JP2008013136A - 車両のブレーキ制御装置 - Google Patents

車両のブレーキ制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2008013136A
JP2008013136A JP2006188769A JP2006188769A JP2008013136A JP 2008013136 A JP2008013136 A JP 2008013136A JP 2006188769 A JP2006188769 A JP 2006188769A JP 2006188769 A JP2006188769 A JP 2006188769A JP 2008013136 A JP2008013136 A JP 2008013136A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
brake torque
shift
regenerative
brake
friction brake
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006188769A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4830680B2 (ja
Inventor
Naoki Miyashita
直樹 宮下
Keigo Ajiro
圭悟 網代
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2006188769A priority Critical patent/JP4830680B2/ja
Publication of JP2008013136A publication Critical patent/JP2008013136A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4830680B2 publication Critical patent/JP4830680B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Regulating Braking Force (AREA)
  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)

Abstract

【課題】有段自動変速機を備え、かつ回生協調ブレーキ制御を行う車両において、制動時における第1の変速完了後、第2の変速が開始されるまでの間における摩擦ブレーキの増圧遅れを防止することにより、運転者の要求する車両減速度を満足できる車両のブレーキ制御装置を提供すること。
【解決手段】回生ブレーキトルクが駆動輪に出力されている最中に変速が要求されたとき、回生ブレーキトルク目標値の割合を減少させるとともに摩擦ブレーキトルク目標値の割合を増加させる第1制御と、変速を開始させる第2制御と、回生ブレーキトルク目標値の割合を増加させ第3制御と、を行う回生協調ブレーキ制御手段において、第1の変速終了後の前記第3制御中に、第2の変速の要求を予測し、第2の変速が予測される場合、摩擦ブレーキトルク目標値を減少から増加に切り換えるときの時間当たり変化量の変動を抑制する車両減速度低下防止手段を有する。
【選択図】図5

