以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。以下の説明において同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一であるものとする。
なお、本実施の形態の説明では、用紙が搬送される方向を「搬送方向」と称し、この搬送方向に対して直交する方向を「搬送直交方向」と称する。また、用紙の4辺のうち、搬送方向を基準にして先頭部分を「用紙の先端」と称し、後端部分を「用紙の後端」と称し、残りの2辺を「用紙の両サイド」と称する。
図1〜図3は、本実施の形態に従う画像形成システムの構成を示す図である。図1を参照して、画像形成システムは、画像形成装置1と、後処理装置処理2とから構成される。後処理装置2は、本体21と、本体21に収納される製本処理部22と、本体21に製本処理部22を収納した状態で本体21および製本処理部22を覆う扉23とから構成される。
後処理装置2は、画像形成装置1から画像が形成された用紙を受け入れる。後処理装置2は、受け入れた用紙に後処理(中綴じ、中折り)を施す場合には、本体21から製本処理部22へ用紙を搬入する。
図2を参照して、製本処理部22の上部には、本体21から用紙S1を搬入するための搬入口25が設けられている。製本処理部22の内部には、搬入口25から奥へと続く搬送路が形成されている。製本処理部22は、搬入口25に搬入された用紙S1を搬送路に案内した上で、用紙S1に対してユーザの指示に応じた後処理を施す。
図3を参照して、製本処理部22の一側面には、上下方向に開閉可能な開閉ガイド24が設けられている。ユーザは、開閉ガイド24を上方向に持ち上げることによって、製本処理部22の内部に形成される搬送路の一部に対してアクセスすることが可能になる。開閉ガイド24は透明性を有する部材により形成されている。このため、ユーザは、製本処理部22の開閉ガイド24付近に用紙S1が存在するか否かを容易に判別できる。
図4は、画像形成システムの内部構造の概略を示す図である。画像形成システムは、画像形成装置1と後処理装置2とから構成される。画像形成装置1は、原稿面の画像を読み取り、周知の電子写真方法によって用紙上に画像を形成する機能を備える。
画像形成装置1には、後処理装置2が連結されている。後処理装置2は、画像形成装置1から搬入される用紙S1に対して、折り加工や綴じ加工などを、ユーザの指示に応じて選択的にあるいは組み合わせて行なう。
たとえば、後処理装置2が実行可能な折り加工の種類には、中折り(2つ折り)や3つ折り(Z折り)などがある。また、後処理装置2が実行可能な綴じ加工の種類には、用紙の4つのコーナのうちの1箇所(奥)にステープル止めする「コーナ奥平行1点」、用紙の4つのコーナのうちの1箇所(前)にステープル止めする「コーナ前平行1点」、用紙の4つのコーナのうちの一方の用紙サイドの2箇所にステープル止めする「サイド2点」、中折りが予定されている用紙のセンター2箇所にステープル止めする「中綴じ」などがある。
画像形成装置1により画像が形成された用紙S1は、後処理装置2へと搬送される。
後処理装置2の内部には、画像形成装置1から用紙S1が搬送される第1搬送路91および第2搬送路92が形成されている。排紙先が第1トレイ82に設定されているときには、図示を省略した切替機構によって搬送方向が切り替えられることによって、用紙S1が1枚ずつ画像形成装置1から第2搬送路92へと搬送され、続いて第2搬送路92から第3搬送路93へと搬送される。これにより、用紙S1は、第1トレイ82に排出される。
第1トレイ82は、大量の用紙を収容できるように昇降可能に構成されている。第1トレイ82の上方向への移動位置は、エレベート上限リミットスイッチ51と、エレベート上面検出センサ34とにより規制される。また、第1トレイ82の下方向への移動位置は、エレベート下限リミットスイッチ52と、エレベート下面検出センサ35とにより規制される。第1トレイ82は、後述するエレベートモータ62により駆動される。
排紙先が第2トレイ88に設定されているときには、図示を省略した切替機構によって搬送方向が切り替えられることによって、用紙S1が画像形成装置1から第1搬送路91へと搬送される。これにより、用紙S1は、第2トレイ88に排出される。後処理装置2には、トレイ内の用紙量が一定量に達したことを検出する第2トレイフル検出センサ31が設けられている。
排紙先が冊子トレイ89に設定されているときには、図示を省略した切替機構によって搬送方向が切り替えられることによって、用紙S1が1枚ずつ画像形成装置1から第2搬送路92へと搬送され、続いて第2搬送路92から第4搬送路94へと搬送される。第4搬送路94は略鉛直に下方向へと延びている。このため、第4搬送路94に搬送された用紙S1は、自重により、第4搬送路94の上流から下流へと進行する。第4搬送路94の末端まで進行した用紙S1は、後処理装置2内に収納された製本処理部22へ搬入される。製本処理部22には、搬入センサ40、サドル搬入ローラ77、ステープルユニット67、折りナイフ78、折りローラ79、先端ストッパ74等が設けられている。
図5を用いて製本処理部22を詳細に説明する。製本処理部22の内部には、搬入口25から始まり、所定の傾斜角度で開閉ガイド24方向へと一直線上に続く搬送路が形成されている。この搬送路に沿って、上パドル75と、用紙検出センサ37と、第1整合板80および第2整合板81と、ステープルユニット67と、折りナイフ78と、一対の折りローラ79と、下パドル76と、先端ストッパホームセンサ39とが設けられている。さらに、この搬送路には、先端ストッパ74が搬送路に沿って往復移動可能に設けられている。
先端ストッパ74は、製本処理部22に搬入された用紙の先端を突き当てることによって用紙の位置決めを行なうための部材である。先端ストッパホームセンサ39は、先端ストッパ74がホーム位置にあることを検出するためのセンサである。
