(原理的構成)
図1は、この発明に従う出力負荷駆動装置の全体の構成を概略的に示す図である。図1において、出力負荷駆動装置1は、誘導性負荷LMを入力信号VINに従って駆動する。誘導性負荷LMは、正側出力ノードPO(+)と負側出力ノードPO(−)の間に接続される。
出力駆動装置1は、正側出力ノードPO(+)を駆動する正側出力駆動回路2Aと、負側出力ノードPO(−)を駆動する負側出力駆動回路2Bを含む。これらの出力駆動回路2Aおよび2Bは、相補的に動作し、誘導性負荷LMに、双方向に電流を流す。
正側出力駆動回路2Aは、入力信号VINと基準電圧VRFとに従って指令値PWMIN1を生成する正側指令値生成回路3Aと、正側指令値PWMIN1に従ってゲート駆動信号PG1およびNG1を生成する正側ゲート駆動回路4Aと、正側ゲート駆動信号PG1およびNG1に従って正側出力ノードPO(+)を駆動する出力回路5Aを含む。
正側指令値生成回路3Aは、また、正側出力ノードPO(+)の信号を受け、正側出力ノードPO(+)の信号(以下、正側出力ノードPO(+)とその上の電圧信号を同一符号PO(+)で示す)。正側指令値生成回路3Aは、入力信号VINと基準電圧VREFとを差動増幅し、さらにフィードバックされた正側出力信号PO(+)と生成した差分信号をさらに差動増幅して、正側指令値PWMIN1を生成する。
正側ゲート駆動回路4Aは、指令値PWMIN1に従ってデッドタイムを考慮して、出力回路5Aを駆動するゲート駆動信号PG1およびNG1を生成する。出力回路5Aは、電源ノードに結合されゲート駆動信号PG1をゲートに受けPチャネルMOSトランジスタ(絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)PT1と、ゲート駆動信号NG1をゲートに受けるNチャネルMOSトランジスタNT1とを含む。MOSトランジスタPT1は、導通時、正側出力ノードPO(+)をハイ側電源電圧VMレベルに駆動し、MOSトランジスタNT1は、導通時、正側出力ノードPO(+)をロー側電源電圧(接地電圧)VSSレベルに駆動する。
負側出力駆動回路2Bは、正側出力駆動回路2Aと同様、負側指令値生成回路3B、負側ゲート駆動回路4B、および出力回路5Bを含む。負側指令値生成回路3Bは、正側指令値生成回路3Aと相補な態様で、入力信号VINおよび基準電圧VREFを差動増幅し、この差動増幅信号と負側出力ノードPO(−)からフィードバックされた信号とをさらに差動増幅して、負側指令値PWMIN2を生成する。
負側ゲート駆動回路4Bは、指令値PWMIN2に従って、デッドタイムを考慮して出力回路5Bを駆動するゲート駆動信号PG2およびNG2を生成する。出力回路5Bは、ゲート駆動信号PG2をゲートに受けるPチャネルMOSトランジスタPT2およびゲート駆動信号NG2をゲートに受けるNチャネルMOSトランジスタNT2を含む。MOSトランジスタPT2は、導通時、負側出力ノードPO(−)をハイ側電源電圧VMレベルに駆動する。MOSトランジスタNT2は、導通時、負側出力ノードPO(−)をロー側電源電圧(接地電圧)VSSレベルに駆動する。
MOSトランジスタPT1およびNT1により、正側出力ノードPO(+)に対する充電および放電が行なわれ、MOSトランジスタPT2およびNT2により、負側出力ノードPO(−)の充電および放電が行なわれる。これらのMOSトランジスタPT1、NT1、PT2およびNT2は、一例として、パワーMOSトランジスタで構成され、誘導性負荷LMに大電流を供給して高速で駆動する。
図2は、図1に示す出力負荷駆動装置1の動作を示すタイミング図である。また、図3(A)−図3(H)は、図1に示す出力負荷駆動装置の出力回路のトランジスタの値を示す図である。以下、図2および図3を参照して、図1に示す出力負荷駆動装置の動作について簡単に説明する。
正側指令値生成回路3Aおよび負側指令値生成回路3Bは、入力信号VINの基準電圧VREFに対する電圧レベルに応じて、指令値PWMIN1およびPWMIN2をそれぞれ生成する。正側ゲート駆動回路4Aは、ハイ側指令値PWMIN1の立下がりに対してデッドタイムDTを設けて、ゲート制御信号NG1をHレベルに駆動し、出力回路5AのNチャネルMOSトランジスタNT1をオン状態へ駆動する。また、このとき、PチャネルMOSトランジスタPT1に対するゲート駆動信号PG1を、早いタイミングでHレベルに駆動し、PチャネルMOSトランジスタPT1をオフ状態に駆動する。
一方、負側ゲート駆動回路4Bは、負側指令値PWMIN2の立ち上がりに対しデッドタイムDTの遅延をもってゲート駆動信号NG2をLレベルに駆動し、対応の出力回路5BのNチャネルMOSトランジスタNT2をオフ状態に駆動し、その後、ゲート駆動信号PG2をLレベルに駆動して、PチャネルMOSトランジスタPT2をオフ状態へ駆動する。
MOSトランジスタPT1、NT1、PT2およびNT2はパワーMOSトランジスタであり、内部にボディダイオードBDD1−4をそれぞれ有しており、トランジスタのターンオフ時、このボディダイオードを介して誘導性負荷LMを流れる電流ILを継続的に生じさせる。すなわち、図2における指令値PWMIN1の立下がりエッジの状態S1において、指令値PWMIN2はLレベルである。このときには、図3(A)に示すように、ゲート駆動信号NG1およびPG1はLレベル、ゲート駆動信号PG2およびNG2はHレベルである。したがって、この状態S1においては、MOSトランジスタPT2およびNT1がオフ状態(非導通状態)であり、一方、MOSトランジスタPT1およびNT2がオン状態(導通状態)である。したがって、電流は、電源ノードVMからMOSトランジスタPT1出力ノードPO(+)、誘導性負荷LM、出力ノードPO(−)、およびMOSトランジスタNT2を介して接地ノードVSSに流れる。この電流により、誘導性負荷LMが駆動される。
次に、デッドタイムDTの期間となる。図2および図3(B)に示すように、デッドタイム経過前の状態S2においては、ゲート制御信号PG1およびPG2がHレベル、ゲート駆動信号NG1がLレベル、ゲート駆動信号NG2がHレベルである。MOSトランジスタPG1およびPG2およびNG1がすべてオフ状態となり、MOSトランジスタNT2がオン状態となる。この場合、誘導性負荷LMにおいては、そのインダクタンス成分により、同一方向に誘導電流が流れる。この誘導電流の供給時においては、MOSトランジスタNT1のボディダイオードBDD2を介して接地ノードVSSから誘導性負荷LMに電流が供給される。ボディダイオードBDD2の電圧降下により、正側出力ノードPO(+)は、アンダーシュートが生じ、接地電圧VSSのLレベルよりもさらに低いLレベル(LU)となり、接地ノードVSSから誘導性負荷LMおよびMOSトランジスタNT2を介して、電流が接地ノードVSSへ流れる。ここで、ノードとその上の電圧を、同一符号で示す。
次に、デッドタイムDTが経過した後の、図2および図3(C)に示す平衡状態S3においては、ゲート駆動信号PG1、PG2およびNG1およびNG2がすべてHレベルである。したがって、MOSトランジスタPT1およびPT2がオフ状態、MOSトランジスタNT1およびNT2がオン状態である。この状態においては、図3(C)に示すように、電流が、MOSトランジスタNT1を介して誘導性負荷LMへ供給される。この状態は、いわゆる「接地回生」の状態であり、回生電流が、接地ノードVSSからMOSトランジスタNT1を介して誘導性負荷LMへ流れる。出力ノードPO(+)およびPO(−)の電圧レベルが等しく、Lレベルとなると、電流は流れない。
続いて、入力信号VINに従って、ハイ側指令値生成回路3Aからの指令値PWMIN1がHレベルに立ち上がる。この場合、図2および図3(D)に示す状態S4となる。この状態S4においては、図3(D)に示すように、ゲート制御信号PG1、PG2およびNG2がHレベルであり、ゲート制御信号NG1が、Lレベルに移行し、したがって、MOSトランジスタPT1、PT2およびNT1がオフ状態、MOSトランジスタNT2がオン状態である。MOSトランジスタNT1のボディダイオードBDD2から誘導性負荷LMを介してMOSトランジスタNT2に誘導電流が流れ、この電流が接地ノードVSSに流れる。正側出力ノードPO(+)の電圧レベルは、ボディダイオードBDD2の電圧降下により、Lレベルよりも低いLUレベルにまで低下する。
正側指令値PWMIN1が立ち上がってからデッドタイムの経過後で、ゲート制御信号NG1がLレベルとなった後、ゲート制御信号PG1がLレベルとなる(状態S5)。この状態S5においては、図3(E)に示すように、ゲート制御信号PG1およびNG1がLレベル、ゲート制御信号PG2およびNG2がHレベルであり、MOSトランジスタPT1およびNT2がオン状態、MOSトランジスタNT1およびPT2がオフ状態である。電流は、ハイ側電源ノードからMOSトランジスタPT1を介して誘導性負荷LMに供給され、誘導性負荷LMを流れる電流が、さらに、MOSトランジスタNT2を介して接地ノードに放電される。この状態S5において、正側出力ノードPO(+)の電圧は、Hレベルに上昇し、負側出力ノードPO(−)は、接地電圧レベルに維持される。
負側指令値生成回路3Bからの負側指令値PWMIN2がHレベルに立ち上がるエッジ(状態S6)においては、図3(F)に示すように、ゲート制御信号PG1およびNG1はLレベルであり、ゲート制御信号NG2がLレベルへ移行し、ゲート制御信号PG2がHレベルである。MOSトランジスタPT2、NT1およびNT2がオフ状態となり、MOSトランジスタPT1がオン状態を維持する。この状態S6においては、電流は、ハイ側電源ノードからMOSトランジスタPT1を介して誘導性負荷LMへ流れる。誘導性負荷LMを介して供給される電流は、MOSトランジスタPT2のボディダイオードBDD3を介してハイ側電源ノードへ流れる。この場合、負側出力ノードPO(−)は、ハイ側電源ノードの電圧よりもボディダイオードBDD3の電圧降下分高い電圧レベルとなり、負側出力ノードPO(−)の電圧レベルにオーバーシュートが生じ、その電圧レベルが、HOレベルとなる。この場合は、いわゆるデッド・オフ期間である。
デッドタイムが経過した状態S7においては、ゲート制御信号PG2がLレベルに低下し、MOSトランジスタPT2がオン状態となり、ボディダイオードBDD3によるオーバーシュート成分がなくなり、MOSトランジスタPT2により、負側出力ノードPO(−)は電源電圧レベルに維持される。
図3(G)に示すように、デッドタイム経過後の状態S7において、ゲート制御信号PG1、PG2、NG1およびNG2はすべてLレベルであり、MOSトランジスタPT1およびPT2がオン状態、MOSトランジスタNT1およびNT2がオフ状態である。電流は、ハイ側電源ノードからMOSトランジスタPT1を介して誘導性負荷LMに流れ、さらに誘導性負荷LMからの電流が、MOSトランジスタPT2を介してハイ側電源ノードに流れる。すなわち、「電源回生」の状態が実現される。
次いで、電源回生後の状態S8において、負側指令値PWMIN2がLレベルに立下がり、ゲート制御信号PG2がHレベルに立ち上がる。このとき、まだ、デッドタイムは経過していないため、ゲート制御信号NG2はLレベルである。したがって、図3(H)に示すように、ゲート制御信号PG1、NG1およびNG2がLレベルであり、ゲート制御信号PG2がHレベルであるため、MOSトランジスタPG1がオン状態、MOSトランジスタNT1、NT2およびPT2はオフ状態である。したがって、ハイ側電源ノードからMOSトランジスタPT1を介して誘導性負荷LMに電流が流れ、さらに誘導電流がMOSトランジスタPT2のボディダイオードBDD3を介してハイ側電源ノードへ流れる。この状態は、デッド・オフ期間である。このデッド・オフ期間の経過後、再び、図3(A)に示す状態へ移行する。
図2に示すように、指令値PWMIN1の立下がりエッジおよび負側指令値PWMIN2の立ち上がりエッジに対し、それぞれデッドタイム(デッド・オフ期間)が設けられている。これにより、ボディダイオードを介して誘導性負荷LMを介してで電流が流れるデッドタイムにより、出力ノードPO(+)またはPO(−)に接続されるPチャネルMOSトランジスタおよびNチャネルMOSトランジスタが並行してオン状態となり、ハイ側電源ノードからロー側電源ノードへ電流が流れるというアーム短絡電流が流れるのを防止する。また、回生電流を流す期間を設けているのは、ボディダイオードBDD1−BDD4を流れる逆回復電流を吸収するためである。
