JP2010280514A - ガラスブランクの製造方法、ガラスプレス用の下型、プレス成型装置、情報記録媒体用基板の製造方法、および、情報記録媒体の製造方法 - Google Patents

ガラスブランクの製造方法、ガラスプレス用の下型、プレス成型装置、情報記録媒体用基板の製造方法、および、情報記録媒体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プレス時にガラスがプレス面に融着するのを抑制し、厚み/直径のより小さい形ガラスブランクを作製すること。
【解決手段】表面温度が下式1、2を満たす下型プレス面中央に、軟化状態のガラスを供給し上型と下型でプレスする工程を経てガラスブランクを製造する方法。これに用いる下型およびプレス装置、ならびに、これを用いた情報記録媒体用基板および情報記録媒体製造方法。
・式1 Tg−200≦Tc<Te≦Tg+50
・式2 1.5≦ΔT≦6
式中、Tcはガラスブランクの中心点に対応する位置のプレス面におけるプレス成型直前の温度(℃)、Teはガラスブランクの最外周に対応する位置のプレス面におけるプレス成型直前の温度(℃)、Tgはガラスのガラス転位温度(℃)、ΔTはプレス成型直前のプレス面の温度勾配(℃/mm)を表す。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガラスブランクの製造方法、ガラスプレス用の下型、プレス成型装置、情報記録媒体用基板の製造方法、および、情報記録媒体の製造方法に関するものである。
パソコン等の情報記録手段として利用されているハードディスクなどの円盤状の情報記録媒体に用いられる基板として、ガラス製やガラスセラミックス製の基板が広く用いられている。このような情報記録媒体用基板の典型的な製造方法は、以下のようなものである。まず、溶融ガラスを上型および下型からなる一対の成形型でプレス成形する方法(いわゆるダイレクトプレス法)を利用して、ガラスブランクを作製する。次に、このガラスブランクに研磨等の後加工を施すことで、情報記録媒体用基板(以下、単に「基板」と略す場合がある)を得る。なお、その後は、作製する情報記録媒体の種類に応じて、情報記録層等を基板上に成膜することで情報記録媒体を得る。
ダイレクトプレス法を利用してガラスブランクを作製する場合、下型のプレス面上に供給された軟化状態のガラス塊を薄肉状に十分に延伸させることが重要である。このようなプレス時における軟化状態のガラス塊の延伸性を向上させるために、プレス面に窒化ホウ素(BN)などの耐熱性の固体潤滑剤粉末を予め付着させておく方法が知られている(たとえば、特許文献1の請求項1、2等、特許文献2の段落番号0016、特許文献3の段落番号0021等参照)。このような固体潤滑剤を用いることにより、プレス面上における軟化状態のガラス塊の潤滑性を向上させることができるためである。
また、量産安定性を確保する観点では、下型のプレス面にガラスが焼きつくのを防止したり(たとえば、特許文献4の段落番号0014、特許文献5の段落番号0011等参照)、製造されるガラスブランクの品質ばらつきを抑制できることなども重要である。このため、上型や下型の内部に流路を設けて、この流路に空気と水粒子とを混合した気体を流してプレス面を所定の温度に制御できるように冷却する方法も提案されている(たとえば、特許文献2の段落番号0032〜0034、図5、特許文献3の段落番号0013〜0015、図1等参照)。
特許第4080561号
特開平10−236831号公報
特開平10−212127号公報
特開2004−206828号公報
特開2004−203698号公報
一方、磁気記録媒体などの情報記録媒体を内蔵する記憶装置は、より小型化、省電力化が要求されている。このため、直径に対して厚みのより小さい薄肉の情報記録媒体用基板が求められている。このような薄肉の基板を、ガラスブランクから効率良く生産するためには、アスペクト比(厚み/直径)のより小さいガラスブランクを用いる必要がある。これによりガラスブランクから基板を作製する際の研削・研磨代をより少なくできる。そして、結果として、基板の作製に必要なガラス量の削減、加工時間の短縮、加工コストの低減が実現できる。
しかしながら、特許文献1〜3等に示されるように、プレス時に固体潤滑剤粉末を用いてプレスする場合、固体潤滑剤粉末の形状がガラスブランクの下型に接触していた面に転写される。そして、ガラスブランクの片面には、微細な凹凸が形成される。このため、ガラスブランクから基板を作製する際に、この微細な凹凸を研削・研磨により除去する必要が生じるため、研削・研磨代をより削減することが困難になる。これに対して、ガラスブランクの片面に微細な凹凸が形成されるのを避けるために、固体潤滑剤粉末を用いずにプレスすることも考えられる。しかし、この場合は、プレス時に下型のプレス面上に供給された軟化状態のガラス塊を薄く延伸させることが困難となる。また、軟化状態のガラス塊の延伸性を向上させるために、プレス時のガラス塊の温度を高温(粘度を低粘度)にすると、ガラスがプレス面に融着しやすくなる。このように従来の技術では、より低アスペクト比のガラスブランクを作製することは困難である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、プレス時にガラスがプレス面に融着するのを抑制できると共に、直径に対する厚みのより小さい形状を有するガラスブランクを作製できるガラスブランクの製造方法、これに用いるガラスプレス用の下型およびプレス成型装置、並びに、当該ガラスブランクの製造方法を利用する情報記録媒体用基板の製造方法および情報記録媒体の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、
第一の本発明のガラスブランクの製造方法は、プレス面の表面温度が下式(1)および(2)を満たすように制御された下型のプレス面の中央部に、軟化状態のガラスを供給した後、上型と下型との間で軟化状態のガラスをプレス成型するプレス工程を少なくとも経て、ガラスブランクを作製することを特徴とする。
・式(1) Tg−200≦Tc<Te≦Tg+50
・式(2) 1.5≦ΔT≦6
〔式(1)および式(2)中、Tcは、プレス成型によりプレス面上に軟化状態のガラスが略等方的に広がり終えて円板状を成したと仮定した状態において、円板状に広がり終えたガラスの中心点に対応する位置のプレス面におけるプレス成型直前の温度(℃)を表し、Teは、円板状に広がり終えたガラスの最外周に対応する位置のプレス面におけるプレス成型直前の温度(℃)を表し、Tgはガラスのガラス転移温度(℃)を表し、ΔTは、円板状に広がり終えたガラスの中心点と最外周との中間点に対応する位置のプレス面におけるプレス成型直前の温度勾配(℃/mm)を表す。〕
第一の本発明のガラスブランクの製造方法の一実施態様は、下型が、プレス面の中央部近傍を選択的に冷却する冷却部を備えることが好ましい。
第一の本発明のガラスブランクの製造方法の他の実施態様は、下型のプレス面を含む主要部が、一体的に形成されたものであることが好ましい。
第二の本発明のガラスブランクの製造方法は、軟化状態のガラスを上型との間で挟んでプレス成型するためのプレス面を有する略円盤状のプレス部と、このプレス部のプレス面と反対側の面に、プレス部と一体を成すと共に、中心軸が上記プレス部の中心軸と一致するように設けられた柱状の胴体部と、この胴体部の上記プレス部が設けられた側と反対側に設けられた液冷式の冷却部と、を有し、かつ、下式(3)および下式(4)を満たすガラスプレス用の下型を用い、下型のプレス面の中央部に、軟化状態のガラスを供給した後、上型と下型との間で軟化状態のガラスをプレス成型するプレス工程を少なくとも経て、ガラスブランクを作製することを特徴とする。
