JP7324750B2 - 材料体積に対するボイド体積の比率が高い片面三方向割出し可能なミーリングインサートおよびそのためのインサートミル - Google Patents

材料体積に対するボイド体積の比率が高い片面三方向割出し可能なミーリングインサートおよびそのためのインサートミル Download PDF

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Description

本発明の主題は、インサートミルおよびそのための片面三方向割出し可能なミーリングインサート(以下、「インサート」ともいう)に関する。より詳細には、比較的小さいそのようなインサートおよび工具ホルダであって、90°肩削りミーリング作業のために構成されたものに関する。
本発明の目的のために、エンドミルは、理論的には、2つの一般的なグループ、すなわち、インサートミルおよびソリッドエンドミルに分けることができる。
インサートミルは、ポケットを有する工具ホルダと、ポケット内に取り付けられるように構成され、交換可能で、典型的には割出し可能なインサートとを備えるミーリング工具である。インサートミルの利点は、比較的高価で硬い材料で作られた交換可能なインサートが、ミーリング工具の比較的小さな部分を構成することである。工具ホルダは、ミーリング中にコレットまたはチャックによってしっかりと保持されるシャンクを備える。
小さなインサートを定期的に交換する必要があり、工具ホルダを定期的に交換する必要が少ないインサートミルとは異なり、ソリッドエンドミルは、一体的に形成された歯を備え、ソリッドエンドミル全体は、それが摩耗した後に交換される。また、ソリッドエンドミルも、ミーリング中にコレットまたはチャックによってしっかりと保持される一体的に形成されたシャンクを備える。したがって、ソリッドエンドミルは、インサートミルよりもはるかに比較的高価な材料を利用する。コストが比較的高いにもかかわらず、ソリッドエンドミルのインサートミルに対する利点の1つは、ソリッドエンドミルの単一の一体成形ボディが比較的小さな直径(典型的には20mm未満の直径で、より小さい直径がより一般的であり、例えば、約12mm以下の直径)で製造できることであり、インサートミルで可能または実用的である場所よりも、比較的より小さな場所でのミーリングが可能になることである。
したがって、本発明は、ソリッドエンドミルと機能的にも経済的にも競合するようになる一連の設計特徴を有するインサートおよびインサートミルで、工具切削直径(「切削直径」とも呼ばれる)が20mm以下、特に9~16mmの範囲のものを対象とする。より詳細には、9~12mmの範囲のものである。
関心のある文献は、特許文献1であり、これは、90°肩削りミーリング用の三方向割出し可能なインサートおよび工具ホルダを開示している。そこでは、段落[0006]で、90°肩削りミーリングは、切削力の大部分が、工具剛性の低い半径方向に向かうことについて、段落[0007]で、従来技術の切削インサートのサイズが小さくなると、その強度が不十分になることについて記載されている。提供される解決策は、主として、フランク部分の傾斜角に向けられている。
関心のある文献は、特許文献2であり、これは、小径工具ホルダ用の片面二方向割出し可能なインサートを開示している。
米国特許出願公開第2015/0202697号 欧州特許出願公開第3050655号
本発明の目的は、改良された三方向割出し可能なミーリングインサートおよびそのためのインサートミルを提供することである。
本発明は、小径工具ホルダのための90°肩削りミーリング用の片面三方向割出し可能な切削インサートを提供する。特許文献2で開示された2つの割出し可能な位置よりも、3つの割出し可能な位置が典型的に好まれるが、特許文献2で選択された設計は、割出し可能な位置を2つしか有さないことが意図的に選択された。
特に、三方向割出し可能な切削インサートは、二方向割出し可能な切削インサートと比較した場合、多くの点で不利である。第一に、製造上の精度が悪いので、(工具当接面によって形成される鋭角による)逃げ(runout)により大きな影響を及ぼし、機械加工中の安定性がますます悪くなるからである。第二に、切削インサートの寸法が大きくなると、切れ刃に切削力が加わったときに、モーメントが大きくなり、機械加工中の安定性がますます悪くなるからである。第三に、そしておそらく最も重要なことは、三方向割出し可能なインサートは幅が広いので、以下でさらに論じるように、小径工具の設計で、より多くの問題があることである。
それにもかかわらず、本発明は、非常に小さな直径の(すなわち、9~12mm、またはより具体的には約10mmの切削直径を有する)インサートミルの場合でさえ、例えば、概ね三角形の形状の三方向割出し可能なインサートが、(少なくとも主切れ刃に関して)公知の先行技術と比較して全体的な利益を提供し得ると考える。
上述のように、90°肩削りミーリング作業用の三方向割出し可能なインサートは、例えば、特許文献2に示されているタイプの二方向割出し可能なインサートよりも比較的幅が広い。言い換えると、半径方向の寸法(すなわち、工具ホルダに取り付けられた場合には、回転軸に対して垂直な方向)が比較的大きいので、従来は、比較的大きな直径の工具での使用に限定されてきた。その理由は、合理的なサイズの主切れ刃(90°肩削りミーリングインサートミル用の主切れ刃がこの作業を提供する刃である)と三方向対称性を提供するために、インサートの半径方向寸法は主切れ刃の長さに依存するからである。このことは、特許文献2に示されている長尺インサートタイプの側部軸受面には当てはまらない。これは、主切れ刃の切れ刃長さに依存しない半径方向寸法を有し、そのねじ穴に隣接して必要とされる最小限の壁強度に応じて、最小限に抑えることができる。三方向割出し可能なインサートは、その半径方向寸法を同じように最小化することができないので、そのようなインサートを保持するように構成された工具は、そのコアの材料を削減している。このような削減は、主に軸方向の力を有するドリル、または依然として大きなコアサイズを有する直径の大きなドリルではそれほど重要ではないが、大きな半径方向切削力を有する小径ミーリング工具に関する本発明では非常に重要である。特許文献2の図13に注目すると、この図では、コア径は、図示された各切削インサートの幅に概ね対応していることが分かる。コア径を小さくすると、工具ホルダが許容できないほど曲がる可能性の生じる懸念があることが理解されるであろう。比較的小径のドリルが知られているが、工具ホルダの非軸方向の動きを含むミーリング作業の性質により、インサートミルは、ドリルよりも大きな半径方向の力を受けることが理解されるであろう。