ステープルユニット67は、図示を省略した駆動部によって、搬送直交方向に移動可能に構成されている。ステープルユニット67は、綴じ加工を実行する場合、所定のホーム位置から綴じ加工を行なう位置まで移動した上で、先端ストッパ74により位置決めされている用紙の束に針を打つ。ステープルユニット67は、針打ちを完了した後、再びホーム位置に退避する。後処理装置2には、ステープルユニット67のホーム位置を検出するためのステープルホームセンサ43が設けられている。
第1整合板80および第2整合板81は、ステープルユニット67を囲むようにして、各々、1枚ずつ搬送方向に沿って配置されている。図5では、図面の都合上、第1整合板80および第2整合板81の各々がステープルユニット67の上下に分割されて配置されたように表されているが、第1整合板80および第2整合板81の各々は、実際には、ステープルユニット67の配置スペース部分を切欠くように中央部分が略コの字状に形成された1枚板で形成されている。
第1整合板80および第2整合板81は、各々独立した駆動源によって搬送直交方向に往復移動することにより、第1整合板80および第2整合板81の間に位置する複数枚の用紙の両サイドを整合する機能を有する。
折りナイフ78は、搬送路に対して出退可能に構成されている。後処理装置2には、折りナイフ78のホーム位置を検出するための折りナイフホームセンサ42が設けられている。折りナイフ78、折りローラ79、および折りナイフホームセンサ42により、用紙に対して折り加工を行なうための折りユニット30が構成されている。
本実施の形態の説明では、製本処理部22の搬入口25から折りナイフ78が出退する位置までの搬送路部分を第5搬送路95と称し、それ以降、先端ストッパホームセンサ39が配置された末端位置までの搬送路部分を第6搬送路96と称する。
後処理装置2の本体21側から第4搬送路94を介して搬入される用紙は、搬入センサ40によって1枚ずつ検出される。搬入センサ40によって検出された用紙は、一対のサドル搬入ローラ77によって搬入口25から第5搬送路95へ搬送される。第5搬送路95へ搬送された用紙は、自重によって第5搬送路95の奥へと進行する。その際、上パドル75が用紙の表面に接触して回転することにより、用紙が1枚ずつ円滑に搬送される。
第5搬送路95の奥へと搬送された用紙は、処理すべき全ての用紙が搬入されるまで、一旦、第5搬送路95の予め定めた「収容位置」に先端ストッパ74によって留められる。第1整合板80および第2整合板81は、「収容位置」に用紙が搬入される毎に用紙の両サイドを整合させる。
処理すべきすべての用紙が搬入された時点で、先端ストッパ74が第5搬送路95の下方へ移動する。用紙束に対してステープル加工をする必要がある場合には、予め定めた「綴じ位置」で先端ストッパ74が停止する。その後、ステープルユニット67が動作して、「綴じ位置」で停止した用紙束に対してステープル加工が行なわれる。用紙束に対して折り加工をする必要がある場合には、予め定めた「折り位置」で先端ストッパ74が停止する。その後、折りナイフ78および折りローラ79が動作して、「折り位置」で停止した用紙束に対して折り加工が行なわれる。
折り加工が行なわれる用紙束は、折りナイフ78および折りローラ79によって折り目が形成されつつ、第7経路96から第8経路97へと搬送される。第8経路97へ搬送された折り加工済みの用紙束は、サドル排出センサ38で検出された後に機外の冊子トレイ89へ排出される。その結果、冊子トレイ89には、折り加工済みの冊子、または綴じ加工および折り加工済みの冊子が1部積載される。先端ストッパ74は、折り加工の終了に伴い第6搬送路96の最下端に位置するホーム位置に戻る。
図6に示すように、先端ストッパ74の先端部分は、内方向へ所定角度傾動することによって、突き当てられている用紙束を掴む動作が可能に構成されている。本実施の形態では、後処理中にジャムエラー(紙詰まりエラー、シートの搬送エラー)が発生した場合、先端ストッパ74が保持している用紙束を掴んだ状態で、開閉ガイド24が設けられたホーム位置まで退避する。その結果、紙詰まりの原因となったジャム用紙の先端が先端ストッパ74によって掴まれている場合には、そのジャム用紙を含む用紙束が開閉ガイド24の設けられた位置まで移動することになる。このとき、用紙束は、第6搬送路96に沿って設けられた下パドル76によって円滑に下方向へ移動する。
したがって、ユーザは、後処理装置2の扉23を開いて、製本処理部22を前方へ引き出した上で、開閉ガイド24を開くことによって、ジャムエラーの原因となった用紙を取り除くことができる。このため、ユーザは、手が届かない位置でジャムエラーが発生した場合であっても、紙詰まりを容易に解消できる。以下、先端ストッパ74の先端部分が内方向へ所定角度傾動した状態を「チャック状態」と称し、先端ストッパ74の先端部分が内方向へ傾動する前の状態を「リリース状態」と称する。
なお、ジャムエラーが発生したときに、折りナイフ78が折り加工中である場合、つまり、折りナイフ78が用紙と共に第7搬送路97に進入している場合には、折りナイフ78をホーム位置へ退避してから先端ストッパ74をホーム位置へ移動する。同様に、ジャムエラーが発生したときに、綴じ加工中である場合、つまり、ステープルユニット67がホーム位置にない場合には、ステープルユニット67をホーム位置へ退避してから先端ストッパ74をホーム位置へ移動する。いずれの場合も、紙詰まりの用紙を下方向へ引っ張り出すに際して、折りナイフ78あるいはステープルユニット67が邪魔になるからである。
また、ジャムエラーが発生したときに、用紙の位置が製本処理部22の搬入口25付近である場合には、先端ストッパ74を移動させない。先端ストッパ74を移動させなくても、搬入口25から容易に紙詰まりの原因となっている用紙を引き出すことができるからである。
