JP2010265806A - 磁石ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】 漏れ磁束を減少させ、磁力(磁束密度)を効率よく増大することができる磁石ユニットを提供する。
【解決手段】 強磁性体からなる板状の素材から形成された環状型ヨーク20と、該環状型ヨーク20の対向辺に凹部20aを形成し、この内に磁石10、10を吸着させる。磁石の対向する磁極面は、異磁極となるようにする。双方の磁石の先端磁極面間に間隙を設ける。環状型ヨーク20は、第1ヨーク21と第2ヨーク22を接続して構成するとよい。
【選択図】 図3

Description

本発明は、主にディーゼルエンジン、ガソリンエンジン又はボイラ等の燃料又は吸気を通すパイプに設けられ、燃料や吸気を効率的に磁気処理する磁気処理装置に適した磁石ユニットに関する。
近年、エンジンにおける燃焼効率の向上や排気ガスの浄化を目的として、特許文献1(特開平11−333286号公報)に記載されているように、燃料や吸気を磁気処理することが研究され、提案されている。
従来の磁気処理装置は、通常、燃料等が通るパイプを挟んで互いに異なる磁極が対向するように磁石を対向設置した磁石ユニットを使用している。この磁石ユニットによって、燃料等の流れに対して直交方向の磁界を加えると、燃料等が磁界を通過する際に、燃料等の中の電子に磁気的な反応が生じる。この磁気的な反応により、燃料等には、分子の連鎖を切断して細分化する作用が働くことになると考えられている。
例えば、燃料となる炭化水素の形態は、通常、長いチェーンが絡まり合ったような塊(クラスター)が多くあるため、そのままの形態では、不完全燃焼を起こして燃焼効率が低下する。また、未燃焼炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物などの有害物質を排出してしまう。これに対し、磁気処理により細分化された炭化水素であれば、効率良く燃焼されるため、燃費の向上や排気ガスの浄化が可能になる。また、エンジンの吸気を磁気処理した場合は、磁気的な反応によって酸素が活性化されるため、燃料を効率良く燃焼させることが可能になる。
この場合、燃料に加わる磁力は大きいほど望ましいとされる。磁力を増大させるには、磁石自身を強いものにする方法がある。強い磁界(高密度な磁束)を発生させるものとして、ネオジウム磁石(ネオジウム・鉄・ボロン磁石)などの希土類磁石を用いることが提案されているが、さらなる磁力の増強の要請がある。また、磁石の表面磁束密度だけでなく、表面から4〜6mm離れた所まで強い磁界が存在することが要請されている。
特開平11−333286号公報
本発明は、斯かる実情に鑑みてなされたもので、磁力(磁束密度)を効率よく増大することができる磁石ユニットを提供しようとするものである。
上記の目的を達成するために本発明の磁石ユニットは、強磁性体からなる板状の素材から形成された環状型ヨークと、該環状型ヨークの対向辺内側に吸着させ異磁極を対向させた2つの磁石と、を有し、双方の磁石の先端磁極面間に間隙を有する構成を特徴としている。
前記環状型ヨークが、U字型の第1ヨークと、この第1ヨークの両先端間に架設された第2ヨークとから構成したり、前記第2ヨークもU字型ヨークである構成としたり、前記環状型ヨークの前記磁石を吸着させる面に凹部を有し、前記磁石と前記凹部の両突起との間に隙間が確保された構成としたり、前記環状型ヨークの外側に非磁性体の間隔保持部材を介して磁性体からなる1枚又は2枚以上のカバーを設けた構成としたりすることができる。
本発明の磁石ユニットによれば、漏れ磁束を減少させ、磁極面上における磁束密度を大幅に高くすることができるという優れた効果を奏する。
また、環状型ヨークに凹部を形成すると、磁束密度をさらに一段と高くすることができるという格別の効果を奏する。
(a)〜(c)は、磁石の磁束密度を上げる研究の経過を説明する図である。 磁石を対向配置した図で、両側の磁石にヨークを吸着したものを対向させた場合の断面図である。 本発明の実施例1の磁石ユニットの構成例である。 本発明の実施例2の磁石ユニットの構成例で、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。なお、この明細書中で「磁石」という場合は、特別のことわりが無い限り、「永久磁石」のことを指すことにする。
