JP5306884B2 - 情報記録媒体用ガラスブランクの製造方法、情報記録媒体用基板の製造方法、および、情報記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Description
本実施形態の情報記録媒体基板用ガラスブランクの製造方法は、下型のプレス面上に供給された軟化状態の塊状ガラスを上型のプレス面と下型のプレス面とによりプレスすることにより、軟化状態の塊状ガラスを2つのプレス面間に略等方的に延伸させる塊状ガラス延伸工程と、2つのプレス面間に挟持された軟化状態の塊状ガラスが完全に延伸し終えて軟化状態の円板状ガラスとなった後に、軟化状態の円板状ガラスを上型のプレス面から剥離する剥離工程と、剥離工程の、実施直前、実施と同時および実施直後の3つから選択される少なくともいずれかの時点で、軟化状態の円板状ガラスの外周端近傍を、軟化状態の円板状ガラスの中心部を基準として略対称的に冷却する冷却工程と、を少なくとも経て、情報記録媒体基板用ガラスブランクを製造することを特徴とする。
(A)軟化状態の円板状ガラスの外周端近傍の冷却が、軟化状態の円板状ガラスが2つのプレス面間に挟持された状態において、複数のガス噴き出し穴から冷却用ガスを噴出させると略同時に、軟化状態の円板状ガラスを上型のプレス面から剥離する剥離工程も実施する方式。
(B)軟化状態の円板状ガラスを上型のプレス面から剥離する剥離工程を実施して、円板状ガラスを上型から一旦剥離した後、円板状ガラスのやや上方で上型を停止させた状態で、複数のガス噴き出し穴から冷却用ガスを噴出させて軟化状態の円板状ガラスの外周端近傍の冷却を実施する方式。
(C)軟化状態の円板状ガラスの外周端近傍の冷却が、軟化状態の円板状ガラスが2つのプレス面間に挟持された状態において、複数のガス噴き出し穴から冷却用ガスを噴出させると略同時に、このガスの噴出力も利用して軟化状態の円板状ガラスを上型のプレス面から剥離する剥離工程も実施する方式。
上述した本実施形態の情報記録媒体基板用ガラスブランクの製造方法により作製されたガラスブランクについては、このガラスブランクの少なくとも片面を研削・研磨する研削・研磨工程を少なくとも経て、情報記録媒体用基板を作製する。また、ガラスブランクを構成するガラスが熱処理により結晶化可能なガラス組成を有する場合は、上記工程の他に、ガラスブランクを加熱することにより結晶化させる結晶化工程を組み合わせることもできる。なお、情報記録媒体用基板の製造の一典型例としては、たとえば、(1)第1ラッピング工程、(2)切り出し工程(コアリング、フォーミング)、(3)端面研削工程、(4)第2ラッピング工程、(5)端面研磨工程、(6)主表面研磨工程、(7)化学強化工程および冷却工程、(8)精密洗浄工程、をこの順に実施することできる。以下、これら8つの工程についてより具体的に説明する。
第1ラッピング工程では、ガラスブランクの両主表面をラッピング加工することで、ディスク状のガラス素板を得る。このラッピング加工は、遊星歯車機構を利用した両面ラッピング装置により、アルミナ系遊離砥粒を用いて行うことができる。具体的には、ガラス素板の両面に上下からラップ定盤を押圧させ、遊離砥粒を含む研削液をガラス素板の主表面上に供給し、これらを相対的に移動させてラッピング加工を行うことができる。このラッピング加工により、平坦な主表面を有するガラス素板が得られる。
次に、ダイヤモンドカッタを用いてガラス素板を切断し、このガラス素板から、円盤状のガラス基板を切り出す。次に、円筒状のダイヤモンドドリルを用いて、このガラス基板の中心部に円孔を形成し、ドーナツ状のガラス基板を得る(コアリング)。
そして内周端面および外周端面をダイヤモンド砥石によって研削し、所定の面取り加工を施す(フォーミング)。
次に、得られたガラス基板の両主表面について、第1ラッピング工程と同様に、第2ラッピング加工を行う。この第2ラッピング工程を行うことにより、前工程である切り出し工程や端面研磨工程において主表面に形成された微細な凹凸形状を予め除去しておくことができ、後続の主表面に対する研磨工程を短時間で完了させることができる。
次に、ガラス基板の端面について、ブラシ研磨方法により、鏡面研磨を行う。このとき、研磨砥粒としては、酸化セリウム砥粒を含むスラリー(遊離砥粒)を用いることができる。この端面研磨工程により、ガラス基板の端面から、パーティクル等の発塵を防止できる。
主表面研磨工程の前半工程として、まず第1研磨工程を実施する。この第1研磨工程は、前述のラッピング工程において主表面に残留したキズや歪みの除去を主たる目的とする。この第1研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、硬質樹脂ポリッシャを用いて、主表面の研磨を行う。研磨液としては、たとえば、酸化セリウム砥粒を用いることができる。そして、この第1研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、IPA(イソプロピルアルコール)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄する。
