JP5812150B2 - 精製ペンタメチレンジアミンの製造方法及びポリアミド樹脂の製造方法 - Google Patents

精製ペンタメチレンジアミンの製造方法及びポリアミド樹脂の製造方法 Download PDF

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本発明は、精製ペンタメチレンジアミンの製造方法等に関し、より詳しくは、ペンタメチレンジアミン炭酸塩の分解処理を含む精製ペンタメチレンジアミンの製造方法等に関する。
プラスチック原料として、その殆どがいわゆる化石原料が用いられている。再生利用する場合を除き、プラスチックを廃棄する場合、燃焼等による廃棄は炭酸ガスの放出を招くことから近年問題となりつつある。そこで、地球温暖化防止及び循環型社会の形成に向けて、プラスチックの製造原料をバイオマス由来の原料に置き換えることが嘱望されている。このようなニーズは、フィルム、自動車部品、電気・電子部品、機械部品等の射出成形品、繊維、モノフィラメント等、多岐にわたる。
このような背景の下、リジンから得られたペンタメチレンジアミン(以下、カダベリンと称する場合がある)を原料として用いる56ナイロンや56/66ナイロン等は植物由来ポリマーとしての期待が大きい。ポリアミド樹脂は、機械的強度、耐熱性、耐薬品性等に優れており、所謂エンジニアリングプラスチックスの1つとして多くの分野で使用されている。
従来、ペンタメチレンジアミンの製造方法として、以下の報告(特許文献1〜特許文献4)が挙げられる。
特許文献1には、リジン溶液のpHが酵素的脱炭酸反応に適したpH4.0〜8.0に維持されるように、炭素数4〜10のジカルボン酸を加えながら、リジンの酵素的脱炭酸反応を行うことにより、カダベリン・ジカルボン酸塩を生成させる方法が記載されている。
特許文献2には、L−リジン・ジカルボン酸塩水溶液に、L−リジン脱炭酸酵素遺伝子を導入した大腸菌もしくはL−リジン脱炭酸酵素を細胞表面に局在化させた大腸菌を接触させ、ジカルボン酸によりpHを制御しながら行ったL−リジン発酵液を用いL−リジン脱炭酸酵素を調製することによりカダベリン・ジカルボン酸塩を製造する方法が記載されている。
特許文献3には、高濃度のL−リジン一塩酸塩に、N末端アミノ酸配列に6個のヒスチジンを付与したL−リジン脱炭酸酵素遺伝子を導入した大腸菌の細胞破砕液もしくはL−リジン脱炭酸酵素を細胞表面に局在化させた大腸菌を接触させることにより、pHを制御する必要がなく、カダベリンを高濃度、高反応収率、高生産速度で生成させ、この反応液をpH13以上にし、極性有機溶媒で抽出し、蒸留することによりカダベリンを製造する方法が記載されている。
特許文献4には、リジン炭酸塩を基質として、二酸化炭素添加によるpH調整後にリジンの酵素的脱炭酸反応により生成したカダベリン炭酸塩にジカルボン酸塩を添加し、炭酸との塩交換反応後、単離工程を経てカダベリン・ジカルボン酸塩を製造する方法が記載されている。
特開2005−006650号公報 特開2004−208646号公報 特開2004−000114号公報 国際公開第2006/123778号パンフレット
ところで、リジンの酵素的脱炭素反応(以下、LDC反応と称する場合がある。)から得られたカダベリン・ジカルボン酸塩は、反応液から公知の方法を組み合わせることによって単離、生成することができる。例えば、カダベリン・ジカルボン酸塩の結晶は、濃縮した反応液を冷却することによりカダベリン・ジカルボン酸塩を析出させ、その後、遠心分離等、通常の固液分離方法によって単離される。
しかし、晶析法では、高収率でカダベリン・ジカルボン酸塩を得ることは困難であるだけでなく、不純物の除去が完全に行われないために、これを原料として得られたポリアミドが着色するという問題があった。
また、LDC反応により生成したカダベリンを反応液から採取する方法として、反応終了液に水酸化ナトリウム等のアルカリを添加し、反応液のpHを12〜14に調整後、クロロホルム等の極性有機溶媒でカダベリンを抽出する方法が知られている。しかし、有機溶媒は有害性があるものが多く、特に、クロロホルムには急性毒性があるため、その取り扱いは好ましくない。また、抽出に有機溶媒を使用すると、有機溶媒を回収しない場合はコストに大きく影響し、有機溶媒を回収する場合は製造工程が複雑になるという問題がある。又、有機溶剤を回収する場合は、回収する工程が必要となり、プロセスが複雑になるだけでなく、エネルギー的にも不利になるという問題がある。
さらに、カダベリン炭酸塩水溶液を40℃程度で減圧濃縮し、炭酸イオン等を二酸化炭素として放出することによりカダベリンを得る方法も考えられる。しかし、カダベリン炭酸塩から炭酸イオン等を分離するのに長時間を要する場合がある。
また、バイオマス由来のペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液には、リジン等の3個以上の官能基を有する不純物やタンパク質等の高分子不純物が存在することが知られている。このため、このような不純物が含まれるペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液の蒸留を行うと、蒸留塔の塔底に、不純物による反応生成物または不純物の濃縮物のような高粘度物質が堆積し、トラブルを招く原因となる。このような高粘度物質や前記リジン等の3個以上の官能基を有する不純物が蒸留によって得られたペンタメチレンジアミンに混入すると、ペンタメチレンジアミンを原料とする56ナイロン等のポリアミドフィルムに外観不良が生じる可能性がある。
本発明の目的は、単純な製造工程で高い収率が得られる精製ペンタメチレンジアミンの製造方法等を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液に高温で分解処理を施すことにより、高収率でペンタメチレンジアミンが得られることを見出し、又、ペンタメチレンジアミン炭酸塩を熱分解させて特定濃度のペンタメチレンジアミンを得、蒸留精製することにより、高品質のペンタメチレンジアミンが高収率で得られることを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成した。
本発明によれば、下記請求項に係る精製ペンタメチレンジアミンの製造方法及びポリアミド樹脂の製造方法が提供される。
請求項1に係る発明は、リジンの水溶液及び/又はリジン炭酸塩の酵素的脱炭酸反応をビタミンB6の存在下、pH5.0以上、9.0以下の条件で行って粗ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液を得るリジンの酵素的脱炭酸工程と、前記粗ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液に含まれるペンタメチレンジアミン炭酸塩を加熱することにより、粗ペンタメチレンジアミンと二酸化炭素を得、加熱の最高温度が180℃〜200℃である熱分解工程と、前記熱分解工程により得られた粗ペンタメチレンジアミンを蒸留し、ペンタメチレンジアミンを得る蒸留工程と、含み、前記粗ペンタメチレンジアミン中におけるペンタメチレンジアミン及びペンタメチレンジアミン炭酸塩の合計100mol%に対するペンタメチレンジアミンの濃度が95mol%以上であることを特徴とする精製ペンタメチレンジアミンの製造方法である。
請求項2に係る発明は、前記蒸留工程の条件が下記(1)及び(2)であることを特徴とする請求項1に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法。
(1)蒸留温度:40℃〜300℃
(2)蒸留圧力:0.2kPa〜1200kPa
請求項3に係る発明は、前記熱分解工程において、前記粗ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液を加熱することにより、粗ペンタメチレンジアミンと二酸化炭素と水を得ることを特徴とする請求項1又は2に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法である。
請求項4に係る発明は、前記熱分解工程における圧力が2kPa〜1200kPaであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法である。
請求項5に係る発明は、前記熱分解工程において、ガスを吹込みながらペンタメチレンジアミン炭酸塩を加熱することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法である。
請求項6に係る発明は、前記ガスが不活性ガスであることを特徴とする請求項5に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法である。
請求項7に係る発明は、前記リジンの酵素的脱炭酸工程を二酸化炭素雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法である。
請求項8に係る発明は、前記リジンの酵素的脱炭酸工程に先立って、リジンと二酸化炭素からリジン炭酸塩を得るリジン炭酸塩生成工程を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法である。
請求項9に係る発明は、前記リジン炭酸塩生成工程において、リジンが水溶液であることを特徴とする請求項8に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法である。
請求項10に係る発明は、前記熱分解工程で生成する二酸化炭素を、前記リジンの酵素的脱炭酸工程の二酸化炭素として回収し、再使用することを特徴とする請求項7に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法である。
請求項11に係る発明は、前記熱分解工程で生成する二酸化炭素を、前記リジン炭酸塩生成工程に用いる二酸化炭素として回収・再使用することを特徴とする請求項8に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法である。
請求項12に係る発明は、前記熱分解工程で生成する水を、前記リジンの酵素的脱炭酸工程の水として回収・再使用することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法である。
請求項13に係る発明は、前記熱分解工程で生成する水を、前記リジン炭酸塩生成工程の水として回収・再使用することを特徴とする請求項9に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法である。
請求項14に係る発明は、ペンタメチレンジアミン炭酸塩中に含まれる3個以上の官能基を有する有機物の合計含有量が、前記粗ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液に含まれるペンタメチレンジアミンに対する重量比率で0.01以下であることを特徴とする請求項乃至13のいずれか1項に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法である。
請求項15に係る発明は、前記粗ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液中に含まれる3個以上の官能基を有する有機物がリジンであることを特徴とする請求項14に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法である。
請求項16に係る発明は、リジンの水溶液及び/又はリジン炭酸塩の酵素的脱炭酸反応をビタミンB6の存在下、pH5.0以上、9.0以下の条件で行って粗ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液を得るリジンの酵素的脱炭酸工程と、前記粗ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液に含まれるペンタメチレンジアミン炭酸塩を加熱することにより、粗ペンタメチレンジアミンと二酸化炭素を得、加熱の最高温度が180℃〜200℃である熱分解工程と、前記熱分解工程により得られた粗ペンタメチレンジアミンを蒸留し、ペンタメチレンジアミンを得る蒸留工程と、前記蒸留工程により得られたペンタメチレンジアミンとジカルボン酸とを単量体成分として重縮合反応を行う重縮合反応工程と、を含み、前記熱分解工程において得られた粗ペンタメチレンジアミン中におけるペンタメチレンジアミン及びペンタメチレンジアミン炭酸塩の合計100mol%に対するペンタメチレンジアミンの濃度が95mol%以上であることを特徴とするポリアミド樹脂の製造方法である。
請求項17に係る発明は、前記重縮合反応工程に先立って、前記ペンタメチレンジアミン、ジカルボン酸及び水によりペンタメチレンジアミン・ジカルボン酸塩水溶液とした後、水を留去する濃縮工程を有することを特徴とする請求項16に記載のポリアミド樹脂の製造方法である。
