JP2010507628A - 骨ガンの処置又は予防のためのmtki1の使用 - Google Patents

骨ガンの処置又は予防のためのmtki1の使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、PCT公開WO2004/105765中で化合物22として記載されている大環状キナゾリン誘導体、4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロ−ペンタデシン,17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−が、骨ガンの処置又は予防のための薬剤の製造において有用であるという発見ならびに骨肉腫、軟骨肉腫、骨髄腫骨疾患(myeloma bone disease)及び他の原発部位からの骨溶解性骨転移を含む骨ガン細胞を殺すための方法に関する。従って、本発明は、骨ガンを処置するか、予防するか、遅らせるか又は緩和するための、あるいはガン転移と関連する骨喪失を予防し且つ処置するための方法を提供する。
【選択図】なし

Description

発明の分野
本発明は、PCT公開公報である特許文献1中で化合物22として記載されている大環状キナゾリン誘導体、4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロ−ペンタデシン,17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチルが、骨ガンの処置又は予防のための薬剤の製造において有用であるという発見ならびに骨肉腫、軟骨肉腫、骨髄腫骨疾患(myeloma bone disease)及び他の原発部位からの骨溶解性骨転移を含む骨ガン細胞を殺すための方法に関する。従って、本発明は、骨ガンを処置するか、予防するか、遅らせるか又は緩和するための、あるいはガン転移と関連する骨喪失を予防し且つ処置するための方法を提供する。
発明の背景
「骨ガン」は、骨肉腫細胞、ユーイングの腫瘍家系からの細胞、軟骨肉腫細胞、悪性巨細胞腫細胞、悪性線維性組織球腫細胞及びアダマンチノーム細胞のような原発性骨ガン細胞ならびに乳房、肺、前立腺及び腎臓を含む他の組織から転移した二次的骨ガン細胞を含む。
骨肉腫は、青年及び若い成人の間で最も有病率が高い骨の悪性腫瘍である。骨肉腫は、子供における腫瘍の約5%の割合になり、これらの腫瘍の80%が膝の付近を起源とする。予後は多くの場合に悪く、決定的な治療(definitive therapy)を開始してから1年以内の後に、骨肉腫と診断された患者の約30%は肺転移を発病するであろう。予後は、診断時におけるか又は化学療法の種々の期間の後の転移の部位及び転移性疾患の外科手術に関するレスペクタビリティ(respectability)によって決まるようである。原発性及び転移性腫瘍を完全に外科手術的に切除した患者は(肺に限った場合)、化学療法後に長期間の生存を得ることができるが、診断時に転移性疾患を有する患者に関し、外科手術なしの(event−free)生存は約20%に留まる。再発性疾患を発病する患者は多くの場合に予後が悪く、転移性疾患の発病から1年以内に死亡する。
化学療法は多くの場合に無効であり、高い死亡率を生ずる。従ってこの悪性疾患のために新規な治療法を評価することが重要である。
骨髄腫骨疾患は、骨髄における抗体−生産性プラスマ細胞のガンである。骨髄腫細胞と呼ばれるガン性プラスマ細胞の増殖は、骨における溶解性病変(孔)、赤血球数の減少、異常なタンパク質の生産(腎臓、神経及び他の器官への損傷が伴う)、免疫系機能の低下及び血液カルシウムレベルの上昇(高カルシウム血症)を含む多様な影響を引き起こす。
骨髄腫細胞が異なる骨格位置に存在する場合、疾患は多発性骨髄腫と呼ばれる。
合衆国内のすべてのガンのわずか1%にしか相当し(responsible)ないが、2002年には14,600件の新しい症例が報告され、骨髄腫は2番目に一般的な血液ガンであり、特に55才以下の人々の中で有病率が上昇しつつあるかも知れない(International Myeloma Foundation)。多くの異なる処置選択肢が利用可能であるか又は開発中であるが、治癒も又は最適骨髄腫処置管理についての合意(agreement)もない。患者は化学療法を用いて、ならびに高カルシウム
血症、感染の危険の上昇、腎不全、貧血、血液の高粘度、発作の危険の上昇、骨の破壊及び痛みならびに筋肉の脆弱の1つもしくはそれより多くに関する症状−特異的処置を用いて処置される。不運なことに、骨髄腫細胞の数の劇的な減少は必ずしもより長い緩解期又は生存時間に言い換えられず、緩解期前に有効であった治療は疾患の再発時に有効であると証明され得ない。
骨髄種の最も優性且つ重要な特徴の1つは、骨を吸収する多核細胞である破骨細胞の活性化であり、骨の薄化(thinning)、溶解性骨病変及び骨折に導く。溶解性骨病変は多発性骨髄腫患者の70〜80%において起こり、多くの場合に重症の骨痛及び病的骨折を伴う。正常な骨機能においては、骨を再吸収する破骨細胞と骨を生産する細胞である骨芽細胞の間にバランスが存在する。骨髄腫患者においてはこのバランスが狂い、生産されるより多くの骨が再吸収される。破骨細胞による骨再吸収の増加は骨髄腫細胞に近接して起こり、正常な骨髄の領域では起こらず、破骨細胞活性化が局所的な機構により起こることを示している。骨髄腫細胞が破骨細胞を活性化することは十分に受け入れられているが、これが起こる正確な機構は未知である。培養中の骨髄腫細胞は、いくつかの破骨細胞−活性化因子(OAFs)を生産するか又はその生産を誘導し、それらの因子の生体内における特異的な役割はまだ決定されていない。近年、ケモカインマクロファージ炎症タンパク質−1a(MIP−1a)が試験管内における破骨細胞活性化に関連があるとされた(非特許文献1)。OAFsを含む機構をねらった治療が現在開発下にある。
