JP2010265951A - 電動車両の変速制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】変速制御を実行する統合コントローラ48が、ローギヤからハイギヤへ変速する際の変速処理として、変速中に、ハイ側ウエットクラッチ7に対し、第2モータジェネレータ5から駆動輪32,32へのトルク伝達を補償するスリップ締結状態を形成する摩擦トルク指令を出力するとともに、第2モータジェネレータ5に対し、ハイギヤへの変速後の目標モータトルクである変速後目標モータトルクに、ハイ側ウエットクラッチ7の入出力回転数差に比例した補正トルクを、入出力回転数差を減少させる向きに加算したトルク指令を出力する変速補正処理が含まれることを特徴とする電動車両の変速制御装置とした。
【選択図】図1
Description
そして、変速によりギヤ比が低くなるため、モータ指令トルクを上げていた。さらに、慣性トルクによる出力軸トルクの増加を防止するため、慣性トルク分、モータトルクを減少させる補正を加えていた。
加えて、変速中に、モータに対しては、第2の変速段への変速後の変速後目標モータトルクに、摩擦締結要素の入出力回転数差に比例した補正トルクを加算し、入出力回転数差を減少させる。
一方、モータに、摩擦締結要素の入出力回転数差に応じた補正トルクだけを指令した場合、変速時間は速いが、変速完了後は、目標モータトルクが生じず、摩擦締結要素による摩擦トルクによりモータ回転数が低下し、変速ショックが発生する。
そして、入出力回転数差が小さくなると、補正トルクが小さくなり、モータトルクの変速後目標モータトルクと摩擦締結要素の摩擦トルクとが釣り合うことで、モータ回転数が安定し、入出力回転数差が一定値以内を保てるため、変速ショックを低減させることが可能である。
したがって、変速時間の適正化を図りつつ、変速ショックの発生を抑制することが可能となる。
本発明の実施の形態のクラッチ制御装置は、駆動輪(32,32)に駆動トルクを与えるモータ(5)と、このモータ(5)と駆動輪(32,32)との駆動伝達経路に設けられた有段の変速機(6)と、この変速機(6)に設けられ、変速時に開放および締結して摩擦トルクを変更可能な摩擦締結要素(8)を含む複数の締結要素(7,8)と、前記変速機(6)の変速時に、前記締結要素(7,8)のトルク伝達状態を切り換える変速制御を実行する変速制御手段(46,48)と、を備え、前記変速制御手段(46,48)は、第1の変速段から第2の変速段へ変速する際の変速処理として、変速中に、摩擦締結要素(8)に対し、前記モータ(5)から前記駆動輪(32,32)へのトルク伝達を補償するスリップ締結状態を形成する摩擦トルク指令を出力するとともに、前記モータ(5)に対し、前記第2の変速段への変速後の目標モータトルクである変速後目標モータトルクに、前記摩擦締結要素(8)の入出力回転数差に比例した補正トルクを、前記入出力回転数差を減少させる向きに加算したトルク指令を出力する変速補正処理が含まれることを特徴とする電動車両の変速制御装置である。
図1は、実施例1の制御装置が適用されたハイブリッド車両(電動車両の一例)の駆動系と制御系の構成を示す全体システム図である。以下、図1に基づき駆動系構成と制御系構成を説明する。
なお、ドグクラッチセンサ54は、ロー側ドグクラッチ8が締結状態と開放状態とのいずれであるかを検出するセンサである。
バッテリ温度センサ55は、バッテリ43の温度を検出するセンサである。
油温センサ56は、オイルポンプ4から変速機6およびハイ側ウエットクラッチ7へ供給されるオイル温度を検出している。
このとき、図3に示すように、第2モータジェネレータ5の回転数を上げてロー側ドグクラッチ8を締結状態にし、ハイ側ウエットクラッチ7を開放すると、ローギヤが選択される。一方、図4に示すように、第2モータジェネレータ5の回転数を下げてハイ側ウエットクラッチ7を締結状態にし、ロー側ドグクラッチ8を開放すると、ハイギヤが選択される。
次に、ローギヤからハイギヤにアップシフトする際に統合コントローラ48で実行される処理の流れを図5のフローチャートに基づいて説明する。なお、アップシフト時には、ローギヤが第1の変速段に相当し、ハイギヤが第2の変速段に相当する。
