JP2010281027A - ポリアミドフィラメント - Google Patents
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Abstract
【課題】強度、透明性、延伸性に優れたポリアミド樹脂から得られたフィラメントを提供する。
【解決手段】ペンタメチレンジアミンを主要成分として含有する脂肪族ジアミンと、アジピン酸を主要成分として含有するジカルボン酸を重縮合して得られるポリアミド樹脂を用いて得られた強度、透明性、延伸性に優れたフィラメント。
【選択図】なし
【解決手段】ペンタメチレンジアミンを主要成分として含有する脂肪族ジアミンと、アジピン酸を主要成分として含有するジカルボン酸を重縮合して得られるポリアミド樹脂を用いて得られた強度、透明性、延伸性に優れたフィラメント。
【選択図】なし
Description
本発明は、ペンタメチレンジアミンを主要成分として含有する脂肪族ジアミンと、アジピン酸を主要成分として含有するジカルボン酸から得られるポリアミド樹脂を用いた、強度、透明性、延伸性に優れたポリアミドフィラメントに関する。
従来、フィラメントは、釣り糸、魚網、ガットや、また衣類、カーペットなどに用いる織布の材料として用いられており、そしてこれらフィラメントの原料樹脂としては、強度、透明性、延伸性に優れた樹脂としてポリアミド樹脂が多用されている。ポリアミド樹脂には多くの種類があるが、代表的なものとして、ε−カプロラクタムから得られる6ナイロンや、ヘキサメチレンジアミン・アジピン酸塩から得られる66ナイロン等が挙げられる。
釣り糸や魚網用途は、強度並びに透明性、柔軟性が重要な要求特性であり、様々な改良がなされている(特許文献1、2参照)。
従来からポリアミド樹脂は、強度、延伸性、透明性の改善がなされてはきたが、その多くは主成分のポリアミド樹脂に第2、第3の樹脂成分を共重合して改質を図った2元または3元共重合ポリアミド樹脂であった。共重合によりポリアミドを改質する場合には、その共重合組成の割合を変更したり(例えば非特許文献1参照)、また同一の共重合組成でも製造条件を特定化することでポリマーの繰返し単位や融点等が改良されたポリアミド樹脂が提案されている(例えば特許文献3、4参照)。
従来からポリアミド樹脂は、強度、延伸性、透明性の改善がなされてはきたが、その多くは主成分のポリアミド樹脂に第2、第3の樹脂成分を共重合して改質を図った2元または3元共重合ポリアミド樹脂であった。共重合によりポリアミドを改質する場合には、その共重合組成の割合を変更したり(例えば非特許文献1参照)、また同一の共重合組成でも製造条件を特定化することでポリマーの繰返し単位や融点等が改良されたポリアミド樹脂が提案されている(例えば特許文献3、4参照)。
ポリアミド樹脂ハンドブックP337 図9.4(福本修)日刊工業新聞社
しかし、上述した様な共重合ポリアミド樹脂は、その製造工程の制御が極めて煩雑であり、化学工業規模での生産を行う際、安定した品質のポリアミド樹脂を量産することが困難であるという問題があった。更に、この様なポリアミド樹脂の製造には主として化石原料が用いられているので、その製造の際に出される炭酸ガスなどによる環境への負荷が懸念され、また石油代替資源への切り替えと言う観点から、近年、生物由来の資源、いわゆるバイオマスを原料とするポリアミドフィラメントが強く要求されているが、実現されていなかった。
そこで本発明者らは、バイオマスを原料とするポリアミド樹脂からなるフィラメントについて鋭意検討した結果、アミノ酸の一種であるリジンを原料として、リジンと、リジン脱炭酸酵素との反応によって得られるペンタメチレンジアミンを主要成分として含有する脂肪族ジアミンと、アジピン酸を主要成分として含有するジカルボン酸とから得られるポリアミド樹脂をフィラメントとした際、第2成分を共重合しなくとも、強度、延伸性、透明性が同時に優れるフィラメントとなることを見出した。更に、リジン脱炭酸によりぺンタメチレンジアミンを得る際に、ジカルボン酸存在下にて反応を行い、ペンタメチレンジアミンをジカルボン酸塩とし、これを重縮合して得られたポリアミド樹脂が、特に優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明の要旨は、ペンタメチレンジアミンを主要成分として含有する脂肪族ジアミンと、アジピン酸を主要成分として含有するジカルボン酸を重縮合して得られるポリアミド樹脂を含むポリアミドフィラメントに存する。
本発明のポリアミドフィラメントは、強度、延伸性、透明性の諸特性に優れており、釣り糸、魚網、ガットなどの他、衣類、カーペットなどに用いる織布の材料等へ幅広く使用でき、更にバイオマス由来であることから、環境負荷低減の効果も期待できる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、ペンタメチレンジアミンを主要成分として含有する脂肪族ジアミンと、アジピン酸を主要成分として含有するジカルボン酸を重縮合して得られるポリアミド樹脂を含むポリアミドフィラメントに存する。本発明において「主要成分」とは、構成成分のうちの90重量%以上、好ましくは95重量%以上含まれている成分を言う。従って、「ペンタメチレンジアミンを主要成分として含有する脂肪族ジアミン」とは、ペンタメチレンジアミンを90重量%以上、好ましくは95重量%以上含む脂肪族ジアミンであり、「アジピン酸を主要成分として含有するジカルボン酸」とはアジピン酸を90重量%以上、好ましくは95重量%以上含むジカルボン酸である。
本発明のフィラメントに用いるポリアミド樹脂の重合方法は特に制限はなく、従来公知の任意の方法から適宜選択、決定し、使用することが出来る。例えば製造方法の一例としては、ペンタメチレンジアミンとアジピン酸との水溶液を高温高圧で加熱し、脱水反応を進行させる加熱重合法や、ペンタメチレンジアミンとアジピン酸を加圧加熱重合して低次縮合物を得た後、その低次縮合物を高分子量化する方法等が挙げられる。またペンタメチレンジアミンを溶解した水等の水性溶媒と、アジピン酸クロリド等のアジピン酸塩を水性溶媒と相溶性の低い有機溶媒に溶解させた溶液とを接触させ、これらの界面で重縮合させる方法(界面重合法)等も挙げられる。中でも、化学工業的に製造する為には加熱重合法による製造方法が好ましい。
ポリアミド樹脂の製造に用いる脂肪族ジアミンやジカルボン酸等の原料の形態は任意である。例えば脂肪族ジアミンとしては、遊離したペンタメチレンジアミンを用いてもよいが、ジカルボン酸と反応させてジカルボン酸塩としたものを原料として用いると、取り扱いが簡便となるので好ましい。
ポリアミド樹脂の製造方法として、加熱重合法を例にして説明する。加熱重合法に於いては、例えばペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩を調製し、水の共存下でこの塩を加熱して脱水反応を進行させる方法が好ましい。得られたポリアミド樹脂は、加熱重縮合後、さらに固相重合することによって、分子量を上昇させることも可能である。固相重合は、例えば100℃〜融点の温度範囲で、真空中あるいは不活性ガス中で加熱することにより進行する。
