JP2014081477A - 撮像装置 - Google Patents

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光宏 清野
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菅原  良一
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Abstract

【課題】撮像装置において、存在する位置までの距離が異なる複数の物体のそれぞれを鮮明に撮像した画像の生成と、撮像装置自体の十分な小型化とを両立すること。
【解決手段】撮像装置は、光学系と撮像素子40とを備えている。光学系は、入射する光を屈折させて像を形成する機構であり、第一光学部材22と第二光学部材25とを備えている。第一光学部材22は、周知の凸レンズである。第二光学部材25は、空気よりも高屈折率であるガラスによって板状に形成された部材である。第二光学部材25は、第一物体による実像が形成される第一像点と、第二物体による実像が形成される第二像点との差異を吸収するように、第一光学部材22と第一像点との間に配置される。撮像素子40は、複数個の受光素子を備えた周知の撮像素子であり、第一物体による実像と第二物体による実像とを一枚の画像に収めるように撮像する。
【選択図】図8

Description

本発明は、走行支援制御システムに用いられる撮像装置に関する。
従来、自動車に搭載して用いられる走行支援制御システムであって、画像を撮像する撮像装置と、撮像装置にて撮像した画像から検出した自車周辺の状況に基づいて自車の走行を支援する走行支援制御を実行する制御装置とを備えた走行支援制御システムが知られている。
走行支援制御システムが実行する走行支援制御として、オートワイパー制御や、アダプティブクルーズ制御、プリクラッシュセーフティ制御のそれぞれが考えられる。
一般的に、オートワイパー制御では、フロントガラスを撮像した画像に基づいて雨滴を検出すると、自車周辺の状況が降雨であるものとして、ワイパーを自動で駆動する。アダプティブクルーズ制御では、自車の進行路上を撮像した画像に基づいて先行車両の存在を自車周辺の状況として検出し、当該先行車両に追従して走行するように自車両の挙動を制御する。プリクラッシュセーフティ制御では、自車の進行路上を撮像した画像に基づいて自車が回避不可能な物体の存在を自車周辺の状況として検出すると、自車両に制動力を加えたり、シートベルトを巻き上げたりする。
このような走行支援制御システムにおける撮像装置では、自車両の周辺の状況を正確に検出するために、存在する位置までの距離が異なる物体のそれぞれを一枚の画像中に鮮明に収めることが求められている。なお、存在する位置までの距離が異なる物体とは、例えば、自車両の進行路上に存在する先行車両や回避不可能な物体、自車両のフロントガラスなどである。
これを実現する撮像装置として、規定された第一焦点距離を有した第一レンズと、第一焦点距離よりも長い焦点距離である第二焦点距離を有した第二レンズと、入射した光を結像して画像を生成する撮像素子と、第二レンズを通過した光を反射する第二ミラーと、第二ミラーにて反射した光が撮像素子へと入射するように反射すると共に、第一レンズを通過した光が撮像素子へと入射するように透過する第一ミラーとを備えた撮像装置が提案されている(特許文献1参照)。
特許第4513691号
一般的な自動車は、車室内の空間を広くすることや、自車両の進行方向に対する視認性を確保することが求められており、車室内に配置される撮像装置は、小型化が要求されている。
しかしながら、特許文献1に記載された撮像装置は、2つのレンズと、2つのミラーと、撮像素子とを備えているため、部品点数が多く、小型化が不十分であるという問題があった。
つまり、特許文献1に記載された撮像装置では、存在する位置までの距離が異なる複数の物体のそれぞれを鮮明に撮像した画像の生成と、撮像装置自体の十分な小型化とを両立できないという問題があった。
そこで、本発明は、撮像装置において、存在する位置までの距離が異なる複数の物体のそれぞれを鮮明に撮像した画像の生成と、撮像装置自体の十分な小型化とを両立することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた本発明は、第一光学手段と、撮像手段と、第二光学手段とを備えた撮像装置である。
本発明の撮像装置における第一光学手段は、光軸に平行な光が集束する像側焦点までの距離が予め定められた第一焦点距離である光学部材である。そして、撮像手段は、光軸に沿って第一光学手段から第一距離に存在する第一物体から出て第一光学手段を通過した光が結像する位置に配置され、かつ、受光した光の強度に比例した受光信号を出力する複数の受光素子が配列され、受光信号に基づいて画像を生成する。
