JP2002309443A - 難燃性ポリアミドマルチフィラメント、それを用いたbcf及びカーペット類 - Google Patents

難燃性ポリアミドマルチフィラメント、それを用いたbcf及びカーペット類

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JP2002309443A
JP2002309443A JP2001269548A JP2001269548A JP2002309443A JP 2002309443 A JP2002309443 A JP 2002309443A JP 2001269548 A JP2001269548 A JP 2001269548A JP 2001269548 A JP2001269548 A JP 2001269548A JP 2002309443 A JP2002309443 A JP 2002309443A
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flame
bcf
polyamide
retardant
triazine
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Application number
JP2001269548A
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English (en)
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Michio Nakada
道生 中田
Seiji Morimoto
精次 森本
Morio Tsunoda
守男 角田
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Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Original Assignee
Mitsubishi Engineering Plastics Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ハロゲン化合物を含まずに難燃性に優れた、環
境に対して安全性の高いポリアミドBCFを提供するこ
と。 【解決手段】ポリアミド樹脂98〜80重量部に、トリ
アジン系難燃剤2〜20重量部を配合したポリアミド樹
脂組成物よりなる、繊維度が4〜90dtexの難燃性
ポリアミドモノフィラメントを複数本用いてなる難燃性
ポリアミドマルチフィラメントであって、該フィラメン
ト中に分散している該トリアジン系難燃剤の平均粒径が
5μm未満である難燃性ポリアミドマルチフィラメン
ト。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性に優れたあ
る特定のポリアミド樹脂組成物を用いたマルチフィラメ
ント及びそれを捲縮加工した糸、すなわちBCF(Bu
lked Continuous Filament)
に関するものである。さらに、本発明のBCFを用いる
ことで、ハロゲン化合物を含まず、安全性の高い、難燃
性に優れたカーペット類を提供することを目的とする。
【0002】
【従来技術】家屋、ビルディング、自動車、鉄道車両、
航空機等のカーペット類には、これまで、難燃性を付与
していないポリプロピレンやナイロン樹脂を用いて、B
CFという紡糸直結延伸捲縮加工を施したマルチフィラ
メントとし、これを2〜3本撚り合わせた撚糸を基布に
タフトし、裏側にゴムを張り付けてマット状に加工した
ものを使用するものがあた。近年、安全性の面から、
カーペット類も難燃化すべきとの社会的要請に加えて、
環境汚染や健康障害の恐れがあると言われているハロゲ
ン系難燃剤を用いずに、難燃性に優れたカーペット類が
求められてきた。
【0003】ポリプロピレン樹脂を、ハロゲン系難燃剤
を用いずに難燃化するために、水酸化マグネシウムや尿
素を配合することが提案されているが、その配合量は、
ポリオレフィン樹脂100重量部に対して40重量部以
上の大量を必要とし、モノフィラメントの強度は大幅に
低下してしまうので、マット状に加工した場合、実用に
耐え得るものではなかった。一方、ポリアミド樹脂を、
ハロゲン系難燃剤を用いずに難燃化する方法は、特開昭
51−54655号公報や特開平11−335552号
公報にて提案されていたものの、カーペット類への応用
例は、現在まで無かった。すなわち、ハロゲン化合物を
含まずに、高い難燃性を持ったBCFは、未だ得られて
いないのが実状であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ハロ
