JP2011011466A - インクジェット記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 互いに圧接した2本のローラー間に支持体を通過させて、該支持体の少なくとも一方の表面に無機微粒子とバインダーとを含有するインク受容層用塗工液を塗工し、該支持体の少なくとも一方の表面にインク受容層を形成する工程を有するインクジェット記録媒体の製造方法であって、該バインダーはアミノ基を有する重量平均分子量100万以上の水溶性樹脂を含有し、該塗工液中の無機微粒子の含有量をA質量部、アミノ基を有する重量平均分子量100万以上の水溶性樹脂の含有量をB質量部としたときに、30≦(B/A)×100≦100となることを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
【選択図】 図1
Description
本発明に用いられる支持体の原料としては、例えば、木綿パルプ、麻パルプ、三椏パルプ、楮パルプ、ワラパルプ、竹パルプ、バガスパルプ、葦パルプ、木材パルプ、および故紙パルプなどの各種パルプが挙げられる。この原料に、炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリンなどの各種填料、澱粉、PVAなどのバインダー、サイズ剤、定着剤、歩留り剤、紙力増強剤などを好適に配合し、紙料とする。この紙料を酸性、中性、アルカリ性の何れの状態とし、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの各種抄紙機により抄紙することによって支持体とする。支持体には、表面性や密度を得るために各種カレンダー処理を施してもよい。
インク受容層は、支持体の少なくとも一方の表面にインク受容層用塗工液を塗工することで形成する。インク受容層用塗工液は、少なくとも無機微粒子とバインダーとを含有する。
無機微粒子としては、例えば非晶質シリカ、アルミナ、アルミナシリカ複合ゾル、炭酸カルシウム、カオリン、クレー等が挙げられる。これらの無機微粒子は、1種類又は複数種を混合して使用できる。インク吸収性の観点から、非晶質シリカを用いることが好ましい。非晶質シリカとしては、乾式法シリカ、気相法シリカ、ゾル法シリカ(コロイダルシリカ)、沈降法やゲル法に属する湿式法シリカ等が挙げられる。特に、低コストな材料で本発明の効果を良好に発現可能であるという点で、湿式法シリカが好ましい。非晶質シリカとしては、平均二次粒子径が1μm以上のものが好ましい。また、15μm以下のものが好ましく、7μm以下のものがより好ましい。平均二次粒子径が1μm未満であると、染料インクによる印字を行った場合、染料インクの吸収性が低下することがある。また、光透過性がより高くなるので、染料インクによる印字部の耐光性が低下することがある。さらに、塗膜強度が低下することもある。或いは、顔料インクによる印字を行った場合は、顔料インクの定着性が低下することがある。一方、シリカの平均二次粒子径が15μmを超えると、印字した場合、印字濃度低下に伴う画像鮮明性の低下や、表面の粗さが目立ち、印字ムラが生じやすいといった課題が生じることがある。尚、本発明における平均二次粒子径とは、コールターカウンター法で測定した体積平均粒子径のことである。非晶質シリカのJIS K−5101に準ずる吸油量は、染料インクおよび顔料インクで記録した際の発色性が優れるため、90ml/100g以上であることが好ましく、210ml/100g以上であることがより好ましい。また、320ml/100g以下であることが好ましく、280ml/100g以下であることがより好ましい。非晶質シリカの吸油量が90ml/100gより少ないと、インク吸収量が不足し、にじみが発生しやすい。また、非晶質シリカの吸油量が320ml/100gより多くなると、印字濃度が低下しやすい。
本発明のバインダーは、アミノ基を有する重量平均分子量100万以上の水溶性樹脂を含有する。重量平均分子量が100万より小さくなると、インク受容層の塗膜強度が低下するだけではなく、剥離ムラが発生してしまう。剥離ムラが発生する原因は、塗工液の塗工ローラーに対する離型性が劣化するためと考えられる。さらには、塗工液中でバインダーと無機微粒子との親和性が小さくなり、バインダー成分のみが支持体に浸透塗工され、無機微粒子成分は塗工されにくいことが考えられる。また、塗工液と支持体との親和性が小さくなり塗工液の付着性が劣化することが考えられる。重量平均分子量は1000万以下が好ましい。重量平均分子量が1000万を超えると、塗工液が塗工ローラーから非常に離型しづらくなる。尚、本発明における重量平均分子量は、光散乱法を用いることによって求めることができる。具体的には、多角度光散乱計等を用いてZimmプロット等を作成し、濃度0、測定角度0に外挿することによって求めることができる。