現在、多発性骨髄種の骨の適応症(indications)は主に、破骨細胞活性又は破骨細胞の骨表面への付着を妨げ、結局破骨細胞死に導くある種類の化学品であるビスホスホネートを用いて処置される。それらは骨髄腫細胞に直接影響することもできる。ビスホスホネートは輸液により投与される。第3世代ビスホスホネートは現在開発下にあるが、薬剤の改良された変形でさえ、高カルシウム血症、腎臓損傷及び痛みの増加を含む起こり得る副作用を有し得る。
ビスホスホネートは骨の破壊のプロセスを完全に遮断せず、結局患者は新しい骨病変を現す。多発性骨髄腫における骨の破壊のための、経口的に施すことができる代わりの治療は、非常に有益であろう。
骨転移は、多くの場合に進行したガンに伴い、乳ガン、前立腺ガン及び甲状腺ガンならびに多発性骨髄種の場合に最も一般的である(上記参照)。骨転移は、進行した(転移性)乳ガンを有する患者の65〜75%に存在する。転移性骨病変は、破骨細胞活性の向上が優勢か又は骨芽細胞活性の向上が優性かに依存して、溶解性又は硬化性であり得る;両プロセスが同じに活性である場合、それらは混合病変と呼ばれる。乳ガン患者における骨転移は通常、骨溶解性疾患を含み、その疾患では正常な骨ホメオスタシスが崩壊して骨の過剰な再吸収に向かってゆがむ(非特許文献2)。腫瘍−誘導骨格損傷は破骨細胞により媒介され、それは腫瘍細胞又は関連する免疫細胞により放出される局所的因子(例えばプロスタグランジン E、インターロイキン−1、腫瘍壊死因子及びプロカテプシン D)により、あるいは副甲状腺ホルモン−関連ペプチドのような全身的因子により、骨を溶解するように直接又は間接的に刺激される。最も多くの場合に影響を受ける骨格部位は、椎骨、骨盤、肋骨、大腿骨及び頭蓋骨である。
骨転移を有する患者は、骨痛、病的骨折、高カルシウム血症、運動性の低下及び脊髄又は神経根圧迫を含む有意な病的状態を経験する。これらの臨床的問題の重要性にかかわらず、ガン転移と関連する骨喪失のための利用可能な処置はほとんどない。かくして当該技術分野において、骨溶解性骨転移を含むガン転移の予防又は処置のための新規な薬剤及び方法を同定する必要がまだある。
国際公開第2004/105765号パンフレット
S.J.Choi et al.著,Blood 96:2000年,671−675 Coleman RE著,Cancer Treat Rev.27(3),2001年,165−76
発明の概略
本発明は、一部には、引用することによりその開示全体が本明細書の内容となる国際公開第2004/105765号パンフレットに記載されているある種の化合物を用いて、骨ガンを処置もしくは予防する方法ならびにガン転移と関連する骨喪失を処置又は予防する方法を目的とする。
1つの態様において、本発明は、骨ガンの処置又は予防のための薬剤の製造における、PCT公開公報である国際公開第2004/105765号パンフレット中で化合物22として記載されている大環状キナゾリン誘導体、4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロ−ペンタデシン,17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチルの使用ならびに骨肉腫、軟骨肉腫、骨髄腫骨疾患及び骨溶解性骨転移を含む骨ガン細胞を殺すための方法を提供する。従って本発明は、骨ガンを処置するか、予防するか、遅らせるか又は緩和するための、あるいはガン転移と関連する骨喪失を予防し且つ処置するための方法を提供する。
関連する態様において、本発明は、転移性ガンを有すると思われる哺乳類患者に本発明の化合物を、骨格系へのガンの転移性拡大を妨げるのに有効な量で投与することを含んでなる、哺乳類患者における骨格系へのガンの転移性拡大を妨げる方法;ならびにガンを有すると診断される哺乳類患者に本発明の化合物を含んでなる組成物を、骨ガンの成長又は新形成性拡大を減少させるのに有効な量で投与することを含んでなる、骨ガンの処置方法を提供する。ガン成長又は拡大の速度における低下(生命及び生命の質を延長することができる)が処置の成功の指標であることは、認識されるであろう。好ましい態様において、ガン成長は完全に停止する。さらにもっと好ましい態様において、ガンは収縮するか又は全体的に根絶される。処置のための好ましい患者は人間の患者であるが、他の動物、特にネズミ、ラット、ウシ、ブタ、霊長類及びガン処置のための他のモデルシステムが意図されている。本明細書で用いられる転移性ガンは、骨に転移し得る多様なガンを含むことが意図されているが、最も一般的な転移ガンは乳ガン、肺ガン、腎臓ガン、多発性骨髄腫、甲状腺ガン及び前立腺ガンである。例えば骨に転移する可能性を有する他のガンには、腺ガン、白血病及びリンパ腫を含む血球の悪性疾患(malignancies);頭頸ガン;胃ガン、結腸ガン、結直腸ガン、膵臓ガン、肝臓ガンを含む胃腸ガン;卵巣ガン、子宮内膜ガン及び頸ガンを含む女性生殖管の悪性疾患;膀胱ガン;神経芽細胞腫を含む脳ガン;肉腫、骨肉腫;ならびに悪性黒色腫及び扁平上皮細胞ガンを含む皮膚ガンが含まれるが、これらに限られない。本発明は特に、骨における腫瘍−誘導骨溶解性病変の予防及び処置を意図している。