この場合、出力ノードPO(+)およびPO(−)の電圧差を規定する指令値の差PWMIN1−PWMIN2に対して、デッドタイムを考慮した時間、電流が流れるように、ゲート駆動回路4Aおよび4Bが、出力ノードPO(+)およびPO(−)に電圧差を生成する。このとき、出力ノードPO(+)およびPO(−)の電圧を指令値生成回路3Aおよび3Bにそれぞれフィードバックし、出力ノードの平均電圧値が入力電圧VINのレベルに等しくなるように、フィードバック制御が行なわれる。したがって、図2に示すように、フィードバック制御を行なう前の出力ノードPO(+)およびPO(−)の間の電圧(差電圧)のHレベル期間は、デッドタイムにより指令値よりも短くなる。一方、この電圧フィードバックにより、出力ノードPO(+)およびPO(−)の間の電圧値(帰還制御後)のHレベル期間は、長くされて、指令値のHレベル期間Tと等しくなり、デッドタイムの影響による効率低下が抑制される。しかしながら、この場合、差分指令値PWMIN1−PWMIN2のパルス幅よりも、帰還制御用の出力電圧PO(+)−PO(−)のHレベル期間はほぼ等しくされるものの、出力電圧の立ち上がりおよび立下がり期間を考慮すると、Hレベル期間は、少し短くなる。
デッドタイムは固定値であり、指令値の差分値(PWMIN1−PWMIN2)のオン期間(Hレベル期間)が短いほど、デッドタイムの占める割合が大きくなる。このデッドタイムの占める期間の影響が大きくなるのは、微小振幅信号の場合であり、出力差分値PO(+)−PO(−)が、0V近傍の値となるときである。デッドタイムが、出力パルスのHレベル期間と同程度以上のときには、出力電圧の帰還制御では、出力電圧を指令値に対応する期間に設定するのに時間を要し、高速動作時においては、指令値と出力電圧との誤差の修正をできなくなる。本発明においては、この誤差修正を微小振幅信号入力時においても正確に実行するために、三角波の勾配(スルーレート)を、閉ループ周波数特性を高くさせるように調整する。以下、具体的構成について、説明する。
図4は、図1に示す出力負荷駆動装置1の構成をより具体的に示す図である。図4において、出力負荷駆動装置1は、信号源10からの入力信号VINと基準電圧源12からの基準電圧REFとを受け、それらの差分値に応じた電圧信号を、誘導性出力負荷LMを駆動する出力ノードPO(+)およびPO(−)に生成する。正側および負側出力駆動回路は、電圧帰還型D級増幅回路で構成されており、以下、これらの出力駆動回路2Aおよび2Bを電圧帰還型D級増幅回路と称す。
電圧帰還型D級増幅回路2Aは、入力ノードIN(+)およびIN(−)に、入力信号VINおよび基準電圧REFをそれぞれ受ける。正側指令値生成回路3Aは、入力信号VINと基準電圧REFを差動的に増幅する差動増幅回路20Aと、出力回路5Aの出力信号PWMOUTPをフィルタ処理する平滑回路22Aと、平滑回路22Aの出力信号と差動増幅回路20Aの出力信号AMPOUTPを差動的に増幅する増幅段差動増幅回路24Aと、増幅段差動増幅回路24Aの出力信号FLTOUTPのパルス幅変調を行なうPWM比較回路26Aとを含む。
差動増幅回路20Aは、入力ノードIN(+)を介して与えられる入力信号VINを正入力に受け、入力ノードIN(−)を介して与えられる基準電圧REFを負入力に受ける。平滑回路22Aは、容量素子と抵抗素子で構成されるRCローパスフィルタの構成を備え、出力回路5Aの出力信号PWMOUTPを平均化した信号を生成する。増幅段差動増幅回路24Aは、差動増幅回路20Aの出力信号AMPOUTPを正入力に受け、平滑回路22Aの出力信号を負入力に受ける。平滑回路22Aおよび増幅段差動増幅回路24Aにより、出力信号PWMOUTPと差動増幅回路20Aの出力信号INPOUTPを等しくするように帰還制御が行なわれる。
PWM比較回路26Aは、三角波信号発生器30および三角波補正回路32により生成される三角波信号TOSCを負入力に受け、増幅段差動増幅回路24Aの出力信号FLTOUTPを正入力に受けて、これらを比較し、その比較結果に従って2値出力信号COMPOUTPを生成する。PWM比較回路26Aにより、増幅段差動増幅回路26Aの出力信号COMOUTPをパルス幅変調した信号が生成される。
正側ゲート駆動回路4Aは、PWM比較回路26Aの出力信号COMPOUTPを指令値として指令値入力ノードPWMIN1に受け、出力ノードPGATEおよびNGATEから、それぞれゲート駆動信号PG1およびNG1を生成する。正側ゲート駆動回路4Aは、内部に遅延回路を含み、この指令値入力ノードPWMIN1に与えられる信号(指令値)の立下がりまたは立ち上がりに対し一定の遅延時間(デッドタイム)をもってゲート駆動信号PG1およびNG1を生成する。なお、ノードとその上の信号とを同一の符号で示す。
出力回路5Aは、図1に示す構成と同様、ゲート駆動回路4Aからのゲート駆動信号PG1およびNG1をゲートに受けるパワーMOSトランジスタPT1およびNT1を含む。
電圧帰還型D級増幅回路2Bも、電圧帰還型D級増幅回路2Aと同様の構成を備える。すなわち、負側指令値生成回路3Bは、差動増幅回路20B、平滑回路22B、増幅段差動増幅回路24B、およびPWM比較回路26Bを含む。差動増幅回路20Bは、負入力に入力ノードIN(−)を介して与えられる入力信号VINを受け、正入力に入力ノードIN(+)を介して与えられる基準電圧REFを受ける。
平滑回路22Bは、出力回路5Bの出力信号PWMOUTMの低域成分を通過させ、出力信号PWMOUTMを平均化した信号を生成する。増幅段差動増幅回路24Bは、差動増幅回路20Bの出力信号AMPOUTMを正入力に受け、平滑回路22Bの出力信号を負入力に受けて、これらの与えられた信号の差動増幅を行なって信号FLTOUTMを生成する。
PWM比較回路26Bは、三角波信号発生器30および三角波補正回路32の生成する三角波TOSCを負入力に受け、増幅段差動増幅回路24Bの出力信号FLTOUTMを正入力に受け、それらのレベル比較を行なって2値レベルの信号COMOUTMを生成する。
指令値生成回路3Aおよび3Bにおいて、入力段の差動増幅回路20Aおよび20Bでは、入力信号VINおよび基準電圧REFが互いに相補な態様で与えられる。したがって、差動増幅回路20Aおよび20Bの出力信号IAMPOUTPおよびAMPOUTMは、互いに相補な信号となる。負側ゲート駆動回路4Bは、PWM比較回路26Bの出力信号COMPOUTMを指令値として指令値入力ノードPWMIN2に受け、その指令値に従って出力ノードPGATEおよびNGATEからゲート駆動信号PG2およびNG2を生成する。
出力回路5Bは、図1に示す構成と同様、ゲート駆動回路4Bからのゲート駆動信号PG2およびNG2をゲートに受けるMOSトランジスタPT2およびNT2を含む。
三角波信号発生器30は、一定の勾配を有する三角波波形を有する信号を生成する。三角波補正回路32は、後にその構成および動作については詳細に説明するが、三角波信号発生器30の出力する三角波信号の勾配(スルーレート)を、その電圧レベルに応じて調整する。
なお、この電圧帰還型D級増幅回路2Aおよび2Bは、それぞれモジュールとして構成され、出力負荷駆動装置1を構成するチップ上に配置される。
まず、三角波補正回路32の補正動作が行なわれない場合の図4に示す出力負荷駆動装置1の動作について説明する。
図5は、図4に示す出力負荷駆動装置1の三角波補正回路32の動作を停止させた場合の動作を示すタイミング図である。以下、図5を参照して、図4に示す出力負荷駆動装置1の三角波補正停止時の動作について説明する。
図5において、三角波信号発生器30からは、一定の振幅および勾配を有する三角波信号TOSCが発生される。期間TS1においては、入力信号VINは、基準電圧REFよりも十分に低く、入力信号VINは、基準電圧REFを基準として負電圧状態の期間である。この期間TS1においては、差動増幅回路20Aの出力信号AMPOUTPはローレベル、差動増幅回路20Bの出力信号ANPOUTMはハイレベルとなる。平滑回路22Aおよび22Bは、それぞれ出力ノードPO(+)およびPO(−)に与えられる信号PWMOUTPおよびPWMOUTMをローパスフィルタ処理しており、増幅段増幅差動増幅器24Aおよび24Bのそれぞれの出力信号FLTOUTPおよびFLTOUTMは、それぞれ、接地電圧(VS)および電源電圧(VM)レベルとなる。
この場合、三角波信号TOSCの波高値よりも、増幅段差動増幅回路24Aおよび24Bの出力信号FLTOUTPおよびFLTOUTMは、その絶対値が大きな状態である。したがって、PMW比較回路26Aおよび26Bからの指令値COMPOUTP(PWMIN1)およびCOMPOUTM(PWMIN2)は、それぞれ、LレベルおよびHレベルとなり、応じて、正側出力ノードPO(+)が接地電圧レベル、負側出力ノードPO(−)が電源電圧(VM)レベルとなる。したがって、出力負荷Lレベルに印加される電圧PO(+)−PO(−)は、負電圧−VMとなり、出力負荷LMに流れる電流ILは負の最大電流となる。
この期間においては、入力信号VINと基準電圧REFの差(VIN−REF)に、この出力負荷駆動装置1の利得Gを掛けた電圧の絶対値|(VIN−REF)・G|が電源電圧VMを超える場合であり、出力ノードPO(+)およびPO(−)は、それぞれ接地電圧および電源電圧VMレベルとなり、最大電流が発生する。
期間TS2においては、入力信号VINが、基準電圧REFを基準として少し負の電圧レベルの状態の期間である。この場合、増幅段差動増幅回路24Aの出力信号FLTOUTPはその電圧レベルが少し上昇し、一方、増幅段差動増幅回路24Bの出力信号FLTOUTMはその電圧レベルが低下する。
PWM比較回路26Aおよび26Bは、それぞれ、三角波信号TOSCと信号FLTOUTPおよびFLTOUTMの電圧レベルを比較する。この比較結果に従って、PWM比較回路26Aの出力信号COMPOUTPは、増幅段差動増幅回路の出力信号FLTOUTPが三角波信号TOSCよりも電圧レベルが高い期間Hレベルとなるパルス信号を生成する。一方、PWM比較回路26Bは、増幅段差動増幅回路24Bの出力信号FLTOUTMが三角波TOSCよりも高いときにHレベルとなるパルス信号を出力信号COMPOUTMとして生成する。
出力駆動回路4Aおよび4Bから、それぞれの指令値入力ノードPWMIN1およびPWMIN2に与えられる信号COMPOUTPおよびCOMPOUTMがHレベルのときに、対応の出力ノードをHレベルに駆動するようにゲート駆動信号PG1、NG1、PG2およびNG2を生成する。したがって、出力ノードPO(+)は、信号FLTOUTPが三角波信号TOSCよりも高い期間に相当する期間(デッドタイムを考慮する)Hレベルとなり、一方、出力ノードPO(−)は、出力信号FLTOUTMが三角波信号TOSCよりも高い期間に対応する期間Hレベルとなる。
出力負荷LMに印加される電圧PO(+)−PO(−)は、出力ノードPO(+)およびPO(−)の電圧レベルが異なる期間のみ、負電圧の−VMレベルとなり、出力負荷LMに流れる電流ILとして、出力負荷により立ち上りおよび立下りがある時定数を有する負のパルス状の電流が流れる。この場合、出力ノードPO(+)およびPO(−)の電圧は、PWMキャリア周波数(三角波信号TOSCの周波数)でスイッチングする。
この負のパルス生成時においては、入力信号VINから基準電圧を引いた電圧(VIN−REF)に電圧帰還型D級増幅回路2Aの利得Gをかけた電圧(VIN−REF)・G、すなわち増幅段差動増幅回路24Aの出力信号FLTOUTPと平滑回路22Aを介して与えられる出力ノードPO(+)の電圧の平均電圧とが等しくなるように、増幅段差動増幅回路24Aの出力電圧が、帰還制御される。増幅段差動増幅回路24Bにおいても同様、平滑回路22Bを介して与えられる出力ノードPO(−)の電圧を平滑化した平均電圧とその出力信号FLTOUTMの電圧レベルが等しくなるように帰還制御される。この電圧帰還制御により、指令値と出力回路5Aおよび5Bの出力駆動期間の誤差を低減する。PWMコンパレータ26Aおよび26Bにおいて三角波信号TOSCとの比較により、PWM変調された信号が生成される。
期間TS3においては、入力信号VINと基準電圧REFの電圧レベルが同一レベルである。この場合、増幅段差動増幅回路24Aおよび24Bの出力信号FLTOUTPおよびFLTOUTMは、三角波信号TOSCの波高値の中心値に等しい電圧レベルとなり、出力ノードPO(+)およびPO(−)には、デューティ50%の同一波形の電圧が印加される。したがって、この場合、出力負荷LMに印加される電圧PO(+)−PO(−)は0Vとなり、電流ILは0Aとなる。
期間TS4においては、入力信号VINが、基準電圧REFに対して少し正の電圧レベルである。期間TS4においては、期間TS2の各信号の極性が反転され、出力負荷LMに印加される電圧PO(+)−PO(−)は、期間TS2における電圧と極性が反転し、接地電圧0Vと電源電圧VMの間で変化するパルス信号となり、電流ILとして、正の電流が流れる。
