JP2008274492A - 車両内装用布帛およびカーシート用表皮材 - Google Patents

車両内装用布帛およびカーシート用表皮材 Download PDF

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Abstract

【課題】制電性に優れたポリエステル系繊維布帛を提供する。
【解決手段】親水性化合物を繊維表面で重合させたポリエステル系繊維布帛であって、該布帛の表面にアニオン系化合物を付与することによりなる。
【選択図】なし

Description

本発明は車両内装用布帛およびカーシート用表皮材に関する。
ポリエステル系繊維布帛は、強度が強い、染色性に優れている、シワになり難く取扱いが容易であるなどの利点があり衣服、カーシート(自動車用座席)用表皮材をはじめ様々な用途に使用されている。
しかしながら、制電性が悪く、埃が付きやすい、まとわりつく、衣服を脱ぐときにパチパチするなどの欠点がある。特に、カーシート用表皮材等として使用された場合には、搭乗者が自動車から降車の際に、ドアなどの金属部分に触れようとすると静電気が一度に放出され、搭乗者に電気ショックを与えることがあった。このような現象は、特に、低温低湿度の環境となる冬場に多く発生している。
加えて、近年の自動車は様々な電子機器が組み込まれており、誤作動防止の観点からも人体帯電圧の軽減が望まれている。
従来、静電気の帯電の対策として、ポリエステル系繊維はマイナスに帯電しやすいということ、および比較的低温低湿度下でも静電気の発生を抑える効果があることから、カチオン系の帯電防止剤が、ポリエステル系繊維布帛には用いられている。
また、カーボン粒子などを添加した導電性繊維の導電性を利用し、ポリエステル系繊維と導電性繊維を併用した車両内装材が知られている(特許文献1)。
さらに、除電性を付与するものとして、導電性繊維を含む布帛に炭素繊維を添加した導電性を有するパッキング層を積層したものも知られている(特許文献2)。
特開平6−114981号公報 実開昭57−129483号公報
カチオン系帯電防止剤を用いたものは、帯電性試験方法として一般的に知られている摩擦帯電圧(20℃、40%RH)にて測定した値では、優れた制電性を有している。しかしながら、自動車への搭乗中の静電気を想定した人体帯電圧、特に、様々な繊維素材に対する人体帯電圧に関しては、十分な制電性を発揮できなかった。
また、制電性に優れる親水性モノマーを繊維布帛の表面でグラフト重合させることにより得られた制電性ポリエステル繊維布帛についても検討をおこない、親水性モノマーを用いた制電性ポリエステル繊維布帛にカチオン系帯電防止剤を付与したものの検討を行った。しかしながら、ポリエステル、綿、毛製の布帛の全てに対し、同時に優れた制電性を発揮することができなかった。
加えて、導電性繊維や導電性材料を添加したバッキング層を有するものをカーシート用表皮材として用いた場合に、黒くくすみ外観品位が低下する、あるいは風合が硬化し、手触り感や座り心地の低下を起こすといった問題を有していた。さらに、これらのものを用いると製造コストが高くなり、経済面での不都合が生じる。
そこで、本発明では、制電性に優れる車両内装用布帛、ならびに該布帛を含むカーシート用表皮材を提案する。
本発明の車両内装用布帛は、親水性化合物を繊維表面で重合させたポリエステル系繊維布帛であって、該布帛の表面にアニオン系化合物が付着していることを特徴とする。前記親水性化合物は、ポリオキシアルキレン基を有し、重合可能な2重結合を2個以上有する化合物であることが好ましく、前記アニオン系化合物がリン酸エステル系化合物であることがさらに好ましい。また、前記車両内装用布帛はパイル布帛とすることができる。
本発明のカーシート用表皮材は前記車両内装用布帛を含んでいることを特徴とする。
本発明によれば、ポリエステル、綿及び毛繊維の衣服を着用した人に対する人体帯電圧を、静電気による電気ショック発生を抑える目安である3000V以下に抑え、電気ショックを回避するに十分な制電性を発揮する前記車両内装用布帛を提供することができる。特に、カーシート用表皮、カーシートカバー等の車両内装用布帛へ好適に用いることができ、自動車に搭載された様々な電子機器への影響の軽減も期待できる。さらに、導電性繊維や導電性材料を添加する必要がないため、黒くくすむ等の品位低下を抑えて優れた外観品位を可能とし、併せて経済面での優位性も見出せる。