請求項18に係る発明は、前記リジンの酵素的脱炭酸工程に先立って、リジンと二酸化炭素からリジン炭酸塩を得るリジン炭酸塩生成工程を有することを特徴とする請求項16又は17に記載のポリアミド樹脂の製造方法である。
請求項19に係る発明は、前記リジン炭酸塩生成工程において、リジンが水溶液であることを特徴とする請求項18に記載のポリアミド樹脂の製造方法である。
請求項20に係る発明は、前記重縮合反応工程及び/又は濃縮工程で生成する水を、前記リジンの酵素的脱炭酸工程の水として回収・再使用することを特徴とする請求項17に記載のポリアミド樹脂の製造方法である。
請求項21に係る発明は、前記重縮合反応工程及び/又は濃縮工程で生成する水を、前記リジン炭酸塩生成工程の水として回収・再使用することを特徴とする請求項19に記載のポリアミド樹脂の製造方法である。
本発明によれば、従来と比較して、単純な製造工程により、高い収率でペンタメチレンジアミンを製造することができる。さらに、熱分解工程において生成された二酸化炭素の一部あるいは全量を回収し、これを再使用することにより、二酸化炭素の製造に伴うエネルギー消費、及びエネルギー消費に伴う二酸化炭素の排出を低減できる。加えて、熱分解工程、重縮合工程及び/又は濃縮工程において生成された水の一部あるいは全量を回収し、これを再使用することにより、水の調達に伴うエネルギー消費、及び水の排出を低減できる。
自動滴定装置による測定結果の一例である。 自動滴定装置による測定結果の一例である。 cadAのクローニングの手順を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。また、使用する図面は本実施の形態を説明するためのものであり、実際の大きさを表すものではない。
(ペンタメチレンジアミン炭酸塩)
本実施の形態で使用するペンタメチレンジアミン炭酸塩は、リジンの酵素的脱炭素反応(LDC反応)により得られるものであることが好ましい。リジンのLDC反応は、リジンまたはリジン炭酸塩と、リジン脱炭酸酵素、リジン脱炭酸酵素活性の向上した組み換え微生物、リジン脱炭酸酵素を産生する細胞もしくは当該細胞の処理物からなる群の少なくとも1つを使用して行われる。リジンのLDC反応については後述する。
本実施の形態では、リジンのLDC反応により得られたペンタメチレンジアミン炭酸塩は、通常、水溶液として得られる。尚、ペンタメチレンジアミン炭酸塩は固体状態であってもよいが、水溶液または他の溶媒に溶解した溶液の状態が好ましい。水溶液または他の溶媒に溶解した溶液のペンタメチレンジアミン炭酸塩の濃度は、通常、1重量%〜80重量%、好ましくは30重量%〜70重量%である。
尚、リジンのLDC反応後、得られたペンタメチレンジアミン炭酸塩の濃度が上述した範囲より低い場合は、必要に応じて濃縮操作を行うことが好ましい。
リジンのLDC反応により得られたペンタメチレンジアミン炭酸塩は、通常、3個以上の官能基を有する有機物やタンパク質等の高分子物質を含む不純物が含まれている。
ここで、3個以上の官能基を有する有機物とは、分子内に架橋ゲルの原因となり得る官能基を3個以上有する有機物が挙げられる。このような官能基としては、例えば、アミノ基、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基、水酸基、ヒドラジド基、エポキシ基、メルカプト基、ニトロ基、アルコキシル基等が挙げられる。
3個以上の官能基を有する有機物としては、アミノ酸、オリゴ糖、リンゴ酸、クエン酸等が挙げられる。アミノ酸の具体例としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リジン、オルニチン、ヒドロキシリジン、アルギニン、ヒスチジン等が挙げられる。中でもリジンが多く存在する。尚、これらのアミノ酸はL体でもD体でも構わない。
(熱分解工程)
本実施の形態において、リジンのLDC反応により得られたペンタメチレンジアミン炭酸塩を加熱し、予め定めた温度で不純物を含む粗ペンタメチレンジアミンと二酸化炭素とに熱分解し、次いで、粗ペンタメチレンジアミンを蒸留し、不純物が除去された精製ペンタメチレンジアミンを得る。初めに、ペンタメチレンジアミン炭酸塩を熱分解する工程について説明する。
ペンタメチレンジアミン炭酸塩は、加熱することにより熱分解する。そのため、熱分解は加熱を伴う濃縮、還流、脱水蒸留等のいずれの行程においても発生する。従って、本願における熱分解温度の最高温度とは、加熱を伴う全行程における最高温度と等しい。
リジンのLDC反応により得られたペンタメチレンジアミン炭酸塩の熱分解温度の最高温度は、通常40℃以上、好ましくは110℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは130℃以上、特に好ましくは150℃以上である。また、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃以下、さらに好ましくは220℃以下、とりわけ好ましくは210以下、特に好ましくは200℃以下である。
ペンタメチレンジアミン炭酸塩を加熱する温度が過度に低いと、ペンタメチレンジアミン炭酸塩の分解が進行せず、その後に行われる蒸留操作による収率が低下したり、ペンタメチレン炭酸塩の析出が起こる傾向がある。また、加熱する温度が過度に高いと、ペンタメチレンジアミンが分解する可能性がある。
ペンタメチレンジアミン炭酸塩の加熱時間は、特に限定されないが、通常1時間以上、好ましくは2時間以上、さらに好ましくは3時間以上である。
前述したように、リジンのLDC反応により得られたペンタメチレンジアミン炭酸塩は、通常、水溶液として得られる。この場合、加熱処理により蒸発する水の蒸発潜熱のため、そのまま加熱した場合、水溶液の温度が上昇しにくい。このため、ペンタメチレンジアミン炭酸塩の熱分解が進行せずに、脱水後にペンタメチレンジアミン炭酸塩が析出する可能性がある。
このため、本実施の形態では、リジンのLDC反応により得られたペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液を、必要に応じて濃縮操作を施し、予め定めた濃度に調製した後、水溶液を還流等の操作により、水溶液中に含まれる大部分のペンタメチレンジアミン炭酸塩を分解し、その後、脱水蒸留等を行うことが好ましい。
還流の温度は水溶液中の水分により異なり、水分濃度が低い場合はより高温での還流が可能である。還流温度は通常、40℃〜300℃、好ましくは、100℃〜180℃の範囲であり、又還流時間は通常1時間以上、好ましくは2時間以上、さらに好ましくは3時間以上である。
また、同様な効果が得られる操作として、水溶液に含まれるペンタメチレンジアミン炭酸塩が析出しない条件で、脱水蒸留を行いながら大部分のペンタメチレンジアミン炭酸塩を分解することが好ましい。この場合、バッチ式では、先ず、100℃〜120℃で脱水蒸留を行う。水分量の減少と共に内温が上昇し、160℃〜180℃付近になるとペンタメチレンジアミンが留去し始め、脱水はほぼ完了する。また、その時の温度はペンタメチレンジアミン炭酸塩の分解に十分な温度に到達しており、粗ペンタメチレンジアミンが得られる。他の方法としては、脱水蒸留と分解を加圧で行う方法がある。加圧にすることにより、水の沸点が上昇し、分解が効率よく進む。
尚、ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液の熱分解を、連続運転装置を使用して行う場合、熱分解に必要な温度に保たれた反応槽に、所定量のペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液を供給し、脱水を行いながら分解する方法が好ましい。
また、連続運転装置を使用する場合は、ペンタメチレンジアミン炭酸塩の分解を効率よく行うために、次のような2つのステージが考えられる。
第1ステージとして、先ず、蒸留塔にて減圧下、加熱により、ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液の脱水を行う。水分が少なく、さらに脱水条件下での加熱によりペンタメチレンジアミン炭酸塩の一部が分解した塔底の溶液を、次の第2ステージへ移送する。
第2ステージとして、第1ステージから移送された溶液を、各種条件を制御して加熱分解させる。このとき、ペンタメチレンジアミン炭酸塩をほぼ完全に分解することが好ましい。次に、塔底より得られた粗ペンタメチレンジアミンを、好ましくは減圧下、蒸留してペンタメチレンジアミンを得る。
さらに、上記の方法とは別に、ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液の脱水、分解、ペンタメチレンジアミンの蒸留の一連の操作を1つの装置で行うことも考えられる。例えば、多段蒸留塔等を使用し、ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液を蒸留塔の中央付近より供給し、蒸留塔の塔底を高温にすることにより、ペンタメチレンジアミン炭酸塩がほぼ完全に分解する。蒸留塔の塔頂からは、水と二酸化炭素を回収し、蒸留塔中段からは蒸留したペンタメチレンジアミンを回収し、塔底から釜残を取り出す。
本実施の形態では、上述した熱分解工程により、ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液中のペンタメチレンジアミン炭酸塩が、粗ペンタメチレンジアミンと二酸化炭素とに分解する。前記粗ペンタメチレンジアミンに含まれるペンタメチレンジアミンの濃度は、ペンタメチレンジアミンと分解せずに残存するペンタメチレンジアミン炭酸塩との合計を100mol%として、通常、30mol%以上、好ましくは75mol%以上、より好ましくは85mol%以上、さらに好ましくは90mol%以上、とりわけ好ましくは95mol%以上、特に好ましくは99mol%以上である。
尚、熱分解工程を連続式で行う場合は、ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液を供給しながら熱分解を行うため、ペンタメチレンジアミン炭酸塩が完全に分解した粗ペンタメチレンジアミンを得ることは難しく、通常99.9mol%以下、好ましくは99.5mol%以下、さらに好ましくは99.0mol%以下である。
水溶液中に分解せずに残存するペンタメチレンジアミン炭酸塩量が過度に多いと、後工程である蒸留によりペンタメチレンジアミンを単離する際、蒸留塔の塔底に炭酸塩として析出し、収率が低下したり、リボイラーの閉塞、熱効率の低下を招いたりする場合がある。
熱分解の際の圧力は、通常2kPa以上、好ましくは10kPa以上、特に好ましくは100kPa以上である。又、通常1200kPa以下、好ましくは800kPa以下、特に好ましくは500kPa以下である。圧力が過度に低いと、内温が上昇しないためペンタメチレンジアミン炭酸塩の分解が進行せず、その後に行われる蒸留操作での収率が低下したり、蒸留塔の塔底に炭酸塩が析出してトラブルの原因となったりする。又、圧力が過度に高いと、二酸化炭素分圧が大きく、分解を進行させるには高温にする必要があり、過度に高温にすることでペンタメチレンジアミンが分解する可能性がある。
尚、ここでの圧力とは絶対圧力であり、他に記載した圧力に関してもkPaのように表した場合は、全て絶対圧力を表すものとする。また、それと区別してkPaGのように圧力単位にGを付加して表した場合は、ゲージ圧力を表すものとする。
熱分解工程では、ガスを吹き込ながらペンタメチレンジアミン炭酸塩の分解を行ってもよい。ガスの種類としては不活性ガスが好ましく、通常、窒素やアルゴンを使用する。ガスを吹き込むことにより二酸化炭素の分圧が低下し、より分解が進行する。
更に、熱分解工程において得られる粗ペンタメチレンジアミン中には、ペンタメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン炭酸塩、水以外にリジン由来、もしくは酵素的脱炭酸反応で生成した不純物等が含まれている。使用するリジンの種類には、精製された医薬グレードのリジンや、グルコースの醗酵により得られたリジン水溶液があり、含まれる不純物量が異なる。そのため、使用するリジンの種類により粗ペンタメチレンジアミン中に含まれる不純物量が異なり、粗ペンタメチレンジアミン中の全ペンタメチレンジアミン濃度は通常99重量%以下であり、リジンの種類によっては不純物量が多いため、95重量%以下の場合もある。ここでの、全ペンタメチレンジアミンとは、ペンタメチレンジアミン及びペンタメチレンジアミン炭酸塩中のペンタメチレンジアミン成分の両方を含むペンタメチレンジアミンを表す。また、通常、ペンタメチレンジアミンと表記した場合は、遊離のペンタメチレンジアミンを表し、全ペンタメチレンジアミンとは区別して使用する。
(水溶液中の不純物の低減方法)
前述したように、リジンのLDC反応により得られたペンタメチレンジアミン炭酸塩は、通常、3個以上の官能基を有する有機物やタンパク質等の高分子物質を含む不純物が含まれている。このような不純物が残存した状態で、ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液の加熱、蒸留操作を行うと、蒸留塔の塔底等に不純物が原因と考えられる高粘度物質が堆積する等、トラブルの原因となる。
