実施形態を、図面を参照しながら説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
実施形態に係る撮像装置は、トンネル等の構造物の維持管理のために、構造物を撮像する装置である。実施形態では、車両に撮像装置を搭載し、車両を移動させながらトンネル内側の壁面を撮像する撮像装置を一例として説明する。
<撮像装置の全体構成>
図1は、実施形態に係る撮像装置の構成の一例を説明する斜視図である。撮像装置100は、スライドユニット200と、カメラユニット300と、照明ユニット400とを有する。
カメラユニット300は、トンネル内側の壁面を撮像し、照明ユニット400は、カメラユニット300による撮像のために、トンネル内側の壁面に向けて光を壁面に照明する。
スライドユニット200は、カメラユニット300及び照明ユニット400を図1の太矢印方向にスライドさせるための部材である。カメラユニット300及び照明ユニット400は、スライドユニット200により、図1の太矢印方向にその位置を変化させることができる。ここで、スライドユニット200は「水平シフト機構」の一例である。
またスライドユニット200は、レール210及び220と、ベース230と、ガイドシャフト240と、ガイドシャフト保持部材251及び252と、フレーム261及び262とを備えている。
カメラユニット300は、フレーム261に固定されたレール210上をスライドすることで、図1の太矢印方向における位置を可変とする。同様に、照明ユニット400は、フレーム262に固定されたレール220上をスライドすることで、図1の太矢印方向における位置を可変とする。
レール210及び220は、レール軸が略平行となるようにフレーム261及び262にそれぞれ固定されている。ベース230は、フレーム261及び262に固定され、両者を接続するとともに、撮像装置100のベースとなる。
ガイドシャフト240は、カメラユニット300及び照明ユニット400を安定した精度でスライドさせるために用いられる部材であり、金属製の丸棒等である。丸棒の長手方向がカメラユニット300及び照明ユニット400のスライド方向に沿うように設置されている。
ガイドシャフト240は、ガイドシャフト240を保持するガイドシャフト保持部材251及び252にそれぞれ設けられた貫通孔に通され、保持されている。尚、ガイドシャフト240とその周辺の部材の構成及び作用については別途詳述する。
ここで、図1では、スライドユニット200により、カメラユニット300及び照明ユニット400の両方をスライドさせる構成を示したが、これに限定されるものではない。カメラユニット300をスライドさせるユニットと、照明ユニット400をスライドさせるユニットを別々にした構成としてもよい。
撮像装置100は、カメラユニット300及び照明ユニット400のスライド方向が車両の移動方向と交差するように、車両のルーフ等に取り付けられる。換言すると、図1の太矢印方向は、撮像装置100が取り付けられた車両の移動方向に対して交差している。このように取り付けることで、車両の移動方向と交差する平面内において、カメラユニット300及び照明ユニット400の位置を変化させることができる。
尚、撮像装置100が取り付けられる車両の部分は、ルーフに限定されるものではない。車両の前方、又は後方のボンネット等であってもよいし、車両がトラックであれば荷台等であってもよい。また、車両への撮像装置100の取り付けに関し、ルーフに取り付ける場合は、車両用のスキーキャリヤ等と同様に、フック部品等を用いて行えばよい。
<カメラユニットの構成>
次に図2は、実施形態に係るカメラユニット300の構成の一例を説明する斜視図である。
カメラユニット300は、ベースプレート310と、レール接続部321及び322と、カメラ331~334と、シャフト連結部341及び342と、インデックスプランジャ350とを有する。
レール接続部321及び322は、ベースプレート310とレール210を接続するための部材である。レール接続部321及び322は、レール軸と直交する方向の断面が「コ」の字形の形状をしている。レール210が双頭レールの場合、双頭レールの頭の一方に「コ」の字形状を被せるようにして、レール接続部321及び322は、レール210に接続される。
レール接続部321及び322は同一形状であり、レールの軸方向の異なる2つの位置でレール210と接続する。レール接続部321及び322にベースプレート310を固定することにより、カメラユニット300はレール軸の方向(図1の太矢印方向)にスライド可能となる。
カメラ331~334は、ベースプレート310の平面部に固定されている。ここで、カメラ331は、レンズ331-1と、ラインCCD(Charge Coupled Device)331-2とを有する。レンズ331-1は、レンズ331-1の光軸方向にある被写体の像をラインCCD331-2の撮像面上に結像させる。ラインCCD331-2は、結像した被写体の像を撮像する。レンズ331-1は、「結像光学系」の一例である。
またレンズ331-1の内部には、絞り331-1a(図4参照)が設けられている。絞り331-1aは、絞り羽根を有する虹彩絞りであり、直径が可変の開口である。絞り羽根にモータ等の駆動源を接続し、制御信号に基づいてモータを駆動させることで開口の直径を変化させることができる。これによりレンズ331-1を通過する光の光量を変化させ、レンズ331-1により結像される被写体の像の明るさを変化させることができる。
ラインCCD331-2は、画素が一次元状(ライン状)に配列されているCCDであり、実施形態では、カメラ331は、ラインCCD331-2の画素の配列方向が車両の移動方向と交差するようにベースプレート310に固定されている。尚、カメラ332~334も、カメラ331と同様の構成を備えるが、上述したものと同様であるため、説明を省略する。
トンネルは、車両の移動方向と交差する断面が半円状の形状をしている。これに合わせ、カメラ331~334は、図2のように、それぞれが有するレンズの光軸がトンネルの壁面と交差するように放射状に配置されている。換言すると、それぞれがトンネルの壁面に対向するように、カメラ331~334はベースプレート310の平面部に放射状に配置されている。
カメラ331~334がそれぞれ撮像するライン画像をカメラの配列方向に繋ぎ合せることで、トンネルの形状に沿って、トンネル壁面のライン画像を撮像することができる。そして車両を移動させながら上記のライン画像を所定の時間間隔で連続的に撮像し、ライン画像の画素の配列方向と直交する方向に、撮像したライン画像を繋ぎ合せることで、トンネルの壁面のエリア画像(2次元画像)を取得することができる。尚、所定の時間間隔はラインCCDによるライン画像の取得周期等である。
ここで、上述ではカメラの台数を4台とする例を示したが、これに限定されるものではない。トンネルの大きさなどの条件に応じてカメラの台数を増減させてもよい。また、レンズ331-1の結像倍率、視野及びFナンバ等は、撮像したい条件に合わせて決定してもよい。
さらに、上述ではカメラ331がラインCCDを備える例を示したが、これに限定されるものではなく、カメラ331は、画素が二次元的に配列されているエリアCCDを備えてもよい。さらにCCDに代えてCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)等を用いてもよい。
一方、シャフト連結部341及び342は、ガイドシャフト240と連結するための部材である。またインデックスプランジャ350は、スライド方向における所望の位置でカメラユニット300を固定するための部材である。シャフト連結部341及び342と、インデックスプランジャ350の構成及び作用については、別途詳述する。
<照明ユニットの構成>
次に図3は、実施形態に係る照明ユニット400の構成の一例を説明する斜視図である。
照明ユニット400は、ベースプレート410と、レール接続部と、照明部431~436と、シャフト連結部441及び442と、インデックスプランジャ450とを有する。レール接続部とレール220との関係は、上述したレール接続部321及び322とレール210との関係と同様である。
照明部431~436は、ベースプレート410の平面部に固定されている。照明部431は、レンズ431-1と光源431-2とを有する。
光源431-2は、レンズ431-1を介して、レンズ431-1の光軸方向にある被写体を照明する。またレンズ431-1の内部には、絞り431-1aが設けられている(図4参照)。
絞り431-1aは直径が可変の開口であり、開口の直径を変化させることで、レンズ431-1により照明される照明光の光量(明るさ)を変化させることができる。光源431-2として、メタルハライドライトやLED(Light Emitting Diode)等を用いることができる。尚、照明部432~436も照明部431と同様の構成を備えるが、上記と同様であるため説明を省略する。
上述したようにトンネルは、車両の移動方向と交差する断面が半円状の形状をしている。これに合わせ、照明部431~436は、図3に示すように、それぞれが備えるレンズの光軸がトンネルの壁面と交差するように放射状に配置されている。換言すると、照明部431~436は、トンネルの壁面に対向するように、ベースプレート410の平面部に放射状に配置されている。照明ユニット400は、車両の移動方向と交差する方向(ラインCCDの画素の配列方向)に沿ったライン状の光をトンネルの壁面に照明することができる。
尚、上述では、照明部の台数を6台とした例を説明したが、これに限定されるものではなく増減させてもよい。また照明部の台数は、カメラの台数と必ずしも一致する必要はなく、明るさ等の条件に応じて台数を決めてよい。さらにレンズの画角やFナンバ等も撮像したい条件に応じて決定してもよい。
また、上述では、照明部431~436のそれぞれの位置を、レンズの光軸方向に前後に少しずつずらした構成を示したが、これは照明部同士の物理的な干渉を防止するためである。
一方、シャフト連結部441及び442は、ガイドシャフト240と連結するための部材である。またインデックスプランジャ450は、スライド方向における所望の位置で照明ユニット400を固定するための部材である。シャフト連結部441及び442と、インデックスプランジャ450の構成及び作用については別途詳述する。
<撮像装置のハードウェア構成>