・式(3) 0.35≦W1/W2≦0.5
・式(4) 0.4≦D1/D2≦0.7
〔式(3)中、W1は、胴体部の最大径(mm)を表し、W2は、プレス面の最大径(mm)を表す。また、式(4)中、D1は、プレス部の厚み(mm)を表し、D2は、プレス面から冷却部までの最短距離(mm)を表す。〕
第一および第二の本発明のガラスブランクの製造方法の他の実施態様は、冷却部が、20℃における比熱が、0.6cal/g・℃〜1.2cal/g・℃である液体を冷却媒体として用いた液冷式の冷却部であることが好ましい。
第一および第二の本発明のガラスブランクの製造方法の他の実施態様は、ガラスブランクの片面が、上型のプレス面と略一致する表面粗さを有し、他方の面が、下型のプレス面と略一致する表面粗さを有することが好ましい。
本発明のガラスプレス用の下型は、軟化状態のガラスを上型との間で挟んでプレス成型するためのプレス面を有する略円盤状のプレス部と、プレス部のプレス面と反対側の面に、プレス部と一体を成すと共に、中心軸がプレス部の中心軸と一致するように設けられた柱状の胴体部と、胴体部のプレス部が設けられた側と反対側に設けられた液冷式の冷却部と、を有し、かつ、下式(5)および下式(6)を満たすことを特徴とする。
・式(5) 0.35≦W1/W2≦0.5
・式(6) 0.4≦D1/D2≦0.7
〔式(5)中、W1は、胴体部の最大径(mm)を表し、W2は、プレス面の最大径(mm)を表す。また、式(6)中、D1は、プレス部の厚み(mm)を表し、D2は、プレス面から冷却部までの最短距離(mm)を表す。〕
本発明のプレス成型装置は、下型と、この下型に対して、対向配置されると共に、下型に接近する方向および離間する方向に相対的に移動可能な上型と、を少なくとも備え、下型が、本発明のガラスプレス用の下型であることを特徴とする。
本発明の情報記録媒体用基板の製造方法は、本発明のガラスブランクの製造方法により作製されたガラスブランクの少なくとも片面を研削・研磨する研削・研磨工程を少なくとも経て、情報記録媒体用基板を作製することを特徴とする。
本発明の情報記録媒体用基板の製造方法の一実施態様は、ガラスブランクを加熱することにより結晶化させる結晶化工程を有することが好ましい。
本発明の情報記録媒体の製造方法は、本発明の情報記録媒体用基板の製造方法により作製された情報記録媒体用基板の少なくとも片面に情報記録層を形成する情報記録層形成工程を少なくとも経て、情報記録媒体を製造することを特徴とする。
本発明によれば、プレス時にガラスがプレス面に融着するのを抑制できると共に、直径に対する厚みのより小さい形状を有するガラスブランクを作製できるガラスブランクの製造方法、これに用いるガラスプレス用の下型およびプレス成型装置、並びに、当該ガラスブランクの製造方法を利用する情報記録媒体用基板の製造方法および情報記録媒体の製造方法を提供することができる。
Tc、TeおよびΔTを説明するための説明図である。 アスペクト比の定義を説明するための説明図である。 アスペクト比の定義を説明するための説明図である。 アスペクト比の定義を説明するための説明図である。 胴型を用いた従来の非サイドフリープレス方式のダイレクトプレス法の一例を示す説明図である。 本実施形態の下型の一例を示す模式断面図である。
(ガラスブランクの製造方法、これに用いるガラスプレス用の下型およびプレス成型装置)
第一の本実施形態のガラスブランクの製造方法は、プレス面の表面温度が下式(1)および(2)を満たすように制御された下型のプレス面の中央部に、軟化状態のガラスを供給した後、上型と下型との間で軟化状態のガラスをプレス成型するプレス工程を少なくとも経て、ガラスブランクを作製することを特徴とする。
・式(1) Tg−200≦Tc<Te≦Tg+50
・式(2) 1.5≦ΔT≦6
ここで、式(1)および式(2)中、Tcは、プレス成型によりプレス面上に軟化状態のガラスが略等方的に広がり終えて円板状を成したと仮定した状態において、円板状に広がり終えたガラスの中心点に対応する位置のプレス面におけるプレス成型直前の温度(℃)を表し、Teは、円板状に広がり終えたガラスの最外周に対応する位置のプレス面におけるプレス成型直前の温度(℃)を表し、Tgはガラスのガラス転移温度(℃)を表し、ΔTは、円板状に広がり終えたガラスの中心点と最外周との中間点に対応する位置のプレス面におけるプレス成型直前の温度勾配(℃/mm)を表す。なお、プレス成型直前とは、より厳密に言えば、下型プレス面上に溶融ガラスが供給される直前の状態を意味する。
次に、式(1)および式(2)に示すTc、TeおよびΔTを図面を用いてより具体的に説明する。図1は、Tc、TeおよびΔTを説明するための説明図である。ここで、図1上段は、プレス成型直前において、下型プレス面の直径方向に対するプレス面の表面温度変化のプロファイルの一例について示すグラフである。また、図1下段は、プレスにより円板状に広がり終えたガラスの直径方向における断面形状の一例を示すと共に、図1下段に示す円板状に広がり終えたガラス1の直径方向の位置と、図1上段に示すグラフの横軸との対応関係を説明する説明図である。図1に示す例では、プレス成型直前のプレス面の温度プロファイルは、中心点で極小温度Tcを示し、最外周で極大温度Teを示す凹状の曲線で表される。また、温度勾配ΔTは、より正確には温度プロファイルの中間点における接線の傾きを意味する。
第一の本実施形態のガラスブランクの製造方法では、プレス成型直前の下型のプレス面の温度を式(1)および式(2)を満たすように制御する。これにより、図1上段に例示されるように、プレス面の温度分布は、プレス面の中央部近傍の温度が低く、プレス面の周縁部の温度が高くなる凹型の温度プロファイルとなる。したがって、従来の技術では実現困難であった直径に対する厚みの比(アスペクト比)のより小さい形状を有するガラスブランクを、プレス時にガラスのプレス面への融着を抑制しつつ安定的に量産することができる。この理由は以下の通りである。
まず、一般的に、より低アスペクト比のガラスブランクを作製しようとした場合、プレス時に下型のプレス面上に供給される軟化状態のガラス塊の温度をより高くすることが必要である。これによりガラス塊の粘度が減少して、プレス時のガラス塊の延伸性が向上するためである。しかし、ガラス塊をプレスする場合、特に下型のプレス面の中央部近傍は、周縁部よりも長時間、ガラス塊と接触することになる。このため、プレス時にガラス塊の熱によってプレス面の中央部近傍がより高温に加熱されることになる。したがって、プレス時のガラス塊の延伸性を向上させるために、ガラス塊の温度をより高くすると、ガラスとプレス面の中央部近傍との融着が起こり易くなる。しかし、ガラスとプレス面との間の融着を避けるためにガラス塊の温度を低くすると、ガラス塊の粘度が増加して、プレス時のガラス塊の延伸性が低下する。このため、低アスペクト比のガラスブランクを製造することが困難となる。このように、低アスペクト比を得るためにガラス塊の延伸性を向上させることと、融着の発生を抑制することとは、トレードオフの関係にある。それゆえ、両者を高いレベルで両立させることは困難である。
