁層245(a)〜(c)が部分的に剥がれ難い。
この場合、溶融工程では、図8に示すように、絶縁層245(a)〜(c)にレーザ20A(a)〜(c)を照射することによって、絶縁層245(a)〜(c)を溶融させるとよい。レーザを照射する方法や装置では、例えば、レーザの焦点距離や、出力を調整することによって、絶縁層245(a)〜(c)を溶融させる位置や幅をより細かく調整できる。このため、カッター30(a)〜(c)で切断される幅に応じて、溶融させる幅を適切に狭くできる。
また、かかる電極シートの切断装置は、ヒーター(上述した実施形態では、レーザ装置)と、カッター30(a)〜(c)とを備えているとよい。ここで、ヒーターは、予め定められたラインz1、z3、z5に沿って電極シート10A(a)〜(c)を加熱するように配置されているとよい。また、カッター30(a)〜(c)は、絶縁層245(a)〜(c)が溶融したラインz1、z3、z5に沿って、電極シート10A(a)〜(c)を切断しうるように配置されている。かかる電極シートの切断装置によれば、樹脂粒子が積層された絶縁層245(a)〜(c)を有する電極シート10A(a)〜(c)を切断する工程において、絶縁層245(a)〜(c)を溶融させてから切断することができる。
この場合、図8および図9に示すように、電極シート10A(a)〜(c)を予め定められた搬送経路に沿って搬送する搬送装置40を備えていてもよい。この場合、ヒーター(レーザ装置)とカッター30(a)〜(c)とを搬送経路に沿って固定してもよい。そして、ヒーター(レーザ装置)とカッター30(a)〜(c)に対して、電極シート10A(a)〜(c)の位置を調整する位置調整機構62、64を備えていてもよい。この場合、位置調整機構62、64によって、電極シート10A(a)〜(c)が適切に搬送される。このため、電極シート10A(a)〜(c)を適切な位置で溶融し、かつ、切断できる。
また、上述した実施形態のように、電極シート10A(a)〜(c)が帯状のシートである場合には、搬送装置40は、当該電極シート10A(a)〜(c)を搬送経路に沿って連続的に搬送する装置であるとよい。これにより、電極シート10A(a)〜(c)をラインz1、z3、z5に沿って、連続的に溶融し、かつ、切断できる。これにより、効率よく電極シートを得ることができる。
また、搬送装置40は、電極シート10A(a)〜(c)を支持しつつ搬送するガイドロール41、42を複数備えていてもよい。この場合、かかるガイドロール41、42によって、電極シート10A(a)〜(c)が支持された部位から搬送方向下流側にずれた位置において、電極シート10A(a)〜(c)が加熱されるようにヒーター(レーザ20A(a)〜(c)を照射するレーザ装置)が配置するとよい。これにより、ガイドロール41、42に溶融した樹脂が付着し難い。また、この場合、電極シート10A(a)〜(c)の両面の絶縁層245(a)〜(c)を同時に溶融させることができる。このため、電極シート10A(a)〜(c)の両面で絶縁層245(a)〜(c)が溶融した位置がずれ難い。
上述した例では、電極シート10A(a)〜(c)が帯状のシートであり、電極シート10A(a)〜(c)を搬送しつつ、長さ方向に切断する場合について説明した。この場合において、図15に示すように、電極シート10A(a)〜(c)は、さらに所定の長さで切断される。この場合、長さ方向の端部を切断する際にも、切断される部分において、絶縁層245の樹脂粒子を溶融させてから切断するとよい。これにより、樹脂粒子が脱落し難く、かつ、絶縁層245の縁から絶縁層245の一部が剥がれ難い。図16は、図15のA−A断面図である。
また、上述した実施形態では、電極シートが帯状のシートであり、幅方向片側の縁部に沿って未塗工部242が設定された形態を例示したが、電極シートの構造は、二次電池の構造によって異なる。例えば、電極シートの他の形態として、図17に示す電極シート110Aは、帯状の集電体110の長さ方向の中間部に未塗工部112が形成されており、その両側に活物質層114(a)、(b)が形成されている。かかる形態は、集電体110の長さ方向の中間部に形成された未塗工部112に、タブ120(電気の取り出し口となる箔)が取り付けられる。いわゆるセンタータブとも呼ばれる。かかる形態においては、未塗工部112の両側に形成された活物質層114(a)、(b)を覆うように、さらに絶縁層116(a)、(b)が形成されている。ここで、図18は、図17中のA−A断面を示す断面図である。
