JP2010528887A - 調整可能な刃先交換式ドリル - Google Patents

Abstract

【課題】従来の刃先交換式ドリルの欠陥を軽減するとともに、不必要な作業を排除する。また、冷却剤も減少させ、作業者への危険を少なくするドリルを提供する。
【解決手段】長手方向軸を有してフェース面を備えるドリル本体であって、フェース面が、ドリル本体内へと延びる開口と、ドリル本体のエッジへと延びる開口に隣接する指向性形態部と、ドリル本体の少なくとも一部に沿ってフェース面から延びる長手方向凹部とを備えるドリル本体と、フェース面に隣接するとともに、指向性形態部に沿って選択的にスライド可能なカートリッジであって、指向性形態部に沿うスロットと、ドリル本体のエッジに隣接して位置される挿入ポケットを備える切削面とを備えるカートリッジと、開口内へとスロットを貫通してカートリッジをドリル本体に対して取り外し可能に取り付ける締結具と、挿入ポケット内に取り外し可能に取り付けられる挿入体と、を備える調整可能ドリル。
【選択図】図１

Description

本発明は、一般に、工作物に穴を形成するための刃先交換式のサイズ調整可能なドリルに関する。

従来のツイスト型ドリルは、長年にわたって使用されてきており、一般に硬化鋼から形成される。ソリッドカーバイドドリルは、機械加工において所望の強度特性を与えるが、様々な制限を有する。刃先交換式のドリル工具の開発は、これらの制限の一部を克服する。刃先交換式ドリルは、１つ以上の交換式の取替え可能な挿入体の刃先を利用する。挿入体は、ドリル本体の切削端のポケット内に載置される場合がある。ポケットは、挿入体の形状の少なくとも一部に対応する形状を有してもよい。挿入体は刃先交換可能であり、そのため、作業時に刃先が摩耗すると、挿入体をドリル本体上のそれらの位置から取り外し或いは緩めた後、挿入体の更なる刃先を使用できるようにするために挿入体を所定量回転させることができ或いは交換することができる。２つの以上の指標位置にあってもよい少なくとも１つの切削形状が挿入体に関連付けられ、例えば、略三角形状の挿入体は３つの位置に切削形状を有し、略正方形または他の四辺形状の挿入体は４つの位置に切削形状を有し、あるいは、他の適した形状がある。挿入体は、ドリル本体よりも硬質な及び／又は高密度の材料から形成される場合がある。

交換式の挿入体は、従来のツイスト型ドリルよりも大きい切削送り・速度を有することができる。挿入体は、適切な硬さを有するカーバイド材料または類似の材料であってもよく、あるいは、穿孔される材料よりも大きい硬さを有する刃先を形成するべく硬化されてもよい。刃先交換式ドリルは、「１有効溝（ｏｎｅ ｆｌｕｔｅ ｅｆｆｅｃｔｉｖｅ）」、「２有効溝（ｔｗｏ ｆｌｕｔｅ ｅｆｆｅｃｔｉｖｅ）」、または、１つ以上の挿入体が設けられ且つ各挿入体が１有効溝を有する多有効溝の構造を成していてもよい。ツイスト型ドリルは一般に２つの有効溝を有する。

刃先交換式ドリルは、多くの用途において有用であるが、構造が一般に１有効溝であるため、より小さい穴、例えば３／４インチ（約１９ミリメートル）以下の穴に有効でない場合がある。作業時、単一の１有効溝交換式挿入体は、２有効溝ツイストドリルまたは２有効溝スペード挿入体ドリルよりも遅くなる場合がある。スペード型挿入体は、前「ブレード型」ドリル穿孔点を有しており、カーバイド構造または細粒特殊鋼から成ってもよい。

前述したように、刃先交換式ドリルは、特にドリルサイズが大きくなるとき或いは材料のドリル穿孔が困難になるときに費用効率の高い１つ以上の交換可能な挿入体を利用できる。刃先交換式ドリルは、「スペード型」ドリルよりも速い回転速度で動作して、「スペード型」ドリルよりも大きな表面積を切削することができ、それにより、より速く送り進めることができる。従来のスペードドリル、ソリッドカーバイドドリル、または、従来のツイストドリルを超える刃先交換式ドリルの他の利点は、挿入体が消耗品であるという点である。刃先を再研磨する代わりに、挿入体を新しい刃先に交換することができ、その後、全ての刃先が摩耗されるときに挿入体を捨てることができる。

刃先交換式ドリルは、一般に、当該技術分野において「荒削り」として知られている。これは、刃先交換式ドリルが他のタイプのドリル穿孔製品の場合のように自動芯出しできないからである。刃先交換における挿入溝などの問題は、例えばスペードドリルまたは他の製品の場合のように互いを反映するものではなく、そのため、作動ドリルにおいて不均一な切削力を引き起こす。従来、ドリルは、機械スピンドルによって所望の切削経路中に保持されており、そのため、精度は、機械およびスピンドルの剛性や、部品を保持するセットアップに依存し得る。このため、従来の刃先交換式ドリルは、直径の３倍よりも大きい深さを有する穴を穿孔するのに有効でない場合がある。直径の３倍よりも大きい深さでは、従来技術の刃先交換式ドリルの精度が低下される場合があり、また、機械および機械スピンドルに作用する力が大きくなる場合がある。

