JP2011012364A - 内装用布地 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】布地に対して、親水性ポリエステル樹脂化合物と、含フッ素防汚性樹脂化合物(その樹脂構造内にパーフルオロアルキル基からなるフッ素成分とポリアルキレングリコールなどからなる親水性成分の相反する成分から構成された樹脂化合物)とを付着させることにより、防汚性を付与した布地を提供し、特に、本加工を施した布地では、含フッ素防汚性樹脂化合物が表面張力を下げることにより、黒ずみ汚れを含む各種の汚れが繊維に固着したり、内部拡散するのを防止し、比較的内部に拡散した油性汚れは親水性ポリエステル樹脂系化合物が布表面に浮きあがらせるため、水に濡らして軽く絞った程度のタオル等で繊維表面を拭うだけで、布地に付着した各種汚れの除去を可能にした。
【選択図】図2
Description
本発明の防汚加工において、親水性ポリエステル樹脂化合物及び含フッ素防汚性樹脂化合物の防汚性は次のようにして得られると考えられる。まず、含フッ素防汚性樹脂化合物とは、その樹脂構造内にパーフルオロアルキル基からなるフッ素成分とポリアルキレングリコールなどからなる親水性成分の相反する成分から構成される。このような含フッ素防汚性樹脂化合物と親水性ポリエステル樹脂化合物を布地に付着させた場合、最表面に含フッ素防汚性樹脂化合物のフッ素成分が繊維を覆う。これにより、水性汚れと油性汚れがはじかれ、繊維内部への汚れの拡散を防止する。繊維内部に拡散した汚れ成分に対しては、含フッ素防汚性樹脂化合物と繊維との間に存在する親水性ポリエステル樹脂化合物が、僅かな量の水を繊維内部へ引き込み、含フッ素防汚性樹脂化合物の親水性成分と相乗して油性汚れを表面へ押し出すことで汚れ除去が行われる。つまり、含フッ素防汚性樹脂化合物のフレキシブルな構造と親水性ポリエステル樹脂化合物の親水化が重要である。
ここに架橋剤が添加されると、各々又は相互の樹脂化合物間で架橋され、より高分子化が進む。また、繊維表面と各樹脂化合物との架橋で固定化が生じる。その結果、親水性ポリエステル樹脂化合物、含フッ素防汚性樹脂化合物のフレキシブル性が低下するため、汚れ成分を表面に浮き上がらせる効果が低下する恐れがある。また、親油(疎水)性の化合物である架橋剤は、油汚れへの親和性が高いため、汚れ付着の要因となる可能性がある。このように、防汚性樹脂に架橋剤を併用することで、樹脂に洗濯耐久性を付与できるが、架橋剤は防汚性を阻害する要因となる可能性がある。そこで、洗濯耐久性を要求されない内装用布地に対しては、架橋剤を実質的に併用しないことにより親水性ポリエステル樹脂化合物および含フッ素防汚性樹脂化合物それぞれの汚れ成分に対する特性を生かした、防汚性の内装用布地を得ることが可能となる。なお、本発明の防汚付与加工方法では架橋剤を実質的に用いないため、防汚性の洗濯耐久性は架橋剤を使用したときに比べて劣るが、本発明の防汚効果および汚れ除去効果に優れた内装用布地は、架橋剤に該当する成分を用いないことで得られるものであり、架橋剤を用いないことにより、良好な風合いを有する内装用布地を得ることができる。ここで、「架橋剤に該当する成分を用いない」とは、本発明の効果を損なわない範囲であれば、架橋剤に該当する成分を使用しても構わないという趣旨である。架橋剤の使用量は、親水性ポリエステル樹脂化合物と防汚性フッ素樹脂化合物の合計量の1質量%未満であることが好ましく、架橋剤を全く使用しないことがより好ましい。架橋剤に該当する成分を親水性ポリエステル樹脂化合物と防汚性フッ素樹脂化合物の合計量に対して1質量%以上使用した場合、親水性ポリエステル樹脂化合物と含フッ素防汚性樹脂化合物と布地との間での架橋化反応により、親水性ポリエステル樹脂化合物や含フッ素防汚性樹脂化合物のフレキシブル性が一部抑制されることになり、十分な防汚性を発現できないおそれがある。