JP2010540413A - オメプラゾール塩の分割方法 - Google Patents

オメプラゾール塩の分割方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、ラセミ型オメプラゾールの塩の分割方法であって、ラセミ型オメプラゾールが、カリウム源である無機塩の過剰存在下で、溶媒和物の形態のカリウム塩に転化され、溶媒和物の形態の前記ラセミ型オメプラゾールのカリウム塩はコングロメレートの形態で存在し、その部分的固溶液領域が存在する場合、これは1%未満であり、その後、前記ラセミ型オメプラゾールのカリウム塩の2つの(S)及び(R)鏡像異性体を分離するために、前記コングロメレートが優先晶出によって分割されることを特徴とする方法に関する。

Description

本発明は、2つの光学対掌体(鏡像異性体)の形態で存在するキラル化合物、例えば、オメプラゾールの分割の分野に関する。
とりわけ、本発明は、化学名が、5-メトキシ-2-[(S)-[(4-メトキシ-3,5-ジメチル-2-ピリジニル)メチル]スルフィニル]-1H-ベンズイミダゾールである、純粋鏡像異性体(S)-(-)-オメプラゾール(エソメプラゾール)及びその医薬品として許容されるアルカリ金属塩の調製に関する。
非常に詳細には、本発明は、優先晶出による、特にAS3PC(自動接種プログラム化多温度優先晶出(Auto-Seeded Programmed Polythermic Preferential Crystallization))方法による、ラセミ型オメプラゾールのカリウム塩の分割に関する。
ラセミ型オメプラゾールは、下記の一般式(I):
によって表される。
本発明は、上記式(I)のオメプラゾールとその互変異性型とのいずれにも関し、更にその塩及び下記の鏡像異性体にも関する。
この純粋鏡像異性体は、医薬品として、(S)-オメプラゾールマグネシウム塩三水和物の形態で、Nexium(登録商標)の名称で市販されており、下記の一般式(III):
によって表される。
オメプラゾールの(S)鏡像異性体のマグネシウム塩が、純粋鏡像異性体形態で開発され、市販された最初のプロトンポンプ阻害薬(PPI)であることは記憶されていよう。ラセミ型オメプラゾール及びエソメプラゾールは、胃及び/または十二指腸の潰瘍の治療に使用される。これらは、胃腸管障害、胃食道逆流、消化管出血、及び消化不良の予防及び治療に使用することができる。更にまた、(S)-オメプラゾールは、乾癬の治療及びピロリ菌による感染及び関連病理の治療に使用することができる。
オメプラゾール及びその鏡像異性体は、ベンズイミダゾールまたはイミダゾピリジンの環系を含むピラゾール類の化学種に属する。市販の、または臨床開発の途中である多くのピラゾール類の中では、イラプラゾール、ランソプラゾール、レミノプラゾール、パントプラゾール、及びラベプラゾール/パリプラゾールのラセミ体及び/または純粋鏡像異性体形態を挙げてよい。
これらのピラゾール類、特にこれらの対応するアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩は、胃酸分泌の阻害剤として使用され、また、治療においてそのように使用される。
これらは、キラルスルホキシドであって、一方では酸素原子に結合し、他方では複素芳香環Aとメチレン複素芳香環Bとの異なる置換基に結合したその硫黄原子は、立体中心を構成する。
これらは、下記の一般式(IV):
によって表すことができる。
オメプラゾール(ラセミ化合物)からエソメプラゾール((S)絶対構造の純粋左旋性(-)鏡像異性体)への変換が、この種のPPI医薬化合物については、最初のキラルスイッチを構成した。そのラセミ形態及びその各鏡像異性体である、この化合物が、様々な薬理学的及び薬物動態学的特性を示しうることが判明している。
オメプラゾール(ラセミ化合物)は、欧州特許0005129に初めて記載され、そのアルカリ塩の中には、欧州特許124495及び米国特許4,738,974に記載のものもある。
アルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩は、とりわけ、オメプラゾールのマグネシウム塩であり、別のPPIプラゾール類のものは安定であって、場合によっては非吸湿性であることが判明している。
多数の従来技術の文献が、エソメプラゾール及びそのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩の調製を記載している。
一般的に、これらの文献には、関係する方法によって分類することができる、通常の方法が記載されている:
Erlandsson P. et al. published the first resolution of racemic omeprazol, carried out by chiral phase chromatography, in J. Chromatogr., 1990, 532, 305-319。
独国特許出願4035455及び国際特許出願公報94/27988には、ラセミ型オメプラゾール及びピリジニルメチルスルフィニル-1H-ベンズイミダゾールタイプの同様のピラゾール類の、ジアステレオマー塩の分別晶出及び/またはベンズイミダゾール環の遊離の窒素原子Nに結合したキラルN-アシルオキシメチルのタイプの共有結合ジアステレオマーエーテルの逆相クロマトグラフィー分離による分割、これに次ぐ塩基性加水分解が記載されている。
米国特許出願2006/0089386には、(S)-カンファ-スルホニルクロライドを使用して、分別晶出によって分離される共有結合ジアステレオマーを生成させ、次いで塩基性加水分解によって鏡像異性体過剰率99%ee超の(S)-オメプラゾールをもたらす、ラセミ型オメプラゾールの分割が記載されている。
国際特許出願公報96/01623には、99%ee超の鏡像体過剰率で結晶形態Iを有する、(R)-及び(S)-オメプラゾール鏡像異性体のマグネシウム塩の形成が記載されている。
国際特許出願公報96/17077には、スルホキシド(ラセミ型オメプラゾール)の立体選択的生物還元により、例えば、大腸菌、プロテウス・ミラビリス、またはプロテウス・ブルガリス等のジメチルスルホキシド還元酵素を含む微生物を使用して、あるいはこの精製酵素を使用して、対応するスルフィド(チオエーテル)を得る方法が記載されている。このエナンチオ選択性生物還元により、オメプラゾールは、99%ee超の鏡像体過剰率で、大幅に(+)鏡像体豊富となる。(-)鏡像体は、70%eeの鏡像体過剰率で得られる。
国際特許出願96/17076には、オメプラゾールの前駆体スルフィド(チオエーテル)の、例えば、ペニシリウム・フレクエンタンス、ブレビバクテリウム・パラフィノリチカム、またはマイコバクテリウム属等の微生物の存在下での立体選択的生物酸化により、(S)-オメプラゾール鏡像体を99%ee鏡像体過剰率で得る方法が記載されている。
国際特許出願96/02535には、第三級アミン有機塩及び有機溶媒、例えばトルエンのプロキラルスルフィドの、触媒系Ti(O-isoPr)4/ジエチルD-タルトレート/H2Oを使用する、クメンヒドロペルオキシドの存在下での、不斉酸化を含む不斉合成、これに次ぐ、対応するナトリウム塩の原位置形成が記載されている。この触媒処理により、キラルスルホキシド、特に99%ee鏡像体過剰率の(S)-オメプラゾールのナトリウム塩を得ることが可能になる。
