JP2010523102A5 - - Google Patents

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分子のグリコシル化
本発明は、グリコシル化分子、特にタンパク質および脂質分子を得る方法に関する。
現在開発中の大多数の生物製剤(例えば、組換えタンパク質)の生産には高性能発現システムが必要である。これらの生物製剤のうちの多くの生物活性は、それらの修飾(例えば、リン酸化またはグリコシル化)に依存する。酵母系発現系は、微生物の遺伝子操作および発酵の容易さとタンパク質を分泌および修飾する能力を兼ね備えている。しかし、酵母細胞において生産される組換え糖タンパク質は、主として、不均一な高マンノースおよび過マンノースグリカン構造を示し、これらは、特にグリコシル化が生物学的に有意な役割を果たす場合、タンパク質機能、下流のプロセッシングおよび後の治療使用に不利益であり得る。
本発明は、少なくとも一部分は、(a)Yarrowia lipolytica細胞における単一遺伝子欠失(外鎖伸長部(OCH1)欠失)が、ManGlcNAc(構造式IV;図1)骨格上にα−1,2−結合マンノース残基を有するグリコシル化タンパク質の実質的に均一な生産を生じさせたという発見;(b)Yarrowia lipolytica細胞(OCH1欠失を伴うものと伴わないものの両方)のERにターゲッティングされた操されたアルファ−1,2−マンノシダーゼの過発現が、ManGlcNAcN−グリカン構造(構造式IV;図1)を有するグリコシル化タンパク質の実質的に均一な生産を生じさせたという発見;(c)Yarrowia lipolytica細胞におけるアスパラギン結合グルコシル化3(ALG3)酵素の不活性化が、グルコシル化グリカンレベルを大いに増加させる結果となるという発見;および(d)Yarrowia lipolyticaにおける野生型形態のYarrowia lipolytica遺伝子(MNN4)の過発現が、α−1,2−結合マンノース残基の過リン酸化を生じさせるという発見に基づく。従って、遺伝子操作された細胞(例えば、Yarrowia lipolytica、Arxula adeninivorans、または他の関連種二相性酵母細胞)は、同じ種の遺伝子操作されていない細胞において生産されるN−グリコシル化形態のターゲット分子と比較して改変されたN−グリコシル化形態を有するターゲット分子を生産する方法において使用することができる。代謝異常(例えば、リソソーム貯蔵障害)を有する患者へのN−グリコシル化ターゲット分子(例えば、N−グリコシル化タンパク質)の投与がこの疾患の症状を改善することは証明されているので、記載した方法および細胞は、とりわけ代謝異常、例えばリソソーム貯蔵障害の治療のためのN−グリコシル化ターゲット分子の調製に有用である。
本発明は、少なくとも一部分は、スプライスされた形態のYarrowia lipolyticaおよびPichia pastoris HAC1遺伝子の発見に基づく。HA1遺伝子によってコードされたタンパク質、Hac1pは、小胞体ストレス反応(Unfolded Protein Response)(UPR)エレメントと呼ばれるDNA配列モチーフに結合することによって幾つかのターゲット遺伝子の転写を活性化する転写活性化因子である。Hac1pターゲット遺伝子には、シャペロンをコードするもの、フォールダーゼをコードするもの、ならびに脂質代謝およびイノシトール代謝に責任を負うタンパク質をコードするものなどがある。スプライスされた形態のHac1pは、スプライスされていないHAC1 mRNAによってコードされた形態より強力な転写活性化因子であるので、スプライスされた形態のHac1p転写因子の過発現は、天然および異種タンパク質の発現増加ならびにER膜における増加をもたらすことができる。従って、スプライスされた形態のHac1pを使用して、ターゲット分子のUPRおよび発現の同時活性化により様々な真核生物細胞(例えば、真菌細胞(例えば、Yarrowia lipolyticaもしくは本明細書に記載する任意の他の酵母細胞)、植物細胞または動物細胞(例えば、ヒト細胞などの哺乳動物細胞))において膜および分泌タンパク質の生産を増加させることができる。
本発明は、Yarrowia lipolyticaにおいて発現されたときにManGlcNAc(構造式I;図4)構造をManGlcNAc(構造式IV;図4)、ManGlcNAc(構造式V;図4)およびManGlcNAc(構造式VI;図4)に転化させることができる突然変異形態のMNS1マンノシダーゼの発見にさらに基づく。従って、突然変異形態のマンノシダーゼ、例えばMNS1、を発現する遺伝子操作された真核生物細胞(例えば、真菌細胞(例えば、Yarrowia lipolyticaもしくは本明細書に記載する任意の他の酵母細胞)、植物細胞、または動物細胞(例えば、ヒト細胞などの哺乳動物細胞))は、同じ種の遺伝子操作されていない細胞において生産されたN−グリコシル化形態のターゲット分子と比較して改変されたN−グリコシル化形態を有するターゲット分子を生産する方法に使用することができる。従って、記載する細胞および方法は、とりわけ代謝異常、例えばリソソーム貯蔵障害(下記参照)の治療のためのN−グリコシル化ターゲット分子の調製に有用である。
1つの態様において、本開示は、改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質を生産する方法を特徴とする。この方法は、ターゲットタンパク質をコードする核酸を細胞に導入する工程を含み、この場合、前記細胞は、ターゲットタンパク質を改変されたN−グリコシル化形態で生産し、および前記細胞は、少なくとも1つの修飾N−グリコシル化活性を含有するように遺伝子操作されたYarrowia lipolyticaまたはArxula adeninivorans細胞(または関連種二相性酵母細胞)である。前記方法は、少なくとも1つの修飾N−グリコシル化活性を含有するように遺伝子操作されたYarrowia lipolyticaまたはArxula adeninivorans(または関連種二相性酵母細胞)を提供する工程も含む場合がある。前記方法は、前記改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質を単離する工程を含む場合もある。
一部の実施形態において、前記ターゲットタンパク質は、内因性タンパク質である場合もあり、外因性タンパク質である場合もある。前記ターゲットタンパク質は、ヒトタンパク質などの哺乳動物タンパク質であり得る。前記ターゲットタンパク質は、例えば、病原タンパク質、リソソームタンパク質、成長因子、サイトカイン、ケモカイン、抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または融合タンパク質であり得る。前記融合タンパク質は、例えば、病原タンパク質、リソソームタンパク質、成長因子、サイトカインまたはケモカインと抗体またはその抗原結合フラグメントの融合体であり得る。前記ターゲットタンパク質は、例えば、リソソーム貯蔵障害(LSD)に関連したものであり得る。前記ターゲットタンパク質は、例えば、グルコセレブロシダーゼ、ガラクトセレブロシダーゼ、アルファ−L−イズロニダーゼ、ベータ−D−ガラクトシダーゼ、ベータ−グルコシダーゼ、ベータ−ヘキソサミニダーゼ、ベータ−D−マンノシダーゼ、アルファ−L−フコシダーゼ、アリールスルファターゼB、アリールスルファターゼA、アルファ−N−アセチルガラクトサミニダーゼ、アスパルチルグルコサミニダーゼ、イズロネート−2−スルファターゼ、アルファ−グルコサミニド−N−アセチルトランスフェラーゼ、ベータ−D−グルコロニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、アルファ−L−マンノシダーゼ、アルファ−ノイラミニダーゼ、ホスホトランスフェラーゼ、酸リパーゼ、酸セラミダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、チオエステラーゼ、カテプシンK、またはリポタンパク質リパーゼであり得る。
一部の実施形態において、前記改変N−グリコシル化形態は、1つ以上のN−グリカン構造、例えば、ManGlcNAc、ManGlcNAc、ManGlcNAc、ManGlcNAc、GlcManGlcNAc、GlcManGlcNAcなど、を含有することができる。一部の実施形態において、前記改変グリコシル化は、例えば、ManGlcNAc、ManGlcNAc、ManGlcNAc、ManGlcNAc、GlcManGlcNAc、GlcManGlcNAcであり得る。
一部の実施形態において、前記改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質は、均一または実質的に均一であり得る。例えば、改変グリコシル化を含有する改変ターゲット分子の割合は、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約90%以上であり得る。
一部の実施形態において、少なくとも1つのN−グリコシル化活性が欠損するように、前記細胞を遺伝子操作することができる。前記N−グリコシル化活性は、例えば、ALG3活性、OCH1活性、MNS1活性、またはMNN9活性であり得る。
一部の実施形態において、少なくとも1つの修飾は、(a)N−グリコシル化活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の欠失;(b)N−グリコシル化活性を有する突然変異形態のタンパク質の発現;(c)N−グリコシル化活性を有するタンパク質の機能的発現に干渉するRNA分子の導入または発現;(d)N−グリコシル化活性(例えば、ALG6またはアルファ−マンノシダーゼ(例えば、小胞体にターゲッティングされたアルファ−マンノシダーゼ))を有するタンパク質の発現であり得る。発現されるタンパク質は、その細胞内の外因性核酸によってコードされたタンパク質であり得る。発現されるタンパク質は、7.5未満の最適pH(例えば、5.1未満の最適pH)を有するアルファ−マンノシダーゼであり得る。前記N−グリコシル化活性を有するタンパク質は、外因性タンパク質であり得る。前記N−グリコシル化活性を有するタンパク質は、哺乳動物タンパク質(例えば、ヒトタンパク質)である場合もあり、または下等真核生物(例えば、真菌、原生動物もしくはトリパノソーマ)タンパク質である場合もある。前記下等真核生物は、Trypanosoma brucei、Trichoderma harzianum、Aspergillus、および本明細書に記載する任意の他の下等真核生物からなる群より選択することができる。
一部の実施形態において、前記N−グリコシル化活性は、グルコシルトランスフェラーゼ活性であり得る。一部の実施形態において、前記N−グリコシル化活性を有するタンパク質は、ALG6またはアルファ−マンノシダーゼである。前記アルファ−マンノシダーゼを小胞体にターゲッティングすることができる。例えば、前記N−グリコシル化活性を有するタンパク質は、アルファ−マンノシダーゼポリペプチドおよびHDEL小胞体貯留ペプチドを含む融合タンパク質であり得る。
一部の実施形態において、前記N−グリコシル化活性を有するタンパク質は、ManGlcNAcからグルコース残基を除去することができるタンパク質であり得る。例えば、N−グリコシル化活性を有するタンパク質は、アルファ−1,3−グルコシダーゼ活性、例えば、グルコシダーゼII(例えば、グルコシダーゼIIのアルファおよびベータサブユニットの一方もしくは両方)またはムタナーゼ(しかし、これらに限定されない)、を有するタンパク質であり得る。
一部の実施形態において、少なくとも2つの修飾N−グリコシル化活性、例えば、本明細書に記載する修飾N−グリコシル化活性のいずれか、を含むように、前記細胞を遺伝子操作することができる。前記少なくとも2つの修飾N−グリコシル化活性は、例えば、ALG3活性の欠損、および高レベルのALG6活性を含み得る。
一部の実施形態において、少なくとも3つの修飾N−グリコシル化活性、例えば、本明細書に記載する修飾N−グリコシル化活性のいずれか、を含むように、前記細胞を遺伝子操作することができる。前記少なくとも3つの修飾N−グリコシル化活性は、例えば、ALG3活性の欠損;高レベルのALG6活性;および高レベルのグルコシダーゼII活性を含み得る。
一部の実施形態において、前記細胞は、OCH1活性が欠損するように遺伝子操作されない。
一部の実施形態において、修飾は、ターゲットタンパク質のマンノシルリン酸化を果たすことができるタンパク質またはその生物学的に活性変異体の発現を含み得る。前記マンノシルリン酸化を果たすことができるタンパク質またはその生物学的に活性変異体は、MNN4、PNO1、またはMNN6であり得る。一部の実施形態において、糖タンパク質のマンノシル残基の少なくとも約30%をリン酸化することができる。
一部の実施形態において、前記方法は、糖タンパク質の追加のプロセッシングをさらに含む場合がある。前記追加のプロセッシングは、インビトロで行われる場合もあり、またはインビボで行われる場合もある。前記追加のプロセッシングは、前記修飾糖タンパク質への異種部分の付加を含む場合がある。前記異種部分は、ポリマーまたは担体であり得る。前記追加のプロセッシングは、前記改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質の酵素的または化学的処理を含む場合がある。例えば、前記追加のプロセッシングは、マンノシダーゼ、マンナナーゼ、ホスホジエステラーゼ、グルコシダーゼまたはグリコシルトランスフェラーゼでの前記改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質の処理を含む場合がある。前記追加のプロセッシングは、フッ化水素酸での前記改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質の処理を含む場合がある。前記追加のプロセッシングは、前記改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質のリン酸化を含む場合がある。
もう1つの態様において、本開示は、改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質を生産する方法を提供する。この方法は、少なくとも1つの修飾N−グリコシル化活性を含むように遺伝子操作された真核生物細胞(例えば、真菌細胞、植物細胞または動物細胞)を提供する工程;および前記細胞にターゲットタンパク質をコードする核酸を導入する工程を含み、この場合、その細胞は、そのターゲットタンパク質を改変されたN−グリコシル化形態で生産する。
もう1つの態様において、本開示は、改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質を生産する方法を特徴とする。この方法は、少なくとも1つの修飾N−グリコシル化活性を含むように遺伝子操作されたYarrowia lipolyticaまたはArxula adeninivorans細胞から調製された細胞溶解産物とターゲットタンパク質を接触させる工程を含み、この場合、そのターゲットタンパク質と細胞溶解産物の接触が、結果として、改変されたN−グリコシル化形態のターゲットタンパク質を生じさせる。
さらにもう1つの態様において、本開示は、改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質を生産する方法を特徴とし、この方法は、N−グリコシル化活性を有する1つ以上のタンパク質とターゲットタンパク質を接触させる工程を含み、この場合、N−グリコシル化活性を有する1つ以上のタンパク質は、少なくとも1つの修飾N−グリコシル化活性を含むように遺伝子操作されたYarrowia lipolyticaまたはArxula adeninivorans細胞から得られ、そのN−グリコシル化活性を有する1つ以上のタンパク質とターゲット分子の接触が、結果として、改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質を生じさせる。
もう1つの態様において、本開示は、改変N−グリコシル化を有する単離されたタンパク質を提供し、この場合、そのタンパク質は、上に記載した方法のいずれかによって生産される。
さらにもう1つの態様において、本開示は、少なくとも1つの修飾N−グリコシル化活性を含むように遺伝子操作された、単離されたYarrowia lipolyticaまたはArxula adeninivorans細胞(または他の関連種二相性酵母細胞)を提供する。前記N−グリコシル化活性は、例えば、ALG3活性、OCH1活性、MNS1活性、またはMNN9活性であり得る。前記修飾は、本明細書に記載するもののいずれかであり得る。例えば、前記修飾としては、(a)N−グリコシル化活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の欠失、(b)N−グリコシル化活性を有する突然変異形態のタンパク質の発現、(c)N−グリコシル化活性を有するタンパク質の機能的発現に干渉するRNA分子の導入もしくは発現、または(d)N−グリコシル化活性を有するタンパク質の発現を挙げることができる。前記N−グリコシル化活性を有するタンパク質は、例えばALG6であり得る。前記N−グリコシル化活性を有するタンパク質は、ヒトタンパク質などの哺乳動物タンパク質であり得る。前記修飾は、修飾糖タンパク質のマンノシルリン酸化を促進することができるタンパク質(例えば、MNN4もしくはPNO1)またはその生物学的に活性変異体の発現も含む場合がある。
もう1つの態様において、本開示は、改変N−グリコシル化を有するタンパク質の投与によって治療することができる疾患を治療する方法を提供する。この方法は、上に記載した方法のいずれかによって得られたタンパク質を被験体に投与する工程を含み、この場合、その被験体は、改変N−グリコシル化を有するタンパク質の投与によって治療することができる疾病を有する、または有することが疑われる被験体である。この方法は、(a)被験体を提供する工程、および/または(b)その被験体が、改変N−グリコシル化を有するタンパク質の投与によって治療することができる疾病を有するかどうかを決定する工程も含む場合がある。前記被験体は、ヒトなどの哺乳動物であり得る。前記疾患は、例えば、癌、免疫学的疾患(例えば、炎症性状態)または代謝異常であり得る。前記代謝異常は、本明細書に記載するもののいずれか、例えば、リソソーム貯蔵障害(LSD)、例えば、ゴーシェ病、テイ−サックス病、ポンペ病、ニーマン−ピック病またはファブリ病であり得る。前記タンパク質は、LSDに関連したタンパク質である場合があり、例えば、前記タンパク質は、例えば、グルコセレブロシダーゼ、アルファ−ガラクトシダーゼであり得る。前記タンパク質は、例えば、アルファ−L−イズロニダーゼ、ベータ−D−ガラクトシダーゼ、ベータ−グルコシダーゼ、ベータ−ヘキソサミニダーゼ、ベータ−D−マンノシダーゼ、アルファ−L−フコシダーゼ、アリールスルファターゼB、アリールスルファターゼA、アルファ−N−アセチルガラクトサミニダーゼ、アスパルチルグルコサミニダーゼ、イズロネート−2−スルファターゼ、アルファ−グルコサミニド−N−アセチルトランスフェラーゼ、ベータ−D−グルコロニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、アルファ−L−マンノシダーゼ、アルファ−ノイラミニダーゼ、ホスホトランスフェラーゼ、酸リパーゼ、酸セラミダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、チオエステラーゼ、カテプシンK、またはリポタンパク質リパーゼであり得る。
もう1つの態様において、本開示は、Yarrowia lipolyticaまたはArxula adeninivorans細胞(または他の関連種二相性酵母細胞)の実質的に純粋な培養物を提供し、前記細胞の相当数が、少なくとも1つの修飾N−グリコシル化活性(例えば、本明細書に記載する修飾のいずれか)を含むように遺伝子操作される。前記細胞の培養物は、細胞の1つ以上の亜集団を含み得各亜集団は、異なる修飾グリコシル化活性を含む。
さらにもう1つの態様において、本開示は、(a)配列番号1もしくは配列番号2を含む、単離されたヌクレオチド配列;(b)配列番号1もしくは配列番号2と少なくとも80%同一である配列を含む、単離されたヌクレオチド配列;または(c)(a)もしくは(b)の単離されたヌクレオチド配列によってコードされたポリペプチドを提供する。一部の実施形態において、前記単離された核酸配列は、配列番号1または配列番号2である。
もう1つの態様において、本開示は、(a)配列番号1もしくは配列番号2の相補体(complement)に高ストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列;または(b)そのヌクレオチド配列の相補体を含有する、単離された核酸を特徴とする。
さらにもう1つの態様において、本開示は、(a)本明細書に示す核酸配列のいずれかを含む(もしくは、から成る)、単離されたヌクレオチド配列;(b)本明細書に示す核酸配列のいずれかと少なくとも80%同一である配列を含む、単離されたヌクレオチド配列;または(c)(a)もしくは(b)の単離されたヌクレオチド配列によってコードされたポリペプチドを提供する。一部の実施形態において、前記単離された核酸配列は、本明細書に示す核酸配列のいずれかである。
もう1つの態様において、本開示は、(a)本明細書に示す核酸配列のいずれかの相補体に高ストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列;または(b)そのヌクレオチド配列の相補体を含有する、単離された核酸を特徴とする。
さらにもう1つの態様において、本開示は、(a)上に記載した核酸配列のいずれかを含むベクター、または(b)(a)のベクターを含有する培養細胞を提供する。前記ベクターは、発現ベクターであり得る。前記ベクター中の核酸配列は、発現制御配列に作動可能に連結させることができる。
もう1つの態様において、本開示は、タンパク質を生産するための方法を提供する。この方法は、上に記載した細胞のいずれかを、前記ポリペプチドの発現を可能にする条件下で培養する工程を含む。この方法は、前記細胞を培養した後、前記細胞またはその細胞を培養した培地から前記ポリペプチドを単離する工程も含む場合がある。前記細胞は、例えば、上に記載した核酸配列のいずれかを含むベクターを含有する培養細胞であり得る。
本明細書に記載するターゲット分子(例えば、ターゲットタンパク質)、N−グリコシル化活性を有するタンパク質、および改変N−グリコシル化分子(総称して、「本発明の分子」と呼ぶ)は、単離することが、必要ではないが、できる。本明細書に記載する本発明の分子のいずれかに適用する場合、用語「単離される」は、自然にそれに随伴する成分(例えば、タンパク質または他の天然に存在する生物学的な分子または有機分子)から分離または精製された分子またはそのフラグメントを指す。組換え分子(例えば、組換えタンパク質)は、常に「単離される」であろうと解釈する。典型的に、本発明の分子は、それが、調製品中の同じタイプの全分子の少なくとも60重量%、例えばサンプル中の同じタイプの全分子の60%、を構成するとき、単離されている。例えば、改変グリコシル化タンパク質は、それが、調製品またはサンプル中の全タンパク質の少なくとも60重量%を構成するとき、単離されている。一部の実施形態において、前記調製品中の本発明の分子は、調製品中の同じタイプの全分子の少なくとも75重量%、少なくとも90重量%、または少なくとも99重量%を構成する。
本明細書において用いる場合、「改変N−グリコシル化形態」のターゲット分子は、遺伝子操作された宿主細胞(例えば、Yarrowia lipolytica細胞、Arxula adeninivorans細胞、または別の関連二相性酵母細胞種の細胞)によって生産されたN−グリコシル化形態のターゲット分子であり、これは、その遺伝子操作された細胞と同じ種の遺伝子操作されていない細胞において生産されるN−グリコシル化形態のターゲット分子とは異なる。従って、改変N−グリコシル化形態のターゲット分子は、例えば、N−グリコシル化されていない形態のターゲット分子である場合がある。さらに、改変グリコシル化形態のターゲット分子は、例えば、1つ以上のN結合グリカンの改変リン酸化を有する形態のターゲット分子である場合がある。
本明細書において用いる場合、用語「他の関連二相性酵母細胞種」は、Dipodascaceae科、例えば、Arxula、Dipodascus(例えば、D.albidus、D.ingens、またはD.specifer)、Galactomyces(例えば、G.reesiiまたはG.geotrichum)、Sporopachyderma、Stephanoascus(例えば、S.ciferii)、Wickerhamiella、およびZygoascusに属する、Yarrowia lipolyticaまたはArxula adeninivoransに関連した酵母を指す。具体的に言うと、クレードMetchnikowia(例えば、M.pulcherrimaまたはM.agaves)およびStephanoascus(Arxula(例えば、A.adeninivoransまたはA.terrestris)などの種の26S−rDNA配列のD1/D2ドメインの分析によって、Y.lipolyticaが割り当てられたクレード)および一部のCandida種(例えば、.apicolaだが、C.albicans、C.meltosa、またはC.tropicalisではない)の酵母。
「ポリペプチド」および「タンパク質」は、交換可能に用いており、長さまたは翻修飾に関係なくアミノ酸のペプチド結合鎖を意味する。
本開示は、本明細書に記載する野生型、完全長、成熟「ターゲットタンパク質」または「N−グリコシル化活性を有するタンパク質」の、(i)生物学的に活性変異体および(ii)生物学的に活性フラグメントまたはそれらの生物学的に活性変異体も提供する。完全長、成熟、野生型タンパク質またはそれらのタンパク質のフラグメントの生物学的に活性変異体は、付加、欠失または置換を含有する場合がある。置換を有するタンパク質は、一般に、50以下(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、25、30、35、40または50以下)の保存的アミノ酸置換を有するであろう。保存的置換は、あるアミノ酸類似した特徴を有する別のアミノ酸の代わりに用いることである。保存的置換は、次の群の中での置換を含む:バリン、アラニンおよびグリシン;ロイシン、バリンおよびイソロイシン;アスパラギン酸およびグルタミン酸;アスパラギンおよびグルタミン;セリン、システインおよびトレオニン;リシンおよびアルギニン;ならびにフェニルアラニンおよびチロシン。非極性疎水性アミノ酸としては、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンが挙げられる。極性中アミノ酸としては、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンが挙げられる。正電荷を有する(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン、リシンおよびヒスチジンが挙げられる。負電荷を有する(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる。上述の極性、塩基性または酸性群のうちのあるメンバーの同じ群の別のメンバーによる任意の置換を保存的置換と考えることができる。対照的に、非保存的置換は、あるアミノ酸での類似していない特徴を有する別のものの置換である。
欠失変異体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20の(アミノ酸2個以上の)アミノ酸セグメントまたは連続していない一のアミノ酸を欠失している場合がある。
加(付加変異体)としては、(a)少なくとも5個のアミノ酸を含有する完全長、野生型、成熟ポリペプチドまたはそれらのフラグメント;および(b)内部または末端(CまたはN)無関連または異種アミノ酸配列を含有する、融合タンパク質が挙げられる。このような融合タンパク質に関連して、用語「異種アミノ酸配列」は、(a)以外のアミノ酸配列を指す。従って、本明細書に記載するペプチドと異種アミノ酸配列とを含有する融合タンパク質は、配列の点で、天然タンパク質のすべてまたは一部に対応しない。異種配列は、例えば、組換えタンパク質の精製に用いられる配列[例えば、FLAG、ポリヒスチジン(例えば、ヘキサヒスチジン)、ヘマグルチニン(HA)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、またはマルトース結合タンパク質(MBP)]であり得る。異種配列は、診断または検出可能マーカーとして有用なタンパク質、例えば、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)である場合もある。一部の実施形態において、前記融合タンパク質は、別のタンパク質からのシグナル配列を含有する。一定の宿主細胞(例えば、酵母宿主細胞)において、異種シグナル配列の使用により、前記ターゲットタンパク質の発現および/または分泌を増加させることができる。一部の実施形態において、前記融合タンパク質は、例えば、免疫反応(例えば、抗体産生のために;下記参照)または小胞体もしくはゴルジ装置貯留シグナルを惹起する際に有用な担体(例えば、KLH)を含有する場合がある。異種配列は、可変長のものである場合があり、一部の実施形態では、その異種配列が付いている完全長ターゲットタンパク質より長い配列である場合がある。
本明細書において用いる場合、「フラグメント」は、完全長未成熟タンパク質より短いポリペプチドのセグメントを指す。タンパク質のフラグメントは、末端(カルボキシもしくはアミノ末端)および/または内部欠失を有する場合がある。一般に、タンパク質のフラグメントは、長さが少なくとも4(例えば、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも15、少なくとも18、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、または少なくとも100以上)アミノ酸であろう。
ターゲットタンパク質またはN−グリコシル化活性を有するタンパク質の生物学的に活性フラグメントまたは生物学的に活性変異体は、その野生型、完全長、成熟タンパク質の活性の少なくとも25%(例えば、少なくとも:30%;40%;50%;60%;70%;75%;80%;85%;90%;95%;97%;98%;99%;99.5%もしくは100%またはさらにそれ以上)を有する。ターゲットタンパク質の場合、その関連活性は、遺伝子操作された細胞においてターゲットタンパク質が改変N−グリコシル化を受ける能力である。N−グリコシル化活性を有するタンパク質の場合、その関連活性は、N−グリコシル化活性である。
それらの所期の用途に依存して、前記タンパク質、それらの生物学的に活性フラグメントまたは生物学的に活性変異体は、例えば、真菌(酵母を含む)、線虫、昆虫、植物、鳥類、爬虫類、または哺乳類(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、アレチネズミ、イヌ、ネコ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマ、クジラ、サルもしくはヒト)などのいずれの種であってもよい。一部の実施形態において、生物学的に活性フラグメントまたは生物学的に活性変異体は、前記タンパク質の免疫原性および抗原性フラグメントを含む。免疫原性フラグメントは、対象となる動物において免疫反応(例えば、抗体反応または細胞免疫反応)を刺激する関連完全長、未成熟タンパク質の能力の少なくとも25%(例えば、少なくとも:30%;40%;50%;60%;70%;75%;80%;85%;90%;95%;97%;98%;99%;99.5%もしくは100%またはさらにそれ以上)を有するものである。タンパク質の抗原性フラグメントは、そのタンパク質に特異的な抗体またはそのタンパク質に特異的なT細胞によって認識される関連完全長、未成熟タンパク質の能力の少なくとも25%(例えば、少なくとも:30%;40%;50%;60%;70%;75%;80%;85%;90%;95%;97%;98%;99%;99.5%もしくは100%またはさらにそれ以上)を有するものである。
本明細書において用いる場合、「N−グリコシル化活性」は、(i)N結合グリカンをターゲット分子に付加させることができる(すなわち、オリゴサッカリルトランスフェラーゼ活性);(ii)ターゲット分子からN結合グリカンを除去する、(iii)ターゲット分子上の1つ以上のN結合グリカンを修飾する、(iv)ドリコール結合オリゴ糖を修飾する;または(v)(i〜iv)の活性についてその活性を助長することができる、任意の活性を指す。従って、N−グリコシル化活性としては、例えば、N−グリコシダーゼ活性、グルコシダーゼ活性、グリコシルトランスフェラーゼ活性、糖ヌクレオチド合成、修飾、または輸送体活性が挙げられる。ターゲット分子上の1つ以上のN結合グリカンの修飾は、マンノシルホスホリルトランスフェラーゼ活性、キナーゼ活性、またはホスファターゼ活性、例えば、ターゲット分子上のN結合グリカンのリン酸化状態を改変するマンノシルホスホリルトランスフェラーゼ、キナーゼまたはホスファターゼ活性、の作用を含む。
明細書において用いる場合、細胞を「遺伝子操作する」ことまたは「遺伝子操作(された)細胞」などの専門用語は、細胞において、遺伝子操作されていない細胞[例えば、真菌細胞(例えば、Yarrowia lipolytica細胞、Arxula adeninivorans細胞もしくは他の関連種二相性酵母細胞)、植物細胞、または動物細胞(例えば、ヒト細胞などの哺乳動物細胞)]と比較して修飾されているN−グリコシル化活性を少なくとも1つ生じさせる結果となる、細胞の任意の人的に生じさせる遺伝子改変を指す。従って、人工的に生じさせる遺伝子改変は、例えば、自然突然変異を含まないと解釈する。人工的遺伝子改変の例は、下で説明する(「遺伝子操作細胞」参照)。
