JP2010285678A - 銅複合粒子の製造方法、複合金属銅粒子の製造方法、銅ペーストおよび金属銅導体の製造方法 - Google Patents

銅複合粒子の製造方法、複合金属銅粒子の製造方法、銅ペーストおよび金属銅導体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】体積抵抗率が低く抑えられた銅の金属銅導体を形成できる銅複合粒子および複合金属銅粒子の製造方法、該銅複合粒子または複合金属銅粒子を含む銅ペーストおよび該銅ペーストを用いた金属銅導体の製造方法を提供する。
【解決手段】一次粒子の平均粒子径が1〜20μmである金属銅粒子の表面に二次粒子の平均粒子径が20〜350nmである水素化銅微粒子が付着した銅複合粒子で、(I)水溶性銅化合物が溶媒中に溶解した溶液と還元剤とから、二次粒子の平均粒子径が20〜350nmである水素化銅微粒子が生成する反応系を形成し、(II)前記反応系中に、一次粒子の平均粒子径が1〜20μmである金属銅粒子を存在させて、前記金属銅粒子表面に水素化銅微粒子が付着した銅複合粒子を生成させ、(III)前記銅複合粒子を前記反応系から分離することで得られる銅複合粒子を使用する。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属銅粒子の表面に水素化銅微粒子が付着した銅複合粒子の製造方法、金属銅の微粒子が付着した金属銅粒子からなる複合金属銅粒子の製造方法、該銅複合粒子または該複合金属銅粒子を含む銅ペーストおよび該銅ペーストを用いた金属銅導体の製造方法に関する。
銀の粉末を含む銀ペーストを基材上に所望の配線パターン状に塗布、焼成して、所望の配線パターンの金属銀導体を有するプリント基板等を製造する方法が知られている。しかし、銀の金属導体は、イオンマイグレーションを起こしやすい。
そのため、電子機器の信頼性を考慮して、銀ペーストの代わりに銅ペーストを用いることが検討されている。銅ペーストとしては、例えば、平均粒子径1〜100nmの範囲にある銅微粒子や酸化銅微粒子と、平均粒子径0.5〜10μmの範囲にある混合銅粉と、バインダ樹脂、そして有機溶剤を添加してなる銅ペーストが提案されている(特許文献1)。
特開平10−021744号公報
銅は酸化されやすい金属であり、銅ペーストに使用される銅粒子は表面に酸化皮膜が形成されやすい。酸化銅は電気伝導性が低いため、銅ペーストから形成された金属銅導体は、体積抵抗率が高くなりやすいという問題があった。また、表面に酸化皮膜を有する銅粒子は銅ペーストの焼成する際に焼成が進みにくく、銅粒子同士の焼結が不充分となりやすい。この理由によっても、銅ペーストを焼成してなる金属銅導体の体積抵抗率は高くなりやすい。
前記特許文献1に記載された銅ペーストは、0.5〜10μmの混合銅粉と1〜100nmの銅微粒子や酸化銅微粒子とをバインダ樹脂等とともに混合して製造されている。銅微粒子や酸化銅微粒子の作用効果は、銅ペーストの粘度を調整すること、および、基板へ反応接着して混合銅粉を焼き締めること、にあるとされている。しかし、銅ペーストを焼成して得られる金属銅導体の電気伝導性については充分検討されていない。
そこで、本発明は、従来のものより体積抵抗率が低く抑えられた金属銅導体を形成できる、銅複合粒子の製造方法、複合金属銅粒子の製造方法、該銅複合粒子または該複合金属銅粒子を含む銅ペーストおよび該銅ペーストを用いた金属銅導体の製造方法の提供を目的とする。
本発明の銅複合粒子の製造方法は、一次粒子の平均粒子径が1〜20μmである金属銅粒子の表面に二次粒子の平均粒子径が20〜350nmである水素化銅微粒子が付着した銅複合粒子を製造する方法であって、次の発明特定事項(I)〜(III)を有することを特徴とする。
(I)水溶性銅化合物が溶媒中に溶解した溶液と還元剤とから、二次粒子の平均粒子径が20〜350nmである水素化銅微粒子が生成する反応系を形成すること。
(II)水素化銅微粒子生成前、水素化銅微粒子生成途中または水素化銅微粒子生成後の前記反応系中に、一次粒子の平均粒子径が1〜20μmである金属銅粒子を存在させて、前記金属銅粒子表面に水素化銅微粒子が付着した銅複合粒子を生成させること。
(III)前記銅複合粒子を前記反応系から分離すること。
本発明の複合金属銅粒子の製造方法は、上記の製造方法によって得られた銅複合粒子を60〜120℃に加熱して銅複合粒子中の水素化銅を金属銅に変換することにより、一次粒子の平均粒子径が1〜20μmである金属銅粒子の表面に二次粒子の平均粒子径が20〜350nmである金属銅の微粒子が付着した複合金属銅粒子を製造することを特徴とする。
本発明の銅ペーストは、前記製造方法によって得られた銅複合粒子と樹脂バインダとを含む、銅ペーストである。また、本発明の銅ペーストは、上記製造方法によって得られた複合金属銅粒子と樹脂バインダとを含む、銅ペーストである。