このため、本実施の形態では、ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液中の不純物を、少なくとも後述する蒸留工程の前に、好ましくは熱分解工程において熱分解処理を行う前に、予め低減させることが好ましい。
(3個以上の官能基を有する有機物の低減方法)
ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液中に存在する3個以上の官能基を有する有機物のなかでも、リジン等のアミノ酸は、リジン脱炭酸酵素(以下、LDCと称する場合がある)の使用に伴う微生物(菌体)に由来する。このため、リジンのLDC反応時に使用する菌体の量を所定範囲内に抑えることにより低減することができる。さらにリジンは、LDC反応の転化率が約100%になるまでLDC反応を行うことにより、リジン濃度を検出限界以下にすることが可能である。
上述した操作により、本実施の形態では、ペンタメチレンジアミン炭酸塩の水溶液中に含まれる3個以上の官能基を有する有機物の合計含有量は、水溶液に含まれるペンタメチレンジアミンに対する重量比率で、通常0.01以下、好ましくは0.009以下、さらに好ましくは0.008以下、特に好ましくは0.007以下に低減する。
(高分子不純物の除去処理)
本実施の形態で使用するペンタメチレンジアミン炭酸塩の水溶液は、加熱による熱分解処理に先立ち、予め、水溶液中に含まれる高分子不純物を除去することが好ましい。特に、ペンタメチレンジアミン炭酸塩が、後述するリジン脱炭酸酵素を使用しリジンまたはリジン炭酸塩から産出されたものである場合、水溶液中には、高分子不純物としては、例えば、タンパク質、核酸、多糖類等が含まれる。このような高分子不純物が水溶液中に含まれた状態で加熱処理を行うと、加熱処理装置の伝熱低下等の原因になり得る。
高分子不純物を除去する方法は、通常、水溶液中に添加した吸着剤に高分子不純物を吸着させる方法、水溶液を予め定めたサイズの膜により濾過する方法等が挙げられる。中でも簡便性と除去効果の観点から、水溶液を限外濾過膜(UF膜)を用いて処理する方法が好ましい。
水溶液を、UF膜を用いて処理することにより、水溶液中に含まれる分子量12,000以上、好ましくは分子量5,000以上、特に好ましくは分子量1,000以上の高分子不純物を除去する。
UF膜の材質は、例えば、酢酸セルロース、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、アクリロニトリル共重合体、ポリアミド12等が挙げられる。中でもアクリロニトリル共重合体が好ましい。
UF膜の膜形状は、平膜、中空糸、板、管、スパイラル巻き等が挙げられる。中でも中空糸が好ましい。また、種々のUF膜モジュールが各社から販売されており、操作のしやすさからモジュール化したものが好ましい。
(蒸留工程)
次に、蒸留工程について説明する。
蒸留工程では、前述した熱分解工程により得られた粗ペンタメチレンジアミン(ペンタメチレンジアミンと不純物を含む)を蒸留することにより、粗ペンタメチレンジアミンに含まれるペンタメチレンジアミンが得られる。
蒸留工程に先立って、熱分解工程で発生した二酸化炭素を、反応槽もしくは蒸留塔内から除外しておくことが好ましい。二酸化炭素を除外しない場合、反応槽や蒸留塔上部に二酸化炭素が存在するために、二酸化炭素と蒸留されたペンタメチレンジアミンとが反応してペンタメチレンジアミン炭酸塩を生成し、塔内壁に付着して閉塞等の原因となる。
さらに、蒸留により単離されたペンタメチレンジアミン中にペンタメチレンジアミン炭酸塩が含まれ、ペンタメチレンジアミンの融点以上の温度においても凝固し、抜出しが困難となる可能性がある。その場合、蒸留した精製ペンタメチレンジアミンに水を加えることにより、ペンタメチレンジアミンを凝固させずに水溶液として得ることができる。その際、水溶液中の全ペンタメチレンジアミン濃度は通常20重量%以上、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上であり、通常99重量%以下、好ましくは95重量%以下、さらに好ましくは90重量%以下である。
二酸化炭素を除外する方法としては、不活性ガスを吹き込むことにより、塔内を不活性ガス雰囲気とする方法がある。不活性ガスの種類としては、窒素やアルゴンを用いることができる。また、熱分解工程で使用する反応槽や蒸留塔と、蒸留工程で使用する蒸留塔を別に設けることで、蒸留工程でのペンタメチレンジアミン炭酸塩の生成を防ぐことができる。
また、蒸留工程における温度や圧力の条件は、熱分解工程の条件と比較してペンタメチレンジアミン炭酸塩が分解しにくい条件が好ましい。熱分解工程において分解せずに残ったペンタメチレンジアミン炭酸塩が、蒸留工程において分解した場合、前述のとおり、蒸留塔上部に二酸化炭素が存在するためにペンタメチレンジアミン炭酸塩が生成し、閉塞や蒸留により得たペンタメチレンジアミンの凝固の原因となる。
蒸留に際し、水溶液中に含まれるペンタメチレンジアミンの濃度は、前述したようにペンタメチレンジアミンと分解せずに残存するペンタメチレンジアミン炭酸塩との合計を100mol%として、通常、30mol%以上、好ましくは75mol%以上、より好ましくは85mol%以上、さらに好ましくは90mol%以上、とりわけ好ましくは95mol%以上、特に好ましくは99mol%以上である。
蒸留の際、蒸留温度は、通常、40℃〜300℃、好ましくは50℃〜200℃、より好ましくは60℃〜180℃、さらに好ましくは70℃〜150℃、特に好ましくは70℃〜120℃である。蒸留圧は、通常0.2kPa〜1200kPa、好ましくは0.5kPa〜800kPa、さらに好ましくは1.0kPa〜500kPaである。
尚、蒸留により得られた精製ペンタメチレンジアミンには、一部、ペンタメチレンジアミン炭酸塩が含まれる可能性がある。しかし、この炭酸塩は容易にジカルボン酸と塩交換をするため、ポリアミド樹脂の重合に供する単量体として問題なく使用することができる。
また、蒸留で得られる精製ペンタメチレンジアミンの重量は、使用するリジンの種類によるが、バッチ式の場合は粗ペンタメチレンジアミンの重量に対して、連続式の場合は単位時間当たりに蒸留装置に供給される粗ペンタメチレンジアミンの重量に対して、通常99重量%以下、好ましくは97重量%以下、さらに好ましくは95重量%以下である。また通常40重量%以上、好ましくは45重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上である。蒸留量が過度に多いと、蒸留塔の塔底で、不純物による反応生成物または不純物の濃縮物のような高粘度物質が堆積し、トラブルを招く原因となる。また、蒸留量が過度に少ないと、バッチ式の場合は収率の低下に繋がり、連続式の場合は生産効率が低下するため好ましくない。
(二酸化炭素の回収・再使用)
次に、ペンタメチレンジアミン炭酸塩の熱分解工程にて生成された二酸化炭素の回収・再使用について説明する。二酸化炭素は、出発原料からペンタメチレンジアミンを製造する間のいずれの工程においても使用することができ、特に限定されない。特に、本実施の形態では、リジンと二酸化炭素からリジン炭酸塩を得るリジン炭酸塩生成工程、リジン炭酸塩からペンタメチレンジアミン炭酸塩を生成する酵素的脱炭酸反応工程が好ましい。後者は、酵素的脱炭酸反応が進むとpHが高くなるので、中性になるようにpH調整することが好ましく、そのpH調整に二酸化炭素を使用する。
二酸化炭素の回収・再使用の方法は特に限定されないが、熱分解工程にて回収される水を冷却器により分離した後、排出される二酸化炭素をそのままリジン炭酸塩生成工程、あるいは酵素的脱炭酸反応工程にて再使用してもよい。その際、圧縮機を使用して二酸化炭素を圧縮して使用してもよい。
(水の回収・再使用)
更に、ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液の濃縮や、ペンタメチレンジアミン炭酸塩の熱分解工程にて回収された水と、後述するペンタメチレンジアミンとジカルボン酸の濃縮工程及び重縮合反応工程にて回収された水の再使用について説明する。水は、出発原料からペンタメチレンジアミンを製造する間のいずれの工程においても使用することができ、特に限定されない。特に、本実施の形態では、リジンと二酸化炭素からリジン炭酸塩を得るリジン炭酸塩生成工程、リジン炭酸塩からペンタメチレンジアミン炭酸塩を産出する酵素的脱炭酸反応工程が好ましい。
更に、ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液の濃縮、ペンタメチレンジアミン炭酸塩の熱分解、ペンタメチレンジアミンとジカルボン酸の濃縮工程及び/又は重縮合反応工程では加熱が伴うため、回収された水にはペンタメチレンジアミンの一部が分解して生成した不純物が含まれる可能性がある。回収された水をそのまま再使用してもよいが、ペンタメチレンジアミンが分解して生成した不純物を除去してから再使用することが好ましい。不純物の除去の方法は特に限定されないが、イオン交換樹脂法、活性炭処理法などの吸着法、逆浸透膜などの膜処理、蒸留により除去する方法が挙げられる。
(リジン炭酸塩生成、リジンの酵素的脱炭酸反応)
次に、本実施の形態において使用するペンタメチレンジアミン炭酸塩を調製するためのリジン炭酸塩生成及びリジンの酵素的脱炭酸反応について説明する。
本実施の形態において、リジンの酵素的脱炭酸反応は、例えば、リジンを水に溶解したリジン溶液に、同溶液のpHがリジンの酵素的脱炭酸反応(LDC反応)に適したpHに維持されるように二酸化炭素を加えながら、あるいは、二酸化炭素雰囲気下にて行われる。
以下、詳細に説明する。
原料として使用するリジンは、通常、遊離塩基(リジンベース、即ち、遊離リジン)であることが好ましい。また、リジンの炭酸塩であってもよい。リジンは、L−リジン、D−リジンが挙げられる。通常、入手の容易性からL−リジンが好ましい。また、リジンは、精製されたリジンであってもよく、リジンを含む発酵液であってもよい。
リジン溶液を調製する溶媒は、好適には水が使用される。LDC反応が行われる反応液のpHは、二酸化炭素によって調節され、通常、他のpH調節剤や緩衝剤は使用されない。尚、リジンを溶解する溶媒に、例えば酢酸ナトリウム緩衝液等を使用する場合、ペンタメチレンジアミン炭酸塩を形成させるという点から、リジン濃度は低濃度に抑えることが好ましい。
遊離リジンを使用する場合、例えば水に溶解したリジン溶液に二酸化炭素を加えながら、あるいは二酸化炭素雰囲気下にて、反応液のpHをLDC反応に適したpHとなるように調節する。具体的なpHは、通常4.0以上、好ましくは5.0以上であり、通常12.0以下、好ましくは9.0以下である。以下、このように、反応液のpHをLDC反応に適したpHに調節することを「中和」と称する場合がある。なお、本発明における二酸化炭素雰囲気下とは、気相部分を二酸化炭素でほぼ満たされた状態のことを意味する。
LDC反応の際、生産速度および反応収率向上のため、ビタミンB6を添加することが好ましい。ビタミンB6としては、ピリドキシン、ピリドキサミン、ピリドキサール、ピリドキサルリン酸等が挙げられる。中でもピリドキサルリン酸が好ましい。ビタミンB6の添加方法、添加時期は特に制限されず、LDC反応中に適宜添加すればよい。
LDC反応は、上述したように中和されたリジン溶液にリジン脱炭酸酵素(LDC)を添加することによって行われる。LDCとしては、リジンに作用しペンタメチレンジアミンを生成させるものであれば特に制限はない。LDCとしては、精製酵素、LDCを産生する微生物、植物細胞または動物細胞等の細胞が挙げられる。LDC又はLDCを産生する細胞は2種以上を併用してもよい。また、細胞をそのまま使用してもよく、LDCを含む細胞処理物を使用してもよい。細胞処理物としては、細胞破砕液やその分画物が挙げられる。
LDCを産生する微生物としては、エシェリヒア・コリ(E.coli)等のエシェリヒア属細菌、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)等のコリネ型細菌、バチルス・サチリス(Bacillus subtilis)等のバチルス属細菌、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)等のセラチア属細菌等の細菌、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等の真核細胞が挙げられる。これらの中では細菌が好ましく、E.coliが特に好ましい。
前記の微生物は、LDCを産生する限り、野生株でもよく、変異株であってもよい。また、LDC活性が上昇するように改変された組換え株であってもよい。植物細胞または動物細胞も、LDC活性が上昇するように改変された組換え細胞を使用することができる。詳細については、例えば、特願2008−4759号に記載されている。