前記の処置法の1つの変形において、化合物を第2のガン治療薬と共に投与する。第2の薬剤はいずれかの化学療法薬、放射性薬剤、放射線、ガン治療薬をコードする核酸、抗体、タンパク質及び/又は他の抗−リンパ管形成剤もしくは抗−脈管形成剤であることが
できる。第2の薬剤を本発明の化合物の前、後又はそれと同時に投与することができる。
1つの変形において、処置されるべき患者は手術可能な腫瘍を有すると診断され、投与段階は、腫瘍が患者から切除される前、その間又はその後に行なわれる。腫瘍切除と一緒の化合物処置は、切除され損なったガン細胞からの腫瘍の再成長を減少させるか又は除去することを目的とする。
もっと一般的に述べると、本発明は、必要のある哺乳類(人間、ラット、イヌ、ウシ、ブタ及び霊長類を含むがこれらに限られない)に本発明の化合物を投与する段階を含んでなる、骨ガンの処置又は予防方法ならびにガン転移と関連する骨喪失を処置又は予防する方法を提供する。
左後足の自然持ち上げ行動(lifting behaviour)への処置の効果。データは、4分間の観察時間に及んで足が上げられていた時間のパーセンテージとして示される。ビヒクルグループは、pH4.0における20%HPCD溶液を経口的強制栄養法により毎日投与された(dosed)。化合物1は、kg当たり200mgのその最大許容投薬量(MTD)において1日1回投薬された。イレッサ(iressa)もkg当たり50mgのその最大許容投薬量において、経口的強制栄養法により、14日間毎日投薬された。 腫瘍接種された動物における骨溶解性骨破壊を示す同側左後肢のμCtsからの代表的な再構築。 骨ガン転移モデルにおける乳腫瘍成長の用量依存性阻害。MDA B231
発明の詳細な記述
国際公開第2004/105765号パンフレットは、多重標的キナーゼ阻害剤(multi targeted kinase inhibitors)(MTKIs)としての式(I)の大環状キナゾリン誘導体の製造、調製及び製薬学的性質を記載している。
今回、前記の種類の中の1つの化合物、すなわち前記のPCT公開公報中で化合物22として記載されている、本明細書でMTKI 1又は化合物1とも呼ばれる4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロ−ペンタデシン,17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチルが、骨ガンモデルにおいて臨床的活性を有することが見出され、従って原発性骨ガン及び前記で定義した骨転移を含む骨ガンの処置用の製薬学的組成物の調製のためのこれらの化合物の使用を提供する。
本発明は、本発明に従う化合物の治療的に有効な量を哺乳類に投与する段階を含んでなる、哺乳類の骨における腫瘍−誘導骨溶解性病変の処置方法にも関する。
従って、1つの側面において本発明は、原発性骨ガン及び前記で定義した骨転移を含む骨ガンの処置もしくは予防用の薬剤の製造における4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロ−ペンタデシン,17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル又はその製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩の使用を提供する。
本発明のさらに別の側面は、処置の必要な哺乳類患者に4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロ−ペンタデシン,17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル又はその製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩の治療的に有効な量を投与することを含んでなる、哺乳類患者における骨ガンの処置もしくは予防のための方法を目的とする。
上記で言及した製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩は、MTKI 1が形成することができる治療的に活性な無毒性の酸及び無毒性の塩基付加塩の形態を含むものとする。適した酸を用いる該塩基の形態の処理により、塩基性をそれらの製薬学的に許容され得る酸付加塩に転換することができる。適した酸は例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸もしくは臭化水素酸;硫酸;硝酸;リン酸などの酸;あるいは有機酸、例えば酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸(すなわちブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸などの酸を含む。
適した有機及び無機塩基を用いる酸の形態の処理により、酸性をそれらの製薬学的に許容され得る塩基付加塩に転換することができる。適した塩基塩の形態は例えばアンモニウム塩、アルカリ及びアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えばベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩、ならびに例えばアルギニン、リシンなどのようなアミノ酸との塩を含む。
