JP2010286612A - 電子写真感光体の特性評価装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】評価装置あるいは感光体基体の問題から生じる、感光体回転中に感光体と帯電装置間の距離の変動による帯電ムラを感光体全域に渡り平滑化することができ、感光体の特性を精度よく評価することが可能な電子写真感光体の特性評価装置を提供すること。
【解決手段】帯電器を有する帯電装置、露光装置、及び表面電位検出装置を有するドラム状電子写真感光体の特性評価装置であって、感光体と帯電器間の距離を測定する手段と、測定した距離データを記憶する手段とを有し、所定の帯電電位に帯電するための帯電器の出力電圧と感光体と帯電器間の距離の関係式を基に該感光体と帯電器間の距離に応じて帯電器の出力電圧を変化させることを特徴とする電子写真用感光体特性評価装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザープリンタ、複写機等の画像形成装置に使用される電子写真感光体の特性評価装置に関するものである。
電子写真感光体(以下、「感光体」、「静電潜像担持体」と称することもある)は、複写機、レーザープリンタなどの電子写真プロセスを応用した画像形成装置において、最も重要な構成要素の一つであり、画像形成装置本体の性能を引き出すために、様々な特性を満足する必要がある。
そのため、感光体は、出荷前に電子写真に関る様々な特性の検査が行なわれている。
また、新規の電子写真装置用として、新規の感光体を開発する場合には、開発過程において試作した感光体の電子写真に関る様々な特性についての評価が行なわれており、電子写真感光体の特性評価装置についても種々提案されている。
例えば、特許文献1の特開平4−26852号公報には、着脱可能な感光体ドラムを回転可能に保持するとともに、保持された感光体ドラム表面を軸心方向のほぼ全域にわたって帯電させる帯電装置、及び該帯電装置による帯電位置から感光体ドラムの回転方向下流側位置にて、該感光体ドラムの表面を軸心方向のほぼ全域にわたって露光する光源を有する露光ユニットと、感光体ドラムを所定方向に回転させる感光体ドラム回転手段と、該感光体ドラムの軸心方向に移動可能に配置されており、前記光源による露光位置よりも感光体ドラムの回転方向下流側にて該感光体ドラムの表面の電位を測定する電位センサと、該電位センサを感光体ドラムの軸方向へ移動させるセンサ移動手段と、該電位センサによる測定位置よりも感光体ドラムの回転方向下流側位置にて該感光体ドラムの表面を軸方向のほぼ全域にわたって除電する除電装置とを具備する感光体ドラムの感光体特性測定装置が記載されている。
特許文献1では、使用する帯電器の種類に関する記載がなく、スコロトロン帯電器を使用しているのかコロトロン帯電器を使用しているのかが不明であることと、帯電後の感光体周方向帯電電位平滑性に関しての記載は一切ない。また、感光体と帯電器間の距離による変動に関しての問題も記載されていない。
また、特許文献2の特開2003−29572号公報には、少なくとも帯電手段、露光手段、表面電位測定手段を取り付けた作動ユニットを円筒形の感光体を母線方向に移動させて諸値を測定する感光体の特性評価方法であって、該感光体はアモルファスシリコンを主成分とする光導電層を有し、該帯電器の有効帯電範囲が2〜15cmであり、該露光手段は、露光量、露光波長が可変であることを特徴とする評価方法が記載されており、これにより、上記の諸特性を総合的、かつ高精度に評価することが可能となる旨が記載されている。
特許文献2では、コロトロン帯電器とスコロトロン帯電器の両方を使用しているが、感光体と帯電器間の距離変動による帯電ムラに関しての問題が記載されていない。
その他の従来技術として、特許文献3の特開2008−292258号公報には、少なくとも帯電手段、露光手段、及び表面電位検出手段を有する電子写真感光体の特性評価装置であって、前記表面電位検出手段が、ガラス基材上に導電性材料を塗布してなる透明プローブであり、前記透明プローブと前記露光手段とが一体化した露光・検出ユニットを有し、前記露光・検出ユニットが、前記電子写真感光体周りに複数個配置されていることを特徴とする電子写真感光体の特性評価装置が記載されている。
特許文献3では、低速回転により感光体の特性を精度よく算出できることが記載されているが、感光体と帯電器間の距離変動による帯電ムラに関しての問題は記載されていない。