一方、プレスする過程で、上型および下型に接触する軟化状態のガラス塊は、ガラス塊よりも温度が低い上型や下型によって熱が徐々に奪われる、それゆえ、プレス初期からプレス後期へと移行するに伴い、ガラス塊の粘度が増大し、延伸性が低下する。しかし、このような粘度の増大は、プレス面の中央部側から外側までの範囲で均一に起こるものではなく、中央部側よりも外側に行くほどより顕著になるものと考えられる。これは、次の理由による。まず、上型と下型との間に挟まれた軟化状態のガラス塊のうち最も外周側に延伸している部分は、プレス初期においては、プレス面中央部により熱が奪われ、プレス後期においてはプレス面外部側により熱が奪われる。これに対して、上型と下型との間に挟まれた軟化状態のガラス塊のうちプレス初期から後期まで一貫してプレス面中央側に位置する部分は、プレス初期においては、プレス面中央部により熱が奪われるものの、プレス後期においては、プレス面中央部が加温されているために、プレス面中央部により熱が奪われにくくなる。それゆえ、プレス時において上型と下型との間に挟まれた軟化状態のガラス塊のうち、中央部側よりも、外周側に延伸している部分の粘度の増加がより顕著であると考えられる。
以上のことから、本発明者らは、プレス時のガラス塊の温度をプレス面との融着が起こらない程度に抑制した場合でも、ガラス塊の外周側に延伸している部分の粘度増加(言い換えれば温度低下)を抑制することができれば、より低アスペクト比のガラスブランクを作製できるものと考えた。これを実現するためには、プレス成型直前の下型プレス面の温度分布を、図1上段に例示するようにプレス面の中央部近傍の温度を相対的に低くし、外縁部側の温度を相対的に高くする必要がある。このような温度分布は、式(1)および式(2)を満たすように、プレス成型直前の下型プレス面の温度を制御することで実現できる。
ここで、式(1)に示すように、Tcは、Tg−200℃以上Te℃未満の範囲の温度であることが必要である。TcをTg−200℃以上とすることにより、プレス時の過冷却によるガラスブランクの割れを抑制することができる。また、TcをTe未満とすることにより、図1に例示したようなプレス面の中央部近傍の温度が低く、外縁部側の温度が高い温度分布(凹型温度分布)を実現することができる。なお、Tcの下限値はTg−100℃以上であることが好ましく、Tg−50℃以上であることがより好ましい。また、TcとTeとの差(Te−Tc)は、0を超えていれば特に限定されないが、少なくとも温度勾配ΔTが式(2)を満たすことができる値であることが必要である。この点を考慮すれば、Te−Tcは実用上、125℃以上250℃以下であることが好ましく、50℃以上125℃以下であることがより好ましい。また、式(1)に示すようにTeの上限値は、Tg+50℃以下であることが必要である。Teを上記範囲内とすることにより、プレス時にガラスが融着することを抑制できる。なお、Teの上限値はTg+25℃以下が好ましく、Tg以下がより好ましい。
さらに、式(2)に示すように、ΔTは、1.5℃/mm以上6℃/mm以下であることが必要である。ΔTを1.5℃/mm以上とすることにより、図1に例示するように、プレス面の直径方向に対する温度分布を凹状とすることができる。これに加えて、下型のプレス面中央部と、外縁部側とで適度な温度差が得られる。このため、プレス時にガラス塊が延伸して外周側へと広がっていった場合でも、外周側に延伸している部分の粘度の増加を効果的に抑制することができる。したがって、プレス成型直前におけるプレス面内全体での平均温度が見かけ上同一であっても、ΔTが1.5℃/mm未満の場合と比べて、ΔTを1.5℃/mm以上とすることにより、プレス時にガラス塊をより薄く広く延伸させることが容易である。それゆえ、第一の本実施形態のガラスブランクの製造方法を利用して、ある条件でガラスブランクを作製する場合に、プレス面の直径方向に対する温度分布を除くその他のプレス条件が従来と同一であったとしても、より低アスペクト比のガラスブランクを作製することができる。
一方、ΔTの上限値は、実用上6℃/mm以下であることが必要である。ΔTを6℃/mm以下とすることにより、プレス時のプレス面へのガラスの融着防止と過冷却によるガラスブランクの割れ抑制とが両立できる。なお、ΔTは、3.8℃/mm以下が好ましく、2.3℃/mm以下がより好ましい。また、ΔTは、TcとTeとの温度差を制御することで、1.5℃/mm以上6℃/mm以下の範囲内に調整できる。
なお、プレス成型直前における下型のプレス面における凹型温度分布は、プレス面中央部を起点としてできるだけ等方的であることが好ましい。このような観点からは、Teのプレス面内における温度ばらつきは±60℃以下が好ましく、ΔTのプレス面内における温度ばらつきは±1.5℃/mm以下が好ましい。
以上に説明したように第一の本実施形態のガラスブランクの製造方法を利用すれば、プレス時にガラスがプレス面に融着するのを抑制しつつ、低アスペクト比のガラスブランクを作製することができる。なお、第一の本実施形態のガラスブランクの製造方法では、基本的にアスペクト比に関係なく、ガラスがプレス面に融着するのを抑制しつつガラスブランクを作製することが可能であるが、従来の技術では実現困難であったより低アスペクト比のガラスブランクも、プレス時の融着の発生を抑制しつつ作製できる。この点を考慮すれば、第一の本実施形態のガラスブランクの製造方法により製造されるガラスブランクのアスペクト比は、0.015以下であることが好ましく、0.012以下であることがより好ましい。一方、アスペクト比の下限は特に限定されないが、プレス時の融着の発生を確実に抑制する観点からは、0.01以上であることが好ましい。よって、たとえば、2.5インチ基板の作製に用いられるガラスブランク(直径が概ね69.0mm±3.0mm程度の範囲)であれば、アスペクト比0.015に対応する厚みは約1.04mm程度であり、アスペクト比0.01に対応する厚みは約0.69mm程度である
なお、ガラスブランクのアスペクト比は、ガラスブランクの直径d(mm)に対する厚みtの比(t/d)として表される。ここで、ガラスブランクは、全面が平坦な円板状基板のみならず、部分的に厚肉部を設けたものも存在する。このような厚肉部を部分的に有するガラスブランクでは、アスペクト比を定義する上でのガラスブランクの厚みtは、薄肉部の厚みを基準とする。以下にアスペクト比の定義を図面を用いてより具体的に説明する。図2〜図4は、アスペクト比の定義を説明するための説明図である。ここで、図2は、円板状の薄肉部20のみからなるガラスブランク10の直径方向の断面図を示す断面図であり、図3は、円板状の薄肉部20と、この薄肉部20の直径方向中央部に薄肉部20の片面に凸を成すように設けられた厚肉部22とからなるガラスブランク12の直径方向の断面図を示す断面図であり、図4は、円板状の薄肉部20と、この薄肉部20の直径方向周縁部に薄肉部20の片面に凸を成すように設けられたリング状の厚肉部24とからなるガラスブランク14の直径方向の断面図を示す断面図である。図2〜図4に例示するように、本願明細書における「アスペクト比」とは、厚肉部22、24の有無に関係無く、ガラスブランク10、12、14の最大径(直径d)と薄肉部20の厚みtとを基準として求められる値を意味する。
なお、第一の本実施形態のガラスブランクの製造方法では、下型のプレス面内の温度分布を制御することにより、プレス時にガラス塊をより薄く広げることを容易にしている。このため、第一の本実施形態のガラスブランクの製造方法では、プレス時にガラス塊をより薄く広げること容易とする固体潤滑剤粉末を用いたプレス方式を採用しなくても、固体潤滑剤粉末を用いた場合と同等またはそれよりも低いアスペクト比を有するガラスブランクを容易に作製することができる。それゆえ、第一の本実施形態のガラスブランク製造方法によりガラスブランクを製造する際に、固体潤滑剤粉末を併用しなかった場合、得られたガラスブランクのいずれか一方の面(プレス時に下型と接する面)に、固体潤滑剤粉末に起因する微細な凹凸跡の無い低アスペクト比のガラスブランクを得ることができる。なお、この場合、プレス面の粗さ具合がガラスブランクの両面にそのまま反映されることになるため、得られるガラスブランクの片面が、上型のプレス面と略一致する表面粗さを有し、他方の面が、下型のプレス面と略一致する表面粗さを有することになる。よって、プレス面は、上型および下型共に、通常は平滑面であるため、第一の本実施形態のガラスブランク製造方法によりガラスブランクを製造する際に、固体潤滑剤粉末を用いなければ、両面が平滑で、かつ、低アスペクト比のガラスブランクが得られる。