国際特許出願2006/040635には、同じ触媒系Ti(O-isoPr)4/ジエチルD-タルトレート/H2O、クメンヒドロペルオキシド、及び第三級アミン有機塩基を使用し、有機溶媒を加えずに、ピリジニルメチルスルフィニルベンズイミダゾールの、対応の前駆体プロキラルスルフィド誘導体の触媒酸化によって(S)-オメプラゾール鏡像体並びにそのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩、特にマグネシウム塩をもたらす、立体選択的合成が記載されている。
国際特許出願03/089408には、クメンヒドロペルオキシドとTi(O-isoPr)4/H2Oとの存在下での、L-マンデル酸タイプのメチルエステルのモノデンテートキラル配位子を使用する、前駆体プロキラルスルフィドの触媒エナンチオ選択性酸化による、(S)-オメプラゾールの不斉合成、並びに、99%ee鏡像体過剰率での対応するナトリウム塩の原位置調製が記載されている。
国際特許出願98/28294には、アモルファス形態、結晶形態(A形態と表示)または部分的結晶形態(B形態と表示)での、固形(S)-オメプラゾールの調製が記載されている。
国際特許出願98/54171には、結晶形態A及びBのオメプラゾール二水和物と三水和物との、(S)及び(R)鏡像異性体のマグネシウム塩の生成が記載されている。この特許はまた、オメプラゾールの(S)及び(R)の鏡像異性体のカリウム塩の生成が記載されている。
国際特許出願00/44744には、形態Bの(S)-オメプラゾール水和物の新規なカリウム塩の生成が記載されている。
国際特許出願2004/002982には、アセトン中で、配位剤であるジエチルD-タルトレート/Ti(iso-Pr)4と合わせたラセミ型オメプラゾールのナトリウム塩から出発し、L-マンデル酸を使用して錯化させる、ジアステレオマー塩の生成による、ラセミ型オメプラゾールのその純粋鏡像異性体への分離が記載されている。
(S)-オメプラゾールを含むジアステレオマーの選択的結晶化及びこれに次ぐ塩基性加水分により、99%eeの鏡像体過剰率で(S)-オメプラゾールのマグネシウム塩が得られる。対応する二水和物は、制御乾燥によって生成される。
国際特許出願2004/046134には、結晶形態IIの(S)-オメプラゾールマグネシウム塩三水和物の、同じ塩のアモルファス形態から出発する調製が記載されている。
国際特許出願97/02261(欧州特許1498416)には、オメプラゾールの(S)/(R)鏡像異性体混合物の、対応するラセミ化合物のアセトンもしくはアセトニトリル溶媒中での選択的沈降による、エナンチオマー増加が記載されている。濾液を蒸発させると、98-99%eeの鏡像体過剰率で(S)-オメプラゾールが得られる。
J. Phys. IV, 2004, 113, 11-15において、Coquerel G.は、二元状態図を用いて(この文献の図5bを参照のこと)、アンチコングロメレート(anticonglomerate)(ラセミ型オメプラゾールに対応)及びその結晶化を裏付ける論理的根拠を提示する。
国際特許出願2004/089935には、H1として既知の、(S)-オメプラゾールマグネシウム塩三水和物の新規な結晶形態の調製、並びに、それぞれX線粉末回折図によって特徴付けされる、(S)-オメプラゾールマグネシウム塩半水和物及び(S)-オメプラゾールマグネシウム塩一水和物の入手手段が記載されている。
国際特許出願2006/001753には、C、E、及びHと同定される結晶形態で得られる、(S)-オメプラゾール及びナトリウム塩の、その対応する前駆体カリウム塩が塩基性媒質中で処理されたものから出発する調製が記載されている。
国際特許出願2006/003163には、X線粉末回折図によって特徴付けされた、メタノールの溶媒和物である(S)-オメプラゾールの新規な結晶形態の調製が記載されている。
国際特許出願2006/134605には、アモルファス(S)-オメプラゾール水和物の生成及び、有機溶媒中への再懸濁及び濾過による、その無水物への転化が記載されている。
国際特許出願2004/076440には、(S)-オメプラゾール及びその水和物のI及びII形態が記載されている。
国際特許出願2004/020436には、(S)-オメプラゾールのマグネシウム塩のアモルファス水和物及びその調製が記載されている。
国際特許出願2007/031845には、(S)-オメプラゾールマグネシウム塩三水和物の、2つの結晶形態、G1及びG2としての調製、並びに、対応するアモルファス形態の調製が記載されている。
国際特許出願2007/049914には、(S)-オメプラゾールストロンチウム塩四水和物の、結晶形態A及びアモルファス形態での生成が記載されている。
Deng J. et al., in Tetrahedron: Asymmetry, 2000, 11, 1729-1732には、ラセミ型オメプラゾールの、(S)-(-)-2,2’-ジヒドロキシ-1-1’-ビナフチル(BINOL)を使用する包接錯体の生成、及びこれに次ぐ結晶化及びクロマトグラフィー分離による分割から、99%eeの鏡像体過剰率で(S)-オメプラゾールが得られることが記載されている。
国際特許出願2007/074099には、キラル配位子である(S)-1,1,2-トリフェニル-1,2-エタンジオールを使用する包接錯体の生成による、ラセミ型オメプラゾールの分割が記載されている。生成する、(S)-オメプラゾールと2当量のキラル配位子との錯体は、99%ee鏡像体過剰率の結晶(S)-オメプラゾールをもたらす。
これらの方法には、工業スケールで用いられるものがある一方で、特に医薬品の安全性及び品質に関する、規制の変更、またさらに、治療費用をより良く制御する方向での公的保健機関の決定の経済的影響により、医薬品として注目される、(S)-オメプラゾール鏡像異性体及びその塩の調製のための新規な方法の開発及び最適化が推し進められている。
上記特許に記載されている既存の方法の中でも、限定を意図することなく、一般的に遭遇し、且つこれらの方法の使用に直接関係する一連の欠点を挙げてよく、これらの欠点の幾つかは、同一の方法において見出すことができる:
・ Ti(O-isoPr) 4、三酸化バナジウム、またはタングステンアセチルアセトネートタイプの触媒を用いる触媒不斉合成の場合には、残留重金属の存在、
・ 硫黄原子の完全な酸化に相当する、スルホンの形成(これは(S)-オメプラゾールに対して上限40%で得ることができ、且つクロマトグラフィーまたは再結晶によって分離することが困難である)、
・ 不斉合成方法が(S)-オメプラゾールに90%未満の化学純度及び95%ee未満の鏡像体過剰率をもたらす場合の、クロマトグラフィー分離及び再結晶によるエナンチオマー精製の段階を経る必要性、
・ 共有結合ジアステレオマーまたは塩を含まない、直接クロマトグラフィー方法のための、キラル相HPLCクロマトグラフィー分離/精製方法の使用、
