JP3330760B2 - 帯電装置 - Google Patents

帯電装置

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JP3330760B2
JP3330760B2 JP30891994A JP30891994A JP3330760B2 JP 3330760 B2 JP3330760 B2 JP 3330760B2 JP 30891994 A JP30891994 A JP 30891994A JP 30891994 A JP30891994 A JP 30891994A JP 3330760 B2 JP3330760 B2 JP 3330760B2
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敏記 山村
善雄 梅田
昭行 仲
久典 長瀬
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複写機やファクシミ
リ,プリンタ等、電子写真方式で画像を形成する画像形
成装置に関し、特に、ドラムやベルト状の感光体を含む
被帯電体を、その被帯電体に接触または近接させた帯電
部材によって帯電する帯電装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、オゾンに対する規制が厳しく、帯
電においてはオゾン発生量の多いスコロトロン方式に代
わって、ローラやブラシ,ブレードなどの帯電部材を被
帯電体に接触または近接させて帯電を行い、オゾン発生
量を減少させた帯電方法が提案さている。
【0003】従来、上記帯電部材への印加は、一定の直
流電圧か、または直流電圧に交流電圧または交流電流を
重畳したものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】(第1の課題) ところが、一定の直流電圧を帯電部材に印加する方法で
は、雰囲気温度や湿度の影響を受け、帯電後の被帯電体
の表面電位が変わることがあった。その結果、画像形成
装置が出力する画像濃度が変動した。以下、被帯電体の
一例として、感光体を例に説明する。
【0005】感光体表面の電位変動の許容範囲は、作画
される中間調濃度の変動によって決められる値で、次の
ように求めることができる。まず、電子写真方式の画像
形成装置で、作画面の少なくとも直径10mm以上の円内に
おける平均反射濃度が0.4以上0.9以下の範囲内である画
像を作画する。仮に、このときの平均反射濃度をD1と
する。発明者らは、種々ある反射濃度測定手段の一例と
してマクベス濃度計RD914を用いた。D1は、マクベス
濃度計RD914にて直径50mmの円内における反射濃度を
ランダムに30点測定した後、平均をとった値で、0.4以
上0.9以下の値である。反射濃度測定時には、被測定画
像の裏面に白紙を10枚重ね、紙裏からの光の散乱条件を
一定とした。
【0006】次に、感光体の表面電位以外の作画条件は
一定に保ちながら感光体の表面電位のみを徐々に変化さ
せ作画する。感光体の表面電位が変化すると、画像濃度
も変化するが、濃度変化後の作画面における直径10mm以
上の円内の平均反射濃度が、元の平均反射濃度D1と比
較して0.07以上変化したときの感光体の表面電位の変動
量△Vo_thを求める。この△Vo_thが該画像形成装置に
おける感光体の表面電位変動の許容範囲である。ここで
反射濃度の変動0.07は、発明者らが目視評価を行った結
果、濃度変動を検知した閾値である。目視評価は、標準
光源のもと、公知の主観評価手法に従って被験者35人に
対して行い、公知の統計処理手法によって閾値を求め
た。
【0007】上記濃度変化の閾値と、現在実用化されて
いる電子写真の現像特性とを比較検討した結果、感光体
の表面電位が35V以上変化すると濃度変化が検知され、
表面電位変化50V以上で顕著な濃度変化が認められた。
すなわち目視評価の結果、感光体の表面電位変動の許容
範囲△Vo_th=35Vであった。
【0008】発明者らが雰囲気温度や湿度による帯電特
性の変動原因を鋭意探求した結果、電源から帯電部材の
帯電領域に接する感光体表面までの抵抗値が影響してい
ることがわかった。ここで、帯電部材の帯電領域とは、
帯電部材の表面および帯電部材と感光体との間の空隙の
うち、感光体の帯電に関与する電荷の移動が行われる領
域である。
【0009】以下、電源から帯電領域に接する感光体表
面までの抵抗値を帯電抵抗Rrと呼ぶ。帯電抵抗Rrは、
帯電部材の抵抗、および帯電領域における帯電部材表面
から感光体表面までの空気層の抵抗が支配的である。
【0010】帯電部材の一例として、ウレタンなどの柔
軟な材料にカーボンや各種の導電性分子を分散させた構
成の帯電部材の場合を示す。図2は本発明の実施例に使
用される帯電部材としての帯電ローラの構成を示した図
である。2は帯電ローラで長さ29cm、直径φ6mmの芯金
の周囲に肉厚3mmの導電処理を施したウレタンをローラ
状に形成したものである。芯金の両端8mmずつはウレタ
ンが形成されていない。帯電ローラ2はウレタンが形成
されていない芯金の両端で保持される。また、芯金の一
端から電圧が印加される。
【0011】また、本発明の実施例に使用される感光体
の概略図を図3に示す。図3において、1は感光体で、
長さ30cm、直径φ30mm、肉厚1mmのアルミ素管表面に膜
厚26μmの有機感光体を塗布したものである。また、有
機感光体の比誘電率ε=3.0であった。
【0012】帯電ローラ2の帯電抵抗Rrは、7℃湿度2
0%の雰囲気環境下で約10MΩであった。また、30℃湿
度80%の雰囲気環境下で約2MΩであった。すなわち、
雰囲気環境の変動により帯電抵抗Rrは8MΩ変動し
た。
【0013】次に、帯電抵抗Rrの変動が、感光体の帯
電電位に及ぼす影響について調べた。説明のため、感光
体を0Vから作画時の最適表面電位Vo_optに帯電する
とき、帯電部材に印加した電圧をVin_opt、帯電部材に
流れる電流をIr_optとする。
【0014】印加電圧Vin_optのうちRr×Ir_optの電
圧が、帯電部材の抵抗成分および帯電領域での空気層の
抵抗成分で損失され、感光体の帯電に寄与しない。一定
電圧を印加する帯電方法では、予め帯電抵抗での電圧損
失分を補償した値を、最適な印加電圧とすればよい。
【0015】ところが、雰囲気環境により帯電抵抗Rr
が△Rrだけ変動するとき、作画時の最適印加電圧は、
△Rr×Ir_optだけ変動する。この最適印加電圧の変動
が、一定電圧を印加する帯電方法においては、感光体表
面電位の誤差となる。帯電抵抗Rrの雰囲気環境による
変動が、上記△Vo_thを用いて、 |△Rr×Ir_opt|≧△Vo_th ………………………………… (1) ただし、| |は絶対値記号 の条件に入るとき、画像濃度の変化が発生する。現在実
用化されている電子写真の特性から、△Vo_th=35Vで
ある。
【0016】実測では、感光体を所望の電位にするため
の電流は約5μA程度であった。したがって、帯電抵抗
Rrの変動分との積、8MΩ×5μA=40Vが雰囲気環境
の温度や湿度によって変化した。
【0017】従来の帯電装置におけるこの問題点を解決
することが本発明の第1の課題である。
【0018】(第2の課題) 次に、感光体の帯電メカニズムから導き出せる下記の帯
電制御方法を試みた。非露光時の感光体は誘電体とみな
せるので、表面電位0Vの感光体を電位Voまで帯電す
るときに帯電部材に流れる電流をIrとするとき、 |Vo|=k・|Ir| …………………………………………… (2) ただし、| |は絶対値記号 なる比例関係が成り立つ。ここに、dを感光体の膜厚、
εを感光体の比誘電率、ε0を真空の誘電率、Lを感光
体の被帯電面の感光体軸方向の長さ、vpを感光体の移
動速度とすると係数kは、 k=d/(ε0×ε×L×vp) …………………………………… (3) として予め与えられる。以下、kを帯電係数、また、感
光体帯電時に帯電部材に流れる電流を帯電電流と呼ぶこ
ともある。また感光体と帯電部材との帯電開始電圧をV
thとする。
【0019】試作した制御装置は、作画工程に先立ち非
作画時に帯電部材に、絶対値がVth以上で、極性が作画
工程における感光体の最適表面電位Vo_optと同じ電圧
Vin1を印加し、帯電部材に流れる電流値を測定する。
(式2)に従い、測定された電流値Ir1に係数kを乗じ、
感光体の表面電位Vo1を推定する。所望の表面電位Vo_
optを得るために帯電部材に印加する最適電圧の絶対値
Vin_optを(式4) Vin_opt=|Vo_opt|+|Vin1|−k・|Ir1| ……………… (4) ただし、| |は絶対値記号 で算出する。
【0020】ところが、実際に(式4)で求められる電圧
Vin_optを加えたところ、感光体の表面電位は目標電位
と35V以上の誤差を生じ、実用化できなかった。以下、
実測値を示す。帯電部材として、図2の帯電ローラを用
いた。また、感光体の概略を図3に示す。図3において
感光体は、長さ30cm、直径φ30mm、肉厚1mmのアルミ素
管表面に膜厚26μmの有機感光体を塗布したものであ
る。また、有機感光体の比誘電率ε=3.0であった。
【0021】図5は感光体1の表面電位を測定する帯電
試験機の構成図で、1は感光体、2は帯電ローラ、3は
除電光、4は定電圧電源、11は電流測定手段、41は表面
電位測定プローブ、42は表面電位計である。表面電位計
42は表面電位測定プローブ41が測定した感光体1の表面
電位を表示する。
【0022】感光体1の膜厚や誘電率などから(式3)で
求められた帯電係数kは、k=100(V/μA)。また非作
画時に仮の印加電圧Vin=−900Vを印加したときの帯
電部材に流れ込む電流は2.6μAであった。したがって、
感光体を目標電位−450Vとするための最適印加電圧は
(式4)よりVin_opt=−1060Vと算出される。ところ
が、実際に帯電部材に−1060Vを印加すると感光体の表
面電位は−404Vとなった。すなわち目標電位−450Vと
35V以上のずれがあった。この原因は帯電抵抗Rrでの
電圧損失にあった。
【0023】所望の電位を得るための帯電電流をIr_op
tとすると、帯電時に、帯電抵抗でRr×Ir_optだけの
電圧低下がある。帯電抵抗Rrと帯電電流Ir_optが、以
下の関係、 |Rr×Ir_opt|≧△Vo_th …………………………………… (5) を満足するとき、画像濃度の変化が発生する。
【0024】帯電抵抗Rrにおける電圧損失を防止する
には、帯電部材の抵抗値はできるだけ小さい方が望まし
い。ところが、感光体に接触または近接させる帯電部材
には、ある値以上の抵抗値が必要である。その理由は、
帯電部材が低抵抗であると、局所的に放電が集中し、異
常放電が生じ、均一帯電ができないからである。また長
期使用の過程で、感光体表面が傷つき、ピンホールと呼
ばれる感光体表面に導電層が露出する状態になるとき、
低抵抗の帯電部材ではピンホールに向かって異常放電が
生じ、均一帯電ができない。これら異常放電を防止する
ため、帯電部材は低抵抗にはできない。例えば、B4幅
の感光体を帯電させるための帯電部材の場合、帯電部材
の電圧印加端子から帯電領域に接する帯電部材表面まで
の抵抗値は1MΩ以上が望ましい。
【0025】具体的に実測値を示すと、図3の感光体で
感光体表面電位を目標電位−450Vに帯電するのに必要
な電流は約4.5μA程度であった。一方、図2の帯電ロー
ラの場合、帯電抵抗は、芯金から帯電領域に接する感光
体表面まで約10MΩあった。したがって、4.5μA流れた
ときの帯電ローラの抵抗成分による電圧降下は45Vあ
る。この45Vは帯電に寄与せず、制御誤差となる。
【0026】この問題点を解決することが本発明の第2
の課題である。
【0027】(第3の課題) 画像形成装置の長期間の使用により感光体の膜は摩耗し
膜厚が変化する。その結果、感光体の帯電係数kが変化
する。感光体の摩耗の程度は、感光体の硬度によって異
なる。硬度の高いアモルファスシリコン感光体では感光
体の膜の摩耗は問題にならないほど小さい。他方、硬度
の低いセレン感光体や有機感光体などでは、長期使用で
感光体の膜厚の減少が生じる。感光体の摩耗は、感光体
に接触しているクリーニングブレード,紙および紙粉,
トナーおよびトナーに含有された添加剤などであり、そ
れらが複合的に作用して感光体の表面を削る。
【0028】同じ印加電圧を帯電部材に与えるとき、初
期の感光体の帯電電位をVo_opt、長期使用後の感光体
の帯電電位をVo_runとすると、両者の電位差が△Vo_t
h以上、すなわち、 |Vo_opt−Vo_run|≧△Vo_th ……………………………… (6) の条件に入るとき、中間調濃度の変動が発生する。
【0029】以下に、発明者らが測定した長期使用後の
感光体の帯電特性を示す。実験には、図3に示した有機
感光体と、図2に示した帯電ローラをそれぞれ使用し
た。まず新品の感光体1(感光体の膜厚26μm)を図5の
帯電試験機に装着し、室温7℃湿度20%の恒温恒湿の環
境下に3日間放置し、十分環境に馴染ませた。その後、
除電光3を点灯しながら帯電ローラ2に−1100V印加し
たところ、感光体1の表面電位は−440V、帯電電流は
4.4μAであった。
【0030】次に同じ感光体1を市販の電子写真方式の
画像形成装置(松下電送(株)製ファックス Panafax B6
6)に装着し、連続通紙ランニング試験10万枚を行った。
感光体に接触しているのは、クリーニングブレード,転
写ローラ,紙,トナーおよびトナーに含有された添加剤
などであり、それらが複合的に作用して感光体の表面膜
を摩耗させる。連続通紙試験する前の感光体1の膜厚は
26μmであったが、連続通紙試験10万枚後の膜厚は18μm
であった。
【0031】膜厚18μmの感光体1を図5の帯電試験機
に装着し、室温7℃湿度20%の恒温恒湿の環境下に3日
間放置し、十分環境に馴染ませた。その後、除電光3を
点灯しながら帯電ローラ2に−1100V印加したところ、
感光体1の表面電位は−480V、帯電電流は6.9μAであ
った。新品の感光体表面電位との差40Vは、感光体の膜
厚の減少によるものである。
【0032】この一定電圧を印加する従来の帯電装置の
問題点を解決するのが本発明の第3の課題である。
【0033】(第4の課題) 理想的には、電源から帯電部材に印加された電流はすべ
て感光体の帯電に使われる。ところが発明者らが鋭意研
究を重ねたところ、帯電部材に流れる電流の一部に感光
体の帯電に寄与しない電流が存在することがあった。以
下、帯電に寄与しない電流をリーク電流と呼ぶ。リーク
電流は発生が不安定で、原因究明および対策が困難であ
る。また、帯電部材の雰囲気環境の温度と湿度によって
リーク電流は変化し、特に高温多湿の場合にリーク電流
は増加した。リーク電流の測定結果を以下に示す。
【0034】図5に示した帯電試験機を5台用意し、そ
れぞれに図2の帯電ローラ2および図3の感光体1を組
み込み、室温20℃湿度50%の恒温恒湿の環境下に3日間
放置し、十分環境に馴染ませた。
【0035】その後、除電光3を点灯せずに、絶対値が
帯電開始電圧Vth以上で、極性が作画工程における感光
体1の最適表面電位Vo_optと同じ電圧Vin=−1100V
を印加して帯電を行った。帯電開始前の感光体1の表面
電位は0Vであった。
【0036】感光体1が5周以上回転すると、感光体1
の表面電位は安定し一定値となった。ところが、5台の
うち1台の帯電試験機では、表面電位安定後も、帯電部
材には約0.4μAの電流が流れ続けた。この帯電試験機を
帯電試験機Aと名付ける。明らかに、感光体1の表面電
位安定後に流れる電流0.4μAは帯電に寄与していないの
で、リーク電流である。残り4台の帯電試験機では、帯
電安定後、帯電部材に電流は流れなかった。
【0037】次に上記5台の帯電装置を、室温33℃湿度
80%の恒温恒湿の環境下に3日間放置し、十分環境に馴
染ませた。その後、除電光3を点灯せずに電圧Vin=−
1100Vを印加して帯電を行った。帯電開始前の感光体1
の表面電位は0Vであった。
【0038】感光体1が5周以上回転すると、感光体1
の表面電位は安定し一定値となった。ところが、帯電試
験機Aにおいて、表面電位安定後も、帯電部材には0.6
μAの電流が流れ続けた。この電流0.6μAは感光体1の
帯電に寄与していないので、リーク電流である。また、
別の1台の帯電試験機において、表面電位安定後、帯電
部材に約0.2μAの電流が流れ続けた。この0.2μAの電流
も、感光体1の帯電に寄与していないのでリーク電流で
ある。残り3台の帯電試験機では、帯電安定後、帯電部
材に電流は流れなかった。
【0039】以上のように、リーク電流には個体差があ
り、同じ仕様で作られた帯電試験機にもかかわらず、発
生したり、しなかったりした。また、雰囲気温度と湿度
によってリーク電流の値が変化した。このリーク電流の
原因としては、(ア)電源の漏れ電流、(イ)電源から帯電
部材までの電流経路途中での漏れ電流、(ウ)帯電部材を
保持するホルダーからの漏れ電流、(エ)帯電部材から周
辺部材への放電、(オ)帯電部材の周辺空気の電離に使わ
れる電流など多くの原因があげられる。