かかる形態では、図19に示すように、幅が広い帯状の集電体110(マザー集電体)を用意し、これに間欠的に活物質層114を形成し、かかる活物質層114を覆うように、絶縁層116を形成する。そして、図19に破線で示すように、未塗工部112と未塗工部112の間の中間に切断ラインz21、z22を設定する。さらに、集電体110の幅方向に間隔をあけて、集電体110の長さ方向に沿って切断ラインz23、z24を設定する。電極シート110Aは、かかる切断ラインz21〜z24に沿って切断される。この際、切断ラインz21〜z24を切断する際には、切断する前に、当該切断ラインz21〜z24に沿って、絶縁層116を溶融するとよい。これにより、図17に示すように、電極シート110Aの幅方向両側の縁110a、110b、および、長さ方向の両側の縁110c、110dに溶融部118が形成された電極シート110Aが切り出される。
また、電極シート110Aの長さ方向の両側の端部110c、110dを切断する場合には、例えば、図20に示すように、捲回電極体200を製造する捲回装置400の巻取軸410の近傍に位置に、絶縁層116を溶融させるレーザ412と、溶融した部位を切断するカッター414とを設けるとよい。
このように、電極シート110Aは、上述した実施形態に限定されず、種々の形態を採り得る。電極シート110Aは、その形態に関わらず、例えば、図18に示すように、活物質層114を覆うように、樹脂粒子を積層した絶縁層116が形成される場合において、当該絶縁層116が形成された部位を切断する場合には、絶縁層116を溶融させてから切断するとよい。これにより、絶縁層116から樹脂粒子が脱落し難く、絶縁層116の縁から絶縁層116の一部が剥がれ難い。なお、上述したように、この際、絶縁層116を溶融させる手段として、絶縁層116にレーザを照射するとよい。また、この際、好適にはCOレーザを用いると良い。
以下、二次電池の製造方法及び電極シートの切断装置の変形例を説明する。
上述した実施形態では、ヒーター(レーザ20A(a)〜(c)やレーザ20B(a)〜(c)を照射するレーザ装置)によって、絶縁層245(a)〜(c)を溶融させる部位と、電極シート10A(a)〜(c)を切断する部位との間は少し距離がある。このため、電極シート10A(a)〜(c)が当該距離を進む間に温度が下がり、電極シート10A(a)〜(c)が切断される前に溶融工程で溶融した樹脂が十分に固化し得る。この場合、絶縁層245(a)〜(c)を溶融させる部位と、電極シート10A(a)〜(c)を切断する部位との間は、常温(約25度)において、少なくとも0.5秒以上、より好ましくは、0.8秒以上掛けて搬送するとよい。
≪冷却工程≫
溶融工程で溶融した樹脂が十分に固化する前に、切断工程に供給されると、カッター30(a)〜(c)に樹脂が付着するなど不具合を生じさせうる。また、溶融工程と切断工程との間で十分な間隔をあけるには、タクトタイムが長くなる。このため、二次電池の製造方法は、例えば、図21に示すように、溶融工程(Sm)と、切断工程(Sc)との間に、電極シートを冷却する冷却工程(Sr)を備えていてもよい。溶融工程(Sm)と、切断工程(Sc)との間に、電極シートを冷却する冷却工程(Sr)を設けることによって、溶融工程で溶融した樹脂を切断工程の前に、より確実に固化させることができる。これにより、溶融工程と切断工程との間のタクトタイムを短くできる。
≪冷却装置≫
例えば、図21に示す形態では、ヒーター(レーザ20A(a)〜(c)やレーザ20B(a)〜(c)を照射するレーザ装置)によって加熱された後、カッター30(a)〜(c)によって切断される前に、電極シート10A(a)〜(c)を冷却する冷却装置36を備えている。この実施形態では、電極シート10A(a)〜(c)は帯状のシートであり、搬送装置40は、電極シート10A(a)〜(c)を搬送経路に沿って連続的に搬送する装置である。冷却装置36は、搬送経路に沿って、ヒーター(レーザ20A(a)〜(c)やレーザ20B(a)〜(c)を照射するレーザ装置)と、カッター30(a)〜(c)との間に設けられている。冷却装置36は、例えば、電極シート10A(a)〜(c)に空気を吹き付ける送風機で構成することができる。この場合、電極シート10A(a)〜(c)は非接触で冷却される。
