JP2010262952A - 炭化珪素半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】イオン注入された領域であるイオン注入領域が除去されない炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、炭化珪素層の表層にイオン注入により環状のイオン注入領域を選択的に形成する工程と、前記イオン注入領域が形成された前記炭化珪素層を活性化アニールする工程と、前記炭化珪素層の表面の全面に犠牲酸化膜を形成する工程と、前記イオン注入領域にあたる前記犠牲酸化膜上にフォトレジストを形成する工程と、前記フォトレジストをマスクとして前記犠牲酸化膜を除去する工程と、前記フォトレジストと前記犠牲酸化膜をマスクとして前記犠牲酸化膜と前記活性化アニールの際に前記炭化珪素層の表層に形成される変質層を除去する工程とを備える。
【選択図】図6
【解決手段】この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、炭化珪素層の表層にイオン注入により環状のイオン注入領域を選択的に形成する工程と、前記イオン注入領域が形成された前記炭化珪素層を活性化アニールする工程と、前記炭化珪素層の表面の全面に犠牲酸化膜を形成する工程と、前記イオン注入領域にあたる前記犠牲酸化膜上にフォトレジストを形成する工程と、前記フォトレジストをマスクとして前記犠牲酸化膜を除去する工程と、前記フォトレジストと前記犠牲酸化膜をマスクとして前記犠牲酸化膜と前記活性化アニールの際に前記炭化珪素層の表層に形成される変質層を除去する工程とを備える。
【選択図】図6
Description
この発明は、炭化珪素半導体装置の製造方法に関し、特に炭化珪素ショットキダイオードの製造方法に関するものである。
kV級高耐圧の炭化珪素ショットキダイオードは、エピタキシャル結晶成長させたn型の炭化珪素層上にショットキ電極が形成された構造を有する。この構造では、炭化珪素層とショットキ電極との接合面(ショットキ接合面)の周縁に電界が集中し易くなるので、その接合面の周縁に位置する炭化珪素層の表層に電界集中緩和のためのp型の終端構造を形成する必要がある。
このp型終端構造の形成には、一般にAl(アルミニウム)やB(ボロン)等のp型不純物を炭化珪素層にイオン注入した後、1500℃程度以上の高温熱処理で活性化アニールする方法が用いられる。この時、炭化珪素層の表層に良好なショットキ接合の妨げとなる変質層が形成される。そのため良好な特性のショットキ接合を実現するためには、この高温熱処理により生じる炭化珪素層表層の変質層を除去する必要がある。この変質層を除去する技術としては、例えば特許文献1〜3に記載された技術が知られている。
特許文献1では、この変質層を除去する方法として、活性化アニール後に炭化珪素層の表層に40nm以上の犠牲酸化膜を形成し、その犠牲酸化膜と共に変質層を除去する方法が示されている。
しかしながら、この特許文献1の方法では、炭化珪素層の表層全面に形成された犠牲酸化膜を除去するので、イオン注入領域も100nm以上除去され、イオン注入領域の厚さが薄くなるという問題がある。
また特許文献2では、プラズマによる表面エッチング又は高温溶融塩中における表面エッチングにより変質層を除去する方法が示されている。しかしながら、この方法でも特許文献1と同様に、イオン注入領域が100nm以上除去され、イオン注入領域の厚みが薄くなるという問題がある。
また特許文献3では、水素エッチングで変質層を除去する方法が示されているが、この方法でも特許文献1と同様に、イオン注入領域が100nm以上除去され、イオン注入領域の厚みが薄くなるという問題がある。
このように従来の方法では、変質層の除去の際にイオン注入領域も除去されるためにイオン注入領域の厚さが薄くなるという問題がある。このためイオン注入領域の除去量を見込んで、予めイオンの注入量を増加するかより深く注入する必要が生じ、イオン注入に要する時間とエネルギーが増大する。従って、変質層の除去に当たって、イオン注入領域が除去されないことが望ましい。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、イオン注入領域が除去されない炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