したがって、本発明は、特に三方向割出し可能なインサートを提供する場合に、大きな切削工具径を有するインサートミルよりも設計が著しく困難な9mm~12mmの切削工具径、最も詳細には、約10mmの切削工具径を有するインサートミルを提供する。
本発明の第一の態様によれば、ポジティブな基本形状を有し、ボイド体積Vと、切削インサートの材料の量によって規定される材料体積Vとの体積比V/Vが、V/V≧0.30の条件を満たす片面三方向割出し可能な切削インサートが提供される。
本発明の第二の態様によれば、ポジティブな基本形状を有する片面三方向割出し可能な切削インサートが提供され、この切削インサートは、
すくい面と、
すくい面に対向して位置するベース軸受面と、
ベース軸受面に対して垂直で、インサートの中心を通って延在するインサート軸Aであって、ベース軸受面からすくい面に向かう上方向と、上方向と反対の下方向と、上方向および下方向に垂直で、インサート軸から離れるように延在する外向き方向を規定する、インサート軸Aと、
ベース軸受面からすくい面の最高点まで、インサート軸に平行に測定可能な切削インサート高さHと、
すくい面とベース軸受面とを接続する周面と、
周面とすくい面との交点に沿って形成された切れ刃であって、インサート軸Aと平行な図では、刃外接径(D)を有する仮想刃外接円(C)を規定する、切れ刃と、
すくい面およびベース軸受面に開口するねじ穴であって、ベース軸受面との交点にねじ穴底部と、すくい面との交点にねじ穴頂部と、ねじ穴底部からねじ穴頂部まで延在するボイドの体積として計算されるボイド体積Vと、インサート軸Aに平行な図では、すくい面とねじ穴との交点で規定される穴円Cであって、穴径Dを有する穴円Cとを備える、ねじ穴と、
を備え、
ベース軸受面は、インサート軸Aに平行な図では、ベース径Dを有する仮想ベース外接円CBを規定し、
周面は、インサート軸に沿った底面図では、仮想正三角形の辺と平行に延在する第一、第二、および第三の当接面を備え、
切れ刃は、切れ刃の3つの最も長いサブ刃であり、インサート軸Aに平行な上面図では、それぞれが仮想正三角形の辺に沿って延在し、刃内接径Dを有する刃内接円Cを規定する、ちょうど3つの主サブ刃を備え、
ベース外接径Dが刃外接径Dよりも小さく、
ボイド体積Vと、切削インサートの材料の量によって規定される材料体積Vの体積比V/VがV/V≧0.30の条件を満たす。
ポジティブな基本形状を有することにより、インサートのベース軸受面を逃がすことができ(すなわち、図9Aに示されるように、切削工具径から内側に離間する)、このことが、本発明にとって重要であり、極めて小径のインサートミルを対象としている。
加えて、特許文献2(段落[0034])に開示されているように、できるだけ少ない機械加工でプレス工程を可能にすることは、本設計の経済的利点にも寄与する。用語「ポジティブな基本形状」とは、より具体的には、インサートのベース軸受面により近い断面積が、インサートからさらに離れた断面積よりも小さいことを意味するが、周面のすべてが連続的に傾斜している必要はないことに留意されたい。例えば、インサートのある部分では、表面は、インサート軸と平行に延在してもよい。ポジティブな基本形状を規定する1つの方法は、ベース外接径Dが刃外接径Dよりも小さいということである。
インサート自体の材料の量を最小限に抑えることができる。上記で規定した体積比VS/VFが成功裏に達成されたことが分かっている。インサートのサイズは最小限に抑えねばならないが、構造強度のために最小限の体積の材料が必要であることが理解されよう。さらに、材料の量を最小限に抑え、3つの割出し可能な位置を提供することによって、経済的利点を提供することができる。
第三の態様によれば、穴径Dと刃内接径Dとのインサート厚さ径比D/Dが、D/D>0.60の条件を満たす片面三方向割出し可能な切削インサートが提供される。
この態様は、異なる方法ではあるが、構造強度のために必要とされる材料の最小限の体積を規定するという点で、上記の態様に類似している。図面から、インサートの最も弱い構造部分は、穴径Dと刃内接径Dとの間に概ね位置する材料であることに注意されたい。したがって、上記の値に従ったインサート厚さ比D/Dは、成功裏に達成された。
本発明の第四の態様によれば、主サブ刃を有する片面三方向割出し可能な切削インサートが提供され、主サブ刃のうちの最も短い主サブ刃の主サブ刃長さLと、刃外接径Dとの刃長さ比L/Dが、L/D>0.40の条件を満たす。
最も好ましくは、全ての主サブ刃を同じ長さとすることができ、この場合、最も短い主サブ刃は任意の主サブ刃とすることができる。
大きな長さ比L/Dを有するインサートを使用することの難しさは、長さ比の値が大きくなるほど、増大することが理解されるであろう。これは、主サブ刃長さLに依存するため、半径方向寸法が比較的大きくなるためである。それにもかかわらず、このようなインサートが本発明で利用され得ることが見出された。
本発明の第五の態様によれば、主サブ刃を備えた片面三方向割出し可能な切削インサートが提供され、ここで、刃外接径Dは、D<8mmの条件を満たす。
また、インサートサイズを小さくすると、そのようなインサートを取り外すことができるようにチップサイズを小さくするので、効率が悪くなることが理解されるであろう。それにもかかわらず、2つのインサートを小さい切削径の工具ホルダに収容するためには、特に小さいインサートが必要である。これは、同様のサイズの二方向割出し可能なインサートを収容することがはるかに容易であったという事実にもかかわらずのことである。
本発明の切削インサートは小型であるため、焼結工程に起因する歪みが妥当な許容範囲内であり、かつ切削インサートの周辺研削を回避できることが分かった。このように、インサートには、研削されていない下部サブ面を設けることができる。当分野で知られているように、研削面は、平面研削面が終了し、非研削面が開始する研削ラインおよび不連続ラインによって識別することができる。
上述の主な設計の特徴(すなわち、体積比、インサートの厚さ径比、刃の長さ比、および小さな刃の外接直径D)のそれぞれは、個々に有利であると考えられるが、本発明は、ポジティブな基本形状で、三方向割出し可能な片面インサート上の任意のそのような特徴の任意の組合せが、さらに有利であると想定していることを理解されたい。