・ その中性形態またはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の塩の形態、特にマグネシウム塩の形態で得られる鏡像異性体が、様々な安定性の水和物及び/または溶媒和物の混合物である場合の、構造純度が不十分である場合(Coquerel G., The `structural purity` of molecular solids --An elusive concept? Chem. Eng. Process, 2006, 45, 857-862)、
・ 生物変換の場合に、残留微生物及び酵素の除去。
欧州特許0005129 欧州特許124495 米国特許4,738,974 独国特許出願4035455 国際特許出願公報94/27988 米国特許出願2006/0089386 国際特許出願公報96/01623 国際特許出願公報96/17077 国際特許出願96/17076 国際特許出願96/02535 国際特許出願2006/040635 国際特許出願03/089408 国際特許出願98/28294 国際特許出願98/54171 国際特許出願00/44744 国際特許出願2004/002982 国際特許出願2004/046134 国際特許出願97/02261(欧州特許1498416) 国際特許出願2004/089935 国際特許出願2006/001753 国際特許出願2006/003163 国際特許出願2006/134605 国際特許出願2004/076440 国際特許出願2004/020436 国際特許出願2007/031845 国際特許出願2007/049914 国際特許出願2007/074099
Erlandsson P. et al. published the first resolution of racemic omeprazol, carried out by chiral phase chromatography, in J. Chromatogr., 1990, 532, 305-319 J. Phys. IV, 2004, 113, 11-15 Deng J. et al., in Tetrahedron: Asymmetry, 2000, 11, 1729-1732
本発明の特定の目的は、上述の欠点を示さない純粋鏡像異性体(S)-オメプラゾールの調製方法を提供することである。
この目的は、塩の形態のラセミ型オメプラゾールに選択的結晶化方法を応用することによって達成される。然るに、本発明は、特に、ラセミ型オメプラゾールのカリウム塩に、その各鏡像異性体の優先晶出による分割を適用することに関し、鏡像異性的に及び化学的に純粋な形態でユートマー(S)-オメプラゾールを得ることを可能にする。
特に、AS3PC優先晶出方法は、結晶種の制限的用法を排除する、全く独自の開発の対象となった。この方法は、例えば、以下の特許及び特許出願、仏国特許2710337、国際特許出願95/08522、欧州特許0720595、及び米国特許6,022,409、並びにG. Coquerel, 優先晶出 in Topic in Current Chemistry, Novel Optical Resolution Technologies, Springer, Berlin-Heidelberg, edited by K. Sakai, N. Hirayama and R. Tamura, 2007, 269, 1-51に記載されている。この方法は、「自動接種プログラム化多温度優先晶出」として「AS3PC」と表示される。
優先晶出方法は、溶媒または溶媒混合物または溶媒を含む構成成分の組み合わせであってよい媒質中に、コングロメレート形態で結晶化する、同一のラセミ型化学物質の2つの(R)及び(S)鏡像異性体の交互晶出に基づき、これは所与の温度範囲ΔTについての場合である。この温度範囲内では、このラセミ型混合物は、その飽和溶液との熱力学的平衡にあり、それぞれが同一の絶対構造を有する分子のみを含む2つのタイプの結晶を含む。各鏡像異性体は、溶媒(溶媒和物)及び/または水(水和物)の分子を包含して良い。
これら(R)鏡像異性体−(S)鏡像異性体−媒質の不均一系平衡を知ることにより、優先晶出による能率的な分割を実行する際に利用される情報がもたらされる。
出願人によって実行された研究により、ラセミ型オメプラゾールがコングロメレートではないことが示されている。これは、AS3PC優先晶出方法または別のいかなる優先晶出方法も適用され得ないことを意味する。これは、ナトリウム塩及びマグネシウム塩についても同様である。
他方、完全に予期せぬことに、出願人は、エタノールもしくはエチレングリコール溶媒和物の形態のラセミ型オメプラゾールが、検出可能な固溶体を伴わないコングロメレートであることを見出した。固形状態での混和性の可能な範囲は、図1に示すように1%未満となる。
然るに、驚くべきことに、ラセミ型オメプラゾールの、またはオメプラゾールの(S)鏡像異性体が豊富な混合物の、または純粋鏡像異性体(S)-オメプラゾールの、カリウム塩は、アルコール/アルコールまたはアルコール/水の溶媒の混合物、または純粋アルコール中において、過剰の水酸化カリウムの存在下で安定である。これらの濃度及び温度条件下で、これらのカリウム塩は、分解溶解を示す(G. Coquerel in Preferential Crystallization, in Topic in Current Chemistry, Novel Optical Resolution Technologies, Springer, Berlin-Heidelberg, edited by K. Sakai, N. Hirayama and R. Tamura, 2007, 269, 1-51)。これは、99%eeを超える鏡像異性体過剰率でこの塩を定量的に得るためには、アルコール性媒質を過剰の水酸化カリウムと作用させる必要があることを意味する。
然るに、本発明は、ラセミ型オメプラゾールが、カリウム源である過剰の無機塩基の存在下にて、溶媒和物の形態のそのカリウム塩に転化され、溶媒和物形態のラセミ型オメプラゾールの前記カリウム塩は、コングロメレートの形態で存在し、その部分固溶液領域が存在する場合はこれが1%未満であり、その後、オメプラゾールの前記カリウム塩の2つの(S)及び(R)鏡像異性体を分離するために、前記コングロメレートが優先晶出によって分割されることを特徴とする、ラセミ型オメプラゾールの分割方法に関する。
上記の方法では、ラセミ型オメプラゾールのカリウム塩の溶媒和物は、エタノール溶媒和物またはエチレングリコール溶媒和物、あるいはこれらの混合物から選択される。
本発明によるコングロメレートの分割は、接種または自動接種の優先晶出によって行われる。
本発明の第一の実施態様は、ラセミ型オメプラゾールの塩の非自動接種(すなわち、接種)の優先晶出の分割方法であり、この方法は以下の工程:
a)第一の均一溶液が、コングロメレート形態のラセミ混合物と、X-K-溶媒和物と表示される(X)-オメプラゾールのカリウム塩(ここで、Xは、(R)もしくは(S)の鏡像異性体を表す)の溶媒和物の形態の、回収しようとする過剰の第一鏡像異性体と、媒質とを含んで調製される工程(ここで、濃度と温度TI(TI>THOMO)との変数によって定義されるその表示点Iは、不飽和溶液によって構成される単相領域中にある(図2));