次に図4は、撮像装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。撮像装置100は、カメラユニット300と、照明ユニット400と、撮像制御部110と、TOF(Time of Flight)センサ141と、IMU(Inertial Measurement Unit)160と、車速計/移動距離計170とを有する。
TOFセンサ141は、トンネル600の壁面からTOFセンサ141までの距離を計測する。具体的にはトンネル600の壁面にTOFセンサ141から光を照射し、その反射光を受光するまでの時間に基づいてトンネル600の壁面までの距離を計測する。受光素子にエリアセンサを用いたTOFセンサ141であれば、距離に応じて表示色が異なる2次元の等高線画像を得ることができる。
IMU160は、車両500の運動を司る3軸の角度/角速度と加速度を計測し、また車速計/移動距離計170は、車両500の速度/移動距離を計測することができる。
IMU160及び車速計/移動距離計170で計測されたデータは、撮像制御部110を介してHDD114に出力されて記憶され、後に壁面の画像のサイズや傾き等を、画像処理で幾何補正するために使用される。
カメラユニット300は、レンズ331-1、332-1、333-1及び334-1と、ラインCCD331-2、332-2、333-2及び334-2とを備えている。またレンズ331-1は絞り331-1aを、レンズ332-1は絞り332-1aを、レンズ333-1は絞り333-1aを、レンズ334-1は絞り334-1aを、それぞれ内部に備えている。但し、図4では、図を簡略化するため、レンズ331-1、絞り331-1a及びラインCCD331-2のみを図示し、他のレンズ、絞り及びラインCCDの図示を省略している。
照明ユニット400は、レンズ431-1、432-1、433-1、434-1、435-1及び436-1と、光源431-2、432-2、433-2、434-2、435-2及び436-2とを備えている。またレンズ431-1は絞り431-1aを、レンズ432-1は絞り432-1aを、レンズ433-1は絞り433-1aを、レンズ434-1は絞り434-1aを、レンズ435-1は絞り435-1aを、レンズ436-1は絞り436-1aを、それぞれ内部に備えている。但し、図4では、図を簡略化するため、レンズ431-1、絞り431-1a及び光源431-2のみを図示し、他のレンズ、絞り及び光源の図示を省略している。
撮像制御部110は、CPU(Central Processing Unit)111と、ROM(Read Only Memory)112と、RAM(Random Access Memory)113と、HDD(Hard Disk Drive)114と、外部I/F(Inter/Face)115と、ブザー116とを有し、それぞれがシステムバス117で相互に電気的に接続されている。
ROM112は各種プログラムやデータ、各種の設定情報等を格納し、RAM113はプログラムやデータを一時保持する。CPU111はROM112等からプログラムやデータ、設定情報等をRAM113上に読み出し、処理を実行することで、撮像装置100全体の制御や画像データの処理を実現する。ここで、画像データの処理とは、カメラ331~334がそれぞれ撮像したライン画像を繋ぎ合せる処理や、車両を移動させながらカメラ331~334が所定の時間間隔で連続的に撮像したライン画像を、車両の移動方向で繋ぎ合せる処理等である。またCPU111は、各種機能を実現することができる。
尚、CPU111の実現する制御、画像データの処理、及び各種機能の一部又は全部は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)で実現されてもよい。
HDD114は、カメラユニット300から入力した画像データや、TOFセンサ141、IMU160及び車速計/移動距離計170から入力したセンサデータ等を記憶する。
外部I/F115はユーザが撮像装置100を操作するためのユーザインターフェースの機能や、撮像装置100がPC(Personal Computer)等の外部装置とデータや信号のやりとりを行うためのインターフェースの機能を実現する。
ブザー116は、ユーザへの警告の通知等のためにビープ音を発生させるものである。
<撮像方法、作用、効果等>
次に、実施形態に係る撮像装置100の構成による作用・効果を説明する。
撮像装置100では、スライドユニット200によりカメラユニット300及び照明ユニット400がスライドし、車両の移動方向と交差する方向において、所定の道路構造の長さに基づき定めた2つの位置で固定される。
所定の道路構造の長さとは、車両の移動方向と交差する方向における歩道の幅である。
ここで、歩道とは、歩行者が通行するための道路であり、車道等に併設され、歩行者の通行のために構造的に区画された道路の部分をいう。歩道の幅は、歩行者の通行量に応じて様々であるが、一般には1.5~3m程度である。
歩道の幅が1.5mの場合、歩道の幅に基づき定めた2つの位置の間隔を1.5mに定めてもよい。或いは歩道の幅が3m等で車両の幅を超える場合は、歩道の幅に基づき定めた2つの位置の間隔を、車両の最大幅として定めてもよい。
また、歩道の他に、監査路や路側帯がある場合は、歩道の幅に基づき定めた2つの位置の間隔を、歩道の幅と監査路、または路側帯の幅との差分の長さとして定めてもよい。
2つの位置で画像を取得する場合、先ず、車両の移動方向と交差する方向において、歩道の幅に基づき定めた2つの位置のうちの一方の位置に、カメラユニット300及び照明ユニット400を固定し、所望の領域のトンネルの壁面のエリア画像を取得する。次に、2つの位置のうちの他方の位置に、カメラユニット300及び照明ユニット400を固定し、所望の領域のトンネル壁面のエリア画像を取得する。
以下、図5及び図6を参照して、2つの位置でトンネル600の壁面を撮像する方法の詳細を説明する。図5は、撮像装置100からトンネル600の壁面までの距離が短い場合の撮像の様子の一例を説明する図であり、(a)は移動方向から車両500をみた図であり、(b)はトンネル600の内部を車両500が移動(進行)する様子を示す図である。
図5(a)では、撮像装置100は、車両500のルーフの上に固定されている。カメラユニット300及び照明ユニット400は、移動方向に向かってスライドユニット200の右端にスライドされ、インデックスプランジャ350及び450によりそれぞれスライドユニット200に固定されている。ここで、インデックスプランジャ350及び450は、それぞれ「固定部」の一例である。
一方、図5(b)では、道路700のセンターに対し、左側に車線710があり、右側に車線720がある。車両500は車線720において、紙面に対し、手前の方向に移動している。
この例では、車線710(車両500の対向車線)側に歩道730がある。車線720側には歩道はないため、歩道がある場合と比較して、車両500はトンネル600の車両500側の壁面に近い位置を移動している。
カメラユニット300及び照明ユニット400は、移動方向に向かってスライドユニット200の右端、すなわちトンネル600の車両500側の壁面から遠ざかる位置にある。この場合のカメラユニット300及び照明ユニット400の位置を、以降ではポジションAと呼ぶ。
図5(b)の破線100Aは、撮像装置100による撮像範囲を表す。つまり、撮像装置100は、トンネル600の壁面のうち、破線100Aで示されている撮像範囲内の領域600A(太線で示されている領域)を撮像している。太線で示されているように、実施形態ではトンネル壁面(覆工部)と地面との境目までを撮像する。
車両500を移動させながら撮像装置100による撮像を行うことで、トンネル600の入口から出口までにおいて、紙面に対して図5(b)の右側半分の壁面が撮像される。
一方、図6は、撮像装置からトンネル壁面までの距離が長い時の撮像の様子の一例を説明する図であり、(a)は移動方向から車両500をみた図であり、(b)はトンネル600の内部を車両500が移動する様子を示す図である。尚、図5と重複する部分は説明を省略し、相違点を説明する。
図6では、カメラユニット300及び照明ユニット400は、移動方向に向かってスライドユニット200の左端にスライドされ、インデックスプランジャ350及び450によりそれぞれスライドユニット200に固定されている。
一方、図6(b)では、車両500は車線710において、紙面に対し、手前の方向に移動している。
この例では、車線710(車両500が移動する車線)側に歩道730がある。つまり車両500は、図5(b)の場合とは反対側の車線を逆方向に移動している。この場合は、走行車線側に歩道がない場合と比較して、車両500は、トンネル600の車両500側の壁面から遠い位置を移動することになる。
カメラユニット300及び照明ユニット400は、移動方向に向かってスライドユニット200の左端、すなわちトンネル600の車両500側の壁面に近づく位置にある。この場合のカメラユニット300及び照明ユニット400の位置を、以降ではポジションBと呼ぶ。
図6(b)の破線100Bは、撮像装置100による撮像範囲を表す。つまり、撮像装置100は、トンネル600の壁面のうち、破線100Bで示されている撮像範囲内の領域600B(太線で示されている領域)を撮像している。太線で示されているように、実施形態ではトンネル壁面(覆工部)と地面との境目までを撮像する。
車両500を移動させながら撮像装置100による撮像を行うことで、トンネル600の入口から出口までにおいて、紙面に対して図6(b)の右側半分の壁面が撮像される。
図5の状態で撮像された壁面の画像と、図6の状態で撮像された壁面の画像を繋ぎ合せることで、トンネル600の入口から出口までの全壁面の撮像画像を取得することができる。
ここで、カメラユニット300の各カメラで撮像する画像は、それぞれ撮像領域がオーバーラップしていることが望ましい。また画像を繋ぎ合せて一枚の展開図画像を作成するため、図5の歩道無し側の画像と図6の歩道有り側の画像は、天井部分がオーバーラップするように撮像することが望ましい。換言すると、往きと帰りでトンネル600の壁面を撮像する場合、トンネル600の壁面で撮像されていない領域が生じないように、往きの撮像領域と帰りの撮像領域を、車両500の進行方向と交差する方向にオーバーラップさせて撮像することが望ましい。
実施形態によれば、歩道の有無に応じて、カメラユニット300及び照明ユニット400をポジションA及びBに切替えて固定するだけで、簡単に、車両500側の壁面から撮像装置100までの距離、すなわち被写体距離を略一定にすることができる。その結果、歩道の有無によらず、フォーカス状態、撮像倍率及び照明の明るさ等の撮像条件を共通にした撮像が可能となる。また、共通の撮像条件で右側半分と左側半分のトンネル壁面を撮像できるため、両者を繋ぎ合せる画像処理も容易に行うことができる。