本明細書において用いる場合、用語「野生型」は、核酸またはポリペプチドに適用されるとき、生物が自然界に存在するときにその生物体内で発生するまたはその生物によって生産される核酸またはポリペプチドをそれぞれ指す。
本明細書において宿主細胞における核酸または宿主細胞によって生産されるポリペプチドに適用されるときの用語「異種の」は、その宿主細胞と同じ種の細胞からは得られない任意の核酸またはポリペプチド(例えば、N−グリコシル化活性を有するタンパク質)を指す。従って、本明細書において用いる場合、「同種」核酸またはタンパク質は、その宿主細胞と同じ種の細胞において発生するまたは該細胞によって生産されるものである。
用語「外因性」は、核酸および特定の宿主細胞に関して本明細書において用いる場合、自然界で見つけられるようなその特定の細胞では発生しない(およびその特定の細胞からは得ることはできない)任意の核酸を指す。従って、非天然核酸は、宿主細胞に導入されると、その宿主細胞にとって外因性であると見なされる。非天然核酸は、その核酸が全体として自然界に存在しないという前提で、自然界で見つけられる核酸サブ配列または核酸配列のフラグメントを含有する場合があることに留意することが重要である。例えば、発現ベクター内のゲノムDNA配列を含有する核酸分子は、非天然核酸であり、従って、宿主細胞に導入されると、その宿主細胞にとって外因性である。その核酸分子は、自然界では全体(ゲノムDNA+ベクターDNA)として存在しないからである。従って、自然界に全体として存在しない任意のベクター、自律複製プラスミド、またはウイルス(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、もしくはヘルペスウイルス)は、非天然核酸であると見なされる。PCRまたは制限エンドヌクレアーゼ処理によって生産されたゲノムDNAフラグメントならびにcDNAは、自然界では見つけられない別個の分子として存在するので、非天然核酸と見なされることになる。プロモーター配列およびポリペプチドをコードする配列を自然界で見つけられない配で含有する任意の核酸(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)は、非天然核酸ということになる。自然に発生する核酸が特定の細胞にとっては外因性である場合がある。例えば、酵母xの細胞から単離された全染色体は、その染色体が酵母yの細胞に導入されると、酵母yの細胞に対しては外因性核酸である。
「外因性」核酸が、「同種」核酸である場合もあり、「異種」核酸である場合もあることは、上で述べたことから明らかであろう。対照的に、用語「内因性」は、核酸または遺伝子(またはそれらの核酸もしくは遺伝子によってコードされたタンパク質)および特定の細胞に関して本明細書において用いる場合、自然界で見つけられるようなその特定の細胞において発生する(および該細胞から得ることができる)任意の核酸または遺伝子を指す。
上の概念の実例として、Y.lpoltica細胞に形質転換されるY.lpoltica ALG6タンパク質をコードする発現プラスミドは、その細胞に対して、外因性核酸である。しかし、前記ALG6タンパク質コーディング配列およびそれによって生産されるALG6タンパク質は、その細胞に対して同種である。類似して、Y.lpoltica細胞に形質転換されるArxula adeninivorans ALG6タンパク質をコードする発現プラスミドは、その細胞に対して、外因性核酸である。しかし、前の例とは対照的に、そのALG6タンパク質コーディング配列、およびそれによって生産されるALG6タンパク質は、その細胞に対して種である。
本明細書において用いる場合、「プロモーター」は、遺伝子を転写することができるDNA配列を指す。プロモーターは、RNAポリメラーゼによって認識され、その後、それが転写を開始させる。従って、プロモーターは、RNAポリメラーゼに直接結合している、またはRNAポリメラーゼの動員に関与する、いずれかのDNA配列を含有する。プロモーター配列は、遺伝子クラスター内の遺伝子の転写レベルを増す(よって、この名がある)タンパク質(すなわち、1セットの転写因子とほぼ同じ、トランス作用因子)と結合することができるDNAの1つ以上の領域である「エンハンサー領域」も含む場合がある。前記エンハンサーは、典型的にはコーディング領域の5’末端にあるが、プロモーター配列から離れている場合もあり、例えば、遺伝子のイントロン領域内、またはその遺伝子のコーディング領域に対して3’にある場合もある。
本明細書において用いる場合、「作動可能に連結される」は、発現制御配列が対象となるコーディング配列の発現を有効に制御するように、遺伝子構築物に組み込まれることを意味する。
本明細書に記載する任意の核酸配列(例えば、配列番号1または配列番号2で示されるようなHAC1配列)の変異体は、相同である配列を有することができ、例えば、その野生型核酸配列に少なくとも約70%(例えば、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%)相同な(同一の)配列を有する。そのような野生型配列は、自然界から単離される場合もあり、または組換え法もしくは合成法によって生産される場合もある。従って、野生型配列核酸は、天然ヒト核酸配列、サル核酸配列、マウス核酸配列、または対象となる野生型核酸の相同体を含有する任意の他の種の核酸配列を有する場合がある。本明細書において用いる場合、「相同」または「相同核酸配列」または類似の用語は、少なくとも指定の百分率のヌクレオチドレベルでの相同性によって特徴づけられる配列を指し、配列同一性と交換可能に用いている。
パーセント相同性または同一性は、例えば、SmithおよびWatermanのアルゴリズム((1981)Adv.Appl.Math.2:482−489)を用いるGapプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for UNIX(登録商標),Genetics Computer Group,University Research Park,Madison,WI)によって、デフォルト設定を用いて決定することができる。一部の実施形態において、プローブとターゲット(下記参照)との相同性は、約50%から約60%の間である。一部の実施形態において、プローブとターゲット核酸との相同性は、約55%から約65%の間、約65%から約75%の間、約70%から約80%の間、約75%と約85%の間、約80%と約90%の間、約85%と約95%の間、または約90%と約100%の間である。
用語「プローブ」は、本明細書において用いる場合、可変長の核酸配列を指す。一部の実施形態において、プローブは、少なくとも10、および6,000ほども多くのヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、プローブは、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも50または少なくとも75または100の隣接するヌクレオチドを含む。より長いプローブは、通常、(直接、化学合成とは対照的に)天然または組換え源から得られ、ターゲット配列に非常に特異的であり、およびより長いオリゴマーに比べてはるかにゆっくりとターゲットにハイブリダイズする。プローブは、1本鎖核酸分子である場合もあり、または2本鎖核酸分子である場合もある。
一部の実施形態において、本明細書に記載する変異体核酸は、対象となる野生型核酸(例えば、配列番号1または配列番号2で示すようなHAC1核酸配列)の領域、部分、ドメインまたはセグメントに対して部分的相補性(例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%相補性)を有する一方または両方の鎖を含む配列を有する場合がある。一部の実施形態において、対象となる変異体核酸配列は、野生型核酸配列の領域、部分、ドメインまたはセグメントに対して完全相補性(すなわち、100%相補性)を有する一方または両方の鎖を含む配列を有する場合がある。配列「相補性」は、それらの水素結合特性(すなわち、アデニンとウラシル(または、DNAもしくは修飾RNAの場合は、チミン)が互いに対置しており、グアニンとシトシンが互いに対置している逆平行2本鎖が形成できるような、塩基配列を有する2本の核酸鎖の特性)の結果としての特定の窒素含有塩基間の化学的親和性を指す。従って、完全相補的な配列は、ヌクレオチド配列が逆平行2本鎖を形成するときに塩基配列の完全な1対1対応(すなわち、アデニン対ウラシル/チミジン、およびグアニン対シトシン)を有する2つの配列であろう。
ハイブリダイゼーションも、2つの核酸配列間の相同性の度として用いることができる。本明細書に記載する核酸配列またはそのフラグメントもしくは変異体は、標準ハイブリダイゼーション技術に従ってハイブリダイゼーションプローブとして使用することができる。試験源(例えば、真核生物細胞)からのDNAまたはRNAへの対象となる一定のプローブ(例えば、HAC1ヌクレオチド配列、例えば、配列番号1または配列番号2に示すようなHAC1ヌクレオチド配列、のプローブ)のハイブリダイゼーションは、その試験源におけるそのプローブに対応するDNAまたはRNA(例えば、HAC1ヌクレオチド配列)の存在の指標である。ハイブリダイゼーション条件は、当業者に公知であり、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,N.Y.,6.3.1−6.3.6,1991において見つけることができる。中等度ハイブリダイゼーション条件は、2×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、30℃でのハイブリダイゼーション、続いての1×SSC、0.1%SDS中、50℃での洗浄と等価と定義する。高ストリンジェント条件は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、45℃でのハイブリダイゼーション、続いての0.2×SSC、0.1%SDS中、65℃での洗浄と等価と定義する。
別段定義していない限り、本明細書において用いるすべての技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の通常の技術者によって一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載するものと同様または等価の方法および材料を本発明の実施または試験の際に用いることができるのだが、具体例としての方法および材料を下で説明する。本明細書において言及するすべての出版物、特許出願、特許、Genbank(登録商標)アクセッション番号、および他の参考文献は、それら全体が参照により援用されている。矛盾する場合、定義を含めて本出願が支配することとなる。材料、方法および実施例は、単に例証となるものであり、限定と解釈されない。
本発明、例えば改変N−グリコシル化分子の生産方法、の他の特徴および利点は、後続の詳細な説明から、および特許請求の範囲から明らかとなろう。
したがって、本発明は、以下の項目を提供する:
(項目1)
少なくとも1つの修飾N−グリコシル化活性を含むように遺伝子操作されたYarrowia lipolyticaまたはArxula adeninivorans細胞を提供すること;および
ターゲットタンパク質をコードする核酸を該細胞に導入すること
を含み、
該細胞が、該ターゲットタンパク質を改変N−グリコシル化形態で生産する、
改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質を生産する方法。
(項目2)
上記改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質を単離することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記ターゲットタンパク質が、外因性タンパク質である、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
上記ターゲットタンパク質が、内因性タンパク質である、項目1〜3のいずれかに記載の方法。
(項目5)
上記ターゲットタンパク質が、哺乳動物タンパク質である、項目1〜4のいずれかに記載の方法。
(項目6)
上記ターゲットタンパク質が、ヒトタンパク質である、項目5に記載の方法。
(項目7)
上記ターゲットタンパク質が、病原体タンパク質、リソソームタンパク質、成長因子、サイトカイン、ケモカイン、抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または融合タンパク質である、項目1〜6のいずれかに記載の方法。
(項目8)
上記融合タンパク質が、病原体タンパク質、リソソームタンパク質、成長因子、サイトカインまたはケモカインと抗体またはその抗原結合フラグメントとの融合体である、項目7に記載の方法。
(項目9)
上記ターゲットタンパク質が、リソソーム貯蔵障害(LSD)に関連したタンパク質である、項目1〜8のいずれかに記載の方法。
(項目10)
上記ターゲットタンパク質が、グルコセレブロシダーゼまたはガラクトセレブロシダーゼである、項目1〜9のいずれかに記載の方法。
(項目11)
上記ターゲットタンパク質が、アルファ−L−イズロニダーゼ、ベータ−D−ガラクトシダーゼ、ベータ−グルコシダーゼ、ベータ−ヘキソサミニダーゼ、ベータ−D−マンノシダーゼ、アルファ−L−フコシダーゼ、アリールスルファターゼB、アリールスルファターゼA、アルファ−N−アセチルガラクトサミニダーゼ、アスパルチルグルコサミニダーゼ、イズロネート−2−スルファターゼ、アルファ−グルコサミニド−N−アセチルトランスフェラーゼ、ベータ−D−グルコロニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、アルファ−L−マンノシダーゼ、アルファ−ノイラミニダーゼ、ホスホトランスフェラーゼ、酸性リパーゼ、酸性セラミダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、チオエステラーゼ、カテプシンK、およびリポタンパク質リパーゼからなる群より選択される、項目1〜9のいずれかに記載の方法。
(項目12)
上記改変N−グリコシル化形態が、1つ以上のN−グリカン構造を含む、項目1〜11のいずれかに記載の方法。
(項目13)
上記1つ以上のN−グリカンが、Man GlcNAc である、項目12に記載の方法。
(項目14)
上記1つ以上のN−グリカンが、Man GlcNAc である、項目12に記載の方法。
(項目15)
上記1つ以上のN−グリカンが、Man GlcNAc である、項目12に記載の方法。
(項目16)
上記1つ以上のN−グリカンが、Man GlcNAc である、項目12に記載の方法。
(項目17)
上記1つ以上のN−グリカンが、Glc Man GlcNAc である、項目12に記載の方法。
(項目18)
上記1つ以上のN−グリカンが、Glc Man GlcNAc である、項目12に記載の方法。
(項目19)
上記改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質が、均一である、項目12〜18のいずれかに記載の方法。
(項目20)
上記改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質が、実質的に均一である、項目12〜18のいずれかに記載の方法。
(項目21)
上記改変グリコシル化を含有する改変ターゲット分子の割合が、少なくとも約20%である、項目20に記載の方法。
(項目22)
上記改変グリコシル化を含有する改変ターゲット分子の割合が、少なくとも約30%である、項目20に記載の方法。
(項目23)
上記改変グリコシル化を含有する改変ターゲット分子の割合が、少なくとも約40%である、項目20に記載の方法。
(項目24)
上記改変グリコシル化が、Man GlcNAc である、項目19〜23のいずれかに記載の方法。
(項目25)
上記改変グリコシル化が、Man GlcNAc である、項目19〜23のいずれかに記載の方法。
(項目26)
上記改変グリコシル化が、Man GlcNAc である、項目19〜23のいずれかに記載の方法。
(項目27)
上記改変グリコシル化が、Man GlcNAc である、項目19〜23のいずれかに記載の方法。
(項目28)
上記改変グリコシル化が、Glc Man GlcNAc である、項目19〜23のいずれかに記載の方法。
(項目29)
上記改変グリコシル化が、Glc Man GlcNAc である、項目19〜23のいずれかに記載の方法。
(項目30)
上記細胞が、少なくとも1つのN−グリコシル化活性が欠損するように遺伝子操作される、項目1〜29のいずれかに記載の方法。
(項目31)
上記N−グリコシル化活性が、ALG3活性である、項目30に記載の方法。
(項目32)
上記N−グリコシル化活性が、OCH1活性である、項目30に記載の方法。
(項目33)
上記N−グリコシル化活性が、MNS1活性である、項目30に記載の方法。
(項目34)
上記N−グリコシル化活性が、MNN9活性である、項目30に記載の方法。
(項目35)
上記少なくとも1つの修飾が、上記N−グリコシル化活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の欠失を含む、項目1〜34のいずれかに記載の方法。
(項目36)
上記少なくとも1つの修飾が、上記N−グリコシル化活性を有する突然変異形態のタンパク質の発現を含む、項目1〜35のいずれかに記載の方法。
(項目37)
上記少なくとも1つの修飾が、上記N−グリコシル化活性を有するタンパク質の機能的発現に干渉するRNA分子の導入または発現を含む、項目1〜36のいずれかに記載の方法。
(項目38)
上記少なくとも1つの修飾が、N−グリコシル化活性を有するタンパク質の発現を含む、項目1〜37のいずれかに記載の方法。
(項目39)
発現されるタンパク質が、上記細胞内の外因性核酸によってコードされたタンパク質である、項目38に記載の方法。
(項目40)
上記N−グリコシル化活性が、グルコシルトランスフェラーゼ活性である、項目38に記載の方法。
(項目41)
上記N−グリコシル化活性を有するタンパク質が、ALG6である、項目38〜40のいずれかに記載の方法。
(項目42)
上記N−グリコシル化活性を有するタンパク質が、アルファ−マンノシダーゼである、項目38に記載の方法。
(項目43)
上記アルファ−マンノシダーゼが、小胞体にターゲッティングされる、項目38に記載の方法。
(項目44)
上記N−グリコシル化活性を有するタンパク質が、アルファ−マンノシダーゼポリペプチドおよびHDEL小胞体貯留ペプチドを含む融合タンパク質である、項目42または43に記載の方法。
(項目45)
上記アルファ−マンノシダーゼが、5.1未満の最適pHを有する、項目42に記載の方法。
(項目46)
上記N−グリコシル化活性を有するタンパク質が、Man GlcNAc からグルコース残基を除去することができるタンパク質である、項目38に記載の方法。
(項目47)
上記N−グリコシル化活性を有するタンパク質が、アルファ−1,3−グルコシダーゼ活性を有するタンパク質である、項目38または46に記載の方法。
(項目48)
上記タンパク質が、グルコシダーゼIIである、項目46または47に記載の方法。
(項目49)
上記タンパク質が、グルコシダーゼIIのアルファおよびベータサブユニットの一方または両方を含む、項目46〜48のいずれか一項に記載の方法。
(項目50)
上記タンパク質が、ムタナーゼである、項目46に記載の方法。
(項目51)
上記細胞が、少なくとも2つの修飾N−グリコシル化活性を含むように遺伝子操作される、項目1に記載の方法。
(項目52)
上記少なくとも2つの修飾N−グリコシル化活性が、ALG3活性の欠損および高レベルのALG6活性を含む、項目51に記載の方法。
(項目53)
上記細胞が、少なくとも3つの修飾N−グリコシル化活性を含むように遺伝子操作される、項目1に記載の方法。
(項目54)
上記少なくとも3つの修飾N−グリコシル化活性が、ALG3活性の欠損;高レベルのALG6活性;および高レベルのグルコシダーゼII活性を含む、項目51に記載の方法。
(項目55)
上記N−グリコシル化活性を有するタンパク質が、外因性タンパク質である、項目38〜54のいずれかに記載の方法。
(項目56)
上記N−グリコシル化活性を有するタンパク質が、哺乳動物タンパク質である、項目38〜54のいずれかに記載の方法。
(項目57)
上記N−グリコシル化活性を有するタンパク質が、ヒトタンパク質である、項目56に記載の方法。
(項目58)
上記N−グリコシル化活性を有するタンパク質が、下等真核生物タンパク質である、項目38〜54のいずれか一項に記載の方法。
(項目59)
上記下等真核生物が、真菌、トリパノソーマ、または原生動物である、項目45に記載の方法。
(項目60)
上記下等真核生物が、Typanosoma brucei、Trichoderma harzianum、およびAspergillusからなる群より選択される、項目58に記載の方法。
(項目61)
上記修飾が、上記ターゲットタンパク質のマンノシルリン酸化を果たすことができるタンパク質またはその生物学的に活性な変異体の発現を含む、項目1〜60のいずれかに記載の方法。
(項目62)
上記マンノシルリン酸化を果たすことができるタンパク質またはその生物学的に活性な変異体が、MNN4である、項目61に記載の方法。
(項目63)
上記マンノシルリン酸化を果たすことができるタンパク質またはその生物学的に活性な変異体が、PNO1である、項目61に記載の方法。
(項目64)
上記マンノシルリン酸化を果たすことができるタンパク質またはその生物活性変体が、MNN6である、項目61に記載の方法。
(項目65)
糖タンパク質のマンノシル残基の少なくとも約30%が、リン酸化される、項目61〜64のいずれか一項に記載の方法。
(項目66)
上記細胞が、OCH1活性が欠損するように遺伝子操作されない、項目1〜65のいずれか一項に記載の方法。
(項目67)
上記糖タンパク質の追加のプロセッシングをさらに含む、項目1〜66のいずれかに記載の方法。
(項目68)
上記追加のプロセッシングが、インビトロで行われる、項目67に記載の方法。
(項目69)
上記追加のプロセッシングが、インビボで行われる、項目67に記載の方法。
(項目70)
上記追加のプロセッシングが、上記修飾糖タンパク質への異種部分の付加を含む、項目67〜69のいずれかに記載の方法。
(項目71)
上記異種部分が、ポリマーまたは担体である、項目55に記載の方法。
(項目72)
上記追加のプロセッシングが、上記改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質の酵素的または化学的処理を含む、項目67〜71のいずれかに記載の方法。
(項目73)
上記追加のプロセッシングが、マンノシダーゼ、マンナナーゼ、ホスホジエステラーゼ、グルコシダーゼまたはグリコシルトランスフェラーゼでの上記改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質の処理を含む、項目67に記載の方法。
(項目74)
上記追加のプロセッシングが、フッ化水素酸での上記改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質の処理を含む、項目72に記載の方法。
(項目75)
上記追加のプロセッシングが、上記改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質のリン酸化を含む、項目67〜74のいずれかに記載の方法。
(項目76)
項目1〜75のいずれかに記載の方法によって生産される、改変N−グリコシル化を有する単離されたタンパク質。
(項目77)
少なくとも1つの修飾N−グリコシル化活性を含むように遺伝子操作された、単離されたYarrowia lipolyticaまたはArxula adeninivorans細胞。
(項目78)
上記N−グリコシル化活性が、ALG3活性である、項目77に記載の単離された細胞。
(項目79)
上記N−グリコシル化活性が、OCH1活性である、項目77または78に記載の単離された細胞。
(項目80)
上記N−グリコシル化活性が、MNS1活性である、項目77〜79に記載の単離された細胞。
(項目81)
上記N−グリコシル化活性が、MNN9活性である、項目77〜79に記載の単離された細胞。
(項目82)
上記修飾が、上記N−グリコシル化活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の欠失を含む、項目77〜79に記載の単離された細胞。
(項目83)
上記修飾が、上記N−グリコシル化活性を有する突然変異形態のタンパク質の発現を含む、項目77〜79に記載の単離された細胞。
(項目84)
上記修飾が、上記N−グリコシル化活性を有するタンパク質の機能的発現に干渉するRNA分子の導入または発現を含む、項目77〜83に記載の単離された細胞。
(項目85)
上記修飾が、N−グリコシル化活性を有するタンパク質の発現を含む、項目77〜83に記載の単離された細胞。
(項目86)
上記N−グリコシル化活性が、グルコシルトランスフェラーゼ活性である、項目85に記載の単離された細胞。
(項目87)
上記N−グリコシル化活性を有するタンパク質が、ALG6である、項目85または86に記載の単離された細胞。
(項目88)
上記N−グリコシル化活性を有するタンパク質が、アルファ−マンノシダーゼである、項目85に記載の単離された細胞。
(項目89)
上記アルファ−マンノシダーゼが、小胞体にターゲッティングされる、項目88に記載の単離された細胞。
(項目90)
上記N−グリコシル化活性を有するタンパク質が、アルファ−マンノシダーゼポリペプチドおよびHDEL小胞体貯留ペプチドを含む融合タンパク質である、項目88または89に記載の単離された細胞。
(項目91)
上記N−グリコシル化活性を有するタンパク質が、Man GlcNAc からグルコース残基を除去することができるタンパク質である、項目85に記載の単離された細胞。
(項目92)
上記N−グリコシル化活性を有するタンパク質が、アルファ−1,3−グルコシダーゼ活性を有するタンパク質である、項目85または91に記載の単離された細胞。
(項目93)
上記タンパク質が、グルコシダーゼIIである、項目91または92に記載の単離された細胞。
(項目94)
上記タンパク質が、グルコシダーゼIIのアルファおよびベータサブユニットの一方または両方を含む、項目91〜93のいずれか一項に記載の単離された細胞。
(項目95)
上記タンパク質が、ムタナーゼである、項目91に記載の単離された細胞。
(項目96)
上記細胞が、少なくとも2つの修飾N−グリコシル化活性を含むように遺伝子操作される、項目77〜95のいずれか一項に記載の単離された細胞。
(項目97)
上記少なくとも2つの修飾N−グリコシル化活性が、ALG3活性の欠損および高レベルのALG6活性を含む、項目96に記載の単離された細胞。
(項目98)
上記細胞が、少なくとも3つの修飾N−グリコシル化活性を含むように遺伝子操作される、項目77〜97のいずれか一項に記載の単離された細胞。
(項目99)
上記少なくとも3つの修飾N−グリコシル化活性が、ALG3活性の欠損;高レベルのALG6活性;および高レベルのaグルコシダーゼII活性を含む、項目98に記載の単離された細胞。
(項目100)
上記細胞が、OCH1活性が欠損するように遺伝子操作されない、項目77〜99のいずれか一項に記載の単離された細胞。
(項目101)
上記N−グリコシル化活性を有するタンパク質が、ヒトタンパク質である、項目85〜100のいずれか一項に記載の単離された細胞。
(項目102)
上記修飾が、上記修飾糖タンパク質のマンノシルリン酸化を促進することができるタンパク質またはその生物学的に活性な変異体の発現を含む、項目77〜101のいずれかに記載の単離された細胞。
(項目103)
上記マンノシルリン酸化を果たすタンパク質またはその生物学的に活性な変異体が、MNN4である、項目102に記載の単離された細胞。
(項目104)
上記マンノシルリン酸化を果たすタンパク質またはその生物学的に活性な変異体が、PNO1である、項目103に記載の単離された細胞。
(項目105)
改変N−グリコシル化を有するタンパク質の投与によって治療することができる疾患を有するまたは有することが疑われる被験体に項目76に記載のタンパク質を投与することを含む、改変N−グリコシル化を有するタンパク質の投与によって治療することができる障害を治療する方法。
(項目106)
上記疾患が、代謝異常である、項目105に記載の方法。
(項目107)
上記代謝異常が、リソソーム貯蔵障害(LSD)である、項目106に記載の方法。
(項目108)
上記リソソーム貯蔵障害が、ゴーシェ病、テイ−サックス病、ポンペ病、ニーマン−ピック病、またはファブリ病である、項目107に記載の方法。
(項目109)
上記タンパク質が、LSDに関連したものである、項目105〜108のいずれかに記載の方法。
(項目110)
上記タンパク質が、グルコセレブロシダーゼまたはアルファ−ガラクトシダーゼである、項目109に記載の方法。
(項目111)
上記タンパク質が、アルファ−L−イズロニダーゼ、ベータ−D−ガラクトシダーゼ、ベータ−グルコシダーゼ、ベータ−ヘキソサミニダーゼ、ベータ−D−マンノシダーゼ、アルファ−L−フコシダーゼ、アリールスルファターゼB、アリールスルファターゼA、アルファ−N−アセチルガラクトサミニダーゼ、アスパルチルグルコサミニダーゼ、イズロネート−2−スルファターゼ、アルファ−グルコサミニド−N−アセチルトランスフェラーゼ、ベータ−D−グルコロニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、アルファ−L−マンノシダーゼ、アルファ−ノイラミニダーゼ、ホスホトランスフェラーゼ、酸性リパーゼ、酸性セラミダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、チオエステラーゼ、カテプシンK、およびリポタンパク質リパーゼからなる群より選択される、項目109に記載の方法。
(項目112)
上記被験体が、改変N−グリコシル化を有するタンパク質の投与によって治療することができる疾病を有するかどうかを決定することをさらに含む、項目105〜111のいずれかに記載の方法。
(項目113)
上記被験体がヒトである、項目105〜112のいずれかに記載の方法。
(項目114)
少なくとも1つの修飾N−グリコシル化活性を含むように遺伝子操作されたYarrowia lipolyticaまたはArxula adeninivorans細胞から調製された細胞溶解産物とターゲットタンパク質を接触させることを含み、該細胞溶解産物とターゲットタンパク質の接触が、結果として、改変されたN−グリコシル化形態の該ターゲットタンパク質を生じさせる、改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質を生産する方法。
(項目115)
N−グリコシル化活性を有する1つ以上のタンパク質とターゲットタンパク質を接触させることを含み、該N−グリコシル化活性を有する1つ以上のタンパク質が、少なくとも1つの修飾N−グリコシル化活性を含むように遺伝子操作されたYarrowia lipolyticaまたはArxula adeninivorans細胞から得られ、および該N−グリコシル化活性を有する1つ以上のタンパク質とターゲット分子の接触が、結果として、改変されたN−グリコシル化形態の該ターゲットタンパク質を生じさせる、改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質を生産する方法。
(項目116)
Yarrowia lipolyticaまたはArxula adeninivorans細胞の実質的に純粋な培養物であって、これらのうちの実質的な数が少なくとも1つの修飾N−グリコシル化活性を含むように遺伝子操作される、培養物。
(項目117)
細胞の1つ以上の亜集団を含有し、それぞれの亜集団が、異なる修飾グリコシル化活性を含む、項目87に記載の細胞の実質的に純粋な培養物。
(項目118)
配列番号1または配列番号2を含む、単離されたヌクレオチド配列。
(項目119)
配列番号1または配列番号2と少なくとも80%同一である配列を含む、単離されたヌクレオチド配列。
(項目120)
項目118または119に記載の単離されたヌクレオチド配列によってコードされたポリペプチド。
(項目121)
(a)配列番号1もしくは配列番号2の相補体に高ストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列;または
(b)該ヌクレオチド配列の相補体
を含む、単離された核酸。
(項目122)
項目118〜121のいずれかに記載の核酸配列を含むベクター。
(項目123)
項目118〜121のいずれかに記載の核酸配列を含む発現ベクター。
(項目124)
上記ポリペプチドを発現する、項目123に記載の発現ベクターを含む培養細胞または該細胞の子孫。
(項目125)
上記ポリペプチドの発現を可能にする条件下で項目124に記載の細胞を培養することを含む、タンパク質の生産方法。
(項目126)
上記細胞を培養した後、該細胞または該細胞を培養した培地から上記ポリペプチドを単離することをさらに含む、項目125に記載の方法。
