JP2010540754A - イソシアネート変性エポキシ樹脂及びそのエポキシ粉体コーティング組成物 - Google Patents
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Abstract
エポキシ樹脂組成物は(a)約2.2よりも大きいエポキシ官能価を有する多官能性エポキシ樹脂及び(b)ジイソシアネート化合物の反応生成物であるイソシアネート変性エポキシ樹脂を含む。エポキシ粉体コーティング組成物は前記エポキシ樹脂組成物を含む。前記イソシアネート変性エポキシ樹脂は、粉体コーティング用途のために、高い樹脂軟化点及び高い架橋ガラス転移温度Tgを有する。
Description
本発明は、粉体コーティング用途のための、高い樹脂軟化点及び高い樹脂架橋ガラス転移温度(resin cross-linked glass transition temperature)を有するイソシアネート変性エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂をイソシアネート化合物によって変性して、オキサゾリドン環を含むエポキシ樹脂を生成することは、当該技術分野に於いて公知である。イソシアネート変性エポキシ樹脂から製造されたエポキシ樹脂コーティング製品は、改良された性能、例えば、より高い樹脂ガラス転移温度(樹脂Tg)及びより良い耐薬品性を有することが見出されている。
特許文献1には、エポキシ末端ポリオキサゾリドン(イソシアネート変性エポキシ樹脂とも呼ぶ)は、エポキシ樹脂をポリイソシアネート化合物と、化学量論的過剰のエポキシ樹脂を使用して(1よりも小さいイソシアネート/エポキシ比)反応させることによって製造されることが開示されている。このエポキシ末端ポリオキサゾリドンは改良された樹脂Tg及び化学薬品に対する耐性を示す。
特許文献2及び特許文献3には、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂とイソシアネート化合物との間の硬化反応を抑制するために、エポキシ樹脂組成物に添加することができるホウ酸を含む硬化抑制剤が記載されている。このホウ酸抑制剤は、ゲル時間を延長し、エポキシ樹脂組成物の硬化サイクルを改良する。
特許文献4には、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂、ハロゲン含有エポキシ樹脂及び硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物が開示されている。このエポキシ樹脂組成物は耐熱性、靱性、貯蔵安定性及び難燃性に於いて改良された性能を有することが見出された。
特許文献5には、約1〜約100重量%の熱可塑性オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物が開示されている。このエポキシ樹脂は、ポリエポキシドとポリイソシアネートとの反応生成物であり、ここで、このポリイソシアネートは1.8〜2.2のイソシアネート官能価を有し、このポリエポキシドは1.8〜2.2のエポキシド官能価を有する。このエポキシ樹脂組成物は改良された剥離強度及び樹脂Tgを有する。
イソシアネート変性エポキシ樹脂を製造するための非常に多数の組成物及び方法が文献に記載されているが、得られるイソシアネート変性エポキシ樹脂の樹脂軟化点を上昇させるために、ジイソシアネート化合物と、2.2よりも大きいエポキシ官能価を有する多官能性エポキシ樹脂との反応によって、イソシアネート変性エポキシ樹脂を製造できることを教示する、公知技術に於ける開示も示唆も存在しない。また、粉体コーティング用途のための、上昇した樹脂架橋ガラス転移温度(樹脂架橋Tg)を有するイソシアネート変性エポキシ樹脂を含むエポキシ粉体コーティング組成物を教示する、公知技術に於ける開示も示唆も存在しない。
高い軟化点及び高い樹脂架橋Tgを有するエポキシ樹脂を含むエポキシ粉体コーティング組成物は、多くの用途のために望ましい。例えば、このエポキシ粉体コーティング組成物は、原油管、例えば深海油井からの高温度原油輸送のための油管システムを被覆する際に使用することができる。高架橋Tg(例えば約160℃よりも高いTg)を有するエポキシ粉体コーティング組成物が適用された油管システムは、従来のエポキシ樹脂コーティング組成物よりも長い期間、より高い温度で、より長い距離に亘って油を輸送するために使用することができる。
更に、このエポキシ粉体コーティング組成物は、また、高樹脂架橋Tg(例えば約160℃よりも高いTg)を必要とする又は超高樹脂架橋Tgを必要とする(例えばモーター及び発電機に於いて使用される粉末コーティングローターは、200℃程度又はそれ以上高い樹脂架橋Tgを必要とする)電気用途に於いて有用であろう。
従って、高樹脂軟化点(例えば約90℃よりも高い軟化点)を含む高い作業温度を達成できる新規なイソシアネート変性エポキシ樹脂及び高樹脂架橋Tg(例えば約160℃よりも高い樹脂架橋Tg)を有するエポキシ粉体コーティング組成物を開発するニーズが存在する。
本発明の一つの面は、(a)約2.2よりも大きいエポキシ官能価を有する多官能性エポキシ樹脂及び(b)ジイソシアネート化合物の反応生成物であるイソシアネート変性エポキシ樹脂を含んでなるエポキシ樹脂組成物に関する。
本発明の別の面は、上記のエポキシ樹脂組成物を含んでなるエポキシ粉体コーティング組成物に関する。
本発明の更なる面は、上記のエポキシ粉体コーティング組成物を含んでなる物品に関する。
下記の詳細な説明に於いて、本発明の特定の態様は、その好ましい態様と関連させて説明する。しかしながら、下記の説明が本発明の技術の特定の態様又は特定の使用に具体的であるという点で、ただ例示的であり、代表的な態様の簡潔な説明を単に提供することが意図される。従って、本発明は、下記の特定の態様に限定されず、むしろ本発明は、付属する特許請求の範囲の真の範囲内に入る全ての代替、修正及び均等を含む。
他の方法で記載されない限り、化合物又は成分に対する参照には、それ自体及び他の化合物又は成分と組み合わせた化合物又は成分、例えば化合物の混合物又は組合せが含まれる。
本明細書中に使用する単数形(a,an,the)には、文脈が明白に他の方法で指示していない限り、複数の参照物が含まれる。
本発明は、高樹脂軟化点を有するイソシアネート変性エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物及び粉体コーティング用途のための高樹脂架橋Tgを有するエポキシ樹脂組成物を含んでなるエポキシ樹脂組成物を提供する。
樹脂軟化点は、樹脂が軟化又は溶融し始める温度である。樹脂軟化点はメトラー(Mettler)軟化点(M.S.P.)測定装置によって測定することができる。本発明のイソシアネート変性エポキシ樹脂の樹脂軟化点は、一般的に、約90℃よりも高く、好ましくは約95℃よりも高く、更に好ましくは約100℃よりも高い。この樹脂軟化点は、好ましくは150℃よりも低く、更に好ましくは約130℃よりも低い。
好ましい態様に於いて、前記樹脂軟化点は約95℃〜約150℃、好ましくは約100℃〜約130℃であってよい。
樹脂架橋Tgは、硬化したエポキシ樹脂、即ちエポキシ樹脂中のエポキシ基(「エポキシド基」とも呼ぶ)の殆ど又は全部が、硬化剤によって架橋した(硬化した)又は自己重合したエポキシ樹脂のガラス転移温度である。本発明の硬化したエポキシ粉体コーティング組成物の樹脂架橋Tgは一般的に約160℃よりも高く、好ましくは約170℃よりも高く、更に好ましくは約190℃よりも高く、最も好ましくは約200℃よりも高い。
好ましい態様に於いて、硬化したエポキシ粉体コーティング組成物の樹脂架橋Tgは約200℃よりも高く、約250℃よりも低くてよい。