LDC反応は、リジン溶液にLDCを添加し反応を開始する。反応開始後は、反応の進行に伴い、リジンから遊離される二酸化炭素が反応液から放出されpHが上昇する。このため、反応液のpHがLDC反応に適したpHの範囲となるように、二酸化炭素を反応液に添加する(吹き込む)。二酸化炭素は反応液中に連続的に添加してもよく、分割添加してもよい。また、二酸化炭素雰囲気下や密閉系にする等して、リジンから遊離される二酸化炭素をpH調整に使用してもよい。LDC反応の反応温度は特に制限されず、通常20℃以上、好ましくは30℃以上であり、通常60℃以下、好ましくは40℃以下である。
尚、原料のリジンは、反応開始時に反応液に全量添加してもよく、LDC反応の進行に応じ、分割して添加してもよい。
LDC反応がバッチ式により行われる場合、反応液中に二酸化炭素を容易に添加することができる。また、LDC、LDCを産生する細胞またはその処理物を固定化した担体を含む移動床カラムクロマトグラフィーにより反応を行うこともできる。その場合、反応系のpHが予め定めた範囲に維持されたまま反応が進行するように、リジン及び二酸化炭素をカラムの適当な部位に注入する。
また、二酸化炭素の添加を行わず、LDC反応により放出される二酸化炭素の全量若しくは一部を中和のために使用しても良い。
LDC反応は、上述したようにペンタメチレンジアミンの生成に伴って上昇するpHを、二酸化炭素を使用して逐次中和することにより、良好に進行する。LDC反応により生成したペンタメチレンジアミンは二価の炭酸塩または一価の炭酸水素塩として反応液中に蓄積する。
(ポリアミド樹脂)
次に、前述したペンタメチレンジアミン炭酸塩から得られた、ペンタメチレンジアミンとジカルボン酸とを単量体成分として用いる、ポリアミド樹脂の製造方法について説明する。
本実施の形態では、ペンタメチレンジアミン炭酸塩から得られた、ペンタメチレンジアミンとジカルボン酸とを単量体成分とし、重縮合触媒を用い重縮合反応によりポリアミド樹脂を製造する。
ペンタメチレンジアミンとの重縮合反応に用いる、単量体成分としてのジカルボン酸の具体例は、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカンニ酸、ヘプタデカンニ酸、オクタデカン二酸、ノナデカンニ酸、エイコサンニ酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
これらのジカルボン酸の中でも、脂肪族ジカルボン酸が好ましく、アジピン酸が特に好ましい。また、ジカルボン酸としてアジピン酸を用いる場合、ジカルボン酸中のアジピン酸の濃度は、通常、90重量%以上、好ましくは95重量%以上、さらに好ましくは100重量%である。
さらに、本発明により得られる効果を損なわない程度において、他の単量体成分を用いることができる。このような他の単量体成分としては、例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等のアミノ酸;ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム等のラクタム;エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,15−ジアミノペンタデカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1,19−ジアミノノナデカン、1,20−ジアミノエイコサン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン等の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノヘキシル)メタン等の脂環式ジアミン;キシリレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。これらの単量体成分は2種以上を併用しても良い。
(重縮合反応方法)
本実施の形態において、ペンタメチレンジアミンとジカルボン酸との重縮合反応方法は特に限定されず、従来公知の方法から適宜選択することができる。また、重縮合触媒は、従来公知のものの中から適宜選択して使用することができ、特に限定されない。一般的なポリアミド樹脂の製造方法としては、例えば、「ポリアミド樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社:福本修編、昭和63年1月30日初版)等に開示されている。
重縮合反応方法の一例としては、例えば、ペンタメチレンジアミン及びジカルボン酸を含む水溶液を高温高圧下で、脱水反応を進行させる加熱重縮合法が挙げられる。ここで、加熱重縮合法において、重縮合反応の最高温度は200℃以上、好ましくは220℃以上、通常300℃以下である。重縮合方式には、特に制限は無く、バッチ式または連続方式が採用できる。
尚、加熱重縮合法により得られたポリアミド樹脂を、例えば、真空中または不活性ガス中で100℃以上、融点以下の温度で加熱することにより、ポリアミド樹脂の分子量を高くすることができる(固相重合)。
また、ペンタメチレンジアミン及びジカルボン酸を高温高圧下で重縮合して得られた低次縮合物(オリゴマー)を高分子量化する方法、ペンタメチレンジアミンを溶解した水溶液と、ジカルボン酸塩やジカルボン酸ジハライドを水性溶媒又は有機溶媒に溶解させた溶液とを接触させ、これらの界面で重縮合反応させる界面重縮合法等が挙げられる。
尚、本実施の形態では、重縮合反応に先立ち、ペンタメチレンジアミン及びジカルボン酸を含む水溶液の濃縮工程を組み入れても良い。濃縮工程を組み入れることにより、前記重縮合反応時間の短縮を図ることができる。濃縮工程では、ペンタメチレンジアミンとジカルボン酸の塩が析出しないように通常140℃〜160℃、好ましくは加圧下で、ペンタメチレンジアミンとジカルボン酸の塩の濃度が70重量%〜90重量%になるまで濃縮する。
本実施の形態において、ペンタメチレンジアミン及びジカルボン酸の重縮合により得られるポリアミド樹脂の分子量は特に限定されず、目的に応じて適宜選択される。実用性の観点から、通常、ポリアミド樹脂の25℃における98%硫酸溶液(ポリアミド樹脂濃度:0.01g/mL)の相対粘度の下限が、通常、1.5、好ましくは1.8、特に好ましくは2.2であり、上限は、通常、8.0、好ましくは5.5、特に好ましくは3.5である。相対粘度が過度に小さいと実用的強度が得られない傾向がある。相対粘度が過度に大きいと、ポリアミド樹脂の流動性が低下し、成形加工性が損なわれる傾向がある。
(添加剤)
本実施の形態が適用されるポリアミド樹脂には、必要に応じて、各種の添加剤が配合される。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、離型剤、滑剤、顔料、染料、結晶核剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤、他の重縮合体等が挙げられる。
具体的には、酸化防止剤又は熱安定剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキノン系化合物、ホスファイト系化合物及びこれらの置換体等が挙げられる。耐候剤としては、レゾルシノール系化合物、サリシレート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。離型剤又は滑剤としては、脂肪族アルコール、脂肪族アミド、脂肪族ビスアミド、ビス尿素、ポリエチレンワックス等が挙げられる。顔料としては、硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等が挙げられる。染料としては、ニグロシン、アニリンブラック等が挙げられる。結晶核剤としては、タルク、シリカ、カオリン、クレー等が挙げられる。可塑剤としては、p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等が挙げられる。
帯電防止剤としては、アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等の非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等が挙げられる。難燃剤としては、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンオキシド、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等が挙げられる。
充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、カーボンブラック、グラファイト、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、硫化亜鉛、亜鉛、鉛、ニッケル、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、ベントナイト、モンモリロナイト、合成雲母等の粒子状、針状、板状充填材が挙げられる。他の重合体としては、他のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ABS樹脂、AS樹脂、ポリスチレン等が挙げられる。これらは、ポリアミド樹脂を製造する工程において、添加量、添加工程等が適宜選択され、添加すればよい。
本実施の形態において、ポリアミド樹脂の重縮合から成形までの任意の段階で、ポリアミド樹脂に添加剤、強化材を配合することができる。中でも、ポリアミド樹脂と添加剤、強化材とを押出機中に投入し、これらを溶融混練することにより、ポリアミド樹脂組成物を調製することが好ましい。
また、本実施の形態のポリアミド樹脂は、射出成形、フィルム成形、溶融紡糸、ブロー成形、真空成形等の任意の成形方法により、所望の形状に成形することができる。成形品としては、例えば、射出成形品、フィルム、シート、フィラメント、テーパードフィラメント、繊維等が挙げられる。また、ポリアミド樹脂は、接着剤、塗料等にも使用することができる。
さらに、本実施の形態のポリアミド樹脂の具体的な用途例としては、自動車・車両関連部品として、例えば、インテークマニホールド、ヒンジ付きクリップ(ヒンジ付き成形品)、結束バンド、レゾネーター、エアークリーナー、エンジンカバー、ロッカーカバー、シリンダーヘッドカバー、タイミングベルトカバー、ガソリンタンク、ガソリンサブタンク、ラジエータータンク、インタークーラータンク、オイルリザーバータンク、オイルパン、電動パワステギヤ、オイルストレーナー、キャニスター、エンジンマウント、ジャンクションブロック、リレーブロック、コネクタ、コルゲートチューブ、プロテクター等の自動車用アンダーフード部品;ドアハンドル、フェンダー、フードバルジ、ルーフレールレグ、ドアミラーステー、バンパー、スポイラー、ホイールカバー等の自動車用外装部品;カップホルダー、コンソールボックス、アクセルペダル、クラッチペダル、シフトレバー台座、シフトレバーノブ等の自動車用内装部品が挙げられる。
また、本実施の形態のポリアミド樹脂は、釣り糸、漁網等の漁業関連資材、スイッチ類、超小型スライドスイッチ、DIPスイッチ、スイッチのハウジング、ランプソケット、結束バンド、コネクタ、コネクタのハウジング、コネクタのシェル、ICソケット類、コイルボビン、ボビンカバー、リレー、リレーボックス、コンデンサーケース、モーターの内部部品、小型モーターケース、ギヤ・カム、ダンシングプーリー、スペーサー、インシュレーター、キャスター、端子台、電動工具のハウジング、スターターの絶縁部分、ヒューズボックス、ターミナルのハウジング、ベアリングリテーナー、スピーカー振動板、耐熱容器、電子レンジ部品、炊飯器部品、プリンタリボンガイド等に代表される電気・電子関連部品、家庭・事務電気製品部品、コンピューター関連部品、ファクシミリ・複写機関連部品、機械関連部品等各種用途に使用することができる。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。実施例及び比較例において使用する試料等の物性測定方法、試料の調製方法は下記の通りである。
(1)ペンタメチレンジアミン濃度の測定方法
各試料中の全ペンタメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン炭酸塩の各濃度は、自動滴定装置(三菱化学株式会社製GT−100)を使用し、滴定により測定した。
測定に際し、試料中の全ペンタメチレンジアミンの量が0.2g〜1.0gになるように試料を測りとり、脱塩水で希釈した後、1mol/L HCl水溶液(キシダ化学株式会社製)にて滴定を行った。
測定結果に基づき、以下の計算方法によりペンタメチレンジアミン濃度を求めた。
滴定測定の結果、当量点が3点存在する場合(図1参照)、この当量点は表1に示したイオンの中和、塩交換による当量点である。2番目の当量点でのHClの滴定量をxmL、3番目の当量点でのHClの滴定量をymLとすると、それぞれのイオン濃度は(式1)〜(式3)のように表される。なお、ペンタメチレンジアミンの分子量を102.18、ペンタメチレンジアミン炭酸塩の分子量を164.21、試料の重量をag、1mol/L HCl水溶液のファクターをfとする。ここで、HClは和光純薬工業株式会社製容量分析用試薬を用いた。また、ファクターfは、試薬に記載された補正値であって、試薬調製時の重量から算出した規定度に対する逆滴定等により算出した真の規定度の比である。