ゲン系化合物を含まなくても難燃性に優れた、環境に対
して安全性の高いポリアミドマルチフィラメント、及び
それを用いたBCF、更には該BCFを用いたカーペッ
ト類を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の問題を
解決するためになされたものであり、その要旨は、ポリ
アミド樹脂98〜80重量部に、トリアジン系難燃剤2
〜20重量部を配合したポリアミド樹脂組成物よりな
る、繊維度が4〜90dtexの難燃性ポリアミドモノ
フィラメントを複数本用いてなる難燃性ポリアミドマル
チフィラメントであって、該フィラメント中に分散して
いる該トリアジン系難燃剤の平均粒径が5μm未満であ
る難燃性ポリアミドマルチフィラメントに存する。
【0006】
【実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。ポリアミド樹脂 本発明におけるポリアミド樹脂としては、3員環以上の
ラクタム、重合可能なω−アミノ酸、二塩基酸及びジア
ミン等の重縮合によって得られる、種々のポリアミドを
用いることができる。具体的には、ε−カプロラクタ
ム、アミノカプロン酸、エナントラクタム、7−アミノ
ヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノ
ナン酸、α−ピロリドン、α−ピペリドン等の重合体、
ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウン
デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタ
キシリレンジアミン等のジアミンと、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二塩基
酸、グルタール酸等のジカルボン酸とを重縮合せしめて
得られる重合体又はこれらの共重合体である、ナイロン
4、6、7、8、11、12、6.6、6.9、6.1
0、6.11、6.12、6T、6/6.6、6/1
2、6/6T、6T/6I、MXD6等が挙げられ、複
数種のポリアミド樹脂を使用することもできる。本発明
において特に好ましいポリアミドとしては、難燃性、機
械的強度、成形性の点から、ナイロン6、共重合ナイロ
ン6/6.6、ナイロン6.6が挙げられる。
【0007】本発明におけるポリアミド樹脂の末端は、
カルボン酸又はアミンで封止されていてもよく、特に炭
素数6〜22のカルボン酸又はアミンで封止されたポリ
アミド樹脂が望ましい。具体的に、封止に用いるカルボ
ン酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、ベヘニン酸等の脂肪族モノカルボン酸が挙げられ
る。また、アミンとしては、ヘキシルアミン、オクチル
アミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルア
ミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ベヘニル
アミン等の脂肪族第一級アミンが挙げられる。封止に使
用するカルボン酸又はアミンの量は、30μeq/g程
度がよい。また、本発明に好適なポリアミド樹脂は、あ
る範囲内の重合度、すなわち相対粘度を有するものが好
ましい。好ましい相対粘度は、JIS K6810に従
って、98%硫酸中濃度1%、温度25℃で測定した値
で、2.0〜5.5の範囲内であり、より好ましくは
2.0〜4.5の範囲内である。相対粘度が2.0より
低いと、溶融粘度が低すぎて紡糸が困難になるばかりで
なく、機械的強度も低下しBCF加工段階で破断してし
まう。また、相対粘度が5.5より高いと、溶融流動性
を損うようになり好ましくない。
【0008】トリアジン系難燃剤 本発明におけるトリアジン系難燃剤としては、下記一般
式(1)又は(2)で表される化合物、メラミン類、又
はシアヌル酸とメラミン類との等モル反応物等が挙げら
れる。
【0009】
【化1】
【0010】(式中、R1 〜R6 は、それぞれ、水素原
子又はアルキル基を示す。)
【0011】シアヌル酸メラミンとしては、シアヌル酸
とメラミンとの等モル反応物が挙げられる。また、シア
ヌル酸メラミン中のアミノ基又は水酸基のいくつかが、
他の置換基で置換されていてもよい。シアヌル酸メラミ
ンは、例えば、シアヌル酸の水溶液とメラミンの水溶液
とを混合し、90〜100℃で撹拌下反応させ、生成し
た沈殿を濾過することによって得ることができ、白色の
固体であり、市販品をそのまま、又はこれを微粉末状に
粉砕して使用するのが好ましい。