【0040】発明者らは、帯電試験機および画像形成装
置で、リーク電流の分析を精力的に試みたが、リーク電
流の発生は不安定で、装置の個体差により発生したり、
また、一旦リーク電流の発生した画像形成装置が、別の
日にはリーク電流の発生が全く検出されなかったりし
た。発明者らは種々の対策を試みたが、これらのリーク
電流の原因を特定し、効果的な対策を施すのは非常に困
難であった。
【0041】本発明で、作画工程における印加電圧また
は印加電流を決定するのに用いられる電流に、リーク電
流が混在すると、帯電電流と表面電位の間の比例関係が
崩れ、決定される最適印加電圧に誤差が生じる。特に、
感光体の帯電係数kとリーク電流Ir_Lとの積(k・Ir_
L)の絶対値が△Vo_th以上のとき、すなわち、 |k・Ir_L|≧△Vo_th ……………………………………… (7) の条件に入るとき、画像形成装置の出力画像に濃度むら
が発生する。ここに、発明者らの目視評価から、△Vo_
th=35Vである。
【0042】この問題点を解決することが本発明の第4
の課題である。
【0043】本発明は、これらの問題点を解消し、感光
体を目標電位に帯電させる帯電装置を提供するものであ
る。
【0044】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の帯電装置は次のような構成を有するものであ
る。
【0045】(1) 公知の駆動手段により速度vpで循環
移動する被帯電体と、前記被帯電体に接触または近接す
る帯電部材と、前記帯電部材に少なくとも2種類の電圧
を選択的に印加する電源と、前記被帯電体を除電する除
電手段と、前記帯電部材に流れる電流を測定する電流測
定手段と、前記電源および前記除電手段を制御する制御
手段とを備え、前記電流測定手段は、速度vpで循環移
動しかつ前記除電手段により除電された前記被帯電体の
表面に前記帯電部材の帯電領域が接触している状態で前
記帯電部材に前記電源が第1の電圧Vin1を印加したと
き発生する電流Ir1を測定し、続いて、前記状態で前記
帯電部材に第2の印加電圧Vin2を印加したとき発生す
る電流Ir2を測定し、さらに、速度vpで循環移動する
前記被帯電体上の1点が、前記除電手段からの除電作用
を受ける領域から、前記帯電部材の帯電領域まで移動す
るのに要する時間をTjr、電流Ir2の測定終了時刻をT
2としたとき、前記帯電部材に第2の印加電圧Vin2を印
加した状態で、時刻(T2−Tjr)以降に前記除電手段に
よる除電を停止し、除電されている被帯電体面と除電さ
れていない被帯電体面との境界が、前記帯電部材の帯電
領域に接触するかまたは最近接する時刻をT3とする
と、時刻T3から前記被帯電体が1周するまでの間に、
前記帯電部材に流れる電流Ir3を測定し、前記制御手段
は、前記電流測定手段が測定した電流Ir1,Ir2および
Ir3に基づいて帯電抵抗の演算を行い作画工程における
前記被帯電体を所望電位にするための前記帯電部材に印
加する最適電圧Vin_optを決定し前記電源を制御するこ
とを特徴とするものである。
【0046】(2) 公知の駆動手段により速度vpで循環
移動する被帯電体と、前記被帯電体に接触または近接す
る帯電部材と、前記帯電部材に少なくとも2種類の電圧
を選択的に印加する電源と、前記被帯電体を除電する除
電手段と、前記帯電部材に流れる電流を測定する電流測
定手段と、前記電源および前記除電手段を制御する制御
手段とを備え、前記電流測定手段は、速度vpで循環移
動しかつ前記除電手段により除電された前記被帯電体の
表面に前記帯電部材の帯電領域が接触している状態で前
記帯電部材に前記電源が第1の電圧Vin1を印加したと
き発生する電流Ir1を測定し、続いて、前記状態で前記
帯電部材に第2の印加電圧Vin2を印加したとき発生す
る電流Ir2を測定し、さらに、速度vpで循環移動する
前記被帯電体上の1点が、前記除電手段からの除電作用
を受ける領域から、前記帯電部材の帯電領域まで移動す
るのに要する時間をTjr、電流Ir2の測定終了時刻をT
2としたとき、前記帯電部材に第2の印加電圧Vin2を印
加した状態で、時刻(T2−Tjr)以降に前記除電手段に
よる除電を停止し、除電されている被帯電体面と除電さ
れていない被帯電体面との境界が、前記帯電部材の帯電
領域に接触するかまたは最近接する時刻をT3とする
と、時刻T3から前記被帯電体が1周するまでの間に、
前記帯電部材に流れる電流Ir3、および時刻T3から前
記被帯電体が1周以上するときに前記帯電部材に流れる
電流Ir4を測定し、前記制御手段は、前記電流測定手段
が測定した電流Ir1,Ir2,Ir3およびIr4に基づいて
帯電抵抗の演算を行い作画工程における前記被帯電体を
所望電位にするための前記帯電部材に印加する最適電圧
Vin_optを決定し前記電源を制御することを特徴とする
ものである。
【0047】(3) 公知の駆動手段により速度vpで循環
移動する被帯電体と、前記被帯電体に接触または近接す
る帯電部材と、前記帯電部材に電圧を印加する電源と、
前記被帯電体を除電する除電手段と、前記帯電部材に流
れる電流を測定する電流測定手段と、前記電源および前
記除電手段を制御する制御手段とを備え、前記電流測定
手段は、速度vpで循環移動しかつ前記除電手段により
除電された前記被帯電体の表面に前記帯電部材の帯電領
域が接触している状態で前記帯電部材に前記電源が第1
の電圧Vin1を印加したとき発生する電流Ir1を測定
し、さらに、速度vpで循環移動する前記被帯電体上の
1点が、前記除電手段からの除電作用を受ける領域か
ら、前記帯電部材の帯電領域まで移動するのに要する時
間をTjr、電流Ir1の測定終了時刻をT2としたとき、
前記帯電部材に印加電圧Vin1を印加した状態で、時刻
(T2−Tjr)以降に前記除電手段による除電を停止し、
除電されている被帯電体面と除電されていない被帯電体
面との境界が、前記帯電部材の帯電領域に接触するかま
たは最近接する時刻をT3とすると、時刻T3から前記被
帯電体が1周するまでの間に、前記帯電部材に流れる電
流Ir3を測定し、前記制御手段は、前記電流測定手段が
測定した電流Ir1およびIr3に基づいて帯電抵抗の演算
を行い作画工程における前記被帯電体を所望電位にする
ための前記帯電部材に印加する最適電圧Vin_optを決定
し前記電源を制御することを特徴とするものである。
【0048】(4) 公知の駆動手段により速度vpで循環
移動する被帯電体と、前記被帯電体に接触または近接す
る帯電部材と、前記帯電部材に電圧を印加する電源と、
前記被帯電体を除電する除電手段と、前記帯電部材に流
れる電流を測定する電流測定手段と、前記電源および前
記除電手段を制御する制御手段とを備え、前記電流測定
手段は、速度vpで循環移動しかつ前記除電手段により
除電された前記被帯電体の表面に前記帯電部材の帯電領
域が接触している状態で前記帯電部材に前記電源が第1
の電圧Vin1を印加したとき発生する電流Ir1を測定
し、さらに、速度vpで循環移動する前記被帯電体上の
1点が、前記除電手段からの除電作用を受ける領域か
ら、前記帯電部材の帯電領域まで移動するのに要する時
間をTjr、電流Ir1の測定終了時刻をT2としたとき、
前記帯電部材に印加電圧Vin1を印加した状態で、時刻
(T2−Tjr)以降に前記除電手段による除電を停止し、
除電されている被帯電体面と除電されていない被帯電体
面との境界が、前記帯電部材の帯電領域に接触するかま
たは最近接する時刻をT3とすると、時刻T3から前記被
帯電体が1周するまでの間に、前記帯電部材に流れる電
流Ir3、および時刻T3から前記被帯電体が1周以上す
るときに前記帯電部材に流れる電流Ir4を測定し、記制
御手段は、前記電流測定手段が測定した電流Ir1,Ir3
およびIr4に基づいて帯電抵抗の演算を行い作画工程に
おける前記被帯電体を所望電位にするための前記帯電部
材に印加する最適電圧Vin_optを決定し前記電源を制御
することを特徴とするものである。
【0049】
【作用】本発明は前記した構成により、前記(第1の課
題)から(第4の課題)に対し、以下の作用を有する。
【0050】(第1の課題)に対しては、前記(1),(2),
(3)および(4)の構成により、帯電抵抗を逐次測定し、補
正を加えながら帯電部材への最適な印加電圧を決定す
る。
【0051】また、(第2の課題)に対しては、前記
(1),(2),(3)および(4)の構成により、帯電抵抗値を用
いて、補正を加えながら帯電部材への最適な印加電圧を
決定する。
【0052】また、(第3の課題)に対しては、前記(1)
および(2)の構成により、感光体を含む被帯電体に流れ
る電流と、感光体電位を含む被帯電体の表面電位の比例
係数kを逐次測定しながら、帯電部材への最適な印加電
圧を決定する。
【0053】また、(第4の課題)に対しては、前記(2)
および(4)の構成により、リーク電流分を補正しなが
ら、帯電部材への最適な印加電圧を決定する。
【0054】
【実施例】以下、図面を参照しながら実施例を詳細に説
明する。
【0055】(第1の実施例) まず、図2は本発明の実施例に使用される帯電部材とし
ての帯電ローラの構成を示したものである。図2におい
て、2は帯電ローラで、長さ29cm、直径φ6mmの芯金の
周囲に導電処理を施した肉厚3mmのウレタンをローラ状
に形成したものである。芯金のうち両端8mmずつはウレ
タンを形成していない。帯電ローラ2は、ウレタンが形
成されていない芯金両端で保持され、芯金の一端から電
圧が印加される。
【0056】図3は本発明の実施例に使用される被帯電
部材としての感光体1の構成を示したものである。長さ
30cm、ドラム径φ30mm、肉厚1mmのアルミ素管表面に膜
厚26μmの有機感光体を塗布したものである。
【0057】非露光時の感光体は誘電体と見なせるの
で、表面電位0Vの感光体をVoに帯電するとき、帯電
電位Voは帯電部材に流れる電流Irに比例する。以下、
帯電時に帯電部材に流れる電流を帯電電流と呼ぶことも
ある。
【0058】図4は感光体の帯電特性を示す図である。
図4において、横軸は感光体に流れ込む電流Irの絶対
値、縦軸は感光体の帯電電位Voの絶対値である。図4
の傾きは電流Irの絶対値と帯電電位Voの絶対値との比
例係数で、比例係数kを帯電係数と名付ける。初期の表
面電位0Vの感光体を帯電する場合、帯電電流Irの絶
対値をk倍すると、帯電電位Voの絶対値となる。
【0059】本実施例における帯電部材への印加電圧の
決定に先立ち、電源から、帯電部材が帯電領域に接する
感光体表面までの抵抗値を予め測定する。以下、図5を
参照しながら、帯電抵抗Rrの測定方法を説明する。
【0060】図5は帯電試験機で、本実施例では、帯電
抵抗Rrの測定に使う。1は感光体、2は帯電ローラ、
3は除電光、4は定電圧の電源、11は電流測定手段、41
は表面電位測定プローブ、42は表面電位計である。表面
電位計42は表面電位測定プローブ41が測定した感光体1
の表面の電位を表示する。
【0061】帯電ローラ2と感光体1との間の帯電開始
電圧をVthとすると、絶対値がVth以上で、極性が作画
工程における感光体1の最適表面電位Vo_optと同じ電
圧Vtestを、電源4から帯電ローラ2に印加する。この
とき、帯電ローラ2に流れる電流を電流測定手段11で測
定する。帯電抵抗Rrは次の手順で求められる。
【0062】(ア) 感光体を矢印の方向に周速vpで回転
する。
【0063】(イ) 帯電ローラ2へ電圧を印加しない状
態で感光体1を回転し、除電光3を点灯し、感光体の表
面電位を0Vにする。
【0064】(ウ) 除電光3を点灯した状態で、帯電ロ
ーラ2に電圧Vtestを印加する。少なくとも感光体1を
3周以上回転した後、流れる電流Ir_test、および感光
体の表面電位Vo_t1を測定する。
【0065】(エ) 除電光3を消灯した後、少なくとも
感光体1が3周以上回転したときの、感光体1の表面電
位Vo_t2を測定する。
【0066】(オ) 帯電電流が流れるとき、帯電抵抗Rr
で電圧は低下する。そのため、除電しながら帯電すると
き、感光体1の表面電位の絶対値Vo_t1は、 Vo_t1=|Vtest|−Vth−(Rr×|Ir_test|) …………… (8) となる。一方、除電せずに帯電する場合の感光体1の表
面電位の絶対値Vo_t2は、 Vo_t2=|Vtest|−Vth ……………………………………… (9) である。したがって、帯電抵抗Rrは(式10) Rr=|Vo_t2−Vo_t1|/|Ir_test| …………………… (10) ただし、| |は絶対値記号 で求められる。
【0067】実測では、Vtest=−1100Vを帯電ローラ
2に印加した。除電光3を点灯した場合の感光体1の表
面電位Vo_t1は−436V、帯電電流Ir_t1は4.4μAであ
った。また、除電光3を消灯した場合、感光体1の表面
電位Vo_t2は−476Vであった。したがって、(式10)か
ら帯電抵抗Rrは9.1MΩと求められた。本実施例では、
このRrを用いて、次のように帯電部材への印加電圧を
決定する。
【0068】(第1参考例) 図1は本発明の実施例を説明するための第1参考例の画
像形成装置の概略構成を示したものである。本参考例の
画像形成装置は、感光体上に作像した後、紙に転写する
電子写真方式のものである。図1において、1はドラム
状の感光体で、図3に示した構成である。感光体1は図
示されていない駆動モータにより矢印方向に周速vp=3
3mm/sで回転される。2は感光体に接触させた帯電部材
としての帯電ローラで、感光体1との摩擦力によって回
転する。
【0069】35は像書き込み手段としてのレーザ光源
で、出射されたレーザ光はミラー36で反射されたのち感
光体1の表面に照射され、感光体1上に潜像を作る。31
は現像器で感光体1上の潜像をトナーにより顕像化す
る。32は転写手段としての転写ローラ、37は転写電源
で、転写ローラ32に対して+2μAを印加するか、また
は電気的フロート状態にするかを選択できる機能を備え
ている。転写ローラ32は紙34に感光体1上のトナーを転
写する。転写時には+2μAが転写電源37から転写ロー
ラ32に印加される。33はクリーニング・ブレードで感光
体1上に残留しているトナーを掻き落とす。3は除電手
段としての除電光であり、感光体1を照射して表面電位
を0Vにする。
【0070】4は電源で、2種類以上の値の異なる直流
電圧を選択的に帯電ローラ2に印加する。本参考例で
は、Vin1=−900VとVin2=−1100Vの2種類の直流
電圧を選択的に帯電ローラ2に印加する。さらに作画時
には−800Vから−1300Vの範囲の電圧を5Vステップ
で選択し、帯電ローラ2に印加する。
【0071】11は電流測定手段で、電源4から帯電ロー
ラ2に流れる電流を測定する。10は制御手段であり、電
流測定手段11が測定した電流値を入力する機能と、入力
した値を記憶する機能と、入力および記憶された値に演
算を加える機能と、電源4および転写電源37を制御する
機能を備えている。以下に制御手段10の作用について、
図6を参照しながら説明する。
【0072】図6は制御手段10の動作をタイミングチャ
ートで示したものである。横軸矢印方向に時間が経過す
る。上から感光体の回転、帯電ローラ2への印加電圧V
in、除電光3の点灯(on)または消灯(off)、帯電ローラ
2に流れる帯電電流の絶対値Ir、転写電源37が転写ロ
ーラ32に印加する電流、現像器31による現像位置での感
光体1の表面電位Voをそれぞれ示している。そのまま
表示すると煩雑なので、図6の感光体表面電位Voは、
移動する感光体1上の1点が帯電ローラ2の帯電領域か
ら現像器31の現像領域まで移動するのに要する時間Trd
だけ進めて示した。また、帯電ローラ2が1回転するの
に要する時間をTr、感光体1が1回転するのに要する
時間をTpとする。時間TrおよびTpは、帯電ローラ2
の直径,感光体1の直径,感光体1の周速vpから予め
求められる。
【0073】図6において、作画工程に先立ち感光体1
が回転を開始する前から、転写電源37をフロート状態と
し、転写ローラ32が感光体1を帯電しない状態にする。
感光体1の回転が十分安定するだけの時間を経過した
後、時刻T1に帯電ローラ2に電圧Vin1を印加する。V
in1が印加された時刻T1から帯電ローラ2が1周するま
での間(時刻T1+Tr)は電流値が不安定なので無視し、
帯電ローラ2が1周以上回転した後の電流値Ir1を測定
する。これが第1の測定である。
【0074】第1の測定の後、帯電ローラ2に電圧Vin
2を印加する。このとき流れる電流のうちVin2が印加さ
れた直後から帯電ローラ2が1周するまでの間(時間T
r)に帯電ローラ2に流れる電流は不安定なので無視し、
帯電ローラ2が1周以上回転した後の電流値Ir2を測定
する。これが第2の測定である。
【0075】制御手段10は、測定値Ir1,Ir2および予
め測定された帯電抵抗Rrから、作画時に最適な印加電
圧の絶対値Vin_optを決定する。そして、絶対値がVin
_optに最も近く、極性が作画工程における感光体1の最
適表面電位Vo_optと同じ電圧になるように電源4を制
御する。現像位置での感光体1の表面電位Voが目標電