以下に本発明の実施態様について説明するが、本発明は以下の態様に限定されるものではない。
本発明の車両内装用布帛は、ポリエステル系繊維布帛の繊維表面に親水性化合物を重合させてあり、更に布帛表面にアニオン系化合物が付着されたものである。
ここで、本発明の前記ポリエステル系繊維布帛とは、ジカルボン酸成分と、ジグリコール成分とから製造されるものであり、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジグリコール成分としてエチレングリコールを用いて得られるポリエステル系繊維(以下、レギュラーPET)やジグリコール成分として、トリメチレングリコールやテトラメチレングリコールなどのアルキレングリコールをもちいたものなどをポリエステル系繊維として用いることができる。また、カチオン染料を用いて染色できるカチオン可染ポリエステル繊維も用いることができる。
また、前記親水性化合物は、重合(単一化合物の重合のみならず共重合も含む)が可能な化合物であればよい。しかし、風合、制電性などの観点より、ポリオキシアルキレン基を含み、重合可能な2重結合を2個以上有する化合物であることが好ましい。より具体的には、下記一般式(1)で示される2官能性単量体が一例として挙げられる。
Figure 2008274492
(但し、式(1)中、Rは下記(2)、(3)、(4)、(5)のうちのいずれかを表す。Zは水素原子またはメチル基を表す。aおよびbはa+bが0〜50の範囲にある正の整数を表し、xおよびyはx+yが0〜30の範囲にある0または正の整数を表す。また、a+b+x+yは8以上である。)
Figure 2008274492
Figure 2008274492
Figure 2008274492
Figure 2008274492
(ここで、nは1〜6の整数を示す。)
上記一般式(1)で示される2官能性単量体の具体例としては、下記一般式(6)〜(9)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2008274492
Figure 2008274492
Figure 2008274492
Figure 2008274492
また、上記の親水性化合物に加え、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン基、リン酸基からなる群からより選ばれる少なくとも1種の基を有する単量体を含め重合してもよい。その具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸、マレイン酸、イタコン酸、クルトン酸、ビニルスルホン酸、2−アリロキシ2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、下記一般式(10)〜(12)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2008274492
(ただし、式(10)中、cおよびdは、c+dが5以上となる0または正の整数を示す。)
Figure 2008274492
(ただし、式(11)中、eは5以上の整数を示す。)
Figure 2008274492
また、上記の親水性化合物に加え少なくとも1個のアジリジン基、カルボジイミド基、オキサゾリン基を有する化合物を含め重合させたものが、耐久性の観点より好ましい。より好ましくは、2個以上のアジリジン基、カルボジイミド基、オキサゾリン基を有する化合物を含むとよい。具体的には、日本触媒(株)製ケミタイトPZ−33(アジリジン基3個)、日清紡(株)製V−02−L2(カルボジイミド当量:385)、日本触媒(株)製エポクロスWS−500(オキサゾリン価:220)等が挙げられる。
ポリエステル系繊維の表面で重合された親水性化合物の付着量は、0.1g/m未満また3g/mを超えると、様々な繊維素材に対しバランス良く制電性を発揮できない可能性がある。従って、0.1〜3g/mが好ましい。さらに多くの繊維素材に対する制電性の観点からは0.2〜0.9g/mがより好ましい。
さらに、上記の親水性化合物に、フッ素系化合物を併用し、フッ素系化合物をも共重合させ、ポリエステル系繊維布帛に撥水性を付与したものであってもよい。
