JP2010280257A - 車輪用軸受装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】パイロット部の外表面に形成された防錆塗装膜の均一化が図れると共に、処理工程の簡略化と処理時間の短縮化を図って低コスト化を実現させた車輪用軸受装置の製造方法を提供する。
【解決手段】ハブ輪4のアウター側の端部にパイロット部10が突設され、このパイロット部10の外表面に防錆塗装膜11が形成された車輪用軸受装置の製造方法において、防錆塗装膜11が紫外線硬化塗料で構成され、この塗料を塗布した後、車輪用軸受装置を縦型に配置すると共に、ハブ輪4のパイロット部10に対向して塗料回収容器13が配置され、当該車輪用軸受装置を上下に加振させて不要な塗料を排除させた。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車等の車輪を回転自在に支承する車輪用軸受装置の製造方法、特に、ハブ輪のパイロット部に防錆塗装膜が形成された車輪用軸受装置の製造方法に関するものである。
自動車等の車両の車輪用軸受装置には、駆動輪用のものと従動輪用のものとがある。特に、自動車の懸架装置に対して車輪を回転自在に支承する車輪用軸受装置は、低コスト化は言うまでもなく、燃費向上のための軽量・コンパクト化が進んでいる。このような車輪用軸受装置の代表的な一例を図5に示す。
この車輪用軸受装置は駆動輪用の第3世代と称され、ハブ輪51と内輪52と外輪53、および複列のボール54、54とを備えている。ハブ輪51は、その一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ55を一体に有し、外周に内側転走面51aと、この内側転走面51aから軸方向に延びる円筒状の小径段部51bが形成されている。また、車輪取付フランジ55の円周等配位置には車輪を固定するためのハブボルト56が植設されている。
ハブ輪51の小径段部51bには、外周に内側転走面52aが形成された内輪52が圧入されている。そして、ハブ輪51の小径段部51bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部51cにより、ハブ輪51に対して内輪52が軸方向へ抜けるのを防止している。
外輪53は、外周に車体取付フランジ53bを一体に有し、内周に複列の外側転走面53a、53aが形成されている。これら複列の外側転走面53a、53aと対向する内側転走面51a、52aの間には保持器57を介して複列のボール54、54が転動自在に収容されている。そして、外輪53の両端部にはシール58、59が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。
ハブ輪51は、炭素の含有量が0.40〜0.80重量%である炭素鋼製の素材に鍛造を施すことにより一体に形成され、車輪取付フランジ55の基部から内側転走面51a、および小径段部51bに亙って高周波焼入れ等によって表面が硬化処理されている。なお、加締部51cは、鍛造後の素材表面硬さの生のままとしている。一方、内輪52は、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼のような高炭素鋼製とし、芯部まで焼入れ硬化されている。
ハブ輪51の外方側にはホイールセンターの目安となるパイロット部60が形成されている。そして、このパイロット部60の外表面には錆等を防ぐために、電着塗装法により防錆塗装膜61(図中クロスハッチングに示す)が施されている。この防錆塗装膜61は、油脂分を除くために、ハブ輪51に脱脂洗浄を行った後乾燥し、この乾燥したハブ輪51に電極を付け、パイロット部60のみを解離可能な水溶液性塗料を展開した電着槽に漬し、電着槽中に設けられた電極との間に電圧を印加し、イオン化された塗料イオンをパイロット部60の外表面に電着させ、塗料の電着終了後、高温で焼付け乾燥、冷却を行って電着塗料を硬化することによって形成されている。
この防錆塗装膜61は、従来の刷毛塗り塗装や吹き付け塗装により形成された塗装膜に比べ、塗装膜を薄く、また、均一に形成することができると共に、灯油等の溶剤が付着しても剥れることがなく、防錆効果を飛躍的に良くすることができる。
特開2007−223600号公報