期間TS5は、入力信号VINが、基準電圧REFよりも十分大きな電圧レベルにある期間である。この期間TS5においては、期間TS1と信号の極性が反転し、出力負荷LMに、期間TS1と逆の正の電流ILが流れる。
期間TS3は、出力負荷に電流ILが流れない期間である。誘導性出力負荷LMが、アクチュエータまたはモータの場合、ノイズなどが重畳すると、誤動作することになる。
図6は、図4に示す出力負荷駆動装置1の伝達特性を示すブロック線図である。図6において、差動増幅回路20(20A,20B)は伝達関数(すなわち、利得)K1を有し、増幅段差動増幅回路24(24A,24B)は、利得(1+(1/sCR))を有する。ここで、sはラプラス変換子である。PWM変換回路26(26A,26B)は利得K2を有し、ゲート駆動回路4(4A,4B)および出力回路5(5A,5B)は、利得K3を有する。平滑回路22(22A、22B)は、伝達関数(利得)1/sCRを有する。平滑回路22の出力信号は、増幅段差動増幅回路における負入力に与えられるため、その利得の符号は“−”となる。
この図に示すD級増幅回路2(2A,2B)の全体の伝達関数T(s)は、次式で表される:
T(s)
=K1・K2・K3・(s+(1/CR))/(s+(K2・K3/CR))
利得K2は、三角波信号の波高値で決定される係数であり、出力パルス幅/入力電圧で与えられる。
出力段(ゲート駆動回路4および出力回路5)の利得K3(以下、出力段利得K3と称す)は、指令値PWMIN1、PWMIN2と出力電圧PO(+)、PO(−)とにより決定され、出力スイッチング時におけるデッドタイムと出力電圧の立ち上がり時間および立下がり時間とにより、入力電圧パルス幅(指令値のパルス幅)が小さい場合、出力パルス幅(出力電圧幅)が減少する。この出力段利得K3の特性を、図7に示す。
図7において、横軸に指令値PWMIN1およびPWMIN2の差(PWMIN1−PWMIN2)のデューティ(DUTY)を示し、縦軸に出力電圧PO(+)−PO(−)のデューティと指令値の差分値のデューティとの比を示す。図7において、横軸のデューティ+100%は、差分指令値PWMIN1−PWMIN2が、Hレベルの状態、すなわち制御指令値PWMIN1がHレベルでかつ指令値PWMIN2がLレベルの状態を示す。デューティ−100%は、差分指令値PWMIN1−PWMIN2がLレベル、すなわち指令値PWMIN1およびPWMIN2が、それぞれLレベルおよびHレベルの状態を示す。デューティ0%は、指令値PWMIN1およびPWMIN2がともに等しい状態である。
すなわち、図7の縦軸は、入力信号VINの交流成分(AC成分)の振幅が0でないときのゲート駆動回路の指令値PWMIN1およびPWMIN2に対する出力ノードPO(+)およびPO(−)間の駆動パルス幅の比を示す。デッドタイムの影響により、指令値PWMIN1−PWMIN2のデューティが0%のときに最小となり、正および負極性ともに、デューティが大きくなるにつれ、1に近くなる。
デューティが0%近傍の領域は、入力信号VINの振幅が小さい領域に対応する。この領域においては、デッドタイムの影響により、差分指令値PWMIN1−PWMIN2のデューティよりも差分出力電圧PO(+)−PO(−)のデューティが小さくなり、指令値との差が大きくなる。すなわち、出力段利得K3は、入力信号VINが、基準電圧REF近傍の領域において小さくなる。これが出力負荷駆動装置の周波数特性が劣化する原因となる。本発明においては、デューティ(PWMIN1−PWMIN2)が0%近傍の領域において、PWM比較回路26の利得K2を調整して、利得K2およびK3の積、K2・K3、が一定の範囲となるように利得K3の低下を補償する。
図7に示す出力段利得K3による出力負荷駆動回路伝達関数の周波数特性を、図8に示す。図8(A)は、出力負荷駆動装置の周波数特性を示し、横軸に周波数fを示し、縦軸に利得(Gain)を示す。利得(Gain)の最大値は、K1・K2・K3である。周波数fにおいて1/2πCRは、平滑回路22Aおよび22Bのカットオフ周波数を示す。図8(A)においては、出力段利得K3が1.0、0.8および0.6の場合の周波数特性を一例として示す。
図8(B)は、この出力電圧の位相θの周波数依存性を示す図である。横軸に周波数fを示し、縦軸に出力電圧の位相θを示す。この図8(B)においても、出力段利得K3が1.0、0.8および0.6の場合の周波数特性を示す。
図8(A)および(B)に示すように、平滑回路のカットオフ周波数1/2πCRまでの領域は、フィードバック制御により、指令値に応じた出力電圧が生成され、利得(Gain)は、K1となる。また、出力電圧の位相θの誤差は小さい。
このカットオフ周波数を越えると、出力段利得K3が小さくなるにつれて、利得が低下し、また位相誤差が大きくなり、高周波領域における周波数特性が劣化する。この出力段利得K3は、指令値のパルス幅および出力信号のパルス幅に応じて変動する。したがって、出力段利得K3の高周波領域の特性劣化を補償するために、PWM比較回路26Aおよび26Bにおける利得K2を、出力段利得K3の変動に合わせて調整する。これにより、電圧帰還型D級増幅回路の周波数特性の変化を低減して、高性能の出力負荷駆動装置を実現する。
この利得調整は、三角波補正回路32(図4参照)により行なう。この三角波信号の補正方法としては、三角波周波数(PWMキャリア周波数)と最大電圧と最小電圧は、三角波信号発生器30(図4参照)が生成する三角波と同じとする必要がある。周波数特性が劣化する領域においては、この三角波信号のスルーレートを小さくし、他の領域では三角波周波数を一定に保つために大きくし、最大電圧から最小電圧までの三角波の平均スルーレートは、三角波信号発生器30が生成する三角波波形と同じとする。三角波信号のスルーレートを小さくすることにより、閉ループ周波数応答を速くすることができ、デッドタイムにより劣化する領域の応答を改善することができる。
このとき、利得K2による出力段利得K3に対する補償量は、出力負荷駆動装置が必要とする周波数特性性能の許容範囲内で連続的にまたは不連続的に分割して変化させることができる。以下、三角波信号発生器30および三角波補正回路32の具体的構成について説明する。
[実施の形態1]
図9は、この発明の実施の形態1に従う出力負荷駆動装置に含まれる三角波信号発生器30および三角波補正回路32の具体的構成の一例を示す図である。図9において、三角波信号発生器30は、基準電圧VHを生成する基準電圧源41と、基準電圧VLを生成する基準電圧源42と、出力ノード38の三角波信号TOSCと基準電圧源41からの基準電圧VHとを比較する比較器CP2と、三角波信号TOSCと基準電圧源42の基準電圧VLとを比較する比較器CP1と、比較器CP1の出力信号を反転するインバータ43と、比較器CP2の出力信号COUTHおよびインバータ43の出力信号COUTLに従ってセット/リセットされるフリップフロップ回路44を含む。
基準電圧VHおよびVLは、それぞれ、三角波信号TOSCのハイ側ピーク値およびロー側ピーク値を設定する。比較器CP1は、この三角波信号TOSCが基準電圧VLよりも高いときにHレベルの信号を出力し、比較器CP2は、三角波信号TOSCが基準電圧VHよりも高くなったときに、その出力信号COUTHをHレベルに設定する。
フリップフロップ回路44は、それぞれの第1入力が交差結合されるNORゲート44aおよび44bを含む。NORゲート44aは、その第2入力に、比較器CP2の出力信号COUTHを受け、NORゲート44bは、その第2入力に、インバータ43の出力信号COUTLを受ける。NORゲート44bからスイッチ制御信号SWINが生成される。
三角波信号発生器30は、さらに、出力ノードに定電流I1を供給する定電流源40と、定電流2・I1を接地ノードに流す定電流源45と、スイッチ制御信号SWINに応答して選択的に導通し、導通時、定電流源45を出力ノード38に結合するスイッチ回路SW1を含む。
この出力ノード38には、また、容量素子C1が設けられる。容量素子C1に対する充放電により、三角波信号TOSCのレベルが変化し、三角波信号TOSCのスルーレートが決定される。以下、簡単に、三角波信号発生器30の動作について説明する。
三角波信号TOSCが、電圧レベルが低下して基準電圧VLレベルに到達すると、比較器CP1の出力信号がLレベルとなり、応じて、インバータ43の出力信号COUTLがHレベルとなり、フリップフロップ回路44のNORゲート44bからのスイッチ制御信号SWINがLレベルとなる。応じて、スイッチ回路SW1が非導通状態となり、定電流源45は出力ノード38と分離される。この状態においては、定電流源45が、容量素子C1に充電電流I1を供給し、三角波信号TOSCの電圧レベルが容量素子C1の容量値と定電流I1とに決定されるスルーレート(勾配)で上昇する。
三角波信号TOSCの電圧レベルが、基準電圧VLよりも高くなると、比較器CP1の出力信号がHレベルとなり、インバータ43の出力信号COUTLがLレベルとなる。このとき、三角波信号TOSCは基準電圧VHよりも低いため、比較器CP2は、出力信号COUTHをLレベルに維持する。この状態においては、NORゲート44aの出力信号はHレベルであり、NORゲート44bからのスイッチ制御信号SWINはLレベルに維持される。
三角波信号TOSCが基準電圧VHに到達すると、比較器CP2の出力信号COUTHがHレベルとなり、NORゲート44aの出力信号がLレベルとなる。このとき、三角波信号TOSCは、基準電圧VLよりも高いため、比較器CP1の出力信号がHレベルであり、インバータ43の出力信号COUTLはLレベルである。したがって、フリップフロップ回路44のNORゲート44bの出力するスイッチ制御信号SWINがHレベルとなり、スイッチ回路SW1が導通状態となる。応じて、定電流源45が出力ノード38に結合され、定電流源40からの供給電流I1と定電流源45が放電する定電流2・I1の差分値、すなわち、出力ノード38から定電流I1が放電され、三角波信号TOSCの電圧レベルが低下する。
三角波信号TOSCのレベルが基準電圧VHよりも低くなると、比較器CP2の出力信号COUTHがLレベルとなる。このとき、比較器CP1の出力信号はHレベルであり、インバータ43の出力信号COUTLはLレベルであり、スイッチ制御信号SWINはHレベルに維持される。
したがって、三角波信号発生器30は、三角波信号TOSCが基準電圧VHレベルに低下すると、出力ノード38から電流I1を放電し、三角波信号TOSCが基準電圧VLに到達すると、定電流I1で出力ノード38を充電する。容量素子C1に対する充放電電流は、定電流I1で等しく、三角波信号発生器30は、三角波信号TOSCを、容量素子C1と定電流I1とにより決定される勾配(スルーレート)で立ち上りおよび立下り時の波形を変化させる機能を有する。
三角波補正回路32は、基準電圧VCHおよびVCLをそれぞれ生成する基準電圧源50および51と、出力ノード38の三角波信号TOSCと基準電圧VCLとを比較する比較器CP3と、三角波信号TOSCと基準電圧VCHとを比較する比較器CP4と、比較器CP3の出力信号を受けるインバータ53と、インバータ53の出力信号と比較器CP4の出力信号とを受けるORゲート54を含む。
基準電圧源50および51は、VH>VCH>VCL>VLの関係を満たす基準電圧VCHおよびVCLを生成する。基準電圧VCHおよびVCLは、三角波信号TOSCの波高の中央値VCの両側の電圧レベルである。
比較器CP3は、三角波信号TOSCが基準電圧VCLよりも高いときにHレベルの信号を生成し、比較器CP4は、三角波信号TOSCが、基準電圧VCHよりも高くなるとHレベルの信号を出力する。
三角波補正回路32は、さらに、定電流I2を供給する定電流源55と、ORゲート54の出力信号TCLに従って選択的に導通するスイッチング回路SW2と、定電流2・I2を放電する定電流源56と、ORゲート54の出力信号TCLに従って選択的に導通しするスイッチ回路SW3を含む。
スイッチ回路SW2は、ORゲート54の出力するスルーレート調整信号TCLがHレベルの時に導通し、定電流源55を出力ノード38に結合する。スイッチ回路SW3は、ORゲート54の出力するスルーレート調整信号TCLがHレベルのときに導通し、定電流源56をスイッチング回路SW1に対して定電流源45と並列に結合する。
図10は、図9に示す三角波信号発生器30および三角波補正回路32の動作を示すタイミング図である。以下、図10を参照して、三角波補正回路32の動作に焦点を合わせて三角波信号TOSCの波形調整動作について説明する。