このようなガラスブランクから基板を作製する場合には、固体潤滑剤粉末に起因する微細な凹凸を研削・研磨により除去する必要が無い。それゆえ、固体潤滑剤粉末を用いて同程度のアスペクト比のガラスブランクを作製する場合と比べ、第一の本実施形態のガラスブランク製造方法によりガラスブランクを作製する場合の方が、基板の作製に必要なガラス量の削減、加工時間の短縮、加工コストの低減を実現できる。
以上に説明したことから、第一の本実施形態のガラスブランクの製造方法では、基本的に固体潤滑剤粉末を併用しなくてもよい。一方、ガラス塊をより薄く広げる作用効果は、第一の本実施形態のガラスブランクの製造方法を利用したプレス方式では、図1に例示するようにプレス面に凹型の温度分布が設けられることに起因するのに対して、固体潤滑剤粉末を利用したプレス方法では、プレス面とガラス塊との間の潤滑性の向上に起因している。このため双方のプレス方式を同時に利用すれば、プレス時にガラス塊を更に薄く広げることができ、結果として更に低アスペクト比のガラスブランクを作製することも可能である。この場合、得られるガラスブランクの片面には、固体潤滑剤粉末に起因する微細な凹凸跡が発生する。しかしながら、片面のみに情報記録層が設けられる情報記録媒体を作製する場合などのように、片面側のみ平滑性が要求される情報記録媒体用基板を作製する場合には、上述したガラスブランクは非常に好適である。これは、情報記録媒体用基板を作製する際に、ガラスブランクの微細な凹凸跡が発生している面については、情報記録媒体とした場合に情報記録層が形成されないため、精密研磨処理等の後加工を省くことができるからである。
なお、ダイレクトプレス法では、プレス工程に用いられる成形型として、図5に例示するように、ガラスブランクの両面を形成するために用いる上型30および下型32の他に、プレス時に軟化状態のガラス塊40のプレス面方向への延伸を規制するために胴型34を組み合わせて用いる場合がある。本実施形態のガラスブランクの作製においても、軟化状態のガラス塊のプレス面方向への自由な延伸を規制する胴型34等の規制部材を用いたプレス方式(非サイドフリープレス方式)を採用することも可能であるが、胴型34等の規制部材を用いないプレス方式(サイドフリープレス方式)を採用することがより好ましい。この理由は、サイドフリープレス方式では、プレス時に軟化状態のガラス塊のプレス面方向への自由な延伸が規制されないためである。それゆえ、下型32のプレス面上に供給される軟化状態のガラス塊40の容量が多少変動したとしても、プレス時に上型30および下型32のプレス面間の距離を一定に保ちつつ、ガラス塊40の容量変動を、厚肉部で吸収させることができる。したがって、サイドフリープレス方式を採用した場合、非サイドフリープレス方式を採用した場合よりもガラスブランク間の厚みばらつきを小さくすることができ、結果として後工程である研磨工程の負荷をより小さくすることができる。なお、図5中に示す下型32は、非サイドフリープレス方式の説明のために示したものであり、後述する本実施形態の下型を説明するものでは無い。
次に、プレス工程も含めた第一の本実施形態のガラスブランクの製造方法の典型例について以下に説明する。まず、溶解、清澄、攪拌均一化されたこれらガラス材料からなる溶融ガラスを、流出ノズルから一定の流出速度で連続して排出させ、この溶融ガラス流をシアと呼ばれる切断機によって、常に一定質量の軟化状態のガラス塊が得られるように周期的に切断する。切断された軟化状態のガラス塊は流出ノズル直下で待機している下型のプレス面上に供給(キャスト)される。流出ノズルから排出される溶融ガラスは、軟化した状態であり、その粘度は0.3〜100Pa・s程度である。なお、下型の温度は、ガラス塊が過冷却されることにより、得られるガラスブランクが割れないように、上記式(1)を満たす範囲で調整される。なお、下型のプレス面には、キャストされる溶融ガラスのプレス面に対する潤滑性を向上させるために、必要であれば、予め窒化ホウ素(BN)粉末などの耐熱性の固体潤滑剤粉末を付着させておいてもよい。
上記キャストが終わって軟化状態のガラスをそのプレス面上に載置した下型は、上型が待機しているプレス位置に移送されて、上型及び下型によりプレス成形される。この際の上型および下型の温度、プレス圧力、プレス時間は、ガラス転移温度等のガラスの熱物性や、作製するガラスブランクの直径・厚み、サイドフリープレス方式か否か等を考慮して適宜設定する。たとえば、上型の温度を250〜550℃に調整し、下型プレス面の温度を式(1)および式(2)を満たすように調整する。そして、上型温度を前記範囲内で下型の温度Tc〜[温度Tc−100℃]の範囲に設定することができる。プレス時の加圧力については数GPa程度を目安にできるが、特にこの範囲に限定されるものではなく、適宜調整することができる。
プレス成形を終えると、成形品上面が上型から離型され、成形品を載置した下型はテイクアウト(取出し)を行う位置に移送される。なお、プレス位置とテイクアウト位置との間で下型を停留させて、下型上の成形品の上面を押し型で押圧し、成形品の反りを修正してからテイクアウト位置に下型ごとを移送してもよい。成形品はテイクアウト位置に移送されるまでの間にガラス転移温度付近あるいはガラス転移温度より低い温度にまで冷却される。これはテイクアウトの際に加わる力によって、成形品が変形してしまうのを防ぐためである。テイクアウトは成形品の上面を吸着手段で吸着保持して行われる。テイクアウトされた成形品は、大気中で急冷されたのち、除歪するためにアニール炉に入れられてアニールされる。そして、このような一連の工程を経ることでガラスブランクを得ることができる。
−ガラスプレス用の下型−
次に、第一の本実施形態のガラスブランクの製造方法に用いられるガラスプレス用の下型(下型)について説明する。第一の本実施形態のガラスブランクの製造方法では、プレス成型直前の下型のプレス面が、式(1)および式(2)を満たすような凹型温度分布を有していることが必要である。このような温度分布を実現するためには、第一の本実施形態のガラスブランクの製造方法に用いられる下型は、そのプレス面の中央部近傍を選択的に冷却する冷却部を備えることが好ましい。
ここで、冷却部は、冷却効果が非常に高く、式(1)および式(2)を満たすような凹型温度分布の形成が極めて容易なことからは、液冷式が特に好ましい。空冷式では、たとえば、空気に比熱の高い水粒子を分散させたような冷却効果の高いガス状の冷却媒体を用いたとしても、冷却媒体の比熱が小さすぎるために、式(1)および式(2)を満たすような凹型温度分布の形成が困難だからである。ここで、冷却部に用いる冷却媒体としては、20℃における比熱が、0.6cal/g・℃〜1.2cal/g・℃である液体を用いることが好適である。比熱を0.6cal/g・℃以上とすることにより式(1)および式(2)を満たすような凹型温度分布を形成する上で、十分な冷却効果を得ることができる。なお、材料入手性などの実用上の観点から、上述したように比熱は1.2cal/g・℃以下とすることが好適である。このような比熱を有する冷却媒体としては、代表的には水(20℃における比熱=1.0cal/g・℃)を挙げることができるが、この他に、水に各種添加剤や水溶性有機溶媒を混合した混合液なども挙げることができる。これら混合液を調整するに際しては、混合液の比熱が上記範囲内となるように材料種や配合割合が適宜選択される。