以上によりカメラのフォーカス調整や構造物の断面形状の測定といった手間をかけることなく、適切にトンネル壁面を撮像することができる。
また、上記の他に以下の効果も得られる。例えば、車両の移動中にカメラのフォーカス調整などを行うと、移動に伴う振動や、急ブレーキ、急加速等の不規則な動きにより、調整機構が故障する可能性がある。
また、調整機構にカム溝とカムフォロアを採用するカム機構を用いた場合、車両の移動による振動によって、徐々にカムフォロアがカム溝を移動し、フォーカス状態が変わってしまう場合もある。さらにトンネル内の粉塵が機構内部に入り込むと、動作不良を招く虞もある。
実施形態によれば、車両の移動中にカメラのフォーカス調整などを行わないため、これらの故障の可能性を低減させることができる。またスライド機構が簡単であるため、装置コストを低減できるという効果もある。さらにフォーカス調整のために、被写体のテクスチャのコントラストを検知する等の複雑な画像処理を行わなくてよいため、演算コストを低減することができる。
さらに、そもそも暗くて特徴量の少ないトンネル内を移動する場合、コントラストを検出すること自体が難しく、十分な精度でコントラスト検出を行おうとすると、感度の高い高価な撮像素子が必要となる。実施形態によれば、このような技術的難易度や撮像素子のコストをも低減することができる。
また、カメラユニットでライン撮像素子を用いる場合、1ライン分の画像しか得られないため、撮像画像を利用したフォーカス調整が難しくなる。実施形態でよれば、フォーカス調整に撮像した画像を利用しないため、カメラユニットにライン撮像素子を使用することもできる。これにより後述するような照明効率のよい撮像が可能となる。
加えて、上記の他に以下の効果も得られる。例えば、トンネル600の中心から比較的ずれた位置にカメラユニット300及び照明ユニット400を置いて撮像したとする。ここでトンネル600の中心とは、トンネル600の半円状の断面形状における半円の略中心を指す。
この場合、トンネル600の天井付近の壁面の画像(図2のカメラ331で取得した画像)と、トンネル600の地面付近の壁面の画像(図2のカメラ334で取得した画像)とで、撮像倍率等の条件の差が大きくなる。その結果、トンネル600の天井付近と地面付近とで、画像の解像度が大きく異なるなどの不具合が生じる。
また、このような不具合をなくすため、トンネルの壁面までの距離が略一定になるように、車線を無視して道路の中央を車両で移動しながら、トンネルの壁面の撮像を行う方法もある(例えば、特開2011-095222参照)。
しかし、この方法では撮像時に対向車と衝突する虞があるため、車両の通行が少ない夜間に行ったり、道路を封鎖して行ったりする必要があって不便である。またトンネル内の道路に中央分離帯が設けられていると、そもそも上記の方法による撮像は不可能である。
これに対し、実施形態によれば、車両500がトンネル600の壁面に近いときも遠いときも、カメラユニット300及び照明ユニット400をトンネル600の中心に近づけることができるため、トンネルの領域ごとでの撮像条件の差を抑制できる。従って、車両の通行止め等をすることなく、本来の車線を移動しながら、トンネル600の天井付近と地面付近とで、画像の解像度が異なるなどの不具合を抑制した撮像を行うことができる。
尚、実施形態では、スライドユニット200を図1の太矢印方向に位置を変化させる例を示したが、これに限定されないものではない。車両の移動方向と交差する平面内における任意の方向に、スライドユニット200の位置を変化させる構成としてもよい。
また実施形態では、スライドユニット200により、図1の太矢印方向における異なる2つの位置でカメラユニット300及び照明ユニット400を固定する例を示したが、これに限定されるものではない。車両の移動方向と交差する平面内であって、トンネルの壁面に対向する方向における異なる2つの位置で、カメラユニット300及び照明ユニット400を固定してもよい。
ここで、「トンネルの壁面に対向する方向」について補足する。上述したように、トンネルは、車両の移動方向と直交する断面が半円状の形状をしている。従って、トンネルの壁面のうち、地面付近では壁面は水平方向を向いており、天井付近では壁面は鉛直下方向を向いている。「トンネルの壁面に対向する方向」とは、場所により向きが異なる壁面に対し、対向する方向をいう。地面付近における「トンネルの壁面に対向する方向」は、略水平方向等である。一方、天井付近における「トンネルの壁面に対向する方向」は、略鉛直上方向である。
次に、実施形態に係るガイドシャフト240の構成及び作用の詳細について説明する。
カメラユニット300と照明ユニット400は別体の構成要素であり、それぞれ独立してスライドする。そのため、ガイドシャフト240を適用しない構成とした場合、スライドする際にそれぞれが独立して、ピッチング、ヨーイング、ローリング等の動きを不規則に起こす可能性がある。
また撮像装置100を車両から着脱する場合に、カメラユニット300と照明ユニット400との相互の位置、又は姿勢(以降、位置/姿勢と示す)が変動する可能性がある。さらに移動中の振動でそれぞれの位置/姿勢が変動したり、温度等の影響によるフレーム261及び262やベースプレート310及び410等の部材の変形で、それぞれの位置/姿勢が変動したりする可能性もある。
このような変動があると、カメラユニット300による撮像領域に照明光が適切に当たらず、明るさ不足で撮像ができないという不具合が生じる場合がある。
一例として、図7は、カメラユニット300と照明ユニット400の相互の位置/姿勢が変動し、カメラユニット300による撮像領域に照明光が適切に当たらなくなった状態を説明する図である。図7(a)は、カメラユニット300と照明ユニット400の相互の位置/姿勢の変動がない場合を示す図であり、図7(b)は、カメラユニット300と照明ユニット400の相互の位置/姿勢の変動がある場合を示す図である。
なお本明細書では、車両は左側通行の規則に則っている。よって、進行方向左側を撮像するよう撮像装置は配置されている。右側通行をする国や場合については、進行方向右側を撮像するよう撮像装置を配置する。図7は一例として、進行方向右側を撮像する例を示す。もちろん、進行方向左側を撮像することも可能である。その場合は、カメラユニット300と照明ユニット400が向いている向きを180度回転して車両に取り付ける。
図7(a)は、図の太矢印の方向に移動する車両500を上方からみた図である。600はトンネルの壁面である。撮像範囲361は、カメラユニット300による撮像範囲を表し、トンネル600の壁面と撮像範囲361の交差する部分がカメラユニット300による壁面の撮像領域に該当する。照明範囲461は、照明ユニット400による照明範囲を表し、トンネル600の壁面と照明範囲461の交差する部分が照明ユニット400による壁面の照明領域に該当する。
図7(a)では、カメラユニット300と照明ユニット400との相互の位置/姿勢の変動がないため、カメラユニット300による撮像領域と照明ユニット400による照明領域が重なっている。つまり、照明光は撮像領域を適切に照明している。
一方、図7(b)では、カメラユニット300及び照明ユニット400の姿勢がそれぞれ独立に変動することにより、撮像範囲362と照明範囲462が図7(a)の状態から変化し、トンネル600の壁面における撮像領域と照明領域が重ならなくなっている。つまり、カメラユニット300と照明ユニット400との相互の位置/姿勢の変動により、照明光は撮像領域を適切に照明していない。
特に実施形態では、撮像素子にラインCCDを用い、車両500の移動方向における撮像範囲(領域)を狭くしている。この場合、狭い領域に照明光を集中すればよいため、照明効率がよいという効果があり、暗いトンネルの内部では十分な照明光量が必要となるため、より好適である。しかしその反面で、車両500の移動方向における撮像領域が狭いため、カメラユニット300と照明ユニット400との相互の位置/姿勢が変動すると、カメラユニット300の撮像領域に照明光が適切に当たらない不具合が生じやすくなる。
そこで、撮像領域を照明光が適切に照明しない不具合を抑制するため、実施形態の撮像装置100は、ガイドシャフト240を備えている。以下、図8を用いて具体的に説明する。図8は、実施形態に係るガイドシャフト及びガイドシャフト保持部材の構成の一例を説明する図である。
図8において、ガイドシャフト240は、ガイドシャフト保持部材251及び252により保持されている。シャフト連結部341及び342は、カメラユニット300のベースプレート310に固定されている。
またシャフト連結部341及び342は、それぞれ貫通孔341-1及び342-1を備えている。貫通孔341-1及び342-1にガイドシャフト240を通すことで、ガイドシャフト240とカメラユニット300は連結される。同様に、シャフト連結部441及び442がそれぞれ備える貫通孔に、ガイドシャフト240を通すことで、ガイドシャフト240と照明ユニット400は連結される。
カメラユニット300及び照明ユニット400は、それぞれガイドシャフト240と連結しながらスライドする。つまり、共通の部材をガイド(案内)にしてスライドすることができる。
そのため、カメラユニット300及び照明ユニット400の何れか一方の位置/姿勢が変動したときは、他方もそれに連動して変動する。つまり、両者の相対的な位置/姿勢の関係を維持したまま、カメラユニット300と照明ユニット400をスライドさせたり静止させたりすることが可能となる。これにより、カメラユニット300と照明ユニット400との相対的な位置/姿勢の変動を抑制し、撮像領域を照明光が適切に照明しない不具合を抑制することができる。
次に図9は、トンネルの壁面に対してカメラユニット300が傾いた場合のカメラユニット300の撮像領域の一例と、トンネルの壁面に対して照明ユニット400が傾いた場合の照明ユニット400の照明領域の一例を説明する図である。
図9において、照明ユニット400は、光軸465を光軸とする発散光である照明光466を、トンネル600の壁面に照射している。照明光466の配光角(発散角)αは、1.65度等である。カメラユニット300は、トンネル600の壁面を撮像している。光軸365は、カメラユニット300の光軸である。
