JP2010265365A - 塩化ビニル系樹脂成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】塩化ビニル系樹脂又は塩素化塩化ビニル系樹脂(A)及び塩化ビニルモノマー100重量部と、式CH2=CH−SiRnX3−n(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
で表されるビニルシラン化合物0.5〜10重量部とを共重合して得られる架橋性塩化ビニル系樹脂(B)を、(A):(B)=(50〜90):(50〜10)の重量比で含有する混合樹脂を主成分とする塩化ビニル系樹脂成形体。
【選択図】なし
Description
例えば、特許文献1(特開2002−37972号公報)では、高重合度塩化ビニル系樹脂を用いることにより、耐衝撃性、疲労強度を向上することが開示されている。
塩化ビニル系樹脂又は塩素化塩化ビニル系樹脂(A)及び
塩化ビニルモノマー100重量部と、式
CH2=CH−SiRnX3−n
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
で表されるビニルシラン化合物0.5〜10重量部とを共重合して得られる架橋性塩化ビニル系樹脂(B)を、(A):(B)=(50〜90):(50〜10)の重量比で含有する混合樹脂を主成分とすることを特徴とする。
前記混合樹脂100重量部に対して、錫メルカプト系化合物が1.0〜10重量部、錫マレート触媒が0.1〜3.0重量部配合されてなることが好ましい。
また、錫メルカプト系化合物と錫マレート触媒との配合比率は、錫メルカプト系化合物/錫マレート触媒=4/1〜1/1であることが好ましい。
塩化ビニル系樹脂(A)は、塩化ビニル単独重合体(塩化ビニルホモポリマー)、塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーと塩化ビニルモノマー(好ましくは、50重量%以上含む)との共重合体、重合体に塩化ビニルモノマーをグラフト共重合したグラフト共重合体等が挙げられる。これら重合体は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
重合度を調整する方法としては、主に重合温度等が例示される。一般に重合温度が高いほど重合度は低くなる。
重合度は、JIS K 6720−2に準拠して測定することができる。
水懸濁熱塩素化法の反応温度としては、70〜130℃が好ましい。低温すぎると、塩素化反応が著しく遅くなる傾向がある。高温すぎると、樹脂が熱劣化で変色しやすくなる傾向がある。さらに好ましくは、90〜120℃である。また、反応の進行状況によって、反応温度を反応途中で変更する等、多段階で温度制御を行ってもよい。
ビニルシラン化合物としては、種々のものを利用することができる。
例えば、式
CH2=CH−SiRnX3−n
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
で表わされる化合物を用いることが適している。
Xは、加水分解性を有する有機基であればよく、炭素数1〜3のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ基が例示される。ただし、アルコキシ基の炭素数が大きくなると、加水分解速度が遅くなる傾向があり、架橋工程に時間がかかる傾向がある。よって、メトキシ、エトキシ基が好ましく、エトキシ基がより好ましい。
このようなラジカル重合性モノマーとしては、例えば、塩化ビニルモノマーと共重合が可能なモノマーが挙げられ、ビニルモノマーのすべてが含まれる。
例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα−オレフィン類:酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類:エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類:メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
このようなモノマーを追加する場合、このモノマーは、塩化ビニルモノマー100重量部に対して、1〜10重量部であることが適しており、2〜5重量部であることが好ましい。
共重合の際には、塩化ビニルモノマー及びビニルシラン化合物の反応比、溶媒への分散性等により各々の重合率が変化することを考慮する必要がある。
重合反応は、ランダム共重合、ブロック共重合又はこれらを併用してもよい。
特に、水懸濁重合法を行う場合には、油溶性重合開始剤、分散剤、水溶性増粘剤、重合度調節剤等の1種以上の種々の添加剤を用いることが好ましい。
反応終了後、未反応の塩化ビニルを除去してスラリー状にし、さらに脱水乾燥することが好ましい。
このような錫メルカプト系化合物は、錫メルカプト系化合物がシロキサン触媒となりうる錫金属を含むにもかかわらず、シロキサン触媒の効果を発揮せず、熱安定剤としてのみ作用する。ここでシロキサン触媒とはビニルシラン化合物による架橋を促進するもので、互いにSi−OHをもつ化合物からSi−O−Si結合(シロキサン結合)する際の反応を促進する触媒となるものを意味する。