酸もしくは塩基付加塩という用語は、MTKI 1が形成することができる水和物及び溶媒付加形態も含む。そのような形態の例は、例えば水和物、アルコラートなどである。
特に本発明は、MTKI 1に関する前記の使用のいずれかにおける4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロ−ペンタデシン,17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチルのジヒドロブロミド塩、すなわち17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロペンタデシン ジヒドロブロミドの使用に関する。
さらに別の態様において、本発明は骨ガンの予防及び/又は処置用の製薬学的組成物の調製のための前記のMTKI 1の使用を提供する。
本発明は、哺乳類に前記のMTKI 1の治療的に有効な量を投与する段階を含んでなる、該哺乳類における骨ガンの予防及び/又は処置方法にも関する。
さらに別の態様において、本発明は、骨喪失の予防及び/又は処置用の製薬学的組成物の調製のためのMTKI 1の使用を提供する。
本発明は、哺乳類にMTKI 1の治療的に有効な量を投与する段階を含んでなる、該哺乳類におけるガン転移と関連する骨喪失の予防及び/又は処置方法にも関する。
従ってさらに別の側面において、本発明に従う使用のために最も好ましい化合物は、以下の構造を有する化合物より成る群から選ばれるものである:
当該技術分野において既知の方法により、そして特に本明細書で言及され且つ引用することによりその記載事項が本明細書の内容となる公開特許明細書、国際公開第2004/105765号パンフレットに記載されている方法に従って、本発明に従う化合物を製造し、製薬学的組成物に調製することができる。
本発明において用いられる好ましい化合物の、国際公開第2004/105765号パンフレットから得た適した製造は以下の通りである:
実施例1
a)1−ペンタノール,5−[[(4−ブロモ−2−ニトロフェニル)メチル]アミノ]−(中間体1)の製造
EtOH(15ml)中の4−ブロモ−2−ニトロ−ベンズアルデヒド(0.013モル)、5−アミノ−1−ペンタノール(0.013モル)及びチタン,テトラキス(2−プロパノラート)(0.014モル)の溶液を室温で1時間攪拌し、次いで反応混合物を50℃に加熱し、30分間攪拌した。混合物を室温に冷まし、NaBH(0.013モル)を分けて加えた。反応混合物を終夜攪拌し、次いで氷水(50ml)中に注ぎ出した。得られる混合物を20分間攪拌し、生成する沈殿を濾過し(濾液(I)を与える)、HOで洗浄し、DCM中で攪拌した(生成物を溶解してそれをTi−塩から取り出すために)。混合物を濾過し、次いで濾液を乾燥し(MgSO)、濾過し、最後に溶媒を蒸発させた。EtOHが除去されるまで濾液(I)を蒸発させ、水性濃厚液をDCMで2回抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を蒸発させ、3.8g(93%)の中間体1を与えた。
実施例2
a)1−ペンタノール,5−[[(4−ブロモ−2−ニトロフェニル)メチル]メチルアミノ]−(中間体2)の製造
EtOH(150ml)中の中間体50(0.0047モル)、ホルムアルデヒド(0.025モル)及びチタン,テトラキス(2−プロパノラート)(0.0051モル)の溶液を50℃に加熱し、1時間攪拌し、次いでNaBH(0.026モル)を室温で分
けて加えた。反応混合物を終夜攪拌し、次いで水(100ml)を用いてクエンチングした。得られる混合物を1時間攪拌し、生成する沈殿を濾過し、洗浄した。有機濾液を濃縮し、次いで水性濃厚液をDCMで抽出し、乾燥した。溶媒を蒸発させ、残留物をシリカゲル上で濾過した(溶離剤:DCM/CHOH 98/2から95/5)。生成物画分を集め、溶媒を蒸発させ、0.5gの中間体2を与えた。
b)1−ペンタノール,5−[[(4−ブロモ−2−ニトロフェニル)メチル]メチルアミノ]−,アセテート(エステル)(中間体3)の製造
無水酢酸(8ml)中の中間体2(0.0015モル)及びピリジン(0.015モル)の溶液を室温で終夜攪拌し、次いで溶媒を蒸発させ、トルエンと共−蒸発させ、中間体3を与えた。
c)1−ペンタノール,5−[[(2−アミノ−4−ブロモフェニル)メチル]メチルアミノ]−,アセテート(エステル)(中間体4)の製造
THF(50ml)中の中間体3(0.0015モル)の混合物を、チオフェン溶液(0.5ml)[H179−034]の存在下で、触媒としてPt/C 5%(0.5g)を用いて水素化した。H(3当量)の吸収の後、触媒を濾過し、濾液を蒸発させ、0.5gの中間体4を与えた。
d)6−キナゾリノール,4−[[2−[[[5−(アセチルオキシ)ペンチル]メチルアミノ]メチル]−5−ブロモフェニル]アミノ]−7−メトキシ−,アセテート(エステル)(中間体5)の製造
2−プロパノール(30ml)中の中間体4(0.0015モル)及び4−クロロ−7−メトキシ−6−キナゾリノールアセテート(エステル)(0.0015モル)の混合物を80℃に加熱し、反応混合物を1日攪拌した。減圧下で溶媒を蒸発させ、残留物をそのまま次の反応段階において用い、0.83gの中間体5を与えた。
e)6−キナゾリノール,4−[[5−ブロモ−2−[[(5−ヒドロキシペンチル)メチルアミノ]メチル]フェニル]アミノ]−7−メトキシ−(中間体6)の製造