【0012】前記一般式(1)で表される化合物の具体
例としては、シアヌル酸、トリメチルシアヌレート、ト
リエチルシアヌレート、トリ(n−プロピル)シアヌレ
ート、メチルシアヌレート、ジエチルシアヌレート等が
挙げられる。前記一般式(2)で表される化合物の具体
例としては、イソシアヌル酸、トリメチルイソシアネー
ト、トリエチルイソシアネート、トリ(n−プロピル)
イソシアヌレート、ジエチルイソシアヌレート、メチル
イソシアヌレート等が挙げられる。
【0013】メラミン類としては、メラミン、メラミン
誘導体、メラミンと類似の構造を有する化合物及びメラ
ミンの縮合物等が挙げられる。メラミン類の具体例とし
ては、例えば、メラミン、アンメリド、アンメリン、ホ
ルモグアナミン、グアニルメラミン、シアノメラミン、
アリールグアナミン、メラム、メレム、メロン等が挙げ
られる。トリアジン系難燃剤としては、分解物が成形物
の表面に浮き出してくるブルーミング等の不都合がない
点より、シアヌル酸とメラミン類との等モル反応物が好
ましく、より好ましくは、シアヌル酸メラミンが挙げら
れる。
【0014】トリアジン系難燃剤の平均粒径 トリアジン系難燃剤は、通常、サブミクロンオーダーの
粒径を有する微粉末が凝集した状態である。本発明にお
いて、平均粒径とは、数平均粒径を指す。この平均粒径
は、サブミクロンオーダーの微粉末の凝集した分散粒子
の粒径を表す。更にこの平均粒径とは、フィラメントが
延伸されたものである場合は、延伸後のフィラメント中
の分散粒子での測定値を表す。フィラメント中に分散し
たトリアジン系難燃剤の平均粒径は、例えば、フィラメ
ントを切断し、その断面からトリアジン系難燃剤を取り
除き、SEM観察にて難燃剤の痕跡の大きさを測定する
ことにより知ることができる。本発明では、フィラメン
ト中に分散しているトリアジン系難燃剤の平均粒径が5
μm未満であることが必要である。該平均粒径が5μm
以上であると、フィラメント成形工程、すなわちモノフ
ィラメント紡糸、延伸工程で切断してしまう。本発明で
は、特に、トリアジン系難燃剤の平均粒径が、モノフィ
ラメントの直径の1/2以下であることが好ましい。ま
た、トリアジン系難燃剤をポリアミド樹脂へ配合する場
合、配合工程や紡糸工程にて、凝集体が崩れることがあ
るが、安定的にフィラメント成形、すなわちモノフィラ
メントの紡糸・延伸等を行うためには、予め所定の大き
さに粉砕して使用することが好ましい。この場合のトリ
アジン系難燃剤の平均粒径は、既存の粉体粒子径測定
機、例えば沈降粒度計や、レーザー回折式粒度計、通常
の光学顕微鏡等にて測定することができる。
【0015】ポリアミド樹脂組成物 トリアジン系難燃剤の配合量は、ポリアミド樹脂98〜
80重量部に対し2〜20重量部が必要であり、好まし
くは3〜20重量部である。トリアジン系難燃剤の配合
量が2重量部未満であると難燃性が低下しやすく、20
重量部を超えるとBCF製造の際にモノフィラメントが
切断し易くなるので好ましくない。ポリアミド樹脂にト
リアジン系難燃剤を配合するには、BCF製造の際の紡
糸工程直前までの任意の段階で、周知の種々の手段によ
って行うことができる。最も簡便な方法は、ポリアミド
樹脂とトリアジン系難燃剤の所定量を溶融混合押出にて
ペレット化する方法である。しかし、必要に応じ、所定
量より多いトリアジン系難燃剤をポリアミド樹脂に予め
練り込んだマスターペレットを作成し、これを希釈用ポ
リアミド樹脂とドライブレンドする方法によって、所定
の配合割合の樹脂組成物を得ることもできる。該ドライ
ブレンド後、更に、溶融混合押出にてペレット化する方
法でもよい。また、本発明の樹脂組成物においては、上
記トリアジン系難燃剤のほかに、顔料、染料、充填剤、
核剤、離型剤、安定剤、帯電防止剤その他の周知の添加
剤を、配合することもできる。また、本発明のポリアミ
ド樹脂組成物においては、本発明の効果を損なわない範
囲で、ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂を配合するこ
ともできる。
【0016】難燃性ポリアミド・マルチフィラメント 本発明の難燃性ポリアミド・マルチフィラメントは、上
記のようなポリアミド樹脂に特定の粒径のトリアジン系
難燃剤を特定量配合してなるポリアミド樹脂組成物を、
溶融、紡糸した後、必要に応じて延伸を施し、集束や撚
糸等の工程を経て得たものを指す。紡糸ノズルの断面形
状等を工夫することにより、種々の断面形状を有するモ
ノフィラメントに紡糸してもよい。特に、このマルチフ
ィラメントがBCFである場合には、Y字形状(Y断
面)、三葉断面等の断面形状を有するものの他、これら
の形状のものに中空部を持たせたものや、田形中空断面
