JP5489558B2 - インクジェット記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はインクジェット記録媒体の製造方法に関する。
天然パルプ基材(普通紙)の表面にシリカ等の無機微粒子を相当量含有するインク受容層を形成すると、インク吸収性が良好で、高いインクジェット適性を有するインクジェット記録媒体を得ることが知られている。インク受容層の形成方法として、サイズプレス方式がある。サイズプレス方式とは、互いに圧接した2本のローラー間、所謂サイズプレス機に天然パルプ基材などの支持体を通過させ、天然パルプ基材の表面に塗工液を塗工する方法である。
サイズプレス機のローラー間において無機微粒子およびバインダーを含有させた塗工液を塗工すると、以下のような課題が生じることがある。即ち、支持体がローラーから剥離する際に、塗工液の付着ムラが発生して、支持体への無機微粒子の均質な付着が得られにくいという課題である。この結果、得られる記録媒体の表面に、ローラーパターン、オレンジピールパターン、スプリットパターンなどと呼ばれるムラ(剥離パターン)が発生してしまう可能性がある。
このような剥離パターンの問題を解決するために、塗工液の粘度をコントロールする方法(特許文献1参照)や、塗工液に特定のエマルジョンを添加する方法(特許文献2参照)が提案されている。
特開2005−96434号公報 特開2005−290579号公報
しかしながら、特許文献1および2の方法では、製造の際における剥離ムラの発現を抑制し、インク吸収性に優れたインクジェット記録媒体を製造することは困難である。
そこで本発明は、製造の際における剥離ムラの発現を抑制し、インク吸収性に優れたインクジェット記録媒体を製造することを目的とする。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。
即ち本発明は、互いに圧接した2本のローラー間に支持体を通過させて、該支持体の少なくとも一方の表面に無機微粒子とバインダーとを含有するインク受容層用塗工液を塗工し、該支持体の少なくとも一方の表面にインク受容層を形成する工程を有するインクジェット記録媒体の製造方法であって、該塗工液は、バインダーとしてポリアクリルアミド系樹脂を含有し、該塗工液は、せん断速度6000(1/s)で測定されるハイシェア粘度が100mPa・s以上、300mPa・s以下であり、式(1)で表される、該塗工液とこれに接するローラーとの付着エネルギーEが11mJ/m以下であることを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法である。
式(1):付着エネルギーE=(M・G・sinα)/2πr
[式(1)中、αは、塗工液に接するローラーと同じ材料で形成した板状体を、該塗工液の液滴を載せた状態で水平面に対して平行状態から傾けたときに、該液滴の滑落方向に対して最後端が滑落する、板状体の水平面に対する最小の角度である。Mは液滴の質量(g)である。Gは重力加速度(9.8m/s)である。rは液滴の着液半径(m)である。]
本発明によれば、剥離ムラの発現を抑制し、インク吸収性に優れたインクジェット記録媒体を提供可能である。
本発明のインクジェット記録媒体の一例を示す図である。 本発明の付着エネルギーの測定方法を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
図1は、本発明で製造されるインクジェット記録媒体の一例を示す概略断面図である。支持体1の面上には、無機微粒子3と、バインダーとを含有するインク受容層2が形成されている。
<支持体>
本発明に用いられる支持体の原料としては、例えば、木綿パルプ、麻パルプ、三椏パルプ、楮パルプ、ワラパルプ、竹パルプ、バガスパルプ、葦パルプ、木材パルプ、および故紙パルプなどの各種パルプが挙げられる。この原料に、炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリンなどの各種填料、澱粉、PVAなどのバインダー、サイズ剤、定着剤、歩留り剤、紙力増強剤などを好適に配合し、紙料とする。この紙料を酸性、中性、アルカリ性の何れの状態とし、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの各種抄紙機により抄紙することによって支持体とする。支持体には、表面性や密度を得るために各種カレンダー処理を施してもよい。
<インク受容層>
インク受容層は、互いに圧接した2本のローラー間に支持体を通過させて、該支持体の少なくとも一方の表面に無機微粒子とバインダーとを含有するインク受容層用塗工液を塗工することで形成する。この時、インク受容層用塗工液の物性を以下のように制御することで、インク受容層の剥離ムラの発生を抑制している。