Description

本発明は、モータジェネレータおよび自動変速機を備えた車両のブレーキ制御装置に関する。
従来、駆動輪とモータジェネレータ(以下、MG)との間に自動変速機(以下、AT)が介装され、自動変速機ATの変速段を車速に応じて変更することによりモータジェネレータMGからの動力を車速に応じた動力にして駆動輪に出力する自動車の動力出力装置が知られている。この装置においては、制動時に、モータジェネレータMGを回生制御することにより制動力を出力することができる。すなわち、モータジェネレータMGから自動変速機ATを介して駆動輪に制動力(回生ブレーキトルク)を出力可能であり、摩擦ブレーキの制御と併せて回生協調ブレーキ制御を行う。
このタイプの動力出力装置では、回生ブレーキトルクを出力している最中に変速を実行すると、変速ショックが発生する。また、変速に必要なクラッチやブレーキなどに発熱が生じる場合もある。これら変速ショック等を抑制するため、従来技術、例えば特許文献1に記載の装置は、制動中に変速要求がなされた場合、回生ブレーキから摩擦ブレーキに制動力源を切り替えた後に変速を開始し、変速完了後に再び摩擦ブレーキから回生ブレーキに切り替える構成としている。この切り替えの最中、回生ブレーキトルクと摩擦ブレーキトルクとを合わせたトータルのブレーキトルクは要求された値、すなわち目標ブレーキトルクになるように制御されている。
特開2005−329926号公報
しかし、車両減速度が大きいときには、第1の変速完了後、摩擦ブレーキから回生ブレーキに切り替えている最中に第2の変速要求がなされる場合がある。この場合、上記従来技術では、回生ブレーキから摩擦ブレーキに再び切り替えることになるため、油圧によりブレーキトルクを発生させている摩擦ブレーキについて見れば、減圧状態(減力)から増圧状態(増力)に急に切り替えることとなる。このため、摩擦ブレーキの増圧遅れが発生し、この分だけ摩擦ブレーキトルクが一時的に低下する。よって、トータルのブレーキトルクも摩擦ブレーキトルクの低下分だけ一時的に減少する。すなわち、第1の変速完了後、第2の変速要求があるまでの時間の長さによっては、摩擦ブレーキの応答遅れが発生し、車両減速度が運転者の要求に対して一時的に不足する、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、自動変速機を備え、かつ回生協調ブレーキ制御を行う車両において、制動時における第1の変速完了後、第2の変速が開始されるまでの間における摩擦ブレーキの増圧遅れを防止することにより、運転者の要求する車両減速度を満足できる車両のブレーキ制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、モータジェネレータと駆動輪との間に介装され前記モータジェネレータの出力回転を少なくとも2速の変速段により変速して前記駆動輪に伝達する自動変速機と、前記自動変速機による変速を制御する変速制御手段と、油圧制御されるアクチュエータにより前記駆動輪に摩擦ブレーキトルクを発生させる摩擦ブレーキと、前記モータジェネレータが発生する回生トルクにより前記駆動輪に出力される回生ブレーキトルクを制御する回生ブレーキトルク制御手段と、前記摩擦ブレーキトルクを制御する摩擦ブレーキトルク制御手段と、運転者のブレーキ操作に応じた車両の目標減速度を達成する前記駆動輪の目標ブレーキトルクを算出する目標ブレーキトルク算出手段と、前記回生ブレーキトルクが前記駆動輪に出力されている最中に変速が要求されたとき、前記目標ブレーキトルクにおける前記回生ブレーキトルク目標値の割合を減少させるとともに前記摩擦ブレーキトルク目標値の割合を増加させて、前記回生ブレーキトルクを前記摩擦ブレーキトルクに置き換える第1制御と、前記第1制御終了後に前記変速を開始させる第2制御と、前記変速終了後に、前記目標ブレーキトルクにおける前記回生ブレーキトルク目標値の割合を増加させるとともに前記摩擦ブレーキトルク目標値の割合を減少させて、前記摩擦ブレーキトルクを前記回生ブレーキトルクに置き換える第3制御と、を行う回生協調ブレーキ制御手段と、を備えた車両のブレーキ制御装置において、第1の変速終了後の前記第3制御中における第2の変速の要求を予測する次回変速要求予測手段を設け、前記回生協調ブレーキ制御手段は、前記第1の変速終了後の前記第3制御中に前記第2の変速が要求されることにより前記第1制御を開始することが予測される場合、前記摩擦ブレーキトルク目標値を減少から増加に切り換えるときの前記摩擦ブレーキトルク目標値の時間当たり変化量の変動を抑制する車両減速度低下防止手段を有することを特徴とする。
よって、本発明の車両のブレーキ制御装置にあっては、制動時における第1の変速完了後、第2の変速開始までの間の摩擦ブレーキ圧の状態変化を制御することにより、摩擦ブレーキの増圧遅れを防止し、運転者の要求する車両減速度を満足できる。
以下、本発明の車両の制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
実施例1のブレーキ制御装置は、第1の変速完了後、第2の変速要求よりも早いタイミングで摩擦ブレーキの油圧を一定に保持しておくことにより、第2の変速要求時における摩擦ブレーキの増圧遅れを防止する。
[実施例1の構成]
図1は、実施例1のブレーキ制御装置が適用された後輪駆動車両を示す概略システム図である。実施例1の車両の駆動系は、モータジェネレータMGと、自動変速機ATと、プロペラシャフトPSと、ファイナルギヤFおよびディファレンシャルD(両者を併せてF/Dと表記)と、左ドライブシャフトDSLと、右ドライブシャフトDSRと、左後輪RL(駆動輪)と、右後輪RR(駆動輪)と、を有している。
モータジェネレータMGは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、制御指令に基づいて、図外のインバータにより作り出された三相交流が印加されることにより、回生ブレーキトルクRBその他の出力トルクおよび出力回転数が制御される。モータジェネレータMGのロータは、図外のダンパを介して自動変速機ATの入力軸に連結されている。
自動変速機ATは、前進5速後退1速等の有段階の変速比を車速やアクセル開度等に応じて自動的に切り換える有段式の自動変速機である。自動変速機ATの出力軸は、プロペラシャフトPS、ディファレンシャルDF、左右ドライブシャフトDSL、DSRを介して左右後輪RL,RRに連結されている。
モータジェネレータMGは、図外のバッテリからの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(この状態を「力行」と呼ぶ)、ロータが外力により回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリを充電することもできる(以下、この動作状態を「回生」と呼ぶ)。
車両の定速運転時や加速運転時には、モータジェネレータMGを電動機として利用し、その動力により車両を駆動可能である。また、減速運転時には、モータジェネレータMGを発電機として利用し、運動エネルギーを回生してバッテリの充電に充てるとともに、回生ブレーキトルクRBにより車両を制動可能である。すなわち、モータジェネレータMGから自動変速機ATを介して駆動輪に制動力(回生ブレーキトルクRB)を出力可能である。モータジェネレータMGが出力する回生ブレーキトルクRBは、後述のブレーキコントローラ1からの指令により制御される。
左右後輪RL、RRには、それぞれ、油圧により出力トルク(摩擦ブレーキトルクFB)を制御される摩擦ブレーキアクチュエータFBatrが設けられている。摩擦ブレーキアクチュエータFBatrが出力する摩擦ブレーキトルクFBの大きさは、後述するブレーキコントローラ1からの指令により制御される。
次に、実施例1の車両の制御系を説明する。制御系は、図1に示すように、ブレーキコントローラ1およびATコントローラ2を有している。ブレーキコントローラ1およびATコントローラ2は、情報交換が可能なCAN通信線を介して互いに接続されている。図2は、ブレーキコントローラ1およびATコントローラ2の構成を示すブロック図である。
(ATコントローラ)
ATコントローラ2は、図3に示すように、車速Vとアクセルペダル開度APOとに応じて予め目標変速段が設定された変速線マップ(シフトマップ)を有している。なお、図3では、ダウンシフト線のみを示す。ATコントローラ2は、このシフトマップを用いて、アクセル開度センサ34からのアクセル開度APOと車速センサ(AT出力回転数センサ)35からの現在車速Vcurとに基づき、変速の実行を判断する。また、上記判断に基づき、変速制御指令、すなわち自動変速機ATの摩擦締結要素(クラッチやブレーキ)の締結および開放を制御する指令を演算して、AT油圧コントロールバルブに出力する。
図2に示すように、ATコントローラ2は、本発明のブレーキ制御に係る各部として、現在車速検出部21と、次回変速要求車速算出部22と、現在シフト位置検出部23と、次回シフト位置算出部24と、モータ回転数検出部25と、を有している(車両減速度低下防止手段)。
現在車速検出部21は、車速センサ35からのセンサ情報の入力を受け、現在の車速Vcurを検出する。
次回変速要求車速算出部22は、図3に示すシフトマップを用いて、現在車速Vcurに基づき、次回の変速が要求される車速Vnextを算出する。アクセル開度APOがゼロの横軸とダウンシフト線とが交わる複数の点のうち、現在車速Vcurよりも低速段側(低車速側)の点の車速を、次回変速要求車速Vnextとする。例えば、現在車速Vcurが図3の位置にあるとき、次回変速要求車速Vnextは、アクセル開度ゼロの横軸が3→2変速線と交わる点の車速となる。
現在シフト位置検出部23は、図3に示すシフトマップを用いて、現在車速Vcurに基づき、現在のシフト位置GPcurを検出する。アクセル開度APOがゼロの横軸上に位置する現在車速Vcurの点が、どのようなダウンシフト線に挟まれているかにより、現在シフト位置GPcurを判定する。例えば、横軸上の現在車速Vcurの点が図3の位置にあるとき、4→3変速線と3→2変速線に挟まれているため、現在シフト位置GPcurは3速となる。
次回シフト位置算出部24は、図3に示すシフトマップを用いて、現在のシフト位置GPcurに基づき、次回のシフト位置GPnextを算出する。本発明のブレーキ制御においては、ダウンシフト前後のブレーキ制御を対象とするため、現在シフト位置GPcurより低速段側のシフト位置を次回シフト位置GPnextとする。例えば、現在シフト位置GPcurが3速であるとき、次回シフト位置GPnextは2速となる。
なお、車両が減速することにより、現在車速Vcurが図3の点の位置から減少方向に移動し、次回変速要求車速Vnextの点と一致したときは、現在シフト位置GPcurと次回シフト位置GPnextが一致する。このとき、目標変速段が3速から2速に切り替わり、次回の変速(ダウンシフト)の実行が判断される。現在シフト位置GPcurと次回シフト位置GPnextとの上記一致は、変速要求としてブレーキコントローラ1において検出される。ATコントローラ2は、ブレーキコントローラ1からの変速開始の許可信号の入力を受けると、変速制御指令をAT油圧コントロールバルブに出力して、上記ダウンシフトを実行する。
モータ回転数検出部25は、モータ回転数センサ36からのセンサ情報の入力を受け、モータジェネレータMGの出力回転数MGrev、言い換えれば自動変速機ATの入力回転数を検出する。
なお、アクセル開度APO、現在車速Vcur、次回変速要求車速Vnext、現在シフト位置GPcur、次回シフト位置GPnextの情報は、CAN通信線を介してブレーキコントローラ1へ供給される。
(ブレーキコントローラ)
ブレーキコントローラ1は、ブレーキストロークセンサ31や4輪の各車輪速を検出する車輪速センサ32等のセンサ情報の入力を受け、例えば、ブレーキ踏み込み制動時、目標ブレーキトルクTQ*に対して回生ブレーキトルクRBだけでは不足する場合、その不足分を摩擦ブレーキトルクFBで補うように、回生協調ブレーキ制御を行う。具体的には、回生ブレーキトルクの指令値RB*と摩擦ブレーキトルクの指令値FB*とを算出し、各指令値をそれぞれモータジェネレータMGおよび摩擦ブレーキアクチュエータFBatrに出力して、回生ブレーキトルク制御と摩擦ブレーキトルク制御とを協調して行う。
また、ブレーキコントローラ1は、ATコントローラ2と連携して、以下の第1〜第3制御からなる回生協調ブレーキ制御を行う。すなわち、回生ブレーキトルクRBを駆動輪RR,RLに出力させている最中に変速が要求されたとき、目標ブレーキトルクTQ*における回生ブレーキトルクRBの割合を減少させるとともに摩擦ブレーキトルクFBの割合を増加させて、回生ブレーキトルクRBを摩擦ブレーキトルクFBに置き換える第1制御と、上記置き換え終了後に上記変速を開始させる第2制御と、上記変速の終了後に、目標ブレーキトルクTQ*における回生ブレーキトルクRBの割合を増加させるとともに摩擦ブレーキトルクFBの割合を減少させて、摩擦ブレーキトルクFBを回生ブレーキトルクRBに置き換える第3制御と、を行う。これにより、従来技術と同様、回生ブレーキトルクRBの出力中に変速を実行することによる変速ショック等が発生を防止する。
図2に示すように、ブレーキコントローラ1は、本発明のブレーキ制御に係る各部として、目標減速度算出部11と、目標ブレーキトルク算出部12と、変速要求検出部13と、最大回生可能トルク算出部14と、次回変速要求時間算出部15と、回生ブレーキトルク指令値算出部16と、摩擦ブレーキトルク指令値算出部17と、回生ブレーキトルク増力完了判定部18と、変速許可判定部19と、を有している(車両減速度低下防止手段)。
目標減速度算出部11は、ブレーキストロークセンサ31から図外のブレーキペダルの踏み込み量(ブレーキストローク量S)の入力を受け、図4に示すマップ1を用いて、目標減速度Gs*を算出する。マップ1では、ブレーキストローク量Sが大きいほど、目標減速度Gs*の増加率が大きくなるように設定されている。
目標ブレーキトルク算出部12は、目標減速度Gs*の達成のために4輪の各車輪に要求されるブレーキトルク、すなわち目標ブレーキトルクTQ*を算出する。目標ブレーキトルクTQ*は、運転者の要求する車両減速度Gs(目標減速度Gs*)に対応している。
変速要求検出部13は、ATコントローラ2からの現在シフト位置GPcurの情報と次回シフト位置GPnextの情報とに基づき、変速要求の有無を検出する。
最大回生可能トルク算出部14は、回生ユニット側の最大回生可能トルクRBmax0、すなわちモータジェネレータMGが出力可能な回生ブレーキトルクRBの最大値を検出して、これを目標ブレーキトルクTQ*と比較することにより、実際に利用可能な最大回生可能トルクRBmaxを算出する。
次回変速要求時間算出部15は、現在の車速Vcurと次回の変速要求車速Vnextとの偏差ΔVを算出し、この車速偏差ΔVおよび目標減速度Gs*に基づき、次回の変速要求があるまでの時間Tnextを算出する。
回生ブレーキトルク指令値算出部16は、後述するような種々の判定結果に応じて、回生ブレーキトルクの指令値RB*を算出する。
摩擦ブレーキトルク指令値算出部17は、目標ブレーキトルクTQ*および回生ブレーキトルク指令値RB*に基づき、摩擦ブレーキトルクの指令値FB*を算出する。
回生ブレーキトルク増力完了判定部18は、前回制御周期における回生ブレーキトルク指令値RB*(n-1)および最大回生可能トルクRBmaxに基づき、回生ブレーキトルクRBの増力が完了したか否か、すなわち実際の回生ブレーキトルクRBが最大回生可能トルクRBmaxまで増力されているか否かを判定する。
変速許可判定部19は、ATコントローラ2から変速要求があった後、回生ブレーキから摩擦ブレーキへの切り替えが完了したとき、すなわち回生ブレーキトルクRBの減力および摩擦ブレーキトルクFBの増力が完了したとき、変速開始の許可信号をATコントローラ2に出力する。具体的には、回生ブレーキトルク指令値RB*がゼロになったとき変速を許可し、ゼロになっていないときは変速を許可しない。
[実施例1の作用]
以下、実施例1の車両において、運転者がブレーキペダルを踏み込んで制動力を作用させている最中に、ブレーキコントローラ1において演算されるブレーキ制御を説明する。図5は、この制御の流れを示すメインフローチャートである。この演算は、所定時間毎に繰り返し実行される。
ステップS1では、図4に示すマップ1を用いて、運転者の操作によるブレーキストローク量Sから車両の目標減速度Gs*を算出する。その後、ステップS2に移る。
ステップS2では、目標減速度Gs*の達成のために各輪に要求されるブレーキトルク、すなわち目標ブレーキトルクTQ*を、目標減速度Gs*および車両モデルから算出する。その後、ステップS3に移る。
ステップS3では、ATコントローラ2から現在シフト位置GPcurの情報を取得する。その後、ステップS4に移る。
ステップS4では、ATコントローラ2から次回シフト位置GPnextの情報を取得する。その後、ステップS5に移る。
ステップS5では、現在シフト位置GPcurと次回シフト位置GPnextとを比較し、ATコントローラ2からの変速要求の有無を検出する。具体的には、現在シフト位置GPcurと次回シフト位置GPnextとが異なっていれば、変速要求がないと判断して、ステップS6に移る。一方、現在シフト位置GPcurと次回シフト位置GPnextとが同じであれば、変速要求があったと判断して、ステップS19に移る。
(変速要求がない場合)
ステップS6〜S18は、変速要求がない場合における、摩擦ブレーキトルク指令値FB*算出の流れを示す。
ステップS6では、最大回生可能トルクRBmax、すなわちタイヤ端における回生ブレーキトルクRBの利用可能な最大値を算出する。図6は、その算出の流れを示すサブフローチャートである。
(回生ユニット側の最大回生可能トルクの算出)
ステップS61では、回生ユニット側の最大回生可能トルクRBmax0、すなわちモータジェネレータMGが出力可能な回生ブレーキトルクの最大値を算出する。図7は、その算出の流れを示すサブフローチャートである。
ステップS611では、モータジェネレータMGの出力回転数MGrevを検出する。その後、ステップS612に移る。
ステップS612では、モータ回転数MGrev(AT入力回転数)と現在車速Vcur(AT出力回転数)とに基づき、現在の変速比Gratioを算出する。その後、ステップS613に移る。