本発明の銅ペーストの製造方法は、前記製造方法によって得られた銅複合粒子と樹脂バインダとを混合すること、および前記混合時点以降に銅複合粒子を60℃以上に加熱することを特徴とする。
本発明の金属銅導体の製造方法は、前記銅ペーストを、基材上に塗布し、焼成して金属銅の導体を形成することを特徴とする。
本発明によれば、体積抵抗率が低く抑えられた金属銅の導体を形成できる銅複合粒子、複合金属銅粒子および銅ペーストが得られる。
本発明により得られる複合金属銅粒子を含む銅ペーストを用いることで、体積抵抗率を低く抑えられた金属銅の導体を形成することができる。
本発明により得られる銅ペーストを用いて形成した金属銅の導体が何故に上記効果を奏するのかについて必ずしも明らかではないが、次のように推定される。すなわち、金属銅粒子粉末を含む銅ペーストを調製する直前に、金属銅粒子表面に付着する水素化銅微粒子を金属銅の微粒子に変換して、酸素との接触時間を短くすることで、金属銅の微粒子および金属銅粒子の酸化を防ぐことができる。さらに、金属銅粒子の表面に金属銅の微粒子を付着させることで、銅ペーストにして、基材に塗布し、焼成して金属銅の導体を形成する際に、複合金属銅粒子同士の焼結が促進されるため、得られる金属銅の導体の体積抵抗率が低くなり、優れた効果を奏すると考えられる。また、粒子表面に付着させた粒子が極めて粒子径の小さい微粒子であるために、水素化銅から金属銅に低い温度で変換でき、かつ体積抵抗率が低い金属銅導体を低い温度で形成することができると考えられる。
例1で得られた複合金属銅粒子を撮影したSEM像である。 例12で得られた混合物を撮影したSEM像である。
(銅複合粒子)
本発明の銅複合粒子は、金属銅粒子の表面の少なくとも一部に水素化銅の微粒子が付着しているものである。
金属銅粒子の表面に微粒子で付着していることは、走査型電子顕微鏡(以下、SEMと記す。)像を観察し、金属銅粒子の表面の少なくとも一部に複数の水素化銅の微粒子が付着していることから確認できる。金属銅粒子と水素化銅微粒子とを単に混合した場合では、金属銅粒子の集合体と水素化銅微粒子の集合体とが個別に存在した混合物が得られるだけであり、本発明で得られるような、金属銅粒子の表面に水素化銅微粒子が付着した銅複合粒子を得ることはできない。
なお、本発明において、金属銅粒子の表面に付着した水素化銅微粒子の同定は、X線回折装置(リガク社製、TTR−III)にて行った。
(金属銅粒子)
金属銅粒子としては、銅ペーストに一般的に用いられる公知の銅粒子が挙げられる。本発明において、金属銅粒子は、特に記載がない限り、一次粒子であり、また粒子形状は、球状であっても、板状であっても良い。
金属銅粒子の平均粒子径は、1〜20μmであり、1〜10μmが好ましい。金属銅粒子の平均粒子径が1μm以上であれば、銅ペーストの流動特性が良好となる。金属銅粒子の平均粒子径が20μm以下であれば、微細配線が作製しやすくなる。
金属銅粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(以下、TEMと記す。)像またはSEM像の中から無作為に選ばれた100個の金属銅粒子の粒子径を測定し、平均することにより算出する。
(水素化銅微粒子)
本発明において、水素化銅微粒子は、特に記載がない限り、二次粒子であり、また粒子形状は、球状であっても、板状であっても良い。水素化銅微粒子の平均粒子径は、20〜350nmであり、30〜300nmがより好ましく、50〜200nmがさらに好ましく、80〜150nmが特に好ましい。この水素化銅微粒子の二次粒子は、1〜20nm程度の一次粒子が凝集して形成される。またこの二次粒子がさらに凝集して板状や球状などの凝集体を形成することがある。水素化銅微粒子の平均粒子径が20nm以上であれば、水素化銅微粒子の融着・成長に伴う体積収縮により金属導体に生じるクラックが発生しにくい。水素化銅微粒子の平均粒子径が350nm以下であれば、表面積が充分に増加するため、表面融解が起こりやすくなり、また、緻密な金属膜を形成できることから導電性の向上が期待できる。
水素化銅微粒子の平均粒子径は、TEM像またはSEM像の中から無作為に選ばれた100個の水素化銅微粒子の粒子径を測定し、平均することにより算出する。
水素化銅微粒子の量は、金属銅粒子に対して、5〜50質量%が好ましく、10〜35質量%がより好ましい。水素化銅微粒子の量が5質量%以上であれば、金属銅粒子間の導電パスを増やすことができ、金属導体の体積抵抗率が低く抑えられる。水素化銅微粒子の量が50質量%以下であると、微粒子の添加に伴う銅ペーストの流動性を向上させることができる。
本発明において、金属銅粒子の表面に付着した水素化銅微粒子の量は、還元剤を加える前の水溶性銅化合物溶液中の銅イオン濃度と水素化銅微粒子生成終了後の反応液中に残存する銅イオン濃度の差から算出できる。
(銅複合粒子の製造方法)
本発明の銅複合粒子の製造方法は、次の発明特定事項(I)〜(III)を有する。