<インク受容層用塗工液の物性>
本発明の塗工液は、無機微粒子とバインダーとを含有し、さらにその物性が、下記<1>および<2>を満たすものである。
<1>せん断速度6000(1/s)で測定されるハイシェア粘度が100mPa・s以上、300mPa・s以下。
<2>下記式(1)で表される、インク受容層用塗工液の付着エネルギーEが11mJ/m以下。
式(1): 付着エネルギーE=(M・G・sinα)/2πr
[式(1)中、αは、塗工液に接するローラーと同じ材料で形成した板状体を、該塗工液の液滴を載せた状態で水平面に対して平行状態から傾けたときに、該液滴の滑落方向に対して最後端が滑落する、板状体の水平面に対する最小の角度である。Mは液滴の質量(g)である。Gは重力加速度(9.8m/s)である。rは液滴の着液半径(m)である。]
以下、これらの物性を詳細に説明する。
<1>ハイシェア粘度
ハイシェア粘度は、液体に高いせん断応力を与えた時の粘度である。例えば、レオメーター等の測定装置で測定することができる。サイズプレス方式は、互いに圧接した2本のローラー間に支持体を通過させて該支持体の少なくとも一方の表面に塗工液を塗工する方式である。従って、塗工液には、塗工時に高いせん断応力が発生する。この高いせん断応力がかかった状態での塗工液の粘度特性が、インク受容層表面に発生する剥離ムラに影響を与える。
本発明のインク受容層用塗工液は、せん断速度6000(1/s)で測定されるハイシェア粘度が100mPa・s以上、300mPa・s以下である。該ハイシェア粘度は、120mPa・s以上が好ましく、160mPa・s以上がより好ましい。また、280mPa・s以下が好ましく、260mPa・s以下がより好ましい。ハイシェア粘度が100mPa・s未満だと、塗工液中においてバインダーと無機微粒子との分離が生じて溶解性成分のみがパルプ基材に浸透塗工され、無機微粒子成分は塗工されないといった状態が生じる可能性がある。また、塗工液内の相互作用が弱くなり、ローラーから剥離する際に、塗工液中において液の分断が生じ易くなる。ハイシェア粘度が300mPa・sより大きいと、塗工液の流動性が低くなる。
<2>付着エネルギー
本発明では、ローラーと塗工液との式(1)で表される付着エネルギーEを11mJ/m以下としている。付着エネルギーを図2を用いて説明する。式(1)中の「液滴の滑落方向に対して最後端が滑落する、板状体の水平面に対する最小の角度」とは、図1に示されるように、板状体を水平面に対して角度が次第に大きくなるよう傾けたときに、液滴の滑落方向に対して最後端が、板状体における初期の位置から残液を残すことなく移動し始める最初の角度αである。この液滴が滑落する最小の角度αが小さいほど、即ち液滴の最後端が板状体から剥離しやすいほど、付着エネルギーが小さくなる。
一方、液滴の滑落方向に対して最先端点が、初期の位置から移動し始める最初の角度を用いて付着エネルギーを算出すると以下のような課題がある。例えば、ローラーと親和性の高い塗工液の場合、液滴が滑落する最小の角度αは小さくなる。この結果、付着エネルギーは低く算出されるが、塗工液はローラー表面と親和性が高い為に、サイズプレスを行うとローラー表面に残る。この結果、形成されるインク受容層表面に剥離ムラが生じる。従って、この算出方法で導き出した付着エネルギーは、発生する剥離ムラと正確な相関性は無い。
インク受容層用塗工液のバインダーとして、ポリビニルアルコール、デンプン、ポリビニルピロリドン、各種合成ポリマー等を主成分とした塗工液は、本発明で規定する上記付着エネルギーは極めて高い。この結果、サイズプレス方式において、形成されるインク受容層表面に剥離ムラが生じることがある。
式(1)で表される付着エネルギーは、9mJ/m以下がより好ましく、7mJ/m以下がさらに好ましい。また、3mJ/m以上が好ましい。3mJ/m未満になると、ローラーからの離型性が非常に高くなる。従って、塗工の前段階でローラーからローラーへ塗工液を転写する行程を有するサイズプレス方式では、ローラー上で塗工液のはじきが発生し、良好な塗工液の転写が行なわれない場合がある。
以上のように、本発明の塗工液は、<1>および<2>を満たすことで、塗工液に含有される無機微粒子の基材に対する転写性が良好となり、インク受容層の剥離ムラの発生を抑制することができる。即ち、ハイシェア粘度を制御することで、ローラーからの塗工液の離型のしやすさを適正なものとし、さらに付着エネルギーを制御することで、ローラーから塗工液が離型する際の形状をコントロールしている。本発明では、塗工液のハイシェア粘度と付着エネルギーの制御が相乗的に作用することにより、支持体に転写する際に発生しうる剥離ムラの発生を抑制している。