b)冷却プログラム法則が単相混合物に適用される工程;
c)混合物がTHOMO直下の温度に達した時点で、回収しようとする第一のX-K-溶媒和物鏡像異性体の鏡像異性的に純粋な結晶種を、溶液に接種する工程;
d)結晶成長の持続期間中、時間の関数として穏やかに増大する撹拌速度を、第一のX-K-溶媒和物鏡像異性体の成長を促進するために十分に遅く調整する工程;
e)第一のX-K溶媒和物鏡像異性体の結晶を採取する工程;
f)先行工程において採取した結晶の質量と同質量のラセミ混合物を母液に添加し、この新たな混合物を温度TI(TI>THOMO)とする工程(ここで、I’点は単相領域中にあり、このI’点は、2つの鏡像異性体の、モル数としてまたは質量として同一組成の平面に対して、I点の対称に相当する);
g)工程(b)におけるものと同じ冷却プログラム法則を、工程(f)で調製した、第二鏡像異性体を含む単相混合物に適用して、接種(seeding)の間に第二のX-K溶媒和物鏡像異性体の成長を促進するために、結晶化の間、母液を軽度過飽和に保持する工程;
h)混合物がTHOMO直下の温度に達した時点で、第二のX-K溶媒和物鏡像異性体の鏡像異性的に純粋な結晶種を、溶液に接種する工程;
i)先行工程の結晶成長の持続期間中、時間の関数として穏やかに増大する撹拌速度を、第二のX-K-溶媒和物鏡像異性体の成長を促進するために十分に遅く調整する工程;
j)第二のX-K溶媒和物鏡像異性体の結晶を採取する工程;
k)先行工程において採取した結晶の質量と同質量のラセミ混合物を母液に添加して、当初の溶液と同一組成を有する溶液を得る工程;
l)工程a)乃至k)を、鏡像異性体の一方を、次いで他方を、連続して得るために反復する工程
を含む。
本発明の第2の実施態様によれば、コングロメレートの分割方法は、優先晶出によって、とりわけ、「自動接種プログラム化多温度優先晶出」であるAS3PC方法によって実施することができる。然るに、本発明によるラセミ型オメプラゾールの塩のAS3PC分割方法は、以下の工程:
a)第一の混合物が、コングロメレート形態のラセミ混合物と、X-K-溶媒和物と表示される(X)-オメプラゾールのカリウム塩(ここで、Xは、(R)もしくは(S)の鏡像異性体を表す)の溶媒和物の形態の、回収しようとする過剰の第一鏡像異性体と、媒質とを含んで調製される工程(ここで、濃度と温度TBとの変数によって定義されるその表示点Eは、X-K-溶媒和物の結晶とその不飽和溶液とによって構成される二相領域中にある(図2a)(ここで、E’点は、2つの鏡像異性体の、モル数としてまたは質量として同一組成の平面に対して、E点の対称に相当する));
b)結晶の形態で存在する第一のX-K-溶媒和物鏡像異性体の成長を促進するために、母液を軽度過飽和に保持する一方で、溶液に溶解している第二のX-K-溶媒和物鏡像異性体の突然の核生成を防止するために、冷却プログラム法則が二相混合物に適用される工程;
c)結晶成長の持続期間中、第一のX-K-溶媒和物鏡像異性体の成長を促進する一方で、非制御核生成の発生及び結晶の摩滅を回避するために、時間の関数として穏やかに増大する撹拌速度を十分に遅く調整する工程;
d)第一のX-K溶媒和物鏡像異性体の結晶を採取する工程;
e)先行工程において採取した結晶の質量と同質量のラセミ混合物を母液に添加し、この新たな混合物を温度TBとする工程(ここで、E’点は、その飽和溶液との平衡にある、過剰の第二のX-K溶媒和物鏡像異性体の二相領域中にある);
f)工程(b)におけるものと同じ冷却プログラム法則を、工程(e)で調製した、第二鏡像異性体を含む二相混合物に適用して、結晶の形態で存在する第二のX-K溶媒和物鏡像異性体の成長を促進する一方で、溶液中に存在する第一のX-K-溶媒和物鏡像異性体の突然の核生成を防止するために、結晶化の間、母液を軽度過飽和に保持する工程;
g)先行工程の結晶成長の持続期間中、この第二のX-K-溶媒和物鏡像異性体の成長を促進する一方で、非制御核生成の発生及び結晶の摩滅を回避するために、時間の関数として穏やかに増大する撹拌速度を十分に遅く調整する工程;
h)第二のX-K溶媒和物鏡像異性体の結晶を採取する工程;
i)先行工程において採取した結晶の質量と同質量のラセミ混合物を母液に添加して、当初の溶液と同一組成を有する溶液を得る工程;
j)工程a)乃至i)を、鏡像異性体の一方を、次いで他方を、連続して得るために反復する工程
を含む。
上記方法の工程(a)において、媒質は、アルコール性溶媒またはアルコール性溶媒混合物、水、及び過剰の水酸化カリウムを含む。
様々な実施態様での本発明の方法は、単純であり、経済的であり、簡便であって、有機もしくは有機金属タイプのキラル中間体、及び/または塩の形態で使用される分割剤、または共有結合ジアステレオマー、または適当な微生物の使用を要しない。
媒質中には、溶媒または溶媒混合物は、アルコール性タイプのものであり、好ましくは、純粋の、または水の存在下でのエタノールまたはエチレングリコールから選択される。
有利には、本発明の方法においては、使用される媒質中における、鏡像異性体の等モル混合物であるラセミ混合物は、温度範囲TB-TFまたはTHOMO-TFについては、コングロメレートである。
有用な特徴により、分割しようとする混合物は、この媒質中及び使用されるTB-TFまたはTHOMO-TFの温度範囲において安定である。
本発明の方法では、温度TLは、ラセミ混合物単独での分割温度に相当し、温度THOMOは、鏡像異性体の一方が豊富な溶液の均一化温度に相当し、温度TIは、接種優先晶出方法の開始温度に相当してTI>THOMOであり、温度TBは、AS3PC優先晶出方法の開始温度に相当してTL<TB<THOMOである。TLとTFとの間の溶液の過飽和能力の認識もまた、冷却動力学に照らして有用である。TLより僅かに高温から出発して冷却される、均一なラセミ溶液L中での、一次核生成による結晶の出現の時間により、これらの実験条件下でコングロメレートが耐えられる過飽和能力に関する目安が得られる。
本発明の方法では、温度TBで溶液中に分散している(所与の粒径の)ラセミ混合物の、既知質量の溶解の速度を認識していることもまた有用である。
本発明の方法では、使用する系(工程(a))は、以下:
− 五元系(quinary system)[K2O-EtOH-H2O-(-)-オメプラゾール-(+)-オメプラゾール]及び[K2O-エチレングリコール-H2O-(-)-オメプラゾール-(+)-オメプラゾール];
− 六元系(senary system)[K2O-EtOH-エチレングリコール-H2O-(-)-オメプラゾール-(+)-オメプラゾール];
− 以下の構成成分、アルコール(エタノール及び/またはエチレングリコール)、水、及び過剰の水酸化カリウムを媒質中に含む三元系としての五元系の分類による、三元系(ternary system)
から選択される。
六元系については、単純化は不可能であるが、優先共晶出をもたらす並列三元系を検討することができる。
様々な結晶またはアモルファスの形態は、X線粉末回折(XRPD)等の分析方法を使用して決定される。当業者には周知であるこの方法は、アモルファス相以外の同一固形試料中に存在しうる形態の定性分析を行うことができる。