他に、特許文献4の特開平11−184215号公報には、感光体特性の評価方法や評価装置ではないが、電子写真画像形成装置として、経時劣化や使用環境変化に伴うスコロトロン帯電器、及び帯電能が小さくスコロトロン帯電器のグリッド電流の変化と帯電電位が一次比例しないアモルファスシリコン感光体の特性変化による帯電特性の劣化・ばらつきを解消するため、a-シリコン感光体表面電位を検知する検知手段を有し、その検知結果により、劣化・ばらつきに応じて、スコロトロン帯電器のグリッドに印加する電圧を大にする電子写真画像形成装置が記載されている。
特許文献4にも、感光体と帯電器間の距離変動による帯電ムラに関しての問題は記載されていない。
特性評価装置では、多種多様な感光体に対応するため、感光体を保持するための保持部材は同形状の感光体に対して1つの保持部材で対応する。そのため、被試験体である感光体に取り付ける保持部材は、感光体基体の内径公差に合わせて製作する。その結果、測定する感光体内径と感光体保持部材外径との内径差が大きくなった場合、感光体を回転したときに、感光体に振れが生じてしまい、感光体と帯電器の距離が変化してしまう。それによって感光体の周方向帯電電位が安定しない問題が生じる。
この問題は、コロトロン帯電器だけでなく、スコロトロン帯電器でも同様の現象が現れ問題となる。そのため、スコロトロン帯電器を使用して狙いの電位に帯電させても、平滑化できずに帯電ムラの問題が生じてしまうことがあった。
また、感光体基体に問題があり振れが大きい場合も同様に、感光体と帯電器の距離が変化し、それによって周方向帯電電位が安定しない問題が生じる。そのため、この問題が生じた状態で感光体の特性を評価した場合には、感光体自身の特性評価が精度よく行なえない。
また、このことが、感光体の周方向の特性だけでなく、感光体の全領域に渡り、感光体自身の特性評価を精度よく行なえない問題に繋がっており、この問題を解消可能な特性評価装置が要望されていた。
更にこの問題は、感光体基体の個々の寸法が違うため、別の感光体を使用しての確認ができないことや、感光体を装置に取り付けた度に変化してしまうことも問題となっており、上記課題を解決可能な特性評価装置が要望されていた。
我々は、先に、少なくとも帯電装置と、露光装置と、表面電位検出装置とを有するドラム状の電子写真感光体特性の新規評価装置を提案している(特許文献5の特開2009−36657号公報参照)。この特許文献5記載の技術は、電子写真感光体の周方向の帯電電位を平滑化する平滑化手段を有し、該平滑化手段は電子写真感光体の振れ量測定手段としての非接触変位センサを備え、該変位センサにより、感光体の特性評価中に振れ量を測定し、該振れ量を測定結果に応じて帯電装置の出力電圧を特性評価中に変化させることで、感光体の周方向の帯電ムラを抑制し、帯電電位を平滑化する電子写真感光体の特性評価技術(評価方法及び評価装置)であるが、この特許文献5の図5には、放電電圧(−KV)が結果的に被試験体(感光体)−帯電装置間の距離(mm)に直線的に比例する関係にあった例が一つ開示されている。但し、特許文献5には、この場合に、感光体の帯電電位がどのようになるかは開示されていない。而してこの本発明は、特許文献5記載の技術を基にして、さらなる改良を図ったものである。
したがって、本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、評価装置あるいは感光体基体の問題から生じる、感光体回転中に感光体と帯電装置間の距離の変動による帯電ムラを感光体全域に渡り平滑化することができ、感光体の特性を精度よく評価することが可能な電子写真感光体の特性評価装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る特性評価装置では、以下に記載の技術的特徴を有する。
(1)「帯電器を有する帯電装置、露光装置、及び表面電位検出装置を有するドラム状電子写真感光体の特性評価装置であって、感光体と帯電器間の距離を測定する手段と、測定した距離データを記憶する手段とを有し、所定の帯電電位に帯電するための帯電器の出力電圧と感光体と帯電器間の距離の関係式を基に該感光体と帯電器間の距離に応じて帯電器の出力電圧を変化させることを特徴とする電子写真用感光体特性評価装置」、
(2)「前記関係式は、感光体の周方向帯電電位平均値が所定の帯電電位になる、帯電器と感光体の距離をd1[mm]に設定したときの帯電装置の出力電圧Vc1[V]と、帯電器と感光体の距離をd2[mm]に設定したときの帯電装置の出力電圧Vc2[V]の一次関係式から算出することを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真用感光体特性評価装置」、