本発明のイソシアネート変性エポキシ樹脂はジイソシアネート化合物と多官能性エポキシ樹脂との反応生成物である。この反応によって、ジイソシアネート化合物からのイソシアネート基が、多官能性エポキシ樹脂主鎖の中に組み込まれて、ポリ−オキサゾリドン構造が形成される。この生成物はオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂としても参照される。
多官能性エポキシ樹脂主鎖内のポリ−オキサゾリドン構造の形成によって、多官能性エポキシ樹脂の分子量が増加し、従って、得られるイソシアネート変性エポキシ樹脂の樹脂軟化点が上昇する。イソシアネート変性エポキシ樹脂を含む硬化したエポキシ粉体コーティング組成物の樹脂架橋Tgも、より高い。それは、多官能性エポキシ樹脂主鎖の中へのポリ−オキサゾリドン構造の付加によって、エポキシ主鎖構造剛性及びエポキシ架橋密度の両方が上昇するためである。
本明細書中で使用される多官能性エポキシ樹脂は約2.2よりも大きい、好ましくは約2.5よりも大きい、更に好ましくは約3.0よりも大きい、最も好ましくは約3.5よりも大きいエポキシ官能価を有する化合物又は化合物の混合物を指す。この多官能性エポキシ樹脂は、好ましくは約10よりも小さく、更に好ましくは約8よりも小さく、最も好ましくは約6よりも小さくてよい。
好ましい態様に於いて、この多官能性エポキシ樹脂は、約2.5〜約10、更に好ましくは約3.0〜約8、最も好ましくは約3.5〜約6のエポキシ官能価を有してよい。
多官能性エポキシの例には、エポキシノボラック樹脂(即ちフェノールとアルデヒド、例えばホルムアルデヒドとの反応生成物)、例えばエポキシ化ビスフェノールAノボラック、クレゾールエポキシノボラック、アルキル化エポキシノボラック;ジシクロペンタジエン変性エポキシ、例えばジシクロペンタジエンフェノールエポキシノボラック;テトラフェノールエタンのグリシジルエーテル;ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル;ビスフェノール−Fのジグリシジルエーテル及びヒドロキノンのジグリシジルエーテル、トリスエポキシ、ビスフェノール−Sエポキシ;ジヒドロキシルフルオリン9−ビスフェニルのエポキシ並びにこれらの任意の組合せ等が含まれる。エポキシノボラック樹脂は本発明のために使用される好ましい多官能性エポキシ樹脂である。
本発明のために適している市販の多官能性エポキシ樹脂の例には、例えばザ・ダウ・ケミカル社(The Dow Chemical Company)から入手可能なD.E.N.(登録商標)438又はD.E.N.(登録商標)439のようなエポキシノボラック樹脂;ハンツマン社(Huntsman)から入手可能なQUATREX(登録商標)3310、3410及び3710のようなクレゾールエポキシノボラック、またハンツマン社から入手可能なTACTIX(登録商標)742のようなトリスエポキシ化合物が含まれる。
一般的に、本発明に於いて多官能性エポキシ樹脂を変性するために使用されるジイソシアネート化合物は約2.0〜約2.4、好ましくは約2.05〜約2.3、更に好ましくは約2.1〜約2.25、最も好ましくは約2.15〜約2.2のイソシアネート官能価を有するイソシアネート化合物である。
イソシアネート化合物のイソシアネート官能価が高くなるほど、より少ない量のイソシアネート化合物が多官能性エポキシ樹脂と反応することが本発明において見出された。イソシアネート化合物の官能価が高すぎると、得られるイソシアネート変性エポキシ樹脂は、反応がイソシアネート変性エポキシ樹脂のゲル化点に到達する前に、より少ない量のイソシアネート化合物が多官能性エポキシ樹脂と反応することができるので、より低い樹脂軟化点を有するであろう。
本明細書中に使用される用語「ゲル化点」は、エポキシ樹脂が三次元ネットワークを形成し始め、エポキシ樹脂が液状態にまで溶融できないときの開始点を意味する。
イソシアネート化合物の官能価がより高いとき、多官能性エポキシ樹脂とイソシアネート化合物との間の反応は、三次元ネットワークをより早く又はより速く形成し、一層早く、得られるイソシアネート変性エポキシ樹脂のゲル化点に到達するであろう。三次元ネットワークの形成は、イソシアネート化合物と多官能性エポキシ樹脂との間の更なる反応を抑制する。従って、イソシアネート官能価が高いほど、反応がイソシアネート変性エポキシ樹脂のゲル化点に到達する前に、多官能性エポキシ樹脂と反応することができるイソシアネート化合物の量はより低くなる。
例えば約2.7の官能価を有するイソシアネート化合物について、反応がイソシアネート変性エポキシ樹脂のゲル化点に到達する前に、多官能性エポキシ樹脂(例えばD.E.N.(登録商標)438)と反応することができるイソシアネート化合物の推定%は、約10%よりも低い。しかしながら、約2の官能価を有するイソシアネート化合物について、反応がイソシアネート変性エポキシ樹脂のゲル化点に到達する前に、多官能性エポキシ樹脂(例えば、D.E.N.(登録商標)438)と反応するイソシアネート化合物の推定%は、約13〜14%まで上昇する。
反応がイソシアネート変性エポキシ樹脂のゲル化点に到達する前に、エポキシ樹脂と反応することができるイソシアネート化合物の量が多くなるほど、得られるイソシアネート変性エポキシ樹脂の分子量は高くなり、従って、イソシアネート変性エポキシ樹脂の軟化点は高くなる。
他方、イソシアネート官能価が低すぎると、得られるイソシアネート変性エポキシ樹脂は低い官能価を有し、従って、低い分子量及び低い樹脂軟化点を有する。低い官能価を有するイソシアネート化合物から製造された、硬化したイソシアネート変性エポキシ樹脂もまた、低い架橋密度及び結果として低い樹脂架橋Tgを有するであろう。
従って、高レベルの、多官能性エポキシ樹脂と反応するイソシアネート化合物を有し、そうしてより多くのオキサゾリドン環をエポキシ樹脂主鎖の中に導入するように、多官能性エポキシ樹脂を変性するためのジイソシアネート化合物を使用することが重要である。ジイソシアネート化合物の使用によって、得られるイソシアネート変性エポキシ樹脂の樹脂軟化点が上昇し、イソシアネート変性エポキシ主鎖全体で、より高い架橋密度、従ってより高い樹脂架橋Tg並びにより良い靱性及び接着性がもたらされる。
適切なジイソシアネートの例には、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)及びキシレンジイソシアネート(XDI);脂肪族ジイソシアネート(脂環式ジイソシアネートを含む)、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びジアニシジンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1,4−ジエチルベンゼン−β,β′−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)及び4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)並びにこれらの任意の混合物等が含まれる。
ジイソシアネートの好ましい例には、4,4′−メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)及びその異性体、ポリマー性MDI並びにトルエンジイソシアネート(TDI)及びこれらの異性体、これらの任意の混合物等が含まれる。
ジイソシアネートの更に具体的な例はトルエンジイソシアネート(TDI)及びこれらの異性体、例えば2,4−トルエンジイソシアネート及び2,6−トルエンジイソシアネート;メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)及びこれらの異性体、例えば2,2′−メチレンビス(フェニルイソシアネート)、2,4′−メチレンビス(フェニルイソシアネート)及び4,4′−メチレンビス(フェニルイソシアネート)である。
