JP2010236717A - 坩堝とその製造方法、それを用いた窒化ケイ素粉末製造方法 - Google Patents

坩堝とその製造方法、それを用いた窒化ケイ素粉末製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】1550℃以上という高温条件下において、高純度で微細な結晶質窒化ケイ素粉末を得ることができる長寿命な黒鉛坩堝を提供することにある。
【解決手段】黒鉛坩堝本体の表面に、黒鉛坩堝本体から表層に向かって順に炭化ケイ素層及び窒化ケイ素層からなる被覆膜を有し、前記窒化ケイ素層は、表層側から黒鉛坩堝本体に向かって窒化ケイ素の濃度が漸次低下する傾斜組成を有する、特に窒化ケイ素粉末製造のために用いる坩堝。黒鉛坩堝表面を窒素雰囲気中で一酸化ケイ素蒸気と反応させて坩堝を製造する方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、坩堝とその製造方法、それを用いた窒化ケイ素粉末製造方法、さらに詳しくは、とりわけ非晶質窒化ケイ素粉末、含シラン化合物、金属シリコンの内、少なくとも1つを焼成して高純度な結晶質窒化ケイ素粉末とするために用いられる長寿命の窒化ケイ素粉末焼成用黒鉛坩堝に関するものである。
非晶質窒化ケイ素及び/又は含シラン化合物を不活性ガス雰囲気下、又は還元性ガス雰囲気下で焼成して結晶質窒化ケイ素粉末を製造する方法、及び金属シリコンを窒素雰囲気、又はアンモニア雰囲気下で窒化反応させて結晶質窒化ケイ素粉末を製造する方法は既に知られている。一般的に、非晶質窒化ケイ素末の焼成により得られる結晶質窒化ケイ素粉末には、結晶化時に針状結晶又は柱状結晶が生成し易く、さらには充填密度が低いという欠点があり、これを焼結体原料として用いた場合には、嵩密度の低い成形体しか得られないという問題点があった。このような欠点を克服し、焼結体原料として好適な微細で粒状結晶からなる結晶質窒化ケイ素粉末を製造する方法として、例えば、特許文献1には、ケイ素源として0.1g/cm3以上の粉体嵩密度を有する含窒素シラン化合物を用い、1350〜1550℃の温度範囲全域における昇温速度を15℃/分以上に制御して1550℃以上1700℃未満にまで加熱することを特徴とする窒化ケイ素粉末の製造方法が開示されている。この発明によれば、針状結晶を含まない粒状結晶のみから成る窒化ケイ素粉末を製造することができる。
しかし、この場合、非晶質窒化ケイ素及び/又は含シラン化合物から結晶質窒化ケイ素粉末を得るための製造条件として、1550℃以上の高温と15℃/分以上の速い昇温速度が必要となり、また、焼結原料粉末に適した微細で粒状結晶からなる窒化ケイ素粉末を得るためには、結晶化熱による粉末の局所的な発熱を防ぐことが必要であること等、焼成に用いられる坩堝材質には、厳しい条件が求められる。そこで、一般的には黒鉛製の焼成用坩堝が用いられている(特許文献2、3)。
しかしながら、黒鉛製坩堝を用いた場合においても、粉末の充填や取り出し作業時の黒鉛坩堝表面の磨耗、さらには、焼成時の非晶質窒化ケイ素粉末及び/又は含シラン化合物の熱分解を発生原因とする水素等の還元性ガスとの反応によって黒鉛が劣化し、坩堝表面の剥離が起こる。そのため、頻繁に坩堝を交換しなければならず、ランニングコストが大きくかさんでしまうという問題がある。また坩堝表面の磨耗や剥離は、製品結晶質窒化ケイ素粉末に悪影響を与えてしまう。
また、金属シリコンを黒鉛坩堝に充填し窒素雰囲気、又はアンモニア雰囲気下で窒化反応させて結晶質窒化ケイ素粉末を製造する場合においても、粉末の充填や取り出し作業時の黒鉛坩堝表面の磨耗の問題は発生する。さらには、アンモニアガスと黒鉛の反応によって坩堝表面の剥離が起こり、製品結晶質窒化ケイ素粉末に悪影響を与えてしまう。
特公昭61−11886公報 特開2000−044210公報 特開2000−046474公報