(3)「前記関係式が前記記憶手段に記憶されており、該関係式と感光体を回転させて前記距離測定手段が測定した1回転分の電子写真感光体と帯電器間の距離データから帯電器の出力電圧を制御するパターンを決定し、該出力電圧制御パターンを基に、帯電器の出力電圧を変化させることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の電子写真用感光体特性評価装置」、
(4)「前記距離測定手段と帯電器は、電子写真感光体の径方向の同じ角度に設置されていることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の電子写真用感光体特性評価装置」、
(5)「前記距離測定手段が非接触変位センサであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載の電子写真用感光体特性評価装置」。
本発明によると従来における諸問題を解決することができ、ドラムを回転したときに生じる、装置側の問題と感光体基体側の問題により、感光体と帯電器間の距離が変化し、それによって発生する感光体周方向の帯電電位が安定しない問題が解消する。
また、この問題が生じた状態で感光体の特性を評価した場合には、感光体自身の特性評価が精度よく行なえないがこの問題も解消する。
更に、このことが、感光体の周方向の特性だけでなく、感光体の全領域に渡り、感光体自身の特性評価を精度よく行なえない問題に繋がっていたがこの問題も解消できる電子写真感光体の特性評価装置を提供することができる。
詳しくは、本発明によれば、第1に、帯電器を有する帯電装置、露光装置、及び表面電位検出装置を有するドラム状電子写真感光体の特性評価装置であって、感光体と帯電器間の距離を測定する手段と、測定した距離データを記憶する手段とを有し、所定の帯電電位に帯電するための帯電器の出力電圧と感光体と帯電器間の距離の下記一次関係式を基に該感光体と帯電器間の距離に応じて帯電器の出力電圧を変化させることにより、装置側の問題と感光体基体の問題から生じる帯電ムラを感光体の全領域に渡り抑制し所定の帯電電位に帯電させることができる。すなわち感光体と帯電器間の距離の変動によって発生する帯電ムラを抑制することができる。
Y=AX+B ・・・式(1)
(ここで、Yは帯電器の出力電圧(−KV)、Xは感光体と帯電器間の距離(mm)を表し、Aは正の係数、Bは定数である。)、
第2に、前記関係式は、感光体の周方向帯電電位平均値が所定の帯電電位になる、帯電器と感光体の距離(X)をd1[mm]に設定したときの帯電装置の出力電圧Vc1[V]と、帯電器と感光体の距離(X)をd2[mm]に設定したときの帯電装置の出力電圧Vc2[V]の関係から一次関係式であると帯電ムラを抑制可能な算出条件を提供できる。
第3に、前記関係式が前記記憶手段に記憶されており、該関係式と感光体を回転させて前記距離測定手段が測定した1回転分の電子写真感光体と帯電器間の距離データから帯電器の出力電圧を制御するパターンを決定し、該出力電圧制御パターンを基に、帯電器の出力電圧を変化させることにより、特性評価中に感光体と帯電器間の距離の変動によって発生する感光体の周方向帯電ムラを抑制することができる。
第4に、電子写真感光体と帯電器間の距離を測定する装置と帯電装置は、電子写真感光体の径方向の同じ角度に設置していることにより、感光体と帯電装置間の正確な距離変動を把握することが可能となる。
第5に、非接触変位センサによって感光体と帯電器間の距離を測定することにより、感光体に傷を付けずに感光体の振れ量を測定でき、且つ特性評価中に感光体と帯電器間の距離の変動によって発生する感光体全域の帯電ムラを抑制することができる。
本発明の特性評価装置の概略図の一例(正面図) 本発明の特性評価装置の概略図の一例(側面図) 本発明の実施例1の感光体と帯電器間の距離と帯電器の出力電圧の関係グラフ 比較例1aの感光体と帯電器間の距離と帯電器の出力電圧の関係グラフ 本発明の実施例1のドラム周方向角度における感光体と帯電器間の距離グラフ 本発明の実施例1のドラム周方向角度での帯電器の出力電圧制御パターングラフ 本発明の実施例1の感光体周方向角度における帯電電位測定結果 本発明の実施例1の感光体周方向角度における感光体と帯電器間の距離と電位の関係結果グラフ 比較例1bの感光体周方向角度における感光体と帯電器間の距離と電位の関係結果グラフ