本発明の車両内装用布帛に付着させる前記アニオン系化合物としては、スルホン酸型、硫酸エステル型、リン酸エステル型の化合物を挙げることができるが、特にリン酸エステル型の化合物が好ましい。リン酸エステル型化合物としては、リン酸エステル系帯電防止剤として市販されているものが好ましく用いることができ、例えばエレカットN(北広ケミカル(株)製)、サンスタット249(三洋化成工業(株)製)、デスタットFN−100(共栄社化学(株)製)パーマクスPM−503(吉村油化学(株)製)等が挙げられる。
本発明の前記アニオン系化合物の付着量は、0.05質量%未満では、十分な制電性を発揮できないおそれがあり、付着量が1質量%を超えると、きわつきの発生、防炎性の低下、スリップ(織物の糸同士が滑ってずれる現象)等が発生する可能性がある。このため、アニオン系化合物の付着量は0.05〜1質量%が好ましい。さらに、様々な繊維素材に対する制電性の観点からは0.1〜0.5質量%がより好ましい。
本発明の車両内装用布帛は、前記のポリエステル系繊維布帛に加え、ナイロン、ポリウレタン、アクリル、アセテート、レーヨン、綿、絹、毛、麻等の他の繊維との混繊、混紡、交織、交編されていてもよい。
本発明の車両内装用布帛の形態は特に限定されず、織物、編物、不織布等を用いることができるが、特にカーシート用表皮材として用いることができるものが好ましい。織物としての具体例としては、平織、斜文織、朱子織等の三原組織、変化組織、変化斜文織等の変化組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、たてビロード、タオル、ベロア等のたてパイル織、別珍、よこビロード、ベルベット、コール天等のよこパイル織等を挙げることができる。
編物の具体例としては、経編、緯編(丸編、横編)いずれであってもよく、経編としては、シングルデンビー編、シングルアトラス編、ダブルコード編、トリコット編、裏毛編、ジャガード編等を挙げることができる。また、緯編としては、平編、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、片畔編、レース編、添え毛編等を挙げることができる。本発明では、車両用内装材として好んで使用されるパイル織、パイル編などのパイルを有するパイル布帛であっても優れた制電性を発揮することができ、これらのパイルは、ループを維持したものやループをカットしたカットパイルであってもよい。
また、ポリエステル系繊維布帛は、減量、染色、捺染、抗菌、制菌、消臭、難燃、吸水加工、防汚、撥水加工、起毛等が施されていてもよい。
本発明の車両内装用布帛は、ポリエステル、綿及び毛繊維のいずれの衣服を着用した人に対しても、人体帯電圧を抑えることで車両降車時等の電気ショックを回避することができる。人体帯電圧の具体的な測定は、次の手順にて行う。10℃、30%RH(相対湿度)の環境下で、カーシートの上に本発明の車両内装用布帛を載置し、ポリエステル、綿、毛繊維のいずれかの衣服を着用した被験者が車両内装用布帛の上に着座し、腰を左右に動かし、シートと人体の摩擦運動を10回繰り返す。該摩擦運動を10回繰り返した後に被験者は立ち上がる。立ち上がった際に、被験者に対して市販の人体電位計を用いて測定した結果を人体帯電圧とする。試験は前記の3種の繊維の衣服についてそれぞれ実施し、いずれの衣服を着用した場合においても、被験者の人体帯電圧が3000V以下であることが好ましい。
本発明の車両内装用布帛は、必要に応じ、本発明の車両内装用布帛にバッキング層を付与してもよく、バッキング層は、導電性を有していてもよい。また、該布帛はその用途に合わせた難燃性を有していると好ましく、難燃性試験FMVSS302項に準じて試験をおこない、自消性もしくは遅燃性(燃焼速度が100mm/min以下)であることが好ましい。
以上説明したとおり、本発明の車両内装用布帛は制電性に優れ、特に自動車用座席であるカーシート用表皮材、カーシートカバーに好適に用いることができる。
次に本発明の車両内装用布帛の製造方法について、例示して説明をおこなう。
車両内装用布帛の製造はポリエステル系繊維表面への親水性化合物の重合を行い、ついで該ポリエステル系繊維布帛にアニオン系化合物を付着させることによって行う。