位になった時刻から現像が可能で、作画工程は開始す
る。作画工程に入り、制御手段10は転写電源37を制御し
て転写電圧を+2μAとし、紙34への転写を行う。
【0076】作画時の印加電圧Vin_optの決定方法を図
7で説明する。図7は制御手段10の動作をフローチャー
トで示したものであり、次の手順で最適印加電圧を決定
する。
【0077】(a) 感光体が回転を開始した後、作画工程
に先立ち帯電ローラ2にVin1を印加する。
【0078】(b) 印加電圧Vin1に対応し、電源4から
帯電ローラ2に流れる電流Ir1を電流測定手段11が測定
し、測定された電流値を制御手段10が入力し記憶する。
【0079】(c) 電源4を制御し、帯電ローラ2に対す
る印加電圧をVin2にする。
【0080】(d) 印加電圧Vin2に対応し、電源4から
帯電ローラ2に流れる電流Ir2を電流測定手段11が測定
し、測定された電流値を制御手段10が入力し記憶する。
【0081】(e) 入力された測定電流から、感光体1の
帯電係数kと帯電抵抗Rrの和k+Rrを(式11)で推定す
る。
【0082】 k+Rr=|Vin1−Vin2|/|Ir1−Ir2| ……………… (11) (f) 予め求められた帯電抵抗Rrと感光体1の目標電位
Vo_optから最適な帯電電流の絶対値Ir_optを(式12)で
求める。
【0083】 Ir_opt=|Vo_opt|/k =|Vo_opt|/{|Vin1−Vin2|/|Ir1−Ir2|−Rr} …… (12) (g) 作画時の最適印加電圧の絶対値Vin_optは、 Vin_opt=(k+Rr)×|Ir_opt−Ir1|+|Vin1| …… (13) または、 Vin_opt=(k+Rr)×|Ir_opt−Ir2|+|Vin2| …… (14) で求める。
【0084】以上の手順に基づき、印加電圧Vin1=−9
00V、Vin2=−1100Vにおける実測値を示す。除電光
3を点灯させながら新品の感光体(感光体の膜厚26μm)
を帯電するときに流れる電流値を実測すると、それぞれ
Vin1に対してはIr1=2.6μA、Vin2に対してはIr2=
4.4μAであった。k+Rrは電位の単位をV、電流の単
位をμAとすると、(式11)から、111.1(V/μA)であっ
た。他方、予め測定された帯電抵抗Rrは9.1MΩであ
り、したがって帯電係数kの値はk=102.1(V/μA)で
あった。
【0085】感光体1の作画時の目標電位を−450Vと
すると、最適な電流値は(式12)から4.4μA、最適な印加
電圧の絶対値は(式13)から1101Vであった。電源4の出
力電圧は5Vステップなので、絶対値が1101Vに最も近
く、かつ極性が作画工程における感光体1の最適表面電
位Vo_optと同じ電圧−1100Vを実際に帯電ローラ2に
印加して検証を行った。その結果、感光体1の表面電位
は−440Vで、目標値に近い値が得られた。
【0086】次に10万枚ランニングした後に膜厚が18μ
mとなった感光体を、同じく印加電圧Vin1=−900Vと
Vin2=−1100Vで帯電したときの実測値を示す。除電
光3を点灯させながら帯電するときに流れる電流値を実
測すると、それぞれIr1=4.4μA、Ir2=6.9μAであっ
た。膜厚18μmのときの帯電係数をk′とすると、k′
+Rrは(式11)から80.0(V/μA)となった。帯電抵抗R
rは9.1MΩなので、帯電係数k′=71.0(V/μA)であ
った。
【0087】感光体1の目標電位を−450Vとすると、
帯電ローラ2に対する最適な電流値は(式12)から6.3μ
A、また帯電ローラ2に対する最適な印加電圧の絶対値
は1055Vであった。実際に極性を作画工程における感光
体の最適表面電位と同じ電圧−1055Vを帯電ローラ2に
印加すると感光体の表面電位は−438Vとなり、目標電
位と近い値が得られた。
【0088】以上のように本参考例によれば、感光体の
膜厚の変化に影響されずに感光体表面電位を目標値に設
定することができた。
【0089】(比較例1) 比較として、第1参考例で帯電抵抗Rrを考慮しない場
合を試みた。この場合、Rr=0とみなし、(式11)のk
+Rrのところをkとおく。新品の感光体(感光体の膜厚
26μm)の場合、電位の単位をV、電流の単位をμAとす
ると、Rr=0の仮定より、(k+Rr)=k=111.1(V/
μA)であった。印加電圧Vin1=−900V、帯電電流Ir1
=2.6μAを(式4)に代入すると、目標電位−450Vに対
する最適な印加電圧の絶対値は、Vin_opt″=1061Vと
算出された。ところが実際に、−1061Vを帯電ローラ2
に印加したときの感光体1の表面電位は−403Vとな
り、目標値−450Vから47Vずれた。
【0090】次に10万枚ランニングした後で感光体の膜
厚が18μmとなった感光体を帯電する場合、k=80.0、
Vin1=−900V、Ir1=4.4μAを(式4)に代入すると、
目標電位−450Vに対する最適な印加電圧の絶対値は、
Vin_opt″=996Vであった。ところが実際に、−996V
を帯電ローラ2に印加したときの感光体1の表面電位は
−387Vとなり、目標値−450Vから63Vずれた。
【0091】いずれの場合も目標電位からのズレ量が大
きく、実用化できなかった。
【0092】(第2参考例) 感光体の膜厚が減少しない場合は、電流値の測定は1回
でよい。ここで、感光体の膜厚が減少しない場合とは、
硬度の高い感光体膜を使う場合、または感光体の表面に
硬度の高いコーティングを施す場合、または感光体の寿
命が短く、膜厚の減少を生じる前に感光体を交換するこ
とが仕様上決定している場合などである。
【0093】非露光時の感光体は誘電体と見なせるの
で、表面電位0Vの感光体をVoに帯電するとき、図4
に示すように感光体に流れる電流Irは帯電電位Voに比
例する。図4は感光体の帯電特性を示す図であり、横軸
は感光体に流れ込む電流の絶対値、縦軸は感光体の帯電
電位の絶対値である。直線の傾きkは電流Irと帯電電
位Voの比例係数である。以下、比例係数kを帯電係数
と呼ぶ。初期の表面電位0Vの感光体を帯電する場合、
帯電電流Irをk倍すると帯電電位Voとなる。帯電係数
kを求める実験を図5を参照しながら説明する。
【0094】図5は帯電試験機で、本参考例では感光体
1の帯電係数kの測定に使う。1は感光体、2は帯電ロ
ーラ、3は除電光、4は定電圧電源、11は電流測定手
段、41は表面電位測定プローブ、42は表面電位計であ
る。表面電位計42は表面電位測定プローブ41が測定した
感光体1表面の電位を表示する。
【0095】帯電ローラ2と感光体1との間の帯電開始
電圧をVthとすると、電源4が、絶対値がVth以上で極
性が作画工程における感光体1の最適表面電位と同じ電
圧Vt3を帯電ローラ2に印加する。このとき、電源4か
ら帯電ローラ2に流れる電流を電流測定手段11で測定す
る。感光体1の係数kは次の手順で求められる。
【0096】(A) 感光体1を矢印の方向に周速vpで回
転させながら除電光3を点灯し、帯電前の感光体1の表
面電位を0Vにする。その後、除電光3を点灯した状態
で、帯電ローラ2に帯電開始電圧Vth以上の電圧Vt3を
印加し、少なくとも感光体1が3周以上回転した後に、
帯電ローラ2に流れる電流Ir_t3、および感光体1の表
面電位Vo_t3を測定する。
【0097】(B) 感光体1の帯電係数kは、(式15)で求
められる。
【0098】 k=|Vo_t3/Ir_t3| ……………………………………… (15) ただし、| |は絶対値記号 実測では、帯電ローラ2にVt3=−1100Vを印加したと
きの帯電電流Ir_t1は4.4μA、このときの感光体1の表
面電位Vo_t3は−436Vであったので、感光体1の帯電
係数kは、k=99.1(V/μA)と求められた。
【0099】また第1参考例と同様に、本参考例におい
ては、作画時の電位制御に先立ち帯電抵抗Rrを予め測
定する。測定の方法は第1参考例と同じなので、ここで
は省略する。第1参考例と同じ帯電ローラを使うので、
帯電抵抗Rrは第1参考例と同様に9.1MΩである。
【0100】本参考例では、上記のようにして求めたk
とRrを用いて、以下の手順で帯電部材への印加電圧を
決定する。本参考例の画像形成装置の構成としては第1
参考例と同様、図1に示した構成のものが使用できる。
第1参考例と異なるのは制御手段10の作用である。
【0101】制御手段10の作用について図8を参照しな
がら説明する。図8は作画工程に先立ち行われる帯電電
流の測定を示したタイミングチャートである。横軸矢印
方向に時間が経過する。また、上から感光体の回転、帯
電ローラ2への印加電圧Vin、除電光3の点灯(on)また
は消灯(off)、帯電ローラ2に流れる帯電電流の絶対値
Ir、転写電源37が転写ローラ32に印加する電流、現像
器31による現像位置での感光体1の表面電位Voをそれ
ぞれ示している。そのまま表示すると煩雑なので、図8
の感光体表面電位Voは、移動する感光体1上の1点が
帯電ローラ2の帯電領域から現像器31の現像領域まで移
動するのに要する時間Trdだけ進めて示した。また、帯
電ローラ2が1回転するのに要する時間をTr、感光体
1が1回転するのに要する時間をTpとする。時間Tr,
Tpは、帯電ローラ2の直径,感光体1の直径および周
速vpから予め求められる。
【0102】図8において、作画工程に先立ち感光体1
が回転を開始する前から、転写電源37をフロート状態と
し、転写ローラ32が感光体1を帯電しない状態にする。
感光体1の回転が十分安定するだけの時間を経過した
後、時刻T1に帯電ローラ2へ電圧Vin1を印加する。こ
のとき流れる電流のうち、Vin1が印加された時刻T1か
ら帯電ローラ2が1周するまでの間(時刻T1+Tr)は電
流値が不安定なので無視し、帯電ローラ2が1周以上回
転した後の電流値Ir1を測定する。
【0103】制御手段10は、測定値Ir1および予め測定
された帯電抵抗Rrから作画時の最適な印加電圧の絶対
値Vin_optを決定する。次に、絶対値がVin_optに最も
近く、極性が作画工程における感光体1の最適表面電位
と同じ電圧になるように電源4を制御する。現像位置で
の感光体1の表面電位Voが目標電位になった時刻から
作画工程は開始する。作画工程に入り、制御手段10は転
写電源37を制御して転写電圧を+2μAとし、紙34への
転写を行う。
【0104】作画時の印加電圧Vin_optの決定方法を図
9で説明する。図9は制御手段10の動作を示したフロー
チャートで、次の手順で作画時の印加電圧を決定する。
【0105】(a) 感光体が回転した後、作画工程に先立
ち電源4を制御し、帯電ローラ2にVin1を印加する。
【0106】(b) 印加電圧Vin1に対応して電源4から
帯電ローラ2に流れる電流Ir1を電流測定手段11が測定
し、測定された電流値を制御手段10が入力する。
【0107】(c) 印加電圧Vin1と入力された測定電流
Ir1および予め測定された感光体1の帯電係数kから感
光体1を目標電位Vo_optにするための最適電流の絶対
値Ir_optを(式16)で推定する。
【0108】 Ir_opt=|Vo_opt|/k …………………………………… (16) (d) 予め求められた帯電抵抗Rrから最適な印加電圧の
絶対値Vin_optを、 Vin_opt=(k+Rr)×(Ir_opt−Ir1)+|Vin1| ……… (17) で求める。
【0109】以上の手順に基づき、除電光3を点灯させ
ながら、印加電圧Vin1=−900Vで新品の感光体(感光
体の膜厚26μm)を帯電するときに流れる電流値を実測す
ると、Ir1=2.6μAであった。一方、予め求めた帯電抵
抗はRr=9.1MΩ、帯電係数はk=99.1(V/μA)であ
った。感光体1の作画時の目標電位を−450Vとする
と、最適な電流値Ir_optを(式16)から4.5μA、最適な
印加電圧の絶対値Vin_optは(式17)から1106Vであっ
た。
【0110】電源4の出力電圧は5Vステップなので、
絶対値が1106Vに最も近く極性が感光体の光導電性と同
じ電圧−1105Vを実際に帯電ローラ2に印加すると、感
光体1の表面電位は−445Vとなり目標値に近い値が得
られた。
【0111】以上のように本参考例によれば、感光体の
表面電位を目標値に設定できた。
【0112】(比較例2) 比較として、第2参考例で帯電抵抗Rrを考慮しない場
合を試みる。新品の感光体(感光体の膜厚26μm)を帯電
するとき、(式4)から印加電圧Vin1=−900V、帯電電
流Ir1=2.6μA、感光体目標電位−450Vに対する最適
な印加電圧の絶対値Vin_opt″=1092Vとなった。とこ
ろが実際にVin=−1092Vを帯電ローラ2に印加する
と、感光体1の表面電位は−430Vとなった。目標値か
ら20Vズレた値で、制御後の精度は本参考例より劣っ
た。
【0113】また、帯電部材の抵抗値が雰囲気環境や経
時変化によって変わる場合は、帯電抵抗Rrを一定と仮
定できない。したがって、作画時の帯電抵抗Rrを逐次
求める必要がある。実際に吸湿性の高いウレタンの帯電
ローラの場合、高湿度環境下では抵抗値が著しく低下す
る傾向が見られる。
【0114】以下、本発明の第1の実施例の帯電装置に
ついて、図面を参照しながら説明する。帯電部材として
図2の帯電ローラを、また感光体は図3に示す構成のも
のをそれぞれ用いる。図10は本発明の第1の実施例の画
像形成装置の概略構成を示したものである。なお、図1
と同一名称のものには同一符号を付してある。本実施例
の画像形成装置も、感光体上に作像した後、紙に転写す
る電子写真方式である。
【0115】図10において、1は感光体で、図示しない
駆動モータにより矢印方向に周速vp=33mm/秒で回転
される。2は感光体に接触させた帯電部材としての帯電
ローラで、感光体1との摩擦力によって回転する。35は
像書き込み手段としてのレーザ光源で、出射されたレー
ザ光はミラー36で反射されたのち感光体1表面に照射さ
れ、感光体1上に潜像を作る。31は現像器で、感光体1
上の潜像をトナーにより顕像化する。32は転写手段とし
ての転写ローラ、37は転写電源で、転写ローラ32に対し
て+2μAを印加するか、または電気的フロート状態に
するかを選択できる機能を備えている。転写ローラ32は
紙34に感光体1上のトナーを転写するが、転写時には+
2μAが転写電源37から転写ローラ32に印加される。33
はクリーニング・ブレードで感光体1上に残留している
トナーを掻き落とす。3は除電手段としての除電光、5
は除電光3の除電電源で制御手段10からの指令により除
電光3の点灯と消灯を制御する機能を備えている。除電
光3は点灯時に感光体1を照射し、表面電位を0Vにす
る。
【0116】4は電源で、2種類以上の値の異なる直流
電圧を選択的に帯電ローラ2に印加する。本実施例では
Vin1=−900VとVin2=−1100Vの2種類の直流電圧
を制御手段10からの指令により選択的に帯電ローラ2に
印加する機能を有し、さらに作画時には−800Vから−1
300Vの範囲の電圧を5Vステップで選択し、帯電ロー
ラ2に印加する。
【0117】11は電流測定手段で、電源4から帯電ロー
ラ2に流れる電流を測定する。制御手段10は、電流測定
手段11が測定した電流値を入力する機能と、入力した値
を記憶する機能と、入力および記憶された値に演算を加
える機能と、電源4および除電電源5および転写電源37
を制御する機能を備えている。
【0118】制御手段10の動作について、図11を参照し
ながら説明する。図11は制御手段の動作をタイミングチ
ャートで示したものであり、横軸矢印方向に時間が経過
する。また、上から感光体の回転、帯電ローラ2への印
加電圧Vin、除電光3の点灯(on)または消灯(off)、帯
電ローラ2に流れる帯電電流の絶対値Ir、転写電源37
が転写ローラ32に印加する電流、現像器31による現像位
置での感光体1の表面電位Voをそれぞれ示している。
そのまま表示すると煩雑なので、図11の感光体表面電位
Voは、移動する感光体1上の1点が帯電ローラ2の帯
電領域から現像機31の現像領域まで移動するのに要する
時間Trdだけ進めて示した。また、帯電ローラ2が1回
転するのに要する時間をTr、感光体1が1回転するの
に要する時間をTpとする。時間Tr,Tpは、帯電ロー
ラ2の直径,感光体1の直径および周速vpから予め求
められる。
【0119】図11において、作画工程に先立ち感光体1
が回転を開始する前から、転写電源37をフロート状態と
し、転写ローラ32が感光体1を帯電しない状態にする。
感光体1の回転が十分安定するだけの時間を経過した
後、時刻T1に帯電ローラ2へ電圧Vin1を印加する。V
in1が印加された時刻T1から帯電ローラ2が1周するま
での間(時刻T1+Tr)は電流値が不安定なので無視し、
帯電ローラ2が1周以上した後の電流値Ir1を測定す
る。これが第1の測定である。
【0120】Ir1の測定の後、電源4の印加電圧をVin
2に変える。Vin2が印加された直後から帯電ローラ2が
1周するまでの間(時間Tr)に帯電ローラ2に流れる電
流は不安定なので無視し、帯電ローラ2が1周以上した
後の電流値Ir2を測定する。これが第2の測定である。