以下に、本発明に係る電子写真感光体特性評価装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る感光体の特性評価装置の概略図(正面図)、図2は、本発明に係る感光体の特性評価装置の概略図(側面図)である。
図1と図2を参照しながら特性評価装置を説明する。
図1、図2に示すように、本実施形態の感光体評価装置は、感光体ドラム(1)を帯電する帯電器(6)、潜像形成の露光装置(3)、及び除電器(5)がドラム感光体の周囲に配置され、且つ帯電器(6)と露光装置(3)の間、露光装置(3)と除電器(5)の間に、感光体上の表面電位を計測する電位計プローブ(2)、(4)がそれぞれ配置され、帯電器(6)へ電圧を供給するための電源(12)と、帯電器(6)のグリッドへ電圧を供給するための電源(13)を備え、感光体ドラム(1)と帯電器(6)間の距離を計測するための変位センサ(17)を有した装置である。
また。変位センサ(17)と帯電器(6)は、感光体の径方向の同じ角度に設置し、感光体ドラムは両端にドラムチャック治具(18)でドラムを保持され、モーター(23)によって、図1の矢印の方向に回転する。
モーター内のモータードライバでは、回転数の制御が可能であり、任意の線速で回転させることが可能である。
電位計プローブ(2)と(4)、帯電器(6)、除電器(5)、露光装置(3)は、感光体ドラム(1)の表面と一定の間隔をもって配置できるように、感光体ドラム(1)表面の法線方向に進退可能な構造となっており、様々な感光体ドラム(1)の外径に対応可能である。
また、電位計プローブ(4)に関しては、感光体との距離を一定に保ったまま周方向に移動可能であり、露光からの時間を変えた電位が計測可能である。更に、法線方向だけでなく、感光体の軸方向に対しても移動可能な構造となっており、感光体軸方向の任意の位置での計測が可能である。
この特性評価装置では、感光体ドラム(1)は、両端にドラムチャック治具(18)でドラムを保持され、主軸(21)がドラムチャック治具(18)の中心を通っている。
主軸(21)は、手前側の面板(19)と奥側の面板(20)が主軸(21)の軸受け機能となっており、主軸(21)はモーター(23)に繋がったベルト(22)によって回転する機構となっており、図1の矢印の方向に回転する。
電源(12)、(13)から高電圧が出力され、帯電器(6)によって感光体ドラム(1)が帯電される。
その後、感光体ドラム(1)中の通過電流は、信号処理回路(10)に送られる。
その後、A/D変換器(15)によってデジタル信号に変換されコントローラ(16)に送られデジタル信号が演算処理される。
また、感光体ドラム(1)の帯電後の表面電位は、表面電位計プローブ(2)からモニター部である表面電位計(8)に送られモニターされ、信号処理回路(9)に送られる。
その後A/D変換器(15)によって変換され、次にコントローラ(16)に送られ演算処理される。
同様に、感光体ドラム(1)の露光後の表面電位は、表面電位計プローブ(4)からモニター部である表面電位計(7)に送られモニターされ、信号処理回路(9)に送られる。
その後A/D変換器(15)によって変換され、次にコントローラ(16)に送られ演算処理される。
コントローラ(16)は、感光体ドラム(1)を回転させるモーター(23)内のモータードライバに接続されている。モータードライバでは、回転数を出力する機能、位置検出機能、回転数をリモート制御可能な機能も付加されており、回転数制御と回転数の認識や、設定した角度でドラムを停止することも可能である。
感光体ドラム(1)周りのユニットは、デジタルリレー出力によってON/OFF制御されており、帯電器の電源(12)、(13)は、スイッチ(14)をリレーの出力によってON/OFF制御されている。
また、感光体の露光後電位は、露光装置(3)を使用することによって、測定ができ、感光体の表面電位を取り除く場合は、除電器(5)を使用し取り除くことが可能であり、感光体ドラム(1)の帯電特性、光減衰特性等の特性評価が可能である。
また、変位センサ(17)に接続されたアンプヘッド(11)によって、感光体ドラム(1)と帯電器(6)間の距離がコントローラ(16)に送られる。
コントローラ(16)は帯電器(6)に電圧を供給するための電源(12)の出力電圧制御が可能であり、コントローラ(16)では、感光体ドラム(1)と帯電器(6)間距離の大小判別、該距離結果の集録も可能である。