同様に、以下の任意の特徴のいずれも、上記の各態様に適用することができる。
体積比V/Vが大きいほど、使用する材料が少なくなることが理解されるであろう。したがって、体積比は、V/V>0.35の条件を、あるいはV/V>0.40の条件を満たすことが好ましい。許容可能な最近の切削条件に対する近似的な最大体積比は、理論的には、V/V<0.50の条件を満たすと信じられている。妥当な安全係数を有する最大比は、V/V<0.45である。
同様に、インサート厚さ径比D/Dが大きいほど、使用する材料が少なくなる。したがって、体積比がD/D>0.65の条件を満たすことが好ましい。許容可能な最近の切削条件に対する近似的な最大インサート厚さ径比は、理論的には、D/D<0.80の条件を満たすと信じられている。妥当な安全係数を有する最大比は、D/D<0.75である。
刃長さ比L/Dによって、より大きなチップサイズを加工することができる。したがって、刃長さ比L/Dは、L/D>0.50の条件を、より好ましくはL/D>0.55の条件を満たす。許容可能な最近の切削条件に対する近似的な最大インサート厚さ比は、理論的には、L/D<0.70の条件を満たすと信じられている。妥当な安全係数を有する最大比はL/D<0.65である。
上で規定された刃外接径Dは、下部サブ面が研削されないことを可能にするが、より小さいサイズでさえも、工具ホルダによってより容易に収容されることが理解されるであろう。従って、刃外接径Dは、D<7mm、または最も好ましくはD<6.5mmの条件を満たすことが好ましい。
このような三方向割出し可能なインサートのための、そして許容可能な最近の切削条件が可能な、近似的な最小限の実現可能なサイズは、理論的には、D>5mmの条件を満たすと信じられている。妥当な安全係数を有する最大の刃外接径Dは、D>5.5mmである。
好ましくは、正のすくい角が切れ刃全体に沿って形成される。
好ましくは、切れ刃は、各対の隣接する主サブ刃の間にワイパーサブ刃を備え、ワイパーサブ刃のそれぞれは、インサート軸Aに平行な上面図では、主サブ刃のうちの隣接する1つと直角を形成する。
本出願において上記で規定された「直角」は、正確に90.0°を意味するものではなく、むしろ約90°±2°、好ましくは90°±1°、最も好ましくは90°±0.5°の製造誤差内にあることに留意されたい。
各ワイパーサブ刃は、好ましくは、0.5mm<L<1.5mmの条件を満たす刃長Lを有することができる。
インサートの周面は、下部サブ面と上部サブ面とを備えることができ、下部サブ面は、ベース軸受面から上方外向きに延在し、第一、第二、および第三の側部当接面を備え、上部サブ面は、下部サブ面とすくい面とを接続し、上部サブ面は、ベース軸受面の上の最小上部サブ面高さHで上方向に始まる。
最小上部サブ面高さHが高いほど、下部サブ面の高さをより高くすることが理解されよう。下部サブ面は、軸受機能を提供し、したがって、その最大にされた高さは、ポケット内に取り付けられたときに、インサートの安定性を高める。逆に、切削機能には、上部サブ面の十分なサイズが必要である。したがって、最小上部サブ面高さHは、0.50H≦H≦0.89H、最も好ましくは0.60H≦H≦0.75Hの条件を満たすことが好ましい。
少なくとも1つの張出し部分は、インサートの全周に沿って延在する単一の連続的な張出し部分とすることも、あるいは複数の張出し部分とすることもできる。
好ましくは、切れ刃が1つまたは複数のワイパーサブ刃を備える場合、各ワイパーサブ刃とベース軸受面との間に位置する周面部分は、張出し部分を有しない。
好ましくは、切れ刃が1つまたは複数のワイパーサブ刃を備える場合、各主サブ刃とベース軸受面との間に位置する周面部分は、張出し部分を備えることができる。
好ましくは、切れ刃が主サブ刃およびワイパーサブ刃を備える場合、主サブ刃のうちの1つの第一の点で測定された第一の逃げ角は、同じ主サブ刃の第二の点で測定された第二の逃げ角よりも大きく、第二の点は、第一の点よりも、前記主サブ刃と直角を形成するワイパーサブ刃に近い。逃げ角は、前記主サブ刃と直角を形成しない第一のワイパーサブ刃に隣接する第一の領域から、前記主サブ刃と直角を形成する第二のワイパーサブ刃に隣接する第二の領域まで、前記主サブ刃に沿って徐々に小さくすることができる。
切削インサートは、好ましくは、インサート軸に対して120°回転対称であり得る。別の言い方をすれば、切削インサートは、3つの同一の側面を有することができる。
切削インサートは、3つの同一サイズの主サブ刃を備えることができる。
好ましい実施例によれば、それぞれの主サブ刃は、刃長さLを有し、3mm<L<4mmの条件を満たす。
最も好ましくは、ベース軸受面は、研削されている。一実施形態では、切削インサートのベース軸受面のみが研削されている。これは、インサートの最も経済的な製造である。全ての場合において、下部サブ面が研削されていない場合が有利であることが理解されるであろう。
より大きな安定性のためには、当接面の逃げ角θは、2°≦θ≦6°の条件を満たすことが好ましい。
適切な性能を提供するために、切れ刃に沿った任意の位置で取られた、インサート軸に対して垂直に測定可能な切れ刃ランド幅Wは、W≦0.14mmの条件を満たす。好ましくは、ランド幅Wは、0.02mm≦W≦0.14mmの条件を、またはさらに好ましくは、0.03mm≦W≦0.11mmの条件を、最も好ましくは、0.04mm≦W≦0.08mmの条件を満たす。
本発明の第六の態様によれば、工具ホルダが提供され、この工具ホルダは、
シート当接面を備える2つのポケットと、
シート当接面に開口するねじ付きポケット穴と、
シート当接面の平面図では、真っ直ぐであり、互いに鋭角に向けられた第一および第二の横当接面と、
を備え、
各第一の横当接面は、外向き前方方向に延在し、
各第二の横当接面は、外向き後方方向に延在し、
工具径Dは、D<11mmの条件を満たす。
本発明の第七の態様によれば、工具ホルダが提供され、この工具ホルダは、
後端と、
前端と、
後端から前端まで延在する工具外周と、
工具ホルダの中心を通って延在する回転軸であって、後端から前端まで延在する前方方向と、前方方向とは反対の後方方向と、回転軸に垂直であり、回転軸から工具外周に向かう外向き方向とを規定する、回転軸と、
後端の前方に延在するシャンク部分と、