さらに、ジャムエラーが発生したときに、折り加工済みの用紙束を第7搬送路97から排出中である場合には、先端ストッパ74を移動させない。先端ストッパ74を移動させなくても、第7搬送路97の排出口から容易に紙詰まりの原因となっている用紙を引き出すことができるからである。なお、折りローラ79に用紙束が噛み込んで動かない状態にある場合には、用紙を搬送できないため、先端ストッパ74を移動しない。
図7は、画像形成装置1のブロック図である。図7を参照して、画像形成装置1は、装置全体を制御するメイン制御部100と、ADF(Auto Document Feeder:自動原稿送り装置)11と、画像データ記憶部12と、表示部13と、音声出力部14と、外部機器インターフェイス15と、通信インターフェイス16とを備える。
メイン制御部100は、オペレーティングシステム(OS:Operating System)を含む各種プログラムを実行するためのCPU(Central Processing Unit)101と、CPU101で実行されるプログラムが予め格納されたROM(Read Only Memory)102と、CPU101のプログラム部分の実行に必要なデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)103とを備える。
メイン制御部100は、ADF11に載荷された原稿から画像を読み取り電子データ化する読取制御と、読み取られた画像に対して様々な画像処理を行なう画像処理制御と、画像処理された画像を既知の電子写真プロセスによって用紙に形成する画像形成制御と、画像が形成された用紙を搬送する用紙給送制御とを実行する。
表示部13は、タッチパネルによって構成されており、用紙に施す後処理の種類の設定、その他の様々な機能の操作設定を行ない、また設定された機能の確認や種々の警告等を表示可能に構成されている。表示部13には、たとえば、コピー枚数等を設定するテンキー、動作の開始を指示するスタートキー、動作の停止を指示するストップキー、各種設定条件を初期化するリセットキー等も表示される。
表示部13からメイン制御部100へは、ユーザの操作に基づいて、印刷用紙のサイズ情報、後処理の種別情報(折り・綴じの有無およびそれらの種類)が入力される。メイン制御部100は、これらの情報を通信インターフェイス16を通じで後処理装置2へ送信する。
音声出力部14からは操作音や警告音、紙詰まり等のエラーが発生した場合のエラー音が出力される。外部機器インターフェイス15には外部のネットワーク17が接続される。これにより、ネットワーク上の他の機器と通信可能に構成されている。
なお、画像形成装置1は、複写(コピー)機能のほかに、原稿を読み取って画像データを取得するスキャン機能、および図示しないが外部のパソコン等の機器から画像データを受信し、印刷を行なうプリント機能、ファクシミリ送信が可能なFAX機能等を備えている。
図8は、後処理装置2のブロック図である。図8を参照して、後処理装置2は、後処理装置処理2の全体を制御するフィニッシャ制御部200と、画像処理装置1と情報の通信を行なうための通信インターフェイス87とを備える。フィニッシャ制御部200は、オペレーティングシステムを含む各種プログラムを実行するためのCPU201と、CPU201で実行されるプログラムが予め格納されたROM202と、CPU201のプログラム部分の実行に必要なデータを一時的に記憶するRAM203とを備える。
フィニッシャ制御部200は、画像形成装置1から搬入された用紙を設定に応じた所定の搬送路へと搬送する用紙搬送制御、ステープルユニット67を制御する綴じ制御、折りユニット30を制御する折り制御、先端ストッパ74を制御する先端ストッパ制御などを実行する。
フィニッシャ制御部200には、図4および図5を用いて説明した各種のセンサ(第2トレイフル検出センサ31、冊子トレイフル検出センサ33、エレベート上面検出センサ34、エレベート下面検出センサ35、用紙検出センサ37、サドル排出センサ38、先端ストッパホームセンサ39、搬入センサ40、折りナイフホームセンサ42、ステープルホームセンサ43)およびスイッチ(エレベート上限リミットスイッチ51、エレベート下限リミットスイッチ52)が接続されており、各センサおよびスイッチより検出信号が入力される。
フィニッシャ制御部200には、先端ストッパ74を「チャック状態」に変化させるためのチャックソレノイド53と、先端ストッパ74を第5搬送路95および第6搬送路96内で往復移動させるための先端ストッパモータ54とが接続されている。
さらに、フィニッシャ制御部200には、ステープルユニット67と、上パドル75を回転駆動する上パドルモータ55と、下パドル76を回転駆動する下パドルモータ56と、サドル搬入ローラ77を回転駆動するサドル搬入ローラモータ57と、折りナイフ78を駆動する折りナイフモータ58と、折りローラ79を回転駆動する折りローラモータ59と、第1整合板80を駆動する第1整合板モータ60と、第2整合板81を駆動する第2整合板モータ61と、第1トレイ82を昇降駆動するエレベートモータ62とが接続されている。
図9は、製本処理部22内の搬送路を説明するための図である。また、図10〜図12は、製本処理部22内の先端ストッパ74の移動を説明するための図である。製本処理部22の内部には、搬入口25から先端ストッパホームセンサ39が位置する末端まで一直線上に続く、第5搬送路95および第6搬送路96から成る搬送路が形成されている。第5搬送路95と第6搬送路96との境界部分からは、折りナイフ78が突き当てられた用紙束が進行する第7搬送路97が分岐している。
図9において、PA、PB、PC、およびPHは、先端ストッパ74の位置を示している。PAは、後処理単位の全ての用紙が搬入されるまで製本処理部22に搬入された用紙を一旦、留めて収容するための「収容位置」を示す。PBは、用紙束に綴じ加工をするときの「綴じ位置」を示す。PCは、用紙束に折り加工をするときの「折り位置」を示す。PHは、先端ストッパ74の「ホーム位置」を示す。