以上述べたように、非晶質窒化ケイ素粉末、含シラン化合物、金属シリコンの内、少なくとも1つを焼成して結晶質窒化ケイ素粉末を製造する場合において、粉末の充填や取り出し作業時及び焼成での加熱において、黒鉛坩堝壁面の磨耗や剥離を防止できる焼成用坩堝はいまだ見出されていない。本発明の目的は、とりわけ、1550℃以上という高温条件下において、高純度で微細な結晶質窒化ケイ素粉末を得ることができる長寿命な黒鉛坩堝、その製造方法、その坩堝を用いた結晶質窒化ケイ素粉末の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、焼成炉にて非晶質窒化ケイ素粉末、含窒素シラン化合物、金属シリコンの内、少なくとも1つを焼成して結晶質窒化ケイ素粉末とするために用いられる黒鉛坩堝に、黒鉛坩堝本体から表層に向かって順に、炭化ケイ素層、窒化ケイ素層を形成させ、特に窒化ケイ素層を、表層部が結晶質窒化ケイ素層で、黒鉛坩堝内部に向かって窒化ケイ素の濃度が漸次低下する緻密な傾斜機能組織を有する結合性の高い被覆膜(傾斜組成層、以下同じ)とすることによって、上記問題を解決できることを見出した。また、表層部の窒化ケイ素層の表面粗さを小さくするによって、より坩堝の磨耗や剥離を抑制することができる。
こうして、本発明は、下記を提供する。
(1)黒鉛坩堝本体の表面に、黒鉛坩堝本体から表層に向かって順に炭化ケイ素層及び窒化ケイ素層からなる被覆膜を有し、前記窒化ケイ素層は、表層側から黒鉛坩堝本体に向かって窒化ケイ素の濃度が漸次低下する傾斜組成を有することを特徴とする坩堝。
(2)前記窒化ケイ素層の厚さが1〜500μmであることを特徴とする上記(1)記載の坩堝。
(3)前記炭化ケイ素層は、前記窒化ケイ素層に向かって炭化ケイ素の濃度が漸次低下する傾斜組成を持つ領域と、黒鉛坩堝本体に向かって炭化ケイ素の濃度が漸次低下する傾斜組成を有する領域を持つことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の坩堝。
(4)前記炭化ケイ素層の厚さが1〜500μmであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の坩堝。
(5)前記窒化ケイ素被覆膜の表面粗さRaが100μm以下であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の坩堝。
(6)焼成炉にて非晶質窒化ケイ素粉末、含窒素シラン化合物、金属シリコンの内、少なくとも1つを焼成して結晶質窒化ケイ素粉末を製造するのに用いられる上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の坩堝。
(7)黒鉛坩堝表面を窒素雰囲気中で一酸化ケイ素蒸気と反応させることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の坩堝の製造方法。
(8)焼成炉にて、非晶質窒化ケイ素粉末、含窒素シラン化合物、金属シリコンの内、少なくとも1つを、上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の坩堝を用いて、焼成して結晶質窒化ケイ素粉末を製造することを特徴とする結晶質窒化ケイ素粉末の製造方法。

本発明によれば、焼成炉にてとりわけ非晶質窒化ケイ素粉末、含窒素シラン化合物、金属シリコンの内、少なくとも1つを焼成して結晶質窒化ケイ素粉末を製造するのに用いる黒鉛坩堝の表面に、黒鉛坩堝本体から表層に向かって順に、炭化ケイ素層、窒化ケイ素層を形成し、かつ窒化ケイ素層を緻密な傾斜組成層とすることで、さらには、その表層部窒化ケイ素層の表面粗さを小さくすることによって、粉末の充填や取り出し作業の際、坩堝の磨耗や剥離を抑制し、坩堝の長寿命化を実現することができる。
本発明の被覆膜表面のX線回折を示す図である。 本発明の被覆膜断面のSEM写真を示す図である。
以下に、本発明を詳しく説明する。
