JP2010270495A - インサート - Google Patents

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Abstract

【課題】貫通孔周りの準備作業を要することなくデッキプレートに容易に固定することができるインサートを提供する。
【解決手段】インサート10におけるインサート本体11の上部内周面には、吊ボルトBを螺合可能な第1螺子部14aが設けられるとともに、インサート本体11の下部側は貫通孔Dcを貫通可能に形成されている。インサート本体11の下部側には、デッキプレートD下面の貫通孔Dc周りに掛止する第1掛止片12c及び第2掛止片が設けられるとともに、第1掛止片12c及び第2掛止片より上側には第2螺子部12bが設けられている。第2螺子部12bにはナット体17が螺合されるとともに、ナット体17下面と第1掛止片12c及び第2掛止片の上面との間には、厚み方向に圧縮可能であり、かつ圧縮されると原形状へ戻ろうとする復帰力を発生する環状のシール体18が配設されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、コンクリートスラブから吊ボルトを吊り下げるためのインサートに関する。
デッキプレート上にコンクリートを打設してなるコンクリートスラブの下方で、配線(ケーブル等)・配管材(排気管等)や空調機器・天井下地材等を吊り下げるため、コンクリートスラブからは吊ボルトが吊り下げられている。この吊ボルトは、その上部がコンクリートスラブに埋設されたインサートに螺合されることでコンクリートスラブから吊下げられる。インサートは、デッキプレートを上下方向に貫通して穿設された貫通孔を用いてデッキプレートに固定されるが、コンクリートスラブでは、デッキプレートに打設されたコンクリートノロが貫通孔を通過してデッキプレートの下方へ漏れ出ないようにすることが必要である。
コンクリートノロの漏出を防止可能としたインサートとしては、特許文献1のデッキプレート用インサートが挙げられる。このデッキプレート用インサートは、上端部が閉塞された円筒状をなすインサート本体を備え、このインサート本体の中央部外周面には雄螺子部が設けられるとともに、上端部内周面には吊ボルトの上端と螺合する雌螺子部が設けられている。また、インサート本体の下端部には固定体が設けられ、この固定体は外力が加えられると縮径又は近接するとともに、外力が解除されると自身の弾性により原形状に復元する弾性変形可能になっている。また、デッキプレート用インサートは、雄螺子部に螺合される固定ナットを備える。
そして、デッキプレート用インサートは、インサート本体における固定体の上面と、固定ナットの下面とでデッキプレートを挟持することによりデッキプレートに固定される。このとき、固定ナットの下面がデッキプレートの上面に圧接することにより、固定ナットの下面とデッキプレートの上面との間にコンクリートノロが侵入することが防止され、貫通孔内を通ってデッキプレート下方へコンクリートノロが漏れ出ることが防止される。
実開昭60−102304号公報
ところが、特許文献1のデッキプレート用インサートにおいては、コンクリートノロの漏出を防止するために固定ナットの下面をデッキプレートの上面に圧接させなければならない。しかし、貫通孔をドリルで穿設する際に発生するドリル屑やバリが貫通孔の周りに残っていたり、貫通孔の周りが変形したりして、貫通孔の周りが凹凸状になっていることがある。貫通孔の周りが凹凸状になっていると、固定ナットの下面全体がデッキプレート上面に圧接せず、固定ナット下面とデッキプレート上面との間に隙間が形成されてしまい、その隙間からコンクリートノロが漏れ出てしまう。このため、特許文献1のデッキプレート用インサートを設置するには、貫通孔の周りからドリル屑やバリを除去したり、貫通孔の周りを平坦面状に均したりするといった準備作業が必要となり、デッキプレート用インサートのデッキプレートへの固定に手間が掛かってしまう。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、貫通孔周りの準備作業を要することなくデッキプレートに容易に固定することができるインサートを提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、デッキプレートに穿設された貫通孔を利用して前記デッキプレートに固定されるとともにコンクリートスラブに埋設され、該コンクリートスラブから吊ボルトを吊り下げるために用いられるインサートであって、筒状をなすインサート本体の上部内周面には、前記吊ボルトを螺合可能な第1螺子部が設けられるとともに、前記インサート本体の下部側は前記貫通孔を貫通可能に形成され、該インサート本体の下部側には、前記デッキプレート下面の前記貫通孔周りに掛止する掛止片が設けられ、該掛止片より上側の前記インサート本体の外周面には第2螺子部が設けられるとともに、前記第2螺子部にはナット体が螺合されており、前記ナット体下面と前記掛止片の上面との間には、厚み方向に圧縮可能であり、かつ圧縮されると原形状へ戻ろうとする復帰力を発生する環状のシール体が配設され、前記デッキプレート下面に掛止した掛止片の上面と前記ナット体の下面とで前記デッキプレート及び前記シール体を挟持しつつ前記シール体を前記厚み方向に圧縮させるようにしたことを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインサートにおいて、前記シール体の内周面が前記インサート本体の外周面の周方向全体に亘って密接していることを要旨とする。