ポリアミド樹脂の製造方法として、加熱重合法を例にして説明する。加熱重合法に於いては、例えばペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩を調製し、水の共存下でこの塩を加熱して脱水反応を進行させる方法が好ましい。得られたポリアミド樹脂は、加熱重縮合後、さらに固相重合することによって、分子量を上昇させることも可能である。固相重合は、例えば100℃〜融点の温度範囲で、真空中あるいは不活性ガス中で加熱することにより進行する。
本発明のフィラメントに用いるポリアミド樹脂の重合度は、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択し、決定すればよい。一般的には相対粘度が低すぎると実用的強度が不十分で有る場合があり、また高すぎてもポリアミド樹脂の流動性が低下し、成形加工性が損なわれる場合があるので、その相対粘度としてポリアミド樹脂含有量を0.01g/mlとした98%硫酸溶液の25℃における相対粘度が、1.5〜8であることが好ましく、中でも1.8〜5であることが好ましい。
本発明のフィラメントに用いるポリアミド樹脂は、ペンタメチレンジアミンを主要成分として含有する脂肪族ジアミンと、アジピン酸を主要成分として含有するジカルボン酸をモノマー単位としたものであるが、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分からなるポリアミド樹脂を混合したり、また他のモノマー成分を共重合させて2元、または3元以上の共重合ポリアミド樹脂としてもよい。この様な混合成分や共重合成分等の、他の成分の含有量は、本発明のフィラメントを構成するポリアミド樹脂成分のうち10wt%未満、中でも5wt%未満とすることが好ましい。
この様な他の成分としては、モノマー成分としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等のアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシリン酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸のような脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,15−ジアミノペンタデカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1,19−ジアミノノナデカン、1,20−ジアミノエイコサン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン等の脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノヘキシル)メタンのような脂環式ジアミン、キシリレンジアミンのような芳香族ジアミンなどが挙げられる。またポリアミド樹脂として混合する場合は、これらを単独又は任意に組み合わせて得られるポリアミド樹脂が挙げられる。
本発明のフィラメントは、上述した様なポリアミド樹脂を成型して得られる。その成型方法は任意であり、溶融紡糸などの、従来公知の任意の成型方法により所望の形状に成型すればよい。成型条件や成型後の形状などは、その用途に応じて適宜選択し決定すればよく、例えば釣り糸用フィラメント、魚網用フィラメント、産業資材用フィラメント、衣類やカーペット等の織布用フィラメント等により適宜変更すればよい。
以下、本発明のポリアミドフィラメントを釣り糸用フィラメント用に供する場合について詳述する。本発明のポリアミドフィラメントを釣り糸用フィラメントとするには、例えば未延伸糸を以下に示す加熱雰囲気中、軸方向に3段階に分けて延伸又は熱固定する方法が挙げられる。未延伸糸は、常法に従って押出機を用いて紡糸ノズルから押出・冷却したものが使用できる。この未延伸フィラメントの太さを調製することによって釣り糸の太さを0.005〜1mm、好ましくは0.005mmから0.5mmに調整すればよい。
3段階に亘る延伸・熱固定においては、例えば1段目の延伸では、未延伸糸を3〜5倍、好ましくは3.2〜4倍に延伸することが好ましい。この延伸は、熱風、熱温水、または高温スチームなどの加熱媒体中で実施されるが、中でも90〜105℃のスチーム雰囲気で行うのが好ましい。2段目の延伸は加熱雰囲気を熱風で構成し、温度120〜250℃で1.05〜2倍の延伸を行うことが好ましい。3段目で熱固定を実施するが、0〜10%のリラックスを行いながら、140〜250℃での温度で行うことが好ましい。トータルの延伸倍率としては、4.5〜7.0倍、中でも5.0〜6.5倍とすることが好ましい。
未延伸糸を製造する際の冷却を水で行う場合には、既知の添加剤、例えばビスアミド化合物を0.05〜0.5重量部含む水を用いることで延伸操作が容易となり、従って得られるポリアミドフィラメントの強度も高くなるので、好ましい。この際用いるビスアミド化合物としては、例えばN,N’−エチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−メチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−キシリレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジオクタデシルテレフタル酸アミド等が挙げられる。
また、本発明のポリアミドフィラメントを、衣類やカーペット等に用いる織布材料用フィラメントとする場合には、1本のフィラメント(モノフィラメント)を複数本集束させたり、撚り合わせたりすればいよ。この際、嵩高連続糸(BCF)とする場合には、一般的に10〜100本程度、一般的なBCF製造用の機械では通常64〜68本のモノフィラメントを集束させたものを使用すればよい。
本発明のポリアミドフィラメントには、本発明の効果を損なわない範囲で、諸機能を向上させる添加剤を含んでいてもよい。例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体、ハロゲン化銅、ヨウ素化合物等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤及び滑剤(脂肪族アルコール、脂肪族アミド、脂肪族ビスアミド、ビス尿素及びポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン、アニリンブラック等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンオキシド、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)、充填剤(グラファイト、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、硫化亜鉛、亜鉛、鉛、ニッケル、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ベントナイト、モンモリロナイト、合成雲母等の粒子状、繊維状、針状、板状充填材)、他の重合体(他のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ABS樹脂、SAN樹脂、ポリスチレン等)が挙げられる。これらは、ポリアミド樹脂を製造する工程や、ポリアミドフィラメントの成型工程など、添加量、添加工程等を適宜選択、決定して添加すればよい。