PSは、用紙を収容位置PAに留めるときに基準となる「基準位置(用紙後端揃え位置)」を示す。基準位置PSからホーム位置PHまでの搬送路長はLZである。基準位置PSからステープルユニット67の搬送方向中心までの距離はLXである。さらに、ステープルユニット67の搬送方向中心から第7搬送路97までの距離はLYである。
フィニッシャ制御部200は、収容する用紙の後端が用紙サイズに関わらず常に基準位置PSに揃うように、収容位置PAを用紙サイズに応じて変化させる。また、フィニッシャ制御部200は、用紙サイズおよび加工内容に応じて、綴じ位置PBおよび折り位置PCを変化させる。
図10を参照して、収容位置PAの範囲について説明する。フィニッシャ制御部200は、収容位置PAをPA1〜PA2の△L1の範囲で調整する。PA1は最小用紙サイズの用紙S1に対応する位置を示している。また、PA2は最大用紙サイズの用紙S1に対応する位置を示している。基準位置PSからPA1までの距離はLA1であり、基準位置PSからPA2までの距離はLA2である。フィニッシャ制御部200は、用紙サイズ毎に収容位置PAを記憶している。
フィニッシャ制御部200は、画像処理装置1から入力された用紙サイズ情報に応じた収容位置PAを選択し、製本処理部22に用紙が搬入される前に先端ストッパ74をホーム位置から適切な収容位置PAに移動させる。その結果、用紙のサイズに関わらず、収容位置PAに留められる用紙の後端が基準位置PSに揃えられる。最小用紙サイズは、たとえば、A4サイズである。なお、A4サイズよりも小さいサイズの用紙が搬入される場合には、収容位置は一律にPA1に設定される。
図11を参照して、綴じ位置PBの範囲について説明する。フィニッシャ制御部200は、用紙S1のサイズに応じて、かつ、綴じ加工の種類に応じて、綴じ位置PBを収容位置PAから△L2の範囲で調整する。フィニッシャ制御部200は、用紙サイズおよび綴じ加工の種類毎に綴じ位置PBを記憶している。
フィニッシャ制御部200は、用紙サイズおよび綴じ加工の種類に応じた綴じ位置PBを選択し、先端ストッパ74を収容位置PAから適切な綴じ位置PBに移動させる。このとき、先端ストッパ74に収容されている用紙束をより確実に綴じ位置に引き込むために、先端ストッパ74によって用紙を掴んだ状態とした上で、先端ストッパ74を綴じ位置PBに移動させる。その結果、用紙束が適切な綴じ位置で停止する。なお、先端ストッパ74で用紙を掴んだ状態とせずに、先端ストッパ74を収容位置PAから綴じ位置PBまで移動させ、用紙束の自重によって用紙束を綴じ位置PBまで落下させてもよい。
図12を参照して、折り位置PCの範囲について説明する。折り位置PCは、用紙S1のサイズに応じて、かつ、折り加工の種類に応じて、△L3の範囲で変動する。フィニッシャ制御部200は、用紙サイズおよび折り加工の種類毎に収容位置PCを記憶している。
フィニッシャ制御部200は、用紙S1のサイズおよび折り加工の種類に応じた折り位置PCを選択し、先端ストッパ74を綴じ位置PBから適切な折り位置PCに移動させる。このとき、先端ストッパ74に収容されている用紙束をより確実に綴じ位置に引き込むために、先端ストッパ74によって用紙を掴んだ状態とした上で、先端ストッパ74を折り位置PCに移動させる。その結果、用紙束が適切な折り位置で停止する。なお、先端ストッパ74を用紙を掴んだ状態とせずに、先端ストッパ74を綴じ位置PBから折り位置PCまで移動させ、用紙束の自重によって用紙束を折り位置PCまで落下させてもよい。
次に、図13を用いて、製本処理部22内でジャムエラーが発生した場合のエラー処理について説明する。製本処理部22内では、先端ストッパ74によって紙の位置が制御される。このため、製本処理部22内でジャムエラーが発生した場合、紙詰まりを起こした用紙の先端は先端ストッパ74付近に位置している場合がある。そこで、本実施の形態に関わる後処理装置2は、ジャムエラーが発生した場合には、先端ストッパ74を「チャック状態」にした上で、ユーザが容易にアクセス可能な開閉ガイドが設けられたホーム位置まで先端ストッパ74を移動させる制御を実行する。
ただし、ジャムエラーが発生したときの先端ストッパ74の位置が搬送路の上方位置の場合には、先端ストッパ74を移動させなくても、ユーザが搬入口25(図2参照)に手を入れて容易に紙詰まりを解消できる場合がある。そこで、本実施の形態に関わる後処理装置2は、ジャムエラーが発生したときの用紙の後端位置が基準位置PSよりも奥である場合に限り、先端ストッパ74をホーム位置まで移動させる。
図13には、製本処理部22内の搬送路として、第5搬送路95、第6搬送路96、および第7搬送路97が示されている。ジャムエラーが発生したときの用紙の後端位置が基準位置PSよりも奥であるか否かは、以下の手順によって判別される。
すなわち、基準位置PSを基準とする搬送路長をLZとし、先端ストッパ74に位置する用紙S1の搬送方向長さをLSとする。また、ジャムエラーが発生したときの先端ストッパ74のホーム位置PHからの距離をLPとする。
LPは、たとえば、先端ストッパモータ54のステッピングパルス数に基づいて算出される。LSは、画像形成装置1から入力される用紙サイズに基づいて特定される。LZは、予め定められた値である。そこで、まず、閾値としてのLTHを「LZ−LP」により算出する。次に、LTHとLSとを比較する。算出されたLTHよりもLSが小さいときには、ジャムエラーが発生したときの用紙の後端位置が基準位置PSよりも奥であると判別できる。この場合、先端ストッパ74を「チャック状態」に制御した上でホーム位置まで移動する。
あるいは、LZ−(LS+LP)を算出し、算出結果が0を超える場合には、ジャムエラーが発生したときの用紙の後端位置が基準位置PSよりも奥であると判別し、先端ストッパ74を「チャック状態」に制御した上でホーム位置まで移動してもよい。