本発明によれば、貫通孔周りの準備作業を要することなくデッキプレートに容易に固定することができる。
インサートをデッキプレートに固定した状態を示す断面図。 実施形態のインサートを示す斜視図。 インサートを示す分解斜視図。 ナット体を螺進させる前の状態を示す断面図。 吊ボルトが傾斜した状態を示す断面図。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。
図1に示すように、インサート10は、コンクリートスラブTから吊ボルトBを吊り下げるためにコンクリートスラブTに埋設されるものである。コンクリートスラブTは、金属板製のデッキプレートDの上面にコンクリートを打設して構築され、デッキプレートDとコンクリートが硬化してなるコンクリート層Cとよりなる。デッキプレートDには円孔状の貫通孔Dcが上下方向に貫通するように穿設されている。そして、この貫通孔Dcを用いてインサート10がデッキプレートDに固定されている。
インサート10は上端が閉塞された円筒状のインサート本体11を有する。このインサート本体11は、合成樹脂材料により上下両端が開口する円筒状に形成された本体部12の上部に、金属材料製のヘッダー部13を一体に設けて形成されている。ヘッダー部13は、本体部12の上部内側に組付けられた円筒状の筒部14と、この筒部14の上部に設けられるとともに本体部12の上端開口を閉塞するフランジ部15とからなる。筒部14の内周面には雌ねじが形成され、この雌ねじによりインサート本体11の上部内周面に第1螺子部14aが形成されている。そして、インサート本体11の下端からインサート本体11内に挿入された吊ボルトBは、その上端の螺子部Baを第1螺子部14aに螺合可能になっている。
図1及び図3に示すように、フランジ部15より下方に位置する本体部12の外周面には突起12aが形成されている。また、本体部12の外周面において、突起12aより下方には雄ねじが形成されるとともに、この雄ねじによりインサート本体11の中央部外周面に第2螺子部12bが形成されている。図1に示すように、第2螺子部12bにはナット体17が螺合されている。ナット体17は、下面における外径が貫通孔Dcの直径より大きく形成されている。また、図4に示すように、ナット体17の上面と突起12aの下端とが同一平面上に位置したとき、第2螺子部12bの下端縁がナット体17の下面と同一平面上に位置するようになっている。
図3に示すように、本体部12における第2螺子部12bより下方、すなわち、インサート本体11の下部側には、一対の第1掛止片12cが、本体部12の径方向に対向する位置から突設されている。各第1掛止片12cは、下端のみが本体部12に連結されるとともに第1掛止片12cの上端縁及び左右両端縁が本体部12に対して離間するように形成されている。そして、各第1掛止片12cは、本体部12の下から上に向かうに従い、本体部12外周面からの突出量が徐々に大きくなるように形成され、第1掛止片12cの上面はデッキプレートDの下面に掛止可能な大きさに形成されている。
また、各第1掛止片12cは、下端縁を傾動中心として傾動可能に形成され、第1掛止片12cに対し外方から力が作用すると第1掛止片12cは本体部12(インサート本体11)内に向けて傾動し、本体部12内に没入される。このとき、第1掛止片12cは、本体部12の外周面から突出しなくなるまで本体部12内に没入させることができる。一方、第1掛止片12cに対する外方からの力が解除されると第1掛止片12cは、没入位置から原形状に復帰し、本体部12の外周面から突出するようになっている。そして、本体部12における第2螺子部12bより下方、すなわち、インサート本体11の下部側は、一対の第1掛止片12cを没入させることにより貫通孔Dcを貫通可能になっている。
また、本体部12における第2螺子部12bより下方、すなわち、インサート本体11の下部側において、本体部12の周方向における一対の第1掛止片12c同士の間それぞれには、第2掛止片12dが、本体部12の径方向に対向する位置から突設されている。この第2掛止片12dは、本体部12の下から上に向かうに従い、本体部12外周面からの突出量が徐々に大きくなるように形成され、第2掛止片12dの上面は、デッキプレートDの下面における貫通孔Dc周りに掛止可能になっている。