【0121】次に、Ir2の測定終了時刻をT2とし、ま
た、移動する感光体1上の1点が除電光3の作用領域か
ら帯電ローラ2の帯電領域まで移動するのに要する時間
をTjrとすると、時刻(T2−Tjr)以降に除電光3を消
灯する。
【0122】本実施例では、Ir2の測定の後、電源4の
印加電圧はVin2のまま、除電光3を消灯する。除電光
3の消灯後、除電されていた感光体面と除電されていな
い感光体面との境界が前記帯電部材に接触した時刻をT
3とする。時刻T3は感光体1の周速vpと除電光3と帯
電ローラ2の位置関係から予め求められる。時刻T3か
ら(T3+Tp)までの間に前記帯電部材に流れる電流Ir3
を測定する。
【0123】制御手段10は、測定値Ir1、Ir2およびI
r3から帯電抵抗Rrを求め、作画時の最適な印加電圧の
絶対値Vin_optを決定する。次に、絶対値がVin_optに
最も近く、極性が作画工程における感光体1の最適表面
電位と同じ電圧になるように電源4を制御する。現像位
置での感光体1の表面電位Voが目標電位になった時刻
から作画工程は開始する。作画工程に入り、制御手段10
は転写電源37を制御して転写電圧を+2μAとし、紙34
への転写を行う。
【0124】作画時の印加電圧Vin_optの決定方法を図
12で説明する。図12は制御手段10の動作手順を示したフ
ローチャートで、次の動作を行う。
【0125】(a) 感光体1が回転を開始した後、作画工
程に先立ち電源4を制御し帯電ローラ2にVin1を印加
する。また除電光3を点灯する。
【0126】(b) 印加電圧Vin1に対応して電源4から
帯電ローラ2に流れる電流Ir1を電流測定手段11が測定
し、測定された電流値を制御手段10が入力し記憶する。
【0127】(c) 電源4を制御し帯電ローラ2に対する
印加電圧をVin2にする。
【0128】(d) 印加電圧Vin2に対応して電源4から
帯電ローラ2に流れる電流Ir2を電流測定手段11が測定
し、測定された電流値を制御手段10が入力し記憶する。
【0129】(e) 印加電圧はVin2のままで除電光3を
消灯する。
【0130】(f) 時刻T3から時刻T3+Tpまでの間に
前記帯電部材に流れる電流Ir3を電流測定手段11が測定
し、制御手段10が入力し記憶する。
【0131】(g) 帯電抵抗Rrは次の手順で求められ
る。
【0132】まず、帯電抵抗Rrの導出方法を図5を参
照しながら説明する。図5は帯電試験機で、本実施例で
は、帯電抵抗Rrの導出方法を導くために用いた。ま
ず、感光体1を周速vpで回転する。帯電ローラ2に電
圧を印加しない状態のまま除電光3を点灯し、感光体1
の1周すべての表面電位を0Vにする。次に、除電光3
を消灯する。帯電ローラ2に絶対値が帯電ローラ2と感
光体1の帯電開始電圧Vth以上で、極性が作画工程にお
ける感光体1の最適表面電位の極性と同じ電圧Vinを印
加する。感光体1の表面電位の絶対値は、帯電開始から
感光体1の回転1周ごとにステップ状に上昇し、漸近的
に飽和電位|Vin|−Vth値に近づく。感光体1の表面
電位を表面電位測定プローブ41で測定する。
【0133】帯電ローラ2と表面電位測定プローブ41ま
での感光体上の距離を感光体1の周速vpで割った時間
をTrp、また感光体1が1回転するのに要する時間をT
pとする。帯電開始時刻Tstから時間Trp経過した時刻
(Tst+Trp)に表面電位測定プローブ41は、感光体1の
帯電後の表面電位の測定を開始する。
【0134】表面電位プローブ41の測定電圧Vo(1),V
o(2)およびVo(3)を以下のように定義する。時刻(Tst
+Trp)から時刻(Tst+Trp+Tp)の間、すなわち帯電
開始から感光体1が1周するまでの間の感光体1の表面
電位の絶対値をVo(1)、時刻(Tst+Trp+Tp)から時
刻(Tst+Trp+2・Tp)の間、すなわち帯電開始から
感光体1の回転が1周以上2周未満までの間の感光体1
の表面電位の絶対値をVo(2)、一般的に時刻(Tst+Tr
p+n・Tp)から時刻(Tst+Trp+(n+1)・Tp)の
間、すなわち帯電開始から感光体1がn周以上(n+1)
周未満回転するまでの間の感光体1の表面電位の絶対値
をVo(n)とする。
【0135】また、電流測定手段11が測定する電流Ir
(1),Ir(2)およびIr(n)を以下のように定義する。時
刻Tstから時刻(Tst+Tp)の間、すなわち帯電開始か
ら感光体1が1周するまでの間に帯電ローラ2に流れる
電流の絶対値をIr(1)、時刻(Tst+Tp)から時刻(Tst
+2・Tp)の間、すなわち帯電開始から感光体1の回転
が1周以上2周未満までの間に帯電ローラ2に流れる電
流の絶対値をIr(2)、一般的に時刻(Tst+n・Tp)か
ら時刻(Tst+(n+1)・Tp)の間、すなわち帯電開始
から感光体1がn周以上(n+1)周未満回転するまでの
間に帯電ローラ2に流れる電流の絶対値をIr(n)とす
る。また、感光体1の帯電係数をk、帯電ローラ2と感
光体1との間の帯電開始電圧をVth、||を絶対値記号
とすると、次の3つの方程式が成り立つ。
【0136】 Vo(n)=|Vin|−Vth−Rr×Ir(n) ……………………… (18) Vo(n)−Vo(n-1)=k×Ir(n) ……………………………… (19) Vo(0)=0 …………………………………………………… (20) これらをIr(n)について解くと、 Ir(n)=(Rr)n-1/(k+Rr)n×(|Vin|−Vth) ………… (21) また、Rrについて解くと、 Rr=(|Vin|−Vth)×Ir(2)/(Ir(1))2 ……………… (22) (式22)は図5の帯電試験機において求められる帯電抵抗
Rrである。
【0137】これを、本実施例の画像形成装置に当ては
める。電流Ir(1)は、帯電電流Ir2に一致し、電流Ir
(2)は、帯電電流Ir3と一致する。また、印加電圧Vin
は、Vin2であった。したがって、画像形成装置におけ
る帯電抵抗Rrは(式23)で求められる。
【0138】 Rr=(|Vin2|−Vth)×Ir3/(Ir2)2 …………………… (23) ここに帯電開始電圧Vthは(式24) Vth=|Ir1×Vin2−Ir2×Vin1|/|Ir1−Ir2| … (24) で求められる値を使う。
【0139】(h) 入力された測定電流Ir1,Ir2から、
感光体1の帯電係数kと帯電抵抗Rrの和を(式25)で推
定する。
【0140】 k+Rr=|Vin1−Vin2|/|Ir1−Ir2| ……………… (25) 上記(g)で求められた帯電抵抗Rrと感光体1の目標電位
Vo_optから最適な帯電電流Ir_optを(式26)で求める。
【0141】 Ir_opt=Vo_opt/k =Vo_opt/{|Vin1−Vin2|/|Ir1−Ir2|−Rr} …… (26) (i) 帯電ローラ2に対する、作画時の最適な印加電圧の
絶対値Vin_optは、 Vin_opt=(k+Rr)×(Ir_opt−Ir1)+|Vin1| ……… (27) または、 Vin_opt=(k+Rr)×(Ir_opt−Ir2)+|Vin2| ……… (28) で求める。
【0142】以上の手順に基づき、新品の感光体(表面
の膜厚26μm)を図5に示した帯電試験機に組み込み、室
温20℃湿度50%の環境下に3日間放置した後、印加電圧
Vin1=−900V、Vin2=−1100Vで除電光3を点灯さ
せながら帯電するとき、流れる電流値は、それぞれIr1
=2.6μA、Ir2=4.4μAであった。(式25)から電位の単
位をV、電流の単位をμAとすると、k+Rrの値は111.
1(V/μA)、(式24)からVth=611Vと求められた。
【0143】次に印加電圧Vin2=−1100Vにしたま
ま、除電光3を消灯し、上記(f)の手順で求められるIr
3の値は、0.4μAであった。(式23)から帯電抵抗Rrは、
Rr=10.1MΩと求められた。故に感光体1の帯電係数
kは101.0(V/μA)であった。感光体の目標電位を−45
0Vとすると、(式26)から最適帯電電流Ir_optは4.5μA
であった。(式27)から、感光体の電位を−450Vとする
ための最適印加電圧の絶対値Vin_optは1111Vと求めら
れた。
【0144】検証のため、5Vステップの電源4で絶対
値が最も1111Vに近く、かつ感光体1が光導電性を示す
極性と同じ極性の電圧−1110Vを帯電ローラ2に印加す
ると、感光体1の表面電位は−447Vと目標電位に近い
値となった。
【0145】次に10万枚ランニングした後で感光体の膜
厚が18μmとなった感光体を図5に示した帯電試験機に
組み込み、室温20℃湿度50%の環境下に3日間放置した
後、印加電圧Vin1=−900V、Vin2=−1100Vで除電
光3を点灯させながら帯電するときに流れる電流値を実
測すると、それぞれIr1=4.4μA、Ir2=6.9μAであっ
た。(式25)から電位の単位をV、電流の単位をμAとす
ると、k+Rrの値は80.0(V/μA)、(式24)からVth=
548Vと求められた。
【0146】次に印加電圧Vin2=−1100Vにしたま
ま、除電光3を消灯し、上記(f)の手順で求められるIr
3の値は0.8μAであった。(式23)から帯電抵抗Rrは、R
r=9.3MΩと求められた。故に感光体1の帯電係数kは
70.7(V/μA)であった。感光体の目標電位を−450Vと
すると、(式26)から最適帯電電流Ir_optは6.4μAであ
った。(式27)から、感光体の電位を−450Vとするため
の最適印加電圧の絶対値Vin_optは1058Vと求められ
た。
【0147】検証のため、5Vステップの電源4でVin
_optに最も絶対値の近く、かつ感光体が光導電性を示す
極性と同じ極性の電圧−1060Vを帯電ローラ2に印加す
ると感光体1の表面電位は−442Vと目標電位に近い値
となった。
【0148】さらに、新品の感光体(表面の膜厚26μm)
を図5に示した帯電試験機に組み込み、室温33℃湿度80
%の環境下に3日間放置した後、印加電圧Vin1=−900
V、Vin2=−1100Vで除電光3を点灯させながら帯電
するときに流れる電流値を実測すると、それぞれIr1=
2.8μA、Ir2=4.8μAであった。(式25)から電位の単位
をV、電流の単位をμAとすると、k+Rrの値は100.0
(V/μA)、(式24)からVth=620Vと求められた。
【0149】次に印加電圧Vin2=−1100Vにしたま
ま、除電光3を消灯し、上記(f)の手順で求められるIr
3の値は、0.1μAであった。(式23)から帯電抵抗Rrは、
Rr=2.1MΩと求められる。故に感光体1の帯電係数k
は97.9(V/μA)であった。感光体の目標電位を−450V
とすると、(式26)から最適帯電電流Ir_optは4.6μAで
あった。(式27)から、感光体の電位を−450Vとするた
めの最適印加電圧の絶対値Vin_optは1080Vと求められ
た。
【0150】検証のため、5Vステップの電源4で最も
絶対値がVin_optに近い−1080Vを帯電ローラ2に印加
すると、感光体1の表面電位は−451Vと目標電位に近
い値となった。
【0151】以上のように本実施例によれば、感光体の
表面膜厚の変化および帯電部材の抵抗値の変化に影響さ
れずに感光体表面電位を目標値にすることができる。
【0152】(比較例3) 第1の実施例で、帯電抵抗Rrを考慮しない場合を試み
た。この場合、Rr=0と仮定するので、(式4)のkの
代わりに、(k+Rr)を誤って採用した。ここで、k″
=(k+Rr)とおく。
【0153】新品の感光体(表面の膜厚26μm)を室温20
℃湿度50%の環境下に3日間放置した場合、k″=111.
1、印加電圧Vin1=−900V、帯電電流Ir1=2.6μAを
(式4)に代入すると、最適印加電圧の絶対値Vin_opt″
=1061Vであった。ところが実際に−1061Vを帯電ロー
ラ2に印加すると、感光体1の表面電位は−404Vとな
った。目標値と46Vのずれがあるので実用化できなかっ
た。
【0154】次に10万枚ランニングした後で感光体の膜
厚が18μmとなった感光体を室温20℃湿度50%の環境下
に3日間放置した場合、k″=90.0,印加電圧Vin1=
−900V、帯電電流Ir1=4.4μAを(式4)に代入する
と、最適印加電圧の絶対値Vin_opt″=998Vであっ
た。ところが実際に−998Vを帯電ローラ2に印加する
と、感光体1の表面電位は−387Vとなった。目標値と6
3Vのずれがあるので実用化できなかった。
【0155】さらに、新品の感光体(表面の膜厚26μm)
を室温33℃湿度80%の環境下に3日間放置した場合、
k″=100.0,印加電圧Vin1=−900V、帯電電流Ir1
=2.8μAを(式4)に代入すると、最適印加電圧の絶対値
Vin_opt″=1070Vであった。ところが実際に−1070V
を帯電ローラ2に印加すると、感光体1の表面電位は−
440Vとなった。目標値からの誤差は第1の実施例より
大きかった。
【0156】(第2の実施例) 感光体の膜厚が減少しない場合、電流値の測定は2回で
ある。感光体の膜厚が減少しない場合とは、硬度の高い
感光体膜を使う場合、または感光体の表面に硬度の高い
コーティングを施す場合、または感光体の寿命が短く、
膜厚の減少を生じる前に感光体を交換することが仕様上
決められている場合などである。
【0157】本実施例では、感光体1の帯電係数kを予
め求める。帯電係数kを求める方法は第2参考例と同じ
であるので省略する。実測では、第2参考例と同じく、
感光体1の帯電係数kは、k=99.1(V/μA)であっ
た。
【0158】第2の実施例の画像形成装置の構成として
は第1の実施例と同様に図10の構成である。第1の実施
例と異なるのは制御手段10の作用である。制御手段10の
作用を図13を参照しながら説明する。図13は作画工程に
先立ち行われる電流値の測定を示したタイミングチャー
トである。横軸矢印方向に時間が経過する。
【0159】図13において、上から感光体1の回転、帯
電ローラ2への印加電圧Vin、除電光3の点灯(on)また
は消灯(off)、帯電ローラ2に流れる帯電電流の絶対値
Ir、転写電源37が転写ローラ32に印加する電流、現像
器31による現像位置での感光体1の表面電位Voをそれ
ぞれ示している。そのまま表示すると煩雑なので、図13
の感光体表面電位Voは、移動する感光体1上の1点が
帯電ローラ2の帯電領域から現像器31の現像領域まで移
動するのに要する時間Trdだけ進めて示した。また帯電
ローラ2が1回転するのに要する時間をTr、感光体1
が1回転するのに要する時間をTpとする。時間Tr,T
pは、帯電ローラ2の直径,感光体1の直径および周速
vpから予め求められる。
【0160】図13において、作画工程に先立ち感光体1
が回転を開始する前から転写電源37をフロート状態と
し、転写ローラ32が感光体1を帯電しない状態にする。
感光体1の回転が十分安定する時間を経過した後、時刻
T2に帯電ローラ2へ電圧Vin1を印加する。Vin1が印
加された時刻T1から帯電ローラ2が1周するまでの間
(時刻T1+Tr)は電流値が不安定なので無視する。Vin
1印加後、帯電ローラ2が1周以上した後の電流Ir1を
測定する。これが第1の測定である。
【0161】次に、Ir2の測定終了時刻をT2とし、ま
た、移動する感光体1上の1点が除電光3の作用領域か
ら帯電ローラ2の帯電領域まで移動するのに要する時間
をTjrとすると、時刻(T2−Tjr)以降に除電光3を消
灯する。
【0162】本実施例では、Ir1の測定終了前かつ時刻
(T2−Tjr)以降に、電源4の印加電圧はVin1のまま
で、除電光3を消灯する。除電光3の消灯後、除電され
ていた感光体面と除電されていない感光体面との境界が
前記帯電部材に接触した時刻をT3とする。時間T3は、
感光体1の周速vp、および除電光3と帯電ローラ2の
位置関係から予め求められる。
【0163】時刻T3から(T3+Tp)までの間に前記帯
電部材に流れる電流Ir3を測定する。これが第2の測定
である。
【0164】制御手段10は、これらの測定値Ir1および
Ir3から帯電抵抗Rrを求め、作画時の最適な印加電圧
の絶対値Vin_optを決定する。次に、絶対値がVin_opt
に最も近く、極性が作画工程における感光体1の最適表
面電位と同じ電圧になるように電源4を制御する。現像
位置での感光体1の表面電位Voが目標電位になった時
刻から作画工程は開始する。作画工程に入り、制御手段
10は転写電源37を制御して転写電圧を+2μAとし、紙3
4への転写を行う。
【0165】作画時の印加電圧Vin_optの決定方法を図
14で説明する。図14は制御手段10の動作手順を示したフ
ローチャートで、次の動作を行う。
【0166】(a) 感光体が回転を開始した後、作画工程
に先立ち電源4を制御し、帯電ローラ2にVin1を印加
する。
【0167】(b) 印加電圧Vin1に対して電源4から帯
電ローラ2に流れる電流Ir1を電流測定手段11が測定
し、測定された電流値を制御手段10が入力し記憶する。
【0168】(c) 印加電圧はVin1のままで除電光3を
消灯する。
【0169】(d) 時刻T3から(T3+Tp)までの間に前