図14は、用紙S1を「収容位置」へ搬送するときの折りローラ79の動作を説明するための図である。搬入される用紙S1は環境条件などにより、一方向にカールする。たとえば、図14(A)に示すように、先端が上に跳ね上がるようにカールした用紙S1が「折り位置」へと搬送される際には、その先端が「収容位置」に到達する前に一対の折りローラ79間に形成される第7搬送路97へ進入するおそれがある。このような動作は、紙詰まりの原因となる。
そこで、本実施の形態では、図示を省略した先端ストッパ74を「収容位置」へ移動した後、図14(A)に示すように、折りローラ79を図示の矢印方向に回転させる。これによって、図14(A)および(B)に示すように、カールした用紙S1の先端が折りローラ79の回転によって、搬送路の下方向へと案内され、第7搬送路97へ進入することが防止される。その後、図14(C)に示すように、用紙S1の先端は搬送路の下方へと向かい、やがて図示を省略した先端ストッパ74に突き当たる。なお、図14(A)〜図14(C)の動作の間、折りナイフ78はホーム位置に停止している。
このように、本実施の形態では、折り加工部材である折りローラ79をカール用紙の搬送を補助する補助部材としても兼用している。
図15は、折り動作を説明するための図である。用紙束が「折り位置」に到達し、所定時間が経過した後に折りナイフ78がホーム位置から駆動される。図15(A)に示すように、やがて折りナイフ78の先端が用紙束の折り位置に突き当たることで、用紙束が折り加工されつつ、第7搬送路97へと向かう。
折りナイフ78の駆動を開始してから所定の待機時間が経過した後に、折りローラ79の駆動が開始される。一対の折りローラ79の双方は、折りローラ79の間に用紙を巻き込むようにそれぞれ回転する。これにより、図15(B)に示すように、中折り等の折り動作が実行される。なお、所定の待機時間は、「中綴じ有かつ用紙束の用紙枚数が6枚〜15枚」のときと、「中折りのみ(綴じ加工しない)かつ用紙束の用紙枚数が2枚〜5枚」または「中綴じ有かつ用紙束の用紙枚数が2枚〜5枚」のときとで異なる。フィニッシャ制御部200は、これらの待機時間を予め記憶しており、条件に対応する待機時間で折りローラ79を制御する。
やがて、図15(C)に示すように、折り加工が完了した用紙束が折りローラ79間の第7搬送路97から排出される。折りローラ79間を通過した用紙束は、サドル排出センサ38により検出される。フィニッシャ制御部200は、サドル排出センサ38から検出信号が入力されたときに一単位の用紙束の折り加工が終了したと判断し、折りローラ79の駆動を停止するとともに、折りナイフ78をホーム位置に退避させる。第7搬送路97から排出された用紙は、冊子トレイ89(図5参照)に載置される。
図16は、製本処理部22の動作を説明するためのタイミングチャートである。ここでは、2枚の用紙を用紙束として中綴じする場合について説明する。まず、製本処理部22に搬入された1枚目の用紙が搬入センサ40によって検出される(T1〜T2)。このとき、先端ストッパ74は既に用紙サイズに応じた「収容位置」で停止している。また、チャックソレノイド53は励磁されておらず、したがって、先端ストッパ74は「チャック状態」ではない。さらに、ステープルユニット67および折りナイフ78は各々、ホーム位置で停止している。
1枚目の用紙が検出された時点(T1)で上パドル75が回転を開始する。また、やがて、折りローラ79が折り動作時とは逆方向への回転を開始する(T2)。
搬入センサ40によって検出された用紙は、やがて、「収容位置」に停止している先端ストッパ74と突き当たる。すると、第1整合板80および第2整合板81が以下のように動作することによって1枚目の用紙の両サイドが整合される。
すなわち、まず、第1整合板80が用紙の一方のサイド位置まで移動し(T4〜T6)、停止する。一方、第2整合板81は、第1整合板80の移動開始時刻よりも遅れて移動を開始し(T5)、用紙の他方のサイド位置まで達した段階で移動を停止する(T7)。
これにより、まず、用紙の一方のサイドに第1整合板80が突き当たり、続いて用紙の他方のサイドに第2整合板81が突き当たる。やがて、折りローラ79の回転が停止する(T8)。なお、T3〜T4およびT3〜T5は所定値である。T6〜T10は245msである。T7〜T9は220msである。
次に、第2整合板81が用紙の他方のサイド位置からの移動を開始し(T9)、やがて、ホーム位置に復帰する(T11)。一方、第1整合板80は、第2整合板81の移動開始時刻よりも遅れて移動を開始し(T10)、やがて、ホーム位置に復帰する(T12)。これにより、第1整合板80および第2整合板81による1枚目の用紙の整合が完了する。
続いて、2枚目の用紙が搬入センサ40によって検出されると、1枚目の用紙に対する制御動作と共通の制御動作が実行される。これによって、1枚目および2枚目の用紙から成る用紙束に対する整合が完了する。また、このとき、上パドルの回転は停止する。
次に、チャックソレノイド53が励磁されることにより、先端ストッパ74が「チャック状態」となる(T14)。次に、先端ストッパ74が用紙束を掴んだ状態で「綴じ位置(ここでは特に中綴じ位置)」へ移動する(T15〜T16)。その後、チャックソレノイド53が消磁されることで先端ストッパ74は「チャック状態」から「リリース状態」となる(T17)。
次に、用紙押さえ処理が実行される。すなわち、まず、第1整合板80が用紙束の一方のサイド位置まで移動し(T18〜T20)、停止する。一方、第2整合板81は、第1整合板80の移動開始時刻よりも遅れて移動を開始し(T19)、用紙束の他方のサイド位置まで達した段階で移動を停止する(T21)。
これにより、まず、用紙束の一方のサイドに第1整合板80が突き当たり、続いて用紙束の他方のサイドに第2整合板81が突き当たることで、用紙束の両サイドが押さえられる。
次に、ステープルユニット67が作動することにより、用紙束に対して針打ちが行なわれる(T22〜T23)。その後、第2整合板81が用紙束の他方のサイド位置からの移動を開始し(T24)、やがて、ホーム位置に復帰する(T26)。一方、第1整合板80は、第2整合板81の移動開始時刻よりも遅れて移動を開始し(T25)、やがて、ホーム位置に復帰する(T27)。これにより、第1整合板80および第2整合板81の離れ処理が完了する。なお、T16〜T18は5msである。T18〜T19は30msである。T23〜T25は30msである。T23〜T24は5msである。
第1整合板80がホーム位置に復帰するタイミングと同タイミングで、チャックソレノイド53が励磁されることにより、先端ストッパ74が「チャック状態」となる(T27)。次に、先端ストッパ74が用紙束を掴んだ状態で「折り位置(ここでは特に中折り位置)」へ移動する(T28〜T29)。その後、チャックソレノイド53が消磁されることで先端ストッパ74は「チャック状態」から「リリース状態」となる(T30)。
次に、折りナイフの駆動が開始され(T31)、続いて折りローラ79の駆動が開始される(T32)ことにより、中折り加工が行なわれる。やがて、用紙束が折り進められることにより折りナイフ78を離れると、折りナイフ78はホーム位置へ復帰する(T33)。また、先端ストッパ74もホーム位置へ復帰する(T34〜T36)。さらに、中折り加工された用紙束がサドル排出センサ38(図5参照)により検出されると、折りローラ79の回転が停止する(T35)。
図17は、折り動作をより詳細に説明するためのタイミングチャートである。また、図18は、図17に示すT25〜T29の具体例である。ここでは、特に用紙を2つ折りする動作について説明する。まず、先端ストッパ74が「中折り位置」に到達した後、励磁されていたチャックソレノイド53が消磁されることにより、先端ストッパ74は「リリース状態」となる(Ta1)。次に、折りナイフ78の駆動が開始される(Ta2)。Ta1〜Ta2は、T25(200ms)である。
続いて折りローラ79が起動される。折りローラ79の起動タイミングは、中折りする用紙の枚数によって異ならせている。これは、用紙束の厚みによって用紙束が折りローラ79に噛み込むタイミングが違うからである。具体的には、用紙枚数が6〜15枚ではTa3の時点である。これは、チャックソレノイド53を消磁してからT26(100ms)が経過した後である。用紙枚数が2〜5枚ではTa4の時点である。これは、折りナイフ78がホーム位置へ到達した時点である。
折りローラ79は、起動後、途中で速度を高速に切り替える。速度を切り替えるタイミングは、中折りする用紙の枚数によって異ならせている。これは、用紙束の厚みによって折りローラへ79への用紙束の噛み込み量が異なるからである。具体的には、用紙枚数が6〜15枚では、折りローラ79の起動からT27(300ms)が経過した時点(Ta5)である。用紙枚数が2〜5枚では、折りローラ79の起動からT28(100ms)が経過した時点(Ta5)である。
折りローラ79を駆動することによって、やがて中折り加工された用紙束がサドル排出センサ38によって検出される。Ta6は、中折りされた用紙束の後端がサドル排出センサ38によって検出された時点を示す。ただし、冊子トレイ89に排出するために、所定時間T29(300ms)だけ、折りローラ79の駆動を継続し、Ta7の時点で折りローラの駆動を停止する。
以上、説明した中折り動作において、中折り時間は、折りナイフ78がホーム位置からの移動を開始してから、中折りされた用紙束の後端がサドル排出センサ38によって検出されるまで(Ta2〜Ta6)の時間である。
図19は、後処理装置2の制御動作を説明するためのフローチャートである。この処理は、フィニッシャ制御部200が予めROM202に記憶された制御プログラムに従って実行する。まず、フィニッシャ制御部200は、画像形成装置1からサイズモード情報を受信する(S10)。サイズモード情報には、後処理する用紙のサイズおよび後処理の種類に関する情報が含まれる。後処理が要求されている場合には、用紙サイズに応じた「収容位置」へ先端ストッパ74を移動させる(S12)。
次に、画像形成装置1から搬入された用紙を「収容位置」へ搬送する(S14)。次に、第1整合板80および第2整合板81により用紙を揃えて整合させる(S16)。次に、後処理単位のすべての用紙を搬入済みであるか否か判断する(S18)。
未だ用紙が全ての用紙を搬入済みでないときには、S14〜S18の処理を繰り返す。やがて、全ての用紙が搬入されると、先端ストッパ74をチャック状態とした上で「綴じ位置」へ移動することによって、「収容位置」に留められている用紙を「綴じ位置」へ移動する(S20)。
次にステープル処理(綴じ処理)を実行する(S22)。このとき、既に説明したように、フィニッシャ制御部200は、第1整合板80および第2整合板81による用紙押さえ処理を併せて実行する。
次に、先端ストッパ74をチャック状態とした上で「折り位置」へ移動することによって、「綴じ位置」に留められている用紙を「折り位置」へ移動する(S24)。
次に折り処理を実行する(S26)。折り処理により折られた用紙束は、冊子トレイ89に排出される。以上により、後処理装置2の制御動作が終了する。
図20は、後処理装置2のエラー処理を説明するためのフローチャートである。この処理は、フィニッシャ制御部200が予めROM202に記憶された制御プログラムに従って実行する。まず、フィニッシャ制御部200は、ジャムエラー(紙詰まりエラー)が発生したか否かを判断する(S40)。
ジャムエラーの発生の有無は、製本処理部22内に設けた各種センサの検出信号とフィニッシャ制御部200が内蔵するタイマとに基づいて判断される。たとえば、あるセンサから所定時間以上、継続して用紙検出有の検出信号が入力される場合、その部分でジャムエラーが発生していると判断できる。S40においてジャムエラーが発生していないと判断した場合には処理を終了する。