酵母小胞体でのN−グリカン前駆体合成を示す略図である。コードされているタンパク質が図示酵素的変換を媒介する活性を有する遺伝子は、影付きの囲みの中である(例えば、ALG7;左上)。「UDP」および「UMP」は、それぞれ、ウリジン二リン酸およびウリジン一リン酸を指す。「GDP」および「GMP」は、それぞれ、グアノシン二リン酸およびグアノシン一リン酸を指す。「Gn」は、N−アセチルグルコサミンを指す。「M」は、単量体マンノースを指し、Gは、グルコースを指し、Piは、ホスフェートを指す。 酵母小胞体におけるN−グリカンプロセッシングを示す略図である。 S.cerevisiaeゴルジ装置におけるN−グリカンプロセッシングを示す略図である。コードされているタンパク質が図示酵素的変換を媒介する活性を有する遺伝子は、影付きの囲みの中である(例えば、OCH1;左中央)。 本明細書に記載する様々なN−グリカン構造の構造を示す略図である。 Yarrowia lipolyticaにおけるOCH1遺伝子破壊のためのクローニング戦略を示す略図である。「PCR」は、ポリメラーゼ連鎖反応を指す。 MNN9遺伝子破壊フラグメントのためのクローニング戦略を示す図である。「PCR」は、ポリメラーゼ連鎖反応を指す。 野生型Yarrowia lipolytica細胞またはグリコシル化突然変異体(例えば、Δoch1 cI9、Δmnn9 1およびΔoch1 Δmnn9)細胞およびMTLY60株細胞から得たマンノプロテインのN−グリカン分析を示す一連の電気泳動図である。場合によっては、前記N−グリカンをα−1,2マンノシダーゼでさらに処理した。分析は、DNAシーケンサー援用、蛍光体援用炭水化物電気泳動法(DSA−FACE)を用いて行った。「M5」、「M6」、「M7」、「M8」、および「M9」は、基礎N−アセチルグルコサミン構造にコンジュゲートしたマンノース残基の数を指す。Y軸は、マンノース構造のそれぞれについての量の指標としての相対蛍光単位を表す。X軸は、ゲルによるそれぞれの複合マンノース構造の相対移動度を表す。一番上の電気泳動図は、移動度準として使用するためのオリゴマルトースの分析である。 S.cerevisiae MNS1発現ベクターのためのクローニング戦略を示す略図である。「PCR」は、ポリメラーゼ連鎖反応を指す。 示されているとおりの野生型(WT)Mns1pまたは様々な突然変異形態(すなわち、R273G、R273L、またはR269S/S272G/R273L)のMns1pを発現しているMTLY60細胞から得た分泌糖タンパク質のN−グリカン分析を示す一連の電気泳動図である。分析は、DSA−FACEを用いて行った。「M5」、「M6」、「M7」、「M8」、「M9」は、基礎N−アセチルグルコサミン構造にコンジュゲートしたマンノース残基の数を指す。Y軸は、マンノース構造のそれぞれについての量の指標としての相対蛍光単位を表す。X軸は、ゲルによるそれぞれの複合マンノース構造の相対移動度を表す。一番上の電気泳動図は、移動度準として使用するためのオリゴマルトースの分析である。 MNN4発現ベクターのためのクローニング戦略を示す略図である。 示されているとおりの野生型MTLY60細胞またはグリコシル化突然変異細胞から得た分泌糖タンパク質のN−グリカン分析を示す一連の電気泳動図である。分析は、DSA−FACEを用いて行った。「M5」、「M6」、「M7」、「M8」、「M9」は、キトビオースコア構造にコンジュゲートしたマンノース残基の数を指す。「P」は、1つのリン酸残基を含有するマンノプロテインを指し、「PP」は、2つのリン酸残基を含有するマンノプロテインを指す。Y軸は、マンノース構造のそれぞれについての量の指標としての相対蛍光単位を表す。X軸は、ゲルによるそれぞれの複合マンノース構造の相対移動度を表す。一番上の電気泳動図は、移動度準として使用するためのオリゴマルトースの分析である。 α−ガラクトシダーゼ発現ベクターのためのクローニング戦略を示す略図である。 示されているとおりの野生型MTLY60細胞からまたはグリコシル化突然変異細胞の様々なクローンから得たマンノプロテインおよびホスホマンノプロテインのN−グリカン分析を示す一連の電気泳動図である。「alg3」は、その細胞がALG3ノックアウトであることを示す。「ALG6過発現」は、ALG6のタンパク質産物がその細胞において過発現されていることを示す。分析は、DSA−FACEを用いて行った。「M5」、「M6」、「M7」、「M8」、および「M9」は、基礎N−アセチルグルコサミン構造にコンジュゲートしたマンノース残基の数を指す。Y軸は、マンノース構造のそれぞれについての量の指標としての相対蛍光単位を表す。X軸は、ポリアクリルアミドゲルによるそれぞれの複合マンノース構造の相対移動度を表す。一番上の電気泳動図は、移動度準として使用するためのオリゴマルトースの分析である。 示されているとおりの野生型MTLY60細胞またはグリコシル化突然変異細胞の様々なクローンから得たマンノプロテインおよびホスホマンノプロテインのN−グリカン分析を示す一連の電気泳動図である。「alg3」は、その細胞がALG3ノックアウトであることを示す。「ALG6過発現」は、ALG6のタンパク質産物がその細胞において過発現されていることを示す。1つのピークは、RNAseBマーカーのManGlcNAcと同じ位置に生じ、α−1,2−マンノシダーゼ処理後に2グルコース単位およびアルファ−マンノシダーゼ(JB)消化後に4グルコース単位シフトする。これは、予想通りManGlcNAc構造と一致する。追加の2つのピークが約1および2グリコ単位離れて生じ、これらはa−1,2−マンノシダーゼ消化による影響を受けない。両方のピークが、a−マンノシダーゼ(JB)消化によって1グルコース単位シフトする。小さなシフトは、加された酵素、例えばJBマンノシダーゼ、のより高い塩濃度に起因する。分析は、DSA−FACEを用いて行った。「M5」、「M6」、「M7」、「M8」、および「M9」は、キトビオースコア構造にコンジュゲートしたマンノース残基の数を指す。Y軸は、マンノース構造のそれぞれについての量の指標としての相対蛍光単位を表す。X軸は、ゲルによるそれぞれの複合マンノース構造の相対移動度を表す。一番上の電気泳動図は、移動度準として使用するためのオリゴマルトースの分析である。 ゲノムHAC1 DNA配列(配列番号5)を有する小胞体ストレス反応(UPR)誘導株Yarrowia lipolyticaから得た、単離されたDNAフラグメント(配列番号1)配列の配列アラインメントである。枠で囲われた配列は、非常例的にスプライスされたイントロンに相当する。 Pichia pastorisおよびSaccharomyces cerevisiaeの予測5’(上部)および3’(下部)スプライス部位の一連の配列アラインメントである。太い下線が引かれたヌクレオチドは、ループ構造内に存在する。 DTT誘導(I)(配列番号2)および非誘導(NI)(配列番号6)Pichia pastoris培養物から得たHAC1 cDNAの配列アラインメントの2つの部分図である。 Pichia pastorisおよびSaccharomyces cerevisiaeの18アミノ酸C末端領域の配列アラインメントである。保存アミノ酸は、太字であり、下線が引かれている。 KAR2 mRNAの相対発現レベルの比較を示す棒グラフである。炭素源としてメタノールを用いてクローン3、4および5(Pichia pastoris GSM5細胞)を増殖させた。「3+」、「4+」、および「5+」は、炭素源としてメタノールを用いて増殖させたそれぞれのクローンを指し、これに対して「3−」、「4−」および「5−」は、炭素源としてグルコースを用いて増殖させたそれぞれのクローンを指す。Y軸は、実時間PCRを用いるKAR2遺伝子の相対発現を表す。 2つのPichia pastorisクローン(クローン6および8)におけるKar2およびHAC1 mRNAの相対発現レベルを示す棒グラフである。「6+」および「8+」は、炭素源としてメタノールを用いて増殖させたそれぞれのクローンを指し、これに対して「6−」および「8−」は、炭素源としてグルコースを用いて増殖させたそれぞれのクローンを指す。Y軸は、実時間PCRを用いるKAR2遺伝子の相対発現を表す。 MNN6発現ベクターのためのクローニング戦略を示す略図である。 示されているとおりのΔoch1 Y.lipolytica細胞、単独、またはYMNN6を発現しているΔoch1 Y.lipolyticaの様々なクローン(Z3、Z4、Z5、U5、U6およびU8)から得た糖タンパク質のN−グリカン分析を示す一連の電気泳動図である。分析は、DSA−FACEを用いて行った。Y軸は、マンノース構造のそれぞれについての量の指標としての相対蛍光単位を表す。X軸は、ゲルによるそれぞれの複合マンノース構造の相対移動度を表す。一番上の電気泳動図は、移動度準として使用するためのオリゴマルトースの分析である。 MFManHDEL発現ベクターのためのクローニング戦略を示す略図である。 示されているとおりのΔoch1 Y.lipolytica細胞、単独、またはMFManHDELを発現しているΔoch1 Y.lipolyticaの様々なクローン(9、11、10、3、5および6)から得た糖タンパク質のN−グリカン分析を示す一連の電気泳動図である。分析は、DSA−FACEを用いて行った。Y軸は、マンノース構造のそれぞれについての量の指標としての相対蛍光単位を表す。X軸は、ゲルによるそれぞれの複合マンノース構造の相対移動度を表す。一番上の電気泳動図は、移動度準として使用するためのオリゴマルトースの分析である。 LIP2preManHDEL発現ベクターのためのクローニング戦略を示す略図である。 示されているとおりのΔoch1 Y.lipolytica細胞、単独、またはLIP2ManHDELを発現しているΔoch1 Y.lipolyticaの様々なクローン(1、5、10および11)から得た糖タンパク質のN−グリカン分析を示す一連の電気泳動図である。分析は、DSA−FACEを用いて行った。「M5」、「M6」、「M7」、「M8」、および「M9」は、キトビオースコア構造にコンジュゲートしたマンノース残基の数を指す。Y軸は、マンノース構造のそれぞれについての量の指標としての相対蛍光単位を表す。X軸は、ゲルによるそれぞれの複合マンノース構造の相対移動度を表す。一番上の電気泳動図は、移動度準として使用するためのオリゴマルトースの分析である。 Yarrowia lipolytica(図27A;配列番号3)およびPichia pastoris(図27B;配列番号4)のHAC1タンパク質のアミノ酸配列である。 様々なYarrowia lipolytica細胞(MTLY60、MTLY60Δalg3およびMTL Y60Δalg3ALG6)培養物におけるLip2p過発現の結果を示す、クマブルー染色ポリアクリルアミドゲルの写真である。以下のサンプルをゲル中で分離した:レーン1(「ラダー」)、既知分子量のタンパク質の組み合わせ;レーン2(「WT」)、Lip2を過発現しているWT Yarrowia lipolytica細胞(MTLY60)から得たLip2pタンパク質;レーン3(「WT+PGase F」)、Lip2pを過発現しているWT Yarrowia lipolytica細胞から得て、PNGase F酵素で処理したLip2pタンパク質;レーン4(「alg3−ALG6」)、alg3が欠損しており、Lip2pとALG6の両方を過発現しているYarrowia細胞(MTLY60Δalg3ALG6)から得たLip2pタンパク質;レーン5(「alg3−ALG6+PNGase F」)、alg3が欠損しており、Lip2pとALG6の両方を過発現しているYarrowia細胞(MTLY60Δalg3ALG6)から得て、PNGase F酵素で処理したLip2pタンパク質;レーン6(「alg3」)、alg3が欠損しており、Lip2pを過発現しているYarrowia lipolytica細胞(MTLY60Δalg3)から得たLip2pタンパク質;レーン7(「alg3+PNGase F」)、PNGase F酵素で処理した、alg3が欠損しており、Lip2pを過発現しているYarrowia lipolytica細胞(MTLY60Δalg3)から得たLip2pタンパク質;レーン8(「Lip2p過発現を伴わないWT」)、MTLY60細胞から得たタンパク質;およびレーン9(「Lip2p過発現なし+PNGase FのWT」)、MTLY60細胞から得、PNGase F酵素で処理したタンパク質。 示されているとおりの様々なYarrowia lipolytica細胞(WT(MTLY60);Δalg3;Δalg3 ALG6過発現;およびY.lipolytica(Yl)またはTrypanosoma brucei(Tb)由来のグルコシダーゼIIのアルファサブユニットと共にALG6を過発現するΔalg3のクローン)から得た糖タンパク質のN−グリカン分析を示す一連の電気泳動図である。分析は、DSA−FACEを用いて行った。「M5」、「M6」、「M7」、「M8」、および「M9」は、キトビオースコア構造にコンジュゲートしたマンノース残基の数を指す。Y軸は、マンノース構造のそれぞれについての量の指標としての相対蛍光単位を表す。X軸は、ゲルによるそれぞれの複合マンノース構造の相対移動度を表す。一番上の電気泳動図は、移動度準として使用するためのオリゴマルトースの分析である。一番下の電気泳動図は、RNAse Bの分析である。 示されているとおりの様々なYarrowia lipolytica細胞(Δalg3;Δalg3 ALG6過発現;およびHDEL配列を含有するY.lipolytica(Yl)由来のグルコシダーゼIIのアルファサブユニットと共にALG6を過発現しているΔalg3のクローン)から得た糖タンパク質のN−グリカン分析を示す一連の電気泳動図である。分析は、DSA−FACEを用いて行った。Y軸は、マンノース構造のそれぞれについての量の指標としての相対蛍光単位を表す。X軸は、ゲルによるそれぞれの複合マンノース構造の相対移動度を表す。 示されているとおりの様々なYarrowia lipolytica細胞(Δalg3;Δalg3 ALG6過発現;およびHDEL配列を含有するTrypanosoma brucei(Tb)由来のグルコシダーゼIIのアルファサブユニットと共にALG6を過発現しているΔalg3のクローン)から得た糖タンパク質のN−グリカン分析を示す一連の電気泳動図である。分析は、DSA−FACEを用いて行った。Y軸は、マンノース構造のそれぞれについての量の指標としての相対蛍光単位を表す。X軸は、ゲルによるそれぞれの複合マンノース構造の相対移動度を表す。 示されているとおりの異なる濃度のムタナーゼでインビトロで処理したalg3ALG6 Yarrowia lipolytica細胞から得た糖タンパク質のN−グリカン分析を示す一連の電気泳動図である。分析は、DSA−FACEを用いて行った。Y軸は、マンノース構造のそれぞれについての量の指標としての相対蛍光単位を表す。X軸は、ゲルによるそれぞれの複合マンノース構造の相対移動度を表す。一番上の電気泳動図は、移動度準として使用するためのオリゴマルトースの分析である。一番下の電気泳動図は、RNAse Bの分析である。 示されているとおりの様々なYarrowia lipolytica細胞(Δalg3;Δalg3 ALG6過発現;およびHp4dまたはTEFプロモーターの制御下で発現されたY.lipolytica(Y.l.)からのグルコシダーゼIIのアルファサブユニットおよびY.l.からのグルコシダーゼIIのベータサブユニットと共にALG6を過発現しているΔalg3のクローン)から得た糖タンパク質のN−グリカン分析を示す一連の電気泳動図である。Y軸は、マンノース構造のそれぞれについての量の指標としての相対蛍光単位を表す。X軸は、ゲルによるそれぞれの複合マンノース構造の相対移動度を表す。一番上の電気泳動図は、移動度準として使用するためのオリゴマルトースの分析である。一番下の電気泳動図は、RNAse Bの分析である。 示されているとおりの様々なYarrowia lipolytica細胞(Δalg3 ALG6過発現;およびHp4dまたはTEFプロモーターの制御下で発現されたY.lipolytica(Y.l.)からのグルコシダーゼIIのHDEL含有アルファサブユニットおよびY.l.からのグルコシダーゼIIのベータサブユニットと共にALG6を過発現しているΔalg3のクローン)から得た糖タンパク質のN−グリカン分析を示す一連の電気泳動図である。分析は、DSA−FACEを用いて行った。Y軸は、マンノース構造のそれぞれについての量の指標としての相対蛍光単位を表す。X軸は、ゲルによるそれぞれの複合マンノース構造の相対移動度を表す。一番上の電気泳動図は、移動度準として使用するためのオリゴマルトースの分析である。一番下の電気泳動図は、RNAse Bの分析である。 示されているとおりの様々なYarrowia lipolytica細胞(Δalg3、ならびにTEFプロモーターの制御下で発現されたY.lipolytica(Y.l.)からのグルコシダーゼIIのアルファサブユニットおよびY.l.からのグルコシダーゼIIのベータサブユニット発現しているΔalg3のクローン)から得た糖タンパク質のN−グリカン分析を示す一連の電気泳動図である。Y軸は、マンノース構造のそれぞれについての量の指標としての相対蛍光単位を表す。X軸は、ゲルによるそれぞれの複合マンノース構造の相対移動度を表す。一番上の電気泳動図は、移動度準として使用するためのオリゴマルトースの分析である。一番下の電気泳動図は、RNAse Bの分析である。 Yarrowia lipolyticaにおける発現のためのコドン最適化cDNAである、成熟形態のAspergillus niger(シグナルペプチドを欠失)グルコシダーゼIIαをコードするcDNAのヌクレオチド配列(配列番号7)の図示である。 Yarrowia lipolyticaにおける発現のためのコドン最適化cDNAである、成熟形態のAspergillus niger(シグナルペプチド欠失)グルコシダーゼIIβをコードするcDNAのヌクレオチド配列(配列番号8)の図示である。 示されているとおりの様々なYarrowia lipolytica細胞(Δalg3、およびTEFまたはhp4dプロモーターの制御下で発現されたAspergillus niger(An)からのグルコシダーゼIIのアルファサブユニットと共に過発現しているALG6)から得た糖タンパク質のN−グリカン分析を示す一連の電気泳動図である。Y軸は、マンノース構造のそれぞれについての量の指標としての相対蛍光単位を表す。X軸は、ゲルによるそれぞれの複合マンノース構造の相対移動度を表す。一番上の電気泳動図は、移動度準として使用するためのオリゴマルトースの分析である。一番下の電気泳動図は、RNAse Bの分析である。 WT(MTLY60)Yarrowia lipolytica細胞におけるまたはhp4dプロモーターの発現制御下のスプライスされた形態のHAC1 cDNAを含有するYarrowia lipolytica細胞の2つのクローン(クローン7およびクローン2)におけるHAC1(39A)またはKAR(39B)遺伝子の相対発現レベル(Y軸)を示す一対の棒グラフである。 空ベクターで形質転換された野生型Pichia pastoris GS115細胞の増殖を、Hac1pタンパク質を発現しているPichia pastoris GS115細胞の増殖と比較して示す線グラフである。 mIL−10タンパク質を発現するPichia pastoris GS115細胞の培養物からのマウスIL−10(mIL−10)タンパク質の発現レベルと、誘導性プロモーター、AOX1の制御下でPichia pastoris由来のスプライスされたHAC1タンパク質およびmIL−10を発現するGS115細胞の培養物から得たmIL−10タンパク質の発現とを比較する、クマブルー染色ポリアクリルアミドゲルの写真である。以下のサンプルをゲル中で分離した:レーン1(「ラダー」)、既知分子量のタンパク質の組み合わせ;レーン2(「参照」)参照mIL−10発現Pichia pastoris株(GS115)から得たタンパク質;レーン3(「参照」)、参照mIL−10発現Pichia pastoris株からそれらのタンパク質のPNGase F酵素処理後に得たタンパク質;レーン4(「クローン1」)、HAC1タンパク質を誘導可能に発現するmIL−10発現Pichia pastoris細胞から得たタンパク質;レーン5(「クローン1」)、HAC1タンパク質を誘導可能に発現するmIL−10発現Pichia pastoris細胞から、そのタンパク質のPNGase F酵素での処理後に得たタンパク質;レーン6(「クローン2」)、HAC1タンパク質1を誘導可能に発現するmIL−10発現Pichia pastoris細胞から得たタンパク質;レーン7(「クローン2」)、HAC1タンパク質を誘導可能に発現するmIL−10発現Pichia pastoris細胞から、それらのタンパク質のPNGase F酵素での処理後に得たタンパク質。 LIP2 preシグナル配列を含有する、Yarrowia lipolyticaにおける発現のためにコドンが最適化された、Trichoderma reesei α−1,2マンノシダーゼをコードする、具体例としてのcDNA配列のヌクレオチド配列(配列番号9)の図示である。 Yarrowia lipolyticaのGAPプロモーターについての具体例としてのヌクレオチド配列のヌクレオチド配列(配列番号10)の図示である。 Trichoderma reesei α−1,2マンノシダーゼをコードし、Yarrowia lipolyticaにおける発現のためにコドンが最適化されており、且つ、LIP2 preシグナル配列を含有する、cDNA配列を含有する、発現ベクターpYLHUXdL2preManHDELについての具体例としての核酸配列のヌクレオチド配列(配列番号11)の図示である。 Trichoderma reesei α−1,2マンノシダーゼをコードし、Yarrowia lipolyticaにおける発現のためにコドンが最適化されており、且つ、LIP2 preシグナル配列を含有する、cDNA配列を含有する、発現ベクターpYLGUXdL2preManHDELについての具体例としての核酸配列のヌクレオチド配列(配列番号12)の図示である。 Trichoderma reesei α−1,2マンノシダーゼをコードし、Yarrowia lipolyticaにおける発現のためにコドンが最適化されており、且つ、LIP2 preシグナル配列を含有する、cDNA配列を含有する、発現ベクターpYLPUXdL2preManHDELについての具体例としての核酸配列のヌクレオチド配列(配列番号13)の図示である。 Trichoderma reesei α−1,2マンノシダーゼをコードし、Yarrowia lipolyticaにおける発現のためにコドンが最適化されており、且つ、LIP2 preシグナル配列を含有する、cDNA配列を含有する、発現ベクターpYLTUXdL2preManHDELについての具体例としての核酸配列のヌクレオチド配列(配列番号14)の図示である。 示されているとおりの異なる発現ベクター:「hp4dL2ManHDEL」(pYLHUXdL2preManHDEL、図44A−44C);「GAPL2ManHDEL」(pYLGUXdL2preManHDEL、図45A−45C);「TEF1L2ManHDEL」(pYLTUXdL2preManHDEL、図47A−47C)で形質転換されたYarrowia lipolytica細胞から得た糖タンパク質のN−グリカン分析を示す一連の電気泳動図である。Y軸は、マンノース構造のそれぞれについての量の指標としての相対蛍光単位を表す。X軸は、ゲルによるそれぞれの複合マンノース構造の相対移動度を表す。一番上の電気泳動図は、移動度準として使用するためのデキストランの分析である。一連の二番目の電気泳動図は、RNAse Bの分析である。 安定して組み込まれた発現ベクターpYLTUXdL2preManHDEL(図47A−47C)を含有するYarrowia lipolytica MTLY60Δoch1細胞から得た糖タンパク質のN−グリカン分析を示す一連の電気泳動図である。糖タンパク質サンプルは、細胞培養物から24、48、72および96時間の時点で得た。一番上の電気泳動図は、移動度準として使用するためのデキストランの分析である。一連の二番目の電気泳動図は、RNAse Bの分析である。 Yarrowia lipolyticaにおける発現用のコドン最適化cDNAとして化学合成した、ヒトグルコセレブロシダーゼについての具体例としての核酸配列(GLCM、Swiss Prot entry nr:P04062;配列番号15)である。 Yarrowia lipolytica株MTLY60(WT;レーン4および6)およびMTLY60Δoch1(Δoch1;最初の3つのレーン)において発現されたヒトグルコセレブロシダーゼの移動パターンを示す免疫ブロットの写真である。これらのタンパク質の分子量(kDa)を、分子量マーカーにより、この免疫ブロットの右端に示す。 Yarrowia lipolyticaにおける発現用のコドン最適化cDNAとして化学合成した、ヒトエリスロポエチンについての具体例としての核酸配列(Epo、Swiss Prot entry nr:P01588;配列番号16)である。 Yarrowia lipolyticaにおける発現用のコドン最適化cDNAとして化学合成した、ヒトα−ガラクトシダーゼAについての具体例としての核酸配列(AGAL、Swiss Prot entry nr:P06280;配列番号17)である。 野生型Pichia pastoris細胞またはスプライスされた形態のHac1pタンパク質を過発現しているPichia pastoris細胞の一連の電子顕微鏡写真である。細胞内に離散した積層脂質膜領域を枠で囲う。 示されているとおりのWT Yarrowia lipolytica細胞(pol1d)およびにアルファ−1,2−マンノシダーゼとHDEL配列の融合タンパク質を発現しているYarrowia lipolytica細胞から得た糖タンパク質のN−グリカン分析を示す一連の電気泳動図である。分析は、DSA−FACEを用いて行った。「M5」、「M6」、「M7」、「M8」、および「M9」は、キトビオースコア構造にコンジュゲートしたマンノース残基の数を指す。Y軸は、マンノース構造のそれぞれについての量の指標としての相対蛍光単位を表す。X軸は、ゲルによるそれぞれの複合マンノース構造の相対移動度を表す。一番上の電気泳動図は、RNAse Bの分析である。一番下の電気泳動図は、移動度準として使用するためのオリゴマルトースの分析である。
本明細書に記載する方法および遺伝子操作細胞は、遺伝子操作されていない細胞において生産されたN−グリコシル化形態のターゲット分子と比較して改変されたN−グリコシル化形態を有するターゲット分子(例えば、ターゲットタンパク質またはターゲットドリコール)を生産するために用いることができる。代謝異常(例えば、リソソーム貯蔵障害)を有する患者へのグリコシル化ターゲット分子(例えば、グリコシル化タンパク質)の投与がそれらの疾患の症状を改善することは証明されている。従って、記載する方法および細胞は、とりわけ代謝異常、例えばリソソーム貯蔵障害、の治療のための改変N−グリコシル化ターゲット分子の調製に有用である。そのような改変N−グリコシル化分子は、多種多様な他の分野、例えば、ほんの少し例を挙げれば、食品および飲料産業;製薬産業(例えば、ワクチン);農産業;および化学産業、においても有用である。
改変N−グリコシル化分子
本明細書において用いる場合、ターゲット分子は、遺伝子操作細胞(例えば、真菌細胞、例えばYarrowia lipolyticaもしくはArxula adeninivorans(もしくは他の関連種二相性酵母)細胞;植物細胞;または動物細胞)からの1つ以上のN−グリコシル化活性によって改変N−グリコシル化を受ける任意の分子を指す。一部の実施形態では、前記ターゲット分子をYarrowia lipolyticaまたはArxula adeninivorans(または他の関連種二相性酵母)分泌経路の1つ以上の工程によって輸送することができ、その結果、その宿主細胞機械によってそれらの改変N−グリコシル化が生ずる。前記ターゲット分子は、内因性である場合もあり、または外因性である場合もある。
ターゲットタンパク質、それらの生物学的に活性フラグメント、またはそれらの生物学的に活性変異体は、上で説明したように付加、欠失または置換を含有するタンパク質を含む場合がある。適するターゲットタンパク質としては、病原体タンパク質(例えば、破傷風トキソイド;ジフテリアトキソイド;ウイルス表面タンパク質(例えば、サイトメガロウイルス(CMV)糖タンパク質B、HおよびgCIII;ヒト免疫不全ウイルス(HIV−1)エンベロープ糖タンパク質;ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンベロープ糖タンパク質;単純疱疹ウイルス(HSV)エンベロープ糖タンパク質;エプスタイン−バーウイルス(EBV)エンベロープ糖タンパク質;水痘−帯状疱疹ウイルス(VZV)エンベロープ糖タンパク質;ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)エンベロープ糖タンパク質;インフルエンザウイルス糖タンパク質;ならびに肝炎ファミリー表面抗原)、リソソームタンパク質(例えば、グルコセレブロシダーゼ、セレブロシダーゼ、またはガラクトセレブロシダーゼ)、インスリン、グルカゴン、成長因子、サイトカイン、ケモカイン、抗体もしくはそのフラグメント、または前記タンパク質のいずれかと抗体もしくは抗体のフラグメントとの融合体(例えば、タンパク質−Fc)が挙げられる。成長因子としては、例えば、血管内皮成長因子(VEGF)、インスリン様成長因子(IGF)、骨形成タンパク質(BMP)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、神経成長因子(NGF)、ニューロトロフィン、血小板由来成長因子(PDGF)、エリスロポエチン(EPO)、トロンボポエチン(TPO)、ミオスタチン(GDF−8)、増殖分化因子−9(GDF9)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGFまたはFGF2)、上皮増殖因子(EGF)、肝細胞増殖因子(HGF)が挙げられる。サイトカインとしては、例えば、インターロイキン(例えば、IL−1からIL−33(例えば、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−12、IL−13、またはIL−15))が挙げられる。ケモカインとしては、例えば、I−309、TCA−3、MCP−1、MIP−1α、MIP−1β、RANTES、C10、MRP−2、MARC、MCP−3、MCP−2、MRP−2、CCF18、MIP−1γ、エオタキシン、MCP−5、MCP−4、NCC−1、Ckβ10、HCC−1、ロイコタクチン−1、LEC、NCC−4、TARC、PARC、またはエオタキシン−2が挙げられる。腫瘍糖タンパク質(例えば、腫瘍関連抗原)、例えば、癌胎児抗原(CEA)、ヒトムチン、HER−2/neu、および前立腺特異抗原(PSA)[R.A.Henderson and O.J.Finn,Advances in Immunology,62,pp.217−56(1996)]も挙げられる。一部の実施形態において、前記ターゲットタンパク質は、リソソーム貯蔵障害に関連したものである場合があり、このターゲットタンパク質としては、例えば、アルファ−L−イズロニダーゼ、ベータ−D−ガラクトシダーゼ、ベータ−グルコシダーゼ、ベータ−ヘキソサミニダーゼ、ベータ−D−マンノシダーゼ、アルファ−L−フコシダーゼ、アリールスルファターゼB、アリールスルファターゼA、アルファ−N−アセチルガラクトサミニダーゼ、アスパルチルグルコサミニダーゼ、イズロネート−2−スルファターゼ、アルファ−グルコサミニド−N−アセチルトランスフェラーゼ、ベータ−D−グルコロニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、アルファ−L−マンノシダーゼ、アルファ−ノイラミニダーゼ、ホスホトランスフェラーゼ、酸リパーゼ、酸セラミダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、チオエステラーゼ、カテプシンK、およびリポタンパク質リパーゼが挙げられる。
ターゲットタンパク質は、融合タンパク質である場合もある。融合タンパク質としては、例えば、(i)本明細書に記載する任意のタンパク質またはそのフラグメントと(ii)抗体またはそのフラグメントとの融合体が挙げられる。本明細書において用いる場合、用語「抗体フラグメント」は、抗原結合フラグメント、例えば、Fab、F(ab’)、Fvおよび単鎖Fv(scFv)フラグメントを指す。scFvフラグメントは、そのscFvが由来する抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域の両方を含む1本のポリペプチド鎖である。加えて、ダイアボディー[Poljak(1994)Structure 2(12):1121−1123;Hudsonら(1999)J.Immunol.Methods 23(1−2):177−189(この両方の開示は、それら全体が参照により本明細書に援用されている]およびイントラボディー[Hustonら(2001)Hum.Antibodies 10(3−4):127−142;Wheelerら(2003)Mol.Ther.8(3):355−366;Stocks(2004)Drug Discov.Today 9(22):960−966(これらのすべての開示は、それら全体が参照により本明細書に援用されている]を本発明の方法において用いることができる。
ターゲットタンパク質をポリマー、担体、アジュバント、免疫毒素または検出可能(例えば、蛍光、発光もしくは放射性)部分の一つ以上に連結させることもできる。例えば、ターゲットタンパク質をポリエチレングリコール(このポリマー部分を用いることができる)に連結させて、例えば、小タンパク質の分子量を増加させることおよび/または循環滞留時間を増加させることができる。
一部の実施形態において、前記ターゲット分子は、ドリコールである、またはドリコールを含有する、場合がある。
遺伝子操作細胞
少なくとも1つの修飾N−グリコシル化活性を有する遺伝子操作細胞を本明細書に開示し、これらの細胞は、改変N−グリコシル化形態を有する1つ以上のターゲット分子の生産に有用である。遺伝子操作に適する細胞としては、例えば、真菌細胞(例えば、Yarrowia lipolyticaもしくは本明細書に記載する任意の他の関連二相性酵母細胞)、植物細胞、または動物細胞(例えば、線虫、昆虫、植物、鳥類、爬虫類、または哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、アレチネズミ、イヌ、ネコ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマ、クジラ、サルもしくはヒト))が挙げられる。前記細胞は、初代細胞、不死化細胞、または形質転換細胞である場合がある。前記細胞は、動物、例えば、非ヒト哺乳類におけるものである場合がある。そのような細胞は、本明細書に明記するような遺伝子操作に先立ち、様々な市場の供給業者および研究資源施設、例えば米国微生物系統保存機関(the American Type Culture Collection(Rockville,MD))などから得ることができる。ターゲット分子としては、タンパク質、例えば、本明細書に記載するターゲットタンパク質のいずれか(上記参照)が挙げられる。ターゲット分子としては、ドリコールも挙げられる。