また、下型は、複数の部材を組み合わせて構成されたものであってもよいが、下型のプレス面を含む主要部については、一体的に形成されたものであることが好ましい。下型の主要部が一体的に形成されている場合、プレス時に高温のガラス塊からプレス面へと伝達された熱は、下型のプレス面から離れる方向へとスムーズに伝達される。これは、下型の主要部を構成する部材に断絶した箇所が無いため、伝熱抵抗が生じる箇所もないためである。このため、プレス面に伝達された熱がスムーズに外部へと移動でき、結果として、式(1)および式(2)を満たすような凹型温度分布の形成も容易となる。
なお、以上に説明した点を考慮すれば、第一の本実施形態のガラスブランクの製造方法に用いられる下型は、以下の構成を有することが特に好ましい。すなわち、本実施形態の下型は、軟化状態のガラスを上型との間で挟んでプレス成型するためのプレス面を有する略円盤状のプレス部と、このプレス部のプレス面と反対側の面に、プレス部と一体を成すと共に、中心軸がプレス部の中心軸と一致するように設けられた柱状の胴体部と、この胴体部のプレス部が設けられた側と反対側に設けられた液冷式の冷却部と、を有し、かつ、下式(3)および下式(4)を満たすことが特に好ましい。
・式(3) 0.35≦W1/W2≦0.5
・式(4) 0.4≦D1/D2≦0.7
ここで、式(3)中、W1は、胴体部の最大径(mm)を表し、W2は、プレス面の最大径(mm)を表す。また、式(4)中、D1は、プレス部の厚み(mm)を表し、D2は、プレス面から冷却部までの最短距離(mm)を表す。
また、以上の点を考慮すれば、第二の本実施形態のガラスブランクの製造方法は、下型のプレス面の中央部に、軟化状態のガラスを供給した後、上型と下型との間で軟化状態のガラスをプレス成型するプレス工程を少なくとも経て、ガラスブランクを作製する際に、下型として上述した本実施形態の下型を用いることを特徴としたものでもよい。この場合も、第一の本実施形態のガラスブランクの製造方法と同様の効果を得ることができる。
図6は、本実施形態の下型の一例を示す模式断面図である。なお、図6中、一点鎖線は中心軸を意味する。ここで、図6に示す下型50は、略円盤状のプレス部52と、このプレス部52のプレス面54と反対側の面にプレス部52と一体を成すと共に、中心軸がプレス部52の中心軸と一致するように設けられた柱状の胴体部56と、胴体部56のプレス部52が設けられた側と反対側に設けられた液冷式の冷却部58と、を有する。ここで、プレス部52や胴体部56の断面形状は、略円形状やこれと類似する多角形状であってもよいが、円形状が最も好ましい。また、冷却部58は、図6に示す例では、胴体部56と接して設けられており、胴体部56に対して脱着可能であってもよい。しかしながら、冷却部58は胴体部56と一体を成すように形成されていてもよい。なお、冷却部58内には、水などの冷却媒体を流すための流路(図6中、不図示)が設けられている。
ここで、プレス部52の最大径W2に対する胴体部の最大径W1の比(W1/W2)は、式(3)に示されるように0.35以上0.5以下であることが必要である。W1/W2を0.35以上とすることにより、連続してプレス成型する場合でも、プレス面54の過熱を防いでガラスの融着をより確実に防止することができる。また、W1/W2を0.5以下とすることにより、プレス成型直前にプレス面54に式(1)および式(2)を満たすような凹型温度分布を容易に形成できる。なお、W1/W2は、0.375以上0.475以下がより好ましく、0.400以上0.450以下が更に好ましい。
また、プレス面54から冷却部58までの最短距離D2に対するプレス部52の厚みの比(D1/D2)は、式(4)に示されるように0.4以上0.7以下であることが必要である。D1/D2を0.4以上とすることにより、プレス部52のプレス面54と平行な方向の熱伝導が極度に不十分となることを防止できる。これにより、プレス面54の温度分布が、プレス面54の胴体部56に対応する領域と、それ以外の領域とで温度が急激に変化するのを防ぐと共に、プレス成型直前にプレス面54に式(1)および式(2)を満たすような凹型温度分布を容易に形成できる。また、D1/D2を0.7以下とすることにより、プレス部52のプレス面54と平行な方向の熱伝導が極度に過剰となることを防止できる。これにより、プレス面54の最大径方向の温度勾配が極めて緩慢になるのを防ぐと共に、プレス成型直前にプレス面54に式(1)および式(2)を満たすような凹型温度分布を容易に形成できる。なお、D1/D2は、0.45以上0.65以下がより好ましく、0.50以上0.60以下が更に好ましい。
なお、「プレス面54から冷却部58までの最短距離D2」とは、図6に示すように冷却部58が胴体部56に接して設けられるような別部材である場合は、プレス面54から胴体部56の冷却部58と接する面までの最短距離を意味する。また、冷却部58が胴体部56と一体を成すように設けられる場合は、プレス面54から、冷却部58内に冷却媒体を流すために設けられた流路のうち最もプレス面54側に位置する流路までの最短距離を意味する。
−プレス成型装置−
以上に説明した点を考慮すれば、本実施形態のプレス成型装置は、式(1)および式(2)を満たすことができる下型を備えたものであることが好ましい。より具体的には、本実施形態のプレス成型装置は、下型と、この下型に対して、対向配置されると共に、下型に接近する方向および離間する方向に相対的に移動可能な上型と、を少なくとも備え、下型として、本実施形態の下型を用いたものであることが特に好適である。
なお、本実施形態のプレス成型装置の下型以外の構成は、公知の構成を適宜組合わせて採用したものとすることができる。たとえば、本実施形態のプレス成型装置は、所定容量の溶融ガラスをプレス成形するプレス面を有する1個の上型および複数個の本実施形態の下型と、回転中心となる主軸を備え、複数個の下型が等間隔で周縁部に配置されると共に、360度を下型の数で割った回転角度毎に一方向へ回転と停止とを繰り返す円形状の回転テーブルと、溶融ガラス供給源に接続されたノズルから連続的に流出する溶融ガラスを、所定容量毎に切断して回転テーブルのいずれか1つの停止位置で停止する下型のプレス面上に供給するガラス供給手段と、いずれか1つの停止位置を基準として、回転テーブルの回転方向下流側の停止位置で停止する下型のプレス面に対して、対向配置されると共に垂直方向に移動可能であり、下型プレス面上に位置する溶融ガラスをプレスして略板状に成形するプレス面を備えた上型と、上型が配置された停止位置を基準として、1つ以上の停止位置を挟み、かつ、回転テーブルの回転方向下流側に位置する停止位置の下型プレス面上に位置する略板状のガラス(ガラスブランク)を下型から取り出す取出手段と、を備えた構成とすることができる。
さらに、必要に応じて、下型のプレス面に溶融ガラスを供給する前に、BNなどの耐熱性の固体潤滑剤粉末を下型のプレス面上に付着させる固体潤滑剤粉末散布手段や、プレス後に略板状となったガラスの反りを修正するために用いるプレス用の板状部材などからなる反り修正手段など、その他の機構や手段を設けてもよい。なお、回転テーブルに配置される下型の数は、ガラスブランクを作製する上で最低限実施することが必要な4つの工程;すなわち、(1)溶融ガラスを下型のプレス面上に供給するガラス供給工程、(2)下型のプレス面上に供給された軟化状態のガラスを上型と下型とによりプレスするプレス工程、(3)プレスにより略板状となったガラスを下型上に載置した状態で、プレス用の停止位置から取出用の停止位置まで下型と共に搬送する過程で、自然放冷または強制冷却などを利用して均熱させつつ冷却する均熱・冷却工程、および、(4)下型のプレス面上で均熱・冷却された略板状のガラス(ガラスブランク)を真空吸着などを利用して下型から取り出す取出工程、に対応させる意味で、原理的には最低4つあればよい。しかしながら、プレス成形後から取り出しまでの略板状となったガラスの冷却期間の確保や、プレス成形前の下型プレス面の余熱時間の確保なども考慮すると、実用上、下型の数は、6個以上30個以下程度が好ましい。