シャンク部分の前方に前端まで延在する切削部分であって、前端に工具径Dと、前端と工具外周との交点から後方に延在するちょうど2つの円周方向に離間した縦溝とを有する、切削部分と、
を備え、
縦溝のそれぞれは、前端と工具外周との交点に形成されたポケットを備え、
2つのポケットのそれぞれは、シート当接面と、シート当接面に開口するねじ付きポケット穴と、シート当接面の平面図では、真っ直ぐで、互いに鋭角に向けられた第一および第二の横当接面と、を備え、
各第一の横当接面は、外向きおよび前方方向に延在し、
各第二の横当接面は、外向きおよび後方方向に延在し、
工具径Dは、D<11mmの条件を満たす。
このような小さな直径のための工具ホルダが製造されたとは信じられない(2つのポケットは、半径方向に開口し、ミーリング作業中に工具ホルダの前端の不安定性を増大させるが、比較的幅の広い三方向割出し可能なインサートを受け入れるように構成されている)。
さらに、本発明の工具ホルダは、工具ホルダの前端のポケットにのみ関係することに留意されたい。追加のポケットを上記で規定したポケットの後ろに配置して、例えば、ポーキュパイン型ミーリングカッターを製造することが考えられる。詳しく述べると、ちょうど2つのポケットの説明は、工具ホルダの前端に位置する円周方向に離間されたポケットを指す。
好ましくは、ポケットの横当接面の鋭角は、60°である。
好ましくは、第一の横当接面は、第二の横当接面よりも短い。これによって、例えば、切れ刃が、工具ホルダ前端の前方に延在して、ランピング機能を提供することが可能になる。
好ましくは、第二の横当接面は、凹部を備え、したがって、第一および第二の横当接サブ面を有する。当接面のためのより多くの空間が、第一の横当接面よりも前端から遠い第二の横当接面上に設けられることが理解されるであろう。これにより、例えば、ランピング機能も可能になる。
好ましくは、工具アパーチャは、工具ホルダの材料を通って延在し、第一の端部でポケットの一方に開口し、第二の端部でポケットの他方に開口する。好ましくは、工具ホルダは、構造強度のために、その中心に沿って材料を有することが理解されるであろう。それにもかかわらず、約10mmの工具切削直径のために必要とされるような非常に限られた空間内に2つのインサートを収容するために、これは利用される設計上の特徴の1つである。
好ましくは、工具アパーチャは、第一および第二の横当接面の間の位置でポケットに開口する。したがって、基本的に三角形状の切れ刃に関連するコーナーは、工具アパーチャ内に延在することができる。
好ましくは、各シート当接面の平面図では、材料は、工具軸に最も近い第一の横当接面の一部分から工具外周まで、前端に沿って延在する。本設計に追加された個々の発明の特徴は、工具アパーチャによって構造強度が欠如するのを補償するために、前記位置に材料を追加することであった。
好ましくは、各シート当接面の平面図では、ポケットに沿って延在する縦溝壁は、前端で前方方向および下方向に延在するように湾曲する。これは縦溝空間を減少させ得るが、工具アパーチャによって構造強度が不足するのを補償することが全体的に有利であると考えられる。
好ましくは、工具ホルダは、工具外周に沿って延在する当接面を有さない。肩削りを容易にするために、全ての当接面は、好ましくは、工具外周の内側に配置される。
好ましくは、工具径Dは、ソリッドエンドミルと競合するために可能な限り小さい。上記の特徴により、D<10mmの条件を満たす工具径Dが成功裏に試験された。工具ホルダの前端で測定される工具径は切削工具径Dもわずかに小さいことが理解される。近似的な最小の工具径は、理論的には、D>9mmの条件を満たすと考えられる。
このような小さな直径の2つのインサートを収容するために取られるさらに別の手段は、それらの位置を互いに対して調整することであった。典型的には、両方のインサートがそれらのすくい面を概ね整列させることが好ましいが、小径の工具ホルダの場合には、(例えば、インサートが接触するであろうから)これは不可能である。本発明の好ましい解決策は、各インサートの周面の一部分が互いに隣接するようにインサートを整列させることである。この特徴に関して、例えば、工具ホルダのポケットに関して、以下のように説明することもできる。
回転軸Aに平行な前端の図では、シート当接面のうちの1つの前縁から延在する第一の仮想延長線は、他のシート当接面の前縁から延びる第二の仮想延長線と平行にすることができ、
中心工具平面Pは、回転軸Aに平行に規定され、各シート当接面が中心工具平面Pに面するように第一および第二の延長線の間に位置し、
第一のシート距離DS1は、第一の延長線から中心工具平面Pまでで規定され、
第二のシート距離DS2は、第二の延長線から中心工具平面Pまでで規定され、
第一のシート距離DS1と第二のシート距離DS2との合計である総距離DS3は、DS3<0.35Dの条件を満たす。好ましくは、総距離DS3は、DS3<0.30Dの条件を満たす。最小寸法は、好ましくは、DS3>0.20Dである。
好ましくは、各シート当接面は、回転軸Aに平行に延在する。
好ましくは、各ポケットは、工具ホルダ内に同一に形成され、配向される。
好ましくは、ポケット穴は、横当接面までの距離と比較して、同様に、断面を比較的大きくすることができる。これは、ポケット穴径および横当接面までの距離から分かり、本発明の寸法を考慮すれば理解できる。
ねじ軸は、好ましくは、シート当接面の中心からオフセットすることができ、すなわち、第一および第二の横当接面が互いに最も近い場所に、わずかに近接することにより、切削インサートをポケットに保持するねじが、切削インサートを第一および第二の横当接面に向かって付勢することになる。
本発明の第八の態様によれば、第六または第七の態様による工具ホルダと、それに取り付けられた第一から第五の態様のいずれか一態様に記載の少なくとも1つのインサートとを備えるインサートミルが提供される。
本発明の第九の態様によれば、以下を備えるインサートミルが提供され、このインサートミルは、
前述の態様のいずれか一態様に記載の工具ホルダと、
前述の態様のいずれか一態様に記載の切削インサートであって、工具ホルダのポケットの1つに取り付けられる切削インサートと、
を備え、
インサートの主サブ刃の1つは、工具径Dの外側に位置し、切削工具径Dを規定し、
インサートミルの側面図では、前記主サブ刃は、回転軸Aに平行に延在する。ポケットのそれぞれは、それに取り付けられた前述の態様のいずれか1つによるインサートを有することができる。好ましくは、各ポケットに取り付けられた各インサートは同一である。