車両500の蛇行運転等によりカメラユニット300と照明ユニット400の位置が変動すると、図9に示されているように、カメラユニット300と照明ユニット400がトンネルに壁面に対してそれぞれ傾く場合がある。この場合にも、カメラユニット300と照明ユニット400の相対的な位置/姿勢の関係は維持されるため、図示されているように、カメラユニット300による撮像領域と照明ユニット400による照明領域が重なっている状態を維持することができる。
このように、車両500の蛇行運転等でカメラユニット300と照明ユニット400の位置が変動した場合にも、照明ユニット400によりカメラユニット300の撮像領域を適切に照明することができる。尚、本実施形態では特にラインCCDを用いる場合を示したが、エリアCCDなどを用いる場合であっても、同様の効果が得られる。
次に、実施形態に係るインデックスプランジャ350及び450の構成及び作用の詳細を、図10を参照して説明する。図10は、インデックスプランジャ350及び450の構成の一例を説明する図である。
図10において、インデックスプランジャ350は、カメラユニット300のベースプレート310の平面部に固定され、インデックスプランジャ450は、照明ユニット400のベースプレート410の平面部に固定されている。
上述したように、カメラユニット300はレール210上をスライドし、照明ユニット400はレール220上をスライドする。インデックスプランジャ350及び450は同様の構成及び作用を有するため、ここではインデックスプランジャ450を例に説明する。
インデックスプランジャ450は、プランジャ451と、プランジャ保持部452とを有する。プランジャ451は、丸棒状で地面側に突出したピンと、ピンに地面側への付勢力を与えるスプリングと、ピンとスプリングを押さえるスプリング押さえ部とを有する。プランジャ保持部452は、プランジャ451を保持する。
一方、スライドユニット200におけるベース230には、照明ユニット400のスライド方向において、照明ユニット400を固定したい位置に上記ピンと嵌合するための嵌合孔231が設けられている。従って、照明ユニット400がスライドする際、嵌合孔231がない位置では、ピンは、ベース230にぶつかった状態であり、照明ユニット400を固定するようには作用しない。
照明ユニット400がスライドして嵌合孔231がある位置にくると、ピンはスプリングによる付勢力で嵌合孔231に向かって突出し、嵌合孔231と嵌合する。これにより照明ユニット400はスライドできなくなって、照明ユニット400は固定される。固定を解除して、照明ユニット400を再度スライドさせたいときは、手動で固定解除機構を操作し、固定を解除する。
実施形態では、ベース230において、スライド方向におけるポジションAとポジションBに相当する位置に、それぞれ嵌合孔が設けられている。これにより、車両の移動方向と交差する平面内における異なる2つの位置に、照明ユニット400を固定することができる。同様にして、カメラユニット300も、インデックスプランジャ350により、車両の移動方向と交差する平面内における異なる2つの位置に固定することができる。
尚、実施形態では、ベース230に設けた嵌合孔231にピンを嵌合させ、照明ユニット400等を固定する例を示したが、これに限定されるものではない。フレーム262やレール220等に設けた嵌合孔にピンを嵌合させて固定してもよいし、突き当てにより照明ユニット等を位置決めしたうえで、ボルト等でクランプすることで固定してもよい。
次に、実施形態において、カメラユニット300による撮像方向(画像の取得方向)に対し、照明ユニット400による照明光の照明方向を傾けることの効果の一例を、図11を参照して説明する。
図11は、図7と同様に、矢印の方向に移動する車両500を上方からみた図である。撮像方向363は、カメラユニット300による撮像方向であり、カメラユニットが有するレンズの光軸方向と同義である。撮像範囲364は、カメラユニット300により撮像される範囲を表す。トンネル600の壁面と撮像範囲364とが交差する部分がカメラユニット300による壁面の撮像領域に該当する。
照明方向463は、照明ユニット400による照明方向であり、照明ユニットが有するレンズの光軸方向と同義である。照明範囲464は、照明ユニット400により照明される範囲を表す。トンネル600の壁面と照明範囲464とが交差する部分が照明ユニット400による壁面の照明領域に該当する。
上述したように、車両500の移動中の振動などにより、カメラユニット300と照明ユニット400の位置/姿勢が変動すると、カメラユニット300による撮像領域に照明光が適切に当たらず、明るさ不足で撮像ができない不具合が生じる。
そこで、実施形態では、トンネル600の壁面の撮像領域に向け、カメラユニット300の撮像方向に対して照明ユニット400の照明方向を傾けて照明する。図11の例では、角度θの傾きで照明される様子が示されている。
このように照明を傾け、車両の移動方向における照明領域の中央により近い付近を撮像領域とすることで、撮像領域に照明光が当たらないという不具合を抑制することができる。
ここで、図12A及び図12Bは、それぞれカメラユニット300の光軸365と照明ユニット400の光軸465の傾き角度θと、照明光の配光角αと、カメラユニット300からトンネル600の壁面までの距離Lと、照明領域Sとの関係の一例を説明する図である。
図12A(a)は、カメラユニット300と、照明ユニット400と、トンネル600の壁面との関係の一例を説明する図である。図12A(a)において、カメラユニット300の光軸365はトンネル600の壁面に対して垂直であり、照明ユニット400による照明光466の光軸465は、カメラユニット300の光軸365に対して傾き角度θで傾いている。尚、この「垂直」は厳密に90度をいうものではなく、トンネル600の壁面の傾斜や車両500の蛇行等に応じて90度から多少のずれがあってもよい。この点は以下においても同様である。
照明光466は、配光角αでトンネル600の壁面を照明している。カメラユニット300からトンネル600の壁面までの距離Lは、車両500の蛇行運転等により、LminからLmaxまで変動するとする。照明領域Sは、照明光466によるトンネル600の照明領域である。照明光は円形領域を照明する光であり、照明領域Sはこの円形領域の直径を示している。但し、照明光は、円形領域を照明する光に限定されるものではなく、矩形領域を照明する光や楕円領域を照明する光であってもよい。
一方、図12A(b)は、カメラユニット300による撮像領域と照明ユニット400による照明領域が重なっている状態で、車両500がトンネル600の壁面から最も遠ざかった場合を示す図である。
一例として、傾き角度θが2.5度、配光角αが1.65度とすると、照明領域Sは330mmとなる。この場合、カメラユニット300からトンネル600の壁面までの距離が5200mmの時に、トンネル600の壁面において、カメラユニット300の光軸365は照明領域Sの最端部(図12A(b)では最右端)に位置する。従って、カメラユニット300からトンネル600の壁面までの距離5200mmは、カメラユニット300による撮像領域と照明ユニット400による照明領域が重なる状態を維持可能な最大距離Lmaxの一例となる。
図12B(c)は、カメラユニット300による撮像領域と照明ユニット400による照明領域が重なっている状態で、車両500がトンネル600の壁面から最も近づいた場合を示す図である。
一例として、上記と同様に、角度θが2.5度、配光角αが1.65度とすると、照明領域Sは330mmとなる。この場合、カメラユニット300からトンネル600の壁面までの距離が2600mmの時に、トンネル600の壁面において、カメラユニット300の光軸365は照明領域Sの最端部(図12B(c)では最左端)に位置する。従って、カメラユニット300からトンネル600の壁面までの距離2600mmは、カメラユニット300による撮像領域と照明ユニット400による照明領域が重なる状態を維持可能な最小距離Lminの一例となる。
尚、上述では、照明ユニット400により、トンネル600の壁面に配光角αの発散光を照明する例を示したが、発散光に限定されず、平行光により照明してもよい。
発散光を照明する場合、照明ユニット400からトンネル600の壁面までの距離に応じて、トンネル600の壁面における照明領域を変化させることができる。照明ユニット400からトンネル600の壁面までの距離Lが長いほど、より広い領域を照明することができる。
一方、平行光を照明する場合、照明ユニット400からトンネル600の壁面までの距離Lによらず、トンネル600の壁面において一定の領域を照明することができる。
また上述では、カメラユニット300の光軸365の方向をトンネル600の壁面に対して垂直方向とし、照明ユニット400の光軸465をカメラユニット300の光軸365に対して傾ける例を示したが、これに限定されるものではない。図12B(d)に示されているように、照明ユニット400の光軸465の方向をトンネル600の壁面に対して垂直方向とし、カメラユニット300の光軸365を照明ユニット400の光軸465に対して傾けてもよい。図12B(d)は、カメラユニット300の光軸365を照明ユニット400の光軸465に対して傾き角度θだけ傾けた例を示している。換言すると、照明ユニット400の光軸465とカメラユニット300の光軸365は傾き角度θで相対的に傾いていればよい。
このように照明ユニット400の光軸465とカメラユニット300の光軸365とを相対的に傾けることで、カメラユニット300の撮像領域に向けて、光を照明することができる。トンネル600の壁面における水平方向の撮像領域(水平方向の撮像視野)が狭い場合であっても、カメラユニット300による撮像領域を照明ユニット400からの光で適切に照明することができる。
また、ガイドシャフト240を用いて、カメラユニット300と照明ユニット400との相対的な位置/姿勢の関係を維持する構成と、照明方向を傾けて照明する構成とを組み合わせることで、より効果が顕著となる。換言すると、撮像素子にラインCCDを用い、照明効率がよい状態で撮像を行った場合であっても、照明ユニット400による照明光がカメラユニット300による撮像領域を適切に照明しないという不具合を、より顕著に抑制することができる。
また、車の蛇行でトンネルと壁面の距離が変動する場合やトンネルサイズが異なる場合においても、照明ユニット400による照明光がカメラユニット300による撮像領域を適切に照明しないという不具合を抑制することができる。