発明特定事項(I):水溶性銅化合物が溶媒中に溶解した溶液と還元剤とから、二次粒子の平均粒子径が20〜350nmである水素化銅微粒子が生成する反応系を形成すること。
水溶性銅化合物としては、硫酸銅、硝酸銅、ギ酸銅、酢酸銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅等が挙げられる。
水溶性銅化合物の濃度は、溶液100質量%中、0.1〜30質量%が好ましい。溶液中の水溶性銅化合物の濃度が0.1質量%以上であれば、水の量が抑えられ、また、水素化銅微粒子の生産効率が良好となる。溶液中の水溶性銅化合物の濃度が30質量%以下であれば、水素化銅微粒子の収率が高くなる傾向が見られる。
水溶性銅化合物が溶解した溶液である水溶性銅化合物溶液の溶媒は、水溶性銅化合物が溶解する溶媒であれば特に限定されないが、なかでも水が好ましい。また溶液のpHは3以下であると好ましい。溶液のpHを調整する酸としては、ギ酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、酢酸、プロピオン酸、硫酸、硝酸、塩酸等を用いることができる。溶液のpHを3以下に調整することにより、溶液中の銅イオンと水素イオンが還元剤により同時に還元されやすくなり、水素化銅微粒子が生成しやすい傾向がある。水溶液のpHが3を超えると、金属銅の微粒子が生成しやすくなる傾向がある。なかでも水溶液のpHは、水素化銅微粒子を優先的に生成できるため、0.5〜2.0がより好ましい。
pHを調整する酸としてはギ酸が好ましい。ギ酸を用いることにより、本発明の銅ペーストは、導電性がより高い金属銅導体を形成できる。導電性の高くなる理由としては、還元性(すなわち−CHO基)を有するギ酸によって、銅微粒子の酸化が抑制され、導電性のない酸化銅が生成し難いためであると考えられる。
銅イオンは酸性下で還元剤により還元され、水素化銅微粒子が成長して、二次粒子の平均粒子径が20〜350nmである水素化銅微粒子が生成する。
還元剤としては、特に限定されないが、なかでも金属水素化物、次亜リン酸およびアミンボランからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、具体的には水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウム、水素化カリウム、水素化カルシウム、次亜リン酸およびアミンボランからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、反応性の観点から次亜リン酸およびアミンボランの少なくともいずれかが特に好ましい。またアミンボランとしてはジメチルアミンボランがより好ましい。
還元剤の添加量は、銅イオンに対して1.2〜10倍当量数が好ましい。還元剤の添加量が銅イオンに対して1.2倍当量数以上であれば、還元作用が充分となる。還元剤の添加量が銅イオンに対して10倍当量数以下であれば、水素化銅微粒子に含まれる不純物(ナトリウム、ホウ素、リン等。)の量が抑えられる。
また、還元剤は、水などの溶媒に溶解して溶液とし、この還元剤溶液を水溶性銅化合物溶液と混合して反応系を形成することができる。また、粉末などの固体状態の還元剤を水溶性銅化合物溶液に添加して反応系を形成することもできる。
発明特定事項(II):水素化銅微粒子生成前、水素化銅微粒子生成途中または水素化銅微粒子生成後の前記反応系中に、一次粒子の平均粒子径が1〜20μmである金属銅粒子を存在させて、前記金属銅粒子表面に水素化銅微粒子が付着した銅複合粒子を生成させること。
反応系とは、水素化銅微粒子が生成する系を意味し、具体的には水溶性銅化合物が溶解した溶液に還元剤を加えて形成された系、水溶性銅化合物の溶液と還元剤とが共存し水素化銅微粒子の生成反応が進んでいる状態の系、水素化銅粒子の生成反応が終了し生成した水素化銅粒子が分散している状態の系を意味する。したがって、生成した水素化銅粒子を単離して新たに分散媒に分散させて分散液とした場合、その分散液中の水素化銅粒子は反応系に存在する水素化銅微粒子ではない。これら反応系には、通常、水溶性銅化合物溶液の溶媒(通常は水)が存在し、その溶媒中に溶解した水溶性銅化合物(銅イオンや陰イオンなどからなる)や水素化銅が生成した後のイオンや残渣、還元剤やその分解物などが存在する。
水素化銅微粒子生成前の反応系に金属銅粒子を存在させるとは、反応系形成時点に金属銅粒子が存在していることを意味する。例えば、水溶性銅化合物溶液中に金属銅粒子を添加し、その後この金属銅粒子を含有する水溶性銅化合物溶液に還元剤を添加して反応系を形成する場合をいう。また、水素化銅微粒子生成後の反応系に金属銅粒子を存在させるとは、水素化銅粒子の新たな生成が生じない状態や既に生成している水素化銅粒子の新たな成長が生じない状態となった後の系に金属銅粒子を存在させることを意味する。例えば、反応系中の銅イオンや還元剤が消費されて水素化銅の生成反応が起こらなくなった後に金属銅粒子を添加する場合をいう。好ましくは、後述のように銅イオンが存在する反応系に金属銅粒子を添加する。この銅イオンが存在する反応系とは、予め金属銅粒子を添加した水溶性銅化合物溶液に還元剤を添加して形成された反応系を含む。通常は、水素化銅微粒子生成途中の反応系をいう。銅イオンが存在する反応系に金属銅粒子を添加する方法を用いることにより、得られる複合金属銅粒子の体積抵抗率の低くなる傾向が見られる。