以下、このような物性を満足させるためのインク受容層用塗工液の構成を説明する。インク受容層用塗工液は、少なくとも無機微粒子とバインダーとを含有する。
無機微粒子としては、例えば非晶質シリカ、アルミナ、アルミナシリカ複合ゾル、炭酸カルシウム、カオリン、クレー等が挙げられる。これらの無機微粒子は、1種類又は複数種を混合して使用できる。インク吸収性の観点から、非晶質シリカを用いることが好ましい。非晶質シリカとしては、乾式法シリカ、気相法シリカ、ゾル法シリカ(コロイダルシリカ)、沈降法やゲル法に属する湿式法シリカ等が挙げられる。特に、低コストな材料で本発明の効果を良好に発現可能であるという点で、湿式法シリカが好ましい。非晶質シリカとしては、平均二次粒子径が1μm以上のものが好ましい。また、15μm以下のものが好ましく、7μm以下のものがより好ましい。平均二次粒子径が1μm未満であると、染料インクによる印字を行った場合、染料インクの吸収性が低下することがある。また、光透過性がより高くなるので、染料インクによる印字部の耐光性が低下することがある。さらに、塗膜強度が低下することもある。或いは、顔料インクによる印字を行った場合は、顔料インクの定着性が低下することがある。一方、シリカの平均二次粒子径が15μmを超えると、印字した場合、印字濃度低下に伴う画像鮮明性の低下や、表面の粗さが目立ち、印字ムラが生じやすいといった課題が生じることがある。非晶質シリカのJIS K−5101に準ずる吸油量は、染料インクおよび顔料インクで記録した際の発色性が優れるため、90ml/100g以上であることが好ましく、210ml/100g以上であることがより好ましい。また、320ml/100g以下であることが好ましく、280ml/100g以下であることがより好ましい。非晶質シリカの吸油量が90ml/100gより少ないと、インク吸収量が不足し、にじみが発生しやすい。また、非晶質シリカの吸油量が320ml/100gより多くなると、印字濃度が低下しやすい。
上記の非晶質シリカは公知の方法で製造することができる。以下に製造方法の一例を示す。まず、NaSOを含有する珪酸ソーダ水溶液(液温20〜40℃)に、硫酸を添加して中和(中和率30〜70%)する。この後、上記水溶液を昇温(70〜100℃)、熟成(5〜90分)し、pHが2〜4になるまで硫酸を加えて反応を終了させ、乾燥して水などの溶媒を除去する。このようにして無定形の非晶質シリカ微粉末を得た後、濾過、水洗、乾燥後、更に所定の粒径になるまで粉砕、分級を行う。
上記非晶質シリカの製造方法において、反応温度、硫酸の中和率、添加時間、SiO濃度、NaSO濃度、粉砕、分級の条件等を適宜、調整してもよい。これらによって、1次粒子間の細孔径分布・細孔容積量、平均2次粒子径を所望の値とすることができる。
ここで、普通紙風合いのインクジェット記録媒体を得るためには、無機微粒子を含有したインク受容層を極めて薄く形成する必要がある。従って、インク受容層中の、無機微粒子の含有量を、固形分質量で0.2g/m以上することが好ましく、0.5g/m以上とすることがより好ましく、0.7g/m以上とすることがさらに好ましい。また、2.0g/m以下とすることが好ましく、1.5g/m以下とすることがより好ましく、1.0g/m以下とすることがさらに好ましい。2.0g/mよりも多いと、所謂マットコート紙と同様の風合いに近づく。0.2g/m未満であると、インクジェット記録媒体の表面を隙間なく無機微粒子で覆うことができず、高発色性、特に染料インクの発色性を得ることが困難となる。尚、本発明における無機微粒子の固形分質量とは、片面のインク受容層中の無機微粒子の固形分質量である。即ち、支持体の一方の面上にのみインク受容層を有する場合、このインク受容層中の無機微粒子の固形分質量が0.2g/m以上2.0g/m以下であることが好ましい。また、記録媒体が支持体の両方の面上にインク受容層を有する場合、各インク受容層中の無機微粒子の固形分質量が0.2g/m以上2.0g/m以下であることが好ましい。
また、普通紙風合いのインクジェット記録媒体は、インク受容層中の無機微粒子として、平均2次粒子径が1.0μm以上4.0μm以下の無機微粒子を使用することが好ましい。また、1.2μm以上がより好ましく、1.4μm以上がさらに好ましい。3.0μm以下がより好ましく、2.0μm以下がさらに好ましい。4.0μmを超える大きな無機微粒子を使用した場合、所望量の無機微粒子をインク受容層に含有させると、インク受容層の厚みが大きくなる。この結果、マットコート紙と同様の風合いに近づく。平均2次粒子径が1.0μm未満の小さな無機微粒子を使用した場合には、インクジェット記録媒体の表面に光沢性が発現したり、インク吸収性が低下するなど、所望の特性が得られない場合がある。尚、本発明における無機微粒子の平均二次粒子径とは、コールターカウンター法で測定した体積平均粒子径のことである。