下型および上型の材料は、耐熱性がありかつ高い熱伝導率を有する材料が好ましい。このような材料としては、グラファイト、タングステン合金、窒化物、炭化物、耐熱金属等が挙げられ、特に、安価で加工しやすく、十分な強度、耐久性を有する点からは鋳鉄が好ましい。
−ガラス組成−
本実施形態のガラスブランクの製造方法により作製されるガラスブランクのガラス組成としては、これを用いて作製される基板や情報記録媒体に応じて適宜選択できるが、たとえば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケートガラスなどを挙げることができる。また、これらのガラスは加熱処理により結晶化する結晶化ガラスであってもよい。
なお、アルミノシリケートガラスとしては、SiOが58質量%以上75質量%以下、Alが5質量%以上23質量%以下、LiOが3質量%以上10質量%以下、NaOが4質量%以上13質量%以下を主成分として含有するアルミノシリケートガラス(ただし、リン酸化物を含まないアルミノシリケートガラス)を用いてよい。たとえば、SiOが62質量%以上75質量%以下、Alが5質量%以上15質量%以下、LiOが4質量%以上10質量%以下、NaOが4質量%以上12質量%以下、ZrOが5.5質量%以上15質量%以下を主成分として含有するとともに、NaO/ZrOの質量比が0.5以上2.0以下、Al/ZrOの質量比が0.4以上2.5以下であるリン酸化物を含まないアモルファスのアルミノシリケートガラスとしてよい。なお、CaOやMgOといったアルカリ土類金属酸化物を含まないガラスであることが望ましい。このようなガラスとしては、HOYA株式会社製のN5ガラス(商品名)を挙げることができる。
(情報記録媒体用基板の製造方法)
上述した本実施形態のガラスブランクの製造方法により作製されたガラスブランクについては、このガラスブランクの少なくとも片面を研削・研磨する研削・研磨工程を少なくとも経て、情報記録媒体用基板を作製することができる。また、ガラスブランクを構成するガラスが熱処理により結晶化可能なガラス組成を有する場合は、上記工程の他に、ガラスブランクを加熱することにより結晶化させる結晶化工程を組み合わせることもできる。なお、情報記録媒体用基板の製造の一典型例としては、たとえば、(1)第1ラッピング工程、(2)切り出し工程(コアリング、フォーミング)、(3)端面研削工程、(4)第2ラッピング工程、(5)端面研磨工程、(6)主表面研磨工程、(7)化学強化工程および冷却工程、(8)精密洗浄工程、をこの順に実施することできる。以下、これら8つの工程についてより具体的に説明する。
(1)第1ラッピング工程
第1ラッピング工程では、ガラスブランクの両主表面をラッピング加工することで、ディスク状のガラス素板を得る。このラッピング加工は、遊星歯車機構を利用した両面ラッピング装置により、アルミナ系遊離砥粒を用いて行うことができる。具体的には、ガラス素板の両面に上下からラップ定盤を押圧させ、遊離砥粒を含む研削液をガラス素板の主表面上に供給し、これらを相対的に移動させてラッピング加工を行うことができる。このラッピング加工により、平坦な主表面を有するガラス素板が得られる。
(2)切り出し工程(コアリング、フォーミング)
次に、ダイヤモンドカッタを用いてガラス素板を切断し、このガラス素板から、円盤状のガラス基板を切り出す。次に、円筒状のダイヤモンドドリルを用いて、このガラス基板の中心部に円孔を形成し、ドーナツ状のガラス基板を得る(コアリング)。
(3)端面研削工程
そして内周端面および外周端面をダイヤモンド砥石によって研削し、所定の面取り加工を施す(フォーミング)。
(4)第2ラッピング工程
次に、得られたガラス基板の両主表面について、第1ラッピング工程と同様に、第2ラッピング加工を行う。この第2ラッピング工程を行うことにより、前工程である切り出し工程や端面研磨工程において主表面に形成された微細な凹凸形状を予め除去しておくことができ、後続の主表面に対する研磨工程を短時間で完了させることができる。
(5)端面研磨工程
次に、ガラス基板の端面について、ブラシ研磨方法により、鏡面研磨を行う。このとき、研磨砥粒としては、酸化セリウム砥粒を含むスラリー(遊離砥粒)を用いることができる。この端面研磨工程により、ガラス基板の端面から、パーティクル等の発塵を防止できる。
(6)主表面研磨工程
主表面研磨工程の前半工程として、まず第1研磨工程を実施する。この第1研磨工程は、前述のラッピング工程において主表面に残留したキズや歪みの除去を主たる目的とする。この第1研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、硬質樹脂ポリッシャを用いて、主表面の研磨を行う。研磨液としては、たとえば、酸化セリウム砥粒を用いることができる。そして、この第1研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、IPA(イソプロピルアルコール)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄する。
次に、主表面研磨工程の後半工程として、第2研磨工程を実施する。この第2研磨工程は、主表面を鏡面状に仕上げることを目的とする。この第2研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、軟質発泡樹脂ポリッシャを用いて、主表面の鏡面研磨を行うことができる。研磨液としては、第1研磨工程で用いた酸化セリウム砥粒よりも微細な酸化セリウム砥粒を用いることができる。この第2研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、IPA(イソプロピルアルコール)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄する。なお、各洗浄槽には、超音波を印加する。
(7)化学強化工程および冷却工程
情報記録媒体用基板の作製に用いるガラスブランクが、リチウムやナトリウムなどのアルカリ金属を含むガラスからなる場合は、前述のラッピング工程及び研磨工程を終えたガラス基板に、化学強化を施すのが好ましい。化学強化工程を行うことにより、情報記録媒体用基板の表層部に高い圧縮応力を生じさせることができる。このため、情報記録媒体用基板の表面の耐衝撃性を向上させることができる。このような化学強化処理は、情報を記録再生するヘッドが、機械的に情報記録媒体表面に接触する可能性のある磁気記録媒体を作製する上で非常に好適である。
化学強化は、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムを混合した化学強化溶液を準備し、この化学強化溶液を加熱しておくとともに、洗浄済みのガラス基板を予熱し、化学強化溶液中に浸漬することによって行う。このように、化学強化溶液に浸漬処理することによって、ガラス基板の表層のリチウムイオン及びナトリウムイオンが、化学強化溶液中のナトリウムイオン及びカリウムイオンにそれぞれ置換され、ガラス基板が強化される。
続いて、化学強化工程を終えたガラス基板を、水槽に浸漬して冷却し、しばらくの間維持する。そして、冷却を終えたガラス基板を、加熱した濃硫酸に浸漬して洗浄を行う。さらに、硫酸洗浄を終えたガラス基板を、純水、IPA(イソプロピルアルコール)の各洗浄槽に順次浸漬して洗浄する。なお、各洗浄槽には超音波を印加する。