記帯電部材に流れる電流Ir3を電流測定手段11が測定
し、制御手段10が入力し記憶する。
【0170】(e) 帯電抵抗Rrは第1の実施例と同様に
次の手順で求められる。RrとVthについて次の2つの
関係が成り立つ。
【0171】 Rr=(|Vin1|−Vth)×Ir3/(Ir1)2 …………………… (29) ここに帯電開始電圧Vthは(式30)で求められる値を使
う。
【0172】 Vth=|Vin1|−(k+Rr)×Ir1 ………………………… (30) これら2つの連立方程式をRrとVthについて解いて、
帯電抵抗Rrを求める。
【0173】(f) 予め与えられた感光体1の帯電係数k
と感光体1の作画時の目標電位Vo_optから最適な帯電
電流Ir_optを(式31)で求める。
【0174】 Ir_opt=Vo_opt/k ………………………………………… (31) (g) 絶対値が(式32)のVin_optに最も近く、電圧極性が
作画工程における感光体1の最適表面電位の極性と同じ
印加電圧になるよう、 Vin_opt=(k+Rr)×(Ir_opt−Ir1)+|Vin1| ……… (32) 電源4を制御する。
【0175】以上の手順に基づき、新品の感光体(表面
の膜厚26μm)を図5に示した帯電試験機に組み込み、室
温20℃湿度50%の環境下に3日間放置した。印加電圧V
in1=−1100Vで除電光3を点灯させながら帯電すると
きに流れる電流値は、Ir1=4.4μAであった。次に印加
電圧は−1100Vのままで除電光3を消灯し、上記の手順
(d)で求められるIr3の値は0.4μAであった。
【0176】(式29)および(式30)の連立方程式、および
予め求められた感光体1の帯電係数k=99.1(V/μA)
から帯電抵抗Rrと帯電開始電圧Vthを求めると、Rr=
10.1MΩ、Vth=630Vであった。感光体の目標電位を
−450Vとすると、(式31)から最適な帯電電流の絶対値
Ir_optは4.5μAであった。(式32)から、感光体の電位
を−450Vとするための最適印加電圧の絶対値Vin_opt
は1111Vと求められた。
【0177】検証のため、5Vステップの電源4で最も
絶対値がVin_optに近く、感光体の光導電性と同じ極性
の電圧−1110Vを帯電ローラ2に印加すると、感光体1
の表面電位は−447Vと目標電位に近い値となった。
【0178】更に、新品の感光体(表面の膜厚26μm)を
図5に示した帯電試験機に組み込み、室温33℃湿度80%
の環境下に3日間放置した。印加電圧Vin1=−1100V
で除電光3を点灯させながら帯電するときに流れる電流
値は、Ir1=4.4μAであった。次に印加電圧は−1100V
のままで除電光3を消灯し、上記の手順(d)で求められ
るIr3の値は0.1μAであった。
【0179】(式29)および(式30)の連立方程式、および
予め求められた感光体1の帯電係数k=99.1(V/μA)
から帯電抵抗Rrと帯電開始電圧Vthを求めると、Rr=
2.3MΩ、Vth=654Vであった。感光体の目標電位を−
450Vとすると、(式31)から最適な帯電電流の絶対値Ir
_optは4.5μAであった。(式32)から、感光体の電位を−
450Vとするための最適印加電圧の絶対値Vin_optは111
0Vと求められた。
【0180】検証のため、5Vステップの電源4で最も
絶対値がVin_optに近い−1110Vを帯電ローラ2に印加
すると、感光体1の表面電位は−447Vと目標電位に近
い値となった。
【0181】以上のように本実施例によれば、帯電部材
の抵抗値の変化に影響されずに感光体表面電位を目標値
に設定することができる。
【0182】(比較例4) 第2の実施例で、帯電部材である帯電ローラの抵抗値の
変化を考慮しなければ、制御後の感光体の表面電位は、
雰囲気環境の温度と湿度の違いにより、最大(9.1MΩ−
2.3MΩ)×4.5μA=30Vの誤差を生じた。
【0183】(第3の実施例) 第1から第2までの実施例は電流のリークがない場合に
有効であるが、帯電部材を保持する部材やコーティング
の材料、または高湿度雰囲気環境における結露などによ
り帯電部材に流れる電流にリークが発生する場合があ
る。この場合、リーク分を考慮して印加電圧を決定す
る。
【0184】以下、本発明の第3の実施例の帯電装置に
ついて、図面を参照しながら説明する。なお、帯電部材
としては図2の帯電ローラ、感光体としては図3の感光
体をそれぞれ用いた。本実施例の画像形成装置は図10の
構成と略同じであり、制御手段10の作用が異なる。
【0185】図15は作画工程に先立ち行われる電流値の
測定をタイミングチャートで示したものである。横軸矢
印方向に時間が経過する。また、上から感光体1の回
転、帯電ローラ2への印加電圧Vin、除電光3の点灯(o
n)または消灯(off)、帯電ローラ2に流れる帯電電流の
絶対値Ir、転写電源37が転写ローラ32に印加する電
流、現像器31による現像位置での感光体1の表面電位V
oをそれぞれ示している。そのまま表示すると煩雑なの
で、図15の感光体表面電位Voは、移動する感光体1上
の1点が帯電ローラ2の帯電領域から現像器31の現像領
域まで移動するのに要する時間Trdだけ進めて示した。
また、帯電ローラ2が1回転するのに要する時間をT
r、感光体1が1回転するのに要する時間をTpとする。
時間Tr、Tpは帯電ローラ2の直径、感光体1の直径お
よび周速vpから予め求められる。
【0186】図15において、作画工程に先立ち感光体1
が回転を開始する前から、転写電源37をフロート状態と
し、転写ローラ32が感光体1を帯電しない状態にする。
感光体1の回転が十分安定する時間をあけた後、時刻T
1に帯電ローラ2へ電圧Vin1を印加する。Vin1が印加
された時刻T1から帯電ローラ2が1周するまでの間(時
刻T1+Tr)は電流値が不安定なので無視する。Vin1印
加後、帯電ローラ2が1周以上した後の電流値Ir1を測
定する。これが第1の測定である。
【0187】Ir1の測定の後、帯電ローラ2への印加電
圧をVin2に変える。Vin2が印加された直後から帯電ロ
ーラ2が1周するまでの間(時間Tr)に帯電ローラ2に
流れる電流は不安定なので無視する。Vin2印加後、帯
電ローラ2が1周以上回転した後の電流値Ir2を測定す
る。これが第2の測定である。
【0188】次に、Ir2の測定終了時刻をT2とし、ま
た、移動する感光体1上の1点が除電光3の作用領域か
ら帯電ローラ2の帯電領域まで移動するのに要する時間
をTjrとすると、時刻(T2−Tjr)以降に除電光3を消
灯する。本実施例では、Ir2の測定の後、電源4の印加
電圧はVin2のまま、除電光3を消灯する。除電光3の
消灯後、除電されていた感光体面と除電されていない感
光体面との境界が前記帯電部材に接触した時刻をT3と
する。時間T3は、感光体1の周速vp、および除電光3
と帯電ローラ2の位置関係から予め求められる。時刻T
3から(T3+Tp)までの間に帯電ローラ2に流れる電流
Ir3を測定する。さらに時刻(T3+Tp)から(T3+2・
Tp)までの間に帯電ローラ2に流れる電流Ir4を測定す
る。
【0189】測定値Ir1、Ir2、Ir3およびIr4から帯
電抵抗Rrを求め、作画時の最適な印加電圧の絶対値Vi
n_optを決定する。次に、絶対値がVin_optに最も近
く、極性が作画工程における感光体1の最適表面電位と
同じ電圧になるように電源4を制御する。現像位置での
感光体1の表面電位Voが目標電位になった時刻から作
画工程は開始する。作画工程に入り、制御手段10は転写
電源37を制御して転写電圧を+2μAとし、紙34への転
写を行う。
【0190】作画時の印加電圧Vin_optの決定方法を図
16で説明する。図16は制御手段10の動作手順を示したフ
ローチャートで、次の順番で動作を行う。
【0191】(a) 感光体1が回転を開始した後、作画工
程に先立ち電源4を制御し帯電ローラ2にVin1を印加
する。
【0192】(b) 印加電圧Vin1に対して電源4から帯
電ローラ2に流れる電流Ir1を電流測定手段11が測定
し、測定された電流値を制御手段10が入力し記憶する。
【0193】(c) 電源4を制御し帯電ローラ2に対する
印加電圧をVin2にする。
【0194】(d) 印加電圧Vin2に対応して電源4から
帯電ローラ2に流れる電流Ir2を電流測定手段11が測定
し、測定された電流値を制御手段10が入力し記憶する。
【0195】(e) 印加電圧はVin2のままで除電光3を
消灯する。
【0196】(f) 時刻T3から(T3+Tp)までの間に前
記帯電部材に流れる電流Ir3を電流測定手段11が測定
し、制御手段10が入力し記憶する。
【0197】(g) 時刻(T3+Tp)から(T3+2・Tp)ま
での間に前記帯電部材に流れる電流Ir4を電流測定手段
11が測定し、制御手段10が入力し記憶する。
【0198】(h) 帯電抵抗Rrは次の手順で求められ
る。まず、帯電抵抗Rrの導出方法を図5の帯電試験機
を用いて説明する。感光体1を周速vpで回転させる。
帯電部材に電圧を印加しない状態のまま除電光3で感光
体1の1周すべての表面電位を0Vにする。次に除電光
3を消灯する。帯電ローラ2に絶対値が帯電ローラ2と
感光体1の帯電開始電圧Vth以上で、極性が作画工程に
おける感光体1の最適表面電位の極性と同じ電圧Vinを
印加する。感光体1の表面電位の絶対値は、帯電開始か
ら感光体1の回転1周ごとにステップ状に上昇し、漸近
的に飽和電位|Vin|−Vthに近づく。感光体1の表面
電位を表面電位測定プローブ41で測定する。
【0199】帯電ローラ2と表面電位測定プローブ41ま
での感光体上の距離を感光体1の周速vpで割った時間
をTrp、また感光体1が1回転するのに要する時間をT
pとする。帯電開始時刻Tstから時間Trp経過した時刻
(Tst+Trp)に表面電位測定プローブ41は、感光体1の
帯電後の表面電位の測定を開始する。
【0200】表面電位プローブ41の測定電圧Vo(1),V
o(2)およびVo(3)を以下のように定義する。時刻(Tst
+Trp)から時刻(Tst+Trp+Tp)の間、すなわち帯電
開始から感光体1が1周するまでの間の感光体1の表面
電位の絶対値をVo(1)、時刻(Tst+Trp+Tp)から時
刻(Tst+Trp+2・Tp)の間、すなわち帯電開始から
感光体1の回転が1周以上2周未満までの間の感光体1
の表面電位の絶対値をVo(2)、一般的に時刻(Tst+Tr
p+n・Tp)から時刻(Tst+Trp+(n+1)・Tp)の
間、すなわち感光体1が帯電開始からn周以上(n+1)
周未満回転するまでの間の感光体1の表面電位の絶対値
をVo(n)とする。
【0201】また、電流測定手段11が測定する電流Ir
(1),Ir(2)およびIr(n)を以下のように定義する。時
刻Tstから時刻(Tst+Tp)の間、すなわち帯電開始か
ら感光体1が1周するまでの間に帯電ローラ2に流れる
電流の絶対値をIr(1)、時刻(Tst+Tp)から時刻(Tst
+2・Tp)の間、すなわち帯電開始から感光体1の回転
が1周以上2周未満までの間に帯電ローラ2に流れる電
流の絶対値をIr(2)、一般的に時刻(Tst+n・Tp)か
ら時刻(Tst+(n+1)・Tp)の間、すなわち感光体1
が帯電開始からn周以上(n+1)周未満回転するまでの
間に帯電ローラ2に流れる電流の絶対値をIr(n)とす
る。また、感光体1の帯電係数をk、帯電ローラ2と感
光体1との間の帯電開始電圧をVth、||を絶対値記号
とすると、次の3つの方程式が成り立つ。
【0202】 Vo(n)=|Vin|−Vth−Rr×Ir(n) ……………………… (33) Vo(n)−Vo(n-1)=k×Ir(n) ……………………………… (34) Vo(0)=0 ……………………………………………………… (35) これらをIr(n)について解くと、 Ir(n)=(Rr)n-1/(k+Rr)n×(|Vin|−Vth) ……… (36) また、Rrについて解くと、 Rr=(|Vin|−Vth)×Ir(2)/(Ir(1))2 ……………… (37) (式37)は図5の帯電試験機において求められる帯電抵抗
Rrである。
【0203】ここにリーク電流Ir4を考慮して、本実施
例との対応をとると、電流Ir(1)は、(Ir2−Ir4)に一
致し、電流Ir(2)は、(Ir3−Ir4)と一致する。また、
印加電圧VinはVin2であった。したがって帯電抵抗Rr
は(式38)で求められる。
【0204】 Rr=(|Vin2|−Vth)×(Ir3−Ir4)/(Ir2−Ir4)2 ……… (38) ここに帯電開始電圧Vthはリーク電流Ir4を考慮し、 Vth=|(Ir1−Ir4)×Vin2−(Ir2−Ir4)×Vin1|/|Ir1−Ir2| ……… (39) (式39)で求められる値を使う。
【0205】(i) 入力された測定電流Ir1,Ir2から感
光体1の帯電係数kと帯電抵抗Rrの和を(式40)で推定
する。
【0206】 k+Rr=|Vin1−Vin2|/|Ir1−Ir2| ……………… (40) 上記(h)で求められた帯電抵抗Rrと感光体1の目標電位
Vo_optから最適な帯電電流Ir_optを(式41)で求める。
【0207】 Ir_opt=Vo_opt/k+Ir4 =Vo_opt/{|Vin1−Vin2|/|Ir1−Ir2|−Rr}+Ir4 ……… (41) (j) 帯電ローラ2に対する作画時の最適な印加電圧の絶
対値Vin_optは、 Vin_opt=(k+Rr)×(Ir_opt−Ir1)+|Vin1| ……… (42) または、 Vin_opt=(k+Rr)×(Ir_opt−Ir2)+|Vin2| ……… (43) で求める。
【0208】以上の手順に基づき、新品の感光体(表面
の膜厚26μm)を図5に示した帯電試験機に組み込み、室
温20℃湿度50%の環境下に3日間放置した後、印加電圧
Vin1=−900V、Vin2=−1100Vで、除電光3を点灯
させながら帯電するときに流れる電流値を実測すると、
それぞれIr1=3.0μA、Ir2=4.8μAであった。
【0209】次に印加電圧Vin2=−1100Vにしたま
ま、除電光3を消灯し、上記(f)および(g)の手順で求め
られるIr3およびIr4の値は、Ir3=0.8μA、Ir4=0.
4μAであった。すなわち、本測定ではリーク電流が0.4
μA存在していた。
【0210】以上の測定データを用い、(式40)から電位
の単位をV、電流の単位をμAとすると、k+Rrの値は
111.1(V/μA)、(式39)からVth=611Vと求められ
た。さらに(式38)から帯電抵抗Rrは、Rr=10.1MΩと
求められ、感光体1の帯電係数kは102.0(V/μA)とな
った。
【0211】感光体の目標電位を−450Vとすると、(式
41)から最適帯電電流Ir_optは4.9μAであった。(式42)
から、感光体の電位を−450Vとするための最適印加電
圧の絶対値Vin_optは1110Vと求められた。
【0212】検証のため、5Vステップの電源4で最も
絶対値がVin_optに近い−1110Vを帯電ローラ2に印加
すると、感光体1の表面電位は−447Vと目標電位に近
い値となった。
【0213】次に10万枚ランニングした後で感光体の膜
厚が18μmとなった感光体を図5に示した帯電試験機に
組み込み、室温20℃湿度50%の環境下に3日間放置した
後、印加電圧Vin1=−900V、Vin2=−1100Vで、除
電光3を点灯させながら帯電するときに流れる電流値を
実測すると、それぞれIr1=4.8μA、Ir2=7.3μAであ
った。
【0214】次に印加電圧Vin2=−1100Vにしたま
ま、除電光3を消灯し、上記(f)および(g)の手順で求め
られるIr3およびIr4の値は、Ir3=1.2μA、Ir4=0.
4μAであった。
【0215】以上の測定データを用い、(式40)から電位
の単位をV、電流の単位をμAとすると、k+Rrの値は
80.0(V/μA)、(式39)からVth=548Vと求められた。
さらに(式38)から帯電抵抗Rrは、Rr=9.3MΩと求め
られ、感光体1の帯電係数kは70.7(V/μA)となっ
た。
【0216】感光体の目標電位を−450Vとすると、(式
41)から最適帯電電流Ir_optは6.8μAである。(式42)か
ら、感光体の電位を−450Vとするための最適印加電圧
の絶対値Vin_optは1058Vと求められた。
【0217】検証のため、5Vステップの電源4で最も
絶対値がVin_optに近い−1060Vを帯電ローラ2に印加
すると、感光体1の表面電位は−442Vと目標電位に近
い値となった。
【0218】さらに、新品の感光体(表面の膜厚26μm)
を図5に示した帯電試験機に組み込み、室温33℃湿度80
%の環境下に3日間放置した後、印加電圧Vin1=−900
V、Vin2=−1100Vで、除電光3を点灯させながら帯
電するときに流れる電流値を実測すると、それぞれIr1
=3.4μA、Ir2=5.4μAであった。
【0219】次に印加電圧Vin2=−1100Vにしたま
ま、除電光3を消灯し、上記(f)および(g)の手順で求め
られるIr3およびIr4の値は、Ir3=0.7μA、Ir4=0.