≪冷却装置の他の形態≫
また、冷却装置36は、図22に示すように、電極シート10A(a)〜(c)に押し当てられる金属ロール37と、金属ロール37を冷やす冷却部38とを備えているとよい。当該冷却部38は、電極シート10A(a)〜(c)に押し付けられていない部分において、金属ロール37を冷却するとよい。冷却部38の構成としては、金属ロール37から吸熱する構造であれば良い。冷却部38は、例えば、電極シート10A(a)〜(c)に押し付けられていない部分において、金属ロール37に冷気を当てる構造でもよい。また、冷却部38は、金属ロール37を中空構造とし、金属ロール37内に冷媒を循環させる構造でもよい。この場合、電極シート10A(a)〜(c)を早急に冷却することができる。これにより、タクトタイムが短くなる。
また、上述した実施形態では、例えば、図1〜図3に示すように、このリチウムイオン二次電池100は、正極活物質層223よりも負極活物質層243の幅が広い。さらに、負極活物質層243は、正極活物質層223に対向させて配置されている。絶縁層245は、負極シート240の負極活物質層243を覆っている。これにより、正極活物質層223から放出されるリチウムイオン(Li)が負極活物質層243に吸収されやすく、正極活物質層223と負極活物質層243との間でリチウムイオン(Li)がより安定して行き来する。なお、これに限らず、絶縁層245は、正極活物質層223を覆うように形成してもよいし、正極活物質層223と負極活物質層243の両方にそれぞれ形成してもよい。このように、絶縁層245は、正極活物質層223と負極活物質層243の何れに形成してもよい。
また、二次電池の構造は、図1〜図3に示す構造に限定されない。例えば、上述した実施形態では、絶縁層245がセパレータとして機能し、セパレータが別途設けられていない。二次電池の構造は、かかる形態に限定されず、正極活物質層223と負極活物質層243の少なくとも何れか一方に絶縁層245を設けることに加えて、正極シート220と負極シート240との間に、別途セパレータを設けてもよい。上述したように、本発明の一実施形態に係る二次電池では、絶縁層245の縁に樹脂粒子が溶融した溶融部246が形成されている。かかる二次電池は、上述したように、絶縁層245の縁に樹脂粒子が溶融した溶融部246が形成されているので、絶縁層245の縁から絶縁層245が剥がれ難く、安全性が高い。これに加えて、正極シート220と負極シート240との間に、別途セパレータを設けることによって、さらに安全性を向上させることができる。
≪絶縁層の他の形態≫
また、絶縁層245は、例えば、上述したように、樹脂粒子が積層されており、電池内部の温度が異常に高くなった際に、所定の温度で樹脂粒子が溶融し、負極活物質層243の表面に、電解液の流通を遮断する膜を形成する。これにより、電池内で反応を停止させることができる。絶縁層245は、負極シート240の両面にそれぞれ所定の厚さ(例えば、20μm〜40μm程度の厚さ)で形成するとよい。
このため、この実施形態では、絶縁層245は絶縁性を有する樹脂粒子を積層した多孔質の層である。かかる絶縁層245には、樹脂粒子以外にも、絶縁性を有する粒子が、絶縁層245のシャットダウン機能を妨げない程度に適当な量(例えば、50wt%以下、より適当には40wt%以下)が混ざっていてもよい。かかる絶縁層245に混ぜられる粒子としては、例えば、絶縁性を有する無機フィラーや、ゴムの粒子が挙げられる。
ここで、無機フィラーは、リチウムイオン二次電池の異常発熱に対して耐熱性があり、かつ電池の使用範囲内で電気化学的に安定していることが好ましい。かかる無機フィラーには、金属酸化物の粒子やその他の金属化合物の粒子が含まれる。かかる無機フィラーとしては、アルミナ(Al)、アルミナ水和物(例えばベーマイト(Al・HO))、ジルコニア(ZrO)、マグネシア(MgO)、水酸化アルミニウム(Al(OH))、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、炭酸マグネシウム(MgCO)、等の金属化合物が例示される。絶縁層245に含まれる無機フィラーには、このような無機フィラーを一種または二種以上添加してもよい。また、絶縁層245にゴムの粒子を添加する場合には、一種または二種以上のゴムの粒子を添加してもよい。