本発明の第十の態様によれば、以下を備えるインサートミルが提供され、このインサートミルは、工具ホルダであって、
後端と、
前端と、
後端から前端まで延びる工具外周と、
工具ホルダの中心を通って延在する回転軸であって、後端から前端まで延在する前方方向と、前方方向とは反対の後方方向と、回転軸に垂直で、回転軸から工具外周に向かう外向き方向とを規定する回転軸と、
後端の前方に延在するシャンク部分と、
シャンク部分の前方に前端まで延在する切削部分であって、前端に工具径Dと、前端と工具外周との交点から後方に延在するちょうど2つの円周方向に離間した縦溝とを有する、切削部分と、
を備える、工具ホルダを備え、
縦溝のそれぞれは、前端とそれに取り付けられた切削インサートを有する工具外周との交点に形成されたポケットを備え、
各ポケットは、各切削インサートの主サブ刃が工具外周を過ぎて延在して切削工具径Dを規定するように、外向き方向に開口し、
切削インサートのそれぞれは、そのすくい面の周面の交点に沿って形成された同一の切れ刃を備え、
各切れ刃は、インサート軸Aに平行な図では、刃外接径Dを有する仮想刃外接円Cを規定し、
(D+D)/Dとして規定されるインサートミル比RIMは、RIM>0.9という条件を満たす。
好ましくは、インサートミル比RIMは、RIM>1.0の条件を満たす。最大寸法は、好ましくは、DS3<1.4である。
好ましくは、回転軸Aと平行である前端の図において、各インサートの周面は、他のインサートの周辺部分の一部分に隣接している。
好ましくは、総距離DS3は、切削インサート高さHよりも大きい。
本発明の主題をより良く理解するために、また、本発明が実際にどのように実行され得るかを示すために、スケールモデルから導出された添付の図面を参照する。
本発明の主題による工具ホルダおよびインサートを備えるインサートミルの側面図で、インサートのうちの1つの側面図を示すために回転させた図である。 図1Aのインサートミルの側面図であり、インサートのうちの1つの正面図を示すために回転させた図である。 図1Bのインサートミルの正面端面図である。 図1Aに示すインサートのうちの1つの斜視図である。 図2のインサートの上面図である。 図3の線IVAに沿った断面図である。 図3の線IVBに沿った断面図である。 図3の線IVCに沿った断面図である。 図2のインサートの側面図である。 図5Aのインサートの上面図である。 図5Aのインサートの底面図である。 図5Bの線VI-VIに沿った断面図である。 図1Aに示すインサートミルの工具ホルダの側面図であり、ポケットのうちの1つの側面図を示すために回転させた図である。 図7Aの工具ホルダの側面図であり、ポケットのうちの1つの正面図を示すために回転させた図である。 図7Aの工具ホルダの正面端面図である。 図7Aの工具ホルダの一部分の斜視図である。 図7Aの工具ホルダのポケットの斜視図である。 図8Aのポケットの側面図である。 図8Aのポケットの上面(すなわち軸方向)図であり、また、ポケットのシート当接面の平面図を構成する。 図1Cに示すインサートの図であり、工具ホルダおよびねじが示されておらず、工具外接切削直径円を概略的に示す図である。 図9Aに示すインサートの側面図であり、図1Bに示すようなインサートの向きにも対応している。 図9Bに示すインサートと、そのインサートを工具ホルダに取り付けるためのねじの側面図であり、図1Aに示すようなインサートの向きに対応するように回転されている。
図1A~図1Cは、90°肩削りミーリング作業のために構成されたインサートミル10を示す。
インサートミル10は、工具ホルダ12と、切削インサート14と、切削インサート14を工具ホルダ12に固定するためのねじ16とを備える。
インサートミル10は、その中心を通って長手方向に延在する回転軸Aの周りを回転するように構成される。
回転軸Aは、軸方向に逆向きの前方方向Dおよび後方方向Dと、回転が逆向きの切削方向Dおよび非切削方向Dとを規定する。
工具ホルダ12は、後端13Aと、前端13Bと、それらの間に延在する工具外周13Cとを備える。
工具ホルダ12は、シャンク部分18と、そこから前方に延在する切削部分20とをさらに備える。
切削部分20は、ちょうど2つの縦溝21を備える。各縦溝21は、前端13Bと工具外周13Cとの交点に形成されたポケット22を備える。
与えられた例において、切削インサート14、ねじ16およびポケット22は、同一であり、したがって、1つに関して記載された特徴は、全てに適用されるものと考えられるべきである。
ここで、切削インサート14を図2~図6を参照して説明する。
切削インサート14は、ポジティブな基本形状を有する片面三方向割出し可能な切削インサートである。この切削インサートは、すくい面24と、ベース軸受面26と、周面28と、ねじ穴30と、切れ刃32とを備える。
インサート軸A(図6)は、ベース軸受面26に対して垂直で、インサート14の中心を通って延在する。インサート軸Aは、切削インサート14の方向および特徴を規定するのを補助するために設けられる。一般に、本発明のねじ穴は、インサートの中心に位置し、ベース軸受面に対して垂直であることが最も好ましく、その結果、インサートのインサート軸もねじ穴の中心を通って延在することになるが、ねじ穴が傾斜している可能性、または切削インサートに対して完全に中心にない可能性があり、その結果、ねじ穴軸(図示せず)がインサート軸Aと同軸ではなくなる(一方、好適な本例では、これらは同軸である)可能性があることが理解されるであろう。それにもかかわらず、本発明は、可能な限り材料の使用を最小限に抑えようとするならば、確かに、構造強度の目的のためには、例示された中心にある垂直のねじ穴が好ましい。したがって、所与の例では、インサート軸Aも、ねじ穴30の中心を通って延在する。
図6を参照すると、ねじ穴30は、ベース軸受面26に開口するねじ穴底部31と、ねじ穴頂部33とを備えることができる。
図5Bでは、穴径Dを規定する穴円Cが示されている。
インサート軸Aは、対向する上方向Dおよび下方向Dを規定し、図5Cに例示されるように、対向する半径内向き方向Dおよび半径外向き方向Dを規定する。半径外向き方向Dは、1つの特定の方向を規定することを意味するのではなく、インサート軸Aからの全ての可能な360°の外向き方向を規定することを意味し、そのような4つの方向が例示される。これは、1つの例のみが示されているだけであるが、反対方向の半径内向き方向Dについても当てはまる。これは、図1Cのインサートミル10に関して示されている内向き方向Dおよび外向き方向Dについても当てはまる。