6μAであった。
【0220】以上の測定データを用い、(式40)から電位
の単位をV、電流の単位をμAとすると、k+Rrの値は
100.0(V/μA)、(式39)からVth=620Vと求められ
た。さらに(式38)から帯電抵抗Rrは、Rr=2.1MΩと
求められ、感光体1の帯電係数kは97.9(V/μA)とな
った。
【0221】感光体の目標電位を−450Vとすると、(式
41)から最適帯電電流Ir_optは5.2μAであった。(式42)
から、感光体の電位を−450Vとするための最適印加電
圧の絶対値Vin_optは1080Vと求められた。
【0222】検証のため、5Vステップの電源4で最も
絶対値がVin_optに近い−1080Vを帯電ローラ2に印加
すると、感光体1の表面電位は−451Vと目標電位に近
い値となった。以上のように本実施例によれば、感光体
の表面膜厚の変化および帯電部材の抵抗値の変化および
リーク電流に影響されずに感光体表面電位を目標値にで
きた。
【0223】(比較例5) 第3の実施例で、リーク電流を考慮しない場合を試み
た。新品の感光体(表面の膜厚26μm)を室温20℃湿度50
%の環境下に3日間放置した場合、Ir1,Ir2,Ir3を
第1の実施例の(式23)と(式24)に代入してVthおよびR
rを求めた。値はそれぞれVth″=611V、Rr″=17.0
MΩであった。(式41)および(式42)から感光体1の目標
電位−450Vに対する最適印加電圧Vin_opt=1142Vと
なった。ところが実際に−1142Vを帯電ローラ2に印加
すると、感光体1の表面電位は−477Vで、目標電位か
ら27Vずれた値となった。
【0224】次に10万枚ランニングした後で感光体の膜
厚が18μmとなった感光体を、室温20℃湿度50%の環境
下に3日間放置した場合、Ir1,Ir2,Ir3を第1の実
施例の(式23)と(式24)に代入してVthおよびRrを求め
た。値はそれぞれVth″=548V、Rr″=13.4MΩであ
った。(式41)および(式42)から感光体1の目標電位−45
0Vに対する最適印加電圧Vin_opt=1089Vとなった。
ところが実際に−1089Vを帯電ローラに印加すると、感
光体1の表面電位は−469Vで、目標電位から19Vずれ
た値となった。
【0225】さらに、新品の感光体(表面の膜厚26μm)
を室温33℃湿度80%の環境下に3日間放置した場合、I
r1,Ir2,Ir3を第1の実施例の(式23)と(式24)に代入
してVthおよびRrを求めた。値はそれぞれVth″=620
V、Rr″=11.5MΩであった。(式41)および(式42)か
ら感光体1の目標電位−450Vに対する最適印加電圧Vi
n_opt=1146Vとなった。ところが実際に−1146Vを帯
電ローラ2に印加すると、感光体1の表面電位は−515
Vとなった。目標電位から65Vずれた値となり、実用化
できなかった。
【0226】(第4の実施例) 結露などにより帯電部材に流れる電流にリークが有る場
合で、かつ感光体の膜厚の減少がない場合は、電流値の
測定は3回に簡素化できる。感光体膜厚の減少のない場
合とは、硬度の高い感光体膜を使う場合、または感光体
の表面に硬度の高いコーティングを施す場合、または感
光体の寿命が短く、膜厚の減少を生じる前に感光体を交
換することが仕様上決定している場合などである。
【0227】表面電位0Vの感光体をVoに帯電すると
き、Voは電流Irに比例する。この関係を図4に示す。
図4において横軸は帯電電流Ir、縦軸は感光体表面電
位Voである。比例係数をkとおき、kを帯電係数と名
付ける。初期の表面電位0Vの感光体を帯電する場合、
帯電電流Irをk倍すると、帯電電位Voとなる。
【0228】本実施例では、感光体1の帯電係数kを予
め求める。帯電係数kを求める方法は第2参考例と同じ
であるので省略する。第2参考例と同じ感光体なので、
感光体1の帯電係数kは、k=99.1であった。
【0229】本実施例の画像形成装置の構成は、基本的
に第1の実施例と同様に図10で示される。第1の実施例
と異なるのは制御手段10の作用である。制御手段10の動
作について図17を参照しながら説明する。
【0230】図17は制御手段10の動作をタイミングチャ
ートで示したもので、横軸矢印方向に時間が経過する。
また、上から感光体1の回転、帯電ローラ2への印加電
圧Vin、除電光3の点灯(on)または消灯(off)、帯電ロ
ーラ2に流れる帯電電流の絶対値Ir、転写電源37が転
写ローラ32に印加する電流、現像器31による現像位置で
の感光体1の表面電位Voをそれぞれ示している。その
まま表示すると煩雑なので、図17の感光体表面電位Vo
は、移動する感光体1上の1点が帯電ローラ2の帯電領
域から現像器31の現像領域まで移動するのに要する時間
Trdだけ進めて示した。また、帯電ローラ2が1回転す
るのに要する時間をTr、感光体1が1回転するのに要
する時間をTpとする。時間TrおよびTpは、帯電ロー
ラ2の直径,感光体1の直径,感光体1の周速vpから
予め求められる。
【0231】図17において、作画工程に先立ち感光体1
が回転した後の転写電源37はフロート状態とし、転写ロ
ーラ32が感光体1を帯電しない状態にする。感光体1の
回転が十分安定するだけの時間を経過した後、帯電ロー
ラ2に電圧Vin1を印加する。このとき流れる電流のう
ち、Vin1を印加した直後から帯電ローラ2が1周する
までの時間Trは電流値が不安定なので無視し、帯電ロ
ーラ2が1周以上した後の電流値Ir1を測定する。
【0232】次に、Ir1の測定終了時刻をT2とし、ま
た、移動する感光体1上の1点が除電光3の作用領域か
ら帯電ローラ2の帯電領域まで移動するのに要する時間
をTjrとすると、時刻(T2−Tjr)以降に除電光3を消
灯する。
【0233】本実施例では、Ir1の測定終了前かつ時刻
(T2−Tjr)以降に、電源4の印加電圧はVin1のまま、
除電光3を消灯する。除電光3の消灯後、除電されてい
た感光体面と除電されていない感光体面との境界が前記
帯電部材に接触した時刻をT3とする。時間T3は、感光
体1の周速vp、および除電光3と帯電ローラ2の位置
関係から予め求められる。
【0234】時刻T3から(T3+Tp)までの間に前記帯
電部材に流れる電流Ir3を測定する。更に時刻(T3+T
p)から(T3+2Tp)までの間に前記帯電部材に流れる電
流Ir4を測定する。
【0235】制御手段10は、これらの測定値Ir1,Ir3
およびIr4から作画時の帯電抵抗Rrを求め、印加電圧
の絶対値Vin_optを決定する。次に、絶対値がVin_opt
に最も近く、極性が作画工程における感光体1の最適表
面電位と同じ電圧を帯電ローラ2に印加するよう電源4
を制御する。現像位置での感光体1の表面電位Voが目
標電位になった時刻から作画工程は開始する。作画工程
に入り、制御手段10は転写電源を+2μAとして転写工
程を作動させる。
【0236】測定値Ir1,Ir3およびIr4から帯電抵抗
Rrを求め、作画時の印加電圧Vin_optを決定する方法
を図18で説明する。図18は制御手段10の動作手順を示し
たフローチャートで、次の順番で動作を行う。
【0237】(a) 感光体1が回転を開始した後、作画工
程に先立ち電源4を制御し帯電ローラ2にVin1を印加
する。
【0238】(b) 印加電圧Vin1に対して電源4から帯
電ローラ2に流れる電流Ir1を電流測定手段11が測定
し、測定された電流値を制御手段10が入力し記憶する。
【0239】(c) 印加電圧はVin1のままで除電光3を
消灯するように、制御手段10から除電電源5に指令す
る。
【0240】(d) 時刻T3から(T3+Tp)までの間に前
記帯電部材に流れる電流Ir3を電流測定手段11が測定
し、制御手段10が入力し記憶する。
【0241】(e) 時刻(T3+Tp)から(T3+2Tp)まで
の間に前記帯電部材に流れる電流Ir4を電流測定手段11
が測定し、制御手段10が入力し記憶する。
【0242】(f) 帯電抵抗Rrは、第3の実施例と同様
の手順で求められる。すなわち、RrとVthについて次
の2つの関係が成り立つ。
【0243】 Rr=(|Vin1|−Vth)×(Ir3−Ir4)/(Ir1−Ir4)2 ……… (44) ここに帯電開始電圧Vthは(式45)で求められる値を使
う。
【0244】 Vth=|Vin1|−(k+Rr)×(Ir1−Ir4) ……………… (45) これら2つの連立方程式をRrとVthについて解いて、
帯電抵抗Rrを求める。
【0245】(g) 予め与えられた感光体1の帯電係数k
と感光体1の作画時の目標電位の絶対値Vo_optから最
適な帯電電流の絶対値Ir_optを(式46)で求める。
【0246】 Ir_opt=Vo_opt/k+Ir4 ………………………………… (46) (h) 帯電ローラ2に対する、作画時の最適な印加電圧の
絶対値Vin_optは、 Vin_opt=(k+Rr)×(Ir_opt−Ir1)+|Vin1| ……… (47) で求める。
【0247】以上の手順に基づき、新品の感光体(表面
の膜厚26μm)を図5に示した帯電試験機に組み込み、室
温20℃湿度50%の環境下に3日間放置し、装置を十分環
境に馴染ませた後、下記の実験を開始した。
【0248】印加電圧Vin1=−1100Vで除電光3を点
灯させながら帯電するときに流れる電流値Ir1は、Ir1
=4.8μAであった。次に印加電圧は−1100Vのままで除
電光3を消灯し上記の手順(d)および(e)で求められる
電流Ir3,Ir4の値は、それぞれIr3=0.8μA、Ir4=
0.4μAであった。
【0249】(式44)および(式45)の連立方程式、および
予め求められた感光体1の帯電係数k=99.1(V/μA)
から帯電抵抗Rrと帯電開始電圧Vthを求めると、Rr=
10.1MΩ、Vth=620Vであった。感光体1の目標電位
を−450Vとすると、(式46)から最適な帯電電流の絶対
値Ir_optは4.9μAである。(式47)から、感光体1の電
位を−450Vとするための最適印加電圧の絶対値Vin_op
tは1110Vと求められる。
【0250】検証のため、5Vステップの電源4で最も
絶対値がVin_optに近い−1110Vを帯電ローラ2に印加
すると、感光体1の表面電位は−447Vと目標電位に近
い値となった。
【0251】更に、新品の感光体(表面の膜厚26μm)を
図5に示した帯電試験機に組み込み、室温33℃湿度80%
の環境下に3日間放置し装置を十分環境に馴染ませた
後、下記の実験を行った。印加電圧Vin1=−1100Vで
除電光3を点灯させながら帯電するときに流れる電流値
Ir1は、Ir1=5.4μAであった。次に印加電圧は−1100
Vのままで除電光3を消灯し、上記の手順(d)および(e)
で求められる電流Ir3,Ir4の値はそれぞれ、Ir3=0.
7μA、Ir4=0.6μAであった。
【0252】(式44)および(式45)の連立方程式および予
め求められた感光体1の帯電係数k=99.1(V/μA)か
ら帯電抵抗Rrと帯電開始電圧Vthを求めると、Rr=2.
3MΩ、Vth=654Vであった。感光体1の目標電位を−
450Vとすると、(式46)から最適な帯電電流の絶対値Ir
_optは5.1μAであった。(式47)から、感光体1の電位を
−450Vとするための最適印加電圧の絶対値Vin_optは1
070Vと求められた。
【0253】検証のため、5Vステップの電源4で最も
絶対値がVin_optに近い−1070Vを帯電ローラ2に印加
すると感光体1の表面電位は−441Vと目標電位に近い
値となった。
【0254】以上のように本実施例によれば、帯電部材
の抵抗値の変化およびリーク電流に影響されずに感光体
表面電位を目標値にできた。
【0255】(比較例6) 第4の実施例で、リーク電流を考慮しない場合を試み
た。新品の感光体(表面の膜厚26μm)を室温20℃湿度50
%の環境下に3日間放置したときの帯電電流Ir1,Ir
3,Ir4を、第2の実施例の(式29)と(式30)に代入して
VthおよびRrを求めた。実測値から求めた値はそれぞ
れVth″=450V、Rr″=22.6MΩであった。
【0256】(式46)および(式47)から感光体1の目標電
位−450Vに対する最適印加電圧Vin_opt=1064Vとな
った。ところが実際に−1064Vを帯電ローラに印加する
と、感光体1の表面電位は−407Vとなり目標電位から4
3Vずれた値となった。目標値との差が大きく、実用化
できなかった。
【0257】更に、新品の感光体(表面の膜厚26μm)を
室温33℃湿度80%の環境下に3日間放置したときの帯電
電流Ir1,Ir3,Ir4を第2の実施例の(式29)と(式30)
に代入してVthおよびRrを求めた。実測値から求めた
値はそれぞれVth″=428V、Rr″=16MΩであった。
【0258】(式46)および(式47)から感光体1の目標電
位−450Vに対する最適印加電圧Vin_opt=997Vとなっ
た。ところが実際に−997Vを帯電ローラに印加する
と、感光体1の表面電位は−370Vとなり、目標電位か
ら80Vずれた値となった。目標値との差が大きく、実用
化できなかった。
【0259】(第3参考例) 発明者らの鋭意研究の結果、第1の測定に関して下記の
現象が認められ、電流測定に誤差を与えることが見いだ
された。
【0260】図3の感光体(表面の膜厚26μm)と図2の
帯電ローラを図5に示した帯電試験機に組み込み、室温
20℃湿度50%の環境下に3日間放置し、装置全体を十分
環境に馴染ませた後、実験を行った。印加電圧Vin=−
1100Vで除電光3を点灯させながら帯電するときに流れ
る電流値を実測した。得られたデータを、図19(a)およ
び(b)に示す。
【0261】図19(a)および(b)は横軸が時間、縦方向上
から帯電ローラ2への印加電圧Vin、帯電ローラ2に流
れる帯電電流の絶対値Ir、現像器31による現像位置で
の感光体1の表面電位Voをそれぞれ示している。その
まま表示すると煩雑なので、図19(a)および(b)の表面電
位Voは、移動する感光体1上の1点が帯電ローラ2の
帯電領域から現像器31の現像領域まで移動するのに要す
る時間Trdだけ進めて示した。帯電ローラ2と現像器と
の感光体1の表面上距離を感光体1の周速vpで割った
時間Trdだけ進めて示した。また、帯電ローラ2が1回
転するのに要する時間をTr、感光体1が1回転するの
に要する時間をTpとする。時間TrおよびTpは、帯電
ローラ2の直径,感光体1の直径,感光体1の周速vp
から予め求められる。
【0262】説明のため、帯電部材に電圧Vin1の印加
開時刻をTs1、時刻Ts1以前で前記帯電部材に対する電
圧印加が終了した時刻のうち最もTs1に近い時刻をTs2
とする。また、時刻Ts1で開始される帯電工程を今回の
帯電、時刻Ts2で終了する帯電工程を前回の帯電と呼
ぶ。時刻Ts1と時刻Ts2の間は、帯電ローラ2から感光
体1への帯電はない。以下、説明のため、帯電部材への
電圧印加がなく、かつ感光体が停止し、かつ除電手段が
作用していない状態を無帯電状態と呼ぶ。このとき、時
間差△Ts、△Ts=Ts1−Ts2は、無帯電状態の続いた
時間である。もし帯電ローラ2および感光体1が全く新
品ならば、△Ts=無限大とおく。
【0263】実験の結果、無帯電状態の続いた時間△T
sによって、測定電流が変化した。図19(a)において、△
Ts=30秒以下のとき、時刻Ts1から感光体が1周する
までの間(Ts1以上、Ts1+Tp未満)に帯電部材に流れ
る電流Ir11と、時刻Ts1から感光体1周以上2周未満
の間(Ts1+Tp以上、Ts1+2・Tp未満)に流れる電流
Ir22とは同じ値であった。しかし、図19(b)において△
Ts=3分以上にすると、時刻Ts1から感光体が1周す
るまでの間に帯電部材に流れる電流Ir11′の絶対値は
帯電開始から感光体が1周以上2周未満の間に流れる電
流Ir22′の絶対値より大きかった。また、帯電開始か
ら感光体が2周以上回転した後に流れる電流は、Ir2
2′と同じであった。更に、Ir22とIr22′は同じ値で
あった。
【0264】実測値を示すと、△Ts=30秒のときIr11
=Ir22=4.4μAで、同じ値であった。ところが、△Ts
=3分のときIr11′=4.9μA、Ir22′=4.4μAで、絶
対値で0.5μAだけIr11′の方が大きかった。また、△
Ts=3分のときのIr22″は、△Ts=30秒以下のとき
のIr11およびIr22と一致し、Ir22″=4.4μAであっ
た。
【0265】また、感光体の表面電位Voは、図19(a)に
おいて△Ts=30秒のとき、時刻Ts1から感光体が1周
するまでの間の感光体1の帯電電位Vo11、および時刻
Ts1から感光体が1周以上するときの感光体の表面電位
Vo12は同じ値で、Vo11=Vo12=−436Vであった。
【0266】一方、図19(b)において△Ts=3分のと
き、時刻Ts1から感光体が1周するまでの間の感光体1
の帯電電位Vo11′=−406V、時刻Ts1から感光体が1
周以上するときの感光体の表面電位Vo12′=−436V
で、絶対値で30VだけVo11′の方が小さかった。また
△Ts=3分のときの表面電位Vo12′は、△Ts=30秒
のときの感光体表面電位Vo11と一致した。
【0267】以上の実験結果から、無帯電状態が3分以
上続いた場合、帯電開始から感光体1周までの間は、過
渡的な状態が発生することが見いだされた。すなわち、
この期間において、帯電電流の絶対値Irは大きいにも
拘らず感光体電位の絶対値は小さく、帯電電流と感光体
電位の比例関係が成立しない。
【0268】そこで、帯電開始から感光体が1周以上回
転した後の帯電電流を測定する。以下、本発明の第3参
考例の帯電装置について図面を参照しながら説明する。