そして、本発明の撮像装置における第二光学手段は、空気の屈折率よりも高い屈折率を有し、かつ、光軸に沿った第一光学手段からの距離が第一距離よりも遠い第二距離に存在する第二物体から出て第一光学手段を通過した光が結像される光軸上の位置が、第一物体からの光が結像される光軸上の位置に近似するよう、第一光学手段と撮像手段との間にて、第一光学手段を通過する第二物体からの光を屈折させる位置に配置される。
すなわち、第一光学手段を通過した第二物体からの光のうち、像側焦点にて集束する光は、第二光学手段にて屈折されてから受光素子(撮像手段)にて受光される。第一光学手段を通過した第二物体からの光のうち、像側焦点に集束しない光、即ち、第一光学手段を通過した後が光軸に平行な光は、第二光学手段にて屈折されることなく受光素子(撮像手段)にて受光される。
一方、本発明において、第一物体からの光は、第一光学手段を通過して受光素子(撮像手段)にて受光される。
この場合、第一物体からの光が結像する位置は、第一光学手段の結像面であり、第二物体からの光が結像する位置は、第一物体からの光が結像される光軸上の位置、即ち、第一光学手段の結像面に近似した位置である。
なお、ここで言う「近似」とは、第一物体と第二物体とのそれぞれからの光によって結像面に形成される像が鮮明であるとみなせる範囲内であるという意味であり、第一物体と第二物体とのそれぞれの像が、いわゆる“許容ボケ”の範囲内に収まった状態となる位置関係である。
そして、第一光学手段の結像面に結像された第一物体の像と、当該結像面の位置に近似した位置に結像された第二物体の像とが、当該結像面に配置された撮像手段によって撮像される。
したがって、本発明の撮像装置によれば、第一距離に存在する第一物体と第二距離に存在する第二物体とのように存在する位置までの距離が異なる複数の物体のそれぞれを鮮明に撮像した画像を生成することができる。
しかも、本発明の撮像装置では、特許文献1に記載された撮像装置と異なり、存在する位置までの距離が異なる複数の物体のそれぞれを鮮明に撮像した画像を生成するために、第一ミラーと第二ミラーとを備える必要がない。よって、本発明の撮像装置によれば、撮像装置自体を小型化できる。
換言すれば、本発明の撮像装置によれば、存在する位置までの距離が異なる複数の物体のそれぞれを鮮明に撮像した画像の生成と、十分な小型化とを両立することができる。
本発明における第二光学手段は、ガラス板であっても良い。
このような撮像装置によれば、存在する位置までの距離が異なる複数の物体のそれぞれを鮮明に撮像した画像の生成及び十分な小型化の両立を、ガラス板を配置することで実現できる。
さらに、本発明における第二光学手段は、撮像手段における受光素子の一つに、第二物体の一点から出た光が入射するように規定された厚みを有する。
このような撮像装置によれば、第一物体が結像される光軸上の位置に、第二物体が結像される光軸上の位置を近似させることを、第二光学手段の厚みを規定することで実現できる。
しかも、本発明における第二光学手段の厚みは、第二物体の一点から出た光が、一つの受光素子に入射するように規定されるため、本発明の撮像装置においては、第二物体の像が不鮮明となることを低減できる。
本発明における第二光学手段には、光学研磨が施されていることが好ましい。第二光学手段に光学研磨が施されていれば、第二物体について、より鮮明な画像を生成することができる。
さらに、本発明の撮像装置においては、光軸に対して直交する方向に沿った第二光学手段の位置を調整する第一調整手段を備えていても良い。
このような撮像装置によれば、第二光学手段の設置位置を調整することができ、第一物体及び第二物体からの光によって形成される像それぞれについて、より鮮明な画像を生成することができる。
ところで、以下では、第一光学手段を通過する第二物体からの光のうち、少なくとも像側焦点にて集束する光のそれぞれを遠距離光と称し、第一光学手段を通過する第一物体からの光のうち、像側焦点にて集束する光のそれぞれを近距離光と称す。さらに、それら遠距離光及び近距離光のうち、像側焦点と第一光学手段と間の位置にて近接する近距離光と遠距離光とのそれぞれを境界光と称す。
なお、ここで言う「近接」とは、撮像手段にて生成された画像における第一物体と第二物体との鮮明度合いが、いわゆる“許容ボケ”の範囲内に収まらない状態となる、近距離光と遠距離光との関係である。すなわち、ここで言う「境界光」は、第一物体からの光及び第二物体からの光のうち、第二光学手段における光軸周辺の部位を通過して撮像手段へと入射する光である。