全ペンタメチレンジアミン濃度(重量%)
{y÷1000×f}÷2×102.18÷a×100 (式1)
ペンタメチレンジアミン濃度(重量%)
[{x−(y−x)}÷1000×f]÷2×102.18÷a×100 (式2)
ペンタメチレンジアミン炭酸塩濃度(重量%):
{(y−x)÷1000×f}×164.21÷a×100 (式3)
Figure 0005812150
滴定測定の結果、当量点が1点である場合(図2参照)、この当量点はペンタメチレンジアミンによるものであり、試料中に炭酸塩は含まれていない。当量点におけるHClの滴定量をzmLとすると、ペンタメチレンジアミン濃度は(式4)のように表される。尚、ペンタメチレンジアミンの分子量を102.18、試料の重量をag、1mol/L HClのファクターをfとした。
全ペンタメチレンジアミン濃度(重量%):
{z÷1000×f}÷2×102.18÷a×100 (式4)
(2)アミノ酸分析
日立アミノ酸分析計(日立高速アミノ酸分析計L−8900)を用いて、リジン、オルニチン等のアミノ酸分析を行った。先ず、試料溶液を適量秤量し水で希釈後、限外濾過(マイクロコンYM−10)して、濾液を分析試料とした。分析条件は生体アミノ酸分離条件、分析法はニンヒドリン発色法(570nm、440nm)とした。標準品には和光純薬社製アミノ酸混合標準液ANII型及びB型を希釈したものを用い、試料注入量は10μLとした。定量計算として、プロリンは440nm、他のアミノ酸は570nmのピーク面積から一点外部標準法にてアミノ酸含量を算出した。
(3)YI(Yellowness Index)値の測定方法
精製ペンタメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン炭酸塩をそれぞれサンプリングした。前記精製ペンタメチレンジアミンに脱塩水及びアジピン酸を添加し、50重量%ペンタメチレンジアミンアジピン酸水溶液を調整した。前記ペンタメチレンジアミン炭酸塩には脱塩水及びアジピン酸を添加し、塩交換により脱炭酸を行いながら50重量%ペンタメチレンジアミンアジピン酸水溶液を調整した。続いて、MINOLTA SPECTROPHOTOMETER CM−3700dを用いて、光源C、視野2゜にて測定機器のゼロ校正、白色校正を行った。次に、Cell CM−A98(光路長10mm)に前記50重量%ペンタメチレンジアミンアジピン酸塩水溶液を入れて、X,Y,Zの測定を行い、測定値からJIS K 7373規格に従って、YI値を測定した。
(4)ポリアミド樹脂の相対粘度(ηrel)の測定方法
ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液から回収したペンタメチレンジアミンとアジピン酸との重縮合反応により得られたポリアミド樹脂の試料を98%濃硫酸に溶解し、濃度0.01g/mLの試料溶液を調製した。次に、オストワルド式粘度計を使用し、25℃における試料溶液の落下時間tと濃硫酸の落下時間tとをそれぞれ測定し、(t/t)を相対粘度(ηrel)とした。
(5)ポリアミド樹脂の融点(Tm)の測定方法
ポリアミド樹脂の融点(Tm)は、示差走査熱量計(DSC:セイコー電子工業株式会社製ロボットDSC)を使用して、窒素雰囲気下にて測定した。ポリアミド樹脂試料約5mgを完全に融解させ3分間保持した後、降温速度20℃/分で30℃まで降温した。続いて、ポリアミド樹脂試料を30℃で3分間保持した後、30℃から昇温速度20℃/分で昇温したときに観測される吸熱ピークの温度を融点Tmとして測定した。吸熱ピークが複数の場合は、最も高い温度を融点Tmとした。
(6)ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液の調製
(A)LDC遺伝子(cadA)増強株の作製
(a)大腸菌DNA抽出:
LB(Luria−Bertani)培地(組成:トリプトン10g、イーストエキストラクト5g、NaCl 5gを蒸留水1Lに溶解)10mLに、大腸菌(Eschericia coli)JM109株を対数増殖期後期まで培養し、得られた菌体を、10mg/mLのリゾチームを含む10mM NaCl/20mM トリス緩衝液(pH8.0)/1mM EDTA・2Na溶液0.15mLに懸濁した。
次いで、上記の懸濁液にプロテナーゼKを最終濃度が100μg/mLになるように添加し、37℃で1時間保温した。さらに、ドデシル硫酸ナトリウムを最終濃度が0.5重量%になるように添加し、50℃で6時間保温して溶菌液を調製した。
次に、この溶菌液に等量の(フェノール/クロロホルム)溶液を添加し、室温で10分間ゆるやかに振盪した後、全量を遠心分離(5,000×g、20分間、10〜12℃)し、上清画分を分取し、酢酸ナトリウムを0.3Mとなるように添加した後、2倍量のエタノールを加えて混合した。次いで、遠心分離(15,000×g、2分間)により回収した沈殿物は70%エタノールで洗浄後、風乾した。得られたDNAに、10mMトリス緩衝液(pH7.5)/1mM EDTA・2Na溶液5mLを加え、4℃で一晩静置し、以後に述べるPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)の鋳型DNAに使用した。
(b)cadAのクローニング:
大腸菌cadAの取得は、上記(a)で調製したDNAを鋳型とし、全ゲノム配列が報告されている大腸菌K12−MG1655株の当該遺伝子の配列(Genbank Database Accession No.U00096)を基に設計した合成DNA(配列番号1(配列;GTTGCGTGTTCTGCTTCATCGCGCTGATG)及び配列番号2(配列;ACCAAGCTGATGGGTGAGATAGAGAATGAGTAAG))を用いたPCRによって行った。
(反応液組成)
鋳型DNAの1μL、PfxDNAポリメラーゼ(インビトロジェン株式会社製)0.2μL、1倍濃度添付バッファー、0.3μMの前記合成DNA、1mM MgSO及び0.25μMのデオキシヌクレオシド三リン酸(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)を混合し、全量を20μLとした。
(反応温度条件)
DNAサーマルサイクラーとして、MJ Research株式会社製「PTC−200」を使用し、94℃で20秒間、60℃で20秒間、72℃で2.5分間からなるサイクルを35回繰り返した。但し、1サイクル目の94℃での保温は1分20秒間、最終サイクルの72℃での保温は10分間とした。
図3は、cadAのクローニングの手順を説明する図である。
図3に示すように、PCR終了後、増幅産物をエタノール沈殿により精製した後、制限酵素Kpn Iおよび制限酵素Sph Iで切断した。このDNA標品を、0.75重量%アガロース(SeaKem GTG agarose:FMC BioProducts製)ゲル電気泳動により分離後、臭化エチジウム染色により可視化することによりcadAを含む約2.6kbの断片を検出し、QIAQuick Gel Extraction Kit(QIAGEN製)を使用して目的DNA断片の回収を行った。
回収したDNA断片を、大腸菌プラスミドベクターpUC18(宝酒造株式会社製)を制限酵素Kpn Iおよび制限酵素Sph Iで切断して調節したDNA断片と混合し、ライゲーションキットver.2(宝酒造株式会社製)を使用して連結後、得られたプラスミドDNAを使用し、大腸菌(JM109株)を形質転換した。この様にして得られた組換え大腸菌を、50μg/mL アンピシリン、0.2mM IPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)及び50μg/mL X−Galを含むLB寒天培地に塗抹した。
この培地上で白色のコロニーを形成したクローンを、常法により液体培養した後、プラスミドDNAを精製した。得られたプラスミドDNAを制限酵素Kpn Iおよび制限酵素Sph Iで切断することにより、約2.5kbの挿入断片が認められることを確認し、これをpCAD1、pCAD1を含む大腸菌株をJM109/pCAD1とそれぞれ命名した。
(B)ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液の調製
実施例で使用するペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液は、JM109/pCAD1を用い、リジン炭酸塩水溶液を原料とし、以下の方法で調製した。
(a)JM109/pCAD1の培養:
JM109/pCAD1をLB培地入りフラスコで前培養した後、3mLの培養液を100mLの2倍濃度のLB培地が入った1L容フラスコに接種し、35℃、250rpmで撹拌培養を行った。培養開始4時間目に、滅菌したIPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)を、終濃度で0.5mMになるように添加し、その後14時間培養を継続した。
(b)菌体の分離および保存:
培養液を8000rpm、10分間で遠心分離して上清を廃棄し、菌体を回収した。得られた湿菌体は、培養液体積の1/20になるように50mM酢酸ナトリウムバッファーで懸濁して反応に必要となるまで4℃で保存した。
(c)ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(i)
50%(w/v)リジン水溶液(協和発酵バイオ株式会社製)48kgと脱塩水30Lを200L容反応槽内に準備し、二酸化炭素を15L/minで通気して加えて、リジン炭酸塩水溶液を調製した。リジン溶液のpHは、最初10.3付近であり、二酸化炭素の供給に伴い酸性側へと低下した。二酸化炭素の供給は、pH変化がほぼなくなったところで停止した。このときのpHは約7.5であった。
ピリドキサルリン酸を0.1mMの濃度となるように上記基質溶液に加え、さらに、JM109/pCAD1の菌体を、OD660(Optical Density 660)が0.5になるように加えて反応を開始した。
反応時の条件は、温度37℃、通気なし(0vvm)、撹拌回転数148rpmとした。反応時、反応槽を密閉系とし、発生する二酸化炭素を封じ込め、pHを制御した。反応開始5時間後には、ほぼ100%のリジンがペンタメチレンジアミンに変換された。反応後の溶液(約72L)は、菌体の不活化処理(70℃、20分)を行った。以上の操作により、ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(i)を調製した。
ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(i)中に不純物として含まれる3個以上の官能基を有する有機物の合計含有量はペンタメチレンジアミンに対する重量比率で0.0063(リジン0.0053,オルニチン0.0004、その他0.0006)であった。
(d)ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(ii)
前述した操作により調製したペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(i)を、UF膜モジュール(旭化成工業株式会社製ACP−0013)を用いて処理し、分子量12,000以上の高分子量体の不純物が除去されたペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(ii)を調製した。UF膜処理による回収率は99.4%であった。UF膜処理による回収率はペンタメチレンジアミンの収率を表す。
ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(ii)中に不純物として含まれる3個以上の官能基を有する有機物の合計含有量はペンタメチレンジアミンに対する重量比率で0.0063(リジン0.0053、オルニチン0.0004、その他0.0006)であった。
(e)ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(iii)
前記ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(ii)5600g(全ペンタメチレンジアミン濃度18.7重量%)をフラスコに入れ、内温102℃(オイルバス温度139℃)、常圧の条件にて、水を回収しながら、粗ペンタメチレンジアミンと二酸化炭素とに分解する熱分解工程を開始した。分解開始後は、圧力を常圧に保ち、徐々に温度を上げ、最終的に内温が180℃(オイルバス温度191℃)に到達した時点で分解を終了した。
50%(w/v)リジン水溶液0.60kgと、前記ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液の分解工程により回収した水0.40Lを3L容反応槽内に準備した。続いて、前記ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液の分解工程により回収した二酸化炭素を通気して加え、リジン炭酸塩水溶液を調製した。リジン水溶液のpHは、最初10.2付近であり、二酸化炭素の供給に伴い酸性側へと低下した。二酸化炭素の供給は、pH変化がほぼなくなったところで停止した。このときのpHは約7.5であった。