三角波信号発生器30においては、上述のように、三角波信号TOSCが基準電圧VLに到達するごとにフリップフロップ回路44がリセットされ、スイッチ制御信号SWINがLレベルとされる。また、三角波信号TOSCが基準電圧VHに到達するごとに、フリップフロップ回路44がセットされ、スイッチ制御信号SWINがHレベルとなる。このスイッチ制御信号SWINがHレベルの期間、スイッチ回路SW1が導通状態となる。したがって、三角波信号発生器30は、図10において直線で示す波形を有する三角波を生成する。
三角波信号TOSCが基準電圧VLおよびVCLの間の期間、比較器CP3の出力信号はLレベルであり、また、比較器CP4の出力信号のLレベルである。インバータ53の出力信号は、この期間、Hレベルとなり、ORゲート54の出力する三角波制御信号TCLがHレベルとなり、スイッチ回路SW2およびSW3が導通状態(ON状態)となる。このとき、スイッチ回路SW1は非導通状態(OFF状態)であるため、出力ノード38へは、定電流源40および55により電流が供給され、容量素子C1が電流I1+I2で充電され、三角波信号発生器30単独の場合に較べて、三角波信号TOSCの電圧レベルが大きなスルーレートで上昇する。
三角波信号TOSCが基準電圧VCLに到達すると、比較器CP3の出力信号がHレベルとなり、応じてインバータ53の出力信号がLレベルとなる。このとき、比較器CP4の出力信号はLレベルであり、ORゲート54の出力信号TCLがHレベルからLレベルに立下がる。これにより、スイッチ回路SW2およびSW3が非導通状態とされる。このとき、スイッチ制御信号SWINはLレベルであり、スイッチ回路SW1が非導通状態である。したがって、このときには、定電流源55が出力ノード38から分離され、出力ノード38へは、定電流源40からの電流I1のみが供給され、三角波信号TOSCが、その電圧レベルの上昇速度(スルーレート)が、三角波信号発生器30単独の場合に較べて小さくされる。
三角波信号TOSCが基準電圧VCHに到達すると、比較器CP4の出力信号がHレベルとなり、ORゲート54の出力する三角波制御信号TCLがHレベルに立ち上がる。応じて、スイッチ回路SW2が導通状態となる。スイッチ回路SW1は、非導通状態にあるため、再び、容量素子C1が、定電流源40および55からの電流I1およびI2の合成電流、I1+I2で充電され、その三角波信号TOSCのスルーレートが大きくされる。
三角波信号TOSCが基準電圧VHに到達すると、三角波信号発生器30においてフリップフロップ回路44がセットされ、スイッチ制御信号SWINがHレベルとなる。このとき、三角波補正回路32においては、比較器CP3およびCP4の出力信号がともにHレベルであり、スルーレート調整信号TCLはHレベルを維持する。スイッチ回路SW1がスイッチ制御信号SWINのHレベルに応答して導通状態となると、定電流源45および56が出力ノード38に結合される。したがって、出力ノード38への供給電流は、電流(I1+I2)−(2・I1+2・I2)=−(I1+I2)となり、三角波信号TOSCが、容量素子C1の放電に応じて電圧レベルが低下する。この電圧VHおよびVCHの間の領域において、三角波信号TOSCの充電電流および放電電流は、同じ大きさであり、同じ勾配(スルーレート)で三角波信号TOSCは、上昇および下降する。
三角波信号TOSCが基準電圧VCHに到達してから、次の基準電圧VCLに到達するまでの期間においては、比較器CP4の出力信号がLレベルとなり、比較器CP3の出力信号はHレベルである。インバータ53の出力信号がLレベルとなり、ORゲート54からの三角波制御信号CTLが再びLレベルとなり、スイッチ回路SW2およびSW3が非導通状態へとされる。したがって、定電流源40および45により、容量素子C1から電流I1が引き抜かれ、三角波信号TOSCの勾配が緩やかにされる(スルーレートが小さくされる)。この電圧VCHおよびVCLの間の領域においても、出力ノード38に対する充放電電流の大きさは同じであり、同一スルーレートで三角波信号TOSCが変化する。
三角波信号TOSCが基準電圧VCLよりも低くなると、比較器CP3の出力信号がLレベルとなる。このとき、比較器CP4の出力信号はLレベルであり、ORゲート54からの信号TCLが、インバータ53からのHレベルの信号に従って再びHレベルとなり、スイッチ回路SW2およびSW3が導通状態とされる。この状態においては、容量素子C1が再び、電流(I1+I2)で放電され、三角波信号TOSCのスルーレートが大きくされる。この電圧領域においても、出力ノード38の充放電電流は同じ大きさであり、同一のスルーレート(勾配)で三角波信号TOSCが変化する。
以上のように、三角波信号TOSCが電圧VCLおよびVCHの間の期間、容量素子C1の充放電は電流I1により実行され、三角波信号TOSCのスルーレートが小さくされ、残りの電圧範囲においては、電流(I1+I2)により容量素子C1が充電または放電され、三角波信号TOSCのスルーレートが大きくされる。
図10に示すように、調整後の三角波信号TOSCの周波数は、三角波信号発生器30の生成する三角波の周波数と同じであり、また最大電圧および最大電圧VHおよびVLも、三角波信号発生器30が生成する三角波信号と同じである。
図11は、図9に示す三角波信号発生器30と三角波補正回路32を用いた場合の出力電圧PO(+)およびPO(−)の波形の一例を拡大して示す図である。以下、図11を参照して、三角波補正の効果について説明する。
いま、図11に示すように、増幅段増幅回路24Aおよび24Bの出力信号FLTOUTPおよびFLTOUTMが、それぞれ、基準電圧VCHおよびVCLの間にあり、増幅信号FLTOUTPが増幅信号FLTOUTMよりも電圧レベルが高い状態を考える。これらの信号FLTOUTPおよびFLTOUTMが、三角波信号TOSCと比較された後に、図4に示すゲート駆動回路4Aおよび4Bに対する指令値PWMIN1およびPWMIN2が生成される。
三角波補正回路32を用いた場合、指令値PWMIN1は、信号FLTOUTPが三角波信号TOSCよりも高い電圧レベルのときにHレベルに設定され、また、指令値PWMIN2は、信号FLTOUTMが三角波TOSCよりも高いときにHレベルに設定される。これらの指令値PWMIN1およびPWMIN2に従って、デッドタイムを考慮して出力電圧PO(+)およびPO(−)が生成される。
三角波補正回路32を利用する場合、指令値PWMIN1のLレベル期間は、補正なしの場合に較べて短くなり、また、指令値PWMIN2のLレベル期間は、三角波スルーレート補正なしの場合に較べて長くされる。したがって、差分指令値PWMIN1−PWMIN2のHレベル期間が長くされ(パルス幅が広くされ)、PWM比較回路の利得K2が大きくされる。
デッドタイムは、補正の有無に係わらず同じであり、補正後の差分出力電圧PO(+)−PO(−)のパルス幅は、補正なしの場合の差分出力電圧PO(+)−PO(−)のパルス幅に比べて広くなる。
図6に示すPWM比較回路26の利得K2は、入力電圧に対する出力パルス幅の比で与えられるため、三角波補正回路32を用いた場合利得K2が三角波スルーレート補正なしの場合に比べて改善される。すなわち、周波数特性が劣化する中心値VC近傍の領域において三角波信号TOSCのスルーレートを小さくすることにより、出力差動電圧PO(+)−PO(−)のパルス幅を大きくすることができ、PWM比較回路26の利得K2を大きくして、出力段利得K3の低下を補償することができる。これにより、固定時間のデッドタイムがある場合においても、十分に出力駆動電圧パルス幅を確保することができ、帰還制御により指令値に対応する出力電圧を生成することができ、周波数特性劣化を抑制することができる。
この発明の実施の形態1においては、デッドタイムに起因する周波数特性劣化が最も顕著に表われる入力電圧VINと基準電圧REFの差分電圧が三角波中央電圧VC近傍の範囲に、スルーレート調整領域を設定する。基準電圧VCHおよびVCLの範囲において、三角波信号のハイ側ピーク値VHからロー側ピーク値VLへの三角波波形およびロー側ピーク値VLからハイ側ピーク値VHに向かう三角波波形の平均スルーレートと比較して、そのスルーレートが小さくされる。これにより、出力負荷駆動装置の周波数応答が補正され、他の領域と大差なく同じ性能を実現することができ、高精度で指令値に応じて出力負荷を駆動することができる。
[具体的構成]
図12は、図9に示す三角波信号発生器30および三角波補正回路32の具体的構成の一例を示す図である。
基準電圧VH、VCH、VCL、およびVLは、抵抗素子R1−R5による抵抗分割回路により生成される。抵抗素子R4およびR5の間のノードが基準電圧源41に相当し、基準電圧VHが出力される。抵抗素子R3およびR4の間のノードが、基準電圧源50に対応し、電圧VCHが生成される。抵抗素子R3およびR2の間の接続ノードが、基準電圧源51に相当し、基準電圧VCLが生成される。抵抗素子R2およびR1の間の接続ノードが基準電圧源42に相当し、基準電圧VLが生成される。基準電圧源41、42、51および50を1つの抵抗分圧回路で構成することにより、基準電圧VL、VCL、VC1およびVHのばらつき(電源電圧VCCおよび温度変動に基因するばらつき)の影響を相殺する。
比較器CP1は、定電流源CG1およびCG2と、三角波信号TOSCと基準電圧VLとを比較する比較段を構成するPチャネルMOSトランジスタmp1およびmp2と、カレントミラー段を構成するNチャネルMOSトランジスタmn1およびmn2と、MOSトランジスタmp2およびmn2のドレイン電圧をゲートに受けるNチャネルMOSトランジスタmn3とを含む。
定電流源CG1およびCG2は、それぞれ、定電流IB1およびIB2を電源ノード(VCC)から供給する。MOSトランジスタmp1およびmp2は、定電流源CG1から電流を供給され、かつ、それぞれのゲートに、基準電圧VLおよび三角波信号TOSCを受ける。MOSトランジスタmn1は、MOSトランジスタmp1と直列に接続され、かつ、ドレインおよびゲートが相互接続され、カレントミラー段のマスタを構成する。MOSトランジスタmn2は、MOSトランジスタmp2と直列に接続され、そのゲートがMOSトランジスタmn1のゲートに接続される。MOSトランジスタmn3は、導通時、定電流源CG2からの定電流IB2を接地ノード(GND)へ放電する。
この比較器CP1において、三角波信号TOSCが基準電圧VLよりも高いときには、MOSトランジスタmp1を介して流れる電流が、MOSトランジスタmp2を介して流れる電流よりも多くなる。MOSトランジスタmn2は、MOSトランジスタmp1を介して流れる電流のミラー電流を流す。このミラー電流は、MOSトランジスタmp2が供給する電流よりも大きい。したがって、MOSトランジスタmn3のゲート電圧は、Lレベルとなり、MOSトランジスタmn3がオフ状態となり、比較器CP1の出力信号COUTLは、Hレベルとなる。
一方、三角波信号TOSCが基準電圧VLよりも低い場合には、MOSトランジスタmp2を介して流れる電流が、MOSトランジスタmp1を介して流れる電流よりも大きくなり、MOSトランジスタmn2が放電する電流は、MOSトランジスタmp2から供給される電流よりも小さい。従って、MOSトランジスタmn3のゲート電圧は、Hレベルとなり、定電流源CG2からの定電流IB2がMOSトランジスタmn3を介して放電され、比較器CP1の出力信号COUTLは、Lレベルとなる。
比較器CP2は、電源ノードに結合されてカレントミラー段を構成するPチャネルMOSトランジスタmp3およびmp4と、三角波信号TOSCと基準電圧VHとを比較する差動段を構成するNチャネルMOSトランジスタmn4およびmn5と、定電流源CG3およびCG4と、定電流源CG4に対し電流を供給するPチャネルMOSトランジスタmp5とを含む。
MOSトランジスタmp3は、ゲートおよびドレインが相互接続されカレントミラー段のマスタとして機能し、MOSトランジスタmp4には、MOSトランジスタmp3を流れる電流のミラー電流が流れる。
定電流源CG3は、MOSトランジスタmn4およびmn5の共通ソースノードと接地ノードの間に接続され、定電流IB3を接地ノードへ放電する。定電流源CG4は、MOSトランジスタmp5と接地ノードの間に結合され、定電流IB4を接地ノードへ放電する。
この比較器CP2においては、三角波信号TOSCが基準電圧VH以上となると、MOSトランジスタmn5のコンダクタンスがMOSトランジスタmn4のコンダクタンス以上となり、MOSトランジスタmp4を介して流れる電流(MOSトランジスタmp3を流れる電流のミラー電流)を放電する。応じて、MOSトランジスタmp5のゲート電圧が、Lレベルとなり、MOSトランジスタmp5が定電流源CG4へ大きな電流を供給し、比較器CP2の出力信号COUTHが、Hレベルとなる。