従来の刃先交換式ドリルまたは粗穴工具は、粗い穴サイズ範囲で形成されてきた。従来技術のドリルがサイズを増大する場合、１つのドリルと次の更に大きいサイズのドリルとの間のサイズの差は、約１／４インチ（約６ミリメートル）直径以上となる場合がある。末端使用者が従来技術のドリルサイズ間の１つのサイズまで単一パスで穴を開けるのは難しい場合があった。今まで、約１ １／４〜５インチ（３２ミリメートル〜１２７ミリメートル）の更に大きいドリルサイズでドリル公差に近い穴を形成することにあまり改善がなされてはおらず、代わりに、粗い穴を仕上げるために別個のボーリング製品が使用されている。

また、従来の標準サイズ間にある穴直径は、特注ドリルによって対応することができる。しかしながら、特注品のリードタイムおよび費用は、それらの低い生産量、非標準サイズ、および、特別な工学技術および販売関与に起因して高くなり得る。これらの特殊サイズドリルを得る際の費用および時間により、末端使用者は、特殊ドリルの購入を断念して、付加的作業の更なる費用を生じさせないようにする。

また、従来の刃先交換式ドリルにおいては、作業中、材料を通り過ぎる刃先の異なる線速度に起因して、刃先交換式ドリルにおける物理的な切削状態が穴の外側エッジから穴直径の中心へ向かって変化し得る。直径の中心の近傍では、刃先の線速度が非常に低い。従来の刃先交換式ドリルにおいては、中心の低い線速度で、機械的な切削作用は、材料を押し出す彫刻刀のようである。中心からの距離が増大するにつれて、挿入体の線速度が増大し、刃先は材料を効果的に切り出すことができる。従来、穴の中心で線速度が低いと、ドリルが破損する可能性がある。穴の中心での低い線速度に対応するため、従来技術のドリルは、異なる形状または挿入体材料または特別な刃先を有する中心切削挿入体の利用を試みてきた。

また、従来のドリルのサイズが大きくなるにつれて、ドリルは、更に大きいサイズの挿入体を伴って構成される場合がある。挿入体のサイズおよび形状が大きくなるにつれて、挿入体をそのポケット内に保持する挿入体ネジも変わる場合がある。多くの穴サイズを形成するユーザは、挿入体の多くの在庫、多くの挿入体の等級、多くのネジサイズを所有しなければならない。１．５インチ（３８ミリメートル）程度の小さい範囲の穴を最小から最大まで有する末端使用者は、３０〜４０個の多くの別個の部品を在庫として有していなければならない。

バランスが保たれないドリルは、異音を引き起こす可能性がある。交換式の挿入体は２有効溝ではなく均一でもないため、従来の刃先交換式ドリルはバランスをとることが難しかった。従来、交換式の挿入体は、従来技術の刃先交換式ドリルに共通の異音または動きからエッジを保護するために研磨されており或いは平坦に研削された刃先を伴って形成されている。このため、従来技術で使用される研磨された或いは平坦に研削された挿入体エッジを伴う従来のドリルには、多くの労力が必要とされた。

また、従来技術の刃先交換式ドリルは、ドリル穿孔中に穴から穿孔チップを追い出すために所定量の冷却剤に頼っている。切削動作によって形成されるチップは、該チップがドリル本体とカット直径との間の隙間に食い込まないように、刃先から後方へ移動して、切削領域に隣接する凹部から排出されなければならない。冷却剤は、ドリル本体を通じて圧送されて、ドリル端部から出るとともに、圧力およびモーメントによって後方へ流れて、チップを凹部の後方へ押し上げる。冷却剤は、切削の熱および圧力の下でミストを形成し得る水溶性油を含んでいてもよい。冷却剤は、吸引されると作業者の健康を害する場合があるため、機械作業者による空気を介した吸入を減らすために濾過または他のプロセスによって抑制されなければならない。
従来の刃先交換式ドリルでは、ドリル破壊点が中心挿入体領域の近傍にある。中心領域は、後方へ移動してドリル本体構造を超えて形成穴から出ることができないチップが密集する場合がある。

本発明は、長手方向軸を有してフェース面を備えるドリル本体であって、フェース面が、ドリル本体内へと延びる開口と、ドリル本体のエッジへと延びる開口に隣接する指向性形態部と、ドリル本体の少なくとも一部に沿ってフェース面から延びる長手方向凹部とを備えるドリル本体と、フェース面に隣接するとともに、指向性形態部に沿って選択的にスライド可能なカートリッジであって、指向性形態部に沿うスロットと、ドリル本体のエッジに隣接して位置される挿入ポケットを備える切削面とを備えるカートリッジと、開口内へとスロットを貫通してカートリッジをドリル本体に対して取り外し可能に取り付ける締結具と、挿入ポケット内に取り外し可能に取り付けられる挿入体と、を備える調整可能ドリルに関する。