メタノール(25ml)中の中間体5(0.0015モル)の溶液を室温で攪拌し、HO(2.5ml)中のKCO(0.003モル)の溶液を加え、次いで反応混合物を60℃に加熱し、18時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、HO(20ml)を加え、次いで酢酸を用いて混合物を中和し、生成する沈殿を濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、濃厚液をDCMで抽出し、濾過し、次いで乾燥し(MgSO)、混合物を減圧下で濃縮し、0.5g(70%)の中間体6を与えた。
実施例3
a)4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロ−ペンタデシン,17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−(化合物MTKI1)の製造
THF(50ml)中の中間体6(0.0011モル)の溶液を室温で攪拌し、トリブチルホスフィン(0.0016モル)を加え、次いで1,1’−(アゾジカルボニル)ビス−ピペリジン(0.0016モル)を加え、反応混合物を2時間攪拌した。最初の体積の1/3まで溶媒を蒸発させた。得られる沈殿を濾過し、洗浄した。濾液を蒸発させ、残留物をRP高−性能液体クロマトグラフィーにより精製した。生成物画分を集め、有機溶媒を蒸発させた。水性濃厚液をDCMで2回抽出し、有機層を乾燥し(MgSO)、次いで濾過した。溶媒を蒸発させ、残留物を50℃で乾燥し(真空)、0.004g(0.8%)の化合物MTKI1を与えた。
前記の製薬学的組成物の調製のために、場合により付加塩の形態にあることができる特
定の化合物の治療的に有効な量を活性成分として、製薬学的に許容され得る担体と緊密な混合物において合わせ、その担体は、投与のために望ましい調製物の形態に依存して多様な形態をとることができる。望ましくはこれらの製薬学的組成物は、好ましくは経口的、経皮的又は非経口的投与のような全身的な投与;あるいは吸入、鼻スプレー、点眼薬を介するか又はクリーム、ジェル、シャンプーなどを介するような局所的投与に適した単位投薬形態にある。例えば経口的投薬形態における組成物の調製において、通常の製薬学的媒体のいずれか、例えば懸濁剤(ナノ懸濁剤を含む)、シロップ、エリキシル剤及び溶液のような経口用液体調製物の場合、水、グリコール、油、アルコールなど;あるいは粉剤、丸薬、カプセル及び錠剤の場合、澱粉、糖類、カオリン、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような固体担体を用いることができる。それらの投与の容易さのために、錠剤及びカプセルは最も有利な経口的投薬単位形態物を与え、その場合には固体の製薬学的担体が用いられるのは明らかである。非経口用組成物の場合、担体は通常少なくとも大部分において無菌水を含んでなるが、例えば溶解性を助けるための他の成分が含まれることができる。例えば担体が食塩水、グルコース溶液又は食塩水とグルコース溶液の混合物を含んでなる注入可能な溶液を調製することができる。式(I)の化合物を含有する注入可能な溶液を、長時間の作用のために油中で調製することができる。この目的のために適した油は、例えばピーナツ油、ゴマ油、綿実油、コーン油、大豆油、長鎖脂肪酸の合成グリセロールエステル及びこれらの油及び他の油の混合物である。注入可能な懸濁剤も調製することができ、その場合には適した液体担体、懸濁化剤などを用いることができる。経皮的投与に適した組成物において、担体は場合により浸透促進剤及び/又は適した湿潤剤を含んでなることができ、それらは場合により小さい割合におけるいずれかの性質の適した添加剤と組み合わされていることができ、その添加剤は皮膚に有意な悪影響を引き起こさない。該添加剤は皮膚への投与を容易にすることができるか、及び/又は所望の組成物の調製の助けとなることができる。これらの組成物を種々の方法で、例えば経皮パッチとして、スポット−オンとして又は軟膏として投与することができる。局所的適用に適した組成物として、薬剤を局所的に投与するために通常用いられるすべての組成物、例えばクリーム、ジェル、包帯、シャンプー、チンキ剤、塗布剤、軟膏、軟膏剤(salves)、粉剤などを挙げることができる。該組成物の適用は、例えば窒素、二酸化炭素、フレオンのようなプロペラントを用いるか、又はポンプスプレーのようにプロペラントを用いないエアゾール、滴剤、ローション又は半固体、例えば綿棒により適用することができる増粘された組成物によることができる。特に軟膏剤、クリーム、ジェル、軟膏などのような半固体組成物は、簡単に用いられるであろう。
投与の容易さ及び投薬量の均一性のために、前記の製薬学的組成物を投薬単位形態物において調製するのが特に有利である。本明細書及び本明細書の請求項で用いられる投薬単位形態物は、1回の投薬量として適した物理的に分離された単位を指し、各単位は所望の治療効果を生むために計算されたあらかじめ決められた量の活性成分を、必要な製薬学的担体と一緒に含有する。そのような投薬単位形態物の例は錠剤(刻み付き又はコーティング錠を含む)、カプセル、丸薬、粉剤小包、ウェハース、注入可能な溶液又は懸濁剤、小匙一杯、大匙一杯など、ならびに分離されたそれらの複数である。
