JP2011009119A - 色素増感型太陽電池に使用される電極 - Google Patents

色素増感型太陽電池に使用される電極 Download PDF

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Abstract

【課題】逆電子防止性に優れていると共に、電解質に対する耐性にも優れ、経時的に低下せずに安定して高い変換効率を示すような多孔質光電変換層を有する色素増感型太陽電池用の電極を提供する。
【解決手段】色素増感型太陽電池に使用される電極であって、電極基板と該電極基板上に設けられた多孔質光電変換層とからなり、該多孔質光電変換層は、二酸化チタンの結晶粒子を含む多孔質酸化チタン層と、該多孔質酸化チタン層に対して電極基板側に形成される複合酸化物チタン層とから形成されており、該複合酸化物チタン層には、前記二酸化チタンの結晶粒子の一部が食い込んでいることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、色素増感型太陽電池に使用される電極に関するものであり、より詳細には、電極基板と該電極基板上に設けられた多孔質光電変換層とからなる電極に関する。
現在、地球規模の環境問題や化石エネルギー資源枯渇問題などの観点から太陽光発電に対する期待が大きく、単結晶及び多結晶シリコン光電変換素子が太陽電池として実用化されている。しかし、この種の太陽電池は、高価格であること、シリコン原料の供給問題などを有しており、シリコン以外の材料を用いた太陽電池の実用化が望まれている。
上記のような見地から、最近では、シリコン以外の材料を用いた太陽電池として、色素増感型太陽電池が注目されている。この色素増感型太陽電池の代表的なものとして、ガラス基板や透明プラスチック基板の表面にITO等の透明導電膜を設けた透明電極基板と、金属電極基板とが、色素で増感された多孔質光電変換層(半導体多孔質層)と電解質層とを間に挟んで対峙した構造を有しており、金属電極基板と透明電極基板との周縁部分は、電解質層が漏洩しないように、封止材で封止されている。即ち、多孔質光電変換層と電解質層とを間に挟んで金属電極基板と透明電極基板とが対峙している領域が発電領域となっており、封止材で封止されている領域が発電とは無関係の封止領域となっている。この多孔質光電変換層は、一般に透明電極基板上に設けられているが、金属電極基板上に設けることもできる(特許文献1参照)。
上記のような構造の色素増感型太陽電池では、透明電極基板側から可視光を照射すると、色素増感多孔質層中の色素が励起され、基底状態から励起状態へと遷移し、励起された色素の電子は、この半導体多孔質層中の伝導帯へ注入され、この半導体多孔質層が形成されている透明電極基板或いは金属電極基板から外部回路を通って、対極である金属電極基板或いは透明電極基板に移動する。対極の電極基板に移動した電子は、電解質層中のイオンによって運ばれ、色素に戻る。このような過程の繰り返しにより電気エネルギーが取り出されるわけである。このような色素増感太陽電池の発電メカニズムは、pn接合型光電変換素子と異なり、光の捕捉と電子伝導が別々の場所で行われ、植物の光電変換プロセスに非常に似たものとなっている。
上記のような構造の色素増感型太陽電池において、特に多孔質光電変換層を金属基板上に設けた場合には、色素を担持している多孔質光電変換層が直接低抵抗の金属基板上に形成されるため、変換効率の低下を回避することができ、またセルを大型化した場合の内部抵抗(曲率因子、Fill Factor;FF)の増大を抑制することができるという利点がある。
しかしながら、多孔質光電変換層を金属基板上に設けて透明電極基板側からの光照射により発電を行うときには、多孔質光電変換層が低抵抗の金属基板上に存在しているため、整流作用が不完全となり、逆電流が発生し、十分に高い変換効率を得るためには、未だ改善の余地がある。また、耐久性が低く、経時と共に変換効率が低下するという問題もある。
上記のような問題を改善するための手段としては、本出願人により、金属基板上に、化成処理膜からなる逆電子防止層を形成し、この逆電子防止層上に色素で増感された多孔質酸化物半導体層を形成する方法が提案されている(特許文献2参照)。
特開2001−273937 特開2008−053024
しかしながら、特許文献2で提案されているように、化成処理により逆電子防止層を金属基板上に形成し、この逆電子防止層上に色素で増感された半導体多孔質層を形成する場合には、逆電子防止層が電解質に対しての耐性が高いため、経時による変換効率の低下を有効に防止し得るが、逆電流の防止効果がそれほど高くなく、従って高い変化効率を得るという点で未だ不十分である。
一方、本出願人は、逆電子防止層を形成するためのコーティング液を提案した(特願2008−178341)。即ち、このコーティング液は、熱処理により金属酸化物を形成し得る金属化合物を溶質として含む有機溶媒溶液からなり、該有機溶媒溶液は、溶質安定化剤を含有しているとともに、25℃で、10cP以上の粘度を有しているものであり、これを金属基板表面に塗布し、乾燥することにより、色素で増感された半導体多孔質層の下地となる逆電子防止層を形成するというものである。このようなコーティング液を用いて形成された逆電子防止層は、金属酸化物の緻密な層から形成されているため、化成処理により形成したものに比して優れた整流作用を示すばかりか、電解質に対して耐性も良好であり、従って、金属基板の腐食を有効に防止でき、経時による変換効率の低下という問題も有効に回避できるという利点を有している。
しかるに、上記のようなコーティング液により逆電子防止層を形成した場合には、下地の金属基板の表面に局部的な腐食(孔食)が生じるという問題があった。このような孔食は、経時と共に拡大し、変換効率の低下をもたらしてしまう。特に、このような孔食は、表面粗さの大きな金属基板の表面に逆電子防止層を形成する場合に頻繁に生じている。従って、電解質に対する耐性を確実なものとし、経時による変換効率の低下を確実に防止することが必要であり、さらなる改善が求められている。
また、上記のようなコーティング液を用いて逆電子防止層を形成する場合には、逆電子防止層を形成した後に、さらに金属酸化物が分散されたペーストなどを塗布してのコーティングにより、多孔質酸化物半導体層を形成することが必要であり、多孔質酸化物半導体層を含む多孔質光電変換層を電極金属基板上に形成するために、コーティングを2段で行わなければならず、生産性が低いという欠点もある。
従って、本発明の目的は、逆電子防止性に優れていると共に、電解質に対する耐性にも優れ、経時的に低下せずに安定して高い変換効率を示すような多孔質光電変換層を有する色素増感型太陽電池用の電極を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記のような特性を有する多孔質光電変換層を一段のコーティングにより形成し得る色素増感型太陽電池用の電極を提供することにある。
本発明者等は、色素増感型太陽電池に使用される電極について多くの実験を行い、その特性を検討した結果、特に、半導体金属酸化物の分散粒子が分散剤と共に有機溶媒中に分散されており、しかも、この有機溶媒中に、熱処理により酸化物を形成し得る金属化合物(特に該金属酸化物を形成し得る金属化合物)が溶質として存在しているときには、逆電防止特性に優れ、しかも電解質に対する耐性にも優れた多孔質光電変換層が形成されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明によれば、色素増感型太陽電池に使用される電極であって、電極基板と該電極基板上に設けられた多孔質光電変換層とからなり、該多孔質光電変換層は、二酸化チタンの結晶粒子を含む多孔質酸化チタン層と、該多孔質酸化チタン層に対して電極基板側に形成される複合酸化物チタン層とから形成されており、該複合酸化物チタン層には、前記二酸化チタンの結晶粒子の一部が食い込んでいることを特徴とする電極が提供される。
本発明の電極においては、
(1)複合酸化物チタン層は、下記式:
TiO・nTiOR
式中、nは正の数であり、
Rはアルキル基等の有機基或いは金属原子を示す、
で表されるチタン化合物を示すこと、
(2)前記二酸化チタンの結晶粒子は、その表面が複合酸化物チタンで被覆されていること、
(3)前記複合酸化物チタン層は、0.5乃至500nmの厚みを有していること、
が好ましく、さらに、この電極の多孔質光電変換層には、色素が担持され、色素増感型太陽電池の電極としての使用に供される。
本発明の色素増感型太陽電池に使用される電極は、電極基板上の多孔質光電変換層が、二酸化チタンの結晶粒子を含む多孔質酸化チタン層と、複合酸化物チタン層とから形成されており、この複合酸化物チタン層は、多孔質酸化チタン層に対して電極基板側に形成されているが、この複合酸化物チタン層には、前記二酸化チタンの結晶粒子の一部が食い込んでいる点に顕著な特徴を有している。
このような構造の多孔質光電変換層を有する電極は、後述する実施例に示されているように、それ自体で優れた逆電防止特性(整流特性)を有しているばかりか、電解質に対する耐性にも優れており、長期間の経時後においても電解質による電極基板の腐食が有効に防止され、例えば表面粗さの大きな金属基板の表面に形成されている場合にも孔食を生じることが無く、従って、変換効率の経時的な低下が有効に防止され、安定して高い変換効率を維持することができる。
また、この電極は、所定の電極基板、例えば金属基板の表面に、多孔質光電変換層形成用のコーティング組成物を塗布し、次いで熱処理するという一段でのコーティングにより製造することができ、生産性の点でも優れている。
本発明の色素増感型太陽電池用電極の断面構造を示す図である。 二段でのコーティングにより、多孔質光電変換層が形成された従来公知の色素増感型太陽電池用電極の断面構造を示す図である。 図1に示された本発明の電極において、電極基板の粗面部分に多孔質光電変換層が形成されているときの電極基板と多孔質光電変換層との界面部分を示す図である。 図2に示された従来公知の電極において、電極基板の粗面部分に多孔質光電変換層が形成されているときの電極基板と多孔質光電変換層との界面部分を示す図である。 本発明の電極を有する色素増感型太陽電池の概略構造を示す概略断面図である。 実施例1で作製された電極における多孔質酸化チタン層のEDX分析チャートである。 実施例1で作製された電極における低酸化度チタン層のEDX分析チャートである。
<電極構造>
本発明の色素増感型太陽電池用電極の断面構造を示す図1を参照して、この電極は、金属基板等の電極基板50の表面に、多孔質光電変換層51を形成したものであり、この多孔質光電変換層51は、電極基板50の表面側に位置する緻密な複合酸化物チタン層53と、該複合酸化物チタン層の上に形成された多孔質酸化チタン層55とから構成されている。
即ち、上層の多孔質酸化チタン層55は、図1から理解されるように、二酸化チタンの結晶粒子55aが焼結して連なった多孔質層であり、二酸化チタンを主体とする層である。
一方、前記複合酸化物チタン層53を形成するチタン酸化物は、下記式:
TiO・nTiOR
式中、nは正の数であり、
Rはアルキル基等の有機基或いは金属原子を示す、
で示される複合酸化物となっており、二酸化チタン以外のチタン酸化物成分を含む非晶質部を有することを意味している。即ち、該複合酸化物チタン層53が非晶質部を有することは、XRD等により確認することができる。
また、上層の多孔質酸化チタン層55が二酸化チタンを主成分とし、下層の複合酸化物チタン層53がことなるチタン化合物であることは、EDX分析により、下記式:
X=STi/SO
式中、STiは、チタンのKα線に由来するエネルギー強度を示し、
Oは、酸素のKα線に由来するエネルギー強度を示す、
で定義されるTi/Oエネルギー強度比Xを求めることにより確認することができる。
即ち、上層の多孔質酸化チタン層55では、Ti/Oエネルギー強度比Xが2.40乃至2.80の範囲にある。高純度の二酸化チタンについて、Ti/Oエネルギー強度比Xを求めると、その値は2.30乃至2.5程度であり、このことから、この多孔質酸化チタン層55は、二酸化チタンに極めて近い酸化度を有しており、二酸化チタンを主成分とするものであることが判る。一方、下層の複合酸化物チタン層53では、そのTi/Oエネルギー強度比Xが1.20乃至2.39の範囲にあり、多孔質酸化チタン層55よりも小さく、従って、低酸化度であり、上記のような複合酸化物を主体としていることが判る。
例えば、後述する実施例1で作製された電極の上層に形成されている多孔質酸化チタン層55について、その中心部分でのEDX分析では、その分析チャートは図6に示す通りである。この分析チャートによると、4.52keVと 4.93keVの位置にTi原子のピークが発現しており、0.55keVの位置に酸素原子のピークが発現している。従って、各ピークの強度からTi/Oエネルギー強度比Xを算出すると、2.48の値となる。一方、この電極の下層に形成されている複合酸化物チタン層53についての中心部分でのEDX分析チャートは図7に示されている通りであり、図6と同様の位置にTi原子及び酸素原子のピークが発現しており、各ピークの強度から、この部分でのTi/Oエネルギー強度比Xを算出すると、1.33の値となり、多孔質酸化チタン層55に比して、かなり低い値となっている。従って、上層の多孔質酸化チタン層55は酸化度が高く、二酸化チタンを主体とする層であり、下層53は、前記の複合酸化物を主体とする複合酸化物チタン層であることを確認することができる。
ところで、本発明においては、上記のような非晶質部を含有する複合酸化物チタン層53と多孔質酸化チタン層55とからなる多孔質光電変換層51は、1段でのコーティング、即ち、1種類のコーティング組成物を1段で塗布しての乾燥及び熱処理により形成されるものであり、このような方法で形成されることに関連して、従来の2段でのコーティングで形成される多孔質光電変換層には見られない特異な構造を有している。
即ち、図1に示されているように、本発明における多孔質光電変換層51においては、上層の多孔質酸化チタン層55を形成している二酸化チタンの結晶粒子55aが、下層の複合酸化物チタン層53中に食い込んでおり、このことから理解されるように、両層53,55の間に明確な界面が形成されていないのである。
例えば、逆電防止層となる複合酸化物チタン層53を形成するためのコーティング組成物を塗布、乾燥し、次いで多孔質酸化チタン層55を形成するためのコーティング組成物を、塗布乾燥し、複合酸化物チタン層53用のコーティング層の上に塗布乾燥した後、熱処理を行うという2段コーティングによって、多孔質光電変換層51を形成した場合においても、図2に示されているように、図1と同様、逆電防止層として機能する複合酸化物チタン層53の上に、二酸化チタンの結晶粒子55aからなる多孔質酸化チタン層55が形成される。しかしながら、図2から理解されるように、この場合には、二酸化チタンの結晶粒子55aは複合酸化物チタン層53の内部には食い込んでおらず、従って、複合酸化物チタン層53と多孔質酸化チタン層55の間には、明確な界面が形成されることとなる。
このように、二酸化チタンの結晶粒子55aが複合酸化物チタン層53の内部に食い込んでいる構造は、1段コーティングにより多孔質光電変換層51が形成される本発明の電極に特有の構造である。しかも、本発明の電極においては、このような特異的な構造により、安定な逆電防止特性(整流特性)が発揮されると同時に、電解質に対する耐性が極めて高い。例えば電極基板50の表面が部分的に粗面であった場合においても、図3に示されているように、電極基板50の表面が完全に緻密な複合酸化物チタン層53によって被覆されており、この結果、電解質と金属基板50との接触が完全に防止され、電極基板50の電解質による腐食が有効に防止され、長期間にわたって使用された場合においても、電極基板50の表面に孔食を生じることが無く、従って、変換効率の経時的な低下が有効に防止され、安定して高い変換効率を維持することができるのである。
一方、図2に示されているような2段コーティングによって多孔質光電変換層51が電極基板50の表面に形成されている従来公知の電極では、特に電極基板50の表面が粗面であるような場合には、図4に示されているように、電極基板50の表面の一部が複合酸化物チタン層53を突き破って露出してしまい、このため、電解質が電極基板50に直接接触してしまい、電解質による腐食が生じ、例えば長期間に使用により、電極基板50の表面に孔食が発生し、経時的に変換効率が低下してしまうのである。
尚、本発明の電極では、図3のように電極基板50の表面が完全に複合酸化物チタン層53によって覆われており、電極基板50の電解質による腐食が効果的に防止される理由は、明確に解明されているわけではないが、本発明者等は、次のように推定している。
即ち、本発明の電極では、多孔質光電変換層51が一段でのコーティングにより形成されているため、熱処理に際しては、二酸化チタンの結晶粒子55aが複合酸化物チタン層53を形成するための有機溶媒溶液中に分散した状態で存在しており、このような状態で熱処理が行われ、二酸化チタンの結晶粒子55aを分散している有機溶媒溶液中からのゲル化によって、酸化度が低く、例えばTi/Oエネルギー強度比Xが1.20乃至2.39である酸化チタンが生成する。このため、二酸化チタンの結晶粒子55aが食い込んだ形で複合酸化物チタン層53が形成されるわけであるが、このような形態での熱処理では、複合酸化物チタン層53の熱収縮が有効に緩和される。即ち、複合酸化物チタン層53に食い込んでいる二酸化チタンの結晶粒子55aが複合酸化物チタン層53の熱収縮を効果的に抑制しているものと考えられ、この結果、電極基板50の表面が粗面である場合においても、電極基板50の表面が複合酸化物チタン層53を突き破ってしまうことがなく、電極基板50の全面が複合酸化物チタン層53によって完全に覆われることとなるのである。
例えば、従来の二段コーティングにより多孔質光電変換層51を形成した場合には、図2から理解されるように、最終的な熱処理を行うに際して、二酸化チタンの結晶粒子55aが、複合酸化物チタン層53を形成するためのコーティング層上に載った状態で存在しており、この結晶粒子55aが複合酸化物チタン層53と完全に分離している。このため、熱処理によって、複合酸化物チタン層53の収縮と多孔質酸化チタン層55の収縮バランスが悪いため、その厚みが大きくばらついてしまい、この結果、特に表面の粗い電極基板50上に多孔質光電変換層51を形成するような場合には、電極基板50表面の粗い部分が複合酸化物チタン層53を突き破って露出してしまうのである。
上述したように、本発明の電極では、多孔質酸化チタン層55を形成している二酸化チタンの結晶粒子55aが、下層の緻密な複合酸化物チタン層53中に食い込んでいるという特異な構造を有しているが、このような構造に加えて、多孔質酸化チタン層55を形成している二酸化チタンの結晶粒子55aのそれぞれが、図1に示されているように、非晶質部を含有する複合酸化物チタンの薄膜55bによって表面被覆されていることも、1段でのコーティングによって形成される多孔質光電変換層51(多孔質酸化チタン層55)の大きな特徴である。即ち、この多孔質光電変換層51は、二酸化チタンの結晶粒子55aが複合酸化物チタン層53を形成するための有機溶媒溶液中に分散した状態で熱処理(ゲル化)が行われて複合酸化物チタン層53が形成されるため、二酸化チタンの結晶粒子55aがTi/Oエネルギー強度比Xが小さい低酸化度チタンによって覆われた状態で焼結することとなり、この結果、該結晶粒子55aは、非晶質部を含有する複合酸化物チタンの薄膜55bによって被覆されることとなる。2段コーティングによって形成される多孔質酸化チタン層55においては、複合酸化物チタン層53が二酸化チタンの結晶粒子55aと分離した状態でのゲル化によって生成するため、図2からも理解されるように、該結晶粒子55aが複合酸化物チタンの薄膜55bによって被覆されることはない。
尚、上記のような二酸化チタンの結晶粒子55aの表面が非晶質部を含有する複合酸化物チタンの薄膜55bによって被覆されているという事実は、この電極の断面を、透過型電子顕微鏡(TEM)による高角度散乱暗視野像(HAADF)により確認することができる。
上記のような本発明の電極における多孔質光電変換層51において、電極基板50の表面に形成される非晶質部を含有する複合酸化物チタン層53と多孔質酸化チタン層55との間には明確な界面が形成されておらず、結晶粒子55aが複合酸化物チタン層53中に食い込んでいるため、複合酸化物チタン層53の厚みを正確に測定することは難しい。しかるに、この厚みが必要以上に厚くなると、膜に亀裂が発生するため、電気抵抗が増大し、電池としての機能低下を引き起こす。またこの厚みが必要以上に薄いと、複合酸化物チタン層53の逆電防止層としての特性不十分や外部からの負荷が加わった時に発生する応力による亀裂の発生が生じて、電池としての機能が低下してしまう。このため、一般的には、図1に示されているように、多孔質酸化チタン層55を形成している二酸化チタンの結晶粒子55aにおいて、複合酸化物チタン層53に接触している粒子の中で最も電極基板50の表面から離れている粒子Aを基準として、この粒子Aと電極基板50との間隔tを複合酸化物チタン層53の厚みと定義し、この厚みtが0.5乃至500nm、特に30乃至200nmとなるように複合酸化物チタン層53が形成されていることが好適である。
また、高結晶化度の多孔質酸化チタン層55の厚みは、上記の粒子Aの下部を基準とし、これよりも上側の部分の厚みとして、5乃至20μm程度となるように設定されていることが好適である。
尚、上記のような複合酸化物チタン層53及び高結晶化度の多孔質酸化チタン層55の厚みは、後述するコーティング組成物の組成を調整することによって、具体的には、コーティング組成物中に分散されている二酸化チタン粒子と、該コーティング組成物中に溶解しているチタン化合物の量比を調整することにより、適宜の範囲とすることができる。即ち、二酸化チタン粒子の量が多いほど、前述した多孔質酸化チタン層55の厚みが厚くなり、二酸化チタン粒子の量が少ないほど、複合酸化物チタン層53の厚みが厚くなる。
また、本発明の電極において、上述した構造の多孔質光電変換層51が表面に形成されている電極基板50としては、低電気抵抗の金属材料から形成されたものであれば特に制限されないが、一般的には、6×10−6Ω・m以下の比抵抗を有する金属乃至合金、例えばアルミニウム、鉄(スチール)、ステンレススチール、銅、ニッケルなどが使用される。また、電極基板50の厚みは特に制限されず、適度な機械的強度が保持される程度の厚みを有していればよい。また、生産性を考慮しないのであれば、電極基板50は、例えば蒸着等により、樹脂フィルム等に形成されていてもよい。勿論、この樹脂フィルム等の基材は透明である必要はない。
尚、上記の多孔質光電変換層51が形成される電極基板50の表面には、特開2008−53165号などに開示されている化成処理膜(逆電子防止機能を有している)を形成し、この上に、多孔質変換光電層51を形成することも可能である。
上記の構造の電極は、上層に形成されている多孔質酸化チタン層55に増感色素を担持させた後、色素増感型太陽電池の電極としての使用に供される。従って、この多孔質酸化チタン層55は、色素を担持させるため、多孔質であることが必要であり、例えば、アルキメデス法による相対密度が50乃至90%、特に50乃至70%程度であることが好ましく、これにより、大きな表面積を確保し、有効量の色素を担持させることができるようになっている。
<コーティング組成物>
上述した本発明の電極は、二酸化チタン粒子(a)、熱処理により複合酸化物チタン(例えばTi/Oエネルギー強度比Xが1.20乃至2.39のチタン酸化物)を形成し得るチタン化合物(b)、分散剤(c)及び有機溶媒(d)からなり、且つチタン化合物(b)が有機溶媒中に溶解して存在しているコーティング組成物を使用し、このコーティング組成物を電極基板50の表面に塗布し、コーティング層を乾燥及び熱処理するという1段でのコーティングによって、電極基板50の表面に前述した構造の多孔質光電変換層51を形成することにより作成される。
(a)二酸化チタン粒子;
この二酸化チタン粒子は、コーティング組成物中に分散粒子として存在するものであり、色素で増感される多孔質であり且つ半導体特性を有する高結晶化度の多孔質酸化チタン層(酸化物半導体層)55を形成するための成分である。即ち、この粒子が焼結することにより多孔質層の層が形成されるため、この層は、二酸化チタンの結晶粒子55aを含み、このためニ酸化チタンに近い高酸化度(例えばTi/Oエネルギー強度比Xが2.40乃至2.80)の多孔質酸化チタン層55となるわけである。このような二酸化チタンとしては、アナターゼ型、ブルーカイト型及びルチル型のものが知られているが、多孔質酸化物半導体層として高い変換効率を得るという観点から、アナターゼ型或いはブルーカイト型の二酸化チタンが最適である。
また、この分散粒径は、特に制限されるものではないが、一般には、微細な粒径の粉末を分散させ、例えば500nm以下の粒径に調整されていることが好ましい。この分散粒径が過度に粗大であると、形成される多孔質層への光の透過にバラツキを生じ易く、太陽電池として安定した特性を発揮させることが困難となるおそれが生じる。
上記のような二酸化チタン粒子は、このコーティング組成物中に、5乃至60重量%、特に10乃至40重量%の範囲で含まれていることが好ましい。この二酸化チタン粒子の含有量が少ないと、一定の厚みの多孔質高結晶化度チタン層を形成させることが困難となり、また必要以上に多量の二酸化チタン粒子がコーティング組成物中に含まれていると、熱処理後に膜への亀裂が生じやすくなり、この結果、電気特性が低下するおそれを生じてしまう。
(b)チタン化合物;
コーティング組成物中に含まれるチタン化合物(b)は、溶質として存在するものであり、後述する熱処理(焼成)によってチタン酸化物を形成し、前述した二酸化チタン粒子のバインダーとしての機能と、逆電子防止層形成機能とを有している。また、化合物の形態は、熱処理により酸化物を形成し且つ有機溶媒に溶解し得るようなものであれば、特に制限されないが、一般的には、容易に入手でき、しかも熱処理によって速やかに酸化物を形成し、且つ有機溶媒に対する溶解度が高いことなどから、アルコキシド或いは水酸化物、塩化物であることが好適である。また、二酸化チタン粒子のバインダーとしての機能という観点から、チタンアルコキシド、特にチタンイソプロポキシドが好適であり、チタンテトライソプロポキシドが最適である。
即ち、上記のチタン化合物(b)は、熱処理によるゲル化によってチタン酸化物を形成するが、この際に酸素原子に結合しているアルキル基或いはアルコキシ基と下地金属などとの縮合により生成した金属アルコキシド等がチタン酸化物中に組み込まれるため、生成するチタン酸化物は、前述した式:
TiO・nTiOR
式中、nは正の数であり、
Rはアルキル基等の有機基或いは金属原子を示す、
で表される複合酸化物チタン層53(例えばTi/Oエネルギー強度比Xが1.20乃至2.39)を形成するのである。
本発明において、上記のチタン化合物は、二酸化チタン粒子当り0.01乃至50重量%、特に0.03乃至30重量%の量(金属換算での量であり、二酸化チタン中のTi量に対するチタン化合物中のTi量の割合である)でコーティング組成物中に含まれていることが好適である。即ち、この量が少なすぎると、前述した図1に示されている多孔質の高結晶化度チタン層55の下に形成される複合酸化物チタン層53の厚みが不十分となり、整流特性が不満足となったり、或いはピンホール等の欠陥を生じ易くなり、変換効率の低下を招き易くなってしまう。
(c)分散剤;
コーティング組成物中に含まれる分散剤としては、前記二酸化チタンの粒子(a)を有機溶媒中に安定に分散させるための第1の分散剤とチタン化合物(b)を溶質安定化するための第2の分散剤とが使用される。また、その種類によっては、1種の分散剤で両方の機能を兼用させることもできる。
二酸化チタンの粒子(a)を安定に分散させるために使用される第1の分散剤としては、用いる有機溶媒によっても異なるが、通常、酢酸、トリメチル酢酸、グリコールエーテル、β−ジケトン及び水からなる群より選択された少なくとも1種が使用される。これらは、二酸化チタンの粒子を比較的安定に有機溶媒中に分散させることができるばかりか、加熱により該粒子の半導体特性に悪影響を与えることなく、容易に揮散することができるからである。
このような第1の分散剤は、Ti換算で、二酸化チタン粒子(a)当り0.01乃至50重量%、特に0.02乃至20重量%の量で使用されているのがよい。
また、チタン化合物(b)を溶質安定化するために、即ち、溶質として存在しているチタン化合物(b)の析出を防止するために使用される第2の分散剤としては、それ自体有機溶媒に可溶で且つチタン化合物に対して高い親和性を有する化合物が使用され、例えばグリコールエーテル及び/またはβ−ジケトンであることが好適である。これらの化合物は、有機溶媒に可溶であり、しかもTi元素に対して配位結合を形成し易いため、上記チタン化合物の析出を有効に抑制し、溶質安定化剤として優れた特性を示す。このような第2の分散剤が使用されていない場合には、チタン化合物が他の成分と共存したときに析出してしまうおそれがあり、この結果、チタン化合物に由来する緻密な複合酸化物チタン層53の形成が困難となってしまい、整流特性が低下したり、或いはピンホール等の欠陥を生じ易くなり、電解質との接触により電極基板50の表面に腐食を生じ易くなってしまう。
尚、グリコールエーテルは、下記式:
HOCHCHOR
式中、Rは、アルキル基、アリール基またはアラルキル基である、
で表される化合物であり、アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、イソブチル基、n−ブチル基、イソアミル基等の炭素数が8以下の低級アルキル基が代表的であり、アリール基としてはフェニル基、アラルキル基としてはベンジル基を例示することができ、これらの中では、Rがアルキル基であるグリコールエーテルが好適であり、特にブチルセロソルブ(R=イソブチル基、n−ブチル基)が好適である。
また、β−ジケトンとしては、例えば、アセチルアセトン、1,3−シクロヘキサジオン、メチレンビス−1,3ーシクロヘキサジオン、2−ベンジル−1,3−シクロヘキサジオン、アセチルテトラロン、パルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロン、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ベンゾイルシクロヘキサノン、2−アセチル−1,3−シクロヘキサンジオン、ビス(ベンゾイル)メタン、ベンゾイル−p−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−メチルベンゾイル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイルメタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス(4−クロルベンゾイル)メタン、ビス(メチレン−3,4−ジオキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ステアロイル(4−メトキシベンゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサノイル)−メタン及びジピバロイルメタン等を例示することができ、これらの中では、アセチルアセトンが好適である。
本発明においては、溶質安定化剤として機能する第2の分散剤としては、グリコールエーテルが最も適している。即ち、グリコールエーテルは、β−ジケトンに比して化学的に安定であるため、他の成分と共存した場合においても、安定してチタン化合物(b)の溶質安定化剤としての機能を示すからである。
上述した第2の分散剤は、Ti換算で、前記チタン化合物(b)当り0.01乃至50重量%、特に0.02乃至30重量%の量で使用されているのがよい。
尚、グリコールエーテルは、第1の分散剤としての機能と第2の分散剤としての機能とを有している。従って、グリコールエーテルを分散剤として用いた場合には、Ti換算での二酸化チタン(a)に対する量とチタン化合物(b)に対する量との何れも前述した範囲を満足しているように使用されるのがよい。
(d)有機溶媒;
本発明において、有機溶媒としては、前述した二酸化チタン粒子(a)の分散媒として使用でき、さらに前述したチタン化合物(b)が溶解し、且つ分散剤(c)との親和性が高いものであれば、特に制限なく、各種のものを使用することができるが、特にスクリーン印刷に適した粘性のコーティング液を形成し、且つ加熱によって、二酸化チタンの電気特性に悪影響を与えることなく揮散できるという観点から、炭素数4以下の低級アルコール、エチルセルロース及びテルピネオールからなる群より選択された少なくとも1種好適である。
特に上記の低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びブタノールを例示することができ、これらは、特にニ酸化チタン粒子(a)の分散媒及びチタン化合物(b)の溶剤として好適であり、スクリーン印刷等の高粘度塗装適正を考慮する場合は、テルピネオール及びエチルセルロースとの混合溶媒として使用することが好ましい。
尚、テルピネオール(C1018O)は、1,8−テルビンから水が1分子脱水して生じる不飽和アルコールであり、α、β及びγの3タイプのものが知られており、何れのタイプも使用できるが、一般には、α−テルピネオール(Bp:219〜221℃)、或いはα−テルピネオールを主成分とし、これにβ−テルピネオールなどの他のタイプものが混合された混合物(一般に、市販されているものは混合物である)が好適である。
また、テルピネオールは、粘稠な液体であるが、前述した低級アルコールに分散させた金属酸化物微粒子及び金属化合物と親和性が良好であり、低級アルコールと同様、加熱により、生成する金属酸化物(例えば二酸化チタン)の電気特性に悪影響を与えることなく、容易に揮散させることができる。
さらに、エチルセルロースは、テルピネオールと同様に、チタン化合物から生成するチタン酸化物の電気特性に悪影響を与えることなく、熱処理によって容易に分解除去することができるが、特に粘度調整剤としての機能とバインダーとしての機能を有する。従って、エチルセルロースは、他の有機溶媒との併用が最適であり、例えば、低級アルコールやテルピネオールのみを有機溶媒として用い、チタン化合物の溶液を調製したときには、コーティング組成物の粘度が極めて低粘性となり、コーティングに際してダレ等を生じ易くなってしまうが、エチルセルロースの併用により、コーティング組成物の粘度をコーティングに適した範囲に調整することができる。
尚、エチルセルロースとしては、種々の分子量のものが市販されているが、コーティング液をスクリーン印刷に特に適した粘度に調整するという観点から、トルエンを溶媒とし、固形分エチルセルロース濃度10%溶液の場合の粘度(25℃)が30〜50cPの範囲にあるものが好適である。
本発明において有機溶媒として使用される混合溶媒は、上記のような観点から、一般に、エチルセルロース/テルピネオール(重量比)が=0.1/99.9乃至20/80、特に3乃至97の範囲で含有しているのがよく、さらに、コーティング組成物の粘度がコーティングに適した範囲(例えば25℃で15乃至500cP)となるように、適宜の量の低級アルコールを二酸化チタン粒子(a)の分散媒として使用するのがよい。
<コーティング組成物の調製>
上述した各成分を含むコーティング組成物は、特にチタン化合物(b)を溶質として安定に存在させるために、二酸化チタン粒子(a)が分散した分散液と、チタン化合物(b)が溶解した溶液とを別個に調製した後、これらの分散液と溶液とを混合することにより調製するのがよい。各成分を一挙に混合すると、チタン化合物(b)が凝集した状態で析出してしまうおそれがあり、このような場合には、二酸化チタンの結晶粒子55aの焼結によって形成される多孔質の高結晶化度酸化チタン層の下地に、緻密な複合酸化物チタン層を形成することが困難となってしまうからである。
上記のようにしてコーティング組成物を調製するにあたって、二酸化チタン粒子(a)が分散した分散液は、前述した有機溶媒の一部、特に低級アルコールに二酸化チタン粒子と第1の分散剤とを、前述した量割合で混合し、攪拌することにより得られる。また、チタン化合物(b)が溶解した溶液は、残りの有機溶媒、特にエチルセルロース/テルピネオール混合溶媒に、チタン化合物と第2の分散剤とを、所定の量比で混合し、攪拌することにより得られる。この際、適宜の温度に加熱することもできる。尚、これらの分散液或いは溶液に用いる有機溶媒の量は、両者を混合してコーティング組成物を調製したときに、コーティング組成物の粘度がコーティングに適した範囲(例えば、25℃での粘度が10cP以上、特に50乃至2000cP)となり、且つ溶解しているチタンが析出しない程度の量とすればよい。
<多孔質光電変換層51の形成>
本発明においては、上記のコーティング組成物を用いることにより、一段のコーティングで、逆電子防止特性を備えた上述した構造の多孔質光電変換層51を電極基板50の表面に形成することができる。
図1を用いて説明すると、このコーティング組成物を電極基板50として使用される金属基板の発電領域となる面に塗布し、次いで熱処理(乾燥及び焼成)することにより、多孔質光電変換層51が形成される。この熱処理によって、有機溶媒等が揮散、熱分解等により除去され、且つ二酸化チタン粒子の焼結及びチタン化合物のゲル化によって、焼結した二酸化チタンの結晶粒子55aからなる多孔質酸化チタン層55と複合酸化物チタン層53とが形成されるわけであるが、チタン化合物のゲル化が二酸化チタン粒子を取り込んだ形で行われるため、二酸化チタンの結晶粒子55aが複合酸化物チタン層53中に食い込み、しかも二酸化チタンの結晶粒子55aが非晶質部を有する複合酸化物チタン、例えばTi/Oエネルギー強度比が1.20乃至2.39の複合酸化物チタンによって被覆された構造となるのである。
コーティング組成物の塗布は、スクリーン印刷、スプレー噴霧、刷毛塗り、スピンコート、ディピングなど、公知の塗布手段を採用することができるが、効率よく、連続的に塗布を行うという点で、スクリーン印刷が好適である。
塗布後の熱処理条件は、用いるチタン化合物の種類によっても異なるが、一般に、300乃至600℃の高温に、10乃至180分間、塗布層を加熱保持することにより行われる。
また、コーティング組成物の塗布量は、通常、形成される多孔質光電変換層51の下層の複合酸化物チタン層53の厚みが前述した範囲(0.5乃至500nm、特に30乃至200nm)となり、その上の多孔質酸化チタン層55の厚みが5乃至20μm程度となるように設定される。
上記のようにして得られる多孔質光電変換層51(具体的には多孔質酸化チタン層55)には、常法にしたがって色素を吸着担持させ、このような色素で増感された多孔質光電変換層51を表面に有する電極基板50を電極(負極基板)として、太陽電池の電極基板としての使用に供せられる。
尚、上記多孔質光電変換層51に吸着させる色素は、この多孔質層に色素溶液を接触させることにより、吸着担持される。色素溶液の接触は、通常は、ディッピングにより行われ、吸着処理時間(浸漬時間)は、通常、30分〜24時間程度であり、吸着後、乾燥して色素溶液の溶媒を除去することにより、多孔質光電変換層51の表面及び内部に増感色素が吸着担持される。
用いる色素は、増感色素として機能し得るものであり、カルボキシレート基、シアノ基、ホスフェート基、オキシム基、ジオキシム基、ヒドロキシキノリン基、サリチレート基、α−ケト−エノール基などの結合基を有するそれ自体公知のものが使用される。例えばルテニウム錯体、オスミウム錯体、鉄錯体などを何ら制限なく使用することができる。特に幅広い吸収帯を有するなどの点で、ルテニウム−トリス(2,2’−ビスピリジル−4,4’−ジカルボキシラート)、ルテニウム−シス−ジアクア−ビス(2,2’−ビスピリジル−4,4’−ジカルボキシラート)などのルテニウム系錯体が好適である。このような増感色素の色素溶液は、溶媒としてエタノールやブタノールなどのアルコール系有機溶媒を用いて調製され、その色素濃度は、通常、3×10−4乃至5×10−4mol/l程度とするのがよい。
<色素増感太陽電池>
上記のようにして色素で増感された多孔質光電変換層51を表面に有する電極は、例えば図5に示す構造の色素増感太陽電池の負極基板として使用される。
図5を参照して、この構造の太陽電池では、金属基板11の表面に、色素で増感された多孔質光電変換層13が形成されており、これを負極基板10として、電解質層20を間に挟んで透明電極基板(正極基板)1と対峙させ、その周囲が封止剤30で封止された構造を有するものであり、この負極基板10が、前述したコーティング組成物を用いての一段のコーティングにより形成された多孔質光電変換層51が電極基板50の表面形成された本発明の電極である。即ち、この多孔質光電変換層13は、色素が主に吸着担持されている多孔質酸化チタン層13aと、金属基板(電極基板)11の表面側に形成された緻密な複合酸化物チタン層13bとからなっている。
尚、図5から理解されるように、多孔質光電変換層13は、発電領域Xとなる部分に形成されるものであり、その周囲が発電に関与しない封止領域Yとなる。
上記のような金属基板11及び色素で増感された多孔質光電変換層13からなる負極基板10(本発明の電極)に対向して配置される透明電極基板1は、透明基板3の表面に透明導電膜5及び電子還元性導電層7が形成されたものである。
透明基板3は、高い光透過性を有していればよく、例えば透明ガラスや透明樹脂フィルムなどから形成される。その厚みや大きさは、最終的に形成される色素増感太陽電池の用途に応じて適宜決定される。
透明基板3の上に形成される透明導電膜5としては、酸化インジウム−酸化錫合金からなる膜(ITO膜)、酸化錫にフッ素をドープした膜(FTO膜)などが代表的であるが、電子還元性が高く、特にカソードとして望ましい特性を有していることから、ITO膜が好適である。これらは蒸着により上記の透明基板3上に形成され、その厚みは、通常、500nm乃至700nm程度である。
また、上記の透明導電膜5上に形成される電子還元導電層7は、一般に白金の薄層からなり、透明導電膜5に流れ込んだ電子を電解質層20に速やかに移行せしめる機能を有するものである。このような電子還元導電層20は、光透過性が損なわれないように、その平均厚みが0.1乃至1.5nm程度となるように蒸着により薄く形成される。
上記のようにして形成された負極基板10と透明電極基板(正極基板)1は、電解質層20を間に挟んで対峙され、電解質層20と色素で増感された多孔質光電変換層13(特に半導体多孔質層13a)とによって発電領域Xが形成されることとなる。このような電解質層20は、公知の太陽電池と同様、リチウムイオン等の陽イオンや塩素イオン等の陰イオンを含む種々の電解質溶液により形成される。また、この電解質20中には、酸化型構造及び還元型構造を可逆的にとり得るような酸化還元対を存在させることが好ましく、このような酸化還元対としては、例えばヨウ素−ヨウ素化合物、臭素−臭素化合物、キノン−ヒドロキノンなどを挙げることができる。かかる電解質層20は、発電領域Xの周縁に位置する封止領域Yに設けられる封止材30により封止され、電極間からの液の漏洩が防止されることとなるわけである。一般に、このような電解質層20の厚みは、最終的に形成される電池の大きさによっても異なるが、通常、10乃至50μm程度である。
封止材30としては、ヒートシール可能な各種の熱可塑性樹脂乃至熱可塑性エラストマー、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、或いはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダム乃至ブロック共重合体等のポリオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体等のエチレン−ビニル化合物共重合体樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のビニル系樹脂;ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキサイド;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;酸化澱粉、エーテル化澱粉、デキストリンなどの澱粉;及びこれらの混合物からなる樹脂;などが使用される。
即ち、封止材30は、上記の熱可塑性樹脂等を用いての押出成形、射出成形等によって、例えば、封止領域Yに対応する幅のリング形状に成形するにより得られ、この封止材30を、互いに対抗して配置された負極基板10と透明電極基板1との間に挟んだ状態でヒートシール(加熱圧着)することにより、負極基板10と透明電極基板1とが接合され、次いで、この封止材30に注入管を挿入し、該注入管を介して、両電極基板の間の空間内に、電解質層20を形成する電解質溶液を注入することにより、図3に示す構造の色素増感太陽電池を得ることができる。
尚、透明基板3として透明樹脂フィルムなどを用いるときには、例えば負極基板10と透明電極基板1との3方を封止剤30でシールし、次いでシールされていない開口部から電解質液を充填し、最後に、開口部を封止剤30で完全に封止することによっても図3に示す構造の色素増感太陽電池を作製することができる。
このようにして形成される色素増感太陽電池では、透明電極基板1側から可視光を照射することにより、多孔質光電変換層13(半導体多孔質層13a)に担持されている色素が励起され、基底状態から励起状態へと遷移し、励起された色素の電子が、光電変換層13中の伝導帯へ注入され、金属電極基板10(金属基板11)を介して外部回路(図示せず)を通って透明電極基板1に移動する。透明電極基板1に移動した電子は、電解質層20中のイオンによって運ばれ、色素に戻る。このような過程の繰り返しにより電気エネルギーが取り出され、発電が行われることとなる。即ち、かかる太陽電池では、多孔質光電変換層13中の金属基板11と対面する領域に整流障壁として機能する複合酸化物チタン層(逆電子防止層)13bが形成されているため、逆電流が有効に防止され、高い変換効率を得ることができる。
また、上記のような2層構造の多孔質光電変換層13は、一段のコーティングで形成されている。即ち、金属基板11表面に存在する逆電子防止層13bとその上の多孔質酸化物半導体層13aは一段のコーティングにより一体的に形成されるため、多孔質酸化物半導体層13aを形成する際の熱処理に起因するピンホール等の欠陥が複合酸化物チタン層(逆電子防止層)13bに生じることがなく、例えば、金属基板11の表面が表面粗さの大きな粗面であったとしても、発電領域Xでは、その表面は完全に複合酸化物チタン層(逆電子防止層)13bで被覆され、従って金属基板11の表面が露出して直接多孔質の酸化物半導体層13aに接触することがない。加えるに、この複合酸化物チタン層(逆電子防止層)13bは電解質に対して耐性を有する金属酸化物で形成されている。従って、電解質層20からの電解質液による金属基板11の腐食を確実に防止することができ、この色素増感太陽電池は、極めて高い耐久性を示し、経時による変換効率の低下が有効に防止されている。
さらに、上記の太陽電池では、複合酸化物チタン層(逆電子防止層)13bと多孔質酸化物半導体層13aとからなる多孔質光電変換層13を一段のコーティングで形成することができるため、その生産性は極めて高い。
尚、上述した例では、コーティング組成物により形成する多孔質光電変換層を金属基板の表面に形成する場合を例にとって説明したが、このような多孔質光電変換層は、上記の例に限定されるものではなく、例えば透明電極基板の表面に形成することも勿論可能である。
本発明の優れた効果を次の実験例で説明する。
尚、以下の例において、多孔質光電変換層における各層の厚みの測定及びTi/Oエネルギー強度比Xの測定は、以下の方法により行った。
<多孔質酸化チタン層及び複合酸化物チタン層の厚みの測定>
多孔質酸化チタン層及び複合酸化物チタン層の厚みの測定は、走査型電子顕微鏡によるSEM観察、及び電解放射型透過分析電子顕微鏡によるTEM観察により、実施した。
<Ti/Oエネルギー強度比Xの測定>
多孔質光電変換層及び酸化チタン層のTi/Oエネルギー強度比の測定は、まず、収束イオン加工装置(装置名:低加速FIB/SEM複合装置 SIINT製 XVision 200DB)を用いて超薄切片を作製し、その後、その超薄切片をEDX(装置名:エネルギー分散型X線分光分析装置 EDAX製 γ−TEM)によって、元素分析を実施することにより測定した。
<実施例1>
(多孔質酸化チタン層形成用のペースト作製)
球状の粒径30nmと多面体状の粒径15nmの市販TiO粒子2種類を主剤とし、溶媒として、エタノールをペースト中70重量%の量、分散剤として、酢酸をペースト中0.05%の量で含むTiOペーストを調製した。
(複合酸化物チタン層形成用ペースト作製)
チタンテトライソプロポキシドを主剤とし、溶媒として、テルピネオールとエチルセルロースを2/98の重量比の混合溶媒、安定化剤としてブチルセロソルブを3%濃度となるように混合し、チタン濃度が0.5%となるように逆電子防止層として機能する複合酸化物チタン層を形成するためのペーストを調製した。
(多孔質光電変換層形成用のコーティング組成物の調製)
上記の多孔質酸化チタン層形成用のペースト及び複合酸化物チタン層形成用ペーストを撹拌させながら混合し、多孔質光電変換層形成用のコーティング組成物を作製した。
(電極の作製)
次いで、金属基板として、市販のアルミニウム板(厚み0.3mm)を用意し、このアルミニウム板上に、上記で調製したコーティング組成物を塗布し、その後、450℃で30分間焼成して、多孔質酸化チタン層及び複合酸化物チタン層を作製した。
上記電極の断面について、透過型電子顕微鏡(TEM)によるHAADF像により観察したところ、下層の複合酸化物チタン層には、二酸化チタンの結晶粒子が食い込んでいること及び上層の多孔質酸化チタン層を形成している二酸化チタンの結晶粒子の表面は非晶質部を含有する複合酸化物チタンで被覆されていることが確認された。
また、上層及び下層について、EDX分析を行い、各層の中心部分での分析チャートを図6及び図7に示した。この分析チャートから、上層の多孔質酸化チタン層のTi/Oエネルギー強度比Xの平均値は2.45であり、下層の複合酸化物チタン層のTi/Oエネルギー強度比Xは1.82であった。
また、下層の複合酸化物チタン層の厚みは約150nm、上層の多孔質酸化チタン層の厚みは約10μmであった。
さらに、純度99.5%のエタノールに分散させたルテニウム錯体色素からなる色素溶液中に、上記の多孔質光電変換層を24時間漬浸させ、次いで乾燥することにより、負極を得た。尚、用いたルテニウム錯体色素は、下記式で表される。
[Ru(dcbpy)(NCS)]・2H
(色素増感型太陽電池の作製及び評価)
一方、白金を蒸着したITO/PENフィルムで構成される対向電極(正極)を用意した。
この対向電極と上記で作製した負電極との間に電解質液を挟みこんで色素増感型太陽電池を作製した。尚、電解質液としては、LiI/I(0.5mol/0.025mol)をメトキシプロピオニトリルに溶かしたものに4−tert−ブチルピリジンを添加したものを用いた。
得られた電池を、室温環境下にて保管し、1000時間後に確認したところ、腐食は未発現であり、変換効率の低下もなかった。
<比較例1>
実施例1において調製された複合酸化物チタン層形成用ペーストを使用し、このペーストを、実施例1と同様のアルミニウム板上に塗布し、120℃で乾燥させ、その後、その上に、実施例1で調製された多孔質酸化チタン層形成用のペーストを塗布し、120℃で乾燥した。このとき、下層の複合酸化物チタン層のコーティング層の厚みは、約150nm、多孔質酸化チタン層のコーティング層の厚みは約10μmであった。
次いで、上記のように積層されたコーティング層を450℃で30分間焼成して、複合酸化物チタン層と多孔質酸化チタン層を形成した。
このようにして形成された各層の厚みを測定したところ、多孔質酸化チタン層の厚みは約10μmとほぼ同じであったが、複合酸化物チタン層は約20〜500nmと不均一な膜厚となっていた。このことから、複合酸化物チタン層は大きく熱収縮していることが判る。
また、各層のTi/Oエネルギー強度比Xは、実施例1と同様であったが、複合酸化物チタン層への二酸化チタン結晶粒子の食い込みは観察されず、さらに、二酸化チタン結晶粒子表面での酸化チタンの被覆も観察されなかった。
さらに、実施例1と同様に電池を作製し、室温環境下にて保管し、24時間後に確認したところ、腐食が発現しており、電池としてほぼ機能していなかった。
腐食形態が孔食であり、このことより、これは、アルミニウム表面の露出部の存在を有することが原因と考えられる。
50:電極基板
51:多孔質光電変換層
53:複合酸化物チタン層
55:多孔質酸化チタン層
55a:二酸化チタンの結晶粒子
55b:複合酸化物チタン被覆層

Claims (5)

  1. 色素増感型太陽電池に使用される電極であって、電極基板と該電極基板上に設けられた多孔質光電変換層とからなり、該多孔質光電変換層は、二酸化チタンの結晶粒子を含む多孔質酸化チタン層と、該多孔質酸化チタン層に対して電極基板側に形成される複合酸化物チタン層とから形成されており、該複合酸化物チタン層には、前記二酸化チタンの結晶粒子の一部が食い込んでいることを特徴とする電極。
  2. 前記複合酸化物チタン層は、下記式:
    TiO・nTiOR
    式中、nは正の数であり、
    Rはアルキル基等の有機基或いは金属原子を示す、
    で表されるチタン化合物である請求項1に記載の電極。
  3. 前記二酸化チタンの結晶粒子は、その表面が複合酸化物チタンで被覆されている請求項1または2に記載の電極。
  4. 前記複合酸化物チタン層は、0.5乃至500nmの厚みを有している請求項1乃至3の何れかに記載の電極。
  5. 前記多孔質光電変換層には色素が担持されている請求項1乃至4の何れかに記載の電極。
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