このうち、絶縁層245に絶縁性を有する無機フィラーが混ぜられている場合には、絶縁層245の耐熱性が向上する。この場合、無機フィラーの粒径は、例えば、約0.1μm〜6μm程度、より好ましくは約0.5μm〜4μm程度でもよい。このように絶縁性を有する無機フィラーが混ざっていることによって、電池内部の温度が異常に高くなって樹脂粒子が溶融した際でも、絶縁層245に含まれる無機フィラーが解けずに残留する。かかる無機フィラーによって、正極活物質層223と負極活物質層243とが直接接触するのを防止できる。絶縁層245の耐熱性を向上させることができる。かかる機能を奏するべく、絶縁性を有する無機フィラーは、例えば、5wt%以上、好ましくは10wt%以上、より好ましくは15wt%以上、絶縁層245に含まれているとよい。絶縁層245には無機フィラーのみを添加してもよいし、ゴムの粒子のみを添加してもよい。また、絶縁層245には無機フィラーとゴムの粒子とを両方添加してもよい。
また、図6に示す例では活物質層243(a)〜(c)は3列であり、負極シート240が幅方向に6本切り出すことができるが、図6に示す例は、一例でありこれには何ら限定されない。より単純には、図8に示すように、電極シート、2本分の幅を有する集電体10の幅方向の中央部に活物質層243を形成し、かかる活物質層243を覆うように、絶縁層245を形成してもよい。単純な形態として、例えば、得ようとする電極シート(負極シート240)、2本分の幅を有する集電体10の幅方向の中央部に活物質層243を形成し、かかる活物質層243を覆うように、絶縁層245を形成した形態でもよい。
≪他の電池形態≫
なお、上記はリチウムイオン二次電池の一例を示すものである。リチウムイオン二次電池は上記形態に限定されない。また、同様に金属箔に電極合剤が塗工された電極シートは、他にも種々の電池形態に用いられる。例えば、他の電池形態として、円筒型電池やラミネート型電池などが知られている。円筒型電池は、円筒型の電池ケースに捲回電極体を収容した電池である。また、ラミネート型電池は、正極シートと負極シートとをセパレータを介在させて積層した電池である。
また、上述した二次電池の製造方法および電極シートの切断装置は、上述したように、電極シートの活物質層を覆うように、樹脂粒子を積層した絶縁層を形成する場合に、かかる電極シートを切断する工程に広く適用できる。上述した実施形態では、電極シート10A(a)〜(c)は帯状のシートであるが、電極シートは帯状のシートでなくてもよい。例えば、ラミネート型の二次電池では、所定の形状の電極シートを複数枚用意する。この場合、電極シートのマザーシートは、必ずしも帯状でなくてもよい。
以上、本発明の一実施形態に係る二次電池、二次電池の製造方法、および、電極シートの切断装置を説明した。なお、本発明は、特に言及がない限りにおいて上述した何れの実施形態にも限定されない。
また、上述したように、二次電池の製造方法および電極シートの切断装置は、活物質層を覆うように、樹脂粒子を積層した絶縁層が形成されている場合に、かかる電極シートを切断する工程に広く適用できる。かかる二次電池の製造方法および電極シートの切断装置では、樹脂粒子の脱落によって異物が発生し難く、かつ、絶縁層が剥がれ難い。このため、活物質層を覆うように、樹脂粒子を積層した絶縁層が形成されている場合において、二次電池の信頼性向上に寄与する。このため、高出力と安定した性能が求められる、ハイブリッド車や電気自動車などの車両用の二次電池にも、特に好適に適用され得る。すなわち、本発明の一実施形態に係る二次電池は、例えば、図23に示すように、自動車などの車両1のモータ(電動機)を駆動させる電池1000(車両駆動用電池)として好適に利用され得る。車両駆動用電池1000は、複数の二次電池を組み合わせた組電池としてもよい。
10 集電体
10A 電極シート
20 ヒーター
20A レーザ
20B レーザ
30 カッター
36 冷却装置
37 金属ロール
38 冷却部
40 搬送装置
41、42 ガイドロール(バックロール)
62、64 位置調整機構