調整可能ドリルは、ドリル本体内へと延びる第２の開口を備える第２のフェース面と、第２のフェース面に隣接し、貫通穴と、ドリル本体の軸に隣接して位置される挿入ポケットを備える第２の切削面とを備える第２のカートリッジと、第２の開口内へと前記穴を貫通してカートリッジをドリル本体に対して取り外し可能に取り付ける締結具と、挿入ポケット内に取り外し可能に取り付けられる挿入体とを更に備えてもよい。
調整可能ドリルは、調整可能ドリルと関連して別の切削特性を与えてもよい異なる形態の挿入体を更に備えてもよい。

明確にするために一部が除去された本開示の調整可能な刃先交換式ドリルの分解斜視図である。 図１のドリルの正面図である。 図１のドリルのカートリッジおよび挿入体の部分図である。 図１のドリルの一部の側面図である。 図４Ａに示される部分の平面図である。 図１のドリルの側面図である。 図４Ｃに示されるドリルの平面図である。 図１のドリルの平面図である。 本開示と併用できる三角挿入体の一実施例の図を示している。 本開示と併用できる三角挿入体の一実施例の図を示している。 本開示と併用できる三角挿入体の一実施例の図を示している。 本開示と併用できる三角挿入体の一実施例の図を示している。 別の挿入体形態を有するドリルの一実施例の図を示している。 別の挿入体形態を有するドリルの一実施例の図を示している。 別の挿入体形態を有するドリルの一実施例の図を示している。 別の挿入体形態を有するドリルの一実施例の図を示している。 別の挿入体形態を有するドリルの一実施例の図を示している。 別の挿入体形態を有するドリルの一実施例の図を示している。 別の挿入体形態を有するドリルの一実施例の図を示している。 別の挿入体形態を有するドリルの一実施例の図を示している。 別の挿入体形態を有するドリルの一実施例の図を示している。 別の挿入体形態を有するドリルの一実施例の図を示している。 別の挿入体形態を有するドリルの一実施例の図を示している。 別の挿入体形態を有するドリルの一実施例の図を示している。

本発明は、ここに開示される実施例を伴う調整可能な刃先交換式ドリルであって、ドリルが１つ以上の挿入カートリッジおよび交換式切削挿入体を利用できる調整可能な刃先交換式ドリルに関する。この実施例において、刃先交換式ドリルは、前述した刃先交換式ドリルの欠陥の多くを軽減できるとともに、性能効率を高めて、作業コストを低減し、不必要な作業を排除する。また、刃先交換式ドリルは、適切な動作に必要な冷却剤も減少させ、それにより、そのような冷却材料の想定し得る吸入に関連する作業者への危険を少なくする。後述するように、刃先交換式ドリルは、機械加工されるべき部品中への滑らかで安定した進入を行ない、それにより、所望の形態のクローズドリル公差穴（ｃｌｏｓｅ ｄｒｉｌｌ ｔｏｌｅｒａｎｃｅ ｈｏｌｅ）を形成するための安定した作業を可能にする。ここで、図１を参照すると、調整可能な刃先交換式ドリル１０は、ドリル本体１２と、内側カートリッジ１４と、外側カートリッジ１６とを備えていてもよい。カートリッジ１４、１６を固定するためのキャップヘッドスクリューや後述する挿入体などの様々な構造体は図１に示されていない。

ドリル本体１２は、略円柱形状を有していてもよく、また、１つ以上の長手方向凹部１８を備えていてもよい。各凹部１８は前面２０と後面２２とを有する。前面２０および後面２２は約９０度離間してもよい。あるいは、前面２０および後面２２が９０度を超えて或いは９０度未満離間していてもよい。ドリル本体１２の端部は第１のフェース面２６と第２のフェース面２８とを備えていてもよい。長手方向凹部１８は、ドリル本体１２の少なくとも一部に沿ってフェース面２６、２８から延びてもよい。フェース面２６、２８に隣接してドリル本体１２に取り付けられてもよい挿入カートリッジ１４、１６など、１つ以上の挿入カートリッジがドリル本体と共に使用されてもよい。