三角波信号TOSCが基準電圧VHよりも低いときには、MOSトランジスタmn5のコンダクタンスがMOSトランジスタmn4のコンダクタンスよりも小さくなり、MOSトランジスタmp4から供給される電流よりも小さな電流がMOSトランジスタmn5を介して放電される。応じて、MOSトランジスタmp5のゲート電圧が上昇し、MOSトランジスタmp5が供給する電流が、定電流源CG4が流す電流IB4よりも小さくなり、比較器CP2の出力信号COUTHは、Lレベルとなる。
フリップフロップ回路44は、ここでは、図9に示す構成と同様、NOR型フリップフロップの構成を一例として示す。NANDゲートを用いても、同様に、フリップフロップ回路44を実現することができる。
フリップフロップ回路44は、図9に示す構成と同様、第1入力および出力がそれぞれ交差結合されるNORゲート44aおよび44bを含む。フリップフロップ回路44のNORゲート44bに対して、比較器CP1の出力信号COUTLを反転するインバータ43が設けられる。NORゲート44aは、その第2入力に、比較器CP2の出力信号COUTHを受け、NORゲート44bは、その第2入力にインバータ43の出力信号を受ける。NORゲート44bから、スイッチ制御信号SWINが生成される。
比較器CP1の出力信号COUTLがLレベルになると、すなわち、三角波信号TOSCが基準電圧VLに到達すると、インバータ43の出力信号がHレベルであり、フリップフロップ回路44において、NORゲート44bの出力信号がLレベルとなる。このとき、三角波信号TOSCは、基準電圧VHよりも低い電圧レベルであり、比較器CP2の出力信号COUTHはLレベルであり、したがって、NORゲート44bから出力されるスイッチ制御信号SWINが、Lレベルとなる。
一方、比較器CP1の出力信号COUTLがHレベルでかつ比較器CP2の出力信号COUTHがHレベルとなると、すなわち、三角波信号TOSCが基準電圧VHに到達すると、インバータ43の出力信号がLレベルとなり、NORゲート44aの出力信号がLレベルとなり、スイッチ制御信号SWINがHレベルとなる。
三角波信号TOSCが、基準電圧VHおよびVLの間のレベルのときには、比較器CP1の出力信号COULはHレベル、比較器CP2の出力信号COUTHがLレベルであり、インバータ43の出力信号はLレベルである。したがって、フリップフロップ回路44は、その前の状態のセットまたはリセット状態に維持され、スイッチ制御信号SWINは、三角波信号TOSCが基準電圧VHまたはVLに到達するまで、その論理レベルを維持する。
図9に示す定電流源40は、定電流源CG9、PチャネルMOSトランジスタmp6およびmp9で構成され、定電流源45は、NチャネルMOSトランジスタmn7−mn9と定電流源CG9とPチャネルMOSトランジスタnp7とで構成される。これらの定電流源40および45が、構成要素の共通部分を共有することにより、回路レイアウト面積を低減する。
定電流源CG9は、MOSトランジスタmp6から定電流I1を引き抜き、MOSトランジスタmp6に定電流I1を流す。MOSトランジスタmp6およびmp9はカレントミラー回路を構成し、MOSトランジスタmp6を流れる定電流I1のミラー電流が、MOSトランジスタmp9を介して流れ、出力ノード38に定電流I1が供給される。
スイッチ回路SW1は、スイッチ制御信号SWINを受けるインバータIV1と、インバータIV1の出力信号をゲートに受けるNチャネルMOSトランジスタmn6とを含む。定電流源45は、NチャネルMOSトランジスタmn7−mn9と、PチャネルMOSトランジスタmp7とに対応する。MOSトランジスタmn7が、ゲートおよびドレインが相互接続され、MOSトランジスタmp7から供給される電流を放電する。MOSトランジスタmn8およびmn9は、MOSトランジスタmn7とカレントミラー回路を構成し、MOSトランジスタmn7を流れる電流と同じ大きさの電流を流す。
スイッチ制御信号SWINがLレベルであり、インバータIV1の出力信号がHレベルのとき、MOSトランジスタmn6がオン状態となり、スイッチ回路SW1が等価的に非導通状態とされ、定電流源45が出力ノード38から分離される(MOSトランジスタmn7−mn9は、ゲート電圧が接地電圧レベルとなり、そのカレントミラー動作が禁止されるため)。
スイッチ制御信号SWINがHレベルであり、MOSトランジスタmn6がオフ状態のとき、スイッチ回路SW1が等価的に導通状態となり、電流源45が出力ノード38に結合される。この状態においては、MOSトランジスタmn7を流れる電流のミラー電流が、MOSトランジスタmn8およびmn9に流れる。MOSトランジスタmn7へは、MOSトランジスタmp7から定電流I1がカレントミラー動作により供給される。したがって、三角波スルーレート補正動作が行われない場合には、定電流源45により、出力ノード38からは、2・I1の電流が引き抜かれる。
三角波信号補正回路32において、比較器CP3は、電源ノードに結合され、カレントミラー段を構成するPチャネルMOSトランジスタmp13およびmp14と、基準電圧VCLと三角波信号TOSCとを比較する差動段を構成するNチャネルMOSトランジスタmn10およびmn11と、定電流源CG5およびCG6と、ゲートがMOSトランジスタmp14およびmn11のドレインに結合されるPチャネルMOSトランジスタmp15を含む。
MOSトランジスタmp13は、ゲートおよびドレインが相互接続されてカレントミラー段のマスタとして機能し、MOSトランジスタmnp13を流れる電流のミラー流が、MOSトランジスタmp14を介して流れる。
定電流源CG5は、MOSトランジスタmn10およびmn11の共通ソースノードと接地ノードの間に接続され、定電流IB5を接地ノードGNDへ放電する。MOSトランジスタmp15は、定電流源CG6と電源ノードの間に結合される。定電流源CG6は、MOSトランジスタmp15から定電流IB6を引き抜く。
比較回路CP3において、三角波信号TOSCが基準電圧VCLよりも低い場合には、MOSトランジスタmn10のコンダクタンスが、MOSトランジスタmn11のコンダクタンスよりも大きくなり、MOSトランジスタmn11は、MOSトランジスタmp13が供給する電流のミラー電流よりも小さな電流を流す。応じて、MOSトランジスタmp15のゲート電圧が上昇し、比較回路CP3の出力信号が、Lレベルとなる。
一方、三角波信号TOSCが、基準電圧VCLよりも高いときには、MOSトランジスタmn10のコンダクタンスが、MOSトランジスタmn11のコンダクタンスよりも小さくなり、MOSトランジスタmn11が流す電流は、MOSトランジスタmp14から供給される電流よりも大きくなり、MOSトランジスタmp15のゲート電圧が低下する。MOSトランジスタmp15が電源ノードVCCから供給する電流は、定電流源CG6が流すことのできる電流よりも大きくなり、比較器CP3の出力信号は、Hレベルとなる。
比較器CP4は、電源ノードに結合され、カレントミラー段を構成するPチャネルMOSトランジスタmp16およびmp17と、基準電圧VCHと三角波信号TOSCとを比較する差動段を構成するNチャネルMOSトランジスタmn12およびmn13と、定電流源CG7およびCG8と、MOSトランジスタnp17およびmn13のドレインにゲートが接続されるPチャネルMOSトランジスタmp18を含む。
MOSトランジスタmp16は、ゲートおよびドレインが相互接続され、カレントミラー段のマスタとして動作し、MOSトランジスタmp17には、MOSトランジスタmp16を流れる電流のミラー電流が流れる。
定電流源CG7は、MOSトランジスタmn12およびmn13の共通ソースノードと接地ノードとの間に結合され、定電流IB7を接地ノードへ放電する。
MOSトランジスタmp18は、定電流源CG8と電源ノードVCCの間に接続され、かつそのゲートがMOSトランジスタmp17のドレインに接続される。定電流源CG8は、MOSトランジスタmp18から定電流IB8を引き抜き、接地ノードへ放電する。
この比較器CP4においては、三角波信号TOSCが基準電圧VCHよりも低いときには、MOSトランジスタmn12のコンダクタンスがMOSトランジスタmn13のコンダクタンスよりも大きくなり、MOSトランジスタmn13は、MOSトランジスタmp17を介して供給される電流よりも小さな電流を流す。応じて、MOSトランジスタmp18のゲート電圧が上昇し、MOSトランジスタmp18が、定電流IBよりも大きな電流を定電流源C8へ供給することがでできず、比較器CP4の出力信号が、Lレベルとなる。
一方、三角波信号TOSCが基準電圧VCHよりも高いときには、逆に、MOSトランジスタmn13のコンダクタンスがMOSトランジスタmn12のコンダクタンスよりも大きくなる。応じて、MOSトランジスタmn13は、MOSトランジスタmp17から供給されるMOSトランジスタmn12を流れる電流のミラー電流よりも大きな電流を流す。応じて、MOSトランジスタmp18のゲート電圧が低下し、MOSトランジスタmp18が供給する電流が、定電流源CG8の駆動する定電流IB8よりも大きくなり、比較器CP4の出力信号が、Hレベルとなる。
三角波信号補正回路32においては、比較器CP3およびCP4の論理は、図9に示す比較器CP3およびCP4と同一とされているため、次段のスルーレート調整信号TCLを生成する部分においては、インバータ53およびORゲート54(図9参照)が設けられる。インバータ53は、図9に示すインバータ53に相当し、比較器CP3の出力信号を反転する。ORゲート54は、インバータ53の出力信号と比較器CP4の出力信号とを受ける。
三角波信号TOSCが、基準電圧VCLよりも低いときには、比較器CP3の出力信号が、Lレベルであり、インバータ53の出力信号がHレベルとなる。また、比較器CP4の出力信号がLレベルである。したがって、ORゲート54が出力するスルーレート調整信号TCLは、Hレベルとなる。一方、三角波信号TOSCが基準電圧VCHおよびVCLの間のレベルのときには、比較器CP3の出力信号がHレベルであり、インバータ53の出力信号がLレベルであり、比較器CP4の出力信号がLレベルである。したがって、ORゲート54からのスルーレート調整信号TCLは、Lレベルとなる。
三角波信号補正回路32において、定電流源55および56は、それぞれPチャネルMOSトランジスタmp10およびmp8で構成され、これらのMOSトランジスタmp10およびmp8は、MOSトランジスタnp6とカレントミラー回路を構成し、定電流源CG9が供給するI1のミラー電流I2を供給する。
スイッチ回路SW2は、スルーレート調整信号TCLを受けるインバータIVV1と、MOSトランジスタmp10と出力ノード38の間に接続され、そのゲートにインバータIVV1の出力信号を受けるPチャネルMOSトランジスタmp12を含む。
スイッチ回路SW3は、スルーレート調整信号TCLを受けるインバータIVV2と、MOSトランジスタmp8とMOSトランジスタmn7のゲートおよびドレインとの間に接続され、インバータIVV2の出力信号をゲートに受けるPチャネルMOSトランジスタmp11を含む。
スイッチ回路SW2およびSW3においては、スルーレート調整信号TCLがLレベルのときには、MOSトランジスタmp12およびmp11がオフ状態となり、出力ノード38への充電電流I2の供給およびMOSトランジスタmn7への電流I2の供給がともに停止される。スルーレート調整信号TCLがLレベルの期間は、三角波信号TOSCが電圧VCHおよびVCLの間の期間である。したがって、この場合には、容量素子C1は、定電流I1で充電または放電される。
三角波信号TOSCのレベルが、基準電圧VCHよりも高い状態または基準電圧VCLよりも低い領域においては、スルーレート調整信号TCLは、Hレベルである。スイッチ回路SW2およびSW3において、インバータIVV1およびIVV2の出力信号がLレベルとなり、MOSトランジスタmp12およびmp11がオン状態となる。応じて、MOSトランジスタnp10からの定電流I2が出力ノード38へ供給され、MOSトランジスタmp8からの定電流I2が、MOSトランジスタnp7からの供給される定電流I1に加えてMOSトランジスタmn7のドレインに供給される。
この電圧領域において、三角波信号TOSCのレベル上昇時、容量素子C1は、電流I1+I2で充電され、また、三角波信号TOSCのレベル降下時には、MOSトランジスタmn7が電流I1+I2を流すため、容量素子C1は、I1+I2(=2I1+2I2−I1−I2)の電流で放電される。
この図12に示す回路構成を利用することにより、先の図9に示す三角波補正回路32を実現することができる。
以上のように、この発明の実施の形態1に従えば、三角波信号TOSCのスルーレートを周波数特性が劣化する領域において小さくしている。これにより、周波数特性の劣化を抑制することができ、高性能の出力負荷駆動装置を実現することができる。
[実施の形態2]
