JP2009296751A - 複合ブレーキの協調制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】減速を伴うt1〜t2の変速中は、駆動輪速に基づく回生制動力制限値TmLmtdeおよび従動輪速に基づく回生制動力制限値TmLmtdnに代え、目標制動力に応じた一定勾配の目標駆動力基準回生制動力制限値TmLmtdcを、車速低下時における回生制動から摩擦制動への移行に際して行うべき回生制動力の制限に資する。よって、変速による駆動輪速および従動輪速の変動、つまり、駆動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdeおよび従動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdnの変動によっても、車速低下時における回生制動から摩擦制動への滑らかな移行が妨げられることがない。
【選択図】図4
Description
この低回転域、従って低車速域では、回生制動を利用せず、摩擦制動のみにより目標制動力を実現するのが常である。
この協調制御技術は、上記の低回転域(低車速域)に入る手前から、車速の低下につれ回生制動力を徐々に制限して小さくすると共に、その分だけ摩擦制動力を徐々に増大することにより回生制動から摩擦制動への移行を行わせるというものである。
回生制動中に上記の変速機が変速を行って車輪駆動力が一時的に変化した場合、この駆動力変化に伴う駆動輪速変化が、回生制動力制限量(回生制動力制限値)および摩擦制動力の変化を惹起し、上記した車速低下時における回生制動から摩擦制動への移行を滑らかに行うことができないという問題を生ずる。
つまり、駆動輪速が変化すると、車体を介して従動輪速も若干の時間遅れをもって変化し、従動輪速の変化は駆動輪速の変化よりも車体の介在により小さくなるとはいっても、車速低下時における回生制動から摩擦制動への滑らかな移行を妨げ、上記した問題を同様に生ずる。
これら駆動輪速基準回生制動力制限値および従動輪速基準回生制動力制限値間にあって、駆動輪速および従動輪速とは関係なく一定の時間変化勾配で変化する定勾配回生制動力制限値を設定し、これら三者の回生制動力制限値を使い分けることにより、上記の問題のいずれをも生ずることのないようにした複合ブレーキの協調制御装置を提供することを目的とする。
原動機として少なくともモータ/ジェネレータを搭載し、該モータ/ジェネレータと、駆動輪である前輪または後輪との間を変速機により駆動結合可能にした電動車両であって、
該車両の運転状態や走行状態に応じて決まる目標制動力を、前記モータ/ジェネレータによる回生制動およびブレーキ装置による摩擦制動の協働により実現するが、車速の低下につれ回生制動力を制限して小さくすることにより摩擦制動へ移行するようにした車両の複合ブレーキを基礎前提とし、
前記駆動輪である前輪または後輪の駆動輪速を前記車速として前記制限のための駆動輪速基準回生制動力制限値、および、従動輪である後輪または前輪の従動輪速を前記車速として前記制限のための従動輪速基準回生制動力制限値を求めると共に、
これら駆動輪速基準回生制動力制限値および従動輪速基準回生制動力制限値間にあって、一定の時間変化勾配で変化する定勾配回生制動力制限値を求める回生制動力制限値演算手段と、
前記車速低下に伴う回生制動から摩擦制動への滑らかな移行に支障をきたす駆動輪速変化を生ずる期間は、前記駆動輪速基準回生制動力制限値および従動輪速基準回生制動力制限値に代えて、前記定勾配回生制動力制限値を、回生制動力の前記制限に資する回生制動力制限値選択手段とを設けたことを特徴とするものである。
変速機の変速などに起因した駆動輪速の変化により、前記車速低下に伴う回生制動から摩擦制動への滑らかな移行に支障をきたす駆動輪速変化を生ずる期間中は、駆動輪速や従動輪速のような車輪速でなくて定勾配回生制動力制限値を用い、これに基づきに、車速低下に伴う回生制動から摩擦制動への移行のための回生制動力の制限を行うため、
変速などに起因した駆動輪速の変化に伴う駆動輪速基準回生制動力制限値の変化が、車速低下に伴う回生制動から摩擦制動への滑らかな移行を妨げるという前記の問題を回避することができる。
図1は、本発明の一実施例になる複合ブレーキの協調制御装置を搭載したフロントエンジン・リヤホイールドライブ式ハイブリッド車両(電動車両)のパワートレーンを、その制御系とともに示し、1はエンジン、2FL,2FRはそれぞれ左右前輪(左右従動輪)、3RL,3RRはそれぞれ左右後輪(左右駆動輪)である。