次に、本発明で用いられるペンタメチレンジアミンの好適な製造方法を説明する。本発明で用いられるペンタメチレンジアミンは、例えばリジン溶液に、同溶液のpHが酵素的脱炭酸反応に適したpHに維持されるように酸を加えながら、リジンの酵素的脱炭酸反応を行うことにより、製造することができる。ここで用いる酸としては、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸や、酢酸等の有機酸が挙げられる。得られた反応生成液から、通常の分離精製方法を用いて遊離ペンタメチレンジアミンを採取することができる。更には、上記酸としてアジピン酸のジカルボン酸を用いて、直接ポリアミドの製造原料となるペンタメチレンジアミン・ジカルボン酸塩を採取することも可能である。
以下に、酸としてアジピン酸を用いて、リジンの酵素的脱炭酸反応により、ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩を製造する方法について詳細に説明する。
原料として用いるリジンとしては、通常、遊離塩基(リジンベース)であることが好ましいが、リジンのアジピン酸塩であってもよい。リジンは、酵素的脱炭酸反応によりペンタメチレンジアミンを生成するものであれば、L−リジン、D−リジンのいずれであってもよいが、通常はL−リジンが好ましい。また、リジンは、精製されたリジンであってもよく、酵素的脱炭酸反応により生成するペンタメチレンジアミンがアジピン酸と塩を形成することが可能であれば、リジンを含む発酵液であってもよい。リジン溶液を調製する溶媒としては、好適には水が用いられる。
原料として用いるリジンとしては、通常、遊離塩基(リジンベース)であることが好ましいが、リジンのアジピン酸塩であってもよい。リジンは、酵素的脱炭酸反応によりペンタメチレンジアミンを生成するものであれば、L−リジン、D−リジンのいずれであってもよいが、通常はL−リジンが好ましい。また、リジンは、精製されたリジンであってもよく、酵素的脱炭酸反応により生成するペンタメチレンジアミンがアジピン酸と塩を形成することが可能であれば、リジンを含む発酵液であってもよい。リジン溶液を調製する溶媒としては、好適には水が用いられる。
反応液のpHは、アジピン酸によって調整するため、他のpH調整剤や緩衝剤を用いる必要はないが、前記溶媒として緩衝液を用いてもよい。このような緩衝液としては、酢酸ナトリウム緩衝液等が挙げられる。但し、ペンタメチレンジアミンとアジピン酸との塩を形成させるという点からは、緩衝剤等は用いないか、用いる場合であっても低濃度に抑えることが好ましい。
リジンとして遊離リジンを用いる場合は、リジン溶液にアジピン酸を加えて酵素的脱炭酸反応に適したpHとなるように調整する。具体的には、pHとしては、通常4以上、好ましくは5以上、より好ましくは5.5以上で、通常8以下、好ましくは7以下、より好ましくは6.5以下が挙げられる。なお、リジンとして、リジンのアジピン酸塩を用いる場合は、反応液調製時にアジピン酸を加える必要はない。
以下、このように、反応液のpHを酵素的脱炭酸反応に適したpHに調整することを「中和」と称す場合がある。
リジンの酵素的脱炭酸反応は、例えば、上記のようにして中和されたリジン溶液にリジン脱炭酸酵素(LDC)を添加することによって行うことができる。LDCとしては、リジンに作用してペンタメチレンジアミンを生成させるものであれば特に制限はない。LDCとしては、精製酵素を用いてもよいし、LDCを産生する微生物、植物細胞又は動物細胞等の細胞を用いてもよい。LDC又はそれを産生する細胞は、1種でもよく、2種以上の混合物であってもよい。また、細胞をそのまま用いてもよく、LDCを含む細胞処理物を用いてもよい。細胞処理物としては、細胞破砕液、及びその分面物が挙げられる。
リジンの酵素的脱炭酸反応は、例えば、上記のようにして中和されたリジン溶液にリジン脱炭酸酵素(LDC)を添加することによって行うことができる。LDCとしては、リジンに作用してペンタメチレンジアミンを生成させるものであれば特に制限はない。LDCとしては、精製酵素を用いてもよいし、LDCを産生する微生物、植物細胞又は動物細胞等の細胞を用いてもよい。LDC又はそれを産生する細胞は、1種でもよく、2種以上の混合物であってもよい。また、細胞をそのまま用いてもよく、LDCを含む細胞処理物を用いてもよい。細胞処理物としては、細胞破砕液、及びその分面物が挙げられる。
前記微生物としては、E.coliなどのエシェリヒア属細菌、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)等のコリネ型細菌、バチルス・サブチリス(Bacillus subtills)等のバチルス属細菌、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)等のセラチア属細菌等の細菌、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等の真核細胞が挙げられる。これらの中では細菌、特にE.coliが好ましい。
前記微生物は、LDCを産生する限り、野生株でもよく、変位株であってもよい。また、LDC活性が上昇するように改変された組換え株であってもよい。植物細胞又は動物細胞も、LDC活性が上昇するように改変された組換え細胞を用いることができる。組換え細胞については、後述する。
リジン溶液にLDCを添加して反応を開始した後は、反応の進行に伴い、リジンから遊離される炭酸ガスが反応液から放出され、pHが上昇する。従って、反応液のpHが前記範囲となるように、アジピン酸を反応液に添加する。アジピン酸は連続的に添加してもよく、pHが前記範囲に維持される限り、分割して添加してもよい。反応条件は、LDCがリジンに作用してペンタメチレンジアミンを生成させる条件であれば特に制限はないが、濃度は通常20℃以上、好ましくは30℃以上、通常60℃以下、好ましくは40℃以下で行う。
リジン溶液にLDCを添加して反応を開始した後は、反応の進行に伴い、リジンから遊離される炭酸ガスが反応液から放出され、pHが上昇する。従って、反応液のpHが前記範囲となるように、アジピン酸を反応液に添加する。アジピン酸は連続的に添加してもよく、pHが前記範囲に維持される限り、分割して添加してもよい。反応条件は、LDCがリジンに作用してペンタメチレンジアミンを生成させる条件であれば特に制限はないが、濃度は通常20℃以上、好ましくは30℃以上、通常60℃以下、好ましくは40℃以下で行う。
原料のリジン又はリジン・アジピン酸塩は、反応開始時に反応液に全量添加してもよく、LDC反応の進行に応じて、分割して添加してもよい。
酵素反応は、バッチ式によって行うと、アジピン酸の添加を容易に行うことができる。また、LDC、LDCを産生する細胞又はその処理物を固定化した担体を用いた移動床カラムクロマトグラフィーによって、反応を行うこともできる。その場合は、反応系のpHが所定の範囲に維持されたまま反応が進行するように、リジン及びアジピン酸をカラムの適当な部位に注入すればよい。
