JP2012116394A - ハイブリッド電気自動車の充放電制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】PレンジまたはNレンジでの車両停車中においてゼロトルク制御を実行していないときには(S10がNo)、クラッチC1及びクラッチC2を切断状態に保持して油圧ポンプ駆動のためのエンジン負荷を軽減する一方(S12)、ゼロトルクを実行中のときには(S10がYes)、電動機3側のクラッチC2のみを接続状態に切り換え(S16)、SOC維持制御を実行してバッテリ5のSOCを所定許容範囲内の中央値である50%近傍の狭い制御幅内で変動させる(S18)。
【選択図】図2
Description
このようなハイブリッド電気自動車の一例として、例えば特許文献1に記載されたものを挙げることができる。当該特許文献1に記載のハイブリッド電気自動車では、エンジンから変速機に伝達される駆動力をクラッチにより断接可能とし、そのクラッチの出力軸と変速機の入力軸との間に電動機の回転軸を連結している。
また、車両減速時には電動機をジェネレータ作動させて回生制動力を発生させ、制動エネルギを電力に変換してバッテリを充電するようにしている。
そこで、上記特許文献1の技術では、電動機への要求トルクを零に設定したゼロトルク制御時に、電動機に微小な駆動トルクと回生トルクとを交互に発生させるSOC維持制御を実行することにより、バッテリのSOCを所定許容範囲内に維持し、もって上記強制充電や強制放電の実行を回避している。
断接状態の切換にアクチュエータを用いた乾式クラッチでは、接続状態の保持にも切断状態の保持にも何ら機構的な制限がない。このため、車両停車時にクラッチを接続状態に保持するように制御しており、上記車両停車中にゼロトルク制御が実行されたとき、アイドル運転中のエンジンの駆動力が電動機に伝達されているため、何ら支障なく電動機に駆動トルクや回生トルクを発生させてSOC維持制御を行うことができる。
このときの湿式クラッチは完全に切断されることなく、いわゆる連れ回り現象を生じて僅かながらエンジンの駆動力を電動機側に伝達している。このため、電動機が回転してゼロトルク制御時に微小電流を発生し、SOC維持制御による対処が必要になる。ところが、連れ回り現象で伝達される僅かな駆動力では、SOC維持制御を実行したとしても電動機に所期の駆動トルクや回生トルクを発生できず、バッテリのSOCを所定許容範囲内に維持することは困難となる。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、車両停車中にゼロトルク制御が行われたときにSOC維持制御を適切に実行でき、もってバッテリのSOCを所定許容範囲内に保持することによりエネルギ効率が悪い強制充電や強制放電の実行を回避することができるハイブリッド電気自動車の充放電制御装置を提供することにある。
このように残存容量維持制御を実行するために必要な第2クラッチのみを接続し、第1クラッチ側は切断状態を継続しているため、油圧ポンプ駆動のためのエンジン負荷の増加、ひいてはそれに伴う燃料消費を最小限に抑制することができる。
図1は本実施形態のハイブリッド電気自動車の充放電制御装置を示す全体構成図である。車両には走行用動力源としてディーゼルエンジン(以下、エンジンという)1が搭載されている。エンジン1は、加圧ポンプによりコモンレールに蓄圧した高圧燃料を各気筒の燃料噴射弁に供給し、各燃料噴射弁の開弁に伴って筒内に噴射する所謂コモンレール式機関として構成されている。
言うまでもないが、変速機2の変速段は上記に限ることなく任意に変更可能である。
周知のようにデュアルクラッチ式変速機は、奇数変速段と偶数変速段とを相互に独立した動力伝達系として設け、何れか一方で動力伝達しているときに他方を次に予測される次変速段に予め切り換えておくことで、動力伝達を中断することなく次変速段への切換を完了するシステムである。
即ち、力行制御では、バッテリ5に蓄えられた直流電力がインバータ4により交流電力に変換されて電動機3に供給され、電動機3がモータとして作動して駆動力を偶数歯車機構G2に入力する。また、車両減速時の回生制御では、駆動輪14側からの逆駆動により電動機3がジェネレータとして作動して回生制動力を発生すると共に、発電した交流電力がインバータ4により直流電力に変換されてバッテリ5に充電される。
一方、電磁弁7が閉弁すると、作動油の供給中止により油圧室6内の油圧が低下し、クラッチC1,C2は図示しないプレッシャスプリングにより接続状態から切断状態に切り換えられる。