図1に示すハイブリッド車両のパワートレーンにおいては、通常の後輪駆動車と同様にエンジン1の車両前後方向後方に自動変速機4をタンデムに配置し、エンジン1(詳しくはクランクシャフト1a)からの回転を自動変速機4の入力軸4aへ伝達する軸5に結合してモータ/ジェネレータ6(原動機)を設ける。
モータ/ジェネレータ6は、ロータ6bの中心に上記の軸5を貫通して結着し、この軸5をモータ/ジェネレータ軸として利用する。
ここで第1クラッチ7は、伝達トルク(クラッチ締結)容量を連続的に変更可能なものとし、例えば、比例ソレノイドでクラッチ作動油流量およびクラッチ作動油圧を連続的に制御して伝達トルク(クラッチ締結)容量を変更可能な湿式多板クラッチで構成する。
自動変速機4は、周知の遊星歯車組式自動変速機と同様なものであるが、これからトルクコンバータを排除して、その代わりにモータ/ジェネレータ6を変速機入力軸4aに直接結合したものとし、
複数の変速摩擦要素(クラッチやブレーキ等)を選択的に締結させたり、解放することで、これら変速摩擦要素の締結・解放の組み合わせにより伝動系路(変速段)を決定するものとする。
この出力回転は、ディファレンシャルギヤ装置8により左右後輪3RL,3RRへ分配して伝達され、車両の走行に供される。
但し自動変速機4は、上記したような有段式のものに限られず、無段変速機であってもよいのは言うまでもない。
本実施例においてはこの第2クラッチ9を自動変速機4の前、若しくは、後に追加して新設する構成を採用せず、
この代わりに第2クラッチ9として、自動変速機4内に既存する前記した変速摩擦要素のうち、前進変速段選択用の変速摩擦要素または後退変速段選択用の変速摩擦要素を流用する。
かように、第2クラッチ9として自動変速機4内に既存の前進変速段選択用の変速摩擦要素(発進用摩擦要素)または後退変速段選択用の変速摩擦要素(発進用摩擦要素)を流用する場合、第2クラッチ9が以下に説明するモード選択機能を果たすのに加えて、この機能を果たすよう締結される時に自動変速機を対応変速段への変速により動力伝達状態にすることとなり、専用の第2クラッチが不要でコスト上大いに有利である。
図1に示したパワートレーンにおいては、停車状態からの発進時などを含む低負荷・低車速時に用いられる電気走行(EV走行)モードが要求される場合、第1クラッチ7を解放し、自動変速機4を第2クラッチ9の締結により動力伝達可能状態にする。
変速機出力軸4bからの回転はその後、ディファレンシャルギヤ装置8を経て後輪3RL,3RRに至り、車両をモータ/ジェネレータ6のみによって電気走行(EV走行)させることができる。
この状態では、エンジン1からの出力回転、または、エンジン1からの出力回転およびモータ/ジェネレータ6からの出力回転の双方が変速機入力軸4aに達することとなり、自動変速機4が当該入力軸4aへの回転を、選択中の変速段に応じ変速して、変速機出力軸4bより出力する。
変速機出力軸4bからの回転はその後、ディファレンシャルギヤ装置8を経て後輪3RL,3RRに至り、車両をエンジン1およびモータ/ジェネレータ6の双方によってハイブリッド走行(HEV走行)させることができる。
この制御システムは、パワートレーンの動作点を統合制御する統合コントローラ11を具え、該パワートレーンの動作点を、目標エンジントルクtTeと、目標モータ/ジェネレータトルクtTmと、第1クラッチ7の目標締結容量tTc1(第1クラッチ締結圧指令値tPc1)と、第2クラッチ9の目標締結容量tTc2(第2クラッチ締結圧指令値tPc2)とで規定する。
エンジン回転数Neを検出するエンジン回転センサ12からの信号と、
モータ/ジェネレータ回転数Nmを検出するモータ/ジェネレータ回転センサ13からの信号と、
変速機入力回転数Niを検出する入力回転センサ14からの信号と、
変速機出力回転数Noを検出する出力回転センサ15からの信号と、
アクセルペダル踏み込み量(アクセル開度APO)を検出するアクセル開度センサ16からの信号と、
モータ/ジェネレータ6用の電力を蓄電しておくバッテリ31の蓄電状態SOC(持ち出し可能電力)を検出する蓄電状態センサ17からの信号と、
ブレーキペダル踏力に応じたマスターシリンダ液圧Pmを検出するマスターシリンダ液圧センサ18からの信号と、