ピリドキサルリン酸を0.1mMの濃度となるように上記基質溶液に加え、さらに、JM109/pCAD1の菌体を、OD660が0.5になるように加えて反応を開始した。反応時の条件は、温度37℃、撹拌回転数500rpmとし、前記ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液の分解工程により回収した二酸化炭素により、反応槽内を二酸化炭素雰囲気としてpHをほぼ一定に保持した。反応中、50%(w/v)リジン水溶液0.60kg、前記ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液の分解工程により回収した水0.35L、ピリドキサルリン酸0.1mM、JM109/pCAD1の菌体をOD660(Optical Density 660)が0.5になるように加えて反応を継続した。リジン水溶液追加5時間後には、ほぼ100%のリジンがペンタメチレンジアミンに変換された。
反応後の溶液は、菌体の不活化処理(70℃、20分)を行い、さらにUF膜モジュールを用いて処理し、分子量12,000以上の高分子量体の不純物が除去されたペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(iii)を調製した。UF膜処理により回収された水溶液のペンタメチレンジアミンの収率は99.4%であった。
(f)ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(iv)
前記ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(iii)の調製の際に、前記ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(ii)の分解により得られた粗ペンタメチレジアミンを、内温80℃(オイルバス温度110℃)、圧力2.67kPaにて蒸留を行い、精製ペンタメチレンジアミンを単離した。
得られた精製ペンタメチレンジアミン(ペンタメチレンジアミン濃度99.2重量%)331.8gに脱塩水797.3gを添加した後、アジピン酸(本州化学工業株式会社製)470.8gを加えた。次に、70℃に加温して混合物を完全に溶解させた後、精製ペンタメチレンジアミンを少量添加し、pHを8.4に調整した。pH調整後、重縮合触媒として予め調製した0.2重量%亜燐酸水溶液20.0g(亜燐酸(和光純薬工業株式会社製試薬特級)を使用)を添加し、重縮合反応に使用する原料水溶液を調製した。続いて、前記原料水溶液1500gをオートクレーブに入れ、窒素置換を行った。次に、オートクレーブ内の温度を142℃、内圧0.20MPaGの条件で濃縮を開始し、内温が152℃になるまで濃縮を続け、留出した水を回収した。次いで、オートクレーブを閉め切り、内温を徐々に上昇させて、オートクレーブ内の温度を268℃、内圧を1.57MPaGとした。続いて、圧力を徐々に放圧した後、61.3kPaまで徐々に減圧し、ペンタメチレンジアミンとアジピン酸の重縮合反応を行った。又、留出した水を回収した。
50%(w/v)リジン水溶液0.60kgと、前記原料水溶液の濃縮及び前記ペンタメチレンジアミンとアジピン酸の重縮合反応で回収した水0.40Lを3L容反応槽内に準備し、二酸化炭素を2L/minで通気して加えて、リジン炭酸塩水溶液を調製した。リジン水溶液のpHは、最初10.0付近であり、二酸化炭素の供給に伴い酸性側へと低下した。二酸化炭素の供給は、pH変化がほぼなくなったところで停止した。このときのpHは約7.5であった。
ピリドキサルリン酸を0.1mMの濃度となるように基質溶液に加え、さらに、JM109/pCAD1の菌体を、OD660(Optical Density 660)が0.5になるように加えて反応を開始した。反応時の条件は、温度37℃、通気なし(0vvm)、撹拌回転数500rpmとした。反応中、50%(w/v)リジン水溶液0.60kg、前記原料水溶液の濃縮及び前記ペンタメチレンジアミンとアジピン酸の重縮合反応で回収した水0.35L、ピリドキサルリン酸0.1mM、JM109/pCAD1の菌体を、OD660(Optical Density 660)が0.5になるように加えて反応を継続した。反応開始5時間後には、ほぼ100%のリジンがペンタメチレンジアミンに変換された。反応時、反応槽を閉め切り、反応により発生する二酸化炭素を封じ込めることによりpHを制御した。リジン水溶液追加5時間後には、ほぼ100%のリジンがペンタメチレンジアミンに変換された。
反応後の溶液は、菌体の不活化処理(70℃、20分)を行い、さらにUF膜モジュールを用いて処理し、分子量12,000以上の高分子量体の不純物が除去されたペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(iv)を調製した。UF膜処理により回収された水溶液のペンタメチレンジアミンの収率は99.4%であった。
(実施例1)
<ペンタメチレンジアミンの精製・単離>
(熱分解工程)
前記ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(ii)5600g(全ペンタメチレンジアミン濃度18.7重量%)をフラスコに入れ、内温102℃(オイルバス温度139℃)、常圧の条件にて、水を回収しながら、粗ペンタメチレンジアミンと二酸化炭素とに分解を開始した。分解開始後、常圧に保ちながら徐々に温度を上げ、最終的に内温が180℃(オイルバス温度191℃)に到達した時点で分解を終了し、粗ペンタメチレンジアミンを得た。尚、熱分解工程の最高温度は180℃であった。得られた粗ペンタメチレンジアミン中の全ペンタメチレンジアミン濃度、ペンタメチレンジアミン濃度、及びペンタメチレンジアミン炭酸塩濃度は、前記した測定方法に準じて測定し、それぞれ95.5重量%、93.5重量%、3.2重量%であった。この測定結果より、粗ペンタメチレンジアミン中におけるペンタメチレンジアミン及びペンタメチレンジアミン炭酸塩に対する、ペンタメチレンジアミンの濃度は98.0mol%であった。
(蒸留工程)
続いて、上記の操作により得られた粗ペンタメチレンジアミンを内温80℃(オイルバス温度110℃)、圧力2.67kPaにて蒸留を行い、精製ペンタメチレンジアミン924g(純度:99.2重量%)を得た。収率は87.6%であった。また後述の濃縮工程と同様な方法により、50重量%ペンタメチレンジアミンアジピン酸塩水溶液を調製し、前記YIの測定方法に従い、YIを測定した結果、YI値は0.2であった。
尚、収率は、表2の数値を使用し、以下の(式5)により算出した。また、表2、3の熱分解工程条件におけるペンタメチレンジアミンの濃度(mol%)は、前述した滴定により測定したペンタメチレンジアミン濃度(重量%)とペンタメチレンジアミン炭酸塩濃度(重量%)を用いて、以下の(式6)によりペンタメチレンジアミンとペンタメチレンジアミン炭酸塩との合計を100mol%としペンタメチレンジアミンの濃度を算出したものである。
(精製ペンタメチレンジアミン全重量×全ペンタメチレンジアミン濃度÷100)÷(原料全重量×全ペンタメチレンジアミン濃度÷100)×100 (式5)
(ペンタメチレンジアミン濃度(重量%)÷102.18)÷(ペンタメチレンジアミン濃度(重量%)÷102.18+ペンタメチレンジアミン炭酸塩濃度(重量%)÷164.21)×100 (式6)
(濃縮工程)
上記の操作により得られた精製ペンタメチレンジアミン331.8g(純度:99.2重量%)に脱塩水797.3gを添加した後、アジピン酸470.8gを加えた。次に、70℃に加温して混合物を完全に溶解させた後、精製ペンタメチレンジアミンを少量添加し、pHを8.4に調整した。pH調整後、重縮合触媒として予め調製した0.2重量%亜燐酸水溶液20.0gを添加し、重縮合反応に使用する原料水溶液を調製した。
続いて、前記原料水溶液1500gをオートクレーブに入れ、窒素置換を行った。次に、オートクレーブ内の温度を142℃、内圧0.20MPaGの条件で濃縮を開始し、内温が152℃になるまで濃縮を続け、留出した水を回収した。
(重縮合反応工程)
次いで、オートクレーブを閉め切り、内温を徐々に上昇させて、オートクレーブ内の温度を268℃、内圧を1.57MPaGとした。続いて、圧力を徐々に放圧した後、61.3kPaまで徐々に減圧し、ペンタメチレンジアミンとアジピン酸の重縮合反応を行った。又、留出した水を回収した。
重縮合反応終了後、内容物をストランド状とし、水槽で冷却した後、回転式カッターでペレットとした。得られたペレットを120℃、0.13kPaの条件で含水率が0.1重量%以下となるまで乾燥し、ポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂は、相対粘度(ηrel)3.3、融点(Tm)255℃であった。結果を表2に示す。
表2及び表3に実施例1〜、比較例1〜5のそれぞれの各工程における反応条件、その結果、及びポリアミド樹脂などの評価結果をまとめて示す。
尚、第2表及び第3表の「\」は実施していない、あるいは測定していないことを示す。
又、表2及び表3の「ポリアミド樹脂の種類」の「56」とは56ナイロンを、「510」とは510ナイロンを「512」とは512ナイロンを示す。
(実施例2)
(熱分解工程・蒸留工程)
熱分解工程において、気相に窒素を吹込みながら、ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(ii)の分解を行ったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、精製ペンタメチレンジアミン959g(純度:99.4重量%)を得た。収率は91.0%であった。尚、熱分解工程の内温の最高温度は180℃であった。
得られた粗ペンタメチレンジアミン中の全ペンタメチレンジアミン濃度、ペンタメチレンジアミン濃度、及びペンタメチレンジアミン炭酸塩濃度は、前記した測定方法に準じて測定し、それぞれ96.8重量%、96.8重量%、0.0重量%であった。この測定結果より、粗ペンタメチレンジアミン中におけるペンタメチレンジアミン及びペンタメチレンジアミン炭酸塩に対する、ペンタメチレンジアミン濃度は100mol%であった。
(濃縮工程・重縮合反応工程)
上記操作により得られた精製ペンタメチレンジアミン331.2g(純度99.4重量%)、脱塩水798.0gを用いた以外は、実施例1と同様の条件により濃縮及び重縮合反応を行い、ポリアミド樹脂を得た。結果を表2に示す。
(実施例3)
(熱分解工程)
前記ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(ii)5600g(全ペンタメチレンジアミン濃度18.7重量%)をフラスコに入れ、内温102℃(オイルバス温度137℃)、常圧の条件にて加熱・還流を行い、粗ペンタメチレンジアミンと二酸化炭素とに分解した。
前記粗ペンタメチレンジアミン中の全ペンタメチレンジアミン濃度、ペンタメチレンジアミン濃度、及びペンタメチレンジアミン炭酸塩濃度は、前記した測定方法に準じて測定し、それぞれ21.1重量%、14.9重量%、10.0重量%であった。この測定結果より、粗ペンタメチレンジアミン中におけるペンタメチレンジアミン及びペンタメチレンジアミン炭酸塩に対する、ペンタメチレンジアミンの濃度は70.5mol%であった。
続いて、水を回収しながら、徐々に温度を上げ、最終的に内温が180℃(オイルバス温度191℃)となった時点で分解を終了し、粗ペンタメチレンジアミンを得た。尚、熱分解工程において、内温の最高温度は180℃であった。上記熱分解工程により得られた粗ペンタメチレンジアミン中の全ペンタメチレンジアミン濃度、ペンタメチレンジアミン濃度、及びペンタメチレンジアミン炭酸塩濃度は、前記した測定方法に準じて測定し、それぞれ96.7重量%、96.7重量%、0.0重量%であった。この測定結果より、粗ペンタメチレンジアミン中におけるペンタメチレンジアミン及びペンタメチレンジアミン炭酸塩に対する、ペンタメチレンジアミンの濃度は100mol%であった。
(蒸留工程)
続いて、上記の操作により得られた粗ペンタメチレンジアミンを内温80℃(オイルバス温度110℃)、圧力2.67kPaにて蒸留を行い、精製ペンタメチレンジアミン939g(純度:99.2重量%)を得た。収率は88.9%であった。
(濃縮工程・重縮合反応工程)
上記操作により得られた精製ペンタメチレンジアミンを用いて、実施例1と同様の条件により濃縮及び重縮合反応を行い、ポリアミド樹脂を得た。結果を表2に示す。
比較例1
(熱分解工程)