ECU21の入力側には、エンジン1の回転速度Neを検出するエンジン回転速度センサ22、クラッチC1の出力側の回転速度Nc1を検出するクラッチ回転速度センサ23、クラッチC2の出力側の回転速度Nc2(=電動機3の回転速度)を検出するクラッチ回転速度センサ24、歯車機構G1,G2の変速段を検出するギヤ位置センサ25、アクセルペダル26の開度θaccを検出するアクセルセンサ27、及び変速機2の出力軸2bに設けられて車速Vを検出する車速センサ28、運転席に設けられたセレクトレバー29の操作位置を検出するレバー位置センサ30などのセンサ類が接続されている。
また、走行モードとしてエンジン・電動機併用走行を選択したときには、エンジン単独走行と同様に、クラッチC1とクラッチC2との何れか一方を接続してエンジン1の駆動力を駆動輪14側に伝達すると共に、同時に電動機3をモータとして作動させる。
走行モードとして電動機単独走行を選択したときには、クラッチC1及びクラッチC2を共に切断し、電動機3をモータとして作動させる。これにより、電動機3の駆動力が偶数歯車機構G2の何れかの変速段を介して駆動輪14側に伝達される。なお、このとき本実施形態ではエンジン1をアイドル運転に保持しているが、これに限ることはなくエンジン1を一時的に停止させてもよい。
そして、減速後に車両が停車すると、ECU21はクラッチC1及びクラッチC2を切断状態に保持し、エンジン1をアイドル運転させると共に、電動機3への要求トルクとして零を設定する。このときのクラッチC1及びクラッチC2の切断は、燃費悪化への対策である。
即ち、これらの湿式多板クラッチC1,C2を接続状態に保持するには油圧室6内に油圧を作用させ続ける必要があり、油圧ポンプを駆動するために車両停車中は常にエンジン負荷が増大して燃費が悪化してしまう。そこで、本実施形態では、車両停車中にはクラッチC1及びクラッチC2を切断状態に保持することにより燃費悪化を防止しているのである。
即ち、例えばバッテリ5のSOCが30%未満となった場合、走行モードをエンジン単独走行に切り換えた上で、電動機3をジェネレータ作動させる。エンジン1の駆動力は変速機2を介して駆動輪14側に伝達されて車両を走行させると共に、その駆動力の一部が電動機3の駆動のために使用され、電動機3により発電された交流電力がインバータ4によって直流電力に変換されてバッテリ5に充電され、バッテリ5のSOCが回復する。
即ち、例えばバッテリ5のSOCが70%を超えた場合、走行モードを電動機単独走行に切り換えた上で、電動機3をモータ作動させる。バッテリ5の直流電力はインバータ4により交流電力に変換されて電動機3によって消費され、バッテリ5のSOCが適正値まで低下する。
ところで、上記したように車両の停車中には電動機3の駆動力を発生させる必要がないことから、電動機3への要求トルクとして零を設定しており、また、エンジン1を高効率で運転可能な車両の定速走行時には、走行モードとしてエンジン単独走行を選択して同じく電動機3への要求トルクとして零を設定している(以下、これらの制御をゼロトルク制御という)。
車両の定速走行時には、駆動輪14側から逆伝達される駆動力を受けて電動機3が回転しているため、何ら支障なく電動機3に駆動トルクや回生トルクを発生させてSOC維持制御(残存容量維持制御)を実行できる。
そこで、本実施形態では、車両停車中であってもゼロトルク制御中のときには通常時と異なるクラッチ制御を実行しており、以下、当該対策のためにECU21が実行する処理を詳述する。
まず、ステップS2で車速センサ28により検出された車速Vに基づき車両が停車したか否かを判定し、No(否定)のときには一旦ルーチンを終了する。また、ステップS2の判定がYes(肯定)のときにはステップS4に移行し、レバー位置センサ30により検出されたセレクトレバー29の操作位置を判定する。セレクトレバー29が走行レンジであるD(ドライブ)レンジのときには、ステップS6に移行してPレンジまたはNレンジからDレンジに切り換えた後のECU21による初回の制御周期であるか否かを判定する。例えば信号待ちなどでブレーキ操作により停車した場合には、停車当初よりセレクトレバー29はDレンジのままであるため、ステップS6でNoの判定を下してステップS8に移行する。
なお、このときには必ずしも発進変速段への切換を行う必要はなく、例えば偶数歯車機構G2をニュートラルに保持し、アクセル操作が行われた時点で偶数歯車機構G2を発進変速段に切り換えるようにしてもよい。
従って、この場合もクラッチC1,C2の切断により、車両停車中の油圧ポンプ駆動のためのエンジン負荷が軽減される。続くステップS14ではSOC維持制御を中止する。当該制御の詳細は以下に述べるが、SOC維持制御を開始していないときには、そのままルーチンを終了する。
そして、車両発進のために運転者によりセレクトレバー29がPレンジまたはNレンジからDレンジに切り換えられると、ECU21はステップS4からステップS6に移行する。このときにはDレンジへの切換後の初回の制御周期のため、ステップS6でYesの判定を下してステップS12に移行する。