例えば、図4A~図4Cおよび図6に示すように、すくい面24は、好ましくは、チップ形成の目的で鋭角の内角を形成するために、切れ刃から内向き下方に傾斜することができる。すくい面24と周面28との間に形成される鋭角の内角αは、正のすくい角とも呼ばれる。このような正のすくい角は、シート当接面の向きを補償する。シート当接面は、この非限定的であるが好適な例では、回転軸Aに平行に延在し、したがって、正の切削角そのものを提供しない
ベース軸受面26は、図示されるように、一般に平坦であるが、この規定は、例えば、特許文献2の図7に示されるように、周面とベース軸受面との間の小さな丸みを帯びた遷移刃を含む可能性を排除するものではないことが理解されるであろう。図示の実施形態では、面取り部27(図5Aおよび図5C)が設けられている。明細書および請求の範囲の目的のために、ベース軸受面26は、最下面であり、すなわち、いかなる面取り領域もまたは丸みを帯びた領域も含まないものと考えられる。このように、図5Cにおいて、ベース軸受面26は、インサート軸Aに平行な図では、ベース径Dを有する仮想ベース外接円Cを規定する。
図2および図6を参照すると、周面28は、下部サブ面34および上部サブ面36を備える。下部サブ面34は、研削されておらず、ベース軸受面26から上方外向きに延在し、第一、第二、および第三の側部当接面38A、38B、38Cを備える。(第三の側部当接面38Cは、図2に概略的に示されているだけで、そのような側面は図示されていない)以下、同一の側部当接面は、一般に「側部当接面38」として識別される。
図5Cに示すように、側部当接面38は、仮想ピラミッドの側面に位置し、その頂点は、ベース軸受面26の下の点でインサート軸A上にある。ベース軸受面26自体の側面は、仮想の第一の正三角形T1の辺を形成する。
図6を参照すると、切削インサート14のポジティブな基本形状は、下部サブ面34がベース軸受面26とともに第一の鈍角の内角βを形成することを意味する。図6に示すように、インサート14の左側では、断面は、ワイパーサブ刃の部分で周面28を通り、第一の鈍角の内角βよりも大きい第二の鈍角の内角βを形成する。
側部当接面38のそれぞれは、ほぼ平坦である。詳細に説明すると、誇張された概略的な凸状膨出部40が図3に示されている。膨出部40は、典型的には、焼結工程から生じる。本発明のインサートは小さいので、このような膨出部40をもたらす歪みは、側部当接面38が研削を必要としないことを許容できるほど十分に小さい。一般的に言えば、このような凸部または凹部(図示しないが、これは、本明細書の目的のために内向き「膨出部」と考えることができる)は、インサートの隣接するコーナーをこのような膨出部に接続する平面からの最大距離として測定される。
したがって、インサートは、研削されていない下部サブ面34を有すると述べられている。図2では、例えば、不連続線42を有するように見えるが、これは、曲率線を示すこの特定の図面の単なる結果である。研削されていない実際の製品は、識別可能な線を有さず、ほぼ平坦な部分から半径に滑らかに遷移する。
上部サブ面36は、少なくとも1つの張出し部分44(図4Aおよび図4Bに例示される)を備える。
図2を参照すると、切削インサート14は、3つの同一のコーナー刃46A、46B、46C(以下、一般に「コーナー刃46」と呼ぶ)と、3つの同一の直線状主サブ刃48A、48B、48C(以下、一般に「主サブ刃48」と呼ぶ)とを備えることができる。好ましくは、3つの同一のワイパーサブ刃47A、47B、47C(以下、一般に「ワイパーサブ刃47」と呼ぶ)が、コーナー刃46と主サブ刃48との間に直角に延在する(すなわち、図3に示すような上面図に示すように時計回り方向で直角でのみ延在する)。
図5Bを参照すると、刃外接径Dを有する仮想刃外接円Cが示されている。仮想刃外接円Cは、主サブ刃48と、コーナー刃46と、ワイパーサブ刃47を含む切れ刃32全体を取り囲む最小直径の円である。
3つの主サブ刃48は、第二の仮想正三角形T2の辺に沿って延在し、刃内接直径Dを有する刃内接円Cを規定する。
様々な特徴部分の寸法は、以下のように示される。すなわち、各コーナー刃46は、
半径Rを有することができ(図5C)、
各主サブ刃48は、半径の遷移点からワイパーサブ刃との交点まで測定された主サブ刃長さLを有することができ(図1B、図5B)、
各ワイパーサブ刃47は、半径の遷移点から主サブ刃との交点まで測定されたワイパー刃長さLを有することができ(図5B)、
切れ刃ランド幅Wは、図4Bに示されている。
図6を参照すると、切削インサート14のボイド体積Vは、ねじ穴30の境界によって規定される。具体的には、ねじ穴高さHは、ベース軸受面26からねじ穴30の上縁49(図4にも示されている)まで規定される。別の言い方をすれば、ボイド体積Vは、インサート軸Aに垂直な下部平面Pで規定されたねじ穴30の底部から、ねじ穴30とすくい面24との交点に垂直な上部平面Pで規定されたねじ穴30の頂部まで、すなわち、上縁49の高さで延在するボイドの体積として計算される。より正確には、ねじ穴の上縁49は、湾曲したコーナー51とすくい面24との交点である。
材料体積Vは、切削インサート14を構成する実際の材料の体積である。
各側部当接面38は、図6に示す鈍角の内角βでベース軸受面26から上方外向きに延在する。
切削インサート高さHは、ベース軸受面26からすくい面24の最高点まで延在する(切れ刃32がすくい面の一部であることに留意されたい)。
図4Cは、少なくとも図示された部分が張出し部分44を有さないのを示しているのに対し、図4Aおよび図4Bは、張出し部分を有する部分を示している。少なくとも1つの張出し部分44は、ベース軸受面26の上方の最小上側サブ面高さHでる最下点60を有する。
上部サブ面36(図6A)は、上方向に、ベース軸受面26の上方の最小上部サブ面高さHで開始し、最小上部サブ面高さHは、インサート軸Aに平行に測定可能である。
図4Aは、第一の逃げ角μを示す。図4Bは、第二の逃げ角μを示す。 第一の逃げ角μは、第二の逃げ角μよりも大きい。 大きい方の逃げ角である第一の逃げ角μは、主サブ刃の領域がランピング作業に使用され、より大きな逃げが必要とされるときに、提供される。しかしながら、図4Bによって示される同じ主サブ刃の領域は、ランピング作業のために決して使用されず、より多くの構造強度を提供する好ましいより小さな逃げ角を有することもできる。2つの断面のみが示されているが、逃げ角の変化は、緩やかにし得ることが理解されるであろう。