好ましくは、本発明に従う化合物を含んでなる製薬学的組成物の治療的に有効な量を、経口的又は非経口的に投与する。該治療的に有効な量は、患者において多用な新形成性障害又は細胞増殖性障害(上記参照)の転移及び/又は成長を有効に妨げるかあるいはその大きさを縮小させる量である。現在のデータに基づき、本発明の化合物そして特に4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロ−ペンタデシン,17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル(MTKI1又は化合物1)を活性成分として含んでなる製薬学的組成物を、1日に10mg〜数(1〜5)グラムの量で、1回の投薬としてかあるいは例えば1日2、3又は4回をも含む1回より多い投薬に細分して経口的に
投与することができると思われる。好ましい量は、1日に500〜4,000mgの範囲である。そのような化合物に関する特に好ましい投薬量は、1日に750mg〜3,000mgの範囲内である。本明細書で活性成分とも呼ばれる本発明に従う化合物の、治療的効果を達成するのに必要な量が、投与の経路、受容者の年令及び状態ならびに処置されている特定の障害又は疾患とともにもちろん変わるであろうことは認識されるであろう。最適な投薬量及び投薬管理は、通常の方法を用い且つ本明細書に示される情報を見て、当該技術分野における熟練者により容易に決定され得る。この処置を継続的に、あるいは例えばこれらに限られないが、サイクル当たりに1〜21日の処置を与える3〜4週間のサイクル又は有効且つ安全であることが示される他のスケジュールを含んで断続的に与えることができる。
1つの代表的な調剤は以下の通りである:
実施例4:調剤:
生成物MTKI1を10−mg/mLの経口用溶液,pH2として調製することができる。それは精製水中に賦形剤、Captisol(R)(化学名:スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン,SBE−β−CD)、クエン酸、Tween(R)20、HCl及びNaOHを含有する。調剤を冷蔵保存(2〜8℃;36〜46°F)し、投薬量調製から前の最大で1時間、室温に温めることができる。
生成物MTKI1を、それぞれ3、4及び00のサイズの硬質ゼラチンカプセル中に活性化学物質(active chemical entity)MTKI1、ラクトース一水和物(200メッシュ)、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを含有する50−mg、100−mg及び300−mgの経口用即時放出カプセルとして調製することもできる。カプセルは以下の成分のいずれか又はすべてを含有することもできる:ゼラチン、赤色酸化鉄及び酸化チタン。
上記のMTKI 1を1種もしくはそれより多い他のガン処置と組み合わせて用いることができる。そのような組み合わせは、いずれかの確立された抗腫瘍治療、例えばこれらに限られないが化学療法、放射線ならびに標的に基づく治療、例えば抗体及び小分子(例えばビスホスホネート、タキサン(taxanes)、アントラサイクリン、カペシタビン(capecitabine)、ヘルセプチン(Herceptin)、ドセタキセル(docetaxel)、サトラプラチン(satraplatin)、セツクシマブ(cetuximab)、アバスチン(avastin)、アロマターゼ阻害剤及びメトトレキセート(methothrexate))を包含することができる。これらの治療を、最適の有効性/安全性必要条件に依存して、全身的治療においてあるいは局所的滴注/投与(例えば硬膜下腔内に)おいて組み合わせることができる。
MTKI 1及びさらに別の抗−ガン剤を同時に(例えば別々の又は単一の組成物中で)あるいはいずれかの順序で逐次的に投与することができる。後者の場合、2つの化合物は、有利なもしくは相乗的効果が達成されるのを保証するのに十分である期間内に、ならびにそのような量及びやり方で投与されるであろう。好ましい投与の方法及び順序ならびに組み合わせの各成分に関するそれぞれの投薬量及び投薬管理が、投与される特定のMTKI1及びさらに別の抗−ガン剤、それらの投与経路、処置されている特定の腫瘍ならびに処置されている特定の宿主に依存するであろうことは、認識されるであろう。最適の投与の方法及び順序ならびに投薬量及び投薬管理は、通常の方法を用い且つ本明細書に示される情報を見て、当該技術分野における熟練者により容易に決定され得る。
実験データ
本明細書で化合物1とも呼ばれるMTKI 1の独特の物理−化学的性質は、優れた細胞活性及び経口的バイオアベイラビリティーをまだ保持しながら無損傷の血液脳関門を横
切る能力を含む非常に好ましい組織分布側面を生じた。ここで我々は、この骨髄区画への好ましい組織分布が有意な抗腫瘍活性を生ずることを、骨転移の実験モデルを用いてさらに示す。
NCTC2472線維肉腫(ATCC Rockvile,MD USA)又はMDA−MB231乳ガン細胞(Dr.Yoneda,Univ.of Michigan,USA)(骨帰還変異体(bone homing variant))をヌードマウスの脛骨中に注入し、孔をふさぎ、あらかじめ規定された時間に腫瘍成長を観察した(Vermeirsch,H et al著,Pharmacol Biochem Behav.2004 Oct;79(2):243−51)。痛みの反応の指標として自然の「足持ち上げ」を用い、骨溶解性抗腫瘍活性及び腫瘍成長を示すためにμCt及び組織学を用いた。
方法
動物モデル