反応系の温度は、60℃以下が好ましく、5〜60℃がより好ましく、20〜50℃が特に好ましい。反応系の温度が60℃以下であると水素化銅微粒子の分解が抑えられる傾向がある。
また金属銅粒子の添加は水溶性銅化合物溶液中に銅イオンが存在している段階で行うことが好ましい。銅イオンが存在していることは銅イオン電極や原子発光スペクトルによって銅イオン濃度を直接測定するだけでなく、水溶液の酸化還元電位を測定することによっても把握することができる。金属銅粒子の添加は反応系の酸化還元電位が100〜300mVSHEの範囲のときに行うことが好ましい。なおSHEとは標準水素電極を意味し、測定された酸化還元電位が標準水素電極を基準にして測定したことを表す。なお、本発明において酸化還元電位は全て標準水素電極を基準にして測定した。
金属銅粒子を加えるときの反応系に含まれる銅イオンの存在量は、還元剤を加える前の水溶性銅化合物溶液中のおける銅イオンの存在量(水溶性銅化合物は全てイオン化しているものとする)に対して、1〜100質量%が好ましく、5〜100質量%がより好ましい。
反応系に銅イオンが存在している状態で金属銅粒子を加えることによって金属銅粒子と水素化銅微粒子とが共存した状態で銅イオンを還元することができ、金属銅粒子と水素化銅微粒子とが強固に結合するため好ましい。
発明特定事項(III):前記銅複合粒子を前記反応系から分離すること。
分離することで銅複合粒子は粉末状態にできる。分離の手段は特に限定されない。具体的には遠心分離、ろ過などの方法が挙げられる。
分離された銅複合粒子の粉末は、必要により、洗浄等を行って精製することができる。また、上記分離に先立ち、溶媒置換などで反応系の溶媒やその溶媒に溶解している不純物(水溶性銅化合物の陰イオンや還元剤の分解物など)を除去することもできる。特に、反応系から分離した後の銅複合粒子の粉末を水などの洗浄液で洗浄し、銅複合粒子に付着している溶解性不純物を除去することが好ましい。
(複合金属銅粒子)
上記のようにして得られた銅複合粒子を60〜120℃に加熱して銅複合粒子の水素化銅を金属銅に変換することにより、一次粒子の平均粒子径が1〜20μmである金属銅粒子の表面に二次粒子の平均粒子径が20〜350nmである金属銅の微粒子が付着した複合金属銅粒子を製造することができる。水素化銅の金属銅への変換により、生成する金属銅微粒子が金属銅粒子表面から剥離することはなく、銅複合粒子とほぼ同じ構造の複合金属銅粒子が得られる。銅複合粒子の粉末を加熱することにより粉末状の複合金属銅粒子が得られる。なお、水素化銅微粒子の大きさと生成する金属銅微粒子の大きさは実質的に変わらないため、水素化銅微粒子に由来する複合金属銅粒子中の金属銅微粒子の平均粒子径は、水素化銅微粒子の平均粒子径とほぼ一致する。
上記のとおり、複合金属銅粒子にあっては、金属銅粒子の表面に金属銅微粒子が付着しているため、金属銅導体を形成する際に金属銅粒子間に金属銅微粒子が存在することになる。そのため、金属銅微粒子によって導電パスが確実に形成され、金属銅導体の体積抵抗率が低く抑えられる。また、複合金属銅粒子から独立して存在する余分な金属銅微粒子が存在しないため、銅ペーストにした際に、銅ペーストの粘度の増加を抑えることができる。
銅複合粒子の加熱は、−101〜−50kPaの減圧下で行うことが好ましい。該圧力が−101kPa以上であれば、大規模な装置を必要とせずに余分な溶媒(通常は水)を除去して乾燥させることができ、該圧力が−50kPa以下であれば、乾燥させるのに要する時間が短く、製造コストを抑えることができる。
加熱温度は60〜120℃である。該温度が60℃以上であれば、時間を短くできるため製造コストを抑えることができる。また該温度が120℃以下であれば、金属銅微粒子同士の融着を抑制でき、金属銅導体を形成させた際に、体積抵抗率の増加を抑えることができる。なかでも、加熱温度は60〜100℃が好ましく、60〜90℃がより好ましい。
加熱後の残存水分量は3質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましい。
なお、金属銅粒子と金属銅微粒子とを単に混合する場合、金属銅粒子の集合体と金属銅微粒子の集合体との混合物が得られるに過ぎず、本発明で得られる金属銅粒子の表面に金属銅微粒子が付着した複合金属銅粒子は得られない。
(銅ペースト)