情報記録媒体用基板の作製に用いるガラスブランクが、リチウムやナトリウムなどのアルカリ金属を含むガラスからなる場合は、前述のラッピング工程および研磨工程を終えたガラス基板に、化学強化を施すのが好ましい。化学強化工程を行うことにより、情報記録媒体用基板の表層部に高い圧縮応力を生じさせることができる。このため、情報記録媒体用基板の表面の耐衝撃性を向上させることができる。このような化学強化処理は、情報を記録再生するヘッドが、機械的に情報記録媒体表面に接触する可能性のある磁気記録媒体を作製する上で非常に好適である。
次に、研磨剤残渣や外来の鉄系コンタミなどを除去し、ガラス基板の表面をより平滑かつ清浄にするために、精密洗浄工程を実施するのが好ましい。このような精密洗浄工程の実施は、情報を記録再生するヘッドが、機械的に情報記録媒体表面に接触する可能性のある磁気記録媒体を作製する上で非常に好適である。精密洗浄の実施によりヘッドクラッシュやサーマルアスペリティの発生を抑制できるためである。なお、精密洗浄工程としては、アルカリ性水溶液による洗浄の後に、水リンス洗浄、IPA洗浄工程を行うようにしてもよい。
このようにして得られた情報記録媒体用基板の少なくとも片面に、情報記録層を形成する情報記録層形成工程を少なくとも経ることで、情報記録媒体を製造することができる。なお、磁気記録媒体を作製する場合は、情報記録層として磁気記録層が設けられる。この磁気記録媒体は、水平磁気記録方式および垂直磁気記録方式のいずれであってもよいが、垂直磁気記録方式であることが好ましい。垂直磁気記録方式の磁気記録媒体を作製する場合は、たとえば、情報記録媒体用基板の両面に、Cr合金からなる付着層、FeCoCrB合金からなる軟磁性層、Ruからなる下地層、CoCrPt−TiO2合金からなる垂直磁気記録層、水素化炭素からなる保護層、パーフルオロポリエーテルからなる潤滑層を、この順に順次成膜することができる。なお、付着層、軟磁性層、下地層、垂直磁気記録層は、スパッタリング法により成膜することができ、保護層は、スパッタリング法やCVD法(Chemical Vapor Deposition法)により成膜することができ、潤滑層は浸漬塗布法により成膜することができる。また、付着層から保護層までの成膜は、各層の連続成膜が可能なインライン型または枚葉型のスパッタリング装置を用いることができ、潤滑層の成膜は浸漬塗布装置を用いることができる。
アルミノシリケートガラスを溶融した溶融ガラスを、下型のプレス面上に供給した後、上型と下型とによりサイドフリー方式でプレスすることにより断面形状が図1に示す形状を有するガラスブランク10(薄肉部の厚みt=1.2mm、薄肉部の直径d=70mm、アスペクト比t/d=0.017)を作製した。ここで、このガラスブランク10の作製に際しては、図4に示すパターンでガス噴き出し穴40を設けた上型20を用いた。また、冷却工程は、プレス後に上型20が上方に移動するのと略同時(上型20と軟化状態の円板状ガラスとが剥離するのと略同時)に、ガス噴き出し穴40から常温の空気(供給圧力:約0.2MPa)を0.4秒間噴射することにより実施した。
・プレス時の接触領域32の直径:70mm
・ガス噴き出し穴40の総数:48個
(各グループ40A、40B、40C、40D、40E、40F当たりの数:8個)
・ガス噴き出し穴40の直径:0.4mm
・プレス時の接触領域32の最外周−ガス噴き出し穴40の中心点との最短距離:0.5mm
・各グループ40A、40B、40C、40D、40E、40F内における隣接する2つのガス噴き出し穴40の中心点間の距離:5mm
・ガラス転移温度Tg:485℃
・ガラスの平均線膨張係数:95×10−7/K(100〜300℃)、98×10−7/K(300〜Tg℃)、37×10−6/K(Tg〜530℃)、
・溶融ガラスを下型のプレス面上に供給する際のプレス面の温度:490℃
・下型上に投入される溶融ガラスの粘度:40Pa・s
・プレス時間(ガラスに圧力を加える時間):1秒
・上型および下型のプレス面を構成する材料:鋳鉄
・下型からガラスブランク10をテイクアウトする際のガラスブランク10の温度:470℃
・テイクアウト後のガラスブランク10の放置環境:常温大気中環境
実施例1において、ガラスブランク10の薄肉部の厚みtを1.0mm(t/d=0.014)に変更し、これに合わせて下型のプレス面上に供給される溶融ガラスの量とプレス時の圧力を調整した以外は実施例1と同様にしてガラスブランク10を作製した。
実施例1において、ガラスブランク10の薄肉部の厚みtを0.9mm(t/d=0.013)に変更し、これに合わせて下型のプレス面上に供給される溶融ガラスの量とプレス時の圧力を調整した以外は実施例1と同様にしてガラスブランク10を作製した。
実施例1において、上型として、プレス面にガス噴き出し穴を有さない通常の上型を用い、冷却工程を実施しなかった以外は、実施例1と同様にしてガラスブランク10を作製した。