このパワーアップ時のアップシフトの場合、第2モータジェネレータ5は、トルク出力を行なっており、ハイ側ウエットクラッチ7に半クラッチ指令を出力した場合、ハイ側ウエットクラッチ7の油圧を徐々に上げて摩擦トルクを徐々に高くしていき、ローギヤで伝達されている駆動力をハイギヤ側に振り替える。これによりロー側ドグクラッチ8にかかるトルクが0になり、ロー側ドグクラッチ8が開放される。
また、ステップS8では、モータ回転数減少変化率があらかじめ設定された第2回転数減少変化率閾値a2よりも大きいか否か判定し、第2回転数減少変化率閾値a2よりも大きい場合はステップS10に進み、第2回転数減少変化率閾値a2よりも小さい場合はステップS11に進む。
この変速時の目標モータトルクは、変速後目標モータトルクに、ハイ側ウエットクラッチ7の入出力回転数差に比例したモータ負トルクを加算した値となる。この場合、入出力回転数差が大きいときは、目標モータトルクは、変速後目標モータトルクに対し、絶対値の大きなモータ負トルクが加算されるため、第2モータジェネレータ5の駆動トルクは相対的に小さな値となり、ハイ側ウエットクラッチ7の摩擦トルクでモータ回転数Nmを急激に減少させる。
一方、モータ回転数減少変化率が相対的に大きい場合には、運転者は変速ショックを感じる。そこで、運転者が変速ショックを感じるか否かの判定基準値として第2回転数減少変化率閾値a2を設定している。
したがって、モータ回転数減少変化率を、第1回転数減少変化率閾値a1と第2回転数減少変化率閾値a2との間の理想減少範囲に制御することで、変速ショックを感じにくく、変速時間も長過ぎない変速を実行することができる。
一方、モータ回転数減少変化率が第2回転数減少変化率閾値a2よりも大きい場合に進むステップS10では、第2トルク補正を実行し、ステップS11に進む。この第2トルク補正は、モータ回転数減少変化率を下げる(傾きを緩やかにする)補正であり、車両状態に応じ、ハイ側ウエットクラッチ7の摩擦トルクと、ウエットクラッチ入出力回転数差に比例したモータ負トルクとのいずれかを小さくして、モータ出力軸29に加える負トルクを減少させる。
ステップS13では、ハイ側ウエットクラッチ7の油圧が油圧最大値に到達したか否か判定し、油圧最大値に到達したら変速処理を終了し、油圧最大値に到達しない場合はステップS11に戻る。
次に、前述した第1トルク補正および第2トルク補正について説明する。これらのトルク補正において、前述したように、ハイ側ウエットクラッチ7の摩擦トルクで補正するのか、ウエットクラッチ入出力回転数差に比例したモータ負トルクで補正するのかは、車両状態に応じて選択する。
(第1トルク補正)
次に、ステップS9で実行する第1トルク補正の処理の流れを図7のフローチャートに基づいて説明する。
ステップS21では、バッテリ充電量SOCが、あらかじめ設定された第1充電量閾値v1よりも大きいか否か判定し、第1充電量閾値v1よりも大きい(過充電に近い)場合は、ステップS22に進み、第1充電量閾値v1よりも大きくない(過充電と成るまで余裕がある)場合は、ステップS23に進む。なお、第1充電量閾値v1は、過充電状態を判定する閾値であり、過充電状態の直前に設定されている。
次に、ステップS10で実行する第2トルク補正の処理の流れを、図8のフローチャートに基づいて説明する。
ステップS31では、バッテリ充電量SOCが、あらかじめ設定された第1充電量閾値v1よりも大きいか否か判定し、第1充電量閾値v1よりも大きい場合はステップS37に進み、第1充電量閾値v1よりも大きくない場合はステップS32に進む。
ステップS37では、ハイ側ウエットクラッチ7の入出力回転数差に比例したモータ負トルクの減少補正を行なう。
次に、ハイギヤからローギヤへの変速時の制御について簡単に説明する。なお、ハイギヤからローギヤへの変速時には、ハイギヤが第1の変速段に相当し、ローギヤが第2の変速段に相当する。
すなわち、ハイギヤからローギヤへ移行する変速過渡期には、第2モータジェネレータ5を目標トルクに一致させるモータトルク制御(モータ回転数Nmは、トルク制御中の第2モータジェネレータ5に作用する負荷で決まる)から、目標回転数に一致させるモータ回転数制御(モータトルクは、回転数制御中の第2モータジェネレータ5に作用する負荷で決まる)に変更する。そして、ハイ側ウエットクラッチ7を半クラッチ状態とし、摩擦トルクによる駆動トルクの抜けを抑える駆動力補償を行いながら、第2モータジェネレータ5の回転数を上昇させ、ロー側ドグクラッチ8の入力回転数(=第2モータジェネレータ5の回転数)をロー側ドグクラッチ8の出力回転数(車速やギア比で決まる)に同期させ、回転数同期タイミングにてロー側ドグクラッチ8を噛み合い締結させる。