細胞の遺伝子操作としては、遺伝子修飾、例えば、(i)N−グリコシル化活性を有するタンパク質をコードする内因性遺伝子の欠失;(ii)N−グリコシル化活性を有する突然変異形態のタンパク質(例えば、内因性または外因性タンパク質)をコードする(すなわち、N−グリコシル化活性を有する突然変異タンパク質を発現する)組換え核酸の導入;(iii)N−グリコシル化活性を有するタンパク質の機能的発現に干渉するRNA分子の導入または発現;(iv)N−グリコシル化活性を有する野生型(例えば、内因性または外因性)タンパク質をコードする(すなわち、N−グリコシル化活性を有するタンパク質を発現する)組換え核酸の導入;または(v)N−グリコシル化活性を有するタンパク質をコードする1つ以上の内因性遺伝子のプロモーターエレメントもしくはエンハンサーエレメントを改変して、例えば、それらのコードされたタンパク質の発現を改変することが挙げられる。RNA分子としては、例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、アンチセンスRNA、またはマイクロRNA(miRNA)が挙げられる。項目(ii)が、例えば、内因性遺伝子の(例えば、相同組換えによる)、そのように置換される内因性遺伝子に比べて大きいN−グリコシル化活性を有するタンパク質をコードする遺伝子での置換を含むことは、理解される。遺伝子操作としては、N−グリコシル化活性を有するタンパク質をコードする内因性遺伝子を、付加(例えば、異種配列)、欠失、または置換(例えば、突然変異、例えば点突然変異;保存的または非保存的突然変異)を有するタンパク質を生産するように改変することも挙げられる。突然変異は、特異的に導入することができ(例えば、部位特異的突然変異誘発または相同組換え;添付の実施例参照)、またはランダムに導入することもできる(例えば、細胞を、例えばNewman and Ferro−Novick(1987)J.Cell Biol.105(4):1587(この開示は、その全体が参照により本明細書に援用されている)に記載されているように、化学的に突然変異誘発することができる)。
本明細書に記載する遺伝子修飾は、結果として、(i)遺伝子修飾された細胞における1つ以上のN−グリコシル化活性の増加、(ii)遺伝子修飾された細胞における1つ以上のN−グリコシル化活性の減少、(iii)遺伝子修飾された細胞における1つ以上のN−グリコシル化活性の局在もしくは細胞内分布の変化、または(iv)遺伝子修飾細胞における1つ以上のN−グリコシル化活性の比率の変化のうちの1つ以上を生じさせることができる。N−グリコシル化活性の量の増加が、N−グリコシル化活性を有する1つ以上のタンパク質の過発現に起因する場合もあり、内因性遺伝子のコピー数の増加(例えば、遺伝子重複)に起因する場合もあり、またはその遺伝子によってコードされたタンパク質の発現の増加を刺激する内因性遺伝子のプロモータもしくはエンハンサーの改変に起因する場合もあることは理解される。1つ以上のN−グリコシル化活性の減少は、N−グリコシル化改変活性を有する突然変異形態(例えば、ドミナントネガティブ形態)の1つ以上のタンパク質の過発現に起因する場合もあり、N−グリコシル化活性を有する1つ以上のタンパク質の発現を減少させる1つ以上の干渉RNA分子の導入もしくは発現に起因する場合もあり、またはN−グリコシル化活性を有するタンパク質をコードする1つ以上の内因性遺伝子の欠失に起因する場合もある。
1つ以上の内因性遺伝子を欠失させるまたは破壊する方法は、添付の実施例において説明する。例えば、相同組換えによって遺伝子を破壊するために、選択可能マーカー遺伝子を含めるような方法で「遺伝子置換」ベクターを構築することができる。選択可能マーカー遺伝子は、相同組換えを媒介するために十分な長さの遺伝子の部分の5’末端と3’末端の両方に、作動可能に連結させることができる。前記選択可能マーカーは、宿主細胞栄養要求を補足するか、抗生物質抵抗性をもたらす任意の数の遺伝子(URA3、LEU2およびHIS3遺伝子を含む)の1つであり得る。他の適する選択可能マーカーとしては、酵母細胞にクロラムフェニコール耐性を付与するCAT遺伝子、またはβ−ガラクトシダーゼの発現に起因してブルーコロニーを生じさせるlacZ遺伝子が挙げられる。その後、当該技術分野において周知の方法を用いて、遺伝子置換ベクターの線形化DNAフラグメントを細胞に導入する(下記参照)。ゲノムへの線形フラグメントの組み込みおよび遺伝子の破壊は、選択マーカーに基づいて定することができ、ならびに例えばサザンブロット分析によって、検証することができる。
添付の実施例において詳述するように、選択可能マーカーは、選択にそれを使用した後、例えば、Cre−loxP系(下記参照)によって、宿主細胞のゲノムから除去することができる。
あるいは、遺伝子の破壊される部分を含むように遺伝子置換ベクターを構築することができ、前記部分には内因性遺伝子プロモーター配列が一切無く、また前記部分は、その遺伝子のコーディング配列のフラグメントを一切コードしない、または前記配列の不活性フラグメントをコードする。「不活性フラグメント」は、その遺伝子の完全長コーディング配列から生成されるタンパク質の、例えば、約10%未満(例えば、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、または0%)の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子のフラグメントである。遺伝子のそのような部分をベクターに、いずれの既知プロモーター配列もその遺伝子配列に作動可能に連結されないが、停止コドンおよび転写終結配列がその遺伝子配列のその部分に作動可能に連結されるように挿入する。その後、このベクターのその遺伝子配列のその部分を線形化し、細胞に形質転換する。単一相同組換えによって、その後、この線形化ベクターをその遺伝子の内因性対応物に組み込む。
発現ベクターは、自律型である場合もあり、または組込み型である場合もある。
組換え核酸(例えば、N−グリコシル化活性を有する野生型または突然変異形態のタンパク質をコードするもの)は、細胞に導入される際、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミドまたはウイルス粒子などの発現ベクターの形態である場合がある。その組換え核酸は、染色体外に維持される場合もあり、または酵母細胞染色体DNAに組み込まれる場合もある。発現ベクターは、所望の核酸で形質転換された細胞の検出および/または選択を可能にするために、選択された条件下で細胞生存能に必要なタンパク質をコードする選択マーカー遺伝子(例えば、ウラシル生合成に必要な酵素をコードするURA3、またはトリプトファン生合成に必要な酵素をコードするTRP1)を含有する場合がある(例えば、米国特許第4,704,362号参照)。発現ベクターは、自律複製配列(ARS)を含む場合もある。例えば、米国特許第4,837,148号には、Pichia pastorisにおいてプラスミドを維持するために適する手段となる自律複製配列が記載されている。米国特許第4,837,148号の開示は、その全体が参照により本明細書に援用されている。
組込みベクターは、例えば、米国特許第4,882,279号に開示されている(この開示は、その全体が参照により本明細書に援用されている)。組込みベクターは、少なくとも第一の挿入可能DNAフラグメント、選択可能マーカー遺伝子および第二の挿入可能DNAフラグメントが連続的に配置された配列を一般に含む。前記第一および第二挿入可能DNAフラグメントは、それぞれ、長さが約200(例えば、約250、約300、約350、約400、約450、約500、または約1000以上)ヌクレオチドであり、ならびに形質転換される種のゲノムDNAの部分に相同なヌクレオチド配列を有する。発現の対象となる遺伝子(例えば、N−グリコシル化活性を有するタンパク質をコードする遺伝子)を含有するヌクレオチド配列を、このベクターの、マーカー遺伝子の前であろうと、後ろであろうと、第一挿入可能DNAフラグメントと第二挿入可能フラグメントの間に挿入する。組込みベクターを酵母形質転換前に線形化して、対象となるヌクレオチド配列の宿主細胞ゲノムへの組み込みを助長することができる。
発現ベクターは、酵母において発現され得る、酵母(例えば、Yarrowia lipolytica、Arxula adeninivorans、または他の関連二相性酵母種)プロモーターの制御下にある組換え核酸を特徴とし得る。適する酵母プロモーターとしては、例えば、ADC1、TPI1、ADH2、hp4d、POX、およびGal10(例えば、Guarenteら(1982)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79(23):7410参照)プロモーターが挙げられる。追加の適するプロモーターは、例えば、Zhu and Zhang(1999)Bioinformatics 15(7−8):608−611および米国特許第6,265,185号に記載されており、これらのそれぞれの開示は、それら全体が参照により本明細書に援用されている。発現ベクターを動物細胞、例えば哺乳動物細胞、に導入することとなる場合、その発現ベクターは、対象となる宿主細胞における発現に適する動物細胞プロモーターの制御下にある組換え核酸を特徴とし得る。哺乳動物プロモーターの例としては、例えば、SV40またはサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターが挙げられる。
プロモーターは、構成的である場合もあり、誘導性(条件付き)である場合もある。構成プロモーターは、その発現が標準培養条件下で一定であるプロモーターであると解釈する。誘導性プロモーターは、1つ以上の誘導キューに反応するプロモーターである。例えば、誘導性プロモーターは、化学的に調節される場合もあり(例えば、その転写活性が、化学的誘導剤、例えばアルコール、テトラサイクリン、ステロイド、金属、または他の小分子、の存在または不在によって調節されるプロモーター)、または物理的に調節される場合もある(例えば、その転写活性が、物理的誘導因子、例えば光または高もしくは低温、の存在または不在によって調節されるプロモーター)。誘導性プロモーターは、化学的または物理的キューによってそれら自体が直接調節される1つ以上の転写因子によって、間接的に調節される場合もある。
細胞の遺伝子操作としては、宿主細胞内に存在するが、通常はそれらの細胞において発現されない、またはそれらの細胞において有意なレベルで発現されない内因性遺伝子(例えば、N−グリコシル化活性を有するタンパク質をコードする遺伝子)を活性化することも挙げられる。例えば、内因性遺伝子の調節配列(例えば、遺伝子プロモーターまたはエンハンサー)を、その作動可能に連結されたコーディング配列が発現増加を示すように、修飾することができる。相同組換えまたはターゲッティングは、遺伝子に通常随伴する調節領域を、遺伝子操作されていない対応する細胞で明らかであるレベルより高いレベルで遺伝子を発現させる、または遺伝子修飾されていない対応する細胞で明らかであるパターンとは異なる調節もしくは誘導パターンを遺伝子に示させる調節配列で置換または無力化するために用いることができる。遺伝子の調節配列(例えば、プロモーターまたはエンハンサー)の改変の導入に適する方法は、例えば、米国特許出願公開第20030147868号に記載されており、この開示はその全体が参照により本明細書に援用されている。
他の遺伝子操作修飾も条件付きである場合があるが理解される。例えば、Cre−loxP系(例えば、Gossenら(2002)Ann.Rev.Genetics 36:153−173および米国特許出願公開第2006014264号参照。これらのそれぞれの開示はそれら全体が参照により本明細書に援用されている)などの部位特異的DNAコンビナーゼを使用して、条件付きで遺伝子を欠失させることができる。
様々な方法、例えば、スフェロプラスト技術または全細胞塩化リチウム酵母形質転換法を用いて、本明細書に記載する細胞に組換え核酸を導入することができる。細胞へのプラスミドまたは線形核酸ベクターの形質転換に有用な他の方法は、例えば、米国特許第4,929,555号;Hinnenら(1978)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 75:1929;Itoら(1983)J.Bacteriol.153:163;米国特許第4,879,231号;およびSreekrishnaら(1987)Gene 59:115に記載されており、これらのそれぞれの開示はそれら全体が参照により本明細書に援用されている。regg and Russel,Methods in Molecular Biology:Pichia Protocols,Chapter 3,Humana Press,Totowa,N.J.,pp.27−39(1998)によって記載されているような、エレクトロポレーションおよびPEG1000全細胞形質転換手順も用いることができ、この開示はその全体が参照により本明細書に援用されている。動物細胞のトランスフェクションは、例えば、リン酸カルシウム、エレクトロポレーション、熱ショック、リポソーム、またはトランスフェクション試薬、例えばFUGENE(登録商標)もしくはLIPOFECTAMINE(登録商標)を使用する、あるいは溶液中で細胞と裸核酸ベクターを接触させることによる、細胞へのベクターの導入を特徴とする場合がある(例えば、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual Second Edition vol.1,2 and 3.Cold Spring Harbor Laboratory Press:Cold Spring Harbor,New York,USA,Nov.1989参照。この開示はその全体が参照により本明細書に援用されている)。
形質転換酵母細胞は、形質転換後の(細胞の栄養要求のために)必要な生化学生成物が不在の状態での栄養要求性細胞の培養、新たな表現型の選択および検出、またはその形質転換体に含まれている耐性遺伝子が不在の状態でその酵母に対して毒性である抗生物質が存在する状態での培養をはじめとする(しかし、これらに限定されない)適切な技術を用いることにより、選択することができる。形質転換体は、発現カセットをゲノムに組み込み、それを例えばサザンブロットまたはPCR分析によって評することによって、選択および/または検証することもできる。
対象となるターゲット細胞に前記ベクターを導入する前に、それらのベクターをEscherichia coli(E.coli)などの細菌細胞において増殖させる(例えば、増幅させる)ことができる。そのベクターDNAを細菌細胞から、その細菌環境からベクターDNAを精製する結果となる当該技術分野において公知の任意の方法によって、単離することができる。その精製されたベクターDNAをフェノール、クロロホルムおよびエーテルで入念に抽出して、そのプラスミドDNA調製品中にE.coliタンパク質が確実に存在しないようにすることができる。これらのタンパク質は、哺乳動物細胞にとって毒性である場合があるからである。
本明細書に記載する場合の遺伝子操作は、任意の数の遺伝子、例えばN−グリコシル化活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、を発現させる(例えば、過発現させる)、遺伝子に修飾を導入する、または該遺伝子を欠失させるために用いることができる。そのような遺伝子としては、例えば、ALG7、ALG13、ALG14、ALG1、ALG2、ALG11、RFT1、ALG3、ALG9、ALG12、ALG6、ALG8、ANL1、ALG10、ALG5、OST3、OST4、OST6、STT3、OST1、OST5、WBP1、SWP1、OST2、DPM1、SEC59、OCH1、MNN9、VAN1、MNN8、MNN10、MNN11、HOC1、MNN2、MNN5、MNN6、KTR1、YUR1、MNN4、KRE2、KTR2、KTR3、MNN1、MNS1、MNN4、PNO1、MNN9、グルコシダーゼI、グルコシダーゼII、またはエンドマンノシダーゼが挙げられる。前記N−グリコシル化活性を有するタンパク質をコードする遺伝子は、そのような遺伝子を含有する任意の種(例えば、下等真核生物(例えば、真菌(酵母を含む)もしくはトリパノソーマ)、植物、または動物(例えば、昆虫、鳥類、爬虫類、または哺乳動物(例えば、齧歯動物、例えばマウスもしくはラット、イヌ、ネコ、ウマ、ヤギ、ウシ、ブタ、非ヒト霊長類、またはヒト))からのものであり得る。N−グリコシル化活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を得ることができる具体例としての真菌種としては、
、または当該技術分野において公知であるもしくは本明細書に記載する任意の他の真菌(例えば、酵母)が挙げられるが、それらに限定されない。具体例となる下等真核生物としては、
をはじめとする(しかし、これらに限定されない)、Aspergillusの様々な種も挙げられる。N−グリコシル化活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を得ることができる具体例としての原生動物属としては、ブラストクリチジア属(Blastocrithidia)、クリチジア属(Crithidia)、エンドトリパナム属(Endotrypanum)、ヘルペトモナス属(Herpetomonas)、リーシュマニア属(Leishmania)、レプトモナス属(Leptomonas)、フィトモナス属(Phytomonas)、トリパノソーマ属(Trypanosoma)(例えば、T.ブルセイ(T.bruceii)、T.ガンビエンス(T.gambiense)、T.ローデシエンス(T.rhodesiense)、およびT.クルジ(T.cruzi))、ならびにウォレセイナ属(Wallaceina)が挙げられるが、それらに限定されない。
本明細書に記載する場合の遺伝子操作は、任意の数の遺伝子(例えば、N−グリコシル化活性を有するタンパク質をコードする遺伝子)および/または本明細書中に列挙するいずれかの遺伝子の1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、15、もしくは20以上)の任意の組み合わせを発現させる(例えば、過発現させる)、それらに修飾を導入する、またはそれらを欠失させるために用いることができる。
一部の実施形態において、前記遺伝子操作細胞は、ALG3(Genbank(登録商標)アクセッション番号:XM_503488、Genolevures Ref:YALI0E03190g)遺伝子またはその遺伝子産物(例えば、mRNAもしくはタンパク質)を欠失している。一部の実施形態において、前記遺伝子操作細胞は、ALG6(Genbank(登録商標)アクセッション番号:XM_502922、Genolevures Ref:YALI0D17028g)タンパク質を発現する(例えば、過発現する)。一部の実施形態において、前記遺伝子操作細胞は、MNN4遺伝子(Genbank(登録商標)アクセッション番号:XM_503217、Genolevures Ref:YALI0D24101g)を発現する。一部の実施形態において、前記遺伝子操作細胞は、OCH1および/もしくはMNN9遺伝子またはそれらの遺伝子産物(例えば、mRNAもしくはタンパク質)を欠失している。一部の実施形態において、前記遺伝子操作細胞は、OCH1遺伝子またはその遺伝子産物(例えば、mRNAもしくはタンパク質)を欠失していない。一部の実施形態において、前記遺伝子操作細胞は、グルコシダーゼII、例えばYarrowia lipolyticaまたはTrypanosoma bruceiのグルコシダーゼII、のアルファまたはベータサブユニット(またはアルファサブユニットとベータサブユニットの両方)を発現する。一部の実施形態において、前記遺伝子操作細胞は、ムタナーゼ、例えば、T.harzianumのムタナーゼを発現する。一部の実施形態において、前記遺伝子操作細胞は、これらの修飾の任意の組み合わせを有する場合がある。
例えば、一部の実施形態において、前記遺伝子操作細胞は、ALG3(例えば、Genbank(登録商標)アクセッション番号:XM_503488、Genolevures Ref:YALI0E03190gによって例示されるALG3遺伝子)遺伝子またはその遺伝子産物(例えば、mRNAまたはタンパク質)を欠失している場合があり;ALG6(Genbank(登録商標)アクセッション番号:XM_502922、Genolevures Ref:YALI0D17028gによって例示されるようなALG6)タンパク質を過発現する場合があり;グルコシダーゼII(例えば、Yarrowia lipolytica、Trypanosoma brucei、または本明細書に記載する他の種のグルコシダーゼII)のアルファおよびベータサブユニットの一方または両方を過発現する場合がある;アルファ−1,2−マンノシダーゼを過発現する場合があり;ならびに次のもののうちの1つ以上(および任意の組み合わせ)を過発現する場合ある:グリコシダーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、糖ヌクレオチド輸送体、糖−ヌクレオチド修飾酵素。一部の実施形態において、前記遺伝子操作細胞は、OCH1遺伝子またはその遺伝子産物(例えば、mRNAもしくはタンパク質)を欠失していない。
一部の実施形態において、遺伝子修飾された細胞は、マンノシダーゼ活性(例えば、α−マンノシダーゼ活性)を含有する場合がある。前記マンノシダーゼ活性は、小胞体にターゲッティングすることができる。前記マンノシダーゼは、少なくとも7.5未満(例えば、少なくとも7.4未満、少なくとも7.3未満、少なくとも7.2未満、少なくとも7.1未満、少なくとも7.0未満、少なくとも6.9未満、少なくとも6.8未満、少なくとも6.7、少なくとも6.6未満、少なくとも6.5未満、少なくとも6.4、少なくとも6.3未満、少なくとも6.2未満、少なくとも6.1未満、少なくとも6.0未満、少なくとも5.9未満、少なくとも5.8未満、少なくとも5.7未満、少なくとも5.6未満、少なくとも5.5未満、少なくとも5.4未満、少なくとも5.3未満、少なくとも5.2未満、少なくとも5.1未満、少なくとも5.0未満、少なくとも4.9未満、少なくとも4.8未満、または少なくとも4.7未満)の最適なpHを有し得る。前記マンノシダーゼは、MNS1であり得る。
例えば、遺伝子操作細胞は、OCH1遺伝子またはその遺伝子産物(例えば、mRNAもしくはタンパク質)を欠失せず、マンノシダーゼ(例えば、アルファ−1,2−マンノシダーゼまたは本明細書に記載する任意の他のマンノシダーゼ)を過発現することができる。前記マンノシダーゼは、野生型形態のタンパク質である場合もあり、または突然変異形態、例えば、マンノシダーゼとHDEL ER貯留アミノ酸配列を含有する融合タンパク質(実施例参照)である場合もある。(N−グリコシル化活性を有する任意のタンパク質を操作して、HDEL配列を含む融合タンパク質にすることができることは理解される)。
一部の実施形態において、前記遺伝子操作細胞は、改変N−グリコシル化形態のターゲット分子のマンノシルリン酸化を促進することができる活性を含有する場合がある。例えば、前記遺伝子操作細胞に、N−グリカンのリン酸化を促進する活性をコードする核酸(例えば、MNN4、MNN6、PNO1)を導入することができ、それらの細胞は、ターゲット分子のN−グリコシル化のリン酸化を増加させることができる。
一部の実施形態において、前記遺伝子修飾細胞は、前記改変N−グリコシル化分子からリン酸化をキャップするマンノース残基(例えば、マンノシダーゼ、例えばタチナタマメからのもの)を除去することができる活性を含有する場合がある。
一部の実施形態において、前記遺伝子修飾細胞は、ManGlcNAcからグルコース残基を除去することができる。例えば、前記遺伝子修飾細胞は、α−1,3−グルコシダーゼ活性を有するタンパク質、例えば、ムタナーゼ、またはグルコシダーゼII(例えば、Yarrowia lipolytica、Trypanosoma brucei、もしくは本明細書に記載する任意の他の真菌種のグルコシダーゼII)のアルファおよびベータサブユニットの一方もしくは両方、を過発現することができる。
N−グリコシル化活性を有するタンパク質を、そのタンパク質が発現されることとなる細胞とは異なるタイプの(例えば、異なる種の)ものである細胞から得る実施形態では、対象となる特定の細胞における発現のために、そのタンパク質をコードする核酸のコドンを最適化することができる。例えば、Trypanosoma bruceiからのN−グリコシル化を有するタンパク質をコードする核酸のコドンをYarrowia lipolyticaなどの酵母細胞における発現のために最適化することができる。そのようなコドン最適化は、対象となる細胞におけるタンパク質の発現を増加させるために有用であり得る。タンパク質をコードする核酸のコドンを最適化する方法は、当該技術分野において公知であり、例えば、Gaoら(Biotechnol.Prog.(2004)20(2):443−448)、Kotulaら(Nat.Biotechn.(1991)9,1386−1389)、およびBennetzenら(J.Biol.Chem.(1982)257(6):2036−3031)に記載されている。
哺乳動物の(例えば、ヒトの)グリコシル化経路の中間体であるN−グリカンを主として生産するように細胞を遺伝子操作することもできる。例えば、N−グリコシル化活性を有するヒトタンパク質をコードする1つ以上の核酸をその細胞に導入することができる。一部の実施形態では、ヒトタンパク質をその細胞に導入し、N−グリコシル化活性を有する1つ以上の内因性酵母タンパク質を抑制する(例えば、欠失させるまたは突然変異させる)ことができる。真菌グリコシル化経路を「ヒト化する」ための技術は、例えば、Choiら(2003)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 100(9):5022−5027;Vervekenら(2004)Appl.Environ.Microb.70(5):2639−2646;およびGerngross(2004)Nature Biotech.22(11):1410−1414に記載されており、これらのそれぞれの開示はそれら全体が参照により本明細書に援用されている。
遺伝子操作が、例えば、タンパク質の発現または外因性タンパク質(突然変異形態の内因性タンパク質を含む)の発現の変化を含む場合、様々な技術を用いて、それらの遺伝子操作細胞がそのタンパク質を発現するかどうかを定することができる。例えば、そのタンパク質をコードするmRNAまたはそのタンパク質自体の存在は、例えば、ノーザンブロットもしくはRT−PCR分析またはウエスタンブロット分析をそれぞれ用いて検出することができる。N−グリコシル化活性を有するタンパク質の細胞内局在は、細胞分画および免疫蛍光法をはじめとする様々な技術を用いることによって分析することができる。
追加の遺伝子修飾およびそれらを本明細書に記載する任意の細胞に導入する方法は、例えば、米国特許第7,029,872号;同第5,272,070号;および同第6,803,225号;ならびに米国特許出願公開第20050265988号、同第20050064539号、同第20050170452号、および同第20040018588号の開示から応用することができ、これらのそれぞれの開示はそれら全体が参照により本明細書に援用されている。
ManGlcNAcおよびManGlcNAcのインビボ生産を達成するために二形性酵母種において行われる操工程は、他の酵母種において行われる操工程とは異なるが、二形性酵母においてインビボで(ManGlcNAcおよびManGlcNAcコアN−グリカン構造を有する)修飾糖タンパク質を生産するための遺伝子操作技術に、とりわけ米国特許第7,326,681号ならびに米国特許公開第20040018590号、同第20060040353号、および同第20060286637号に開示されている方法から常例的な実験によって応用できることは当業者には明らかであろう(これらのそれぞれの開示はそれら全体が参照により援用されている)。従って、それらの応用法を用いて、ヒト型ハイブリッドおよび複合N−グリカンで修飾された糖タンパク質の生産を達成することができる。これらの複合N−グリカンは、GlcNAc残基で始まる、上に挙げたコアグリカンへの、2から5の枝を有することができ、それを、例えば、ガラクトース、フコース、およびシアル酸残基でさらに伸ばすことができる。
一部の実施形態では、標準的な技術を用いて、N−グリコシル化活性を有する突然変異タンパク質または野生型タンパク質を遺伝子操作細胞から単離することができる。例えば、遺伝子操作細胞における突然変異タンパク質または野生型タンパク質の発現後、そのタンパク質をその細胞自体からまたはその細胞を培養した培地から単離することができる。タンパク質を単離する方法は、当該技術分野において公知であり、それらとしては、例えば、液体クロマトグラフィー(例えば、HPLC)、アフィニティークロマトグラフィー(例えば、金属キレート化またはイムノアフィニティークロマトグラフィー)、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、沈降法または分別可溶化が挙げられる。
一部の実施形態では、N−グリコシル化活性を有する単離されたタンパク質を凍結、凍結乾燥または不動化し、それらのタンパク質が活性を保持できる適切な条件下で保管することができる。
本開示は、本明細書に記載する任意の遺伝子操作細胞の実質的に純粋な培養物も提供する。本明細書において用いる場合、遺伝子操作細胞の「実質的に純粋な培養物」は、その培養物中の生細胞の総数の約40%未満(すなわち、約35%未満;30%未満;約25%未満;約20%未満;約15%未満;約10%未満;約5%未満;約2%未満;約1%未満;約0.5%未満;約0.25%未満;約0.1%未満;約0.01%未満;約0.001%未満;約0.0001%未満;またはさらにそれ以下)が、その遺伝子操作細胞以外の生細胞、例えば、細菌、真菌(酵母を含む)、マイコプラズマまたは原生動物細胞である、細胞の培養物である。この文脈での用語「約」は、その関連百分率が、指定百分率よりその指定百分率の15%パーセント高いまたは低いことがあり得ることを意味する。従って、例えば、約20%は、17%から23%であり得る。遺伝子操作細胞のそのような培養物は、細胞と増殖、保存または輸送培地とを含む。培地は、液体である場合もあり、半固体(例えば、ゼラチン状培地)である場合もあり、または凍結されている場合もある。前記培養物は、液体培地中もしくは半固体培地中/上で増殖している、または保存もしくは輸送培地(凍結保存または輸送培地を含む)中で保存もしくは輸送されている細胞を含む。前記培養物は、培養ベッセルまたは保管ベッセルもしくは基体(例えば、培養皿、フラスコまたは試験管、または保管バイアルもしくはチューブ)の中にある。
本明細書に記載する遺伝子操作細胞は、例えば、例えばグリセロールまたはスクロースなどの冷凍保護物質を含有する緩衝液中の、凍結細胞懸濁液として保管することもでき、凍結乾燥細胞として保管することもできる。あるいは、例えば、それらを、例えば流動層乾燥もしくは噴霧乾燥によってまたは任意の他の適する乾燥方法によって得られる、乾燥細胞調製品として、保管することができる。
改変N−グリコシル化分子を生産する方法
改変N−グリコシル化形態のターゲット分子を生産する方法を本明細書に記載する。これらの方法は、一般に、遺伝子操作細胞(例えば、真菌細胞(例えば、Yarrowia lipolytica、Arxula adeninivoransもしくは本明細書に記載する任意の他の関連二相性酵母細胞)、植物細胞、または動物細胞(例えば、線虫、昆虫、植物、鳥類、爬虫類、もしくは哺乳物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、アレチネズミ、イヌ、ネコ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマ、クジラ、サルもしくはヒト))からの1つ以上のN−グリコシル化活性とターゲット分子を接触させる工程を含む。前記方法は、細胞ベースである場合もあり、または非細胞ベースである場合もある。
細胞ベースの方法は、少なくとも1つの修飾N−グリコシル化活性を有するように遺伝子操作された細胞(例えば、真菌細胞(例えば、Yarrowia lipolytica、Arxula adeninivorans、もしくは任意の他の関連二相性酵母細胞)、植物細胞、または動物細胞)に、その細胞においてN−グリコシル化を被るターゲット分子をコードする核酸を導入する工程を含むことがあり、この場合、前記細胞が、前記ターゲット分子を改変N−グリコシル化形態で生産する。前記ターゲット分子は、例えば、タンパク質、例えば、本明細書に記載するターゲットタンパク質のいずれかであり得る。ターゲットタンパク質が脂質である実施形態において、その核酸は、その脂質の合成を促進する1つ以上の酵素をコードするものであり得る。
細胞の遺伝子操作によって生ずる修飾のタイプを本明細書に記載する(添付の実施例および上遺伝子操作細胞」を参照のこと)。
核酸を導入するための方法は、当該技術分野において公知であり、また、添付の実施例および上で説明している。
遺伝子操作細胞へのターゲット分子(例えば、ターゲットタンパク質)の導入または発現は、その細胞の小胞体および/またはゴルジ装置によるターゲット分子の輸送を生じさせる結果となり、それによって改変N−グリコシル化形態のターゲット分子を生産することができる。
ターゲット分子の(例えば、遺伝子修飾細胞における)プロセッシング後、その改変されたN−グリコシル化形態のターゲット分子(例えば、ターゲットタンパク質)は、1つ以上のN−グリカン構造を含有し得る。例えば、前記改変形態のターゲット分子は、1つ以上の特異的N−グリカン構造、例えば、ManGlcNAc(構造式IもしくはVII;図4)、ManGlcNAc(構造式I;図4)、ManGlcNAc(構造式II;図4)、ManGlcNAc(構造式XIV;図4)、GlcManGlcNAc(構造式VIII;図4)、またはGlcManGlcNAc(構造式IX;図4)(「Man」は、マンノースであり;「Glc」は、グルコースであり;および「GlcNAc」は、N−アセチルグルコサミンである)を含有し得る。