次に、図7A~図8Cを参照すると、ポケット22は、シート当接面62と、シート当接面62に開口し、最小のポケット穴内接円Iおよび関連する最小のポケット穴径Dを規定するねじ付きポケット穴64と、シート当接面62の平面図(すなわち、図8Cの図)において互いに鋭角に配向された第一および第二の横当接面66A、66Bとを備える。
図7Bに示すように、各第一の横当接面66Aは、外向きおよび前方方向(D、D)に延在し、各第二の横当接面66Bは、外向きおよび後方方向(D、D)に延在する。
第二の横当接面66Bは、凹部67を含む。凹部67の使用は、インサート14とポケット22との接触点を規定するのに役立つ。特に、接触点は、図8Aにハッチング線で示されている。
ポケット穴64は、横当接面までの距離と比較して、同様に、断面を比較的大きくすることができる。これは、ポケット穴径Dおよびポケット穴64から横当接面66A、66Bまでの距離から分かる。
第一および第二の横当接面66A、66Bは、典型的には、インサートの当接面38と同じ鈍角の内角βで配向されることが好ましい。
ねじ軸Aは、好ましくは、シート当接面の中心からオフセットすることができ、すなわち、横当接面が互いに最も近い場所(すなわち、全体的に68で示される領域)に、わずかに近接することにより、切削インサートをポケットに保持するねじが、切削インサートを横当接面に向かって付勢するようになる。
図7Cを参照すると、一方のシート当接面62の前縁72から延びる第一の仮想延長線Lは、他方のシート当接面62の前縁74から延びる第二の仮想延長線Lと平行にすることができる。中心工具平面Pは、回転軸Aを含み、各シート当接面62が中心工具平面Pに接するように、第一および第二の延長線L、Lの間に配置される。第一のシート距離DS1は、第一の延長線Lから中心工具平面Pまで規定される。第二のシート距離DS2は、第二の延長線Lから中心工具平面Pまで規定される。総距離DS3は、第一のシート距離DS1と第二のシート距離DS2の合計である。いくつかの実施形態において、第一のシート距離DS1および第二のシート距離DS2は、互いに等しい。また、いくつかの実施形態では、2つのシート当接面62は、図7Cに見られるように、工具12の正面図において、工具の回転軸Aの周りに180°の回転対称性を有する。
図1Cを参照すると、総距離DS3は、切削インサート高さHよりも大きい。与えられた寸法では十分な空間がないので、それらのすくい面を整列させたままで、インサートを残すことができないことが理解されるであろう。インサートが、本発明の配置の代わりにそれらの周面が互いに離れて置かれる場合(すなわち、図7Cの右側のインサートをページの下部に向かって、左側のインサートを上部に向かって動かす場合)、(インサートを支持する材料が少ないので)ポケット22の工具ホルダの構造強度が弱まることも理解されるであろう。逆に、インサート14を逆方向に動かすと、縦溝内のチップ排出空間が不十分になる可能性がある。したがって、最も好ましい配置は、インサートの周面が互いに隣接していることである。
図9Aおよび図9Bを参照すると、このような図において、切削インサートは、実際には、共通の半径方向位置に到達することに留意されたい。図9Bの外観のようにそれらが接触しない唯一の理由は、それらが図9Aに示されるように、それらのポジティブな基本形状およびそれらの位置決めを有するからである(すなわち、切れ刃は隣接しておらず、各インサートの周面は他のインサートの周辺部分の一部分に隣接している)。このような特徴を使用することは、比較的小さい外接切削直径円C内に、(工具ホルダ径に対して)比較的大きなインサートを取り付ける1つの方法である。これらの特徴に対する比は、上述されている。
インサート14が近接しているため、図8A~図8Cに戻ると、工具アパーチャ70が設けられている。
アパーチャによって生じる弱化を補償するために、材料76が前端13Bにおいて追加されている。
ねじ16は、取り付けられると、ベース軸受面26がシート当接面62に当接し、当接面38の一方が第一の横当接面66Aに当接し、隣接する当接面38がその2つの部分で第二の横当接面66Bに当接するように切削インサート14を固定する。切削インサート14は、ポケット22内で、位置決めを3回繰り返すことができ、どの特定の当接面が任意の所与の時間に接触するかの正確な指定は重要ではないことが理解されよう。
例えば、図1Aから、上部サブ面36は工具ホルダ12に接触せず、したがって、わずかに異なる切れ刃を有するインサートを同じ工具ホルダ12に取り付けることができることに留意されたい。
ポケット22、より正確には、それぞれのシート当接面62は、図7Aに最も良く示されるように、回転軸Aに平行、またはほぼ平行に延在する。
図1Bにおいて、例示のインサートミル10については、直線状切れ刃のうちの1つ(例えば、第二の直線状切れ刃47A)は、ワイパー機能を実行し、工具ホルダからわずかなワイパー距離Dだけ突出する。この例では、第一の主サブ刃48Aは、90°肩削りミーリング作業を提供するための主切れ刃である。
種々の技術が、より大きなインサート、より具体的にはより大きな主サブ刃を可能にするために使用されてきたので、比較的小さい切削インサートに対して比較的大きな切削深さAを達成することができる。
最後に、第三のサブ刃48C(図1B)の小さな部分によって、ランピング機能を提供できることに留意されたい。

Claims (10)

  1. ポジティブな基本形状を有する片面三方向割出し可能な切削インサート(14)であって、
    すくい面(24)と、
    前記すくい面(24)と対向して位置するベース軸受面(26)と、
    前記ベース軸受面(26)に対して垂直で、前記切削インサート(14)の中心を通って延在するインサート軸Aであって、前記ベース軸受面(26)から前記すくい面(24)に向かう上方向Dと、前記上方向Dと反対の下方向Dと、前記上方向および前記下方向(D,D)に垂直で、前記インサート軸Aから離れるように延在する外向き方向Dとを規定する、インサート軸Aと、
    前記ベース軸受面(26)から前記すくい面(24)の最高点まで、前記インサート軸Aに平行に測定可能な切削インサート高さHと、