本願の発明者は、磁石の磁力(磁束密度)を上げる方法を鋭意研究してきた。図1及び図2は、磁石の磁束密度を上げる研究の経過を示す図である。磁石としては、ネオジウム磁石を使用した。図1(a)に示すこの磁石10は、N極又はS極となる磁極面10aの大きさがa=b=20mmの正方形で、長さL=30mmの直方体形状である。以下に記載された磁石10は、特に断りがない限り、全て同じ寸法である。磁石10が単独の場合、磁極面10aの表面上での磁束密度は6,100〜6,200ガウスであった。また、この磁石10の磁極面10aの表面から4mm離れた点Aでは、3,600ガウスと磁力が大きく低下していることが確認された。
磁束密度を上げる方法として、磁石にヨークを付ける方法が知られている。そこで、図1(b)に示すように、磁石10の一方の磁極面に磁石10の長さL=30mmの15%程度の4.5〜5.0mmのヨーク11を付けた。ヨーク11は、軟鉄鋼などの強磁性体の素材から構成されている。このようなヨーク11を付けることで、磁極面10aの表面の磁束密度は6,700〜6,800ガウスに増加した。
ヨークの長さが長いほど磁束密度をアップできるのではないか、という予測から、図1(c)では、磁石10に、磁石10と同じ長さのL=30mmのヨーク12を付けた。磁極面10aの表面上での磁束密度は6,900〜7,000ガウスと若干増加した。しかし、この磁石10の表面から4mm離れた点Aの位置では、4,000ガウスと3,000ガウスも磁束密度が低下した。
これから、磁石とヨークを直列に結合する方法では、磁束密度の上昇はそれほど期待できないことが分かった。ヨークの厚さは、磁石10の長さLの15%以上100%以下でよいことも分かった。15%未満ではヨークの効果が小さく、100%を越えても効果はあまり増加しないからである。また、磁極面10aから離れると、急激に磁束密度が低下することも判明した。
ところで、燃料や吸気を効率的に磁気処理する磁気処理装置は、燃料等が通る非磁性材製のパイプを挟んで互いに異なる磁極が対向するように磁石を対向設置した磁石ユニットを使用している。そこで、次に、2つの磁石を対向配置した構成を検討した。
図2は磁石を対向配置した図で、両側の磁石にヨークを吸着したものを対向させた場合の断面図である。いずれの場合も、磁石10は、図1と同じものを使用している。
図2では、磁石10を2つ、一方をS極、他方をN極となるようにして対向させて、磁極面10a間の距離を8mmにし、アクリル樹脂のスペーサ13で間隔を保って配置した。また、両側の磁石10にヨーク11を吸着させた。ヨーク11の厚さは、磁石10の長さL(30mm)の15%(4.5mm)以上が望ましく、この実施例では10mmとした。磁極面10aの磁束密度は8,900ガウスで、磁極面10a、10a間から4mmの中間点Mでの磁束密度は、7,500ガウスと上昇した。
図3は、本発明の実施例で、対向する磁石10を、環状型ヨーク20内に吸着させた例である。環状型ヨーク20は、U字型の第1ヨーク21と、この第1ヨーク21の先端間に架設された第2ヨーク22とから構成されている。図3の実施例では、第2ヨーク22もU字型をしているが、この形状に限定されるものではなく、第1ヨーク21と一緒になって環状になる形であれば、任意の形状でよく、たとえば、直線的な形状にすることもできる。
第1ヨーク21と第2ヨーク22は、共に強磁性体である軟鉄鋼製で、矩形断面を有する棒状材を、プレス加工などによって、U字型に曲げた一体構成のものである。角部は直角ではなく、適当なRが付けられている。
環状型ヨーク20は、内側にほぼ矩形の開口があり、図の左右に対向する両辺には、深さtの凹部20aが形成されている。図3に示す実施例では、この凹部20aは、第1ヨーク21の両端に形成された段差tの段部となっている。両側の凹部20aの段差tは原則として等しいが、相違していてもよい。磁石10は、図1に示したのと同じものである。環状型ヨーク20の紙面と直交する方向の厚さは、図1に示した磁石10のaの寸法と同じ20mmである。また、環状型ヨーク20の図に示すcの厚さは、磁石10の長さLの15%以上100%以下が望ましく、図3の実施例ではc=10mmとしている。15%未満では磁力の上昇が小さくなるからである。100%を越えて厚くしても磁力の上昇は殆ど期待できなくなるからである。
また、第2ヨーク22の両端部の幅は、c+tであり、第1ヨーク21の幅と同じである。したがって、第1ヨーク21と第2ヨーク22の接合部に、凹部20aが形成されていることになる。