露光装置(3)には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルタ、バンドパスフィルタ、近赤外カットフィルタ、ダイクロイックフィルタ、干渉フィルタ、色温度変換フィルタなどの各種フィルタを用いることもでき、照度を下げるために、ニュートラルデンシティフィルタを用いることもできる。
変位センサには、接触式・非接触式があるが、回転体の距離を測定する目的から非接触式が好ましい。
非接触式には、レーザ変位センサ、渦電流式変位センサを用いることができるが、レーザ変位センサでは、感光体に光をあて感光体特性に影響を与えるため、渦電流式変位センサを使用するのが好ましい。レーザを用いる場合は、感光層への照射がないように、感光体の未塗工部、主軸、回転体に照射するのであれば構わない。
また、本評価装置では、感光体を帯電させた後、帯電開始位置が露光位置に来たときに露光するように、帯電と露光のON/OFFのタイミングをとって静電潜像を形成させることができる。
本評価装置では、帯電器(6)による帯電、露光装置(3)による露光のプロセスを所定回数繰り返し、感光体を劣化させることが可能であり、劣化後に、露光後電位V1と露光後電位V2を比較して評価することもできる。
本発明に用いられる帯電器(6)には、コロナ帯電器であるコロトロン帯電器やスコロトロン帯電器を使用することができるが、均一且つ所定の電位に到達させることが容易であるスコロトロン帯電器が好ましい。
また、本発明の実施に用いる感光体は、導電性支持体の上に電荷発生層、電荷輸送層が形成されたもの、更に電荷輸送層の上に保護層が形成されたもの等が使用される。導電性支持体および電荷発生層、電荷輸送層としては、公知のものを使用することができる。
被試験試料の表面を帯電処理するための帯電装置用電源回路の制御手段、該被試験試料を光照射するための光源用電源回路の制御手段は、図示されてないが、これらとしては、従来公知のものをそのまま用いることができる。
特性評価装置は、光を透過しない暗箱、あるいは暗幕等で覆われている。暗箱あるいは暗幕で覆われていないと、試験時に外部環境(風・光・温度)の影響を受け、正確な特性評価が困難となる。但し、コントローラ・信号処理回路等、感光体ドラムの評価に影響のないものに関しては、暗箱あるいは暗幕で覆う必要はない。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により、何等限定されるものではない。
図1、図2のような特性評価装置で、リコー imagio MF7070に搭載された感光体ドラム(ドラム直径100mm、ドラム全長360mm)を使用して、特性評価を行なった。
特性評価装置として、露光装置はLD(レーザーダイオード)で波長は655nmを使用しており、LDの光をポリゴンミラーで感光体の軸方向側へ露光させる仕組みとなっており、ビーム径は像面70×85μm、書き込み解像度(副走査方向)400dpi、LD書き込みは連続点灯である。
高圧電源・表面電位計・表面電位計プローブはTREK社製、帯電器は内製したスコロトロン帯電器、除電用光源には特注ラインLED(波長660nm)、モーターはオリエンタル社製、コントローラは、デル社製のPC、A/D変換・デジタル出力には、ナショナルインスツルメンツ社製、変位センサのセンサ部は非接触式のキーエンス社製渦電流式変位センサを使用、それ以外の信号回路等は全て内製して製作した特性評価装置を使用した。
まず、感光体特性評価前に、感光体の軸方向180mmの位置で、周方向の任意の点における感光体と帯電器間の距離を1mmに設定し、被試験体の感光体の周方向帯電電位平均値が−800Vになるように帯電させたときの高圧電源の出力電圧を調べる。
次に、同様にして感光体の軸方向180mmの位置で、感光体と帯電器間の距離が1mmと設定した同じ周方向位置で感光体と帯電器間の距離を1.3mmとし、被試験体の感光体の周方向帯電電位平均値が−800Vになるように帯電させたときの高圧電源の出力電圧を調べ、前記式(1)の一次関係式の例として、この場合は、一次関係式Y=1.17X+3.98を装置が算出した。
結果を図3に示す。
次に、感光体と帯電器間の距離を先述の1mmの状態にして(“周方向の任意の点における感光体と帯電器間の距離を1mmに設定した状態”にしているので、ある点では1mmに設定するが、回転させると感光体の振れ等で距離は変化することとなる。)、回転中の感光体と帯電器間の距離を予め測定した。(感光体と帯電器間の距離は、変位センサを感光体の軸方向50mmの位置に移動させて測定した。)