    前記すくい面(24)と前記ベース軸受面(26)とを接続する周面(28)と、
    前記周面(28)と前記すくい面(24)との交点に沿って形成された切れ刃(32)であって、当該切削インサート(14)の上面図では、刃外接径Dを有する仮想刃外接円Cを規定する、切れ刃(32)と、
    前記すくい面および前記ベース軸受面(24、26)に開口するねじ穴(30)であって、前記ベース軸受面(26)との交点にねじ穴底部(31)と、前記すくい面(24)との交点にねじ穴頂部(33)と、前記ねじ穴底部(31)から前記ねじ穴頂部(33)まで延在するボイドの体積として計算されるボイド体積Vと、当該切削インサート(14)の上面図では、前記すくい面(24)と前記ねじ穴(30)との交点で規定される穴円Cであって、穴径Dを有する、穴円Cと、を備える、ねじ穴(30)と、
    を備える、切削インサート(14)において、
    前記ベース軸受面(26)は、当該切削インサート(14)の底面図では、ベース外接径Dを有する仮想ベース外接円Cを規定し、
    前記周面(28)は、当該切削インサート(14)の底面図では、第1の仮想正三角形T1の辺と平行に延在する第一、第二、および第三の側部当接面(38A,38B,38C)を備え、
    前記切れ刃(32)は、前記切れ刃(32)の3つの最も長いサブ刃であり、当該切削インサート(14)の上面図では、それぞれが第2の仮想正三角形T2の辺に沿って延在し、刃内接径Dを有する刃内接円Cを規定する、ちょうど3つの主サブ刃(48)を備え、
    前記ベース外接径Dが前記刃外接径Dよりも小さく、
    前記ボイド体積Vと、前記切削インサートの材料の量によって規定される材料体積Vの体積比V/Vが、V/V≧0.30の条件を満たし、
    前記刃外接径Dが、D<6.5mmの条件を満たす、切削インサート(14)。
  2. 前記体積比 /V がV/V>0.35及びV/V<0.50である、請求項1に記載の切削インサート(14)。
  3. 前記穴径Dと前記刃内接径Dとのインサート厚さ径比D/Dが少なくとも0.60を超えている、請求項1または2に記載の切削インサート(14)。
  4. 前記主サブ刃(48)のうちの最も短い主サブ刃(48)の主刃長さLと、前記刃外接径Dとの刃長さ比L/Dが少なくとも0.40を超えている、請求項1~3のいずれか一項に記載の切削インサート(14)。
  5. 前記刃外接径Dが、D>5mmの条件を満たす、請求項1~4のいずれか一項に記載の切削インサート(14)。
  6. 前記周面(28)は、下部サブ面(34)と上部サブ面(36)とを備え、
    前記下部サブ面(34)は、前記ベース軸受面(26)から上方外向きに延在し、前記第一、第二、および第三の側部当接面(38A,38B,38C)を備え、
    前記上部サブ面(36)は、前記下部サブ面(34)と前記すくい面(24)を接続し、前記上部サブ面(36)は、前記ベース軸受面(26)の上の最小上部サブ面高さHで前記上方向Dに始まり、
    前記最小上部サブ面高さHは、0.50H≦H≦0.80Hの条件を満たす、請求項1~5のいずれか一項に記載の切削インサート(14)。
  7. 前記切れ刃(32)は、各対の隣接する主サブ刃の(48)間にワイパーサブ刃(47)を備え、前記ワイパーサブ刃(47)のそれぞれは、当該切削インサート(14)の上面図では、前記主サブ刃(48)のうちの隣接する1つと垂直である、請求項1~6のいずれか一項に記載の切削インサート(14)。
  8. 前記主サブ刃(48)のうちの1つの第一の点で測定された第一の逃げ角μが、同じ主サブ刃(48)の第二の点で測定された第二の逃げ角μよりも大きく、前記第二の点は、前記第一の点よりも前記主サブ刃(48)と垂直なワイパーサブ刃(47)に近い、請求項1~7のいずれか一項に記載の切削インサート(14)。
  9. 逃げ角は、前記主サブ刃(48)と垂直でない第一のワイパーサブ刃(47A)に隣接する第一の領域から、前記主サブ刃(48)と垂直な第二のワイパーサブ刃(47B)に隣接する第二の領域まで、前記主サブ刃(48)に沿って徐々に小さくなる、請求項8に記載の切削インサート(14)。
  10. インサートミル(10)であって、
    後端(13A)と、
    前端(13B)と、
    前記後端(13A)から前記前端(13B)まで延在する工具外周(13C)と、を備える工具ホルダ(12)であって、
    前記工具ホルダ(12)の中心を通って延在する回転軸Aであって、前記後端(13A)から前記前端(13B)まで延在する前方方向Dと、前記前方方向Dとは反対の後方方向Dと、前記回転軸Aに垂直で、前記回転軸Aから前記工具外周(13C)に向かう外向き方向Dとを規定する、回転軸Aと、
    前記後端(13A)の前方に延在するシャンク部分(18)と、
    前記シャンク部分(18)の前方に前記前端(13B)まで延在する切削部分(20)であって、前記前端(13B)に工具径Dと、前記前端(13B)と前記工具外周(13C)との交点から後方に延在するちょうど2つの円周方向に離間した縦溝(21)とを有する、切削部分(20)と、
    を備え、
    前記縦溝(21)のそれぞれは、前記前端(13B)と前記工具外周(13C)との前記交点に形成されたポケット(22)を備え、
    前記2つのポケット(22)のそれぞれは、シート当接面(62)と、前記シート当接面(62)に開口するねじ付きポケット穴(64)と、前記シート当接面(62)の平面図では、真っ直ぐで、互いに鋭角に向けられた第一および第二の横当接面(66A,66B)とを備え、
    各第一の横当接面(66A)は、前記外向きおよび前方方向(D,D)に延在し、
    各第二の横当接面(66B)は、前記外向きおよび後方方向(D,D)に延在し、
    前記工具径Dは、D<11mmの条件を満たす、工具ホルダ(12)と、
    前記工具ホルダ(12)の前記ポケット(22)のそれぞれに取り付けられた請求項1に記載の切削インサート(14)と、
    を備え、
    各インサートの主サブ刃(48)の1つは、前記工具径Dの外側に位置し、切削工具径Dを規定する、インサートミル(10)において、
    前記インサートミル(10)の側面図では、前記主サブ刃(48)は、前記回転軸Aに平行に延在する、インサートミル(10)。
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