JP3946297B2 - 炭素材料の表面処理方法 - Google Patents

炭素材料の表面処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3946297B2
JP3946297B2 JP07200297A JP7200297A JP3946297B2 JP 3946297 B2 JP3946297 B2 JP 3946297B2 JP 07200297 A JP07200297 A JP 07200297A JP 7200297 A JP7200297 A JP 7200297A JP 3946297 B2 JP3946297 B2 JP 3946297B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating layer
carbon material
sic
silicon
carbon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP07200297A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10265283A (ja
Inventor
佐藤  裕
三郎 大谷
耀▲せん▼ 朱
信也 岩本
Original Assignee
株式会社イオン工学研究所
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社イオン工学研究所 filed Critical 株式会社イオン工学研究所
Priority to JP07200297A priority Critical patent/JP3946297B2/ja
Publication of JPH10265283A publication Critical patent/JPH10265283A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3946297B2 publication Critical patent/JP3946297B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B41/00After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
    • C04B41/009After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone characterised by the material treated
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B41/00After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
    • C04B41/45Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements
    • C04B41/52Multiple coating or impregnating multiple coating or impregnating with the same composition or with compositions only differing in the concentration of the constituents, is classified as single coating or impregnation

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Ceramic Products (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素繊維強化炭素材料等の炭素材料の耐酸化性および耐腐食性を向上させるための表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭素材料は、軽量かつ優れた高温機械特性を有し、特に1500℃以上の高温下でも強度低下等の機械特性の劣化が起こらないため、高温用材料として注目されている。特に、炭素繊維強化炭素材料は、一般的な炭素材料に比べて強度が高く、構造用部材の材料としての応用が期待されている。このような炭素繊維強化炭素材料は、強化材となる炭素繊維織物に炭化残留率の高いマトリックス樹脂液を含浸または塗布して積層成形した後、硬化および焼成炭化処理を行うことにより製造される。
【0003】
しかしながら、炭素繊維強化炭素材料等の炭素材料はC(炭素)を主成分とした材料であることから、酸化雰囲気中や腐食性雰囲気中での耐性に問題がある。このため、各種表面処理により炭素材料の耐酸化性および耐腐食性を改善する試みがなされている。
【0004】
一般に、材料の耐酸化性を改善するためには、CVD法(化学的気相成長法)等によりその材料の表面に耐酸化被覆層をコーティングする方法が用いられている。特に、炭素材料の耐酸化性を改善する方法として、炭素材料の表面に高温での耐酸化性に優れるSiC(炭化ケイ素)をCVD法によりコーディングする方法が研究されている。
【0005】
しかしながら、特に炭素繊維強化炭素材料の表面に直接SiC被覆層を形成すると、基材である炭素繊維強化炭素材料の熱膨張率が非常に小さいため、基材とSiC被覆層との熱膨張率の差により、SiC被覆層にクラックや剥離が生じるという問題がある。
【0006】
この問題を解決するためには、炭素繊維強化炭素材料とSiC被覆層との密着性を向上させるとともに炭素繊維強化炭素材料とSiCとの熱膨張率差による応力を緩和する処理を行う必要がある。密着性の向上および熱膨張率差による応力の緩和を行うためには、炭素繊維強化炭素材料の表面を改質することが考えられる。
【0007】