前記親水性化合物をポリエステル系繊維表面で重合させる方法としては、乾熱処理、スチーム処理、浴中吸尽処理、コールドバッチ処理、マイクロ波処理、紫外線処理、電子線処理また、乾熱処理後スチーム処理を行う等、もしくはこれらを組み合わせた処理方法を用いることができる。これらの方法の中でも、スチーム処理が重合効率および処理の安定性の観点から好ましく用いられる。スチーム処理は、親水性化合物を含む処理液をパディング法等でポリエステル系繊維布帛に付与し、(必要に応じ乾熱処理した後、)常圧スチーム、加熱スチーム、高圧スチーム処理をおこなう。スチーム処理は、いずれの方法であってもよいが、コスト面からは常圧スチーム、加熱スチームが好ましい。スチーム処理の温度は、好ましくは80〜180℃、さらに好ましくは100〜150℃がよく、スチーム時間は1〜120分程度がよい。
親水性化合物を含む処理液は、ポリエステル系繊維表面で重合させる前記の親水性化合物に加え、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素などの無機系重合開始剤や2,2’−アゾビス(2−アミディノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチラミディン)ジハイドロクロライド、2−(カルバモイラゾ)イソブチロニトリル等の有機系重合開始剤をもちいることができる。また、他の重合開始剤として、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチルニトリル等の水不溶性重合開始剤をアニオン系、ノニオン系等の界面活性剤などで乳化させて用いてもよい。さらに、重合効率を高めるために、重合開始剤としての過酸化物と還元性物質を併用するいわゆるレドックス系重合開始剤を用いてもよい。
さらに、親水性化合物を含む水溶液には、フッ素系等の撥水剤、浸透剤、抗菌剤、吸湿剤、吸熱剤、発熱剤、消臭剤、浸透剤等を添加することもできる。溶媒は特に限定されるものではなく、水やアルコール類等を使用することができるが、主として水を用いることが好ましい。
前記処理液で処理を行う前に、必要に応じ、精練・リラックス処理、減量処理、染色処理、捺染処理、難燃処理、吸水処理、防汚処理、抗菌処理、起毛(針布起毛、バフ、シャーリング等含む)処理等をおこなってもよい。重合処理後は、必要に応じ、湯洗い等のソーピングを行うとよい。
次に、前記ポリエステル系繊維布帛の表面に、前記アニオン系化合物を付着させる。
アニオン系化合物をポリエステル系繊維布帛の表面に付着する方法としては、アニオン系化合物を含む処理液を用い、パディング法、スプレー法、浴中吸尽法等の方法が挙げられるが、品質の安定性、生産性の観点からパディング法が好ましい。パディング法によりアニオン系化合物を含む処理液をポリエステル系繊維布帛の表面に付付着した後、80〜130℃程度にて乾燥をおこなう。アニオン系化合物を含む処理液には、アニオン系化合物の他に、起毛剤、撥水剤、浸透剤などを添加してもよい。
アニオン系化合物を含む処理液にて処理した後、必要に応じ、起毛(針布起毛、バフ、シャーリング等含む)処理や130〜200℃程度にて仕上セットをおこなってもよい。
本発明の車両内装用布帛は、親水性化合物を繊維表面で重合させ、かつアニオン系化合物を付着させることで、様々な繊維素材に対してバランス良く制電性を発揮することが可能となる。そして、本発明の車両内装用布帛の有する制電性により、ポリエステル製、毛製、綿製の布帛との摩擦において、人体帯電圧を3000V以下に抑えることができる。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、実施例に限定されるものではない。
物性値については、以下の方法にて測定をおこなった。
(1)人体帯電圧:10℃、30%RH(相対湿度)の環境下で、カーシートに載置した試験布の上に、衣服を着用した人が着座後、腰を左右に動かし、シートと人体の摩擦運動を10回繰り返した後、立ち上がり、立ち上がった際の人体帯電圧を市販の人体電位計を用いて測定した。衣服は、毛(羊毛)製、綿製、ポリエステル製の3種類を準備し、それぞれ試験をおこなった。
(2)難燃試験:FMVSS302項に準じて試験をおこなった。
(実施例1)