こうした従来の塗装法では、塗装後に焼付乾燥工程が必要であり、この焼付温度としては、80〜130℃(熱硬化形塗料)、150〜200℃(電着塗料)程度が一般的である。然しながら、このような焼付温度では、軸受の素材硬度の低下や軸受内部に封入されたグリースの劣化、さらには、シール58、59や保持器57等の内部部品の劣化を招く恐れがある。そこで、ハブ輪51単体で塗装を完成させる必要があるが、ハブ輪51単体で塗装が完了すると、後工程で防錆塗装膜61の剥れや傷付き等、品質不具合が生じる可能性が高い。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、パイロット部の外表面に形成された防錆塗装膜の均一化が図れると共に、処理工程の簡略化と処理時間の短縮化を図って低コスト化を実現させた車輪用軸受装置の製造方法を提供することを目的としている。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の方法発明は、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周にこの車輪取付フランジから軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に嵌合された内輪または等速自在継手の外側継手部材からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材間に転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記ハブ輪のアウター側の端部にパイロット部が突設され、このパイロット部の外表面に防錆塗装膜が形成された車輪用軸受装置の製造方法において、前記防錆塗料を塗布した後、前記車輪用軸受装置を縦型に配置すると共に、この車輪用軸受装置の下部に塗料回収容器を配置し、当該車輪用軸受装置を加振または回転させて不要な塗料を排除させた。
このように、ハブ輪のアウター側の端部にパイロット部が突設され、このパイロット部の外表面に防錆塗装膜が形成された第1乃至第4世代構造の車輪用軸受装置において、防錆塗料を塗布した後、車輪用軸受装置を縦型に配置すると共に、この車輪用軸受装置の下部に塗料回収容器を配置し、当該車輪用軸受装置を加振または回転させて不要な塗料を排除させたので、奥側の塗料が下方に垂れ下がるのを防止することができ、防錆塗装膜を均一な所定の膜厚に制御することができる。また、塗料回収容器内に回収された塗料は再利用することもでき、省資源化と低コスト化を図ることができる。さらに、車輪用軸受装置の組立完成状態で塗装することにより、後工程で剥れや傷付き等の不具合が出る可能性が低くなり、安定した品質を確保することができる。
好ましくは、請求項2に記載の発明のように、前記加振周波数が3〜30Hzの範囲に設定されていれば、塗料が下方に垂れ下がるのを防止して効果的に不要な塗料を排除することができる。
また、請求項3に記載の発明のように、前記ハブ輪のパイロット部に対向して前記塗料回収容器が配置され、当該車輪用軸受装置が上下に振動されても良い。
また、請求項4に記載の発明のように、前記塗料回収容器が、外周に固定フランジを有し、この固定フランジの周方向等配に通孔が穿設され、前記塗料回収容器の開口縁部に前記車輪取付フランジが当接された状態で、前記通孔にハブボルトがそれぞれ挿通され、ナットによって前記ハブ輪が固定されると共に、前記車輪用軸受装置と塗料回収容器が一体となって左右に加振されても良い。これにより、塗料が飛散して周囲の環境を汚染することなく回収することができる。
また、請求項5に記載の発明のように、前記塗料回収容器が、外周に固定フランジを有し、この固定フランジの周方向等配に通孔が穿設され、前記塗料回収容器の開口縁部に前記車輪取付フランジが当接された状態で、前記通孔にハブボルトがそれぞれ挿通され、前記車輪用軸受装置と塗料回収容器が一体に回転駆動されても良い。
また、請求項6に記載の発明のように、前記内方部材のみが前記塗料回収容器と一体に回転駆動されるようにしても良い。これにより、塗装工程と車輪用軸受装置の馴らし運転を同時に行うことができ、製造工程の効率化を図ることができる。
好ましくは、請求項7に記載の発明のように、前記車輪用軸受装置の回転速度が500〜2000r/min.に設定されていれば、塗料が下方に垂れ下がるのを防止して効果的に不要な塗料が排除されると共に、遠心力による塗料の延展がなく、均一な膜厚の防錆塗装膜を効率良く形成することができる。
また、請求項8に記載の発明のように、前記塗料の粘度が0.01〜1Pa・sに設定されていれば、奥側の塗料が下方に垂れ下がるのを防止することができ、防錆塗装膜を均一な所定の膜厚に制御することができる。
また、請求項9に記載の発明のように、前記防錆塗装膜が紫外線硬化塗料で構成されていれば、紫外線を照射することによって防錆塗膜の形成が完了するため製品温度の上昇がなく、車輪用軸受装置の完成品の状態で塗装しても製品への熱影響がない。したがって、軸受の素材硬度の低下や軸受内部に封入されたグリースやシールや保持器等の内部部品の劣化を防止することができる。