通常、境界光によって干渉が生じるため、撮像装置にて生成された画像では、境界光を含む光によって形成された像が不鮮明、いわゆるボケが生じた状態となる。
そこで、本発明の撮像装置においては、撮像手段に入射する境界光を低減する光低減手段を備えていても良い。
このように光低減手段を備えた撮像装置によれば、当該撮像装置にて生成した画像において、境界光を含む光によって形成された像が不鮮明となることを抑制できる。
さらに、本発明における光低減手段は、遮光手段によって構成されていても良い。
このように構成された撮像装置によれば、画像に収められる像が不鮮明となることを、より確実に防止できる。
ところで、第二光学手段が、予め規定された規定値以上の厚みがある底面を有した部材である場合、その第二光学手段の底面によって、光が反射され、撮像装置にて生成される画像に、実際には存在していない像(即ち、ゴースト)が写り込む可能性がある。
そこで、本発明の撮像装置においては、第二光学手段の底面での光の反射を低減する反射低減手段を備えていても良い。
このような撮像装置によれば、撮像装置にて生成される画像に、実際には存在していない像(即ち、ゴースト)が写り込むことを抑制できる。
なお、本発明の撮像装置は、自動車の車室内に搭載されるものでも良い。この場合、本発明における撮像手段は、当該自動車のウインドシールドの外表面に付着する物体を第一物体とし、当該自動車の進行路上に存在する物体を第二物体とした画像を生成することが好ましい。
このような撮像装置によれば、自動車に搭載して用いられる走行支援制御システムを構成する撮像装置として用いることができる。
走行支援制御システムの概略構成を示すブロック図である。 本発明が適用された撮像装置の設置位置を示す説明図である。 撮像装置の概略構成を示す図である。 第二光学部材によって像点を変更可能であることを説明する説明図である。 第二光学部材の板厚を決定する手法を説明する説明図である。 調整装置の概略構成を示す説明図である。 遮光部の作用効果を説明する説明図である。 遮光部の作用効果を説明する説明図である。
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1に示す走行支援制御システム1は、自動車に搭載して用いられるシステムであり、当該走行支援制御システム1が搭載される自車両AM(図2参照)の周辺の状況を検出して、自車両AMが安全に走行するように支援する走行支援制御を実行するシステムである。
この走行支援制御システム1は、撮像装置10と、走行支援電子制御装置(以下、走行支援ECUとも称す)60と、アクチュエータ部70とを備えている。
撮像装置10は、画像を生成する装置であり、図2に示すように、自車両AMのフロントウインドシールドWSを含む車両の進行方向の周辺状況を撮像するように、自車両AMの車室内に配置される。なお、撮像装置10についての詳細は、後述する。
走行支援ECU60は、図1に示すように、電源が切断されても記憶内容を保持する必要がある処理プログラムやデータを格納するROM62と、処理プログラムやデータを一時的に格納するRAM64と、ROM62やRAM64に記憶された処理プログラムに従って各種処理を実行するCPU66とを少なくとも有した周知のコンピュータを中心に構成されている。
アクチュエータ部70は、自車両のエンジンを制御するエンジン制御装置72と、自車両のブレーキを制御するブレーキ制御装置74と、自車両のシートベルトを制御するシートベルト制御装置76と、自車両のワイパーを制御するワイパー制御装置78とを備えている。エンジン制御装置72、ブレーキ制御装置74、シートベルト制御装置76、及びワイパー制御装置78のそれぞれは、通信バスLNを介して、走行支援ECU60に接続されている。
なお、通信バスLNを介して行うデータ通信としては、車載ネットワークで一般的に行われているCAN(Robert Bosch社が提案した「Controller Area Network」)プロトコルを用いれば良い。
そして、本実施形態においては、走行支援制御システム1が実行する走行支援制御として、少なくとも、オートワイパー制御や、アダプティブクルーズ制御、プリクラッシュセーフティ制御が含まれている。
つまり、走行支援ECU60は、自車両AM周辺の状況が降雨であることを検出すると、自車両AMのワイパーを駆動するようにワイパー制御装置78を制御するオートワイパー制御を実行する。なお、本実施形態では、撮像装置10にて撮像した画像に基づきフロントウインドシールドに付着した雨滴を検出した場合に、自車両AMの周辺の状況が降雨であるものとすれば良い。