本発明のバインダーは、特に限定されないが、ポリアクリルアミド系樹脂を有していることが好ましい。ポリアクリルアミド系樹脂としては、ポリアクリルアミド単独で重合されたノニオン性樹脂、ポリアクリルアミド骨格にカチオン基をもつ化合物を共重合したカチオン性樹脂、ポリアクリルアミド骨格にアニオン基をもつ化合物を共重合したアニオン性樹脂、ポリアクリルアミド骨格にカチオン基をもつ化合物とアニオン基をもつ化合物を共重合した両性樹脂のいずれでもよい。ポリアクリルアミド系樹脂は、直鎖構造でも分岐構造でも良い。また、ポリアクリルアミド系樹脂の分子量を100万以上とすることで、剥離ムラの発現を抑制することができる。分子量は1000万以下が好ましい。分子量が1000万を超えると、塗工液が塗工ローラーから非常に離型しづらくなる。ポリアクリルアミド系樹脂は、1種類のみであっても、複数種を混合してもよい。尚、良好な離型性を発現させるためには、バインダー中の、ポリアクリルアミド系樹脂は、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
バインダーとしては、他に、例えばポリビニルアルコール及びその変性物、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール、ポリアクリロニトリル、酢酸ビニル、デンプン(酸化デンプン、エーテル化デンプン、カチオン化SBデンプン等)、NBラテックス、エチレン酢酸ビニル系ラテックス、ポリウレタン、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂等、アリルアミン系樹脂、エチレンイミン系樹脂、エチレンオキサイド系樹脂(ポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体等)、セルロース誘導体系樹脂(カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース等)、グアーガム、キトサン、ゼラチン、キサンタンガム、ペクチン、カゼインが挙げられる。またアクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、エチレン酢ビ系、スチレンブタジエン系等の共重合体及びこれらの変性品等が挙げられる。これらのバインダーは、1種類のみであっても、複数種を混合してもよい。さらに、公知の架橋剤を使用してもよい。
インク受容層には、上記成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、pH調整剤、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、蛍光染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、防腐剤、インク定着剤、浸透剤を使用してもよい。中でも、インク定着剤がインクの画像滲みを抑制する点で好ましい。インク定着剤とは、主に酸性染料インクの画像にじみの防止、画像耐水性の向上を目的として使用される添加剤である。具体的にはポリアリルアミン、或いはその塩酸塩、ポリアミンスルホン或いは塩酸塩、ポリビニルアミン或いはその塩酸塩、キトサン或いはその酢酸塩等を挙げることができるが、勿論これらに限定されるものではない。インク定着剤の添加量は、無機微粒子100質量部に対して5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。また、60質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましい。インク定着剤が5質量部未満であると、インクの画像にじみが起こりやすくなり、60質量部を超えると、インク吸収性の低下、印字ムラ、画像の鮮明性の低下が起こりやすくなる。
バインダーがポリアクリルアミド系樹脂を有する場合、支持体に塗工する塗工液中の無機微粒子の含有量をA質量部、ポリアクリルアミド系樹脂の含有量をB質量部とすると、
30≦(B/A)×100≦100
とすることが好ましい。(B/A)×100が30より小さくなると、インク受容層の塗膜強度低下が見られ、インクジェット記録媒体表面が擦過されることで無機微粒子の粉落ちが発生することがある。また、(B/A)×100が100より大きくなると、インク吸収容量・吸収スピードが低下し、得られる記録媒体が良好な印画画像が得られないことがある。
<インク受容層用塗工液の塗工方法>
インク受容層は、互いに圧接した2本のローラー間に支持体を通過させて、該支持体の少なくとも一方の表面に無機微粒子とバインダーとを含有するインク受容層用塗工液を塗工する、サイズプレス方式により設ける。サイズプレス方式としては、例えばゲートロール式、ロッドメタリング式、シムサイザー式、トランスファーロール式等が挙げられる。