好ましくは、請求項10に記載の発明のように、前記紫外線硬化塗料がプライマーで下塗りした後に塗布されていれば、塗膜の密着性と防錆力を向上させることができる。
さらに好ましくは、請求項11に記載の発明のように、前記紫外線硬化塗料が着色されていれば、塗布ムラや塗布範囲を目視によって検査・管理することができ、作業性を向上させると共に、品質精度や信頼性を向上させることができる。
本発明に係る車輪用軸受装置の製造方法は、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周にこの車輪取付フランジから軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に嵌合された内輪または等速自在継手の外側継手部材からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材間に転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記ハブ輪のアウター側の端部にパイロット部が突設され、このパイロット部の外表面に防錆塗装膜が形成された車輪用軸受装置の製造方法において、前記防錆塗料を塗布した後、前記車輪用軸受装置を縦型に配置すると共に、この車輪用軸受装置の下部に塗料回収容器を配置し、当該車輪用軸受装置を加振または回転させて不要な塗料を排除させたので、奥側の塗料が下方に垂れ下がるのを防止することができ、防錆塗装膜を均一な所定の膜厚に制御することができる。また、塗料回収容器内に回収された塗料は再利用することもでき、省資源化と低コスト化を図ることができる。さらに、車輪用軸受装置の組立完成状態で塗装することにより、後工程で剥れや傷付き等の不具合が出る可能性が低くなり、安定した品質を確保することができる。
本発明に係る車輪用軸受装置の塗装工程を示す縦断面図である。 図1の車輪用軸受装置の加振工程を示す縦断面図である。 本発明に係る他の車輪用軸受装置の加振工程を示す縦断面図である。 本発明に係る車輪用軸受装置の他の塗装工程を示す縦断面図である。 従来の車輪用軸受装置を示す縦断面図である。
外周にナックルに取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面に対向する一方の内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入され、前記複列の外側転走面に対向する他方の内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材間に転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記ハブ輪のアウター側の端部にパイロット部が突設され、このパイロット部の外表面に防錆塗装膜が形成された車輪用軸受装置の製造方法において、前記防錆塗装膜が紫外線硬化塗料で構成され、この塗料を塗布した後、前記車輪用軸受装置を縦型に配置すると共に、前記ハブ輪のパイロット部に対向して塗料回収容器が配置され、当該車輪用軸受装置を上下に加振させて不要な塗料を排除させた。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る車輪用軸受装置の塗装工程を示す縦断面図、図2は、図1の車輪用軸受装置の加振工程を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図1の下側)、中央寄り側をインナー側(図1の上側)という。
この車輪用軸受装置は第3世代と呼称される従動輪用であって、内方部材1と外方部材2、および両部材1、2間に転動自在に収容された複列の転動体(ボール)3、3を備えている。内方部材1は、ハブ輪4と、このハブ輪4に固定された内輪5とからなる。ハブ輪4は、アウター側の端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ6を一体に有し、外周に一方(アウター側)の内側転走面4aと、この内側転走面4aから軸方向に延びる小径段部4bが形成されている。車輪取付フランジ6にはハブボルト(図示せず)が圧入されるボルト孔6aが穿設されると共に、これらボルト孔6a間には円孔6bが形成されている。この円孔6bは軽量化に寄与できるだけでなく、装置の組立・分解工程において、レンチ等の締結治具をこの円孔6bから挿入することができ作業を簡便化することができる。
内輪5は、外周に他方(インナー側)の内側転走面5aが形成され、ハブ輪4の小径段部4bに所定のシメシロを介して圧入されると共に、ハブ輪4の小径段部4bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部4cによって所定の軸受予圧が付与された状態で軸方向に固定されている。内輪5および転動体3はSUJ2等の高炭素クロム鋼で形成され、ズブ焼入れによって芯部まで58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