さらに、走行支援ECU60は、自車両AM周辺の状況として先行車両の存在を検出すると、当該先行車両に追従して走行するように、エンジン制御装置72やブレーキ制御装置74を制御するアダプティブクルーズ制御を実行する。なお、本実施形態では、自車両AMの進行路上を撮像した画像に基づく周知の手法により、先行車両の存在を検出する。
また、走行支援ECU60は、自車両AMの進行路上を撮像した画像に基づく周知の手法により、自車両AMが回避不可能な物体が存在することを、自車両AM周辺の状況として検出すると、衝突時の被害が軽減するように制御するプリクラッシュセーフティ制御を実行する。プリクラッシュセーフティ制御では、自車両AMに制動力を加えたり、シートベルトを巻き上げたりするように、ブレーキ制御装置74やシートベルト制御装置76を制御する。
〈撮像装置〉
図3に示すように、撮像装置10は、光学系20と、撮像素子40と、画像処理装置50とを備え、筐体80(図6参照)内に収納されている。
光学系20は、光学系20自身に入射する光を屈折させて、像を形成する。この光学系20は、第一光学部材22と、第二光学部材25と、光低減部材30と、調整装置52(図6参照)とを備えている。
撮像素子40は、受光した光の強度に比例した受光信号を出力する複数個の受光素子42を備えた周知の撮像素子である。本実施形態において、複数の受光素子42は、n行×m列に配列されている。そして、ここで言う“n”は、例えば、2以上の整数であり、ここで言う“m”は、例えば、2以上の整数である。
この撮像素子40は、光学系20の結像面に配置され、結像面に投影された像を撮像する。ここで言う「結像面」とは、第一光学部材22の光軸Lrに直交する平面であり、第一物体からの光によって形成される実像が投影される面(像点)である。
画像処理装置50は、少なくとも、ROM,RAM,CPUを有した周知のマイクロコンピュータを中心に構成された装置であり、撮像素子40にて生成された画像に対して、画像処理を実行する。
〈光学系〉
次に、光学系の詳細について説明する。
第一光学部材22は、焦点fよりも遠い位置に存在する物体からの光が像点にて集まることで実像を形成する凸レンズである。この第一光学部材22の焦点距離は、第一焦点距離として予め規定されている。
このような第一光学部材22では、物側焦点f1よりも遠い位置(第一距離)に存在する第一物体からの光によって、第一像点に実像が形成される。さらに、第一光学部材22では、第一光学部材22の光軸Lrに沿って、第一物体よりも遠い位置(第二距離)に存在する第二物体からの光によって、光軸Lrに沿った第一光学部材22からの距離が、第一像点までの距離よりも遠い第二像点に実像を形成する。
なお、本実施形態では、第一物体として、自動車AMのウインドシールドWSの外表面に付着する物体、例えば、雨滴を想定する。さらに、本実施形態では、第二物体として、自動車AMの進行路上に存在する物体、例えば、先行車両や、落下物を想定する。
第二光学部材25は、空気の屈折率よりも高い屈折率を有したガラスによって、半円状に形成された板状の部材である。第二光学部材25は、第一光学部材22によって実像が形成される像点の中で第一物体からの光によって実像が形成される像点と、第一光学部材22自体との間に配置される。この第二光学部材25の配置は、当該第二光学部材25の中心を通る弦が、第一光学部材22の光軸Lrに一致するようになされる。
すなわち、第一物体からの光によって実像が形成される第一像点と、第二物体からの光によって実像が形成される第二像点との間の差異を、第二光学部材25によって吸収している。
具体的には、図4に示すように、第二距離よりも遠い無限遠に位置する物体Rからの光Lbは、第一光学部材22にて屈折し、入射角θiにて第二光学部材25に入射する。第二光学部材25へ入射した光Lbは、媒質の変化により屈折角θrにて屈折して、その屈折した経路にて第二光学部材25と空気との境界へと到達する。さらに、第二光学部材25から空気へと出射する光Lbは、入射角θrにて境界面に入射して、屈折角θrにて空気へと出る。
なお、角度θi及びθrは、それぞれ、下記(1)式,(2)式によって表される。(1)式中の符号“r”は、物体Rにおける一つの物点までの光軸Lrからの高さであり、符号“Lf”は、第一光学部材22の焦点距離である。さらに、(2)式中の符号“n1”は、空気の屈折率であり、符号“n2”は、第二光学部材25を構成する材質、即ち、ガラスの屈折率である。
第二光学部材25が存在することによって屈折された光Lbによる実像が形成される像点(即ち、第二像点)では、その第二像点までの距離が、延長距離ΔLf分、延びることとなる。この第二像点までの距離が延びることを利用して、第二物体から出た光による実像が形成される像点が、第一物体から出た光による実像が形成される像点(即ち、第一像点)に近似するように、第二光学部材25の板厚gが規定される。