本発明の銅ペーストは、銅複合粒子または複合金属銅粒子と、樹脂バインダとを含む。樹脂バインダとしては、金属ペーストに用いられる公知の樹脂バインダ(熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等。)等が挙げられ、焼成時の温度において充分な硬化がなされる樹脂成分を選択して用いることが好ましい。なお、銅ペーストの製造の際に通常は銅複合粒子や複合金属銅粒子が120℃を超える温度に加熱されることはないが、例え銅ペーストの製造の際に120℃を超える温度に加熱することが可能であっても、加熱温度は120℃以下とすることが金属銅微粒子同士の融着の抑制のために好ましい。
銅複合粒子と樹脂バインダとを混合して銅ペーストを製造する際に銅複合粒子を60℃以上に加熱することにより銅複合粒子を複合金属銅粒子に変換することができ、複合金属銅粒子を含む銅ペーストが得られる。また、たとえ銅複合粒子と樹脂バインダとを混合する際に銅複合粒子が複合金属銅粒子に変換されなかったとしても、その混合時点以降に銅複合粒子を60℃以上に加熱することにより複合金属銅粒子を有する銅ペーストを得ることができる。これら銅ペーストの製造の際の加熱温度やその後の加熱温度は60〜120℃が好ましく、60〜90℃がより好ましい。
さらに、銅複合粒子を含む銅ペーストであっても、金属銅導体を形成させる際には銅ペースト中の銅複合粒子は60℃以上に加熱されることより、銅複合粒子は複合金属銅粒子に変換され、その後複合金属銅粒子が焼結すると考えられる。銅ペーストから金属銅導体を形成させる際の焼成温度は通常60℃未満となることはない。したがって、本発明により得られる銅複合粒子は、そのままの状態で銅ペースト中に存在していてもよい。また、焼結では金属銅微粒子同士も融着させるものであるから、焼結温度は120℃を超えてもよい。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、オリゴエステルアクリレート樹脂、キシレン樹脂、ビスマレイドトリアジン樹脂、フラン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、オキセタン樹脂、オキサジン樹脂等が挙げられ、フェノー樹脂、エポキシ樹脂、オキサジン樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、熱可塑性樹脂ポリエステル樹脂等が挙げられる。
銅ペースト中の樹脂バインダの量は、銅複合粒子や複合金属銅粒子の体積とそれら粒子間に存在する空隙との比率に応じて適宜選択すればよく、通常、銅複合粒子や複合金属銅粒子に対して、5〜50質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。樹脂バインダの量が5質量%以上であれば、ペーストの流動特性が良好となる。樹脂バインダの量が50質量%以下であれば、金属導体の体積抵抗率が低く抑えられる。
本発明の銅ペーストは、必要に応じて、溶媒、公知の添加剤(レベリング剤、カップリング剤、粘度調整剤、酸化防止剤等。)等を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。
以上説明した本発明の銅ペーストにあっては、本発明により得られる銅複合粒子や複合金属銅粒子を含んでいるため、従来の銅ペーストに比べて体積抵抗率の低い金属銅導体を形成できる。
(金属銅導体)
本発明の金属銅導体は、基材と、該基材上に、本発明の銅ペーストを塗布、焼成して形成される金属銅からなる導体をいう。
基材としては、ガラス基板、プラスチック基材(ポリイミド樹脂基板、熱可塑性ポリエステル樹脂基板等。)、繊維強化複合材料(ガラス繊維強化樹脂基板等。)等が挙げられる。
塗布方法としては、スクリーン印刷、ロールコート法、エアナイフコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、ダイコート法、スライドコート法等の公知の方法が挙げられる。
焼成方法としては、温風加熱、熱輻射等の方法が挙げられる。
焼成温度および焼成時間は、金属導体に求められる特性に応じて適宜決定すればよい。なかでも焼成温度は、100〜300℃が好ましい。焼成温度が100℃以上であれば、複合金属銅粒子の焼結が進行しやすくなる。焼成温度が300℃以下であれば、金属導体を形成する基材としてプラスチックフィルムを用いることができる。
金属銅導体の体積抵抗率は、100μΩcm以下が好ましい。体積抵抗率が100μΩcmを超えると、電子機器用の導電体としての使用が困難となる場合がある。
以上説明した本発明に係る金属銅導体にあっては、金属導体を本発明の銅ペーストから形成しているため、従来の金属銅導体に比べて膜の体積抵抗率が低い。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
例1〜9は実施例であり、例10〜12は比較例である。
(酸化還元電位の測定)
酸化還元電位の測定は、酸化還元電位計(東亜電波工業社製、RM−12P)にて行った。