ハブ輪4はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、内側転走面4aをはじめ、車輪取付フランジ6のインナー側の基部6cから小径段部4bに亙って高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。なお、加締部4cは鍛造加工後の未焼入れ部とされている。これにより、車輪取付フランジ6に負荷される回転曲げ荷重に対して充分な機械的強度を有し、内輪5の嵌合部となる小径段部4bの耐フレッティング性が向上すると共に、加締加工時に微小なクラック等の発生がなく加締部4cの塑性加工をスムーズに行うことができる。
外方部材2は、内周に複列の外側転走面2a、2aが一体に形成され、ハブ輪4の内側転走面4aと内輪5の内側転走面5aにそれぞれ対向している。これら両転走面間に複列の転動体3、3が収容され、保持器7、7によって転動自在に保持されている。
外方部材2はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、少なくとも複列の外側転走面2a、2aが高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。そして、外方部材2と内方部材1との間に形成される環状空間の開口部にはシール8、9が装着され、軸受内部に封入されたグリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。なお、ここでは、転動体3をボールとした複列アンギュラ玉軸受で構成された車輪用軸受装置を例示したが、これに限らず転動体に円すいころを使用した複列円すいころ軸受で構成されていても良い。
ここで、ハブ輪4のアウター側の端部に図示しない車輪およびブレーキロータをガイドするためのパイロット部10が突設されている。そして、このパイロット部10の外表面に紫外線(UV)硬化塗料からなる防錆塗装膜11(図中クロスハッチングにて示す)が形成されている。これにより、パイロット部10の発錆を長期間に亘って防止することができる。
この防錆塗装膜11は以下に説明する手順によって形成されている。すなわち、内方部材1の所定の部位に紫外線硬化塗料がディッピング(浸漬)等により塗布され、これに紫外線を照射して瞬時に塗膜を硬化させる。紫外線硬化塗料は、重合性二重結合を有するアクリル系オリゴマー、モノマー、光重合開始剤、染料や顔料、消泡剤、レベリング剤等の添加剤からなる樹脂系塗料で、紫外線を照射することによって光化学反応を起し、秒単位で硬化するものである。
この紫外線硬化塗料は紫外線を照射しない限り硬化しないため、塗料の保存状態で揮発することがなく、また、照射前であれば、塗布ミスの修理や修復が可能となって、実質的に不良率をゼロに抑えることができる。紫外線硬化に使用する光源12は、波長が100〜400nm(ナノメータ)、好ましくは、200〜400nmの範囲にある紫外線で、高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等から得られる。なお、これらの光源12は使用する塗料等により使い分けることができる。
このようにして形成された防錆塗装膜11は、紫外線を照射することによって完了するため製品温度の上昇がない。したがって、車輪用軸受装置の完成品の状態で塗装しても製品への熱影響がなく、軸受の素材硬度の低下や軸受内部に封入されたグリースやシール8、9や保持器7等の内部部品の劣化を防止することができる。紫外線硬化塗料は、略透明であるが、これに着色用の染料や顔料を混入させることにより、塗布ムラや塗布範囲を目視によって検査・管理することができ、作業性を向上させると共に、品質精度や信頼性を向上させることができる。また、防錆力を備えた下塗塗料であるプライマーを使用することにより、密着性を向上させることができる。
この防錆塗装膜11を形成する工程は、脱脂→塗布→紫外線照射(例えば、20秒程度)、そして常温放置で常温に下がれば硬化が完了するため、パイロット部10に良好な防錆性が得られると共に、従来の電着塗装工程に比べて工程を簡略化することができ、また、処理時間も短縮することができるので、低コスト化を実現させた車輪用軸受装置を提供することができる。なお、防錆塗装膜11の硬度はHB〜4H(JIS K5600)の範囲に設定されている。これにより、後工程で剥れや傷付き等の不具合が出る可能性が低くなり、安定した品質を確保することができる。