更に好ましいジイソシアネートはTDI及びその異性体である。TDIは、その分子構造内の単一フェニル環上に、異なった反応性の2個のイソシアネート基を含み、従って、他のイソシアネート化合物よりも一層高い(ほぼ48%)イソシアネート含有量を有する。高いイソシアネート含有量のために、TDIは、高いレベルのイソシアネート含有量、従って多官能性エポキシ樹脂の中へのより多くのオキサゾリドン環の組み入れをもたらす。得られるTDI変性エポキシ樹脂は、潜在的に、多官能性エポキシ樹脂主鎖中の高いレベルのオキサゾリドン環(これはイソシアネート変性エポキシ樹脂の架橋密度を増加させる)の存在のために、非常に高い樹脂架橋Tgに到達することができる。
イソシアネートは2種又はそれ以上のイソシアネートの混合物として使用することができる。イソシアネートは、また、イソシアネートの異性体の任意の混合物、例えばMDIの2,4−及び2,6−異性体の混合物又はTDIの任意の2,2′−、2,4′−及び4,4′−異性体の混合物であってもよい。
本発明のために適している市販のジイソシアネートの例には、例えばザ・ダウ・ケミカル社から入手可能なISONATE(登録商標)M124、ISONATE(登録商標)M125、ISONATE(登録商標)OP50及びVORANATE(登録商標)T−80が含まれる。
一般的に、エポキシ樹脂組成物中に存在する多官能性エポキシ樹脂の量は、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂及びイソシアネート化合物の全重量基準で、約98重量%〜約75重量%、好ましくは約95重量%〜約85重量%である。イソシアネート化合物の量は、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂及びイソシアネート化合物の全重量基準で、約2重量%〜約25重量%、好ましくは約5重量%〜約15重量%である。
本発明のイソシアネート変性エポキシ樹脂は、また、架橋密度を増加させ、イソシアネート変性エポキシ樹脂に種々の架橋構造を与えるために、ハイブリッドオキサゾリドン/イソシアヌレート環からなっていてよい。このイソシアヌレート環は、3個のイソシアネート基の三量化反応によって形成される。一般的に、元のイソシアネート基の約5〜約100%がオキサゾリドン環に転化し、そして元のイソシアネート基の約95〜0%がイソシアヌレート環に転化する。ハイブリッドオキサゾリドン/イソシアヌレート環の例には、特許文献1(参照して本明細書に含める)中に記載されているものが含まれる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、また、1種の触媒又は2種若しくはそれ以上の触媒の混合物からなっていてよい。イソシアネート変性エポキシ樹脂を製造するために適している触媒には、アミン、例えば第一級、第二級、第三級、脂肪族、シクロ脂肪族、芳香族又は複素環式アミンを含有する化合物;ホスフィン、複素環式窒素、アンモニウム、ホスホニウム、アルソニウム又はスルホニウム単位を含有する化合物及びこれらの任意の組合せが含まれる。
触媒の好ましい例は複素環式窒素及びアミン含有化合物である。このような複素環式窒素化合物の例には、米国特許第4,925,901号明細書及び特許文献1(参照して本明細書に含める)中に記載されているものが含まれる。
本発明のために適している更に好ましい触媒には、アミン含有化合物、例えば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール(2−PhI)を含むイミダゾール誘導体;ホスホニウム及びアンモニウム塩並びにこれらの任意の混合物等が含まれる。本発明に於いて使用される最も好ましい触媒は、2−PhI及びDBUである。いずれの触媒も、考慮される反応温度(即ち約150℃〜約200℃)下で、オキサゾリドン環の高い割合(例えば約95%よりも高いオキサゾリドン転化率)及びイソシアヌレート環の生成の低い割合(例えば5%よりも低いイソシアヌレート転化率)をもたらすことが見出された。
本発明のために使用される触媒の量は、エポキシ樹脂組成物の全重量基準で、約10〜約50000ppm、好ましくは約50〜約10000ppm、更に好ましくは約100〜約5000ppm、最も好ましくは約200〜約2000ppmであってよい。
エポキシ樹脂組成物は、更に、ジイソシアネート化合物と多官能性エポキシ樹脂との反応を制御するための反応抑制剤からなっていてよい。多官能性エポキシ樹脂とジイソシアネート化合物との間の反応が完結した後、固体イソシアネート変性エポキシ樹脂生成物は、通常、高温度(例えば約150℃〜約200℃)に保持され、イソシアネート変性エポキシ樹脂の溶融粘度は触媒の存在のために増加する傾向がある。更に、触媒の存在は、反応中に存在するエポキシ基の間の単独重合反応を更に増強し得る。エポキシ基の単独重合反応を抑制するために、触媒を失活させるか又は反応プロセスを中断するために反応抑制剤を使用し、それによってエポキシ基の間の更なる反応を抑制する。
強無機酸並びにこの酸の無水物及びエステル(半エステル及び部分エステルを含む)が、反応抑制剤として特に有効であることが見出された。用語「強酸」は、約4未満、好ましくは約2.5未満のpKa値を有する有機酸を意味する。
反応抑制剤の例には、無機酸、例えば塩酸、硫酸及びリン酸;無機酸無水物、例えば無水リン酸(P2O5);無機酸のエステル、例えば硫酸ジメチル;有機酸、例えばアルキル、アリール及びアラルキル並びに置換されたアルキル、アリール及びアラルキルスルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸及びフェニルスルホン酸並びにより強い有機カルボン酸、例えばトリクロロ酢酸及び酸のアルキルエステル、例えばp−トルエンスルホン酸のアルキルエステル、例えばp−トルエンスルホン酸メチル及びp−トルエンスルホン酸エチル及びメタンスルホン酸メチルエステルが含まれる。強有機酸の酸無水物の例、例えばp−トルエンスルホン酸無水物も、反応抑制剤として使用することができる。
好ましくは、反応抑制剤は硫酸のアルキルエステル、アリール又はアラルキルスルホン酸及びこの酸のアルキルエステルであってよい。更に好ましくは、p−トルエンスルホン酸のアルキルエステル、特にp−トルエンスルホン酸メチル又はエチルを、本発明に於ける反応抑制剤として使用することができる。
反応エポキシ樹脂組成物に添加される反応抑制剤の量は、本発明のエポキシ樹脂組成物を製造する際の、使用される特定の抑制剤及び使用される触媒に依存する。一般的に、この抑制剤は、触媒の触媒活性を無力にするために十分な量で添加される。好ましくは、使用される触媒の各当量について、少なくとも約0.9当量の抑制剤、更に好ましくは少なくとも約2当量の抑制剤が添加される。反応混合物中に添加される抑制剤の最大量は、エポキシ樹脂の所望の特性及び過剰の抑制剤を添加する費用に依るが、抑制剤は、好ましくはエポキシ樹脂組成物中の触媒の各当量について、約5当量を超えない量で添加される。
本発明の別の面は、本発明のエポキシ樹脂組成物からなるエポキシ粉体コーティング組成物であって、このエポキシ樹脂組成物がイソシアネート変性エポキシ樹脂を含むエポキシ粉体コーティング組成物に指向している。本発明のエポキシ粉体コーティング組成物は、更に、硬化剤及び触媒からなっていてよい。
硬化剤の例には、エポキシ樹脂系コーティング組成物を硬化させるために有用であることが知られている任意の硬化性物質が含まれる。このような物質には、例えばポリアミン、ポリアミド、ポリアミノアミド、ジシアンジアミド、ポリフェノール、ポリマー性チオール、ポリカルボン酸及び無水物、ポリオール、第三級アミン、ハロゲン化第四級アンモニウム並びにこれらの任意の組合せ等が含まれる。硬化剤の他の具体的な例には、ジシアンジアミド、フェノールノボラック、ビスフェノール−Aノボラック、ジシクロペンタジエンのフェノールノボラック、ジフェニルスルホン、スチレン−無水マレイン酸(SMA)コポリマー及びこれらの全ての組合せが含まれる。