酵素反応は、バッチ式によって行うと、アジピン酸の添加を容易に行うことができる。また、LDC、LDCを産生する細胞又はその処理物を固定化した担体を用いた移動床カラムクロマトグラフィーによって、反応を行うこともできる。その場合は、反応系のpHが所定の範囲に維持されたまま反応が進行するように、リジン及びアジピン酸をカラムの適当な部位に注入すればよい。
上記のようにして、リジンの酵素的脱炭酸反応によるペンタメチレンジアミン生成に伴って上昇するpHを、アジピン酸を用いて逐次中和することにより、酵素反応が良好に進行する。このようにして生成するペンタメチレンジアミンは、アジピン酸塩として反応液中に蓄積する。
LDC反応により得られたペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩は、反応液から公知の方法を組み合わせることによって単離、精製することができる。例えば、反応液をオートクレーブ等により殺菌した後、遠心分離により上清を回収し、活性炭等を用いて上清を脱色し、適宜濃縮する。ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩は、使用態様に応じて、溶液のままであってもよく、結晶であってもよい。ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩の結晶は、例えば、濃縮した反応液を冷却することによりペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩を析出させることによって、形成させることができる。上記のようにして得られる結晶は、ペンタメチレンジアミンとアジピン酸を等モルで含んでいるため、ナイロン製造の原料として好適であり、必要に応じて乾燥して使用することができる。
LDC反応により得られたペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩は、反応液から公知の方法を組み合わせることによって単離、精製することができる。例えば、反応液をオートクレーブ等により殺菌した後、遠心分離により上清を回収し、活性炭等を用いて上清を脱色し、適宜濃縮する。ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩は、使用態様に応じて、溶液のままであってもよく、結晶であってもよい。ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩の結晶は、例えば、濃縮した反応液を冷却することによりペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩を析出させることによって、形成させることができる。上記のようにして得られる結晶は、ペンタメチレンジアミンとアジピン酸を等モルで含んでいるため、ナイロン製造の原料として好適であり、必要に応じて乾燥して使用することができる。
次に、微生物を、LDC活性が上昇するように改質する方法について例示するが、他の細胞についても、それに適するように下記の方法を適宜改変することによって、同様にLDC活性を上昇させることができる。
LDC活性は、例えば、LDCをコードする遺伝子(LDC遺伝子)の発現を増強することによって上昇する。LDC遺伝子の発現の増強は、LDC遺伝子のコピー数を高めることによって達成される。例えば、LDC遺伝子断片を、微生物で機能するベクター、好ましくはマルチコピー型のベクターと連結して組換えDNAを作製し、これを適当な宿主に導入して形質変換すればよい。
LDC活性は、例えば、LDCをコードする遺伝子(LDC遺伝子)の発現を増強することによって上昇する。LDC遺伝子の発現の増強は、LDC遺伝子のコピー数を高めることによって達成される。例えば、LDC遺伝子断片を、微生物で機能するベクター、好ましくはマルチコピー型のベクターと連結して組換えDNAを作製し、これを適当な宿主に導入して形質変換すればよい。
LDC遺伝子のコピー数を高めることは、LDC遺伝子を微生物の染色体DNA上に多コピー存在させることによっても達成できる。微生物の染色体DNA上に遺伝子を多コピーで導入するには、染色体DNA上に多コピー存在する配列を標的に利用して相同組換えにより行う。染色体DNA上に多コピー存在する配列としては、レベティティブDNA、転移因子の端部に存在するインパーテッド・リピートが利用できる。あるいは、特開平2−109985号公報に開示されているように、目的遺伝子をトランスポゾンに搭載してこれを転移させて染色体DNA上に多コピー導入することも可能である。
LDC活性の上昇は、上記の遺伝子増幅による以外に、染色体DNA上又はプラスミド上のLDC遺伝子のプロモーター等の発現調節配列を強力なものに置換することによっても達成される。例えば、lacプロモーター、trpプロモーター、trcプロモーター等が強力なプロモーターとして知られている。また、国際公開特許WO00/18935号公報に開示されているように、遺伝子のプロモーター領域に数塩基の塩基置換を導入し、より強力なものに改変することも可能である。これらのプロモーター置換又は改変によりLDC遺伝子の発現が強化され、LDC活性が上昇する。これら発現調節配列の改変は、遺伝子のコピー数を高めることと組み合わせてもよい。
発現調節配列の置換は、例えば、温度感受性プラスミドを用いた遺伝子置換と同様にして行うことができる。E.coliの温度感受性複製起点を有するベクターとしては、例えば国際公開特許WO99/03988号公報に記載のプラスミドpMAN997等が挙げられる。またλファージのレッド・リコンビナーゼ(Red recombinase)を利用した方法(Datsenko,K.A.,PNAS(2000) 97(12),6640−6645)によっても、発現調節配列の置換を行うことができる。
LDC遺伝子としては、コードされるLDCが、リジンの脱炭酸反応に有効利用できるものであれば特に制限されないが、例えば、バクテリウム カダベリス、E.coli等の細菌や、ガラス豆等の植物、さらには、特開2002−223770号公報に記載の微生物のLDC遺伝子が挙げられる。
宿主微生物としてE.coliを用いる場合は、E.coli由来のLDC遺伝子が好ましい。E.coliのLDC遺伝子としては、cadA遺伝子及びldc遺伝子(米国特許第5827698号)が知られているが、これらの中ではcadA遺伝子が好ましい。E.coliのcadA遺伝子は配列が知られており(N.Watson et al.journal of bacteriology(1992)vo.174,p.530−540;S.Y.Meng et al.journal of bacteriology(1992)vo.174,p.2659−2668;GenBank accession M76411)、その配列に基づいて作成したプライマーを用いたPCRにより、E.coli染色体DNAから単離することができる。このようなプライマーとしては、配列番号1及び2に示す塩基配列を有するプライマーが挙げられる。