優先晶出による分割を、上述され、また国際特許出願95/08522に詳説される、AS3PC方法を使用して、エタノール、エタノール/水、及びエタノール/エチレングリコール混合物中で体系的に調査した。更に、接種方法を使用して、エタノール/水共沸混合物中でも調査した。
エタノールまたはエチレングリコールと溶媒和した、オメプラゾールの各カリウム塩を、X線粉末回折によって特徴付けた。これらのラセミ相及び鏡像異性的に純粋な相の回折図(XRPD)が、4及び図5にそれぞれ示される。
更にまた、オメプラゾールエタノール溶媒和物のカリウム塩を、単結晶X線回折により特徴付けした。
ラセミ型オメプラゾールのカリウム塩のエタノール溶媒和物及び、鏡像異性的に純粋な(S)-オメプラゾールのカリウム塩のエタノール溶媒和物の、特性ピークの位置及び相対強度を、以下の表Iに示す。
数週間後、オメプラゾールのカリウム塩のエタノールの溶媒和物には、周囲環境下で、(S)-オメプラゾール二水和物のカリウム塩に転化する傾向のあることに注目すべきである。
しかしながら、ラセミ型オメプラゾール及び(S)-オメプラゾールのカリウム塩の、これらのエタノール溶媒和物は、エタノールがより多く、且つ過剰のカリウム水酸化物を含む、エタノール−水混合物中で安定である。
ラセミ型オメプラゾールのカリウム塩のエチレングリコール溶媒和物及び鏡像異性的に純粋な(S)-オメプラゾールのカリウム塩のエチレングリコール溶媒和物の特性ピークの位置及び相対強度を、以下の表IIに示す。
本発明の方法によれば、(R)鏡像異性体もまた得られるが、これは、以下の工程:
i)このキラル(R)スルホキシドを、アキラルスルフィド(チオエーテル)に還元する工程(この還元は、概説、Madesclaire M, Tetrahedron, 1988, 44, 6537-6580、例えば、Allenmark S., Acta. Chem. Scand., 1966, 20, 910-911または国際特許出願2004/016569に記載の穏やかな操作条件に従って有利に実施される)
ii)過酸化水素水溶液または次亜塩素酸イオンまたは過安息香酸、あるいは他のあらゆる酸化剤を使用して、一方ではスルホンの生成を回避しつつ、このスルフィドの硫黄原子を酸化して、ラセミ型スルホキシドを得る工程
に従って再利用することができる。
こうして得られたラセミ型オメプラゾールは、上述の通り優先晶出に処することができる。
本発明の別の利点及び特徴は、添付の図面を合わせて参照して、以下の実施例から明らかになるであろう。
図1は、多温度三元系:媒質−(R)鏡像異性体−(S)鏡像異性体、及び各構成成分の結晶化シート、及び二重飽和溶液の組成物の一部を表示する図である(一変数曲線)。この図では、S-K-溶媒和物断片及び組成物XEを含むアイソプレサル(isoplethal)垂直断面が示される。 図2は、図1から抽出された多温度アイソプレサル垂直断面である(符号は同一)。これは、接種優先晶出による分割の間の、IからFの一連の溶解点(太線)を詳説する。 図2aは、 図1から抽出された多温度アイソプレサル垂直断面である(符号は同一)。これは、自動接種方法:AS3PCによる分割の間の、BからFの一連の溶解点(太線)を詳説する。 図3は、本発明のAS3PC方法による分割の間の、一連の溶解点(太線)の濃度の平面への投射である。図2のS-K-溶媒和−Y多温度断面は、S-K-溶媒和−Y断面によって表わされる。 図4は、(S)-オメプラゾールのカリウム塩のエタノール溶媒和物と、ラセミ型オメプラゾールのカリウム塩のエタノール溶媒和物の、理論及び実測による回折図を示す。 図5は、ラセミ型オメプラゾールと(S)-オメプラゾールとのカリウム塩のエチレングリコール溶媒和物の回折図を示す。 図6は、(S)-オメプラゾールのカリウム塩のエタノール溶媒和物の非対称単位の3D表示である。
(使用した分析方法)
鏡像異性体過剰率(%ee)の測定
鏡像異性体過剰率は、ChiralPAK ADカラム(寸法250mm×4.6mm)を使用して、キラルHPLCクロマトグラフィーによって決定される。実験条件は以下の通りである。
−溶媒: 100%無水エタノール
−流速: 1ml・分-1
−検出器: λ=302nm
−注入量: 20μl
−濃度: エタノール中、およそ0.4g・l-1
−(-)鏡像異性体の保持時間: 8.1分間
X線粉末回折による分析
X線粉末回折(XRPD)分析を、Bruker D5000 Matic回折計を使用し、以下の条件:
−銅対陰極、電圧40kV、強度40mA
−常温
−測定範囲:3°乃至30°
−各測定間の増加:0.04°
−工程ごとの測定時間:4s
の下で行った。
溶解度測定
所与の温度及び水酸化カリウムの所与の過剰について、以下の方法:
(オメプラゾールの質量×オメプラゾールのカリウム塩の溶媒和物のモル質量/オメプラゾールのモル質量)/オメプラゾールの質量+水酸化カリウムの質量+溶媒の質量+水の質量
で溶解度測定値を算出する。
(実験装置)
2リットルスケールの場合、すなわち実施例5及び6以外は、擦りガラスのネック(29/32)を備えた二つの管中で交互に操作を行う。これらの管は、実施例1、2、3、4、及び7については高さが19cm及び直径が45mmであり、実施例8については高さがおよそ12cm及び直径が29mmである。これらの管は、その最上部に、濾過に必要な負圧を確立するために側管が取り付けられている。結晶は、ゴム環を経て各管に接続することのできる、No.2または3のガラス濾過器またはブフナー漏斗の上に回収される。攪拌は、マグネチックバーで行われる。母液は、一方の管から連続的に他方の管に流れる。
これらの輸送は、最小限に抑えられたものであるが、各操作における損失を回避しない。これらの損失を補填するために、二つの補填処置が行われ、
−ガラス濾過器上及び最初の管中での母液の損失については、この補填は、ラセミ型結晶と溶媒との添加によって、この添加分が混合物Lに相当するように行われ、
−主として負圧によって引き起こされる濾過による溶媒の損失については、補填は各操作時点での付加的溶媒の添加によって行われる。
非常に揮発性の溶媒については、補填操作は改良される。少量の溶媒を、その組成を決定するために採取し、同時に正確な補填を可能にする。
結果の優れた再現性を得るためには、各結晶化チャンバのジャケット中を循環している熱交換液体を、±0.1℃の精度をもって温度制御する。使用する装置により、再現性の冷却法則を定めることができる。これらの結晶化チャンバは、ジャケット付きサーモスタット(LAUDA RE107)を使用してサーモスタット制御する。
実施例5及び6では、操作を、サーモスタット(Huber CC 415)によりサーモスタット制御し、底部バルブを取り付けた、ジャケット付き2リットル反応器中で行う。攪拌は機械で行い、ダブルプロペラブレードを利用して行う。濾過は、直径20cm及び高さ10cmを有するバスケットを取り付けた、ナイロン濾過媒体のポア直径が20μmである遠心分離機(Rousselet-Robatel RA20)を、5000回転/分で利用して行う。回収した母液を、後続の優先晶質のために反応器にデカントする。