前記ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(ii)5600g(全ペンタメチレンジアミン濃度18.7重量%)をフラスコに入れ、内温77℃(オイルバス温度99℃)、40.0kPaの条件にて、水を回収しながら、粗ペンタメチレンジアミンと二酸化炭素とに分解を開始した。分解開始後、徐々に温度を上げ、最終的に内温が134℃(オイルバス温度156℃)となった時点で分解を終了し、粗ペンタメチレンジアミンを得た。尚、熱分解工程の最高温度は134℃であった。得られた粗ペンタメチレンジアミン中の全ペンタメチレンジアミン濃度、ペンタメチレンジアミン濃度、及びペンタメチレンジアミン炭酸塩濃度は、前記した測定方法に準じて測定し、それぞれ91.8重量%、79.4重量%、19.9重量%であった。この測定結果より、粗ペンタメチレンジアミン中におけるペンタメチレンジアミン及びペンタメチレンジアミン炭酸塩に対する、ペンタメチレンジアミンの濃度は86.5mol%であった。
(蒸留工程)
続いて、上記の操作により得られた粗ペンタメチレンジアミンを実施例1と同様の条件で蒸留を行い、精製ペンタメチレンジアミン772g(純度:96.7重量%)を得た。収率は71.3%であった。
(濃縮工程)
上記の操作により得られた精製ペンタメチレンジアミン291.1g(純度:96.7重量%)に脱塩水790.4gを添加した後、アゼライン酸(COGNIS corporation製)518.5gを加えた。次に、70℃に加温して混合物を完全に溶解させた後、pHが7.8であることを確認した。pH確認後、精製ペンタメチレンジアミン3.5g(純度:96.7重量%)、酢酸(和光純薬工業株式会社製)2.5g、重縮合触媒として予め調製した0.135重量%亜燐酸水素二ナトリウム水溶液22.7g(亜燐酸水素二ナトリウム5水和物(キシダ化学株式会社製)を使用)を添加し、重縮合反応に使用する原料水溶液を調製した。
続いて、前記原料水溶液1500gをオートクレーブに入れ、窒素置換を行った。次に、オートクレーブ内の温度を142℃、内圧0.20MPaGの条件で濃縮を開始し、内温が152℃になるまで濃縮を続け、留出した水を回収した。
(重縮合反応工程)
次いで、オートクレーブを閉め切り、内温を徐々に上昇させて、オートクレーブ内の温度を260℃、内圧を1.57MPaGとした。続いて、圧力を徐々に放圧した後、20.0kPaまで徐々に減圧し、ペンタメチレンジアミンとアゼライン酸の重縮合反応を行った。又、留出した水を回収した。
重縮合反応終了後、内容物をストランド状とし、水槽で冷却した後、回転式カッターでペレットとした。得られたペレットを120℃、0.13kPaの条件で含水率が0.1重量%以下となるまで乾燥し、ポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂は、相対粘度(ηrel)2.5、融点(Tm)210℃であった。結果を表2に示す。
比較例2
(熱分解工程)
前記ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(ii)5600g(全ペンタメチレンジアミン濃度18.7重量%)をフラスコに入れ、水を回収しながら、内温52℃(オイルバス温度78℃)、13.3kPaの条件にて、粗ペンタメチレンジアミンと二酸化炭素とに分解を開始した。分解開始後、徐々に温度を上げ、最終的に内温が113℃(オイルバス温度129℃)となった時点で分解を終了し、粗ペンタメチレンジアミンを得た。尚、熱分解工程の最高温度は113℃であった。得られた粗ペンタメチレンジアミン中の全ペンタメチレンジアミン濃度、ペンタメチレンジアミン濃度、及びペンタメチレンジアミン炭酸塩濃度は、前記した測定方法に準じて測定し、それぞれ85.4重量%、67.2重量%、29.3重量%であった。この測定結果より、粗ペンタメチレンジアミン中におけるペンタメチレンジアミン及びペンタメチレンジアミン炭酸塩に対する、ペンタメチレンジアミンの濃度は78.7mol%であった。
(蒸留工程)
続いて、上記の操作により得られた粗ペンタメチレンジアミンを、実施例1と同様の条件にて蒸留を行い、精製ペンタメチレンジアミン、547g(純度:89.2重量%)を得た。収率は46.6%であった。
(濃縮工程)
上記の操作により得られた精製ペンタメチレンジアミン301.0g(純度:89.2重量%)に脱塩水767.5gを添加した後、セバシン酸(小倉合成工業株式会社製)531.5gを加えた。次に、70℃に加温して混合物を完全に溶解させた後、pHが7.7であることを確認した。pH確認後、精製ペンタメチレンジアミン4.8g(純度:89.2重量%)、酢酸3.0g、重縮合触媒として予め調製した0.135重量%亜燐酸水素二ナトリウム水溶液22.7gを添加し、重縮合反応に使用する原料水溶液を調製した。
続いて、前記原料水溶液1500gをオートクレーブに入れ、窒素置換を行った。次に、オートクレーブ内の温度を143℃、内圧0.20MPaGの条件で濃縮を開始し、内温が152℃になるまで濃縮を続け、留出した水を回収した。
(重縮合反応工程)
次いで、オートクレーブを閉め切り、内温を徐々に上昇させて、オートクレーブ内の温度を260℃、内圧を1.57MPaGとした。続いて、圧力を徐々に放圧した後、33.3kPaまで徐々に減圧し、ペンタメチレンジアミンとセバシン酸の重縮合反応を行った。又、留出した水を回収した。
重縮合反応終了後、内容物をストランド状とし、水槽で冷却した後、回転式カッターでペレットとした。得られたペレットを120℃、0.13kPaの条件で含水率が0.1重量%以下となるまで乾燥し、ポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂は、相対粘度(ηrel)2.5、融点(Tm)218℃であった。結果を表2に示す。
Figure 0005812150
比較例3
(熱分解工程)
前記ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(ii)(全ペンタメチレンジアミン濃度18.7重量%)5600gをフラスコに入れ、内温39℃(オイルバス温度60℃)、6.67kPaの条件にて、水を回収しながら、粗ペンタメチレンジアミンと二酸化炭素とに分解した。分解開始後、徐々に温度を上げ、最終的に内温が89℃(オイルバス温度98℃)となった時点で分解を終了し、粗ペンタメチレンジアミンを得た。尚、熱分解工程において、内温の最高温度は89℃であった。得られた粗ペンタメチレンジアミン中の全ペンタメチレンジアミン濃度、ペンタメチレンジアミン濃度、及びペンタメチレンジアミン炭酸塩濃度は、前記した測定方法に準じて測定し、それぞれ75.7重量%、46.5重量%、46.9重量%であった。この測定結果より、粗ペンタメチレンジアミン中におけるペンタメチレンジアミン及びペンタメチレンジアミン炭酸塩に対する、ペンタメチレンジアミンの濃度は61.4mol%であった。
(蒸留工程)
続いて、粗ペンタメチレンジアミンを、実施例1と同様の蒸留条件で蒸留を行い、精製ペンタメチレンジアミン522g(純度:44.0重量%)を得た。収率は22.0%であった。
(実施例
(熱分解工程)
前記ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(ii)5600g(全ペンタメチレンジアミン濃度18.7重量%)をオートクレーブに入れ、内温124℃(オイルバス温度160℃)、200kPaの条件にて、水を回収しながら、粗ペンタメチレンジアミンと二酸化炭素とに分解を開始した。徐々に温度を上げ、最終的に内温が204℃(ジャケット温度212℃)に到達した時点で分解を終了し、粗ペンタメチレンジアミンを得た。尚、熱分解工程において、内温の最高温度は204℃であった。得られた粗ペンタメチレンジアミン中の全ペンタメチレンジアミン濃度、ペンタメチレンジアミン濃度、及びペンタメチレンジアミン炭酸塩濃度は、前記した測定方法に準じて測定し、それぞれ96.6重量%、96.6重量%、0.0重量%であった。この測定結果より、粗ペンタメチレンジアミン中におけるペンタメチレンジアミン及びペンタメチレンジアミン炭酸塩に対する、ペンタメチレンジアミンの濃度は100mol%であった。
(蒸留工程)
続いて、上記の操作により得られた粗ペンタメチレンジアミンをフラスコに入れ、実施例1と同様の条件で蒸留を行い、精製ペンタメチレンジアミン945g(純度:99.1重量%)を得た。収率は89.4%であった。
(濃縮工程)
上記の操作により得られた精製ペンタメチレンジアミン248.1g(純度:99.1重量%)に脱塩水975.5gを添加した後、ドデカン二酸(宇部興産株式会社製)554.1gを加えた。次に、70℃に加温して混合物を完全に溶解させた後、pHが7.7であることを確認した。pH確認後、精製ペンタメチレンジアミン4.4g(純度:99.1重量%)、酢酸3.0g、重縮合触媒として予め調製した0.135重量%亜燐酸水素二ナトリウム水溶液22.7gを添加し、重縮合反応に使用する原料水溶液を調製した。
続いて、前記原料水溶液1500gをオートクレーブに入れ、窒素置換を行った。次に、オートクレーブ内の温度を144℃、内圧0.20MPaGの条件で濃縮を開始し、内温が152℃になるまで濃縮を続け、留出した水を回収した。
(重縮合反応工程)
次いで、オートクレーブを閉め切り、内温を徐々に上昇させて、オートクレーブ内の温度を260℃、内圧を1.57MPaGとした。続いて、圧力を徐々に放圧した後、33.3kPaまで徐々に減圧し、ペンタメチレンジアミンとドデカン二酸の重縮合反応を行った。又、留出した水を回収した。
重縮合反応終了後、内容物をストランド状とし、水槽で冷却した後、回転式カッターでペレットとした。得られたペレットを120℃、0.13kPaの条件で含水率が0.1重量%以下となるまで乾燥し、ポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂は、相対粘度(ηrel)2.5、融点(Tm)211℃であった。結果を表2に示す。
(実施例
(熱分解工程・蒸留工程)
前記ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(i)を使用した以外は、実施例1と同様の条件により、精製ペンタメチレンジアミン、827g(純度:98.4重量%)を得た。収率は77.7%であった。尚、熱分解工程の最高温度は180℃であった。得られた粗ペンタメチレンジアミン中の全ペンタメチレンジアミン濃度、ペンタペチレンジアミン濃度、及びペンタメチレンジアミン炭酸塩濃度は、前記した測定方法に準じて測定し、それぞれ96.2重量%、96.2重量%、0.0重量%であった。この測定結果より、粗ペンタメチレンジアミン中におけるペンタメチレンジアミン及びペンタメチレンジアミン炭酸塩に対する、ペンタメチレンジアミンの濃度は100mol%であった。
(重縮合反応工程)
上記操作により得られた精製ペンタメチレンジアミン10.45g(純度:98.4重量%)に脱塩水24.83gを添加した後、アジピン酸14.71gを加えた。次に、70℃に加温して混合物を完全に溶解させた後、精製ペンタメチレンジアミンを少量添加し、pHを8.4に調整した。pH調整後、重縮合触媒として予め調製した0.2重量%亜燐酸水溶液0.625gを添加し、重縮合反応に使用する原料水溶液を調製した。
続いて、前記原料水溶液40gを専用ガラス容器に入れた後、専用ガラス容器をオートクレーブに入れ、窒素置換を行った。次に、オートクレーブを100℃のオイルバスに浸し、約1時間かけてオイルバスの温度を270℃まで加温し、重縮合反応を開始した。
重縮合反応の開始後、オートクレーブの内圧を1.57MPaGで2時間保持し、次いで、圧力を徐々に放圧した後、さらに、61.3kPaまで減圧し、1時間保持して重縮合反応を終了した。
重縮合反応終了後、オートクレーブの内圧を減圧状態のまま放冷し、放冷後に重縮合反応により得られたポリアミド樹脂を取り出した。ポリアミド樹脂は、相対粘度(ηrel)3.3、融点(Tm)255℃であった。結果を表3に示す。
(実施例
(熱分解工程)
前記ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(iii)900g(全ペンタメチレンジアミン濃度18.8重量%)をフラスコに入れ、内温102℃(オイルバス温度139℃)、常圧の条件にて、水を回収しながら、粗ペンタメチレンジアミンと二酸化炭素とに分解を開始した。常圧に保ちながら、徐々に温度を上げ、最終的に内温が180℃(ジャケット温度190℃)に到達した時点で分解を終了し、粗ペンタメチレンジアミンを得た。尚、熱分解工程において、内温の最高温度は180℃であった。得られた粗ペンタメチレンジアミン中の全ペンタメチレンジアミン濃度、ペンタメチレンジアミン濃度、及びペンタメチレンジアミン炭酸塩濃度は、前記した測定方法に準じて測定し、それぞれ96.0重量%、96.0重量%、0.0重量%であった。この測定結果より、粗ペンタメチレンジアミン中におけるペンタメチレンジアミン及びペンタメチレンジアミン炭酸塩に対する、ペンタメチレンジアミンの濃度は100mol%であった。
(蒸留工程)
続いて、上記の操作により得られた粗ペンタメチレンジアミンを、実施例1と同様の条件にて蒸留を行い、精製ペンタメチレンジアミン154g(純度:98.3重量%)を得た。収率は89.3%であった。