ポリエステル系繊維布帛として、ポリエステル系繊維(84デシテックス/72フィラメントのレギュラーポリエステル)を用いトリコットを編成し、精練後、染色(分散染料:Sumikaron Yellow S−ERPD、住化ケムテックス(株)製)同時難燃加工(リン酸エステル系難燃剤)されたトリコット(コース75/2.54cm、ウエール74/2.54cm)を用いた。
次に、親水性化合物を含む下記処理液をパディング法により、上記トリコットに付与した。トリコットに対する処理液のピックアップは60%であった。
(処理液)
親水性化合物(前記一般式(6)の化合物) 1.0質量%
カルボジイミド基を有する化合物(カルボジイミド当量:385) 0.1質量%
過硫酸アンモニウム 0.1質量%
水 98.8質量%
引続き105℃の常圧スチーマーの中で10分間処理をおこない、親水性化合物をポリエステル繊維表面で重合させた。次に、湯洗いをおこない、120℃にて乾燥をおこなった。親水性化合物の付着量は0.6質量%であった。
次に、下記のアニオン系化合物を含む処理液をパディング法により、上記トリコットに付与し(ピックアップ65%)、120℃にて乾燥をおこなった。アニオン系化合物の付着量は、0.24質量%であった。160℃にて30秒間仕上セットをおこないカーシート用表皮材に用いる車両内装用布帛を得た。
(処理液)
アニオン系化合物(リン酸エステル系帯電防止剤:固形分40質量%) 1.0質量%
水 99.0質量%
起毛処理の有無の影響を見るために、アニオン系化合物を含む処理液をパディング法にて付与、乾燥した後、起毛処理をおこなった起毛品1(ループパイル)、起毛品2(カットパイル)、また、起毛処理を行わない無起毛品を作成し、これらの人体帯電圧及び難燃性能を表1に記した。
なお、起毛品1、起毛品2に関しては、起毛加工前にシリコーン系起毛剤を付与した。
(実施例2)
前記親水性化合物を含む処理液の親水性化合物の量を1.5質量%とした以外は実施例1と同様にカーシート用表皮材に用いる車両内装用布帛を得た。人体帯電圧及び難燃性能を表1に記した。
(実施例3)
前記アニオン系化合物を含む処理液に含まれるリン酸エステル系帯電防止剤に変えて、アニオン系化合物のアルキルスルホン酸塩型帯電防止剤:デリオンA−016(有効成分:40%、北広ケミカル株式会社製)用いた以外は実施例1と同様にし、カーシート用表皮材に用いる車両内装用布帛を得た。人体帯電圧及び難燃性能を表1に記した。
(実施例4)
ポリエステル系繊維布帛として、ポリエステル系繊維(84デシテックス/72フィラメントのレギュラーポリエステル)を用い経パイル織物(モケット)を作成した(カットパイル)。その後、染色(分散染料:Sumikaron Yellow S−ERPD、住化ケムテックス(株)製)同時防炎加工(リン酸エステル系防炎剤)をおこなった。
次に、親水性化合物を含む下記処理液をパディング法により、経パイル織物に付与した。モケットに対する処理液のピックアップは、65%であった。
(処理液)
親水性化合物(前記一般式(7)の化合物) 1.0質量%
2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸 0.1質量%
アジリジン基を有する化合物(アジリジン基3個) 0.1質量%
過硫酸アンモニウム 0.1質量%
水 98.7質量%
引続き105℃の常圧スチーマーの中で10分間処理をおこない、親水性化合物をポリエステル系繊維表面で重合させた。次に、湯洗いをおこない、120℃にて乾燥をおこなった。親水性化合物の付着量は0.6重量%であった。
次に、下記のアニオン系化合物を含む処理液をパディング法により、上記経パイル織物に付与し(ピックアップ65%)、120℃にて乾燥をおこない、次に、160℃にて30秒間仕上セットをおこないカーシート用表皮材を得た。
(処理液)
アニオン系化合物(リン酸エステル系帯電防止剤:固形分40質量%) 1.0質量%
水 99.0質量%
(比較例1)
親水性化合物を含む処理液での処理を行わず、加えてアニオン系化合物を含む処理液での処理も行わなかった以外は、実施例1と同様に加工しカーシート用表皮材に用いる車両内装用布帛を得た。人体帯電圧及び難燃性能を表1に記した。
(比較例2)
アニオン系化合物を含む処理液での処理を行わなかった以外は、実施例1と同様の処理を行い、カーシート用表皮材に用いる車両内装用布帛を得た。人体帯電圧及び難燃性能を表1に記した。