ジャムエラーが発生していると判断したときには、先端ストッパ74の位置が「収容位置」であるか否かを判断する(S42)。先端ストッパ74の位置が「収容位置」である場合には、先端ストッパ74を移動することなく処理を終了する。これは、先端ストッパ74の位置が「収容位置」である場合、用紙の後端が製本処理部22の搬入口25付近に存在するため、先端ストッパ74を移動せずとも紙詰まりを容易に解消できるからである。
S42において先端ストッパ74の位置が「収容位置」でないと判断した場合、続いて先端ストッパ74の位置が「折り位置」であるか否かを判断する(S44)。先端ストッパ74の位置が「折り位置」である場合、「折り位置」に位置している用紙の用紙長が閾値以下であるか否かを判断する(S46)。つまり、「折り位置」に位置している用紙の後端位置が搬送路の基準位置PS(図13参照)よりも搬送方向の奥にあるか否かを判断する。この判断手法は、図13を用いて説明したとおりである。
「折り位置」に位置している用紙の後端位置が搬送路の基準位置PS(図13参照)よりも搬送方向の奥にある場合には、S46でYESと判断される。この場合、サドル排出センサ38で用紙が検出されているか否かを判断する(S48)。サドル排出センサ38から検出信号が入力されている場合、ジャムエラーの発生が検出された時点で、折り加工済みの用紙束を冊子トレイ89に向かって排出中であることになる。
この場合、先端ストッパ74をホーム位置に移動させなくても、冊子トレイ89に向かう第7搬送路97(図5参照)の排出口から容易に紙詰まりの原因となっている用紙を引き出すことができる。このため、S48において、サドル排出センサ38で用紙が検出されていると判断したときには、先端ストッパ74を移動することなく処理を終了する。
S48において、サドル排出センサ38で用紙が検出されていないと判断したときには、折りナイフ78をホーム位置に移動する(S50)。これによって、突き出した折りナイフ78が先端ストッパ74の移動を阻害することがない。
次に、先端ストッパ74をチャック状態に制御し、先端ストッパ74に位置する用紙を掴む(S52)。続いて、先端ストッパ74をホーム位置に移動する(S54)。詰まりの原因となった用紙の先端が先端ストッパ74によって掴まれている場合には、その用紙毎、用紙束が開閉ガイド24まで移動する。ユーザは、製本処理部22の開閉ガイド24を開くことによって、手が届かない位置で発生した紙詰まりを容易に解消できる。
S44において先端ストッパ74の位置が「折り位置」でないと判断した場合、続いて先端ストッパ74の位置が「綴じ位置」であるか否かを判断する(S56)。先端ストッパ74の位置が「綴じ位置」である場合、「綴じ位置」に位置している用紙の用紙長が閾値以下であるか否かを判断する(S58)。つまり、「綴じ位置」に位置している用紙の後端位置が搬送路の基準位置PS(図13参照)よりも搬送方向の奥にあるか否かを判断する。この判断手法は、図13を用いて説明したとおりである。
「綴じ位置」に位置している用紙の後端位置が搬送路の基準位置PS(図13参照)よりも搬送方向の奥にある場合には、S58でYESと判断される。この場合、ステープルユニット67をホーム位置に移動する(S60)。これによって、搬送路に突き出したステープルユニット67が先端ストッパ74の移動を阻害することがない。その後、既に説明したS50〜S54の処理が実行される。
S46またはS58において、NOと判断した場合には、先端ストッパ74を移動させることなく処理を終了する。これは、用紙の後端位置が搬送路の基準位置PSよりも搬送方向の奥に位置しないため、ユーザは搬入口25から用紙に対して容易にアクセスすることが可能であるためである。
S56において先端ストッパ74の位置が「綴じ位置」でないと判断する場合とは、すなわち、先端ストッパ74の位置が不明である場合である。このような状況は、たとえば、ジャムエラーが発生した時点でユーザが後処理装置2の電源をOFF/ONするなどしたために、フィニッシャ制御部200が記憶していた先端ストッパ74の位置情報が失われることによって生じる。
S56において先端ストッパ74の位置が「綴じ位置」でないと判断した場合、搬入口25付近に設けられた用紙検出センサ37で用紙が検出されているか否かを判断する(S62)。用紙検出センサ37で用紙が検出されている場合、ユーザは搬入口25から用紙にアクセスすることが可能であるため、先端ストッパ74を移動せず、処理を終了する。
これに対して、用紙検出センサ37で用紙が検出されていない場合、用紙がユーザの手の届かないあるいは届き難い奥に位置すると考えられるため、S50〜S54を実行する。これにより、チャック状態とされた先端ストッパ74と共に用紙がホーム位置へ移動する。なお、このとき、ステープルユニット67をさらにホーム位置に退避させた上で先端ストッパ74を移動させることが望ましい。
以上、説明したように、本実施の形態によれば、ジャムエラーが発生したときに、先端ストッパ74が用紙を掴んだ状態で開閉ガイド24が設けられた位置まで移動するため、容易に紙詰まりを解消できる。
また、紙詰まりの解消のために、折りユニットやステープルユニットをユーザが自らの手で退避位置まで移動した上で、紙を取り除く必要がない。このため、手作業で紙詰まりを楽に解消できるように、折りユニットやステープルユニットの手動操作による可動範囲を大きくする必要がなくなる。このため、製本処理部22を小型化することも可能になる。
なお、コンピュータを機能させて、上述のフローチャートで説明したような制御を実行させるプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、ROM、RAMおよびメモリカードなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
なお、プログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
また、本発明にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