ドリル１０は、チップサイズを減少させるために複数の切削挿入体３０を使用してもよい。挿入体は、挿入体の切削経路が重なり合うように位置されてもよい。互いに正確に重なり合うことができる切削経路の能力を超えてドリル直径が増大するにつれて、更なる挿入体が使用されてもよい。少なくとも１つの切削挿入体３０が各挿入カートリッジ１４、１６に取り付けられてもよい。図１〜図５は、例示的目的で４つ以上の切削挿入体３０、３１、３２、３３を利用する調整可能な刃先交換式ドリル１０を示している。幾つかの用途においては、４つよりも少ない挿入体が使用できてもよい。本発明の一態様において、ドリルは、所定のサイズ範囲内で調整され得る能力を有する。調整可能性は、一例として、外側カートリッジ１６を移動できるようにして固定された挿入カートリッジ１４とほぼ１８０度対向させて位置させることができるようにすることにより与えられる。可動カートリッジの調整可能性は、特定の穴サイズ要件に合わせるドリルの正確な調整のためのドリル穿孔サイズの調整を可能にする。また、調整可能性は、摩耗した機械スピンドル、摩耗した工具ホルダ、または、粗悪なセットアップ状態の補償も可能にする。単一作業で仕上げ穴をドリル穿孔できる能力は、所望の仕上げ穴サイズを達成しつつ、更なるボーリング作業およびリーマ仕上げ作業を排除する。これにより、特定の用途に必要なドリル穿孔・ボーリング在庫が減少される。これは、ドリルサイズ範囲が、更なるボーリング工具またはリーマ仕上げ工具の必要性を排除するとともに、特別に作られるドリルサイズの必要性を減少させるからである。また、これは、そのような特注の品物の準備期間および費用も排除する。所望の穴直径が大きくなるにつれて、例えばこれに限定されないが６個の挿入体または８個の挿入体など、更なる挿入体が使用されてもよい。逆に、所望の穴直径が小さくなるにつれて、例えばこれに限定されないが２個または３個の挿入体など、更に少ない数の挿入体が使用されてもよい。切削挿入体３０、３１、３２、３３は、頂部４４が形成されて成る刃先４０、４１、４２、４３を含んでもよい切削形状を備える。図示の実施例における頂部は、刃先が頂部から約２０度などの角度で延びることによって設けられる。挿入体は、１つ以上の更なる刃先４０’、４１’、４２’、４３’を与えるために交換可能であってもよい。

内側カートリッジ１４は、ドリル本体の軸に隣接して位置される挿入ポケットを備える切削面を備えていてもよい。切削挿入体３０は、刃先４０が穴直径の真ん中の部分を切削できるように内側カートリッジ１４の挿入ポケット内に取り付けられてもよい。

外側カートリッジ１６は、ドリル本体の軸に隣接して位置される挿入ポケットを備える切削面を備えていてもよい。穴直径の最も外側の部分を切削するために位置される切削挿入体は、外側カートリッジ１６の挿入ポケットに取り付けられてもよい。外側カートリッジ１６の切削面は、内側カートリッジの切削面から約１８０度であってもよい。

第１および第２のフェース面２６、２８が傾斜面であってもよい。図２および図３に示されるように、フェース面２６、２８は、垂直面から角度Ａを成して所定量だけ、例えば約２〜５度だけ離間して角度付けられてもよい。あるいは、フェース面２６、２８は、約１／２〜１０度以上だけ垂直面から離間して傾けられてもよい。一方または両方のフェース面２６、２８は、フェース面の法線ベクトルが凹部の前面２０と平行のままとなるように角度付けられてもよい。あるいは、フェース面が斜めの方向性を有していてもよい。フェース面２６、２８の傾斜は、部品表面中への滑らかな進入をもたらすとともに、使用中のドリルの安定化を容易にする。これは、この実施例では挿入体３０である中心挿入体、特にその頂部４４が向かい合う或いは次の内側挿入体が部品に進入するときに切削経路中にトラックを形成し始めることができるようにする機能も与える。この形態により、ドリルは、この時点で外側挿入体が切削し始める前にトラックを形成し始めることができ、それにより、滑らかで安定した部品への進入がなされる。垂直面から離れるフェース面２６、２８の角度付けは、取り付けられる挿入カートリッジ１４、１６を対応する角度に位置決めし、それにより、内側刃先４０が最も大きい度合いまで外側に延びてそれ以降の挿入体がドリルの前面から離間して位置されるように刃先４０、４１、４２、４３が位置決めされる。挿入体３０、３１、３２、３３のこの位置決めにより、それぞれの連続する挿入体は、各挿入体が部品に係合するまで、次の挿入体が切削等し始める前にカットまたはトラックを効果的に形成し始めることができる。したがって、中心挿入体３０は、挿入体３１が切削し始める前に僅かな接線方向のローディングを始め、また、挿入体３２、３３に関しても同様である。部品中への滑らかな進入は、１有効挿入体ドリルシステムを用いたドリル穿孔時に最悪な跳ね返りを引き起こす場合がある揺れを回避する。