(重縮合反応工程)
上記操作により得られた精製ペンタメチレンジアミン10.47g(純度:98.3重量%)、脱塩水24.82gを用いた以外は、実施例と同様の条件により重縮合反応を行い、ポリアミド樹脂を得た。結果を表3に示す。
(実施例
(熱分解工程・蒸留工程)
前記ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(iv)900g(全ペンタメチレンジアミン濃度18.8重量%)を使用した以外は、実施例と同様の条件により、精製ペンタメチレンジアミン152g(純度:99.2重量%)を得た。収率は89.3%であった。
尚、熱分解工程の最高温度は180℃であった。
得られた粗ペンタメチレンジアミン中の全ペンタメチレンジアミン濃度、ペンタメチレンジアミン濃度、及びペンタメチレンジアミン炭酸塩濃度は、前記した測定方法に準じて測定し、それぞれ95.8重量%、95.8重量%、0.0重量%であった。この測定結果より、粗ペンタメチレンジアミン中におけるペンタメチレンジアミン及びペンタメチレンジアミン炭酸塩に対する、ペンタメチレンジアミンの濃度は100mol%であった。
(重縮合反応工程)
上記操作により得られた精製ペンタメチレンジアミン(純度:99.2重量%)10.37g、脱塩水24.92gを用いた以外は、実施例と同様の条件により重縮合反応を行い、ポリアミド樹脂を得た。結果を表3に示す。
(比較例
(熱分解工程)
前記ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(ii)5600g(全ペンタメチレンジアミン濃度18.7重量%)を、フラスコに入れ、内温71℃(オイルバス温度74℃)、常圧の条件にて、水を回収しながら、粗ペンタメチレンジアミンと二酸化炭素とに分解を行い、粗ペンタメチレンジアミンを得た。尚、熱分解工程の最高温度は71℃であった。得られた粗ペンタメチレンジアミン中の全ペンタメチレンジアミン濃度、ペンタメチレンジアミン濃度、及びペンタメチレンジアミン炭酸塩濃度は、前記した測定方法に準じて測定し、それぞれ19.6重量%、4.7重量%、24.0重量%であった。この測定結果より、粗ペンタメチレンジアミン中におけるペンタメチレンジアミン及びペンタメチレンジアミン炭酸塩に対する、ペンタメチレンジアミンの濃度は24.0mol%であった。
(蒸留工程)
次いで、上記操作により得られたペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液を内温40℃(オイルバス温度100℃)、6.7kPaの条件にて、脱水させながらペンタメチレンジアミンの蒸留を行った。精製されたペンタメチレンジアミンは水溶液(全ペンタメチレンジアミン濃度:2.0重量%)であり、3217gを得た。収率は6.1%であった。
(比較例
(熱分解工程)
前記ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液(ii)500g(全ペンタメチレンジアミン濃度18.7重量%)を、フラスコに入れ、活性炭50g(三菱化学カルゴン株式会社製MM−11)を加えて、30℃で30分間撹拌した。次に、活性炭を濾過にて除去し、得られた水溶液をフラスコに入れ、内温40℃(オイルバス温度65℃)、6.67kPaの条件にて、エバポレーターにより濃縮を行った。濃縮後、固化したペンタメチレンジアミン炭酸塩126g(全ペンタメチレンジアミン濃度64.3重量%)が得られ、収率が86.2%であった。全ペンタメチレンジアミン濃度、ペンタメチレンジアミン濃度、及びペンタメチレンジアミン炭酸塩濃度は、前記した測定方法に準じて測定し、それぞれ64.3重量%、13.8重量%、81.1重量%であった。この測定結果より、固化したペンタメチレンジアミン炭酸塩中におけるペンタメチレンジアミン及びペンタメチレンジアミン炭酸塩に対する、ペンタメチレンジアミンの濃度は21.5mol%であった。また後述の重縮合反応工程と同様な方法により、50重量%ペンタメチレンジアミンアジピン酸塩水溶液を調製し、前記YIの測定方法に従い、YIを測定した結果、YI値は141であった。
(重縮合反応工程)
上記操作により得られた固化したペンタメチレンジアミン炭酸塩16.00g(全ペンタメチレンジアミン濃度:64.3重量%)に脱塩水22.77gを添加して、固化したペンタメチレンジアミン炭酸塩を溶解させた。次に、アジピン酸14.71gを加えて、70℃に加温し、混合物を完全に溶解させた後、実施例1で得られた精製ペンタメチレンジアミン(純度:99.2重量%)を少量添加し、pHを8.4に調整した。pH調整後、重縮合触媒として予め調製した0.2重量%亜燐酸水溶液0.625gを添加し、重縮合反応に使用する原料水溶液を調製した。
続いて、前記原料水溶液40gを専用ガラス容器に入れた後、専用ガラス容器をオートクレーブに入れ、窒素置換を行った。次に、オートクレーブを100℃のオイルバスに浸し、約1時間かけてオイルバスの温度を270℃まで加温し、重縮合反応を開始した。
重縮合反応の開始後、オートクレーブの内圧を1.57MPaGで2時間保持し、次いで、圧力を徐々に放圧した後、さらに、61.3kPaまで減圧し、1時間保持して重縮合反応を終了した。
重縮合反応終了後、オートクレーブの内圧を減圧状態のまま放冷し、放冷後に重縮合反応により得られたポリアミド樹脂を取り出した。ポリアミド樹脂は、茶色に着色しており脆かった。
Figure 0005812150

Claims (21)

  1. リジンの水溶液及び/又はリジン炭酸塩の酵素的脱炭酸反応をビタミンB6の存在下、pH5.0以上、9.0以下の条件で行って粗ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液を得るリジンの酵素的脱炭酸工程と、
    前記粗ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液に含まれるペンタメチレンジアミン炭酸塩を加熱することにより、粗ペンタメチレンジアミンと二酸化炭素を得、加熱の最高温度が180℃〜200℃である熱分解工程と、
    前記熱分解工程により得られた粗ペンタメチレンジアミンを蒸留し、ペンタメチレンジアミンを得る蒸留工程と、
    含み、
    前記粗ペンタメチレンジアミン中におけるペンタメチレンジアミン及びペンタメチレンジアミン炭酸塩の合計100mol%に対するペンタメチレンジアミンの濃度が95mol%以上である
    ことを特徴とする精製ペンタメチレンジアミンの製造方法。
  2. 前記蒸留工程の条件が下記(1)及び(2)であることを特徴とする請求項1に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法。
    (1)蒸留温度:40℃〜300℃
    (2)蒸留圧力:0.2kPa〜1200kPa
  3. 前記熱分解工程において、前記粗ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液を加熱することにより、粗ペンタメチレンジアミンと二酸化炭素と水を得ることを特徴とする請求項1又は2に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法。
  4. 前記熱分解工程における圧力が2kPa〜1200kPaであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法。
  5. 前記熱分解工程において、ガスを吹込みながらペンタメチレンジアミン炭酸塩を加熱することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法。
  6. 前記ガスが不活性ガスであることを特徴とする請求項5に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法。
  7. 前記リジンの酵素的脱炭酸工程を二酸化炭素雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法。
  8. 前記リジンの酵素的脱炭酸工程に先立って、リジンと二酸化炭素からリジン炭酸塩を得るリジン炭酸塩生成工程を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法。
  9. 前記リジン炭酸塩生成工程において、リジンが水溶液であることを特徴とする請求項8に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法。
  10. 前記熱分解工程で生成する二酸化炭素を、前記リジンの酵素的脱炭酸工程の二酸化炭素として回収し、再使用することを特徴とする請求項7に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法。
  11. 前記熱分解工程で生成する二酸化炭素を、前記リジン炭酸塩生成工程に用いる二酸化炭素として回収・再使用することを特徴とする請求項8に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法。
  12. 前記熱分解工程で生成する水を、前記リジンの酵素的脱炭酸工程の水として回収・再使用することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法。
  13. 前記熱分解工程で生成する水を、前記リジン炭酸塩生成工程の水として回収・再使用することを特徴とする請求項9に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法。
  14. ペンタメチレンジアミン炭酸塩中に含まれる3個以上の官能基を有する有機物の合計含有量が、前記粗ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液に含まれるペンタメチレンジアミンに対する重量比率で0.01以下であることを特徴とする請求項乃至13のいずれか1項に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法。
  15. 前記粗ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液中に含まれる3個以上の官能基を有する有機物がリジンであることを特徴とする請求項14に記載の精製ペンタメチレンジアミンの製造方法。
  16. リジンの水溶液及び/又はリジン炭酸塩の酵素的脱炭酸反応をビタミンB6の存在下、pH5.0以上、9.0以下の条件で行って粗ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液を得るリジンの酵素的脱炭酸工程と、
    前記粗ペンタメチレンジアミン炭酸塩水溶液に含まれるペンタメチレンジアミン炭酸塩を加熱することにより、粗ペンタメチレンジアミンと二酸化炭素を得、加熱の最高温度が180℃〜200℃である熱分解工程と、
    前記熱分解工程により得られた粗ペンタメチレンジアミンを蒸留し、ペンタメチレンジアミンを得る蒸留工程と、
    前記蒸留工程により得られたペンタメチレンジアミンとジカルボン酸とを単量体成分として重縮合反応を行う重縮合反応工程と、を含み、
    前記熱分解工程において得られた粗ペンタメチレンジアミン中におけるペンタメチレンジアミン及びペンタメチレンジアミン炭酸塩の合計100mol%に対するペンタメチレンジアミンの濃度が95mol%以上である
    ことを特徴とするポリアミド樹脂の製造方法。
  17. 前記重縮合反応工程に先立って、前記ペンタメチレンジアミン、ジカルボン酸及び水によりペンタメチレンジアミン・ジカルボン酸塩水溶液とした後、水を留去する濃縮工程を有することを特徴とする請求項16に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
  18. 前記リジンの酵素的脱炭酸工程に先立って、リジンと二酸化炭素からリジン炭酸塩を得るリジン炭酸塩生成工程を有することを特徴とする請求項16又は17に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
  19. 前記リジン炭酸塩生成工程において、リジンが水溶液であることを特徴とする請求項18に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
  20. 前記重縮合反応工程及び/又は濃縮工程で生成する水を、前記リジンの酵素的脱炭酸工程の水として回収・再使用することを特徴とする請求項17に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
  21. 前記重縮合反応工程及び/又は濃縮工程で生成する水を、前記リジン炭酸塩生成工程の水として回収・再使用することを特徴とする請求項19に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
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