一方、上記ステップS18によるSOC維持制御の開始、及びステップS14によるSOC維持制御の中止に応じて、ECU12は図3に示すSOC維持制御ルーチンを実行する。
まず、ステップS22ではバッテリ5のSOCが予め設定された充電判定値SOC0以上であるか否かを判定する。例えば充電判定値SOC0としては、上記強制充電や強制充電を必要としないSOCの所定許容範囲の中央値、即ち、30%から70%の中央値である50%が設定されている。なお、SOCの算出には周知の手法を用いることができ、例えばバッテリ5を充電する際の入力電流やバッテリ5を放電させる際の出力電流を逐次積算することにより現在のSOCを推定する。
なお、このようにSOC維持制御の要否判定に先だって、電動機3に駆動側または回生側の微小トルクを一時的に発生させているのは、バッテリ5のSOCを故意に放電側または充電側に変化させることにより、SOC維持制御が頻繁に開始及び終了する事態を防止する趣旨である。
そして、PレンジまたはNレンジによる車両停車中でゼロトルク制御を実行中のときには、電動機3側のクラッチC2を接続することから、エンジン1の駆動を利用して電動機3に回生側と駆動側との微小トルクを交互に発生させるSOC維持制御を適切に実行することができる。このため、バッテリ5のSOCを所定許容範囲の中央値である50%近傍に維持でき、エネルギ効率が悪い強制充電や強制放電の実行を確実に回避することができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では前進6段のデュアルクラッチ式変速機2を備えたハイブリッド電気自動車に適用したが、変速機2の形式はこれに限るものではない。例えば、奇数歯車機構G1や偶数歯車機構G2を構成する変速段や、各変速段の配列、並びに各変速段における切換機構などを任意に変更してもよい。
しかし、本発明はこれらの設定に限定されるものではなく各設定を任意に変更してもよい。例えば、SOCを判定するための閾値を所定許容範囲の中央値以外に設定したり、所定許容範囲とは関係ない値に設定したりしてもよい。また、SOC維持制御で適用する増加側及び減少側のSOC変動量に関しても、上記設定から任意に変更してもよい。
2 変速機
3 電動機
5 バッテリ
14 駆動輪
21 ECU
(バッテリ残存容量検出手段、強制充放電制御手段、残存容量制御手段)
G1 奇数歯車機構(第1変速機構)
G2 偶数歯車機構(第2変速機構)
C1 クラッチ(第1クラッチ)
C2 クラッチ(第2クラッチ)
Claims (2)
- エンジンと電動機とを湿式クラッチを介して接続し、該湿式クラッチの切断時にバッテリからの電力供給で上記電動機により発生された駆動力を変速機の変速機構を介して駆動輪側に伝達して車両を走行させ、上記湿式クラッチの接続時には上記エンジンの駆動力または該エンジンの駆動力及び上記電動機の駆動力を上記変速機の変速機構を介して駆動輪側に伝達して上記車両を走行させる一方、上記変速機を非走行レンジに切り換えた車両停車中には上記湿式クラッチを切断状態に保持するハイブリッド電気自動車の制御装置において、
上記バッテリの残存容量を検出するバッテリ残存容量検出手段と、
上記バッテリ残存容量検出手段により検出された上記バッテリの残存容量が所定許容範囲内から外れたときに、該残存容量を上記所定許容範囲内に戻すべく上記電動機を制御して上記バッテリの強制充電または強制放電を行う強制充放電制御手段と、
上記変速機を非走行レンジに切り換えた車両停車中で、且つ上記電動機に要求されるトルクが零に設定された所定運転状態にあると判定したとき、上記湿式クラッチを接続状態に切り換えると共に、上記強制充電または強制放電に必要な上記電動機のトルクより絶対値が小さい回生側及び駆動側の微小トルクを上記電動機に交互に発生させることにより、上記バッテリの残存容量を上記所定許容範囲内に維持する残存容量維持制御を実行する残存容量制御手段と
を備えたことを特徴とするハイブリッド電気自動車の充放電制御装置。 - 上記湿式クラッチとして上記エンジンに第1クラッチ及び第2クラッチを並列的に接続すると共に、上記変速機構として上記第1クラッチに第1変速機構を接続すると共に上記第2クラッチに第2変速機構を接続して上記変速機をデュアルクラッチ式変速機として構成し、該第2クラッチと第2変速機構との間に上記電動機を介装する一方、上記非走行レンジでの車両停車中には上記第1クラッチ及び第2クラッチを切断状態に保持するようにし、
上記残存容量制御手段は、上記電動機への要求トルクを零に設定した所定運転状態にあると判定したとき、上記第2クラッチのみを接続状態に切り換えて上記残存容量維持制御を実行することを特徴とする請求項1記載のハイブリッド電気自動車の充放電制御装置。
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