図13は、車両500の蛇行と、カメラユニット300の撮像領域と、照明ユニット400の照明領域の関係の一例を説明する図である。なお、図13では車両進行方向左側を撮像するようにカメラユニット300と照明ユニット400が配置されている。車両が右側通行する場合は、車両進行方向右側の被写体を撮像するためカメラユニット300と照明ユニット400の向きを180度回転させて配置しても良い。車両500は、図13に矢印で示されている方向に、蛇行しながら移動している。
図13の左側に示されているように、カメラユニット300からトンネル600の壁面までの最大距離Lmaxが5200mmの時に、トンネル600の壁面において、カメラユニット300の光軸365は照明領域Sの最端部(図13では最右端)に位置する。つまりカメラユニット300による撮像領域と照明ユニット400による照明領域が重なる状態を維持可能な一方の限界である。
一方、図13の右側に示されているように、カメラユニット300からトンネル600の壁面までの最小距離Lminが2600mmの時に、トンネル600の壁面において、カメラユニット300の光軸365は照明領域Sの最端部(図13では最左端)に位置する。つまりカメラユニット300による撮像領域と照明ユニット400による照明領域が重なる状態を維持可能な他方の限界である。
角度θが2.5度、配光角αが1.65度の条件下(図12A参照)では、カメラユニット300からトンネル600の壁面までの距離Lが2600mm~5200mmの範囲で、車両500の蛇行が許容されることが分かる。
<撮像装置の動作>
次に、実施形態に係る撮像装置100の動作を、図14を用いて説明する。図14は撮像装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
先ず、ステップS141で、撮像装置100は、車両500に取り付けられる。
続いて、ステップ142において、スライドユニット200により、カメラユニット300及び照明ユニット400はポジションAに固定される。この場合、カメラユニット300及び照明ユニット400のスライドと、ポジションAでの固定は、ユーザが手動で実施する。
続いて、ステップS143において、トンネル600の入口から出口まで車両500を移動させながら、トンネル600の歩道730がない側の壁面の領域600Aの撮像が行われる。この場合、車両500がトンネル600の入口に進入するときに、撮像が開始される。撮像開始の指示は、ユーザが行う。
車両500がトンネル600の出口まで到達したら、撮像は停止される。撮像停止の指示は、ユーザが行う。ここまででトンネル600の全壁面のうち、半分の壁面の画像データがHDD114に記憶される。
続いて、ステップS144において、スライドユニット200により、カメラユニット300及び照明ユニット400はポジションBに固定される。この場合、カメラユニット300及び照明ユニット400のスライドと、ポジションBでの固定は、ユーザが手動で実施する。
続いて、ステップS145において、ステップS1103における移動方向とは逆の方向に、トンネル600の入口から出口まで車両500を移動させながら、トンネル600の歩道730がある側の壁面の領域600Bの撮像が行われる。上述と同様に、撮像開始/停止の指示は、ユーザが行う。これにより、トンネル600の全壁面のうち、残りの半分の壁面が撮像され、HDD114に記憶される。
続いて、ステップS146において、撮像された画像は、ユーザにより問題がないかが確認され、問題ない場合は(ステップS146、No)、撮像は終了する。一方、問題がある場合は(ステップS146、Yes)、ステップS1102に戻り、再度撮像が行われる。
以上により、カメラのフォーカス調整や構造物の断面形状の測定といった手間をかけずに、トンネルなどの構造物の壁面を撮像することができる。
尚、実施形態では、カメラユニット300及び照明ユニット400のポジションA及びBでの固定を、スライドユニット200に対して行う例を述べたが、このような固定を車両500に対して行ってもよい。以下にその構成を説明する。
カメラユニット300及び照明ユニット400を車両固定用ベースプレートに取り付けておく。ポジションAの場合、移動方向に向かって車両のルーフの右端に、フック部品を用いて車両固定用ベースプレートを固定することで、カメラユニット300及び照明ユニット400を固定する。
ポジションBの場合、移動方向に向かって車両のルーフの左端に、フック部品を用いて上記車両固定用ベースプレートを固定することで、カメラユニット300及び照明ユニット400を固定する。
また、ガイドシャフト240と、ガイドシャフト保持部材251及び252と同様の部品を車両固定用ベースプレートに設け、シャフト連結部341及び342、並びに441及び442と、ガイドシャフト240とを連結させる。これによりカメラユニット300及び照明ユニット400の位置/姿勢の変動の影響を抑制できる。
尚、この例の場合、撮像装置100は、スライドユニット200を有さなくてもよい。また、カメラユニット300及び照明ユニット400は、それぞれインデックスプランジャ350及び450を有さなくてもよい。
以上により、車両500に固定した場合においても、カメラユニット300及び照明ユニット400のポジションA及びBでの固定を、スライドユニット200に対して行った場合と同様の効果を得ることができる。
[第1の実施形態]
トンネル600等の暗所での撮像では、照明を用いて光量が確保される。また、トンネル600の内周の壁面全体を撮像するため、照明ユニット400等の複数の照明部に含まれる各照明部の照明範囲を、車両500の移動方向に交差する方向に少しずつずらし、各照明部の照明範囲がトンネル600の内周面に沿って直線状に並ぶようにして照明する場合がある。
しかし、トンネル600の壁面上で照明範囲が重なった領域と重ならない領域とで明るさの差が大きくなる場合があり、撮像装置による撮像画像で白飛びや黒潰れを起こさないようにすると、トンネル600の壁面全体を適切な明るさの分解能で撮像できなくなる場合があった。
つまり、照明範囲が重なった領域を適切な明るさの分解能で撮像できるようにカメラユニット300等の複数の撮像部(カメラ)に含まれる各撮像部の露出を調整すると、撮像画像において、照明範囲が重ならない領域は黒潰れする場合がある。一方、照明範囲が重ならない領域を適切な明るさの分解能で撮像できるように各撮像部の露出を調整すると、撮像画像において、照明範囲が重ならない領域は白飛びする場合がある。このような黒潰れや白飛びを防ぐためには、各撮像部のダイナミックレンジを広くする必要があり、その結果、撮像画像における明るさの差を高い分解能で見分けられず、適切な明るさの分解能で撮像できなくなる場合があった。
そこで、本実施形態に係る撮像装置100aは、移動体の一例としての車両500の移動方向に交差する方向で、被写体の一例としてのトンネル600の壁面上の異なる範囲を、それぞれが撮像する複数の照明撮像部を有する。そして、複数の照明撮像部のうちの各照明撮像部は、トンネル600の壁面上の少なくとも一部の照明範囲を重ね合わせて照明する少なくとも1つの照明部と、この照明範囲に含まれる撮像範囲を撮像する撮像部とを含み、複数の照明撮像部によるそれぞれの照明範囲が、トンネル600の壁面上で重ならない非重複領域を撮像する。これにより、撮像画像において明るさの差が大きくならないようにする。以下において、この詳細を説明する。
<第1の実施形態に係る撮像装置100aの構成>
図15は、本実施形態に係る撮像装置100aの構成の一例を示す図であり、(a)は撮像装置100aが搭載された車両500を側方から見た図、(b)は撮像装置100aが搭載された車両500を前方から見た図である。なお、図15は車両進行方向左側を撮像するように照明撮像部32,33が配置されている一例を示している。車両が右側通行する場合は、車両進行方向右側の被写体を撮像するため照明撮像部32,33の向きを180度回転させて配置しても良い。
図15(a)に示すように、撮像装置100aは、ベースプレート31に固定された照明撮像部32と、照明撮像部33とを備える。照明撮像部32及び33は、ベースプレート31を介してフレーム30に固定されている。フレーム30を車両500の天井に固定することで、撮像装置100aは車両500に取り付けられている。
また、図15(a)に示すように、照明撮像部32及び33は、鉛直方向(道路面を基準にした高さ方向)に配列されて、ベースプレート31に固定されている。但し、照明撮像部32及び33が配列される方向は、鉛直方向に限定されるものではなく、車両500の移動方向501と交差する方向であれば何れの方向であっても良い。より詳しくは、移動方向501に交差するトンネル600の断面は半円状であるため、トンネル600の内側の壁面は、移動方向501に交差する方向において半円状の曲面となる。照明撮像部32及び33は、この半円の円周方向(トンネル600の内周方向)に沿って配列されれば良い。
また、照明撮像部32及び33のそれぞれは、撮像部と、少なくとも1つの照明部とを組み合わせたユニットである。本実施形態では、図15(b)に示すように、照明撮像部32は照明部32aと撮像部32bとを備える。なお、図15(b)では、照明撮像部32のみを示し、照明撮像部33は図示が省略されている。
照明部32a及び撮像部32bは、照明部32aの照明範囲と撮像部32bの撮像範囲とが所定の関係を満足するように調整され、両者は対応する関係にある。
同様に、図15(b)では図示が省略されているが、照明撮像部33は、照明部33aと撮像部33bとを備えている。照明部33a及び撮像部33bは、照明部33aの照明範囲と撮像部33bの撮像範囲とが所定の関係を満足するように調整され、両者は対応する関係にある。
なお、照明範囲及び撮像範囲の位置調整は、照明部32aによる照明方向及び撮像部32bによる撮像方向の調整、又は照明部32a及び撮像部32bの位置の調整で行うことができる。
また、照明部32a及び33aは、一例として、上述した実施形態における照明部431等と同様の構成、機能を備えているものとする。同様に撮像部32b及び33bも、一例として、上述した実施形態におけるカメラ331等と同一の構成、機能を備えているものとする。この点は、以下において、照明部及び撮像部を、部品番号を変えて説明する場合においても同様である。
図16は、本実施形態に係るトンネル600の壁面上における各撮像部の撮像範囲と、各照明部の照明範囲との関係の一例を示す図である。(a)は各照明部の照明範囲が重複しない場合を示す図、(b)は各照明部の照明範囲が重複する場合を示す図である。