両側の磁石10、10は、環状型ヨーク20の凹部20aに吸着している。凹部20aの底面は平面で、凹部20aの上下には、凹部20aの両端角部である突起20b又は突起20cがあり、これら突起20b又は突起20cと磁石10との間には、隙間dが確保されている。磁石10、10の対向する磁極は、一方がN極で他方がS極である。
磁石10からは、磁力線が出ているが、磁力線は磁極の一方から出て、他方の磁極に達している。図3の例では、右側の磁石10→第1ヨーク21の一方の端部→第1ヨーク21→第1ヨーク21の他方の端部→左側の磁石10→右側の磁石10という永久磁石式磁気回路と、右側の磁石10→第1ヨーク21の一方の端部→第2ヨーク22→第1ヨーク21の他方の端部→左側の磁石10→右側の磁石10という永久磁石式磁気回路と、が形成されることになる。このように図の上下両側に磁気回路ができることで、漏れ磁束を減少させることができる。また、磁石10が、環状型ヨーク20の中央に位置することで、両側の磁気回路を対称的に形成することができ、漏れ磁束をさらに減少させることができる。
磁気回路において、磁力線が一方の磁極から他方の磁極に達するまで強磁性体のみを通れば、磁力線の減衰が少なくなり、磁束密度が上がる。反対に、磁力線が空中などの非磁性体を通過したり、強磁性体でも、溶接などにより組織の不連続になった部分を通過すると、磁力線は減衰を受け、磁束密度が低下する。
そのため、第1ヨーク21及び第2ヨーク22は、それぞれ一本の棒状材を、プレス加工などによって、U字型に曲げた一体構成のものが望ましい。複数の素材をねじや接着材等で結合してU字型又はコ字型にしたものや、溶接で接続したものでは、磁力線がヨーク内を通過する際に接続部で減衰するためか、本発明の実施例のように、磁束密度の大きな向上は起こらない。
また、本発明において、図3に示す凹部20aが無い場合、磁石10、10からの磁力線は、空中に出るもの(漏れ磁束)が増加する。これに対し、凹部20aがある場合、凹部20aの上下にできる突起20b、20cに磁力線が集中するので、漏れ磁束が減少する。漏れ磁束が減少することによって、磁石の磁束密度が高くなることになる。また、漏れ磁束が減少することによって、磁石10と磁石10との間の中間点Mにおける磁束密度も増加させることができた。
また、段差tの大きさであるが、磁力線を引き寄せる作用ができればよいので、小さな段差でもよく、0.1〜5.0mmの範囲であればよい。0.1mm未満では磁力線を引き寄せる作用が弱く、5.0mmを越えても、磁力線を引き寄せる効果はほぼ飽和してしまうからである。
図3の実施例において、U字型の第1ヨーク21だけで、第2ヨーク22を取り付けない状態にすると、第1ヨーク21の外側の磁石10の反対側での磁束密度が1,800ガウスあった。この状態から第2ヨーク22を取り付け、環状型ヨーク20にすると、環状型ヨーク20の外側の磁石10の裏側における磁束密度は500ガウスに低下した。すなわち、ヨークを環状にすることで、漏れ磁束を減少させ、その分、磁極面10aの磁束密度を上げることができた。
以上の結果、この実施例の両側の磁極面10aの磁束密度は、共に、9,600ガウスに上昇した。これは、図1の各例から比べると大幅な増加である。両磁極面10a、10aの間には、燃料が通過するための空間が設けられている。この空間の距離Wは8mmとし、両磁極面10aから4mmずつ離れた中間点Mでの磁束密度を測定すると9,000ガウスあった。この値は、磁極面10aから600ガウスしか低下しておらず、図1の複数の例から見ても非常に大きな数値である。すなわち、ヨークを環状にし、磁石10を対向配置させると、磁極面10aでの磁束密度の増加が大きく、中間点Mの磁束密度も大きく向上することが分かった。
図3の実施例において、第1ヨーク21と、第2ヨーク22とを一体の環状のヨークとして形成することも可能である。この場合は、鉄製の1つの板状ブロックから環状のヨークをワイヤーカットなどにより成形することができる。ただし、磁石10を着脱する作業等の際に、ヨークが環状になっていると作業しにくい場合があり、図3の実施例のように2つ割りになっていると、磁石10の着脱等の作業が容易にできるようになるので、望ましい。第1ヨーク21と第2ヨーク22は、磁力により吸着している。
図3の実施例では、凹部20aを第1ヨーク21の両先端の段部として形成し、第2ヨーク22には形成していない。しかし、逆に第2ヨーク21にのみ段部として凹部20aを形成してもよく、両側のヨークに1/2ずつの段部を形成してもよい。さらには、一方のヨークの対向する辺の長さを長くして、辺に溝状の凹部として形成することもできる。