その結果を図5に示す。
その結果を受け、感光体と帯電装置間の距離による結果(図5)から、測定する感光体で帯電装置の出力電圧を制御するパターンを予め決めた。
決定した制御パターンを図6に示す。
特性評価中に、該出力制御パターンで帯電装置を出力させ感光体の測定を実施した結果を図7に示す。(感光体の線速は250mm/sで測定。)
同様にして、感光体の軸方向を移動し、感光体軸方向の50mm〜290mm(20mm刻み)で、同様に感光体と帯電器間の距離に対応して帯電装置の出力電圧を調整しながら感光体の帯電電位を測定した。感光体と帯電器間の距離は、測定する軸方向位置に変位センサを移動して測定を行なった。
出力電圧の調整は、モーターの角度認識機能を用いて、振れ量と高圧電源の出力変動が1°刻みで調整を行なった。
ドラム軸方向180mm位置の周方向角度における感光体と帯電器間の距離と電位の関係を図8に示す。(但し、図8では、変位センサと帯電電位プローブの設置角度が違うため、プローブでの測定結果を変位センサと同じ角度で測定したよう角度をずらしてグラフに表示した)(感光体の線速は250mm/sで測定。)
理解を助けるべく、上記実施例1の実施内容をシーケンス的にさらに補足説明すると、つぎのとおりである。
(1) 距離−帯電出力一次関係式を記憶する。
(2) 感光体の軸方向の50mmの点での感光体一回転分の距離データを測定する(図5のデータ)。
(3) その距離データを記憶する。
(4) (1)の距離−帯電出力一次関係式と(3)の距離データから50mmの点での感光体一回転分の出力電圧パターン(図6のような)を算出する。
(5) (4)の出力電圧パターンを記憶する。
(6) (5)の出力電圧パターンに従って感光体を帯電させる。
(7) 50mmの点での帯電電位を測定する。
(8) 感光体の軸方向のその他の点での感光体一回転分の距離データを測定する。
(9) その距離データを記憶する。
(10) (1)の距離−帯電出力一次関係式と(9)の距離データからその点での感光体一回転分の出力電圧パターンを算出する。
(11) (10)の出力電圧パターンを記憶する。
(12) (11)の出力電圧パターンに従って感光体を帯電させる。
(13) その点での帯電電位を測定する。
しかし、以下のように実施例1とは異なり初めに各測定点の出力電圧パターンを記憶させてもよい。
(1′) 距離−帯電出力一次関係式を記憶する。
(2′) 感光体の軸方向のある点(A点)での感光体一回転分の距離データを測定する(例えば図5のようなデータ)。
(3′) その距離データを記憶する。
(4′) (1′)の距離−帯電出力一次関係式と(3′)の距離データからA点での感光体一回転分の出力電圧パターン(図6のような)を算出する。
(5′) (4′)の出力電圧パターンを記憶する
(6′) 感光体の軸方向のある点(B点)での感光体一回転分の距離データを測定する。
(7′) その距離データを記憶する。
(8′) (1′)の距離−帯電出力一次関係式と(9′)の距離データからB点での感光体一回転分の出力電圧パターンを算出する。
(9′) (8′)の出力電圧パターンを記憶する。
(10′) 以下C点、D点・・・と同様に行ない、感光体の出力電圧パターンを記憶する。
(11′) A点を評価するときは、A点の出力電圧パターンで感光体を帯電させる。
(12′) B点を評価するときは、B点の出力電圧パターンで感光体を帯電させる。
以下C点、D点・・・と同様に行なう。
[比較例1a]
まず、感光体特性評価前に、測定する感光体と同形状(直径・全長・肉厚が同じ)の感光層を塗布していない素管(材質:Al)を放電した際に、放電電流が−18μA/5cmで一定となるときの、感光体と帯電器間の距離と帯電装置の出力電圧を、特開2009−36657号公報に際の実施例2と同様に算出した。
結果を図4に示す。
その後、その結果を基に、感光体と帯電器間の距離を測定しながら、高圧電源の出力を調整し感光体の帯電電位を測定した。
測定した領域は、感光体軸方向の50mm〜290mm(20mm刻み)で、まず測定する軸方向位置の感光体と帯電器間の距離を計測し、その後先述の結果を基に、一次関係式から関係を算出し、その結果から帯電装置の出力電圧を調整しながら感光体の帯電電位を測定した。