(平均粒子径)
金属銅粒子および水素化銅微粒子の平均粒子径は、SEM(日立ハイテック社製、S−4300)にて得られたTEM像の中から無作為に選ばれた100個の粒子の粒子径を測定し、平均することにより算出した。
なお、本実施例では、特に記載のない限り、金属銅粒子の平均粒子径は平均一次粒子径を表し、水素化銅微粒子の平均粒径は平均二次粒子径を表す。
(金属銅膜の厚さ)
金属銅膜(金属銅導体)の厚さは、DEKTAK3(Veeco metrology Group社製)を用いて測定した。
(金属銅膜の体積抵抗率)
金属銅膜(金属銅導体)の体積抵抗率は、四探針式体積抵抗率計(三菱油化社製、型式:lorestaIP MCP−T250)を用いて測定した。
〔例1〕
ガラス容器内にて、酢酸銅(II)水和物の115gを蒸留水の1700gおよびギ酸の30gで溶解して、銅イオンを含む水溶液を調製した。該水溶液のpHは2.7であった。
該水溶液を撹拌しながら、該水溶液を40℃に加熱し、50質量%の次亜リン酸水溶液の180gを添加した。添加後5分で水溶液の色が青色から緑色、褐色へと変化した。そのまま40℃で30分間攪拌した後、金属銅粉末(日本アトマイズ加工社製、HCX−Cu、平均粒子径:5μm)100gを添加し、さらに40℃で30分間攪拌した。金属銅粉末を添加する直前の水溶液の酸化還元電位は280mVSHEであった。
攪拌後にろ過によって粉末を回収して、蒸留水で3回洗浄を行った。洗浄後の粒子をX線回折で同定したところ、金属銅と水素化銅を含む粒子(銅複合粒子)であることを確認した。得られた銅複合粒子における水素化銅微粒子の量は、金属銅粒子に対して25質量%であった。洗浄後の銅複合粒子の粉末をナスフラスコに移して、−98kPa、80℃で60分間加熱して金属銅の微粒子が付着した金属銅粒子を得た。得られた複合金属銅粒子を撮影したSEM像を図1に示す。複合金属銅粒子をSEMで観察したところ、粒子表面に付着する金属銅微粒子の平均粒子径は100nmであることを確認した。また、残存水分量は0.5質量%であった。
非晶質ポリエステル樹脂(東洋紡績社製、バイロン103)0.135gをシクロヘキサノン(純正化学社製、特級)0.315gに溶解して樹脂バインダ溶液0.45gを得た。この樹脂バインダ溶液0.45gに、複合金属銅粒子粉末1.2gを加えて、混ぜ合わせて銅ペーストを得た。非晶質ポリエステル樹脂の添加量は複合金属銅粒子の粉末に対して、11.3質量%であった。
銅ペーストをガラス基板に塗布し、窒素ガス雰囲気下、150℃で1時間焼成し、厚さ30μmの金属銅膜を形成した。金属銅膜の体積抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
〔例2〕
50質量%次亜リン酸水溶液を添加する前に酢酸銅(II)水和物の水溶液に金属銅粒子を添加した以外は、例1と同様にして複合金属銅粒子を得た。金属銅粒子を添加する直前の酢酸銅(II)水和物の水溶液の酸化還元電位は290mVSHEであった。洗浄後の金属銅粒子の表面には水素化銅微粒子が付着していた。また得られた銅複合粒子における水素化銅微粒子の量は、金属銅粒子に対して25質量%であった。複合金属銅粒子表面の金属銅微粒子の平均粒子径は50nmであり、複合金属銅粒子の平均粒子径は5μmであった。
該複合金属銅粒子を用いた以外は、例1と同様にして銅ペーストを調製し、金属銅膜を形成した。金属銅膜の体積抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
〔例3〕
50質量%の次亜リン酸水溶液を添加した後、15分後に金属銅粒子を添加した以外は、例1と同様にして複合金属銅粒子の粉末を得た。金属銅粒子を添加する直前の酸化還元電位は285mVSHEであった。洗浄後の金属銅粒子の表面には水素化銅微粒子が付着していた。また得られた銅複合粒子における水素化銅微粒子の量は、金属銅粒子に対して25質量%であった。複合金属銅粒子表面の金属銅微粒子の平均粒子径は70nmであり、複合金属銅粒子の平均粒子径は5μmであった。
該複合金属銅粒子を用いた以外は、例1と同様にして銅ペーストを調製し、金属銅膜を形成した。金属銅膜の体積抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
〔例4〕
50質量%の次亜リン酸水溶液を添加した後、45分後に金属銅粒子を添加した以外は、例1と同様にして複合金属銅粒子を得た。金属銅粒子を添加する直前の酸化還元電位は200mVSHEであった。洗浄後の金属銅粒子の表面には水素化銅が付着していた。また得られた銅複合粒子における水素化銅微粒子の量は、金属銅粒子に対して25質量%であった。複合金属銅粒子表面の金属銅微粒子の平均粒子径は200nmであり、複合金属銅粒子の平均粒子径は5μmであった。
該複合金属銅粒子を用いた以外は、例1と同様にして銅ペーストを調製し、金属銅膜を形成した。金属銅膜の体積抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
〔例5〕
50質量%の次亜リン酸水溶液180gの代わりに10質量%のジメチルアミンボラン水溶液900gを添加した以外は、例1と同様にして複合金属銅粒子を得た。なお、本発明において、ジメチルアミンボランをDMABということがある。金属銅粒子を添加する直前の酸化還元電位は285mVSHEであった。洗浄後の金属銅粒子の表面には水素化銅が付着していた。また得られた銅複合粒子における水素化銅微粒子の量は、金属銅粒子に対して25質量%であった。複合金属銅粒子表面の金属銅微粒子の平均粒子径は70nmであり、複合金属銅粒子の平均粒子径は5μmであった。
該複合金属銅粒子を用いた以外は、例1と同様にして銅ペーストを調製し、金属銅膜を形成した。金属銅膜の体積抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
〔例6〕
洗浄後の銅複合粒子の乾燥温度を60℃にした以外は、例1と同様にして複合金属銅粒子を得た。複合金属銅粒子表面の金属銅微粒子の平均粒子径は90nmであり、複合金属銅粒子の平均粒子径は5μmであった。
該複合金属銅粒子を用いた以外は、例1と同様にして銅ペーストを調製し、金属銅膜を形成した。金属銅膜の体積抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
〔例7〕
洗浄後の銅複合粒子の乾燥温度を100℃にした以外は、例1と同様にして複合金属銅粒子を得た。複合金属銅粒子表面の金属銅微粒子の平均粒子径は110nmであり、複合金属銅粒子の平均粒子径は5μmであった。
該複合金属銅粒子を用いた以外は、例1と同様にして銅ペーストを調製し、金属銅膜を形成した。金属銅膜の体積抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
〔例8〕
50質量%の次亜リン酸水溶液を添加した後、60分後に金属銅粒子を添加した以外は、例1と同様にして複合金属銅粒子を得た。金属銅粒子を添加する直前の酸化還元電位は95mVSHEであった。洗浄後の金属銅粒子の表面には水素化銅が付着していた。また得られた銅複合粒子における水素化銅微粒子の量は、金属銅粒子に対して25質量%であった。複合金属銅粒子表面の金属銅微粒子の平均粒子径は300nmであり、複合金属銅粒子の平均粒子径は5μmであった。
該複合金属銅粒子を用いた以外は、例1と同様にして銅ペーストを調製し、金属銅膜を形成した。金属銅膜の体積抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
〔例9〕
加熱温度を120℃にした以外は、例1と同様にして複合金属銅粒子を得た。複合金属銅粒子表面の金属銅微粒子の平均粒子径は210nmであり、複合金属銅粒子の平均粒子径は5μmであった。
該複合金属銅粒子を用いた以外は、例1と同様にして銅ペーストを調製し、金属銅膜を形成した。金属銅膜の体積抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
〔例10〕(比較例)
酢酸銅(II)を添加しなかった以外は、例1と同様にして金属銅粒子を得た。金属銅粒子が分散した液のpHは2.9であった。金属銅粒子を添加する直前の酸化還元電位は50mVSHEであった。洗浄後の粒子は金属銅粒子であり、加熱後の金属銅粒子の表面には金属銅の微粒子は存在していなかった。得られた金属銅粒子の平均粒子径は5μmであった。
該金属銅粒子を用いた以外は、例1と同様にして銅ペーストを調製し、金属銅膜を形成した。金属銅膜の体積抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
〔例11〕(比較例)
50質量%の次亜リン酸水溶液180gの代わりに10質量%のジメチルアミンボラン水溶液900gを添加し、ギ酸の代わりに28質量%のアンモニア水を加えてpHを4にした以外は、例1と同様にして金属銅の粒子を得た。金属銅粒子を添加する直前の酸化還元電位は245mVSHEであった。洗浄後の粒子は金属銅のみからなり、水素化銅の微粒子は存在していなかった(金属銅の微粒子が生成)。加熱後の金属銅粒子の表面に付着する金属銅微粒子の平均粒子径は400nmであり、金属銅粒子の平均粒子径は5μmであった。
該金属銅粒子粉末を用いた以外は、例1と同様にして銅ペーストを調製し、金属銅膜を形成した。金属銅膜の体積抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
〔例12〕(比較例)
ガラス容器内にて、酢酸銅(II)水和物の115gを蒸留水の1700gおよびギ酸の30gで溶解して、銅イオンを含む水溶液を調製した。該水溶液のpHは2.7であった。