ステップS613では、図7に示すマップ2を用いて、モータ回転数MGrevに基づき、モータジェネレータMGの出力軸においてモータジェネレータMGが出力可能な回生ブレーキトルクの最大値、すなわちモータ回生可能トルクTmgを算出する。その後、ステップS614に移る。
ステップS614では、回生ユニット側の最大回生可能トルクRBmax0、すなわちタイヤ端においてモータジェネレータMGが出力可能な回生ブレーキトルクの最大値を、RBmax0=Tmg×Gratio×mTrqtoForceにより算出する。すなわち、モータ回生可能トルクTmgに変速比Gratioを乗算することによりギヤ比換算し、さらに定数mTrqtoForceを乗算することによりタイヤ端で発生するブレーキトルクに変換する。その後、本サブルーチンを終了し、ステップS62に移る。
(最大回生可能トルクの算出)
ステップS62では、回生ユニット側の最大回生可能トルクRBmax0を目標ブレーキトルクTQ*と比較する。回生ユニット側の最大回生可能トルクRBmax0が、目標ブレーキトルクTQ*以下であれば、ステップS63に移り、目標ブレーキトルクTQ*よりも大きければ、ステップS64に移る。
ステップS63では、タイヤ端における回生ブレーキトルクとして実際に利用可能な最大値は、回生ユニット側の最大回生可能トルクRBmax0であると判断して、最大回生可能トルクRBmaxとして回生ユニット側の最大回生可能トルクRBmax0の値を設定する。その後、本サブルーチンを終了し、ステップS7に移る。
ステップS64では、タイヤ端における回生ブレーキトルクとして実際に利用可能な最大値は、目標ブレーキトルクTQ*であると判断して、最大回生可能トルクRBmaxとして目標ブレーキトルクTQ*の値を設定する。その後、本サブルーチンを終了し、ステップS7に移る。
ステップS7では、前回制御周期における回生ブレーキトルク指令値RB*(n-1)と最大回生可能トルクRBmaxとを比較する。前回の回生ブレーキトルク指令値RB*(n-1)が最大回生可能トルクRBmaxと一致すれば、実際の回生ブレーキトルクRBが最大回生可能トルクRBmaxまで増大され、回生ブレーキトルクRBの増力が完了していると判断し、ステップS13に移る。一方、前回の回生ブレーキトルク指令値RB*(n-1)が最大回生可能トルクRBmax未満であれば、実際の回生ブレーキトルクRBが最大回生可能トルクRBmaxまで増大されておらず、回生ブレーキトルクRBの増力が完了していないと判断し、ステップS8に移る。
(回生ブレーキトルクの増力が完了している場合)
ステップS13、S14は、回生ブレーキトルクRBの増力が完了している場合における、回生ブレーキトルク指令値RB*および摩擦ブレーキトルク指令値FB*の算出の流れを示す。
ステップS13では、前回の変速が終了した後、摩擦ブレーキから回生ブレーキへの切り替えが完了しており、かつ、次回の変速要求も未だなされていないため、回生ブレーキトルクの指令値RB*として、最大回生可能トルクRBmaxを設定する(RB*=RBmax)。すなわち、すでに完了している回生ブレーキへの切り替えを継続する。
ステップS14では、目標ブレーキトルクTQ*から回生ブレーキトルク指令値RB*を差し引くことにより、摩擦ブレーキトルク指令値FB*を算出する(FB*=TQ*−RB*)。その後、ステップS21に移る。
ここで、ステップS6において設定された最大回生可能トルクRBmaxが回生ユニット側の最大回生可能トルクRBmax0であった場合、摩擦ブレーキトルク指令値FB*は正の値をとる。すなわち、摩擦ブレーキが、回生ブレーキトルクRBでは足りない分のトルク(摩擦ブレーキトルクFB)を供給することにより、目標ブレーキトルクTQ*が達成される。一方、ステップS6において設定された最大回生可能トルクRBmaxが目標ブレーキトルクTQ*であった場合、摩擦ブレーキトルク指令値FB*はゼロの値をとる。すなわち、回生ブレーキトルクRBによってのみ目標ブレーキトルクTQ*が達成され、摩擦ブレーキトルクFBは不要となる。
(回生ブレーキトルクの増力が未完了の場合)
ステップS8〜S12、S15〜S18は、回生ブレーキトルクRBの増力が完了していない場合における、回生ブレーキトルク指令値RB*および摩擦ブレーキトルク指令値FB*の算出の流れを示す。
ステップS8では、ATコントローラ2から次回の変速要求車速Vnextの情報を取得する。その後、ステップS9に移る。
ステップS9では、ATコントローラ2から現在車速Vcurの情報を取得する。その後、ステップS10に移る。
ステップS10では、車速偏差ΔV(=|Vnext−Vcur|)、すなわち現在車速Vcurと次回変速要求車速Vnextとの偏差を算出する。その後、ステップS11に移る。
ステップS11では、車速偏差ΔVおよび目標減速度Gs*に基づき、現在時から次回の変速要求があるまでの時間Tnextを算出する。具体的には、Tnext=ΔV/Gs*により算出する。その後、ステップS12に移る。
ステップS12では、次回の変速要求があるまでの時間Tnextと所定の摩擦ブレーキトルク保持時間Choldとを比較する。次回の変速要求があるまでの時間Tnextが、所定の摩擦ブレーキトルク保持時間Choldよりも長いときは、ステップS15に移り、所定の摩擦ブレーキトルク保持時間Chold以下となったときは、ステップS17に移る。なお、摩擦ブレーキトルクFBの保持とは、具体的には摩擦ブレーキアクチュエータFBatrの液圧(油圧)の一定保持である。
(次回変速要求までの時間が所定時間よりも長いとき)
ステップS15では、回生ブレーキトルク指令値RB*を算出する。具体的には、回生ブレーキトルク指令値RB*を、前回の算出値RB*(n-1)から所定値CRBIncだけ増大させる(RB*=RB*(n-1)+CRBInc)。その後、ステップS16に移る。
ステップS16では、ステップS14と同様に、摩擦ブレーキトルク指令値FB*を算出した後、ステップS21に移る。
ここで、ステップS15により、回生ブレーキトルク指令値RB*は、次回の変速要求があるまでの時間Tnextが所定の保持時間Chold以下となるまでの間、制御周期ごとに徐々に増大される。ステップS16で、摩擦ブレーキトルク指令値FB*は、一定値である目標ブレーキトルクTQ*から差し引いて算出されるため、TnextがChold以下となるまでの間、摩擦ブレーキトルク指令値FB*は、制御周期ごとに徐々に減少する。
(次回変速要求までの時間が所定時間よりも短いとき)
ステップS17では、回生ブレーキトルク指令値RB*を、前回の算出値RB*(n-1)のまま保持する。具体的には、RB*=RB*(n-1)により、回生ブレーキトルク指令値RB*を算出する。その後、ステップS18に移る。
ステップS18では、ステップS14と同様に、摩擦ブレーキトルク指令値FB*を算出した後、ステップS21に移る。
ここで、ステップS17により、回生ブレーキトルク指令値RB*は、前回の算出値RB*(n-1)のまま保持されている。ステップS18で、摩擦ブレーキトルク指令値FB*は、一定値である目標ブレーキトルクTQ*から差し引いて算出されるため、TnextがChold以下となっている間、摩擦ブレーキトルク指令値FB*は、前回の算出値FB*(n-1)のまま保持される。
(変速要求があった場合)
ステップS19、S20は、変速要求があった場合における、摩擦ブレーキトルク指令値FB*算出の流れを示す。
ステップS19では、回生ブレーキトルク指令値RB*を、前回の算出値RB*(n-1)から所定値CRBDecだけ減少させる。具体的には、RB*=RB*(n-1)−CRBDecにより、回生ブレーキトルク指令値RB*を算出する。その後、ステップS20に移る。
ステップS20では、ステップS14と同様に、摩擦ブレーキトルク指令値FB*を算出した後、ステップS21に移る。
ここで、ステップS19により、回生ブレーキトルク指令値RB*は、ゼロとなるまでの間、制御周期ごとに徐々に減少する。ステップS20で、摩擦ブレーキトルク指令値FB*は、一定値である目標ブレーキトルクTQ*から差し引いて算出されるため、摩擦ブレーキトルク指令値FB*は、その最大値であるTQ*になるまでの間、制御周期ごとに徐々に増加する。
(サーボ制御)
ステップS21では、ステップS13、S15、S17、S19で算出した回生ブレーキトルク指令値RB*をモータジェネレータMGに出力する。モータジェネレータMGは、この指令値RB*に基づき回生ブレーキトルクRBを出力し、この出力値はサーボ機構により制御される。
ステップS22では、ステップS14、S16、S18、S20で算出した摩擦ブレーキトルク指令値FB*を各輪の摩擦ブレーキアクチュエータFBatrに出力する。各摩擦ブレーキアクチュエータFBatrは、この指令値FB*に基づき摩擦ブレーキトルクFBを出力し、この出力値は、サーボ機構により制御される。
(タイムチャート)
図8は、第1の変速が終了した後、第2の変速が要求されて実際に第2の変速が開始されるまでの間における、本実施例1のブレーキ制御を、従来技術によるブレーキ制御と対比して示したタイムチャートである。回生ブレーキトルク、摩擦ブレーキトルク、および車両減速度につき、実線で本実施例1を、破線で従来技術を示す。以下、このタイムチャートについて説明する。説明のため、第1の変速を4速から3速へのダウンシフト(4→3変速)、第2の変速を3速から2速へのダウンシフト(3→2変速)と仮定する。また、ブレーキトルクのタイムチャートにおいて、縦軸下方を正方向と定義する。なお、運転者がブレーキペダルを踏んでいる最中であっても、第1の変速が3速から2速へのダウンシフト(3→2変速)であり、第2の変速が2速から3速へのアップシフト(2→3変速)であるような場合はありえる。
時刻t1に、第1の変速が終了する。時刻t4に、第2の変速が開始される。変速が行われていない時刻t1からt4までの間に、ブレーキ制御を行う。
時刻t1において、第1の変速(4→3変速)が終了し、ブレーキ制御が開始される。ここで、目標減速度Gs*および目標ブレーキトルクTQ*が算出される(図5のステップS1、S2)。全ての時点を通じて、目標減速度Gs*は一定であると仮定しているため、目標減速度Gs*に基づき算出される目標ブレーキトルクTQ*も一定である。
また、現在のシフト位置GPcurである3速が検出され、図3に示すシフトマップに基づき、次回のシフト位置GPnextである2速が算出される(ステップS3、S4)。車速Vが第2の変速(3→2変速)を要求する車速Vnextとなる時刻t3までは、GPcur(3速)≠GPnext(2速)である。このため、時刻t3までは、変速要求がないと判断し、まず、最大回生可能トルクRBmaxを算出する(ステップS5、S6)。
本タイムチャートにおいては、モータジェネレータMGの最大回生可能トルクRBmax0が目標ブレーキトルクTQ*を上回る場合、すなわち、最大回生可能トルクRBmaxとして目標ブレーキトルクTQ*が設定される場合の例を示す(ステップS61〜S64)。
また、本タイムチャートにおいては、時刻t1以降、回生ブレーキトルクRBが最大回生可能トルクRBmax(=目標ブレーキトルクTQ*)にまで達せず、回生ブレーキトルクRBの増力が完了しない場合の例を示す(ステップS7)。よって、次回変速(3→2変速)までの時間Tnextを算出する(ステップS8〜S11)。
時刻t1からt2までの間は、Tnextのほうが所定の保持時間Choldよりも大きいため、回生ブレーキトルクRBを、制御周期ごとに所定値CRBIncずつ徐々に増加させる(ステップS15、S21)。同時に、摩擦ブレーキアクチュエータFBatrの液圧を徐々に減少させ、摩擦ブレーキトルクFBを、制御周期ごとに所定値CRBIncずつ徐々に減少させる(ステップS16、S22)。
時刻t2において、Tnextが所定の保持時間Chold以下に切り替わるため、回生ブレーキトルクRBをその時点における値に保持する(ステップS12、S17、S21)。
時刻t2からt3までの間は、Tnextが所定の保持時間Chold以下であるため、回生ブレーキトルクRBを、時刻t2における値に保持する(ステップS17、S21)。同時に、摩擦ブレーキトルクFBを、時刻t2における値に保持する(ステップS18、S22)。言い換えれば、摩擦ブレーキアクチュエータFBatrの液圧を一定値に保持する。
時刻t3において、現在車速Vcurが第2の変速要求車速Vnextにまで低下すると、現在シフト位置GPcurと次回シフト位置GPnextが一致し、第2の変速が要求される(ステップS5)。よって、t3以降、回生ブレーキトルクRBを、制御周期ごとに所定値CRBDecずつ徐々に減少させる(ステップS19、S21)。同時に、摩擦ブレーキアクチュエータFBatrの液圧を徐々に増大させ、摩擦ブレーキトルクFBを、制御周期ごとに所定値CRBDecずつ徐々に増加させる(ステップS20、S22)。
時刻t4において、回生ブレーキトルクRBがゼロになり回生ブレーキトルクRBの減力が完了するとともに、摩擦ブレーキトルクFBが目標ブレーキトルクTQ*となり摩擦ブレーキトルクFBの増力が完了する。このように回生ブレーキから摩擦ブレーキへの切り替えが完了すると、第2の変速を開始する。
(従来技術との対比における本実施例1の作用効果)
従来技術では、第1の変速が完了したt1後、摩擦ブレーキから回生ブレーキに切り替えている最中のt3に第2の変速要求がなされた場合、摩擦ブレーキを減圧状態から増圧状態に急に切り替えることとなる。言い換えると、摩擦ブレーキトルク指令値FB*の時間変化を示す直線の傾きが、第2の変速要求があるt3の前後で、図8の右肩上がり(減圧)から右肩下がり(増圧)へ急激に変化する。よって、図8に示す角度αが比較的小さい。
このため、t3後、摩擦ブレーキトルク指令値FB*に対して摩擦ブレーキアクチュエータFBatrの増圧遅れが発生し、摩擦ブレーキトルク実値FBが指令値FB*よりも一時的に減少する。摩擦ブレーキトルクFBの減少分だけ、トータルの実ブレーキトルクTQも目標ブレーキトルクTQ*に対して一時的に減少する。したがって、第1の変速完了後、第2の変速要求があるまでの時間の長さによっては、摩擦ブレーキから回生ブレーキに切り替えている最中に第2の変速要求がなされることにより、車両減速度Gsが運転者の要求する目標減速度Gs*に対して一時的に不足する、という問題があった。
これに対して、実施例1のブレーキ制御装置は、第1の変速が完了したt1後、第2の変速要求があるt3よりも早いタイミングのt2で摩擦ブレーキ圧を一定に保持しておくことにより、第2の変速要求時の摩擦ブレーキ増圧遅れを防止する。
すなわち、第1の変速完了後、第2の変速要求があるまでの時間Tnextを算出することとし、さらに所定の保持時間Choldを設けて、TnextがChold以下に切り替わった時点t2から、摩擦ブレーキアクチュエータFBatrの液圧を一定時間Choldだけ一定値に保持することとした。これにより、第2の変速要求がなされるt3の前後で、摩擦ブレーキを減圧状態から増圧状態に急に切り替えることがない。摩擦ブレーキトルク指令値FB*は、第2の変速要求があるt3の直前まで一定値に保たれ、その時間変化を示す直線の傾きは、t3の前後で、図8の平坦な状態(保持)から右肩下がり(増圧)へ緩やかに変化する。よって、図8に示す角度α1が比較的大きい(α1>α)。
このため、t3後、摩擦ブレーキトルク指令値FB*に対する摩擦ブレーキアクチュエータFBatrの増圧遅れが抑制され、摩擦ブレーキトルク指令値FB*に対する実値FBの一時的な減少分も、その大きさおよび時間の幅が従来技術よりも小さい。よって、トータルの実ブレーキトルクTQの目標ブレーキトルクTQ*に対する一時的な減少分も同様に小さいため、第1の変速完了後、第2の変速要求があるまでの時間Tnextの長さに関わらず、車両減速度Gsが運転者の要求する目標減速度Gs*に対して不足する事態が防止される。
(実験結果)
図9は、第2の変速要求時における摩擦ブレーキ増圧遅れの実験結果を、従来技術と実施例1との間で対比して示したものである。従来技術においては、第2の変速要求がなされるt3の前後で、摩擦ブレーキ(摩擦ブレーキトルク指令値FB*)を減圧状態から増圧状態に急に切り替える。このため、t3後の摩擦ブレーキトルク指令値FB*の上昇に対応した摩擦ブレーキトルク実値FBの上昇が実際に生じるのは、t3から170ms後であり、この時間の分だけ摩擦ブレーキの増圧遅れが発生する。
一方、本実施例1においては、第2の変速要求がなされるt3の前後で、摩擦ブレーキ(摩擦ブレーキトルク指令値FB*)は保持状態から増圧状態に緩やかに切り替えられる。このため、t3後の摩擦ブレーキトルク指令値FB*の上昇に対応した摩擦ブレーキトルク実値FBの上昇が実際に生じるのは、従来技術よりも早く、t3から100ms後であり、この分しか摩擦ブレーキの増圧遅れが発生しない。言い換えると、本実施例1のブレーキ制御装置においては、摩擦ブレーキの増圧遅れを、従来技術の170msよりも70msだけ解消することができ、従来技術に対し約41%、時間の短縮化を達成している。
(補足説明)
従来技術においては、強い減速が要求される場合、すなわち目標減速度Gs*が大きい場合には、第1の変速が完了し、摩擦ブレーキから回生ブレーキに切り替えている最中に第2の変速要求がなされるおそれがある。すなわち、摩擦ブレーキの増圧遅れが発生しやすい。
本実施例1のブレーキ制御装置においては、第2の変速要求があるまでの時間Tnextは、車速偏差ΔVおよび目標減速度Gs*に基づき算出される(Tnext=ΔV/Gs*)。ブレーキストローク量Sが大きく、目標減速度Gs*が大きい場合には、算出されるTnextはその分だけ短くなる。よって、目標減速度Gs*が大きいほど、Tnextが所定の保持時間Chold以下に切り替わるまでの時間が短くなり、摩擦ブレーキトルクFBの一定保持を開始するタイミングはそれだけ早まる。言い換えると、目標減速度Gs*が大きく、第2の変速要求がなされるまでの時間が短い場合でも、必ず保持時間Choldを確保できる。したがって、目標減速度Gs*の大きさに関わらず、実際の車両減速度Gsが運転者の要求する目標減速度Gs*に対して不足する事態が防止される。
なお、所定の保持時間Choldそれ自体が長く設定されていれば、Tnextが保持時間Chold以下に切り替わるまでの時間が短くなり、摩擦ブレーキトルクFBの一定保持を開始するタイミングt2はそれだけ早まる。このとき、摩擦ブレーキトルク指令値FB*の減少速度(所定値CRBIncに相当)が一定である限り、t1からt2までの摩擦ブレーキトルクFBの減少幅は小さくなるため、保持される摩擦ブレーキトルクFBの値は大きくなる。よって、第2の変速要求があったt3以降、保持されていた摩擦ブレーキトルクFBの増力が完了するまでに要する時間(t3〜t4)も、摩擦ブレーキトルク指令値FB*の増加速度(所定値CRBDecに相当)が一定である限り、短くなる。言い換えれば、第2の変速要求があったt3後、実際に第2の変速を開始できるt4までの時間が、従来技術(t6)と比べて早まるため、変速の応答性がよい。