前記遺伝子操作細胞から生産される改変されたN−グリコシル化を有するターゲット分子は、均一(すなわち、すべて、同じ特異的N−グリカン構造を含有する改変N−グリコシル化分子)である場合もあり、または実質的に均一である場合もある。「実質的に均一」とは、それらの改変ターゲット分子が、その遺伝子操作細胞によって生産される改変N−グリコシル化を有するターゲット分子の少なくとも約25%(例えば、少なくとも約27%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約99%)であることを意味する。
遺伝子操作細胞が、N−グリカンのリン酸化を果たす1つ以上のN−グリコシル化活性を含む場合、改変N−グリコシル化形態のターゲット分子は、リン酸化されたそのマンノシル残基を少なくとも25%(例えば、少なくとも約27%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%)有することができる。
遺伝子操作細胞の任意の遺伝子修飾が、誘導性である、または誘導性キュー(例えば、化学的または物理的キュー)の存在について条件的である場合、その遺伝子操作細胞を、任意に、核酸の導入前、中、または後に誘導剤の存在下で培養することができる。例えば、ターゲットタンパク質をコードする核酸の導入後、N−グリコシル化活性を有する1つ以上のタンパク質の発現を促進することができる化学的誘導剤にそれらの細胞を暴露することができる。多数の誘導キューによって、N−グリコシル化活性を有する1つ以上のタンパク質の条件付き発現が誘導される場合には、細胞を多数の誘導剤と接触させることがある。
1つ以上のN−グリコシル化活性によるプロセッシング後、改変されたターゲット分子を単離することができる。その改変ターゲット分子を酵母細胞内で維持し、細胞溶解によって遊離させることができ、またはその改変ターゲット分子を、その細胞からのその分子の分泌を命令する(その外因性核酸に元々ある、または発現ベクター内に操作された)コーディング配列により提供されるメカニズムによって、培養基に分泌させることができる。その細胞溶解産物または培養基中の改変ターゲット分子の存在を、その分子の存在を検出するための様々な標準的プロトコルによって検証することができる。例えば、改変ターゲット分子がタンパク質である場合、そのようなプロトコルとしては、その改変ターゲットタンパク質(もしくはそのターゲットタンパク質自体)に特異的な抗体を用いる免疫ブロット法もしくは放射性免疫沈降法、その改変ターゲットタンパク質(もしくはそのターゲットタンパク質自体)に特異的なリガンドの結合、またはその改変ターゲットタンパク質(もしくはそのターゲットタンパク質自体)の特異的酵素活性についての試験を挙げることができるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、それらの単離された改変ターゲット分子を凍結、凍結乾燥または固定化し、例えばそれらの改変ターゲット分子が生物活性を保持することができる適切な条件下で、保管することができる。
それらの改変N−グリコシル化形態のターゲット分子をインビボで(例えば、遺伝子操作細胞において)さらにプロセッシングすることができ、または遺伝子操作細胞もしくは細胞培地から単離後にインビトロでプロセッシングすることができる。このさらなるプロセッシングとしては、改変ターゲット分子の1つ以上のN−グリカン残基の修飾、または改変ターゲット分子へのそのN−グリカン残基以外に対する修飾を挙げることができる。その改変ターゲット分子の追加のプロセッシングとしては、ポリマーまたは担体などの異種部分の付加(共有結合的または非共有結合的連結)を挙げることができる。そのさらなるプロセッシングは、改変ターゲット分子の酵素的または化学的処理も含む場合がある。酵素的処理は、改変ターゲット分子と1つ以上のグリコシダーゼ(例えば、マンノシダーゼもしくはマンナナーゼ)、ホスホジエステラーゼ、ホスホリパーゼ、グリコシルトランスフェラーゼまたはプロテアーゼとをその改変ターゲット分子の修飾を、誘導するために十分な時間、接触させることを含む場合がある。酵素的処理は、改変ターゲット分子と、ManGlcNAcから1つ以上のグルコース残基を除去することができる酵素、例えば、マンノシダーゼ、またはグルコシダーゼIIのアルファおよびベータサブユニットの一方もしくは両方(しかし、これらに限定されない)とを接触させること含む場合もある。化学的処理は、例えば、改変ターゲット分子とフッ化水素酸などの酸とを、その改変ターゲット分子の修飾を誘導するために十分な時間、接触させることを含む場合がある。一定条件下でのフッ化水素酸処理は、グリカンにホスホジエステラーゼ連結されるマンノース残基を特異的に除去するが、そのグリカン上にホスフェートを残す。改変ターゲット分子を、1つ以上のN−グリカンからのリン酸基の付加または除去により、さらにプロセッシングすることができる。例えば、改変ターゲット分子をマンノシルキナーゼまたはマンノシルホスファターゼと接触させることができる。
一部の実施形態において、本明細書に記載する任意の改変ターゲット分子は、単離後、例えば酵素的または化学的手段を用いて、異種部分に付けることができる。「異種部分」は、その改変ターゲット分子に(例えば、共有結合でまたは非共有結合で)連結される、その改変ターゲット分子上に元々存在する構成成分とは異なる、任意の構成成分を指す。異種部分としては、例えば、ポリマー、担体、アジュバント、免疫毒素、または検出可能(例えば、蛍光、発光、もしくは放射性)部分が挙げられる。一部の実施形態では、追加のN−グリカン部分をその改変ターゲット分子に追加することができる。
ターゲット分子を遺伝子操作細胞においてプロセッシングすることが、必要はないが、できることが理解される。例えば、本開示は、改変N−グリコシル化形態を有するターゲット分子を生産する無細胞法も特徴とし、この方法は、N−グリコシル化条件下でターゲット分子と、少なくとも1つの修飾N−グリコシル化活性を有するように遺伝子操作された細胞(例えば、真菌細胞(例えば、Yarrowia lipolytica、Arxula adeninivorans、もしくは本明細書に記載する任意の他の関連二相性酵母細胞)、植物細胞、または動物細胞(例えば、線虫、昆虫、植物、鳥類、爬虫類、または哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、アレチネズミ、イヌ、ネコ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマ、クジラ、サル、もしくはヒト))から調製した細胞溶解産物とを接触させる工程を含み、この場合、そのターゲット分子と細胞溶解産物の接触によって、改変されたN−グリコシル化形態のターゲット分子が生成される。
「N−グリコシル化条件」とは、(例えば、ターゲット分子と細胞溶解産物の)混合物を、(上で説明したような)改変N−グリコシル化を可能にする条件下でインキュベートすることを意味する。
その溶解産物中の1つ以上のN−グリコシル化活性の活性または完全性を保つ細胞溶解産物を得るために適する方法としては、その細胞溶解産物におけるN−グリコシル化活性を保つまたはその変化を最小にするヌクレアーゼ、プロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤をはじめとする適切な緩衝剤および/または阻害剤の使用を挙げることができる。そのような阻害剤としては、例えば、キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコールビス(P−アミノエチルエーテル)N,N,N1,N1−四酢酸(EGTA)、プロテアーゼ阻害剤、例えばフェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF)、アプロチニン、ロイペプチン、アンチパインなど、ならびにホスファターゼ阻害剤、例えばホスフェート、フッ化ナトリウム、バナデートなどが挙げられる。阻害剤は、それらが、対象となるN−グリコシル化活性または活性に干渉しない、または最小限にしか悪影響を与えないように選択することができる。酵素的活性を含有する溶解産物を得るために適切な緩衝剤および条件は、例えば、Ausubelら,Current Protocols in Molecular Biology(Supplement 47),John Wiley & Sons,New York(1999);Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory Press(1988);Harlow and Lane,Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press(1999);Tietz Textbook of Clinical Chemistry,3rd ed.Burtis and Ashwood,eds.W.B.Saunders,Philadelphia,(1999)に記載されている。
細胞溶解産物を、干渉物質の存在を除去するまたは最小にするように、適宜、さらに加工することができる。所望される場合には、細胞分画およびクロマトグラフ技術、例えば、イオン交換、疎水性および逆相、サイズ排除、アフィニティー、疎水性電荷誘導クロマトグラフィーなど(例えば、Scopes,Protein Purification:Principles and Practice,third edition,Springer−Verlag,New York(1993);Burton and Harding,J.Chromatogr.A 814:71−81(1998)参照)をはじめとする、当業者には周知の様々な方法によって、細胞溶解産物を分画することができる。
一部の実施形態において、全細胞小器官が無損傷および/または機能する状態のままである細胞溶解産物を調製することができる。例えば、溶解産物は、無損傷粗面小胞体、無損傷滑面小胞体、または無損傷ゴルジ装置のうちの1つ以上を含有し得る。無損傷細胞小器官を含有する溶解産物を調製するためおよびそれらの小器官の機能性について試験するための適切な方法は、例えば、Moreauら(1991)J.Biol.Chem.266(7):4329−4333;Moreauら(1991)J.Biol.Chem.266(7):4322−4328;Rexachら(1991)J.Cell Biol.114(2):219−229;およびPaulikら(1999)Arch.Biochem.Biophys.367(2):265−273に記載されており、これらのそれぞれの開示はそれら全体が参照により本明細書に援用されている。
本開示は、改変N−グリコシル化形態を有するターゲット分子を生産する方法も提供し、この方法は、ターゲット分子とN−グリコシル化活性を有する1つ以上の単離されたタンパク質とをN−グリコシル化条件下で接触させる工程を含み、この場合、ターゲット分子とN−グリコシル化活性を有する1つ以上のタンパク質との接触は、改変されたN−グリコシル化形態のターゲット分子を生じさせ、ならびにN−グリコシル化活性を有する1つ以上のタンパク質は、少なくとも1つの修飾N−グリコシル化活性を有するように遺伝子操作された細胞(例えば、真菌細胞(例えば、Yarrowia lipolytica、Arxula adeninivoransもしくは本明細書に記載する任意の他の関連二相性酵母細胞)、植物細胞、または動物細胞(例えば、線虫、昆虫、植物、鳥類、爬虫類、もしくは哺乳物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、アレチネズミ、イヌ、ネコ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマ、クジラ、サルもしくはヒト))から調製される。
上に記載したような標準的な技術を用いて、N−グリコシル化活性を有する1つ以上のタンパク質を精製することができる。例えば、Lee and Park(2002)30(6):716−720およびFujita and Takegawa(2001)Biochem.Biophys.Res.Commun.282(3):678−682(これらの開示はそれら全体が参照により本明細書に援用されている)に記載されているように、ターゲット分子を、そのターゲット分子の修飾を誘導するために十分な時間、適する緩衝液中で1つ以上のタンパク質と接触させることができる。
一部の実施形態において、前記ターゲット分子は、N−グリコシル化活性を有する1つだけのタンパク質と接触させることができる。一部の実施形態において、前記ターゲット分子は、N−グリコシル化活性を有する1つより多くのタンパク質と接触させることができる。前記ターゲット分子を1つより多くのタンパク質と同時に接触させる場合もあり、または逐次的に接触させる場合もある。ターゲット分子を、N−グリコシル化活性を有する1つより多くのタンパク質と逐次的に接触させる場合、1つ以上の工程の後、そのターゲット分子を精製することが、必要ではないが、できる。すなわち、ターゲット分子とタンパク質活性Aと接触させ、その後、その分子をタンパク質活性Bに接触させる前に精製することができる等々。
無細胞法の一部の実施形態において、ターゲット分子を1つ以上のN−グリコシル化活性と接触させる前にそのターゲット分子を固相支持体に連結させると有利な場合がある。そのような連結によって、N−グリコシル化修飾後のより容易な精製が可能になる。適する固相支持体としては、マルチウエルアッセイプレート、粒子(例えば、磁性もしくはコード化粒子)、カラム、または膜が挙げられるが、これらに限定されない。
ターゲット分子のN−グリコシル化(例えば、改変N−グリコシル化)を検出するための方法としては、DNAシーケンサー援用(DSA)、蛍光体援用炭水化物電気泳動法(FACE)(添付の実施例において説明するとおり)、または表面増強レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析法(SELDI−TOF MS)が挙げられる。例えば、分析にはDSA−FACEを利用することができ、DSA−FACEでは、例えば、糖タンパク質を変性させ、その後、例えば膜上に固定する。その後、適する還元剤、例えば、ジチオトレイトール(DTT)またはβ−メルカプトエタノールで、それらの糖タンパク質を還元することができる。ヨード酢酸などの酸を使用して、それらのタンパク質のスルフヒドリル基をカルボキシル化することができる。次に、N−グリコシダーゼFなどの酵素を使用して、それらのN−グリカンをタンパク質から解離させることができる。還元的アミノ化によって、N−グリカンを任意に再構成および誘導体化することができる。その後、それらの誘導体化されたN−グリカンを濃縮することができる。N−グリカン分析に適する機器装備としては、例えば、ABI PRISM(登録商標)377DNAシーケンサー(Applied Biosystems)が挙げられる。データ分析は、例えば、GENESCAN(登録商標)3.1ソフトウェア(Applied Biosystems)を用いて行うことができる。任意に、単離されたマンノタンパク質を1つ以上の酵素でさらに処理して、それらのN−グリカン状態を確認することができる。具体例としての酵素としては、例えば、添付の実施例に記載するような、α−マンノシダーゼまたはα−1,2−マンノシダーゼが挙げられる。追加のN−グリカン分析法としては、例えば、質量分析法(例えば、MALDI−TOF−MS)、順相、逆相での高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)およびイオン交換クロマトグラフィー(例えば、グリカンを標識しないときにはパルス電流検出を用いる、また、グリカンを適切に標識する場合にはUV吸収または蛍光を用いる)が挙げられる。Callewaertら(2001)Glycobiology 11(4):275−281およびFreireら(2006)Bioconjug.Chem.17(2):559−564も参照のこと(これらのそれぞれの開示は、それら全体が参照により本明細書に援用されている)。
改変N−グリコシル化分子によって治療することができる疾患
本明細書に記載する単離された改変N−グリコシル化分子(例えば、改変N−グリコシル化タンパク質またはドリコール)は、1つ以上の改変N−グリコシル化分子(例えば、改変されたN−グリコシル化を有するタンパク質)の投与によって治療できる様々な疾患を治療するために、用いることができる。改変N−グリコシル化分子(例えば、改変N−糖タンパク質または改変N−グリコシル化ドリコール)の投与によって治療または予防することができる一部の特定の医学的状態の例を後続のセクションで概説する。
(i)代謝異常
代謝異常は、個々のヒト(または動物)細胞内のエネルギーの生産に影響を及ぼすものである。大部分の代謝異常は遺伝性であるが、食事、毒物、感染などの結果として「後天的な」場合もあり得る。遺伝性代謝異常は、先天性代謝異常としても知られている。一般に、遺伝子代謝異常は、細胞の代謝プロセスの一部の工程に必要な酵素の欠失または不適当に構築される酵素を生じさせる遺伝的欠陥によって引き起こされる。代謝異常の最大のクラスには、炭水化物代謝異常、アミノ酸代謝異常、有機酸代謝異常(有機酸尿症)、脂肪酸酸化およびミトコンドリア代謝異常、ポルフィリン代謝異常、プリンまたはピリミジン代謝異常、ステロイド代謝異常、ミトコンドリア機能障害、ペルオキシソーム機能障害、ならびにリソソーム貯蔵障害(LSD)がある。
本明細書に記載する1つ以上の改変N−グリコシル化分子(またはその医薬組成物)の投与によって治療することができる代謝異常の例としては、例えば、遺伝性ヘモクロマトーシス、目−皮膚白皮症、プロテインC欠乏症、I型遺伝性血管浮腫、先天性スクラーゼ−イソマルターゼ欠損症、クリグラー−ナジャーII型、ラロン症候群、遺伝性ミエロペルオキシダーゼ、原発性甲状腺機能低下症、先天性QT延長症候群、チロキシン結合グロブリン欠損症、家族性高コレステロール血症、家族性カイロミクロン血症、無β−リポタンパク血症、低血漿リポタンパク質Aレベル、肝損傷を伴う遺伝性肺気腫、先天性甲状腺機能低下症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノゲン血症、アルファ−1アンチキモトリプシン欠損症、腎性尿崩症、神経下垂体尿崩症、アデノシンデアミナーゼ欠損症、ペリツェウス−メルツバッハー病、フォン−ウィルブランド病IIA型、複合第V/VIII因子欠乏症、遅発性脊椎骨端異形成症、全脈絡膜萎縮、I細胞病、バッテン病、毛細血管拡張性運動失調症、ADPKD−常染色体慢性嚢胞腎、微絨毛封入体病、結節性硬化症、Loweの目脳腎症候群、筋萎縮性側索硬化症、骨髄異形成症候群、裸リンパ球症候群、タンジール病、家族性肝内胆汁うっ滞、X連鎖副腎白質ジストロフィー、スコット症候群、ヘルマンスキー−プドラック症候群1および2型、ツェルウェーガー症候群、近節短縮性点状軟骨形成異常、常染色体劣性原発性高シュウ酸尿症、Mohr Tranebjaerg症候群、髄性筋萎縮症、原発性線毛運動不全症(カルタゲナー症候群)、巨人症および先端巨大症、乳汁漏出症、アジソン病、副腎性男性化、クッシング症候群、ケトアシドーシス、原発性および続発性アルドステロン症、ミラー−ディーカー症候群、滑脳症、運動ニューロン疾患、アッシャー症候群、ウィスコット−アルドリッチ症候群、オピッツ症候群、ハンチントン病、遺伝性膵炎、抗リン脂質症候群、オーバーラップ結合組織疾患、シェーグレン症候群、全身硬直症候群、ブルガダ症候群、フィンランド型先天性腎炎様症候群、デュービン−ジョンソン症候群、X連鎖低リン酸血症、ペンドレッド症候群、小児持続性高インスリン血症性低血糖、遺伝性球状赤血球症、無セルロプラスミン血症、児型神経セロイドリポフスチン沈着症、偽性軟骨無形成症および多発性骨端、シュタルガルト様黄斑ジストロフィー、X連鎖シャルコー−マリー−ツース病、常染色体優性色素性網膜炎、ウォルコット−ラリソン症候群、クッシング症候群、肢帯型筋ジストロフィー、ムコ多糖症IV型、フィンランド型遺伝性家族性アミロイドーシス、アンダーソン病、肉腫、慢性骨髄単球性白血病、心筋症、顔面生殖器異形成、捻転症、ハンチントンおよび脊髄小脳失調症、遺伝性高ホモシステイン血症、多発性ニューロパチー、下位運動ニューロン疾患、色素性網膜炎、血清反応陰性多発性関節炎、間質性肺線維症、レイノー現象、ヴェグナー肉芽種症、タンパク尿、CDG−Ia、CDG−Ib、CDG−Ic、CDG−Id、CDG−Ie、CDG−If、CDG−IIa、CDG−IIb、CDG−IIc、CDG−IId、エーラース−ダンロス症候群、多発性外骨腫症、グリセリ症候群(1型もしくは2型)、またはX連鎖非特異的精神遅滞を挙げることができる。加えて、代謝異常としては、リソソーム貯蔵障害、例えば、ファブリ病、ファーバー病、ゴーシェ病、GM−ガングリオシドーシス、テイ−サックス病、サンドホス病、GM活性化因子疾患、クラッベ病、異染性白質ジストロフィー、ニーマン−ピック病(A、BおよびC型)、ハーラー病、シェイエ病、ハンター病、サンフィリポ病、モルキオ病、マロトー−ラミー病、ヒアルロニダーゼ欠損症、アスパルチルグルコサミン尿症、フコシド症、マンノシド症、シンドラー病、シアリドーシス1型、ポンペ病、濃化異骨症、セロイドリポフスチン沈着症、コレステロールエステル貯蔵病、ウォルマン病、多発性スルファターゼ欠損症、ガラクトシアリドーシス、ムコ脂質症(II、IIIおよびIV型)、シスチン症、シアル酸貯蔵障害、マリネスコ−シェーグレン症候群を伴うカイロミクロン蓄積症、ヘルマンスキー−プドラック症候群、チェディアク−東症候群、ダノン病、またはゲレオフィジック異形成(しかし、これらに限定されない)も挙げることができる。
代謝異常の症状は非常に多く、多岐にわたり、それらとしては、例えば、貧血、疲労、簡単に挫傷すること、低血小板、肝臓肥大、脾臓肥大、骨格弱化、肺機能障害、感染(例えば、胸部感染または肺炎)、腎機能障害、進行性脳障害、発作、非常に濃い胎便、咳、喘鳴、唾液または粘液生産亢進、息切れ、腹痛、腸または消化管閉塞、生殖能問題、鼻内ポリープ、手の指/足の指の爪および皮膚の太鼓撥指形成、手または足の痛み、被角血管腫、発汗減少、角膜および水晶体混濁、白内障、僧帽弁逸脱および/または閉鎖不全、心拡大、温度不耐性、歩行困難、嚥下困難、進行性視力喪失、進行性聴力損失、低血圧症、巨大舌、反射消失、腰痛、睡眠時無呼吸、起坐呼吸、傾眠、脊柱前弯症または脊柱側弯症のうちの1つ以上を挙げることができる。欠損または不在タンパク質の様々な性質および結果として生ずる疾病の表現型(例えば、代謝異常の症状の呈示)に起因して、所与の疾患は、その特定の疾患に特有の症状のみを一般に呈するであろうことは理解される。例えば、ファブリ病を有する患者は、温度不耐性、角膜の旋回、疼痛、皮膚発疹、悪心または下痢など(しかし、これらに限定されない)の上述の症状の特定のサブセットを呈し得る。ゴーチェ症候群を有する患者には、脾腫、硬変症、痙攣、筋緊張亢進、無呼吸、骨粗しょう症、または皮膚変色が現れる場合がある。
本明細書に記載する1つ以上の改変N−グリコシル化分子の投与に加えて、代謝異常は、適当な栄養およびビタミン類(例えば、補因子療法)、理学療法、および疼痛薬物療法によっても治療することができる。
所与の代謝異常の具体的な性質に依存して、患者は、これらの症状を任意の年齢で呈し得る。多くの場合、症状は小児期にまたは成人期初期に現れる。例えば、ファブリ病の症状は、子供の頃に、例えば、10または11歳で現れる場合がある。
本明細書において用いる場合、(本明細書に記載するものなどの)「代謝異常を発現するリスクのある」被験体は、疾患を発現する素因、すなわち、アルファ−L−イズロニダーゼ、ベータ−D−ガラクトシダーゼ、ベータ−グルコシダーゼ、ベータ−ヘキソサミニダーゼ、ベータ−D−マンノシダーゼ、アルファ−L−フコシダーゼ、アリールスルファターゼB、アリールスルファターゼA、アルファ−N−アセチルガラクトサミニダーゼ、アスパルチルグルコサミニダーゼ、イズロネート−2−スルファターゼ、アルファ−グルコサミニド−N−アセチルトランスフェラーゼ、ベータ−D−グルクロニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、アルファ−L−マンノシダーゼ、アルファ−ノイラミニダーゼ、ホスホトランスフェラーゼ、酸リパーゼ、酸セラミダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、チオエステラーゼ、カテプシンKまたはリポタンパク質リパーゼなどの酵素における突然変異の結果として代謝異常を発現する遺伝的素因、を有する被験体である。明らかに、「代謝異常を発現するリスクのある」被験体は、対象となる種の中のすべての被験体ではない。
「疾患を有するが疑われる」被験体は、疾患(例えば、代謝異常または本明細書に記載する任意の他の疾患)の1つ以上の症状、例えば、本明細書に記載するもののいずれかを有する被験体である。
(ii)癌
癌は、細胞の無制御な分裂、および浸潤による隣接組織への直接増殖、または転移による遠隔部位への内移植(この場合、癌細胞は、血流もしくはリンパ系によって輸送される)、いずれかによって拡大するこれらの能力を特徴とする疾病または疾患の1類である。癌は、すべての年齢の人々を襲うが、年齢と共にリスクが増す傾向がある。癌のタイプとしては、例えば、肺癌、乳癌、大腸癌、膵臓癌、腎臓癌、胃癌、肝臓癌、骨の癌、血液学的癌、神経組織の癌、黒色腫、甲状腺癌、卵巣癌、精巣癌、前立腺癌、子宮頚癌、膣癌、または膀胱癌を挙げることができる。
本明細書において用いる場合、「癌を発現するリスクのある」被験体は、癌を発現する素因、すなわち、癌を発現する遺伝的素因、例えば、腫瘍抑制遺伝子の突然変異(例えば、BRCA1、p53、RBもしくはAPCにおける突然変異)を有する被験体、または癌を生じさせ得る条件に暴露された被験体である。従って、被験体は、その被験体が、突然変異誘発性または発癌性レベルの一定の化合物(例えば、タバコの煙の中の発癌性化合物、例えば、アクロレイン、砒素、ベンゼン、ベンズ{a}アントラセン、ベンゾ{a}ピレン、ポロニウム−210(ラドン)、ウレタンまたは塩化ビニル)に暴露されたときも、「癌を発現するリスクのある」被験体であり得る。さらに、被験体は、その被験体が、例えば、大量の線量の紫外線もしくはX線照射に暴露されたとき、または腫瘍原因/腫瘍関連ウイルス、例えば、乳頭腫ウイルス、エプスタイン−バーウイルス、B型肝炎ウイルスもしくはヒトT細胞白血病−リンパ腫ウイルスに暴露された(例えば、感染した)とき、「癌を発現するリスクのある」場合がある。上で述べたことから、「癌を発現するリスクのある」被験体は、対象となる種の中のすべての被験体ではないことは明らかであろう。
「癌を有するが疑われる」被験体は、癌の1つ以上の症状を有する被験体である。癌の症状は当業者に周知であり、それらとしては、乳房のしこり、乳頭変化、胸部嚢胞、胸部疼痛、体重減少、衰弱、過労、摂食困難、食欲不振、慢性咳、息切れ悪化、血を伴う咳、尿中の血、糞便中の血、悪心、嘔吐、肝臓転移、肺転移、骨転移、腹部充満、鼓脹、腹膜腔内の体、膣出血、便秘、腹部膨満、結腸穿孔、急性腹膜炎(感染、発熱、疼痛)、疼痛、吐血、大量の発汗、発熱、高血圧、貧血、下痢、黄疸、眩暈、悪寒、筋痙攣、結腸転移、肺転移、膀胱転移、肝臓転移、骨転移、腎臓転移、および膵臓転移、嚥下困難などが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に記載する1つ以上の改変N−グリコシル化分子の投与に加えて、化学療法薬、電離放射線、免疫療法薬、または温熱療法薬によって癌を治療することもできる。化学療法薬としては、例えば、シスプラチン、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、カンプトテシン、アドリアマイシン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ビスルファン、ニトロソウレア、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリコマイシン(plicomycin)、マイトマイシン、エトポシド、ベラムピル(verampil)、ポドフィロトキシン、タモキシフェン、タキソール、トランスプラチナム、5−フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチンおよびメトトレキサートが挙げられる。
(iii)炎症性疾患
「炎症性疾患」は、本明細書において用いる場合、1つ以上の物質(例えば、被験体内で自然に発生しない物質)が、白血球(例えば、B細胞、T細胞、マクロファージ、単球、または樹状細胞)の作用によって、病的反応、例えば病的免疫反応、を不適切に誘発するプロセスを指す。それ故、炎症反応に関与するそのような細胞は、「炎症性細胞」と呼ばれる。不適切に誘発される炎症反応は、異物(例えば、抗原、ウイルス、細菌、真菌)が被験体内または上に存在しない場合のものであることもある。不適切に誘発される反応は、自己成分(例えば、自己抗原)が炎症性細胞のターゲットにされる場合(例えば、多発性硬化症などの自己免疫疾患)のものであることもある。不適切に誘発される反応は、大きさまたは継続期間が不適切である反応、例えば過敏症である場合もある。それ故、不適切にターゲットにされる反応は、微生物感染(例えば、ウイルス性、細菌性または真菌性)の存在に起因する場合がある。炎症性疾患(例えば、自己免疫疾患)のタイプとしては、変形性関節症、関節リウマチ(RA)、脊椎関節症、POEMS症候群、クローン病、多中心性キャッスルマン病、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症(MS)、筋ジストロフィー(MD)、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、皮膚筋炎、多発性筋炎、炎症性ニューロパチー、例えばギラン−バレー症候群、脈管炎、例えばウェゲナー肉芽腫症、結節性多発動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、側頭動脈炎、シェーグレン症候群、ベーチェット病、チャーグ−ストラウス症候群、または高安動脈炎を挙げることができるが、これらに限定されない。一定のタイプのアレルギー、例えば、鼻炎、副鼻腔炎、蕁麻疹(urticaria)、じんま疹(hives)、血管性浮腫、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー(例えば、ナッツアレルギー)、薬物アレルギー(例えば、ペニシリン)、昆虫アレルギー(例えば、蜂刺されに対するアレルギー)、または肥満細胞症も炎症性疾患に含まれる。炎症性疾患としては、潰瘍性大腸炎および喘息も挙げることができる。
「炎症性疾患を発現するリスクのある」被験体は、1つ以上の炎症性疾患の家族歴(例えば、1つ以上の炎症性疾患の遺伝的素因)を有する被験体、または1つ以上の炎症誘発条件に暴露された被験体を指す。例えば、被験体は、ウイルスまたは細菌超抗原、例えば、ブドウ球菌エンテロトキシン(SE)、連鎖球菌化膿性外毒素(SPE)、黄色ブドウ球菌毒素性ショック症候群毒素(TSST−1)、連鎖球菌細胞分裂誘起外毒素(SME)および連鎖球菌超抗原(SSA)(しかし、これらに限定されない)に暴露された場合がある。上で述べたことから、「炎症性疾患を発現するリスクのある」被験体は、対象となる種の中のすべての被験体でないことは明らかであろう。
「炎症性疾患を有するが疑われる」被験体は、炎症性疾患の1つ以上の症状が現れている被験体である。炎症性疾患の症状は当該技術分野において周知であり、それらとしては、発赤、腫脹(例えば、関節腫脹)、触ると温かい関節、関節痛、硬直、関節機能喪失、発熱、悪寒、疲労、エネルギー喪失、頭痛、食欲不振、筋肉硬直、不眠症、痒み、鼻詰まり、くしゃみ、咳、1つ以上の神経症状、例えば眩暈、発作または疼痛が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に記載する1つ以上の改変N−グリコシル化分子の投与に加えて、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、生体応答修飾物質、またはコルチコステロイドによって炎症性疾患を治療することもできる。生体応答修飾物質としては、例えば、抗TNF剤(例えば、可溶性TNF受容体またはTNFに特異的な抗体、例えばアデュリムマブ(adulimumab)、インフリキシマブ、またはエタネルセプト)が挙げられる。
任意の改変N−グリコシル化分子(またはそれらの医薬組成物)を使用して本明細書に記載する任意の疾患を治療する(例えば、それらの1つ以上の症状を予防または改善する)ために適する方法を後続のセクションに示す。
医薬組成物および治療方法
改変N−グリコシル化分子(例えば、改変N−グリコシル化形態のターゲット分子、例えばターゲットタンパク質)を、治療有効量の該分子ならびに1つ以上のアジュバント、賦形剤、担体および/または希釈剤を含有する医薬組成物に組み込むことができる。許容される希釈剤、担体および賦形剤は、一般に、レシピエントの恒常性(例えば、電解質バランス)に悪影響を及ぼさない。許容される担体としては、生体適合性、不活性または生体吸収性の塩、緩衝剤、オリゴ糖類または多糖類、ポリマー、粘度向上剤、保存薬などが挙げられる。1つの具体例としての担体は、生理食塩水(0.15M NaCl、pH7.0から7.4)である。もう1つの具体例としての担体は、50mM リン酸ナトリウム、100mM 塩化ナトリウムである。医薬組成物の調合および投与についてのさらなる詳細および技術は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.,Easton,Pa.)において見つけることができる。補助活性化合物も前記組成物に組み込むことができる。
改変N−グリコシル化分子を含有する医薬組成物の投与は、全身投与である場合もあり、または局所投与である場合もある。医薬組成物は、非経口投与および/または非経口投与でない投与に適するように調合することができる。具体的な投与様式としては、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮、髄腔内、経口、直腸内、口腔内、局所、鼻、目、関節内、動脈内、クモ膜下、気管支、リンパ管、膣、および子宮内投与が挙げられる。