宿主微生物としてE.coliを用いる場合は、E.coli由来のLDC遺伝子が好ましい。E.coliのLDC遺伝子としては、cadA遺伝子及びldc遺伝子(米国特許第5827698号)が知られているが、これらの中ではcadA遺伝子が好ましい。E.coliのcadA遺伝子は配列が知られており(N.Watson et al.journal of bacteriology(1992)vo.174,p.530−540;S.Y.Meng et al.journal of bacteriology(1992)vo.174,p.2659−2668;GenBank accession M76411)、その配列に基づいて作成したプライマーを用いたPCRにより、E.coli染色体DNAから単離することができる。このようなプライマーとしては、配列番号1及び2に示す塩基配列を有するプライマーが挙げられる。
取得されたLDC遺伝子とベクターを連結して組換えDNAを調製するには、LDC遺伝子の末端に合うような制限酵素でベクターを切断し、T4DNAリガーゼ等のリガーゼを用いて前記遺伝子とベクターを連結すればよい。E.coli用のベクターとしては、pUC18、pUC19、pSTV29、pHSG299、pHSG399、pHSG398、RSF1010、pBR322、pACYC184、pMW219等が挙げられる。
LDC遺伝子は、野生型であってもよいし、変異型であってもよい。例えばcadA遺伝子は、コードされるLDCの活性が損なわれない限り、1若しくは複数の位置での1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加を含むLDCをコードするものであってもよい。ここで、「数個」とは、アミノ酸残基のタンパク質の立体構造における位置や種類によっても異なるが、具体的には2〜50個、好ましくは2〜30個、より好ましくは2〜10個である。
上記のようなLDCと実質的に同一のタンパク質をコードするDNAは、例えば部位特異的変異法によって、特定の部位のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むようにcadA遺伝子の塩基配列を改変することによって得られる。また、上記のような改変されたDNAは、従来知られている変異処理によっても取得され得る。変異処理としては、変異処理前のDNAをヒドロキシルアミン等でインビトロ処理する方法、及び変異処理前のDNAを保持する微生物、例えばエシェリヒア属細菌を、紫外線、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)、又はエチルメタンスルホン酸(EMS)等の通常変異処理に用いられている変異剤によって処理する方法が挙げられる。
上記のような変異を有するDNAを、適当な細胞で発現させ、発現産物の活性を調べることにより、LDCと実質的に同一のタンパク質をコードするDNAが得られる。また、変異を有するLDCをコードするDNA又はこれを保持する細胞から、例えばcadA遺伝子(GenBank accession M76411)のコード領域の配列、又は同配列の一部を有するプローブとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、LDCと同等の活性を有するタンパク質をコードするDNAが得られる。ここでいう「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。この条件を明確に数値化することは困難であるが、一例を示せば、相同性が高いDNA同士、例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それにより相同性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件、或いは通常のサザンハイブリダイゼーションの洗いの条件である60℃、1×SSC、0.1%SDS、好ましくは、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度でハイブリダイズする条件が挙げられる。
プローブとしてcadA遺伝子の一部の配列を用いることもできる。そのようなプローブは、公知のcadA遺伝子の塩基配列に基づいて作成したオリゴヌクレオチドをプライマーとし、cadA遺伝子を含むDNA断片を鋳型とするPCRによって作製することができる。プローブとして、300bp程度の長さのDNA断片を用いる場合には、ハイブリダイゼーションの洗いの条件は、50℃、2×SSC、0.1%SDSが挙げられる。
LDCと実質的に同一のタンパク質をコードするDNAとして具体的には、公知のcadA遺伝子がコードするアミノ酸配列と、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上の相同性を有し、かつLDC活性を有するタンパク質をコードするDNAが挙げられる。
組換えDNAを微生物に導入するには、これまでに報告されている形質転換法に従って行えばよい。例えば、エシュリヒア・コリ K−12について報告されているような、受容菌細胞を塩化カルシウムで処理してDNAの透過性を増す方法(Mandel,M.and Higa,A.,J.Mol.Biol.,53,159(1970))があり、バチルス・ズブチリスについて報告されているような、増殖段階の細胞からコンピテントセルスを調製してDNAを導入する方法(Ducan,C.H.,Wilson,G.A.and Young,F.E.,Gene,1,153(1997))がある。或いは、バチルス・ズブチリス、放線菌類及び酵母について知られているような、DNA受容菌の細胞を、組換えDNAを容易に取り込むプロトプラスト又はスフェロプラストの状態にして組換えDNAをDNA受容菌に導入する方法(Chang,S.and Choen,S.N.,Molec,Gen.Genet.,168,111(1979);Bibb,M.J.,Ward,J.M.and Hopwood,O.A.,Nature,274,398(1978);Hinnen,A.,Hicks,J.B.and Fink,G.R.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,75 1929(1978))も応用できる。また、電気パルス法(特開平2−207791号公報)によっても、微生物の形質転換を行うことができる。
組換えDNAを微生物に導入するには、これまでに報告されている形質転換法に従って行えばよい。例えば、エシュリヒア・コリ K−12について報告されているような、受容菌細胞を塩化カルシウムで処理してDNAの透過性を増す方法(Mandel,M.and Higa,A.,J.Mol.Biol.,53,159(1970))があり、バチルス・ズブチリスについて報告されているような、増殖段階の細胞からコンピテントセルスを調製してDNAを導入する方法(Ducan,C.H.,Wilson,G.A.and Young,F.E.,Gene,1,153(1997))がある。或いは、バチルス・ズブチリス、放線菌類及び酵母について知られているような、DNA受容菌の細胞を、組換えDNAを容易に取り込むプロトプラスト又はスフェロプラストの状態にして組換えDNAをDNA受容菌に導入する方法(Chang,S.and Choen,S.N.,Molec,Gen.Genet.,168,111(1979);Bibb,M.J.,Ward,J.M.and Hopwood,O.A.,Nature,274,398(1978);Hinnen,A.,Hicks,J.B.and Fink,G.R.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,75 1929(1978))も応用できる。また、電気パルス法(特開平2−207791号公報)によっても、微生物の形質転換を行うことができる。