等の異形断面を有するものに紡糸し、嵩高連続糸とする
のが良い。このような紡糸されたモノフィラメントの太
さは、所望の用途によって適宜決定され、特に限定され
ないが、BCFに使用する場合には、モノフィラメント
で4〜90dtex(断面が円形とすると、モノフィラ
メントの直径が0.02mm〜0.1mmに相当)の範
囲、マルチフィラメントトータルで1111〜3333
dtex(1000〜3000デニール)の範囲である
のが良い。また、マルチフィラメントとするには、この
ようなモノフィラメントを複数本集束させたり、撚り合
わせたりするが、BCFとする場合には、10〜100
本程度、BCF製造用の一般的な機械では通常64〜6
8本のモノフィラメントを集束させたものが使用され
る。
【0017】難燃性ポリアミドBCF 本発明の難燃性ポリアミドBCF(Bulked Co
ntinuous Filament)は、カーペット
等のカバリング性や防汚性向上の目的で多用されてい
る、3葉断面、田型中空断面等の異形断面を有する嵩高
連続加工糸であって、上記難燃剤を配合したポリアミド
樹脂組成物を原料とし、マルチフィラメントとして慣用
のBCF製造設備を用いて、調製することができる。か
かるBCF製造設備は、通常、紡糸、延伸及び捲縮の3
工程を連続的に行うことができる設備である。例えば、
特開平9−95834号公報、『繊維便覧第2版』(丸
善(株)編)等に記載されており、例えばモノフィラメ
ントを64本〜68本紡糸後、直ちに熱ロールにて3〜
4.5倍程度、好ましくは3〜4倍程度に延伸後、直ち
に加圧蒸気による流体押し込み加工等にて捲縮を施し、
リラックス冷却後、製品ボビンに巻き取り1111〜3
333dtex(1000〜3000デニール)、64
〜68Fのマルチフィラメントを得る。商業的な生産設
備では、2000〜3000m/minのライン速度で
行う。本発明では、このようなBCF(「BCFプライ
糸」ということがある)、更にこのBCFプライ糸を2
〜4本撚り合わせたもの(これを「BCFパイル糸」と
いうことがある)も含む。
【0018】酸素指数 本発明の難燃性ポリアミドBCFは、JIS K 72
01に準拠した測定法による酸素指数として26以上の
難燃性を有することが好ましい。酸素指数とは、サンプ
ルが燃焼を継続するにあたって必要な酸素濃度(容積
%)であり、例えば、厚さ1mm程度のシート状サンプ
ルである場合、酸素指数が22以上であれば、大気中の
酸素濃度では燃焼を継続することが不可能である、自己
消火性材料であることを意味するが、カーペット類に加
工された状態で、空気中での燃焼を継続させないために
は、酸素指数27以上であることが特に好ましい。な
お、酸素指数はポリアミド樹脂組成物の吸水率によって
も変化するので、BCFを24時間以上、23℃、65
%RHに保持した後、上記JIS K 7201に準拠
した測定を行う。また、BCFの場合は、通常直径50
μm程度のモノフィラメントが64〜68本程度集束さ
れたいわゆるマルチフィラメントになっているので、そ
のままの状態で上記JIS所定のサンプル保持具に自立
させて測定することができる。
【0019】ハロゲン化合物の含有 本発明においては、「ハロゲン化合物を含まない」こと
が好ましい。これは、マルチフィラメント又はBCFを
900℃で燃焼させたガスを捕集し、イオンクロマト分
析で定量されるハロゲン元素すなわちフッ素、塩素、臭
素の含有量が、マルチフィラメント又はBCFの重量に
対して、10ppm以下、好ましくは5ppm以下、よ
り好ましくは2ppm以下であることを言う。ハロゲン
元素の含有量が所定値以下であれば、焼却されたとして
も、燃焼ガスがハロゲン元素を含まず、環境に対して安
全性の高いマルチフィラメント又はBCFといえる。
【0020】引張強度 本発明のポリアミド・フィラメントは、JIS L 1
013に準拠した測定法による引張強度(引張破断荷重
をフィラメントの繊度で除した数値で表示する。単位に
はSIを用い、引張破断荷重はNの1/100のcNで
表し、繊度は、長さ10000mあたりのグラム数であ
るdtex(デシテックス)を用い、cN/dtexで
表示する。)が2.0cN/dtex以上あることが好
ましい。引張強度が2.0cN/dtex未満では、実
用上の強度が不足し、BCF製造後の加工工程である撚
り、セット、タフト工程や、カーペット等の製品として
使用時に、破断が起こり好ましくない。引張強度は、よ
り好ましくは2.5cN/dtex以上、特に好ましく
は3.0cN/dtex以上である。
【0021】カーペット類への応用 本発明の難燃性ポリアミドBCFは、カーペット用原糸
として有用であり、撚糸、セット、タフト、バッキング
