JP2010235547A - DL−tert−ロイシンアミドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
医薬品原料として重要なDL−tert−ロイシンアミドの工業的に実施可能で反応液をゲル化させることのない、操作性に優れた製造方法を確立し提供する。
【解決手段】
光学活性tert−ロイシンアミドを、有機溶媒中、塩基性触媒の存在下に反応させてラセミ化した後、酢酸根を有する酸性物質を反応液に添加することによって、反応液をゲル化させることのなく、光学活性tert−ロイシンアミドからDL−tert−ロイシンアミドを製造し提供することが可能となる。
【選択図】なし
Description
このように、文献記載の方法では、光学活性tert−ロイシンアミドのラセミ化方法として工業的に実施することが困難であることが判明した。
すなわち、本発明は、DL−tert−ロイシンアミドを得るための(1)〜(3)に示す製造方法に関する。
(1)光学活性tert−ロイシンアミドを、有機溶媒中、塩基性触媒の存在下に反応させてラセミ化し、DL−tert−ロイシンアミドを取得する方法において、ラセミ化反応後、酢酸根を有する酸性物質を反応液に添加することによって塩基性触媒を不活性化することを特徴とする、光学活性tert−ロイシンアミドからのDL−tert−ロイシンアミドの製造方法。
(2)有機溶媒が2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ブタノールおよび2−ブタノールから選ばれる一種以上である、(1)に記載のDL−tert−ロイシンアミドの製造方法。
(3)塩基性触媒の50mol%以上が酢酸塩となるように酢酸根を有する酸性物質を反応液に添加する、(1)に記載のDL−tert−ロイシンアミドの製造方法。
なお、tert−ロイシンまたはtert−ロイシンアミドの分析は、以下に示す高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で行った。
HPLC分析条件1:
カラム:スミキラルOA−5000(4.6φ×50mm)
溶離液:硫酸銅1mM水溶液
流速:0.8ml/min
検出:UV 254nm
HPLC分析条件2:
カラム:Lichrosorb RP−18(4.6φ×250mm)
溶離液:過塩素酸50mM水溶液
流速:0.5ml/min
検出:RI
ラセミ化率は以下に示す式1のように定義した。
式1
ラセミ化率(%)=L−tert−ロイシンアミド(mol)/(L−tert−ロイシンアミド+D−tert−ロイシンアミド)(mol)×200
また、ナトリウムイオンの分析はICP(VALIAN VISTA−PRO)で行った。
D−tert−ロイシンアミド64.3g(0.494mol)を含む2−メチル―1−プロパノール溶液824gに水酸化ナトリウム1.90g(0.0474mol)を添加し、110℃で常圧蒸留して158gまで濃縮した。続いて反応液を117℃で4.5時間還流し、ラセミ化反応を行った。ラセミ化反応の進行は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析条件1で分析した。反応液中のtert−ロイシンアミドのラセミ化率は96.6%であった。
ラセミ化反応終了後、反応液を撹拌しながら酢酸2.85g(0.0474mol)を添加した。反応液のゲル化は認められなかった。この反応液を、110℃で常圧蒸留して反応液重量が96gとなるまで濃縮し、メタノール70mlを加え、マイナス20℃で再結晶させた。析出した結晶を濾取し、メタノール108mlで洗浄、真空乾燥し、DL−tert−ロイシンアミド56.6g(0.434mol)を取得した。得られたDL−tert−ロイシンアミドの純度をHPLC分析条件2で分析した結果、DL−tert−ロイシンアミドの純度は99.9%、収率87.5%であった。また、HPLC分析条件1で分析した結果、tert−ロイシンアミドのラセミ化率は100%であった。このDL−tert−ロイシンアミド中に含まれるナトリウムイオンは0.02%、tert−ロイシンは検出されなかった。
D−tert−ロイシンアミド64.3g(0.494mol)を2−プロパノール160gに溶解し、水酸化ナトリウム1.90g(0.0474mol)を添加した。この反応液を84℃で10時間還流し、ラセミ化反応を行った。反応液中のtert−ロイシンアミドのラセミ化率は88.3%であった。
ラセミ化反応終了後、反応液を撹拌しながら酢酸2.85g(0.0474mol)を添加した。反応液のゲル化は認められなかった。この反応液を、84℃で常圧蒸留して反応液重量が96gとなるまで濃縮し、メタノール70mlを加え、マイナス20℃で再結晶させた。析出した結晶を濾取し、メタノール110mlで洗浄、真空乾燥し、DL−tert−ロイシンアミド48.9g(0.375mol)を取得した。得られたDL−tert−ロイシンアミドの純度は99.9%、収率76.0%であった。また、tert−ロイシンアミドのラセミ化率は100%であった。このDL−tert−ロイシンアミド中に含まれるナトリウムイオンは0.02%、tert−ロイシンは検出されなかった。
D−tert−ロイシンアミド64.3g(0.494mol)を1−ブタノール160gに溶解し、水酸化ナトリウム1.90g(0.0474mol)を添加した。この反応液を117℃で5時間還流し、ラセミ化反応を行った。反応液中のtert−ロイシンアミドのラセミ化率は97.2%であった。
ラセミ化反応終了後、反応液を撹拌しながら酢酸2.85g(0.0474mol)を添加した。反応液のゲル化は認められなかった。この反応液を、117℃で常圧蒸留して反応液重量が96gとなるまで濃縮し、メタノール70mlを加え、マイナス20℃で再結晶させた。析出した結晶を濾取し、メタノール110mlで洗浄、真空乾燥し、DL−tert−ロイシンアミド55.4g(0.426mol)を取得した。得られたDL−tert−ロイシンアミドの純度は99.9%、収率86.2%であった。また、tert−ロイシンアミドのラセミ化率は100%であった。このDL−tert−ロイシンアミド中に含まれるナトリウムイオンは0.02%、tert−ロイシンは検出されなかった。
D−tert−ロイシンアミド64.3g(0.494mol)を2−ブタノール160gに溶解し、水酸化ナトリウム1.90g(0.0474mol)を添加した。この反応液を100℃で8時間還流し、ラセミ化反応を行った。反応液中のtert−ロイシンアミドのラセミ化率は96.3%であった。
ラセミ化反応終了後、反応液を撹拌しながら酢酸2.85g(0.0474mol)を添加した。反応液のゲル化は認められなかった。この反応液を、100℃で常圧蒸留して反応液重量が96gとなるまで濃縮し、メタノール70mlを加え、マイナス20℃で再結晶させた。析出した結晶を濾取し、メタノール110mlで洗浄、真空乾燥し、DL−tert−ロイシンアミド52.9g(0.406mol)を取得した。得られたDL−tert−ロイシンアミドの純度は99.9%、収率82.3%であった。また、tert−ロイシンアミドのラセミ化率は100%であった。このDL−tert−ロイシンアミド中に含まれるナトリウムイオンは0.02%、tert−ロイシンは検出されなかった。
D−tert−ロイシンアミド10.71g(0.0823mol)を含む2−メチル―1−プロパノール溶液135gに水酸化ナトリウム0.33g(0.0082mol)を添加し、110℃で常圧蒸留して26gまで濃縮した。続いて反応液を117℃で4.5時間還流し、ラセミ化反応を行った。反応液中のtert−ロイシンアミドのラセミ化率は96.2%であった。
ラセミ化反応終了後、反応液を撹拌しながら酢酸:塩酸=50:50mol比で混合した酸0.67g(0.0082mol)を添加した。反応液のゲル化は認められなかった。この反応液を、110℃で常圧蒸留して反応液重量が16gとなるまで濃縮し、メタノール12mlを加え、マイナス20℃で再結晶させた。析出した結晶を濾取し、メタノール18mlで洗浄、真空乾燥し、DL−tert−ロイシンアミド9.13g(0.0701mol)を取得した。得られたDL−tert−ロイシンアミドの純度は98.0%、収率85.2%であった。また、tert−ロイシンアミドのラセミ化率は100%であった。このDL−tert−ロイシンアミド中に含まれるナトリウムイオンは0.79%、tert−ロイシンは検出されなかった。
D−tert−ロイシンアミド3.01g(0.023mol)を含む2−メチル―1−プロパノール溶液60.01gに水酸化ナトリウム0.113g(0.00283mol)を添加し、110℃で常圧蒸留して反応液重量が12.96gとなるまで濃縮した。続いて反応液を117℃で5.3時間還流し、ラセミ化反応を行った。ラセミ化率は89.0%であった。110℃で常圧蒸留して反応液重量が4.83gとなるまで濃縮し、メタノール4mlを加え、マイナス20℃で再結晶させた。析出した結晶を濾取し、メタノールで洗浄、真空乾燥し、DL−tert−ロイシンアミド2.50g(0.0193mol)を取得した。収率83.5%。このDL−tert−ロイシンアミド中に含まれるナトリウムイオンは0.25%、tert−ロイシンは0.15%であった。
D−tert−ロイシンアミド2.27g(0.0174mol)を含む2−メチル―1−プロパノール溶液39.56gに水酸化ナトリウム0.0736g(0.00184mol)を添加し、110℃で常圧蒸留して9.84gまで濃縮した。続いて反応液を110℃で6.8時間還流し、ラセミ化反応を行った。ラセミ化率は97.2%であった。ラセミ化反応終了後、反応液を撹拌しながら塩化アンモニウム0.0987g(0.00185mol)を添加した。30分後、反応液全体がゲル化した。
D−tert−ロイシンアミド35.19g(0.2703mol)を含む2−メチル―1−プロパノール溶液125.21gに水酸化ナトリウム1.14g(0.0286mol)を添加し、反応液を112℃で6時間還流し、ラセミ化反応を行った。ラセミ化率は97.8%、tert−ロイシン含有率はtert−ロイシンアミド仕込み量に対し3.9%であった。この反応液を5gずつに分け、2−メチル―1−プロパノール7gを加えた後、表1に示す中和剤それぞれを反応液に含まれる水酸化ナトリウムと等モル量加えて30分間撹拌した。その後、反応液の外観観察を行った結果を表1に示す。いずれの中和剤でもゲル化が観測された。
Claims (3)
- 光学活性tert−ロイシンアミドを、有機溶媒中、塩基性触媒の存在下に反応させてラセミ化し、DL−tert−ロイシンアミドを取得する方法において、ラセミ化反応後、酢酸根を有する酸性物質を反応液に添加することによって塩基性触媒を不活性化することを特徴とする、光学活性tert−ロイシンアミドからのDL−tert−ロイシンアミドの製造方法。
- 有機溶媒が2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ブタノールおよび2−ブタノールから選ばれる一種以上である、請求項1に記載のDL−tert−ロイシンアミドの製造方法。
- 塩基性触媒の50mol%以上が酢酸塩となるように酢酸根を有する酸性物質を反応液に添加する、請求項1に記載のDL−tert−ロイシンアミドの製造方法。
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