また、図4に示すように、インサート本体11において、ナット体17の上面と突起12aの下端とが同一平面上に位置し、第2螺子部12bの下端縁がナット体17の下面と同一平面上に位置した状態において、ナット体17の下面と、第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面との間には間隙Sが形成されている。上下方向に沿った間隙Sの大きさは、デッキプレートDの厚みよりも大きくなっている。
また、間隙Sには、円環状をなすシール体18が介装されている。このシール体18は、多孔質の合成樹脂材料によって板状に形成されている。このシール体18の厚みは、間隙Sの上下方向に沿った長さより薄くなっている。また、シール体18は、厚み方向へ圧縮可能であるとともに、圧縮されると原形状へ戻ろうとする復帰力を発生するようになっている。さらに、シール体18の内径は、本体部12の外径と同じであり、第2掛止片12dの上端縁間の距離より小さくなっている。そして、図2に示すように、第1掛止片12c及び第2掛止片12d上にシール体18が支持されてシール体18がインサート本体11に装着されている。よって、インサート本体11と、ナット体17と、シール体18とからインサート10が形成されている。
次に、インサート10をデッキプレートDに固定し、インサート10によってケーブル(図示せず)をコンクリートスラブTから吊下げる方法及び吊ボルトBの吊下げ構造について説明する。
まず、図4に示すように、デッキプレートDにコンクリートが打設される前において、デッキプレートDに貫通孔Dcを穿設する。次に、ナット体17を、ナット体17の上面と突起12aの下端とが同一平面上に位置するようにした状態で、デッキプレートDの上方からインサート本体11の下部側を貫通孔Dcに挿通させる。このとき、インサート本体11におけるフランジ部15を叩くことにより、第2掛止片12dを貫通孔Dcを通過させる。同時に、貫通孔Dcの内面に対し第1掛止片12cが摺接することにより、第1掛止片12cには外方から力が作用し、第1掛止片12cがインサート本体11(本体部12)内に向けて没入(傾動)する。
そして、第1掛止片12cが貫通孔Dcを通過すると第1掛止片12cに対する外方からの力が解除され、第1掛止片12cは原形状へ復帰し、インサート本体11(本体部12)の外周面から突出する。第1掛止片12c及び第2掛止片12dが貫通孔Dcを通過した状態では、デッキプレートD上にシール体18が載置されるとともにシール体18上にナット体17が載置されている。また、第1掛止片12c及び第2掛止片12dが貫通孔Dcを通過した状態では、第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面と、デッキプレートDの下面との間に隙間が形成されている。
そして、ナット体17をシール体18に向けて螺進させるとナット体17の下面と、第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面との間の間隙Sが狭くなっていき、第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面が、デッキプレートD下面の貫通孔Dc周りに掛止する。さらに、ナット体17を螺進させると、ナット体17の下面と、第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面との間に、シール体18及びデッキプレートDが挟持され、インサート10がデッキプレートDに固定される。
その後、図1に示すように、デッキプレートD上にコンクリートを打設してコンクリート層Cを成形するとコンクリートスラブTが構築され、コンクリートスラブTにインサート10の上部側が埋設される。
ナット体17の下面と、第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面との間に、デッキプレートDとシール体18が挟持されている。このとき、シール体18が厚み方向に圧縮されるとともに原形状へ戻ろうとする復帰力により、シール体18の上面がナット体17の下面に圧接し、シール体18の下面が、デッキプレートDの上面における貫通孔Dcの周縁部に圧接している。また、シール体18は厚み方向へ自在に変形可能であるため、貫通孔Dc周りの一部に上方に向けた変形部Ddや、バリDeが残っていたりしても、シール体18は変形部DdやバリDeに沿うように変形しながら圧接している。このため、シール体18により、ナット体17の下面と、デッキプレートDの上面の間に隙間が形成されることが防止される。よって、シール体18によって、ナット体17の下面と、デッキプレートDの上面との間がシールされ、コンクリートノロが貫通孔Dcへ侵入することが防止され、コンクリートノロが貫通孔DcからデッキプレートDの下方へ漏れ出ることが防止される。