等、公知の諸加工工程を経て、マット状に加工しカーペ
ット類を得ることができる。例えば、特開平11−28
5466号公報、特開平10−225423号公報等に
記載のように、慣用の紡糸・延伸・捲縮加工直結型のB
CF製造装置にて成形された、トータル1408dte
xで64F(モノフィラメント繊維度は、22dtex
程度)のマルチフィラメントのBCF(BCFプライ
糸)を、2〜4本撚り加工し、その後120〜130℃
で1分程度湿熱セットを施して、パイル糸を得る。次
に、タフト機にて該パイル糸を基布にタフトし、さらに
バッキング、すなわち裏側に加硫剤が配合されたNBR
ゴムシートを貼り、170℃、圧力294kPa(3k
g/cm2 )にてプレスして、マット状に加工しカーペ
ット類が得られる。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例について詳細に説明す
るが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例
に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で
は、下記のポリアミド樹脂及びトリアジン系難燃剤を使
用した。
【0023】<共重合ポリアミド6/6.6樹脂の製造
>アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの塩(以下、
AH塩と略記する。)の50%水溶液及びε−カプロラ
クタム(以下、CLと略記する。)を、各々100℃ま
で昇温し、AH塩15重量部、CL85重量部の比率に
なるように混合した後、200リットルのオートクレー
ブに仕込み、内圧1275kPa(13kg/cm2
で270℃まで昇温した後、内温を245℃に保ち、撹
拌しながら49kPa(0.5kg/cm2 )まで徐々
に減圧して、撹拌動力が所定の値になったところで、重
合を停止した。後に、窒素を導入して復圧後、ストラン
ドにして抜き出し、ペレット化し、沸騰水を用いて未反
応物を抽出除去して乾燥した。このようにして得られ
た、共重合ポリアミド6/6.6樹脂の相対粘度は3.
0、融点は、202℃であった。 <ポリアミド6樹脂>ポリアミド6樹脂は、三菱エンジ
ニアリングプラスチックス(株)製ノバミッド1015
J(相対粘度:3.0)を用いた。
【0024】<トリアジン系難燃剤>シアヌル酸メラミンA 三菱化学(株)製シアヌル酸メラミンMCA−C0(シ
アヌル酸とメラミンの等モル反応物)を、卓上ボールミ
ルにて粉砕した。この粉砕品は、(株)島津製作所製自
動沈降粒度計を用いて平均粒子径を測定したところ、
2.5μmであった。シアヌル酸メラミンB 三菱化学(株)製シアヌル酸メラミンMCA−C0(シ
アヌル酸とメラミンの等モル反応物)を、200メッシ
ュの篩にて分級した。この分級品は、(株)島津製作所
製自動沈降粒度計を用いて平均粒子径を測定したとこ
ろ、80μmであった。
【0025】<ポリアミド樹脂組成物の製造> [実施例1〜3、比較例1〜4]上記ポリアミド6樹脂
及び/又は共重合ポリアミド6/6.6樹脂、並びに、
上記シアヌル酸メラミンA又はBを、表−1に示した割
合で配合し、シリンダ径30mmのベント付き2軸押出
機(日本製鋼所製TEX30)を用い、樹脂温度240
〜260℃にて溶融混練してポリアミド樹脂組成物ペレ
ットを得た。その後、得られたポリアミド樹脂組成物ペ
レットを120℃、ゲージ圧で−101kPaの減圧乾
燥を6時間行ってから、各種サンプルの製造に供した。
【0026】<BCFの製造> [実施例1〜3、比較例1]表−1に示したポリアミド
樹脂組成物を、紡糸・延伸・捲縮直結型のFILTEC
O社製BCF製造装置にて、1408dtexで64
F、モノフィラメント繊維度22dtex、トライロー
バル(三葉断面)のBCFマルチフィラメントを成形し
た。なお、第1ロール速度は500m/min、最終ロ
ール速度は1900m/minであったので延伸倍率は
3.8倍であった。得られたBCFの引張強度を測定
し、また、モノフィラメント中のトリアジン系難燃剤の
平均粒径測定、酸素指数測定、ハロゲン元素分析を行
い、結果を表−1に示した。実施例1〜3で得られたB
CFは、いずれも、撚糸、セット、タフト、バッキング
等、公知の諸加工工程を経て、マット状に加工し、ハロ
ゲン化合物を含まず、安全性の高い、難燃性に優れたカ
ーペット類とすることができた。
【0027】[比較例2〜4]表1に示したポリアミド
樹脂組成物を、紡糸・延伸・捲縮直結型のFILTEC
O社製BCF製造装置にて、1408dtexで64
F、モノフィラメント繊維度22dtex、トライロー