各操作後の補填は、ラセミ型オメプラゾールと水酸化カリウム(KOH)を添加することによって行われる。これにより、塩化により生じる水の生成によって、混合物の組成が変化することになる。
(実施例1:接種優先結晶による、エタノール/水の共沸混合物中での分割)
平衡に関連する条件
1.2モル当量の水酸化カリウム(すなわち、0.2当量の水酸化カリウム過剰)を含むエタノール/水共沸混合物中への、ラセミ混合物の溶解度
L点の座標:9.1質量%;温度TL:31℃
鏡像異性体過剰率に伴うTHOMOの変化
反応速度に関する条件
−温度TI:35℃
−温度TF:35℃
−接種温度
−冷却速度:T=f(t):
初期条件:
初期鏡像異性体過剰率:9%ee
結果
ブフナー漏斗(直径5cm、二重濾紙)での濾過
*純粋鏡像異性体は、(S)-オメプラゾールのカリウム塩のエタノール溶媒和物に相当する。平均鏡像異性体過剰率:93.6%ee
(実施例2:自動接種優先晶出による、エタノール/水の共沸混合物中での分割)
平衡に関する条件
1.2モル当量の水酸化カリウム(すなわち、0.2当量の水酸化カリウム過剰)を含むエタノール/水の共沸混合物中へのラセミ混合物の溶解度
L点の座標:8.7質量%;温度TL:29℃
鏡像異性体過剰率に伴うTHOMOの変化
反応速度に関する条件
−温度TB:30℃
−温度TF:18℃
−冷却速度:T=f(t):
初期条件:
初期鏡像異性体過剰率:9%ee
結果
ブフナー漏斗(直径5cm、二重濾紙)での濾過
*純粋鏡像異性体は、(S)-オメプラゾールのカリウム塩のエタノール溶媒和物に相当する。平均鏡像異性体過剰率:94%ee
(実施例3:自動接種優先晶出による、エタノール/水の共沸混合物中での分割)
平衡に関する条件
1.2モル当量の水酸化カリウム(すなわち、0.2当量の水酸化カリウム過剰)を含むエタノール/水の共沸混合物中へのラセミ混合物の溶解度
L点の座標:13.7質量%;温度TL:35℃
鏡像異性体過剰率に伴うTHOMOの変化
反応速度に関する条件
−温度TB:36℃
−温度TF:25℃
−冷却速度:T=f(t):
初期条件:
初期鏡像異性体過剰率:9%ee
結果
ブフナー漏斗(直径5cm、二重濾紙)での濾過
*純粋鏡像異性体は、(S)-オメプラゾールのカリウム塩のエタノール溶媒和物に相当する。平均鏡像異性体過剰率:90%ee
(実施例4:自動接種優先晶出による、エタノール/水の共沸混合物中での分割)
実施例3のエントレインメントNo.4から得られる母液から出発し、補足を行い、溶解度を増大させるために水を加える。
平衡に関する条件
エタノール/水の混合物は、およそ86/14質量/質量%である。
鏡像異性体過剰率に伴うTHOMOの変化
反応速度に関する条件
−温度TB:15℃
−温度TF:2℃
−冷却速度:T=f(t):
初期条件:
初期鏡像異性体過剰率:8.2%ee
結果
ブフナー漏斗(直径5cm、二重濾紙)での濾過
*純粋鏡像異性体は、(S)-オメプラゾールのカリウム塩のエタノール溶媒和物に相当する。平均鏡像異性体過剰率:83%ee
(実施例5:2リットルスケールでの自動接種優先晶出による、エタノール/水(90/10質量/質量%)混合物中での分割)
平衡に関する条件
1.2モル当量の水酸化カリウム(すなわち、0.2当量の水酸化カリウム過剰)を含むエタノール/水(90/10質量/質量%)混合物中へのラセミ混合物の溶解度
L点の座標:25質量%;温度TL:30℃
鏡像異性体過剰率に伴うTHOMOの変化
反応速度に関する条件
−温度TB:31℃
−温度TF:21℃
−冷却速度:T=-1/3t+31(0乃至30分の間、その後固定相が続く):
初期条件:
初期鏡像異性体過剰率:10%ee
(*)鏡像異性体を鏡像異性体過剰率89.4%eeで加えた後に添加したラセミ混合物の質量
結果
直径200mm及び高さ100mmを有するバスケットを取り付けた、ナイロン濾過媒体のポア直径が20μmである遠心分離機(Rousselet-Robatel RA20)で、5000回転/分で濾過する。
*純粋鏡像異性体は、(S)-オメプラゾールのカリウム塩のエタノール溶媒和物に相当する。このカラムに得られた質量は、鏡像異性体過剰率を掛け合わせた、回収された結晶の質量と同等である。平均鏡像異性体過剰率:93.1%ee
(実施例6:2リットルスケールでの自動接種優先晶出による、エタノール/水(93/7質量/質量%)混合物中での分割)
平衡に関する条件
1.2モル当量の水酸化カリウム(すなわち、0.2当量の水酸化カリウム過剰)を含むエタノール/水(93/7質量/質量%)混合物中へのラセミ混合物の溶解度
L点の座標:20質量%;温度TL:34.4℃
鏡像異性体過剰率に伴うTHOMOの変化
反応速度に関する条件
−温度TB:35℃
−温度TF:25℃
−冷却速度:T=-1/3t+35(0乃至30分の間、その後固定相が続く):
初期条件:
初期鏡像異性体過剰率:8.3%ee
結果
直径200mm及び高さ100mmを有するバスケットを取り付けた、ナイロン濾過媒体のポア直径が20μmである遠心分離機(Rousselet-Robatel RA20)で、5000回転/分で濾過する。
*純粋鏡像異性体は、(S)-オメプラゾールのカリウム塩のエタノール溶媒和物に相当する。このカラムに得られた質量は、鏡像異性体過剰率を掛け合わせた、回収された結晶の質量と同等である。平均鏡像異性体過剰率:93.5%ee
(実施例7:自動接種優先晶出による、エタノール中での分割)
平衡に関する条件
1.2モル当量の水酸化カリウム(すなわち、0.2当量の水酸化カリウム過剰)を含む無水エタノール中へのラセミ混合物の溶解度
L点の座標:2.2質量%;温度TL:33℃
鏡像異性体過剰率に伴うTHOMOの変化
反応速度に関する条件
−温度TB:33.2℃
−温度TF:13℃
−冷却速度:T=f(t):
初期条件:
初期鏡像異性体過剰率:9%ee
エタノール中での分割は最低の結果を示したため、この調査は継続されず、濾過は行わなかった。これは、各エントレインメント操作に必要な時間が3時間のオーダーであるためである。塩の溶解度が低く、かくして得られた結晶採取量は低く、溶液1リットル当たり2.5gのオーダーであるが、これは各エントレインメントの収率にも有害である。
(実施例8:自動接種優先晶出による、エタノール/エチレングリコール(80/20質量/質量%)混合物中での分割)
平衡に関する条件
鏡像異性体過剰率に伴うTHOMOの変化
反応速度に関する条件
−温度TB:35℃
−温度TF:18℃
−冷却速度:T=f(t):
初期条件:
初期鏡像異性体過剰率:9%ee
結果
No.3のガラス濾過器での濾過
*純粋鏡像異性体は、(S)-オメプラゾールのカリウム塩のエタノール溶媒和物と(S)-オメプラゾールのカリウム塩のエチレングリコール溶媒和物との混合物に相当する。平均鏡像異性体過剰率:68.6%ee
(実施例9:エタノールで溶媒和された(S)-オメプラゾールのカリウム塩の構造)
単結晶が、エタノール性水酸化カリウム溶液中にラセミ型オメプラゾールを溶解させることにより調製される、ラセミ型オメプラゾールの飽和溶液中に得られた。核生成及びその後の単結晶の成長を、温度を低下させて溶液中の塩の過飽和を引き起こすことにより誘発した。