+)−NH2>−OH>−COOH>−OCH2>−C6H5>−OC2H5>−OCOCH3>−COOCH3>−Cl>−NO2(−
サイズプレス機に用いられるローラーの表面は一般には無極性的であるゴム材質から成っており、極性を持つ水溶性樹脂等とは静電気的な相互作用等が働きにくい。従って、ローラーに対して高い離型性が得られると考えられる。尚、−NO2等の負の極性を持ちやすい性質を持つ官能基を有する水溶性樹脂も高い離型性が得られると考えられるが、正の極性を持つ官能基を有する水溶性樹脂を用いる方が好ましい。これは、インクジェットプリンターで用いられるインクが一般的にアニオン性の性質を持つため、インク受容層でのインクの定着が良好であるためである。
インク受容層には、上記成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、pH調整剤、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、蛍光染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、防腐剤、インク定着剤、浸透剤を使用してもよい。インク定着剤とは、主に酸性染料インクの画像にじみの防止、画像耐水性の向上を目的として使用される添加剤である。具体的にはポリアリルアミン、或いはその塩酸塩、ポリアミンスルホン或いは塩酸塩、ポリビニルアミン或いはその塩酸塩、キトサン或いはその酢酸塩等を挙げることができるが、勿論これらに限定されるものではない。インク定着剤の添加量は、無機微粒子100質量部に対して5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。また、60質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましい。インク定着剤が5質量部未満であると、インクの画像にじみが起こりやすくなり、60質量部を超えると、インク吸収性の低下、印字ムラ、画像の鮮明性の低下が起こりやすくなる。
支持体に塗工するインク受容層用塗工液中の無機微粒子の含有量をA質量部、アミノ基を有する重量平均分子量100万以上の水溶性樹脂の含有量をB質量部とすると、
30≦(B/A)×100≦100
となる必要がある。(B/A)×100が30より小さくなると、インク受容層の塗膜強度低下が見られ、インクジェット記録媒体表面が擦過されることで無機微粒子の粉落ちが発生することがある。また、(B/A)×100が100より大きくなると、インク吸収容量・吸収スピードが低下し、得られる記録媒体が良好な印画画像が得られないことがある。
インク受容層は、互いに圧接した2本のローラー間に支持体を通過させて該支持体の少なくとも一方の表面に無機微粒子とバインダーとを含有するインク受容層用塗工液を塗工するサイズプレス方式により設ける。サイズプレス方式としては、ゲートロール式、ロッドメタリング式、シムサイザー式、トランスファーロール式等が挙げられる。
まず、純水中に、顔料として湿式シリカA(トクヤマ社製、商品名:ファインシールF80、二次粒子径1.8μm、吸油量240cm3/100g)を130部添加した。次に、バインダーとしてバインダーAを70部、インク定着剤として、バインダー以外の樹脂であるポリアリルアミン塩酸塩樹脂(日東紡社製、商品名PAA−H−HCl)20部を順に添加して混合攪拌した。この後、上記混合溶液をイオン交換水で希釈して、固形分14質量%のインク受容層用塗工液を得た。支持体として坪量80g/m2の中性パルプ原紙を用い、この支持体上に、サイズプレス装置を用いて上記塗工液を乾燥塗工量が3g/m2になるように塗工・乾燥した。これにより、支持体と1層のインク受容層からなるインクジェット記録媒体1を得た。
実施例1において、バインダーAをバインダーBに変更した以外は実施例1と同じ方法でインクジェット記録媒体2を作製した。
実施例1において、バインダーAをバインダーCに変更した以外は実施例1と同じ方法でインクジェット記録媒体3を作製した。
実施例1において、バインダーAの添加量を39部とした以外は実施例1と同じ方法でインクジェット記録媒体4を作製した。
実施例1において、バインダーAの添加量を130部とした以外は実施例1と同じ方法でインクジェット記録媒体5を作製した。
実施例1において、バインダーAをバインダーBに変更し、バインダーの添加量を39部にした以外は実施例1と同じ方法でインクジェット記録媒体6を作製した。