(8)精密洗浄工程
次に、研磨剤残渣や外来の鉄系コンタミなどを除去し、ガラス基板の表面をより平滑かつ清浄にするために、精密洗浄工程を実施するのが好ましい。このような精密洗浄工程の実施は、情報を記録再生するヘッドが、機械的に情報記録媒体表面に接触する可能性のある磁気記録媒体を作製する上で非常に好適である。精密洗浄の実施によりヘッドクラッシュやサーマルアスペリティの発生を抑制できるためである。なお、精密洗浄工程としては、アルカリ性水溶液による洗浄の後に、水リンス洗浄、IPA洗浄工程を行うようにしてもよい。
これらの一連の工程を経て作製された情報記録媒体の表面粗さは、Raでサブナノメーターのオーダーとすることができる。なお、表面粗さは、主表面研磨条件や洗浄条件を選択することにより適宜調整することができる。なお、以上、8つの工程を経て得られた情報記録媒体用基板は、公知の磁気記録、光記録、光磁気記録等の公知の各種記録方式を採用した情報記録媒体の作製に用いることができるが、特に磁気記録媒体の作製に用いることが好適である。また、磁気記録媒体用基板ほどに、情報記録媒体用基板表面の清浄性、平滑性、耐衝撃性が要求されない用途の情報記録媒体用基板の場合は、必要に応じて上記8つの工程の一部を実施しなくてもよいし、また、各工程をより簡略化したり、よりラフな条件で実施してもよい。
(情報記録媒体の製造方法)
このようにして得られた情報記録媒体用基板の少なくとも片面に、情報記録層を形成する情報記録層形成工程を少なくとも経ることで、情報記録媒体を製造することができる。なお、磁気記録媒体を作製する場合は、情報記録層として磁気記録層が設けられる。この磁気記録媒体は、水平磁気記録方式および垂直磁気記録方式のいずれであってもよいが、垂直磁気記録方式であることが好ましい。垂直磁気記録方式の磁気記録媒体を作製する場合は、たとえば、情報記録媒体用基板の両面に、Cr合金からなる付着層、FeCoCrB合金からなる軟磁性層、Ruからなる下地層、CoCrPt−TiO合金からなる垂直磁気記録層、水素化炭素からなる保護層、パーフルオロポリエーテルからなる潤滑層を、この順に順次成膜することができる。なお、付着層、軟磁性層、下地層、垂直磁気記録層は、スパッタリング法により成膜することができ、保護層は、スパッタリング法やCVD法(Chemical Vapor Deposition法)により成膜することができ、潤滑層は浸漬塗布法により成膜することができる。また、付着層から保護層までの成膜は、各層の連続成膜が可能なインライン型または枚葉型のスパッタリング装置を用いることができ、潤滑層の成膜は浸漬塗布装置を用いることができる。
以下に本発明を実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(プレス成型装置)
評価には、外周縁に沿って等間隔に下型が16個配置され、プレスに際しては、一方向に22.5度毎に移動と停止とを交互に繰り返しながら回転する回転テーブルを備えたプレス装置を用いた。また、回転テーブルの外周縁上に配置された16個の下型に対応する16個の下型停止位置に対して、回転テーブルの回転方向に沿ってP1〜P16の番号を付した際に、以下の下型停止位置の下型プレス面上または下型の側には、各々下記の部材が配置されている。
・下型停止位置P1:ガラス供給手段
・下型停止位置P2:上型
・下型停止位置P12:取出手段(真空吸着装置)
また、下型が停止位置P2〜P12へと、移動する際に均熱・冷却工程が実施され、停止位置P12〜P16へと移動する際に、ヒーターを利用して下型の予熱が行われる。
(下型)
評価には、以下に示す下型を用いた。
−下型A1−
下型A1として、図5に示す形状を有する鋳鉄製の下型を準備した。なお、各部の寸法や、冷却部の仕様は以下の通りである。
・W1/W2=0.43(但し、W1=39mm、W2=90mm)
・D1/D2=0.55(但し、D1=30mm、D2=55mm)
・冷却部:内部に流路を備えた冷却部を用いた。なお、流路に流す冷却媒体として常温の水を使用し、プレスに際しては、プレス面中央部の温度(図1中の中心点に相当する位置の温度Tc)が、表1に示す温度となるように冷却媒体の流量や、プレス前の下型の予熱を制御した。
−下型A2〜A10およびB1〜B4−
プレス面直径W2、プレス面から冷却部までの距離D2、および、冷却部については下型A1と同様とした上で、表1および表2に示すように、W1/W2、D1/D2を変えた形状の下型A2〜A10、B1〜B4を準備した。なお、流路に流す冷却媒体として常温の水を使用し、プレスに際しては、プレス面中央部の温度(図1中の中心点に相当する位置の温度Tc)が、表1および表2に示す温度となるように冷却媒体の流量や、プレス前の下型の予熱を制御した。
−下型B5−
下型B5として、各部の寸法や構造自体は下型A1と同様のものを準備した。但し、流路に流す冷却媒体として常温の空気を使用した。そして、プレスに際しては、プレス面中央部の温度(図1中の中心点に相当する位置の温度Tc)が、表2に示す温度となるように冷却媒体の流量や、プレス前の下型の予熱を制御した。
−下型B6−
下型B6として、主要部が鋳鉄製の円柱状ブロック(寸胴型、プレス面直径90mm、高さ80mm)からなる下型を準備した。なお、この下型B6は、円柱体の中心軸に沿って、下方からプレス面側へと真上に伸びる1本の縦流路と、この流路のプレス面側の末端部で8本に分岐してプレス面から30mmの深さを保つようにプレス面と平行に円柱体の中心軸から円柱体の外周面側へと伸びる8本の横流路と、この8本の横流路の円柱体の外周面側の末端から、円柱体の外周面側に沿って、プレス面側から下方へと真下に伸びる8本の縦流路とを備えている。なお、8本の横流路は、円柱体の中心軸を起点として45度毎に配置されている。また、流路に流す冷却媒体としては、常温の水を使用した。そして、プレスに際しては、プレス面中央部の温度(図1中の中心点に相当する位置の温度Tc)が、表2に示す温度となるように冷却媒体の流量や、プレス前の下型の予熱を制御した。
−下型B7−
下型B7として、主要部が鋳鉄製の円柱体ブロック(寸胴型、プレス面直径90mm、高さ80mm)からなる下型を準備した。なお、この下型B7は、円柱体の中心軸に沿って、下方からプレス面側へと真上に伸びる1本の縦流路と、この流路のプレス面側の末端部で8本に分岐してプレス面から30mmの深さを保つようにプレス面と平行に円柱体の中心軸から円柱体の外周面側へと伸びる8本の横流路と、この8本の横流路の円柱体の外周面側の末端から、円柱体の外周面側に沿って、プレス面側から下方へと真下に伸びる8本の縦流路とを備えている。なお、8本の横流路は、円柱体の中心軸を起点として45度毎に配置されている。また、流路に流す冷却媒体としては、空気中に水を霧状に噴霧した常温のガスを使用した。そして、プレスに際しては、プレス面中央部の温度(図1中の中心点に相当する位置の温度Tc)が、表2に示す温度となるように冷却媒体の流量や、プレス前の下型の予熱を制御した。
(実施例1)
アルミノシリケートガラスを溶融した溶融ガラスを、下型のプレス面上に供給した後、上型と下型とによりサイドフリー方式でプレスすることにより断面形状が図2に示す形状を有するガラスブランク10(厚みt0.80mm、直径d67mm、t/d=0.012)を1000枚作製した。なお、このガラスブランクの作製に際しては、下型として下型A1を用いた。ガラスブランクを作製する際の主要な製造条件は以下の通りである。
・ガラス転移温度Tg:485℃
・ガラスの平均線膨張係数:95×10−7/K(100〜300℃)、98×10−7/K(300〜Tg℃)、37×10−6/K(Tg〜530℃)