ジシアンジアミド(DICY)は本発明に於ける好ましい硬化剤である。DICYは、それが、比較的高い温度を必要とし、従って室温(約25℃)でエポキシ樹脂に添加し、貯蔵することができるので、遅延硬化を与えるという利点を有する。
硬化剤のイソシアネート変性エポキシ樹脂に対する好ましい比は、選択される硬化剤及びエポキシ粉体コーティング組成物の意図する使用によって変化する。一般的に、硬化剤のエポキシ樹脂に対する当量比は、約0.1:1〜約10:1、好ましくは約0.2:1〜約2:1、更に好ましくは約0.5:1〜約5:1、最も好ましくは約0.7:1〜約1:1である。
本発明のエポキシ粉体コーティング組成物は、更に、イソシアネート変性エポキシ樹脂と硬化剤との間の硬化反応を促進するための、触媒、促進剤又は触媒と促進剤との混合物を含んでいてよい。
粉体コーティング組成物中に一般的に使用される促進剤が、本発明のエポキシ粉体コーティング組成物中に使用することができる。
本発明に於いて使用される促進剤の例には、モノカルボン酸の第一スズ塩、例えば第一スズオクトエート(stannous octoate)及びラウリン酸第一スズ、種々のアルカリ金属塩、例えば安息香酸リチウム、或る種の複素環式化合物、例えばイミダゾール及びベンゾイミダゾール化合物並びにこれらの塩、オニウム化合物、例えば第四級アンモニウム及びホスホニウム化合物並びに第三級アミン及びホスフィンが含まれる。
触媒(共架橋剤から区別されるようなもの)は、平均で、1分子当たり約1個以下の活性水素単位を含んでいてよい。この活性水素単位はアミン基、フェノール性ヒドロキシル基又はカルボン酸基に結合している水素原子からなる。
本発明に於いて有用な適切な触媒の例には、アミン、ホスフィン、複素環式窒素、アンモニウム、ホスホニウム、アルソニウム、スルホニウム単位を含有する化合物及びこれらの任意の組合せが含まれる。更に好ましい触媒は、複素環式窒素含有化合物及びアミン含有化合物であり、なお更に好ましい触媒は複素環式窒素化合物である。
触媒中のアミン及びホスフィン単位は、好ましくは第三級アミン及びホスフィン単位であり、アンモニウム及びホスホニウム単位は、好ましくは第四級アンモニウム及びホスホニウム単位である。
触媒として使用することができる好ましい第三級アミンの中には、適切な置換基、例えばヒドロカルビル基、好ましくは脂肪族、シクロ脂肪族又は芳香族ラジカルによって置換されたアミン水素の全てを有する開鎖又は環式構造を有するモノ又はポリアミンがある。
これらのアミン触媒の具体例には、とりわけ、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)、メチルジエタノールアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン、トリシクロヘキシルアミン、ピリジン及びキノリンが含まれる。好ましいアミンはトリアルキル、トリシクロアルキル及びトリアリールアミン、例えばトリエチルアミン、トリフェニルアミン、トリ−(2,3−ジメチルシクロヘキシル)アミン並びにアルキルジアルカノールアミン、例えばメチルジエタノールアミン並びにトリアルカノールアミン、例えばトリエタノールアミンである。弱い第三級アミン、例えば水溶液中で、1M濃度の水溶液中で10よりも低いpHを与えるアミンが特に好ましい。特に好ましい第三級アミン触媒はベンジルジメチルアミン及びトリス−(ジメチルアミノメチル)フェノールである。
適切な複素環式窒素含有触媒の例には、米国特許第4,925,901号明細書(参照して本明細書に含める)に記載されているものが含まれる。
本発明に於いて使用することができる、好ましい複素環式第二級及び第三級アミン並びに窒素含有触媒には、例えばイミダゾール、ベンゾイミダゾール、イミダゾリジン、イミダゾリン、オキサゾール、ピロール、チアゾール、ピリジン、ピラジン、モルホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピロリジン、ピラゾール、キノキサリン、キナゾリン、フタロジン(phthalozines)、キノリン、プリン、インダゾール、インドール、インドラジン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、ピロリン、インドリン、ピペリジン、ピペラジン及びこれらの任意の組合せ等が含まれる。アルキル置換されたイミダゾール、2,5−クロロ−4−エチルイミダゾール及びフェニル置換されたイミダゾール並びにこれらの任意の混合物が特に好ましい。N−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール及びイミダゾール−エポキシ反応付加物がなお更に好ましい。2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール及び2−メチルイミダゾール−エポキシ付加物が特に好ましい。
本発明のために適した触媒の最も好ましい例には、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、イミダゾール誘導体、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)、2−メチルイミダゾール−エポキシ付加物、例えばEPON(登録商標)P101(ヘクシオン・ケミカル社(Hexion Chemical)から入手可能)、イソシアネートアミン付加物(デグッサ社(Degussa)から入手可能)及びこれらの任意の組合せが含まれる。
本発明のエポキシ粉体コーティング組成物は、追加的に、ルイス酸からなっていてよい。このルイス酸は、反応性を制御する(例えば、粉体コーティングの形成のゲル時間を延長する)ことを助けるために、或る場合には、本発明のエポキシ粉体コーティング組成物の樹脂架橋Tgを更に上昇させるために、触媒中に添加することができる。
ルイス酸の使用によって、エポキシ粉体コーティング組成物のゲル時間が延長され、触媒のより高いレベルの使用が可能になり、エポキシ架橋密度が増加することが見出された。ルイス酸の使用は、より良い表面特性、例えば濡れを有するための、粉体コーティングのためのゲル時間(反応性)のより良い制御に寄与する。
本発明のために有用なルイス酸には、亜鉛、スズ、チタン、コバルト、マンガン、鉄、ケイ素、アルミニウム、ホウ素のハロゲン化物、酸化物、水酸化物及びアルコキシド、比較的弱い共役塩基を有する傾向がある他のルイス酸、例えばホウ酸並びにこれらの全ての混合物等が含まれる。
更なる具体例には、ホウ素のルイス酸及びホウ素のルイス酸の無水物が含まれる。ホウ素のルイス酸の好ましい例には、ホウ酸、メタホウ酸、置換されたボロキシン(boroxines)(例えばトリメトキシボロキシン、トリエチルボロキシン)、置換されたホウ素の酸化物、ホウ酸アルキル及びこれらの任意の混合物等が含まれる。
ルイス酸は、前記の任意のアミン含有化合物を含むアミン触媒との混合物を形成することができる。ルイス酸及びアミン触媒混合物は、エポキシ粉体コーティング組成物の中に混合する前に合することができ又はインシトゥ(in-situ)でアミン触媒と混合して、硬化触媒組合せを作ることができる。
本発明のエポキシ粉体コーティング組成物は、アミン触媒1モル当たり少なくとも約0.1モルのルイス酸、好ましくはアミン触媒1モル当たり少なくとも約0.3モルのルイス酸を含んでいてよい。しかしながら、エポキシ粉体コーティング組成物は、好ましくは、アミン触媒1モル当たり約5モル以下のルイス酸、更に好ましくはアミン触媒1モル当たり約3モル以下のルイス酸を含む。好ましくは、エポキシ樹脂粉体コーティング組成物中に存在するルイス酸の量は、アミン触媒1モル当たり少なくとも約0.1モルで約5モル以下のルイス酸である。更に好ましくはルイス酸の量はアミン触媒1モル当たり少なくとも約0.3モルで約3モル以下のルイス酸である。