図13は、この発明の実施の形態2に従う出力負荷駆動装置の三角波信号発生器30および三角波補正回路32の構成を概略的に示す図である。この図13に示す出力負荷駆動装置の他の構成は、図4に示す構成と同じである。
図13において、三角波信号発生器30は、先の実施の形態1に示す構成と同様、基準電圧源41および42と、比較器CP1およびCP2と、セット/リセットフリップフロップ回路44と、スイッチ回路SW1と、定電流源45と容量素子C1を含む。この三角波信号発生器30の構成および動作は、実施の形態1において、図9を参照して説明した構成および動作と同じであり、その詳細説明は繰返さない。
三角波補正回路32においては、出力ノード38に対し並列に、スイッチコントロール回路SCK0−SCKnが設けられる。これらのスイッチコントロール回路SCK0−SCKnは、比較基準電圧レベルが異なることを除いて内部構成は同じである。従って、図13においては、スイッチコントロール回路SCK0の構成を代表的に示す。
スイッチコントロール回路SCK0は、スルーレート調整範囲を規定する電圧VCH0およびVCL0を生成する基準電圧源50および51と、基準電圧VCH0と三角波信号TOSCを比較する比較器CP4と、三角波信号TOSCと基準電圧VCL0とを比較する比較器CP3と、比較器CP3の出力信号を反転するインバータ53と、インバータ53の出力信号と比較器CP4の出力信号とを受け、スルーレート調整信号TCL0を生成するORゲート54を含む。このスイッチコントロール回路SCK0の構成は、先の図9に示す三角波補正回路のスイッチ調整信号TCLを生成する部分の構成と同じである。
スイッチコントロール回路SCK0−SCKnにおいては、それぞれ、基準電圧源50および51が生成する基準電圧が、定電圧VCH1,VCL1−VCHn,VCLnに設定される。
三角波補正回路32は、さらに、それぞれ電源ノードに結合され、定電流I20、I21、…I2nを供給する定電流源SC0、SC1…SCnと、出力ノード38と定電流源SC0−SCnの間に接続されるスイッチ回路SW20−SW2nと、定電流2・I20、2・I21、…2.I2nをそれぞれ供給する定電流源SD0−SDnと、スイッチ回路SW1と定電流源SD0−SDnそれぞれの間に接続されるスイッチ回路SW30−SW3nを含む。
定電流源SC0−SCnおよびスイッチ回路SW20−SW2nは、それぞれ、スイッチコントロール回路SCK0−SCKnに対応して設けられ、また、定電流源SD0−SDnおよびスイッチ回路SW30−SW3nも、スイッチコントロール回路SCK0−SCKnにそれぞれ対応して設けられる。スイッチ回路SW2iおよびSW3iは、それぞれスイッチコントロール回路SCKiからのスルーレート調整信号TLCiに従って選択的にON状態(導通状態)となる。
図13に示すスイッチコントロール回路SCK0−SCKnの動作は、先の実施の形態1に示した三角波補正回路の動作と同じである。すなわち、それぞれ割当てられた基準電圧VCHiおよびVCLiの間に三角波信号TOSCの電圧レベルが存在する場合、対応のスイッチ回路SW2iおよびSW3iを非導通状態とする。一方、三角波信号TOSCが、割当てられた電圧VCHiおよびVCLiの範囲外のときには、スイッチコントロール回路SCKiは対応のスイッチ回路SW2iおよびSW3iを導通状態に設定する。これにより、(n+1)段階で、三角波信号のスルーレートを調整することができ、より細かく周波数特性を調整することができる。
図14は、図13に示す三角波信号発生回路30および三角波補正回路32の動作を示す波形図である。図14においては、nが1であり、三角波コントロール回路SCK0およびSCK1が用いられる場合の三角波信号TOSCの波形を示す。以下、図14を参照して、三角波補正回路32においてスイッチコントロール回路SCK0およびSCK1が設けられている場合の波形補正動作について説明する。
三角波信号発生回路30の動作は、先の実施の形態1の場合と同じである。三角波信号TOSCが基準電圧VLよりも高いときには、定電流源40から電流I1を容量素子C1に供給し、三角波信号TOSCが基準電圧VHに到達すると、スイッチ回路SW1を導通状態と設定し、出力ノード38から接地ノードへ定電流I1を放電する。
三角波信号TOSCが、電圧VCL1およびVLの間のときには、スイッチ回路SW20、SW30およびSW21およびSW31が、スルーレート調整信号TCL0およびTCL1に従って導通状態となり、出力ノード38に、定電流源40およびSCL0およびSC1からの定電流I1、I20およびI21が供給されて容量素子C1が充電される。この容量素子C1の充電に従って、三角波信号TOSCの電圧レベルが、最も大きなスルーレートで上昇する。
三角波信号TOSCが電圧VCL0およびVCL1の間のときには、スイッチコントロール回路SCK1のスルーレート調整信号TCL1が非活性状態とされ、スイッチ回路SW21およびSW31が非導通状態とされる。一方、スイッチ回路SW20およびSW30は、スイッチコントロール回路SCK0からのスルーレート調整信号TCL0に従って導通状態である。したがって、この電圧範囲においては、出力ノード38へは定電流源40およびSC0により電流I1およびI20が供給され、三角波信号TOSCのスルーレートが、少し小さくされる。
電圧VC10およびVCL0の間に三角波信号TOSCのレベルが存在する場合には、スルーレート調整信号TCL0およびTCL1が非活性化され、スイッチ回路SW20、SW30、SW21およびSW31がすべて非導通状態に設定される。この場合には、出力ノード38へは定電流源40からの電流I1が供給されるだけであり、三角波信号TOSCのスルーレートが最も小さくされる。
三角波信号TOSCのレベルが、電圧VCH0およびVCH1の間のときには、スルーレート調整信号TCL0が活性状態(Hレベル)であり、スイッチコントロール回路SCK1からのスルーレート調整信号TCL1は非活性状態(Lレベル)である。したがって、スイッチ回路SW20およびSW30が導通状態とされ、出力ノード38へ、定電流源40およびSC0から電流I1およびI20が供給され、三角波信号TOSCのスルーレートが、高くされる。
三角波信号TOSCが電圧VHおよびVCH1の間のときには、スイッチコントロール回路SCK0およびSCK1からのスルーレート調整信号TCL0およびTCL1はすべて活性状態とされ、スイッチ回路SW20、SW30、SW21およびSW31がすべて導通状態に設定される。この場合には、定電流源40、SC0およびSC1からの電流I1、I20およびI21が供給され、三角波信号TOSCのスルーレートが再び最も高くされる。
三角波信号TOSCが基準電圧VHに到達すると、フリップフロップ回路44からのスイッチ制御信号SWINがセット状態に設定され、スイッチ回路SW1が導通状態となる。定電流源45、ST0−STnは、対応の定電流源40、SC0−SCnそれぞれの供給する電流I1、I20−I2nの2倍の電流2・I1、2・I20−2・I2nを、それぞれ、供給する。したがって、三角波信号TOSCのレベル降下時においては、スイッチ回路の導通制御が、三角波信号TOSCのレベル上昇時と同様に行なわれる。従って、三角波信号の電圧範囲に応じて対応のスイッチ回路SW30およびSW31が導通状態とされて、定電流源SD0およびSD1により、出力ノード38から定電流源SC0−SC1の供給電流の2倍の電流が引き抜かれる。
したがって、立下がり時において、三角波信号TOSCが電圧範囲VHおよびVCH1のときには、出力ノード38は、電流I1+I20+I21で放電され、電圧VCH1およびVCH0の間の範囲においては、電流I1+I20で容量素子C1が放電され、電圧VC10およびVCL0の範囲においては、電流I1で容量素子C1が放電される。電圧VCL0およびVCL1の範囲のときには、電流I1+I20で容量素子C1が放電され、電圧VCL1およびVLの範囲のときには、電流I1+I20+I21で容量素子C1が放電される。
三角波信号TOSCが基準電圧VLに到達すると、再び、フリップフロップ回路44がリセットされ、スイッチ制御信号SWINがLレベルとなり、スイッチ回路SW1が非導通状態とされ、出力ノード38に対する充電動作が開始される。
この発明の実施の形態2に従えば、三角波のスルーレート調整を、より多くの電圧範囲に分割して実行している。したがって、周波数特性の補償時における過補償および補償不足量を小さくすることができ、周波数応答特性に優れた出力負荷駆動装置を実現することができる。
なお、この実施の形態2においても、補正後の三角波の平均スルーレート(電圧VHおよびVLの間のスルーレート)は、補正なしの場合の三角波(直線的に変化する三角波波形)のスルーレートと同じであり、また、三角波のピーク値も同じに設定される。また、PWMキャリアの周波数は、補正後においても補正前のPWMキャリアの周波数と同じに設定される。
[実施の形態3]
図15は、この発明の実施の形態3に従う三角波補正回路32および三角波信号発生器30の構成を概略的に示す図である。この図15に示す三角波信号発生器30の構成は、これまでの実施の形態1および2の三角波信号発生器30の構成と同様であり、対応する部分には同一参照番号を付し、その詳細説明は省略する。
三角波補正回路32は、基準電圧VCを生成する基準電圧源60と、出力ノード38からの三角波信号TOSCと基準電圧VCとを比較する比較器CP5と、比較器CP5の出力信号に従って、基準電圧VCと三角波信号TOSCの電圧レベルとの差に応じたバイアス信号を生成するバイアスコントロール回路62と、バイアスコントロール回路62からのバイアス信号に従って、与えられた電圧に比例した電流を生成する制御電流源64を含む。
比較器CP5は、基準電圧VCが三角波信号TOSCの電圧レベルよりも高いときにHレベルの信号を出力する。基準電圧VCは、三角波信号発生回路30が生成する三角波の波高の中央値の電圧レベルに対応する。
バイアスコントロール回路62は、比較器CP5の出力信号に従って電圧加算または電圧減算を行ない、三角波信号TOSCと基準電圧VCの差に応じた電圧をバイアス信号として生成する。
制御電流源64は、バイアスコントロール回路62からの出力信号に従って出力ノード38に対する充電または放電電流を生成する。具体的には、制御電流源64は、バイアス信号電圧に応じて定電流源40の充放電電流を調整する。これにより、三角波信号TOSCと基準電圧VCとの差に応じた正または負の電流を出力ノード38に対して供給する。制御電流源64により、三角波信号TOSCと定電圧VCのレベル差に応じた電流が生成され、連続的に三角波信号TOSCの波形を調整することができる。
図16は、図15に示す三角波信号発生回路30および三角波補正回路32の三角波補正動作を示すタイミング図である。以下、図16を参照して図15に示す三角波信号発生器30および三角波補正回路32の動作について説明する。
上述のように、制御電流源64は、バイアスコントロール回路62の出力電圧に比例した電流を生成する。バイアスコントロール回路62は、三角波信号TOSCと定電圧VCの差に応じたバイアス信号電圧を生成する。このバイアス信号電圧に応じて制御電流源64が正または負の電流を出力ノード38に供給する。したがって、図16に示すように、基準電圧VCの規定する三角波信号TOSCの中心値近傍領域において、制御電流源64の供給電流が小さくなり、応じて、三角波信号TOSCの勾配が緩やかとなる。一方、三角波信号TOSCと基準電圧VCの差が大きくなると、バイアス信号電圧が大きくなり応じて、制御電流源64が、大きな正または負の電流を出力ノード38に対して供給する。したがって、三角波信号TOSCのスルーレートが連続的に変化し、より精密に、周波数特性補償を行なうことができる。
[具体的構成]
図17は、図15に示す三角波信号発生器30および三角波補正回路32の具体的構成の一例を示す図である。この図17に示す構成においては、基準電圧源41,42および60は、抵抗素子R1、R6、R7、およびR5の抵抗分割回路により構成される。抵抗素子R1およびR5は、図12に示す抵抗素子R1およびR5に対応する。抵抗素子R1およびR6の間のノードが、基準電圧源42に相当し、電圧VLを生成する。抵抗素子R6およびR7の間のノードが、基準電圧源60に相当し、基準電圧VCを生成する。抵抗素子R7およびR5の間の接続ノードが基準電圧源41に相当し、基準電圧VHを生成する。これらの基準電圧源41、42および60を、1つの抵抗分割回路で構成し、基準電圧を電源電圧VCCを抵抗分圧して生成することにより、回路レイアウト面積を低減するとともに、基準電圧源の生成する電圧VL、VCおよびVHの抵抗素子の抵抗値の変動に起因する変動を抑制する。