本実施形態では、図2に示すように、紫外線硬化塗料を塗布した後、紫外線を照射する前に余分な塗料が垂れないよう、車輪用軸受装置を加振させて不要な塗料が排除されている。ここでは、車輪用軸受装置を縦型に配置すると共に、この車輪用軸受装置の下部、すなわち、ハブ輪4のパイロット部10に対向して塗料回収容器13を配置し、車輪用軸受装置を図中矢印にて示すように上下に振動させている。この時の加振周波数は3〜30Hzの範囲に設定されている。また、紫外線硬化塗料の粘度は0.01〜1Pa・s、好ましくは、0.01〜0.5Pa・sに設定されている。これにより、奥側の塗料が下方に垂れ下がるのを防止することができ、防錆塗装膜11を均一な所定の膜厚に制御することができる。なお、塗料回収容器13内に回収された塗料は再利用することもでき、省資源化によってさらに低コスト化を図ることができる。
図3は、本発明に係る他の車輪用軸受装置の加振工程を示す縦断面図である。なお、この実施形態は前述した実施形態と基本的にはハブ輪の構成と加振方法が異なるだけで、その他前述した実施形態と同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
この車輪用軸受装置は第3世代と呼称される駆動輪用であって、内方部材14と外方部材2と複列の転動体3、3とを備えている。内方部材14は、ハブ輪15と、このハブ輪15に圧入された内輪5とからなる。
ハブ輪15は、アウター側の端部に車輪取付フランジ6を一体に有し、外周にアウター側の内側転走面4aと、この内側転走面4aから軸方向に延びる円筒状の小径段部4bが形成され、内周にトルク伝達用のセレーション(またはスプライン)4dが形成されている。車輪取付フランジ6にはハブボルト16が周方向等配に植設されている。
ハブ輪15はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、内側転走面4aをはじめ、車輪取付フランジ6のインナー側の基部6cから小径段部4bに亙って高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
ここで、ハブ輪15のアウター側の端部に図示しない車輪およびブレーキロータをガイドするためのパイロット部17が突設されている。そして、ハブ輪15のアウター側の端面からパイロット部17に亙ってその外表面に紫外線硬化塗料からなる防錆塗装膜11(図中クロスハッチングにて示す)が形成されている。これにより、露出したハブ輪15の端面からパイロット部17に亙る外表面の発錆を長期間に亘って防止することができる。
本実施形態では、紫外線硬化塗料を塗布した後、車輪用軸受装置を縦型に配置すると共に、紫外線を照射する前に余分な塗料が垂れないよう、ハブ輪15のパイロット部17に対向して塗料回収容器18を配置し、車輪用軸受装置を図中矢印にて示すように振り子状に左右に振動させている。
車輪用軸受装置は塗料回収容器18上に載置された状態で一体に結合されている。すなわち、塗料回収容器18は、外周に固定フランジ19を有し、この固定フランジ19の周方向等配に通孔19aが穿設され、塗料回収容器18の開口縁部18aにハブ輪15の車輪取付フランジ6が当接されると共に、通孔19aにハブボルト16がそれぞれ挿通され、ナット20によってハブ輪15が固定されている。そして、車輪用軸受装置と塗料回収容器18が一体となって左右に加振される。これにより、奥側の塗料が下方に垂れ下がるのを防止し、防錆塗装膜11を均一な膜厚に効率良く制御することができると共に、塗料が飛散して周囲の環境を汚染することなく回収することができる。
図4は、本発明に係る車輪用軸受装置の他の塗装工程を示す縦断面図である。なお、この実施形態は、前述した第2の実施形態(図3)と基本的には塗料の排除方法が異なるだけで、その他同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態では、紫外線硬化塗料を塗布した後、車輪用軸受装置を縦型に配置すると共に、紫外線を照射する前に余分な塗料が垂れないよう、回転テーブルと一体に構成された塗料回収容器21がハブ輪15のパイロット部17に対向して配置され、車輪用軸受装置が図中矢印にて示すように回転駆動される。なお、回転テーブルと別体に前述した塗料回収容器18を取り付けるようにしても良い。
ここでは、塗料回収容器21の開口縁部18aにハブ輪15の車輪取付フランジ6が当接されると共に、通孔19aにハブボルト16がそれぞれ挿通された状態で、車輪用軸受装置と塗料回収容器21が一体となって回転駆動される。これにより、奥側の塗料が下方に垂れ下がるのを防止し、防錆塗装膜11を均一な膜厚に効率良く制御することができると共に、塗料が飛散して周囲の環境を汚染することなく回収することができる。