左右前輪(左右従動輪)2FL,2FRおよび左右後輪(左右駆動輪)3RL,3RRの車輪速Vwを個々に検出する車輪速センサ群21からの信号とを入力する。
モータ/ジェネレータ6が回生制動により発電した電力を交流−直流変換してバッテリ31に充電する。
ブレーキコントローラ35は、回生協調ブレーキ制御指令がない場合(摩擦制動力指令値Tf=0の場合)、ブレーキペダル踏力に応じたマスターシリンダ液圧Pmを検出するマスターシリンダ液圧センサ18からの信号をもとに、各輪ブレーキユニットのブレーキ液圧を適切な前後輪制動力配分制御下でマスターシリンダ液圧Pmに応じた液圧に制御するが、
統合コントローラ11から回生協調ブレーキ制御指令(摩擦制動力指令値Tf>0)を受けるときブレーキコントローラ35は、摩擦制動力指令値Tf(>0)を液圧ブレーキシステムにより実現すべく各輪ブレーキユニットのブレーキ液圧を適切な前後輪制動力配分制御下で摩擦制動力指令値Tfに応じた液圧に制御する。
この変速機コントローラ38は、第2クラッチ目標締結容量tTc2に対応した第2クラッチ締結圧指令値tPc2と、センサ20で検出した第2クラッチ9の締結圧Pc2との対比により、第2クラッチ9の締結圧Pc2が第2クラッチ締結圧指令値tPc2となるよう第2クラッチ締結圧制御ユニット39を介して第2クラッチ9の締結圧を制御して第2クラッチ9の締結容量制御を行う。
かかる現在の変速段から好適変速段への自動変速中は、当該変速中であることを示す変速中信号を統合コントローラ11へ供給する。
本実施例においては図1における統合コントローラ11が、図示せざるブレーキペダルの踏み込みによる制動中、図2および図3に示す制御プログラムを実行して、複合ブレーキの協調制御を以下のように行うものとする。
図2は、複合ブレーキの協調制御に係わるメインルーチンを示し、図3は、当該メインルーチンにおいて求める、車速低下時回生制動力制限値の演算処理を示す。
かかる目標制動力Tbの演算に当たっては、センサ18で検出したマスターシリンダ液圧Pm(ブレーキペダルの踏み込みストロークでもよい)から、予定の目標制動力マップをもとに検索により求めてもよいし、勿論車両モデルを用いた演算により求めてもよい。
制御をステップS14に進めて、回生制動力指令値Tmを目標制動力Tbと同じ値にし、このように定めた回生制動力指令値Tmを目標モータ/ジェネレータトルクtTmにセットする。
次いでステップS15において、摩擦制動力指令値Tfを0とする。
制御をステップS16に進めて、回生制動力指令値Tmを車速低下時回生制動力制限値TmLmtと同じ値にし、このように定めた回生制動力指令値Tmを目標モータ/ジェネレータトルクtTmにセットする。
次のステップS17においては、上記のように定めた回生制動力指令値Tm(=TmLmt)と、ステップS11で求めた目標制動力Tbとから、回生制動のみでは目標制動力Tbに対して制動力不足となる制動力不足分(Tb−TmLmt)を求め、この制動力不足分(Tb−TmLmt)を摩擦制動力指令値Tfにセットする。
モータ/ジェネレータ6が回生制動により発電した電力は、インバータ34を介し交流−直流変換してバッテリ31に充電し、モータ/ジェネレータ6の以後におけるモータ作動に供する。
なお車速低下時回生制動力制限値TmLmtは前記したとおり、車速VSPが前記した回生制動禁止低車速域まで低下する前に回生制動を徐々に制限して摩擦制動へ滑らかに移行させるための回生制動力制限値である。
ステップS23においては、車輪速センサ群21で検出した各車輪速のうち左右従動輪(左右前輪)2Rl,2RRの車輪速から両者の従動輪速平均値Vwdeを算出する。
駆動輪速平均値Vwdeを車速VSPとして見なした演算により駆動輪速基準回生制動力制限値TmLmtde(負値)を算出し、
従動輪速平均値Vwdnを車速VSPとして見なした演算により従動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdn(負値)を算出する。
これら駆動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdeおよび従動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdnはそれぞれ、前記した通り車速低下につれて回生制動を大きく制限するための制限値であることから、
図4に例示するごとく車速VSPの低下につれ徐々に絶対値が小さくなり、ついには零になるものとする。