触媒の全量は、エポキシ粉体コーティング組成物の全重量基準で、約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約0.2重量%〜約8重量%、更に好ましくは約0.4重量%〜約6重量%、最も好ましくは約0.8重量%〜約4重量%である。
本発明のエポキシ粉体コーティング組成物は、任意的に、それらの意図される用途のために有用である他の添加剤を含有することができる。例えばコーティング配合物のために有用なエポキシ粉体コーティング組成物は、任意的に、安定剤、界面活性剤及び流れ調整剤、充填剤、顔料並びにマット剤を含有することができる。ラミネート及びコンポジットのために有用なエポキシ粉体コーティング組成物は、任意的に、安定剤、充填剤、流れ調整剤及びチョップトファイバー(chopped fibers)を含有することができる。この添加物の例には、BaSO4、TiO2、Modaflow、Acronal 4F、Byk 361(流れ調整剤として)及び脱気剤としてのベンゾインが含まれる。
エポキシ粉体コーティング組成物中の顔料、充填剤及びチョップトファイバー以外の添加剤の全量は、一般的に、エポキシ粉体コーティング組成物の全重量基準で、約5重量%以下、好ましくは約3重量%以下である。顔料、充填剤及びチョップトファイバーの全量は、一般的に、エポキシ粉体コーティング組成物の全重量基準で、約40重量%以下、好ましくは約30重量%以下である。
本発明のエポキシ粉体コーティング組成物は、種々の方法によって基体(substrate)に適用することができる。例えば、一つの態様に於いて、エポキシ粉体コーティング組成物は、(1)基体を、この組成物のための適切な硬化温度まで加熱すること及び(2)公知の手段、例えば静電スプレー又は流動床によってエポキシ粉体コーティング組成物を適用することによって、基体に適用することができる。別の態様に於いて、エポキシ粉体コーティング組成物は、(1)(例えば静電適用方法により)エポキシ粉体を基体に適用すること並びに(2)粉体及び基体を、粉体が流れ、硬化する温度まで加熱することによって、冷基体に適用することができる。
本発明のエポキシ粉体コーティング組成物は、他のエポキシ樹脂、例えば二官能性エポキシ樹脂からなる粉体コーティング組成物よりも高い樹脂架橋Tgを有するという利点を有する。このエポキシ粉体コーティング組成物は、改良されたコーティング性能、例えば貯蔵期間に亘って、減少したシンタリング(sintering)傾向(凝集して塊のあるブロックを形成する、粉末粒子についての傾向)及びより高いレベルの触媒を使用することに起因する、より短い硬化時間を含む、エポキシ粉体コーティング組成物の改良された硬化サイクルをもたらす。
本発明のエポキシ粉体コーティング組成物の多くの有用な用途が存在する。特に、本発明のエポキシ粉体コーティング組成物は、高い耐熱性及び良好な貯蔵安定性を必要とする(例えば約150℃以下の温度で、長期間、即ち約5年より長期、基体を機能させる)用途のために有用である。
例えば、このエポキシ粉体コーティング組成物は、原油管、例えば深海油井からの高温度原油輸送のための油管システムを塗装する際に使用することができる。本発明のエポキシ粉体コーティング組成物を有する管システムは、従来のエポキシ樹脂コーティング組成物よりも長い期間、より高い温度で、より長い距離に亘って油を輸送するために使用することができる。
更に、このエポキシ粉体コーティング組成物は、また、高架橋Tg(例えば約160℃よりも高いTg)又は超高架橋Tgを必要とする電気用途(例えば200℃よりも高い架橋Tgを有する、モーター及び発電機に於いて使用される粉末コーティングローター)に於いて有用であろう。
このエポキシ粉体コーティング組成物の他の用途には、電気ラミネート、コンポジット材料、電気カプセル化及びその他のエポキシシステム、例えばペイント、接着剤、成形材料及び電子器具材料が含まれる。
下記の実施例及び比較例は、本発明を更に詳細に示すが、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
下記の実施例に於いて使用した種々の用語及び名称を、以下に説明する。
D.E.R.(登録商標)330は、177〜189のエポキシ当量重量(EEW)及び2.0のエポキシ官能価を有する、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルのための商標である。
D.E.N.(登録商標)438は176〜181のEEW及び3.6のエポキシ官能価を有する、エポキシ化フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂のための商標である。
TDIはトルエンジイソシアネートを表す。
MDIはジフェニルメタンジイソシアネートを表す。
DICYは、ジシアンジアミドを表す。
D.E.R.(登録商標)330は、177〜189のエポキシ当量重量(EEW)及び2.0のエポキシ官能価を有する、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルのための商標である。
D.E.N.(登録商標)438は176〜181のEEW及び3.6のエポキシ官能価を有する、エポキシ化フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂のための商標である。
TDIはトルエンジイソシアネートを表す。
MDIはジフェニルメタンジイソシアネートを表す。
DICYは、ジシアンジアミドを表す。
記載した手順に従って実施する下記の方法を、イソシアネート変性エポキシ樹脂及びこのイソシアネート変性エポキシ樹脂を含むエポキシ粉体コーティング組成物の性能を試験するために使用した。
エポキシ当量重量(EEW)は、氷酢酸中のテトラエチルアンモニウムブロミドの存在下での、0.1M過塩素酸による、エポキシ樹脂サンプル(約0.4mg)の比色滴定によって測定した。ASTM D1652方法に従って、指示薬としてクリスタルバイオレットを使用した。
溶融粘度は、ASTM D4287方法に従って、Abrechtコーン・プレート粘度計(“C”コーン)によって測定した。
樹脂軟化点は、樹脂が軟化又は溶融し始める温度である。樹脂軟化点は、RPM108C方法に従ってメトラーFP 80/FP83計器によって測定し、下記の実施例に於いて、メトラー軟化点(M.S.P.)として参照する。
樹脂ガラス転移温度(樹脂Tg)は硬い無定形ポリマーが可撓性のゴム状材料にまで軟化するときの温度である。樹脂Tgはメトラー計器で示差走査熱量法(DSC)によって測定した。約10〜15mgのエポキシ樹脂サンプルを、10K/分の走査速度で、0℃から120℃まで走査した。同じサンプルを2回走査して、Tg1/Tg2の2個の測定値を得た。下記の表に示される樹脂TgはTg1及びTg2の平均値である。
樹脂架橋ガラス転移温度(樹脂架橋Tg)は硬化した樹脂のガラス転移温度であり、未硬化樹脂のガラス転移温度である樹脂Tgとは異なる。
エポキシ当量重量(EEW)は、氷酢酸中のテトラエチルアンモニウムブロミドの存在下での、0.1M過塩素酸による、エポキシ樹脂サンプル(約0.4mg)の比色滴定によって測定した。ASTM D1652方法に従って、指示薬としてクリスタルバイオレットを使用した。
溶融粘度は、ASTM D4287方法に従って、Abrechtコーン・プレート粘度計(“C”コーン)によって測定した。
樹脂軟化点は、樹脂が軟化又は溶融し始める温度である。樹脂軟化点は、RPM108C方法に従ってメトラーFP 80/FP83計器によって測定し、下記の実施例に於いて、メトラー軟化点(M.S.P.)として参照する。