ただし、所定の保持時間Choldが長く設定されていると、上記のように、保持される摩擦ブレーキトルクFBの値も大きくなる。言い換えると、保持される回生ブレーキトルクRBの値が小さくなる。このため、回生エネルギーの積算量が抑制され、この分だけ燃費の向上を図れない。
一方、所定の保持時間Choldが短く設定されていると、回生エネルギーは増大するが、上記のような変速の応答性の向上が図れない。また、保持時間Choldを短く設定しすぎると、摩擦ブレーキ液圧の保持状態を実質上維持できなくなり、摩擦ブレーキ液圧の状態変化を効果的に抑制できないず、摩擦ブレーキの増圧遅れを防止できないおそれがある。
よって、所定の保持時間Choldの長さは、変速応答性や燃費の向上、車両減速度不足の効果的な防止、といった得失を衡量して設定される。
なお、図8の二点鎖線に示すように、第2の変速要求があったt3以降も、さらに摩擦ブレーキトルク指令値FB*の保持を継続する構成としてもよい。このとき、保持の継続は、保持終了後における摩擦ブレーキトルクFBの増圧が完了する時刻が、保持を行わなかった場合(破線)における摩擦ブレーキトルクFBの増圧完了時刻t5よりも遅くならない範囲でおこなうこととする。
このような構成をとった場合、回生ブレーキトルクRBを保持する時間Choldを実質的に長くしたことになるため、回生エネルギーの積算量が増加し、この分だけ燃費の向上を図ることができる(図8の斜線部分)。また、保持終了後における摩擦ブレーキトルクFBの増圧完了時刻t5が従来技術と変わらないため、変速応答性が低下するおそれもない。
[実施例1の効果]
本実施例1のブレーキ制御装置は、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)モータジェネレータMGと駆動輪RR,RLとの間に介装されモータジェネレータMGの出力回転を少なくとも2速(前進5速後退1速等)の変速段により変速して駆動輪RR,RLに伝達する自動変速機ATと、自動変速機ATによる変速を制御する変速制御手段(ATコントローラ2)と、油圧制御されるアクチュエータFBatrにより駆動輪RR,RLに摩擦ブレーキトルクFBを発生させる摩擦ブレーキと、モータジェネレータMGが発生する回生トルクにより駆動輪RR,RLに出力される回生ブレーキトルクRBを制御する回生ブレーキトルク制御手段と、摩擦ブレーキトルクFBを制御する摩擦ブレーキトルク制御手段と、運転者のブレーキ操作(ブレーキストローク量S)に応じた車両の目標減速度Gs*を達成する駆動輪RR,RLの目標ブレーキトルクTQ*を算出する目標ブレーキトルク算出手段(目標減速度算出部11、目標ブレーキトルク算出部12)と、回生ブレーキトルクRBが駆動輪RR,RLに出力されている最中に変速が要求されたとき、目標ブレーキトルクTQ*における回生ブレーキトルク指令値RB*の割合を減少させるとともに摩擦ブレーキトルク指令値FB*の割合を増加させて、回生ブレーキトルクRBを摩擦ブレーキトルクFBに置き換える第1制御と、第1制御終了後に上記変速を開始させる第2制御と、上記変速の終了後に、目標ブレーキトルクTQ*における回生ブレーキトルク指令値RB*の割合を増加させるとともに摩擦ブレーキトルク指令値FB*の割合を減少させて、摩擦ブレーキトルクFBを回生ブレーキトルクRBに置き換える第3制御と、を行う回生協調ブレーキ制御手段(ブレーキコントローラ1、ATコントローラ2)と、を備えた車両のブレーキ制御装置において、第1の変速終了後の第3制御中における第2の変速の要求を予測する次回変速要求予測手段(次回変速要求時間算出部15、ステップS1、S8〜S11等)を設け、回生協調ブレーキ制御手段(ブレーキコントローラ1、ATコントローラ2)は、第1の変速終了後の第3制御中に第2の変速が要求されることにより第1制御を開始することが予測される場合、摩擦ブレーキトルクFBを減少から増加に切り換えるときの摩擦ブレーキトルク指令値FB*の時間当たり変化量の変動を抑制する車両減速度低下防止手段(ブレーキコントローラ1の各部11〜19、ATコントローラ2の各部21〜25)を有することとした。
よって、第2の変速要求時に、摩擦ブレーキを減圧状態から増圧状態に急に切り替えることがなく、保持状態から増圧状態に緩やかに切り替えるため、摩擦ブレーキの急激な液圧変化を抑制できる。したがって、第2の変速要求時の摩擦ブレーキ増圧遅れを抑制することができ、運転者の要求する車両減速度Gsを満足させることができる、という効果を有する。
(2)車両減速度低下防止手段(ブレーキコントローラ1の各部11〜19、ATコントローラ2の各部21〜25)は、第1の変速終了後の上記第3制御中に、第2の変速が要求されるまでの間、摩擦ブレーキトルク指令値FB*を一定に保持する摩擦ブレーキトルク保持手段(ステップS11、S12、S15〜S18等)を有することとした。
すなわち、第1の変速が終了したt1後、第2の変速要求がある時刻t3よりも早いタイミングの時刻t2で、摩擦ブレーキ液圧を保持することとした。よって、第2の変速要求時に、摩擦ブレーキを減圧状態から増圧状態に急に切り替えることがなく、保持状態から増圧状態に緩やかに切り替えるため、摩擦ブレーキの急激な液圧変化を抑制できる。したがって、第2の変速要求があるまでの時間Tnextの長さに関わらず、第2の変速要求時の摩擦ブレーキ増圧遅れを抑制することができ、運転者の要求する車両減速度Gsを満足させることができる。また、第2の変速要求があったt3後、実際に第2の変速を開始できるt5までの時間が早まるため、変速の応答性がよい、という効果を有する。
(3)上記摩擦ブレーキトルク保持制御手段は、目標減速度Gs*が大きいほど摩擦ブレーキトルク指令値FB*の保持開始時刻を早めることとした。
すなわち、第2の変速要求があるまでの時間Tnextは、目標減速度Gs*に基づき算出する(Tnext=ΔV/Gs*)こととし(ステップS11)、Tnextに基づいて摩擦ブレーキトルクFBの保持開始タイミングt2を決定することとした(ステップS12、S15〜S18)。よって、目標減速度Gs*が大きいほど、摩擦ブレーキトルクFBの保持開始タイミングt2が早まることになり、目標減速度Gs*の大きさに関わらず、運転者の要求する車両減速度Gsを満足させることができる、という効果を有する。
(4)上記摩擦ブレーキトルク保持制御手段は、第1の変速終了後の上記第3制御中に第2の変速が要求されたt3以後も、摩擦ブレーキトルク指令値FB*の保持を所定時間継続することとしてもよい。
この場合、回生ブレーキトルクRBを保持する時間Choldを実質的に長くしたことになるため、回生エネルギーの積算量が増加し、この分だけ燃費の向上を図ることができる、という効果を有する。
実施例2のブレーキ制御装置は、第1の変速完了後、第2の変速要求よりも早いタイミングで、摩擦ブレーキトルクFBから回生ブレーキトルクRBへの置き換え量(摩擦ブレーキトルクFBの減少率)の制限を開始することにより、第2の変速要求時における摩擦ブレーキの増圧遅れを防止する。
[実施例2の構成]
実施例2のブレーキ制御装置の構成は、実施例1と同様である(図1、図2参照)。ただし、実施例1と異なり、実施例2のブレーキコントローラ1は、次回変速要求時間算出部15を有していない。
実施例2の回生ブレーキトルク指令値算出部16は、図外の指令値補正部16aを有している。指令値補正部16aは、図10に示すマップ3を用いて、現在車速Vcurと次回変速要求車速Vnextとの偏差ΔVに基づき、回生ブレーキトルク指令値RB*の増加量CRBIncを算出する。
さらに、指令値補正部16aは、今回算出した目標減速度Gs*と前回算出した目標減速度Gs*(n-1)との偏差ΔGs*に基づいて、マップ3で使用する基準線を変更する。具体的には、マップ3において、偏差ΔGs*がゼロ付近(ΔGs*≒0)のときの基準線1を、偏差ΔGs*が正値(ΔGs*>0)のときには上側、すなわち正方向側の基準線2にずらし、偏差ΔGs*が負値(ΔGs*<0)のときには下側、すなわち負方向側の基準線3にずらす。指令値補正部16aは、このように偏差ΔGs*の値に応じて変更した基準線を用いて、回生ブレーキトルク指令値RB*の増加量CRBIncを算出する。
[実施例2の作用]
以下、実施例2の車両において、運転者がブレーキペダルを踏み込んで制動力を作用させている最中のブレーキ制御を説明する。図10は、制御の流れを示すフローチャートである。この演算は、所定時間毎に繰り返し実行される。
ステップS30では、実施例1のステップS1と同様に、ブレーキストローク量Sから車両の目標減速度Gs*を算出する。その後、ステップS31に移る。
ステップS31では、実施例1のステップS2と同様に、目標ブレーキトルクTQ*を算出する。その後、ステップS32に移る。
ステップS32では、実施例1のステップS9と同様に、ATコントローラ2から現在車速Vcurの情報を取得する。その後、ステップS33に移る。
ステップS33では、ATコントローラ2からアクセル開度APOの情報を取得する。その後、ステップS34に移る。
ステップS34では、実施例1のステップS8と同様に、ATコントローラ2から次回変速要求車速Vnextの情報を取得する。その後、ステップS35に移る。
ステップS35では、実施例1のステップS6と同様に、最大回生可能トルクRBmaxを算出する。その後、ステップS36に移る。
ステップS36では、実施例1のステップS10と同様に、車速偏差ΔV(=|Vnext−Vcur|)を算出する。その後、ステップS37に移る。
ステップS37では、今回の制御周期において算出した目標減速度Gs*と前回の制御周期において算出した目標減速度Gs*(n-1)との偏差ΔGs*を算出する。その後、ステップS38に移る。
ステップS38では、実施例1のステップS5と同様に、ATコントローラ2からの変速要求の有無を検出する。変速要求がなければ、ステップS39に移る。変速要求があれば、ステップS41に移る。
(変速要求がない場合)
ステップS39、S40、S44は、変速要求がない場合における、摩擦ブレーキトルク指令値FB*算出の流れを示す。
ステップS39では、前回制御周期における回生ブレーキトルク指令値RB*(n-1)が最大回生可能トルクRBmax未満であり、回生ブレーキトルクRBの増力が完了していないことを前提として、図10に示すマップ3を用いて、回生ブレーキトルク指令値RB*の増加量CRBIncを算出する。このとき、目標減速度偏差ΔGs*に基づいて、用いる基準線を変更する。その後、ステップS40に移る。なお、回生ブレーキトルク指令値RB*(n-1)がすでに最大回生可能トルクRBmaxまで増大されており、回生ブレーキトルクRBの増力が完了している場合には、実施例1のステップS13、S14と同様の制御を行う。
ステップS40では、回生ブレーキトルク指令値RB*を、上記算出した値CRBIncだけ、前回の算出値RB*(n-1)よりも増加させる。具体的には、RB*=RB*(n-1)+CRBIncにより、回生ブレーキトルク指令値RB*を算出する。その後、ステップS44に移る。
(変速要求があった場合)
ステップS41〜S44は、変速要求があった場合における、摩擦ブレーキトルク指令値FB*算出の流れを示す。
ステップS41では、実施例1のステップS19と同様に、回生ブレーキトルク指令値RB*を、前回の算出値RB*(n-1)から所定値CRBDecだけ減少させる(RB*=RB*(n-1)−CRBDec)。その後、ステップS42に移る。
ステップS42では、変速許可判定部19が、回生ブレーキトルク指令値RB*がゼロであるか否かを判定する。回生ブレーキトルク指令値RB*がゼロである場合には、ステップS43に移る。ゼロでない場合には、ステップS44に移る。
ステップS43では、変速許可判定部19が変速許可の信号をATコントローラ2に出力する。その後、ステップS44に移る。
ステップS44では、実施例1のステップS14と同様に、摩擦ブレーキトルク指令値FB*を算出する(FB*=TQ*−RB*)。その後、ステップS45に移る。
ステップS45では、今回の制御周期で算出した各値Gs*、RB*等を記憶する。このように保存した値を次回の制御周期において使用する。
(本実施例2のタイムチャートおよび作用効果)
図11〜図13は、第1の変速終了後、第2の変速が要求されて実際に第2の変速が開始されるまでの間における、本実施例2のブレーキ制御を示すタイムチャートである。図11は、ブレーキストローク量Sが略一定である場合、図12は、ブレーキ制御中にブレーキペダルが踏み増された場合、図13は、ブレーキペダルが踏み戻された場合のタイムチャートである。
(ブレーキストローク量が略一定である場合のタイムチャート)
図11は、ブレーキストローク量Sが略一定であるため目標減速度の偏差ΔGs*が略ゼロ(ΔGs*≒0)の場合を示す。実施例1と同様、実線で本実施例2を、破線で従来技術を示す。
時刻t1に、第1の変速が終了する。時刻t5に、第2の変速が開始される。時刻t1からt5までの間に、ブレーキ制御を行う。
時刻t1において、第1の変速(4→3変速)が終了し、ブレーキ制御が開始される。目標減速度Gs*、その偏差ΔGs*、および目標ブレーキトルクTQ*が算出される(ステップS30、S31、S37)。全ての時点を通じて、目標減速度Gs*は略一定である(ΔGs*≒0)ため、目標減速度Gs*に基づき算出される目標ブレーキトルクTQ*も略一定である。また、偏差Gs*は略ゼロである(ΔGs*≒0)ため、値CRBInc算出用のマップ3において、基準線1を用いる。
時刻t1からt4までは、変速要求がないと判断し、回生ブレーキトルクRBを、制御周期ごとに値CRBIncずつ徐々に増加させる(ステップS38〜S40)。同時に、摩擦ブレーキアクチュエータFBatrの液圧を徐々に減少させ、摩擦ブレーキトルクFBを、制御周期ごとに値CRBIncずつ徐々に減少させる(ステップS44)。
時刻t1からt2までの間は、車速偏差ΔV(=|Vnext−Vcur|)が、マップ3に示す値ΔV1よりも大きいため、算出される値CRBIncは一定である(ステップS39)。よって、時間とともに、回生ブレーキトルク指令値RB*は一定の割合で増加すると同時に、摩擦ブレーキトルク指令値FB*は一定の割合で減少する(ステップS40、S44)。
時刻t2からt3までの間は、車速偏差ΔVが、マップ3に示す値ΔV1より小さく、かつ値ΔV3よりも大きいため、算出される値CRBIncは一定の割合で減少する(ステップS39)。よって、時間とともに、回生ブレーキトルク指令値RB*の増加率は徐々に減少すると同時に、摩擦ブレーキトルク指令値FB*の減少率の大きさは徐々に減少する(ステップS40、S44)。すなわち、摩擦ブレーキトルクFBから回生ブレーキトルクRBへの置き換え量が制限される。
時刻t3からt4までの間は、車速偏差ΔVが、マップ3に示す値ΔV3よりも小さいため、算出される値CRBIncはゼロで一定である(ステップS39)。よって、回生ブレーキトルク指令値RB*は一定値に保持される同時に、摩擦ブレーキトルク指令値FB*も一定値に保持される(ステップS40、S44)。
時刻t4において、現在車速Vcurが第2の変速要求車速Vnextにまで低下すると、第2の変速が要求される。よってt4以降、回生ブレーキトルクRBを、制御周期ごとに所定値CRBDecずつ徐々に減少させる(ステップS38、S41)。同時に、摩擦ブレーキアクチュエータFBatrの液圧を徐々に増加させ、摩擦ブレーキトルクFBを、制御周期ごとに所定値CRBDecずつ徐々に増加させる(ステップS44)。
時刻t5において、回生ブレーキトルク指令値RB*がゼロになり回生ブレーキトルクRBの減力が完了するとともに、摩擦ブレーキトルク指令値FB*が目標ブレーキトルクTQ*となり摩擦ブレーキトルクFBの増力が完了する。このように回生ブレーキから摩擦ブレーキへの切り替えが完了すると、第2の変速を開始する。
(ブレーキストローク量が略一定である場合の作用効果)
従来技術では、実施例1で説明したように、摩擦ブレーキトルク指令値FB*の時間変化を示す直線の傾きが、第2の変速要求があるt4の前後で、右肩上がり(減圧)から右肩下がり(増圧)へ急激に変化し、図11に示す角度αが比較的小さい。
これに対して、実施例2のブレーキ制御装置は、第1の変速が完了したt1後、第2の変速要求があるt4まで、摩擦ブレーキトルク指令値FB*の減少勾配を徐々に緩やかにすることにより、t4における摩擦ブレーキ圧の状態変化を緩和する。これにより、第2の変速要求時(t4直後)の摩擦ブレーキ増圧遅れを防止する。
すなわち、現在車速Vcurが次回の変速要求車速Vnextに近づくほど、摩擦ブレーキトルクFBから回生ブレーキトルクRBへの置き換え量を制限し、摩擦ブレーキトルク指令値FB*の減少勾配が徐々に緩やかになるように制御して、t4直前においては摩擦ブレーキトルク指令値FB*が一定になるようにした。これにより、第2の変速要求がなされるt4の前後で、摩擦ブレーキを減圧状態から増圧状態に急に切り替えることがない。摩擦ブレーキトルク指令値FB*の時間変化を示す直線の傾きは、t4の前後で、図11の平坦な状態(保持)から右肩下がり(増圧)へ緩やかに変化する。よって、図11に示す角度α2が比較的大きい(α2>α)。
このため、t4後、摩擦ブレーキトルク指令値FB*に対する摩擦ブレーキアクチュエータFBatrの増圧遅れが抑制され、第1の変速完了後、第2の変速要求があるまでの時間の長さに関わらず、車両減速度Gsが運転者の要求する目標減速度Gs*に対して不足する事態が防止される。
なお、摩擦ブレーキトルク指令値FB*の減少勾配が徐々に緩やかになるため、t1からt4までの摩擦ブレーキトルクRBの減少幅は従来技術よりも小さくなり、保持される摩擦ブレーキトルクFBの値は大きくなる。よって、第2の変速要求があったt4以降、摩擦ブレーキトルクFBの増力が完了するまでに要する時間(t4〜t5)も短くなる。言い換えれば、第2の変速要求があったt4後、実際に第2の変速を開始できるt5までの時間が、従来技術(t6)と比べて早まるため、変速の応答性がよい。
