JP2010263272A - 車両用監視カメラ及び車両用監視カメラシステム - Google Patents

Abstract

【課題】 １台のカメラで遠方の対象物を大きく撮像し、近傍の対象物については広い範囲に存在する対象物を撮像することを可能にした車両用監視カメラを提供する。
【解決手段】 撮像素子３２と結像レンズ３３とを備え、車両の前方或いは後方の遠方領域から近接領域までを撮像するための撮像装置ＣＡＭ１として構成され、結像レンズ３３は焦点距離が異なる複数のレンズＬｆ，Ｌｍ，Ｌｎで構成され、それぞれ結像される対象物を撮像素子３２の撮像面の異なる領域に結像して撮像する。遠方の対象物を大きな拡大率で撮像して解像度を高め、近傍ないし近接する領域については広い領域にわたって対象物を洩れなく撮像し、自車の周囲に存在する他車等の対象物を確実に監視する。
【選択図】 図３

Description

本発明は車両の周辺に存在する他車両や障害物等の対象物を検出するための監視カメラ及び検出した対象物に基づいて灯具の配光や車両の走行安全支援を制御することを可能にした車両用監視カメラシステムに関するものである。

近年の自動車では自車の周辺領域を監視カメラで撮像し、自車の周辺に存在する他車両や障害物等の対象物を検出し、これをモニタ装置に表示したり、検出した対象物に応じてヘッドランプやリアランプ等の車両用灯具の光度や配光を制御する技術が提案されている。この種の監視カメラでは自車の周辺の広い範囲を監視することが好ましいが、そのためにはそれぞれ異なる領域を撮像する複数の監視カメラを自動車に装備させる必要があり、コスト高の要因になる。そのため、１台の監視カメラで複数の領域を監視できるようにした監視カメラが提案されている。例えば、特許文献１では自動車の後部に設けた監視カメラ内に撮像レンズと撮像素子を内装して対象物を撮像可能に構成するとともに、当該監視カメラ内に反射光軸が左右方向と下方向のそれぞれに向けられた３つの反射面を有するミラーを内蔵し、撮像領域をこれら３つの反射面によって区分することで１つの撮像素子によって自車の周辺の左右領域と下方領域の３つの領域を同時に撮像する監視カメラが提案されている。

特開２００７−１３５４９号公報

特許文献１の監視カメラは３つの領域を１つの撮像素子で撮像することは可能であるが、１つの撮像レンズで各領域を撮像素子に結像して撮像を行っているため、各領域の撮像倍率は同じであり、近くの対象物は大きく撮像されるが、遠方の対象物は小さく撮像されることになる。そのため、撮像した対象物をモニタ装置に画像表示したときには遠方の対象物は小さすぎて確認し難くなる。また、撮像した撮像信号に基づいて対象物を画像認識しようとした場合には、遠方の対象物は小さく撮像されるために撮像素子における解像度が低くなり、当該対象物を画像認識によって検出することができない場合が生じる。いずれの場合も遠方領域の監視が不十分なものになり監視カメラの機能を十分に発揮させることができない。

これに対しては、焦点距離の長い撮像レンズを用いれば遠方の対象物を大きく撮像でき、撮像素子における解像度を高めて当該対象物を確認し、あるいは検出することが可能になる。しかし、これでは撮像画角が狭くなるため監視カメラの側方に存在する対象物、特に監視カメラの近くに存在する対象物が撮影画角に入らなくなって当該対象物を撮像して検出することができなくなる。そのため、対象物を検出して自車の灯具の点灯を制御するようにシステムを構成した場合には、自車から照射する照明光によって近接車両に対して眩惑を生じさせてしまう等の安全走行の上で重大な事態を生じるおそれが高くなる。

本発明の目的は、１台のカメラで遠方の対象物を大きく撮像し、近傍領域や近接領域については広い範囲に存在する対象物を撮像することを可能にした車両用監視カメラを提供するものである。

また、本発明の他の目的は監視カメラで撮像した画像に基づいて対象物を検出し、検出した対象物に基づいて車両のランプの点灯制御や車両の走行安全支援の制御を行うようにした車両用監視カメラシステムを提供するものである。

本発明の監視カメラは、撮像素子と結像レンズとを備え、車両の前方或いは後方の遠方領域から近接領域までを撮像して他車両や障害物等の対象物を検出するための撮像装置として構成され、結像レンズは焦点距離が異なる複数のレンズで構成され、これら複数のレンズでそれぞれ結像される対象物を撮像素子の撮像面の異なる領域に結像して撮像するように構成されていることを特徴とする。