本発明は、焼成炉にて用いられる黒鉛坩堝、とりわけ非晶質窒化ケイ素粉末、含窒素シラン化合物、金属シリコンの内、少なくとも1つを焼成して結晶質窒化ケイ素粉末を製造するのに用いられる黒鉛坩堝において、黒鉛坩堝本体から表層に向かって順に、炭化ケイ素、窒化ケイ素の層を持つ黒鉛坩堝であり、窒化ケイ素層は、表層側の窒化ケイ素から炭化ケイ素層に向かって窒化ケイ素が減少する傾斜組成層であることを特徴とする。
黒鉛坩堝の種類としては、押し出し成形品或いはCIP(Cold Isostatic Pressing)成形品等、いずれの成形方法によって製造されたものであってもよい。
本発明の坩堝では、黒鉛坩堝の最表面に窒化ケイ素層を形成する。最表層が窒化ケイ素層であることは、限定するわけではないが、とりわけ窒化ケイ素粉末の焼成を行う場合に、また窒素雰囲気及び/又はアンモニア雰囲気で焼成を行う場合などに望まれることであり、またその他の場合にも好ましい場合がある。本発明の黒鉛坩堝の表面に形成される窒化ケイ素層は、表層側の窒化ケイ素から炭化ケイ素層に向かって窒化ケイ素が減少する傾斜組成層であることを特徴とする。このような傾斜組成を有する窒化ケイ素層であることで、基材からの剥離を防止することができる。一般的なCVD法(化学的気相蒸着法)によって形成された傾斜組成のない窒化ケイ素層では、基材である黒鉛との熱膨張差による層間剥離が起こりやすいので、好ましくない。
黒鉛坩堝の表面に形成された窒化ケイ素層の膜厚としては、1〜500μmであることが好ましい。1μm未満であると、被覆効果が薄いため、好ましくない。また、500μm以上であると、下層である炭化ケイ素との熱膨張率の違いによる熱応力を緩和することができず層間剥離を起こす恐れがあり、好ましくない。この傾斜組成を有する窒化ケイ素層の膜厚は、最表層は窒化ケイ素であるが、炭化ケイ素層に向かって窒化ケイ素が減少し炭化ケイ素が混在する傾斜組成を有するので、この窒化ケイ素層のエネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)において窒素と炭素のピーク強度が等しくなった位置を窒化ケイ素層と炭化ケイ素層の境界とする。
本発明の坩堝では、窒化ケイ素層と黒鉛との間に炭化ケイ素層を形成する。窒化ケイ素層と黒鉛との間に炭化ケイ素層を介在させることで、黒鉛の表面に窒化ケイ素層を直接に形成する場合よりも、窒化ケイ素層と黒鉛との間における熱膨張の急激な変化を抑制することで、層間剥離が起こりにくくすることができる。窒化ケイ素層と黒鉛との間に形成された炭化ケイ素層も、傾斜組成層であることが好ましい。すなわち、炭化ケイ素層の炭化ケイ素の濃度が窒化ケイ素層に向かって漸次減少して、炭化ケイ素層と窒化ケイ素層が連続した傾斜組成を有するともに、炭化ケイ素層の炭化ケイ素の濃度が黒鉛坩堝本体に向かって漸次減少して、炭化ケイ素層と黒鉛坩堝が連続した傾斜組成を有することが望ましい。炭化ケイ素層がこのような傾斜組成を有すると、上層である窒化ケイ素層及び基材である黒鉛との相互の熱膨張率差による熱応力を緩和することができるので、層間剥離が起こりにくくなり、好ましい。
窒化ケイ素層と黒鉛との間に形成された傾斜組成炭化ケイ素被覆層の膜厚としては、1〜500μm以上であることが好ましい。1μm未満であると、被覆効果が薄いため、好ましくない。また、500μm以上であると、上層である窒化ケイ素層と基材である黒鉛との相互の熱膨張差による熱応力を緩和することができず層間剥離を起こしやすくなる恐れがあるので、好ましくない。この炭化ケイ素層の膜厚、窒化ケイ素から炭化ケイ素、さらに黒鉛へと傾斜する組成の炭化ケイ素層のエネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)において、窒素と炭素のピーク強度が等しくなった位置を窒化ケイ素層と炭化ケイ素層の境界、またケイ素のピークが検出されなくなった位置を炭化ケイ素層と黒鉛との境界とする。
表層部窒化ケイ素層の表面粗さとしては、表面粗さRaが100μm以下であることが好ましい。表面粗さRaが100μm以下の場合には粉末との摩擦力が小さくなり、粉末の充填や取り出し作業の際、坩堝表面で磨耗や剥離が起こりにくく、坩堝の寿命が長くなり好ましい。
次に、本発明の特に窒化ケイ素粉末用焼成用に用いられる坩堝の製造方法について説明する。
本発明の坩堝は、黒鉛坩堝表面に炭化ケイ素を被覆した後、窒化ケイ素を被覆し、これらの被覆において所望の傾斜組成を形成するように、原料組成、堆積条件等を調整する方法により製造することができる。

しかしながら、本発明によれば、好ましい方法として、窒素雰囲気中、一酸化ケイ素蒸気が発生する温度以上で黒鉛坩堝表面と一酸化ケイ素蒸気とを反応させることで、本発明の坩堝を製造することができる。
一酸化ケイ素蒸気を反応させる方法としては、一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、二酸化ケイ素とケイ素又は炭素粉末の混合物、表面酸素を有する炭化ケイ素や窒化ケイ素粉末等を窒素雰囲気中で、それぞれ一酸化ケイ素蒸気が発生する温度以上に加熱する方法がある。
一酸化ケイ素蒸気と黒鉛坩堝表面を窒素雰囲気中で反応させることで本発明の坩堝が得られる。
すなわち、上記の反応により、黒鉛坩堝の表面に、坩堝側から順に、傾斜組成の炭化ケイ素層、次に傾斜組成の窒化ケイ素層からなる被覆膜が形成される。この傾斜組成の窒化ケイ素被覆膜は、被覆膜の最表層にあって、最表層側から黒鉛坩堝内部に向かって結晶質で窒化ケイ素の濃度が漸次低下する緻密な傾斜機能組織を有する結合性の高い傾斜組成窒化ケイ素被覆膜である。また、傾斜組成の炭化ケイ素被覆膜は、傾斜組成窒化ケイ素被覆膜と黒鉛坩堝本体の間にあって、結晶質で最表面の傾斜組成窒化ケイ素被覆膜に向かって炭化ケイ素の濃度が漸次低下する傾斜組成を持ち、且つ、黒鉛坩堝内部に向かって炭化ケイ素の濃度が漸次低下する緻密な傾斜機能組織を有する結合性の高い傾斜組成炭化ケイ素被覆膜である。
次に、本発明の坩堝を用いて含窒素シラン化合物、非晶質窒化ケイ素粉末、金属シリコンの内、少なくとも1つを焼成して窒化ケイ素粉末を製造する方法について説明する。
この製造方法では、焼成用坩堝として本発明の坩堝を用いる以外は、従来公知の窒化ケイ素粉末の製造方法と同一であることができる。
含窒素シラン化合物としては、シリコンジイミド、シリコンテトラアミド、シリコンニトロゲンイミド、シリコンクロルイミド等が用いられる。これらは、公知の方法、例えば、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四沃化ケイ素等のハロゲン化ケイ素とアンモニアとを気相で反応させる方法、液状の前記ハロゲン化ケイ素と液体アンモニアとを反応させる方法などによって製造される。
また、非晶質窒化ケイ素粉末としては、公知の方法、例えば、前記含窒素シラン化合物を窒素又はアンモニアガス雰囲気下に600〜1200℃の範囲の温度で加熱分解する方法、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四沃化ケイ素等のハロゲン化ケイ素とアンモニアとを高温で反応させる方法などによって製造されたものが用いられる。非晶質窒化ケイ素粉末及び含窒素シラン化合物の平均粒子径は、通常、0.005〜0.05μmである。
また、金属シリコンは、JIS1号金属珪素もしくは、これと同等以上のものを粉砕し粉末状にしたものを使用することができる。
非晶質窒化ケイ素粉末、含窒素シラン化合物、金属シリコンの内、少なくとも1つの加熱に使用する焼成炉としては、例えば、高周波誘導加熱方式又は抵抗加熱方式によるバッチ焼成炉、プッシャー炉等を使用することができる。
焼成条件も公知の条件でよく、特に限定されないが、雰囲気としてはアルゴンのような不活性ガス、窒素ガス、アンモニアガス、微量の水素或いは一酸化炭素を含んだ窒素ガスなど、温度は通常1000〜1700℃、圧力は大気圧付近、焼成時間は通常2〜5時間が一般的に用いられる。
以下本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。坩堝の評価は以下の手法で行った。
(評価)
(1)被覆膜表面の評価
被覆膜表面をX線回折により評価した。図1にX線回折図を示す。
(2)被覆膜断面分析用試料の作製
被覆膜断面分析用試料の作製被覆物試験片を破断してサンプリングし、熱硬化性樹脂中へ包埋後、平面研磨装置にて破断面の面出し、研磨を行い、破断面に白金を約50Åの厚さでコーティングして被覆膜断面の分析用試料を作製した。
(3)被覆膜断面の観察、分析
被覆膜断面をSEMにより評価した。SEMで観察した二次電子像を図2に示す。次いで、分析視野中央部、被覆膜最表面から基材側界面まで線上にEDX分析を行った。
(4)傾斜組成層の膜厚の評価
前記EDX分析の結果において、窒素(N)と炭素(C)のX線強度が等しくなる点をSi層とSiC層との界面と定義し、また、シリコン(Si)のX線強度が検出されなくなった点をSiC層と黒鉛との界面と定義として、Si層とSiCの膜厚をそれぞれ算出した。
(5)傾斜構造の評価
被覆膜断面をEPMAにより評価した。被覆膜最表面から基材側界面にかけて、シリコン(Si)、窒素(N)、炭素(C)の生成濃度が漸次低下するものを傾斜構造と評価した。
(6)被覆膜の表面粗さの評価
被覆膜の表面粗さRaは、JIS B0601に準拠して測定した。
実施例1
黒鉛製坩堝(内寸:W300mm×D300mm×H300mm)中に、一酸化ケイ素粉末33gを加え、黒鉛蓋をした後、窒素雰囲気中、昇温速度4℃/分で1550℃まで上げ2時間保持の条件で熱処理をした。得られた被覆層は最表面から結晶質窒化ケイ素、結晶質炭化ケイ素でそれぞれ傾斜組成を有していた。それぞれの層の膜厚及び表面粗さRaを表1に示す。
得られた坩堝に非晶質窒化ケイ素粉末2.7kgを仕込み、窒素雰囲気中で昇温速度15℃/分で1550℃まで上げ2時間保持して結晶質窒化ケイ素粉末を得た。結晶質窒化ケイ素粉末の焼成を10回繰り返した後の坩堝を評価したところ、坩堝表面に剥離は無かった。
実施例2
黒鉛製坩堝(内寸:W300mm×D300mm×H300mm)中に、一酸化ケイ素粉末33gを加え、黒鉛蓋をした後、窒素雰囲気中、昇温速度4℃/分で1700℃まで上げ2時間保持の条件で熱処理をした。得られた被覆層は再表面から結晶質窒化ケイ素、結晶質炭化ケイ素でそれぞれ傾斜組成を有していた。それぞれの層の膜厚及び表面粗さRaを表1に示す。
得られた坩堝に非晶質窒化ケイ素粉末2.7kgを仕込み、窒素雰囲気中で昇温速度15℃/分で1550℃まで上げ2時間保持して結晶質窒化ケイ素粉末を得た。結晶質窒化ケイ素粉末の焼成を10回繰り返した後の坩堝を評価したところ、坩堝表面に剥離は無かった。
実施例3
黒鉛製坩堝(内寸:W300mm×D300mm×H300mm)中に、一酸化ケイ素粉末66gを加え、黒鉛蓋をした後、窒素雰囲気中、昇温速度4℃/分で1550℃まで上げ2時間保持の条件で熱処理をした。得られた被覆層は再表面から結晶質窒化ケイ素、結晶質炭化ケイ素でそれぞれ傾斜組成を有していた。それぞれの層の膜厚及び表面粗さRaを表1に示す。
得られた坩堝に非晶質窒化ケイ素粉末2.7kgを仕込み、窒素雰囲気中で昇温速度15℃/分で1550℃まで上げ2時間保持して結晶質窒化ケイ素粉末を得た。結晶質窒化ケイ素粉末の焼成を10回繰り返した後の坩堝を評価したところ、坩堝表面に剥離は無かった。
実施例4
黒鉛製坩堝(内寸:W300mm×D300mm×H300mm)中に、一酸化ケイ素粉末50gを加え、黒鉛蓋をした後、窒素雰囲気中、昇温速度4℃/分で1450℃まで上げ2時間保持の条件で熱処理をした。得られた被覆層は再表面から結晶質窒化ケイ素、結晶質炭化ケイ素でそれぞれ傾斜組成を有していた。それぞれの層の膜厚及び表面粗さRaを表1に示す。

得られた坩堝に非晶質窒化ケイ素粉末2.7kgを仕込み、窒素雰囲気中で昇温速度15℃/分で1550℃まで上げ2時間保持して結晶質窒化ケイ素粉末を得た。結晶質窒化ケイ素粉末の焼成を10回繰り返した後の坩堝を評価したところ、坩堝表面に剥離は無かった。
比較例1
黒鉛製坩堝(内寸:W300mm×D300mm×H300mm)内部の表面全体に、CVD法で炭化ケイ素を被覆させた。得られた被覆層は、結晶質炭化ケイ素のみであり、傾斜組成を有していなかった。炭化ケイ素層の膜厚及び表面粗さRaを表1に示す。
得られた坩堝に非晶質窒化ケイ素粉末2.7kgを仕込み、窒素雰囲気中で昇温速度15℃/分で1550℃まで上げ2時間保持して結晶質窒化ケイ素粉末を得た。結晶質窒化ケイ素粉末の焼成を10回繰り返した後の坩堝を評価したところ、坩堝表面に剥離が見られた。
比較例2
黒鉛製坩堝(内寸:W300mm×D300mm×H300mm)内部の表面全体に、CVD法で炭化ケイ素を被覆させた。得られた被覆層は、結晶質炭化ケイ素のみであり、傾斜組成を有していなかった。炭化ケイ素層の膜厚及び表面粗さRaを表1に示す。
得られた坩堝に非晶質窒化ケイ素粉末2.7kgを仕込み、窒素雰囲気中で昇温速度15℃/分で1550℃まで上げ2時間保持して結晶質窒化ケイ素粉末を得た。結晶質窒化ケイ素粉末の焼成を10回繰り返した後の坩堝を評価したところ、坩堝表面に剥離が見られた。
実施例1〜4及び比較例1〜2の評価結果を表1に示す。
表1に示した結果から、実施例1〜4が比較例1〜2よりも、高い表面被覆効果を有していることがわかる。
この発明は、坩堝とその製造方法、その坩堝を用いた窒化ケイ素粉末の製造方法に関し、さらに詳しくは、とりわけ非晶質窒化ケイ素粉末、含シラン化合物、金属シリコンの内、少なくとも1つを焼成して高純度な結晶質窒化ケイ素粉末とするのに用いられる長寿命な窒化ケイ素粉末用焼成用黒鉛坩堝とその製造方法に関する。窒化ケイ素焼結体は、強度、靭性が高く、耐熱衝撃性や耐摩耗性に優れているので、切削工具、振動部品、耐熱性超合金に代わる高温構造材料として有用である。
○ β―炭化ケイ素に帰属可能な回折ピーク
△ α―窒化ケイ素に帰属可能な回折ピーク
G グラファイトに帰属可能な回折ピーク

Claims (8)

  1. 黒鉛坩堝本体の表面に、黒鉛坩堝本体から表層に向かって順に炭化ケイ素層及び窒化ケイ素層からなる被覆膜を有し、前記窒化ケイ素層は、表層側から黒鉛坩堝本体に向かって窒化ケイ素の濃度が漸次低下する傾斜組成を有することを特徴とする坩堝。
  2. 前記窒化ケイ素層の厚さが1〜500μmであることを特徴とする請求項1記載の焼成用坩堝。
  3. 前記炭化ケイ素層は、前記窒化ケイ素層に向かって炭化ケイ素の濃度が漸次低下する傾斜組成を持つ領域と、黒鉛坩堝本体に向かって炭化ケイ素の濃度が漸次低下する傾斜組成を有する領域を持つことを特徴とする請求項1又は2に記載の坩堝。
  4. 前記炭化ケイ素層の厚さが1〜500μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の坩堝。
  5. 前記窒化ケイ素被覆膜の表面粗さRaが100μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の坩堝。
  6. 焼成炉にて非晶質窒化ケイ素粉末、含窒素シラン化合物、金属シリコンの内、少なくとも1つを焼成して結晶質窒化ケイ素粉末とするのに用いられる請求項1〜5のいずれか1項に記載の坩堝。
  7. 黒鉛坩堝表面を窒素雰囲気中で一酸化ケイ素蒸気と反応させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の坩堝の製造方法。
  8. 焼成炉にて、非晶質窒化ケイ素粉末、含窒素シラン化合物、金属シリコンの内、少なくとも1つを、請求項1〜6のいずれか1項に記載の坩堝を用いて、焼成して結晶質窒化ケイ素粉末とすることを特徴とする結晶質窒化ケイ素粉末の製造方法。
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