図3に示す実施例では、従来にない大きな磁束密度を得ることができた。このように大きな磁束密度が不要な場合には、磁石10の長さLを短くすることが可能となる。そこで、磁石10の長さLを半分の15mmにし、cの厚さを5mm、第1ヨーク21と第2ヨーク22の図の上下の水平部の厚さを6mmにした。このような構成にすれば、磁石ユニットを小型化することができる。この構成の場合、上下の水平部の外側の磁束密度は、わずか20ガウス、磁石10の裏側になる場所でも500ガウスであった。磁極面10aの磁束密度は9,300となり、中間点Mの磁束密度は8,700ガウスとなった。
cの厚さは、磁石10の長さLの15%以上あることが望ましいのであるが、図3において、cの厚さを15%未満にした実験も行った。この実験では、cの厚さを2mmとし、水平部の厚さを3mmとして、環状型ヨーク20を形成した。磁石10は、図1(a)と同じものである。その結果、磁極面10aの磁束密度は8,300ガウス、両側の磁極面10aの中間点Mの磁束密度は7,700ガウスと低下した。
図4は、上下のU字型ヨーク21、22の外側をカバーで覆った例で、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A断面図である。この実施例では、環状型ヨーク20の外側を非磁性材による間隔保持部材24で覆い、さらにその外側を磁性材によるカバー25で覆ったものである。間隔保持部材24とカバー25とを交互に各3層ずつ配置している。間隔保持部材24としては、非金属の非磁性体で、たとえば、ポリウレタン樹脂を使用することができる。カバー25には、強磁性体の軟鉄鋼板を使用している。カバー25を設けることで、漏れ磁束を小さくすることができる。ただし、カバー25は、1枚より2枚、2枚より3枚と増加するに伴い漏れ磁束が減少する。カバー25が3枚になると、漏れ磁束は殆ど無くなり、4枚以上に増やす必要はないと考えられる。
カバー25は、筒状でよいが、筒の両端を閉止した箱状にしてもよい。図4の実施例のカバー25は、第1ヨーク21と第2ヨーク22の分割線に一致させて25aと25bの2つ割に形成し、最外側のカバーをボルトやネジで接合する構成になっている。また、間隔保持部材24も同じ分割線で2つ割にしている。勿論であるが、分割しない構成としてもよい。
このように環状のヨークの外側を複数枚の磁性体のカバー25で覆うことによって、磁極面10aの磁束密度をさらに高くすることができる。
カバー25は、環状型ヨーク20と直交する方向の長さが、環状型ヨーク20より大きく、図4に示すeの寸法が10〜30mmの範囲であることが望ましい。10mm未満では漏れ磁束が増加するからである。30mm以上では漏れ磁束の影響を殆ど受けなくなるからである。
本発明の磁石ユニットは、種々の用途に使用できるが、特に、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン、あるいはボイラーの燃料や、吸気の改質に利用することができる。そして、これらの燃料や吸気を改質することで、排気ガスの浄化や、燃費の向上を達成することができる。
10 磁石
10a 磁極面
20 環状型ヨーク
20a 凹部
20b、20c 突起
21 第1ヨーク
22 第2ヨーク
t 段差
d 突起と磁石との隙間

Claims (5)

  1. 強磁性体からなる板状の素材から形成された環状型ヨークと、該環状型ヨークの対向辺内側に吸着させ異磁極を対向させた2つの磁石と、を有し、双方の磁石の先端磁極面間に間隙を有することを特徴とする磁石ユニット。
  2. 前記環状型ヨークが、U字型の第1ヨークと、この第1ヨークの両先端間に架設された第2ヨークとから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁石ユニット。
  3. 前記第2ヨークもU字型ヨークであることを特徴とする請求項2に記載の磁石ユニット。
  4. 前記環状型ヨークの前記磁石を吸着させる面に凹部を有し、前記磁石と前記凹部の両突起との間に隙間が確保されたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の磁石ユニット。
  5. 前記環状型ヨークの外側に非磁性体の間隔保持部材を介して磁性体からなる1枚又は2枚以上のカバーを設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の磁石ユニット。
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