錫マレート系化合物は、混合樹脂100重量部に対して、0.1〜3重量部配合することが好ましく、0.5〜1.0重量部がより好ましい。
また、錫メルカプト化合物と錫マレート触媒との合計部数は混合樹脂100重量部に対して、1.0〜10重量部配合することが適しており、1.0〜3.0重量部が好ましい。
このような熱安定剤は、錫マレート系又は錫ラウレート系化合物と併せて添加してもよいし、あらかじめ錫マレート系又は錫ラウレート系化合物と混合して、混合系安定剤を作成し、これを添加してもよい。
熱安定剤としては、上述した錫マレート系又は錫ラウレート系化合物とは異なるものであり、例えば、ステアリン酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、三塩基性硫酸鉛等の鉛系安定剤、カルシウム−亜鉛系安定剤、バリウム−亜鉛系安定剤、バリウム−カドミウム系安定剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
例えば、本発明の塩化ビニル系樹脂成形体の製造方法の一つとして、混合樹脂(任意に、錫メルカプト系化合物、錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒、その他の添加剤等)を混合して得られた樹脂組成物をそのまま用いてもよいが、これら成分の混合物を、ベント孔を有する押出機に導入し、押出成形法で一旦ペレット化することが好ましい。押出機は溶融混練時のせん断発熱が少ない2軸押出機が好適である。
大気圧を基準(0mmHg)として、真空度が最も高い(最も減圧されて圧力が低い)状態では、真空ゲージは760mmHgを指すが、押出成形時の真空度は400mmHg以上、760mmHg以下とすることが適しており、700mmHg以上とすることが好ましい。400mmHgより大きな真空度、例えば、300mmHgではペレット内の水分除去が不十分となり、射出成形時の外観が十分ではなくなる。
ゲル分率は特定の溶剤に試料を溶解させ、その重量変化率より算出される。ゲル分率が大きくなると、架橋が進行していることを示す。
具体的には、試料をテトラヒドロフラン(THF)中に16時間抽出したときの重量変化率であり、
(ゲル分率)=(THF抽出後の試料重量)/(THF抽出前の試料重量)
で定義される。
以下、本発明の実施例について説明するが、下記の例に限定されるものではない。なお、実施例における部は、特に断りのない限り重量基準の値を示す。また、表中の各成分の組成は、特に断りのない限り重量部を示す。
(塩化ビニル系樹脂(A))
塩化ビニル系樹脂は、市販品である徳山積水工業(株)社製のTS800E(重合度800)を用いた。
(架橋性塩化ビニル系樹脂(B)の合成)
攪拌機の備えられたジャケット付25リットルの耐圧重合器に、イオン交換水133部、ビニルエトキシシラン及び塩化ビニルモノマーをそれぞれ表1に示す所定重量部、油溶性ラジカル開始剤としてジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカルボネート0.05部、界面活性剤としてポリプロピレンオキサイドオレイルエーテル1部、水溶性増粘剤としてポリ塩化アルミニウム0.1部を供給した。
重合器内圧が降下を始めてから30分経過してからジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。その後、未反応の塩化ビニルモノマー等を除去し、重合スラリーを取り出した。これをイオン交換水で洗浄し、乾燥して架橋性塩化ビニル系樹脂(B)を得た。
表1に示すように、得られた塩化ビニル系樹脂(A)及び架橋性塩化ビニル系樹脂(B)の混合樹脂100重量部に対して、
安定剤としてオクチル錫マート(商品名「TVS #8604」、日東化成工業社製)、
安定剤としてオクチル錫ラウレート(「ONZ 7F」、日東化成工業社製)、
滑剤として「モノグリMB」(日本油脂社製)、
滑剤として「Hiwax405MP」(三井化学社製)、
加工助剤(商品名「PA20」、カネカ社製)
を、それぞれ表1に示す量でスーパーミキサー(100L、カワタ社製)にて攪拌混合して塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
熱水処理前後のゲル分率は表1に示すとおりである。
また、以下の物性を測定し、評価した。
ノズル温度185℃での条件化で、JISK6742(2004年度版)に準拠した引張ダンベルを成形した際に、良品を○、成形機内の圧力が高く、表面状態が平滑な成形品が得られなり、ショートショット、成形できなかったものを×とし判断した。
上記引張ダンベルに、試験条件23℃、最大応力20Mpa、周波数5Hzの条件で、繰り返し引張り荷重(20Mpa→0Mpa→20Mpa)を負荷し、破断するまでの繰り返し回数を測定した。
架橋性塩化ビニル系樹脂(A)のみ100重量部としたこと以外は実施例1と同様にして成形を行った。疲労性の向上は見られなかった。
架橋性塩化ビニル系樹脂(B)を70又は90重量部としたこと以外は実施例1と同様にして成形を行ったが、ショートショットとなった。
架橋性塩化ビニル系樹脂(B)のみ100重量部としたこと以外は実施例1と同様にして成形した。しかし、流動性が悪く、ダンベルについては、架橋が進行しすぎて、外観もザラザラの状態であった。
表1に示す塩化ビニル系樹脂(重合度2000)を使用したこと以外は実施例1と同様にして塩化ビニル系樹脂成形体を得た。
なお、ここでの塩化ビニル系樹脂は、水懸濁重合の際の重合温度を43℃にすること、ビニルエトキシシランを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル系樹脂の合成を行った。
表1に示す塩化ビニル系樹脂(A)と比較例7の塩化ビニル系樹脂(重合度2000)とを混合し使用したこと以外は実施例1と同様にして塩化ビニル系樹脂成形体を得た。
(塩素化塩化ビニル系樹脂A)
塩素化塩化ビニル系樹脂は、市販品である徳山積水工業(株)社製のHA31K(重合度800、塩素化度67.3%)を用いた。
攪拌機の備えられたジャケット付25リットルの耐圧重合器に、イオン交換水133部、ビニルエトキシシラン及び塩化ビニルモノマーを、それぞれ表2に示す所定重量部、油溶性ラジカル開始剤としてジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカルボネート0.05部、界面活性剤としてポリプロピレンオキサイドオレイルエーテル1部、水溶性増粘剤としてポリ塩化アルミニウム0.1部を供給した。
重合器を密閉して空気を排除した後、塩化ビニルモノマー100部を圧入し、次いで、攪拌しながら、63℃(重合度800、実施例7〜9)又は58℃(重合度1000、実施例10〜12)まで昇温し、重合器内の温度を63℃(重合度800、実施例7〜9)又は58℃(重合度1000、実施例10〜12)に保持しながら水懸濁重合を行った。 重合器内圧が降下を始めてから30分経過してからジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。その後、未反応の塩化ビニルモノマー等を除去し、重合スラリーを取り出し、これをイオン交換水で洗浄し、乾燥して架橋性塩化ビニル系樹脂(B)を得た。
表2に示すように、得られた塩素化塩化ビニル系樹脂(A)及び架橋性塩化ビニル系樹脂(B)の混合樹脂100重量部に対して、
安定剤としてオクチル錫マート(商品名「TVS #8604」、日東化成工業社製)、
安定剤としてオクチル錫ラウレート(「ONZ 7F」、日東化成工業社製)、
滑剤として「モノグリMB」(日本油脂社製)、
滑剤として「Hiwax405MP」(三井化学社製)、
加工助剤(商品名「PA20」、カネカ社製)
を、それぞれ表1に示す量でスーパーミキサー(100L、カワタ社製)にて攪拌混合して塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
熱水処理前後のゲル分率は表2に示すとおりである。
また、実施例1等と同様に、射出成形性、疲労強度、さらにビカット軟化温度を測定し、評価した。
成型品サンプルを用い、熱可塑性プラスチックのビカット軟化温度試験方法(JIS K 7206)に則り、10N加重、昇温速度10℃/hrにて、ビカット軟化温度を測定した。
塩素化塩化ビニル系樹脂(A)のみ100重量部とした以外は実施例7と同様にして成形を行った。疲労性の向上は見られなかった。
比較例7に示す塩化ビニル系樹脂(重合度2000)を使用したこと以外は実施例7と同様にして塩化ビニル系樹脂成形体を得た。
Claims (4)
- 塩化ビニル系樹脂又は塩素化塩化ビニル系樹脂(A)及び
塩化ビニルモノマー100重量部と、式
CH2=CH−SiRnX3−n
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
で表されるビニルシラン化合物0.5〜10重量部とを共重合して得られる架橋性塩化ビニル系樹脂(B)を、(A):(B)=(50〜90):(50〜10)の重量比で含有する混合樹脂を主成分とすることを特徴とする塩化ビニル系樹脂成形体。 - 前記混合樹脂100重量部に対して、錫メルカプト系化合物が1.0〜10重量部、錫マレート触媒が0.1〜3.0重量部配合されてなる請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂成形体。
- 錫メルカプト系化合物と錫マレート触媒との配合比率は、錫メルカプト系化合物/錫マレート触媒=4/1〜1/1である請求項1又は2に記載の塩化ビニル系樹脂成形体。
- 塩化ビニル系樹脂又は塩素化塩化ビニル系樹脂(A)及び
塩化ビニルモノマー100重量部と、式
CH2=CH−SiRnX3−n
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
で表されるビニルシラン化合物0.5〜10重量部とを共重合して得られる架橋性塩化ビニル系樹脂(B)を、(A):(B)=(50〜90):(50〜10)の重量比で含有する混合樹脂を用いて、射出成形法によって成形体を製造する塩化ビニル系樹脂成形体の製造方法。
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