単結晶の結晶構造は、空間群P21である単斜晶と決定された。結晶単位セルには、アニオン形態のオメプラゾール1分子、1つのカリウムカチオン、及び2つのエタノール分子が含まれる。
回折強度を、SMARTソフトウェア(SMART for WNT/2000 V5.622 (2001), Smart software reference manual, Bruker Advanced X Ray Solutions Inc., Madison, Wis., USA)を設置した自動Smart Apex回折計(Bruker)で測定し、構造を、SAINT+、SADABS、及びSHELXSソフトウェア(SAINT+ V6.02 (1999), Saint software reference manual, Bruker Advanced X Ray Solutions Inc., Madison, Wis., USA)で決定した。
信頼度因子R1は3.09%であり、これは、分割が十分なものであることを示す。フラックパラメーター(Flack parameter)は0.11であり、これによれば、調査した結晶中の分子が、実際に(S)絶対構造のものであると結論づけられる。
この相の結晶学的特性を以下の表Vにまとめる。
Diamondソフトウェアを使用した非対称単位の3D表示が図6に示され、ベンズイミダゾールアニオン、カリウムカチオン、及び2つのエタノール分子が明示される。ベンズイミダゾール環系の窒素原子とK+カチオンとの間には、直接の静電結合はない。結合は、エタノール分子を介した間接的なものである。
結晶単位セル中の原子の座標を、以下の表VIに示す。
ラセミ相と鏡像異性的に純粋な相との実測によるX線粉末回折図、及びこの構造から算出されるX線粉末回折図を、図4に示す。
(実施例10:(S)-オメプラゾールのマグネシウム塩からの、(S)-オメプラゾールのカリウム塩の調製)
市販品を購入可能である(S)-オメプラゾールマグネシウム塩三水和物(10.02g)を、400mlのエタノールに溶解させ、水酸化カリウムを過剰に加えた(3.99g、2.5モル当量)。カリウム塩を、溶媒の部分蒸発により結晶化させ、その後ブフナー漏斗で濾過する。得られた生成物(14.7g)は、2リットルのエタノールから45℃にて再結晶させる。熱時濾過を行って、水酸化カリウムの存在下(0.87g、およそ0.5モル当量)にて不溶性の不純物を除去する。
(実施例11:鏡像異性的精製)
実施例4のエントレインメントNo.2により得られた、(採集した結晶10.88gのうち)10.2gの、(S)-オメプラゾールのカリウム塩(鏡像異性高乗率80%ee、すなわち、8.16gの純粋(s)鏡像異性体の質量)を、サーモスタットで25℃に制御しつつ、120gのエタノール中に懸濁させ、過剰の水酸化カリウム(0.11g、0.1モル当量)で処理する。
温度を、母液の旋光度がゼロ近傍になるまで徐々に低下させる。得られる固体を、ブフナー漏斗で濾過する。乾燥後、回収したカリウム塩の質量は、(理論的に回収しうる8.16gに対して)7.7gであり、すなわち、収率は、99%ee超の鏡像異性的純度をもって(キラルHPLCクロマトグラフィーで測定)、94%超である。
(実施例12:鏡像異性的精製)
分解操作から採集した結晶は以下のとおりであり:
−実施例6のエントレインメント2(-):119g(鏡像異性体過剰率97%ee、すなわち、115gの(-)鏡像異性体);
−実施例6のエントレインメント4(-):135g(鏡像異性体過剰率94%ee、すなわち、126gの(-)鏡像異性体);
−実施例6のエントレインメント6(-):133g(鏡像異性体過剰率95%ee、すなわち、126gの(-)鏡像異性体);
すなわち、合計で387g、換言すれば367gの(-)鏡像異性体を、混合し、2リットルのエタノール性水酸化カリウム溶液中に、水酸化カリウムの量がオメプラゾールに対して0.1モル当量(およそ4.5g;出発エタノールは無水エタノールである)に相当するように、懸濁させる。
温度を1時間半に亘って50℃まで上昇させ、その後、母液の旋光度における変化を偏光分析法で観察しつつ、迅速に30℃にまで、更に、ゆっくりと14℃にまで戻す。
三相領域に達した(すなわち、旋光度がゼロの)時点で、(オメプラゾールの(-)鏡像異性体のカリウム塩のジエタノレートとその飽和溶液との)二相領域において熱力学的平衡を達成するために、温度を12時間に亘って16℃に上昇させる。平衡に達した時点で、エントレインメント効果を得て、より多量の鏡像異性体を回収するために、温度を13℃にまで低下させる。
30分後、直径200mm及び高さ100mmを有するバスケットを取り付けた、ナイロン濾過媒体のポア直径が20μmである遠心分離機(Rousselet-Robatel France RA20)で、5000回転/分で濾過を行う。
採集した結晶の質量は、352gである。
HPLC分析を、再結晶後の試料の光学純度を測定するために行った。
純度は鏡像異性体過剰率99.4%eeであり、収率は95%である。
(実施例138:ラセミ型オメプラゾールのカリウム塩のエチレングリコール溶媒和物の調製)
ラセミ型オメプラゾール(1.01g)を、メタノール及びエチレングリコール(それぞれ4ml及び1ml)の混合物に、水酸化カリウム(180mg、1.1モル当量)の存在下で溶解させる。常温で3時間攪拌した後、固形物をブフナー漏斗での濾過により回収する。得られた固形物は、ラセミ型オメプラゾールのカリウム塩の、メタノール溶媒和物とエチレングリコール溶媒和物との相混合物に相当する。乾燥後、メタノール溶媒和物はアモルファスになり、X線粉末回折により観察される唯一の相は、エチレングリコール溶媒和物である。回折図(XRPD)を図5に示す。
(実施例14:(S)-オメプラゾールのカリウム塩のエチレングリコール溶媒和物の調製)
実施例12と同様のプロトコルにより、実施例4のエントレインメント1から採集される結晶の再結晶によって得られる、(S)-オメプラゾールのカリウム塩のエタノール溶媒和物(3.01g)を、メタノール及びエチレングリコール(それぞれ2ml及び1ml)からなる溶媒の混合物中に懸濁させる。常温で5日間攪拌した後、No.3のガラス濾過器での濾過により懸濁物を回収する。得られた固形物は、(S)-オメプラゾールのカリウム塩の、メタノール溶媒和物とエチレングリコール溶媒和物との相混合物に相当する。常温での乾燥後、メタノール溶媒和物はアモルファスになり、X線粉末回折により観察される唯一の相は、エチレングリコール溶媒和物である。回折図(XRPD)を図5に示す。

Claims (9)

  1. ラセミ型オメプラゾールの塩の分割方法であって、ラセミ型オメプラゾールが、カリウム源である無機塩の過剰存在下で、溶媒和物の形態のカリウム塩に転化され、溶媒和物の形態の前記ラセミ型オメプラゾールのカリウム塩はコングロメレートの形態で存在し、その部分的固溶液領域が存在する場合、これは1%未満であり、その後、前記ラセミ型オメプラゾールのカリウム塩の2つの(S)及び(R)鏡像異性体を分離するために、前記コングロメレートが優先晶出によって分割されることを特徴とする、方法。