LDCを産生する微生物又は細胞を得るための培養は、用いる微生物又は細胞に応じて、LDCの産生に適した方法によって行えばよい。
例えば、培地は、炭素源、窒素源、無機イオン及び必要に応じその他の有機成分を含有する通常の培地でよい。炭素源としては、グルコース、ラクトース、ガラクトース、フラクトース、アラビノース、マルトース、キシロース、トレハロース、リボースや澱粉の加水分解物などの糖類、グリセロール、マンニトールやソルビトールなどのアルコール類、グルコン酸、フマール酸、クエン酸やコハク酸等の有機酸類を用いることができる。窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機アンモニウム塩、大豆加水分解物などの有機窒素、アンモニアガス、アンモニア水等を用いることができる。有機微量栄養素としては、ビタミンB1等のビタミン類、アデニンやRNA等の核酸類などの要求物質又は酵母エキス等を適量含有させることが望ましい。これらの他に、必要に応じて、リン酸カルシウム、硫酸マグネシウム、鉄イオン、マンガンイオン等が少量添加される。
例えば、培地は、炭素源、窒素源、無機イオン及び必要に応じその他の有機成分を含有する通常の培地でよい。炭素源としては、グルコース、ラクトース、ガラクトース、フラクトース、アラビノース、マルトース、キシロース、トレハロース、リボースや澱粉の加水分解物などの糖類、グリセロール、マンニトールやソルビトールなどのアルコール類、グルコン酸、フマール酸、クエン酸やコハク酸等の有機酸類を用いることができる。窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機アンモニウム塩、大豆加水分解物などの有機窒素、アンモニアガス、アンモニア水等を用いることができる。有機微量栄養素としては、ビタミンB1等のビタミン類、アデニンやRNA等の核酸類などの要求物質又は酵母エキス等を適量含有させることが望ましい。これらの他に、必要に応じて、リン酸カルシウム、硫酸マグネシウム、鉄イオン、マンガンイオン等が少量添加される。
培養は、エシェリヒア・コリの場合は、好気的条件下で16〜72時間程度実施するのがよく、培養温度は30〜45℃に、培養中pHは5〜8に制御する。尚、pH調整には無機又は有機の酸性又はアルカリ性物質、更にアンモニアガス等を使用することができる。
なお、LDC遺伝子が、誘導可能なプロモーターによって発現が調節されている場合には、誘導剤を培地に添加する。
なお、LDC遺伝子が、誘導可能なプロモーターによって発現が調節されている場合には、誘導剤を培地に添加する。
培養後、細胞は、遠心分離機や膜により集めることにより、培養液から回収することができる。細胞は、そのまま用いてもよいが、LDCを含むそれらの処理物を用いる場合は、細胞を超音波、フレンチプレス、又は酵素的処理により破砕し酵素を抽出させ、無細胞抽出液とし、さらにそこからLDCを精製する場合には、常法に従い、硫安塩折、各種クロマトグラフィーを使用することによって精製することができる。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
[相対粘度(ηr)]
98%硫酸中、0.01g/ml濃度、25℃でオストワルド式粘度計を用いて測定を行った。
98%硫酸中、0.01g/ml濃度、25℃でオストワルド式粘度計を用いて測定を行った。
[フィラメント物性評価]
引張り直線強度及び結節強度及び柔軟性を示す弾性率はJIS L−013の基準で測定した。
引張り直線強度及び結節強度及び柔軟性を示す弾性率はJIS L−013の基準で測定した。
[延伸性]
溶融紡糸加工時の糸切れの回数を測定した。
○;2回以下/10分間 △;2回以上20回以下/10分間×;20回以上/10分間
溶融紡糸加工時の糸切れの回数を測定した。
○;2回以下/10分間 △;2回以上20回以下/10分間×;20回以上/10分間
[実施例1]
〈ペンタメチレンジアミン・アジピン酸の製造〉
[1]エシェリヒア・コリのLDC増幅株の構築
E.coliのLDC遺伝子(cadA)の塩基配列(N.Watson et al.,Journal of bacteriorogy,(1992)vo.174,p.530−540;S.Y.Meng and GN Bennet,Journal of bacteriorogy,(1992)vo.174,p.2659−2669)を基に、配列番号1及び2に示す塩基配列を有するPCRプライマーを設計し、E.coliW3110(ATCC39936)の染色体を鋳型として、PCR法によりcadAを含むDNA断片を増幅した。
〈ペンタメチレンジアミン・アジピン酸の製造〉
[1]エシェリヒア・コリのLDC増幅株の構築
E.coliのLDC遺伝子(cadA)の塩基配列(N.Watson et al.,Journal of bacteriorogy,(1992)vo.174,p.530−540;S.Y.Meng and GN Bennet,Journal of bacteriorogy,(1992)vo.174,p.2659−2669)を基に、配列番号1及び2に示す塩基配列を有するPCRプライマーを設計し、E.coliW3110(ATCC39936)の染色体を鋳型として、PCR法によりcadAを含むDNA断片を増幅した。
増幅されたDNA断片を、KpnIとSphIで切断し、得られた断片(2468bp)をpUC18(宝酒造株式会社製)のKpnI及びSphI切断部位に挿入して、プラスミドpcadAを作製した。このプラスミドpcadAで、E.coli JM109株(宝酒造株式会社製)を形質転換した。形質転換体は、アンピシリン耐性を指標として選択し、得られた形質転換体を、E.coli JM109/pcadAと命名した。
[2]cadA増幅株を用いた、リジン・アジピン酸塩からのペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩の製造
(1)cadA増幅株の培養
E.coli JM109/pcadAをLB培地で前培養した後、50mlの培養液を500mlの2倍濃度LB培地(トリプトン:2%、酵母エキス:1%、NaCl:1%)が入った1L容ジャーファーメンター(エイブル社製)に接種し、通気量250ml/min、35℃、700rpmで通気攪拌培養を行った。15時間培養後、培養液全量を22Lの2倍濃度のLB培地が入った50L容ジャーファーメンターに接種して更に培養を行った。50Lジャーでの培養条件は、通気量11L/min、35℃、ジャーの内圧50kPa、250rpmであった。培養4時間目に、3gのIPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)を50mlの水に溶解した後、フィルターを通して添加した。その後22時間培養を続けた。
(1)cadA増幅株の培養