次に、以上、説明した本実施の形態の変形例について述べる。
(1) 本実施の形態では、「収容位置」に収容する用紙の後端が予め定めた基準位置(用紙後端揃え位置)PSに揃うように、「収容位置」を紙サイズに応じて変化させた。また、ジャムエラーが発生した場合には、用紙の後端が基準位置PSに位置するか否かに基づいて、チャック状態とした先端ストッパ74をホーム位置まで移動するか否かを決定した。
しかしながら、チャック状態とした先端ストッパ74をホーム位置まで移動するか否かを決定するときの移動基準位置を、用紙後端揃え位置PSと異ならせてもよい。たとえば、移動基準位置は用紙後端揃え位置PSよりも搬送路方向の奥に定めてもよく、あるいは、搬送路方向手前に定めてもよい。たとえば、製本処理部22の搬入口25からわずかに用紙の後端が露出する位置を移動基準位置としてもよい。要するに移動基準位置は、製本処理部22の搬入口25の大きさやその付近の構造を考慮してユーザの手が届く範囲として定めた位置に決定してやればよい。このため、たとえば、移動基準位置は、ユーザの手が届く限り、第1整合板80および第2整合板81よりも搬送路の奥に定めてもよい。
(2) 後処理装置2内の搬送路の末端(最下流位置)には、折ユニットや綴じユニット等の後処理ユニットが存在しない。このため、ジャムエラーが発生したときにジャムエラー解消のために先端ストッパ74を移動させる“エラー処理位置”を後処理装置2内の搬送路の末端(最下流位置)に設定することにより、ジャム用紙を取り出すための取出部(たとえば、開閉ガイド24)を設けることが容易である。
しかしながら、ジャムエラーが発生したときに先端ストッパ74を移動させる“エラー処理位置”は、後処理装置2内の搬送路の末端(最下流位置)でなくてもよい。たとえば、図5を参照して、“エラー処理位置”を第6搬送路96の下パドル76が設けられた位置より僅かに下に設定してもよい。この場合、開閉ガイド24の取り付け位置も若干上に移動してもよい。あるいは、下パドル76を設けなくてもよい。下パドル76を設けない場合には、“エラー処理位置”を第6搬送路96のさらに搬送方向上方に設けてもよい。
“エラー処理位置”を折りナイフ78が出没する位置より僅かに下に設定することも考えられる。つまり、“エラー処理位置”は、搬送方向で後処理手段(折りナイフ78、折りローラ79、ステープルユニット67)が設けられた位置よりも下流側であれば、いずれの箇所に設定してもよい。いずれの場合にも“エラー処理位置”に対応する箇所にジャム用紙を取り出すための取出部(たとえば、開閉ガイド24)を設ける。
また、本実施の形態では、ジャムエラーが発生したときに先端ストッパ74を移動させる位置を先端ストッパホームセンサ39によって検出されるホーム位置とした。しかしながら、ジャムエラーが発生したときに先端ストッパ74を移動させる位置と先端ストッパ74のホーム位置とを別に設定してもよい。つまり、ジャムエラーが発生したときに先端ストッパ74を移動させる位置に対して、先端ストッパホームセンサ39とは別のセンサを設けてもよい。
また、後処理ユニット(後処理手段)としては、ステープルユニット67や折りナイフ78、折りローラ79に限られるものではなく、用紙にパンチ穴を開けるユニット、その他のユニットをさらに製本処理部22に配置してもよい。
(3) 製本処理部22はフィニッシャ制御部200により制御されるものとして説明した。しかしながら、画像形成装置1側のメイン制御部100が製本処理部22を制御する構成としてもよい。この場合、図19および図20のフローチャートに従う制御動作は、メイン制御部100が実行する。また、図8に示した各種センサやスイッチ、ソレノイド、モータ等は、およびステープルユニットは、メイン制御部100に接続してもよい。あるいは、図8の構成に示すフィニッシャ制御部が製本処理部22の制御に必要な情報(センサ検出信号等)を通信インターフェイス87を介してメイン制御部100へ送信してもよい。
(4) 画像形成装置1と後処理装置2とは、連結可能に構成された別体の装置である。しかしながら、画像形成装置1に後処理装置2の機能のすべてを設けてもよい。
(5) 本実施の形態は、ジャムエラーが発生したときに、チャック状態とした先端ストッパ74をホーム位置へ移動する。しかしながら、紙詰まり以外の後処理装置2内のエラーが発生したときにも同様にチャック状態とした先端ストッパ74をホーム位置へ移動してもよい。これにより、たとえば、後処理ユニット(ステープルユニット、折ユニット)の動作不良時に、先端ストッパ74を用紙ごとホーム位置へ退避させることにより、後処理ユニットの点検作業が容易になる。
(6) 本実施の形態では、ジャムエラーが発生したときに用紙の後端が基準位置PSにある場合には、先端ストッパ74を移動しないようにした。しかしながら、ジャムエラーが発生したときに、用紙の後端が基準位置PSにあるか否かに関する判断(図20のS42、S44、S46、S56、S58)を行なうことなく、チャック状態とした先端ストッパ74をホーム位置へ移動してもよい。
(7) 先端ストッパ74のチャック状態は、図6に示した構造以外の構造によって実現することも可能である。たとえば、先端ストッパ74の先端が内向きに傾動する構造に代えて、先端ストッパ74の先端部分に、突き当てられた用紙を押さえるために用紙方向に出没可能に動作する押さえ部材を設けてもよい。また、先端ストッパ74の先端を伸縮可能に構成し、チャック状態に制御する際には用紙を掴む範囲を広くするために先端ストッパ74の先端を延ばすようにしてもよい。
(8) 本実施の形態では、画像形成装置1または後処理装置2により搬送されるシートとして紙をその一例に挙げて説明した。しかし、シートは、紙に限られるものではなく、布、ポリエステルなど画像を形成可能でありかつ後処理可能な部材であればよい。
(9) 今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。