本発明の、親水性ポリエステル樹脂化合物と防汚性フッ素樹脂化合物の合計量に対して1質量%未満であれば使用できる架橋剤として、例えばメラミン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、グリオギザール系架橋剤、エポシキ系架橋剤、シランカップリング剤系架橋剤、オキザゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤などを挙げることができる。
[処理浴の準備]
本発明において、親水性ポリエステル樹脂化合物と含フッ素防汚性樹脂化合物を布地に付与する方法に特に制限はなく、親水性ポリエステル樹脂化合物と含フッ素防汚性樹脂化合物とを含有する水溶液を布地に付与する一浴処理方法や、親水性ポリエステル樹脂化合物を含む水溶液を布地に付与後、含フッ素防汚性樹脂化合物を含む水溶液を布地に付与する二段処理方法が挙げられ、一浴処理法、二段処理法のいずれであっても、布地表面に親水性ポリエステル樹脂化合物が付着し、最表面を含フッ素防汚性樹脂化合物が覆う傾向にある。
[処理浴の準備]
本発明の親水性ポリエステル系樹脂化合物の布地への付着量は、布地に対して0.04〜7.92g/m2 であり、0.08〜0.75g/m2 であることがより好ましい。付着量が0.04g/m2 未満では油性汚れ除去性の効果が十分でなく、7.92g/m2 を超える量を付着しても、効果は上がらず、むしろ各種堅牢度低下が生じるため好ましくない。なお、ここでの付着量は、親水性ポリエステル樹脂化合物としての付着量であるため、濃度換算して処理液を調整する。処理液濃度に制限はなく、ピックアップ率に応じて適宜調整することができる。
前記含フッ素防汚性樹脂化合物の布地への好ましい付着量は、布地に対して0.02〜12.67g/m2 であり、0.03〜0.30g/m2 であることがより好ましい。なお、ここでも付着量は、含フッ素防汚性樹脂化合物としての付着量であるため、濃度換算して処理液を調整する。処理液濃度に制限はなく、ピックアップ率に応じて適宜調整することができる。付着量が0.02g/m2 未満では水性汚れの防汚性と油性汚れ除去性の効果が十分でなく、12.67g/m2 を超える量を付着しても、効果は上がらず、むしろ風合い粗硬、変色や各種堅牢度低下が生じるため好ましくない。
本発明においては、合成繊維からなる布地に、親水性ポリエステル樹脂化合物の付着量が0.08〜0.75g/m2 であり、かつ、含フッ素防汚性樹脂化合物の付着量が0.03〜0.30g/m2 のとき、特に優れた防汚効果を発現することができる。
また、本発明の合成繊維からなる内装用布地の製造の際、繊維と親水性ポリエステル樹脂化合物の親和性及び含フッ素防汚性樹脂化合物間の親和性を阻害しない範囲において、難燃剤、乾式防汚加工剤、帯電防止剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤などの通常内装材に用いられる加工薬剤を併用することもできる。
なお、市販の親水性ポリエステル樹脂化合物、含フッ素防汚性樹脂化合物、その他前記併用可能な各種薬剤は、一般に水溶液の状態で提供され、水以外の成分として、界面活性剤、有機溶剤を含有する場合がある。ここで空気中のカーボンはアニオンに帯電したような挙動を示す。そのためカチオン系界面活性剤はカーボンを引き寄せる傾向にある。又、低HLB非イオン界面活性剤は油性汚れ成分を吸着する傾向にある。本発明の防汚性を確保するためには、界面活性剤を含有しない薬剤、または、界面活性剤がアニオン系界面活性剤または高HLB非イオン界面活性剤である薬剤を用いるのが好ましい。
[処理液の布地への付与]