その後、インサート本体11内に吊ボルトBを挿入するとともに、吊ボルトBの螺子部Baを第1螺子部14aに螺合して、コンクリートスラブTから吊ボルトBを吊り下げる。すると、コンクリートスラブTに吊ボルトBの吊下げ構造が形成されるとともに、吊ボルトBを利用してケーブルを吊下げ支持させることが可能となる。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)インサート10は、ナット体17の下面とデッキプレートDの上面との間に介装されるシール体18を備え、このシール体18は厚み方向に圧縮変形可能であり、かつ圧縮後は原形状へ戻ろうとする復帰力を発生する。このため、第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面とナット体17の下面との間にデッキプレートDを挟持したとき、シール体18がナット体17の下面とデッキプレートD上面の変形部DdやバリDeの形状に沿うように変形しつつ圧接する。よって、貫通孔Dcの周りが凹凸状になっていても、シール体18の下面全体がデッキプレートDに圧接し、シール体18とデッキプレートD上面との間に隙間が形成されることを防止することができる。したがって、バリDeを除去したり貫通孔Dcの周りを平坦面状に均したりするといった準備作業を必要とせず、インサート10をデッキプレートDに容易に固定することができる。その結果として、シール体18によってナット体17下面とデッキプレートD上面との間がシールされるため、貫通孔Dcからコンクリートノロが漏れ出ることを確実に防止することができる。
(2)インサート10は、第1掛止片12c及び第2掛止片12dを備える。このため、インサート10をデッキプレートDに固定したとき、第1掛止片12c及び第2掛止片12dが、デッキプレートDの下面における貫通孔Dcの周りに掛止することにより、コンクリートの打設圧によりインサート10が浮き上がることを防止することができる。
(3)第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面とナット体17の下面との間にデッキプレートDとシール体18を挟持することにより、シール体18は、ナット体17の下面とデッキプレートDの上面との間に位置決めされる。このため、シール体18をデッキプレートDに接着等して位置決めする必要がなく、インサート10をデッキプレートDに容易に固定することができる。
(4)シール体18は、厚み方向に圧縮可能に形成されている。このため、デッキプレートDにおける変形部Ddの変形量やバリDeの突出量に差があっても、シール体18の圧縮変形量が変わることで変形部DdやバリDeに対応してシール体18を圧接させることができる。また、シール体18が厚み方向に圧縮可能であるため、デッキプレートDの厚みに応じてシール体18の圧縮変形量が変わることで、デッキプレートDの厚みに関わらずシール体18をナット体17の下面とデッキプレートDの上面に圧接させることができる。
(5)シール体18の内径は、インサート本体11における本体部12の外径と同じになっている。さらに、ナット体17の下面とデッキプレートDの上面との間にシール体18が挟持され厚み方向に圧縮されると、シール体18の内周面がインサート本体11に向けて変形する。このため、シール体18の内周面をインサート本体11(本体部12)の外周面に密接させることができ、シール体18の内周面とインサート本体11の外周面との間からコンクリートノロが漏れ出ることを防止することができる。
(6)第1掛止片12cは下端を傾動中心として傾動可能に形成されるとともに、第2掛止片12dは、本体部12の外周面に一体成形されている。このため、ナット体17を第2螺子部12bに螺進させたとき、第2掛止片12dがデッキプレートD下面に掛止することで、ナット体17の螺進に伴いインサート本体11が上方へ抜け出てしまうことを確実に防止することができ、さらに、第1掛止片12cが必要以上に広がるように変形してしまうことを防止することができる。
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第1掛止片12c及び第2掛止片12dにおいて、第2掛止片12dは無くてもよく、この場合、第1掛止片12cが4つ形成されていてもよい。また、第1掛止片12c及び第2掛止片12dの数は適宜変更してもよい。
○ 実施形態では、第1掛止片12cはインサート本体11内に向けて没入するが、第1掛止片12cはインサート本体11内に完全に没入せず、インサート本体11内へ向けて傾動して貫通孔Dcを通過可能とするものであってもよい。