樹脂ガラス転移温度(樹脂Tg)は硬い無定形ポリマーが可撓性のゴム状材料にまで軟化するときの温度である。樹脂Tgはメトラー計器で示差走査熱量法(DSC)によって測定した。約10〜15mgのエポキシ樹脂サンプルを、10K/分の走査速度で、0℃から120℃まで走査した。同じサンプルを2回走査して、Tg1/Tg2の2個の測定値を得た。下記の表に示される樹脂TgはTg1及びTg2の平均値である。
樹脂架橋ガラス転移温度(樹脂架橋Tg)は硬化した樹脂のガラス転移温度であり、未硬化樹脂のガラス転移温度である樹脂Tgとは異なる。
エポキシ粉体コーティング組成物の樹脂架橋Tgはメトラー計器でDSCによって測定した。粉体コーティング組成物の成分(エポキシ樹脂、硬化剤、触媒、充填剤)を秤量し(バッチサイズ1kg)、Mixacoラボラトリーミキサーを使用して2分間400rpmで混合し、次いでWerner & Pfleiderer ZSK−30二軸スクリュー押出機(Tset=100℃、300rpmの速度)中で溶融押出した。得られた樹脂を手でチップにまで小さくし、Hosokawa-Micropulミル内で粉砕して、最終粉体コーティング組成物製品を得た。約10〜15mgのエポキシ粉体コーティング組成物のサンプルを、最初に、10K/分の走査速度で、0℃から230℃まで走査した。このサンプルを0℃まで冷却し、第2回目のために同じ走査速度で走査して、樹脂架橋Tgを測定した。
可撓性はASTM A775方法に従って測定した。流動化供給チャンバー(タイプE.P.M.200)を有するWagner静電スプレーガンを使用して、エポキシ粉体コーティング組成物を、熱い(約235℃)6mmショットブラスト処理したスチールパネル(100×60×6mm)の上に適用し、1分後硬化させた。次いで、この被覆したパネルを、直ちに水急冷して、過反応を回避した。被覆したパネルの曲げ試験を、被膜が室温で亀裂し始めるまで実施した。20mmの直径のマンドレルを使用した。被覆したパネルを、マンドレルの上で、被膜が目に見えて亀裂するような時間まで曲げた。この時点で、パネルを取り除き、曲げの撓み角度を測定した。被膜破壊(即ち、亀裂)の前に達成された撓み角度が大きいほど、可撓性が大きい。
耐衝撃性はASTM614方法に従って測定した。フロント及びリバース衝撃試験を、4ポンド(1.8kg)重り及び1/2インチ(1.3cm)タップを使用して実施した。タップは、被覆した表面上に衝撃を作るために被覆したパネルの上に落とす、1.3cmの直径を有するボールである。被膜がこの衝撃に耐え、裂けない場合に、この被膜はこの試験に合格する。合格(P)及び不合格(F)値を、種々の衝撃エネルギーで記録する。
反応性(180℃でのゲル時間)は、Coesfeld試験装置で、DIN55990−8に従って測定した。一定量の粉体コーティング組成物を測定し、加熱した坩堝の中に入れ、溶融させた。エポキシ粉体コーティング組成物が溶融を開始し、エポキシ粉体コーティング組成物がゲル化点(これは、エポキシ粉体コーティング組成物を、最早撹拌できなくなる点として決定される)に達するまでの間の時間を記録した。
耐薬品性は「アセトンダブルラブ」方法によって測定した。小さい原綿パッドにアセトンを染み込ませ、被膜に適用し、同じ領域の上を等しい圧力で、被膜の連続性が破壊されるまで、前後に擦った(「ダブルラブ」)。被膜の連続性を破壊するまでに必要な「ダブルラブ」の数を、記録した。
熱水試験はASTM D870−54方法に従って測定した。被覆したパネルを脱イオン水の中に80℃で2日間浸漬させた。次いで、下記のクロスハッチ試験を使用して、粘着を決定する。
パネルを水浴から取り出した後、パネルに刻み目を入れて、パネル上に長方形を作る。パネルを冷却させる。パネルから被膜を除去しようとして、万能ナイフによって、刻み目に力をかける。次いで被膜に、被膜剥離(disbondment)の程度(1=少ない剥離及び5=完全な剥離)を示すための数値評点1〜4を与える。
エポキシ樹脂製造A
約2.0のエポキシ官能価を有するD.E.R.(登録商標)330エポキシ樹脂を、電気駆動攪拌機、空気及び窒素入口、サンプルポート、凝縮器並びにサーモカップルを取り付けた反応器内で、窒素パージ下で100℃まで加熱した。(反応混合物中のD.E.R.(登録商標)330及びイソシアネート化合物の全重量基準で)1500ppmの液体固体1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク−7−エン(AnchorによりAMICURE DBU−E(登録商標)として入手可能な触媒)を、最初にキシレン中に溶解させて、70重量%固体溶液(solid solution)を得、次いで、125℃でD.E.R.(登録商標)330エポキシ樹脂に添加した。この反応混合物を、40分間で、145℃まで加熱した。
約2.0のエポキシ官能価を有するD.E.R.(登録商標)330エポキシ樹脂を、電気駆動攪拌機、空気及び窒素入口、サンプルポート、凝縮器並びにサーモカップルを取り付けた反応器内で、窒素パージ下で100℃まで加熱した。(反応混合物中のD.E.R.(登録商標)330及びイソシアネート化合物の全重量基準で)1500ppmの液体固体1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク−7−エン(AnchorによりAMICURE DBU−E(登録商標)として入手可能な触媒)を、最初にキシレン中に溶解させて、70重量%固体溶液(solid solution)を得、次いで、125℃でD.E.R.(登録商標)330エポキシ樹脂に添加した。この反応混合物を、40分間で、145℃まで加熱した。
MDI又はTDIを、添加漏斗を経て、少しずつ、添加すべきMDI又はTDIの量及び発熱反応の熱に応じて60〜120分間内に、D.E.R.(登録商標)330エポキシ樹脂の中に装入した。反応の熱によって、反応温度は少なくとも170〜190℃まで上昇した。添加終了後に、反応混合物を、少なくとも165℃の温度で、特定のイソシアネート変性エポキシ樹脂(例えばTDI変性D.E.N.(登録商標)438エポキシ樹脂又はMDI変性D.E.R.(登録商標)330エポキシ樹脂)のための理論的エポキシ当量重量(EEW)に到達するまで、即ちイソシアネート基の殆ど又は全部が、対応する量のエポキシ基と反応する時まで、30分間保持した。イソシアネート変性エポキシ樹脂のEEWは前記の比色滴定方法によって測定した。
反応触媒として2−フェニルイミダゾール(2−PhI)を使用した場合に、(生成物中のD.E.R.(登録商標)330及びイソシアネートの全重量基準で)400ppmの固体2−PhIを、最初にメタノール中に溶解して、エポキシ樹脂に添加する前に40重量%固体溶液を得た。
エポキシ樹脂製造B
約3.6のエポキシ官能価を有するD.E.N.(登録商標)438エポキシノボラック樹脂を、電気駆動攪拌機、空気及び窒素入口、サンプルポート、凝縮器並びにサーモカップルを取り付けた反応器内で、窒素パージ下で100℃まで加熱した。
約3.6のエポキシ官能価を有するD.E.N.(登録商標)438エポキシノボラック樹脂を、電気駆動攪拌機、空気及び窒素入口、サンプルポート、凝縮器並びにサーモカップルを取り付けた反応器内で、窒素パージ下で100℃まで加熱した。
(生成物中のD.E.N.(登録商標)438エポキシノボラック樹脂及びイソシアネート化合物の全重量基準で)1500ppmの液体DBUを、最初にキシレン中に溶解させて、70重量%固体溶液を得、次いで、125℃でエポキシノボラック樹脂に添加した。この混合物を、40分間で、155℃まで加熱した。