本発明の監視カメラにおいて、撮像装置は、複数のレンズのうち焦点距離の長いレンズで自車の前方又は後方の遠方領域を撮像し、焦点距離の短いレンズで自車の前方又は後方から側方の近傍領域ないし近接領域を撮像する構成とする。ここで、撮像装置は車両のランプに内装してもよい。

また、本発明の車両用監視カメラシステムは、本発明にかかる撮像装置で撮像した画像に基づいて対象物を検出する対象物検出手段と、検出した対象物に基づいて車両のランプの点灯状態や車両の走行安全支援制御する点灯制御手段とを備えることを特徴とする。

本発明の監視カメラによれば、１つの撮像装置、すなわち１つの撮像素子を備える撮像装置においても、遠方の対象物を焦点距離の長いレンズで撮像することで対象物を大きな拡大率で撮像し、近傍から近接する領域では焦点距離の短いンレズで広い範囲にわたって撮像することができる。これにより、遠方の対象物を高い解像度で撮像でき、対象物を確実に検出でき、かつ、近傍ないし近接する領域に存在する対象物を洩れなく確実に検出でき、自車の周囲に存在する他車等の対象物を確実に検出した監視が実現できる。

本発明の監視カメラシステムによれば、本発明の監視カメラによって自車の周囲に存在する他車等の対象物を確実に検出することができるので、この検出に基づいて自車のリアランプやヘッドランプの点灯状態を制御することで、他車に対する自車両の視認性を高め、あるいは他車への眩惑を防止することができる。あるいは、検出に基づいて自車の走行における速度制御や操舵等の車両走行安全支援を制御することもできる。これにより、車両の安全走行を確保した制御が可能になる。

実施形態１の監視カメラシステムの概念構成図。 実施形態１の監視カメラ（撮像装置）を内装したハイマウントストップランプの一部破断正面図とＢ−Ｂ線断面図。 実施形態１の撮像装置の正面図と縦断面図。 撮像装置の撮像領域と撮像画像の概念図。 実施形態１の監視カメラシステムの動作の一例を示すフロー図。 実施形態２の監視カメラシステムの概念構成図。 実施形態２の監視カメラ（撮像装置）の正面図と横断面図。 実施形態２の撮像装置の撮像領域と撮像画像の概念図。 実施形態２の監視カメラシステムの動作の一例を示すフロー図。

（実施形態１）
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図１は自動車の車体後部上縁部に配設したハイマウントストップランプに監視カメラを組み込んだ実施形態１の監視カメラシステムの概念図である。自動車ＣＡＲの車体後部の上縁部に光源として、ここでは発光ダイオードＬＥＤを備えたハイマウントストップランプＨＭＳＬが配設されており、このハイマウントストップランプＨＭＳＬ内に本発明の監視カメラとしての撮像装置ＣＡＭ１が内装されている。この撮像装置ＣＡＭ１は、ここでは自動車（以下、自車と称する）ＣＡＲの後部及びその側方を含む近傍領域Ａｎと、自車ＣＡＲの後方から側方を含む少し離れた近傍領域Ａｍと、自車ＣＡＲの後方の遠く離れた遠方領域Ａｆをそれぞれ同時に撮像することが可能とされている。この撮像装置ＣＡＭ１には、撮像した撮像画像から他車や障害物等の対象物（この実施形態１では対象物として他車両（以下、他車と称する）の例を示す）を検出する対象物検出部１１と、この対象物検出部１１で検出した対象物に基づいて自車ＣＡＲの前記ハイマウントストップランプＨＭＳＬや、同じく自車ＣＡＲの車体後部に配設したリアランプＲＬの点灯を制御する点灯制御部１２とを備えており、これら撮像装置ＣＡＭ１と対象物検出部１１と点灯制御部１２とで本発明の監視カメラシステムを構成している。点灯制御部１２には運転者によって操作されるランプスイッチや、ブレーキペダルが操作されたときに動作するブレーキペダルスイッチが接続されているがここでは図示は省略している。