82、84 巻取り軸
100 リチウムイオン二次電池(二次電池)
110 集電体
110A 電極シート
110a、110b、110c、110d 電極シートの縁
112 未塗工部
114 活物質層
116 絶縁層
118 溶融部
120 タブ
200 捲回電極体
220 正極シート
221 正極集電体
222 未塗工部
223 正極活物質層
240 負極シート
241 負極集電体
242 未塗工部
243 活物質層
243 負極活物質層
245 絶縁層
246 溶融部
250 樹脂粒子
250a 樹脂粒子250が溶融した部分
250b 一部が溶融した樹脂
280 電解液
290 充電器
300 電池ケース
310 隙間
320 容器本体
322 蓋体340と容器本体320の合わせ目
340 蓋体
360 安全弁
400 捲回装置
410 巻取軸
412 レーザ
414 カッター
420 電極端子
440 電極端子
1000 車両駆動用電池(二次電池)
z1-z5 ライン(切断ライン)
z21-z24 ライン(切断ライン)
Sm 溶融工程
Sc 切断工程
Sf 冷却工程

Claims (10)

  1. 正極集電体と、
    前記正極集電体に保持され、少なくとも正極活物質が含まれた正極活物質層と、
    前記正極集電体に対向するように配置された負極集電体と、
    前記負極集電体に保持され、少なくとも負極活物質が含まれた負極活物質層と、
    絶縁性を有する樹脂粒子とバインダとを含み、前記樹脂粒子が空孔を伴って前記バインダで接着されているとともに、前記正極活物質層及び前記負極活物質層の少なくとも一方を覆うように前記正極活物質層及び前記負極活物質層の少なくとも一方の表面に結合して積層されてなる多孔質の絶縁層と、
    前記絶縁層の縁に形成され、前記絶縁層の前記樹脂粒子の溶融により前記空孔が消失した状態で固化されている溶融部と、
    を備えた、二次電池。
  2. 前記正極集電体は帯状であって、
    前記正極活物質層は、前記正極集電体の幅方向片側の縁部に沿って設定された未塗工部を除いた前記正極集電体の両面に配置されて、帯状の正極シートを構成しており、
    前記負極集電体は帯状であって、
    前記負極活物質層は、前記負極集電体の幅方向片側の縁部に沿って設定された未塗工部を除いた前記負極集電体の両面に配置されて、帯状の負極シートを構成しており、
    前記正極シートおよび前記負極シートは、前記絶縁層を介して重ねられ、かつ、前記幅方向に設定された捲回軸周りに捲回された捲回電極体を構成しており、
    前記溶融部は、前記絶縁層が積層された前記正極シートまたは前記負極シートの、前記幅方向で前記未塗工部が設定された側の縁には備えられておらず、前記未塗工部が設定されていない側の縁部に沿って備えられている、請求項1に記載された二次電池。
  3. 前記捲回電極体は、前記捲回軸に直交する一の方向において扁平である、請求項2に記載された二次電池。
  4. 前記絶縁層は、絶縁性を有する無機フィラーが含まれている、請求項1から3までの何れか一項に記載された二次電池。
  5. 前記絶縁層は、絶縁性を有するゴムの粒子が含まれている、請求項1から4までの何れか一項に記載された二次電池。
  6. 前記絶縁層の縁は切断痕を有する、請求項1から5までの何れか一項に記載された二次電池。
  7. 前記絶縁層は、前記負極活物質層の表面に結合されている、請求項1から6までの何れか一項に記載された二次電池。
  8. 前記負極活物質層は、前記正極活物質層よりも幅が広く、かつ、前記正極活物質層に対向させて配置されており、前記絶縁層が前記正極活物質層に対向する側において、前記負極活物質層に積層された、請求項1から7までの何れか一項に記載された二次電池。
  9. 前記負極活物質は、粒子状の炭素材料を含む、請求項1から8までの何れか一項に記載された二次電池。
  10. 前記絶縁層が前記無機フィラーおよび/または前記ゴム粒子を含む場合、
    前記樹脂粒子、前記フィラーおよび前記ゴム粒子の合計に占める前記樹脂粒子の割合は、60重量%以上である、請求項1から9までの何れか一項に記載された二次電池。
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