第１および第２のフェース面２６、２８は、例えばこれに限定されないがカートリッジ１４、１６をフェース面２６、２８に対する取り付け時に拘束することができる１つ以上の長手方向鋸歯状部または長手方向キー溝または他の形状などのドリル本体のエッジヘ向けて延びるドライブ形態部を開口または穴４８に隣接して備えていてもよい。図４Ａおよび図４Ｂに示されるように、第１および第２のフェース面２６、２８は、フェース面の少なくとも一部にわたる鋸歯状部５０などのドライブ形態部を備えていてもよい。この実施例に示されるように、鋸歯状部は６０度の鋸歯状部であるが、要求通りに他の角度の鋸歯状部が適する場合もある。あるいは、ドライブキータイプの配列または任意の他の適したドライブ形態部を使用することができる。内側カートリッジ１４および外側カートリッジ１６は、図４Ｃおよび図４Ｄに示されるようにカートリッジ１４、１６をフェース面２６、２８に対する取り付け時に拘束することができる対応する鋸歯状部、ドライブキー溝、または、他の形状などのフェース面２６、２８上の拘束形状と係合するための対応する形状を有してもよい。ドリル本体１２は、カートリッジ１４、１６を取り付けるためのキャップヘッドスクリュー（図示せず）などのネジまたは締結具を受けるためのドリル本体中へ延びる開口または穴４８を有していてもよい。カートリッジ１４、１６は、例えばこれに限定されないがネジまたは他の留め具などの締結具によってドリル本体１２に対して取り外し可能に取り付けられてもよい。締結具はソケットヘッドキャップスクリューであってもよい。この構造により、カートリッジ１４、１６を選択的に交換することができ、それにより、ドリルアセンブリと関連付けられる前側切削面の効果的な交換を簡単且つ効果的な態様で行なうことができる。また、本発明の構造によれば、ドリル本体から切削挿入体ポケット３４への移行距離を短く保つことができ、それにより、挿入体に作用する任意の曲げモーメントを減少させることができる。ドリル本体１２の端部から刃先４０までの距離は約１／２〜１インチ（約１２〜２５ミリメートル）の範囲であってもよい。あるいは、ドリル本体１２の端部から刃先４０までの距離は約３／４〜２インチ（約１９〜５１ミリメートル）の範囲であってもよい。刃先の近傍でのカートリッジの支持は、ドリル１０における力を減らす傾向がある。

内側カートリッジ１４および外側カートリッジ１６は、カートリッジをドリル本体に取り付けるためにカートリッジを貫通する開口を有していてもよい。図４Ｂおよび図５に示されるように、内側カートリッジ１４を貫通する開口５２および外側カートリッジ１６を貫通する開口５４は、ネジ山または他の締結形態のための隙間を設けるためにカウンターボアを備えてもよい。例えば、開口５２、５４を介して且つフェース面２６、２８に形成される開口と関連してカートリッジ１４、１６を締結するためにキャップヘッドスクリュー（図示せず）が使用されてもよい。装着開口４８、５２、５４の位置は、ユーザがドリルのフェース端からカートリッジを取り付けることができるようにしてもよい。装着開口４８、５２、５４をドリルのフェース端へ向けて位置させることにより、ユーザは、ドリルが機械スピンドル内に位置される間、カートリッジを取り外すことができ、そのため、ユーザのための時間を節約できる。

あるいは、１つ以上のカートリッジがドリル本体に組み込まれてもよい（図示せず）。
凹部１８は、チップ流に対する障害を少なくできるように凹部を開放する形状を有してもよい。凹部の前面２０は略平坦であってもよい。後面２２は、図１に示されるように、楕円状の凹面であってもよい。楕円状の後面２２は、チップを切削部から離脱させて後方へ排出させるために必要な冷却剤の圧力および流量の大きさを減らすことができる。冷却剤の圧力および量を減らすことにより、含有される冷却剤のミストの量を濾過または他のプロセスによって減らすことができる。一部の材料においては、刃先交換式ドリル１０が乾式切削を可能にしてもよい。

切削挿入体３０、３１、３２、３３は、内側および外側カートリッジ１４、１６にカットされたポケットまたはキャビティ内に位置されてもよい。ポケットは、挿入体の形状の一部に対応するように形成されてもよい。また、ポケットは、挿入体がカートリッジの表面に対して角度を成すように形成されてもよい。挿入体ポケットを外側へ頂点で２０度回転させると、穴の中心線近傍の挿入体の低い線速度によって引き起こされる中心挿入体の「プッシュオフ」を例えば垂直から１．５〜２．７５度だけ減らすことができる。様々な用途においては他の回転量が望まれるように検討される。

ドリル１０は、所定のサイズ範囲内で異なる直径へと調整できてもよい。外側カートリッジ１６は、フェース面に隣接する可動カートリッジであってもよく、また、指向性形態部に沿って選択的にスライドできてもよい。図４Ｂおよび図５Ａに示されるように、開口５４は、鋸歯状部５０の方向に沿うスロットであってもよい。該スロットは、大型のドリル本体１２においては、外側カートリッジ１６を約１／１６〜１／２インチ（約１〜１２ミリメートル）並進させることができるように寸法付けられてもよい。あるいは、スロットは、外側カートリッジ１６を約１／８〜１／４インチ（約２〜６ミリメートル）並進させることができるように寸法付けられてもよい。様々な用途においては他の並進量が望まれるように検討される。作業時、外側カートリッジ１６を調整するため、カートリッジをドリル本体に取り付ける締結具を緩め、それにより、カートリッジがスロットの長さをスライドし或いは並進できるようにしてもよい。カートリッジが望み通りに位置されると、カートリッジをドリル本体に取り付けるために締結具が締め直されてもよい。