図２は前記ハイマウントストップランプＨＭＳＬの概略構成図であり、同図（ａ）は一部を破断した正面図、同図（ｂ）はＢ−Ｂ線拡大断面図である。このハイマウントストップランプＨＭＳＬは、自車ＣＡＲの後部上縁部に沿って左右に細長く形成されたランプボディ２１と、表面に所要のレンズステップが一体に形成された透明又は白色の前面レンズ２２とでハウジング２０が構成されており、このハウジング２０内に左右に細長い基板２３が内装され、この基板２３の前面に複数の赤色発光ダイオードＬＥＤが横一列に配列した状態で搭載されている。この発光ダイオードＬＥＤは図１に示した点灯制御部１２に接続されており、ブレーキペダルスイッチがオンされたときに点灯制御部１２から給電されて発光し、赤色光を出射し前面レンズ２２を通して自車ＣＡＲの後方に照射するようになっている。前記前面レンズ２２の前記発光ダイオードＬＥＤよりも下側の領域で左右方向のほぼ中央位置には一部を素通しにした開口窓２２ａが設けられており、この開口窓２２ａに臨む前記ハウジング２０内に監視カメラとしての前記撮像装置ＣＡＭ１が内装されている。

図３は撮像装置ＣＡＭ１の概略構成図であり、同図（ａ）は正面図、同図（ｂ）は縦断面図である。撮像装置ＣＡＭ１は矩形容器型をしたカメラボディ３１内に、ＣＣＤやＣ−ＭＯＳからなる撮像素子３２と、この撮像素子３２の撮像面に撮像しようとする対象物を光学的に結像するための複合型結像レンズ３３及びこの複合型結像レンズ３３と撮像素子３２の間に介在された焦点レンズ３４とで構成されている。複合型結像レンズ３３は正面から見た形状がカメラボディ３１の形状に従って矩形をした１枚のレンズとして構成されており、この対物レンズ３３の中心位置よりも上辺側に偏った位置に配設された円形の遠方領域レンズＬｆと、この遠方領域レンズＬｆを囲む領域でそれよりも大径の円形領域の近傍領域レンズＬｍと、さらにこの近傍領域レンズＬｍを囲む領域、すなわち前記遠方領域レンズＬｆと近傍領域レンズＬｍ以外の円形をした領域で構成される近接領域レンズＬｎとを備えている。そして、遠方領域レンズＬｆは曲率半径が最も大きい球面で構成され、近接領域レンズＬｎは曲率半径が最も小さい球面で構成され、近傍領域レンズＬｍは曲率半径がこれらレンズＬｆ，Ｌｎの中間の球面で構成されている。換言すれば、遠方領域レンズＬｆは長焦点レンズとして構成され、近傍領域レンズＬｍは中焦点レンズとして構成され、近接領域レンズＬｎは短焦点レンズとして構成されていることになる。その上で遠方領域レンズＬｆは撮像素子３２から最も遠い前方側に位置され、近接領域レンズＬｎは撮像素子３２に最も近い最も後方側に位置され、近傍領域レンズＬｍはその中間に位置されている。前記焦点レンズ３４は前記遠方領域レンズＬｆ、近傍領域レンズＬｍ、近接領域レンズＬｎでそれぞれ結像される対象物を撮像素子３２の撮像面に焦点を結ぶために設けられる。

この構成の撮像装置ＣＡＭ１では、撮像を行うと、前記複合型結像レンズ３３の各レンズ部Ｌｆ，Ｌｍ，Ｌｎでそれぞれ結像した対象物を焦点レンズ３４で撮像素子３２の撮像面に焦点を結んで撮像を行い、撮像信号を出力する。図４（ａ）に撮像素子３２の撮像領域ＰＡを示すように、撮像面の中央上部の領域ＰＡｆが前記遠方領域レンズＬｆで結像された対象物像を撮像する遠方撮像領域として構成され、前記遠方撮像領域ＰＡｆを除く撮像面の中帯領域ＰＡｍが前記近傍領域レンズＬｍで結像された対象物を撮像する近傍撮像領域として構成され、撮像面の周辺領域ＰＡｎが前記近接領域レンズＬｎで結像された対象物像を撮像する近接撮像領域として構成されている。すなわち、近傍領域レンズＬｍは中焦点レンズで構成されているので、この近傍領域レンズＬｍの焦点距離をいわゆる標準焦点距離に設定することで近傍撮像領域ＰＡｍにおいて撮像される対象物は標準サイズで撮像されることになる。一方、遠方領域レンズＬｆはそれよりも焦点距離の長い長焦点レンズで構成されているので、遠方撮像領域ＰＡｆにおいて撮像される対象物は標準サイズよりも大きな拡大率で撮像されることになる。また、近接領域レンズＬｎは近傍領域レンズＬｍよりも焦点距離の短い短焦点レンズで構成されているので、近接撮像領域ＰＡｎにおいて撮像される対象物は標準サイズよりも広い領域が撮像されることになる。なお、図４（ａ）は撮像領域を概念的に示す図であり、焦点レンズ３４の構成によっては撮像素子３２では上下を反転した撮像領域となることもある。