第1参考例と同様に、本参考例においては、作画時の電
位制御に先立ち、帯電抵抗Rrを予め測定した。測定の
方法は第1参考例と同じなのでここでは省略する。図2
の帯電ローラを使うので、帯電抵抗Rrの実測値は第1
参考例と同様、9.1MΩであった。本参考例では、この
Rrを用いて、次のように帯電部材への印加電圧を決定
した。
【0269】本参考例の画像形成装置は、制御手段10の
作用を除いて第1参考例と同様の構成となっている。制
御手段10が入力する電流値の取り方について図20を参照
しながら説明する。図20は制御手段10の動作をタイミン
グチャートで示したもので、横軸矢印方向に時間が経過
する。また、上から感光体1の回転、帯電ローラ2への
印加電圧Vin、除電光3の点灯(on)または消灯(off)、
帯電ローラ2に流れる帯電電流の絶対値Ir、転写電源3
7が転写ローラ32に印加する電流、現像器31による現像
位置での感光体1の表面電位Voをそれぞれ示してい
る。そのまま表示すると煩雑なので、図20の感光体表面
電位Voは、移動する感光体1上の1点が帯電ローラ2
の帯電領域から現像器31の現像領域まで移動するのに要
する時間Trdだけ進めて示した。また、帯電ローラ2が
1回転するのに要する時間をTr、感光体1が1回転す
るのに要する時間をTpとする。
【0270】図20において、作画工程に先立ち感光体1
が回転を開始する前から転写電源37をフロート状態と
し、転写ローラ32が感光体1を帯電しない状態にする。
感光体1の回転が十分安定するだけの時間をあけた後、
時刻T1に帯電ローラ2へ電圧Vin1を印加する。このと
き流れる電流のうち、Vin1を印加した時刻T1から帯電
ローラ2か1周するまでの時間Tr、および感光体1が
1周するまでの時間Tpは電流値が不安定なので無視
し、TrまたはTpの時間のうち、どちらか長い時間以上
経過した後の電流値を測定する。本参考例では帯電ロー
ラ2の直径よりも感光体1の直径の方が大きくTr<Tp
となる。したがって、Vin1が帯電ローラ2に印加され
た時間T1から感光体1が1周するまでの時間Tp以上経
過した後(すなわち時刻T1+Tp以降)の帯電電流Ir1を
測定する。これが第1の測定である。
【0271】Ir1の測定の後、電源4の印加電圧をVin
2に変える。このとき流れる電流のうち、Vin2を印加し
た直後から帯電ローラ2が1周するまでの時間Trに帯
電ローラ2に流れる電流は不安定なので無視し、帯電ロ
ーラ2が1周以上回転した後の電流値Ir2を測定する。
これが第2の測定である。
【0272】制御手段10は、これらの測定値Ir1および
Ir2と予め測定された帯電抵抗Rrから、作画時の印加
電圧の絶対値Vin_optを決定する。次に、絶対値がVin
_optに最も近く、極性が作画工程における感光体1の最
適表面電位と同じ電圧になるように電源4を制御する。
現像位置での感光体1の表面電位Voが目標電位になっ
た時刻から作画工程は開始する。作画工程に入り、制御
手段10は転写電源を+2μAとして転写工程を作動させ
る。
【0273】最適印加電圧Vin_optの決定の方法を第1
参考例と同様に図7で説明する。図7は制御手段10の動
作手順を示したフローチャートで、次の順番で動作を行
う。
【0274】(a) 感光体1が回転を開始した後、作画工
程に先立ち電源4を制御し帯電ローラ2にVin1を印加
する。
【0275】(b) 印加電圧Vin1に対応して、時刻T1+
Tp以降に電源4から帯電ローラ2に流れる電流Ir1を
電流測定手段11が測定し、測定された電流値を制御手段
10が入力し記憶する。
【0276】(c) 電源4を制御し帯電ローラ2に対する
印加電圧をVin2にする。
【0277】(d) 印加電圧Vin2に対応して電源4から
帯電ローラ2に流れる電流Ir2を電流測定手段11が測定
し、測定された電流値を制御手段10が入力し記憶する。
【0278】(e) 入力された測定電流から感光体1の帯
電係数kと帯電抵抗Rrの和を(式48)で推定する。
【0279】 k+Rr=|Vin1−Vin2|/|Ir1−Ir2| ……………… (48) (f) 予め求められた帯電抵抗Rrと感光体1の目標電位
Vo_optから最適な帯電電流の絶対値Ir_optを(式49)で
求める。
【0280】 Ir_opt=|Vo_opt|/k =|Vo_opt|/{|Vin1−Vin2|/|Ir1−Ir2|−Rr} ……… (49) ただし、電流の極性は感光体が光導電性を有する極性で
ある。
【0281】(g) 作画時の最適印加電圧の絶対値Vin_o
ptを(式50)で求め、 Vin_opt=(k+Rr)×|Ir_opt−Ir1|+|Vin1| …… (50) または、 Vin_opt=(k+Rr)×|Ir_opt−Ir2|+|Vin2| …… (51) 絶対値がVin_optに最も近く、かつ極性が作画工程にお
ける感光体1の最適表面電位と同じ電圧になるよう電源
4を制御する。
【0282】以上の手順に基づき、除電光3を点灯させ
ながら印加電圧Vin1=−900V、Vin2=−1100Vで新
品の感光体(感光体の膜厚26μm)を帯電するときに流れ
る電流値を実測すると、それぞれIr1=2.6μA、Ir2=
4.4μAであった。したがって、k+Rrは電位の単位を
V、電流の単位をμAとすると、(式48)から111.1(V/
μA)であった。他方、予め測定された帯電抵抗Rrは9.1
MΩであった。したがって、kの値は102.0(V/μA)で
あった。感光体1の作画時の目標電位を−450Vとする
と、最適な電流値を(式49)から求めると4.4μA、最適な
印加電圧の絶対値は(式50)から1101Vであった。
【0283】検証のため、電源4の出力電圧は5Vステ
ップなので、絶対値が1101Vに最も近い電圧−1100Vを
実際に帯電ローラ2に印加すると、感光体1の表面電位
は−440Vとなり目標値に近い値が得られた。
【0284】次に、10万枚ランニングした後で膜厚が18
μmとなった感光体を、除電光3を点灯させながら印加
電圧Vin1=−900VとVin2=−1100Vで帯電した。帯
電電流を実測すると、それぞれIr1=4.4μA、Ir2=6.
9μAであった。膜厚18μmの感光体1の帯電係数をk′
とすると、k′+Rrは(式48)から80.0(V/μA)となっ
た。予め測定された帯電抵抗Rrは9.1MΩなので、k′
=70.9(V/μA)であった。感光体1の目標電位を−450
Vとすると、帯電ローラ2に対する最適な電流値は(式4
9)から求めると6.3μA。また帯電ローラ2に対する最適
な印加電圧の絶対値は(式50)から1055Vである。検証の
ため、実際に−1055Vを帯電ローラ2に印加すると感光
体の表面電位は−440Vとなり、目標電位と近い値が得
られた。
【0285】以上のように本参考例によれば、最適印加
電圧を決定するのに用いる帯電電流のうち、帯電開始か
ら感光体1周以上回転した後の帯電電流を測定すること
で、正しい帯電電流を測定でき、感光体表面電位を目標
値にできた。
【0286】(比較例7) 比較のため、帯電開始から感光体が1周回転するまでの
間に発生する帯電電流を測定した場合を試みた。感光体
1を1時間以上、無帯電状態のまま放置した後、第1参
考例を試みた。ただし第1の測定は、感光体1の帯電開
始から感光体1が1周回転するまでの間に測定した。第
2の測定は第1参考例と同様である。
【0287】実測値を示す。第1参考例において、図5
に示した帯電試験機に図2の帯電ローラ2および図3の
感光体1を組み込む。帯電試験機を室温20℃湿度50%の
恒温恒湿の環境下に3日間放置し、十分環境に馴染ませ
た。帯電ローラ2への印加電圧Vin1=−900V、Vin2
=−1100Vのとき、第1の測定における帯電電流Ir11
=4.9μA、第2の測定における帯電電流Ir2=6.9μAで
あった。また、帯電抵抗Rrは既知で、Rr=9.1MΩで
あった。
【0288】(式11)から、k+Rr=100.0(V/μA)で
ある。したがって、感光体1の帯電係数k=90.1(V/
μA)と推定される。(式12)から、感光体1を目標電位に
するための帯電電流の絶対値Ir_opt=5.0μAとなっ
た。更に(式13)から、作画時の最適印加電圧Vin_opt=
910Vとなった。
【0289】ところが、実際に、Vin=−910Vを帯電
ローラ2に印加すると、感光体1の表面電位は−270V
であった。目標電位との差が180Vあり、実用化できな
かった。
【0290】(第4参考例) 測定する帯電電流として、第1から第4の実施例では電
源4から帯電ローラ2に流れる電流としたが、測定する
帯電電流は感光体から接地に流れる電流でもよい。帯電
時に電源4から帯電ローラ2に流れる電流と同じタイミ
ングで、感光体1から接地まで電流が流れる。このと
き、電源4から帯電ローラ2に流れる電流値と、感光体
1から接地まで流れる電流値の値も等しい。これは接地
から電源4、帯電ローラ2、感光体1から接地に至るま
での電流の流れる経路が閉回路であることによる。
【0291】測定および制御の手順は、転写電源の制御
も含めて第1から第4の実施例が適用できるので説明を
省略し、帯電電流の箇所だけを図21(a)および図21(b)を
用いて説明する。
【0292】図21(a)は帯電装置のうち、帯電電流測定
箇所の構成を示したものである。感光体1,帯電ローラ
2,除電光3,電源4および制御手段10は第1参考例と
同じで、12は電流測定手段である。電流測定手段12は感
光体から接地までの間に流れる電流を測定し、制御手段
10に入力する。測定電流の入力のタイミングや周辺部材
の動作および制御手段10の処理手順は、第1から第4ま
での実施例と同じである。
【0293】電流測定手段12の具体的な例を図21(b)に
示す。図21(b)において、13はローパスフィルタ、14は
アンプである。感光体1と接地の間に帯電電流測定用の
抵抗10kΩを挿入し、両端に発生する電圧から帯電電流
を求める。帯電電流は10kΩ抵抗両端の電圧を抵抗値10
kΩで割った値である。
【0294】第1参考例では感光体1を目標の電位に帯
電するのに流れる帯電電流は約4から10μAの範囲であ
った。したがって、感光体1から接地までの間に挿入し
た 10kΩの抵抗の両端には、0.04から0.1Vの電圧が発
生した。すなわち、帯電時の印加電圧のうち、0.05から
0.1Vがこの10kΩ抵抗で損失された。しかし、−800V
から−1200V範囲の印加電圧に対しては、この損失分の
影響はなかった。10kΩの抵抗両端の電圧はローパスフ
ィルタ13を通って高周波ノイズ成分を除去し、さらにア
ンプ14で増幅され制御手段10に入力される。
【0295】検証のため、第1から第4の実施例におい
て、電流測定手段11を電流測定手段12に置き換え、感光
体1から接地までの帯電電流から作画時の最適印加電圧
を決定した。その結果、第1から第4の実施例と同様
に、感光体1の表面電位を目標値にできた。
【0296】以上のように、感光体1から接地までの間
に流れる電流を測定する構成でも、本発明の目的を達成
することができる。
【0297】(第5参考例) 帯電部材が回転する帯電ローラである場合、帯電ローラ
1周の周期で測定電流にノイズが発生した。ノイズを実
測すると、帯電ローラ2を新品にしたとき、感光体1を
−450Vに帯電するとき流れる帯電電流は、平均4.5μA
に対してピーク間振幅ΔIr_ppが約0.5μAのノイズが重
畳していた。また電流ノイズには周期性が認められ、帯
電ローラ2が1回転する周期Tpでくり返されていた。
発明者らの検討の結果、この電流ノイズは、帯電ローラ
2が初期的に有する抵抗ムラや表面凹凸により感光体1
との接触ムラによって生じることが明らかになった。
【0298】その対策として、本参考例では、帯電ロー
ラが1回転する間の平均帯電電流から作画時の最適印加
電圧を決定する。その構成として、帯電電流を測定する
手段に、カットオフ周波数が帯電ローラが1周する時間
の逆数以下のローパスフィルタを挿入する。以下、図面
を参照しながら説明する。
【0299】図22(b)は帯電電流測定手段の具体的構成
を示したもので、1は感光体、2は帯電ローラ、3は除
電光、4は電源、10は制御手段である。電源4と接地間
には10kΩの抵抗が挿入されている。感光体1および帯
電ローラ2は矢印の方向に周速33mm/秒で回転してい
る。制御手段10は電源4と接地間に挿入された抵抗の電
圧を測定する機能を備えている。その他、図示していな
い制御手段10の機能として、電源4を制御する機能、お
よび第1参考例における(式11),(式12),(式13)ならび
に(式14)を演算する機能を備えている。
【0300】帯電ローラ2が1回転するのに要する時間
をTpとすると、Tp=1.14秒なので帯電ローラ2の周期
は0.87Hzであった。したがって、制御手段10の電流測定
の前段に挿入するローパスフィルタのカットオフ周波数
は、0.87Hz以下とした。
【0301】上記の条件を満たすローパスフィルタとし
て、図22(a)にカットオフ周波数が0.8Hzのローパスフィ
ルタの一例を示した。図22(a)はアナログの2次のロー
パスフィルタである。その周波数特性を図23に示した。
横軸は周波数、縦軸はゲインである。このローパスフィ
ルタは、0.8Hz以下の周波数成分は通すが、0.8Hzを超え
る周波数成分は著しく減衰する。
【0302】図22(b)において、電源4は帯電ローラ2
に直流電圧を印加した。感光体1と接地の間の10kΩの
抵抗両端に発生する電圧は、ローパスフィルタを通った
後、制御手段10に入力する。制御手段10は、電圧を10k
Ωで割る演算を実行し、帯電電流Irを求める。
【0303】帯電電流Ir1およびIr2は、第1参考例と
同様に、図6に示されるタイミングで測定される。ま
た、作画時の最適印加電圧Vin_optは、第1参考例と同
様に図7に示された手順で決定される。
【0304】検証のため、印加電圧Vin1=−900V、V
in2=−1100Vにおける実測値を示す。除電光3を点灯
させながら感光体1を帯電するときに流れる電流値を実
測すると、それぞれVin1に対してはIr1=2.6μA、Vi
n2に対してはIr2=4.4μAであった。k+Rrは電位の
単位をV、電流の単位をμAとすると、(式11)から、11
1.1(V/μA)であった。他方、予め測定された帯電抵抗
Rrは9.1MΩであった。したがって、帯電係数kの値は
k=102.1(V/μA)であった。
【0305】感光体1の作画時の目標電位を−450Vと
すると、最適な電流値は(式12)から4.4μA、最適な印加
電圧の絶対値は(式13)から1101Vであった。電源4の出
力電圧は5Vステップなので、絶対値が1101Vに最も近
く、かつ極性が作画工程における感光体1の最適表面電
位Vo_optと同じ電圧−1100Vを実際に帯電ローラ2に
印加して検証を行った。その結果、感光体1の表面電位
は−440Vで、目標値に近い値が得られた。
【0306】(比較例8) 比較として、電流測定手段の前段にローパスフィルタを
挿入しない場合を試みた。この場合、帯電ローラ1周の
周期で測定電流にノイズが発生した。図24は比較例8に
おける帯電電流測定手段を示したものである。図24にお
いて、1は感光体、2は帯電ローラ、3は除電光、4は
電源、10は制御手段である。電源4と接地間には10kΩ
の抵抗が挿入されている。制御手段10は電源4と接地間
に挿入された抵抗の電圧を測定する機能を備えている。
その他、図示していない制御手段10の機能として、電源
4を制御する機能、および第1参考例における(式11),
(式12),(式13)ならびに(式14)を演算する機能を備えて
いる。
【0307】帯電ローラ2は図2で示したものが、また
感光体1は図3で示したものが使用されている。感光体
1および帯電ローラ2は、それぞれ矢印の方向に周速33
mm/秒で回転する。図24において電源4は帯電ローラ2
に直流電圧を印加した。その時に流れる電流を、感光体
1と接地の間の10kΩの抵抗両端に発生する電圧から、
電圧/10kΩで換算し求めた。
【0308】実測すると、帯電ローラ2を新品にしたと
き、感光体1を−450Vに帯電するとき流れる帯電電流
は、平均4.5μAに対してピーク間振幅△Ir_ppが約0.5
μAのノイズが重畳していた。また電流ノイズには周期
性が認められ、帯電ローラ2が1回転する周期Tpで繰
り返されていた。
【0309】感光体1の帯電係数kは約100なので、(式
4)から予測されるように、k・△Ir_pp=50Vの制御
誤差が生じた。また、長期使用により電流ノイズは大き
くなる傾向が認められ、10万枚の通紙ランニング試験の
結果、電流ノイズは0.8μAとなった。電流ノイズの増大
の原因を検討したところ、トナーやトナーへの添加剤、
また紙粉が帯電ローラ2に付着したため、帯電ローラ2
の表面抵抗値にムラが生じたためであった。また、10万
枚の通紙ランニング後の帯電ローラ2の表面を観察した
ところ、摩耗の痕が認められた。帯電ローラ2の摩耗も
電流ノイズの原因であった。感光体1の帯電係数kは約
100なので、(式4)から予測されるように、k・△Ir_p
p=80Vの制御誤差が生じた。
【0310】(第6参考例) 作画命令から作画工程終了まではできるだけ速い方が望
ましい。図25は本発明の第6参考例の画像形成装置のブ
ロック図で、10は制御手段、15は時間管理手段、16は異
常事態検知手段である。制御手段10には、第1参考例に
おける(数11),(数12),(数13)並びに(数14)を演算する
機能を備えている。また制御手段10は、前記演算の実行
開始信号を入力する手段と異常信号を入力する手段を備
えている。
【0311】時間管理手段15は、現在時刻を知る時計機
能と、時間を記憶する機能と、時間差の大小を比較する