第二光学部材25の板厚gは、具体的には、下記(4)式に従って規定される。
ただし、(4)式中のΔf1は、第二像点を第一像点に近似させるために必要な距離であり、(3)式にて表される。以下では、この距離Δf1を、差分吸収距離Δf1と称す。この差分吸収距離Δf1とは、具体的には、第一物体と第二物体とのそれぞれからの光によって結像面に形成される像が鮮明であるとみなせる範囲内に、両物体からの光の延長距離ΔLfが収束するように規定される距離である。なお、「像が鮮明であるとみなせる範囲」とは、光学系20によって形成される各像が、いわゆる“許容ボケ”の範囲内に収まった状態である。
また、延長距離ΔLfは、同一の物体であっても、その物体上の物点それぞれからの光路によって異なる。すなわち、図5に示すように、光軸Lrから離れた第一物点からの光Lb1の延長距離はΔLf1であるが、第一物点よりも光軸Lrに近い第二物点からの光Lb2の延長距離はΔLf2(ΔLf2>ΔLf1)である。この場合、第一物点からの光Lb1と、第二物点からの光Lb2との間には、光軸Lrに直交する軸に沿って差異ΔPが生じる。
この差異ΔPが、一つの受光素子42のサイズPmaxの範囲を超えると、画像における像が不鮮明となる。
このため、第二光学部材25の板厚gは、光軸Lrに直交する軸に沿った光路の差異ΔPが、一つの受光素子42のサイズPmaxの範囲内となるように規定される。
さらに、第二光学部材25には、周知の光学研磨が施されている。ここで言う「光学研磨」とは、第二光学部材25の表面による光の散乱や局部屈折などを低減する処理であり、第二光学部材25の表面における凹凸が規定値以下となるように研磨することである。
なお、撮像素子40では、第一物体による実像と第二物体による実像とを、一枚の画像に収めるように撮像する。
〈光低減部材〉
光低減部材30は、光の通過を低減する低減処理が施された部材であり、図3に示すように、遠距離遮光部32と、近距離遮光部34と、反射低減部36とを備えている。本実施形態における光低減部材30は、遠距離遮光部32と近距離遮光部34と反射低減部36とが一体に形成されている。
遠距離遮光部32は、遮光処理が施された矩形の部材であり、第一光学部材22と撮像素子40との間に配置される。この遠距離遮光部32は、光軸Lrの周辺に存在する物点からの光を遮光するように、第一光学部材22に対向し、かつ第二光学部材25における光軸Lrの周辺を覆うように第二光学部材25に貼付されている。具体的には、遠距離遮光部32は、光軸Lrに一致する第二光学部材25の一辺に、遠距離遮光部32の一端を一致させ、かつ、光軸Lrから離れる方向へと、遠距離遮光部32の他端が延長するように貼付される。
近距離遮光部34は、遮光処理が施された矩形の部材であり、光軸Lrの周辺に存在する物点からの光を遮光するように、撮像素子40と第一光学部材22との間に配置される。この近距離遮光部34は、遠距離遮光部32の一端に近距離遮光部34の一端を一致させ、かつ、近距離遮光部34の他端が、光軸Lrから離れる方向へと延長する第二光学部材25とは反対側に向けて延出される。
反射低減部36は、遮光処理が施された部材であり、第二光学部材25の光軸Lrに接する底面を覆うように設けられる。
これら遠距離遮光部32、近距離遮光部34、及び反射低減部36における遮光処理とは、光を吸収する塗料を塗布することや、光を吸収する薄膜にて覆うこと、光を吸収する材料にて板状の部材自体を形成することなどである。
〈調整装置〉
図6に示すように、調整装置52は、第二光学部材25及び光低減部材30の位置を、光軸Lrに直交する方向に沿って調整する装置であり、保持部54と、締結部56と、調整ツマミ58とを備えている。
保持部54は、第二光学部材25を保持する枠体である。
締結部56は、軸状の部位であり、一端が保持部54に接続され、他端は筐体80の外部に位置するように配置される。この締結部56の外周には、ネジが切られている。なお、筐体80には、締結部56を挿通する孔が穿設されている。さらに筐体80の孔には、締結部56のネジに螺合するネジ部が設けられている。
調整ツマミ58は、締結部56における筐体80の外部に位置する端部に接続されたツマミである。
すなわち、調整装置52では、調整ツマミ58を回動させると、調整ツマミ58に連結された締結部56が、光軸Lrに直交する方向に沿って直線運動する。保持部54は、締結部56と共に、光軸Lrに直交する方向に沿って直線運動する。