したがって、撮像装置ＣＡＭ１で撮像した画像を仮に対象物検出部２１に接続したモニタ装置ＭＯＮに表示したとすると、図４（ｂ）のようにモニタ装置ＭＯＮの表示画面の中央上部寄りの遠方表示領域Ｍｆは遠方領域レンズ部Ｌｆによって撮像されるため、自車の後方の遠方領域Ａｆに存在する後続車ＣＡＲ１は撮像倍率の大きな画像として撮像される。一方、表示画面の周辺の近接表示領域Ｍｎは近接領域レンズＬｎによって撮像されるため、自車の後方から側方の近接した広い範囲の近接領域Ａｎに存在する対象物ＣＡＲ２が撮像されることになる。モニタ装置ＭＯＮの表示画面の遠方表示領域Ｍｆと周辺の近接表示領域Ｍｎを除いた中帯領域からなる近傍表示領域Ｍｍは近傍領域レンズＬｍによって撮像されるため、自車の後方の近接領域Ａｎよりも幾分離れている近傍領域Ａｍに存在する対象物は標準撮像倍率でかつ標準画角で撮像される。なお、この例では隣接他車ＣＡＲ２は近傍領域Ａｍと近接領域Ａｎに跨がって存在している状態を示している。

撮像装置ＣＡＭ１で撮像した対象物の撮像信号は対象物検出部１１において画像認識され、遠方領域Ａｆ、近傍領域Ａｍ、近接領域Ａｎにそれぞれ存在する対象物を検出する。このとき、撮像素子の遠方撮像領域ＰＡｆでは従来では小さい画像として撮像されていた遠方領域Ａｆに存在する対象物を長焦点の遠方領域レンズＬｆによって撮像倍率の大きな画像として撮像することができるので、撮像素子３２における当該遠方の対象物を撮像する画素数は多くなり、高い解像度で画像認識して検出することができる。その一方、撮像素子３２の近傍撮像領域ＰＡｍから近接撮像領域ＰＡｎでは焦点距離が標準の又はそれよりも短いレンズＬｍ，Ｌｎで広い画角にわたって撮像することができるので、自車の後方のみならず側方に存在する対象物まで画像認識して検出することができる。このとき、撮像される対象物は近くに存在するので短焦点レンズでの撮像であっても画像認識するのに十分な大きさで撮像でき高い解像度が得られる。これにより、自車の周囲に存在する対象物を、遠方領域Ａｆから近傍領域Ａｍ、ないし近接領域Ａｎにわたって洩れなく、しかも高い解像度を保持したまま撮像し、画像認識により検出することが可能になる。

このようにして、遠方領域Ａｆから近接領域Ａｎまでを撮像した画像に基づいて対象物検出部１１は画像認識を行って対象物を検出すると、点灯制御部１２はこの対象物の検出に基づいてリアランプＲＬやハイマウントストップランプＨＭＳＬの点灯を制御する。点灯制御部１２は、基本的には運転者によってランプスイッチがオンされたときにリアランプＲＬのテールランプを点灯し、また運転者によってブレーキペダルが操作されたときにリアランプＲＬのストップランプとハイマウントストップランプＨＭＳＬを点灯する制御を行うように構成されている。さらに、運転者によってハザードランプスイッチが操作されたときにはリアランプＲＬのハザードランプ（ターンシグナルランプ）を点滅する制御を行うように構成されている。

そして、前記したように撮像装置ＣＡＭ１において撮像した画像に基づいて対象物検出部１１において他車を検出したときには、点灯制御部１２はこれらリアランプＲＬやハイマウントストップランプＨＭＳＬの点灯を自動制御する。例えば、図５は点灯制御の一例を示すフローチャートである。高速走行時にリアランプＲＬが点灯されていないときに対象物検出部１１で遠方領域Ａｆに存在する他車を検出したときには（Ｓ１１）、点灯制御部１２はリアランプＲＬを点灯する制御を行う（Ｓ１２）。これにより遠方領域Ａｆに存在する他車は自車の存在を認識し易くなる。これは、中速走行時でリアランプＲＬが点灯されていないときに近傍領域Ａｍに存在する他車を検出したような場合も同じである。