・プレス前の下型プレス面への固体潤滑剤粉末の散布:無し(固体潤滑剤粉末不使用)
・プレス時の上型プレス面の温度:450℃
・下型上に投入される溶融ガラスの粘度:40Pa・s
・プレス時間(ガラスに圧力を加える時間):1秒
・上型のプレス面を構成する材料:鋳鉄
・下型からガラスブランクをテイクアウトする際のガラスブランクの温度:520℃
・テイクアウト後のガラスブランクの放置環境:常温大気中環境
なお、プレス成型直前の下型(下型停止位置P16にて停止している際の下型)のプレス面の温度特性を赤外線放射温度計を利用して測定したところ、Tc、Te、ΔTは表1に示す通りであった。また、プレス時のプレス圧力は、表1に示す目標アスペクト比が得られるように調整した。
(実施例2〜10、比較例1〜7)
使用する下型の種類や、プレス成型直前の下型のプレス面の温度特性を表1および表2に示した状態に制御した上で、プレス時のプレス圧力を表1および表2に示す目標アスペクト比が得られるように調整した以外は実施例1と同様にしてガラスブランクを製造した。
(評価結果)
各実施例および比較例のプレステストの結果を表1および表2に示す。
Figure 2010280514
Figure 2010280514
なお、表1および表2中、「ガラスブランク作製の可否」の項目において、「不可」とは、プレス圧力を如何様に調整しても目標アスペクト比を満たすガラスブランクしか作製できなかった場合や、ガラスブランクの割れや融着が多発して、連続プレスを頻繁に中止しなければならず、連続プレスによる量産が事実上困難な場合を意味する。
また、表1および表2中、「融着」の項目に示す評価基準は以下の通りである。
◎:1000枚中、融着は1回も発生せず。
○:1000枚中、融着が1回以上200回未満発生。
△:1000枚中、融着が200回以上800回未満発生。
×:1000枚中、融着が800回以上発生。
1 円板状に広がり終えたガラス
10、12、14 ガラスブランク
20 薄肉部
22、24 厚肉部
30 上型
32 下型
34 胴型
40 ガラス塊
50 下型
52 プレス部
54 プレス面
56 胴体部
58 冷却部

Claims (11)

  1. プレス面の表面温度が下式(1)および(2)を満たすように制御された下型の上記プレス面の中央部に、軟化状態のガラスを供給した後、上型と上記下型との間で上記軟化状態のガラスをプレス成型するプレス工程を少なくとも経て、ガラスブランクを作製することを特徴とするガラスブランクの製造方法。
    ・式(1) Tg−200≦Tc<Te≦Tg+50
    ・式(2) 1.5≦ΔT≦6
    〔式(1)および式(2)中、Tcは、プレス成型により上記プレス面上に上記軟化状態のガラスが略等方的に広がり終えて円板状を成したと仮定した状態において、円板状に広がり終えたガラスの中心点に対応する位置のプレス面におけるプレス成型直前の温度(℃)を表し、Teは、上記円板状に広がり終えたガラスの最外周に対応する位置のプレス面におけるプレス成型直前の温度(℃)を表し、Tgは上記ガラスのガラス転移温度(℃)を表し、ΔTは、上記円板状に広がり終えたガラスの中心点と最外周との中間点に対応する位置のプレス面におけるプレス成型直前の温度勾配(℃/mm)を表す。〕
  2. 請求項1に記載のガラスブランクの製造方法において、
    上記下型が、上記プレス面の中央部近傍を選択的に冷却する冷却部を備えることを特徴とするガラスブランクの製造方法。
  3. 請求項2に記載のガラスブランクの製造方法において、
    前記下型の前記プレス面を含む主要部が、一体的に形成されたものであることを特徴とするガラスブランクの製造方法。
  4. 軟化状態のガラスを上型との間で挟んでプレス成型するためのプレス面を有する略円盤状のプレス部と、
    該プレス部の上記プレス面と反対側の面に、上記プレス部と一体を成すと共に、中心軸が上記プレス部の中心軸と一致するように設けられた柱状の胴体部と、
    該胴体部の上記プレス部が設けられた側と反対側に設けられた液冷式の冷却部と、を有し、かつ、下式(3)および下式(4)を満たすガラスプレス用の下型を用い、
    下型のプレス面の中央部に、軟化状態のガラスを供給した後、上記上型と上記下型との間で上記軟化状態のガラスをプレス成型するプレス工程を少なくとも経て、ガラスブランクを作製することを特徴とするガラスブランクの製造方法。
    ・式(3) 0.35≦W1/W2≦0.5
    ・式(4) 0.4≦D1/D2≦0.7
    〔式(3)中、W1は、上記胴体部の最大径(mm)を表し、W2は、上記プレス面の最大径(mm)を表す。また、式(4)中、D1は、上記プレス部の厚み(mm)を表し、D2は、上記プレス面から上記冷却部までの最短距離(mm)を表す。〕
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載のガラスブランクの製造方法において、
    前記冷却部が、20℃における比熱が、0.6cal/g・℃〜1.2cal/g・℃である液体を冷却媒体として用いた液冷式の冷却部であることを特徴とするガラスブランクの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載のガラスブランクの製造方法において、
    前記ガラスブランクの片面が、前記上型のプレス面と略一致する表面粗さを有し、他方の面が、前記下型のプレス面と略一致する表面粗さを有することを特徴とするガラスブランクの製造方法。
  7. 軟化状態のガラスを上型との間で挟んでプレス成型するためのプレス面を有する略円盤状のプレス部と、
    該プレス部の上記プレス面と反対側の面に、上記プレス部と一体を成すと共に、中心軸が上記プレス部の中心軸と一致するように設けられた柱状の胴体部と、
    該胴体部の上記プレス部が設けられた側と反対側に設けられた液冷式の冷却部と、を有し、かつ、
    下式(5)および下式(6)を満たすことを特徴とするガラスプレス用の下型。
    ・式(5) 0.35≦W1/W2≦0.5
    ・式(6) 0.4≦D1/D2≦0.7
    〔式(5)中、W1は、上記胴体部の最大径(mm)を表し、W2は、上記プレス面の最大径(mm)を表す。また、式(6)中、D1は、上記プレス部の厚み(mm)を表し、D2は、上記プレス面から上記冷却部までの最短距離(mm)を表す。〕
  8. 下型と、
    該下型に対して、対向配置されると共に、上記下型に接近する方向および離間する方向に相対的に移動可能な上型と、
    を少なくとも備え、
    上記下型が、請求項7に記載のガラスプレス用の下型であることを特徴とするプレス成型装置。
  9. 請求項1〜6のいずれか1つに記載のガラスブランクの製造方法により作製されたガラスブランクの少なくとも片面を研削・研磨する研削・研磨工程を少なくとも経て、情報記録媒体用基板を作製することを特徴とする情報記録媒体用基板の製造方法。
  10. 前記ガラスブランクを加熱することにより結晶化させる結晶化工程を有することを特徴とする請求項9に記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
  11. 請求項9または請求項10に記載の情報記録媒体用基板の製造方法により作製された情報記録媒体用基板の少なくとも片面に情報記録層を形成する情報記録層形成工程を少なくとも経て、情報記録媒体を製造することを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
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