ドリル穿孔直径の調整は、末端の使用者が様々な穴直径に適応させるべくドリルを調整できるようにする。調整可能性は、摩耗した機械スピンドル、摩耗した工具ホルダ、または、粗悪なセットアップ状態をユーザが補償できるようにする。また、ドリル調整は、ドリル穿孔後のボーリングまたはリーマ仕上げなどの高価な二次的作業を減らすこともできる。調整可能性という特徴は、製造設備によって維持されるドリル穿孔・ボーリング工具在庫量も減らすことができる。また、調整可能性という特徴は、高価な特注のドリルサイズの必要性も減らすことができる。一例として、ドリルサイズを重複させて一群のドリルシステムが設けられてもよい。該ドリルサイズは、本明細書中の実施例に記載される挿入体においては、ほぼ無限の大きさの穴サイズの穴穿孔を可能にするために約０．２００インチ直径の範囲であってもよい。更に小さい穴形態においては、本発明に係る工具によって与えられる調整可能性が更に小さくてもよく、例えば約０．１２５インチの範囲であってもよい。一般に、調整可能性の度合いは、望まれるような別の範囲から成っていてもよく、例えば１／１６〜１／２インチの範囲であってもよい。本発明にしたがって調整を行なうことができる能力により、所望の仕上げ穴サイズをもたらすことができる。

調整可能な刃先交換式ドリル１０は、僅かに更に厚い挿入体を伴う、所定のカット幅にわたって切削力を分配できる複数の挿入体を使用してもよい。挿入体エッジは、ドリルの安定性によって許容される自由度の高い切削すくい角または傾斜を有する。磨きエッジを排除して切削領域を強化することにより、少ない出力を使用して穴をドリル穿孔することができ、それにより、ユーザの省力化を図ることができる。挿入体のサイズを更に小さくして、切削工具の挿入体において使用する材料を少なくしてもよい。１つ以上の切削挿入体が、任意の適切な態様で、例えばキャップヘッドスクリュー（図示せず）などにより、カートリッジ１４、１６などの少なくとも１つのカートリッジに締結されてもよい。

図６を参照すると、図６Ａ〜６Ｄには、本発明の実施例に係るドリルで使用されてもよい三角形型の挿入体６０が更に詳しく示されている。図６において、三角形挿入体６０は、第１および第２の部分６４、６６を有する３つの側面６２を含んでおり、部分６４は、断面図に示されるように、それぞれ約７度および１５度の逃げ面と刃先６８とを形成する。締結部材のための中心開口６９が設けられる。図６Ｂに示されるように、側面６２は、隣り合う側面６２に対して所望の角度で角度付けられ、例えば約８０度±０．５度の角度Ａに向けられてもよく、また、各側面は、所望の角度Ｂで角度付けられる、例えばこの実施例に示されるように約１６０度の外側刃先角で方向付けられる２つの領域７０、７２を含む。刃先６８は、それぞれの面６２に設けられており、側面６２の軸中心から延びている。刃先６８は、挿入体６０の死点から内接円Ｃにほぼ接する。円Ｃの直径は、所望の寸法Ｄを有していてもよく、一例として例えば７．９３８±０．０５ｍｍであってもよい。半径Ｆは、側面６２間で与えられてもよく、例えば０．７８７ｍｍの半径であってもよい。図６Ｃに示される断面は、図６Ｂの６Ｃ−６Ｃ線に沿う断面である。図示のように、開口６９は、取り付けネジと螺合する所望の形態を有する。この場合、外側寸法Ｇは例えば４．９３±０．０７ｍｍの寸法であり、内側寸法Ｈは例えば３．２３±０．０７ｍｍの寸法である。半径Ｉは、開口６９の中間点で形成されてもよく、例えば２．３６２の半径である。外側の側面において、開口６９は、例えば０．５１±０．０７ｍｍのカウンターボアＪを有する部分６５を有してもよい。半径は、部分６５と開口６９の隣接部分との間で形成されてもよく、例えば０．２０３の半径である。表面６４、６６は、刃先６８に対して所望の角度で形成されてもよく、例えば表面６４においては第１の一次逃げ角Ｋ、例えば７度で形成され、また、表面６６においては二次逃げ角Ｌ、例えば１５度で形成されてもよい。必要に応じて、一次逃げ面だけが使用されてもよい。この実施例では、一次および二次逃げ面６４、６６の寸法が要望通りに選択されてもよい。挿入体６０は、所望の厚さＮ、例えば３．９６±０．０２ｍｍの厚さを有してもよい。この場合、表面６４は、例えば１．９０５ｍｍの寸法Ｏを有する。この実施例および他の実施例において、挿入体は、強度および耐久性を与えるため、ＩＳＯ標準規格の厚さよりも大きい厚さ寸法を有するように設計される。例えば、厚さは、国際標準規格の厚さよりも少なくとも０．４ｍｍ大きい。図６Ｃの断面６Ｄでとられる図６Ｄの拡大部分断面は、刃先部分６８およびチップ破砕面６３の詳細を示している。刃先６８は、互いに協働して材料及び／又はドリル穿孔用途のための所望の切削面を与える複数の切削要素を含んでいてもよい。一般に、挿入体６０は、ホルダと共に所定の方向に回転駆動される際に切削するように設計される。挿入体の開口６９は、挿入体６０を例えばカートリッジ１４、１６のポケット内に固定するために内側カートリッジ１４または外側カートリッジ１６の開口と協働する。開口６９には、ネジ等の締結部材の対応するテーパ面または同様の面が係合されるようになっている支持面として形成される皿穴部が形成されてもよく、また、開口６９およびカートリッジ１４または１６の対応する開口がオフセットされ、それにより、挿入体６０をポケット内に固定する際に挿入体６０がポケットの座面に押し付けられるようになっていてもよい。図６Ｄに示されるように、所望のチップ形成面および破砕面を刃先６８と併せて形成するために、各側面６２の刃先６８に隣接して切削リップまたはチップ破砕面６３が形成される。これらの図では、特定のタイプの三角挿入体の他の態様が注目されるが、必要に応じて様々な用途における使用に適するように他の三角挿入体またはトロコイド挿入体が異なって形成されてもよいことは言うまでもない。この実施例において、特定の三角挿入体６０は、等角形態を有するとともに、必要に応じてドリル工具のサイズにしたがって変化し得る所定の刃先角を有する。また、挿入体６０は一次および二次逃げ面も有するが、他の形態が予期されることは言うまでもない。