図16に示すように、トンネル600の壁面上で、照明部32aによる照明範囲32a'内に撮像部32bによる撮像範囲32b'が含まれるように、照明部32a及び撮像部32bが調整されている。同様に、照明部33aによる照明範囲33a'内に撮像部33bによる撮像範囲33b'が含まれるように、照明部33a及び撮像部33bが調整されている。
また、照明範囲32a'と照明範囲33a'が重複しない領域に撮像範囲32b'が配置されるように、撮像部32bが調整されている。同様に、照明範囲32a'と照明範囲33a'が重複しない領域に撮像範囲33b'が配置されるように、撮像部33bが調整されている。
ここで、照明範囲32a'と照明範囲33a'が重複しない領域は、換言すると、照明範囲32a'と照明範囲33a'が重ならない領域であって、重複する領域以外の領域である。以下では、照明範囲32a'と照明範囲33a'が重複しない領域を「非重複領域」という。
図16(a)では、照明範囲32a'と照明範囲33a'が車両500の移動方向51と交差する方向に間隔d1が空いて配置されるように照明方向等が調整されている。この場合は、照明範囲32a'と照明範囲33a'がそもそも重複していないため、撮像範囲32b'及び33b'を非重複領域に配置するための撮像部32b及び33bの調整が容易になる。
一方、図16(b)において、斜線ハッチングで示した重複領域32a''は、照明範囲32a'と照明範囲33a'とが重複する領域である。この場合でも、図16(b)に示すように、重複領域32a''以外の領域に撮像範囲32b'及び33b'が配置されるようにすると、撮像部32b及び33bで非重複領域のみを撮像することができる。
ここで、図16(a)及び(b)のそれぞれにおいて、照明範囲32a'と照明範囲33a'のうちの重複領域32a''以外の領域は、「非重複領域」の一例である。
重複領域32b''では、照明部32a及び33aの両方の照明光が重なって足し合わされるため、非重複領域と比較して部分的に非常に明るくなる。そのため、重複領域32a''と非重複領域の両方が撮像部32b、又は33bの撮像範囲に含まれると、上述したように明るさの差が大きくなり、適切な明るさの分解能で撮像できなくなる場合がある。
図16(a)、(b)に示したように、撮像部32b及び33bが非重複領域のみを撮像することで、撮像範囲32b'及び33b'内での明るさの差を抑制できる。そのため、ダイナミックレンジを狭くして撮像を行うことができ、これにより適切な明るさの分解能で撮像することができる。
次に、このような非重複領域に撮像範囲32b'及び33b'を配置するための条件について説明する。
図17は、非重複領域に撮像範囲を配置するための撮像条件について説明する図である。図17において、撮像部32bはトンネル600の壁面上の撮像範囲32b'を撮像し、撮像部33bはトンネル600の壁面上の撮像範囲33b'を撮像している。
また、一点鎖線で示されている光軸32bcは、撮像部32bに含まれる撮像光学系(レンズ等)の光軸を示し、一点鎖線で示されている光軸33bcは、撮像部33bに含まれる撮像光学系の光軸を示している。角度Rは、光軸32bcと光軸33bcのなす角度である。さらに、画角θ32は撮像部32bに含まれる撮像光学系の画角であり、画角θ33は撮像部33bに含まれる撮像光学系の画角である。
この場合に、移動体の移動方向に交差する方向で、以下の(1)式を満たすように、撮像部32b及び33bのそれぞれの撮像方向が調整される。
R≧θ1/2+θ2/2 ・・・(1)
ここで、照明撮像部32は「所定の照明撮像部」の一例であり、照明撮像部33は「所定の照明撮像部に隣接する照明撮像部」の一例である。
(1)式を満たすように、撮像部32b及び33bのそれぞれの撮像方向を調整することで、トンネル600の壁面上で、撮像範囲32b'と撮像範囲33b'との間に所定の間隔を空けることができる。そして、この状態で、撮像範囲32b'と撮像範囲33b'内で照明範囲が重複しないように、照明部32a及び33aにより照明することで、図16(a)又は(b)に示したように、照明範囲32a'と照明範囲33a'が重複しない領域に撮像範囲32b'及び33b'を配置することができる。
ここで、トンネル600の壁面上で撮像範囲32b'と撮像範囲33b'との間に所定の間隔を空けるために、撮像部32bと撮像部33bとを所定の間隔を空けて配置することも考えられる。しかし、間隔が大きくなると、撮像装置100aのサイズが大型化する。上式のように、撮像方向の角度を調整することで、撮像装置100aのサイズを大型化させることなく、照明範囲32a'と照明範囲33a'が重複しない領域に撮像範囲32b'及び33b'を配置することができる。
次に、非重複領域に撮像範囲を配置するための照明条件について、図18を参照して説明する。図18は、非重複領域に撮像範囲を配置するための照明条件について説明する図である。なお、照明部32aによる照明を例に挙げて説明する。
照明部32aの照明条件は、照明範囲32a'が、対応する撮像部32bの撮像範囲32b'を包含し、且つ隣接する撮像部33bの撮像範囲33b'に入り込まないことを満足することが好適である。換言すると、照明範囲32a'が、被写体面上で、撮像範囲32b'より広い範囲であって、且つ撮像範囲33b'に重ならないことが好適である。
この場合、移動体の移動方向に交差する方向で、以下の(2)、(3)式を満たすように、照明部32aの照明方向が調整される。
L1・tanφ1<L2・tanφ2<L3・tanφ3 ・・・(2)
L1・tanφ1<L2・tanφ2 ・・・(3)
但し、図18に示すように、φ1は、照明部32aに含まれる照明光学系(レンズ等)の光軸32acと、照明光学系の照明基点32abと撮像範囲32b'の一端とを結ぶ線とのなす角度である。照明光学系の照明基点32abは、照明光学系の光学中心(画角中心)である。φ2は、照明光学系の画角の半値である。また、φ3は、照明光学系の光軸32acと、照明基点32abと撮像範囲33b'の一端とを結ぶ線分とのなす角度である。
L1は、照明基点32abから、撮像範囲32b'の一端を含み、照明光学系の光軸32acと直交する平面P1までの距離である。L2は、照明基点32bbから、照明範囲32a'の一端を含み、照明光学系の光軸32acと直交する平面P2までの距離である。L3は、照明基点32abから、撮像範囲33b'の一端を含み、照明光学系の光軸32acと直交する平面P3までの距離である。
さらに、(2)式は、照明撮像部32に隣接する照明撮像部がある方向の場合、(3)式は、照明撮像部32に隣接する撮像部がない方向の場合である。
撮像装置100aは、照明撮像部32に隣接する照明撮像部33がない方向の場合であるため、(3)式を適用することができる。従って、撮像装置100aにおいて、(3)式を満足するように、照明部32aの照明方向を決定することで、照明範囲32a'が、対応する撮像部32bの撮像範囲32b'を包含し、且つ隣接する撮像部33bの撮像範囲33b'に入り込まないようにすることができる。
<効果>
以上説明してきたように、本実施形態に係る撮像装置100aは、車両500の移動方向に交差する方向で、トンネル600の壁面上の異なる範囲を、それぞれが撮像する照明撮像部32及び33を有する。
照明撮像部32はトンネル600の壁面上の少なくとも一部の照明範囲32a'を重ね合わせて照明する少なくとも1つの照明部32aと、この照明範囲32a'に含まれる撮像範囲32b'を撮像する撮像部32bとを含む。また、照明撮像部33はトンネル600の壁面上の少なくとも一部の照明範囲33a'を重ね合わせて照明する少なくとも1つの照明部33aと、この照明範囲33a'に含まれる撮像範囲33b'を撮像する撮像部33bとを含む。
そして、照明撮像部32及び33は、それぞれの照明範囲32a'及び33a'がトンネル600の壁面上で重ならない非重複領域を撮像する。
これにより、撮像範囲32b'及び33b'内での明るさの差を抑制できる。そして、ダイナミックレンジを狭くして撮像することで、トンネル600の内周の壁面全体を適切な明るさの分解能で撮像することができる。
また、本実施形態では、2つの照明撮像部32及び33の例を示したが、さらに多くの照明撮像部を車両500の移動方向501と交差する方向に配列させることも可能である。これにより、トンネル600の内周の壁面の広い範囲を一度に撮像することができる。この場合、移動方向501においては撮像範囲を狭くしているため、照明部32a等による照明光を狭い範囲に集中させることができ、照明光の光量を効率的に利用することができる。従って、本実施形態では、トンネル600の内周の壁面の広い範囲を、照明光の光量を有効活用しながら、適切な明るさの分解能で撮像することができる。
ここで、上述した図13では、カメラユニット300と照明ユニット400を車両500の移動方向に並ぶように配置した例を示した。この配置では、トンネル600の壁面上でのカメラユニット300の撮像範囲に向けて照明光を照明するために、カメラユニット300の撮像方向に対して照明ユニット400の照明方向を水平面(地面に沿った平面)内で傾ける必要がある。その結果、車両500の蛇行やトンネル600の壁面の凹凸等で、車両500からトンネル600の壁面までの距離が変動すると、トンネル600の壁面上での照明ユニット400による照明位置がずれ、カメラユニット300の撮像範囲を照明ユニット400からの照明光で適切に照明できなくなる場合があった。
これに対し、図15(b)で説明したように、本実施形態では、撮像部32bと照明部32aを、車両500の移動方向と交差する方向(鉛直方向等)に並ぶように配置する。これにより、図19に示すように、水平面内で、照明部32aの照明方向を撮像部32bの撮像方向に沿った方向にすることができる。沿った方向とは、例えば平行な方向であり、図19では、水平面内で、照明部32aの照明方向を撮像部32bの撮像方向が一致している。なお、図19は、本実施形態に係る撮像装置100aの撮像範囲と照明範囲との関係の一例を示す図であり、図の見方は図13と同様である。
このように、本実施形態では、車両500の蛇行やトンネル600の壁面の凹凸等で、車両500からトンネル600の壁面までの距離が変動しても、トンネル600の壁面上での照明ユニット400による照明位置がずれることなく、カメラユニット300の撮像範囲を照明ユニット400からの照明光で適切に照明することが可能となる。
また、撮像装置100aは、水平シフト機構の一例としてのスライドユニット200(上述)に搭載されても良い。このようにすることで、トンネル600の壁面の撮像において、歩道の有無等により撮像距離が変化する場合に、撮像装置100aと壁面までの距離の差を小さくし、均質な撮像画像を取得できる。