この発明に係る炭化珪素半導体装置の製造方法は、炭化珪素層の表層にイオン注入により環状のイオン注入領域を選択的に形成する工程と、前記イオン注入領域が形成された前記炭化珪素層を活性化アニールする工程と、前記炭化珪素層の表面の全面に犠牲酸化膜を形成する工程と、前記イオン注入領域にあたる前記犠牲酸化膜上にフォトレジストを形成する工程と、前記フォトレジストをマスクとして前記犠牲酸化膜を除去する工程と、前記フォトレジストと前記犠牲酸化膜をマスクとして前記犠牲酸化膜と前記活性化アニールの際に前記炭化珪素層の表層に形成される変質層を除去する工程とを備えるものである。
この発明における炭化珪素半導体装置の製造方法によれば、炭化珪素層の表層にイオン注入により環状のイオン注入領域を選択的に形成する工程と、前記イオン注入領域が形成された前記炭化珪素層を活性化アニールする工程と、前記炭化珪素層の表面の全面に犠牲酸化膜を形成する工程と、前記イオン注入領域にあたる前記犠牲酸化膜上にフォトレジストを形成する工程と、前記フォトレジストをマスクとして前記犠牲酸化膜を除去する工程と、前記フォトレジストと前記犠牲酸化膜をマスクとして前記犠牲酸化膜と前記活性化アニールの際に前記炭化珪素層の表層に形成される変質層を除去する工程とを備えているので、活性化アニールの際に形成される炭化珪素層の表層の変質層をエッチング除去する際に、イオン注入領域が除去されることが無くなるので、イオン注入領域の厚みが減少することがない。従ってイオン注入領域の除去量を見込んで、予めイオンの注入量を増加するかより深く注入する必要が無くなるため、イオン注入に要する時間とエネルギーが増大することがない。
<実施の形態1>
この発明の実施の形態1に係る炭化珪素半導体装置である炭化珪素ショットキダイオード(SiC−SBD)の製造工程について、図1〜図8を参照して説明する。
この発明の実施の形態1に係る炭化珪素半導体装置である炭化珪素ショットキダイオード(SiC−SBD)の製造工程について、図1〜図8を参照して説明する。
まず図1に示すように、表面が(0001)シリコン面を有する4H−SiCからなる例えば高濃度のn型の炭化珪素基板1を準備する。炭化珪素基板1の抵抗率は、例えば0.02Ω・cm程度である。
また図1に示すように、炭化珪素基板1の表面上に、エピタキシャル結晶成長法を用いて、不純物濃度が5×1015/cm3程度である低濃度のn型の炭化珪素層2を形成する。なお炭化珪素層2が形成された後の炭化珪素層2の表面に、加熱処理により熱酸化膜(SiO2熱酸化膜)を形成しても良い。その場合は、この熱酸化膜がプロセス保護膜として機能する。
次にkV超級の耐圧を確保するp型終端構造を形成するために、図1に示すように、炭化珪素層2の表層に、p型のドーパントであるAl(アルミニウム)イオンを注入してp型のイオン注入領域3を0.8μm程度の深さを有して選択的に形成する。このイオン注入領域3の形成には、写真製版によりフォトレジストで注入パターンを形成してイオン注入を行えば良い。
なおここでイオン注入領域3は、p型終端構造となる環状のGR(Guard Ring)と、そのGRの外側に連続して形成される表面電界を低減するためのJTE(Junction Termination Extension)とから構成される。JTEのAlイオン濃度は、GRのそれよりも若干薄く設定されている。
このイオン注入領域3をp型終端構造として完成させるためには、このイオン注入領域3を活性化する必要がある。そのため、例えば、RTA(Rapid Thermal Anneal)タイプのアニール炉を用いて、炭化珪素層2全体を、常圧Ar(アルゴン)雰囲気、1600℃で10分程度、高温熱処理(活性化アニール)する。なおイオン注入前にプロセス保護膜として熱酸化膜を形成した場合、これを例えば10倍希釈のフッ酸中で除去する。