この定勾配回生制動力制限値TmLmtdcは例えば、回生制動による駆動輪の制動スリップで駆動輪速が従動輪速に対し所定量乖離したときの駆動輪速を基点A(図4参照)として、車速VSPの低下につれ徐々に一定の時間変化勾配で絶対値が零に向け低下するようなものとする。
このため定勾配回生制動力制限値TmLmtdcを本明細書では、目標制動力基準回生制動力制限値とも呼称する。
変速中でなければ、本発明が解決しようとする前記した課題を生じないことから、また、前記した通り駆動輪速に基づく車速低下時回生制動力制限の方が従動輪速に基づく車速低下時回生制動力制限よりも好ましいことから、
ステップS26において、駆動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdeを車速低下時回生制動力制限値TmLmtにセットする。
目標制動力基準回生制動力制限値TmLmtdcが駆動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdeおよび従動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdn間の値であれば、ステップS28において、目標制動力基準回生制動力制限値TmLmtdcを車速低下時回生制動力制限値TmLmtにセットする。
従ってステップS28は、本発明における回生制動力制限値選択手段に相当する。
つまりステップS29においては、駆動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdeの絶対値が図6のB点において例示するように小さくなって、駆動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdeが目標制動力基準回生制動力制限値TmLmtdc以上である(|TmLmtde|≦|TmLmtdc|である)のか、或いは、従動輪基準回生制動力制限値TmLmtdnの絶対値低下傾向が図5,6のC点以降に例示するごとく緩やかになって、従動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdnが目標制動力基準回生制動力制限値TmLmtdc以下である(|TmLmtdn|≧|TmLmtdc|である)のかをチェックする。
駆動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdeが前回値よりも低下していなければ(TmLmtdeの絶対値が前回よりも増大していなければ)、ステップS31において、車速低下時回生制動力制限値TmLmtに図6のB点に例示するごとく駆動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdeをセットする。
従ってステップS31は、本発明における回生制動力制限値選択手段に相当する。
従ってステップS32も、ステップS24と同様に本発明における回生制動力制限値演算手段を構成する。
そして、以後はステップS33において、この求め直したB点以降の目標制動力基準回生制動力制限値TmLmtdcを図6に示すごとく車速低下時回生制動力制限値TmLmtにセットする。
従ってステップS33は、本発明における回生制動力制限値選択手段に相当する。
従ってステップS34は、本発明における回生制動力制限値選択手段に相当する。
車両の運転状態や走行状態に応じて決まる目標制動力Tb(ステップS11)を、モータ/ジェネレータ6による回生制動および液圧ブレーキ装置による摩擦制動の協働により実現する間(ステップS16およびステップS17)、車速低下につれ回生制動力TmをTmLmtに制限して小さくすることにより摩擦制動へ移行するに際し、
駆動輪速を車速として上記制限のための駆動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdeを求めると共に、従動輪速を車速として上記制限のための従動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdnを求めるほか(ステップS24)、
これら駆動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdeおよび従動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdn間にあって、一定の時間変化勾配で変化する目標制動力基準回生制動力制限値(定勾配回生制動力制限値)TmLmtdcを求め、
車速低下に伴う回生制動から摩擦制動への滑らかな移行に支障をきたす駆動輪速変化を生ずる変速中などの期間は、駆動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdeおよび従動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdnに代えて、目標制動力基準回生制動力制限値(定勾配回生制動力制限値)TmLmtdcを、回生制動力の上記制限に資するため、以下に説明するような作用効果を達成することができる。
瞬時t1〜t2の変速中に求められる駆動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdeおよび従動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdnは、車速VSPの低下に応じた駆動輪速および従動輪速の低下に伴って図示のごとくに低下する。
しかし、かように駆動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdeおよび従動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdnが変動して、回生制動から摩擦制動への滑らかな移行が妨げられる変速中t1〜t2は、そして図4の場合、目標制動力基準回生制動力制限値TmLmtdcが駆動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdeおよび従動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdn間の値であることから、
車速低下時回生制動力制限値TmLmtに一定時間変化勾配の回生制動力制限値TmLmtdcをセットして、これに基づきに、車速低下に伴う回生制動から摩擦制動への移行のための回生制動力の制限を行うこととなり、
変速に起因した駆動輪速および従動輪速の変動に伴う駆動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdeおよび従動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdnの図示する変動が、車速低下に伴う回生制動から摩擦制動への滑らかな移行を妨げるという問題を回避することができる。
車速低下時回生制動力制限値TmLmtに従動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdnをセットして(ステップS34)、これに基づきに、車速低下に伴う回生制動から摩擦制動への移行のための回生制動力の制限を行うため、
C点以降において、未だ回生制動が可能な車速域なのに回生制動が早期に終了されるのを防止することができ、回生制動が不必要に早期に終了して摩擦制動へ移行する弊害、つまりエネルギー回収効率の低下および摩擦制動装置の耐久低下に関する問題を回避することができる。
駆動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdeが低下しない(TmLmtdeの絶対値が増大しない)限りは(ステップS30)、
車速低下時回生制動力制限値TmLmtに駆動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdeをセットし(ステップS31)、これに基づきに、車速低下に伴う回生制動から摩擦制動への移行のための回生制動力の制限を行うため、
駆動輪速が一気に、回生制動から摩擦制動への移行を完了すべき低車速域に入った時に、即座に当該移行を完了させることができる。
その直前(B点)における駆動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdeを基点として目標制動力基準回生制動力制限値TmLmtdcを求め直し(ステップS32)、
以後はこの求め直したB点以降の目標制動力基準回生制動力制限値TmLmtdcを図6に示すごとく車速低下時回生制動力制限値TmLmtにセットし(ステップS33)、これに基づきに、車速低下に伴う回生制動から摩擦制動への移行のための回生制動力の制限を行うため、
駆動輪速基準回生制動力制限値TmLmtdeの変動による目標制動力基準回生制動力制限値TmLmtdc(車速低下時回生制動力制限値TmLmt)のハンチングを防止することができる。
2FL,2FR 左右前輪(左右従動輪)
3RL,3RR 左右後輪(左右駆動輪)
4 自動変速機
6 モータ/ジェネレータ(原動機)
7 第1クラッチ
9 第2クラッチ
11 統合コントローラ
12 エンジン回転センサ
13 モータ/ジェネレータ回転センサ
14 変速機入力回転センサ
15 変速機出力回転センサ
16 アクセル開度センサ
17 蓄電状態センサ
18 マスターシリンダ液圧センサ
21 車輪速センサ群
31 バッテリ
32 エンジンコントローラ
33 モータ/ジェネレータコントローラ
34 インバータ
35 ブレーキコントローラ
36 第1クラッチコントローラ
37 第1クラッチ締結圧制御ユニット
38 変速機コントローラ
39 第2クラッチ締結圧制御ユニット
Claims (6)
- 原動機として少なくともモータ/ジェネレータを搭載し、該モータ/ジェネレータと、駆動輪である前輪または後輪との間を変速機により駆動結合可能にした電動車両であって、
該車両の運転状態や走行状態に応じて決まる目標制動力を、前記モータ/ジェネレータによる回生制動およびブレーキ装置による摩擦制動の協働により実現するが、車速の低下につれ回生制動力を制限して小さくすることにより摩擦制動へ移行するようにした車両の複合ブレーキにおいて、
前記駆動輪である前輪または後輪の駆動輪速を前記車速として前記制限のための駆動輪速基準回生制動力制限値、および、従動輪である後輪または前輪の従動輪速を前記車速として前記制限のための従動輪速基準回生制動力制限値を求めると共に、
これら駆動輪速基準回生制動力制限値および従動輪速基準回生制動力制限値間にあって、一定の時間変化勾配で変化する定勾配回生制動力制限値を求める回生制動力制限値演算手段と、
前記車速低下に伴う回生制動から摩擦制動への滑らかな移行に支障をきたす駆動輪速変化を生ずる期間は、前記駆動輪速基準回生制動力制限値および従動輪速基準回生制動力制限値に代えて、前記定勾配回生制動力制限値を、回生制動力の前記制限に資する回生制動力制限値選択手段とを具備してなることを特徴とする複合ブレーキの協調制御装置。 - 請求項1に記載の、複合ブレーキの協調制御装置において、
車速低下に伴う回生制動から摩擦制動への滑らかな移行に支障をきたす駆動輪速変化を生ずる期間が、前記変速機の変速中であることを特徴とする複合ブレーキの協調制御装置。 - 請求項1または2に記載の、複合ブレーキの協調制御装置において、
前記定勾配回生制動力制限値の一定の時間変化勾配は、制動操作により要求する目標制動力が大きいほど急な時間変化勾配であることを特徴とする複合ブレーキの協調制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の、複合ブレーキの協調制御装置において、
前記回生制動力制限値選択手段は、前記定勾配回生制動力制限値の絶対値が前記従動輪速基準回生制動力制限値の絶対値よりも小さい間、従動輪速基準回生制動力制限値を回生制動力の前記制限に資するよう構成したものであることを特徴とする複合ブレーキの協調制御装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の、複合ブレーキの協調制御装置において、
前記回生制動力制限値選択手段は、前記駆動輪速基準回生制動力制限値の絶対値の低下によって前記定勾配回生制動力制限値の絶対値が該駆動輪速基準回生制動力制限値の絶対値よりも大きくなる間、駆動輪速基準回生制動力制限値を回生制動力の前記制限に資するよう構成したものであることを特徴とする複合ブレーキの協調制御装置。 - 請求項5に記載の、複合ブレーキの協調制御装置において、
前記回生制動力制限値演算手段は、前記回生制動力制限値選択手段が前記駆動輪速基準回生制動力制限値を回生制動力の前記制限に資する間にこの駆動輪速基準回生制動力制限値の絶対値が増大するとき、該増大の直前における駆動輪速基準回生制動力制限値を基点として前記定勾配回生制動力制限値を求め直すよう構成したものであり、
以後は前記回生制動力制限値選択手段が、この求め直した定勾配回生制動力制限値を用いるよう構成したものであることを特徴とする複合ブレーキの協調制御装置。
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