さらに、スライドユニット200に搭載された撮像装置100aを、固定部の一例としてのインデックスプランジャ350(上述)により、水平方向における2箇所で固定可能にしても良い。このようにすることで、一意にポジションが決まるため、調整の手間を削減し、また調整時間を短縮することができる。
(第1変形例)
ここで、実施形態の第1変形例を、図20を参照して説明する。図20は、実施形態の第1変形例に係る照明撮像部32Aの構成の一例を示す図である。図20に示すように、照明撮像部32Aは、撮像部32bと、撮像部32bの周囲に設けられた照明部32d~32gを備える。
照明部32d~32gのうち、照明部32e及び32gは、車両500の移動方向501における撮像部32bの両側に設けられ、また、照明部32d及び32fは、移動方向501と交差する方向(鉛直方向)における撮像部32bの両側に設けられている。
照明部32d~32gのそれぞれの照明範囲は、トンネル600の壁面上で、ほぼ同じ位置に重ね合わされている。撮像部32bは、このように、ほぼ同じ位置に重ね合わされた照明部32d~32gによる照明範囲を撮像する。
これにより、撮像部32bの撮像範囲内での明るさの差を抑制し、且つ、4つの照明光が重なることで明るさが足し合わされた明るい状態で、トンネル600の壁面を撮像することが可能となる。
撮像装置100aの備える複数の照明撮像部が、照明撮像部32Aのように複数の照明部を備える場合は、複数の照明撮像部のそれぞれで撮像部と照明部の位置関係が変わると、トンネル600の壁面上の凹凸に応じた影の状態等が、照明撮像部毎で異なり、撮像画像において、明るさのムラが生じる場合がある。そのため、複数の照明撮像部のそれぞれで、撮像部と照明部の位置関係は何れも等しいものとすることが好適である。これにより、撮像画像において、トンネル600の壁面上の凹凸に応じた影の状態等に起因する明るさのムラを抑制することができる。
なお、図20では、撮像部32bの周りに4つの照明部32d~32gを設けた例を示したが、これに限定されるものではなく、撮像部32bの移動方向の両側、又は前記移動方向と交差する方向の両側の何れか1箇所以上であれば良い。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係る撮像装置100bについて説明する。尚、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する。
図21は、本実施形態に係る撮像装置100bの構成の一例を示す斜視図である。図21に示すように、撮像装置100bは、照明撮像部32及び33を含む第1照明撮像部群301と、照明撮像部35及び36を含む第2照明撮像部群302とを備える。
照明撮像部32及び33は、ベースプレート31を介してフレーム30に固定されている。また、照明撮像部35及び36は、ベースプレート34を介してフレーム30に固定されている。図21に示した状態で、フレーム30を車両500の天井に固定することで、撮像装置100bを車両500に取り付けることができる。
また、照明撮像部32は、照明部32aと、撮像部32bとを備える。照明部32a及び撮像部32bは、所定の位置関係になるように位置合わせされて、それぞれがユニットベース32cに固定されている。同様に、照明撮像部33が備える照明部33a及び撮像部33bはユニットベース33cに固定され、照明撮像部35が備える照明部35a及び撮像部35bはユニットベース35cに固定され、照明撮像部36が備える照明部36a及び撮像部36bはユニットベース36cに固定されている。但し、煩雑になるのを避けるため、図21では、照明撮像部32以外の撮像部、照明部、及びユニットベースの部品番号は、図示が省略されている。
図22は、本実施形態に係るトンネル600の壁面上における各照明部の照明範囲と各撮像部の撮像範囲との関係の一例を示す図である。
図22に示すように、トンネル600の壁面上で、照明部32aによる照明範囲32a'内に撮像部32bによる撮像範囲32b'が含まれるように照明部32a及び撮像部32bが調整されている。同様に、照明部33aによる照明範囲33a'内に撮像部33bによる撮像範囲33b'が含まれるように照明部33a及び撮像部33bが調整されている。これらは、第1照明撮像部群301による照明範囲と撮像範囲である。
また、照明部35aによる照明範囲35a'内に撮像部35bによる撮像範囲35b'が含まれるように照明部35a及び撮像部35bが調整されている。同様に、照明部36aによる照明範囲36a'内に撮像部36bによる撮像範囲36b'が含まれるように照明部36a及び撮像部36bが調整されている。これらは、第2照明撮像部群302による照明範囲と撮像範囲である。
一方、図22に示すように、照明範囲32a'と照明範囲33a'が重複しない領域に撮像範囲32b'が配置されるように撮像部32bが調整されている。同様に、照明範囲32a'と照明範囲33a'が重複しない領域に撮像範囲33b'が配置されるように撮像部33bが調整されている。
このように、第1照明撮像部群301に含まれる照明撮像部32及び33は、それぞれの照明範囲32a'及び33a'がトンネル600の壁面上で重ならない非重複領域を撮像している。
また、照明範囲35a'と照明範囲36a'が重複しない領域に撮像範囲35b'が配置されるように撮像部35bが調整されている。同様に、照明範囲35a'と照明範囲36a'が重複しない領域に撮像範囲36b'が配置されるように撮像部36bが調整されている。
このように、第2照明撮像部群302に含まれる照明撮像部35及び36は、それぞれの照明範囲35a'及び36a'がトンネル600の壁面上で重ならない非重複領域を撮像している。
ここで、照明撮像部32及び33が非重複領域を撮像しようとすると、移動方向501と交差する方向における撮像範囲32b'と撮像範囲33b'との間に間隔d2が空いた状態になる。そして、この範囲におけるトンネル600の壁面の撮像ができず、画像データが欠落する。照明撮像部35及び36による撮像においても同様である。
そのため、撮像範囲35b'は撮像範囲32b'に対し、移動方向501と交差する方向にシフト量S1だけずれ、且つ重複量Vだけ重複するように、第1照明撮像部群301が調整されている。換言すると、撮像範囲35b'の一部は、重複量Vだけ撮像範囲32b'と重複するように、第1照明撮像部群301が調整されている。
同様に、撮像範囲36b'は撮像範囲33b'に対し、移動方向501と交差する方向にシフト量S1だけずれ、且つ重複量Vだけ重複するように、第2照明撮像部群302が調整されている。換言すると、撮像範囲36b'の一部は、重複量Vだけ撮像範囲33b'と重複するように、第2照明撮像部群302が調整されている。但し、撮像範囲33b'に対する撮像範囲36b'のシフト量はシフト量S1である必要はなく、異なるシフト量にしても良い。重複量Vについても同様である。
このようにすることで、撮像範囲32b'と撮像範囲33b'との間の間隔d2の範囲で欠落したトンネル600の壁面の画像データを、撮像範囲36b'での撮像により補間することができる。また、撮像範囲35b'と撮像範囲36b'との間の間隔d2の範囲で欠落したトンネル600の壁面の画像データを、撮像範囲32b'での撮像により補間することができる。
なお、シフト量S1は、間隔d2の範囲におけるトンネル600の壁面を撮像範囲36b'で撮像できるように、予め決定されている。
ここで、撮像装置100bは、トンネル600の壁面を撮像する際に、車両500を移動させながら、撮像部32b、33b、35b及び36bにより所定のサンプリング周期で連続的に撮像を行い、画像データを図4のHDD114等に格納する。そのため、撮像部32b及び33bで撮像した画像データにおける欠落部分を撮像部35b及び36bで撮像した画像データで補間する処理は、格納した画像データに対して画像処理を実行することで行うことができる。
一方、照明範囲35a'及び36a'を照明範囲32a'及び33a'に対し、移動方向501における同じ位置に配置すると、照明範囲32a'及び33a'と照明範囲35a'及び36a'とが重複する。そのため、本実施形態では、照明範囲35a'及び36a'を照明範囲32a'及び33a'に対し、移動方向501において、シフト量S2だけずらしている。そして、撮像部35b及び36bは、シフト量S2だけずらされた照明範囲35a'及び36a'内を撮像する。これにより、照明範囲32a'及び33a'と、照明範囲35a'及び36a'とが重複することを防ぎ、照明撮像部35及び36は、非重複領域を撮像することが可能となる。
<効果>
以上説明してきたように、本実施形態では、第1照明撮像部群301と、第2照明撮像部群302とを備える。第1照明撮像部群301は、移動方向501と交差する方向におけるトンネル600の壁面上の異なる範囲をそれぞれが撮像する照明撮像部32及び33を含む。また、第2照明撮像部群302は、移動方向501と交差する方向におけるトンネル600の壁面上の異なる範囲をそれぞれが撮像する照明撮像部35及び36を含む。
そして、照明撮像部35及び36は、照明撮像部32及び33が撮像するトンネル600の壁面上の範囲に対し、移動方向501と交差する方向にずれ、且つ一部が重複するトンネル600の壁面上の範囲を撮像する。
これにより、非重複領域を照明撮像部32及び33が撮像しようとした場合に生じる撮像できない範囲を、照明撮像部35及び36が撮像した画像データにより補間することができる。そして、トンネル600の内周の壁面全体を、画像データの欠落なく撮像することができる。
なお、図21では、第2照明撮像部群302が第1照明撮像部群301に対して移動方向501にずれた位置に配置された例を示したが、これに限定されるものではない。第2照明撮像部群302の撮像範囲を、上述したように第1照明撮像部群301の撮像範囲に対して移動方向501にずらすことができれば、第2照明撮像部群302が配置される位置は、第1照明撮像部群301に対して移動方向501にずれた位置でなくても良い。
また、上述した以外の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
(第2変形例)
ここで、実施形態の第2変形例について、図23を参照して説明する。撮像装置100cは、鉛直方向に沿った軸101aを反転軸にして、第1照明撮像部群301及び第2照明撮像部群302を一体にして、反転させることができる装置である。
図23は、実施形態の第2変形例に係る撮像装置100cの構成の一例を示す図(その1)であり、(a)は反転前の構成を示す図、(b)は反転後の構成を示す図である。図23(a)及び(b)は、何れも前方から車両500を見ている。
図23に示すように、撮像装置100cは、鉛直方向に沿った軸101aを反転軸にして、第1照明撮像部群301及び第2照明撮像部群302を一体にして、矢印102の方向に回転させ、反転させるターンテーブル101を備える。ここで、ターンテーブル101は「鉛直方向軸反転機構」の一例である。また、「反転」は、反転軸を回転軸にして、ほぼ180度回転させることをいう。
図23(a)では、撮像装置100cに含まれる第1照明撮像部群301及び第2照明撮像部群302は、図に向かって右側の方向を撮像することができる。
一方、図23(b)は、図23(a)の状態から反転させた後の状態である。この状態では、第1照明撮像部群301及び第2照明撮像部群302は、図に向かって左側の方向を撮像することができる。
トンネル600の壁面の撮像において、撮像装置100cは、先ず、図23(a)の状態で、車両500により移動されながら、トンネル600の内周の壁面の右側半分を撮像する。撮像した画像データはHDD114等に格納される。車両500がトンネル600の出口に到達すると、トンネル600の内周の壁面の入口から出口までの撮像が完了し、その後、車両500はトンネル600の入口まで移動される。
そして、ターンテーブル101を軸101a回りに反転させて、図23(b)の状態にする。その後、車両500により移動されながら、トンネル600の内周の壁面の左側半分を撮像する。撮像した画像データはHDD114等に格納される。車両500がトンネル600の出口に到達すると、トンネル600の内周の壁面の入口から出口までの撮像が完了する。
その後、HDD114等に格納されたトンネル600の内周の壁面の右側半分と左側半分の画像データを繋ぎ合わせることで、トンネル600の内周の壁面全体の画像データを取得することができる。
ここで、上述したように、トンネル600の内周の壁面の右側半分と左側半分の撮像を、車両500によるトンネル600内の2回の移動で行う場合がある。本変形例では、このような場合に、ターンテーブル101を用いることで、撮像装置100cの撮像方向の切替を簡単に行うことができる。
また上述した例では、鉛直方向に沿った軸を反転軸にする例を示したが、車両500の移動方向に沿った軸を反転軸にしても良い。図24は、この場合の撮像装置100dの構成の一例を示す図(その2)である。(a)は反転前の構成を示す図、(b)は反転後の構成を示す図である。図23と同様に、図24(a)及び(b)は、何れも前方から車両500を見ている。
図24に示すように、撮像装置100dは、車両500の移動方向に沿った軸(図示を省略)を反転軸にして、第1照明撮像部群301及び第2照明撮像部群302を一体にして、矢印103の方向に回転させ、反転させるターンテーブル(図示を省略)を備える。このようなターンテーブルは「移動方向軸反転機構」の一例である。
図24(a)では、第1照明撮像部群301及び第2照明撮像部群302は、図に向かって右側の方向を撮像することができる。一方、図24(b)は、図24(a)の状態から矢印103の方向に反転させた後の状態である。この状態では、第1照明撮像部群301及び第2照明撮像部群302は、図に向かって左側の方向を撮像することができる。
撮像装置100dの動作及び効果は、図23を用いて説明したものと同様であるため、重複した説明を省略する。
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態に係る撮像装置100eについて説明する。
第2の実施形態では、照明撮像部32及び33が非重複領域を撮像しようとした場合に生じる撮像できない範囲を、照明撮像部35及び36が撮像した画像データにより補間する例を示した。
これに対し、本実施形態に係る撮像装置100eは、車両500の移動方向と交差する方向において、複数の照明撮像部のうちの各照明撮像部が撮像するトンネル600の壁面上の範囲を変化させる範囲可変部を備える。そして、車両500の移動方向と交差する方向における撮像範囲を少なくとも2回変化させて撮像を行うことで、第2照明撮像部群302を設けることなく、撮像できない範囲の画像データを補間する。
図25は、本実施形態に係る撮像装置100eの構成の一例を示す斜視図である。図25に示すように、撮像装置100eは、範囲可変部の一例としての回転機構37を備える。回転機構37は、照明撮像部32及び33が固定されたベースプレート31を、車両500の移動方向501に沿った軸回りに回転可能に保持する。回転機構37による矢印38の方向への回転により、移動方向501に交差する方向において、照明撮像部32及び33による照明方向及び撮像方向を変化させることができる。回転機構37による回転は、回転駆動させるモータ(図示を省略)を用いて行われても良いし、ユーザが手動で回転させても良い。また、回転させた後のベースプレート31の固定には、公知のロック機構を適用可能である。
図26は、回転機構37により図25の状態から所定の角度だけ回転させた後の撮像装置100eの構成の一例を示す図である。
回転機構37による回転角度は、以下の(4)式を満足するような角度であることが好適である。
R-(θ1+θ2)/2 < ΔR < θ1/2 ・・・(4)
ここで、ΔRは、照明撮像部33の撮像方向を、照明撮像部33に隣接する照明撮像部32側に変化させた角度変化分である。
(4)式の条件を満足するように回転機構37により回転させることで、照明撮像部32及び33が非重複領域を撮像しようとした場合に生じる撮像できない範囲を、回転後の照明撮像部32及び33の撮像範囲での撮像により補間することができる。
図27は、本実施形態に係るトンネル600の壁面上における各照明部の照明範囲と各撮像部の撮像範囲との関係の一例を示す図である。照明範囲32a'及び33a'と撮像範囲32b'及び33b'は、撮像装置100eが図25の状態、すなわち回転機構37により回転させる前の状態でのものである。一方、照明範囲39a'及び40a'と撮像範囲39b'及び40b'は、撮像装置100eが図26の状態、すなわち回転機構37により回転させた後の状態でのものである。
図28は、本実施形態に係る撮像装置100eによる撮像動作の一例を示すフローチャートである。
先ず、ステップS281において、撮像装置100eは、トンネル600の入口を開始位置として、車両500により移動されながらトンネル600の壁面を撮像する。また、撮像装置100eは、撮像した画像データをHDD114等に格納する。
続いて、ステップS282において、車両500の運転者等のユーザは、車両500がトンネル600の出口まで到達して、車両500の移動方向におけるトンネル600全体の撮像が完了したか否かを判定する。
ステップS282で、撮像が完了したと判定された場合(ステップS282、Yes)は、ステップS283に移行し、撮像が完了していないと判定された場合(ステップS282、No)は、ステップS282の動作が、撮像を完了するまで行われる。
続いて、ステップS283において、ユーザは、車両500をトンネル600の入口の開始位置に移動させる。
続いて、ステップS284において、車両500がトンネル600の入口に到達後、車両500は停止され、ユーザは、撮像装置100eの回転機構37のロックを解除する。
続いて、ステップS285において、ユーザは、回転機構37を所定の角度だけ回転させる。
続いて、ステップS286において、ユーザは、所定の角度だけ回転させた後、回転機構37をロックする。
続いて、ステップS287において、撮像装置100eは、トンネル600の入口を開始位置として、車両500により移動されながらトンネル600の壁面を撮像する。また、撮像装置100eは、撮像した画像データをHDD114等に格納する。
続いて、ステップS288において、ユーザは、車両500がトンネル600の出口まで到達して、トンネル600の全体の撮像が完了したか否かを判定する。
ステップS288で、撮像が完了したと判定された場合(ステップS288、Yes)は、ステップS289に移行し、撮像を完了していないと判定された場合(ステップS288、No)は、ステップS288の動作が、撮像が完了するまで行われる。
続いて、ステップS289において、撮像装置100eは、HDD114等に格納された画像データを読み出し、照明撮像部32及び33が非重複領域を撮像しようとした場合に生じる画像データの欠落を補間する処理を実行する。
このようにして、撮像装置100eによる撮像を行い、トンネル600の内周の壁面全体の画像データを取得することができる。
以上説明したように、本実施形態では、回転機構37を備え、回転機構37による回転により図22と同様の照明範囲と撮像範囲を実現でき、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態では、回転機構37を用いて照明撮像部32及び33を一体にして回転させたが、照明撮像部32と照明撮像部33をそれぞれ独立して回転させても良い。
尚、上記以外の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
以上、本発明の実施形態の例について記述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
具体的には、カメラを搭載する車両としては2輪車、一般車などの4輪車、建設・農業・産業車両、鉄道車両、特殊車両であってもよく、また、ドローンなどの飛行体であってもよい。これらまとめて移動体と称する。
また実施形態では、構造物の一例としてトンネルを説明したが、これに限るものではなく、構造物には、気体、液体、粉体、粒体物質の輸送に用いる配管も含まれる。また、構造物には、昇降機(エレベータ)が移動する縦穴状の鉄筋コンクリート構造等の昇降路(エレベータシャフト)も含まれる。
また、実施形態は、撮像方法も含む。例えば、撮像方法は、移動体に設けられた状態で被写体を撮像する撮像装置による撮像方法であって、前記移動体の移動方向に交差する方向で、前記被写体上の異なる範囲を、それぞれが撮像する複数の照明撮像部を有し、前記複数の照明撮像部のそれぞれは、前記被写体上の少なくとも一部の照明範囲を照明する照明部と、前記照明範囲に含まれる領域を撮像する撮像部と、を含み、前記複数の照明撮像部によるそれぞれの前記照明範囲が、前記被写体上で重ならない非重複領域を撮像する。このような撮像方法により、上述の撮像装置と同様の効果を得ることができる。