該水溶液を撹拌しながら、該水溶液を40℃に加熱し、50質量%の次亜リン酸水溶液の180gを添加した。添加後5分で水溶液の色が青色から緑色、褐色へと変化した。そのまま40℃で30分間攪拌した後、ろ過によって微粒子を回収し、蒸留水で3回洗浄を行った。
洗浄後の微粒子をX線回折で同定したところ、水素化銅であることを確認した。洗浄後の水素化銅微粒子をナスフラスコに移して、−98kPa、80℃で60分間加熱した。加熱後の金属銅微粒子をSEMで観察したところ、その平均粒子径は100nmであった。また、残存水分量は0.5質量%であった。
作製した金属銅微粒子に金属銅粒子(日本アトマイズ加工社製、HCX−Cu、平均粒子径:5μm)100gを添加し、窒素中で30分間攪拌して金属銅微粒子と金属銅粒子との混合物を作製した。得られた混合物を撮影したSEM像を図2に示す。このSEM像に示すように、金属銅微粒子は金属銅粒子の表面に付着しておらず、金属銅微粒子の凝集体と金属銅粒子の凝集体との混合物であった。
例1の複合金属銅粒子粉末の代わりに、金属銅微粒子と金属銅粒子との混合物を用いた以外は、例1と同様にして銅ペーストを調製し、金属銅膜を形成した。また金属銅膜の体積抵抗率を測定した。その結果を表1に示す。
なお、表1に記載の原料液pHとは、還元剤を加える直前の水溶性銅化合物溶液のpHを表す。また付着物とは金属銅粒子の表面に付着している付着物を表す。「付着物の平均粒子径」とは各例で得られた銅複合粒子等を加熱処理した後の金属銅粒子の表面に付着している付着物の二次粒子の平均粒子径を表す。
本発明により得られる銅複合粒子、複合金属銅粒子および銅ペーストは、金属銅導体形成のための様々な用途に利用でき、例えば、プリント配線板等における配線パターンの形成および修復、半導体パッケージ内の層間配線、プリント配線板と電子部品との接合等の用途に利用できる。

Claims (11)

  1. 一次粒子の平均粒子径が1〜20μmである金属銅粒子の表面に二次粒子の平均粒子径が20〜350nmである水素化銅微粒子が付着した銅複合粒子を製造する方法であって、
    (I)水溶性銅化合物が溶媒中に溶解した溶液と還元剤とから、二次粒子の平均粒子径が20〜350nmである水素化銅微粒子が生成する反応系を形成すること、
    (II)水素化銅微粒子生成前、水素化銅微粒子生成途中または水素化銅微粒子生成後の前記反応系中に、一次粒子の平均粒子径が1〜20μmである金属銅粒子を存在させて、前記金属銅粒子表面に水素化銅微粒子が付着した銅複合粒子を生成させること、
    (III)前記銅複合粒子を前記反応系から分離すること、
    を特徴とする銅複合粒子の製造方法。
  2. 銅複合粒子に含まれる水素化銅微粒子の量が、金属銅粒子に対して、5〜50質量%である請求項1に記載の銅複合粒子の製造方法。
  3. 水溶性銅化合物が溶解した溶液のpHが3以下である、請求項1または2に記載の銅複合粒子の製造方法。
  4. 金属銅粒子を、液の酸化還元電位が100〜300mVSHEにある反応系に加える、請求項1〜3のいずれかに記載の銅複合粒子の製造方法。
  5. 前記反応系の温度が60℃以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の銅複合粒子の製造方法。
  6. 還元剤が、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウム、水素化カリウム、水素化カルシウム、次亜リン酸及びアミンボランからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載の銅複合粒子の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の銅複合粒子の製造方法によって得られた銅複合粒子を60〜120℃に加熱して銅複合粒子中の水素化銅を金属銅に変換することにより、一次粒子の平均粒子径が1〜20μmである金属銅粒子の表面に二次粒子の平均粒子径が20〜350nmである金属銅の微粒子が付着した複合金属銅粒子を製造することを特徴とする複合金属銅粒子の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の銅複合粒子の製造方法によって得られた銅複合粒子と、樹脂バインダとを含む、銅ペースト。
  9. 請求項7に記載の複合金属銅粒子の製造方法により得られた複合金属銅粒子と、樹脂バインダとを含む、銅ペースト。
  10. 請求項1〜6のいずれかに記載の銅複合粒子の製造方法によって得られた銅複合粒子と樹脂バインダとを混合すること、および前記混合時点以降に銅複合粒子を60℃以上に加熱することを特徴とする銅ペーストの製造方法。
  11. 請求項8または9に記載の銅ペーストを、基材上に塗布し、焼成して金属銅の導体を形成する、金属銅導体の製造方法。
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