第1の方法として、Si(ケイ素)とSiO2 (二酸化ケイ素)を混合加熱して発生するSiO(一酸化ケイ素)ガスを炭素繊維強化炭素材料のCと反応させることにより、炭素繊維強化炭素材料の表面にSiC層を形成した後、そのSiC層上にCVD法によりSiC被覆層をコーティングする方法が提案されている(特公平7−94353号公報および特公平7−96473号公報)。
【0008】
また、第2の方法として、Si、SiC、SiO2 、Al2 3 等の混合粉末中に炭素繊維強化炭素材料を埋設した状態で熱処理し、その熱処理により発生するSiOガスを炭素繊維強化炭素材料のCと反応させ、炭素繊維強化炭素材料の表面にSiC層を形成する方法が提案されている。
【0009】
さらに、第3の方法として、Siを有機溶剤と混合してペースト状にしたものを炭素繊維強化炭素材料の表面に塗布して加熱処理する方法が提案されている(特開昭59−152268号公報)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、SiOガスを炭素繊維強化炭素材料と反応させる上記の第1および第2の方法では、SiOガスとCとの反応によりCO(一酸化炭素)ガスが発生する。このCOガスにより炭素繊維強化炭素材料の表面に形成されるSiC被覆層に気孔(ポア)が生じ、表面が荒れるという問題がある。
【0011】
また、ペースト状にしたSiを炭素繊維強化炭素材料の表面に塗布する上記の第3の方法では、炭素繊維強化炭素材料の表面にSiC被覆層を均一に形成することが困難である。
【0012】
本発明の目的は、炭素材料の表面に耐酸化性および耐腐食性を向上させるための被覆層を均一にかつ密着性良く形成することが可能な表面処理方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明に係る炭素材料の表面処理方法は、炭素材料からなる基材上にケイ素からなる薄板を載せ、ケイ素の融点以上の温度で熱処理を行うことにより基材の表面に炭化ケイ素からなる第1の被覆層を形成する第1の工程と、第1の被覆層の表面に化学的気相成長法により炭化ケイ素からなる第2の被覆層を形成する第2の工程とを含むものである。
【0014】
本発明に係る炭素材料の表面処理方法においては、第1の工程で炭素材料からなる基材上にケイ素からなる薄板を載せて熱処理することにより、炭素材料の開気孔中に溶融ケイ素が浸透し、基材の表面に均一な炭化ケイ素からなる第1の被覆層が形成される。その第1の被覆層の表面に、第2の工程で化学的気相成長法により炭化ケイ素からなる第2の被覆層が形成される。
【0015】
基材の表層部では、基材の炭素部分、基材の炭素と開気孔中の炭化ケイ素により構成される部分、および表面の炭化ケイ素からなる第1の被覆層が順に形成され、傾斜組成に近い構造が得られる。この傾斜組成に近い構造により、基材と第2の被覆層との熱膨張率差が緩和されるため、両者の熱膨張率差による亀裂の発生および基材と第2の被覆層との剥離の発生が抑制され、基材上に第2の被覆層が強固に結合される。
【0016】
また、第1の工程で基材の表面に第1の被覆層が均一に形成されるので、第2の工程で第1の被覆層の表面に第2の被覆層が均一に形成される。
【0017】
したがって、炭素材料の表面に耐酸化性および耐腐食性を向上させるための炭化ケイ素からなる被覆層が均一にかつ密着性良く形成される。
【0018】
特に、炭素材料を気体状のSiOを含む雰囲気中で加熱処理した後に第1の工程を行うことが好ましい。この場合、溶融ケイ素が浸透することが困難な開気孔(表面の空隙)の細部にまでSiOガスが浸入し、炭化ケイ素を形成する。また、基材の表面とともに開気孔の内部にも炭化ケイ素皮膜が形成される。それにより、溶融ケイ素に対する基材の塗れ性が向上し、基材表面に均一に溶融ケイ素が被覆するとともに、溶融ケイ素が炭素材料の開気孔の深部まで浸透することができる。その結果、第1の被覆層が平坦にかつ均一に形成され、第2の被覆層の均一性がより向上するとともに、基材と第2の被覆層との密着性もより向上する。
【0019】
気体状のSiOを含む雰囲気中での加熱処理において基材の表面に厚み1μm以下の炭化ケイ素膜を形成することが好ましい。これにより、炭化ケイ素と炭素の反応で発生するガスによる悪影響を抑制しつつ溶融ケイ素に対する基材の塗れ性を向上させることができる。
【0020】
第1の工程で、炭化ケイ素中に未反応のケイ素を残存させる条件で基材の表面に第1の被覆層を形成することが好ましい。この場合、高温酸化雰囲気中で基材の炭素が第1の被覆層中を拡散してきた場合に、炭化ケイ素中のケイ素がその炭素をトラップして炭化ケイ素を形成する。それにより、炭素が酸化してガスが発生することが阻止され、ガスの発生による第2の被覆層の剥離が防止される。
【0021】
第1の工程を不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。これにより、ケイ素および炭素の酸化が防止される。
【0022】
また、第1の工程を減圧下で行うことが好ましい。これにより、溶融ケイ素が基材の開気孔中に浸透しやすくなる。
【0023】
ケイ素からなる薄板は、0.1mm以上1mm以下の厚みを有することが好ましい。これにより、未反応のケイ素を適度な割合で含む炭化ケイ素からなる第1の被覆層を形成することが可能となる。
【0024】
炭素材料は、炭素繊維強化炭素材料であってもよい。この場合、多数の開気孔を有する炭素繊維強化炭素材料の表面に耐酸化性および耐腐食性を向上させる炭化ケイ素からなる被覆層を均一にかつ密着性良く形成することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る炭素材料の表面処理方法の一例を詳細に説明する。ここでは、炭素材料として炭素繊維強化炭素材料を用いるものとする。
【0026】
(1)SiOガスによる処理
まず、炭素繊維強化炭素材料からなる基材をSiOガスで処理することにより基材の表面に薄いSiC皮膜を形成する。SiOガスは、SiO固体を加熱処理することにより発生させることができる。このため、SiO固体および基材を同一容器内に収納し、不活性ガス雰囲気中で熱処理を行う。特に、SiO固体からSiOガスを効率良く発生させて基材と十分に反応させるためには、SiOが低い温度で蒸気となる減圧下で熱処理を行うことが好ましい。
【0027】
SiOガスは基材と次のように反応してSiCを生成する。
SiO(気)+2C(固)→SiC(固)+CO(気)↑ ・・・(1)
2SiO(気)+3C(固)→2SiC(固)+CO2 (気)↑・・(2)
上記の反応により、基材の表面に薄いSiC皮膜が形成される。これにより、溶融Siに対する基材の塗れ性が改善されるため、次の工程で溶融Siの浸透しにくい開気孔の深部まで完全にSiが含浸し、基材を次の工程で形成されるSiC中間被覆層と強固に結合させることができる。
【0028】
なお、上記の反応式(1),(2)からわかるように、SiOとCの反応では、COおよびCO2 がガスとして発生するため、SiC皮膜にガスが抜けるための気孔や表面の荒れが生じる。特にSiC皮膜の厚みが厚くなると、基材とSiC皮膜の剥離が生じる場合がある。また、SiC皮膜の厚みが厚過ぎると、次の工程でSi薄板を用いた熱処理の際にSiとCの反応が起こりにくくなる。したがって、溶融Siに対する基材の塗れ性が改善される範囲内でSiC皮膜を薄く形成することが好ましい。SiC皮膜の厚みが1μm以下であっても溶融Siに対する基材の塗れ性を改善する効果が得られることを確認している。
【0029】
以上のSiOガスによる処理を基材に施すことにより、次の工程でSi薄板の熱処理により形成されるSiC中間被覆層と基材との密着性を向上させ、かつ均一なSiC中間被覆層を形成することが可能となる。
【0030】
(2)Si薄板を用いた熱処理によるSiC中間被覆層(第1の被覆層)の形成
次に、基材の表面にSi薄板(板状Si)を載せ、熱処理を行う。このSi薄板の厚みは、炭素繊維強化炭素材料の充填度や熱処理の条件により異なるが、0.1mm以上1mm以下とすることが好ましい。Si薄板の厚みが0.1mmよりも薄いと、完全なSiC層を形成することが困難となり、Si薄板の厚みが1mmよりも厚いと、SiC層中に残存するSi単体の割合が多くなりすぎる。
【0031】
この熱処理により溶融Siが基材の表面に均一に広がるとともに、基材の開気孔中にも溶融Siが浸透する。基材の表面および開気孔中のSiは次の反応によりSiCを生成する。
【0032】
Si(液)+C(固)→SiC(固) ・・・(3)
熱処理の温度は、Siの融点である1410℃以上とする。これにより、Siが十分に溶融し、基材の表面および基材の開気孔を均一に溶融Siで覆うことが可能となる。特に、溶融Siと基材のCとを効率良く反応させるためには、1500℃以上の温度で熱処理することが好ましい。
【0033】
また、大気中などの酸化雰囲気中で熱処理を行うと、SiおよびCの酸化が起こるため、目的とするSiC層を形成することが困難となる。このため、SiおよびCが雰囲気ガスと反応しないように、Ar(アルゴン)等の不活性ガス雰囲気中で熱処理を行う。
【0034】
さらに、溶融Siが基材の開気孔中に浸透しやすいように、減圧下で熱処理を行う。特に、溶融Siを開気孔のより深部まで含浸させるためには、50Torr以下の減圧下で熱処理を行うことが好ましい。
【0035】
上記の反応式(3)からわかるように、SiとCの反応ではCO等のガスが発生しないため、緻密かつ均一なSiC中間被覆層を形成することが可能となる。
【0036】
このようにして、基材の開気孔中にSiが含浸し、SiC化することにより基材の表面近傍では、基材の炭素部分、基材の炭素と開気孔中のSiCにより構成される部分、および表面のSiC層からなる部分が順に形成され、傾斜組成に近い構造が得られる。
【0037】
この傾斜組成に近い構造が、炭素繊維強化炭素材料からなる基材と次の工程でCVD法により形成されるSiC表面被覆層(SiCコーティング層)との熱膨張率差の緩和層として働く。その結果、両者の熱膨張率差によりSiC表面被覆層に生じる亀裂や基材とSiC表面被覆層の剥離の発生が抑制される。
【0038】
SiC中間被覆層の厚みは、Si薄板の厚みにより制御することができる。また、SiC中間被覆層中のSiの残存の割合は、Si薄板の厚み、熱処理の温度および熱処理の時間により制御することができる。
【0039】
熱処理により形成されるSiC中間被覆層にSiを残存させることにより、高温酸化雰囲気に曝された場合の酸化の進行を抑制する効果が得られる。高温下では、基材のCがSiC中間被覆層中を拡散し、SiC中間被覆層の表面で雰囲気中の酸素と反応し、COガスまたはCO2 ガスを生成し、上層のSiC表面被覆層の剥離の原因となる。SiC中間被覆層中にSiが残存していると、そのSiが基材から拡散してきたCをトラップしてSiCを形成し、COガスまたはCO2 ガスの発生を防止する。また、SiC中に金属であるSiが含有すると、そのSiがSiCに働く応力を緩和する。それにより、SiC中間被覆層の靱性を向上させる効果が期待できる。
【0040】
(3)CVD法によるSiC表面被覆層(第2の被覆層)の形成
次に、基材上のSiC中間被覆層の表面にCVD法によりSiC表面被覆層を形成する。CVD法によるSiC表面被覆層の形成方法は特に限定されないが、耐酸化性および耐腐食性を付与するためには、緻密なSiC表面被覆層を形成することが必要である。
【0041】
CVD法によるSiC表面被覆層の形成における原料ガスとしては、ケイ素源またはケイ素および炭素の供給源としてハロゲン化ケイ素、有機ハロゲン化ケイ素、シラン化合物、有機ケイ素等を用いる。また、炭素源として、メタン(CH4 )等の炭化水素を始めとする有機化合物ガスを用いる。
【0042】
反応条件は原料ガス等により異なるが、炭素源となる有機化合物ガスの流量が過剰になると、遊離炭素が析出し、SiC表面被覆層の耐酸化性および耐腐食性を低下させる原因となるので、炭素が共析せずにSiCのみが成長するような条件でSiC表面被覆層を形成することが好ましい。
【0043】
以上の表面処理により炭素繊維強化炭素材料からなる基材の耐酸化性および耐腐食性が向上する。
【0044】
【実施例】
(実施例1)
実施例1では、嵩密度1.65g/cm3 の二次元炭素繊維強化炭素材料を基材として用いた。この二次元炭素繊維強化炭素材料は、炭素繊維織物を積層し、繰り返しピッチ含浸および黒鉛化処理を施したものである。この基材に厚み0.2mmおよび0.5mのSi薄板を載せ、Ar雰囲気中において圧力10Torrで1540〜1600℃まで昇温し、この状態を1時間保持して基材の表面にSiC中間被覆層を形成した。さらに、原料ガスとしてSiCl4 およびCH4 を用い、キャリアガスとしてH2 を用いて、CVD法によりSiC中間被覆層の表面に厚み約50μmのSiC表面被覆層を形成した。形成条件としては、温度が1250℃であり、圧力が10Torrである。
【0045】
比較例として、実施例1と同じ二次元炭素繊維強化炭素材料を基材として用い、Si薄板を用いた熱処理を施さず、基材の表面に直接CVD法によりSiC表面被覆層を実施例1と同様の条件で形成した。
【0046】
実施例1および比較例の試料を大気中において温度1500℃で5時間の条件で繰り返し酸化試験を行い、耐酸化性を評価した。その評価結果を表1に示す。この酸化試験では、基材のCが酸化すると、COガスまたはCO2 ガスが発生し、基材の重量が減少する。
【0047】
【表1】
Figure 0003946297
【0048】
表1に示すように、実施例1の試料では、3回目の酸化試験後も重量減少が1.4wt%以下とほとんど変化しなかった。これに対して、比較例の試料では、1回目の酸化試験で重量減少が17%となり、2回目の酸化試験で重量減少が80%以上となった。
【0049】
これらの結果から、Si薄板を用いた熱処理を施さない場合には、基材である炭素繊維強化炭素材料の酸化が著しく進行しているのに対して、Si薄板を用いた熱処理を施すことにより基材の酸化がほとんど進行しないことがわかる。したがって、本発明に係る表面処理方法によれば、基材の耐酸化性が向上することが確認された。
【0050】
(実施例2,3)
実施例2では、実施例1と同じ基材を塊状のSiOと同一容器内に収納し、Ar雰囲気中において圧力90Torrで1570℃まで加熱してSiOガスを発生させ、その状態を1時間保持した後、実施例1と同様の条件でSi薄板を用いた熱処理によりSiC中間被覆層を形成した。
【0051】
実施例3では、実施例1と同じ基材にSiOガスによる処理を施さずにSi薄板を用いた熱処理によりSiC中間被覆層を形成した。
【0052】
実施例2および実施例3の試料の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、Siの含浸状態を確認した。図1に走査型電子顕微鏡による観察結果を示す。図1(a)はSiOガスによる処理が施された実施例2の試料の断面を示し、図1(b)はSiOガスによる処理が施されていない実施例3の試料の断面を示す。
【0053】
図1から、実施例2の試料では、基材の開気孔中にSiが浸透し、開気孔が完全に塞がれているのに対して、実施例3の試料では、基材の開気孔がSiで完全には塞がれておらず、空孔が残っていることがわかる。また、実施例2の試料では、SiC中間被覆層の表面が平坦となっているのに対して、実施例3の試料では、SiC中間被覆層の表面が均一でなく荒れた状態となっている。さらに、実施例2の試料では、Siが200μm程度の深さまで浸透しているのに対して、実施例3の試料では、Siが100μm程度の深さまでしか浸透していない。
【0054】
これらの結果から、SiOガスによる処理を施すことにより基材の塗れ性が向上し、溶融Siが基材の表面に均一に広がり、かつ開気孔の深部まで浸透するものと考えられる。
【0055】
また、実施例2の試料についてSEMを用いて表面組織の観察を行った。その結果、緻密な結晶性の組織が観察された。さらに、実施例2の試料についてX線回折分析を行った。その結果を図2に示す。このX線回折分析は、厚み0.2mmのSi薄板を用いて温度1600℃で熱処理した試料について行った。
【0056】
図2に示すように、Siの回折ピークが見られず、β−SiCの回折ピークが強く検出されている。これにより、表面の緻密な組織層は基材のCと溶融Siとの反応により生じたSiCであると認められた。
【0057】
また、実施例2の試料についてAES(オージェ分析)により断面組成の分析を行った。Siが含浸された開気孔の亀裂部分のSiとCの定量分析を行った結果、SiとCのモル比は、ほぼ1:1であった。これは、開気孔に浸透したSiも表面と同様にSiCを形成していることを示している。
【0058】
以上のように、炭素繊維強化炭素材料の表面にSi薄板を載せて熱処理することによりSiC中間被覆層を形成した後、CVD法によりSiC表面被覆層を形成することにより、優れた耐酸化性および耐腐食性を有する材料を得ることができる。また、Si薄板による熱処理に先立ってSiOガスによる処理を施すことにより密着性の強いSiC中間被覆層を形成することが可能となる。
【0059】
本発明に係る表面処理方法によれば、炭素繊維強化炭素材料等の炭素材料の耐酸化性および耐腐食性が向上される。したがって、炭素材料を高温の酸化雰囲気中または腐食性雰囲気中で使用する場合に、信頼性を向上させることができ、高温機械部材、宇宙および航空機用部材、各種エンジン用部材等の高温部材への応用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例により作製された試料の断面のSEM写真を示す図である。
【図2】本発明の実施例により作製された試料のX線回折パターンを示す図である。

Claims (8)

  1. 炭素材料からなる基材上にケイ素からなる薄板を載せ、ケイ素の融点以上の温度で熱処理を行うことにより前記基材の表面に炭化ケイ素からなる第1の被覆層を形成する第1の工程と、
    前記第1の被覆層の表面に化学的気相成長法により炭化ケイ素からなる第2の被覆層を形成する第2の工程とを含むことを特徴とする炭素材料の表面処理方法。
  2. 前記炭素材料を気体状の一酸化ケイ素を含む雰囲気中で加熱処理した後に前記第1の工程を行うことを特徴とする請求項1記載の表面処理方法。
  3. 前記気体状の一酸化ケイ素を含む雰囲気中での前記加熱処理において前記基材の表面に厚み1μm以下の炭化ケイ素膜を形成することを特徴とする請求項2記載の炭素材料の表面処理方法。
  4. 前記第1の工程で、炭化ケイ素中に未反応のケイ素を残存させる条件で前記基材の表面に前記第1の被覆層を形成することを特徴とする請求項1、2または3記載の炭素材料の表面処理方法。
  5. 前記第1の工程を不活性ガス雰囲気中で行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の炭素材料の表面処理方法。
  6. 前記第1の工程を減圧下で行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の炭素材料の表面処理方法。
  7. 前記ケイ素からなる薄板は、0.1mm以上1mm以下の厚みを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の炭素材料の表面処理方法。
  8. 前記炭素材料は、炭素繊維強化炭素材料であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の炭素材料の表面処理方法。
JP07200297A 1997-03-25 1997-03-25 炭素材料の表面処理方法 Expired - Fee Related JP3946297B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP07200297A JP3946297B2 (ja) 1997-03-25 1997-03-25 炭素材料の表面処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP07200297A JP3946297B2 (ja) 1997-03-25 1997-03-25 炭素材料の表面処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10265283A JPH10265283A (ja) 1998-10-06
JP3946297B2 true JP3946297B2 (ja) 2007-07-18

Family

ID=13476788

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP07200297A Expired - Fee Related JP3946297B2 (ja) 1997-03-25 1997-03-25 炭素材料の表面処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3946297B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10265283A (ja) 1998-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4476164A (en) Deposition of improved SiC coatings on carbon-base materials
CN109400168B (zh) 一种包含交替形成的SiBCN涂层和SiC涂层的SiC纤维及其制备方法和应用
GB2266316A (en) Coated carbonaceous articles
JPH0543364A (ja) 耐酸化性炭素繊維強化炭素複合材料及びその製造方法
KR100776252B1 (ko) 탄소재 상에 내산화성 다층코팅을 형성하는 방법
EP0411611A1 (en) Method for manufacturing carbon material good in resistance to oxidation
JP3946297B2 (ja) 炭素材料の表面処理方法
US4544412A (en) Deposition of improved SiC coatings on carbon-base materials
JPH0648872A (ja) 耐酸化性c/c複合材の製造方法
JP3422515B2 (ja) 炭素質基材の耐酸化性被膜形成法
JP3844273B2 (ja) 耐酸化性c/c複合材及びその製造方法
JP2660346B2 (ja) セラミックス複合材料
JP2006131451A (ja) 単結晶引き上げ用ルツボとその製造方法
KR102215074B1 (ko) 산화안정성이 향상된 코팅층을 가진 탄소재 및 그 제조 방법
JPS60209017A (ja) セラミツク被覆されたグラフアイトフアイバおよびその製造方法
JPH01104879A (ja) 複合炭素繊維及びその製造方法
JPH10236893A (ja) 炭化ケイ素被覆炭素材料
JPH06345571A (ja) 高温耐酸化性c/c複合材の製造方法
JPH08504738A (ja) 炭化ホウ素コーティング
JP3431958B2 (ja) 炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法
JP4218853B2 (ja) 単結晶引き上げ用炭素質ルツボとその製造方法
JPH11302090A (ja) 炭素材料の耐酸化耐腐食表面処理方法
KR101138440B1 (ko) 실리콘카바이드 강화 다공성 모재 및 그 형성방법
JPH11199354A (ja) 耐酸化性c/c複合材及びその製造方法
JPH06305863A (ja) 炭化珪素質被覆炭素繊維強化炭素複合材の製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040106

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060802

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070327

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070411

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees