JP2011006584A - 有機減衰材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アクリル酸エステル単位を主体とするブロック鎖とメタクリル酸エステル単位を主体とするブロック鎖とのブロック共重合体を含む熱可塑性エラストマーからなるマトリックス相中に、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、および4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)から選択される1種もしくは2種以上の化合物からなる減衰付与剤を配合する。
【選択図】なし
Description
また、パソコンや携帯電話等の情報関連機器、スピーカー等の音響関連機器等の分野において生じる共振を防止する目的で、共振を起こすおそれのある部位に用いられる軟性の制振材料として、スチレン系エラストマーからなる基材樹脂と、パラフィン系プロセスオイルなどの軟化剤と、上記基材樹脂と相溶性を有する水添石油樹脂などの粘着付与樹脂を含有する粘着性制振材料が知られている(特許文献3)。
また、非極性の樹脂またはエラストマーは、有機減衰材料の機械的、化学的物性等を改良する目的で添加する難燃剤、増量剤、補強剤などを配合することが困難で、必要とされる物性を有する有機減衰材料を得ることが困難であるという問題がある。
さらに、上記ブロック共重合体は、上記トリブロック構造を分子中に少なくとも有するブロック共重合体と、アクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロックの1個とメタクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロックの1個が結合しているジブロック共重合体との混合物であることを特徴とする。
また、上記マトリックス相は、石油樹脂、特に極性置換基を有する石油樹脂が配合されていることを特徴とする。
振動伝達率を低下させること、または振動エネルギーを熱エネルギーに変換させるためには、有機減衰材料の特性として、損失係数(tanδ)が大きいこと、軟らかい有機減衰材料であることが要求される。すなわち、理想的な有機減衰材料は使用領域において、損失係数(tanδ)が大きく、比較的軟らかい材料であることが望ましい。
ブロック共重合体としては、アクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロックの1個とメタクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロックの2個とが互いに結合したトリブロック構造、またはアクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロックの2個とメタクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロックの1個とが互いに結合したトリブロック構造を、分子中に少なくとも有するブロック共重合体を好ましく用いることができる。
トリブロック構造としては、アクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロックをA、メタクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロックをBとすれば、B−A−B、A−B−B、A−B−A、B−A−Aで表される。この場合連続して隣り合う−B−B、−A−AにおけるA、Bは、それぞれ相互に異なる構造の重合体ブロックである。
アクリル酸エステル単位の例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸トリフルオロメチル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピルなどを挙げることができる。
これらの中で、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ステアリルなどのような炭素数が4以上のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸トリフルオロメチル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピルなどのアルキル基に置換基を有するアクリル酸アルキルエステルの1種または2種以上に由来する構造単位を主体とする重合体からなるブロックであることが、得られるアクリル系ブロック共重合体組成物の柔軟性や低温特性が良好になる点から好ましい。
メタクリル酸エステルの例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、メタクリル酸トリフルオロメチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2−メトキシペンチル、メタクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)ペンチル、メタクリル酸パ−フルオロペンチル、メタクリル酸2−トリメトキシシリルペンチルなどを挙げることができる。
これらの中で、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチルなどのアルキル基の炭素数が1〜4であるメタクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸シクロヘキシルなどの環構造を有するアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を主体とする重合体からなるブロックであることが耐熱性の点から好ましい。
また、上記ブロック共重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は、40,000〜400,000である。また、ブロック共重合体の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は1.5未満、好ましくは1.4以下、より好ましくは1.3以下であり、これらの分子量分布は、アニオン重合法または原子移動ラジカル重合法(ATRP)、特にアニオン重合法により製造することができる。
石油樹脂としては、脂肪族系(C5系)石油樹脂、芳香族系(C9系)石油樹脂、共重合系(C5/C9系)石油樹脂、脂環族系(水素添加系、ジシクロペンタジエン(DCPD)系)石油樹脂、およびスチレン系(スチレン系、置換スチレン系)石油樹脂等を挙げることかできる。
本発明においては、特に極性置換基を有する石油樹脂を配合することが好ましい。極性置換基を有する石油樹脂は、上記石油樹脂等の分子構造の一部が極性基で置換された極性置換基を有する石油樹脂である。
好ましい極性置換基を有する石油樹脂としては、脂環族飽和炭化水素樹脂の脂環の一部に水酸基などの極性基を導入した樹脂が挙げられる。これら樹脂の市販品としては、荒川化学工業社製水素化石油樹脂KR1840、KR1842等を用いることができる。
上記減衰付与剤は、上記マトリックス相を構成するポリマー中に混合されて、マトリックス相中に分散相を形成し、当該有機減衰材料に加わった振動、音、衝撃、あるいは電磁波といったエネルギーを効果的に減衰する働きを有する。
減衰付与剤がミクロ相分離した分散相として、あるいは完全相溶した分散相としてマトリックス相中に存在する場合、この分散系の損失係数(tanδ)のピークは、測定される温度領域において、減衰付与剤とマトリックス相とが別々のピークとして現れるのではなく、1つのピークとして現れる。
シート状やフィルム状など固状の形態とする場合、有機減衰材料は発泡構造を採ることもできる。発泡レベルとしては特に限定されないが、吸音性や制振性を求める用途には連続気泡構造とするのが望ましく、防振性や衝撃吸収性を求める用途には独立気泡構造とするのが望ましい。また、多色成型が可能となる。
(1)熱可塑性エラストマー
トリブロック共重合体:株式会社クラレ社製LA2140e
ジブロック共重合体 :株式会社クラレ社製LA1114
(2)減衰付与剤
2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)(NS−5)
p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン(TD)
4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)(300)
オクチル化ジフェニルアミン(AD)
(3)石油樹脂
極性置換基含有樹脂1:荒川化学工業社製水素化石油樹脂 KR1840
極性置換基含有樹脂2:荒川化学工業社製水素化石油樹脂 KR1842
非極性石油樹脂 :出光興産社製水素化石油樹脂 アイマーブP−125
(4)配合剤
エステルオイル :株式会社ADEKA製 ポリエステル系可塑剤 PN6120
カーボンブラック:東海カーボン社製シースト#3
ステアリン酸 :試薬
表1に示す熱可塑性エラストマーおよび減衰付与剤、石油樹脂、配合剤を、表1に示す割合で混合してロールを用いて混練し、厚さ2mmのシート状の有機減衰材料を得た。なお、表1に示す割合は重量基準である。
得られたシート状の有機減衰材料の損失係数(tanδ)を周波数 10Hzの条件で動的粘弾性装置により測定した。
また、シート状の有機減衰材料の表面硬度をJIS硬度計で測定した。
さらに、シートをダンベル形状に打ち抜き、JISK6251に基き、引張試験を行ない、引張強さ、破断伸び、モジュラスを測定した。結果を表1に示す。
Claims (5)
- マトリックス相中に、減衰付与剤を配合してなる有機減衰材料であって、
前記マトリックス相がアクリル酸エステル単位を主体とするブロック鎖とメタクリル酸エステル単位を主体とするブロック鎖とのブロック共重合体を含む熱可塑性エラストマーであり、
前記減衰付与剤がp−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、および4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)から選択される1種もしくは2種以上の化合物からなる減衰付与剤であることを特徴とする有機減衰材料。 - 前記ブロック共重合体は、アクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロックの1個とメタクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロックの2個が互いに結合したトリブロック構造、またはアクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロックの2個とメタクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロックの1個が互いに結合したトリブロック構造を、分子中に少なくとも有するブロック共重合体であることを特徴とする請求項1記載の有機減衰材料。
- 前記ブロック共重合体は、前記トリブロック構造を分子中に少なくとも有するブロック共重合体と、アクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロックの1個とメタクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロックの1個が結合しているジブロック共重合体との混合物であることを特徴とする請求項2記載の有機減衰材料。
- 前記マトリックス相は、石油樹脂が配合されていることを特徴とする請求項1記載の有機減衰材料。
- 前記石油樹脂は、極性置換基を有する石油樹脂であることを特徴とする請求項4記載の有機減衰材料。
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