図７Ａ〜７Ｄには、ドリルシステムで使用できる挿入体の一例としてダイヤモンド形状の挿入体８０が示されている。ダイヤモンド形状の挿入体８０は４つの側面を有しているのが分かる。この場合、それぞれの側面は、それと関連付けられる１つの刃先８１を有している。ダイヤモンド形状の挿入体８０のこの実施例では、図７Ｂに示されるように、刃先８１は、例えば３／８インチ直径を有する内接円８２に接するように形成されてもよい。また、刃先８１は、互いに対して所定の角度８４で、例えば８０度の角度で形成されてもよい。図７Ｂの７Ｃ−７Ｃ線に沿う断面を示す図７Ｃに見られるように、刃先８１の背後に一次逃げ面８６が形成され、また、挿入体は例えば約０．１５６３ｍｍの厚さ８７を有する。刃先８１の拡大詳細図が図７Ｄに示されており、図７Ｄは、刃先８１に隣接して形成されるチップ破砕面８８を示している。

図８Ａ〜８Ｄには、ドリルシステムで使用できる挿入体の一例として矩形形状の挿入体９０が示されている。矩形形状の挿入体９０は４つの側面を有しているのが分かる。この場合、それぞれの側面は、それと関連付けられる幾つかの刃先９１を有している。この実施例において、矩形挿入体９０は、菱形形状を有するように形成される。図８Ｂに示されるように、矩形挿入体９０は、例えば０．３７５０の直径９２を有する内接円に接するように形成される複数の刃先を有してもよい。刃先９１は、矩形挿入体９０のそれぞれの側面の中心線に対して所望の場所に位置されるように、例えば互いに角度９４で、例えば８０度の角度で位置されるように形成され、それにより、挿入体の刃先９１がカートリッジ１４または１６の対応するポケット３４内に位置される際に挿入体９０の中心線からそらされるようになっていてもよい。矩形挿入体９０のそれぞれの側面は、互いに対し所定の刃先角９６で、例えば１６０度の角度で形成される刃先９１を有するように形成されてもよい。図８Ｃに示されるように、所定の角度１０２で、例えば８度の角度で形成される一次逃げ面１００が各刃先９１に隣接して設けられてもよい。取り付け穴１０４は、要望通りに取り付けを行なうことができるように形成されてもよい。図８Ｄに示されるように、チップ破砕面１１４が各刃先９１に隣接して形成されてもよい。

図９Ａ〜９Ｄには、ドリルシステムで使用できる挿入体の一例として正方形状の挿入体１３０が示されている。正方形状の挿入体１３０は４つの側面を有しているのが分かる。この場合、それぞれの側面は、それと関連付けられる１つの刃先１３２を有している。図９Ｂに示されるように、刃先１３２は、例えば３／８インチ直径などの所定の直径を有する内接円１３４に接するように形成されてもよい。刃先は、正方形挿入体１３０の場合には９０度である所定の角度１３６で形成される。挿入体１３０は、例えば０．３７５０などの側面寸法１３８を有してもよい。図９Ｃに示されるように、一次逃げ面１４０が８度の角度などの所定の角度で形成される。この場合、取り付け穴の細部は、例えば既に言及した矩形挿入体に類似する。図９Ｄに示されるように、チップ破砕面１４４が各刃先１３２に隣接して形成されてもよい。