出力電圧の調整は、モーターの角度認識機能を用いて、振れ量と高圧電源の出力変動が1°刻みで正しく関係を維持できるように調整を行なった。(感光体の線速は250mm/sで測定。)
[比較例1b]
測定した領域は、感光体軸方向の50mm〜290mm(20mm刻み)で、放電電圧を−5.5kVと一定にし、感光体の帯電電位を測定した。
ドラム軸方向170mm位置のドラムの周方向角度における振れと電位の関係を図9に示す。(但し、図9では、変位センサと帯電電位プローブの設置角度が違うため、プローブでの測定結果を変位センサと同じ角度で測定したよう角度をずらしてグラフに表示した)(感光体の線速は250mm/sで測定。)
帯電電位の測定結果を表1に示す。
Figure 2010286612
※帯電電位平均値:全測定領域(軸方向位置:50mm〜290mm(20mm刻み)、周方向:360°(1°刻み))で測定した、全測定データの平均値。
※帯電電位偏差:全測定領域(軸方向位置:50mm〜290mm(20mm刻み)、周方向:360°(1°刻み))で測定した、全測定データの最大電圧−最小電圧。
実施例と比較例の違いについて説明すると、実施例1では、感光体と帯電器の距離に応じて、帯電電位が所定の帯電電位になるよう、放電電圧を変えて帯電を行なっている。
比較例1aでは、感光体と帯電器の距離に応じて、放電電流が一定になるよう、放電電圧を変えて帯電を行なっている。比較例1bでは、放電電圧を一定にして帯電を行なっている。
その結果、実施例1では所定の帯電電位(ここでは−800V)狙いで均一帯電が可能となっている。比較例1aでは、帯電電位がどうなるか分からないが均一帯電が可能となっている。比較例1bでは、帯電電位がどうなるかも分からない、均一帯電もできない。
表1の結果から、実施例1のように、所定の帯電電位に帯電する帯電装置の出力電圧と感光体と帯電器間の距離の一次関係式を算出し、その関係から感光体と帯電器間の距離に応じて帯電装置の出力電圧を調整し、感光体全領域の特性を評価することで、狙いとした帯電電位に帯電することが可能で、且つ、帯電電位偏差も抑制される。
また、図9の結果から、被試験体である感光体と帯電器間距離と電位の関係は、距離が離れたときに帯電電位が高くなり、距離が近づいたときに帯電電位が低くなっており、感光体と帯電器間の距離の変動が帯電電位偏差を生じていることが分かるが、図8の結果では、高圧電源の出力電圧を調整させることで感光体と帯電器間の距離の変動による帯電電位偏差が抑制されていることが分かる。
また、予め帯電装置の出力電圧を制御するパターンを決めて、感光体の特性評価中に該制御パターンで帯電装置を出力させて評価することにより、評価中に距離を測りながら帯電装置の出力を評価させる方法と比較して、信号応答性に影響されずに、確実に帯電装置の出力制御が可能となる。
更に、感光体と帯電器間の距離を接触式変位センサで計測することを検討したが、回転時に耐えうる接触式変位センサはなく、例え使えたとしても、感光体表面にキズがつくため、好ましくない。
以上のことから、接触式ではない非接触変位センサを使用することで、感光体にダメージを与えず計測できることが分かる。
また、変位センサと帯電装置の取り付け角度について検討したが、感光体の径方向の同じ角度に設置していないと、感光体と帯電装置間の距離変動に対応できないため好ましくない。
次に、図1、図2のような特性評価装置で、リコー imagio MF7070に搭載された感光体ドラム(ドラム直径100mm、ドラム全長360mm)と同じ処方の感光体2種類(1本は、周方向に塗膜ムラがないもの、もう1本は、周方向に塗膜ムラがないもの)を使用して、特性評価を行なった。(実施例1、比較例1a、比較例1bとは別の感光体を使用。)
特性評価装置として、露光装置はLD(レーザーダイオード)で波長は655nmを使用しており、LDの光をポリゴンミラーで感光体の軸方向側へ露光させる仕組みとなっており、ビーム径は像面70×85μm、書き込み解像度(副走査方向)400dpi、LD書き込みは連続点灯である。
高圧電源・表面電位計・表面電位計プローブはTREK社製、帯電器は内製したスコロトロン帯電器、除電用光源には特注ラインLED(波長660nm)、モーターはオリエンタル社製、コントローラは、デル社製のPC、A/D変換・デジタル出力には、ナショナルインスツルメンツ社製、変位センサは非接触式のキーエンス社製渦電流式変位センサを使用、それ以外の信号処理回路等は全て内製して製作した特性評価装置を使用した。