○ ナット体17の下面に、シール体18の上端一部を収納可能とする円環状の収納凹部を形成するとともに、収納凹部の外側にデッキプレートD上面に当接してシール体18の圧縮量を規制する規制凸部を形成してもよい。
○ シール体18をナット体17の下面に接着してナット体17に一体化してもよい。
○ 貫通孔Dcは、四角孔状や六角孔状のように円孔以外の形状に形成されていてもよい。
○ シール体18は、円環状でなくてもよく、四角環状や六角環状に形成されていてもよい。
○ シール体18は、ゴム材料によって形成されていたり、スポンジによって形成されていてもよい。
○ インサート本体11とシール体18は別体とされていてもよい。そして、デッキプレートDの上面上にシール体18を載置しておき、シール体18の内側及び貫通孔Dcにインサート本体11の下部側を貫通させた後、ナット体17を螺進させ、第1掛止片12c及び第2掛止片12dとナット体17とでデッキプレートD及びシール体18を挟持するようにしてもよい。
○ 実施形態では、コンクリート打設後に、吊ボルトBの螺子部Baを第1螺子部14aに螺合して、コンクリートスラブTから吊ボルトBを吊り下げたが、コンクリート打設前に、吊ボルトBの螺子部Baを第1螺子部14aに螺合し、さらに、吊ボルトBにケーブルを支持させてもよい。この場合、インサート10をデッキプレートDに固定した際、ナット体17を確実に締め込むことで、シール体18の上面をナット体17の下面に圧接させるとともに、シール体18の下面を、デッキプレートD上面の変形部DdやバリDeの形状に沿うように変形させて圧接させる。また、ナット体17の締め込み量を調節することで、螺合した吊ボルトBをコンクリート打設前に傾動させても、図5に示すように、シール体18が傾動に追従し、シール体18のナット体17下面及びデッキプレートD上面への圧接状態が維持される。よって、吊ボルトBを傾動させても、シール体18によるシール状態を維持したままで、デッキプレートD下方での配線・配管材の配設経路に合わせることができる。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記掛止片は、前記貫通孔の内面に摺接する際には前記インサート本体内に向けて傾動するとともに前記貫通孔通過後には原形状へ復帰するように傾動可能に形成されている請求項1又は請求項2に記載のインサート。
(ロ)前記掛止片は、前記インサート本体に一体成形されている請求項1、請求項2、及び技術的思想(イ)のうちいずれか一項に記載のインサート。
(ハ)コンクリートスラブに埋設されたインサートを用いて前記コンクリートスラブから吊ボルトを吊り下げるため、デッキプレートに穿設された貫通孔を利用して形成される吊ボルトの吊下げ構造であって、筒状をなすインサート本体の下部側が前記貫通孔を貫通するとともに、前記インサート本体の下部側に形成された掛止片の上面と、前記インサート本体における前記掛止片より上側外周の第2螺子部に螺合されたナット体の下面との間に前記デッキプレート、及び厚み方向に圧縮可能であり、かつ圧縮されると原形状へ戻ろうとする復帰力を発生する環状のシール体が挟持され、該シール体が挟持されることで厚み方向に圧縮して前記ナット体の下面と前記デッキプレートの上面とに圧接しているとともに、前記インサート本体の上部内周面に形成された第1螺子部に前記吊ボルトが螺合されている吊ボルトの吊下げ構造。
B…吊ボルト、D…デッキプレート、T…コンクリートスラブ、Dc…貫通孔、10…インサート、11…インサート本体、12b…第2螺子部、12c…第1掛止片、12d…第2掛止片、14a…第1螺子部、17…ナット体、18…シール体。

Claims (2)

  1. デッキプレートに穿設された貫通孔を利用して前記デッキプレートに固定されるとともにコンクリートスラブに埋設され、該コンクリートスラブから吊ボルトを吊り下げるために用いられるインサートであって、
    筒状をなすインサート本体の上部内周面には、前記吊ボルトを螺合可能な第1螺子部が設けられるとともに、前記インサート本体の下部側は前記貫通孔を貫通可能に形成され、該インサート本体の下部側には、前記デッキプレート下面の前記貫通孔周りに掛止する掛止片が設けられ、該掛止片より上側の前記インサート本体の外周面には第2螺子部が設けられるとともに、前記第2螺子部にはナット体が螺合されており、前記ナット体下面と前記掛止片の上面との間には、厚み方向に圧縮可能であり、かつ圧縮されると原形状へ戻ろうとする復帰力を発生する環状のシール体が配設され、前記デッキプレート下面に掛止した掛止片の上面と前記ナット体の下面とで前記デッキプレート及び前記シール体を挟持しつつ前記シール体を前記厚み方向に圧縮させるようにしたインサート。
  2. 前記シール体の内周面が前記インサート本体の外周面の周方向全体に亘って密接している請求項1に記載のインサート。
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