MDI又はTDIを、添加漏斗を経て、少しずつ、添加すべきMDI又はTDIの量及び発熱反応の熱に応じて30〜45分間内に、エポキシノボラック樹脂の中に装入した。反応の熱によって、反応温度は少なくとも160℃まで上昇した。添加終了後に、反応混合物を、少なくとも165℃の温度で、特定のイソシアネート変性エポキシ樹脂(例えばTDI変性D.E.N.(登録商標)438エポキシ樹脂又はMDI変性D.E.N.(登録商標)438エポキシ樹脂)のための理論的エポキシ当量重量に到達するまで、30分間保持した。イソシアネート変性エポキシ樹脂のEEWは、前記の比色滴定方法によって、測定した。p−トルエンスルホン酸のメチルエステル(MPTS)を添加して、アミン触媒を急冷し、粘度上昇を減少させた。
反応触媒として2−PhIを使用した場合に、(生成物中のエポキシ樹脂及びイソシアネートの合計基準で)400ppmの固体2−PhIを、最初にメタノール中に溶解して、エポキシノボラック樹脂に添加する前に40重量%固体溶液を得た。
実施例1〜9及び比較例A〜C
異なった種類のイソシアネート化合物の影響
比較例A〜C及び実施例1〜4に於けるイソシアネート変性エポキシ樹脂は多官能性ノボラックエポキシ樹脂、D.E.N.(登録商標)438を、ISONATE(登録商標)M229(比較例A〜C)、ISONATE(登録商標)M143、ISONATE(登録商標)M125、XZ95263.01及びTDI(実施例1〜9)を含む異なったイソシアネート化合物と、前記のエポキシ樹脂製造Bに従って反応させることによって製造した。
異なった種類のイソシアネート化合物の影響
比較例A〜C及び実施例1〜4に於けるイソシアネート変性エポキシ樹脂は多官能性ノボラックエポキシ樹脂、D.E.N.(登録商標)438を、ISONATE(登録商標)M229(比較例A〜C)、ISONATE(登録商標)M143、ISONATE(登録商標)M125、XZ95263.01及びTDI(実施例1〜9)を含む異なったイソシアネート化合物と、前記のエポキシ樹脂製造Bに従って反応させることによって製造した。
ISONATE(登録商標)M229はザ・ダウ・ケミカル社によって販売されているMDIのための商標である。ISONATE(登録商標)M229は2.7のイソシアネート官能価を有する。
ISONATE(登録商標)M143はザ・ダウ・ケミカル社によって販売されているMDIのための商標である。ISONATE(登録商標)M229は2.15のイソシアネート官能価を有する。
ISONATE(登録商標)M125はザ・ダウ・ケミカル社によって販売されているMDIのための商標である。ISONATE(登録商標)M125は、2.0のイソシアネート官能価を有し、約98%の4,4’−MDI及び2%の2,4’−MDIを含む結晶性の純粋なMDI混合物である。
XZ95263.01はザ・ダウ・ケミカル社によって販売されている実験的製品である。XZ95263.01は、50%の2,4’−MDI異性体及び50%の4,4’−MDI異性体の混合物を含む。
TDIは、また、ザ・ダウ・ケミカル社によって販売されている製品であり、95%の2,4−TDI異性体及び5%の2,6−TDI異性体の混合物を含む。
イソシアネート変性エポキシ樹脂生成物の特性を測定し、その結果を表1及び表2に示す。
表1及び2の結果は、約2.0〜約2.15の範囲内の官能価を有するMDI(ISONATE(登録商標)M143、ISONATE(登録商標)M125、XZ95263.01及びTDI)によって変性された多官能性エポキシ樹脂が、2.7のより高い官能価を有するMDI(ISONATE(登録商標)M229)によって変性されたエポキシ樹脂に比較して、より高い樹脂軟化点を有することを示している。
表1及び2の結果は、イソシアネート官能価が高くなるほど、多官能性エポキシ樹脂のゲル化点に到達する前に多官能性エポキシ樹脂と反応することができるイソシアネート化合物の量が低くなり、従って、イソシアネート変性エポキシ樹脂最終生成物の軟化点が低くなることを立証している。2.7のより高い官能価を有するイソシアネート化合物(ISONATE(登録商標)M229)は、イソシアネート含有量が7%に達するとき、イソシアネート変性エポキシ樹脂がゲル化するので、高い樹脂軟化点を有するイソシアネート変性エポキシ樹脂を製造するためには適していない(比較例C参照)。
表2は、また、TDIによって変性されたエポキシ樹脂について、高い溶融粘度及び高い樹脂Tgを達成することが可能であることを示している。TDIは、その分子構造内の単一フェニル環上に、異なった反応性の2個のイソシアネート基を含み、従って、他のイソシアネート化合物よりも一層高い(ほぼ48%)イソシアネート含有量を有する。これらのTDI変性エポキシ樹脂は、潜在的に、イソシアネート変性エポキシ樹脂中の高いレベルのオキサゾリドン環構造の存在のために、DICY硬化剤によって硬化させたとき非常に高い樹脂架橋Tgに到達することができる。
XZ95263.01変性エポキシ樹脂及びTDI変性エポキシ樹脂はいずれも、固体エポキシ樹脂であり、粉体コーティング組成物に添加して、貯蔵時間に亘って減少したシンタリング傾向でコーティング性能を向上させることができる。このシンタリング傾向は、凝集して塊のあるブロックを形成する、粉末粒子についての傾向を指す。
実施例10〜16
エポキシ粉体コーティング組成物の性能
実施例10〜16に於けるエポキシ粉体コーティング組成物は、XZ95263.01、TDI及びISONATE(登録商標)M125のジイソシアネート化合物で変性したD.E.N.(登録商標)438エポキシ樹脂をベースにしている。
エポキシ粉体コーティング組成物の性能
実施例10〜16に於けるエポキシ粉体コーティング組成物は、XZ95263.01、TDI及びISONATE(登録商標)M125のジイソシアネート化合物で変性したD.E.N.(登録商標)438エポキシ樹脂をベースにしている。
表3に於いて、エポキシ樹脂A〜Cを、前記のエポキシ樹脂製造Bに従って製造した。
エポキシ樹脂Aは89%のD.E.N.(登録商標)438及び11%のXZ95263.01を含む。
エポキシ樹脂Bは91.3%のD.E.N.(登録商標)438及び8.7%のTDIを含む。
エポキシ樹脂Cは89%のD.E.N.(登録商標)438及び11%のISONATE(登録商標)M125を含む。
エポキシ樹脂Aは89%のD.E.N.(登録商標)438及び11%のXZ95263.01を含む。
エポキシ樹脂Bは91.3%のD.E.N.(登録商標)438及び8.7%のTDIを含む。
エポキシ樹脂Cは89%のD.E.N.(登録商標)438及び11%のISONATE(登録商標)M125を含む。
これらの粉体コーティング組成物の特性を測定し、表3に要約した。
表3に示されるように、実施例10〜16の樹脂架橋Tgは、D.E.N.(登録商標)438系粉体コーティング組成物を配合する際に、標準硬化剤、例えばDICY硬化剤及び硬化触媒、例えば2−フェニルイミダゾールを使用したとき、190℃から約200℃よりも高いまでの範囲である。実施例14〜16に於ける樹脂架橋Tgは、Tgが約200℃よりも高い、最高の樹脂架橋Tgを示した。
エポキシ粉体コーティング組成物の樹脂架橋Tg
表4に、二官能性エポキシ樹脂、D.E.R.(登録商標)330及び多官能性ノボラックエポキシ樹脂、D.E.N.(登録商標)438をベースにする異なったエポキシ粉体コーティング組成物の樹脂架橋Tgを要約する。いずれのエポキシ樹脂も、それぞれエポキシ樹脂製造A及びBに従って、XZ95263.01、ISONATE(登録商標)M125及びTDIのジイソシアネート化合物によって変性する。
表4に、二官能性エポキシ樹脂、D.E.R.(登録商標)330及び多官能性ノボラックエポキシ樹脂、D.E.N.(登録商標)438をベースにする異なったエポキシ粉体コーティング組成物の樹脂架橋Tgを要約する。いずれのエポキシ樹脂も、それぞれエポキシ樹脂製造A及びBに従って、XZ95263.01、ISONATE(登録商標)M125及びTDIのジイソシアネート化合物によって変性する。