図６〜９に示される挿入体のタイプは例えば適切に使用され得るタイプであるが、挿入体が内部に位置されるカートリッジ同士の間の刃先交換性を与えつつ他の形態も考えられる。
以上、図面および明細書本文において本発明を詳しく図示して説明してきたが、これは、例示的とみなされるべきであり、特徴を限定するものと見なされるべきではない。また、言うまでもなく、本発明の単なる例示的な実施形態が図示されて説明されているものであり、以下の請求項によって記載される本発明の思想内に入る全ての変更および改良が保護されることが望まれる。本発明の更なる特徴は、明細書本文を考慮すると当業者に明らかとなる。本発明の思想および範囲から逸脱することなく変更がなされてもよい。

Claims (20)

1. 長手方向軸を有し、少なくとも１つのフェース面を備えるドリル本体であって、前記少なくとも１つのフェース面が、
   少なくとも１つのフェース面と関連して形成される指向性形態部と、
   前記ドリル本体の少なくとも一部に沿って前記フェース面から延びる長手方向凹部とを備えるドリル本体と、
   前記フェース面に隣接するとともに、前記指向性形態部に沿って選択的にスライド可能な少なくとも１つのカートリッジであって、
   前記少なくとも１つのフェース面側で前記指向性形態部に沿うスロットと、
   前記ドリル本体のエッジに隣接して位置される少なくとも１つの挿入ポケットを備える切削面とを備える少なくとも１つのカートリッジと、
   前記少なくとも１つのカートリッジを前記ドリル本体に対して取り外し可能に取り付けるための締結システムと、
   前記挿入ポケット内に取り外し可能に取り付けられる少なくとも１つの挿入体と、
   を備える調整可能ドリル。
2. 前記フェース面は、前記軸に対して垂直な面から角度を成している請求項１に記載の調整可能ドリル。
3. 前記指向性形態部と前記切削面とが略平行である請求項１に記載の調整可能ドリル。
4. 前記凹部が少なくとも１つの凹状面を備える請求項１に記載の調整可能ドリル。
5. 前記カートリッジが少なくとも２つの挿入ポケットを備える請求項１に記載の調整可能ドリル。
6. 前記指向性形態部が少なくとも１つの長手方向鋸歯状部である請求項１に記載の調整可能ドリル。
7. 前記指向性形態部が少なくとも１つの長手方向キー溝である請求項１に記載の調整可能ドリル。
8. 前記カートリッジは、前記指向性形態部に対応し嵌合するようになっている嵌め合い構造を有する請求項１に記載の調整可能ドリル。
9. 前記スロットがカウンターボアを備える請求項１に記載の調整可能ドリル。
10. 前記締結具がソケットヘッドキャップスクリューである請求項１に記載の調整可能ドリル。
11. 関連して形成される指向性形態部を備える第２のフェース面と、
    前記第２のフェース面に隣接するとともに、前記ドリル本体のエッジに隣接して位置される少なくとも１つの挿入ポケットを備える切削面を有する少なくとも１つの第２のカートリッジと、
    前記少なくとも第２のカートリッジを前記ドリル本体に対して取り外し可能に取り付けるための締結システムと、
    前記第２のカートリッジの挿入ポケット内に取り外し可能に取り付けられる少なくとも１つの挿入体と、
    を更に備える請求項１に記載の調整可能ドリル。
12. 前記第１および第２のカートリッジは、
    貫通穴と、
    前記カートリッジを前記ドリル本体に対して取り外し可能に取り付けるために対応するフェース面側に設けられる開口内へと前記穴を貫通する締結具と、
    を更に備える請求項１１に記載の調整可能ドリル。
13. 前記第２のフェース面は、前記軸に対して垂直な面から角度を成している請求項１１に記載の調整可能ドリル。
14. 前記第２のカートリッジが少なくとも２つの挿入ポケットを備える請求項１１に記載の調整可能ドリル。
15. 前記開口がカウンターボアを備える請求項１２に記載の調整可能ドリル。
16. 前記締結具がソケットヘッドキャップスクリューである請求項１２に記載の調整可能ドリル。
17. 前記第２のカートリッジの切削面が前記第１のカートリッジの切削面から約１８０度である請求項１１に記載の調整可能ドリル。
18. 前記少なくとも１つの挿入体は、三角形挿入体、ダイヤモンド挿入体、矩形挿入体、および、正方形挿入体から成る群から選択される請求項１に記載の調整可能ドリル。
19. 前記少なくとも１つの挿入体は、国際標準規格の厚さよりも少なくとも０．４ｍｍ大きい厚さ寸法を有する三角形挿入体である請求項１に記載の調整可能ドリル。
20. 前記少なくとも１つの挿入体は、刃先と、挿入体の刃先に隣接する第１および第２の逃げ面とを伴う３つの側面を有する三角形挿入体である請求項１に記載の調整可能ドリル。

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