まず、感光体特性評価前に、感光体の軸方向180mmの位置で、周方向の任意の点における感光体と帯電器間の距離を1mmに設定し、被試験体の感光体の周方向帯電電位平均値が−800Vになるように帯電させたときの高圧電源の出力電圧を調べる。
次に、同様にして感光体の軸方向180mmの位置で、感光体と帯電器間の距離が1mmと設定した同じ周方向位置で、感光体と帯電器間の距離を1.3mmとし、被試験体の感光体の周方向帯電電位平均値が−800Vになるように帯電させたときの高圧電源の出力電圧を調べ、一次関係式を算出した。
次に、特性評価前に、回転中の感光体と帯電器間の距離を予め測定し(感光体と帯電器間の距離は変位センサを感光体の軸方向180mmの位置に移動させて測定)、その結果を受け、感光体と帯電装置間の距離による結果から、測定する感光体で帯電装置の出力電圧を制御するパターンを予め決めた。
特性評価中に、該出力制御パターンで帯電装置を出力させ感光体の測定を実施した。(感光体の線速は250mm/sで測定。)
帯電電位偏差の結果を表2に示す。
[比較例2]
感光体の軸方向180mmの位置で、周方向の任意の点における感光体と帯電器間の距離を1mmに設定し、被試験体の感光体の周方向帯電電位平均値が−800Vになるように帯電させたときの、帯電電位偏差の結果を表2に示す。
Figure 2010286612
表2の結果から、比較例2のように、装置の問題や感光体基体の問題等、感光体と帯電器間の距離による変動に対する対策を打たない場合には、感光体と帯電器間の距離変動によって、帯電電位偏差が大きくなることが分かる。
一方、実施例2のように、所定の帯電電位に帯電する帯電装置の出力電圧と感光体と帯電器間の距離の一次関係式を算出し、その関係から感光体と帯電器間の距離に応じて帯電装置の出力電圧を調整し特性を評価することで、感光体と帯電器間の距離による影響を受けない形で、感光体の特性(ここでは周方向帯電ムラ)を評価可能となることが分かる。
1 感光体ドラム
2 表面電位計プローブ
3 露光装置
4 表面電位計プローブ
5 除電器
6 帯電器
7 表面電位計
8 表面電位計
9 信号処理回路
10 信号処理回路
11 アンプヘッド
12 電源
13 電源
14 電源スイッチ
15 A/D変換器
16 コントローラ
17 変位センサ
18 ドラムチャック治具
19 面板(手前側)
20 面板(奥側)
21 主軸
22 ベルト
23 モーター
特開平4−26852号公報 特開2003−29572号公報 特開2008−292258号公報 特開平11−184215号公報 特開平2009−36657号公報

Claims (5)

  1. 帯電器を有する帯電装置、露光装置、及び表面電位検出装置を有するドラム状電子写真感光体の特性評価装置であって、感光体と帯電器間の距離を測定する手段と、測定した距離データを記憶する手段とを有し、所定の帯電電位に帯電するための帯電器の出力電圧と感光体と帯電器間の距離の関係式を基に該感光体と帯電器間の距離に応じて帯電器の出力電圧を変化させることを特徴とする電子写真用感光体特性評価装置。
  2. 前記関係式は、感光体の周方向帯電電位平均値が所定の帯電電位になる、帯電器と感光体の距離をd1[mm]に設定したときの帯電装置の出力電圧Vc1[V]と、帯電器と感光体の距離をd2[mm]に設定したときの帯電装置の出力電圧Vc2[V]の一次関係式から算出することを特徴とする請求項1記載の電子写真用感光体特性評価装置。
  3. 前記関係式が前記記憶手段に記憶されており、該関係式と感光体を回転させて前記距離測定手段が測定した1回転分の電子写真感光体と帯電器間の距離データから帯電器の出力電圧を制御するパターンを決定し、該出力電圧制御パターンを基に、帯電器の出力電圧を変化させることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真用感光体特性評価装置。
  4. 前記距離測定手段と帯電器は、電子写真感光体の径方向の同じ角度に設置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真用感光体特性評価装置。
  5. 前記距離測定手段が非接触変位センサであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真用感光体特性評価装置。
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