JPH07223884A - 自己修復型耐酸化性被覆を有する炭素材料 - Google Patents

自己修復型耐酸化性被覆を有する炭素材料

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JPH07223884A
JPH07223884A JP5653894A JP5653894A JPH07223884A JP H07223884 A JPH07223884 A JP H07223884A JP 5653894 A JP5653894 A JP 5653894A JP 5653894 A JP5653894 A JP 5653894A JP H07223884 A JPH07223884 A JP H07223884A
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silicon
carbon material
carbon
silicon carbide
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JP5653894A
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Takakiyo Serizawa
貴清 芹澤
Hajime Izawa
一 伊澤
Shin Yamamura
伸 山村
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Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
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Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】優れた耐酸化性及び耐熱衝撃性を有する炭素材
料を提供することを主な目的とする。 【構成】成形体の表面から内部に向かって順に、ケイ素
及び炭化ケイ素を主体とする第一層、ケイ素、炭化ケイ
素及び炭素を主体とする第二層、炭化ケイ素及び炭素を
主体とする第三層ならびに炭素母相からなり、かつ、S
i成分の含有率が成形体表面から内部に向かうに従って
連続的に低下するようにSi成分が存在することを特徴
とする自己修復型耐酸化性被覆を有する炭素材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自己修復型耐酸化性被
覆を有する炭素材料に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】炭素材料は、特に耐熱性、耐薬
品性等に優れており、さまざまな用途に用いられてい
る。しかし、その反面、高温下における酸化による消耗
が激しく、また耐熱衝撃性にも劣るという欠点を有す
る。
【0003】従って、炭素材料の欠点を改善するための
方法として、従来より炭素材料の表面にセラミックス層
を形成させる方法がある。その中でも特にCVD法とコ
ンバージョン法の二つの方法が良く知られている。
【0004】CVD法は、化学反応で合成した炭化ケイ
素を炭素材料の表面に蒸着により被覆する方法である。
この方法による材料は、表面層に形成される炭化ケイ素
層が緻密であるため、良好な耐酸化性を発揮することが
できる。しかし、上記炭化ケイ素層は当該炭素材料に物
理的に付着しているにすぎないため、付着力自体が弱
く、熱衝撃等によって剥離し易い。
【0005】コンバージョン法は、気相法でケイ素源を
炭素材料の表面層の炭素と反応させ、炭素材料の表面層
を炭化ケイ素に転換させる方法である。この方法では、
炭化ケイ素層とマトリックスである炭素材料は一体化し
ているため、CVD法にみられる剥離等は生じない。し
かし、コンバージョン法により得た材料は、CVD法に
よって得られる材料に比して炭化ケイ素層の緻密性に欠
け、耐酸化性に劣る。
【0006】一方、等方性高密度炭素にケイ素を120
0〜1450℃で反応させて表層を炭化ケイ素/炭素傾
斜層に転換した炭素材料が知られている(O.Yama
moto他、Journal of the Euro
pean CeramicSociety,Vol.1
2,435−440,1993)。この材料は、剥離の
問題はないものの、自己修復機能を有していない。
【0007】これに対し、熱衝撃等により発生したクラ
ックを自己修復する機能をもつ炭素材料が知られている
(特公平4−69119号)。これは、炭素材料上で熱
化学的に析出させたケイ素合金被覆中に過剰のケイ素を
存在させることにより、当該被覆中で生じた亀裂のモザ
イク中で耐酸化性のガラス充填物を形成する機能を付与
するものである。
【0008】しかしながら、上記の自己修復機能は、2
00μm未満の薄い被覆層内でしか認められず、炭素母
相内で生じたクラックまでも修復することはできない。
従って、このような程度の自己修復機能では十分な耐熱
衝撃性を付与することはできない。
【0009】以上のように、被覆層を設けることによっ
て炭素材料の欠点を改善する上記従来技術では、マトリ
ックスとの付着性、耐酸化性、自己修復機能等のいずれ
の点においても未だ満足するものとは言えない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、優
れた耐酸化性及び耐熱衝撃性を有する炭素材料を提供す
ることを主な目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記従来技
術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねたところ、特定の開
気孔をもつ炭素材料に溶融ケイ素を供給させることによ
って、遊離ケイ素を含む特異な構造をもつ炭素材料が得
られることを見出した。そして、この炭素材料は、上記
構造に起因して優れた耐酸化性を有すると同時に、当該
材料の表面層だけでなく炭素母相中に発生したクラック
も自己修復できる機能をもつことを見出し、本発明を完
成するに至った。
【0012】即ち、本発明は、成形体の表面から内部に
向かって順に、ケイ素及び炭化ケイ素を主体とする第一
層、ケイ素、炭化ケイ素及び炭素を主体とする第二層、
炭化ケイ素及び炭素を主体とする第三層ならびに炭素母
相からなり、かつ、Si成分の含有率が成形体表面から
内部に向かうに従って連続的に低下するようにSi成分
が存在することを特徴とする自己修復型耐酸化性被覆を
有する炭素材料に係るものである。
【0013】以下、本発明について説明する。なお、本
発明炭素材料は、第一層から第三層、さらに炭素母相か
ら構成されるものであるが、各層は明確な境界をもって
存在するのではなく連続的に変化しているものである。
【0014】本発明の炭素材料における第一層はケイ素
及び炭化ケイ素を主体とする層である。第一層における
炭化ケイ素の割合は、通常37〜92重量%程度、好ま
しくは47〜92重量%である。92重量%を超える場
合は自己修復に寄与する遊離ケイ素が少なくなるので好
ましくない。37重量%未満の場合は第一層内において
炭化ケイ素が三次元網目構造を形成できなくなり、層の
強度が低下することがあるので好ましくない。
【0015】第一層の厚さは、炭素材料の用途等によっ
て適宜設定すれば良いが、通常0.1〜0.4mm程
度、好ましくは0.2〜0.4mmとすれば良い。0.
4mmを超える場合は自己修復に必要以上の遊離ケイ素
が含まれることとなるので強度上好ましくない。0.1
mm未満の場合は耐酸化性が低下するので好ましくな
い。
【0016】第一層全体としてのSi成分の含有量は、
通常72〜89重量%程度、好ましくは72〜86重量
%である。89重量%を超える場合は炭化ケイ素が三次
元網目構造を形成できなくなる。72重量%未満の場合
は自己修復に寄与する遊離のケイ素が相対的に少なくな
るので好ましくない。
【0017】第一層の密度は、通常2.5〜3.1g/
cm程度、好ましくは2.56〜3.03g/cm
程度、より好ましくは2.65〜3.03g/cm
する。ただし、上限は炭化ケイ素の占める重量という観
点から規定したものであるため、本発明の効果に悪影響
がない限り3.1g/cmを超えても良い。2.5g
/cm末満の場合は耐酸化性が低下するので好ましく
ない。
【0018】第二層はケイ素、炭化ケイ素及び炭素を主
体とする層である。第二層における炭化ケイ素の割合
は、通常37〜92重量%程度、好ましくは47〜92
重量%とする。92重量%を超える場合は自己修復に寄
与する遊離のケイ素が少なくなるので好ましくない。3
7重量%未満の場合は第一層内において炭化ケイ素が三
次元網目構造をとれなくなり、層の強度が低下するので
好ましくない。
【0019】第二層の厚さは、通常0.2〜2mm程度
とする。第二層は、第三層とともに第一層と炭素母相の
間の緩衝層としての役割を果たすため、当該層が厚いほ
ど緩衝作用に優れる。従って、その厚さが2mmを超え
ても良いのは勿論である。これに対し0.2mm未満の
場合には、緩衝作用が低下するので好ましくない。
【0020】第二層全体としてのSi成分の含有率は、
通常26〜72重量%程度である。上記範囲を外れる場
合には、第二層の緩衝作用が低下するので好ましくな
い。
【0021】第二層の密度は、通常2.5〜3.1g/
cm程度、好ましくは2.51〜3.03g/cm
程度とする。3.1g/cmを超える場合は緩衝作用
が不十分となり、2.5g/cm未満の場合は耐酸化
性が低下するので好ましくない。
【0022】第三層は炭化ケイ素及び炭素を主体とする
層である。第三層における炭化ケイ素の割合は、通常3
7重量%程度以下とすれば良い。37重量%を超える場
合は緩衝作用が不十分となるので好ましくない。なお、
下限は、用途等によって適宜設定すれば良い。
【0023】第三層の厚さは通常0.2〜3mm程度と
する。0.2mm未満の場合には、緩衝作用が低下す
る。なお、上限は、第二層の場合の同様の理由より、3
mmを超えても良い。
【0024】第三層全体としてのSi成分の含有率は、
通常26重量%程度以下とすれば良い。26重量%を超
える場合は緩衝作用が低下するので好ましくない。な
お、下限は、用途等によって適宜設定すれば良い。
【0025】第三層の密度は、通常1.9〜2.6g/
cm程度、好ましくは2〜2.51g/cmとす
る。2.6g/cmを超える場合は緩衝作用が低下
し、1.9g/cm未満の場合は耐酸化性が低下する
ので好ましくない。
【0026】さらに、本発明では、後記第2図に示すよ
うに、最外層にケイ素層を設けることにより、耐酸化性
をより高めることができる。ケイ素層の厚さは0.1〜
0.2mm程度の厚さとする。0.2mmを超える場合
は遊離ケイ素が過剰となるので好ましくない。0.1m
m未満の場合は耐酸化効果が低下するので好ましくな
い。
【0027】また、本発明の炭素材料においては、材料
中の炭化ケイ素又はケイ素の一部が酸化することにより
生成した酸化ケイ素を含んでいても良い。この場合、酸
化ケイ素は、耐酸化性の向上に寄与する。さらに、層内
の遊離ケイ素の高温での揮発を防止することもできる。
従って、本発明の炭素材料を予め酸化処理することによ
って耐酸化性をより高めることも可能である。さらに、
酸化処理は、酸化雰囲気中、通常1300〜1400℃
程度で加熱処理すれば良い。
【0028】本発明の炭素材料の製造方法について説明
する。まず、出発材料として、耐酸化性被覆層を付与す
べき所望の深さまで開気孔を有し、かつ、その気孔率が
炭素材料の表面に近づくほど高く、内部に向かうに従っ
て連続的に気孔率が低くなるような炭素材料を用いる。
【0029】このような炭素材料は、例えば以下のよう
にして作製することができる。まず、例えばピッチとコ
ークスからなる炭素材料の原料生成形体の表層から所定
の深さの部分において、コークスとピッチの混合比率を
連続的に表面に近付くほどピッチの割合が高くなるよう
に調整する。次いで、この生成形体を炭化・黒鉛化処理
することによってピッチ中の揮発成分が抜けた部分が開
気孔となり、その結果所定の気孔率を有する炭素成形体
を得ることができる。
【0030】上記材料中の開気孔の気孔径は、通常1〜
200μm程度の範囲内であれば良い。1μm未満の場
合には、炭素表層にケイ素が十分に浸透しない。200
μmを超える場合には、ケイ素の浸透と反応により生成
する炭化ケイ素と反応せずに残留するケイ素だけでは気
孔を埋めきれなくなる結果、耐酸化性及び強度が低下す
る。
【0031】次に、上記の炭素材料に溶融ケイ素を浸透
反応させる。この場合、過剰な溶融ケイ素を急激に供給
すると、炭素材料表面で大量の炭化ケイ素が生成する結
果、開気孔を入り口付近で塞いでしまい、内部への溶融
ケイ素の供給が妨げられる。従って、炭素材料の気孔中
へのケイ素の浸透とその後の反応のバランスが維持でき
るような方法でケイ素を供給することが望ましい。
【0032】具体的には、例えばアルゴンガス等の不活
性ガス中で、1450〜2000℃程度の温度下溶融ケ
イ素を6〜18mg/cm程度で炭素材料表面に吹き
付け処理を行うことにより、浸透反応させることができ
る。
【0033】
【作用】本発明炭素材料においては、第一層はケイ素が
炭化ケイ素の隙間を埋めるように存在しているので、材
料内部への空気(酸素)の侵入を阻止することができ、
これにより耐酸化性を大きく向上させることができる。
また、特に、第三層は炭化ケイ素が炭素材料中に三次元
網目の連続相を形成しているため、耐酸化被覆層(第一
層〜第三層)と炭素母相との一体化を図ることができ
る。
【0034】さらに、本発明の材料中に熱衝撃等により
クラックが生じた場合、当該材料中のケイ素が高温下で
気相又は液相となって拡散し、クラック壁の炭素と反応
して炭化ケイ素を形成する。この炭化ケイ素の形成反応
は2倍以上の体積膨張を伴うため、当該炭化ケイ素はク
ラックを塞ぐことができる結果、自己修復することがで
きる。
【0035】
【発明の効果】本発明の製造方法では、特定の開気孔を
もつ炭素材料にケイ素を供給させるので、従来の方法で
は得られなかった特異な構造をもつ炭素材料を製造する
ことができる。
【0036】このようにして得られる本発明の炭素材料
によれば、耐酸化性被覆層と炭素母体とが実質的に一体
化されている、すなわちSi成分が内部に向かって連続
的に少なくなるように存在しているので、以下のように
従来技術にはみられない顕著な効果が得られる。 (1)従来技術における被覆層(炭化ケイ素層)の剥離
の問題がまったく生じない。 (2)本発明炭素材料における耐酸化性被覆層は、CV
D法によって得られる炭化ケイ素と同等以上の耐酸化性
を発揮することができる。 (3)本発明炭素材料では耐酸化性被覆層中及び炭素母
体中のいずれに生じたクラックでも自己修復できる機能
を備えているため、従来の炭素材料に比して極めて優れ
た耐熱衝撃性を発揮することができる。 (4)このように耐酸化性と耐熱衝撃性を同時に発揮で
きる本発明炭素材料は、耐酸化性又は耐熱衝撃性のいず
れかが要求される用途はもとより、その両者が要求され
るような発熱体、熱交換用チューブ材料等にも有用であ
る。
【0037】
【実施例】以下に実施例および比較例を示し、本発明の
特徴とするところをより一層明確にする。
【0038】実施例1 出発材料として10mm×30mm×40mmで下記表
1の構造をもつ炭素材料を用いた。
【0039】 次いで、アルゴンガス中、1800℃で上記材料に溶融
ケイ素を供給して浸透反応させた。供給速度は12mg
/cmで10分間とした。
【0040】第1図に、反応処理後の炭素材料の断面の
構造模式図を示す。耐酸化性被覆層全体の厚さは約1.
9mmであった。この被覆層の深さ方向の組成をX線回
折分析によって調べた結果を図3に示す。この結果によ
れば、図3(a)に示すように表面から0.4mmの深
さまではケイ素と炭化ケイ素からなる層であり、図3
(b)に示すように0.4〜0.9mmの深さまではケ
イ素の存在率が次第に低くなり、炭素の存在率が高くな
ることがわかる。さらに図3(c)に示すように0.9
〜1.9mmの深さではケイ素の回折線は完全に消え、
炭化ケイ素と炭素からなる層となっていることがわか
る。このことから、これらの第一層から第三層は、明確
な境界をもって変化するのではなく、連続的な変化して
いることがわかる。
【0041】実施例2 実施例1と同じ炭素材料を出発材料として用い、溶融ケ
イ素の供給時間を12分とした以外は実施例1と同様の
条件で反応処理して、最外層にケイ素層を設けた。
【0042】第2図に、これにより得られたケイ素層と
耐酸化性被覆層を有する炭素材料の断面の構造模式図を
示す。耐酸化性被覆層全体の厚さは約2mmであった。
この被覆層の深さ方向の組成をX線回折分析によって調
べた結果を図4に示す。この結果によれば、図4(a)
に示すように表面から0.1mmの深さまではケイ素の
みからなる層であり、図4(b)に示すように0.1〜
0.5mmの深さまではケイ素と炭化ケイ素からなる層
である。さらに、図4(c)に示すように0.5〜1.
0mmの深さにおいてはケイ素の存在率が次第に低くな
り、炭素の存在率が高くなることがわかる。1.0〜
2.0mmの深さではケイ素の回折線は完全に消え、炭
化ケイ素と炭素からなる層となっていることがわかる。
以上のことから、これらの第一層から第三層は、明確な
境界をもって変化するのではなく、連続的な変化してい
ることがわかる。
【0043】実施例3 図5に実施例1の炭素材料の耐酸化性試験の結果を示
す。なお、試験は、空気中1000℃の温度下に上記材
料を設置し、一定時間ごとに重量を測定することにより
行った。
【0044】その結果、本発明の炭素材料は、試験開始
後168時間まで殆ど重量減少は認められず、極めて高
い耐酸化性をもつことが確認された。これは、本発明の
炭素材料において、ケイ素と炭化ケイ素からなる第一層
中で炭化ケイ素の隙間をケイ素がほぼ完全に埋めてお
り、酸素の材料内部への侵入及び拡散を阻止しているた
めである。
【0045】実施例4 実施例1の炭素材料の耐熱衝撃性を調べた。
【0046】試験は次に示すようにして行った。まず、
試料を室温から1000℃まで2分間で昇温し、100
0℃で10分間保持した後、約20℃の水中に投入し
た。この加熱・冷却サイクルを10回繰り返し、耐酸化
性被覆の剥離、クラックの発生の有無を観察した。
【0047】その結果、実施例1における炭素材料は、
耐酸化性被覆の剥離、クラックの発生が全く認められな
かった。これは、耐酸化性被覆層において、組成が傾
斜的に変化しているため、熱による衝撃を緩和すること
ができること、及び炭素母相と接する炭化ケイ素−炭
素層において、炭化ケイ素が炭素母相中に三次元網目の
連続相を形成していること、によって熱衝撃に対して極
めて強い構造となっているためである。
【0048】実施例5 本発明炭素材料の自己修復機能を調べた。
【0049】まず、実施例1の炭素材料の表面に、深さ
1mm、角度20度のV型ノッチを入れた。さらに、試
料中にクラックを導入するために三点曲げ強さ試験用治
具に試料を設置し、クロスヘッドスピード0.05mm
/分で荷重し、応力−歪み曲線が最大値を示したところ
でクロスヘッドを停止させた。試料の断面を電子顕微鏡
で観察したところ、図6に示すようにV型ノッチの先端
から幅約2μm、長さ約100μmのクラックが導入さ
れていることを確認した。
【0050】次いで、このクラック入り試料を不活性雰
囲気中1800℃で3.5時間処理した。処理後の上記
断面の電子顕微鏡写真を図7に示す。試料の表面には、
材料中のケイ素と炭化ケイ素とが反応して生成した炭化
ケイ素(色が淡い部分)が多く観察され、クラックが塞
がれているように観察された。さらに、この部分を軽く
研磨し、表面の炭化ケイ素を除去した後、再度観察し
た。その結果を図8に示す。図8より、上記クラックが
修復されていることが確認された。これは、8図のV型
ノッチ壁面にも観察されるように炭化ケイ素の結晶がク
ラック中で生成してクラックを埋めたためである。本実
施例では、クララックの修復は完全ではないが、さらに
長時間の加熱することによって、さらに炭化ケイ素の生
成が進み、クラックは完全に修復されることになる。
【0051】なお、本実施例を不活性雰囲気下で行った
のは、実際は内部でおこるクラックの存在を外部から把
握できるように炭素材料の切断面(表面)でクラックを
導入したことから、その観察面での炭素の酸化を防止す
る必要があったためである。従って、実際クラックが内
部で発生した場合は、表面層が耐酸化性被覆で覆われて
いるので外部の酸素と直接接触することは殆どあり得
ず、本実施例とほぼ同様の効果を発現することがわか
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における本発明炭素材料の構造模式図
である。
【図2】実施例2における本発明炭素材料の構造模式図
である。
【図3】実施例1における本発明炭素材料の深さ方向の
組成のX線回折分析の結果を示す図である。
【図4】実施例2における本発明炭素材料の深さ方向の
組成のX線回折分析の結果を示す図である。
【図5】本発明の炭素材料における酸化重量部減少を示
すグラフである。
【図6】実施例5においてクラックを導入した直後の本
発明炭素材料のセラミック材料の組織を示す顕微鏡写真
である。
【図7】実施例5においてクラックを導入した部分の加
熱処理後の本発明炭素材料のセラミック材料の組織を示
す顕微鏡写真である。
【図8】実施例5においてクラックを導入した部分の加
熱処理及び研磨処理後の本発明炭素材料のセラミックス
材料の組織を示す顕微鏡写真である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】成形体の表面から内部に向かって順に、ケ
    イ素及び炭化ケイ素を主体とする第一層、ケイ素、炭化
    ケイ素及び炭素を主体とする第二層、炭化ケイ素及び炭
    素を主体とする第三層ならびに炭素母相からなり、か
    つ、Si成分の含有率が成形体表面から内部に向かうに
    従って連続的に低下するようにSi成分が存在すること
    を特徴とする自己修復型耐酸化性被覆を有する炭素材
    料。
  2. 【請求項2】第一層のSi成分の含有率が72〜89重
    量%である請求項1記載の炭素材料。
  3. 【請求項3】第一層のSi成分の含有率が72〜89重
    量%であり、第二層のSi成分の含有率が26〜72重
    量%である請求項1記載の炭素材料。
  4. 【請求項4】第一層の外側にケイ素を主体とする最外層
    を有する請求項1乃至3のいずれか記載の炭素材料。
  5. 【請求項5】ケイ素及び炭化ケイ素から転換した酸化ケ
    イ素を含有する請求項1乃至4のいずれかに記載の炭素
    材料。
JP5653894A 1994-02-15 1994-02-15 自己修復型耐酸化性被覆を有する炭素材料 Pending JPH07223884A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002511834A (ja) * 1998-04-27 2002-04-16 ゼネラル エレクトリック カンパニイ 優先的に酸素と反応する層を含むセラミック材
JP2016540717A (ja) * 2013-10-30 2016-12-28 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ 溶浸セラミックマトリックス複合体中のマトリックスクラックの補修方法

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