三角波信号発生器30は、比較器CP1およびCP2と、フリップフロップ回路44と、定電流源40および45と、スイッチ回路SW1を含む。この三角波信号発生器30の比較器CP1およびCP2の構成は図12に示す構成と同じであり、対応する部分には同一参照番号を付し、その詳細説明は省略する。
比較器CP1は、三角波信号TOSCの電圧レベルが基準電圧VLよりも高いときには、その出力信号COUTLをHレベルに設定し、一方、三角波信号TOSCの電圧レベルが基準電圧VLよりも低いときには、出力信号COUTLをLレベルに設定する。
この比較器CP2において、三角波信号TOSCが定電圧VHよりも高くなると、比較器CP2の出力信号COUTHはHレベルとなる。定電圧VHよりも三角波信号TOSCの電圧レベルが低い場合には、出力信号COUTHはLレベルとなる。
フリップフロップ回路44は、図17に示す構成においても、図12に示す構成と同様、NORゲート44aおよび44bを含む。フリップフロップ回路44のNORゲート44b前段に比較器CP1の出力信号COUTLを反転するインバータ43が設けられる。図16に示す構成においては、フリップフロップ回路44は、NORゲートで構成されているが、NANDゲートを用いても実現可能であることを示す。このフリップフロップ回路44の構成および動作は、図12に示すフリップフロップ回路44と同じである。従って、その構成および動作の詳細説明は省略し、簡単に、その動作を以下に説明する。
すなわち、フリップフロップ回路44においては、比較回路CP1の出力信号COUTLがLレベルのとき、すなわち、三角波信号TOSCが基準電圧VLに到達すると、スイッチ制御信号SWINが、Lレベルとなる。一方、三角波信号TOSCが基準電圧VHに到達すると、スイッチ制御信号SWINがHレベルとなる。三角波信号TOSCが、電圧VHおよびVLの間のときには、フリップフロップ回路44は、セットまたはリセット状態に維持され、スイッチ制御信号SWINは、その直前の論理状態を維持する。
定電流源40は、カレントミラー段を構成するPチャネルMOSトランジスタmp20およびmp21と、カレントミラー段を構成するPチャネルMOSトランジスタmp22、mp7およびmp9と定電流源70aとを含む。MOSトランジスタmp20は、そのゲートおよびドレインが相互接続され、カレントミラー段のマスタとして機能する。MOSトランジスタmp20のゲートおよびドレインが定電流源70aに結合されており、MOSトランジスタmp21には、定電流源70aが流す定電流IB10のミラー電流が流れる。
MOSトランジスタmp22は、そのゲートおよびドレインが相互接続され、MOSトランジスタmp22を流れる電流のミラー電流が、MOSトランジスタmp7およびmp9を介して流れる。このMOSトランジスタmp22を流れる電流量を制御電流源62により調整する。
定電流源45は、カレントミラー段を構成するNチャネルMOSトランジスタmn22、mn8およびmn9を含む。MOSトランジスタmn22のゲートおよびドレインは相互接続され、MOSトランジスタmp7から供給される電流を受ける。MOSトランジスタmn8およびmn9は、それぞれMOSトランジスタmp9とサイズが同じであり、MOSトランジスタmp9が流す電流の2倍の電流を、これらのMOSトランジスタmn8およびmn9により流すことができる。
スイッチ回路SW1は、図12に示す構成と同様、インバータIV1と、NチャネルMOSトランジスタmn6とを含む。スイッチ回路SW1は、スイッチ制御信号SWINがLレベルのとき、すなわち三角波信号TOSCが基準電圧VLに到達したとき、MOSトランジスタmn6がオン状態となり、等価的に非導通状態となる。この状態においては、電流源45のMOSトランジスタmn22、mn8およびmn9のゲートが接地電圧GNDレベルへ駆動されてオフ状態となり、定電流源45の放電動作は停止される。
一方、フリップフロップ回路44からのスイッチ制御信号SWINがHレベルとなると、すなわち、三角波信号TOSCが基準定電圧VHに到達すると、MOSトランジスタmn6がオフ状態となり、スイッチ回路SW1は、等価的に導通状態となる。この状態においては、MOSトランジスタmp7から供給される電流(I2)のミラー電流の2倍の電流(2・I2)が。MOSトランジスタmn8およびmn9により出力ノード38から放電され、一方、定電流源40からは電流I2が出力ノード38へ供給される。従って、出力ノード38(容量素子C1)は、電流I2で放電される。
三角波補正回路32においては、比較器CP5は、図16に示す比較器CP5と、その入出力の論理および機能は同じである。比較器CP5は、電源ノードに結合され、カレントミラー段を構成するPチャネルMOSトランジスタmp23およびmp24と、三角波信号TOSCと基準電圧VCとを比較する差動段を構成するNチャネルMOSトランジスタmn23およびmn24と、定電流源70bおよび70cと、MOSトランジスタmp24およびmn24のドレイン電圧に応じて電源ノードから定電流源70cに選択的に電流を供給するPチャネルMOSトランジスタmp25とを含む。
MOSトランジスタmp23は、ゲートおよびドレインが相互接続され、カレントミラー段のマスタを構成し、MOSトランジスタmp24に、このMOSトランジスタmp23を介して流れる電流のミラー電流が流れる。MOSトランジスタmn23は、ゲートに基準電圧VCを受け、MOSトランジスタmn24が、そのゲートに三角波信号TOSCを受ける。定電流源70bは、MOSトランジスタmn23およびmn24の共通ソースノードと接地ノードとの間に結合され、定電流IB11を流す。定電流源70cは、MOSトランジスタmp25と接地ノードの間に接続され、定電流IB12を流す。
この比較器CP5において、三角波信号TOSCが基準電圧VCよりも低いときには、MOSトランジスタmn23のコンダクタンスが、MOSトランジスタmn24のコンダクタンスよりも大きくなる。応じて、MOSトランジスタmn24を流れる電流が、MOSトランジスタmp23を流れる電流のミラー電流よりも小さくなり、MOSトランジスタmp25のゲート電圧が上昇する。これにより、MOSトランジスタmp25が定電流源70cが駆動する定電流IB12よりも小さくなり、比較器CP5の出力信号は、Lレベルとなる。
一方、三角波信号TOSCが基準電圧VCよりも高くなると、MOSトランジスタmn24のコンダクタンスよりも、MOSトランジスタmn23のコンダクタンスが小さくなり、MOSトランジスタmn24は、MOSトランジスタmp23を流れる電流のミラー電流よりも大きな電流を放電し、MOSトランジスタmp25のゲート電圧がLレベルとなり、MOSトランジスタmp25がオン状態となる。応じて、定電流源70cは定電流IB12よりも大きな電流が供給され、比較器CP5の出力信号は、Hレベルとなる。
バイアスコントロール回路62は、比較器CP5の出力信号を受けるインバータIV3と、インバータIV3の出力信号を受けるインバータIV4と、定電流源として機能するPチャネルMOSトランジスタmp26と、抵抗素子R8およびR9と、三角波信号TOSCと基準電圧VCを比較する差動段を構成するPチャネルMOSトランジスタmp27およびmp28を含む。
MOSトランジスタmp26は、ゲートが、定電流源40に含まれるMOSトランジスタmp20に結合され、MOSトランジスタmp20を流れる電流(IB10)のミラー電流を流す。
抵抗素子R8およびR9は、MOSトランジスタmp26のドレインに並列に接続され、電流/電圧変換を行ない、MOSトランジスタmp28およびmp27のソース電圧を低下させる。
MOSトランジスタmp27は、ソースが抵抗素子R8に接続され、ゲートに基準電圧VCを受ける。MOSトランジスタmp28は、ソースが抵抗素子R9に接続され、ゲートに三角波信号TOSCを受ける。
バイアスコントロール回路62は、さらに、MOSトランジスタmp27と接地ノードの間に接続されるNチャネルMOSトランジスタmn25と、MOSトランジスタmp28と接地ノードに間に接続されるNチャネルMOSトランジスタmn26を含む。これらのMOSトランジスタmn25およびmn26は、ゲートおよびドレインが相互接続される。
バイアスコントロール回路62は、さらに、内部ノード72を流れる電流量を制御するためのNチャネルMOSトランジスタmn27−mn32を含む。MOSトランジスタmn27およびmn30は、そのゲートにインバータIV3の出力信号を受け、それぞれ電源ノードおよび内部出力ノード72から電流を流す。MOSトランジスタmn28およびmn29は、ともにインバータIV4の出力信号をゲートに受け、それぞれ内部ノード72および電源ノードから電流を流す。
MOSトランジスタmn31は、MOSトランジスタmn27およびmn28の共通ソースノードと接地ノードの間に接続され、そのゲートがMOSトランジスタmn26のゲートに接続される。MOSトランジスタmn32は、MOSトランジスタmn29およびmn30の共通ソースノードと接地ノードの間に接続され、そのゲートがMOSトランジスタmn25のゲートに接続される。
したがって、MOSトランジスタmn26およびmn31がカレントミラー回路を構成し、MOSトランジスタmn25およびmn32がカレントミラー回路を構成する。MOSトランジスタmn25およびmn26を流れる電流のそれぞれのミラー電流が、MOSトランジスタmn31およびmn32を介してそれぞれ流れる。
三角波信号TOSCが基準電圧VCよりも低いとき、比較器CP5の出力信号はLレベルである。したがって、インバータIV3の出力信号がHレベル、インバータIV4の出力信号がLレベルとなる。この状態においては、MOSトランジスタmn27およびmn30がオン状態となり、MOSトランジスタmn28およびmn29が、オフ状態となる。三角波信号TOSCの電圧レベルが、基準電圧VCよりも低いため、MOSトランジスタmp28を介して流れる電流が、MOSトランジスタmp27を介して流れる電流よりも大きくなる。このとき、抵抗素子R9には、抵抗素子R8を流れる電流よりも大きな電流が流れ、MOSトランジスタmp28のソース電圧を低下させ、MOSトランジスタmp28を介して流れる電流量を抑制する。
MOSトランジスタmp27およびmp28を流れる電流は、それぞれ、MOSトランジスタmn25およびmn26へ供給される。MOSトランジスタmn31およびmn32には、それぞれ、MOSトランジスタmp28およびmp27を流れる電流のミラー電流が流れる。したがって、MOSトランジスタmn31を流れる電流量は、MOSトランジスタmn32を介して流れる電流よりも大きくなる。このとき、MOSトランジスタmn27およびmn30が、オン状態である。従って、MOSトランジスタmp27を介して流れる電流のミラー電流が、MOSトランジスタmn30を介して、内部ノード72から接地ノードへ流れる。一方、MOSトランジスタmp28を流れる電流のミラー電流が、電源ノードVCCからMOSトランジスタmn27を介して流れる。この場合、三角波信号TOSCが基準電圧VCと等しい電圧レベルのときを基準として、その差に応じて減少する電流が、内部ノード72から接地ノードに流れる。この内部ノード72を流れる電流は、三角波信号TOSCと基準電圧VCの差が大きくなるにつれて小さくなる。
一方、比較器CP5の出力信号がHレベルであり、三角波信号TOSCが基準電圧VCよりも高いときには、インバータIV3の出力信号がLレベル、インバータIV4の出力信号がHレベルとなる。この状態においては、MOSトランジスタmn27およびmn30がオフ状態、MOSトランジスタmn28およびmn29がオン状態となる。この状態においては、MOSトランジスタmn28およびmn31により、MOSトランジスタmp27およびmn25を介して流れる電流のミラー電流が、内部ノード72から引き抜かれる。一方、電源ノードからは、MOSトランジスタmn29およびmn32により、MOSトランジスタmn25およびmp27を介して流れる電流のミラー電流が引き抜かれる。いま、三角波信号TOSCが基準電圧VCよりも高いため、MOSトランジスタmn25を介して流れる電流が、MOSトランジスタmn26を介して流れる電流よりも大きくなる。この状態においても、内部ノード72からは、三角波信号TOSCと基準電圧VCとの差に応じて徐々に減少する電流が流れる。
すなわち、内部ノード72には、三角波信号TOSCが基準電圧VCよりも低いときには、(VC−TOSC)の電圧差に応じて減少する電流が流れ、一方、三角波信号TOSCが基準電圧VCよりも高いときには、電圧差(TOSC−VC)に応じて減少する電流が流れる。三角波信号TOSCと基準電圧VCが等しいときには、MOSトランジスタmp27およびmp28に同じ大きさの電流Irが流れる。そのときの電流Irを基準として、電圧差の絶対値|VC−TOSC|に応じて、基準電流Irよりも小さくなる電流が、内部ノード72に流れる。