  2. ラセミ型オメプラゾールのカリウム塩の溶媒和物が、エタノール溶媒和物またはエチレングリコール溶媒和物、あるいはこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. コングロメレートが、接種または自動接種の優先晶出によって分割されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 優先晶出が、
    − 五元系[K2O-EtOH-H2O-(-)-オメプラゾール-(+)-オメプラゾール]及び[K2O-エチレングリコール-H2O-(-)-オメプラゾール-(+)-オメプラゾール];
    − 六元系[K2O-EtOH-エチレングリコール-H2O-(-)-オメプラゾール-(+)-オメプラゾール];
    − 以下の構成成分、アルコール(エタノール及び/またはエチレングリコール)、水、及び過剰の水酸化カリウムを媒質中に含む三元系としての五元系の分類による、三元系
    から選択される系で実施されることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 優先晶出が、接種のものであり、且つ以下の工程:
    a)第一の均一溶液が、コングロメレート形態のラセミ混合物と、X-K-溶媒和物と表示される(X)-オメプラゾールのカリウム塩(ここで、Xは、(R)もしくは(S)の鏡像異性体を表す)の溶媒和物の形態の、回収しようとする過剰の第一鏡像異性体と、媒質とを含んで調製される工程(ここで、濃度と温度TI(TI>THOMO)との変数によって定義されるその表示点Iは、不飽和溶液によって構成される単相領域中にある);
    b)冷却プログラム法則が単相混合物に適用される工程;
    c)混合物がTHOMO直下の温度に達した時点で、回収しようとする第一のX-K-溶媒和物鏡像異性体の鏡像異性的に純粋な結晶種を、溶液に接種する工程;
    d)結晶成長の持続期間中、時間の関数として穏やかに増大する撹拌速度を、第一のX-K-溶媒和物鏡像異性体の成長を促進するために十分に遅く調整する工程;
    e)第一のX-K溶媒和物鏡像異性体の結晶を採取する工程;
    f)先行工程において採取した結晶の質量と同質量のラセミ混合物を母液に添加し、この新たな混合物を温度TI(TI>THOMO)とする工程(ここで、I’点は単相領域中にある);
    g)工程(b)におけるものと同じ冷却プログラム法則を、工程(f)で調製した、第二鏡像異性体を含む単相混合物に適用して、接種の間に第二のX-K溶媒和物鏡像異性体の成長を促進するために、結晶化の間、母液を軽度過飽和に保持する工程;
    h)混合物がTHOMO直下の温度に達した時点で、第二のX-K溶媒和物鏡像異性体の鏡像異性的に純粋な結晶種を、溶液に接種する工程;
    i)先行工程の結晶成長の持続期間中、時間の関数として穏やかに増大する撹拌速度を、第二のX-K-溶媒和物鏡像異性体の成長を促進するために十分に遅く調整する工程;
    j)第二のX-K溶媒和物鏡像異性体の結晶を採取する工程;
    k)先行工程において採取した結晶の質量と同質量のラセミ混合物を母液に添加して、当初の溶液と同一組成を有する溶液を得る工程;
    l)工程a)乃至k)を、鏡像異性体の一方を、次いで他方を、連続して得るために反復する工程
    を含むことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 優先晶出が、自動接種のものであり、且つ以下の工程:
    a)第一の混合物が、コングロメレート形態のラセミ混合物と、X-K-溶媒和物と表示される(X)-オメプラゾールのカリウム塩(ここで、Xは、(R)もしくは(S)の鏡像異性体を表す)の溶媒和物の形態の、回収しようとする過剰の第一鏡像異性体と、媒質とを含んで調製される工程(ここで、濃度と温度TBとの変数によって定義されるその表示点Eは、X-K-溶媒和物の結晶とその不飽和溶液とによって構成される二相領域中にある);
    b)結晶の形態で存在する第一のX-K-溶媒和物鏡像異性体の成長を促進するために、母液を軽度過飽和に保持する一方で、溶液に溶解している第二のX-K-溶媒和物鏡像異性体の突然の核生成を防止するために、冷却プログラム法則が二相混合物に適用される工程;
    c)結晶成長の持続期間中、第一のX-K-溶媒和物鏡像異性体の成長を促進する一方で、非制御核生成の発生及び結晶の摩滅を回避するために、時間の関数として穏やかに増大する撹拌速度を十分に遅く調整する工程;
    d)第一のX-K溶媒和物鏡像異性体の結晶を採取する工程;
    e)先行工程において採取した結晶の質量と同質量のラセミ混合物を母液に添加し、この新たな混合物を温度TBとする工程(ここで、E’点は、その飽和溶液との平衡にある、過剰の第二のX-K溶媒和物鏡像異性体の二相領域中にある);
    f)工程(b)におけるものと同じ冷却プログラム法則を、工程(e)で調製した、第二鏡像異性体を含む二相混合物に適用して、結晶の形態で存在する第二のX-K溶媒和物鏡像異性体の成長を促進する一方で、溶液中に存在する第一のX-K-溶媒和物鏡像異性体の突然の核生成を防止するために、結晶化の間、母液を軽度過飽和に保持する工程;
    g)先行工程の結晶成長の持続期間中、この第二のX-K-溶媒和物鏡像異性体の成長を促進する一方で、非制御核生成の発生及び結晶の摩滅を回避するために、時間の関数として穏やかに増大する撹拌速度を十分に遅く調整する工程;
    h)第二のX-K溶媒和物鏡像異性体の結晶を採取する工程;
    i)先行工程において採取した結晶の質量と同質量のラセミ混合物を母液に添加して、当初の溶液と同一組成を有する溶液を得る工程;
    j)工程a)乃至i)を、鏡像異性体の一方を、次いで他方を、連続して得るために反復する工程
    を含むことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
  7. 工程a)において、媒質が、アルコール性溶媒またはアルコール性溶媒混合物、水、及び過剰の水酸化カリウムを含むことを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。
  8. アルコール性溶媒またはアルコール性溶媒混合物が、純粋の、または水の存在下でのエタノールまたはエチレングリコールから選択されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. 以下の工程:
    i)キラル(R)スルホキシドの還元により、アキラルスルフィド(チオエーテル)を得る工程;
    ii)過酸化水素水溶液または次亜塩素酸イオンまたは過安息香酸、あるいは別のあらゆる酸化剤を使用して、スルホンの生成を回避しつつ、このスルフィドの硫黄原子を酸化する工程;
    による、(R)鏡像異性体を再生する工程を含むことを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
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