(比較例3)
アニオン系化合物を含む処理液での処理を行わず、親水性化合物の添加量を4質量%とした以外は、実施例1と同様の処理を行い、カーシート用表皮材に用いる車両内装用布帛を得た。人体帯電圧及び難燃性能を表1に記した。
(比較例4)
親水性化合物を含む処理液での処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にし、カーシート用表皮材に用いる車両内装用布帛得た。人体帯電圧及び難燃性能を表1に記した。
(比較例5)
アニオン系化合物を含む処理液に含まれるリン酸エステル系帯電防止剤に変えて、カチオン系帯電防止剤:TA305(有効成分:21質量%、北広ケミカル株式会社製)2質量%を用いた以外は実施例1と同様にし、カーシート用表皮材に用いる車両内装用布帛を得た(カットパイル)。人体帯電圧及び難燃性能を表1に記した。
(比較例6)
アニオン系化合物を含む処理液に含まれるリン酸エステル系帯電防止剤に変えて、ノニオン系帯電防止剤:ナイスポールFE26(有効成分:21質量%、日華化学株式会社製)2質量%を用いた以外は実施例1と同様にし、カーシート用表皮材に用いる車両内装用布帛を得た(カットパイル)。人体帯電圧及び難燃性能を表1に記した。
(比較例7)
アニオン系化合物を含む処理液に含まれるリン酸エステル系帯電防止剤に変えて、両性系帯電防止剤:TA300(有効成分:20質量%、北広ケミカル株式会社製)2質量%を用いた以外は実施例1と同様にし、カーシート用表皮材に用いる車両内装用布帛を得た(カットパイル)。人体帯電圧及び難燃性能を表1に記した。
Figure 2008274492
表1の結果に示すとおり、本発明の実施例1〜4の機能性繊維布帛をカーシート用表皮材として用いた場合、ポリエステル製、毛製、綿製衣服のいずれとの摩擦においても人体帯電圧が3000V以下であり、処理を施してない比較例1に比べて制電性が大きく向上していることが分かった。加えて、実施例1と実施例3の比較から、付与するアニオン系化合物はリン酸エステル系化合物であることで、制電性が向上することも分かった。
一方、親水性化合物のみを重合させた比較例2においては、毛製、綿製衣服との摩擦試験において3000Vを超える人体帯電圧となり、実施例に比較し制電性が劣ることが分かった。ここで、親水性化合物の付与量を増加させた場合には、綿製衣服との摩擦試験において人体帯電圧が低くなるものの、ポリエステル製衣服との摩擦試験では人体帯電圧が上昇する結果となり、ポリエステル製衣服との摩擦における制電性が低下していることが分かった。
また、比較例3のように、ポリエステル系繊維布帛にアニオン系化合物のみを付与した場合には、毛製衣服との摩擦試験において3000Vを超える人体帯電圧となり、実施例に比べ制電性が劣ることが分かった。
さらに、アニオン系化合物に代わってカチオン、ノニオン、両性化合物をポリエステル系繊維布帛に付与した比較例4〜6においては、3種の衣服の内いずれかとの摩擦試験において人体帯電圧が3000Vを超え、実施例に比べ制電性が劣ることが分かった。
布帛の形態についても、実施例1〜4の結果の通り、起毛がなくともループあるいはカットいずれのパイルであっても、3種の衣服との摩擦試験において人体帯電圧は3000V以下であり、十分な制電性を示すことがわかった。

Claims (5)

  1. 親水性化合物を繊維表面で重合させたポリエステル系繊維布帛であって、該布帛の表面にアニオン系化合物を付着させた車両内装用布帛。
  2. 前記親水性化合物が、ポリオキシアルキレン基を有し、重合可能な2重結合を2個以上有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の車両内装用布帛。
  3. 前記アニオン系化合物が、リン酸エステル系化合物であること特徴とする請求項1または2に記載の車両内装用布帛。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の、形態がパイル布帛を形成する車両内装用布帛。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両内装用布帛を含むカーシート用表皮材。
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