実施例2において、上型として、プレス面にガス噴き出し穴を有さない通常の上型を用い、冷却工程を実施しなかった以外は、実施例1と同様にしてガラスブランク10を作製した。
実施例3において、上型として、プレス面にガス噴き出し穴を有さない通常の上型を用い、冷却工程を実施しなかった以外は、実施例1と同様にしてガラスブランク10を作製した。
各実施例・比較例で作製したサンプルについて、平面度を評価した。結果を表1に示す。なお、平面度の評価は次のように実施した。まず、1000枚のサンプルについて、ガラスブランク10の平面度をサーフコム(株式会社東京精密製)により測定した。ここで、平面度は、面内の最大高低差として求め、平面度が30μmを超えたものを不良品としてカウントした。表1に示す評価基準は以下の通りである。
◎:不良品は発生せず。
○:1000枚当たり1枚以上3枚未満の不良品が発生
△:1000枚当たり3枚以上20枚未満の不良品が発生
×:1000枚当たり20枚以上の不良品が発生
2、3 厚肉部
10、12、14 ガラスブランク
20、22、24、26 上型
28 下型
30 プレス面
32 プレス時の接触領域
34 プレス時の接触領域の中心点
40 ガス噴き出し穴
40A、40B、40C、40D、40E、40F ガス噴き出し穴グループ
50 胴型
52 外枠
60 軟化状態の塊状ガラス
Claims (7)
- 下型のプレス面上に供給された軟化状態の塊状ガラスを上型のプレス面と上記下型のプレス面とによりプレスすることにより、上記軟化状態の塊状ガラスを上記2つのプレス面間に略等方的に延伸させる塊状ガラス延伸工程と、
上記2つのプレス面間に挟持された上記軟化状態の塊状ガラスが完全に延伸し終えて軟化状態の円板状ガラスとなった後に、上記軟化状態の円板状ガラスを上記上型のプレス面から剥離する剥離工程と、
上記軟化状態の円板状ガラスの外周端近傍を、上記軟化状態の円板状ガラスの中心部を基準として略対称的に冷却する冷却工程と、
を少なくとも経て、情報記録媒体基板用ガラスブランクを製造し、
上記上型のプレス面には複数のガス噴き出し穴が設けられており、
上記複数のガス噴き出し穴が、上記剥離工程実施前の状態において上記上型のプレス面と上記軟化状態の円板状ガラスとが接触する円状の領域の外周側に沿って、上記軟化状態の円板状ガラスの中心部を基準として略対称的に設けられており、かつ、
上記軟化状態の円板状ガラスの外周端近傍の冷却が、上記軟化状態の円板状ガラスが上記2つのプレス面間に挟持された状態において、上記複数のガス噴き出し穴から冷却用ガスを噴出させることにより行われると略同時に、上記軟化状態の円板状ガラスを上記上型のプレス面から剥離することを特徴とする情報記録媒体基板用ガラスブランクの製造方法。 - 請求項1に記載の情報記録媒体基板用ガラスブランクの製造方法において、
前記冷却工程において、前記軟化状態の円板状ガラスの外周端近傍が、歪点以上で、かつ、前記軟化状態の円板状ガラスのガラス転移温度未満の範囲内にまで冷却されることを特徴とする情報記録媒体基板用ガラスブランクの製造方法。 - 請求項1または請求項2に記載の情報記録媒体基板用ガラスブランクの製造方法において、
前記剥離工程において、前記軟化状態の円板状ガラスと前記上型のプレス面全面とが同時に剥離することを特徴とする情報記録媒体基板用ガラスブランクの製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載の情報記録媒体基板用ガラスブランクの製造方法において、
前記塊状ガラス延伸工程において、下型のプレス面上に供給される前記軟化状態の塊状ガラスの容量変動に関係無く、前記2つのプレス面の間隔を一定とした状態で、前記2つのプレス面間に挟持された前記軟化状態の塊状ガラスを完全に延伸させることを特徴とする情報記録媒体基板用ガラスブランクの製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか1つに記載の情報記録媒体基板用ガラスブランクの製造方法により製造された情報記録媒体基板用ガラスブランクの少なくとも片面を、研削・研磨する研削・研磨工程を少なくとも経て、情報記録媒体用基板を製造することを特徴とする情報記録媒体用基板の製造方法。
- 請求項5に記載の情報記録媒体用基板の製造方法において、
前記研削・研磨工程を実施する前に、前記ガラスブランクを加熱することにより結晶化させる結晶化工程を有することを特徴とする情報記録媒体用基板の製造方法。 - 請求項5または請求項6に記載の情報記録媒体用基板の製造方法により作製された情報記録媒体用基板の少なくとも片面に情報記録層を形成する情報記録層形成工程を少なくとも経て、情報記録媒体を製造することを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
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