機能と、作画命令の入力を検知する機能と、画像形成装
置が作画工程中であるか作画工程中でないかを検知する
手段を備えている。
【0312】図26は時間管理手段15の動作を示したフロ
ーチャートで、制御手段作動は、制御手段10に対して実
行開始の命令を出すことを示している。時間管理手段15
は電源投入後から動作を開始し、電源を切るまで、また
は異常信号を入力するまで動作を止めることはない。
【0313】まず電源投入後、制御手段10に対して実行
開始命令を出す。次に現在時刻をTsetに記憶し、引き
続き現在時刻をTnowに記憶する。次に、時刻Tset以後
に作画命令を検知したかを判断し、もし作画命令を検知
すれば作画工程が終了するまで待機し、作画工程終了直
後、制御手段10に実行開始命令を出す。もし作画命令を
検知しないならば、TnowとTsetの差を計算し、(Tnow
−Tset)値が一定の時間TL以下であればTnowを現在時
刻にセットし直し、画像命令の検知を繰り返す。本参考
例でTLは30分である。もし(Tnow−Tset)が一定時間
TLより大きければ、制御手段10へ実行開始命令を出
す。
【0314】また、異常事態検知手段16は、画像形成装
置の異常を検知する手段と、異常信号を制御手段10に出
力する手段を備えている。紙詰まりやモータの異常停止
など装置の異常を検知すると、直ちに異常信号を制御手
段10に出力する。制御手段10は、異常信号を入力する
と、直ちに現在の処理を中断するとともに、図27に示す
緊急停止モードを実行する。
【0315】図27は制御手段10の緊急停止モードにおけ
る処理を示したフローチャートである。異常信号を入力
すると、帯電部材に電圧を印加していた電源4をオフ
し、続いて転写電源37をフロート状態にし、除電光3を
消灯する。
【0316】本発明の電圧制御にこの手順を加えた結
果、利用者の作画命令から作画終了までの間に、制御手
段10が電流測定を実行することがなく、利用者の待ち時
間の増加はなかった。また30分間に少なくとも1回は制
御手段10は電圧制御の動作を実行するので、雰囲気環境
の変化や作画装置自体のウォーミング・アップによる温
度や湿度の変化に、十分追従して作画時の感光体電位を
目標値にできた。
【0317】なお、第1の実施例から第4の実施例まで
除電手段として除電光を用いたが、除電手段としてはそ
の他に像書き込み手段による露光でもよいし、電流測定
期間中の転写手段への印加電圧を調整して転写手段を除
電手段として併用してもよい。
【0318】また、第1の実施例から第4の実施例まで
は、帯電部材として帯電ローラを用いたが、帯電部材と
してはその他に導電性のブロック形状でもよいし、導電
性のブラシでもよい。また、導電性のブレードでもよい
し、導電性のベルト状の帯電部材でもよい。
【0319】また、第1の実施例から第4の実施例まで
は、感光体としてドラム状の感光体を用いたが、感光体
としてはその他にベルト状でもよい。
【0320】また、第1の実施例から第4の実施例まで
は、転写電源37は+2μAとフロート状態を選択する構
成になっていたが、転写電源37は、フロート状態の代わ
りに、接地、または感光体が光導電性を示す極性と同極
の電圧、または絶対値が感光体と転写手段との間で帯電
を開始する電圧以下の電圧としてもよい。
【0321】また、第1の実施例から第4の実施例まで
は、転写電源37は感光体1が回転する前からフロート状
態としたが、移動する感光体1上の1点が転写ローラ32
の作用領域から帯電ローラ2の帯電領域まで移動するの
に要する時間をTtr、また帯電ローラ2に発生した電流
の測定開始時刻をT7、また測定終了時刻をT8とする
と、少なくとも時刻(T7−Ttr)から時刻(T8−Ttr)ま
での間に、転写ローラ2はフロート状態、または接地、
または感光体が光導電性を示す極性と同極の電圧、また
は絶対値が感光体と転写手段との間で帯電を開始する電
圧以下の電圧としてもよい。
【0322】また、第5参考例で、ローパスフィルタは
電流測定手段の前段に設けたが、ローパスフィルタは、
電流測定手段と制御手段の間に設けてもよい。
【0323】また、第1の実施例から第4の実施例まで
は、非作画時の電源と作画時の電源は同じであったが、
作画用の電源を別に備え、作画開始前に非作画時の電源
から作画用の電源に切り換えてもよい。また、このとき
の作画用の電源は、決定された最適電圧を出力する電圧
源でもよいし、最適電流を出力する電流源でもよい。
【0324】また、第1の実施例から第4の実施例まで
は、非作画時に印加する電圧を直流電圧としたが、非作
画時の電圧は、少なくとも直流電圧を含み、交流電圧ま
たは交流電流の重畳した電圧で、電流測定手段に、前記
交流成分を除去するローパスフィルタを備えた構成であ
ってもよい。
【0325】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
次のような効果を奏するものである。
【0326】(第1の効果) 帯電抵抗Rrを逐次測定
し、補正を加えながら帯電部材への最適な印加電圧を決
定するので、雰囲気温度と湿度による帯電抵抗の変化に
影響されずに、感光体を目標電位に設定することができ
る。
【0327】(第2の効果) 帯電抵抗Rrを用いて、補
正を加えながら帯電部材への最適な印加電圧を決定する
ので、帯電抵抗Rrでの電圧損失の影響を受けずに、感
光体を目標電位に設定することができる。
【0328】(第3の効果) 感光体に流れる電流と感光
体電位の比例係数kを測定し、更に帯電抵抗Rrを用い
て帯電部材への最適な印加電圧を決定するので、感光体
の膜摩耗の影響を受けず、感光体を目標電位に設定する
ことができる。
【0329】(第4の効果) 万一、帯電工程中の帯電部
材に流れる電流がリーク電流分を含んでいても、リーク
電流の影響を補正しながら、帯電部材への最適な印加電
圧を決定するので、感光体を目標電位に設定することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を説明するための第1および第
2参考例における画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施例に使用される帯電ローラの概略
構成図である。
【図3】本発明の実施例に使用される感光体の概略構成
図である。
【図4】本発明の実施例で用いた感光体における帯電電
流と表面電位の関係を示す図である。
【図5】帯電部材と感光体の帯電特性を測定するための
帯電試験機の概略構成図である。
【図6】第1参考例における電流測定のタイミングチャ
ートである。
【図7】第1参考例における電圧決定手順を示すフロー
チャートである。
【図8】第2参考例における電流測定のタイミングチャ
ートである。
【図9】第2参考例における電圧決定手順を示すフロー
チャートである。
【図10】本発明の第1,第2,第3および第4の実施
例における画像形成装置の概略構成図である。
【図11】本発明の第1の実施例における電流測定のタ
イミングチャートである。
【図12】本発明の第1の実施例における電圧決定手順
を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第2の実施例における電流測定のタ
イミングチャートである。
【図14】本発明の第2の実施例における電圧決定手順
を示すフローチャートである。
【図15】本発明の第3の実施例における電流測定のタ
イミングチャートである。
【図16】本発明の第3の実施例における電圧決定手順
を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第4の実施例における電流測定のタ
イミングチャートである。
【図18】本発明の第4の実施例における電圧決定手順
を示すフローチャートである。
【図19】本発明の実施例を説明するための第3参考例
における前回の帯電と今回の帯電との時間差が30秒のと
きの帯電電流と感光体表面電位の関係を示す図(a),前
回の帯電と今回の帯電との時間差が3分のときの帯電電
流と感光体表面電位の関係を示す図(b)である。
【図20】第3参考例における電流測定のタイミングチ
ャートである。
【図21】本発明の実施例を説明するための第4参考例
における電流測定箇所の概略構成図(a),感光体と接地
の間に挿入した10kΩ抵抗両端に発生する電圧から帯電
電流を測定する装置の概略構成図(b)である。
【図22】本発明の実施例を説明するための第5参考例
におけるカットオフ周波数が0.8Hzのローパスフィルタ
の回路図(a),ローパスフィルタを備えた電流測定箇所
を示す図(b)である。
【図23】第5参考例におけるローパスフィルタの周波
数特性を示す図である。
【図24】第5参考例におけるローパスフィルタを備え
ない電流測定箇所を示す図である。
【図25】本発明の実施例を説明するための第6参考例
における制御手段作動のタイミングを管理する装置の概
略構成図である。
【図26】第6参考例における制御手段作動の手順を示
すフローチャートである。
【図27】第6参考例における制御手段の緊急停止モー
ドのフローチャートである。
【符号の説明】
1…感光体、 2…帯電ローラ、 3…除電光、 4…
電源、 5…除電電源、10…制御手段、 11,12…電流
測定手段、 13…ローパスフィルタ、 14…アンプ、
15…時間管理手段、 16…異常事態検知手段、 31…現
像器、 32…転写ローラ、 33…クリーニングブレー
ド、 34…紙、 35…レーザ光源、 36…ミラー、 37
…転写電源、 41…表面電位測定プローブ、 42…表面
電位計。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長瀬 久典 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 審査官 ▲高▼橋 祐介 (56)参考文献 特開 平6−194933(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 13/02 G03G 15/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 公知の駆動手段により速度vpで循環移
    動する被帯電体と、前記被帯電体に接触または近接する
    帯電部材と、前記帯電部材に少なくとも2種類の電圧を
    選択的に印加する電源と、前記被帯電体を除電する除電
    手段と、前記帯電部材に流れる電流を測定する電流測定
    手段と、前記電源および前記除電手段を制御する制御手
    段とを備え、前記電流測定手段は、速度vpで循環移動
    しかつ前記除電手段により除電された前記被帯電体の表
    面に前記帯電部材の帯電領域が接触している状態で前記
    帯電部材に前記電源が第1の電圧Vin1を印加したとき
    発生する電流Ir1を測定し、続いて、前記状態で前記帯
    電部材に第2の印加電圧Vin2を印加したとき発生する
    電流Ir2を測定し、さらに、速度vpで循環移動する前
    記被帯電体上の1点が、前記除電手段からの除電作用を
    受ける領域から、前記帯電部材の帯電領域まで移動する
    のに要する時間をTjr、電流Ir2の測定終了時刻をT2
    としたとき、前記帯電部材に第2の印加電圧Vin2を印
    加した状態で、時刻(T2−Tjr)以降に前記除電手段に
    よる除電を停止し、除電されている被帯電体面と除電さ
    れていない被帯電体面との境界が、前記帯電部材の帯電
    領域に接触するかまたは最近接する時刻をT3とする
    と、時刻T3から前記被帯電体が1周するまでの間に、
    前記帯電部材に流れる電流Ir3を測定し、前記制御手段
    は、前記電流測定手段が測定した電流Ir1,Ir2および
    Ir3に基づいて帯電抵抗の演算を行い作画工程における
    前記被帯電体を所望電位にするための前記帯電部材に印
    加する最適電圧Vin_optを決定し前記電源を制御する
    とを特徴とする帯電装置。
  2. 【請求項2】 公知の駆動手段により速度vpで循環
    動する被帯電体と、前記被帯電体に接触または近接する
    帯電部材と、前記帯電部材に少なくとも2種類の電圧を
    選択的に印加する電源と、前記被帯電体を除電する除電
    手段と、前記帯電部材に流れる流を測定する電流測定
    手段と、前記電源および前記除電手段を制御する制御手
    段とを備え、前記電流測定手段は、速度vpで循環移動
    しかつ前記除電手段により除電された前記被帯電体の表
    面に前記帯電部材の帯電領域が 接触している状態で前記
    帯電部材に前記電源が第1の電圧Vin1を印加したとき
    発生する電流Ir1を測定し、続いて、前記状態で前記帯
    電部材に第2の印加電圧Vin2を印加したとき発生する
    電流Ir2を測定し、さらに、速度vpで循環移動する前
    記被帯電体上の1点が、前記除電手段からの除電作用を
    受ける領域から、前記帯電部材の帯電領域まで移動する
    のに要する時間をTjr、電流Ir2の測定終了時刻をT2
    としたとき、前記帯電部材に第2の印加電圧Vin2を印
    加した状態で、時刻(T2−Tjr)以降に前記除電手段に
    よる除電を停止し、除電されている被帯電体面と除電さ
    れていない被帯電体面との境界が、前記帯電部材の帯電
    領域に接触するかまたは最近接する時刻をT3とする
    と、時刻T3から前記被帯電体が1周するまでの間に、
    前記帯電部材に流れる電流Ir3、および時刻T3から前
    記被帯電体が1周以上するときに前記帯電部材に流れる
    電流Ir4を測定し、前記制御手段は、前記電流測定手段
    が測定した電流Ir1,Ir2,Ir3およびIr4に基づいて
    帯電抵抗の演算を行い作画工程における前記被帯電体を
    所望電位にするための前記帯電部材に印加する最適電圧
    Vin_optを決定し前記電源を制御することを特徴とする
    帯電装置。
  3. 【請求項3】 公知の駆動手段により速度vpで循環移
    動する被帯電体と、前記被帯電体に接触または近接する
    帯電部材と、前記帯電部材に電を印加する電源と、前
    記被帯電体を除電する除電手段と、前記帯電部材に流れ
    る電流を測定する電流測定手段と、前記電源および前記
    除電手段を制御する制御手段とを備え、前記電流測定手
    段は、速度vpで循環移動しかつ前記除電手段により除
    電された前記被帯電体の表面に前記帯電部材の帯電領域
    が接触している状態で前記帯電部材に前記電源が第1の
    電圧Vin1を印加したとき発生する電流Ir1を測定し
    らに、速度vpで循環移動する前記被帯電体上の1点
    が、前記除電手段からの除電作用を受ける領域から、前
    記帯電部材の帯電領域まで移動するのに要する時間をT
    jr、電流Ir1の測定終了時刻をT2としたとき、前記帯
    電部材に印加電圧Vin1を印加した状態で、時刻(T2−
    Tjr)以降に前記除電手段による除電を停止し、除電さ
    れている被帯電体面と除電されていない被帯電体面との
    境界が、前記帯電部材の帯電領域に接触するかまたは最
    近接する時刻をT3とすると、時刻T3から前記被帯電体
    が1周するまでの間に、前記帯電部材に流れる電流Ir3
    を測定し、前記制御手段は、前記電流測定手段が測定し
    た電流Ir1およびIr3に基づいて帯電抵抗の演算を行い
    作画工程における前記被帯電体を所望電位にするための
    前記帯電部材に印加する最適電圧Vin_optを決定し前記
    電源を制御することを特徴とする帯電装置。
  4. 【請求項4】 公知の駆動手段により速度vpで循環移
    動する被帯電体と、前記被帯電体に接触または近接する
    帯電部材と、前記帯電部材に電を印加する電源と、前
    記被帯電体を除電する除電手段と、前記帯電部材に流れ
    る電流を測定する電流測定手段と、前記電源および前記
    除電手段を制御する制御手段とを備え、前記電流測定手
    段は、速度vpで循環移動しかつ前記除電手段により除
    電された前記被帯電体の表面に前記帯電部材の帯電領域
    が接触している状態で前記帯電部材に前記電源が第1の
    電圧Vin1を印加したとき発生する電流Ir1を測定し
    らに、速度vpで循環移動する前記被帯電体上の1点
    が、前記除電手段からの除電作用を受ける領域から、前
    記帯電部材の帯電領域まで移動するのに要する時間をT
    jr、電流Ir1の測定終了時刻をT2としたとき、前記帯
    電部材に印加電圧Vin1を印加した状態で、時刻(T2−
    Tjr)以降に前記除電手段による除電を停止し、除電さ
    れている被帯電体面と除電されていない被帯電体面との
    境界が、前記帯電部材の帯電領域に接触するかまたは最
    近接する時刻をT3とすると、時刻T3から前記被帯電体
    が1周するまでの間に、前記帯電部材に流れる電流Ir
    3、および時刻T3から前記被帯電体が1周以上するとき
    に前記帯電部材に流れる電流Ir4を測定し、前記制御手
    段は、前記電流測定手段が測定した電流Ir1,Ir3およ
    びIr4に基づいて帯電抵抗の演算を行い作画工程におけ
    る前記被帯電体を所望電位にするための前記帯電部材に
    印加する最適電圧Vin_optを決定し前記電源を制御する
    ことを特徴とする帯電装置。
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