NCTC2472マウス線維肉腫細胞のために雄のC3H/HeNCrlマウス(20〜25g,Charles River,Sulzfeld,Germany)又はMDA MB231ヒト乳ガン細胞のために雌のNMRIヌードマウス(Janvier,France)を用いた。以前に記載された通りに(Schwei et al.著,1999)骨ガンの誘導を行なった。30%O及び70%空気の混合物中の4%イソフルラン下で(1000ml/分)、全身麻酔の誘導を行なった。次いで外科手術の持続時間の間、2.5%イソフルランにおいて麻酔を保持した。左後足を剃毛し、ポビドン−ヨウ素及び続いて70%エタノールを用いて消毒した。膝蓋骨を覆う膝の上に1cm平方(superficial 1cm)の切開を作った。膝蓋靭帯を切断し、遠位大腿骨(distal femur)の顆を露出した。23−ゲージの針を大腿骨の顆間窩及び骨髄内管のレベルにおいて挿入し、細胞の注入のための腔を作った。次いで0.3mlシリンジを用いて腫瘍細胞(20μl当たり2.5x10個の細胞)を骨腔中に注入した。細胞が骨の外に漏れるのを妨げるために、歯科用アクリル(dental acrylic)(Paladur,Heraeus Kulzer,GmbH,Wehrheim,Germany)を用いて注入部位を密閉し、皮膚縫合を用いて傷を閉じた。模擬−手術グループの場合、細胞を含まない媒体を注入する以外は、同じ方法に従った。
薬剤処置:
腫瘍細胞誘導から後の1日に処置を開始した。ビヒクル(20%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン,pH4.0)又は体重のkg当たり10mlの体積で施される強制栄養法(p.o.)によりそれぞれ200もしくは50mg/kgの化合物1の投薬量を与えるように調製されたビヒクルを用い、マウスを1日1回(Q1D)処置した。骨腫瘍誘導から18日後までマウスを処置した。
痛みの評価:
模擬及び骨腫瘍マウスのグループにおいて、痛みの行動(下記を参照されたい)を評価し、腫瘍接種の前の2週間及び腫瘍接種から7、9、12及び14日後に行動的に調べた。実験の最後に、左後肢の大腿骨を試料採取し、Vermeirsh et al.,(2004)に記載されているμCT走査のために用いた。
自然持ち上げ行動:直径が20cmの透明アクリル性円筒中で少なくとも30分間、動物を実験室に慣れさせ、その後4分間、左後足の自然持ち上げ行動に関して観察した。
骨破壊の評価:
細胞注入の前及びそれから7、12、15及び18日後に、同側左後肢について骨分析を行なった。肢を10%リン酸塩−緩衝ホルマリン中で固定し、SkyScanミクロト
モグラフ(microtomograph)(Skyscan 1067(R),Skyscan,Aartselaar,Belgium)を用いる走査のために、70%エタノールで満たされたプラスチックのキュベットに移した。中程度の分解能の測定のために、X−線ビームを18mmの直径に平行化し、線間隔及び点分解能をそれぞれ0.254及び0.127mmに設定した。標準化再構築(standardized reconstruction)の後、コンピューターソフトウェア(Ant,3D−creator vs.2.2e,Skyscan,Aartselaar,Belgium)を用いて各骨に関するデータセットを再−試料採取し(re−sampled)、各骨に関して骨の中軸が中心に向かう(oriented)ようにした。走査を処理し、5mmの大腿骨片(segment)につき、膝蓋骨滑車の近位末端において、フリーソフトウェア(free software)(CTanalyzer vs.1.02,Skyscan,Aartselaar,Belgium)を用いて2−及び3−次元体型測定分析を行なった。
1.Schwei MJ,Honore P,Rogers SD,Salak−Johnson JL,Finke MP,Ramnaraine ML,et al.著,Neurochemical and cellular reorganization of the spinal cord in a murine model of bone caner pain,J Neurosci;19:1999年,10886−97
2.Vermeirsch,H.,Nuydens,R.,Salmon,P.L.,and Meert,T.F.著,Pharmacol.Biochem.Behav.79:2004年,243−251
結果
痛みの評価
直径が20cmの透明アクリル性円筒中で少なくとも30分間、動物を実験室に慣れさせ、その後4分間、左後足の自然持ち上げ行動に関して観察した。この時間に及んで足が上げられていた時間のパーセンテージとしてデータを示す。ビヒクルグループは、pH4.0における20%HPCD溶液を経口的強制栄養法により毎日与えられた。化合物1は、kg当たり200mgのその最大許容投薬量(MTD)において1日1回投薬された。イレッサもkg当たり50mgのその最大許容投薬量において、経口的強制栄養法により、14日間毎日投薬された。ビヒクル処置された動物のグループは、腫瘍細胞接種から7日後に開始して、検出可能な足持ち上げ行動を示した。観察期間中に動物の足が上げられている時間のパーセンテージは、接種後の9、12及び14日の両方において増加し、14日の時点に足は80%の時間上げられていた。化合物1をそのMTDにおいて動物に投薬することは、動物がそれらの左足を使用しない時間を全く劇的に短縮させることが見出され、14日には、自然の足持ち上げ行動は約8%の時間起こることが検出されたのみであった。この研究で用いられた参照化合物、イレッサは、そのMTDにおいて投薬されると、やはり自然の足持ち上げ行動における統計的に有意な減少に導いたが、効果はずっと広範囲でなく、自然の足の持ち上げは35%より長い時間観察された。