なお、この補正は、アップシフト時の裏返しであり、モータ回転数上昇変化率が大きすぎる場合、相対的に大きなモータ正トルクを加算してモータ回転数上昇を抑え、モータ回転数上昇変化率が小さすぎる場合は、相対的に小さなモータ正トルクを加算して、上昇を促進させる。
次に、実施例1の作用を図9のタイムチャートに基づいて説明する。
このタイムチャートに示す走行例では、t=0の時点で、ローギヤ状態においてアクセルを徐々に踏み込む加速操作を行なっている。
この時、ハイ側ウエットクラッチ7の摩擦トルクがモータトルクと同等になるため、ロー側ドグクラッチ8にかかっているトルクが0になり、ロー側ドグクラッチ8の開放動作が開始される。そして、t3の時点で、ロー側ドグクラッチ8の開放動作が完了する(図において点線で示す)。
これにより、モータ回転数減少変化率が高まり、モータ回転数減少変化率が、図6に示す理想特性範囲内に制御される。
これにより、モータ回転数減少変化率が低下され、モータ回転数減少変化率が、図6に示す理想特性範囲内に制御される。
以上説明したように、実施例1では、以下に列挙する効果を得ることができる。
a)ローギヤからハイギヤへの変速中は、ハイ側ウエットクラッチ7の摩擦トルクにより駆動輪32,32側への駆動力を補償するとともに、目標モータトルクは、変速後目標モータトルクに、ハイ側ウエットクラッチ7の入出力回転数差に比例したモータ負トルクを加算した値とした。
このため、ハイ側ウエットクラッチ7の入出力回転数差が大きいときは、モータ負トルク成分が大きくなり、モータ回転数減少を速め、変速時間の短縮を図ることが可能となる。また、入出力回転数差が小さくなると、モータ負トルク成分が小さくなり、第2モータジェネレータ5にかかるモータトルクが、変速後目標トルクとハイ側ウエットクラッチ7による摩擦トルクとなり、両者が釣り合う。このため、モータ回転数Nmが安定し、ハイ側ウエットクラッチ7の入出力回転数差を一定値以内に保つことができ、変速ショックを低減可能となる。
したがって、車両状態に応じ、モータ回転数Nmを理想的に変化させて動力性能を確保することができる。
一方、不足充電状態に近い場合には、第2モータジェネレータ5の発電傾向が強くなるように、トルク増加補正時にモータ負トルクを増加させ、トルク減少補正時にハイ側ウエットクラッチ7の摩擦トルクを減少させるようにした。
したがって、バッテリ充電量SOCの安定化を図り、バッテリ充電量SOCを原因とする第2モータジェネレータ5の駆動停止状態が生じないようにして動力性能を確保しつつ、変速時間の短縮および変速ショックの抑制を図ることが可能となる。
したがって、バッテリ温度Tbの安定化を図り、バッテリ温度Tbを原因とする第2モータジェネレータ5の駆動停止状態が生じないようにして動力性能を確保しつつ、変速時間の短縮および変速ショックの抑制を図ることが可能となる。
一方、高温時には、ハイ側ウエットクラッチ7の発熱傾向が弱くなるように、トルク増加補正時にはモータ負トルクを増加させ、トルク減少補正時には摩擦トルクを減少させるようにした。
したがって、油温Toの安定化を図ることで、ハイ側ウエットクラッチ7を含む動力伝達系の性能安定化を図って動力性能を確保しつつ、変速時間の短縮および変速ショックの抑制を図ることが可能となる。
以下に、他の実施例について説明するが、これら他の実施例は、実施例1の変形例であるため、その相違点についてのみ説明し、実施例1あるいは他の実施例と共通する構成については共通する符号を付けることで説明を省略する。
この実施例2は、第1トルク補正および第2トルク補正を実行する際に、ハイ側ウエットクラッチ7の摩擦トルクの増減と、モータ負トルクの増減とのいずれを選択するかを決定する車両状態の優先度を実施例1と異ならせた例である。すなわち、実施例2では、バッテリ43の保護を図るのにあたり、温度を最優先事項とし、バッテリ温度Tb>バッテリ充電量SOC>油温Toの優先度でトルク補正を行なうようにしている。
(第1トルク補正)
図10のフローチャートは、実施例2における第1トルク補正の処理の流れを示しており、ステップS201では、バッテリ温度センサ55が検出するバッテリ温度Tbが第1温度閾値t1よりも低いか否か判定し、第1温度閾値t1よりも低い場合はステップS207に進み、第1温度閾値t1よりも低くない場合はステップS202に進む。
ステップS207では、ハイ側ウエットクラッチ7の入出力回転数差に比例したモータ負トルクの増加補正を行なう。
次に、実施例2における第2トルク補正の処理の流れを、図11のフローチャートに基づいて説明する。
ステップS217では、ハイ側ウエットクラッチ7の入出力回転数差に比例したモータ負トルクの減少補正を行なう。
バッテリ温度Tbが安定していない場合、バッテリ43に入出力制限がかかってしまって、回生やモータアシストを実施できず、燃費、動力性能ともに低下する。
このため、実施例2では、変速中のトルク補正を行うのにあたり、バッテリ温度Tbを最優先事項とし、バッテリ温度Tbの安定化を図り、バッテリ温度Tbを原因とする第2モータジェネレータ5の駆動停止状態が生じないようにして動力性能を確保しつつ、変速時間の短縮および変速ショックの抑制を図ることが可能となる。
実施例3は、実施例1の変形例であり、図12に示すように、ローギヤを形成する場合に締結する締結要素としてハイ側ウエットクラッチ7と同様の多板クラッチなどのロー側ウエットクラッチ308を設けた例である。
6 変速機
7 ハイ側ウエットクラッチ(摩擦締結要素)
8 ロー側ドグクラッチ(締結要素)
32 駆動輪
46 変速コントローラ(変速制御手段)
48 統合コントローラ(変速制御手段)
54 ドグクラッチセンサ
55 バッテリ温度センサ
56 油温センサ
308ロー側ウエットクラッチ(締結要素)
a1 第1回転数減少変化率閾値
a2 第2回転数減少変化率閾値
Claims (5)
- 駆動輪に駆動トルクを与えるモータと、
このモータと駆動輪との駆動伝達経路に設けられた有段の変速機と、
この変速機に設けられ、変速段の切換時に開放および締結して摩擦トルクを変更可能な摩擦締結要素を含む複数の締結要素と、
前記変速機の変速時に、前記締結要素のトルク伝達状態を切り換える変速制御を実行する変速制御手段と、
を備え、
前記変速制御手段は、第1の変速段から第2の変速段へ変速する際の変速処理として、変速中に、前記摩擦締結要素に対し、前記モータから前記駆動輪へのトルク伝達を補償するスリップ締結状態を形成する摩擦トルク指令を出力するとともに、前記モータに対し、前記第2の変速段への変速後の目標モータトルクである変速後目標モータトルクに、前記摩擦締結要素の入出力回転数差に比例した補正トルクを、前記入出力回転数差を減少させる向きに加算したトルク指令を出力する変速補正処理が含まれることを特徴とする電動車両の変速制御装置。 - 前記変速制御手段は、前記変速補正処理において、モータ回転数の変化が、あらかじめ設定された範囲内に収まるように、車両状態に応じて、前記摩擦締結要素に対する前記摩擦トルクの補正と、前記モータに対する前記補正トルクの補正とを選択して行なうことを特徴とする請求項1に記載の電動車両の変速制御装置。
- 前記モータに電力供給を行なうバッテリの充電量を検出する充電量検出手段を備え、
前記変速制御手段の前記補正処理における車両状態として、前記摩擦締結要素の締結状態および前記バッテリ充電量が含まれていることを特徴とする請求項2に記載の電動車両の変速制御装置。 - 前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出手段を備え、
前記変速制御手段の前記補正処理における車両状態として、前記摩擦締結要素の締結状態およびバッテリ温度が含まれていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電動車両の変速制御装置。 - 前記摩擦締結要素を駆動させる油圧系の温度を検出する油温検出手段を備え、
前記変速制御手段の前記補正処理における車両状態として、前記摩擦締結要素の締結状態および油温が含まれていることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の電動車両の変速制御装置。
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