前記親水性ポリエステル系樹脂化合物と含フッ素系撥水撥油性樹脂化合物とを含む処理液を内装用布地に付与する方法としては、特に制限されず、従来行われている方法を適宜用いることができる。例えば、パッド法、浸漬法、スプレー(噴霧)法、泡加工法、コーティング法などにより布地に付与し、その後乾燥させることが可能である。また、乾燥の後、必要に応じてキュアリング(熱処理)工程を組み込んでもよい。乾燥方法については従来より用いられている方法を制限なく用いることができ、乾熱法でも湿熱法のいずれでもよい。このような乾燥工程の際の温度も特に制限されないが、80〜140°C程度が好ましい。また、必要に応じて実施されるキュアリング(熱処理)工程の際の温度も特に制限されないが、140°C〜200°C程度が好ましい。
本発明に用いることができる親水性ポリエステル樹脂化合物を含有する製品は、油性汚れ除去性の観点から、親水性が高く特にアニオン性親水基を有することが好ましい。アニオン性親水基を有する親水性ポリエステル樹脂化合物を含有する製品として、日華化学(株)のナイスポールPR−99、PRK−60を挙げることができる。
本発明に用いることができる含フッ素防汚性樹脂化合物を含有する製品は、フッ素系撥水撥油性基を含有するとともに、親水性ポリエステル樹脂化合物との親和性が必要である観点から、親水性基を有することが好ましい。フッ素系撥水撥油性基と親水性基を有する含フッ素防汚性樹脂化合物として、日華化学(株)製のNKガードSR−200、SR−108を挙げることができる。
[合成例1]
含フッ素防汚性樹脂化合物A
四ッ口フラスコに、C6F13CH2CH2COOCH=CH2を20g、CH2=C(CH3)COO(CH2CH2O)9CH3を10g、CH2=C(CH3)COO(CH2CH(CH3)O)12Hを6g、CH2=C(CH3)COO(CH2CH(OH)CH2OHを4g、イソプロピルアルコール60gを入れ、窒素にて系内を充分に置換した後、アソビスイソプチロニトリル0.1gを添加し、70°Cにて10時間攪拌反応させた。反応終了後、40°C以下に冷却し、イソプロピルアルコール40gとイオン交換水60gを加え攪拌した。得られた重合体は、20.0質量%の固形分であった。また、共重合体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、10,000(スチレン換算)であった。又、この含フッ素防汚性樹脂化合物A中のパーフルオロオクタン酸(PFOA)の濃度を高速液体クロマトグラフィー質量分析にて測定した結果、定量限界濃度(10ppb)未満であった。
なお、実施例3に、含フッ素防汚性樹脂化合物としてNKガードSR−200の代りに合成例1で合成したパーフルオロオクタン酸(PFOA)フリーの含フッ素防汚性樹脂化合物Aを用いて防汚加工処理布を得ることもある。パーフルオロオクタン酸(PFOA)フリーの含フッ素防汚性樹脂化合物Aを配合できる。このパーフルオロオクタン酸(PFOA)は、フッ素系モノマーの製造過程で生成するおそれのある不純物であり、環境への有害性が問題視されているため、製造メーカーなどで自主的な廃止を進めている物質である。
Claims (3)
- 布地に、親水性ポリエステル樹脂化合物と、含フッ素防汚性樹脂化合物とを、付着させたことを特徴とする内装用布地。
- 前記親水性ポリエステル樹脂化合物の付着量が0.04〜7.92g/m2 、含フッ素防汚性樹脂化合物の付着量が0.02〜12.67g/m2 であることを特徴とする請求項1に記載の内装用布地。
- 前記布地が、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維のいずれかの繊維か、又はこれらの交織もしくは混紡であることを特徴とする請求項1又は2に記載の内装用布地。
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