E.coli JM109/pcadAをLB培地で前培養した後、50mlの培養液を500mlの2倍濃度LB培地(トリプトン:2%、酵母エキス:1%、NaCl:1%)が入った1L容ジャーファーメンター(エイブル社製)に接種し、通気量250ml/min、35℃、700rpmで通気攪拌培養を行った。15時間培養後、培養液全量を22Lの2倍濃度のLB培地が入った50L容ジャーファーメンターに接種して更に培養を行った。50Lジャーでの培養条件は、通気量11L/min、35℃、ジャーの内圧50kPa、250rpmであった。培養4時間目に、3gのIPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)を50mlの水に溶解した後、フィルターを通して添加した。その後22時間培養を続けた。
(2)菌体の分離
17000rpm、フィード速度550ml/minの条件下で、チューブラー分離機により培養液からの菌体回収を行った。回収した菌体を円筒内シートよりかきとり、1Lの生理食塩水に懸濁して菌体液を得た。回収された菌体の湿重量は147gであった。
17000rpm、フィード速度550ml/minの条件下で、チューブラー分離機により培養液からの菌体回収を行った。回収した菌体を円筒内シートよりかきとり、1Lの生理食塩水に懸濁して菌体液を得た。回収された菌体の湿重量は147gであった。
(3)ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩の製造
50%(w/v)リジンベース溶液(第一化学社製)に、pHが6.0となるようにアジピン酸を添加して、リジン・アジピン酸塩溶液を調製し、基質溶液とした。リジン濃度に換算して終濃度50g/Lとなるように基質溶液を水に加え、更にピリドキサルリン酸を0.1mMとなるよう加えて反応液を調製し、これにE.coli JM109/pcadAの菌体液(菌体湿重量147g)を添加して反応を開始した。反応は50Lジャーファーメンターに22Lの反応液を仕込んで行った。反応条件は、37℃、1/10vvm通気、250rpm、内圧5kPaとした。反応液のpHは、アジピン酸スラリー(250g/kg−H2O)を添加して、6.0に制御した。
50%(w/v)リジンベース溶液(第一化学社製)に、pHが6.0となるようにアジピン酸を添加して、リジン・アジピン酸塩溶液を調製し、基質溶液とした。リジン濃度に換算して終濃度50g/Lとなるように基質溶液を水に加え、更にピリドキサルリン酸を0.1mMとなるよう加えて反応液を調製し、これにE.coli JM109/pcadAの菌体液(菌体湿重量147g)を添加して反応を開始した。反応は50Lジャーファーメンターに22Lの反応液を仕込んで行った。反応条件は、37℃、1/10vvm通気、250rpm、内圧5kPaとした。反応液のpHは、アジピン酸スラリー(250g/kg−H2O)を添加して、6.0に制御した。
反応2時間目、3時間目に、それぞれリジン1kg相当の基質溶液を添加して更に反応を続け、反応5時間でリジンはほぼ100%ペンタメチレンジアミンに転換された。リジンとペンタメチレンジアミンの測定は、HPLCを用いたポストカラムOPA法(S.R.Vale and M.B.Gloris,Journal of AOAC International(1997)vol.80,p.1006−1012)によった。測定結果は以下のとおりである。
ペンタメチレンジアミン濃度 69g/L(0.68M)
アジピン酸濃度 105g/L(0.72M)
残リジン濃度 <1g/L
ペンタメチレンジアミン収量 2.2kg(21mol)
リジン仕込量 3.1kg(21mol)
転換収率 100%(mol/mol)
以上のように、ペンタメチレンジアミンとアジピン酸をほぼ等モルで含むペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩溶液を得た。
アジピン酸濃度 105g/L(0.72M)
残リジン濃度 <1g/L
ペンタメチレンジアミン収量 2.2kg(21mol)
リジン仕込量 3.1kg(21mol)
転換収率 100%(mol/mol)
以上のように、ペンタメチレンジアミンとアジピン酸をほぼ等モルで含むペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩溶液を得た。
[3]ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩結晶の取得
(1)ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩溶液の除菌
得られたペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩溶液を120℃で10分間オートクレーブ殺菌した後、遠心分離にて上清を回収した。
(1)ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩溶液の除菌
得られたペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩溶液を120℃で10分間オートクレーブ殺菌した後、遠心分離にて上清を回収した。
(2)脱色及び濃縮
前記上清に活性炭を対ペンタメチレンジアミン重量で20%添加し、20℃で1時間攪拌しながら脱色した。濾紙で活性炭を除去し、得られたろ液を減圧下(55〜60℃、110〜150mmHg)で4〜5倍に濃縮した。濃縮液の固形分は70〜77%であった。
前記上清に活性炭を対ペンタメチレンジアミン重量で20%添加し、20℃で1時間攪拌しながら脱色した。濾紙で活性炭を除去し、得られたろ液を減圧下(55〜60℃、110〜150mmHg)で4〜5倍に濃縮した。濃縮液の固形分は70〜77%であった。
(3)ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩の晶析及び結晶分離
前記濃縮液を、60℃から10℃まで4℃/hrで冷却し、結晶を析出させた。晶析率は、40〜45%であった。析出した結晶を、遠心濾過機で分離回収後、デシケーター内で数日風乾した。得られた結晶は、X線結晶解析(AFC−5S株式会社リガク製、解析プログラム;TEXAN)により分析したところ、ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩・二水和物であり、純度は99%以上であった。この結晶は、ペンタメチレンジアミンとアジピン酸が等モルの結晶であった。
前記濃縮液を、60℃から10℃まで4℃/hrで冷却し、結晶を析出させた。晶析率は、40〜45%であった。析出した結晶を、遠心濾過機で分離回収後、デシケーター内で数日風乾した。得られた結晶は、X線結晶解析(AFC−5S株式会社リガク製、解析プログラム;TEXAN)により分析したところ、ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩・二水和物であり、純度は99%以上であった。この結晶は、ペンタメチレンジアミンとアジピン酸が等モルの結晶であった。
<ポリアミド樹脂の製造例>
製造例1で製造したカダベリン・アジピン酸塩25Kg、水25Kgを窒素雰囲気下で加熱し溶解した。この原料水溶液を定量性ポンプにて予め窒素置換したオートクレーブに移送しジャケット温度を280℃に設定し加熱を開始した。オートクレーブの圧力を1.47MPaに調整し内容物を270℃に迄昇温し、次にオートクレーブの圧力を除々に放圧し更に、減圧圧力にした後に所定の攪拌動力で重縮合反応を停止した。反応終了後に窒素にて復圧し内容物をストランド状に冷却水槽へ導入後、回転式カッターでペレット化した。得られたペレットは120℃、1torrで水分量が0.1%以下となる迄乾燥を実施して最終のポリアミド樹脂を取得した。相対粘度は3.72であった。