この基準電流Irは、定電流IB10のミラー電流である。MOSトランジスタmp27およびmp28を介して流れる電流の合計は、定電流IB10のミラー電流に等しい。従って、内部ノード72を流れる電流は、三角波信号TOSCと基準電圧VCとの差が大きくなるにつれて、基準電流Irから低下する。電源ノードから引き抜かれる電流は、基準電流Irから定電流IB10のミラー電流に向かって増大する。
制御電流源64は、バイアスコントロール回路62の内部ノード72にゲートが接続されてカレントミラー段を構成するNチャネルMOSトランジスタmn20およびmn21を含む。MOSトランジスタmn20は、MOSトランジスタmp21と接地ノードの間に接続され、かつそのゲートおよびドレインが相互接続される。MOSトランジスタmn21は、MOSトランジスタmp22と接地ノードの間に接続される。MOSトランジスタmn20を介して流れる電流のミラー電流が、MOSトランジスタmn21を介して流れる。
MOSトランジスタmp21により供給される電流(定電流IB10のミラー電流)は、MOSトランジスタmn20および内部ノード72へ供給される。内部出力ノード72から引き抜かれる電流は、MOSトランジスタmp28およびmp27を流れる電流のうちの小さなほうの電流のミラー電流である。三角波信号TOSCと基準電圧VCの差が小さい場合、MOSトランジスタmp27およびmp28に流れる電流量の差は小さい。このときには、内部ノード72には、三角波信号TOSCと基準電圧VCが等しいときの基準電流Irよりも少し小さな電流が流れる。
MOSトランジスタmn20を介して流れる電流量が、三角波信号TOSCと基準電圧VCとが等しい状態に較べて少し大きくなり、応じてMOSトランジスタmn21を介して流れる電流量も少し大きくなる。したがって、MOSトランジスタmp22、mp7およびmp9を介して流れる電流も少し大きくなる。
一方、三角波信号TOSCと定電圧VCの差が大きい場合、内部ノード72から非絹代えれる電流が置き杭減少し、MOSトランジスタmn20を介して流れる電流量が大きく増大し、応じてMOSトランジスタmp22およびmp7およびmp9を介して流れる電流量が増大する。
出力ノード38の充電時においては、MOSトランジスタmp9を介して電流I2が供給される。この電流I2は、MOSトランジスタmp22、mn21およびmn20を流れる電流のミラー電流である。このとき、MOSトランジスタmp9およびmp7はサイズが同じ(ゲート幅とゲート長の比が同じ)であり、同じ大きさの電流を流す。従って、この充電電流I2は、三角波信号TOSCと基準電圧VCとの差が大きくなるにつれて大きくなり、差が小さくなるにつれて小さくなる。従って、三角波信号TOSCのレベル上昇時のスルーレートは、基準電圧VCとの差が大きくなるにつれて大きくなり、基準電圧VCと三角波信号TOSCのレベルが等しいときに最も小さくなる。
出力ノード38の放電時には、MOSトランジスタmn8およびmn9を介して、MOSトランジスタmp7を流れる電流の2倍の電流2・I2が流れる。したがって、出力ノード38に接続される容量素子C1の充放電電流は同じプロファイルとなる。これにより、連続的に、三角波信号TOSCと基準電圧VCとの差に応じて三角波信号TOSCのスルーレートを調整することができる。
以上のように、この発明の実施の形態3に従えば、三角波信号TOSCと定電圧VCの差に応じて連続的に三角波信号のスルーレートを調整しており、スルーレート調整を高精度に行なうことができ、利得補償を高精度に行なうことができ、応じて、周波数特性をより高精度に調整することができる。
特に、バイアスコントロール回路62において、MOSトランジスタmp26は、定電流源のMOSトランジスタmp20とカレントミラー回路を構成しており、正確に、このMOSトランジスタmp27およびmp28を介して流れる電流を、定電流IB10の1/2倍の電流、IB10/2、を基準として三角波信号TOSCと基準電圧VCの差に応じた電流レベルに変化させることができる。これにより、三角波信号の平均スルーレートを、補正なしの場合の三角波信号のスルーレートと同じに設定することができる。
[実施の形態4]
図18は、この発明の実施の形態4に従う三角波補正回路の構成を、三角波信号発生器30の構成とともに示す図である。この図18に示す三角波信号発生器30の構成は、これまでの実施の形態1から3において示したものと同じであり、対応する部分には同一参照番号を付し、その詳細説明は省略する。
三角波補正回路32は、出力ノード38の三角波信号TOSCの電圧レベルを検出する電圧レベル検出回路80と、電圧レベル検出回路80の出力するデジタルコード信号をアナログ信号に変換するデジタル/アナログ変換器(DAC)82と、DAC82の出力信号に従って、出力ノード38に対する充放電電流を調整する制御電流源84を含む。
電圧レベル検出回路80は、三角波信号TOSCの電圧レベルを検出し、この検出した電圧レベルを示す多ビットデジタルコードを生成する。DAC82は、この電圧レベル検出回路80からの多ビットデジタルコードを再びアナログ信号に変換し、制御電流源84の充放電電流を制御する。これにより、複数段階にわたって三角波信号TOSCのスルーレートを離散的に調整することができる。
図19は、図18に示す電圧レベル検出回路80の構成の一例を概略的に示す図である。図19において、電圧レベル検出回路80は、三角波信号TOSCをデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換器(ADC)85と、ADC85の出力するデジタル信号に従って対応の制御コードを読出して制御コードCODを生成するテーブルメモリ回路87を含む。
テーブルメモリ回路87においては、テーブルメモリ88および読出回路89が設けられる。テーブルメモリ87においては、三角波信号TOSCの波高値(VH−VL)をN段階に分離し、各電圧レベルそれぞれに対応してエントリが設けられる。各エントリにおいては、三角波信号TOSCの電圧レベル♯1−レベル♯nそれぞれにリンクして供給電流量を規定するコード♯1−コード♯nが格納される。読出回路88は、ADC85からのデジタル信号に従ってテーブルメモリ88の対応のエントリを参照し、そこにリンクして格納されるコードを読出して、制御コードCODEを生成する。
DAC82が、再び、制御コードCODEをアナログ信号に変換する。制御電流源84の構成としては、たとえば、図17に示す構成において、MOSトランジスタmn21(制御電流源64内に含まれる)のゲートに、DAC84の出力信号を容量素子を介して与える。
これにより、三角波信号TOSCと基準電圧VCの差が小さいときに、定電流源40および45が供給する電流を小さくし(MOSトランジスタmn20およびmn21のゲート電圧を低くバイアスして)、三角波信号TOSCと基準電圧VCの差が大きくなると、図17に示す定電流源40および45が供給する電流を大きくする(MOSトランジスタmn20およびmn21のゲート電圧を高くして)。これにより、多段階にわたって最適なレベルの三角波信号TOSCのスルーレートを調整することができ、過補償量および補償不足量を低減でき、周波数変動幅を小さくすることができる。
ここで、図19に示すADC85は、クロック信号CLKにより、アナログ/デジタル変換を行なうサンプリングサイクルが規定される。したがって、三角波信号TOSCの周波数、すなわち、PWMキャリア周波数よりも、クロック信号CLKの周波数を十分に高くする必要がある。
以上のように、この発明の実施の形態4に従えば、三角波信号をサンプリングし、その電圧レベルをデジタル信号に変換した後、制御コードを生成し、その制御コードに従って出力ノードの充放電電流を調整している。これにより、過補償および補償不足量を低減でき、周波数変動幅を小さくすることができる。また、図18に示すテーブルメモリ回路87の制御コードを変更することにより、補償量をさらに調整することができる。
[実施の形態5]
図20は、この発明の実施の形態5に従う光ディスク記憶装置の全体の構成を概略的に示す図である。この光ディスク記憶装置において、これまでの実施の形態において説明したD級増幅回路を含む出力負荷駆動装置が、アクチュエータまたはモータを駆動するための回路装置として利用される。
図20において、光ディスク記憶装置は、光ディスク記憶装置本体100を含む。この光ディスク記憶装置本体100には、光ディスク101を回転駆動するためのスピンドルモータ102と、光ディスク101に記憶された情報の読出しおよび光ディスク101に情報を書込むための光ピックアップユニット104と、光ピックアップユニット104を半径軸方向に移動させるスライドモータ103と、スピンドルモータ102、アクチュエータ、およびスライドモータ103を駆動するモータ駆動IC(集積回路装置)が実装されるモータ/アクチュエータ駆動回路基板105が設けられる。モータ/アクチュエータ駆動回路基板105上に、この発明に従う出力負荷駆動装置1が配置される。
図21(A)および(B)は、それぞれ、図20に示す光ピックアップユニット104の上面図および側面図である。図21(A)において、光ピックアップユニット104においては、マグネット201および204がその両側に対向して配置され、中央部に、対物レンズ203が配置される。この対物レンズ203は、支持ワイヤ202により保持される。マグネット201に対向して、アクチュエータコイル205aが配置され、マグネット204に対向して、アクチュエータコイル205bが配置される。対物レンズ203を取囲むように、アクチュエータコイル205aおよび205bの内側に、アクチュエータコイル205cが配置される。
図21(B)に示すように、対物レンズを囲むように、アクチュエータコイル205bが配置され、その両側にアクチュエータコイル205aおよび205bが配置される。複数の支持ワイヤ202により、対物レンズ203が保持され、支持ワイヤ202が、光ピックアップユニット104の支持部に係合される。
アクチュエータコイル205cは、対物レンズ203を光ディスク101の記録面に対する焦点方向に移動させるフォーカス(focus)用のアクチュエータコイルである。アクチュエータ用コイル205aおよび205bの1対の組は、対物レンズ203の光ディスクの記録面に対する焦点軸の角度を調整するティルト(tilt)制御用アクチュエータコイルであり、他方のアクチュエータコイルの組は、対物レンズ203を、光ディスク(101)の半径方向に移動させるトラッキング(tracking)用のアクチュエータコイルである。これらのフォーカス、トラッキングおよびティルトの3種類のアクチュエータが、光ディスクの記録面に対し対物レンズの焦点を最適な状態に維持するための駆動装置であり、光ディスクの回転に同調して動作する。
対物レンズ203の焦点は、光ディスク記録面に書込/読出をするデータの密度が高いほど、回転速度が一定の場合、高速に追従する必要がある。光ディスクとして、現在、DVD光ディスクに代わってBD(ブルーレイ・ディスク)が用いられてきている。BDは、記録面の情報量が、DVDに比べて約5倍以上であり、高精度の焦点制御を行なう必要がある。
このアクチュエータを駆動するためには、サーボ制御用の誤差信号が入力信号として利用される。すなわち、トラッキング、ティルトおよびフォーカスの制御を行なう場合、サーボコントロールにより、期待値と実測値との誤差に基づいて入力信号(VIN)が生成される。高精度で焦点合わせをする場合、この入力信号が高速で変化し、周波数特性に優れた駆動装置を利用する必要がある。このアクチュエータ駆動用の装置として、この発明に従う出力負荷駆動装置を適用する。これにより、高精度でBDの記録情報を読出し、また記録情報を高密度で正確に書込むことのでき、高性能の光ディスク記憶装置を実現することができる。
また、この発明は、アクチュエータまたはモータを駆動するドライブ回路を有する半導体回路装置に対して適用でき、また、三角波信号を用いてPWM変換を行なう機能を有する電圧帰還型D級増幅回路を有するフルブリッジ接続またはハーフ・ブリッジ接続構成のドライブ回路を高速制御する回路に対して適用することができる。
また、出力負荷としては、アクチュエータおよびスピンドルモータに限定されず、ソレノイド、DCモータ(直流モータ)、VCMモータ(ボイスコイルモータ)、ピエゾ素子、スピーカ、またはステッピングモータなどを利用することができる。
以上のように、この発明の実施の形態5に従えば、周波数特性の優れた出力負荷駆動装置を、光ディスク記憶装置をアクチュエータ駆動用に利用しており、たとえばBDのような高密度の情報が記録された光ディスクに対し高精度で焦点のサーボ制御を行なうことができる。