したがって、保持部54が筐体80の内部へと進む方向に調整ツマミ58を回転させたり、保持部54が筐体80の外部に向かって進む方向に調整ツマミ58を回転させたりすれば、第二光学部材25及び光低減部材30の位置が調整される。
[実施形態の効果]
以上説明したように、撮像装置10によれば、第一光学部材22を通過した第二物体からの光のうち、像側焦点f2にて集束する光は、第二光学部材25にて屈折されてから撮像素子40にて受光される。そして、第一光学部材22を通過した第二物体からの光のうち、像側焦点f2に集束しない光、即ち、第一光学部材22を通過した後、光軸Lrに平行な光は、第二光学部材25にて屈折されることなく撮像素子40にて受光される。
一方、第一物体からの光は、第一光学部材22を通過して撮像素子40にて受光される。
この場合、第一物体からの光が結像する位置は、第一光学部材22の結像面であり、第二物体からの光が結像する位置は、第一物体からの光が結像される光軸上の位置、即ち、第一光学部材22の結像面から、第二物体からの光による像が“許容ボケ”の範囲内に収まった状態となる位置である。
したがって、撮像装置10によれば、第一距離に存在する第一物体と第二距離に存在する第二物体とのように存在する位置までの距離が異なる複数の物体のそれぞれを鮮明に撮像した画像を生成することができる。
しかも、撮像装置10では、異なる複数の物体のそれぞれを鮮明に撮像した画像を生成するために、第二光学部材25として、ガラス板を配置するだけで良く、特許文献1に記載された撮像装置と異なり、第一ミラーと第二ミラーとを備える必要がない。よって、撮像装置10によれば、撮像装置10自体を小型化できる。
換言すれば、撮像装置10によれば、存在する位置までの距離が異なる複数の物体のそれぞれを鮮明に撮像した画像の生成と、十分な小型化とを両立することができる。
さらに、第二光学部材25の板厚gは、第二物体の一点から出た光が、一つの受光素子42に入射するように規定されるため、撮像装置10においては、第二物体の像が不鮮明となることを低減できる。
しかも、撮像装置10によれば、調整装置52を備えているため、第二光学部材25の設置位置を調整することができ、第一物体及び第二物体からの光によって形成される像それぞれについて、より鮮明な画像を生成することができる。
ところで、第二光学部材25の周縁を通過して撮像素子40に入射する光は、その光の干渉によって、像が不鮮明となる。
例えば、光軸Lrの周辺から光学系20に入射する光は、第一光学部材22や第二光学部材25にて屈折することなく、撮像素子40に入射する。このため、光軸Lrの周辺からの光に、第一物体からの光(即ち、遠距離光)や第二物体からの光(即ち、近距離光)が含まれる場合、それらの光によって光の干渉が発生し、一般的な撮像装置にて撮像した画像では、第一物体からの光による像及び第二物体からの光による像が不鮮明となる可能性があった。
しかしながら、図7に示すように、撮像装置10においては、遠距離遮光部32と近距離遮光部34とが設けられているため、撮像素子40に入射する光の中で、光軸Lrの周辺からの光であって、第二光学部材25における光軸Lrの周辺を通過する光を低減できる。すなわち、遠距離遮光部32と近距離遮光部34とにより、図7における第一遮光エリア及び第二遮光エリア内を経路とする光が、撮像素子40に入射することを低減できる。
これにより、撮像装置10によれば、光軸Lrの周辺からの光であって第二光学部材25における光軸Lrの周辺を通過して撮像素子40に入射する光、即ち、第一物体からの光と第二物体からの光とのうち、互いに近接する光(境界光)を含む光によって形成された像が不鮮明となることを抑制できる。
さらに、図8に示すように、撮像装置10においては、遠距離遮光部32と近距離遮光部34とが設けられているため、光を発する物点の位置に拘わらず、第二光学部材25の光軸Lrの周辺を通過する光を低減できる。すなわち、遠距離遮光部32と近距離遮光部34とにより、図8に示す第一遮光エリア及び第二遮光エリア内を経路とする光が、撮像素子40に入射することを低減できる。
したがって、撮像装置10によれば、第二光学部材25における光軸Lrの周辺を通過する光を含む光によって形成された像が不鮮明となることを抑制できる。
しかも、撮像装置10によれば、第二光学部材25の底面を覆うように反射低減部36が設けられているため、底面にて反射した光が撮像素子40に入射することを抑制できる。この結果、撮像装置10によれば、当該撮像装置10にて生成される画像に、実際には存在していない像(即ち、ゴースト)が写り込むことを抑制できる。