投与は、医薬組成物の定期的なボーラス注射による投与である場合もあり、あるいは外部にあるレザバー(例えば、IVバッグ)または内部にあるレザバー(例えば、生腐食可能なインプラント、バイオ人工臓器、もしくは移植された改変N−グリコシル化分子生産細胞のコロニー)からの静脈内または腹腔内投与による連続または持続投与である場合もある。例えば、米国特許第4,407,957号、同第5,798,113号および同第5,800,828号参照(それぞれ、それら全体が参照により本明細書に援用されている)。医薬組成物の投与は、適する送達手段、例えば、ポンプ(例えば、Annals of Pharmacotherapy,27:912(1993);Cancer,41:1270(1993);Cancer Research,44:1698(1984)参照(その全体が参照により本明細書に援用されている));マイクロカプセル化(例えば、米国特許第4,352,883号;同第4,353,888号;および同第5,084,350号参照((その全体が参照により本明細書に援用されている));持続放出ポリマーインプラント(例えば、Sabel,米国特許第4,883,666号参照(その全体が参照により本明細書に援用されている));マクロカプセル化(例えば米国特許第5,284,761号、同第5,158,881号、同第4,976,859号および同第4,968,733号ならびに公開PCT特許出願WO92/19195、WO 95/05452(これらのそれぞれの開示は、それら全体が参照により本明細書に援用されている));皮下、静脈内、動脈内、筋肉内もしくは他の適する部位への注射;またはカプセル、液体、錠剤、ピルもしくは持続放出製剤での経口投与を用いて達成することができる。
非経口送達システムの例としては、エチレン−酢酸ビニルコポリマー粒子、浸透圧ポンプ、埋め込み型注入システム、ポンプ送達、カプセル封入細胞送達、リポソーム送達、針によって送達される注射、無針注射、ネブライザー、エーロゾル散布器、エレクトロポレーション、および経皮パッチが挙げられる。
非経口投与に適する製剤は、レシピエントの血液と好ましくは等張である、前記改変N−グリコシル化分子の滅菌水性調製品(例えば、生理食塩溶液)を適便に含有する。製剤を単位用量形で提供することもでき、または多回用量形で提供することもできる。
経口投与に適する製剤は、所定量の改変N−グリコシル化分子をそれぞれが含有する個別ユニット、例えば、カプセル、カシェ剤、錠剤もしくはロゼンジ;または水性液もしくは非水性液中の懸濁液、例えば、シロップ、エリキシル、エマルジョンまたは頓服水剤として提供することができる。
局所投与に適する改変N−グリコシル化分子(例えば、改変N−グリコシル化形態のターゲット分子、例えばターゲットタンパク質)を、哺乳動物(例えば、ヒト患者)に、例えば、クリーム、スプレー剤、フォーム、ゲル、軟膏、膏薬、またはドライラブ(dry rub)として投与することができる。ドライラブは、投与部位で再び水和することができる。改変N−グリコシル化分子を包帯、ガーゼまたはパッチに直接しみ込ませる(例えば、浸漬し、乾燥させる)こともでき、その後、それを局所適用することができる。改変N−グリコシル化分子を局所投与のために包帯、ガーゼまたはパッチの中に半液体、ゲル化、または完全液体状態で維持することもできる(例えば、米国特許第4,307,717号参照(この内容は、その全体が参照により本明細書に援用されている))。
治療有効量の医薬組成物を、その必要がある被験体に、当業者が確認できる投薬レジメンで投与することができる。例えば、組成物を、被験体に、例えば、1用量あたりその被験体の体重1kgにつき0.01μgから10,000μgの投薬量で全身投与することができる。もう1つの例での投薬量は、1用量あたりその被験体の体重1kgにつき1μgから100μgである。もう1つの例での投薬量は、1用量あたりその被験体の体重1kgにつき1μgから30μg、例えば、1用量あたりその被験体の体重1kgにつき3μgから10μgである。
治療上の効能を最適にするために、改変N−グリコシル化分子を最初は異なる投薬レジメンで投与することができる。その単位用量およびレジメンは、例えば、哺乳動物の種、その免疫状態、その哺乳動物の体重を含む因子に依存する。一般に、臨床試験手順の一部として適切なスクリーニングアッセイを用いて組織内の改変N−グリコシル化分子のレベルをモニターして、例えば、所与の治療レジメンの効能定することができる。
改変N−グリコシル化分子についての投薬頻度は、医療従事者(例えば、医師または看護士)の技能および臨床判断の範囲内である。一般に、投与レジメンは、最適な投与パラメーターを確することができる臨床試験によって確される。しかし、前記従事者は、被験体の年齢、健康状態、体重、性別および医療状態に従ってそのような投与レジメンを変えることができる。その処置が予防的であるのか、治療的であるのかに依存して、投薬頻度を変えることができる。
そのような改変N−グリコシル化分子(例えば、改変N−グリコシル化形態のターゲット分子、例えばターゲットタンパク質)またはそれらの医薬組成物の毒性および治療上の効能は、公知の薬学的手順により、例えば、細胞培養物または実験動物において、定することができる。これらの手順を、例えば、LD50(集団の50%にとって致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するために、用いることができる。毒性効果と治療効果の間の用量比が治療数であり、比率LD50/ED50で表すことができる。高い治療数を示す医薬組成物が好ましい。毒性副作用を示す医薬組成物を使用できる場合、正常な細胞(例えば、ターゲットでない細胞)への潜在的損傷を最小にし、それによって副作用を減らすように作用を受ける組織の部位にそのような化合物をターゲッティングする送達システムを設計することに注意すべきである。
細胞培養アッセイおよび動物試験から得たデータは、適切な被験体(例えば、ヒト患者)において使用するための投薬量範囲を公式化する際に用いることができる。そのような医薬組成物の投薬量は、一般に、毒性を殆どまたは全く伴わないED50を含む循環濃度の範囲内にる。前記投薬量は、利用する剤形および利用する投与経路に依存して、この範囲内で変わることがある。本明細書に記載するとおり(例えば、被験体における代謝異常を治療するために)使用される医薬組成物の場合、その治療有効用量は、最初に細胞培養アッセイから推定することができる。細胞培養において決定されるようなIC50(すなわち、症状の最半量抑制を達成する医薬組成物濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成する用量を、動物モデルにおいて公式化することができる。そのような情報を用いて、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーによって、測定することができる。
本明細書において定義する場合、改変N−グリコシル化分子の「治療有効量」は、治療する被験体において医療上望ましい結果(例えば、代謝異常の1つ以上の症状の改善または癌細胞の増殖減少)を生じさせることができる分子の量である。改変N−グリコシル化分子の治療有効量(すなわち、有効投薬量)は、被験体またはサンプルの重量のキログラムあたりのその化合物のミリグラムまたはマイクログラム量(例えば、キログラムあたり約1マイクログラムからキログラムあたり約500ミリグラム、キログラムあたり約100マイクログラムからキログラムあたり約5ミリグラム、またはキログラムあたり約1マイクログラムからキログラムあたり約50マイクログラム)を含む。
前記被験体は、任意の哺乳動物、例えば、ヒト(例えば、ヒト患者)または非ヒト霊長類(例えば、チンパンジー、ヒヒもしくはサル)、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、アレチネズミ、ハムスター、ウマ、家畜タイプ(例えば、ウシ、ブタ、ヒツジもしくはヤギ)、イヌ、ネコもしくはクジラであり得る。
本明細書に記載する改変N−グリコシル化分子またはその医薬組成物は、別の治療、例えば代謝異常(例えば、リソソーム貯蔵障害)のための治療、との併用療法として被験体に施与することができる。例えば、前記併用療法は、被験体(例えば、ヒト患者)に対して、代謝異常(例えば、リソソーム貯蔵障害)を有する、またはそれを発現するリスクを有する(またはそれを有することが疑われる)被験体に治療的恩恵をもたらす1つ以上の追加の薬剤を投与することを含む場合がある。従って、前記化合物または医薬組成物と1つ以上の追加の薬剤を同時に投与する。あるいは、時宜を得て前記改変N−グリコシル化分子(例えば、タンパク質またはドリコール)を最初に投与し、そして次に時宜を得て前記1つ以上の追加の薬剤を投与してもよい。時宜を得て最初に前記1つ以上の追加の薬剤を投与し、そして次に時宜を得て前記改変N−グリコシル化分子(例えば、タンパク質またはドリコール)を投与してもよい。前記改変N−グリコシル化分子は、以前に施与したまたは現在施与している療法に取って代わることができ、またはそれらを増強することができる。例えば、本発明の改変N−グリコシル化分子で治療することにより、前記1つ以上の追加の薬剤の投与をやめること、または減少させること、例えば、より低レベルで投与することができる。以前の療法の施与を維持することもできる。場合によっては、その改変N−グリコシル化分子のレベル(例えば、投薬量またはスケジュール)が治療効果をもたらすために十分なレベルに達するまで、以前の療法を維持することができる。2つの療法を同時に施与することもできる。
以前の療法が特に毒性である場合(例えば、有意な副作用プロフィールを伴う代謝異常のための治療)、前記改変N−グリコシル化分子(例えば、タンパク質またはドリコール)の投与を用いて、その以前の療法の量を、毒性を伴わずに同じまたは改善された治療的恩恵をもたらすのに十分なレベルに相殺するおよび/または減少させることができる。
場合によっては、本発明の改変N−グリコシル化分子(例えば、タンパク質、ドリコール、もしくはドリコール結合脂質)または医薬組成物を被験体に投与するとき、最初の療法を中止する。その被験体を第一の予備選択結果、例えば、本明細書に記載したもの(例えば、上記参照)のうちのいずれかなどの代謝異常の1つ以上の症状の改善、についてモニターすることができる。その第一の予備選択結果を観察する一部のケースでは、前記改変N−グリコシル化分子(例えば、改変N−グリコシル化タンパク質または改変N−グリコシル化ドリコール)での治療を減少させる、または中止する。その後、その改変N−グリコシル化分子(例えば、タンパク質またはドリコール)での治療を中止した後の第二の予備選択結果、例えば、代謝異常の症状の悪化、について、その被験体をモニターすることができる。第二の予備選択結果を観察するとき、その被験体への改変N−グリコシル化分子(例えば、タンパク質またはドリコール)の投与を復活もしくは増加させることができ、または第一の療法の与を復活させる、または改変N−グリコシル化分子(例えば、タンパク質、ドリコール、もしくはドリコール結合脂質)と第一の療法の両方、または前記改変N−グリコシル化分子(例えば、タンパク質もしくはドリコール)の増大させた量と第一の治療レジメンを被験体に施与する。
前記改変N−グリコシル化分子(例えば、タンパク質またはドリコール)を、疾病(例えば、代謝異常)の1つ以上の症状のための治療と共に施与することもできる。例えば、前記N−グリコシル化分子(例えば、タンパク質、ドリコールまたはドリコール結合脂質)を、例えば疼痛薬と(例えば、同時に、または上で説明した任意の併用レジメンにより)併用投与することができる。
一部の実施形態において、改変N−グリコシル化分子は、その改変グリコシル化がその分子の医療関連生成物を生成する能力を増すものである。例えば、改変N−グリコシル化分子は、治療用生成物(例えば、小分子または治療用ペプチド)を生成することができる酵素である場合があり、この酵素の活性は、グリコシル化によって増される、または最適化される。そのような生成物およびそれらの生成物を使用する方法は、本開示の範囲内である。
本明細書に記載するいずれの医薬組成物も、投与のための説示と一緒に、容器、パックまたはディスペンサーに含めることができる。
以下は、本発明の実施に関する実施例である。如何なる点においてもこれらを本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
(実施例1)プラスミド、プライマーおよび株
表1は、ベクター(例えば、発現ベクター)の構築の際に使用したプラスミドおよび本明細書に記載する実験において使用した欠失カセットのすべてのリストを含む。Yarrowia lipolyticaのMTLY60株をこれらの実験において用いた。
表2は、以下の実施例において使用したプライマー(それらのプライマー名)およびそれらのプライマーの用役のリストを含む。
(実施例2)Yarrowia lipolytica OCH1およびMNN9破壊
Yarrowia lipolyticaにおけるOCH1(GenBank(登録商標)アクセッション番号:AJ563920)とMNN9(GenBank(登録商標)アクセッション番号:AF441127)遺伝子の両方をノックアウトする戦略を、LIP2遺伝子についてFickersら((2003)J Microbiol Methods.55(3):727−37)に記載されているように設定した。OCH1遺伝子について準拠した遺伝子構築戦略を図5に示す。
OCH1 KOフラグメントを制限消化によっておよびPCRによってプラスミドYlOCH1 PUT TOPOから単離し、Yarrowia lipolytica株MTLY60に形質転換した。20のウラシル原栄養株を得、それを、プライマーYloch1 prom fw(配列番号18)およびYloch1 ter rev(配列番号19)を用いるゲノムDNA(gDNA)でのPCRによってスクリーニングして、そのプラスミドのゲノムの組み込みを分析した。試験した20のクローンのうちの2つに関して、適正なサイズ(すなわち、野生型における1894bpに対して2618bp)のフラグメントを増幅した。その構築物のランダム組込みコピー、従って両方のフラグメントを含有する幾つかのクローンを増幅した。
URA3遺伝子を除去するために、Creリコンビナーゼについての発現カセットを含有するエピソームプラスミドpRRQ2で2つの陽性クローンを形質転換した。プライマーYloch1 prom fwおよびYloch1 ter rev(上記参照)を用いるgDNAでのPCRによって、URA3遺伝子の除去をスクリーニングした。これらの陽性クローンには、2328bpフラグメント(URA3を含む)は不在であり、1075bpの1075bp(URA3を含まない)フラグメントが存在した。
それらの2つの陽性クローンを用いてサザンブロット分析を行って、異所DNA組込みが発生したかどうかを確認した。ゲノムDNA(gDNA)をEcoRV/HindIIIで二重消化し、アガロース−ゲル電気泳動に付し、ニトロセルロース膜に移した。プラスミドYlOCH1 PT TOPOからの500bp SpeI/I−SceIフラグメントでその膜をプローブした。1456bpのフラグメントがΔoch1 PUTに存在し、これに対してΔoch1 PTには2066bpのフラグメント、および野生型株には2893bpのフラグメントが存在した。
MNN9を不活性化するための構築戦略を設定した。それを図6に示す。
破壊フラグメントをNotI/PacI二重消化によってプラスミドYlMNN9PUT TOPOから切り取り、MTLY60およびΔoch1 PTクローン9に形質転換した。幾つかのURA3陽性クローンを両方の株について得、単クローンを単離した後、gDNAでのPCRによってそれらを構築物の適正な組込みについてスクリーニングした。プライマーYlMNN9 P fwおよびYlMNN9 T rv.(表2)を使用して、破壊株では2349bpのフラグメントを増幅し、これに対して非形質転換体では、2056bpのフラグメントを増幅した。
突然変異株によって合成されたN−グリカン構造を分析するために、マンノプロテインから得たグリカンを用いてDSA−FACEを行った(図7)。野生型(MTLY60)株は、主コアタイプグリカン構造として、主としてManGlcNAc(構造式I;図4)および相当な量のManGlcNAc(構造式II;図4)を有し、後者は、Och1p活性の結果として追加のマンノースを十中八九ほとんど含有する。さらに、幾つかのより大きな構造を見ることができる。Δoch1株は、主としてManGlcNAc(構造式I)および少しばかりのManGlcNAc(構造式II;図4)を有し、これらの両方が、α−1,2−マンノシダーゼ処理に感受性であり(示されているΔoch1 α−1,2−man)、その結果、ManGlcNAc(構造式IV;図4)にトリミングされる。Δmnn9株は、Δoch1株より多くのManGlcNAc(構造式II;図4)を蓄積し、これは、Mnn9pが、Och1p活性の結果として生ずるグリカン構造の伸長に関与することを示している。二重突然変異体Δoch1Δmnn9は、Δoch1株からのものに似ているグリコシル化表現型を示す。
(実施例3)MNS1の突然変異誘発
MNS1(ER α−1,2−マンノシダーゼ)は、ManGlcNAcのManGlcNAcへのトリミングに関与し、また、中央アームのα−1,3−マンノースに連結されているα−1,2−マンノースをトリミングすることだけができるという意味で厳格な基質特異性を有する(図2)。MNS1遺伝子を、その基質特異性をゴルジタイプα−1,2−マンノシダーゼのほうにシフトさせるように突然変異誘発できるかどうかを定するために、幾つかのERタイプマンノシダーゼの一次配列をゴルジタイプマンノシダーゼと比較した。これら2クラス間で異なる1つの領域を同定した。加えて、ゴルジタイプマンノシダーゼの触媒部位において酵母MNS1となって晶出したオリゴ糖も分析して、糖とタンパク質の間で起こりうる相互作用を同定した。驚くべきことに、両方の方法を用いて同じ部位が同定された。
Saccharomyces cerevisiaeからのMNS1遺伝子(GenBank(登録商標)アクセッション番号:Z49631、sgd:YJR131W)を突然変異させて、その基質特異性を変更した。3つの突然変異バージョンを作製した:同じ領域に1つの突然変異を伴う2つ(R273LおよびR273G)および3つの突然変異を有する1つ(R269S/S272G/R273L):
A)R273L(アルギニン273をロイシンへ)
B)R273G(アルギニン273をグリシンへ)
C)R269S/S272G/R273L(アルギニン269をセリンへ/セリン272をグリシンへ/アルギニン273をロイシンへ)。
すべての突然変異は、Quick Change(Stratagene)突然変異誘発キットを使用して行った。強力な構成的TPI1プロモーターの制御下で3つの異なる突然変異遺伝子を発現するように構築物を作製した。野生型遺伝子をテンプレートとして使用することにより、オリゴヌクレオチド
を使用して、突然変異体R273Lを生成し、ならびにオリゴヌクレオチド
を使用して、突然変異体R273Gを得た。突然変異体R273LをテンプレートDNAとして使用することにより、オリゴヌクレオチド
を使用して、突然変異体R269S/S272G/R273Lを得た。オリゴヌクレオチド
を使用するPCR反応によって、E−tagのコーディング配列をその突然変異体および野生型MNS1オープンリーディングフレームの3’末端に付加させて、発現後にタンパク質を検出できるようにした。この構築戦略の外観を図8に提示する。
前記3つの構築物、ならびに(陰性対照として)非突然変異遺伝子を、XbaIでのプラスミドの消化後にTRP1を選択マーカーとして使用して、S.cerevisiae株XW27(MATα leu2 ura3 trp1 his3 ade2 lys2 och1::LEU2 mnn1::URA3 mnn6::ADE2)に形質転換して、その構築物をS.cerevisiaeゲノム内のTRP1遺伝子座に向けた。後述の株は、(その糖タンパク質を用いて)均一なManGlcNAcを合成することができる。前記突然変異酵素が活性であれば、このManGlcNAc(構造式I;図4)は、ManGlcNAc(構造式IV:図4)、ManGlcNAc(構造式V;図4)および/またはManGlcNAc(構造式VI;図4)にトリミングされるはずである。
トリプトファン原栄養株を単離し、液体SDC−trp培地中で増殖させ、マンノプロテインを調製した。マンノプロテインから得たN−グリカンをDSA−FACEによって分析した。図9からわかるように、R273GおよびR269S/S272G/R273L突然変異を含有する株から少量のManGlcNAc(構造式I;図4)が、ManGlcNAc(構造式IV:図4)、ManGlcNAc(構造式V;図4)およびManGlcNAc(構造式VI;図4)に転化された。他の突然変異体または野生型遺伝子の発現が改変N−グリコシル化表現型を生じさせる。すべての突然変異体が同等に十分に発現されるかどうかを評価するために、E−tag(MNS1タンパク質に付加された13アミノ酸エピトープ)に特異的な抗体を使用してウエスタンブロット分析を行った。すべての突然変異タンパク質、ならびに野生型MNS1タンパク質が、同等に十分に発現された。
(実施例4)リン酸化増加
Yarrowia lipolyticaMNN4の発現
ManGlcNAcのリン酸化を増加させるために、Yarrowia lipolytica MNN4(P.pastoris PNO1の相同体)をYarrowia lipolyticaにおいて過発現させて、N−グリカンのコアタイプリン酸化を促進した。
プライマー
を使用して、Yarrowia lipolytica MNN4(XM_503217、YALI0D24101g)遺伝子のコーディング配列を増幅した。このオープンリーディングフレーム(ORF)を、プラスミドに、BamHIおよびAvrII部位を用いてクローニングし、それによって、そのORFを、選択マーカーとしてのURA3d1遺伝子とランダム組込みを改善するためのゼータ配列とを含有するプラスミドpYlHURA3のhp4dプロモーターの制御下に置く(図10)。
MTLY60Δoch1株における形質転換前に、MNN4発現カセットを含有するプラスミドを、URA3遺伝座での組み込みのためにEco47III、MNN4遺伝子座での組み込みのためにPvuI、またはランダム組込みのためにRsrII/BstBI、いずれかで消化した。URA3およびMNN4遺伝子座にターゲッティングされた形質転換体を、hp4dプロモーター内のプライマーおよびLIP2ターミネーター内のプライマーを使用するPCRによって分析した。その構築物のランダム組込みを伴う形質転換体をサザンブロット分析によって評価した。
マンノ−リン酸化が増加されたかどうかを評価するために、本発明者らは、YPD培地中での48時間の培養後、分泌された糖タンパク質から得たN−グリカンをDSA−FACEキャピラリー電気泳動によって分析した(図11)。ManGlcNAc(構造式I)の量は、(ManGlcNAc(構造式I;図4)と比較して)より早く移動する、ならびに1つ(P)(構造式XまたはXI;図4)および2つ(PP)(構造式XII;図4)のリン酸残基をそれぞれ含有する可能性が高い、2つの構造に有利に劇的に減少した(図11)。従って、ランダム組込み発現カセットは、URA3遺伝子座またはMNN4遺伝子座に組込まれたカセットより、この順で、良好に動作すると結論付けることができる。MZ2が最高レベルのリン酸化を示した。
両方のピークがManGlcNAc(構造式I;図4)ピークに由来すると仮定して、リン酸化グリカンに転化されたManGlcNAcの量を定量した(表3)。
表3の説明:高さおよび面積は、電気泳動図から定したピークの高さおよびピーク面積を指す。「シグナル%」は、N−グリカン混合物中のそれぞれのグリカンの割合を指す。アスタリスクによって識別される数値は、リン酸化ManGnの割合(上)および非リン酸化ManGnの割合(下)を示す。
これらの結果は、YlMNN4遺伝子を過発現する株では、親Δoch1中に存在するManGlcNAc(構造式I:図4)の80%より多くがリン酸化されることを示していた。
(実施例5)小胞体における脂質結合オリゴ糖修飾によるグリコシル化の修飾
材料および方法
株、培養条件および試薬。Escherichia coli株MC1061またはTOP10またはDH5αを組換えプラスミドDNAの増幅に使用し、使用するプラスミドに依存して100μg/mLのカルベニシリンまたは50μg/mLのカナマイシンを補足したLuira−Broth(LB)培地中、37℃でサーモシェーカーにおいて増殖させた。
Yarrowia lipolytica MTLY60(ura3 leu2)株を親株として使用した。すべての酵母菌株を28℃のインキュベータで培養した。それらを、YPD培地(2%デキストロース、2%バクトペプトンおよび1%酵母抽出物)または合成デキストロース完全(SDC)培地(0.17% YNB(アミノ酸なし、および酸アンモニウムなし)、1%グルコース、0.5% NHCl、50mM リン酸K/Naバッファ pH6.8および0.077% Complete Supplement Mixture(Qbiogene Inc,Morgan Irvine,CA))を用いて増殖させた。Ura+およびLeu+形質転換体の選択のために、それぞれ、0.077% CSM−uraまたはCSM−leuを添加した。
標準的遺伝子技術。Yarrowia lipolyticaの形質転換適格細胞を、Boisrameら(1996)J.Biol.Chem.271(20):11668−75(この開示は、その全体が参照により本明細書に援用されている)に記載されているとおりに調製した。出版物に掲載されているプロトコル(Epicenter Kitカタログ番号MPY80200;Epicenter Biotechnologies,Madison,WI)を用いて、すべての酵母菌株からゲノムDNAを単離した。このプロトコルは、65℃での非酵素的細胞溶解、続いて、沈殿によるタンパク質の除去、そして核酸沈殿および再懸濁を含む。5μLの10×緩衝液(200mM Tris−HCl pH8.4および500mM KCl)、可変量のMgCl、2.5μM dNTP、50ngのテンプレート、50pmolの適正なプライマーおよび2.5単位のTaqまたはPfuDNAポリメラーゼいずれかを含有する50μLの最終量でPCR増幅を行った。用いたサイクリング条件は、次のとおりであった。94℃で10分間の変性、続いて、ホットスタート、そして30サイクルの94℃で45秒間、適するアニーリング温度で45秒間および72℃でkbあたり1分間の伸長、続いて、72℃で10分の伸長。ゲルから回収したDNAフラグメント(PCR産物またはフラグメント)を、NucleoSpin extract II(Macherey−Nagel)を使用して精製した。DNA塩基配列決定は、VIB Genetic Service Facility(ベルギーのアントワープ)によって行われた。
ベクター構築
(i)ALG3遺伝子のノックアウト(遺伝子置換)。ALG3遺伝子(GenBank(登録商標)アクセッション番号XM_503488、Genolevures:YALI0E03190g)のプロモーターフラグメント(P)を、Taqポリメラーゼ(Invtrogen)を使用し、
をフォワードおよびリバースプライマーとしてそれぞれ用いるPCRによって、Yarrowia lipolytica MTLY60株のゲノムDNAから増幅した。オーバーハンギングAヌクレオチドをT4 DNAポリメラーゼ(カナダ、オントリオのFermentas)で除去した。そのALG3遺伝子のターミネーターフラグメント(T)を、プルーフリーディングPfu DNAポリメラーゼ(Fermentas)を使用し、
をフォワードおよびリバースプライマーとしてそれぞれ用いるPCRによって、Yarrowia lipolytica MTLY60株のゲノムDNAから増幅した。ISceI制限部位を含有するプライマー配列のオーバーラップのため、P−フォワードプライマーおよびT−リバースプライマーでのPCRによって両方のフラグメントを連結させることができた。その後、これらのコ・アプリコンをpCR−2.1 TOPO TA(Invitrogen)ベクター内にサブクローニングし、そのコ・アンプリコン配列の正しさを塩基配列決定によって確認した。その後、NotI−PacI部位を用いてそのコ・アンプリコンを中間ベクターにクローニングした。
(ii)ALG6遺伝子の過発現。ALG6遺伝子(GenBank(登録商標)アクセッション番号:XM_502922、Genolevures:YALI0D17028g)のターミネーター(415bp下流)と共にALG6 ORF(1725bp)を、プルーフリーディングPfu DNAポリメラーゼ(Fermentas)を使用し、
をフォワードおよびリバースプライマーとしてそれぞれ用いるPCRによって、Yarrowia lipolytica MTLY60株のゲノムDNAからクローニングした。その配列をpCR−BluntII−TOPO(Invitrogen)内にクローニングし、そのALG6 ORF配列の正しさを塩基配列決定によって確認した(上記のとおり)。次に、hp4dプロモーターを含有するベクター(pYLHmA)内にBamHIおよびAvrIIによってそのALG6 ORFをクローニングし、その後、ALG3のターミネーターフラグメント中に存在する固有制限部位ClaIおよびHindIIIによって中間ベクター内にクローニングした。
(iii)選択マーカーカセット。宿主ゲノムDNAから選択可能マーカーURA3を除去するために、例えば、Fickersらによって記載されたような((2003)J.Microbiol.Methods 55(3):727−737、この開示は、その全体が参照により本明細書に援用されている)、Cre−lox組換え系を使用した。プラスミドpRRQ2(hp4d−cre、LEU2)(the Institut National de Recherche Agronomique(INRA)からの寄贈品)からのCreリコンビナーゼの発現の際に、前記マーカーは、2つのlox部位間での組換えによって切除される。ALG6過発現カセットを伴うおよび伴わない、両方の構築物において、lox部位に隣接するURA3選択マーカーを、そのベクターのPフラグメントとTフラグメントの間に導入されたI−SceI部位に挿入し、その結果、「PUT」構築物を得た。
マンノプロテインの調製。28℃のインキュベータ内で250rpmで回転する50mLファルコンチューブの中の10mLの標準YPD培地において一晩、酵母菌株を増殖させた。その後、それらの細胞を4℃で4000rpmでの遠心によってペレット化した。上清を除去し、それらの細胞を、先ず、2mLの0.9% NaCl溶液で洗浄し、その後、2mLの水で2回洗浄し、その後、微小遠心管内の1.5mLの0.02Mクエン酸ナトリウム(pH7)に再懸濁させた。90分間、121℃のオートクレーブで処理した後、それらの管をボルテックスにかけ、細胞破壊片を遠心によってペレット化した。上清を回収し、4℃の4容量のメタノールを用いて一晩、回転運動させながらマンノプロテインを沈殿させた。その後、そのアルコールで沈殿させた材料を遠心することによって沈殿物を得た。そのペレットを乾燥させ、50μLの水に溶解した。
糖分析。Callewaertら(2001;上記)が記載したようにABI3130DNAシーケンサーを用いてDNAシーケンサ援用(DSA)、蛍光体援用炭水化物電気泳動(FACE)を行った。簡単に言うと、1時間、50℃のRCM緩衝液(8M尿素、360mM Tris(pH8.6)および3.2M EDTA)中で糖タンパク質を変性させ、その後、15μL RCMを含有するIPプレートの事前湿潤PVDF膜に固定化する。その膜の事前湿潤を300μLのMeOHで行い、300μLの水および50μLのRCMで3回洗浄し、その後、真空除去した。それらの糖タンパク質を1時間、50μLの0.1Mジチオトレイトールで還元し、300μLの水で3回洗浄した。50μLの0.1Mヨード酢酸との暗所での30分のインキュベーションを用いてそのSH基をカルボキシメチル化し、300μLの水で3回洗浄した。その後、それらのプレートを100μLの1%ポリビニルピロリドン360と共に1時間インキュベートして、その膜上の占有されていない結合部位を飽和し、その後、再び300μLの水で3回洗浄した。次に、50μLの10mM Tris−アセテート(pH8.3)中のペプチド:N−グリコシダーゼF(PNGase F)x Uでの3時間の処理によってN−グリカンを遊離させた。N−グリカンを回復し、蛍光体8−アミノピレン−1,3,6−トリスルホネート(APTS)を用いて還元アミノ化によて誘導体化した。これは、1.2Mクエン酸中の20mMのAPTSとDMSO中の1MのNaCNBHの1:1混合物1μLとの37℃での一晩(ON)のインキュベーションおよび4μLの水の添加によるクエンチで達成した。過剰な標識をSephadex G−10樹脂でのサイズ分画によって除去した。その後、残存する標識N−グリカンを蒸発によって濃縮した。RNAse BのN−グリカンおよびオリゴマルトースラダーをサイズマーカーとして含めた。Genemapper(登録商標)ソフトウェア(Applied Biosystems)を用いてデータ分析を行った。標識された糖に対するグリコシダーゼ消化をON、37℃で100mM NHAC(pH5)中で行った。追加のタチナタマメ(JB)マンノシダーゼをON消化後に添加し、さらに24時間、37℃で放置した。
Yarrowia lipolyticaにおけるALG3遺伝子の破壊
ALG3遺伝子を破壊するために、ALG3のプロモーターおよびターミネーター部分を含み、且つ、URA3選択マーカーカセットを有するベクターを生成し、それをpYLalg3PUTと呼んだ。NotIおよびPacI部位を組込んで、そのベクターを線形化し、それによってE.coli関連DNAエレメントを除去した。プロモーターおよびターミネーター部位での二重相同組換えを用いて、ALG3をURA3選択可能マーカーで置換し、その結果、alg3::URA3突然変異株を得た。利用したノックアウト戦略は、Fickersら(2003;上記)によって記載されており、効率的なマーカーレスキューを助長するCre−lox組換え系を使用する。ゲノムALG3コンティーグにおける組込みの際に、Alg3pのα−1,6−マンノシルトランスフェラーゼ活性を失うはずである。これを、幾つかの形質転換体のマンノプロテインのグリコシル化パターンを分析することによって、モニターした。マンノプロテインから得たN−グリカンをDSA−FACE(キャピラリー電気泳動)によって分析し、エキソグリコシダーゼの選択で処理して、それらの構造を明らかにした。24のうちの7つの形質転換体がグリコシル化プロフィールの変化を生じた(それらのうちの3つを図13に示す)。7つすべての形質転換体において、ゲノムへのノックアウトカセットの正しい組み込みをPCRによって確認することができた。それらのプロフィールを分析することによって、3つの主グリカン構造を見つけた:(i)RNAse BのManGlcNAc構造(これは、構造式IVである;図4)と同じサイズで生じるもの(構造式VII;図4);(ii)1グルコース単位余分の距離にあるもの;および(iii)2グルコース単位余分の距離にあるもの(図13)。これらの結果は、ALG3がこれらの細胞において破壊されたことを示す。