実施例1において、バインダーAをバインダーBに変更し、バインダーの添加量を130部にした以外は実施例1と同じ方法でインクジェット記録媒体7を作製した。
実施例1において、湿式シリカAを湿式シリカB(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−37、二次粒子径2.6μm、吸油量250cm3/100g)に変更した。これ以外は実施例1と同じ方法でインクジェット記録媒体8を作製した。
実施例1において、湿式シリカAを湿式シリカC(グレースデビソン社製、商品名:SYLOBLOC E300、二次粒子径3.4μm、吸油量280cm3/100g)に変更した。これ以外は実施例1と同じ方法でインクジェット記録媒体9を作製した。
実施例1において、湿式シリカAを湿式シリカD(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−60、二次粒子径6.2μm、吸油量240cm3/100g)に変更した。これ以外は実施例1と同じ方法でインクジェット記録媒体10を作製した。
実施例1において、ポリアリルアミン塩酸塩樹脂の添加量を50部とした以外は実施例1と同じ方法でインクジェット記録媒体11を作製した。
実施例1において、ポリアリルアミン塩酸塩樹脂を添加しなかった以外は実施例1と同じ方法でインクジェット記録媒体12を作製した。
実施例1において、バインダーAを49部とし、さらにバインダーFを21部添加した以外は実施例1と同じ方法でインクジェット記録媒体13を作製した。
実施例1において、バインダーAをバインダーDに変更した以外は実施例1と同じ方法でインクジェット記録媒体14を作製した。
実施例1において、バインダーAをバインダーEに変更した以外は実施例1と同じ方法でインクジェット記録媒体15を作製した。
実施例1において、バインダーAをバインダーFに変更した以外は実施例1と同じ方法でインクジェット記録媒体16を作製した。
実施例1において、バインダーAをバインダーGに変更した以外は実施例1と同じ方法でインクジェット記録媒体17を作製した。
実施例1において、バインダーAの添加量を5部に変更した以外は実施例1と同じ方法でインクジェット記録媒体18を作製した。
実施例1において、バインダーAの添加量を200部に変更した以外は実施例1と同じ方法でインクジェット記録媒体19を作製した。
インクジェット記録装置としてimagePROGRAF 500(キヤノン製)を用いた。該インクジェット記録装置により、各インクジェット記録媒体に染料シアンインク(PFI−102 C)で100%打込み量(1200×2400dpi)の画像を印画した。得られた画像の剥離ムラを、目視により以下の基準に従って評価した。
A 剥離ムラは確認できない。
B 僅かに剥離ムラが生じている。
C 剥離ムラがかなり生じている。
インクジェット記録装置としてimagePROGRAF 500(キヤノン製)を用いた。該インクジェット記録装置により、各インクジェット記録媒体にグリーンの100%打込み量(1200×2400dpi)で100%打込み量(1200×2400dpi)の画像を印画した。得られた画像のビーディングを、目視により以下の基準に従って評価した。
A ビーティングは確認できない、または僅かである。
B ビーティングがやや生じている。
C ビーティングがかなり生じている。
Claims (4)
- 互いに圧接した2本のローラー間に支持体を通過させて、該支持体の少なくとも一方の表面に無機微粒子とバインダーとを含有するインク受容層用塗工液を塗工し、該支持体の少なくとも一方の表面にインク受容層を形成する工程を有するインクジェット記録媒体の製造方法であって、
該バインダーはアミノ基を有する重量平均分子量100万以上の水溶性樹脂を含有し、
該インク受容層用塗工液中の無機微粒子の含有量をA質量部、アミノ基を有する重量平均分子量100万以上の水溶性樹脂の含有量をB質量部としたときに、
30≦(B/A)×100≦100
となることを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。 - 該アミノ基を有する重量平均分子量100万以上の水溶性樹脂が両イオン性ポリアクリルアミド系樹脂であるインクジェット記録媒体の製造方法。
- 該無機微粒子が非晶質シリカである請求項1または2に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
- 該インク受容層用塗工液がインク定着剤を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
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