この活性化アニールの時、図2に示すように、活性化アニールされた炭化珪素層2の表層には変質層(活性化アニール後表面変質層)4が形成される。この変質層4の厚みは、100〜200nm程度であると考えられる。良好なショットキ接合を形成するには、この変質層4を除去する必要がある。
次にこの変質層4の除去方法について説明する。以下では、説明の便宜上、変質層4の厚さが150nmの場合を想定して説明する。
まず図3に示すように、炭化珪素層2の表面の全面に犠牲酸化膜5を形成する。この時の犠牲酸化の条件は、例えば、乾式酸化により、1150℃で、酸化時間2時間とする。
次に図4に示すように、イオン注入領域3を保護するために、写真製版によりフォトレジスト6でイオン注入領域3の内側にある犠牲酸化膜5が露出するようにパターン形成した後、図5に示すように、ウェットエッチングにより犠牲酸化膜5の露出部分をエッチング除去して、犠牲酸化膜5に開口部を設ける。この時のエッチング条件は、例えば、10倍希釈のフッ化水素酸溶液中で5分間程度とする。なお変質層4の厚みが40nm程度の場合には、変質層4は犠牲酸化膜5と共に除去されるのに対し、変質層4の厚みが100〜200nm程度の場合には、変質層4の上層部分は除去されるが、下層部分は残ることになる。なおイオン注入領域3の保護から見れば、フォトレジスト6は、少なくともイオン注入領域3上に形成されていればよい。
次に図6に示すように、ドライエッチング(ここではRIE(Reactive ion etching))により変質層4を含む炭化珪素層2の約150nm程度の厚さを除去する。これにより変質層4が完全に除去される。この時のエッチング条件は、例えば、SF6ガス流量30sccm、処置室圧力0.5Pa、エッチング時間20秒、エッチンング速度7.5nm/秒程度とする。なおイオン注入領域3は、図6に示すように、フォトレジスト6および犠牲酸化膜5をマスクとして保護しているのでエッチングされることはない。
次に図7に示すように、炭化珪素層2上、具体的には変質層4が除去され露出した炭化珪素層2及びフォトレジスト6を覆うように、例えばTiによるショットキ電極用金属膜8およびAlによる配線電極用金属膜9を順に形成すると共に、基板1の裏面上の全面に、例えばNiシリサイドによるオーミック電極7を形成する。
なおオーミック電極7の形成時のプロセス温度がショットキ接合(ショットキ電極となるショットキ電極用金属膜8と炭化珪素層2の接合部分)に損傷を与える1000℃程度になる場合は、オーミック電極7をショットキ電極8よりも先に形成する必要がある。
次に、例えばアセトン溶液を用いてフォトレジスト6を除去すれば、フォトレジスト6上にあるショットキ電極用金属膜8と配線電極用金属膜9が除去され、図8に示すように、イオン注入領域3の内側にある炭化珪素層2の表面上にショットキ電極8a、このショットキ電極8aの表面上に配線電極9aが形成される。
更に図示は省略するが、配線電極9aの表面上にワイヤボンディングのための開口部を有するようにポリイミド等の樹脂層を形成し、オーミック電極7の裏面上には、Ni(ニッケル)、Au(金)等の金属によりダイボンド用の金属膜を形成する。
これにより、この実施の形態1に係る炭化珪素半導体装置である炭化珪素ショットキダイオードが完成する。
この発明の実施の形態1に係る炭化珪素半導体装置の製造方法によれば、犠牲酸化膜5とフォトレジスト6をマスクとしてイオン注入領域3を保護しているので、活性化アニールにより変質した炭化珪素層2の表層の変質層4をエッチング除去する際に、イオン注入領域3がエッチングされることが無くなる。よってイオン注入領域3の厚みが減少することがない。
このことは、予めイオン注入領域3の厚みの減少を見込んでAlのイオン注入量を増加したり深く注入したりする必要を無くすので、イオン注入時間の増大と注入エネルギーの増大の防止に繋がる。
なお実施の形態1によれば、フォトレジスト6の表面上にショットキ電極用金属膜8と配線電極用金属膜9を形成し、このフォトレジスト6を除去する際にフォトレジスト6の表面上のショットキ電極用金属膜8と配線電極用金属膜9も同時に除去して、ショットキ電極8aと配線電極9aを形成したが、先にフォトレジスト6を除去し、炭化珪素層2上にショットキ電極用金属膜10と配線電極用金属膜11を形成した後、フォトレジスト12を用いて必要部分を除去して、ショットキ電極10aと配線電極11aを形成してもよい。
具体的には、図9に示すように、変質層4が除去され露出したイオン注入領域3の内側の炭化珪素層2及び犠牲酸化膜5を覆うように、例えばTiによるショットキ電極用金属膜10およびAlによる配線電極用金属膜11を順に形成すると共に、基板1の裏面上の全面に、例えばNiシリサイドによるオーミック電極7を形成する。
次に、図9に示すように、少なくともイオン注入領域3の内側にある炭化珪素層2上の配線電極用金属膜11の表面上にフォトレジスト12をパターン形成した後、図10に示すように、配線電極用金属膜11とショットキ電極用金属膜10の不要部分をウェットエッチングにより除去する。この時のエッチングは、例えば、ショットキ電極用金属膜10のエッチングの場合は1%のフッ化水素酸溶液中、配線電極用金属膜11の場合はリン酸、酢酸及び硝酸の混合液中で行う。これによりイオン注入領域3の内側にある炭化珪素層2の表面上にショットキ電極10a、このショットキ電極10aの表面上に配線電極11aが形成される。なお図10では、ショットキ電極10a及び配線電極11aの周縁部が犠牲酸化膜5の一部を覆うように形成されている。なお図11に示すように、エッチング後にフォトレジスト12は除去される。
最後に、配線電極11aの表面上にワイヤボンディングのための開口部を有するようにポリイミド等の樹脂層を形成し、オーミック電極7の裏面上には、Ni(ニッケル)、Au(金)等の金属によりダイボンド用の金属膜を形成して、炭化珪素ショットキダイオードが完成する。
<実施の形態2>
実施の形態1では、図8及び図10のA点に見られるように、炭化珪素層2にショットキ接合されるショットキ電極10aの外周端部がイオン注入領域3の内周端部と略一致するように形成したが、図12に示すように、ショットキ電極13aの外周端部がイオン注入領域3の一部にかかるように形成してもよい。この実現には、図13に示すように、フォトレジスト15の内周端部がイオン注入領域3に一部かかるようにしてフォトレジスト15を形成することにより達成される。このフォトレジスト15の形成は、実施の形態1で示したフォトレジスト6の形成に取って代わるものであり、その他の工程は実施の形態1で示した炭化珪素ショットキダイオードの製造工程が参考となるため、ここでの説明は省略する。なおショットキ電極13aの表面上には配線電極14aが形成されている。
実施の形態1では、図8及び図10のA点に見られるように、炭化珪素層2にショットキ接合されるショットキ電極10aの外周端部がイオン注入領域3の内周端部と略一致するように形成したが、図12に示すように、ショットキ電極13aの外周端部がイオン注入領域3の一部にかかるように形成してもよい。この実現には、図13に示すように、フォトレジスト15の内周端部がイオン注入領域3に一部かかるようにしてフォトレジスト15を形成することにより達成される。このフォトレジスト15の形成は、実施の形態1で示したフォトレジスト6の形成に取って代わるものであり、その他の工程は実施の形態1で示した炭化珪素ショットキダイオードの製造工程が参考となるため、ここでの説明は省略する。なおショットキ電極13aの表面上には配線電極14aが形成されている。
この実施の形態2によれば、ショットキ電極13aの外周端部がイオン注入領域3にかかるように形成されているので、実施の形態1で示した効果に加えて、犠牲酸化膜5の開口部を形成するためのマスク合わせが容易になる効果を奏する。
<実施の形態3>
実施の形態1では、犠牲酸化膜5とフォトレジスト6によりイオン注入領域3を保護したが、犠牲酸化膜5を変質層4のエッチング除去時に除去されない程度に厚く形成できれば、変質層4のエッチング除去時にフォトレジスト6を設けなくてもよい。以下、この発明の実施の形態3に係る炭化珪素半導体装置である炭化珪素ショットキダイオード(SiC−SBD)の製造工程において、実施の形態1と相違する工程について、図14〜図21を参照して説明する。なお実施の形態3において、実施の形態1及び2で説明したものと同等又は相当するものについては同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
実施の形態1では、犠牲酸化膜5とフォトレジスト6によりイオン注入領域3を保護したが、犠牲酸化膜5を変質層4のエッチング除去時に除去されない程度に厚く形成できれば、変質層4のエッチング除去時にフォトレジスト6を設けなくてもよい。以下、この発明の実施の形態3に係る炭化珪素半導体装置である炭化珪素ショットキダイオード(SiC−SBD)の製造工程において、実施の形態1と相違する工程について、図14〜図21を参照して説明する。なお実施の形態3において、実施の形態1及び2で説明したものと同等又は相当するものについては同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
まず活性化アニール時に炭化珪素層2の表層に変質層4が形成される点については、実施の形態1で説明した通りである。(図1、図2参照)
次に図14に示すように、炭化珪素層2の表面の全面に犠牲酸化膜16を形成する。この時の犠牲酸化の条件は、実施の形態1で示した例が参考になるが、少なくとも変質層4のエッチング除去時に犠牲酸化膜16が除去されない程度に厚膜で形成する必要がある。また犠牲酸化膜16を熱酸化膜として形成する場合は、形成時間が長くなることが考えられるが、この場合薄膜の熱酸化膜上に成長速度の速いTEOS(Tetraethoxysilane)ガスを用いた厚膜のTEOS酸化膜を化学気相成長法により形成し、熱酸化膜とTEOS酸化膜を合わせて犠牲酸化膜16とすればよい。
次に図15に示すように、イオン注入領域3を保護するために、写真製版によるフォトレジスト17でイオン注入領域3の内側にある犠牲酸化膜16が露出するようにパターン形成した後、図16に示すように、例えば、10倍希釈のフッ化水素酸溶液を用いたウェットエッチングにより犠牲酸化膜16の露出部分をエッチング除去して、犠牲酸化膜16に開口部を設ける。なお変質層4の厚みが40nm程度に薄い場合には、変質層4は犠牲酸化膜16と共に除去されるのに対し、変質層4の厚みが100〜200nm程度に厚い場合には、変質層4の上層部分は除去されるが、下層部分は残ることになる。なお犠牲酸化膜16のエッチング後、図17に示すように、フォトレジスト17は除去される。
次に図18に示すように、例えばRIEによるドライエッチングにより、犠牲酸化膜16に開口部に位置する変質層4を含む炭化珪素層2を約150nm程度の厚さを除去する。これにより変質層4が完全に除去される。この時のエッチング条件は、例えば、SF6ガス流量30sccm、処置室圧力0.5Pa、エッチング時間20秒、エッチンング速度7.5nm/秒程度とする。なおイオン注入領域3は、図18に示すように、犠牲酸化膜16で保護されているのでエッチングされることはない。なおイオン注入領域3の保護から見れば、犠牲酸化膜16は、少なくともイオン注入領域3上に形成されていればよい。
次に図19に示すように、炭化珪素層2上、具体的には変質層4が除去され露出した炭化珪素層2及び犠牲酸化膜16を覆うように、例えばTiによるショットキ電極用金属膜17及びAlによる配線電極用金属膜18を順に形成すると共に、基板1の裏面上に、例えばNiシリサイドによるオーミック電極7を形成する。
なおオーミック電極7の形成時のプロセス温度がショットキ接合(ショットキ電極となるショットキ電極用金属膜17と炭化珪素層2の接合部分)に損傷を与える1000℃程度になる場合は、オーミック電極7をショットキ電極用金属膜17よりも先に形成する必要がある。
次に、図19に示すように、少なくともイオン注入領域3の内側の炭化珪素層2上にある配線電極用金属膜18の表面上にフォトレジスト19をパターン形成した後、図20に示すように、配線電極用金属膜18とショットキ電極用金属膜17の不要部分をウェットエッチングにより除去する。この時のエッチングは、例えば、ショットキ電極用金属膜17のエッチングの場合は1%のフッ化水素酸溶液、配線電極用金属膜18の場合はリン酸、酢酸及び硝酸の混合液を用いて行う。これによりイオン注入領域3の内側にある炭化珪素層2の表面上にショットキ電極17a、このショットキ電極17aの表面上に配線電極18aが形成される。なお図20では、ショットキ電極17a及び配線電極18aの周縁部が犠牲酸化膜16の一部を覆うように形成されている。なお図21に示すように、エッチング後にフォトレジスト19は除去される。
更に図示は省略するが、配線電極18aの表面上にワイヤボンディングのための開口部を有するようにポリイミド等の樹脂層を形成し、オーミック電極7の裏面上には、Ni(ニッケル)、Au(金)等の金属によりダイボンド用の金属膜を形成する。
これにより、この実施の形態3に係る炭化珪素半導体装置としての炭化珪素ショットキダイオードが完成する。
この発明の実施の形態3に係る炭化珪素半導体装置の製造方法によれば、イオン注入領域3の表面上に形成された犠牲酸化膜16をマスクとしてイオン注入領域3を保護しているので、活性化アニールにより変質した炭化珪素層2の表層の変質層4をエッチング除去する際に、イオン注入領域3がエッチングされることが無くなる。よってイオン注入領域3の厚みが減少することがない。
このことは、予めイオン注入領域3の厚みの減少を見込んでAlのイオン注入量を増加したり深く注入したりする必要を無くすので、イオン注入時間の増大と注入エネルギーの増大の防止に繋がる。
なお上記説明においては、実施の形態1と同様に、炭化珪素層2にショットキ接合されるショットキ電極17aの外周端部がイオン注入領域3の内周端部と略一致するように形成したものを示しているが、実施の形態2で説明したように、ショットキ電極17aの外周端部がイオン注入領域3にかかるように形成してもよい。これにより実施の形態2で示した効果を奏することができる。
<実施の形態4>
実施の形態1〜3においては、活性化アニール後に、炭化珪素層2の表面に犠牲酸化膜5又は犠牲酸化膜16を形成したが、イオン注入領域3を形成するイオン注入の前に炭化珪素層2の表面に熱酸化膜を形成し、これを犠牲酸化膜とすることも出来る。以下、この発明の実施の形態4に係る炭化珪素半導体装置である炭化珪素ショットキダイオード(SiC−SBD)の製造工程について、図22〜図26を参照して説明する。なお実施の形態4において、実施の形態1〜3で説明したものと同等又は相当するものについては同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
実施の形態1〜3においては、活性化アニール後に、炭化珪素層2の表面に犠牲酸化膜5又は犠牲酸化膜16を形成したが、イオン注入領域3を形成するイオン注入の前に炭化珪素層2の表面に熱酸化膜を形成し、これを犠牲酸化膜とすることも出来る。以下、この発明の実施の形態4に係る炭化珪素半導体装置である炭化珪素ショットキダイオード(SiC−SBD)の製造工程について、図22〜図26を参照して説明する。なお実施の形態4において、実施の形態1〜3で説明したものと同等又は相当するものについては同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
まず図22に示すように、n型の炭化珪素基板1の表面上にn型の炭化珪素層2を成長させた後、炭化珪素層2の表面の全面に加熱処理によりプロセス保護膜としての熱酸化膜(SiO2熱酸化膜)を犠牲酸化膜20として形成する。
次に図23に示すように、炭化珪素層2の表層にp型のドーパントであるAlイオンを注入して、0.8μm程度の深さを有する環状のp型のイオン注入領域3を選択的に形成する。このイオン注入領域3の形成には、写真製版によりフォトレジストで注入パターンを形成してイオン注入を行えば良い。
なおイオン注入領域3は、p型終端構造となる環状のGR(Guard Ring)と、そのGRの外側に連続して形成される表面電界を低減するためのJTE(Junction Termination Extension)とから構成される。JTEのAlイオン濃度は、GRのそれよりも若干薄く設定されている。
このイオン注入領域3をp型終端構造として完成させるためには、このイオン注入領域3を活性化する必要がある。そのため、例えば、RTA(Rapid Thermal Anneal)タイプのアニール炉を用いて、炭化珪素層2全体を、常圧Ar(アルゴン)雰囲気、1600℃で10分程度、高温熱処理(活性化アニール)する。
この活性化アニールの時、実施の形態1〜3においては、炭化珪素層2の表層に変質層4が形成されたが、この実施の形態4では、活性化アニール前の炭化珪素層2の表面に犠牲酸化膜20を形成しているので、活性化アニール時に変質層4に相当するものは形成されない。
次に図24に示すように、イオン注入領域3を保護するために、写真製版によるフォトレジスト21でイオン注入領域3の内側にある犠牲酸化膜20が露出するようにパターン形成した後、ウェットエッチングにより犠牲酸化膜20の露出部分をエッチング除去して、犠牲酸化膜20に開口部を設ける。この時のエッチング条件は、例えば、10倍希釈のフッ化水素酸溶液中で5分間程度とする。これによりイオン注入領域3の内側にある犠牲酸化膜20が除去され炭化珪素層2が露出する。なおイオン注入領域3の保護から見れば、犠牲酸化膜20は、少なくともイオン注入領域3上に形成されていればよい。
次に図25に示すように、炭化珪素層2上、具体的には犠牲酸化膜20が除去され露出した炭化珪素層2、犠牲酸化膜20及びフォトレジスト21を覆うように、例えばTiによるショットキ電極用金属膜22及びAlによる配線電極用金属膜23を順に形成する。また基板1の裏面上に、例えばNiシリサイドによるオーミック電極7を形成する。
なおオーミック電極7の形成時のプロセス温度がショットキ接合(ショットキ電極となるショットキ電極用金属膜22と炭化珪素層2の接合部分)に損傷を与える1000℃程度になる場合は、オーミック電極7をショットキ電極用金属膜22よりも先に形成する必要がある。
次に、例えばアセトン溶液を用いてフォトレジスト21を除去すれば、フォトレジスト21上にあるショットキ電極用金属膜22と配線電極用金属膜23が除去され、図26に示すように、イオン注入領域3の内側にある炭化珪素層2の表面上にショットキ電極22a、このショットキ電極22aの表面上に配線電極23aが形成される。
更に図示は省略するが、配線電極23aの表面上にワイヤボンディングのための開口部を有するようにポリイミド等の樹脂層を形成し、オーミック電極7の裏面上には、Ni(ニッケル)、Au(金)等の金属によりダイボンド用の金属膜を形成する。
これにより、この実施の形態4に係る炭化珪素半導体装置である炭化珪素ショットキダイオードが完成する。
この発明の実施の形態4に係る炭化珪素半導体装置の製造方法によれば、犠牲酸化膜20とフォトレジスト21をマスクとしてイオン注入領域3を保護しているので、イオン注入領域3がエッチングされることが無くなる。よってイオン注入領域3の厚みが減少することがない。
このことは、予めイオン注入領域3の厚みの減少を見込んでAlのイオン注入量を増加したり深く注入したりする必要を無くすので、イオン注入時間の増大と注入エネルギーの増大の防止に繋がる。
またイオン注入領域3を形成するイオン注入工程の前に、炭化珪素層2の表面に熱酸化膜を形成して犠牲酸化膜20としているので、実施の形態1〜3で示した変質層4が形成されることがない。変質層4を除去するエッチング工程を省略できるため、炭化珪素半導体装置の製造工程が簡素化される。
なお実施の形態4によれば、フォトレジスト21の表面上にショットキ電極用金属膜22と配線電極用金属膜23を形成し、このフォトレジスト21を除去する際にフォトレジスト21の表面上のショットキ電極用金属膜22と配線電極用金属膜23も同時に除去して、ショットキ電極22aと配線電極23aを形成したが、先にフォトレジスト21を除去し、炭化珪素層2と犠牲酸化膜20の表面上にショットキ電極用金属膜22と配線電極用金属膜23を形成した後にフォトレジストを用いて不要部分を除去して、ショットキ電極22aと配線電極23aを形成してもよい。これを実現するには、実施の形態1を参考にすればよい。
更に実施の形態4によれば、炭化珪素層2にショットキ接合されるショットキ電極22aの外周端部がイオン注入領域3の内周端部と略一致するように形成したが、実施の形態2で示したように、ショットキ電極22aの外周端部がイオン注入領域3に一部かかるように形成してもよい。これにより犠牲酸化膜20の開口部を形成するためのマスク合わせが容易になる効果を奏する。
1 n型の炭化珪素基板、2 n−型の炭化珪素層、3 p型のイオン注入領域、4 変質層(活性化アニール後表面変質層)、5 犠牲酸化膜、6 フォトレジスト、7 オーミック電極、8 ショットキ電極用金属膜、8a ショットキ電極、9 配線電極用金属膜、9a 配線電極
Claims (7)
- 炭化珪素層の表層にイオン注入により環状のイオン注入領域を選択的に形成する工程、
前記イオン注入領域が形成された前記炭化珪素層を活性化アニールする工程、
前記炭化珪素層の表面の全面に犠牲酸化膜を形成する工程、
前記イオン注入領域にあたる前記犠牲酸化膜上にフォトレジストを形成する工程、
前記フォトレジストをマスクとして前記犠牲酸化膜を除去する工程、
前記フォトレジストと前記犠牲酸化膜をマスクとして前記犠牲酸化膜と前記活性化アニールの際に前記炭化珪素層の表層に形成される変質層を除去する工程、
を備えた炭化珪素半導体装置の製造方法。 - 請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法において、
前記フォトレジストは、その内周端部が前記イオン注入領域にかかるように形成される炭化珪素半導体装置の製造方法。 - 炭化珪素層の表層にイオン注入により環状のイオン注入領域を選択的に形成する工程、
前記イオン注入領域が形成された前記炭化珪素層を活性化アニールする工程、
前記炭化珪素層の表面の全面に犠牲酸化膜を形成する工程、
前記イオン注入領域にあたる前記犠牲酸化膜上にフォトレジストを形成する工程、
前記フォトレジストをマスクとして前記犠牲酸化膜を除去する工程、
前記フォトレジストの除去後に前記イオン注入領域上にある前記犠牲酸化膜をマスクとして前記活性化アニールの際に前記炭化珪素層の表層に形成される変質層を除去する工程、
を備えた炭化珪素半導体装置の製造方法。 - 請求項3に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法において、
前記犠牲酸化膜は、その内周端部が前記イオン注入領域にかかるように形成される炭化珪素半導体装置の製造方法。 - 請求項3又は4のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法において、
前記犠牲酸化膜は、熱酸化膜及び前記熱酸化膜上に形成されたTEOS酸化膜であることを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。 - 炭化珪素層の表面の全面に犠牲酸化膜を形成する工程、
前記犠牲酸化膜下の前記炭化珪素層の表層にイオン注入により環状のイオン注入領域を選択的に形成する工程、
前記イオン注入領域が形成された前記炭化珪素層を活性化アニールする工程、
前記イオン注入領域にあたる前記犠牲酸化膜上にフォトレジストを形成する工程、
前記フォトレジストをマスクとして前記犠牲酸化膜を除去する工程、
を備えた炭化珪素半導体装置の製造方法。 - 請求項6に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法において、
前記フォトレジストは、その内周端部が前記イオン注入領域にかかるように形成される炭化珪素半導体装置の製造方法。
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