なお、実施例1と同様、第2の変速要求があったt4以降、摩擦ブレーキトルク指令値FB*の保持を所定時間継続する構成としてもよい。この場合、回生ブレーキトルクRBを保持する時間を実質的に長くすることになるため、実施例1と同様、回生エネルギーの積算量が増加し、その分だけ燃費の向上を図ることができる。
(ブレーキペダルが踏み増された場合のタイムチャート)
図12は、ブレーキ制御中に、ブレーキペダルが踏み増されたため、目標減速度の偏差ΔGs*が正値(ΔGs*>0)になった場合を示す。なお、偏差ΔGs*がゼロから正値に変化したにもかかわらずマップ3の基準線を変更しなかった場合、すなわち回生ブレーキトルク指令値RB*の増加量CRBIncを偏差ΔGs*の変化に基づいて補正しなかった場合を、破線で示す。
時刻t1からt3までの間は、目標減速度Gs*が略一定である(ΔGs*≒0)ため、値CRBInc算出用のマップ3において、基準線1を用いる。
時刻t1からt2までの間は、車速偏差ΔVがマップ3に示す値ΔV1よりも大きいため、回生ブレーキトルク指令値RB*は一定の割合で増加すると同時に、摩擦ブレーキトルク指令値FB*は一定の割合で減少する(ステップS40、S44)。
時刻t2からt3までの間は、車速偏差ΔVが、マップ3に示す値ΔV1より小さく、かつ値ΔV3よりも大きいため、回生ブレーキトルク指令値RB*の増加率は徐々に減少すると同時に、摩擦ブレーキトルク指令値FB*の減少率の大きさは徐々に減少する(ステップS40、S44)。
時刻t3からt6までの間は、ブレーキペダルが踏み増され、各制御周期における目標減速度の偏差ΔGs*が正値(ΔGs*>0)になる。なお、各制御周期で偏差ΔGs*は略一定であり、目標ブレーキトルクTQ*も略一定の割合で増加するものと仮定する。
時刻t3から、第2の変速要求がある時刻t5までの間は、偏差ΔGs*が正値(ΔGs*>0)であるため、値CRBInc算出用のマップ3において基準線2を用いる。よって、基準線変更後の値CRBIncは正方向側に修正される。すなわち、時刻t3からt5までの間における回生ブレーキトルク指令値RB*の増加率および摩擦ブレーキトルク指令値FB*の減少率は、基準線を変更しなかった場合(破線)よりも大きくなる。
摩擦ブレーキトルク指令値FB*は、目標ブレーキトルクTQ*から回生ブレーキトルク指令値RB*を差し引いて算出される。また、時刻t3からt5までの間、目標ブレーキトルクTQ*は略一定の割合で増加している。このため、基準線の変更により回生ブレーキトルク指令値RB*の増加率を急に増大させた場合でも、基準線変更の時刻t3の前後で、摩擦ブレーキトルク指令値FB*の減少率の急激な変化は抑制され、摩擦ブレーキトルク指令値FB*はほぼ一定割合で減少し続ける。よって、ブレーキペダル踏み増しの前後で、基準線を変更しない場合(破線)に比べ、摩擦ブレーキの状態変化は抑制される。
また、時刻t3からt5までの間は、マップ3を用いて回生ブレーキトルクRBへの置き換え量を制限することにより、回生ブレーキトルク指令値RB*の増加率および摩擦ブレーキトルク指令値FB*の減少率の、それぞれの変化勾配が緩やかになる。すなわち、時刻t3からt4までの間は、車速偏差ΔVが、マップ3に示す値ΔV1より小さく、かつ値ΔV3よりも大きいため、摩擦ブレーキトルク指令値FB*の減少勾配は緩やかである(ステップS40、S44)。
また、時刻t4からt5までの間は、車速偏差ΔVがΔV3よりも小さいため、算出される値CRBIncは一定値である(ステップS39)。よって、回生ブレーキトルク指令値RB*は一定の割合CRBIncで増加すると同時に、摩擦ブレーキトルク指令値FB*は略一定の割合で減少または増加(目標ブレーキトルクTQ*の増加率が回生ブレーキトルク指令値RB*の増加率CRBIncよりも大きいとき)する(ステップS40、S44)。
よって、第2の変速要求があるt5の前後で、摩擦ブレーキを急な減圧状態から増圧状態に切り替えることがない。言い換えると、図12に示す角度α2' が従来技術における角度α(図11参照)よりも大きい(α2'>α)。
時刻t5において、現在車速Vcurが第2の変速要求車速Vnextにまで低下すると、第2の変速が要求されるため、t5以降、回生ブレーキトルクRBを値CRBDecずつ徐々に減少させる(ステップS38、S41)。同時に、摩擦ブレーキトルクFBを値CRBDecずつ徐々に増加させる(ステップS44)。
時刻t6において、目標減速度Gs*の増加が終了し、目標減速度Gs*が略一定となる(ΔGs*≒0)。時刻t7において、回生ブレーキトルクRBの減力および摩擦ブレーキトルクFBの増力が完了すると、第2の変速を開始する。
(ブレーキペダルが踏み増された場合の作用効果)
ブレーキペダルが踏み増されている間は、目標ブレーキトルクTQ*が増加していく。ここで、マップ3の基準線1を変更せずそのまま用いた場合、図12の破線に示すように、回生ブレーキトルク指令値RB*の増加勾配CRBIncの補正量は、目標ブレーキトルクTQ*の増加の前後で小さいままである。よって、目標ブレーキトルクTQ*の増加量のうち、回生ブレーキトルク指令値RB*の増加では足りない分だけ、摩擦ブレーキトルク指令値FB*を増加する必要がある。言い換えると、この場合、目標ブレーキトルクTQ*の増加分を、回生ブレーキトルクRBではなく摩擦ブレーキトルクFBの増加により補うことになる。
ここで、第2の変速要求時に摩擦ブレーキトルク指令値FB*の変化が抑制されることにより摩擦ブレーキの増圧遅れが防止される限り、ブレーキペダル踏み増しによる目標ブレーキトルクTQ*の増加分を、摩擦ブレーキトルクFBの増加によってではなく回生ブレーキトルクRBの増加によって補ってもよい。このように、目標ブレーキトルクTQ*に対する回生ブレーキトルクRBの担当割合を増加させることにより、その分だけ回生エネルギーが増大し、燃費を向上することができる。
本実施例2では、ブレーキペダルが踏み増されて目標ブレーキトルクTQ*および目標減速度Gs*が増加したときは、摩擦ブレーキトルクFBから回生ブレーキトルクRBへの置き換え量の制限を弱くし、回生ブレーキトルク指令値RB*の増加率が大きくなるとともに目標ブレーキトルクTQ*に対する摩擦ブレーキトルク指令値FB*の減少率が大きくなるように、マップ3における基準線を変更する。これにより、ブレーキ制御中における回生ブレーキトルクRBの担当割合を増加させ、回生エネルギーを増大させる。具体的には、目標ブレーキトルクTQ*が増加し始める時刻t3から第2の変速が開始される時刻t7までの間で、基準線を変更しない場合よりも回生ブレーキトルク指令値RB*が増加するため、図12の斜線部分に示す分だけ回生エネルギーが増大する。
ここで、ブレーキストローク量Sが略一定である場合と同様、目標ブレーキトルクTQ*の増加開始時t3および第2の変速要求時t5の前後において、摩擦ブレーキトルク指令値FB*の変化勾配(減少勾配または増加勾配)の変化が緩やかになるよう制御している。このため、ブレーキ制御中、特に、第2の変速要求があるt5の前後で、摩擦ブレーキトルク指令値FB*が急激に変化することはない(α2'>α)。よって、摩擦ブレーキの状態変化が抑制され、摩擦ブレーキの増圧応答性が確保される。
(ブレーキペダルが踏み戻された場合のタイムチャート)
図13は、ブレーキペダルが踏み戻されたため目標減速度の偏差ΔGs*が負値(ΔGs*<0)になった場合を示す。なお、偏差ΔGs*がゼロから負値に変化したにもかかわらずマップ3の基準線を変更しなかった場合、すなわち回生ブレーキトルク指令値RB*の増加量CRBIncを偏差ΔGs*の変化に基づいて補正しなかった場合を、破線で示す。
時刻t1からt3までの間は、目標減速度Gs*が略一定である(ΔGs*≒0)ため、値CRBInc算出用のマップ3において、基準線1を用いる。時刻t2からt3までの間、回生ブレーキトルク指令値RB*の増加率は徐々に減少すると同時に、摩擦ブレーキトルク指令値FB*の減少率は徐々に減少する(ステップS40、S44)。
時刻t3からt7までの間、ブレーキペダルが踏み戻され、目標減速度の偏差ΔGs*が負値(ΔGs*<0)になる。よって、時刻t3から、第2の変速要求がある時刻t6までの間は、マップ3において基準線3を用いる。基準線が下側にずれるため、基準線変更後の値CRBIncも負方向側に修正される。よって、時刻t3からt6までの間における回生ブレーキトルク指令値RB*の増加率および摩擦ブレーキトルク指令値FB*の減少率は、基準線を変更しなかった場合(破線)よりも小さくなる。
時刻t3からt6までの間、目標ブレーキトルクTQ*は略一定の割合で減少するが、その一方で、基準線の変更により回生ブレーキトルク指令値RB*の増加率が抑制される。よって、目標ブレーキトルクTQ*が減少し始めるt3後においても、摩擦ブレーキトルク指令値FB*の減少率は抑制され、、摩擦ブレーキトルク指令値FB*は急激には減少しない。したがって、t3の前後で、基準線を変更しない場合(破線)に対し、摩擦ブレーキの状態変化は抑制される。
また、時刻t3からt6までの間は、マップ3を用いて回生ブレーキトルクRBへの置き換え量を制限することにより、回生ブレーキトルク指令値RB*の増加率および摩擦ブレーキトルク指令値FB*の減少率の、それぞれの変化勾配が緩やかになる。ΔVがΔV2以下となるt4以降、基準線3に基づいて算出される値CRBIncは負に転じ、回生ブレーキトルク指令値RB*も減少に転じる。
また、時刻t5からt6までの間は、車速偏差ΔVが、マップ3に示す値ΔV3よりも小さいため、マップ3を用いて算出される値CRBIncは負の一定値をとる(ステップS39)。よって、回生ブレーキトルク指令値RB*は一定の割合CRBIncで減少すると同時に、摩擦ブレーキトルク指令値FB*は略一定の割合で減少または増加(目標ブレーキトルクTQ*の減少率が回生ブレーキトルク指令値RB*の減少率CRBIncよりも小さいとき)する(ステップS40、S44)。
よって、第2の変速要求があるt6の前後で、摩擦ブレーキを急な減圧状態から増圧状態に切り替えることがない。言い換えると、図13に示す角度α2" が、基準線を変更しない場合の角度α'よりも大きい(α2">α' )。
時刻t6において、現在車速Vcurが第2の変速要求車速Vnextにまで低下すると、第2の変速が要求され、t6以降、回生ブレーキトルクRBを値CRBDecずつ徐々に減少させる(ステップS38、S41)。同時に、摩擦ブレーキトルクFBを、値CRBDecから目標ブレーキトルクTQ*の減少率を差し引いた分だけ、徐々に増加させる(ステップS44)。
時刻t7において、目標減速度Gs*の減少が終了し、目標減速度Gs*が略一定となる(ΔGs*≒0)。時刻t8において、回生ブレーキトルクRBの減力および摩擦ブレーキトルクFBの増力が完了すると、第2の変速を開始する。
(ブレーキペダルが踏み戻された場合の作用効果)
ブレーキ制御中に、ブレーキペダルが踏み戻されて目標ブレーキトルクTQ*が減少する場合、回生ブレーキトルクRBへの置き換え量を制限して摩擦ブレーキトルク指令値FB*の減少勾配を徐々に緩やかにする制御を行ったときでも、摩擦ブレーキの状態変化を充分に抑制できないおそれがある。すなわち、この場合、図13の破線(角度α' )に示すように、第2の変速要求時t6の直前における摩擦ブレーキトルク指令値FB*の減少勾配を充分に小さくできないおそれが生じる。
本実施例2では、ブレーキペダルが踏み戻されたとき、マップ3の基準線を下側(負方向側)の基準線3に変更することにより、摩擦ブレーキトルクFBから回生ブレーキトルクRBへの置き換え量の制限を強くし、回生ブレーキトルク指令値RB*の増加率CRBIncを減少させるとともに目標ブレーキトルクTQ*に対する摩擦ブレーキトルクFBの減少率を減少させる。さらに、第2の変速要求があるt6の直前においては値CRBIncを負に設定して回生ブレーキトルク指令値RB*を減少させる。よって、ブレーキストローク量Sが略一定である場合と同様、第2の変速要求時t6の前後において、摩擦ブレーキトルク指令値FB*の変化勾配(減少勾配または増加勾配)の変化が緩やかになる。
このため、基準線を変更しない場合(破線)に比べ、摩擦ブレーキトルク指令値FB*が減少から増加へ急激に変化することはない(α2">α' )。したがって、摩擦ブレーキの状態変化が抑制され、摩擦ブレーキの増圧応答性が確保される。
なお、実施例1と同様、第2の変速要求があったt6以降、摩擦ブレーキトルク指令値FB*の保持を所定時間継続する構成としてもよい。この場合、回生ブレーキトルクRBを保持する時間を実質的に長くすることになるため、実施例1と同様、回生エネルギーの積算量が増加し、その分だけ燃費の向上を図ることができる。
[実施例2の効果]
本実施例2のブレーキ制御装置は、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)本実施例2の車両減速度低下防止手段(ブレーキコントローラ1の各部11〜19、ATコントローラ2の各部21〜25)は、第1の変速終了後の上記第3制御中に、第2の変速が要求されるまでの間、回生ブレーキトルク指令値RB*の時間当たり変化量が徐々に小さくなるように補正することにより、摩擦ブレーキトルク指令値FB*の時間当たり変化量を徐々に小さくする回生ブレーキトルク目標値補正手段(指令値補正部16a、ステップS39、S40等)を有することとした。
すなわち、本実施例2のブレーキ制御装置の回生ブレーキトルク指令値算出部15は、マップ3を用いて、車速偏差ΔVに基づき、回生ブレーキトルク指令値RB*の増加量CRBIncを算出する指令値補正部15aを有することとした。図11に示すように、第1の変速が完了したt1後、第2の変速要求があるt4まで、摩擦ブレーキトルク指令値FB*の減少勾配を徐々に緩やかにすることにより、t4における摩擦ブレーキ圧の状態変化を緩和する。これにより、第2の変速要求時(t4直後)の摩擦ブレーキ増圧遅れを防止する。したがって、第1の変速完了後、第2の変速要求があるまでの時間の長さに関わらず、運転者の要求する車両減速度Gsを満足させることができる。また、第2の変速要求があったt4後、実際に第2の変速を開始できるt5までの時間が早まるため、変速の応答性がよい、という効果を有する。
(2)上記回生ブレーキトルク目標値補正手段は、運転者のブレーキ踏み増しにより目標減速度Gs*が増加するとき、回生ブレーキトルク指令値RB*の時間当たり変化量を大きく設定することとした。
すなわち、指令値補正部15aは、マップ3の基準線を目標減速度偏差ΔGs*に応じて変更し、目標減速度偏差ΔGs*が正値(ΔGs*>0)のときには上側、すなわち正方向側にずらすこととした。このように基準線を変更することにより、ブレーキペダルが踏み増されて目標減速度Gs*が増加したときは、回生ブレーキトルク指令値RB*の時間当たり変化量(CRBIncに相当)が、第2の変速要求があるまでの間(ΔV)のすべての領域にわたって大きく設定される。これにより、ブレーキ制御中に、摩擦ブレーキの増圧応答性を確保しつつ、回生ブレーキトルクRBの担当割合を増加させ、回生エネルギーを増大させることができる、という効果を有する。
(3)上記回生ブレーキトルク目標値補正手段は、運転者のブレーキ踏み戻しにより目標減速度Gs*が減少するとき、回生ブレーキトルク指令値RB*の時間当たり変化量を小さく設定することにより、目標ブレーキトルクTQ*に対する摩擦ブレーキトルク指令値FB*の時間当たり変化量を小さく設定することとした。
すなわち、指令値補正部15aは、マップ3の基準線を目標減速度偏差ΔGs*に応じて変更し、目標減速度偏差ΔGs*が負値(ΔGs*<0)のときには下側、すなわち負方向側にずらすこととした。このように基準線を変更することにより、ブレーキペダルが踏み戻されて目標減速度Gs*が減少したときは、回生ブレーキトルク指令値RB*の時間当たり変化量(CRBIncに相当)が、第2の変速要求があるまでの間(ΔV)のすべての領域にわたって小さく設定される。これにより、摩擦ブレーキトルク指令値FB*が減少から増加へ急激に変化することがなくなり、摩擦ブレーキの状態変化が抑制され、摩擦ブレーキの増圧応答性が確保される。よって、運転者の要求する車両減速度Gsを満足させることができる、という効果を有する。
実施例3のブレーキ制御装置は、第1の変速完了後、第2の変速要求よりも早いタイミングで回生ブレーキから摩擦ブレーキへの切り替えを開始することにより、第2の変速要求時における摩擦ブレーキの増圧遅れを防止する。
[実施例3の構成]
実施例3のブレーキ制御装置の構成は、実施例1と同様である(図1、図2参照)。
実施例3の回生ブレーキトルク指令値算出部16は、図外の摩擦ブレーキ必要増圧勾配推定部16bを有している。回生ブレーキトルク指令値算出部16は、摩擦ブレーキ必要増圧勾配推定部16bの推定結果に基づき、回生ブレーキトルクの指令値RB*を算出する。
[実施例3の作用]
以下、実施例3の車両において、運転者がブレーキペダルを踏み込んで制動力を作用させている最中のブレーキ制御を説明する。図14は、制御の流れを示すフローチャートである。この演算は、所定時間毎に繰り返し実行される。
ステップS71〜S74は、実施例1のステップS1〜S4と同様である(図5参照)。
ステップS75は、実施例1のステップS6と同様であり、最大回生可能トルクRBmaxを算出する。その後、ステップS76に移る。
ステップS76〜S79は、実施例1のステップS8〜S11と同様であり、次回の変速要求があるまでの時間Tnextを算出する。その後、ステップS80に移る。
ステップS80では、次回変速要求までの時間Tnextに所定時間Cftdelayを加算することにより、回生ブレーキから摩擦ブレーキへの切り替え(摩擦ブレーキの増力)が完了しなければならないタイミングまでの時間Tfbnextを算出する。具体的には、Tfbnext=Tnext+Cftdelayにより算出する。さらに時間Tfbnextを制御周期(ms)で除することによって制御周期の回数に換算する。その後、ステップS81に移る。
なお、所定時間Cftdelayは、次回の変速が要求されてから実際に次回の変速が開始されるまでの時間を補償する成分であり、例えば自動変速機ATの摩擦締結要素のプリチャージ制御に必要な時間等に相当する。
ステップS81では、摩擦ブレーキ必要増圧勾配Degpincを推定する。すなわち摩擦ブレーキへの切り替え完了までの要求時間Tfbnext内に摩擦ブレーキの増圧完了を可能とするような、各制御周期における摩擦ブレーキトルク指令値FB*の増加勾配(増大ステップ)を推定する。具体的には、前回制御周期における回生ブレーキトルク指令値RB*(n-1)と上記換算後の要求時間Tfbnextとに基づき、Degpinc=RB*(n-1)/ Tfbnextにより推定する。その後、ステップS82に移る。