α−1,6−マンノシルトランスフェラーゼAlg6pの過発現
第一のグルコシルトランスフェラーゼ、すなわちAlg6p、についての構成的活性過発現カセットをalg3遺伝子置換ベクターに組み込む戦略を開発した。このベクターをpYLalg3PUT−ALG6と呼んだ。このベクターのNotI/PacIフラグメントをYarrowia lipolytica MTLY60株に形質転換した。このようにして、hp4dプロモーターの制御下でALG3の破壊およびALG6の過発現が達成される。ゲノムへの正しい組み込みを再びPCRによって確認した。マンノプロテインから得たN−グリカンのDSA−FACE分析は、形質転換体の半分、すなわち24のうち12、がWT株と比較すると、グリコシル化パターンの変化を示した。ALG6の過発現が軽度のクローン的変動をもたらした(図13)。
N−グリカン構造の同定
上で説明した実験からのグリカン構造の性質をさらに解明するために、マンノプロテインから得たグリカンのインビトロ消化(上記のとおり)を、エキソグリコシダーゼの選択で行った。次の酵素を用いてマンノプロテイングリカンを分析した:α−1,2−マンノシダーゼ;α−マンノシダーゼ(JB)およびグルコシダーゼII。観察された3つのグリカン構造は、Man5GlcNAc2(構造式VII;図4)、GlcManGlcNAc(構造式VIII;図4)およびlcManGlcNAc(構造式IX;図4)であった(図14)。これらの結果は、α−1,6−マンノシルトランスフェラーゼ(例えば、Och1p)による高マンノース伸長が殆どまたは全くないことを示している。
ALG6過発現がN−グリコシル化部位占有を促進するために必要であるかどうかを定するために、3つの異なるYarrowia株:MTLY60、MTLY60Δalg3およびMTLY60Δalg3ALG6において、Yarrowia lipolytica由来のリパーゼ2(LIP2)を発現させた。TEF構成的プロモーターの制御下にあるYarrowia lipolytica LIP2のための構築をINRAからた。その発現カセットを上述の株に形質転換し、そのタンパク質の発現を、それらの形質転換細胞から調製した上清をSDS−PAGE分析に付すことによって検証した(図28)。Lip2pタンパク質は、2つのグリコシル化部位を有する。alg3欠損(「ノックアウト」)酵母菌株から得たLip2pタンパク質をSDS−PAGEによって3つの異なるバンドに分離し、そのゲルのクマブルー染色を用いてそれらを視覚化した(図28)。そのゲル中の3つすべての形態のタンパク質が、異なるグリコシル化形態のLip2pタンパク質であることを確認するために、alg3欠損(「ノックアウト」)酵母菌株から得たLip2pをPNGaseF(糖タンパク質からオリゴ糖残基を除去する酵素)での処理に付し、その後、上に記載したとおりSDS−PAGE分析に付した。PNGase FでのLip2pタンパク質の処理は、クマブルー染色後にそのゲル上に単一のバンド(これは、非グリコシル化Lip2pと同じ分子量を有した)を生じさせる結果となり、前に観察された3つすべてのタンパク質が異なるグリコシル化形態の同じLip2p分子であることを示した。これは、alg3ALG6株から得たLip2pについてもあてはまる。しかし、還元グリコシル化形態のタンパク質の量は、減少される。従って、ALG6の過発現はN−グリコシル化部位占有を(少なくとも一部は)回復させることができ、これがalg3ノックアウト突然変異酵母菌株では減少されると結論付けることができる。
キャッピンググルコース構造の除去
次に、モノ−グリコシル化(構造式VIII;図4)およびビ−グリコシル化(構造式IX;図4)ManGlcNAc(構造式VII;図4)構造をインビボで除去するために、酵素グルコシダーゼIIのα−サブユニットを過発現するように細胞を遺伝子操作した。YarrowiaのグルコシダーゼIIのαサブユニット(GenBank(登録商標)アクセッション番号:XM_500574)およびグルコシダーゼIITrypanosoma bruceiのαサブユニット(GenBank(登録商標)アクセッション番号:AJ865333)を2つの戦略として独立してクローニングして、そのタンパク質を過発現させた。グルコシダーゼIITrypanosoma bruceiのαサブユニットを選択した。その天然基質がGlcManGlcNAc(構造式VIII;図4)であるからである。両方の遺伝子を構成的hp4dプロモーターの制御下でクローニングした。それらのプラスミドは、URA3マーカーを含有する。これらの構築物を、alg3突然変異酵母菌株(ALG6過発現を伴うものと伴わないものの両方)に形質転換した。
これらの構築物を含有する培養細胞から得た分泌タンパク質からオリゴ糖を調製し、それらのオリゴ糖のプロフィールをDSA−FACE分析によって定した。すべての形質転換体から同じDSA−FACEプロフィールが得られた。それぞれのグルコシダーゼIIαの2つの異なるクローンを図29に示す。これらの結果から、Yarrowiaまたはトリパノソーマ(Trypanosoma)グルコシダーゼII αサブユニットのいずれの過発現も、モノ−グリコシル化(構造式VIII;図4)およびビ−グリコシル化(構造式IX;図4)ManGlcNAc(構造式VII;図4)構造の量に対して小さな影響しか及ぼさないと結論付けた。
HDEL配列でタグ付けしたYarrowia lipolyticaおよびTrypanosoma bruceiのグルコシダーゼII α−サブユニットの発現
ManGlcNAcからのグルコース残基のインビボでの除去に対するYarrowiaまたはトリパノソーマグルコシダーゼII αサブユニットの発現の効果を改善するために、分子生物学技術を用いて、HDELタグをコードする核酸を、2つのGlsII α酵素のそれぞれをコードする核酸の3’末端にインフレームで付加させた。このHDELタグは、ゴルジからERへの取り戻しメカニズムとして役立てるつもりであった。hp4dプロモーターの制御下にある、Yarrowia lipolytica(Y.l.)とTrypanosoma brucei(T.b.)両方からのHDELタグ付きグルコシダーゼII配列をコードするプラスミドを、ALG6遺伝子の過発現を伴うおよび伴わないalg3 KO株に形質転換した。図30においてわかるように、Yarrowia lipolyticaグルコシダーゼII αサブユニットの過発現は、グルコシル化構造の量に対して小さな影響しか及ぼさなかった。対照的に、余分なHDELタグを有するTrypanosoma bruceiαサブユニットのα−グルコシダーゼIIの過発現は、モノ−グルコースピークを縮小させることとなった(図31参照)。
ムタナーゼでのグリコシル化グリカンの処理
上で説明した結果は、モノ−グリコシル化形態のManGlcNAcを減少させる1つの具体例としての手段を明示している。糖タンパク質からのビ−グリコシル化形態のManGlcNAcを減少させるために、T.harzianumのムタナーゼを1つの可能性の有る解決策として調査した。酵素調製物をNovozymes(Novozyme 234;デンマークのBagsvaerd)から得、インビトロでオリゴ糖を消化するために使用した。すなわち、alg3ALG6株から得たオリゴ糖(グリカン:Man GlcNAc 、GlcMan GlcNAc 、およびGlc Man GlcNAc に、異なる濃度でムタナーゼを添加した。図32のDSA−FACEプロフィールに示されているように、オリゴ糖において観察されるビ−グルコースピークが効果的に縮小された。
次に、T.harzianumのムタナーゼをインビボで過発現させた。HDEL−配列を含有するムタナーゼを、Yarrowia lipolyticaにおける発現用のコドン最適化cDNAとして合成した。その成熟タンパク質を、TEF1プロモーターの制御下でLIP2 preシグナル配列と共にインフレームでクローニングした(図33)。この構築物をalg3突然変異酵母菌株(ALG6過発現を伴うものと伴わないものの両方)に形質転換する。その構築物を含有する培養細胞からオリゴ糖を調製し、それらのオリゴ糖のプロフィールをDSA−FACE分析によって定する。このDSA−FACEプロフィールは、それらのオリゴ糖において観察されるビ−グルコースピークの縮小を示すであろうと予想される。これらの結果から、ムタナーゼのインビボでの過発現は、そのムタナーゼを過発現していない細胞と比較して、オリゴ糖において観察されるビ−グルコースピークを縮小させることに対して有効であると結論付けられるだろう。
Yl GlsII α−およびβサブユニットの共発現
グルコシダーゼIIのα−およびβ−サブユニットがヘテロダイマー複合体を形成し、その結果、そのβ−サブユニットが、その複合体のERへの取り戻しに責任を負い、基質認識にも関与し、これに対してそのα−サブユニットが触媒活性を含有することは公知である。グルコシダーゼIIのα−サブユニットだけの過発現は、ビ−グルコースオリゴ糖構造に対して及す影響が小さかったので、α−およびβ−サブユニットを共発現させた。
PCRを用いて、MTLY60株から単離したゲノムDNAからβ−サブユニットのオープンリーディングフレーム(YALI0B03652g)を増幅させ、TEF1およびhp4dプロモーターの制御下でクローニングした。選択マーカーとしてLEU2を有し、且つ、TEF1およびhp4dプロモーターの制御下にあるグルコシダーゼII β−サブユニットを有する構築物を作製した。これらを、ALG6過発現を伴うおよび伴わないalg3ノックアウト株に形質転換し、HDEL配列タグを有するおよび有さないYarrowia lipolyticaグルコシダーゼIIαサブユニットを過発現させた。それらの細胞から分泌されたタンパク質からN−グリカンを調製した。それらのN−グリカンのDSA−FACEプロフィールを図33および34に示す(alg3ノックアウトとALG6の過発現)。これらのプロフィールから、Yarrowia lipolyticaからのグルコシダーゼIIのβサブユニットの過発現は、グリコシル化糖のトリミングに対してポジティブな影響を及ぼしたと結論付けることができる。一般に、グルコシダーゼIIのβサブユニットの効力は、TEF1プロモーターのもとで発現されたときに改善された。それらのグリコシル化構造は、Yarrowia lipolyticaグルコシダーゼIIαサブユニットがHDELタグを含有するとき、さらにいっそう減少された(図33および34)。
ALG6過発現を伴わないalg3欠損細胞については、グルコシル化構造の減少に関して類似した結果が異なる細胞集団それぞれについて観察された(図35)。
Aspergillus GlsII aおよびbサブユニットの発現
alg3欠損バックグランドにおいて発生するグルコース保有構造からグルコース残基を除去するために、Aspergillus niger成熟(シグナルペプチド欠失)グルコシダーゼII αおよびβを、Yarrowia lipolyticaにおける発現用のコドン最適化cDNAとして合成した(α−サブユニット(配列番号7;図36A−36B)β−サブユニット:(配列番号8;図37))。Aspergillus niger(An)グルコシダーゼαサブユニットを構成的TEF1およびhp4dプロモーターの制御下でクローニングし、これは、選択マーカーとしてURA3遺伝子を有した。それらの発現カセット(TEF1およびhp4dの制御下のORF)をYarrowia lipolytica alg3ALG6株に形質転換した。形質転換体候補をYPDにおいて増殖させ、分泌されたタンパク質からのグリカンをDSA−FACEによって分析した。2つのグルコシル化構造が形質転換株では非形質転換体(alg3ALG6)と比較してあまり豊富でないことを図38から推定することができる。
グリコシル化グリカン構造をさらに減少させるために、TEF1プロモーターまたはhp4dプロモーターの制御下にあるAspergillus nigerグルコシダーゼIIのベータサブユニットと選択マーカーとしてのLEU2を有する構築物を作製する。この構築物を、AnグルコシダーゼII α−サブユニットを発現するYarrowia lipolytica alg3ALG6株に形質転換する。Aspergillus nigerグルコシダーゼIIのβ−サブユニットの発現は、そのYarrowia lipolytica細胞におけるグルコシル化構造を減少させる結果になると予想される。
(実施例6)HAC1イントロンの同定ならびにHAC1遺伝子のクローニングおよび単離
Y.lipolytica HAC1スプライス部位。Yarrowia lipolyticaにおけるHAC1のイントロン領域と真菌Trichoderma resseiおよびAspergillus nidulansにおけるHAC1のイントロン領域の間の配列相同性に基づいて、Yarrowia lipolytica HAC1(Genbank:XM_500811、Genolevures:Yali0B12716g)の可能性の有るスプライス部位を同定した。その5’および3’スプライス部位は、特徴的なループ構造内に局在すると予測され、そのイントロンは29bp長であると算出された。
そのスプライス部位の周囲でプライマーを開発して、イントロンを同定した。遺伝子特異的プライマーを用いて、UPR(小胞体ストレス反応)誘導(ジチオトレイトール(DTT)中での増殖による)および非誘導培養物(陰性対照)からの単離されたmRNAから、第一鎖cDNAを合成した。その後、プライマーHAC1FW06−003およびHAC1Rv06−001を使用して、その第一鎖に関するPCRを行った。増幅産物を1.5%アガロースゲルで分析した。
非誘導細胞については+/−400bpのフラグメントが増幅されると予想され;誘導細胞については29bp小フラグメントが増幅されると予想された。非誘導細胞およびUPR誘導細胞から、適正なサイズのフラグメントを得た。UPR誘導培養物については、2つ以上の増幅産物が得られた。中間のフラグメントは非誘導培地について得られたバンドと同じサイズであり、これをスプライスされていないHAC1であると解釈した。より下位の、最も顕著なバンドをそのゲルから精製し、シーケンスベクターにクローニングした。その構築物の塩基配列を決定した後、配列アラインメントを行ってスプライス部位を同定した(図15)。その配列アラインメントから、スプライス部位が、Yarrowia lipolytica HAC1配列と真菌(Trichoderma reeseiおよびAspergillus nidulans)HAC1配列の比較から予測された位置にあることがわかる。このスプライス部位は29bp長である。
その活性完全長HAC1配列を単離するために、発現ベクターへのクローニングに適する制限部位を有するようにプライマーを操作した。プライマー配列は、次のとおりであった:Hac1ylRv07−018:
10mL培養物の酵母細胞を5mMのDTTの存在下で1.5時間インキュベートして、UPR反応を誘発した。インキュベーション後、RNAをそのDTT処理細胞から単離し、その単離されたRNAから逆転写酵素を用いて第一鎖cDNAを調製し、そのcDNAをテンプレートとして使用し、上記プライマーを使用してPCRを行った。そのスプライスされたHAC1を含有するPCR増幅配列を、標準的な分子生物学技術を用いてpCR−blunt−TOPOクローングベクターに挿入し、塩基配列を決定した。
Pichia pastoris HAC1スプライス部位。Pichia pastorisおよびSaccharomyces cerevisiae HAC1遺伝子のイントロン領域の配列相同性に基づき、Pichia pastoris HAC1遺伝子における可能性の有るスプライス部位を同定した(図16)。その5’および3’スプライス部位は、特徴的なループ構造内に局在すると予測され、そのイントロンは322bpの長さであると算出された。
その予測スプライス部位の周囲でプライマー(HAC1Fw06−004およびHAC1Rv06−005)を開発して、イントロンを同定した(表4参照)。そのイントロンを除去すると257ヌクレオチドのフラグメントが増幅されると予想され、イントロンが依然として存在すると579bpフラグメントが増幅されると予測された。UPR誘導および非誘導培養物からの単離されたmRNAから第一鎖cDNAを合成した。このUPRは、指数増殖細胞の10mL培養物に5mMのDTTを添加することによって誘導した。それらの細胞をDTTの存在下で1.5時間培養した。その増幅産物を1.5%アガロースゲル電気泳動によって分析した。およそ257bpのフラグメントを非誘導細胞と誘導細胞の両方からのcDNAから得た。
スプライスされていないP.pastoris HAC1遺伝子の長さを検証するために、プライマーHAC1−KarlおよびHAC1Rv06−005を使用してゲノムDNAでのPCRを行った。得られたフラグメントの長さを、誘導細胞培養物からのcDNAから得たPCR産物の長さと比較した。そのゲノムDNAからの増幅フラグメントは、同じプライマーを使用してそのcDNAから得たアンプリコンより約300bp長く、これは、そのイントロンがゲノムDNA配列中に存在し、スプライスされたmRNAが不在であることを示す。
257bpのcDNAフラグメントをそのゲルから単離し、シーケンシングベクター内にクローニングした。そのフラグメントの塩基配列を決定し、アラインメントを行ってスプライス部位を同定した(図17)。スプライスされたP.pastoris HAC1遺伝子を単離しクローニングするために、発現ベクターへのクローニングのための制限酵素部位を伴うPCRプライマーを開発した(HAC1−KarlおよびHAC1Rv06−009)。5mMのDTTで1.5時間、10mLの培養物をUPR誘導した。単離されたRNAから逆転写酵素を使用して第一鎖cDNAを調製し、その後、上記プライマーを使用してそのcDNAテンプレートDNAを用いてPCRを行った。スプライスされたHAC1を単離し、塩基配列決定のためにpCR−blunt−TOPOクローニングベクター内にクローニングした。スプライスされた遺伝子もメタノール誘導性AOX1プロモーターの制御下で発現ベクターpBLHIS IX内にクローニングして、ベクターpBLHIS IX ppHAC1スプライス型を得た。そのHAC1遺伝子の発現ベクターへの正しい挿入を、PCRおよび制限酵素分析を用いて確認した。
Saccharomyces cerevisiaeでは、スプライシングにより、スプライスされていなmRNA内のC末端の10アミノ酸のコーディング配列が、18アミノ酸のコーディング配列で置換される。一致して、Pichia pastorisでは、スプライシングにより、スプライスされていないHAC1内のC末端の45アミノ酸のコーディング配列もまた18アミノ酸のコーディング配列(これは、S.cerevisiae配列からのものと相同である)によって置換されることを明らかにした(図18)。
(実施例7)スプライスされたHAC1遺伝子のYarrowia lipolyticaへの形質転換および誘導
Yarrowia lipolytica細胞(MTLY60株)を、hp4dプロモーターの発現制御下にあるスプライスされたHAC1 cDNAと選択マーカーとしてURA3遺伝子とを含有するベクター「PYHMAXHAC1ylスプライス型」(上記)を用いて形質転換した。酵母ゲノムへのこのベクターの組み込みをPCRを用いて検証した。そのPYHMAXHAC1ylスプライス型で形質転換されたMTLY60株をYPG中の2mLの培養物で、28℃で24時間増殖させた。それらの培養細胞をYNBで2回洗浄し、OD600 0.6に希釈し、50mMのリン酸緩衝液(pH:6.8)で緩衝したYTG中で24時間増殖させた。その後、それらの細胞をOD600 0.2に希釈し、さらに3世代増殖させて、中間指数期でそれらの細胞を回収した。そのペレットに、1mLのRNApure(商標)溶液を1gのガラスビーズと共にそれらの細胞に添加した。激しく振盪することによって細胞を破壊した。150μLのクロロホルムの添加によってそれらの破壊細胞からRNAを抽出し、イソプロパノールでRNAを沈殿させた。抽出されたRNAをDNAseででも処理して、一切の共沈DNA不純物を除去した。
iScriptTMcDNA Synthesis Kit(カリフォルニア州、ハーキュリーズのBio−Rad Laboratories)を使用して、20μL総容量反応で800ngのRNAから第一鎖cDNAを調製した。20ng RNA当量を実時間PCR分析に用いて、それらの細胞中のHAC1 mRNAの量を決定した。実時間PCRは、SYBR(登録商標)グリーン(蛍光性)(Eurogentec)を検出試薬として使用して実行した。それらの細胞中のHAC1 mRNAの量を検出するためのプライマーを設計することに加えて、実時間PCRのための対照としてACT1遺伝子(ハウスホールド遺伝子)およびKAR2遺伝子(UPR反応性遺伝子)の量を定量するためのプライマーも設計した。それらの細胞中のそれぞれの遺伝子のmRNAの相対量を、発現対照としてActin(ハウスキーピング遺伝子)を使用して比較閾サイクル値から算出した。それらの細胞によるUPR反応の誘導を、UPRの発現を測定することによって確認した。HAC1ばかりでなくKAR2の発現レベルは、野生型株MTLY60と比較して、構成的プロモーターの制御下でHAC1を発現する株におけるほうが高い(図39)。
(実施例8)スプライスされたHAC1遺伝子のPichia pastorisへの形質転換および誘導
培地:以下の実験のために3タイプの培地を用いた:BMY(酵母用緩衝培地:100mMリン酸カリウム(pH:6.0)/アミノ酸を伴わない1.34% YNB/1%酵母抽出物/2%ペプトン);BGMY(酵母用緩衝グリセロール−複合培地:100mMリン酸カリウム(pH:6.0)/アミノ酸を伴わない1.34% YNB/1%酵母抽出物/2%ペプトン/1%グリセロール);およびBMMY(酵母用緩衝メタノール−複合培地:100mMリン酸カリウム(pH:6.0)/アミノ酸を伴わない1.34% YNB/1%酵母抽出物/2%ペプトン/0.5%グリセロール)。
Pichia Expression kit(Invitrogen Cat.No.K1710−01)からのエレクトロポレーションプロトコルに従って、Pichia pastoris細胞を形質転換した。ベクターpBLHIS IX ppHAC1スプライス型をHIS4遺伝子内で線形化して、その構築物を組み込みのためのHIS4遺伝子座にターゲッティングした。10マイクログラムのDNAを酵母細胞に形質転換した。その構築物の正しい組み込みを、単一コロニーの単離後のゲノムDNAでのPCR(プライマーHAC1−KarlおよびHAC1Rv06−005)を用いて検証した。形質転換細胞から得たDNAから915kbおよび1237kbのフラグメントが増幅され、これに対して非形質転換体(その構築物が組み込まれていない細胞)では1237kbのフラグメントが増幅された。プラスミドの組み込みについて陽性であると同定されたクローンを誘導前に24時間、10mLのBMGY培地中で増殖させた。細胞をBMYで1回洗浄した。誘導培養物にBMYを添加した一方で、非誘導培養物にはBMGYを添加した。12時間ごとに、誘導培養物に0.5%メタノール(最終濃度)を供給した。24時間、誘導を行い、その後、細胞を遠心によって回収した。RNAを調製するために、細胞を1mLのRNApure(商標)(ニューヨーク州、ナッシュビルのGenhanter Corporation)および1gのガラスビーズと併せ、激しく振盪させることによって溶解した。150μLのクロロホルムの添加によってRNAを抽出し、イソプロパノールで沈殿させた。抽出し、沈殿させたRNAを、Qiagenから入手したRNAse不含DNAse(Cat No.79254)でDNAse処理した。400ngの全RNAを、oligodTプライマーおよびSuperscript II逆転写酵素(Invitrogen、Cat.No.18064−014)を使用する逆転写酵素反応に付した。20ng RNA当量を実時間PCR反応に用いた。プライマー配列は、Primer Expressソフトウェア(Applied Biosystems)によって設計した(配列についてはプライマー表を参照のこと)。SYBRグリーン蛍光試薬(Eurogentec)を利用する実時間PCRを、BioRadからのiCyclerマシーンで実行した。ハウスキーピング遺伝子アクチンを対照として用いて比較閾サイクル値からmRNAの相対量を算出した。UPRの定量は、UPR−ターゲット遺伝子KAR2の発現分析によって行う。メタノールで誘導した同じクローンと比較して誘導しなかったクローンを比較すると、KAR2の3から7倍高い発現が達成された(図19)。
2つの追加のクローン6およびクローン8からのHAC1 mRNAの相対量を定量的PCRによって決定し、Kar2のmRNAの相対量と比較した。HAC1の強い誘導が両方のクローンにおいて観察された。KAR2 mRNAの相対量は、HAC1 mRNAの相対量と相関するようであった。HAC1の発現レベルが高いほど高いKAR2の発現量がもたらされる(図20)。
蛍光フローサイトメトリー(FFC)を用いてメタノール誘導培養物の細胞死の調査を行い、非誘導細胞の細胞死と比較した。分析1回につき1万個の細胞を測定した。12、36および48時間の誘導後に、FACScalibur(商標)(Becton Dickinson)で細胞を分析した。細胞死は観察されなかった。GlycoSwitchM5(GSM5)株は、主コアタイプグリカン構造として主としてManGlcNAc(構造式IV;図4)を有する。Hac1p誘導がN−グリカン構造に対して影響を及ぼすかどうかを確認するために、1mLの培養基のDSA−FACE分析を行った。スプライスされたHac1pの48時間の誘導後に得られるグリカンプロフィールは、親GSM5株のプロフィールに類似している。
Hac1pの誘導がP.pastorisの増殖を損なわせるかどうかを確認するために増殖曲線を作成した。空ベクター形質転換株と比較してHac1p誘導株の増殖欠陥は見られなかった(図22)。
(実施例9)YMNN6の発現
S.cerevisiaeにおいて、MNN6は、ホスホマンノース残基をN−グリカンに転移させる。従って、Y.lipolyticaにおけるYlMNN6の過発現は、リン酸化増加をもたらすことができる。さらに、YlMNN4およびYlMNN6の過発現によって、Y.lipolyticaのリン酸化に対する追加効果を得ることができる。YlMNN6コーディング領域(Genbank(登録商標)アクセッション番号XM_499811、Genolevures Ref:YALI0A06589g)を、PCRプライマー
を使用してそのゲノムからPCR増幅し、hp4dプロモーターの制御下での発現のためにpYHmAX発現ベクター内にクローニングした(図21)。ランダム組込みを向上させるためにゼータ配列を使用してそのプラスミドをY.lipolytica株MTLY60に形質転換させた。ウラシルを伴わない培地で増殖させた細胞クローンから分泌された糖タンパク質を回収し、DSA−FACEを用いて、それらの糖タンパク質を合成したグリカンの組成を分析した。しかし、リン酸化増加は観察されなかった(図22)。
(実施例10)Hac1p発現の影響
異種タンパク質の分泌に対するHac1p過発現の評価
ヒグロマイシン耐性マーカーと、誘導性AOX1プロモーターの制御下にあるスプライスされたHAC1 cDNAとを含有するベクター(pPIChygppHAC1スプライス型)またはヒグロマイシン耐性マーカーと、構成的GAPプロモーターの制御下にあるスプライスされたHAC1 cDNAとを含有するベクター(pGAPhygHAC1ppスプライス型)、誘導性AOX1プロモーターの制御下でmIL−10タンパク質を発現するGS115株に形質転換した。Pichia Expression kit(Invitrogen Cat.No.K1710−01、カリフォルニア州、カールズバッドのInvitrogen)からのエレクトロポレーションプロトコルに従って、P.pastoris細胞を形質転換した。それらのベクターを前記AOX1またはGAPプロモーター内で線形化して、Hac1p遺伝子の組み込みをそれぞれそのAOX1またはGAP遺伝子座にターゲッティングした。そのプラスミドの宿主ゲノムへの組み込みをPCRを用いて確認した。
陽性同定クローンからの前培養物(5mL)を24時間、YPD中で増殖させた。それらの培養物中の細胞の600nmの波長での濃度(OD)(OD600)を測定し、培養物を、24ウエルプレートのそれぞれのウエルの2mLのBMGY培地中、1のOD600に希釈した。48時間、BMGY中で培養物を増殖させ、BMYで2回洗浄し、その後、BMMY中で24時間誘導した。8から12時間ごとに、1%メタノール(最終濃度)を含有する培地を培養物に再供給した。誘導後、細胞の上清を回収し、トリクロロ酢酸(TCA)を使用して、1mLの上清からタンパク質を沈殿させた。その沈殿したタンパク質を15%SDS−PAGEに付した。
そのSDS−PAGEから、少なくとも1つのタンパク質−mIL−10−の発現に関するクローン的変動を異なるクローン間で観察した。例えば、Hac1pタンパク質を(GAPプロモーターの制御下で)構成的に発現するクローンについては、発現レベルの改善が観察されず、これに対してHac1pを誘導(AOX1プロモーター)により発現するクローンについては、より高いmIL−10タンパク質発現レベルを示す2つのクローンを同定することができた(図40および図41)。それらのクローンのそれぞれによるmIL−10の発現を、参照GS115 mIL−10発現株が生じさせるmIL−10の発現と比較した。
これらのクローンについて新たな誘導を行った。24時間増殖させた前培養物をバッフル付きフラスコ内で20mL BMGY中、OD 1に希釈した。細胞をBMGY中で48時間増殖させ、2回洗浄し、その後、BMMYで誘導した。1%メタノールを含有する培地を8〜12時間ごとに培養物に再供給した。誘導後、細胞の上清を回収し、TCAを使用して1mLの上清からタンパク質を沈殿させた。その沈殿したタンパク質を15%SDS−PAGEに付す前に、すべてのグリコシル化を除去する(またはしない)ようにそのタンパク質をPNGase Fで処理した(図41)。Hac1p発現株の上清からのSDS−PAGE分離タンパク質は、75kDaの顕著なバンドを含んでいた。これは、参照株中には存在しない。このバンドは、質量分析により、最も顕著なUPRターゲット遺伝子であるKar2pであると同定された。サイトカインビーズアレイ(CBA)を用いて、Hac1pおよびmIL−10タンパク質の同時誘導性発現が、mIL−10タンパク質の2倍高い発現をもたらすことができることを証明することができた(クローン1、図41)。CBAは、endoH処理mIL−10タンパク質を用いて行った。
異種タンパク質の表面発現に関するHac1p過発現の評価
ヒグロマイシン耐性マーカーと誘導性AOX1プロモーターの制御下にあるスプライスされたHAC1 cDNAとを含有するベクター(pPIChygppHAC1スプライス型)またはヒグロマイシン耐性マーカーと構成的GAPプロモーターの制御下にあるスプライスされたHAC1 cDNAとを含有するベクター(pGAPhygHAC1ppスプライス型)、成熟ヒトインターフェロン−ベータ/アルファ−アグルチニン融合タンパク質、成熟マウスインターフェロンガンマ/アルファ−アグルチニン融合タンパク質、成熟ヒトエリスロポエチン/アルファ−アグルチニン融合タンパク質、またはアルファ−アグルチニンとマウストロンボモジュリンのレクチン様ドメインとの融合タンパク質(これらのそれぞれが、誘導性AOX1プロモーターの制御下にある)を発現するGlycoswitchMan5株に形質転換し。Pichia Expression kit(Invitrogen Cat.No.K1710−01)からのエレクトロポレーションプロトコルに従って、P.pastoris細胞を形質転換した。それらのベクターを前記AOX1またはGAPプロモーター内で線形化して、組み込みのためにHac1p遺伝子をそれぞれそのAOX1またはGAP遺伝子座にターゲッティングした。そのプラスミドの宿主ゲノムへの組み込みをPCRを用いて確認した。
陽性同定クローンからの前培養物(5mL)を24時間、YPD中で増殖させた。そのOD600を測定し、培養物を、24ウエルプレートのそれぞれのウエル内の2mLのBMGY中、1のOD600に希釈した。24時間、BMGY中で培養物を増殖させ、脱イオン水で2回洗浄し、その後、BMMY中で24時間(1%メタノールを含有する培養基を使用して)誘導した。VHコーディング配列にC末端融合するV5−エピトープに特異的な抗体での間接免疫染色によって表面発現を立証した。誘導後、0.1%ウシ血清アルブミンを補足した1mLのPBS(pH7.2)(PBS/BSA)中の10個の細胞を1μL/mLの抗V5抗体(1μg/μL;Invitrogen)と共にインキュベートし、PBS/BSAで洗浄し、1μL/mLのAlexa fluor 488標識ヤギ抗マウスIgG(1μg/μL;Molecular Probes)と共にインキュベートした。PBS/BSAで2回洗浄した後、それらの細胞をフローサイトメトリーによって分析した(表5)。
MFI=フローサイトメトリー分析によって得られた平均蛍光強度