一方、高速走行時や中速走行時でリアランプＲＬが点灯されているときに対象物検出部１１で近傍領域Ａｍに存在する他車を検出したときには（Ｓ１３）、点灯制御部１２はリアランプＲＬのストップランプやハイマウントストップランプＨＭＳＬを点灯する制御を行う（Ｓ１４）。これにより、自車に接近して来る他車が自車の存在をより認識し易くなる。さらに、以上の点灯制御を行ったのにもかかわらず対象物検出部１１が近接領域Ａｎに他車が接近してきたことを検出したときには（Ｓ１５）、点灯制御部１２はリアランプＲＬのストップランプやハイマウントストップランプＨＭＳＬの光度を高める（Ｓ１６）。特に、高速走行時に自車の直後の近接領域Ａｎに存在する他車を検出したような場合には、これらランプの光度を高めると同時にリアランプＲＬのハザードランプを点滅させる制御を行ない、接近して来る他車に対する警告を行う（Ｓ１６）。このように、撮像装置ＣＡＭ１で撮像した画像に基づいて遠方領域Ａｆから近接領域Ａｎを含む自車の周囲の広い範囲に存在する他車を検出し、当該他車との距離に応じてリアランプＲＬのストップランプやハザードランプ、あるいはハイマウントストップランプＨＭＳＬの点灯を制御することで、当該他車に対する自車の認識の度合いを高め、事故を未然に防止して安全走行を確保することが可能になる。

実施形態１によれば、撮像装置ＣＡＭ１において複合型対物レンズ３３によって、遠方領域Ａｆの対象物を拡大して撮像し、一方では近傍領域Ａｍないし近接領域Ａｎの広い領域にわたって存在する対象物を撮像し、これらの撮像した画像に基づいて高速走行時から中速走行時、さらには低速走行時において自車の遠方の後方から近接した後方ないし側方に存在する対象物を洩れなく、しかも高い解像度で撮像して他車等の対象物を確実に検出することが可能になる。これにより、自車のランプの点灯によって検出した他車に対して自車の存在を認識させたり、他車に対する警告を行う等、車両の安全走行を確保することが可能になる。

（実施形態２）
図６は実施形態２の監視カメラシステムの概念構成図である。実施形態２では自車ＣＡＲの前部左右に設けたヘッドランプＨＬのいずれか一方、例えば、右側ヘッドランプのハウジング内にハイビームランプやロービームランプ等のランプＬＡＭＰと共に監視カメラとしての撮像装置ＣＡＭ２を配設し、自車の前方から側方の領域を撮像するように構成したものである。対象物検出部１１は実施形態１と同じ構成であり、撮像装置で撮像した対象物を画像解析して他車を検出する。また、点灯制御部１２は、ここでは対象物検出部１１で検出した対象物に基づいて自車の左右に配設したヘッドランプＨＬの点灯状態を制御するように構成されている。

前記撮像装置ＣＡＭ２は図６に示す自車ＣＡＲの前方の遠方領域Ａｆと近傍・近接領域Ａｍｎの２つの領域に区分して撮像を行うように構成したものである。図７（ａ），（ｂ）は撮像装置ＣＡＭ２の正面図と横断面図であり、撮像装置ＣＡＭ２は矩形箱型をしたカメラボディ４１内に撮像素子４２と複合型結像レンズ４３とを備えている。この複合型結像レンズ４３は、ここでは１つの長焦点レンズからなる遠方領域レンズＬｆと、２つの短焦点レンズからなる近傍・近接領域レンズＬｍｎとで構成されており、遠方領域レンズＬｆを中央に配置し、この左右両側に２つの近傍・近接領域レンズＬｍｎを配設している。また、遠方領域レンズＬｆは近傍・近接レンズＬｍｎよりも前方に配置されていることは言うまでもない。

実施形態２の撮像装置ＣＡＭ２では、撮像を行うと、図８（ａ）に示すように、撮像素子４２は遠方領域レンズＬｆで結像した対象物を撮像領域ＰＡの左右方向の中央に区画された遠方撮像領域ＰＡｆで撮像し、２つの近傍・近接領域レンズＬｍｎで結像した対象物を撮像素子４２の左右両側の近傍・近接撮像領域ＰＡｍｎでそれぞれ撮像する。遠方領域レンズＬｆは長焦点レンズで構成されているので、撮像素子４２の遠方撮像領域ＰＡｆにおいて撮像される遠方の対象物は大きな拡大率で撮像される。一方、近傍・近接領域レンズＬｍｎは短焦点レンズで構成されているので、撮像素子４２の近傍・近接撮像領域ＰＡｍｎにおいては広い領域にわたって存在する対象物が撮像されることになる。

すなわち、撮像装置ＣＡＭ２で撮像した画像を仮にモニタ装置に表示したとすると、図８（ｂ）のようにモニタ装置ＭＯＮの表示画面の遠方表示領域Ｍｆは遠方領域レンズＬｆによって撮像された画像であるため、自車の前方の遠方領域Ａｆに存在する先行車ＣＡＲ３や対向車ＣＡＲ４等の対象物は撮像倍率の大きな画像として撮像される。一方、表示画面の近傍・近接表示領域Ｍｍｎは近傍・近接領域レンズＬｍｎによって撮像された画像であるため、自車の直前から側方の近傍ないし近接する広い領域にわたって撮像され、側近に存在する他車ＣＡＲ５が撮像されることになる。

撮像装置ＣＡＭ２で撮像した対象物の撮像信号は対象物検出部１１において画像認識され、遠方領域Ａｆと近傍・近接領域Ａｍｎにそれぞれ存在する対象物を検出する。このとき、撮像素子４２の遠方撮像領域ＰＡｆでは従来では小さい画像として撮像されていた遠方領域Ａｆの対象物を撮像倍率の大きな画像として撮像することができるので、当該遠方の対象物を高い解像度で画像認識して検出することができる。その一方、撮像素子４２の両側の近傍・近接撮像領域ＰＡｍｎでは自車の直前ないし側方にわたる広い領域に存在する対象物を画像認識して検出することができる。

このようにして、対象物検出部１１において遠方領域Ａｆから近傍・近接領域Ａｍｎまでを撮像した画像に基づいて画像認識を行って対象物を検出する。点灯制御部１２は、基本的には運転者によってランプスイッチがオンされたときに自車の左右のヘッドランプＨＬのロービームランプ又はハイビームランプを点灯制御する。そして、例えば、図９に点灯制御の一例のフローチャートを示すように、ロービームランプが点灯されてハイビームランプが点灯されていないときに（Ｓ２１）、対象物検出部１１で自車ＣＡＲの前方の遠方領域Ａｆ及び近傍・近接領域Ａｍｎのいずれにも他車を検出しないときには（Ｓ２２）、点灯制御部１２はハイビームランプを点灯する制御を行う（Ｓ２３）。これにより自車の前方領域を遠方領域Ａｆに至るまで広い範囲にわたって照明し、自車の走行安全性を確保する。

一方、対象物検出部１１において遠方領域に存在する他車を検出したときには（Ｓ２４）、点灯制御部１２はハイビームランプの光度を低下させる減光制御を行う（Ｓ２５）。これにより、遠方領域Ａｆに存在する対向車や先行車を眩惑することなく自車の前方の可及的に広い範囲を照明する。他方、ハイビームランプを点灯しているときに対象物検出部１１において近傍・近接領域Ａｍｎに存在する他車を検出したときには（Ｓ２６）、点灯制御部１２はハイビームランプを消灯する制御を行う（Ｓ２７）。これにより、接近している対向車や先行車に対する眩惑を防止する。

実施形態２によれば、撮像装置ＣＡＭ２において複合型結像レンズ４３によって、遠方領域Ａｆの対象物を拡大して撮像し、近傍・近接領域Ａｍｎの広い領域にわたって存在する対象物を撮像し、これらの撮像した画像に基づいて自車の遠方の前方から近接した前方ないし側方に存在する対象物をそれぞれ高い解像度で撮像してこれら対象物を確実に画像認識して検出することが可能になる。これにより、検出した他車に対して自車のランプの点灯による眩惑を防止する等、車両の安全走行を確保することが可能になる。

実施形態１，２では撮像素子で撮像した全ての画像を一括してモニタ装置に表示したり、画像認識して対象物を検出しているが、対象物検出部においては撮像素子の全ての画素の一部のみを選択して撮像信号を取り出して対象物を検出するように構成してもよい。例えば、実施形態１において、撮像素子３２の全撮像領域ＰＡのうち、遠方撮像領域ＰＡｆの画素のみについて撮像信号を取り出すことにより、遠方領域Ａｆのみを撮像し、遠方領域Ａｆに存在する対象物のみを検出するように構成する。これは近傍撮像領域ＰＡｍや近接撮像領域ＰＡｎについても同様である。このように領域毎に独立した撮像を行うことで、対象物が存在する位置や状態等をより高精度で検出することも可能になる。

実施形態１では自車の後方領域に存在する他車を検出して自車のリアランプの点灯状態を制御し、実施形態２では自車の前方領域に存在する他車を検出して自車のヘッドランプの点灯状態を制御しているが、これらを同時に備える構成としてもよい。また、実施形態１では撮像装置をハイマウントストップランプに内装し、実施形態２では撮像装置をヘッドランプに内装しているが、撮像装置をランプとは独立して車両の後部や前部に配設することも可能である。撮像装置をランプに内装した場合には、撮像装置をランプに内装する際に撮像光軸をランプ光軸に一致させておけば、ランプを車両に装着する際にランプ光軸の光軸調整を行うだけで撮像光軸の光軸調整は不要になる。また、ランプに内装する場合には実施形態１のハイマウントストップランプやヘッドランプに限定されるものでないことは言うまでもない。

なお、実施形態１，２では結像レンズとして、焦点距離の異なる複数のレンズを一体化した複合型の結像レンズとして構成した例を示したが、それぞれ独立した複数のレンズで構成されていてもよいことは言うまでもない。また、各レンズが撮像素子の撮像面に結像を行う領域、すなわち撮像素子の撮像面における遠方撮像領域、近傍撮像領域、近接撮像領域、さらには近傍・近接撮像領域は実施形態１，２の区分形状に限られず任意の区分形状に設定することも可能である。また、撮像した画像をモニタ装置に表示することも可能であり、このモニタ装置としてナビゲーションシステムのナビ画面に表示させるようにしてもよい。

本発明は撮像装置により車両の遠方領域から近接領域にまで存在する対象物を検出する監視カメラに採用することが可能である。また、本発明は撮像装置で撮像した画像に基づいて対象物を検出し、この検出に基づいて車両のランプの点灯状態を制御する車両用監視カメラシステムに採用することが可能である。

ＣＡＭ１，ＣＡＭ２ 監視カメラ（撮像装置）
ＣＡＲ 自動車（自車）
ＣＡＲ１〜５ 対象物（他車）
ＨＭＳＬ ハイマウントストップランプ
ＬＥＤ 発光ダイオード
ＨＬ ヘッドランプ
ＬＡＭＰ ランプ（ハイビームランプ，ロービームランプ）
Ｌｆ 遠方領域レンズ
Ｌｍ 近傍領域レンズ
Ｌｎ 近接領域レンズ
Ｌｍｎ 近傍・近接領域レンズ
１１ 対象物検出部
１２ 点灯制御部
３１，４１ （カメラ）ハウジング
３２，４２ 撮像素子
３３，４３ 複合型結像レンズ
３４ 焦点レンズ

Claims (4)

1. 撮像素子と結像レンズとを備え、車両の前方或いは後方の遠方領域から近接領域までを撮像して他車両や障害物等の対象物を検出するための撮像装置として構成され、前記結像レンズは焦点距離が異なる複数のレンズで構成され、前記複数のレンズでそれぞれ結像される対象物を前記撮像素子の撮像面の異なる領域に結像して撮像するように構成されていることを特徴とする車両用監視カメラ。
2. 前記撮像装置は、複数のレンズのうち焦点距離の長いレンズで自車の前方又は後方の遠方領域を撮像し、焦点距離の短いレンズで自車の前方又は後方から側方の近傍領域ないし近接領域を撮像する構成であることを特徴とする請求項１に記載の車両用監視カメラ。
3. 前記撮像装置は車両のランプに内装されていることを特徴とする請求項２に記載の車両用監視カメラ。
4. 請求項１ないし３のいずれかの撮像装置と、当該撮像装置で撮像した画像に基づいて対象物を検出する対象物検出手段と、検出した対象物に基づいて車両のランプの点灯状態を制御する点灯制御手段とを備えることを特徴とする車両用監視カメラシステム。
   
   

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