なお、塗料回収容器21の回転速度は、500〜2000r/min.に設定されている。これにより、塗料が下方に垂れ下がるのを防止して効果的に不要な塗料が排除されると共に、遠心力による塗料の延展がなく、均一な膜厚の防錆塗装膜11を効率良く形成することができる。
なお、車輪用軸受装置の外方部材2を固定することにより、図中破線矢印にて示すように内方部材14のみを塗料回収容器21と一体に回転駆動させるようにしても良い。これにより、塗装工程と車輪用軸受装置の馴らし運転を同時に行うことができ、製造工程の効率化を図ることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る車輪用軸受装置は、ハブ輪のパイロット部に塗装膜が形成される第1乃至第4世代構造の車輪用軸受装置に適用することができる。
1、14 内方部材
2 外方部材
3 転動体
4、15 ハブ輪
4a、5a 内側転走面
4b 小径段部
4d セレーション
4c 加締部
5 内輪
6 車輪取付フランジ
6a ボルト孔
6b 円孔
6c 基部
7 保持器
8、9 シール
10、17 パイロット部
11 防錆塗装膜
12 光源
13、18、21 塗料回収容器
16 ハブボルト
19 固定フランジ
19a 通孔
20 ナット
51 ハブ輪
51a、52a 内側転走面
51b 小径段部
51c 加締部
52 内輪
53 外輪
53a 外側転走面
53b 車体取付フランジ
54 ボール
55 車輪取付フランジ
56 ハブボルト
57 保持器
58、59 シール
60 パイロット部
61 防錆塗装膜

Claims (11)

  1. 内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
    一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周にこの車輪取付フランジから軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に嵌合された内輪または等速自在継手の外側継手部材からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
    この内方部材と前記外方部材間に転動自在に収容された複列の転動体とを備え、
    前記ハブ輪のアウター側の端部にパイロット部が突設され、このパイロット部の外表面に防錆塗装膜が形成された車輪用軸受装置の製造方法において、
    前記防錆塗料を塗布した後、前記車輪用軸受装置を縦型に配置すると共に、この車輪用軸受装置の下部に塗料回収容器を配置し、当該車輪用軸受装置を加振または回転させて不要な塗料を排除させたことを特徴とする車輪用軸受装置の製造方法。
  2. 前記加振周波数が3〜30Hzの範囲に設定されている請求項1に記載の車輪用軸受装置の製造方法。
  3. 前記ハブ輪のパイロット部に対向して前記塗料回収容器が配置され、当該車輪用軸受装置が上下に振動される請求項1または2に記載の車輪用軸受装置の製造方法。
  4. 前記塗料回収容器が、外周に固定フランジを有し、この固定フランジの周方向等配に通孔が穿設され、前記塗料回収容器の開口縁部に前記車輪取付フランジが当接された状態で、前記通孔にハブボルトがそれぞれ挿通され、ナットによって前記ハブ輪が固定されると共に、前記車輪用軸受装置と塗料回収容器が一体となって左右に加振される請求項1または2に記載の車輪用軸受装置の製造方法。
  5. 前記塗料回収容器が、外周に固定フランジを有し、この固定フランジの周方向等配に通孔が穿設され、前記塗料回収容器の開口縁部に前記車輪取付フランジが当接された状態で、前記通孔にハブボルトがそれぞれ挿通され、前記車輪用軸受装置と塗料回収容器が一体となって回転駆動される請求項1に記載の車輪用軸受装置の製造方法。
  6. 前記内方部材のみが前記塗料回収容器と一体に回転駆動される請求項5に記載の車輪用軸受装置の製造方法。
  7. 前記車輪用軸受装置の回転速度が500〜2000r/min.に設定されている請求項5または6に記載の車輪用軸受装置の製造方法。
  8. 前記塗料の粘度が0.01〜1Pa・sに設定されている請求項1乃至7いずれかに記載の車輪用軸受装置の製造方法。
  9. 前記防錆塗装膜が紫外線硬化塗料で構成されている請求項1乃至8いずれかに記載の車輪用軸受装置の製造方法。
  10. 前記紫外線硬化塗料がプライマーで下塗りした後に塗布されている請求項9に記載の車輪用軸受装置の製造方法。
  11. 前記紫外線硬化塗料が着色されている請求項9または10に記載の車輪用軸受装置の製造方法。
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