なお、前回制御周期における回生ブレーキトルク指令値RB*(n-1)と今回制御周期における回生ブレーキトルク指令値RB*とは、互いに近似できる。
ステップS82では、実施例1のステップS5と同様に、ATコントローラ2からの変速要求の有無を検出する。変速要求がなければ、ステップS83に移る。変速要求があれば、ステップS85に移る。
(変速要求がない場合)
ステップS83、S84、S87〜S90は、変速要求がない場合における、摩擦ブレーキトルク指令値FB*算出の流れを示す。
ステップS83では、実施例1のステップS7と同様に、回生ブレーキトルクRBの増力完了を判断する。増力が未完了と判断した場合はステップS84に移り、増力完了と判断した場合は、ステップS89に移る。
(回生ブレーキトルクの増力が完了している場合)
ステップS89、S90では、実施例1のステップS13、S14と同様に、回生ブレーキトルク指令値RB*(RB*=RBmax)および摩擦ブレーキトルク指令値FB*(FB*=TQ*−RB*)を算出する。その後、ステップS91に移る。
(回生ブレーキトルクの増力が未完了の場合)
ステップS84では、摩擦ブレーキの減力から増力への切り替え、すなわち摩擦ブレーキトルク指令値FB*の減少から増加への切り替えが必要となったか否かを判断する。具体的には、推定した摩擦ブレーキ必要増圧勾配Degpincが所定勾配Cdegpinc未満である場合は、切り替えが不要であると判断し、ステップS87に移る。一方、上記勾配Degpincが所定勾配Cdegpincと一致した場合は、切り替えが必要であると判断し、ステップS85に移る。
ここで、所定勾配Cdegpincは、摩擦ブレーキの減力から(上記勾配Cdegpincでの)増力へ切り替える際に、摩擦ブレーキアクチュエータFBAtrの増圧遅れが抑制され、車両減速度Gsが目標減速度Gs*に対して不足しないような範囲で設定されている(図15参照)。
(切り替えが必要な場合)
ステップS85では、回生ブレーキトルク指令値RB*を、前回の算出値RB*(n-1)から摩擦ブレーキ必要増圧勾配Degpincだけ減少させる(RB*=RB*(n-1)−Degpinc)。その後、ステップS86に移る。
ステップS86では、実施例1のステップS14等と同様に、FB*=TQ*−RB*により摩擦ブレーキトルク指令値FB*を算出する。その後、ステップS91に移る。
(切り替えが不要な場合)
ステップS87では、実施例1のステップS15と同様に、回生ブレーキトルク指令値RB*を、前回の算出値RB*(n-1)から所定値CRBIncだけ増加させる(RB*=RB*(n-1)+CRBInc)。その後、ステップS88に移る。
ステップS88では、ステップS86と同様に、摩擦ブレーキトルク指令値FB*を算出した後、ステップS91に移る。
ステップS91、S92では、実施例1のステップS21、S22と同様に、回生ブレーキトルク指令値RB*および摩擦ブレーキトルク指令値FB*を出力して、今回の制御周期を終了する。
(タイムチャート)
図15は、本実施例3のブレーキ制御を、従来技術と対比して示したタイムチャートである。
時刻t1に、第1の変速が終了する。時刻t4に、第2の変速が開始される。変速が行われていない時刻t1からt4までの間に、ブレーキ制御を行う。
時刻t1において、第1の変速(4→3変速)が終了し、ブレーキ制御が開始される。時刻t1からt2までの間は、所定勾配Cdegpincのほうが摩擦ブレーキ必要増圧勾配Degpincよりも大きいため、回生ブレーキトルクRBを、制御周期ごとに所定値CRBIncずつ徐々に増加させる(ステップS82〜S84、S87、S91)。同時に、摩擦ブレーキトルクFBを、制御周期ごとに所定値CRBIncずつ徐々に減少させる(ステップS88、S92)。
時刻t2では、摩擦ブレーキ必要増圧勾配Degpincが所定勾配Cdegpincと一致するため、摩擦ブレーキの減力から増力への切り替え、すなわち摩擦ブレーキトルク指令値FB*の減少から増加への切り替えを実行する。すなわち、時刻t2以降、回生ブレーキトルクRBを、制御周期ごとに上記勾配Degpinc(=Cdegpinc)ずつ徐々に減少させる(ステップS84、S85、S91)。同時に、摩擦ブレーキトルクFBを、制御周期ごとに上記勾配Degpinc(=Cdegpinc)ずつ徐々に増加させる(ステップS86、S92)。
時刻t3において、現在車速Vcurが第2の変速要求車速Vnextにまで低下すると、第2の変速が要求される(ステップS82)。第2の変速要求があると、t3以前と同様に、回生ブレーキトルクRBを、制御周期ごとに上記勾配Degpinc(=Cdegpinc)ずつ徐々に減少させる(ステップS85、S91)。同時に、摩擦ブレーキトルクFBを、制御周期ごとに上記勾配Degpinc(=Cdegpinc)ずつ徐々に増加させる(ステップS86、S92)。
時刻t4において、回生ブレーキトルクRBがゼロになり回生ブレーキトルクRBの減力が完了すると同時に、摩擦ブレーキトルクFBが目標ブレーキトルクTQ*となり摩擦ブレーキトルクFBの増力が完了する。このように回生ブレーキから摩擦ブレーキへの切り替えが完了すると、第2の変速を開始する。
(従来技術との対比における本実施例1の作用効果)
本実施例3のブレーキ制御装置は、第1の変速が完了したt1後、第2の変速要求があるt3よりも早いタイミングのt2で摩擦ブレーキを減力から増力へ切り替え、回生ブレーキから摩擦ブレーキへ切り替えを開始することにより、ブレーキ制御時の摩擦ブレーキ増圧遅れを防止する。
すなわち、第1の変速完了後、回生ブレーキから摩擦ブレーキへの切り替え完了までの要求時間Tfbnextを算出し、摩擦ブレーキの必要増圧勾配Degpincを推定する。さらに所定の増圧勾配Cdegpincを設けて、DegpincがCdegpincと一致するようになった時刻t2から、摩擦ブレーキトルク指令値FB*を所定勾配Degpinc=Cdegpincで増加させることとした。
よって、摩擦ブレーキの減力から増力への切り替え時刻t2の前後において、摩擦ブレーキを減圧状態から増圧状態に急に切り替えることがない。すなわち、上記のように、所定勾配Cdegpincは所定範囲内で充分に小さく設定されているため、摩擦ブレーキトルク指令値FB*の時間変化を示す直線の傾きは、t2の前後で、図15の右肩上がり(減圧)から右肩下がり(増圧)へ緩やかに変化する。よって、図15に示す角度α3が、従来技術に比べて大きい(α3>α)。
このため、t2後、摩擦ブレーキトルク指令値FB*に対する摩擦ブレーキアクチュエータFBatrの増圧遅れが抑制され、第1の変速完了後、第2の変速要求があるまでの時間Tnextの長さに関わらず、車両減速度Gsが運転者の要求する目標減速度Gs*に対して不足する事態が防止される。
(補足説明)
従来技術においては、強い減速が要求される場合、すなわちブレーキストローク量Sが大きく目標減速度Gs*が大きい場合には、第1の変速が完了し、摩擦ブレーキから回生ブレーキに切り替えている最中に第2の変速要求がなされ、摩擦ブレーキの増圧遅れが発生するおそれがある。
本実施例3のブレーキ制御装置においては、回生ブレーキから摩擦ブレーキへの切り替え完了までの要求時間Tfbnextは、目標減速度Gs*に基づき算出される(Tnext=ΔV/Gs*、Tfbnext=Tnext+Cftdelay)。目標減速度Gs*が大きい場合、算出されるTfbnextはその分だけ小さくなり、推定される増圧勾配Degpincは大きくなる(Degpinc=RB*(n-1)/ Tfbnext)。よって、目標減速度Gs*が大きいほど、Degpincが所定勾配Cdegpincと一致するt2までの時間が短くなり、摩擦ブレーキトルクFBの増力を開始するタイミングはそれだけ早まる。言い換えると、目標減速度Gs*が大きく、第2の変速要求がなされるまでの時間Tnextが短い場合でも、必ず摩擦ブレーキトルクFBの増圧開始時t2における増圧勾配を緩やかにできる。したがって、目標減速度Gs*の大きさに関わらず、実際の車両減速度Gsが運転者の要求する目標減速度Gs*に対して不足する事態が防止される。
なお、所定勾配Cdegpincの大きさは、実施例1の所定保持時間Choldの長さと同様、燃費の向上および車両減速度不足の効果的な防止等を衡量して設定される。
また、従来技術においては、回生ブレーキから摩擦ブレーキへ切り替えて摩擦ブレーキの増圧を開始する時刻t3における回生ブレーキトルクRBが大きい(摩擦ブレーキトルクFBが小さい)ほど、t3後の摩擦ブレーキの増圧勾配が大きくなる(角度αが小さくなる)。このため、摩擦ブレーキの増圧遅れが発生しやすい。
本実施例3のブレーキ制御装置においては、回生ブレーキトルク指令値RB*が大きいほど、推定される増圧勾配Degpincは大きくなる(Degpinc=RB*(n-1)/ Tfbnext)。よって、Degpincが所定勾配Cdegpincと一致するt2までの時間が短くなり、摩擦ブレーキトルクFBの増力を開始するタイミングはそれだけ早まる。言い換えると、第1の変速完了後、回生ブレーキトルクRBが不必要に大きくなった時点で摩擦ブレーキの増力を開始するおそれはなく、必ず摩擦ブレーキトルクFBの増圧開始時t2における増圧勾配を緩やかにできる(α3>α)。したがって、実際の車両減速度Gsが運転者の要求する目標減速度Gs*に対して不足する事態が防止される。
例えば、自動変速機ATのシフト位置が低速段側でありギヤ比(減速比)Gratioが大きい場合には、タイヤ端において出力される回生ブレーキトルクRBは、シフト位置が高速段側でありギヤ比Gratioが小さい場合よりも大きくなる。モータジェネレータMGの出力軸に同じ大きさの回生トルクが出力されているときでも、モータジェネレータMGの出力回転数(自動変速機ATへの入力回転数)は、低速段側のほうが高速段側よりも大きい(一方、タイヤ端の出力回転数(自動変速機ATの出力回転数)は同じである)からである。
よって、従来技術においては、例えば第1の変速が4→3変速であるときよりも、3→2変速であるときの方が、タイヤ端での回生ブレーキトルクRBが大きくなる。したがって、ギヤ比Gratioが大きいほど、回生ブレーキから摩擦ブレーキへの切り替え時刻t3における回生ブレーキトルクRBが大きくなり、上記のように摩擦ブレーキの増圧遅れが発生しやすい。
本実施例3のブレーキ制御装置においては、推定した増圧勾配Degpincと所定勾配Cdegpincとの比較に基づき、摩擦ブレーキトルクFBの増力開始タイミングt2を決定する。ギヤ比Gratioが大きいほど回生ブレーキトルクRBは大きくなるが、上記のように、回生ブレーキトルク指令値RB*が大きいほどDegpincを大きく推定する(Degpinc=RB*(n-1)/ Tfbnext)ため、回生ブレーキトルクRBが不必要に大きくなった時点で摩擦ブレーキの増力を開始するおそれはなく、必ず摩擦ブレーキトルクFBの増圧開始時t2における増圧勾配を緩やかにできる(α3>α)。したがって、実際の車両減速度Gsが運転者の要求する目標減速度Gs*に対して不足する事態が防止される。
[実施例3の効果]
本実施例3のブレーキ制御装置は、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)本実施例3の車両減速度低下防止手段(ブレーキコントローラ1の各部11〜19、ATコントローラ2の各部21〜25)は、第1の変速終了後の上記第3制御中に、第2の変速が要求される以前の所定の時刻に、摩擦ブレーキトルク指令値FB*を減少から増加に切り換える摩擦ブレーキトルク切換開始時制御手段(ステップS80、S81、S84〜S86等)を有することとした。
すなわち、本実施例3のブレーキ制御装置の回生ブレーキトルク指令値算出部15は、回生ブレーキから摩擦ブレーキへの切り替え完了までの要求時間Tfbnextを算出し、この要求時間Tfbnextに基づき摩擦ブレーキトルクFBの増圧勾配Degpincを推定する摩擦ブレーキ必要増圧勾配推定部16bを有することとした。また、回生ブレーキトルク指令値算出部15は、この推定勾配Degpincに基づき、摩擦ブレーキトルクFBの増力を開始するタイミングを決定することとした。所定の増圧勾配Cdegpincを設けて、DegpincがCdegpincと一致するようになった時点t2から、摩擦ブレーキトルク指令値FB*を所定勾配Degpinc=Cdegpincで増加させる。これにより、摩擦ブレーキの減力から増力への切り替え時点t2の前後において、摩擦ブレーキを減圧状態から増圧状態に急に切り替えることがない。このため、t2後、摩擦ブレーキトルク指令値FB*に対する摩擦ブレーキアクチュエータFBatrの増圧遅れが抑制され、第1の変速完了後、第2の変速要求があるまでの時間Tnextの長さに関わらず、運転者の要求する車両減速度Gsを満足させることができる、という効果を有する。
(2)上記摩擦ブレーキトルク切換開始時制御手段は、目標減速度Gs*が大きいほど摩擦ブレーキトルク指令値FB*の減少から増加への切換を開始する時刻を早めることとした(ステップS79〜S81等)。
すなわち、回生ブレーキから摩擦ブレーキへの切り替え完了までの要求時間Tfbnextを、目標減速度Gs*に基づき算出することとした(Tnext=ΔV/Gs*、Tfbnext=Tnext+Cftdelay)。ブレーキストローク量Sが大きく目標減速度Gs*が大きい場合、算出されるTfbnextはその分だけ小さくなり、推定される増圧勾配Degpincは大きくなる(Degpinc=RB*(n-1)/ Tfbnext)。よって、目標減速度Gs*が大きいほど、Degpincが所定勾配Cdegpincと一致するt2までの時間が短くなり、摩擦ブレーキトルクFBの増力を開始するタイミングはそれだけ早まる。言い換えると、目標減速度Gs*が大きく、第2の変速要求がなされるまでの時間が短い場合でも、必ず摩擦ブレーキトルクFBの増圧開始時t2における増圧勾配を緩やかにできる。したがって、目標減速度Gs*の大きさに関わらず、運転者の要求する車両減速度Gsを満足させることができる、という効果を有する。
(3)上記摩擦ブレーキトルク切換開始時制御手段は、回生ブレーキトルク指令値RB*が大きいほど摩擦ブレーキトルク指令値FB*の減少から増加への切換を開始する時刻を早めることとした(ステップS81等)。
すなわち、回生ブレーキトルク指令値RB*が大きいほど、推定される増圧勾配Degpincが大きくなることとした(Degpinc=RB*(n-1)/ Tfbnext)。よって、回生ブレーキトルク指令値RB*が大きいほど、Degpincが所定勾配Cdegpincと一致するt2までの時間が短くなり、摩擦ブレーキトルクFBの増力を開始するタイミングはそれだけ早まる。言い換えると、摩擦ブレーキトルクFBの増圧開始時t2における増圧勾配を緩やかにできる(α3>α)。したがって、運転者の要求する車両減速度Gsを満足させることができる、という効果を有する。
(4)上記摩擦ブレーキトルク切換開始時制御手段は、自動変速機ATの減速比(ギヤ比Gratio)が大きいほど摩擦ブレーキトルク指令値FB*の減少から増加への切換を開始する時刻を早めることとした(ステップS81等)。
よって、回生ブレーキトルク指令値RB*が大きくなるギヤ比Gratio大の場合も、上記(3)のように、摩擦ブレーキトルクFBの増圧開始時t2における増圧勾配を緩やかにできる(α3>α)。したがって、運転者の要求する車両減速度Gsを満足させることができる、という効果を有する。
以上、本発明のブレーキ制御装置を実施例1ないし3に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施例1〜3では、自動変速機として有段式自動変速機を備えた車両に本発明のブレーキ制御装置を適用した構成を示したが、マニュアルモード付のベルト式無段変速機CVT等を備えた車両に本発明のブレーキ制御装置を適用することとしてもよい。これらのベルト式無段変速機CVT等においても、ギヤ比をステップ的に変更する(ステップ的に異なる変速段により変速する)ことが行われ、回生協調ブレーキ制御中に変速が要求されうるからである。
本発明のブレーキ制御装置が適用された後輪駆動車両の概略システム図である。 本発明のブレーキコントローラおよびATコントローラの構成を示すブロック図である。 本発明の自動変速機のシフトマップである。 本発明の目標減速度算出部において目標減速度算出に用いられるマップである。 実施例1のブレーキ制御の流れを示すメインフローチャートである。 実施例1のブレーキ制御における最大回生可能トルク算出の流れを示すサブフローチャートである。 実施例1のブレーキ制御における回生ユニット側の最大回生可能トルク算出の流れを示すサブフローチャートである。 実施例1のブレーキ制御を従来技術と対比して示したタイムチャートである。 実施例1の摩擦ブレーキ応答性の実験結果を従来技術と対比して示したグラフである。 実施例2のブレーキ制御の流れを示すメインフローチャートである。 実施例2のブレーキ制御(ブレーキストローク量が略一定の場合)を従来技術と対比して示したタイムチャートである。 実施例2のブレーキ制御(ブレーキペダルが踏み増された場合)を補正前と対比して示したタイムチャートである。 実施例2のブレーキ制御(ブレーキペダルが踏み戻された場合)を補正前と対比して示したタイムチャートである。 実施例3のブレーキ制御の流れを示すメインフローチャートである。 実施例3のブレーキ制御を従来技術と対比して示したタイムチャートである。
符号の説明
MG モータジェネレータ
F/D ファイナルギヤ・ディファレンシャル
DSL 左ドライブシャフト
DSR 右ドライブシャフト
RL 左後輪(駆動輪)
RR 右後輪(駆動輪)
FBatr 摩擦ブレーキアクチュエータ
1 ブレーキコントローラ
2 ATコントローラ
11 目標減速度算出部
12 目標ブレーキトルク算出部
13 変速要求算出部
14 最大回生可能トルク算出部
15 次回変速要求時間算出部
16 回生ブレーキトルク指令値算出部
17 摩擦ブレーキトルク指令値算出部
18 回生ブレーキトルク増力完了判定部
19 変速許可判定部
21 現在車速検出部
22 次回変速要求車速算出部
23 現在シフト位置検出部
24 次回シフト位置算出部
25 モータ回転数検出部
31 ブレーキストロークセンサ
32 車輪速センサ
34 アクセル開度センサ
35 車速センサ
36 モータ回転数センサ

Claims (11)

  1. モータジェネレータと駆動輪との間に介装され前記モータジェネレータの出力回転を少なくとも2速の変速段により変速して前記駆動輪に伝達する自動変速機と、
    前記自動変速機による変速を制御する変速制御手段と、
    油圧制御されるアクチュエータにより前記駆動輪に摩擦ブレーキトルクを発生させる摩擦ブレーキと、
    前記モータジェネレータが発生する回生トルクにより前記駆動輪に出力される回生ブレーキトルクを制御する回生ブレーキトルク制御手段と、
    前記摩擦ブレーキトルクを制御する摩擦ブレーキトルク制御手段と、
    運転者のブレーキ操作に応じた車両の目標減速度を達成する前記駆動輪の目標ブレーキトルクを算出する目標ブレーキトルク算出手段と、
    前記回生ブレーキトルクが前記駆動輪に出力されている最中に変速が要求されたとき、前記目標ブレーキトルクにおける前記回生ブレーキトルク目標値の割合を減少させるとともに前記摩擦ブレーキトルク目標値の割合を増加させて、前記回生ブレーキトルクを前記摩擦ブレーキトルクに置き換える第1制御と、前記第1制御終了後に前記変速を開始させる第2制御と、前記変速終了後に、前記目標ブレーキトルクにおける前記回生ブレーキトルク目標値の割合を増加させるとともに前記摩擦ブレーキトルク目標値の割合を減少させて、前記摩擦ブレーキトルクを前記回生ブレーキトルクに置き換える第3制御と、を行う回生協調ブレーキ制御手段と、
    を備えた車両のブレーキ制御装置において、
    第1の変速終了後の前記第3制御中における第2の変速の要求を予測する次回変速要求予測手段を設け、
    前記回生協調ブレーキ制御手段は、前記第1の変速終了後の前記第3制御中に前記第2の変速が要求されることにより前記第1制御を開始することが予測される場合、前記摩擦ブレーキトルク目標値を減少から増加に切り換えるときの前記摩擦ブレーキトルク目標値の時間当たり変化量の変動を抑制する車両減速度低下防止手段を有すること
    を特徴とする車両のブレーキ制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両のブレーキ制御装置において、前記車両減速度低下防止手段は、前記第1の変速終了後の前記第3制御中に、前記第2の変速が要求されるまでの間、前記摩擦ブレーキトルク目標値を一定に保持する摩擦ブレーキトルク保持手段を有することを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
  3. 請求項2に記載の車両のブレーキ制御装置において、前記摩擦ブレーキトルク保持手段は、前記目標減速度が大きいほど前記摩擦ブレーキトルク目標値の保持開始時刻を早めることを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
  4. 請求項2または3に記載の車両のブレーキ制御装置において、前記摩擦ブレーキトルク保持手段は、前記第1の変速終了後の前記第3制御中に前記第2の変速が要求された以後も、前記摩擦ブレーキトルク目標値の保持を所定時間継続することを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
  5. 請求項1に記載の車両のブレーキ制御装置において、前記車両減速度低下防止手段は、前記第1の変速終了後の前記第3制御中に、前記第2の変速が要求されるまでの間、前記回生ブレーキトルク目標値の時間当たり変化量が徐々に小さくなるように補正することにより、前記摩擦ブレーキトルク目標値の時間当たり変化量を徐々に小さくする回生ブレーキトルク目標値補正手段を有することを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
  6. 請求項5に記載の車両のブレーキ制御装置において、前記回生ブレーキトルク目標値補正手段は、運転者のブレーキ踏み増しにより前記目標減速度が増加するとき、前記回生ブレーキトルク目標値の時間当たり変化量を大きく設定することを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
  7. 請求項5に記載の車両のブレーキ制御装置において、前記回生ブレーキトルク目標値補正手段は、運転者のブレーキ踏み戻しにより前記目標減速度が減少するとき、前記回生ブレーキトルク目標値の時間当たり変化量を小さく設定することにより、前記目標ブレーキトルクに対する前記摩擦ブレーキトルク目標値の時間当たり変化量を小さく設定することを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
  8. 請求項1に記載の車両のブレーキ制御装置において、前記車両減速度低下防止手段は、前記第1の変速終了後の前記第3制御中に、前記第2の変速が要求される以前の所定の時刻に、前記摩擦ブレーキトルク目標値を減少から増加に切り換える摩擦ブレーキトルク切換開始時制御手段を有することを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
  9. 請求項8に記載の車両のブレーキ制御装置において、前記摩擦ブレーキトルク切換開始時制御手段は、前記目標減速度が大きいほど前記摩擦ブレーキトルク目標値の切換開始時刻を早めることを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
  10. 請求項8または9に記載の車両のブレーキ制御装置において、前記摩擦ブレーキトルク切換開始時制御手段は、前記回生ブレーキトルク目標値が大きいほど前記摩擦ブレーキトルク目標値の切換開始時刻を早めることを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
  11. 請求項8または9に記載の車両のブレーキ制御装置において、前記摩擦ブレーキトルク切換開始時制御手段は、前記自動変速機の減速比が大きいほど前記摩擦ブレーキトルク目標値の切換開始時刻を早めることを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
JP2006188769A 2006-07-10 2006-07-10 車両のブレーキ制御装置 Expired - Fee Related JP4830680B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006188769A JP4830680B2 (ja) 2006-07-10 2006-07-10 車両のブレーキ制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006188769A JP4830680B2 (ja) 2006-07-10 2006-07-10 車両のブレーキ制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008013136A true JP2008013136A (ja) 2008-01-24
JP4830680B2 JP4830680B2 (ja) 2011-12-07

Family

ID=39070592

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006188769A Expired - Fee Related JP4830680B2 (ja) 2006-07-10 2006-07-10 車両のブレーキ制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4830680B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008238836A (ja) * 2007-03-24 2008-10-09 Nissan Motor Co Ltd 車両の制御装置
JP2009296751A (ja) * 2008-06-04 2009-12-17 Nissan Motor Co Ltd 複合ブレーキの協調制御装置
JP2010111176A (ja) * 2008-11-04 2010-05-20 Toyota Motor Corp ブレーキ制御装置
WO2012053609A1 (ja) * 2010-10-22 2012-04-26 日産自動車株式会社 車両の回生制動制御装置
JP2012086751A (ja) * 2010-10-21 2012-05-10 Nissan Motor Co Ltd 電動車両の制御装置
JP2014177254A (ja) * 2013-03-15 2014-09-25 Aisin Seiki Co Ltd 車両制御装置
JP2015145235A (ja) * 2015-03-02 2015-08-13 日産自動車株式会社 電動車両の制御装置
KR20190105232A (ko) * 2017-01-24 2019-09-16 닛산 지도우샤 가부시키가이샤 차량의 제어 장치 및 제어 방법
US20210122372A1 (en) * 2019-10-29 2021-04-29 Hyundai Motor Company Eco-Friendly Vehicle and Method of Controlling Braking for the Same

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06319210A (ja) * 1993-04-30 1994-11-15 Aqueous Res:Kk 電気モータ駆動車輌
JPH1073161A (ja) * 1996-07-02 1998-03-17 Toyota Motor Corp ハイブリッド車両の駆動制御装置
JPH1127802A (ja) * 1997-07-03 1999-01-29 Toyota Motor Corp 電気自動車の制動制御装置
JP2001165305A (ja) * 1999-12-06 2001-06-22 Toyota Motor Corp 車両の減速制御装置
JP2001315552A (ja) * 2000-05-11 2001-11-13 Toyota Motor Corp ハイブリッド車両の制御装置
JP2004155327A (ja) * 2002-11-07 2004-06-03 Toyota Motor Corp 車両用減速度制御装置
JP2004196064A (ja) * 2002-12-17 2004-07-15 Nissan Motor Co Ltd 複合ブレーキの協調制御装置
JP2005012864A (ja) * 2003-06-16 2005-01-13 Toyota Motor Corp ハイブリッド駆動装置の制御装置
JP2005329740A (ja) * 2004-05-18 2005-12-02 Toyota Motor Corp 車両制動システム
JP2005329926A (ja) * 2003-11-26 2005-12-02 Toyota Motor Corp 動力出力装置およびこれを搭載する自動車並びに動力出力装置の制御方法

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06319210A (ja) * 1993-04-30 1994-11-15 Aqueous Res:Kk 電気モータ駆動車輌
JPH1073161A (ja) * 1996-07-02 1998-03-17 Toyota Motor Corp ハイブリッド車両の駆動制御装置
JPH1127802A (ja) * 1997-07-03 1999-01-29 Toyota Motor Corp 電気自動車の制動制御装置
JP2001165305A (ja) * 1999-12-06 2001-06-22 Toyota Motor Corp 車両の減速制御装置
JP2001315552A (ja) * 2000-05-11 2001-11-13 Toyota Motor Corp ハイブリッド車両の制御装置
JP2004155327A (ja) * 2002-11-07 2004-06-03 Toyota Motor Corp 車両用減速度制御装置
JP2004196064A (ja) * 2002-12-17 2004-07-15 Nissan Motor Co Ltd 複合ブレーキの協調制御装置
JP2005012864A (ja) * 2003-06-16 2005-01-13 Toyota Motor Corp ハイブリッド駆動装置の制御装置
JP2005329926A (ja) * 2003-11-26 2005-12-02 Toyota Motor Corp 動力出力装置およびこれを搭載する自動車並びに動力出力装置の制御方法
JP2005329740A (ja) * 2004-05-18 2005-12-02 Toyota Motor Corp 車両制動システム

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008238836A (ja) * 2007-03-24 2008-10-09 Nissan Motor Co Ltd 車両の制御装置
JP2009296751A (ja) * 2008-06-04 2009-12-17 Nissan Motor Co Ltd 複合ブレーキの協調制御装置
JP2010111176A (ja) * 2008-11-04 2010-05-20 Toyota Motor Corp ブレーキ制御装置
JP2012086751A (ja) * 2010-10-21 2012-05-10 Nissan Motor Co Ltd 電動車両の制御装置
WO2012053609A1 (ja) * 2010-10-22 2012-04-26 日産自動車株式会社 車両の回生制動制御装置
US9205748B2 (en) 2010-10-22 2015-12-08 Nissan Motor Co., Ltd. Regenerative braking control device for vehicle
JP2014177254A (ja) * 2013-03-15 2014-09-25 Aisin Seiki Co Ltd 車両制御装置
JP2015145235A (ja) * 2015-03-02 2015-08-13 日産自動車株式会社 電動車両の制御装置
KR20190105232A (ko) * 2017-01-24 2019-09-16 닛산 지도우샤 가부시키가이샤 차량의 제어 장치 및 제어 방법
EP3575163A4 (en) * 2017-01-24 2020-03-04 Nissan Motor Co., Ltd. DEVICE AND METHOD FOR VEHICLE CONTROL
KR102241376B1 (ko) 2017-01-24 2021-04-19 닛산 지도우샤 가부시키가이샤 차량의 제어 장치 및 제어 방법
US20210122372A1 (en) * 2019-10-29 2021-04-29 Hyundai Motor Company Eco-Friendly Vehicle and Method of Controlling Braking for the Same

Also Published As

Publication number Publication date
JP4830680B2 (ja) 2011-12-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4830680B2 (ja) 車両のブレーキ制御装置
JP5233327B2 (ja) 車両用駆動装置の制御装置
JP5190720B2 (ja) 車両用制御装置
KR101755857B1 (ko) 듀얼클러치식 하이브리드차량의 변속 제어방법 및 그 제어시스템
JP5842937B2 (ja) ハイブリッド車の変速制御装置および変速制御方法
KR100923827B1 (ko) 하이브리드 차량의 엔진 시동 제어 장치 및 하이브리드차량의 엔진 시동 제어 방법
JP4862624B2 (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP5991441B2 (ja) ハイブリッド車両の制御装置
WO2009101920A1 (ja) 車輌走行制御装置及び車輌走行制御方法
EP2589509A1 (en) Creep cut-off control device for electric vehicle
JP5338471B2 (ja) 電動車両の変速制御装置
JP2009190724A (ja) ハイブリッド車両の駆動制御装置
JP2009029386A (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP2008067504A (ja) 車両用発電機の制御装置
KR101994018B1 (ko) 차량 및 차량의 제어 방법
JP5309720B2 (ja) 電動車両の制駆動制御装置及び制駆動制御方法
JP5239841B2 (ja) ハイブリッド車両の制御装置
US11680638B2 (en) Shift control method and shift control system
JPWO2016152341A1 (ja) 車両及び車両の制御方法
EP3272603B1 (en) Control device and control method for hybrid vehicle
JP6379281B2 (ja) 無段変速機の制御装置、およびその制御方法
KR101795976B1 (ko) 자동 변속기의 유압 제어 장치
JP7172837B2 (ja) 制動力制御装置
JP6435968B2 (ja) 車両の制御装置
JP2007002933A (ja) 油圧制御装置、変速制御装置及び車両制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090326

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110330

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110823

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110905

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140930

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees