JPH10236893A - 炭化ケイ素被覆炭素材料 - Google Patents

炭化ケイ素被覆炭素材料

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JPH10236893A
JPH10236893A JP5702397A JP5702397A JPH10236893A JP H10236893 A JPH10236893 A JP H10236893A JP 5702397 A JP5702397 A JP 5702397A JP 5702397 A JP5702397 A JP 5702397A JP H10236893 A JPH10236893 A JP H10236893A
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JP
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carbon material
silicon
carbon
layer
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JP5702397A
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Toru Fujiwara
徹 藤原
Shin Yamamura
伸 山村
Hajime Izawa
一 井沢
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Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B41/00After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
    • C04B41/009After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone characterised by the material treated
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B38/00Porous mortars, concrete, artificial stone or ceramic ware; Preparation thereof
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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クラックや剥離が発生しにくい炭化ケイ素の
被覆を有し、高温において優れた耐酸化性を備え、さら
に高い寸法精度で製造することのできる炭化ケイ素で被
覆された炭素材料を提供する。 【解決手段】 炭化ケイ素被覆炭素材料10は、平均気
孔径が0.01〜0.5μmでかつ密度が1.85〜
2.00g/cm3 の炭素材料からなる母材部11と、
炭素材料とケイ素との反応によって形成された表層部1
2とからなる。表層部12は、炭化ケイ素を主成分とし
て含有し、そこにおいて炭化ケイ素の濃度は表面から内
部に向かって減少している。また表層部12の最表面に
は、実質的に気孔は存在しない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭化ケイ素の被覆
を有する炭素材料に関し、特に、SiC/C傾斜組成層
で覆われた耐酸化性を有する炭素材料であって、高い寸
法精度で製造することのできるものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、炭素系材料は、耐熱性、化学的安
定性、加工容易性等の特徴から多くの分野で用いられて
きた。しかし、炭素系材料、特に黒鉛は、耐摩耗性に劣
り、離脱したカーボン粉により使用環境を汚染するとい
う問題を有している。また、黒鉛を治具として使用する
場合、相手の製品を汚すという問題の他に、酸化雰囲気
で500℃を超える温度域において使用すると酸化によ
る消耗が激しくなる等の理由から、使用範囲が制限され
るという問題が存在する。
【0003】炭素系材料のこれらの欠点を改良するた
め、種々の方法により表面を被覆し、耐摩耗性や耐酸化
性を付与する方法が提案されてきた。その中で、耐摩耗
性に優れる炭化ケイ素を化学蒸着法(CVD)やコンバ
ージョン法により表面に付与する技術は特に有用であ
る。
【0004】CVDによって炭素材料の表面に形成され
た被覆層は、緻密であるため、優れた耐酸化性を発揮す
る。しかし、CVDによって被覆層を形成する場合、基
材である炭素材料と炭化ケイ素膜との間には明確な界面
が存在するため、炭化ケイ素により近い熱膨張係数を有
する炭素基材を選定しなければ、熱サイクル、熱衝撃に
より炭化ケイ素の被覆層にクラックが発生したり、被覆
層の剥離が起こるようになる。
【0005】コンバージョン法は、SiやSiO等のケ
イ素源を炭素材料と反応させてその表面に炭化ケイ素を
生成させる方法である。コンバージョン法で得られた炭
化ケイ素膜は、表面から内部に向かって炭化ケイ素が減
少する一方で炭素材料の濃度が増加していくいわゆる傾
斜組成を有する層を介して炭素材料の母材上に形成され
ているため、クラックや剥離等の問題は起こりにくい。
【0006】コンバージョン法によるSiC/C傾斜組
成層によって被覆された炭素材料およびその製造方法に
ついては、いくつかの提案がなされてきた。たとえば、
特開平1−286981号公報では、多孔質からなる炭
素材料好ましくは球状炭素粒子が互いに結合してなる多
孔状の炭素焼結体にケイ素を含浸反応させて、炭素材料
の一部を炭化ケイ素とすることを特徴とする傾斜機能材
料の製造方法が開示される。特開平3−177384号
公報には、炭素質材料に金属ケイ素を含浸せしめ、該金
属ケイ素と炭素材料とを反応せしめて炭化ケイ素に転換
せしめ、耐酸化性材料を製造する技術が開示される。同
公報は、炭素質材料として等方性黒鉛、炭素質繊維から
なるフェルト状物、球形状炭素材料等を具体的に挙げて
いるが、その好ましい物性として、嵩密度が1.50g
/cm2 以下、および平均ポア半径が1.5μm以上で
あることを記載し、このような特定の物性を有する炭素
材料を使用することにより、Siとの反応が内部までよ
り完全にしかも容易に起こる結果、炭素材料が確実にS
iC化される旨記載する。
【0007】特開平5−310487号公報は、黒鉛基
材の表面をSi粉末と接触させながら不活性雰囲気中で
1400℃以上の温度に加熱処理して基材面上に傾斜機
能組織のSiC被覆層を形成することを特徴とするSi
C被覆黒鉛材料の製造方法を開示する。同公報に開示さ
れる技術において、Si粉末は黒鉛基材の表面積1cm
2 当り4.0〜7.0gの範囲で使用され、その実施例
では、黒鉛基材の表面から1mm以上の深さまでSiC
/C混在層を形成している。Si粉末は、黒鉛に均一に
Siを含浸させるため用いられている。
【0008】特開平7−223884号公報は、成形体
の表面から内部に向かって順に、ケイ素および炭化ケイ
素を主体とする第1層、ケイ素、炭化ケイ素および炭素
を主体とする第2層、炭化ケイ素および炭素を主体とす
る第3層ならびに炭素母相からなり、かつ、Si成分の
含有率が成形体表面から内部に向かうに従って連続的に
低下するようにSi成分が存在することを特徴とする自
己修復型耐酸化性被覆を有する炭素材料を開示する。同
公報に開示される3層構造の被覆のうち、第1層の厚さ
は0.1〜0.4mm程度、第2層の厚さは0.2〜2
mm程度、第3層の厚さは0.2〜3mm程度であり、
その実施例では、約1.9mmの深さまでケイ素を拡散
させ、傾斜組成を有する被覆層を形成している。さらに
同公報は、用いられる炭素材料中の開気孔の気孔径は、
通常1〜200μm程度の範囲内であればよく、1μm
未満の場合には、炭素表層にケイ素が十分に浸透しない
旨記載する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように被覆層を有
する炭素材料の用途が広がるにつれニーズも多様化して
きた。たとえば、ICパッケージ等の製造用(ガラス封
着用、銀ろう付け用およびはんだ付け用等)の治具で
は、従来要求されてきた耐摩耗性および耐酸化性に加え
て、次のような品質上のニーズがある。
【0010】(1) 100mm程度の呼び寸法に対し
±1/100mm程度の寸法精度 (2) 加工すべき製品を構成する基材板と熱膨張率が
類似していること。
【0011】(3) 400〜1000℃の使用環境に
おいて耐酸化性が十分であること。 (4) 表面が緻密かつ平滑であり、使用時に製品を傷
つけることがないこと。
【0012】上述した従来技術は、多孔質の炭素材料ま
たは黒鉛材料に緻密にあるいは深くSiを含浸させて高
温での耐熱性、耐熱衝撃性および耐摩耗性を付与しよう
としたものであるが、いずれの従来技術も、上述したニ
ーズのすべてを十分に満足するものではなかった。従来
の技術は、共通して、Siを十分にかつ相対的に深く含
浸せしめて被覆層を形成しようとするものであり、その
ため、あるものでは嵩密度1.50g/cm3 以下およ
び平均ポア半径1.5μm以上の黒鉛基材を用い、ある
ものでは用いる炭素材料の気孔径を1μm以上とし、反
応により形成される表層部の深さも0.1mm〜1mm
程度と相対的に深い。このような従来技術では、得られ
る被覆材料の表面が平滑でなかったり、表面に気孔が残
ってしまう恐れがあった。また、これらの従来技術にお
いては、炭素材料上に被覆層を形成すると、材料の寸法
が比較的大きく変わってしまい、高い精度で寸法をコン
トロールすることが容易でなかった。
【0013】本発明の目的は、クラックや剥離が発生し
にくい炭化ケイ素の被覆を有し、高温において優れた耐
酸化性を備え、さらに寸法精度の高い炭化ケイ素被覆炭
素材料を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上述した問題点を解決す
るため、本発明者は、コンバージョン法によって炭化ケ
イ素の被覆を形成すべき炭素材料自体に着目し、鋭意研
究を重ねた結果、炭素材料の気孔径と密度が、高い寸法
精度で緻密な被膜を形成する上において特に重要である
ことを見出した。そして、特定の平均開気孔径および密
度を有する炭素材料にケイ素を反応させることにより、
クラックや剥離の発生がなく、緻密な炭化ケイ素の表面
層と傾斜組成層を有する被覆が形成された、優れた耐酸
化性を有する炭素材料を得ることができ、本発明を完成
するに至った。
【0015】すなわち本発明は、平均気孔径が0.01
μm〜0.5μmでかつ密度が1.85g/cm3
2.00g/cm3 の炭素材料からなる母材部と、母材
部を覆い、炭化ケイ素を主成分として含有し、炭化ケイ
素の濃度が表面から内部に向かって減少しており、かつ
最表面に実質的に気孔が存在しない、炭素材料とケイ素
との反応によって形成された表層部とからなることを特
徴とする炭化ケイ素被覆炭素材料を提供する。
【0016】本発明による炭化ケイ素被覆炭素材料の表
層部において、ケイ素元素の含有量は、たとえばその表
面1cm2 当り2.5mg〜16mgであることが好ま
しい。
【0017】
【発明の実施の形態】一般に炭素材料、特に黒鉛は、多
孔質であり開気孔を有している。コンバージョン法で
は、これらの開気孔を通じてケイ素源が含浸または拡散
し、炭素と反応して炭化ケイ素が生成する。このとき、
炭素から炭化ケイ素への変換のために体積膨張が起こ
り、この現象によって開気孔径は反応が進むにつれて小
さくなっていく。このようなメカニズムにより、コンバ
ージョン法では、反応層における組成が傾斜的になり、
クラックや剥離が発生しにくい被覆が形成されるように
なる。
【0018】一方、炭化ケイ素の生成反応において、表
面からの原子、イオンの拡散が律速段階であると考えら
れ、反応がある程度進行すると、これらの拡散が進ま
ず、反応が抑制されるようになる。反応が抑制された段
階において、開気孔は、その大きさに応じ、炭化ケイ素
の生成による体積膨張により閉じられるものと閉じられ
ないものとに分かれるようになる。コンバージョン法で
は、反応が抑制された段階で閉じられない開気孔が残留
し、これが、被膜に緻密性がないことおよび材料に十分
な耐酸化性が付与されないことの原因となっていた。
【0019】本発明者は、この反応における開気孔の残
留の問題に対し、平均開気孔径0.01〜0.5μm、
密度1.85〜2.00g/cm3 の物性を有する炭素
基材が効果的であることを見出した。この範囲の物性を
有する黒鉛等の炭素基材上に、コンバージョン法により
炭化ケイ素と炭素の傾斜組成を有する層を形成すれば、
最表面には残留する開気孔がほとんどなく、表面が緻密
でかつ平滑な被覆を形成することができ、耐摩耗性に優
れかつ十分な耐酸化性を有する材料を得ることができ
た。後述する実施例で示すように、平均気孔径が0.5
μmを超え、密度が1.85g/cm3 を下回る炭素基
材に被覆を形成した場合、反応後に開気孔の残留が見ら
れ、十分な耐酸化性を有する材料を得ることができなか
った。一方、反応においてケイ素をある程度の深さまで
拡散させるには、平均開気孔径が0.01μm以上で密
度が2.00g/cm3 以下の炭素基材を用いることが
望ましく、炭素基材にはある程度の開気孔の存在が必要
である。
【0020】上述した従来技術では、炭化ケイ素を生成
させる反応過程において、十分な量のケイ素元素を炭素
材料において比較的深いところまで浸透させようとして
いたため、平均気孔径が1μmを超える比較的大きな気
孔を有し、密度が比較的低い多孔性の炭素材料を用いる
ことが望ましいとされてきた。本発明者は、そのような
比較的大きな孔径を有する材料の使用が、一方で開気孔
の残留の問題につながり、十分な耐酸化性を有する材料
が得られない原因となっていると考えた。また本発明者
は、炭素基材の平均気孔径を1μm以下でより小さくし
ていくと、炭素基材において従来のように深いところま
でケイ素元素が浸透せず比較的薄い被覆が形成される一
方、そのような薄い被覆でも、表面が緻密でかつ平滑で
あり、開気孔が残留していなければ、耐摩耗性に優れか
つ十分な耐酸化性を有する材料が得られることを見出し
た。すなわち本発明では、平均気孔径が小さく密度が高
い炭素基材にコンバージョン法によって傾斜組成層を形
成することで、開気孔の残留の問題を解消し、望ましい
特性を有する材料を得るものである。
【0021】また本発明者は、平均気孔径0.01〜
0.5μm、密度1.85〜2.00g/cm3 の炭素
基材にコンバージョン法によって被覆を形成することに
より、材料寸法の変化を極力抑えることができ、たとえ
ば反応の前後で材料の寸法変化率を±0.001%以下
に抑えることができることを見出した。平均気孔径が
0.5μmを上回り、密度が1.85g/cm3 を下回
る炭素材料に被覆を形成した場合、反応の前後における
寸法変化率が相対的に大きくなり、より高い寸法精度で
材料を製造することが困難になってくる。寸法変化は、
高温において炭素材料が膨張した状態で、炭素から炭化
ケイ素が生成し体積膨張が起こることに起因すると考え
られるが、本発明では、平均気孔径が小さくかつ密度の
高い炭素材料上に被覆を形成することで、炭化ケイ素の
生成において過剰な体積膨張が生じることを抑制してい
る。
【0022】図1に、本発明による炭化ケイ素被覆炭素
材料の一具体例についてその内部構造を模式的に示す。
図では、材料中の炭化ケイ素の分布をわかりやすくする
ため、炭化ケイ素粒子を強調して大きく描いている。炭
化ケイ素被覆炭素材料10は、炭素材料の母材部11
と、それを覆い、炭化ケイ素を主成分として含有する表
層部12とからなる。表層部12は、炭素材料の表面か
らケイ素源が拡散し炭化ケイ素を生成させる反応により
形成されたものであるため、母材部11と表層部12と
の境界はそれほどはっきりしたものではない。母材部1
1は、平均気孔径が0.01〜0.5μmでかつ密度が
1.85〜2.00g/cm3 の炭素材料、たとえば黒
鉛から構成されるものである。表層部12は、炭素材
料、たとえば黒鉛とケイ素源との反応により形成された
ものであり、ほとんど炭化ケイ素15からなり緻密で表
面が平滑なSiC層13と、内部に向かって炭化ケイ素
が減少する傾斜組成を有するSiC/C層14を有する
ことができる。なお、表層部12は、未反応のケイ素を
含有していてもよい。緻密で表面が平滑なSiC層13
は、実質的に最表面において気孔を有さないものであ
る。この緻密で平滑な層により、十分な耐酸化性を材料
に付与することができる。また、傾斜組成を有する層に
より、SiC層の剥離やクラックの発生が抑制される。
材料10において、表面から、炭化ケイ素がほとんど存
在しなくなる部分までの深さを表層部の厚みとすると、
その厚みは、たとえば10μm〜200μmとすること
ができる。
【0023】本発明を構成する炭素材料、たとえば黒鉛
(人造黒鉛)には、自己焼結性を有するメソフェーズ系
原料(一元系の材料)を使用する方法によって製造され
たもの、およびコークスや黒鉛等のフィラーと、ピッチ
等のバインダの二元系原料を使用する方法によって製造
されたものを使用することができる。一元系材料を使用
する方法によって製造された黒鉛は、密度および平均気
孔直径の点で好ましい材料である。炭素材料の密度は、
たとえばJIS R7212−1979に従って測定す
ることができる。すなわち、試験片を105〜110℃
の空気浴中で2時間保ち、これをデシケータ中で冷却し
て室温に達した後、直ちに質量を測り、再び空気浴中に
移し、1時間ごとに冷却して質量を測る。これを恒量に
達するまで繰返す。次に、試験片の各片の長さを4箇所
ずつ測り、それぞれ各片の平均寸法から体積を求める。
試験片の密度は、次の式によって計算し、小数点以下3
桁に丸める。そして2個の試験片の測定値の平均値を小
数点以下2桁に丸めて密度として示す。
【0024】db =m/v (db :密度,m:乾燥試験片の重量(g),v:体積
(cm3 )) 平均気孔径は、たとえば水銀圧入法に従って水銀ポロシ
メータにより測定することができる。すなわち、水銀に
よる印加圧力とその圧力で水銀が侵入し得る試料の最小
細孔径との間には、次のWashburnの式が成立す
る。
【0025】P・r=−2σcosθ(≒6345kg
f/cm) (P:印加圧力(kgf/cm2 ),r:細胞半径(n
m),σ:水銀の表面張力(484dyn/cm),
θ:水銀試料に対する接触角(130°)) したがって、順次印加圧力を大きくしていけば、より小
さい細孔径を求めることができる。水銀ポロシメータに
おいてサンプルをセルに入れ、水銀を圧入すると、水銀
はサンプルの空孔に入り、この水銀量が測定される。圧
力を徐々に高め、試料の空孔中に水銀を侵入させると、
侵入水銀の容量はある値Vまで増加するようになる。こ
の最終的に侵入した水銀量(V)の半分(V/2)まで
気孔に水銀が侵入したときの圧力(P)を求め、このP
に対応する値として上式から平均気孔径を求めることが
できる。
【0026】本発明の材料を製造するため、平均気孔径
0.01〜0.5μm、密度1.85〜2.00g/c
3 の物性を有する黒鉛等の炭素材料を選択し、この表
面に被覆を形成する。用いる材料の表面は平滑であるこ
とが望ましく、可能であれば、表面が鏡面仕上げされた
炭素材料を用いることが望ましい。次に、炭素材料の表
面に高純度のシリコン等のケイ素源を供給し、アルゴン
等の不活性ガス中で1450〜2000℃程度の温度に
おいて炭化ケイ素を生成させる反応を行なう。ケイ素源
の供給は、たとえば溶融ケイ素を炭素材料の表面に吹き
付け処理する方法、ケイ素の粉末を炭素材料の表面に付
着させ溶融させる方法等により行なうことができる。炭
素材料の表面1cm2 当り2.5mg〜16mgのケイ
素を供給することが好ましい。この範囲の量のケイ素を
炭素と反応させれば、得られる材料の表層部において、
その表面1cm2 当り2.5mg〜16mgのケイ素元
素が含有されるようになる。含有されるケイ素元素は、
かなりの部分が炭化ケイ素として、特に最表面ではほと
んどが炭化ケイ素として存在するようになるが、未反応
のケイ素として一部存在していてもよい。この範囲の量
のケイ素を供給することにより、ケイ素を適当な深さに
まで拡散させ、体積膨張による寸法変化を望ましい程度
にまで抑制しながら傾斜組成を有する被覆を形成するこ
とができる。反応の後得られた炭化ケイ素被覆を有する
材料の表面は平滑であり、研磨を行なわなくても製品と
して供し得るものである。また、反応の前後において、
寸法の変化率は0.001%以下に抑えることができ
る。得られた材料の最表面には実質的に気孔が存在せ
ず、優れた耐摩耗性および耐酸化性をもたらすことので
きる被覆を有する材料が得られる。
【0027】
【実施例】表1に示すような物性を有する黒鉛材をそれ
ぞれ用い、その表面に被覆を形成した。用いる黒鉛材の
寸法は、いずれも10mm×10mm×60mmであっ
た。密度1.97g/cm3 、気孔率15%および平均
気孔径0.01μmの黒鉛材を用いたものを実施例1と
し、密度1.86g/cm3 、気孔率14%および平均
気孔径0.5μmの黒鉛材を用いたものを実施例2とし
た。また比較のために、表1に示すような3種類の物性
を有する黒鉛材をそれぞれ用い、比較例1、比較例2、
比較例3とした。それぞれの黒鉛材について、アルゴン
ガス中、1800℃の温度で、黒鉛材に溶融ケイ素を吹
き付け、浸透および反応を起こさせた。炭素材料の表面
1cm2 当りのシリコンの反応量は表1にそれぞれ示す
とおりであった。この反応処理により、SiC/C傾斜
組成を有する被覆を備える炭素材料が得られた。
【0028】図2は、得られた実施例1の試料の表面を
示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。図3は、
得られた比較例2の試料の表面を示すSEM写真であ
る。図2に示すように、本発明に従う材料の表面は、緻
密な組織を有し、気孔が実質的に存在しないものであ
る。一方、平均細孔径が大きく密度の低い黒鉛材を用い
た比較例の材料では、表面に気孔が残存している。
【0029】図4および図5は、実施例1で得られた試
料の断面について示すSEM写真および電子プローブマ
イクロアナリシス(EPMA)写真である。SEM写真
において、白く写っている部分が存在する領域は、Si
C/C傾斜組成層が形成されているところである。EP
MA写真においても同様であり、白い点がシリコン元素
の存在を示し、黒い点が基材の炭素を示しており、それ
ぞれの元素の分布をより明確に示している。これらの写
真から、約10μmの深さまでは、シリコン元素が比較
的多く存在し、すなわち反応により生成した炭化ケイ素
で占められ、さらに深くなっていくに従ってシリコン元
素が減少していき、すなわち生成した炭化ケイ素が減少
していき、傾斜組成を有する層が形成されていることが
わかる。
【0030】表1に、黒鉛材の表面に傾斜組成層を形成
した後の得られた材料について表面を肉眼で観察した結
果を併せて示す。実施例のいずれもが良好な外観を呈し
ている一方で、比較例では表面の状態が望ましいもので
はなかった。また比較例3では、シリコン含浸時に表面
において剥離が起こり、以降の工程に進めなかった。
【0031】実施例および比較例において得られた試料
に対し、大気中、1000℃の温度で24時間保持する
高温耐酸化性試験を行なった。試験後に各試料の重量を
測定し、元の重量と比較した。表2に、それぞれの試料
について測定した、元の重量に対する酸化後の重量比
(%)を示す。また、それぞれの試料について酸化試験
後の表面の状態を観察した。表2に示すように、実施例
1および2の試料では、酸化による減量はなく、表面も
緻密な状態を維持していた。これらの結果は、実施例の
試料が高温において優れた耐酸化性を有することを意味
している。一方、比較例では、酸化試験により減量が見
られ、表面の状態もポーラスな状態になった。なお、比
較例3では、シリコン含浸処理工程においてエッジ部が
剥離し次の工程に進めなかったため、酸化試験を行なわ
なかった。
【0032】表3には、実施例および比較例における寸
法変化率および600℃における熱膨張率のデータを示
す。寸法変化率は、シリコンを反応させる前すなわち被
覆を形成する前の黒鉛材の寸法に対する反応後の寸法の
変化を求め、次の式により変化の割合を算出したもので
ある。
【0033】寸法変化率(%)=(寸法の変化/初期寸
法(60mm))×100(%) 表3に示すとおり、実施例1および2とも、比較例に対
して寸法変化率が小さく、本発明が高い寸法精度で製作
するのに都合のよいものであることがわかる。なお比較
例3は、剥離が生じたため十分な被覆が形成できなかっ
たものについてのデータである。また、得られた試料の
熱膨張率についても、実施例のものは本発明の用途にお
いて使用される代表的な基材であるアルミナの熱膨張率
に近く、本発明の材料が、アルミナ基材を用いてパッケ
ージ等を製作するための治具として利用しやすいもので
あることがわかる。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【発明の効果】以上示してきたように、本発明による材
料は、緻密でかつ平滑な表面を有し、最表面において実
質的に気孔を有さず、優れた耐摩耗性および耐酸化性を
備えるものである。さらに本発明の材料は、高い寸法精
度で製造することができるものである。このような特性
を有する本発明の材料は、ICパッケージ等の製造用治
具により適したものであり、炭化ケイ素被覆炭素材料に
対して多様化してきたニーズに応えるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う材料の一具体例についてその断面
構造を模式的に示す図である。
【図2】本発明による実施例1で得られた試料の表面組
織を示す写真である。
【図3】比較例で得られた試料の表面組織を示す写真で
ある。
【図4】本発明による実施例1で得られた試料の断面組
織を示す写真である。
【図5】本発明による実施例1で得られた試料の断面組
織を示す写真である。
【符号の説明】
10 炭化ケイ素被覆炭素材料 11 母材部 12 表層部 13 SiC層 14 SiC/C層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井沢 一 大阪府貝塚市二色中町8番1 住友大阪セ メント株式会社新材料事業部内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均気孔径が0.01μm〜0.5μm
    でかつ密度が1.85g/cm3 〜2.00g/cm3
    の炭素材料からなる母材部と、 前記母材部を覆い、炭化ケイ素を主成分として含有し、
    前記炭化ケイ素の濃度が表面から内部に向かって減少し
    ており、かつ最表面に実質的に気孔が存在しない、前記
    炭素材料とケイ素との反応によって形成された表層部と
    からなることを特徴とする、炭化ケイ素被覆炭素材料。
  2. 【請求項2】 前記表層部において、その表面1cm2
    当り2.5mg〜16mgのケイ素元素が存在すること
    を特徴とする、請求項1に記載の炭化ケイ素被覆炭素材
    料。
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