以上説明したような撮像装置10を備えた走行支援制御システム1によれば、その撮像装置10にて撮像した画像に基づいて自車両AM周辺の状況を認識することにより、その認識精度を向上させることができる。この結果、走行支援制御システム1によれば、自車両AMをより安全に走行させることができる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
例えば、上記実施形態においては、第二光学部材25の形状を半円状としていたが、本発明における第二光学部材25の形状は、半円状に限るものではない。すなわち、第二光学部材25の形状は、矩形や六角形などの多角形状であっても良いし、円形状であっても良い。
第二光学部材25の形状を多角形状とする場合には、第二光学部材25は、当該第二光学部材25における一つの辺が、第一光学部材22の光軸Lrに一致するように配置されることが好ましい。
第二光学部材25の形状を円形状とする場合には、第二光学部材25は、第一光学部材22の直径よりも小さな直径の円形状に形成した上で、第一光学部材22の光軸と同心状に配置されることが好ましい。
さらに、上記実施形態における第二光学部材25は、ガラスにて形成されていたが、第二光学部材25を形成する材料は、ガラスに限るものではない。例えば、第二光学部材25を形成する材料は、光を透過し、かつ、減衰率が、予め規定された値以下であれば、アクリル樹脂であっても良いし、レンズなどの光学素子に用いられるその他の材料であっても良い。
また、上記実施形態においては、第二光学部材25の配置位置が、第一光学部材22と第一光学部材22の像側焦点f2との間とされていたが、この第二光学部材25の配置位置は、これに限るものではなく、例えば、第一光学部材22と、第一光学部材22の像点の中で第一物体からの光によって実像が形成される像点との間であっても良い。
なお、上記実施形態の光低減部材30は、遠距離遮光部32と、近距離遮光部34と、反射低減部36とを備えていたが、光低減部材30の構成は、これに限るものではない。例えば、光低減部材30は、遠距離遮光部32、近距離遮光部34、及び反射低減部36の少なくとも一つを備えていれば良い。すなわち、本発明における光低減部材30は、上記実施形態における光低減部材30から、遠距離遮光部32が省略されていても良いし、近距離遮光部34が省略されていても良いし、反射低減部36が省略されていても良いし、これら遠距離遮光部32、近距離遮光部34、及び反射低減部36のうち2つが省略されていても良い。
また、上記実施形態の光低減部材30には、遮光処理が施されていたが、光低減部材30に施される処理は、これに限るものではなく、例えば、光の通過を低減する周知の処理であれば、どのような処理でも良い。
さらには、本発明においては、光低減部材30そのものが省略されていても良い。
ところで、上記実施形態においては、撮像装置10の適用対象を、走行支援制御システム1としていたが、撮像装置10の適用対象は、これに限るものではない。例えば、撮像装置10は、製造ラインの検査工程において製造品の品質を検査する検査システムに適用しても良いし、周知のデジタルカメラとして適用しても良い。
前者の場合、例えば、製造品として、所定値以上の段差を有した製品を想定し、その段差を形成する一方の面を第一物体とし、その段差を形成する他方の面を第二物体として画像を撮像し、製造品が不良であるか否かを検査する用途に用いることが考えられる。すなわち、本発明においては、撮像装置10をマシンビジョンに用いても良い。
また、後者のようなデジタルカメラにおいては、存在する位置までの距離が異なる複数の被写体が鮮明に写り込んだ画像を撮像できる。
1…走行支援制御システム 10…撮像装置 20…光学系 22…第一光学部材 25…第二光学部材 30…光低減部材 32…遠距離遮光部 34…近距離遮光部 36…反射低減部 40…撮像素子 42…受光素子 50…画像処理装置 52…調整装置 54…保持部 56…締結部 58…調整ツマミ 60…走行支援ECU 62…ROM 64…RAM 66…CPU 70…アクチュエータ部 72…エンジン制御装置 74…ブレーキ制御装置 76…シートベルト制御装置 78…ワイパー制御装置 80…筐体

Claims (15)

  1. 光軸に平行な光が集束する像側焦点までの距離が予め定められた第一焦点距離である第一光学手段(22)と、
    前記光軸に沿って前記第一光学手段から第一距離に存在する第一物体から出て前記第一光学手段を通過した光が結像する位置に配置され、かつ、受光した光の強度に比例した受光信号を出力する複数の受光素子(42)が配列され、前記受光信号に基づいて画像を生成する撮像手段(40)と、
    空気の屈折率よりも高い屈折率を有し、かつ、前記光軸に沿った前記第一光学手段からの距離が前記第一距離よりも遠い第二距離に存在する第二物体から出て前記第一光学手段を通過した光が結像される光軸上の位置が、前記第一物体からの光が結像される光軸上の位置に近似するよう、前記第一光学手段と前記撮像手段との間にて、前記第一光学手段を通過する前記第二物体からの光を屈折させる位置に配置された第二光学手段(25)と
    を備えることを特徴とする撮像装置。
  2. 前記第二光学手段は、
    ガラス板であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
  3. 前記第二光学手段は、
    前記撮像手段における前記受光素子の一つに、前記第二物体の一点から出た光が入射するように規定された厚みを有している
    ことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
  4. 前記第二光学手段は、
    外表面に光学研磨が施されている
    ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の撮像装置。
  5. 前記光軸に対して直交する方向に沿った前記第二光学手段の位置を調整する第一調整手段(60)
    を備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の撮像装置。
  6. 前記第一光学手段を通過する前記第二物体からの光のうち、少なくとも前記像側焦点にて集束する光のそれぞれを遠距離光とし、前記第一光学手段を通過する前記第一物体からの光のうち、前記像側焦点にて集束する光のそれぞれを近距離光とし、前記遠距離光及び前記近距離光のうち、前記像側焦点と前記第一光学手段と間の位置にて近接する前記近距離光と前記遠距離光とのそれぞれを境界光とし、
    前記撮像手段に入射する境界光の強さを低減する光低減手段(30,32,34)
    を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の撮像装置。
  7. 前記光低減手段は、
    前記撮像手段に入射する前記境界光を遮光する遮光手段(32,34)
    を備えることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
  8. 前記遮光手段は、
    遮光処理が施された部材であり、前記境界光のうちの前記遠距離光を遮光するように、前記第一光学手段に対向する前記第二光学手段の部位を覆う位置に配置される
    ことを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
  9. 前記遮光手段は、
    遮光処理が施された部材であり、前記境界光のうちの前記近距離光を遮光するように前記第一光学手段と前記撮像手段との間に配置される
    ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の撮像装置。
  10. 前記第一光学手段の光軸に対して直交する方向に沿った前記遮光手段の設置位置を調整する第二調整手段(60)
    を備えることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の撮像装置。
  11. 前記第二光学手段は、少なくとも底面が予め規定された規定値以上の厚みを有した部材として形成されており、
    前記第二光学手段の底面での光の反射を低減する反射低減手段(36)
    を備えることを特徴とする請求項6から請求項9のいずれか一項に記載の撮像装置。
  12. 前記反射低減手段は、
    遮光処理が施された部材である
    ことを特徴とする請求項11に記載の撮像装置。
  13. 当該撮像装置は、
    自動車の車室内に搭載され、
    前記撮像手段は
    当該自動車のウインドシールドの外表面に付着する物体を前記第一物体とし、当該自動車の進行路上に存在する物体を前記第二物体とした前記画像を生成する
    ことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の撮像装置。
  14. 前記第二光学手段は、
    前記光軸に直交する面が多角形に形成された部材であり、一辺が前記光軸に一致するように配置される
    ことを特徴とする請求項13に記載の撮像装置。
  15. 前記第二光学手段は、
    前記光軸に直交する面が円形に形成された部材であり、前記光軸と同心状に配置される
    ことを特徴とする請求項13に記載の撮像装置。
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