表4の結果は、多官能性エポキシ樹脂D.E.N.(登録商標)438を含むエポキシ粉体コーティング組成物が、二官能性エポキシ樹脂D.E.R.(登録商標)330を含むエポキシ粉体コーティング組成物のものよりも遙かに高い樹脂架橋Tgを有することを示す。
本発明の範囲から逸脱することなく、前記の方法に於いて、一定の変更を行うことができることが、当業者に自明であろう。従って、本明細書中に開示された全ての事は、例示としてのみ意図され、求められる保護の範囲を限定するとして意図されない。更に、本発明の方法は、それらが参照する表を含む前記の特定の実施例によって限定されるべきではない。むしろ、これらの実施例及びそれらが参照する表は本発明の方法の例示である。
Claims (46)
- (a)約2.2よりも大きいエポキシ官能価を有する多官能性エポキシ樹脂及び(b)ジイソシアネート化合物の反応生成物であるイソシアネート変性エポキシ樹脂を含んでなるエポキシ樹脂組成物。
- 前記多官能性エポキシ樹脂が約2.5よりも大きいエポキシ官能価を有する請求項1に記載の組成物。
- 前記多官能性エポキシ樹脂が約3.0よりも大きいエポキシ官能価を有する請求項2に記載の組成物。
- 前記多官能性エポキシ樹脂が約3.5よりも大きいエポキシ官能価を有する請求項3に記載の組成物。
- 前記多官能性エポキシ樹脂が約2.5〜約10のエポキシ官能価を有する請求項1に記載の組成物。
- 前記多官能性エポキシ樹脂が約3.0〜約8のエポキシ官能価を有する請求項5に記載の組成物。
- 前記多官能性エポキシ樹脂が約3.5〜約6のエポキシ官能価を有する請求項6に記載の組成物。
- 前記多官能性エポキシ樹脂が多官能性エポキシノボラック樹脂、エポキシ化ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性エポキシ、トリスエポキシ、クレゾールエポキシノボラック、アルキル化エポキシノボラック、四官能性エポキシ及びこれらの任意の組合せの少なくとも1種である請求項1に記載の組成物。
- 前記多官能性エポキシ樹脂が多官能性エポキシノボラック樹脂である請求項8に記載の組成物。
- 前記ジイソシアネート化合物が約2.0〜約2.4のイソシアネート官能価を有する請求項1に記載の組成物。
- 前記ジイソシアネート化合物が約2.05〜約2.3のイソシアネート官能価を有する請求項10に記載の組成物。
- 前記ジイソシアネート化合物が約2.1〜約2.25のイソシアネート官能価を有する請求項11に記載の組成物。
- 前記ジイソシアネート化合物がトルエンジイソシアネート(TDI)及びその異性体、メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)及びその異性体並びにこれらの任意の混合物の少なくとも1種を含む請求項1に記載の組成物。
- 前記ジイソシアネート化合物がTDI、その異性体及びこれらの任意の混合物の少なくとも1種を含む請求項13に記載の組成物。
- 前記ジイソシアネート化合物がTDIの2,2′−、2,4′−及び4,4′−異性体並びにこれらの任意の混合物の少なくとも1種を含む請求項14に記載の組成物。
- 前記ジイソシアネート化合物がMDI、その異性体及びこれらの任意の混合物の少なくとも1種を含む請求項13に記載の組成物。
- 前記ジイソシアネート化合物がMDIの2,4−及び2,6−異性体並びにこれらの任意の混合物の少なくとも1種を含む請求項16に記載の組成物。
- 前記多官能性エポキシ樹脂が組成物中の多官能性エポキシ樹脂及びイソシアネート化合物の全重量基準で約98重量%〜約75重量%である請求項1に記載の組成物。
- 前記多官能性エポキシ樹脂が組成物中の多官能性エポキシ樹脂及びイソシアネート化合物の全重量基準で約95重量%〜約85重量%である請求項18に記載の組成物。
- 前記イソシアネート変性エポキシ樹脂がオキサゾリドン/イソシアヌレート環のハイブリッドを含む請求項1に記載の組成物。
- 触媒を更に含む請求項1に記載の組成物。
- 前記触媒が、アミン、ホスフィン、アンモニウム、ホスホニウム、アルソニウム又はスルホニウム単位を含有する化合物の少なくとも1種を含む請求項21に記載の組成物。
- 前記触媒が2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)及びこれらの任意の組合せの少なくとも1種を含む請求項22に記載の組成物。
- 請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物を含むエポキシ粉体コーティング組成物。
- 触媒、硬化剤及び添加剤を更に含む請求項24に記載の組成物。
- 前記触媒がアミン、ホスフィン、アンモニウム、ホスホニウム、アルソニウム又はスルホニウム単位を含有する化合物の少なくとも1種を含む請求項25に記載の組成物。
- 前記触媒が2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、イミダゾール誘導体、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)、2−メチルイミダゾール−エポキシ付加物、イソシアネート−アミン付加物及びこれらの任意の組合せの少なくとも1種を含む請求項26に記載の組成物。
- 前記触媒がルイス酸を更に含む請求項25に記載の組成物。
- 前記ルイス酸が亜鉛、スズ、チタン、コバルト、マンガン、鉄、ケイ素、アルミニウム、ホウ素のハロゲン化物、酸化物、水酸化物及びアルコキシド及びこれらの任意の組合せの少なくとも1種を含む請求項28に記載の組成物。
- 前記ルイス酸がホウ酸、メタホウ酸、置換及び非置換のボロキシン、置換及び非置換のホウ酸エステル、酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素並びにこれらの任意の組合せの少なくとも1種を含む請求項29に記載の組成物。
- 前記触媒がルイス酸とアミン触媒との混合物を含む請求項28に記載の組成物。
- 前記ルイス酸の量が、アミン触媒の1モル当たり、少なくとも約0.1モルのルイス酸である請求項31に記載の組成物。
- 前記ルイス酸の量が、アミン触媒の1モル当たり、ルイス酸少なくとも約0.3モルである請求項32に記載の組成物。
- 前記ルイス酸の量が、アミン触媒の1モル当たり、ルイス酸約5モル以下である請求項31に記載の組成物。
- 前記ルイス酸の量が、アミン触媒の1モル当たり、ルイス酸約3モル以下である請求項34に記載の組成物。
- 前記ルイス酸の量が、アミン触媒の1モル当たり、ルイス酸少なくとも約0.1モルで約5モル以下である請求項31に記載の組成物。
- 前記ルイス酸の量が、アミン触媒の1モル当たり、ルイス酸少なくとも約0.3モルで約3モル以下である請求項36に記載の組成物。
- 前記硬化剤が、ジシアンジアミド、フェノールノボラック、ビスフェノール−Aノボラック、ジシクロペンタジエンのフェノールノボラック、ジフェニルスルホン、スチレン−無水マレイン酸(SMA)コポリマー及びこれらの任意の組合せを含む請求項25に記載の組成物。
- 前記添加剤がBaSO4及びTiO2を含む請求項25に記載の組成物。
- 前記組成物が約160℃よりも高い樹脂架橋ガラス転移温度Tgを有する請求項24に記載の組成物。
- 前記樹脂架橋ガラス転移温度が約190℃よりも高い請求項40に記載の組成物。
- 前記樹脂架橋ガラス転移温度が約200℃よりも高い請求項41に記載の組成物。
- 前記樹脂架橋ガラス転移温度が約200℃〜約250℃である請求項42に記載の組成物。
- 請求項24に記載のエポキシ粉体コーティング組成物を含んでなる物品。
- 前記物品が電気ラミネート又は電気カプセル化である請求項44に記載の物品。
- 前記物品がガス管又は油管である請求項45に記載の物品。
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