サイズプレス方式は、オンラインでもオフラインで行ってもよい。オンラインとは支持体の製造機上に設置されて支持体の製造と同じラインで塗工するものである。オフラインとは、支持体の製造機とは別に設置され、製造された支持体を一旦巻き取り、別ラインのコーターで塗工液を塗工するものである。尚、生産効率上、オンラインの方が好ましい。インク受容層は、支持体の一方の面に設けても両面に設けてもよい。
塗工後は、表面平滑性及び塗膜強度を向上させるために、必要に応じて、カレンダー工程(スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等)を行ってもよい。
本発明のインク受容層用塗工液は、表面張力が45mN/m以上であると好ましく、55mN/m以上であるとより好ましく、65mN/m以上であるとさらに好ましい。また、水の表面張力である72.75mN/m以下であることが好ましい。表面張力が45mN/m以上であることにより、ローラー表面との親和性が低くなり、ローラーからの離型性が良好となる。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、実施例中の部及び%は、特に断らない限り、水を除いた固形分であり、それぞれ質量部及び質量%を示す。
各実施例及び各比較例で使用する塗工液のバインダーの特徴を表1に示す。
表1の各バインダーを用いて、下記実施例1〜5、比較例1〜12に示す方法でインクジェット記録媒体を製造した。
(実施例1)
非晶質シリカ粉末(平均2次粒子径1.6μm、吸油量240cm/100g)をイオン交換水中に攪拌しながら混合して固形分濃度15wt%の非晶質シリカ分散液を得た。この非晶質シリカ分散液と、バインダーAを含有する水溶液と、バインダー以外の樹脂であるカチオン性樹脂(ポリアリルアミン塩酸塩;インク定着剤)の20%水溶液とを、乾燥重量比を以下のようにして混合攪拌した。
シリカ 100部
バインダー 54部
カチオン性樹脂 20部
この後、上記混合液をイオン交換水で希釈して、固形分14%の塗工液を得た。この塗工液を、坪量80g/mの中性パルプ原紙である支持体上に、サイズプレス装置を用いて塗工し、乾燥させた。これにより、支持体と1層のインク受容層からなるインクジェット記録媒体を得た。
(実施例2)
混合液の乾燥重量比を以下のようにした以外は、実施例1と同様の製造方法でインクジェット記録媒体を得た。
シリカ 100部
バインダー 54部
カチオン性樹脂 40部
(実施例3)
バインダーAの代わりにバインダーBを使用した以外は、実施例1と同様の製造方法でインクジェット記録媒体を得た。
(実施例4)
バインダーAの代わりにバインダーCを使用し、塗工液の固形分を18%とした以外は、実施例1と同様の製造方法でインクジェット記録媒体を得た。
(実施例5)
フッ素系界面活性剤をシリカ100部に対して0.5部加えた以外は、実施例1と同様の製造方法でインクジェット記録媒体を得た。
(比較例1)
塗工液の固形分を10%とした以外は、実施例1と同様の製造方法でインクジェット記録媒体を得た。
(比較例2)
塗工液の固形分を18%とした以外は、実施例1と同様の製造方法でインクジェット記録媒体を得た。
(比較例3)
バインダーAの代わりにバインダーDを使用した以外は、実施例1と同様の製造方法でインクジェット記録媒体を得た。
(比較例4)
フッ素系界面活性剤をシリカ100部に対して1.5部加えた以外は、実施例1と同様の製造方法でインクジェット記録媒体を得た。
(比較例5)
フッ素系界面活性剤をシリカ100部に対して3.0部加えた以外は、実施例1と同様の製造方法でインクジェット記録媒体を得た。
(比較例6)
バインダーAの代わりにバインダーEを使用した以外は、実施例1と同様の製造方法でインクジェット記録媒体を得た。
(比較例7)
バインダーAの代わりにバインダーFを使用した以外は、実施例1と同様の製造方法でインクジェット記録媒体を得た。
(比較例8)
塗工液の固形分を12%とした以外は、比較例6と同様の製造方法でインクジェット記録媒体を得た。
(比較例9)
塗工液の固形分を11%とした以外は、比較例6と同様の製造方法でインクジェット記録媒体を得た。
(比較例10)
バインダーAの代わりにバインダーGを使用した以外は、実施例1と同様の製造方法でインクジェット記録媒体を得た。
(比較例11)
バインダーAの代わりにバインダーHを使用した以外は、実施例1と同様の製造方法でインクジェット記録媒体を得た。
(比較例12)
バインダーAの代わりにバインダーIを使用した以外は、実施例1と同様の製造方法でインクジェット記録媒体を得た。