Hac1pタンパク質を構成的に発現する株については、表面タンパク質のみを発現する参照株と比較して、4つすべてのタンパク質について表面発現レベルの改善をまったく観察することができないか、また、該発現レベルのはるかに小さな差しか観察することができなかった。ヒトインターフェロンベータを発現する細胞において、表面発現レベルの有意な減少が観察された。誘導性Hac1pを過剰発現する株(表5)については、次のことを観察することができた:1)ヒトインターフェロン−ガンマ表面発現株では、ヒトインターフェロン−ベータa−アグルチニン融合体のみを発現する参照株と比較して、表面発現レベル1.8分の1になったことを観察することができ;2)ヒトエリスロポエチンa−アグルチニン融合タンパク質を表面発現する株については、前記参照株と比較して、表面発現レベル1.3分の1になったことを観察することができ;3)ヒトインターフェロン−ベータを表面発現する株では、前記参照株と比較して、表面発現の差を観察することができず;および4)マウストロンボモジュリンレクチン様ドメインを表面発現する株では、前記参照株と比較して、表面発現レベル1.9倍になったことを観察することができた。
リン脂質合成に対するHac1pの過発現の影響
(スプライスされたHAC1 cDNAから生産される)Hac1p産物の過発現が、P.pastorisにおける脂質代謝に影響を及ぼすかどうかを定するために、上で説明したスプライスされたHAC1 cDNAで細胞を形質転換し、それらの細胞における脂質代謝に対するHac1pの影響を電子顕微鏡分析によって定した。細胞をBMGYで48時間増殖させ、PBSで1回洗浄し、その後、BMMYでさらに48時間増殖させた。次に、8から12時間ごとに1%メタノールを含有する培地でそれらの細胞を培養した。その後、Baharaeenの方法(Baharaeenら(2004)Mycopathologia)による電子顕微鏡検査のためにそれらの細胞を調製した。簡単に言うと、グルタルアルデヒド(3%)とパラ−ホルムアルデヒド(pH7.2の0.05Mのカコジル酸ナトリウム中で緩衝された1.5%)とを含有する第一固定液を氷上で2時間、それらの細胞と接触させる。その後、それらの細胞を20分間、0.05Mのカコジル酸ナトリウムで3回洗浄した。洗浄後、それらの細胞を6%過マンガン酸カリウム溶液と1時間、室温で接触させ、その後、20分間、0.05Mのカコジル酸ナトリウムで3回洗浄した。実験結果を図54に提示する。P.pastorisにおける(スプライスされたHAC1 cDNAから生産される)Hac1p産物の過発現は、図54に示す電子顕微鏡写真(EM)において見ることができるような離散した積層膜領域の形成をもたらす。これらの結果は、脂質代謝に関与する遺伝子のその転写活性化経由でのHac1pの過発現が、P.pastorisにおける脂質代謝に対して強い影響を確かに及ぼすことを明示している。
(実施例11)ManHDELの発現
Δoch1株によって発現される糖タンパク質に結合するManGlcNAcの場合、α−1,2−マンノシダーゼを発現して、ManGlcNAcをManGlcNAcへと切断することができる(すなわち、ゴルジ型α−1,2−マンノシダーゼ活性)。このマンノシダーゼは、分泌系にターゲッティングされるはずである。S.cerevisiae prepro接合因子に融合しており、HDEL配列でタグ付けされたTrichoderma reesei α−1,2−マンノシダーゼ(GenBank(登録商標)アクセッション番号:AF212153)は、Trichoderma reeseiおよびAspergillus nigerにおいてばかりでなくPichia pastorisにおいてもインビボでManGlcNAcをManGlcNAcへとトリミングすることができる。構成的hp4dプロモーターの制御下でY.lypolyticaにおいてMFManHDEL(HDEL配列でタグ付けしたTrichoderma reesei α−1,2−マンノシダーゼに融合したS.cerevisiaeα−接合因子prepro)を過発現する発現構築物を作製した(図23)。制限酵素NotIでのプラスミドpYHmAXManHDELの消化、それに続くアガロースゲル電気泳動を用いる所望のフラグメントの単離後、その発現カセットをそれらの細胞に形質転換した。
それらの形質転換細胞からのマンノプロテインから得たグリカンを、DSA−FACEを用いて分析した。ManGlcNAcのほんの少しの割合しかManGlcNAcに転化されなかった(図24)。ManGlcNAcからManGlcNAcへの不完全な転化は、最適でない分泌シグナルに起因した。従って、そのSaccharomyces cerevisiae分泌シグナルを、十分に発現されるYarrowia lipolytica LIP2から得た分泌シグナル(LIP2pre)で置換した。このLIP2pre配列を、合成オリゴヌクレオチドLIP2pre fw GATCCATGAAGCTTTCCACCATCCTCTTCACAGCCTGCGCTACCCTGGCCGCGGTAC(配列番号66)およびLip2prepro rv GTACCGGCCGGCCGCTTCTGGAGAACTGCGGCCTCAGAAGGAGTGATGGGGGAAGGGAGGGCGGC(配列番号67)をハイブリダイズすることによって作製し、そのDNAをpYLHmAベクター(BamHI/AvrII部位)にクローニングして、以下の構築物を得た:pYLHUdL2pre。そのManHDELコーディング配列を、オリゴヌクレオチドManHDEL Eco47IIIfw(GGCAGCGCTACAAAACGTGGATCTCCCAAC(配列番号68))およびManHDEL AvrII rv(GGCCCTAGGTTACAACTCGTCGTGAGCAAG(配列番号69))を使用してpGAPZMFManHDELからPCR増幅し、pYLHUdL2pre内にクローニングした。この構築戦略を図25に示す。そのプラスミドのNotIでの消化および適正なフラグメントの単離(上記参照)後、(構成的プロモーターhp4dの制御下にあるL2preManHDELを伴う)その発現カセットをYarrowia lipolytica Δoch1株に形質転換した。分泌されたタンパク質から得たグリカンをDSA FACEによって分析した。ManGlcNAcからManGlcNAcへの多少の転化が発生したが、その反応は不完全であった(ManGlcNAcばかりでなく中間産物ManGlcNAcおよびManGlcNAcも存在した;図26)。
ManGlcNAc、ManGlcNAcおよびManGlcNAcのManGlcNAcへのトリミングをさらに改善するために、Trichoderma reesei α−1,2−マンノシダーゼのコドンをYarrowia lipolyticaでの発現のために最適化し(配列番号9;図42)、LIP2 preシグナル配列に融合させた。この融合構築物は、4つの異なるプロモーター:(i)hp4d、(ii)GAP(配列番号10;図43)、(iii)POX2、および(iv)TEF1の制御下で発現させた。最終発現プラスミドをpYLHUXdL2preManHDEL(配列番号11;図44A−C)pYLGUXdL2preManHDEL(配列番号12;図45A−)pYLPUXdL2preManHDEL(配列番号13;図46A−C)pYLTUXdL2preManHDEL(配列番号14;図47A−C)と名づけた。NotIでのプラスミドの切断、そしてManHDEL発現カセットを含有するフラグメントの単離後、4つすべてのプラスミドをYarrowia lipolytica MTLY60 Δoch1株(実施例2に記載)に形質転換した。hp4d、GAPおよびTEFプロモーターの制御下にあるManHDELを有する形質転換株(プラスミドpYLHUXdL2preManHDEL、pYLGUXdL2preManHDELおよびpYLTUXdL2preManHDEL)をYPD中で増殖させた。
形質転換株の分泌タンパク質から得たグリカンをDSA FACEによって分析した。結果を図48に提示する。あるいは、形質転換体(pYLPUXdL2preManHDELプラスミドが組み込まれた形質転換体を含む)を、オレイン酸を含有する培地(タンパク質生産条件)で増殖させ、グリカンをDSA−FACEによって分析した。ベクターのうちの1つ、pYLTUXdL2preManHDEL、についてのデータを図49に提示する。このデータから結論付けることができることとして、48時間の培養により、ほぼすべてのグリカンがManGlcNAcに転化される。
(実施例12)POX2プロモーター制御遺伝子発現のための培養条件
新しいプレートの単一コロニーから培養を開始し、250rpmのオービタルシェーカー内の50mL管の中の28℃の10mL YPDにおいて一晩増殖させた。次に、22mLの生産培地(2.5mLのオレイン酸エマルジョンを含む)が入っている250mL振盪フラスコにその前培養物を0.2の最終OD600で接種した。この培養物を250rpmのオービタルシェーカーの中で28℃でインキュベートした。その培養物のサンプルを、96時間培養を通して様々な時点で採取した。
オレイン酸エマルジョン(20%)は、次のような方法で作製した:
滅菌50mLベッセルに、
20mLの滅菌水;
5mLのオレイン酸;および
125μLのTween 40
を添加する。
75Hzで1分間、超音波処理を行って、エマルジョンを形成させる。
生産培地は、以下のものから成った:
1%酵母抽出物;
2%トリプトン;
1%グルコース;および
50mM ホスフェート pH6.8。
(実施例13)ヒトグルコセレブロシダーゼの発現
ヒトグルコセレブロシダーゼ(GLCM、Swiss Prot entry nr:P04061)を、Yarrowia lipolyticaでの発現用のコドン最適化cDNAとして化学合成した(配列番号15、図50)。
成熟タンパク質についてのコーディング配列を、LIP2 preシグナル配列のコーディング配列に融合させた。この融合構築物をオレイン酸誘導性POX2プロモーターの制御下でクローニングした。結果として生じたプラスミドをpYLPUXL2preGLCM(=pRAN21)と名づけた。形質転換前に、そのプラスミドをNotIで消化し、発現カセットを含有するフラグメントを単離し、Yarrowia lipolytica株MTLY60、MTLY60Δoch1(上の実施例2に記載)、およびMTLY60Δoch1ManHDEL(実施例11に記載)に形質転換した。これらの3つの株から得た形質転換体を、実施例12において記載したとおり増殖させた。上に記載したとおりその上清からタンパク質を沈殿させ、SDS−PAGEに付し、そしてラットモノクローナル抗グルコセレブロシダーゼ抗体(Allessandriniら(2004)J.Invest.Dermatol 23(6):1030−6)を使用して免疫ブロットした。具体例としての免疫ブロット分析を図51に示す。och1破壊株ではスミアリングが発生せず(レーン1、2および3)、これに対してWT細胞ではタンパク質の異質性がスミアとして見られる(レーン4および6)ことが図51からわかる。ManHDELを発現する酵母の株から得たタンパク質では、タンパク質のスミアリングが観察されなかった。これらの結果は、遺伝子操作したYarrowia lipolytica細胞MTLY60Δoch1およびMTLY60Δoch1ManHDELを使用すると、ターゲットタンパク質のより均一な集団を得ることができることを明示している。
(実施例14)ヒトエリスロポエチンの発現:
ヒトエリスロポエチン(Epo、Swiss Prot entry nr:P01588)をコードするcDNAを化学合成し、Yarrowia lipolyticaにおける発現のためにコドンを最適化した(配列番号16;図52)。その成熟タンパク質についてのcDNAコーディング配列をLIP2 preシグナル配列のコーディング配列に融合させた。この融合構築物を、オレイン酸誘導性POX2プロモーターの制御下でクローニングした。結果として生じたプラスミドをpYLPUXL2prehuEPOと名づけた。形質転換前に、そのプラスミドをNotIで切断し、発現カセットを含有するフラグメントを単離し、Yarrowia lipolytica株MTLY60Δoch1(実施例2に記載)に形質転換した。形質転換体候補を、実施例12に記載したとおり増殖させ、分泌されたタンパク質を、SDS PAGE後、R&D systemsから入手したモノクローナルマウス抗ヒトEpo抗体(クローンAE7A5)を使用するウエスタンブロットによって分析した。それらの細胞から得たEPO産物は、非常に均一なグリコシル化を示した。
(実施例15)ヒトα−ガラクトシダーゼAの発現:
ヒトα−ガラクトシダーゼA(AGAL、Swiss Prot entry nr:P06280)をコードするcDNAを、Yarrowia lipolyticaにおける発現用のコドン最適化cDNAとして化学合成した(配列番号17;図53)。
その成熟タンパク質についてのcDNAコーディング配列をLIP2 preシグナル配列のコーディング配列に融合させた。この融合構築物を、オレイン酸誘導性POX2プロモーターの制御下でクローニングした。結果として得られたプラスミドをpYLPUXL2preaGalaseと名づけた。形質転換前に、そのプラスミドをNotIで切断し、発現カセットを含有するフラグメントを単離し、Yarrowia lipolytica株MTLY60およびMTLY60Δoch1MNN4(実施例4に記載)に形質転換した。これら2つの株において得た形質転換体を、実施例12に記載したとおり増殖させた。形質転換体から得た細胞外タンパク質を、SDS PAGE後、免疫ブロットによって分析した。α−ガラクトシダーゼAに特異的な2つの抗体(Abcamから入手したニワトリポリクローナル抗体(ab28962)およびSanta Cruz Biotechnologyから入手したウサギポリクローナル抗体(sc−25823))を使用して、それらの発現されたヒトα−ガラクトシダーゼAタンパク質を検出した。
(実施例16)WT Yarrowia lipolyticaにおけるマンノシダーゼの発現
マンノシダーゼHDELのみの(すなわち、機能性OCH1遺伝子を含有する細胞における)発現が、真菌細胞によって発現されるタンパク質のより均一なグリコシル化をもたらすことができるかどうかを定するために、マンノシダーゼHDELをコードする核酸を含有する発現カセット(実施例11参照)を野生型Yarrowia lipolytica po1d細胞に形質転換した。それらの細胞から得た分泌タンパク質から得られたグリカンをDSA−FACEによって分析した(図55)。分析したグリカンは、主として、ManGlcNAcおよび少ない部分であるManGlcNAcから成った。これらの結果は、OCH1遺伝子の破壊が一切ない、マンノシダーゼHDELのみの発現が、Yarrowia lipolyticaによって発現されるタンパク質のより均一なグリコシル化をもたらすことを明示している。
他の実施形態
本発明を「発明を実施するための形態」に関連して説明したが、上述の説明は、本発明を例証するためのものであり、本発明の範囲を限定するためのものではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。他の態様、利点および変形は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。

Claims (81)

  1. 少なくとも1つの修飾N−グリコシル化活性を含むように遺伝子操作されたYarrowia lipolyticaまたはArxula adeninivorans細胞を提供すること;および
    ターゲットタンパク質をコードする核酸を該細胞に導入すること
    を含み、
    該細胞が、該ターゲットタンパク質を改変N−グリコシル化形態で生産する、
    改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質を生産する方法。
  2. 前記改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質を単離することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ターゲットタンパク質が、外因性タンパク質である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記ターゲットタンパク質が、内因性タンパク質である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記ターゲットタンパク質が、哺乳動物タンパク質である、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  6. 前記ターゲットタンパク質が、ヒトタンパク質である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記ターゲットタンパク質が、病原タンパク質、リソソームタンパク質、成長因子、サイトカイン、ケモカイン、抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または融合タンパク質である、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記融合タンパク質が、病原タンパク質、リソソームタンパク質、成長因子、サイトカインまたはケモカインと抗体またはその抗原結合フラグメントとの融合体である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記ターゲットタンパク質が、リソソーム貯蔵障害(LSD)に関連したタンパク質である、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記ターゲットタンパク質が、グルコセレブロシダーゼガラクトセレブロシダーゼ、アルファ−L−イズロニダーゼ、ベータ−D−ガラクトシダーゼ、ベータ−グルコシダーゼ、ベータ−ヘキソサミニダーゼ、ベータ−D−マンノシダーゼ、アルファ−L−フコシダーゼ、アリールスルファターゼB、アリールスルファターゼA、アルファ−N−アセチルガラクトサミニダーゼ、アスパルチルグルコサミニダーゼ、イズロネート−2−スルファターゼ、アルファ−グルコサミニド−N−アセチルトランスフェラーゼ、ベータ−D−グルコロニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、アルファ−L−マンノシダーゼ、アルファ−ノイラミニダーゼ、ホスホトランスフェラーゼ、酸リパーゼ、酸セラミダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、チオエステラーゼ、カテプシンK、およびリポタンパク質リパーゼからなる群より選択される、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記改変N−グリコシル化形態が、1つ以上のN−グリカン構造を含む、請求項1〜1のいずれかに記載の方法。
  12. 前記1つ以上のN−グリカンが、ManGlcNAc ManGlcNAc ManGlcNAc ManGlcNAc GlcManGlcNAc およびGlcManGlcNAc からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  13. 前記改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質が、均一または実質的に均一である、請求項1〜1のいずれかに記載の方法。
  14. 前記改変N−グリコシル化を含有する改変ターゲット分子の割合が、少なくとも約20%である、請求項13に記載の方法。
  15. 前記改変N−グリコシル化を含有する改変ターゲット分子の割合が、少なくとも約30%である、請求項13に記載の方法。
  16. 前記改変N−グリコシル化を含有する改変ターゲット分子の割合が、少なくとも約40%である、請求項13に記載の方法。
  17. 前記細胞が、少なくとも1つのN−グリコシル化活性が欠損するように遺伝子操作される、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
  18. 前記細胞において欠損するように遺伝子操作される前記N−グリコシル化活性が、ALG3活性である、請求項17に記載の方法。
  19. 前記細胞において欠損するように遺伝子操作される前記N−グリコシル化活性が、OCH1活性である、請求項17に記載の方法。
  20. 前記細胞において欠損するように遺伝子操作される前記N−グリコシル化活性が、MNS1活性である、請求項17に記載の方法。
  21. 前記欠損するように遺伝子操作される前記細胞における前記N−グリコシル化活性が、MNN9活性である、請求項17に記載の方法。
  22. 前記少なくとも1つの修飾が、前記N−グリコシル化活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の欠失を含む、請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
  23. 前記少なくとも1つの修飾が、
    前記N−グリコシル化活性を有する突然変異形態のタンパク質の発現;または
    前記N−グリコシル化活性を有するタンパク質の機能的発現に干渉するRNA分子の導入または発現を含む、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
  24. 前記少なくとも1つの修飾が、N−グリコシル化活性を有するタンパク質の発現を含む、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
  25. 前記N−グリコシル化活性を有する発現されるタンパク質が、前記細胞内の外因性核酸によってコードされたタンパク質である、請求項24に記載の方法。
  26. 前記N−グリコシル化活性が、グルコシルトランスフェラーゼ活性である、請求項24または25に記載の方法。
  27. 前記N−グリコシル化活性を有する発現されるタンパク質が、ALG6である、請求項2426のいずれかに記載の方法。
  28. 前記N−グリコシル化活性を有する発現されるタンパク質が、アルファ−マンノシダーゼである、請求項24に記載の方法。
  29. 前記アルファ−マンノシダーゼが、小胞体にターゲッティングされる、請求項28に記載の方法。
  30. 前記N−グリコシル化活性を有する発現されるタンパク質が、アルファ−マンノシダーゼポリペプチドおよびHDEL小胞体貯留ペプチドを含む融合タンパク質である、請求項24、25、28または29のいずれかに記載の方法。
  31. 前記アルファ−マンノシダーゼが、5.1未満の最適pHを有する、請求項28〜30のいずれかに記載の方法。
  32. 前記N−グリコシル化活性を有するタンパク質が、以下の特徴:
    ManGlcNAcからグルコース残基を除去することができるタンパク質である
    アルファ−1,3−グルコシダーゼ活性を有するタンパク質である;
    グルコシダーゼIIである;
    グルコシダーゼIIのアルファおよびベータサブユニットの一方または両方を含む;または
    ムタナーゼである;
    のうちの1つ以上を有する、請求項24または25に記載の方法。
  33. 前記細胞が、少なくとも2つの修飾N−グリコシル化活性を含むように遺伝子操作される、請求項1に記載の方法。
  34. 前記少なくとも2つの修飾N−グリコシル化活性が、ALG3活性の欠損および高レベルのALG6活性を含む、請求項33に記載の方法。
  35. 前記細胞が、少なくとも3つの修飾N−グリコシル化活性を含むように遺伝子操作される、請求項1に記載の方法。
  36. 前記少なくとも3つの修飾N−グリコシル化活性が、ALG3活性の欠損;高レベルのALG6活性;および高レベルのグルコシダーゼII活性を含む、請求項35に記載の方法。
  37. 前記N−グリコシル化活性を有する発現されるタンパク質が、以下の特徴:
    外因性タンパク質である
    哺乳動物タンパク質である;
    ヒトタンパク質である;
    下等真核生物タンパク質である;または
    前記ターゲットタンパク質のマンノシルリン酸化を果たすことができるタンパク質またはその生物活性変異体である;
    のうちの1つ以上を有する、請求項24〜36のいずれかに記載の方法。
  38. 前記下等真核生物が、真菌、トリパノソーマ、または原生動物である、請求項37に記載の方法。
  39. 前記下等真核生物が、Typanosoma brucei、Tricoderma harzianum、およびAspergillusからなる群より選択される、請求項37または38に記載の方法。
  40. 前記マンノシルリン酸化を果たすことができるタンパク質またはその生物活性変異体が、MNN4、PNO1、MNN6、またはMNN4、PNO1もしくはMNN6のいずれかの生物活性変異体である、請求項37に記載の方法。
  41. 前記方法において、糖タンパク質のマンノシル残基の少なくとも約30%が、リン酸化される、請求項37または40に記載の方法。
  42. 前記細胞が、OCH1活性が欠損するように遺伝子操作されない、請求項1〜18および20〜41のいずれか一項に記載の方法。
  43. 前記糖タンパク質のインビトロまたはインビボでの追加のプロセッシングをさらに含む、請求項1〜42のいずれかに記載の方法。
  44. 前記追加のプロセッシングが、
    前記修飾糖タンパク質への異種部分の付加
    前記改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質の酵素的または化学的処理;
    マンノシダーゼ、マンナナーゼ、ホスホジエステラーゼ、グルコシダーゼまたはグリコシルトランスフェラーゼでの前記改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質の処理;
    フッ化水素酸での前記改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質の処理;または
    前記改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質のリン酸化
    を含む、請求項43に記載の方法。
  45. 前記異種部分が、ポリマーまたは担体である、請求項44に記載の方法。
  46. 請求項1〜16および23〜45のいずれかに記載の方法によって生産される、改変N−グリコシル化を有する単離されたタンパク質。
  47. 少なくとも1つの修飾N−グリコシル化活性を含むように遺伝子操作された、単離されたYarrowia lipolyticaまたはArxula adeninivorans細胞。
  48. −グリコシル化活性が、ALG3活性、OCH1活性、MNS1活性またはMNN9活性である、請求項47に記載の単離された細胞。
  49. 前記修飾が、
    前記N−グリコシル化活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の欠失
    前記N−グリコシル化活性を有する突然変異形態のタンパク質の発現;または
    前記N−グリコシル化活性を有するタンパク質の機能的発現に干渉するRNA分子の導入または発現;
    を含む、請求項47または48に記載の単離された細胞。
  50. 前記修飾が、N−グリコシル化活性を有するタンパク質の発現を含む、請求項4749のいずれかに記載の単離された細胞。
  51. 前記N−グリコシル化活性を有する発現されるタンパク質が、
    グルコシルトランスフェラーゼであるか;
    ALG6であるか;
    アルファ−マンノシダーゼであるか;
    アルファ−マンノシダーゼポリペプチドおよびHDEL小胞体貯留ペプチドを含む融合タンパク質であるか;
    Man GlcNAc からグルコース残基を除去することができるタンパク質であるか;
    アルファ−1,3−グルコシダーゼ活性を有するタンパク質であるか;
    グルコシダーゼIIであるか;
    グルコシダーゼIIのアルファおよびベータサブユニットの一方または両方を含むか;または
    ムタナーゼである、請求項50に記載の単離された細胞。
  52. 前記アルファ−マンノシダーゼが、小胞体にターゲッティングされる、請求項51に記載の単離された細胞。
  53. 前記細胞が、少なくとも2つの修飾N−グリコシル化活性を含むように遺伝子操作される、請求項4752のいずれか一項に記載の単離された細胞。
  54. 前記少なくとも2つの修飾N−グリコシル化活性が、ALG3活性の欠損および高レベルのALG6活性を含む、請求項53に記載の単離された細胞。
  55. 前記細胞が、少なくとも3つの修飾N−グリコシル化活性を含むように遺伝子操作される、請求項4754のいずれか一項に記載の単離された細胞。
  56. 前記少なくとも3つの修飾N−グリコシル化活性が、ALG3活性の欠損;高レベルのALG6活性;および高レベルのグルコシダーゼII活性を含む、請求項55に記載の単離された細胞。
  57. 前記細胞が、OCH1活性が欠損するように遺伝子操作されない、請求項4756のいずれか一項に記載の単離された細胞。
  58. 前記N−グリコシル化活性を有する発現されるタンパク質が、ヒトタンパク質である、請求項5052のいずれか一項に記載の単離された細胞。
  59. 前記N−グリコシル化活性を有する発現されるタンパク質、糖タンパク質のマンノシルリン酸化を促進することができるタンパク質またはその生物活性変異体である、請求項50〜52および57〜58のいずれかに記載の単離された細胞。
  60. 前記マンノシルリン酸化を果たすタンパク質またはその生物活性変異体が、MNN4、PNO1、MNN6、またはMNN4、PNO1もしくはMNN6のいずれかの生物活性フラグメントである、請求項59に記載の単離された細胞。
  61. 改変N−グリコシル化を有するタンパク質の投与によって治療することができる疾患を有するまたは有することが疑われる被験体を治療するための組成物であって、請求項46に記載のタンパク質を含む、組成物
  62. 前記疾患が、代謝異常である、請求項61に記載の組成物
  63. 前記代謝異常が、リソソーム貯蔵障害(LSD)である、請求項62に記載の組成物
  64. 前記リソソーム貯蔵障害が、ゴーシェ病、テイ−サックス病、ポンペ病、ニーマン−ピック病、またはファブリ病である、請求項63に記載の組成物
  65. 前記タンパク質が、LSDに関連したものである、請求項6164のいずれかに記載の組成物
  66. 前記タンパク質が、グルコセレブロシダーゼ、アルファ−ガラクトシダーゼ、アルファ−L−イズロニダーゼ、ベータ−D−ガラクトシダーゼ、ベータ−グルコシダーゼ、ベータ−ヘキソサミニダーゼ、ベータ−D−マンノシダーゼ、アルファ−L−フコシダーゼ、アリールスルファターゼB、アリールスルファターゼA、アルファ−N−アセチルガラクトサミニダーゼ、アスパルチルグルコサミニダーゼ、イズロネート−2−スルファターゼ、アルファ−グルコサミニド−N−アセチルトランスフェラーゼ、ベータ−D−グルコロニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、アルファ−L−マンノシダーゼ、アルファ−ノイラミニダーゼ、ホスホトランスフェラーゼ、酸リパーゼ、酸セラミダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、チオエステラーゼ、カテプシンK、およびリポタンパク質リパーゼからなる群より選択される、請求項65に記載の組成物
  67. 前記被験体が、前記投与の前に前記疾病を有することが決定されていることを特徴とする、請求項6166のいずれかに記載の組成物
  68. 前記被験体がヒトである、請求項6167のいずれかに記載の組成物
  69. 少なくとも1つの修飾N−グリコシル化活性を含むように遺伝子操作されたYarrowia lipolyticaまたはArxula adeninivorans細胞から調製された細胞溶解産物とターゲットタンパク質を接触させることを含み、該細胞溶解産物とターゲットタンパク質の接触が、結果として、改変されたN−グリコシル化形態の該ターゲットタンパク質を生じさせる、改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質を生産する方法。
  70. N−グリコシル化活性を有する1つ以上のタンパク質とターゲットタンパク質を接触させることを含み、該N−グリコシル化活性を有する1つ以上のタンパク質が、少なくとも1つの修飾N−グリコシル化活性を含むように遺伝子操作されたYarrowia lipolyticaまたはArxula adeninivorans細胞から得られ、および該N−グリコシル化活性を有する1つ以上のタンパク質とターゲット分子の接触が、結果として、改変されたN−グリコシル化形態の該ターゲットタンパク質を生じさせる、改変N−グリコシル化形態のターゲットタンパク質を生産する方法。
  71. Yarrowia lipolyticaまたはArxula adeninivorans細胞の実質的に純粋な培養物であって、これらのうちの実質的な数が少なくとも1つの修飾N−グリコシル化活性を含むように遺伝子操作される、培養物。
  72. 細胞の1つ以上の亜集団を含有し、それぞれの亜集団が、異なる修飾グリコシル化活性を含む、請求項71に記載の細胞の実質的に純粋な培養物。
  73. 配列番号1または配列番号2と少なくとも80%同一である配列を含む、単離された核酸
  74. 前記核酸が配列番号1または配列番号2を含む、請求項73に記載の単離された核酸
  75. 請求項73または74に記載の単離された核酸によってコードされたポリペプチド。
  76. (a)配列番号1もしくは配列番号2の相補体に高ストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列;または
    (b)該ヌクレオチド配列の相補体
    を含む、単離された核酸。
  77. 請求項73、74および76のいずれかに記載の核酸配列を含むベクター。
  78. 請求項73または74のいずれかに記載の核酸を含む発現ベクター。
  79. 前記核酸によってコードされるポリペプチドを発現する、請求項78に記載の発現ベクターを含む培養細胞または該細胞の子孫。
  80. 前記ポリペプチドの発現を可能にする条件下で請求項79に記載の細胞を培養することを含む、タンパク質の生産方法。
  81. 前記細胞を培養した後、該細胞または該細胞を培養した培地から前記ポリペプチドを単離することをさらに含む、請求項80に記載の方法。
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