骨破壊の評価
腫瘍接種された動物における骨溶解性骨破壊を示す同側左後肢のμCtsからの代表的な再構築(図2)。ビヒクル及びイレッサ処置グループにおいて有意な骨喪失が観察されたが、化合物1で処置された動物においては、有意により少ない骨破壊を見ることができる。模擬手術された動物は、骨溶解性活動の兆候を示さない。
動物モデル
骨ガン転移モデルにおいて、記載された通りにMDA B231骨帰還クローン細胞(
bone homing clone cells)を脛骨中に接種した。42日後、動物を犠牲にし、切断された足を固定液中に入れた。足を脱灰し、切片を切断して骨破壊のレベルを決定した。ビヒクル処置された動物は、大きな腫瘍塊(図3において丸で囲まれた領域)を有することが観察され、それは接種の最初の部位(図3における黒い矢印)から膨張し、その過程で有意な骨の破壊を生じた(図2を参照されたい)。腫瘍成長の量及び骨破壊の量は、投薬量依存的に減少するのがわかり、この研究で調べられた化合物1の最高投薬量、kg当たり100mg,po,qdは、腫瘍細胞の兆候を示さず、骨破壊の兆候も示さなかった。後者のことは、図3における組織学的切片からも明らかである。ビヒクル処置された動物において、大きな腫瘍塊は大腿骨中に拡大し(灰色の矢印)、ここでkg当たり100mg,po,qdのMTKI 1で処置された動物において、検出可能な腫瘍はほとんど存在せず(灰色の矢印)、且つ接種の部位(黒い矢印)に近接している。
前記の明細書は本発明の原理を記載し、例示の目的で実施例が与えられているが、本発明の実施は、以下の請求項及びそれらの同等事項の範囲内に含まれる通常の変更、応用及び/又は修正のすべてを包含することが理解されるであろう。

Claims (10)

  1. 哺乳類における骨ガン又は骨ガン転移の処置又は予防方法であって、そのような処置の必要な哺乳類に、4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロ−ペンタデシン,17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−又はその製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩;あるいは17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロペンタデシン
    ジヒドロブロミドより成る群から選ばれる化合物の治療的に有効な量を投与することを含んでなる方法。
  2. 化合物が以下の構造:
    を有する請求項1の方法。
  3. 化合物の治療的に有効な量を経口的又は非経口的に投与する請求項1に記載の方法。
  4. 4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロ−ペンタデシン,17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−又はその製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩を、さらに別の抗−ガン剤と組み合わせて投与する請求項1に記載の方法。
  5. さらに別の抗−ガン剤がビスホスホネート、放射線、タキサン(taxanes)、アントラサイクリン、カペシタビン(capecitabine)、ヘルセプチン(Herceptin)、ドセタキセル(docetaxel)、サトラプラチン(satraplatin)、セツクシマブ(cetuximab)、アバスチン(avastin)、アロマターゼ阻害剤又はメトトレキセート(methothrexate)より成る群から選ばれる請求項1に従う方法。
  6. 骨ガン又は骨ガン転移の処置のための薬剤の製造における4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロ−ペンタデシン,17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−又はその製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩;あるいは17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロペンタデシン ジヒドロブロミドより成る群から選ばれる化合物の使用。
  7. 化合物が以下の構造:
    を有する化合物より成る群から選ばれる請求項6に記載の使用。
  8. 薬剤の治療的に有効な量を経口的又は非経口的に投与する請求項6又は7に記載の使用。
  9. 式(I)の化合物をさらに別の抗−ガン剤と組み合わせて投与する請求項6〜8のいずれか1つに記載の使用。
  10. さらに別の抗−ガン剤がビスホスホネート、放射線、タキサン、アントラサイクリン、カペシタビン、ヘルセプチン、ドセタキセル、サトラプラチン、セツクシマブ、アバスチン、アロマターゼ阻害剤又はメトトレキセートより成る群から選ばれる請求項9に記載の使用。
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