以上の各実施例及び各比較例における、せん断速度6000(1/s)で測定される塗工液のハイシェア粘度、ローラーと塗工液との付着エネルギー、塗工液の表面張力を表2に示す。尚、塗工液のハイシェア粘度は、RHEOMETER(AR1000、TAInstruments社製)を用い、せん断速度6000(1/s)時の粘度(mPa・s)を測定した。ローラーと塗工液との付着エネルギーは、固液界面解析装置(協和界面科学社製)を用いて測定し、下記式(1)にて算出した。尚、各実施例及び比較例で用いたサイズプレス装置のローラー表面にはNBRゴム(ブタジエンとアクリロニトリルの共重合体からなるゴム)を使用した。従って、付着エネルギーは、ローラーと同材質のNBRゴム板を板状体として使用し、測定・算出した。
式(1): 付着エネルギーE(mJ/m)=(M・G・sinα)/2πr
[式(1)中、αは、塗工液に接するローラーと同じ材料で形成した板状体を、該塗工液の液滴を載せた状態で水平面に対して平行状態から傾けたときに、該液滴の滑落方向に対して最後端が滑落する、板状体の水平面に対する最小の角度である。Mは液滴の質量(g)である。Gは重力加速度(9.8m/s)である。rは液滴の着液半径(m)である。]
塗工液の表面張力は、自動表面張力計(CBVP−Z:協和界面科学社製)を用い、白金プレートを使用した吊環法にて測定した。
<剥離ムラ評価>
インクジェット記録装置としてimagePROGRAF 500(キヤノン製)を用いた。該インクジェット記録装置により、各インクジェット記録媒体に染料シアンインク(PFI−102 C)で100%打込み量(1200×2400dpi)の画像を印画した。得られた画像の剥離ムラを、目視により以下の基準に従って評価した。
A 剥離ムラは確認できない。
B 剥離ムラが僅かに生じている。
C 剥離ムラが生じている。
D 剥離ムラがかなり生じている。
<無機微粒子の転写量評価>
塗工液を転写した後の支持体の重量を測定した。測定された重量と、塗工液に含まれる無機微粒子の含有割合から、支持体に転写した無機微粒子の乾燥重量を算出し、以下の基準で評価した。
A 支持体に転写した無機微粒子の乾燥重量が1g/m以上。
B 支持体に転写した無機微粒子の乾燥重量が1g/mより少ない。
上記剥離ムラ及び無機微粒子の転写量の評価結果を表3に示す。
表2及び3に示すように、実施例1〜5においては、剥離ムラの発生が抑制され、無機微粒子の転写量も良好であった。
しかし、塗工液のハイシェア粘度が100mPa・s未満である比較例1、3、6、9、10や、300mPa・sを超える比較例2、4、5、7、8、12、ローラーと塗工液との付着エネルギーが11mJ/mを超える比較例4〜12は、剥離ムラが発生、或いは無機微粒子の転写量が十分でなかった。

Claims (4)

  1. 互いに圧接した2本のローラー間に支持体を通過させて、該支持体の少なくとも一方の表面に無機微粒子とバインダーとを含有するインク受容層用塗工液を塗工し、該支持体の少なくとも一方の表面にインク受容層を形成する工程を有するインクジェット記録媒体の製造方法であって、
    該塗工液は、バインダーとしてポリアクリルアミド系樹脂を含有し、
    該塗工液は、せん断速度6000(1/s)で測定されるハイシェア粘度が100mPa・s以上、300mPa・s以下であり、
    下記式(1)で表される、該塗工液の付着エネルギーEが11mJ/m以下であることを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
    式(1): 付着エネルギーE=(M・G・sinα)/2πr
    [式(1)中、αは、塗工液に接するローラーと同じ材料で形成した板状体を、該塗工液の液滴を載せた状態で水平面に対して平行状態から傾けたときに、該液滴の滑落方向に対して最後端が滑落する、板状体の水平面に対する最小の角度である。Mは液滴の質量(g)である。Gは重力加速度(9.8m/s)である。rは液滴の着液半径(m)である。]
  2. 前記塗工液の表面張力が45mN/m以上、72.75mN/m以下である請求項1に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  3. 前記無機微粒子が、非晶質シリカであることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  4. 前記塗工液の付着エネルギーEが3mJ/m以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
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