製造例1で製造したカダベリン・アジピン酸塩25Kg、水25Kgを窒素雰囲気下で加熱し溶解した。この原料水溶液を定量性ポンプにて予め窒素置換したオートクレーブに移送しジャケット温度を280℃に設定し加熱を開始した。オートクレーブの圧力を1.47MPaに調整し内容物を270℃に迄昇温し、次にオートクレーブの圧力を除々に放圧し更に、減圧圧力にした後に所定の攪拌動力で重縮合反応を停止した。反応終了後に窒素にて復圧し内容物をストランド状に冷却水槽へ導入後、回転式カッターでペレット化した。得られたペレットは120℃、1torrで水分量が0.1%以下となる迄乾燥を実施して最終のポリアミド樹脂を取得した。相対粘度は3.72であった。
<フィラメントの製造>
単軸押出機の先端に、ギヤポンプ及び直径0.6mmの穴数18ケのノズルを装着した紡糸用押出機のホッパーに前記した製造例にて得られたポリアミド樹脂を投入した。樹脂を溶融紡糸した後、20℃の冷却水槽に通して冷却固化させた後、98℃にてロール速度24.6m/minで湿熱延伸を施し、次に172℃にて86m/minで熱風延伸槽にて2段目の延伸を行い、次に168℃にて146m/minで熱風延伸槽にて熱固定を行って、直径0.079mmのフィラメントを成形した。
単軸押出機の先端に、ギヤポンプ及び直径0.6mmの穴数18ケのノズルを装着した紡糸用押出機のホッパーに前記した製造例にて得られたポリアミド樹脂を投入した。樹脂を溶融紡糸した後、20℃の冷却水槽に通して冷却固化させた後、98℃にてロール速度24.6m/minで湿熱延伸を施し、次に172℃にて86m/minで熱風延伸槽にて2段目の延伸を行い、次に168℃にて146m/minで熱風延伸槽にて熱固定を行って、直径0.079mmのフィラメントを成形した。
[比較例1]
<ポリアミド樹脂の製造>
三菱化学株式会社社製カプロラクタム25Kgと水1.3Lを容器に入れ、窒素置換した後に100℃にて溶解し、予め加熱された200Lのオートクレーブに移送した。当該液を270℃に昇温した後に、オートクレーブの圧力を除々に放圧し更に、減圧圧力にした後に所定の攪拌動力で重縮合反応を停止した。反応終了後に窒素にて復圧し内容物をストランド状に冷却水槽へ導入後、回転式カッターでペレット化した。得られたペレットは熱水により未反応物を除去した後に、120℃、1torrで水分量が0.1%以下となる迄乾燥を実施して最終のポリアミド樹脂を取得した。相対粘度は3.70であった。
<ポリアミド樹脂の製造>
三菱化学株式会社社製カプロラクタム25Kgと水1.3Lを容器に入れ、窒素置換した後に100℃にて溶解し、予め加熱された200Lのオートクレーブに移送した。当該液を270℃に昇温した後に、オートクレーブの圧力を除々に放圧し更に、減圧圧力にした後に所定の攪拌動力で重縮合反応を停止した。反応終了後に窒素にて復圧し内容物をストランド状に冷却水槽へ導入後、回転式カッターでペレット化した。得られたペレットは熱水により未反応物を除去した後に、120℃、1torrで水分量が0.1%以下となる迄乾燥を実施して最終のポリアミド樹脂を取得した。相対粘度は3.70であった。
<フィラメントの製造>
前記ポリアミド樹脂を用いた以外は実施例1と同様にフィラメントを製造し直径0.079mmのフィラメントを成型した。
前記ポリアミド樹脂を用いた以外は実施例1と同様にフィラメントを製造し直径0.079mmのフィラメントを成型した。
[比較例2]
<ポリアミド樹脂の製造>
AH塩(Rhodia社製)25Kg、水25Lの原料水溶液を温度90℃にて窒素雰囲気下にて調整した。前記した液を200Lのオートクレーブに定量性ポンプにより移液した。送入後内圧を15KGに保持しながら内温を270℃まで昇温した。オートクレーブの圧力を除々に放圧し更に、減圧圧力にした後に所定の攪拌動力で重縮合反応を停止した。反応終了後に窒素にて復圧し内容物をストランド状に冷却水槽へ導入後、回転式カッターでペレット化した。得られたペレットは120℃、1torrで水分量が0.1%以下となる迄乾燥を実施して最終のポリアミド樹脂を取得した。相対粘度は3.70であった。
<ポリアミド樹脂の製造>
AH塩(Rhodia社製)25Kg、水25Lの原料水溶液を温度90℃にて窒素雰囲気下にて調整した。前記した液を200Lのオートクレーブに定量性ポンプにより移液した。送入後内圧を15KGに保持しながら内温を270℃まで昇温した。オートクレーブの圧力を除々に放圧し更に、減圧圧力にした後に所定の攪拌動力で重縮合反応を停止した。反応終了後に窒素にて復圧し内容物をストランド状に冷却水槽へ導入後、回転式カッターでペレット化した。得られたペレットは120℃、1torrで水分量が0.1%以下となる迄乾燥を実施して最終のポリアミド樹脂を取得した。相対粘度は3.70であった。
<フィラメントの製造>
前記ポリアミド樹脂を用いた以外は実施例1と同様にフィラメントを製造し直径0.079mmのフィラメントを成型したが、第2段延伸工程にて糸切れが多発してフィラメントが得られなかった。
前記ポリアミド樹脂を用いた以外は実施例1と同様にフィラメントを製造し直径0.079mmのフィラメントを成型したが、第2段延伸工程にて糸切れが多発してフィラメントが得られなかった。
[比較例3]
比較例2で用いたポリアミド樹脂を使用し、糸切れが発生せずに細物フィラメントが安定して得られるまで第2段延伸倍率を下げ、細物フィラメントを製造し直径0.079mmのフィラメントを成型した。
比較例2で用いたポリアミド樹脂を使用し、糸切れが発生せずに細物フィラメントが安定して得られるまで第2段延伸倍率を下げ、細物フィラメントを製造し直径0.079mmのフィラメントを成型した。
表1から明らかな通り、本発明のポリアミドフィラメントは、強度、透明性、そして延伸性に優れたものであり、各種ポリアミドフィラメントを用いる用途、特に釣り糸や織布材料等に適応した際、その効果を発揮することが伺える。
Claims (5)
- ペンタメチレンジアミンを主要成分として含有する脂肪族ジアミンと、アジピン酸を主要成分として含有するジカルボン酸を重縮合して得られるポリアミド樹脂を含むポリアミドフィラメント。
- ペンタメチレンジアミンが、リジン脱炭酸酵素を用いたリジンの脱炭酸反応により得られたものであることを特徴とする請求項1に記載のポリアミドフィラメント。
- ジカルボン酸の存在下、リジンにリジン脱炭酸酵素を反応させて得られたペンタメチレンジアミン・ジカルボン酸塩を重縮合して得られるポリアミド樹脂を含むポリアミドフィラメント。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載のポリアミドフィラメントを含む釣り糸。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載のポリアミドフィラメントを含む織布。
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