バル(三葉断面)のBCF成形を行う予定であったが、
延伸工程において糸切れが多発し、サンプル(BCF)
を得ることができなかった。
【0028】
【表1】
【0029】前記ポリアミド樹脂についての評価は、下
記基準によった。 (1)相対粘度 JIS K 6810に準拠して、25℃、98%硫酸
中、濃度1%で測定した。 (2)融点 JIS K 7121に準拠して、セイコー電子工業
(株)製、DSC20を用い、試料10mmgを10℃
/分で昇温したときの、融解ピーク温度を測定した。
【0030】前記BCFについての評価は、下記の基準
によった。 (3)BCFモノフィラメント中に分散したトリアジン
系難燃剤の平均粒径 成形したBCFからモノフィラメントを取り出し、カミ
ソリにてノッチを入れ、液体窒素下にて割った。得られ
た断面を含んだモノフィラメントを、常温下、n−ヘキ
サン浴中で超音波洗浄を30分行って、断面からトリア
ジン系難燃剤を取り除いた。その後、該断面に白金蒸着
を施し、拡大倍率5000倍にてSEM観察を行い、ト
リアジン系難燃剤の除去跡の長径を測定し、その100
点平均を平均粒径とした。 (4)酸素指数 成形したBCFを用いて、23℃、65%RH室内にて
24時間以上放置した後、東洋精機社製D型キャンドル
−燃焼試験機を使用し、JIS K 7201に準拠し
て酸素指数を測定した。 (5)ハロゲン元素分析 成形したBCF0.05mgを、ダイヤインスツルメン
ト(株)製試料燃焼装置QF−02型を用い、900℃
で燃焼させ、その燃焼ガスを0.3%濃度の過酸化水素
水中に導入し、トラップした。該トラップ液について、
横川アナリティカルシステムズ(株)製イオンクロマト
アナライザーIC7000Eにて、フッ素、塩素、臭素
の定量分析を行った。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、ハロゲン化合物を含ま
ずに、難燃性に優れた、安全なマルチフィラメント、B
CF、及びこれを原糸とする難燃性に優れたカーペット
類を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D02G 3/44 D02G 3/44 (72)発明者 森本 精次 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱エンジニアリングプラスチックス株式会 社技術センター内 (72)発明者 角田 守男 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱エンジニアリングプラスチックス株式会 社技術センター内 Fターム(参考) 4J002 CL001 CL011 CL031 EU186 FD136 4L035 BB31 BB36 BB91 DD01 DD14 DD20 EE08 EE14 FF04 FF07 JJ21 KK01 KK05 LC02 LC03 4L036 MA06 MA33 PA01 PA03 RA04 UA25

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリアミド樹脂98〜80重量部に、トリ
    アジン系難燃剤2〜20重量部を配合したポリアミド樹
    脂組成物よりなる、繊維度が4〜90dtexの難燃性
    ポリアミドモノフィラメントを複数本用いてなる難燃性
    ポリアミドマルチフィラメントであって、該フィラメン
    ト中に分散している該トリアジン系難燃剤の平均粒径が
    5μm未満である難燃性ポリアミドマルチフィラメン
    ト。
  2. 【請求項2】ハロゲン化合物を含まないことを特徴とす
    る請求項1に記載の難燃性ポリアミドマルチフィラメン
    ト。
  3. 【請求項3】JIS L 1013に準拠した測定法に
    よる引張強度が2.0cN/dtex以上であることを
    特徴とする請求項1又は2に記載の難燃性ポリアミドマ
    ルチフィラメント。
  4. 【請求項4】JIS K 7201測定法による酸素指
    数が27以上であることを特徴とする請求項1ないし3
    のいずれかに記載の難燃性ポリアミドマルチフィラメン
    ト。
  5. 【請求項5】請求項3に記載の難燃性ポリアミドマルチ
    フィラメントを捲縮加工してなる難燃性ポリアミドBC
    F(Bulked Continuous Filam
    ent)。
  6. 【請求項6】請求項5に記載の難燃性ポリアミドBCF
    を用いたカーペット類。
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